JP2010194841A - 離型フィルム及びその製造方法 - Google Patents

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伸浩 森
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雅弘 土谷
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Abstract

【課題】 高温での柔軟性、耐熱性、離型性、非汚染性に優れ、かつ、ポリブチレンテレフタレートの融点近傍であっても離型性が劣ることがなく、加熱されても、しわが生じにくい離型フィルムの提供。
【解決手段】 ポリブチレンテレフタレート樹脂50〜95重量%とポリカーボネート樹脂50〜5重量%とを含有する混合樹脂組成物から形成された離型層を少なくとも有し、かつ、特定の物性を満たすことを特徴とする離型フィルム及びその製造方法による。
【選択図】 なし

Description

本発明は、離型フィルム及びその製造方法に関し、詳しくは、高温での柔軟性、耐熱性、離型性、非汚染性に優れ、かつ、ポリブチレンテレフタレートの融点近傍であっても離型性が劣ることがなく、加熱されても、しわが生じにくい離型フィルム及びその製造方法に関するものである。
プリント配線基板、フレキシブルプリント配線基板、多層プリント配線板等の製造工程において、プリプレグ又は耐熱フィルムを介して銅張積層板又は銅箔を熱プレスする際に離型フィルムが使用されている。フレキシブルプリント基板の製造工程においては、電気回路を形成したフレキシブルプリント基板本体に、熱硬化型接着剤又は熱硬化性接着シートによってカバーレイフィルム又は補強板を熱プレス接着する際に、接着剤がはみ出して他の部分と接着するのを防止するために、離型フィルムを用いる方法が広く行われている。
これらの用途に用いられる離型フィルムとしては、特許文献1や特許文献2に開示されているような、フッ素系フィルム、シリコン塗布ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリプロピレンフィルム等が用いられてきた。
しかし、従来から離型フィルムとして用いられているフッ素系フィルム、シリコン塗布ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリメチルペンテンフィルムなどは、フッ素、シリコン、その他の構成成分に含まれる低分子量体の移行によってプリント配線基板、とりわけ銅回路の汚染を引き起こし、品質を損なうおそれがあった。ポリプロピレンフィルムは耐熱性に劣り離型性が不充分であった。
特許文献3には、少なくともベースフィルムの片面に熱可塑性樹脂層を備えた離型性フィルムであって、前記ベースフィルムがポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアセタール、ポリカーボネート等から選ばれる一つ以上の樹脂を含む離型性フィルムが記載されている。
近年、プリント配線基板等の製造においては、生産性を高めるために急激な加熱が行われるようになり、離型フィルムにシワが発生し、そのシワがプリント基板等に転写し不良品率が高くなるという問題がある。
特開平2−175247号公報 特開平5−283862号公報 特開2005−212428号公報
本発明の目的は、上記した従来技術の問題点に鑑み、急激に加熱されても、しわが生じにくい離型フィルム及びその製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、ポリブチレンテレフタレート樹脂とポリカーボネート樹脂とを特定量含有する混合樹脂組成物から形成された離型層を少なくとも有する離型フィルムを調製したところ、加熱されても、しわが生じ難く、離型性に優れ、かつ離型層の破れが生じ難い離型フィルムとなることを見出した。それらの知見に、さらに検討を重ね、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の第1の発明によれば、プリント配線板の製造時に用いる離型フィルムであって、
