JP6904297B2 - 離型フィルム - Google Patents

離型フィルム Download PDF

Info

Publication number
JP6904297B2
JP6904297B2 JP2018061558A JP2018061558A JP6904297B2 JP 6904297 B2 JP6904297 B2 JP 6904297B2 JP 2018061558 A JP2018061558 A JP 2018061558A JP 2018061558 A JP2018061558 A JP 2018061558A JP 6904297 B2 JP6904297 B2 JP 6904297B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
release
release film
layer
release layer
resin composition
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2018061558A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2019171652A (ja
Inventor
誠治 山本
誠治 山本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Bakelite Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Bakelite Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Bakelite Co Ltd filed Critical Sumitomo Bakelite Co Ltd
Priority to JP2018061558A priority Critical patent/JP6904297B2/ja
Publication of JP2019171652A publication Critical patent/JP2019171652A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6904297B2 publication Critical patent/JP6904297B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Laminated Bodies (AREA)

Description

本発明は、離型フィルムに関する。
離型フィルムは、一般的に、成形品を製造する際に使用される。具体的には、離型フィルムは、成形品を作製する際に、当該成形品の表面を保護する目的で使用される。そのため、離型フィルムについては、従来から以下に説明する2つの特性を向上させることが要求されてきた。第一に要求される離型フィルムの特性は、成形品を製造した後における当該離型フィルムの剥離しやすさ、すなわち、離型性である。第二に要求される離型フィルムの特性は、成形品の表面に対する当該離型フィルムの密着性、すなわち、追従性である。こうした離型フィルムにおける離型性や追従性といった特性を向上させることは、従来から、種々の検討がなされてきた。
離型フィルムの離型性の向上に着目した技術、追従性の向上に着目した技術として、たとえば、以下のものがある。
特許文献1には、ガラス転移温度と結晶化速度指標について特定の値を示すポリエステル系エラストマー層と、特定の質量比で配合された結晶性芳香族ポリエステルおよび1,4−シクロヘキサンジメタノール共重合ポリエチレンテレフタレートからなり、ガラス転移温度と結晶融解熱量について特定の値を示すポリエステルによって形成されたポリエステル層とを有する離型フィルムが開示されている。
特許文献2には、結晶融解熱量と結晶化速度指標について特定の値を示す結晶性ポリエステル層と、結晶融解熱量と結晶化速度指標について特定の値を示すポリエステル層を有する離型フィルムが開示されている。
特許文献3には、ガラス転移温度と結晶化速度指標について特定の値を示すポリエステル系エラストマー層と、昇温時の結晶化開始温度、昇温結晶化ピーク温度および昇温結晶化熱量について特定の値を示す共重合ポリエステル層を有する離型フィルムが開示されている。
特開2011―88351号公報 特開2011―88352号公報 特開2011―245812号公報
上記背景技術の項に前述したように、従来の離型フィルムにおいても、離型性と追従性を向上させることについては、種々検討されてきた。
しかしながら、近年、離型フィルムの各種特性について要求される技術水準は、ますます高くなっている。特に、特許文献1〜3等に記載されている離型フィルムについては、その離型性および追従性のバランスという観点において、さらなる改善が求められている。
そこで、本発明は、離型性および追従性のバランスに優れた成形品を作製するために有用な離型フィルムを提供する。
本発明によれば、
少なくとも一方の面に熱可塑性樹脂組成物からなる離型層を有する離型フィルムであって、
前記熱可塑性樹脂組成物はポリエステル樹脂を含み、
前記離型層、クッション層、及び副離型層がこの順に積層してなる多層構造を備え、
前記クッション層が、α−オレフィン系重合体を含み、
前記熱可塑性樹脂組成物全量に対するTi元素の含有量をXとし、前記熱可塑性樹脂組成物全量に対するK元素の含有量をYとした時、X/Yの値が1以上15以下である、離型フィルムが提供される。
