JP6904297B2 - 離型フィルム - Google Patents
離型フィルム Download PDFInfo
- Publication number
- JP6904297B2 JP6904297B2 JP2018061558A JP2018061558A JP6904297B2 JP 6904297 B2 JP6904297 B2 JP 6904297B2 JP 2018061558 A JP2018061558 A JP 2018061558A JP 2018061558 A JP2018061558 A JP 2018061558A JP 6904297 B2 JP6904297 B2 JP 6904297B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- release
- release film
- layer
- release layer
- resin composition
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Landscapes
- Laminated Bodies (AREA)
Description
少なくとも一方の面に熱可塑性樹脂組成物からなる離型層を有する離型フィルムであって、
前記熱可塑性樹脂組成物はポリエステル樹脂を含み、
前記離型層、クッション層、及び副離型層がこの順に積層してなる多層構造を備え、
前記クッション層が、α−オレフィン系重合体を含み、
前記熱可塑性樹脂組成物全量に対するTi元素の含有量をXとし、前記熱可塑性樹脂組成物全量に対するK元素の含有量をYとした時、X/Yの値が1以上15以下である、離型フィルムが提供される。
第一に、従来の離型フィルムでは、加熱プレス後に対象物表面から当該離型フィルムを剥離する際に、離型層の表面(離型面)を形成する材料中の、たとえばカルボキシル基等の極性を有する官能基と、対象物表面を形成している材料中の未反応の官能基とが反応して相互作用することにより生じる汚染物が得られた成型品の表面に残存してしまうことがあった。
第二に、従来の離型フィルムでは、加熱プレス時に当該離型フィルムの一部が波打つことにより、得られた成型品表面に荒れが生じてしまうことがあった。なお、得られた成型品表面に生じる荒れとは、成型品表面の一部が波打つこと、成型品表面の一部が爛れること、成型品表面の形状が滑らかではなく、粗い状態となること等を指す。
詳細なメカニズムは定かではないが、Ti/Kの値を所望の数値範囲に制御することによって、ポリエステル樹脂の分子鎖と、K元素と、Ti元素とが相互作用することで、特定の高次構造を形成すると推測される。また、カルボキシル基の水素が離脱した箇所にK等の金属イオンが配位することも考えられる。
そして、特定の高次構造を形成するため、離型層表面において、ポリエステルのカルボキシル基末端に由来する極性を制御することができると推測される。これにより、本実施形態に係る離型フィルムは、離型性を向上できると推測される。
さらに、上記特定の高次構造は、その高次構造サイズが小さく、高次構造に拘束されていないポリエステル分子鎖が、離型フィルムにかかる応力を緩和する役割を果たすと推測される。したがって、上記特定の高次構造を有する離型層は、柔軟性を有していると推測される。これにより、本実施形態にかかる離型フィルムは、追従性を向上できると推測される。
したがって、本実施形態にかかる離型フィルムは、離型性及び追従性のバランスを両立できると考えられる。このような離型フィルムは、仕上がり外観等といった成形性を高めることができる。
また、離型層を加熱加圧する前に上記特定の高次構造を形成していない場合、K元素が大きく減少することが判明した。詳細なメカニズムは定かではないが、K元素は、重金属元素であるTi元素と比較して運動性が高く、加熱加圧によって離型層表面からK元素が失われているものと推測される。
本実施形態に係る離型フィルムにおいて、離型層とは、少なくとも当該離型フィルムを対象物上に配置した際に、対象物に接する面(以下、「離型面」とも示す。)を形成する樹脂層である。
また、離型層の離型面の表面10点平均粗さ(Rz)の下限値は、好ましくは1μm以上であり、より好ましくは、1.5μm以上であり、最も好ましくは、2.0μm以上である。このようなRzの下限値を示す場合、上離型層の強度を確保しつつ安定した離型性を得ることができる。
なお、表面10点平均粗さ(Rz)は、例えば、JIS−B0601−1994に準拠して測定することができる。また、本実施形態に係る表面10点平均粗さ(Rz)は、離型フィルムが対象物に配置された際に、離型フィルムにおける対象物側にあたる面(離型面)の数値を指す。
ポリエステル樹脂は、結晶性ポリエステル樹脂または非晶性ポリエステル樹脂を特に限定するものではない。上記特定の高次構造を形成しやすいという観点から、結晶性ポリエステル樹脂であることが好ましい。
なお、Ti元素の含有量は、例えば、以下の方法で測定することができる。