ポリブチレンテレフタレート樹脂50〜95重量%とポリカーボネート樹脂50〜5重量%とを含有する混合樹脂組成物から形成された離型層を少なくとも有し、かつ、以下の(イ)〜(ハ)の物性を満たすことを特徴とする離型フィルムが提供される。
(イ):前記離型層同士を190℃、3MPaの条件で30分間圧着させたときに、ASTM D1893に準拠する方法により測定したブロッキング力が0.1N/cm以下である。
(ロ):前記離型フィルムの表面に、押出成形の方向(MD方向)及びそれに対して直角方向(TD方向)に100mm間隔の標線をそれぞれ記入し、190℃、荷重3MPaで60分間プレスを行った後に、常温で測定した押出成形の方向の寸法変化率及び押出成形の方向に対して直角方向の寸法変化率が、下記式(1)及び式(2)を同時に満たす。
{(LMD−100)/100}×100≦1.0(%)……(1)
{(LTD−100)/100}×100≦1.0(%)……(2)
[式中、LMDはMD方向で標線間距離の測定を32セット行った時の平均値、LTDはTD方向で標線間距離の測定を32セット行った時の平均値を表す]
(ハ):粘弾性スペクトロメーターを用い、190℃において、昇温速度5℃/分、周波数10Hz、ひずみ0.05%で測定を行った時の前記離型フィルムの貯蔵弾性率が、20〜200MPaである。
また、本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、離型層以外に、さらに追従層を有することを特徴とする離型フィルムが提供される。
また、本発明の第3の発明によれば、第2の発明において、前記追従層は、示差走査熱量計による融解ピーク温度である融点が50〜130℃の範囲にある樹脂を主成分とする樹脂組成物からなることを特徴とする離型フィルムが提供される。
また、本発明の第4の発明によれば、第2又は3の発明において、前記追従層は、低密度ポリエチレン樹脂からなることを特徴とする離型フィルムが提供される。
また、本発明の第5の発明によれば、ポリブチレンテレフタレート樹脂50〜95重量%とポリカーボネート樹脂50〜5重量%とを含有する混合樹脂組成物をTダイより溶融押出成形した後、120〜200℃にて熱処理を行なうことにより離型層を形成させることを特徴とする第1〜4のいずれかの発明の離型フィルムの製造方法が提供される。
また、本発明の第6の発明によれば、ポリブチレンテレフタレート樹脂50〜95重量%とポリカーボネート樹脂50〜5重量%とを含有する混合樹脂組成物および追従層原料をTダイより溶融共押出成形した後、120〜200℃にて熱処理を行なうことにより離型層と追従層を形成させることを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載の離型フィルムの製造方法が提供される。
本発明の離型フィルム及びその製造方法によれば、第1の発明においては、プリント配線板の製造時に用いられる離型フィルムが、ポリブチレンテレフタレート樹脂とポリカーボネート樹脂とをそれぞれ特定量含有する混合樹脂組成物から形成され、特定の物性を満たすことを特徴とする離型フィルムであるので、加熱されても、しわが生じ難く、離型性に優れ、電気回路を形成したフレキシブルプリント基板本体に、熱硬化型接着剤又は熱硬化性接着シートによってカバーレイフィルム又は補強板を熱プレス接着する際などにおいて離型フィルムの破れが生じ難く、追従性にも優れるという効果がある。
また、第5の発明においては、ポリブチレンテレフタレート樹脂とポリカーボネート樹脂とをそれぞれ特定量含有する混合樹脂組成物をTダイより溶融押出成形した後、120〜200℃にて熱処理を行なうことにより離型層を形成させることを特徴とする離型フィルムの製造方法であるので、加熱されても、しわが生じ難く、離型性に優れ、電気回路を形成したフレキシブルプリント基板本体に、熱硬化型接着剤又は熱硬化性接着シートによってカバーレイフィルム又は補強板を熱プレス接着する際などにおいて離型フィルムの破れが生じ難く、追従性にも優れる離型フィルムを製造することができるという効果がある。
以下、本発明の離型フィルム及びその製造方法等について、各項目ごとに詳細に説明する。