本発明によれば、離型性および追従性のバランスに優れた成形品を作製するために有用な離型フィルムを提供できる。
以下、本実施形態について、適宜図面を用いて説明する。なお、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
本実施形態の離型フィルムは、少なくとも一方の面に熱可塑性樹脂組成物からなる離型層を有する離型フィルムであって、熱可塑性樹脂組成物はポリエステル樹脂を含み、熱可塑性樹脂組成物全量に対するTi元素の含有量をXとし、熱可塑性樹脂組成物全量に対するK元素の含有量をYとした時、X/Yの値が1以上15以下である。
本発明者は、従来の離型フィルムを用いた場合に、以下の現象が生じる恐れがあることを知見した。
第一に、従来の離型フィルムでは、加熱プレス後に対象物表面から当該離型フィルムを剥離する際に、離型層の表面(離型面)を形成する材料中の、たとえばカルボキシル基等の極性を有する官能基と、対象物表面を形成している材料中の未反応の官能基とが反応して相互作用することにより生じる汚染物が得られた成型品の表面に残存してしまうことがあった。
第二に、従来の離型フィルムでは、加熱プレス時に当該離型フィルムの一部が波打つことにより、得られた成型品表面に荒れが生じてしまうことがあった。なお、得られた成型品表面に生じる荒れとは、成型品表面の一部が波打つこと、成型品表面の一部が爛れること、成型品表面の形状が滑らかではなく、粗い状態となること等を指す。
本発明者は、従来の離型フィルムには、離型フィルムの使用後(加熱プレス後)に良好な剥離特性が得られない点と、離型フィルムの使用時(対象物表面上に配置した時)に当該離型フィルムの一部が波打つことのない程度に良好な追従性を得ることができない点に、改善の余地があることを見出した。
本発明者は、種々の実験により、離型フィルムについて、離型性および追従性のバランスを両立させることを検討した。そして、ポリエステル樹脂を含む熱可塑性樹脂組成物からなる離型層において、熱可塑性樹脂組成物中のTi元素及びK元素の含有量比をある数値範囲に特定することで、離型性及び追従性のバランスを両立できることを見出した。
詳細なメカニズムは定かではないが、Ti/Kの値を所望の数値範囲に制御することによって、ポリエステル樹脂の分子鎖と、K元素と、Ti元素とが相互作用することで、特定の高次構造を形成すると推測される。また、カルボキシル基の水素が離脱した箇所にK等の金属イオンが配位することも考えられる。
そして、特定の高次構造を形成するため、離型層表面において、ポリエステルのカルボキシル基末端に由来する極性を制御することができると推測される。これにより、本実施形態に係る離型フィルムは、離型性を向上できると推測される。
さらに、上記特定の高次構造は、その高次構造サイズが小さく、高次構造に拘束されていないポリエステル分子鎖が、離型フィルムにかかる応力を緩和する役割を果たすと推測される。したがって、上記特定の高次構造を有する離型層は、柔軟性を有していると推測される。これにより、本実施形態にかかる離型フィルムは、追従性を向上できると推測される。
したがって、本実施形態にかかる離型フィルムは、離型性及び追従性のバランスを両立できると考えられる。このような離型フィルムは、仕上がり外観等といった成形性を高めることができる。
なお、上記特定の高次構造は、その高次構造サイズの小ささから、加圧によって、その高次構造界面に応力が集中しないと推測される。すなわち、上記特定の高次構造は、加圧によって壊れにくい高次構造であると推測される。したがって、離型層、クッション層及び副離型層を加熱加圧によって積層する前に、上記特定の高次構造を形成してもよい。
また、離型層を加熱加圧する前に上記特定の高次構造を形成していない場合、K元素が大きく減少することが判明した。詳細なメカニズムは定かではないが、K元素は、重金属元素であるTi元素と比較して運動性が高く、加熱加圧によって離型層表面からK元素が失われているものと推測される。
まず、本実施形態にかかる離型フィルムを形成する離型層について説明する。
本実施形態に係る離型フィルムにおいて、離型層とは、少なくとも当該離型フィルムを対象物上に配置した際に、対象物に接する面(以下、「離型面」とも示す。)を形成する樹脂層である。
離型フィルムは、成型品を製造するため、熱硬化性樹脂を含む材料によって形成されている対象物の表面に配置して使用されることが一般的である。具体的には、離型フィルムは、プレス成型機の金型内に設置した対象物表面上に配置して使用される。なお、成型品を製造するためには、対象物表面上に離型フィルムを配置した状態でのプレス処理を要する。ここで、対象物の表面を形成する材料中に含まれている熱硬化性樹脂としては、たとえば、エポキシ樹脂を含む樹脂組成物が挙げられる。なお、本実施形態においては、離型フィルムにおいて対象物表面上に配置された時に上記対象物表面に接する面を、離型面とする。
離型フィルムの厚さは、特に限定されない。離型フィルムの厚さの下限値としては、50μm以上であることが好ましく、60μm以上であることがより好ましい。これにより、離型フィルムに十分な離型性を付与することができる。また、離型フィルムの厚さの上限値としては、150μm以下であることが好ましく、120μm以下であることがより好ましく、100μm以下であることがさらに好ましい。これにより、離型フィルムに十分な柔軟性を持たせ、追従性を向上することができる。