本実施形態に係る離型フィルムから離型層を剥離し、剥離した離型層を粉砕機で粉砕することで粉末を得る。得られた粉末を酸素雰囲気下で加熱加圧分解した後、分解液をICP−MS(誘導結合プラズマ質量分析装置、メーカー:Agilent Technology、グレード:7500型)に導入して、元素の定量分析を行う。
また、X/Yの値の上限値が15以下であり、14以下であることが好ましく、13以下であることが更に好ましい。これにより、上記特定の高次構造が好適な高次構造サイズとなる。したがって、離型フィルムの追従性を向上することができる。
具体的には、離型フィルムは、用途によっては、離型フィルムは、離型層に接するクッション層をさらに有していてもよく、離型フィルムは、離型層、クッション層、及び副離型層の順で積層した多層構造としてもよい。これらの中でも、離型層、クッション層、及び副離型層の順で積層した多層構造とするのが好ましい。これにより、離型フィルムの両面に離型層または副離型層を有することで、成形体及び金型における離型性の低下を抑制できる。さらに、クッション層を有することで、圧力の不均一をなくし、追従性、成形性を向上させることができる。
このような副離型層を有することにより、プレス機で熱プレスされた際に、熱板からの離型性が向上し、成形体やFPC等の積層体の製造における生産性を向上させることができる。複数の離型層は、ポリエステル樹脂を含む材料であれば、同じ材料から形成されたものであってもよく、異なる材料から形成されたものであってもよい。また、複数の離型層は、互いに異なる厚みであってもよい。
本実施形態に係る離型フィルムの製造方法は、特に限定されないが、熱可塑性樹脂組成物を成形し、離型層を形成する成形工程と、次いで、離型層を加圧することなく加熱するエージング工程とを含む。
また、離型フィルムが多層構造であった場合、エージング工程に次いで、離型層と、その他の層を積層する積層工程とを含む。
以下では、離型フィルムが離型層と、クッション層と、副離型層をこの順に積層した多層構造である場合を一例に説明する。
離型フィルムが離型層と、クッション層と、副離型層をこの順に積層した多層構造である場合、離型層と、クッション層と、副離型層を含む。積層工程は、特に限定されるものではなく、離型層と、クッション層と、副離型層とをこの順番で積層し、一体化させることができればよい。また、積層工程では、離型層を加圧することを制限するものではない。詳細なメカニズムは定かではないが、上記エージング工程において、離型フィルムのポリエステル樹脂の分子鎖と、K元素及びTi元素とが上記特定の高次構造を形成すれば、積層工程において加圧しても該高次構造が保たれると推測される。
積層工程は、上記エージング工程を行うことを前提として、例えば、共押出法、押出ラミネート法、ドライラミネート法、インフレーション法等公知の方法を用いて製造することができる。また、離型フィルムが多層構造の場合、離型層、クッション層の各層を、別々に製造してからラミネーター等により接合してもよく、空冷式または水冷式共押出インフレーション法、共押出Tダイ法で製造することができる。
なお、離型層及びクッション層を接合する方法、クッション層及び副離型層を接合する方法は特に限定されず、そのまま接合してもよいし、接着層を介して接合してもよい。
<実施例1>
離型層を形成する熱可塑性樹脂組成物として、ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂(ウィンテックポリマー社製、ジュラネックス2002)を用いた。また、クッション層を形成する材料として、ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂(ウィンテックポリマー社製、ジュラネックス2002)30重量部、変性ポリエチレン樹脂(エチレン―メチルメタクリレート共重合体(EMMA)樹脂)(住友化学社製、WD201−F)70重量部を含む樹脂組成物を用いた。また、副離型層を形成する材料として、離型層と同様にポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂(ウィンテックポリマー社製、ジュラネックス2002)を用いた。
まず、それぞれの材料を用いて、離型層、クッション層、副離型層を、押出Tダイ法によって、それぞれの厚さが30μm、60μm、30μmとなるように成形する成形工程を行った。
次いで、得られた離型層について、180℃、10minの条件で、遠赤外線アニール炉(Noritake社製、LF−AN2−104)を用いて、加圧することなく加熱するエージング工程を行い、離型層と、クッション層と、副離型層をプレス機で加熱、加圧し、積層し、離型フィルムを得た。
離型層、クッション層、副離型層を形成する材料は、実施例1と同様のものを用いた。
まず、それぞれの材料を用いて、離型層、クッション層、副離型層を、押出Tダイ法によって、それぞれの厚さが25μm、70μm、25μmとなるように成形する成形工程を行った。