1.離型フィルムの構成
(1)離型層
本発明の離型層を構成する混合樹脂組成物は、ポリブチレンテレフタレート樹脂とポリカーボネート樹脂との両者を含有することが必要である。
本発明に用いられるポリブチレンテレフタレート樹脂としては、特に限定するものではなく、一般に用いられているものを使用することができる。なお、本発明において、ポリブチレンテレフタレート樹脂とは、ポリブチレンテレフタレート単独の樹脂の他に、ポリブチレンテレフタレートと、ポリエーテルやポリエステル等との共重合体などが挙げられる。具体例としては、ポリブチレンテレフタレートと脂肪族ポリエーテルのブロック共重合体、ポリブチレンテレフタレートと脂肪族ポリエステルのブロック共重合体等が挙げられる。耐熱性及び離型性、基板凹凸への追従性とのバランスの理由から、ポリブチレンテレフタレート樹脂にポリブチレンテレフタレートと脂肪族ポリエーテルからなるポリエステルとの共重合体樹脂を混合したものが好ましい。耐熱性及び離型性、基板凹凸への追従性とのバランスの理由から、ポリブチレンテレフタレート樹脂にポリブチレンテレフタレートと脂肪族ポリエーテルのブロック共重合体樹脂を混合したものが好ましい。
フィルム成膜性の観点から、メルトボリュームフローレートが30cm/10min以下であることが好ましい。より好ましくは20cm/10min以下である。上記測定はISO1133に従って測定することができる。なお、測定温度は250℃、荷重2.16kgである。
市販されているものとしては、「ペルプレン(登録商標)」(東洋紡績株式会社製)、「ハイトレル(登録商標)」(東レ・デュポン株式会社製)、「ジュラネックス(登録商標)」(ポリプラスチック株式会社)、「ノバデュラン(登録商標)」(三菱エンジニアリングプラスチック株式会社)等を好適に用いることができる。
本発明に用いられるポリカーボネート樹脂としては、特に限定するものではなく、一般に用いられているものを使用することができる。具体例としては、ビスフェノールAとホスゲン等から重合されるポリカーボネート樹脂単独の他、芳香族または脂肪族の二官能性カルボン酸との共重合体、三官能以上の多官能性芳香族化合物との共重合体であってもよく、ポリカーボネート樹脂の2種以上の混合体等が挙げられる。
フィルム成膜性の観点から、メルトボリュームフローレートが40cm/10min以下であることが好ましい。より好ましくは30cm/10min以下である。上記測定はISO1133に従って測定することができる。なお、測定温度は300℃、荷重1.2kgである。
市販されているポリカーボネート樹脂としては、「カリバー(登録商標)」(住友ダウ株式会社製)、「タフロン(登録商標)」(出光興産株式会社)、「ユーピロン/ノバレックス(登録商標)」(三菱エンジニアリングプラスチック株式会社)、「パンライト(登録商標)」(帝人化成株式会社)等を好適に用いることができる。
ポリブチレンテレフタレート樹脂およびポリカーボネート樹脂の混合比は、混合樹脂組成物全体の重量を基準として、ポリブチレンテレフタレート樹脂が50〜95重量%でありポリカーボネート樹脂が50〜5重量%であることが好ましい。より好ましくは、ポリブチレンテレフタレート樹脂が60〜90重量%でありポリカーボネート樹脂が40〜10重量%である。さらに好ましくは、ポリブチレンテレフタレート樹脂が70〜85重量%でありポリカーボネート樹脂が30〜15重量%である。
ポリブチレンテレフタレート樹脂が50重量%以上であると、汚染性が少なく、追従性が良く、離型性が良いため好ましい。
ポリカーボネート樹脂が5重量%以上であると、シワの発生が生じ難くなるため好ましい。
本発明の離型層を構成する混合樹脂組成物は、実用性を損なわない範囲で、無機充填剤、難燃剤、紫外線吸収剤、熱劣化防止剤、酸化防止剤、帯電防止剤、顔料等の添加剤を含有してもよい。
上記無機充填剤としては特に限定されず、例えば、炭酸カルシウム、酸化チタン、水酸化アルミニウム、タルク、マイカ等が挙げられる。