離型層の離型面の表面10点平均粗さ(Rz)の上限値は、好ましくは、20μm以下であり、より好ましくは、15μm以下であり、最も好ましくは、10μm以下である。これにより、表面粗さが転写されるのを抑制することができる。したがって、離型フィルムの成形性を向上させることができる。
また、離型層の離型面の表面10点平均粗さ(Rz)の下限値は、好ましくは1μm以上であり、より好ましくは、1.5μm以上であり、最も好ましくは、2.0μm以上である。このようなRzの下限値を示す場合、上離型層の強度を確保しつつ安定した離型性を得ることができる。
なお、表面10点平均粗さ(Rz)は、例えば、JIS−B0601−1994に準拠して測定することができる。また、本実施形態に係る表面10点平均粗さ(Rz)は、離型フィルムが対象物に配置された際に、離型フィルムにおける対象物側にあたる面(離型面)の数値を指す。
本実施形態に係る離型フィルムにおいて、離型層は熱可塑性樹脂組成物からなる。そして、上記熱可塑性樹脂組成物は、ポリエステル樹脂を含み、熱可塑性樹脂組成物全量100質量%に対するTi元素の含有量をX(質量%)とし、前記熱可塑性樹脂組成物全量100質量%に対するK元素の含有量をY(質量%)とした時、X/Yの値が1以上15以下である。
本実施形態に係る離型フィルムにおいて、熱可塑性樹脂組成物は、ポリエステル樹脂を含む。ここで、ポリエステル樹脂とは、多価カルボン酸(ジカルボン酸)とポリアルコール(ジオール)との重縮合体であって、カルボキシル基(−COOH)を複数有する化合物である。
ポリエステル樹脂は、結晶性ポリエステル樹脂または非晶性ポリエステル樹脂を特に限定するものではない。上記特定の高次構造を形成しやすいという観点から、結晶性ポリエステル樹脂であることが好ましい。
ポリエステル樹脂としては、具体的に、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)、ポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT)、ポリトリメチレンテレフタレート樹脂(PTT)、ポリヘキサメチレンテレフタレート樹脂(PHT)等のポリアルキレンテレフタレート樹脂、及び他の成分を共重合したポリエステル系共重合体樹脂が挙げられる。これらは、1種または2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらのうち、ポリブチレンテレフタレートを用いた場合に、上述した特定の高次構造が形成されやすい。したがって、離型性と追従性のバランスを向上させ、成形性を向上させるために、ポリブチレンテレフタレートを用いるのが好ましい。
共重合することが可能な公知の酸成分としては、例えば、2価以上の炭素数8〜22の芳香族カルボン酸、2価以上の炭素数4〜12の脂肪族カルボン酸、さらには、2価以上の炭素数8〜15の脂環式カルボン酸、およびエステル形成能を有するこれらの誘導体が挙げられる。上記共重合することが可能な酸成分の具体例としては、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ビス(p−カルボジフェニル)メタンアントラセンジカルボン酸、4−4’−ジフェニルカルボン酸、1,2−ビス(フェノキシ)エタン−4,4’−ジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカンジオン酸、マレイン酸、トリメシン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸およびエステル形成能を有するこれらの誘導体が挙げられる。これらは、単独あるいは2種以上を併用して用いることができる。
共重合することが可能なアルコール成分および/またはフェノール成分としては、例えば、2価以上の炭素数2〜15の脂肪族アルコール、2価以上の炭素数6〜20の脂環式アルコール、炭素数6〜40の2価以上の芳香族アルコール、または、フェノールおよびエステル形成能を有するこれらの誘導体が挙げられる。具体的には、エチレングリコール、プロパンジオール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、デカンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール、シクロヘキサンジオール、2,2’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2’−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン、ハイドロキノン、グリセリン、ペンタエリスリトールなどの化合物、およびエステル形成能を有するこれらの誘導体、ε−カプロラクトン等の環状エステルが挙げられる。
共重合することが可能なポリアルキレングリコール成分としては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールおよび、これらのランダムまたはブロック共重合体、ビスフェノール化合物のアルキレングリコール(ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、およびこれらのランダムまたはブロック共重合体等)付加物等の変性ポリオキシアルキレングリコール等が挙げられる。