次いで、得られた離型層について、180℃、3minの条件で、遠赤外線アニール炉(Noritake社製、LF−AN2−104)を用いて、加圧することなく加熱するエージング工程を行い、実施例1と同様にして積層し、離型フィルムを得た。
ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂として、長春石油化学社製の1100−211Xを用いた以外は、離型層、クッション層、副離型層を形成する材料は、実施例1と同様のものを用いた。
まず、それぞれの材料を用いて、離型層、クッション層、副離型層を、押出Tダイ法によって、それぞれの厚さが25μm、70μm、25μmとなるように成形する成形工程を行った。
次いで、得られた離型層について、180℃、10minの条件で、遠赤外線アニール炉(Noritake社製、LF−AN2−104)を用いて、加圧することなく加熱するエージング工程を行い、実施例1と同様にして積層し、離型フィルムを得た。
エージング工程が無い点以外は、実施例1と同様にして、離型フィルムを得た。
得られた離型フィルムについて、以下の評価項目に基づいて評価を行った。評価結果を表1に示す。
○:剥離可能
△:実用上問題ない程度に剥離可能であるが、剥離がやや重い
×:剥離が重くフィルムもしくはCLが破断する
○:シワ発生率 1.5%未満
△:シワ発生率 1.5%以上2.0%未満
×:シワ発生率 2.0%以上
○:長さ0.3mm以上のボイドの数が0個
△:長さ0.3mm以上のボイドの数が1〜4個
×:長さ0.3mm以上のボイドの数が5個以上
実施例1、2のいずれの離型フィルムも、成形性が○であった。
Claims (5)
- 少なくとも一方の面に熱可塑性樹脂組成物からなる離型層を有する離型フィルムであって、
前記熱可塑性樹脂組成物はポリエステル樹脂を含み、
前記離型層、クッション層、及び副離型層がこの順に積層してなる多層構造を備え、
前記クッション層が、α−オレフィン系重合体を含み、
前記熱可塑性樹脂組成物全量に対するTi元素の含有量をXとし、前記熱可塑性樹脂組成物全量に対するK元素の含有量をYとした時、X/Yの値が1以上15以下である、離型フィルム。 - 請求項1に記載の離型フィルムであって、
前記熱可塑性樹脂組成物全量に対するTi元素の含有量が、60×10−4質量%以上90×10−4質量%以下である、離型フィルム。 - 請求項1または2に記載の離型フィルムであって、
前記ポリエステル樹脂が、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)、ポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT)、ポリトリメチレンテレフタレート樹脂(PTT)、ポリヘキサメチレンテレフタレート樹脂(PHT)からなる群より選択される1種以上を含む、離型フィルム。 - 請求項1から3のいずれか1項に記載の離型フィルムであって、
JIS−B0601−1994に準拠して測定される、前記離型層の離型面の表面10点平均粗さRzが、1μm以上20μm以下である、離型フィルム。 - 請求項1から4のいずれか1項に記載の離型フィルムであって、
厚みが50μm以上150μm以下である、離型フィルム。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2018061558A JP6904297B2 (ja) | 2018-03-28 | 2018-03-28 | 離型フィルム |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2018061558A JP6904297B2 (ja) | 2018-03-28 | 2018-03-28 | 離型フィルム |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2019171652A JP2019171652A (ja) | 2019-10-10 |
JP6904297B2 true JP6904297B2 (ja) | 2021-07-14 |
Family
ID=68168056
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2018061558A Active JP6904297B2 (ja) | 2018-03-28 | 2018-03-28 | 離型フィルム |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP6904297B2 (ja) |
Family Cites Families (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US6545081B1 (en) * | 1998-12-09 | 2003-04-08 | Kureha Kagaku Kogyo K.K. | Synthetic resin composition |
JP2007015170A (ja) * | 2005-07-06 | 2007-01-25 | Mitsubishi Engineering Plastics Corp | ポリブチレンテレフタレートラミネート紙、およびそれを用いた紙製容器 |