離型層は、単層構造であってもよく、多層構造であってもよい。離型層が多層構造である場合、ポリブチレンテレフタレート樹脂とポリカーボネート樹脂とを含有する混合樹脂組成物から形成される層を表層とし、高温での柔軟性に優れかつ上記表層との界面接着性に優れた樹脂組成物、例えば、テレフタル酸ブタンジオールポリテトラメチレングリコール共重合体、ポリエチレン−1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート等の非晶性ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド−ポリテトラメチレングリコール共重合体、又は、スチレン系熱可塑性エラストマーを中層とすることにより、プレス成形時の離型性を維持しながら柔軟性を付与することができ、離型性と、回路パターンやスルーホール等の基板上の凹凸形状への追従性とのバランスが非常に優れた離型フィルムを得ることができる。
上記離型層の表面は、平滑性を有することが好ましいが、ハンドリングに必要なスリップ性、アンチブロッキング性等が付与されていてもよい。また、熱プレス成形時に空気を巻き込まないように、少なくとも片面に適度のエンボス模様が設けられてもよい。
(2)追従層
本発明の離型フィルムは、上記離型層のみからなるものであってもよいが、上記離型層の他に、追従層を有していることが好ましい。追従層が上記離型層の少なくとも片面に積層された本発明の離型フィルムは、熱プレス成形の際に圧力を均一にかけるためのクッション性や強度を有する。
上記追従層を構成する樹脂としては、特に限定されないが、前記樹脂の融点は、プリプレグや熱硬化性接着剤のスルーホールへのしみだしを抑制し、回路パターンへの均一な密着性を得るため、示差走査熱量計による融解ピーク温度である融点が50〜130℃の範囲にある樹脂を主成分とする樹脂組成物であることが好ましい。なお、前記融点は、「DSC 2920」(TAインスツルメント製)等の示差走査熱量計を用い、昇温速度5℃毎分で測定を行った値である。
上記追従層を構成する樹脂は、使用後の廃棄の容易さから、例えば、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、エチレン−メチルメタクリレート共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のオレフィン系樹脂が好ましい。より好ましくは、融点の低さ及び柔軟であることから、低密度ポリエチレン樹脂が好ましい。これらは単独で用いられてもよく、2種類以上が併用されてもよい。上記離型層との接着性を向上させるために、酸変性ポリオレフィン、グリシジル変性ポリオレフィン等の変性ポリオレフィンや、上記離型層を構成する樹脂等を含有してもよい。
2.離型フィルムの製造方法
本発明の離型フィルムは、任意の製法で製造することができる。望ましくは、上述した混合樹脂組成物を溶融押出成形法でTダイより押出成形して得ることが出来る。溶融押出成形法としては特に限定されず、例えば、空冷又は水冷インフレーション押出法、Tダイ押出法等の従来公知の熱可塑性樹脂フィルムの成膜方法があげられる。上記離型層が多層構造を有する場合には、例えば、共押出Tダイ法等により製造することができる。更に、溶融成形法により得られたフィルム状成形体に以下に詳述する熱処理又は摩擦処理を施すことにより、特に高い離型性を実現した離型層を得ることができる。
上記熱処理の方法としては特に限定されないが、例えば、一定の処理温度に加熱したロールの間を通過させる方法が、溶融成形法からの連続的な工程で処理を行えることから好ましい。
120〜200℃にて、好ましくは、130〜190℃にて熱処理を行なうことにより離型層を形成させて製造することができる。より好ましい下限は170℃、より好ましい上限は180℃である。120℃以上であるとシワ抑制及び離型性の効果が得られる。一方200℃以下であると離型層が軟化して寸法変化を起こす恐れが少なく、追従層が溶融する恐れも少ない。120℃未満であると、熱処理による効果を発現させることができず、200℃を超えると、熱処理時に離型層が変形しやすくなり、製造できないことがある。離型フィルムを成形後、ほぼ常温となった後に、上述の熱処理を行っても良い。