このようなポリエステル系共重合体樹脂の中でもポリエステル樹脂材料と、ポリアルキレングリコール成分との共重合体が好ましく、より具体的にはポリエステル系樹脂と、ポリテトラメチレングリコールとの共重合体、もっと具体的にはポリブチレンテレフタレート樹脂とポリテトラメチレングリコールとの共重合体が好ましい。
熱可塑性樹脂組成物は、上記ポリエステル樹脂以外の熱可塑性樹脂を含んでもよい。熱可塑性樹脂は、結晶性熱可塑性樹脂または非結晶性熱可塑性樹脂を特に限定するものではない。上記特定の高次構造を形成しやすいという観点から、結晶性熱可塑性樹脂であることが好ましい。これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
熱可塑性樹脂組成物は、その他の成分として、酸化防止剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、帯電防止剤、染料および顔料等着色剤、安定剤等の添加剤、フッ素樹脂、シリコンゴム等の耐衝撃性付与剤、酸化チタン、炭酸カルシウム、タルク等の無機充填剤を含有させてもよい。
熱可塑性樹脂組成物全量100質量%に対するTi元素の含有量は、例えば60×10−4質量%以上90×10−4質量%以下であることが好ましく、65×10−4質量%以上80×10−4質量%以下であることが更に好ましい。
なお、Ti元素の含有量は、例えば、以下の方法で測定することができる。
本実施形態に係る離型フィルムから離型層を剥離し、剥離した離型層を粉砕機で粉砕することで粉末を得る。得られた粉末を酸素雰囲気下で加熱加圧分解した後、分解液をICP−MS(誘導結合プラズマ質量分析装置、メーカー:Agilent Technology、グレード:7500型)に導入して、元素の定量分析を行う。
熱可塑性樹脂組成物全量100質量%に対するTi元素の含有量をX(質量%)とし、熱可塑性樹脂組成物全量に対するK(質量%)元素の含有量をYとした時、X/Yの値の下限値が1以上であり、1.5以上であることが好ましく、2以上であることが更に好ましい。これにより、上記特定の高次構造が、好適に極性官能基を取り込む。したがって、離型フィルムの離型性が向上することができる。
また、X/Yの値の上限値が15以下であり、14以下であることが好ましく、13以下であることが更に好ましい。これにより、上記特定の高次構造が好適な高次構造サイズとなる。したがって、離型フィルムの追従性を向上することができる。
上記離型フィルム中の離型層におけるガラス転移温度(Tg)は、例えば、40.0℃〜60.0℃、好ましくは41.5℃〜55.0℃、より好ましくは42.5℃〜50.0℃である。このような数値範囲内とすることにより、成形性等を高めることができる。
本実施形態における離型フィルムは、少なくとも一方の面に、離型層を有するものであればよいが、離型層と、上記離型層とは異なる他の層とを含む多層構造を形成しているものであってもよい。
具体的には、離型フィルムは、用途によっては、離型フィルムは、離型層に接するクッション層をさらに有していてもよく、離型フィルムは、離型層、クッション層、及び副離型層の順で積層した多層構造としてもよい。これらの中でも、離型層、クッション層、及び副離型層の順で積層した多層構造とするのが好ましい。これにより、離型フィルムの両面に離型層または副離型層を有することで、成形体及び金型における離型性の低下を抑制できる。さらに、クッション層を有することで、圧力の不均一をなくし、追従性、成形性を向上させることができる。
クッション層は、柔軟性を有する樹脂組成物からなる層である。これにより、離型フィルム使用時において、被着体に対して、プレス熱板からの熱及び圧力が均等に伝わりやすくなり、離型フィルムと被着体との密着性及び追従性をさらに良好にできる。
クッション層を形成する樹脂組成物としては、ポリエチレン、ポリプロプレン等のα−オレフィン系重合体、エチレン、プロピレン、ブテン、ペンテン、ヘキセン、メチルペンテン等を重合体成分として有するα−オレフィン系共重合体、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルフィド等のエンジニアリングプラスチックス系樹脂が挙げられる。これらは、単独であるいは複数併用しても構わない。中でも、α−オレフィン系共重合体が好ましい。このα−オレフィン系共重合体としては、エチレン等のα−オレフィンと(メタ)アクリル酸エステルとの共重合体、エチレンと酢酸ビニルとの共重合体、エチレンと(メタ)アクリル酸との共重合体、およびそれらの部分イオン架橋物等が挙げられる。さらに、良好なクッション機能を得る観点から、エチレン等のα−オレフィン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体を単独で用いたもの、または、ポリブチレンテレフタレートと1,4シクロヘキサンジメタノール共重合ポリエチレンテレフタレートとの混合物、α−オレフィン系重合体とエチレン等のα−オレフィン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体との混合物が好ましい。たとえば、エチレンとエチレン−メチルメタクリレート共重合体(EMMA)との混合物、ポリプロピレン(PP)とエチレン−メチルメタクリレート共重合体(EMMA)との混合物、ポリブチレンテレフタレート(PBT)とポリプロピレン(PP)とエチレン−メチルメタクリレート共重合体(EMMA)との混合物、などがより好ましい。