JP5205830B2 (ja) * | 2007-06-18 | 2013-06-05 | 東レ株式会社 | ポリエステル樹脂組成物の製造方法 |
JP2015202662A (ja) * | 2014-04-16 | 2015-11-16 | 住友ベークライト株式会社 | 離型フィルムの製造方法 |
JP6946950B2 (ja) * | 2017-11-08 | 2021-10-13 | 東レ株式会社 | ポリエステル樹脂組成物及びその製造方法 |
-
2018
- 2018-03-28 JP JP2018061558A patent/JP6904297B2/ja active Active
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2019171652A (ja) | 2019-10-10 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP5804141B1 (ja) | 離型フィルム | |
JP6391554B2 (ja) | 離型フィルム | |
JP4826196B2 (ja) | 離型フィルムおよび回路基板の製造方法 | |
JP6500418B2 (ja) | 離型フィルム | |
TWI540051B (zh) | Release film | |
JP6554795B2 (ja) | 離型フィルムおよびフレキシブルプリント回路基板の作製方法 | |
JP5862740B1 (ja) | 離型フィルムおよび離型フィルムの使用方法 | |
JP6299933B2 (ja) | プリント回路基板製造用離型フィルムおよび成型品の製造方法 | |
JP2011088352A (ja) | 離型フィルム | |
JP2006148081A (ja) | 離型フィルムおよび回路基板の製造方法 | |
JP6863523B2 (ja) | 離型フィルムおよび成型品の製造方法 | |
JP2007224311A (ja) | 離型フィルム | |
JP2016168688A (ja) | 離型フィルム | |
JP2011088351A (ja) | 離型フィルム | |
JP4099355B2 (ja) | シート | |
JP4436803B2 (ja) | 離型フィルム | |
JP6481396B2 (ja) | 離型フィルム | |
JP6904297B2 (ja) | 離型フィルム | |
JP2010194841A (ja) | 離型フィルム及びその製造方法 | |
JP2011005664A (ja) | 離型フィルムおよびその製造方法 | |
JP2010209208A (ja) | 離型フィルムおよびその製造方法 | |
JP2022130444A (ja) | 蓄電デバイス用外装材、その製造方法、及び蓄電デバイス | |
JP2008254348A (ja) | 金属板被覆用積層シートおよび積層シート被覆金属板 | |
JP2010143202A (ja) | 表皮材用積層ポリエステルフィルムおよびこれを用いた触感が改善された複合成型体 | |
KR102137559B1 (ko) | 화장판용 수지 필름, 화장판의 제조 방법 및 화장판 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20201217 |
|
A871 | Explanation of circumstances concerning accelerated examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A871 Effective date: 20201217 |
|
A975 | Report on accelerated examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971005 Effective date: 20210216 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20210224 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20210325 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20210525 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20210607 |
|
R151 | Written notification of patent or utility model registration |
Ref document number: 6904297 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151 |