本発明の離型層と追従層とを有する離型フィルムは、溶融共押出Tダイ法で製膜する方法;予め作製した上記離型層上に追従層を構成する樹脂組成物を押出ラミネーション法にて積層する方法;予め別々に作製した上記離型層と追従層層等とをドライラミネーションする方法等が挙げられる。なかでも、溶融共押出Tダイ法で製膜する方法が各層の厚み制御に優れる点から好ましい。
上記離型層の離型性の向上には、摩擦処理を施すことも有効である。摩擦処理を施すことにより、離型性を向上させることができる。
上記摩擦処理の方法としては、特に限定されず、例えば、金属ロール等の回転物、ガーゼ等の布、ブラシなどを用いて上記離型層の表面を摩擦する方法が挙げられる。上記摩擦処理の摩擦の方向も特に限定されず、離型層の長手方向に平行又は垂直のいずれであってもかまわない。なお、上記摩擦処理において、摩擦処理の前後において離型層の表面粗さが変化するほどの摩擦を加える必要はない。
3.離型フィルムの物性
上記離型層を少なくとも有する本発明の離型フィルムは、上述の構成からなることにより、極めて優れた機械的性能を発揮することができる。即ち、本発明の離型フィルムは、以下の(イ)〜(ハ)の物性を同時に満たす。
(イ)離型フィルムの離型層同士を190℃、3MPaの条件で30分間圧着させたときにASTM D1893に準拠する方法により測定したブロッキング力が0.01N/cm以下である。
(ロ)前記離型フィルムの表面に、押出成形の方向(MD方向)及びそれに対して直角方向(TD方向)に100mm間隔の標線をそれぞれ記入し、190℃、荷重3MPaで60分間プレスを行った後に、常温で測定した押出成形の方向の寸法変化率及び押出成形の方向に対して直角方向の寸法変化率が、下記式(1)及び式(2)を同時に満たす。
{(LMD−100)/100}×100≦1.0(%)……(1)
{(LTD−100)/100}×100≦1.0(%)……(2)
[式中、LMDはMD方向で標線間距離の測定を32セット行った時の平均値、LTDはTD方向で標線間距離の測定を32セット行った時の平均値を表す]
(ハ)離型フィルムは、通常熱プレスを行う190℃において、貯蔵弾性率が20〜200MPaである。上記貯蔵弾性率は、粘弾性スペクトロメーターを用い、昇温速度5℃/分、周波数10Hz、ひずみ0.05%で測定を行った時の値である。
(イ)ブロッキング力
本発明の離型フィルムは、上述のブロッキング力が0.1N/cm以下である。0.1N/cmより大きくなると熱プレス後に離型フィルムを剥がす際に大きな力が必要であったり、場合によっては回路を破壊したり可能性がある。
(ロ)寸法変化率
本発明の離型フィルムは、上記式(1)及び式(2)を同時に満たすような寸法変化率を有する。寸法変化率が1.0%以上の場合、熱プレス時にFPCの回路パターンを損なう可能性がある。フィルムの幅方向(以下TD)と長さ方向(以下MD)の寸法変化率が同方向・同程度であることが好ましい。一方(例えばMD)が収縮し、他方(例えばTD)が伸張するというように、縦横の寸法変化が異なる場合、熱プレス時に回路パターンを損なう可能性がある。
(ハ)貯蔵弾性率
本発明の離型フィルムは、上述の貯蔵弾性率が20MPa以上の場合、熱プレス成形ににおいてプリント基板の凹凸に追従するように変形しても、フィルムが破れる恐れが少ない。一方貯蔵弾性率が200MPa以下の場合、離型フィルムの剛性が低く、回路の凹凸に追従することが出来る。
離型層と追従層とを有する本発明の離型フィルムは、追従層の軟化温度が上述の範囲内であると、プリプレグや熱硬化性接着剤のスルーホールへのしみだしを抑制し、回路パターンへの均一な密着性を得ることができる。なお、上記軟化温度の測定はJIS K7196に準拠して行うことができる。
本発明の離型フィルムは、このような機械的性能を発揮できることにより、高温での柔軟性、耐熱性、離型性、非汚染性に優れ、かつ、ポリブチレンテレフタレートの融点近傍であっても離型性が劣ることがなく、加熱されても、しわが生じにくいため、プリント配線基板等の製造工程において用いる離型フィルムとして極めて好適である。
4.用途