クッション層は、さらにゴム成分を含んでもよい。ゴム成分としては、例えば、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体等のスチレン系熱可塑性エラストマー、オレフィン系熱可塑性エラストマー、アミド系エラストマー、ポリエステル系エラストマー等の熱可塑性エラストマー材料、天然ゴム、イソプレンゴム、クロロプレンゴム、シリコンゴム等のゴム材料等が挙げられる。
クッション層には、酸化防止剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、帯電防止剤、染料および顔料等の着色剤、安定剤等の添加剤、フッ素樹脂、シリコンゴム等の耐衝撃性付与剤、酸化チタン、炭酸カルシウム、タルク等の無機充填剤を含有させてもよい。
なお、クッション層を形成する方法としては、例えば、空冷または水冷インフレーション押出法、Tダイ押出法等の公知の方法が挙げられる。
クッション層の厚さは、特に限定されない。クッション層の厚さの下限値としては、20μm以上であることが好ましく、40μm以上であることがより好ましく、50μm以上であることがさらに好ましい。これにより、離型フィルムの圧力を均一に分散させることができる。また、クッション層の厚さの上限値としては、100μm以下であることが好ましく、90μm以下であることがより好ましく、80μm以下であることがさらに好ましい。これにより、離型性の低下を抑制することができる。
副離型層は、離型層と同様の上記熱可塑性樹脂組成物からなる副離型層とすることができる。離型フィルムを使用する際に対象物と接する面を有する方を離型層と言い、それ以外の面を副離型層と言う。
このような副離型層を有することにより、プレス機で熱プレスされた際に、熱板からの離型性が向上し、成形体やFPC等の積層体の製造における生産性を向上させることができる。複数の離型層は、ポリエステル樹脂を含む材料であれば、同じ材料から形成されたものであってもよく、異なる材料から形成されたものであってもよい。また、複数の離型層は、互いに異なる厚みであってもよい。
<離型フィルムの製造方法>
本実施形態に係る離型フィルムの製造方法は、特に限定されないが、熱可塑性樹脂組成物を成形し、離型層を形成する成形工程と、次いで、離型層を加圧することなく加熱するエージング工程とを含む。
また、離型フィルムが多層構造であった場合、エージング工程に次いで、離型層と、その他の層を積層する積層工程とを含む。
成形工程は、特に限定されるものではなく、公知の方法によって、離型層を形成することができる。公知の方法として、具体的には、空冷または水冷インフレーション押出法、Tダイ押出法等が挙げられる。
上記成形工程に次いで、エージング工程を行うことが好ましい。エージング工程は、離型層を加圧することなく加熱することによって行われる。エージング工程の条件は、例えば、10秒(sec)〜1時間(hour)、150℃〜200℃の範囲とすることが後述の高次構造を形成するうえで好ましい。加圧することなく加熱する具体的な方法としては、例えば、熱風乾燥機を用いる方法が挙げられる。これにより、詳細なメカニズムは定かではないが、熱履歴を解消し、離型フィルムのポリエステル樹脂の分子鎖と、K元素及びTi元素とが相互作用することで、特定の高次構造を形成すると推測される。この特定の高次構造を形成することにより、積層工程後の離型層おいて、Ti/Kの値を所望の数値範囲に制御することができる。これは、下記積層工程の前に高次構造を形成することによって、積層工程においてTi元素及びK元素が低減するのを抑制できるためと推測される。また、積層工程後の離型層表面では、Ti/Kの値を所望の数値範囲に制御することによって、ポリエステル末端のカルボキシル基に由来する、極性を制御できると推測される。
離型フィルムが多層構造であった場合、離型層のエージング工程に次いで、離型層と、その他の層を積層する積層工程を含む。
以下では、離型フィルムが離型層と、クッション層と、副離型層をこの順に積層した多層構造である場合を一例に説明する。
離型フィルムが離型層と、クッション層と、副離型層をこの順に積層した多層構造である場合、離型層と、クッション層と、副離型層を含む。積層工程は、特に限定されるものではなく、離型層と、クッション層と、副離型層とをこの順番で積層し、一体化させることができればよい。また、積層工程では、離型層を加圧することを制限するものではない。詳細なメカニズムは定かではないが、上記エージング工程において、離型フィルムのポリエステル樹脂の分子鎖と、K元素及びTi元素とが上記特定の高次構造を形成すれば、積層工程において加圧しても該高次構造が保たれると推測される。
積層工程は、上記エージング工程を行うことを前提として、例えば、共押出法、押出ラミネート法、ドライラミネート法、インフレーション法等公知の方法を用いて製造することができる。また、離型フィルムが多層構造の場合、離型層、クッション層の各層を、別々に製造してからラミネーター等により接合してもよく、空冷式または水冷式共押出インフレーション法、共押出Tダイ法で製造することができる。
なお、離型層及びクッション層を接合する方法、クッション層及び副離型層を接合する方法は特に限定されず、そのまま接合してもよいし、接着層を介して接合してもよい。
以下、本発明を実施例および比較例により説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[離型フィルムの作製]
<実施例1>
離型層を形成する熱可塑性樹脂組成物として、ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂(ウィンテックポリマー社製、ジュラネックス2002)を用いた。また、クッション層を形成する材料として、ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂(ウィンテックポリマー社製、ジュラネックス2002)30重量部、変性ポリエチレン樹脂(エチレン―メチルメタクリレート共重合体(EMMA)樹脂)(住友化学社製、WD201−F)70重量部を含む樹脂組成物を用いた。また、副離型層を形成する材料として、離型層と同様にポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂(ウィンテックポリマー社製、ジュラネックス2002)を用いた。
まず、それぞれの材料を用いて、離型層、クッション層、副離型層を、押出Tダイ法によって、それぞれの厚さが30μm、60μm、30μmとなるように成形する成形工程を行った。
次いで、得られた離型層について、180℃、10minの条件で、遠赤外線アニール炉(Noritake社製、LF−AN2−104)を用いて、加圧することなく加熱するエージング工程を行い、離型層と、クッション層と、副離型層をプレス機で加熱、加圧し、積層し、離型フィルムを得た。
<実施例2>
離型層、クッション層、副離型層を形成する材料は、実施例1と同様のものを用いた。
まず、それぞれの材料を用いて、離型層、クッション層、副離型層を、押出Tダイ法によって、それぞれの厚さが25μm、70μm、25μmとなるように成形する成形工程を行った。
次いで、得られた離型層について、180℃、3minの条件で、遠赤外線アニール炉(Noritake社製、LF−AN2−104)を用いて、加圧することなく加熱するエージング工程を行い、実施例1と同様にして積層し、離型フィルムを得た。
<比較例1>
ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂として、長春石油化学社製の1100−211Xを用いた以外は、離型層、クッション層、副離型層を形成する材料は、実施例1と同様のものを用いた。
まず、それぞれの材料を用いて、離型層、クッション層、副離型層を、押出Tダイ法によって、それぞれの厚さが25μm、70μm、25μmとなるように成形する成形工程を行った。
次いで、得られた離型層について、180℃、10minの条件で、遠赤外線アニール炉(Noritake社製、LF−AN2−104)を用いて、加圧することなく加熱するエージング工程を行い、実施例1と同様にして積層し、離型フィルムを得た。
<比較例2>
エージング工程が無い点以外は、実施例1と同様にして、離型フィルムを得た。
Figure 0006904297
<評価>
得られた離型フィルムについて、以下の評価項目に基づいて評価を行った。評価結果を表1に示す。
・元素分析:離型フィルムから離型層を剥離し、剥離した離型層を粉砕機で粉砕することで粉末を得る。得られた粉末を酸雰囲気下で加熱加圧分解した後、分解液をICP−MS(誘導結合プラズマ質量分析装置、メーカー:Agilent Technology、グレード:7500型)に導入して、元素(Ti、K)の定量分析を行った。
・Rz(10点平均表面粗さ):JIS−B0601−1994に準拠して評価した。
・Tg(ガラス転移温度):離型フィルムから離型層を剥離し、剥離した離型層について、荷重3mN、昇温速度5度/分の条件下、TMA6000(セイコーインスツル株式会社製)を用いて引張モードで測定し、得られたチャートの変曲点より求めた。
・離型性:離型フィルムの離型面に有沢製作所社製のCL(CMタイプ)の接着剤面を貼り合わせ、185℃×5分×3MPaで熱プレスを行い、引っ張り試験機(エーアンドデイ社製Force gauge AD−4932A−50N)を用いて、180°方向に約1000mm/分の速度で、離型面とCL接着剤間の剥離力を測定した。測定はプレス直後に実施し、以下の基準に基づいて離型性を評価した。
○:剥離可能
△:実用上問題ない程度に剥離可能であるが、剥離がやや重い
×:剥離が重くフィルムもしくはCLが破断する
・追従性(仕上がり外観シワ):JPCA規格の「6.3.2.4項 折れ、しわ」に準拠して測定した。
○:シワ発生率 1.5%未満
△:シワ発生率 1.5%以上2.0%未満
×:シワ発生率 2.0%以上
・成形性:幅100μm、深さ50μmの溝が形成された回路露出フィルムの表面に対し、有沢製作所社製のCL(CMタイプ、厚み40um)を重ね、次いで、離型フィルムを更に設置し、185℃、3MPaで5分間加熱圧縮して成形した。すなわち、金型、離型フィルム、成形材料、離型フィルム、金型の順で、積層し、加熱圧縮成形を行った。その後、30℃まで冷却して成形品を金型から取り出した。この成形品の外観を光学顕微鏡で観察し、成形性を評価した。
○:長さ0.3mm以上のボイドの数が0個
△:長さ0.3mm以上のボイドの数が1〜4個
×:長さ0.3mm以上のボイドの数が5個以上
実施例1、2のいずれの離型フィルムも、成形性が○であった。
実施例1、2の離型フィルムは、いずれも、比較例1、2と比べて、離型性、追従性のバランスに優れていることが分かった。また、実施例1、2の離型フィルムは、良好な成形性を発揮することが分かった。