本発明の離型フィルムは、高温での柔軟性、耐熱性、離型性、非汚染性に優れ、かつ、ポリブチレンテレフタレートの融点近傍であっても離型性が劣ることがなく、加熱されても、しわが生じにくい離型フィルムであるので、熱プレス時に寸法変化を抑えることができ、フレキシブルプリント配線基板又は多層プリント配線板に対してしわを発生させることなくプレスできる。これは、Tgが高いポリカーボネートを配合することによりTgを上げ、収縮率を下げることでしわなどの不良率を低減させることができたためであると考えられる。
従って、本発明の離型フィルムは、例えば、プリント配線基板、フレキシブルプリント配線基板又は多層プリント配線板の製造工程において、プリプレグ又は耐熱フィルムを介して銅張積層板又は銅箔を熱プレス成形する際に好適に用いることができる。また、フレキシブルプリント基板の製造工程において、熱プレス成形によりカバーレイフィルム又は補強板を熱硬化性接着剤又は熱硬化性接着シートで接着する際に好適に用いることができる。
更に、本発明の離型フィルムは、ガラスクロス、炭素繊維、又は、アラミド繊維とエポキシ樹脂とからなるプリプレグをオートクレーブ中で硬化させて製造される釣竿、ゴルフクラブ・シャフト等のスポーツ用品や航空機の部品を製造する際の離型フィルム、ポリウレタンフォーム、セラミックシート、電気絶縁板等を製造する際の離型フィルムとしても有用である。
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
なお、実施例で用いた測定方法は以下の通りである。
[測定方法]
実施例及び比較例で作製した離型フィルムについて、下記の方法によりブロッキング力、寸法変化率、及び貯蔵弾性率を測定した。
これらの離型フィルムを用いて以下の方法によりフレキシブルプリント基板の作製を行い、しわ、離型性、追従性、離型層破れと、作製後のフレキシブルプリント基板の回路破損、回路変形を目視により評価した。この際の評価基準は、以下に従った。
○:しわ、離型性、追従性、離型層破れに問題が確認できなかった。
△:しわ、離型性、追従性、離型層破れに微小な問題が確認された。
×:しわ、離型性、追従性、離型層破れに重大な問題が確認された。
−:評価しなかった。
(1)寸法変化率の測定
離型フィルムの表面に、押出成形の方向(MD方向)及びそれに対して直角方向(TD方向)に100mm間隔の標線をそれぞれ記入した。離型フィルムを190℃、荷重3MPaで60分間プレスを行った後、常温で標線間距離の測定を行い、32セットの平均値をLMD、LTDとした。下記式により各方向における寸法変化率を算出した。
MD方向の寸法変化率(%)={(LMD−100)/100}×100
TD方向の寸法変化率(%)={(LTD−100)/100}×100
(2)ブロッキング力の測定
離型層同士を190℃、3MPaの条件で30分間圧着させて試験片を得た。得られた試験片についてASTMD1893に準拠した方法により、23℃、試験速度200mm/分の条件で測定を行った。
(3)貯蔵弾性率の測定
粘弾性スペクトロメーター(レオメトリックサイエンティフィックエフイー社製、RSA−11)を用い、昇温速度5℃/分、周波数10Hz、ひずみ0.05%で測定を行い、190℃における貯蔵弾性率を測定した。
(4)フレキシブルプリント基板の作製
まず、低密度ポリエチレン樹脂(日本ポリケム社製:ノバテックLDLE425)を押出機で230℃に加熱して溶融可塑化し、Tダイスより押出成形して、厚さ100μmの樹脂フィルムを得た。次いで、厚さ25μmのポリイミドフィルム(デュポン製:カプトン)をベースフィルムとし、ベースフィルム上に厚さ35μmの銅箔が厚さ20μmのエポキシ系接着剤層で接着された銅張り積層板を得た。更に、厚さ25μmのポリイミドフィルム(デュポン社製:カプトン)上に、流動開始温度80℃のエポキシ系接着剤を厚さ20μmで塗布してカバーレイフィルムを得た。
得られた離型フィルム、銅張り積層板、カバーレイフィルム、離型フィルム、及び樹脂フィルムをこの順に重ね合わせたものを1セットとして、32セットを熱プレスに載置し、プレス温度190℃、プレス圧3MPa、プレス時間45分間の条件で熱プレス成形した後、プレス圧を開放し、樹脂フィルムを取り除き、離型フィルムを引き剥がして、フレキシブルプリント基板を得た。このときの剥離性、密着性と、作製後のフレキシブルプリント基板の回路破損、回路変形を目視により評価した。この際の評価基準は、以下に従った。