Claims (5)

  1. 少なくとも一方の面に熱可塑性樹脂組成物からなる離型層を有する離型フィルムであって、
    前記熱可塑性樹脂組成物はポリエステル樹脂を含み、
    前記離型層、クッション層、及び副離型層がこの順に積層してなる多層構造を備え、
    前記クッション層が、α−オレフィン系重合体を含み、
    前記熱可塑性樹脂組成物全量に対するTi元素の含有量をXとし、前記熱可塑性樹脂組成物全量に対するK元素の含有量をYとした時、X/Yの値が1以上15以下である、離型フィルム。
  2. 請求項1に記載の離型フィルムであって、
    前記熱可塑性樹脂組成物全量に対するTi元素の含有量が、60×10−4質量%以上90×10−4質量%以下である、離型フィルム。
  3. 請求項1または2に記載の離型フィルムであって、
    前記ポリエステル樹脂が、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)、ポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT)、ポリトリメチレンテレフタレート樹脂(PTT)、ポリヘキサメチレンテレフタレート樹脂(PHT)からなる群より選択される1種以上を含む、離型フィルム。
  4. 請求項1から3のいずれか1項に記載の離型フィルムであって、
    JIS−B0601−1994に準拠して測定される、前記離型層の離型面の表面10点平均粗さRzが、1μm以上20μm以下である、離型フィルム。
  5. 請求項1から4のいずれか1項に記載の離型フィルムであって、
    厚みが50μm以上150μm以下である、離型フィルム。
JP2018061558A 2018-03-28 2018-03-28 離型フィルム Active JP6904297B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018061558A JP6904297B2 (ja) 2018-03-28 2018-03-28 離型フィルム