○:回路破損が確認できなかった。
△:微小な回路破損が確認された。
×:重大な回路破損が確認された。
[実施例及び比較例]
(実施例1)
混合樹脂組成物としてペルプレンP450B(東洋紡績社製)を70wt%、カリバー301−15(住友ダウ社製)を30wt%用い、押出機を用いて270℃で溶融可塑化しTダイスより押出成形した後、引き続き180℃に加熱した直径300mmの2本ロールの間をライン速度10m/分の速度で通過させて熱処理を行い、厚さ50μmの離型フィルムを得た。混合樹脂組成物の組成等を表1に示した。得られた離型フィルムの評価結果を表2に示した。
(実施例2)
混合樹脂組成物としてペルプレンP450B(東洋紡績社製)を90wt%、カリバー301−15(住友ダウ社製)を10wt%用いた以外は実施例1同様に成膜、熱処理を行い厚さ50umの離型フィルムを得た。混合樹脂組成物の組成等を表1に示した。得られた離型フィルムの評価結果を表2に示した。
(実施例3)
混合樹脂組成物としてペルプレンP450B(東洋紡績社製)を60wt%、カリバー301−15(住友ダウ社製)を40wt%用いた以外は実施例1同様に成膜、熱処理を行い厚さ50umの離型フィルムを得た。混合樹脂組成物の組成等を表1に示した。得られた離型フィルムの評価結果を表2に示した。
(比較例1)
混合樹脂組成物としてペルプレンP450B(東洋紡績社製)を98wt%、カリバー301−15(住友ダウ社製)を2wt%用いた以外は実施例1同様に成膜、熱処理を行い厚さ50umの離型フィルムを得た。混合樹脂組成物の組成等を表1に示した。得られた離型フィルムの評価結果を表2に示した。
(比較例2)
混合樹脂組成物としてペルプレンP450B(東洋紡績社製)を40wt%、カリバー301−15(住友ダウ社製)を60wt%用いた以外は実施例1同様に成膜、熱処理を行い厚さ50umの離型フィルムを得た。混合樹脂組成物の組成等を表1に示した。得られた離型フィルムの評価結果を表2に示した。
(実施例4)
熱処理温度を120℃とした以外は実施例1同様に成膜、熱処理を行い厚さ50umの離型フィルムを得た。混合樹脂組成物の組成等を表1に示した。得られた離型フィルムの評価結果を表2に示した。
(実施例5)
熱処理温度を200℃とした以外は実施例1同様に成膜、熱処理を行い厚さ50umの離型フィルムを得た。混合樹脂組成物の組成等を表1に示した。得られた離型フィルムの評価結果を表2に示した。
(比較例3)
熱処理温度を100℃とした以外は実施例1同様に成膜、熱処理を行い厚さ50umの離型フィルムを得た。混合樹脂組成物の組成等を表1に示した。得られた離型フィルムの評価結果を表2に示した。
(比較例4)
熱処理温度を210℃とした以外は実施例1同様に成膜、熱処理を行い厚さ50umの離型フィルムを得た。混合樹脂組成物の組成等を表1に示した。得られた離型フィルムの評価結果を表2に示した。
(比較例5)
混合樹脂組成物としてハイトレル2751(東レ・デュポン社製)を70wt%、カリバー301−15(住友ダウ社製)を30wt%用いた以外は実施例1同様に成膜、熱処理を行い厚さ50umの離型フィルムを得た。混合樹脂組成物の組成等を表1に示した。得られた離型フィルムの評価結果を表2に示した。
(実施例6)
離型層用の混合樹脂組成物としてペルプレンP450B(東洋紡績社製)を70wt%、カリバー301−15(住友ダウ社製)を30wt%用い、クッション層用のポリオレフィン系樹脂として直鎖状低密度ポリエチレンPF1140G(ダウ社製)を共押出成形機に投入し、Tダイスより共押出成形した後、引き続き180℃に加熱した直径300mmの2本ロールの間をライン速度10m/分の速度で通過させて熱処理を行い、離型層の厚さ20μm、追従層の厚さ80μmの多層離型フィルムを得た。混合樹脂組成物の組成等を表1に示した。得られた離型フィルムの評価結果を表2に示した。
(実施例7)
離型層用の混合樹脂組成物としてノバデュラン5040ZS(三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社製)、タフロンA2600(出光興産株式会社製)とした以外は実施例1同様に成膜、熱処理を行い厚さ50umの離型フィルムを得た。混合樹脂組成物の組成等を表1に示した。得られた離型フィルムの評価結果を表2に示した。
Figure 2010194841
Figure 2010194841
[評価]
表1及び表2の評価結果から、比較例1、4は、しわが発生しため、回路破損が生じた。
比較例2、3は、得られた離型フィルムの離型性が悪かったため、評価不可能なものであった。比較例1〜6は、しわ、離型性、追従性、回路破損及び離形層破れの評価を全て満たすものではなかった。
これらに比べて、実施例1〜6による離型フィルムはすべて、しわ、離型性、追従性、回路破損及び離形層破れの評価を全て満たすものであった。
本発明の離型フィルムは、例えば、プリント配線基板、フレキシブルプリント配線基板又は多層プリント配線板の製造工程において、プリプレグ又は耐熱フィルムを介して銅張積層板又は銅箔を熱プレス成形する際に用いることができる。また、本発明の離型フィルムは、例えば、フレキシブルプリント基板の製造工程において、熱プレス成形によりカバーレイフィルム又は補強板を熱硬化性接着剤又は熱硬化性接着シートで接着する際に用いることができる。

Claims (6)

  1. プリント配線板の製造時に用いる離型フィルムであって、
    ポリブチレンテレフタレート樹脂50〜95重量%とポリカーボネート樹脂50〜5重量%とを含有する混合樹脂組成物から形成された離型層を少なくとも有し、かつ、以下の(イ)〜(ハ)の物性を満たすことを特徴とする離型フィルム。
    (イ):前記離型層同士を190℃、3MPaの条件で30分間圧着させたときに、ASTM D1893に準拠する方法により測定したブロッキング力が0.1N/cm以下である。
    (ロ):前記離型フィルムの表面に、押出成形の方向(MD方向)及びそれに対して直角方向(TD方向)に100mm間隔の標線をそれぞれ記入し、190℃、荷重3MPaで60分間プレスを行った後に、常温で測定した押出成形の方向の寸法変化率及び押出成形の方向に対して直角方向の寸法変化率が、下記式(1)及び式(2)を同時に満たす。
    {(LMD−100)/100}×100≦1.0(%)……(1)
    {(LTD−100)/100}×100≦1.0(%)……(2)
    [式中、LMDはMD方向で標線間距離の測定を32セット行った時の平均値、LTDはTD方向で標線間距離の測定を32セット行った時の平均値を表す]
    (ハ):粘弾性スペクトロメーターを用い、190℃において、昇温速度5℃/分、周波数10Hz、ひずみ0.05%で測定を行った時の前記離型フィルムの貯蔵弾性率が、20〜200MPaである。
  2. 離型層以外に、さらに追従層を有することを特徴とする請求項1に記載の離型フィルム。
  3. 前記追従層は、示差走査熱量計による融解ピーク温度である融点が50〜130℃の範囲にある樹脂を主成分とする樹脂組成物からなることを特徴とする請求項2に記載の離型フィルム。
  4. 前記追従層は、低密度ポリエチレン樹脂からなることを特徴とする請求項2又は3に記載の離型フィルム。
  5. ポリブチレンテレフタレート樹脂50〜95重量%とポリカーボネート樹脂50〜5重量%とを含有する混合樹脂組成物をTダイより溶融押出成形した後、120〜200℃にて熱処理を行なうことにより離型層を形成させることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の離型フィルムの製造方法。
  6. ポリブチレンテレフタレート樹脂50〜95重量%とポリカーボネート樹脂50〜5重量%とを含有する混合樹脂組成物および追従層原料をTダイより溶融共押出成形した後、120〜200℃にて熱処理を行なうことにより離型層と追従層を形成させることを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載の離型フィルムの製造方法。

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