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018061558A JP6904297B2 (ja) 2018-03-28 2018-03-28 離型フィルム

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2019171652A JP2019171652A (ja) 2019-10-10
JP6904297B2 true JP6904297B2 (ja) 2021-07-14

Family

ID=68168056

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2018061558A Active JP6904297B2 (ja) 2018-03-28 2018-03-28 離型フィルム

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6904297B2 (ja)

Family Cites Families (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6545081B1 (en) * 1998-12-09 2003-04-08 Kureha Kagaku Kogyo K.K. Synthetic resin composition
JP2007015170A (ja) * 2005-07-06 2007-01-25 Mitsubishi Engineering Plastics Corp ポリブチレンテレフタレートラミネート紙、およびそれを用いた紙製容器
JP5205830B2 (ja) * 2007-06-18 2013-06-05 東レ株式会社 ポリエステル樹脂組成物の製造方法
JP2015202662A (ja) * 2014-04-16 2015-11-16 住友ベークライト株式会社 離型フィルムの製造方法
JP6946950B2 (ja) * 2017-11-08 2021-10-13 東レ株式会社 ポリエステル樹脂組成物及びその製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2019171652A (ja) 2019-10-10

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5804141B1 (ja) 離型フィルム
JP6391554B2 (ja) 離型フィルム
JP4826196B2 (ja) 離型フィルムおよび回路基板の製造方法
JP6500418B2 (ja) 離型フィルム
TWI540051B (zh) Release film
JP6554795B2 (ja) 離型フィルムおよびフレキシブルプリント回路基板の作製方法
JP5862740B1 (ja) 離型フィルムおよび離型フィルムの使用方法
JP6299933B2 (ja) プリント回路基板製造用離型フィルムおよび成型品の製造方法
JP2011088352A (ja) 離型フィルム
JP2006148081A (ja) 離型フィルムおよび回路基板の製造方法
JP6863523B2 (ja) 離型フィルムおよび成型品の製造方法
JP2007224311A (ja) 離型フィルム
JP2016168688A (ja) 離型フィルム
JP2011088351A (ja) 離型フィルム
JP4099355B2 (ja) シート
JP4436803B2 (ja) 離型フィルム
JP6481396B2 (ja) 離型フィルム
JP6904297B2 (ja) 離型フィルム
JP2010194841A (ja) 離型フィルム及びその製造方法
JP2011005664A (ja) 離型フィルムおよびその製造方法
JP2010209208A (ja) 離型フィルムおよびその製造方法
JP2022130444A (ja) 蓄電デバイス用外装材、その製造方法、及び蓄電デバイス
JP2008254348A (ja) 金属板被覆用積層シートおよび積層シート被覆金属板
JP2010143202A (ja) 表皮材用積層ポリエステルフィルムおよびこれを用いた触感が改善された複合成型体
KR102137559B1 (ko) 화장판용 수지 필름, 화장판의 제조 방법 및 화장판

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20201217

A871 Explanation of circumstances concerning accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A871

Effective date: 20201217

A975 Report on accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971005

Effective date: 20210216

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20210224

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20210325

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20210525

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20210607

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 6904297

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151