JP2021003808A - 二軸配向ポリエステルフィルムおよびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】熱が加わった際の膨張収縮挙動が少ない二軸配向ポリエステルフィルム及びその製造方法を提供する。【解決手段】任意の一方の方向(該方向をa方向)およびa方向に直交する方向(該方向をb方向)それぞれについて、25℃で9.8mN/5mmの張力をかけた時の長さをX1aおよびX1b、25℃より10℃/分で180℃まで昇温した後の長さをX2aおよびX2bとした際、式1で求められる熱収縮率差が−0.35%以上0.35%以下である、二軸配向ポリエステルフィルム。熱収縮率差(%)={(X2a−X1a)/X1a−(X2b−X1b)/X1b}×100 (式1)【選択図】なし
Description
本発明は、二軸配向ポリエステルフィルムおよびその製造方法に関する。
多層プリント配線板を製造する場合において、層間絶縁接着剤にガラスクロスを用いない、ビルドアップ方式による多層プリント配線板の技術が近年、改めて注目されている。ビルドアップ方式による多層プリント配線板ではフィルム状の層間絶縁樹脂層を用いた場合、内層回路板の絶縁基板と回路との段差をなくし、その表面を平滑化するために、内層回路板にアンダーコート材を塗布することが一般化してきた。代表的な例として、特許文献1に示されるように、内層回路板に塗布されたアンダーコート材が未硬化、半硬化または硬化した状態において、層間絶縁接着剤をコートした銅箔をラミネートし、一体硬化することにより多層プリント配線板を得る技術が知られている。
特許文献1に記載されているフィルム状の層間絶縁樹脂層には硬化時の収縮が小さく基材との接着性に優れた熱硬化性樹脂としてエポキシ樹脂が使用されている。
前述のフィルム状の層間絶縁樹脂層を製造する際、近年、優れた耐溶剤性、寸法安定性、剛性を有しているとの理由で二軸配向ポリエステルフィルムが支持体として使用されている。使用される二軸配向ポリエステルフィルムにおいて、表面粗さや熱収縮率を特定の範囲としたもの(特許文献2)、結晶サイズを特定の範囲としたもの(特許文献3)、析出オリゴマー量を抑制したもの(特許文献4)などによって実用特性を高めたフィルムが提案されている。
前述のフィルム状の層間絶縁樹脂層を製造する際、塗布された層間絶縁樹脂層を乾燥させるためには加熱する方法があり、加熱する際に支持体が膨張ないし収縮する場合には塗布された層間絶縁樹脂層も支持体に伴って移動するが、その挙動によっては層間絶縁樹脂層にシワなどの変形を起こす場合が有り、生産性が低下する要因となっているため、この課題の解決が切望されている。本発明は、熱が加わった際の膨張収縮挙動が少ない二軸配向ポリエステルフィルム及びその製造方法を提供することを課題とする。
上記目的を達成するための本発明は、以下の特徴を有する。即ち、任意の一方の方向(該方向をa方向)およびa方向に直交する方向(該方向をb方向)それぞれについて、25℃で9.8mN/5mmの張力をかけた時の長さをX1aおよびX1b、25℃より10℃/分で180℃まで昇温した後の長さをX2aおよびX2bとした際、式1で求められる熱収縮率差が−0.35%以上0.35%以下である、二軸配向ポリエステルフィルムである。
熱収縮率差(%)={(X2a−X1a)/X1a−(X2b−X1b)/X1b}×100 (式1)
熱収縮率差(%)={(X2a−X1a)/X1a−(X2b−X1b)/X1b}×100 (式1)
本発明により、熱硬化性樹脂との成形時に熱が加わった際に、熱硬化性樹脂にシワなどの発生が少ない二軸配向ポリエステルフィルムを提供できる。
本発明者らは、上記実状に鑑み鋭意検討した結果、二軸延伸後の弛緩処理方法を調整することで、特定の温度範囲でのフィルムの膨張収縮挙動を制御できることを見出した。以下、本発明について詳述する。
本発明による二軸配向ポリエステルフィルムは、離型フィルムとして好ましく使用され、特に層間絶縁樹脂(電気絶縁樹脂)の支持体用などの電気絶縁用途に好適に用いることができる。
層間絶縁樹脂用途においては、層間絶縁樹脂層との成形時に熱が加わった際に、離型フィルムの膨張収縮挙動が大きいと層間絶縁樹脂層も伴って移動するためにシワなどの重大な欠陥となり、非常に厳しい管理要求レベルに耐え得ない。すなわち、離型フィルムの膨張収縮挙動により層間絶縁樹脂にシワなどの変形が生じた場合、回路が短絡するなどして絶縁機能が悪化したり、回路を腐食させる原因になることがある。本発明によるポリエステルフィルムは、成形時に熱が加わった際の層間絶縁樹脂の寸法変化率と近しい値とすることにより、層間絶縁樹脂層変形を抑制することができるものである。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは電気絶縁用途に好適に用いることができ、半導体パッケージ基板用ビルドアップ基板へ、層間絶縁樹脂(電気絶縁樹脂)を積層する際に離型フィルムとして使用される。層間絶縁樹脂(電気絶縁樹脂)は、本発明の二軸配向ポリエステルフィルムに塗布され、固化された後、巻き取られ、次いで、真空ラミネーションする際に回路基板などの基材に転写される((株)加工技術研究会編集企画「コンバーティング・テクノロジー便覧」(株)加工技術研究会、2006年12月16日、p.314〜318)。
ここで、層間絶縁樹脂(電気絶縁樹脂)とは、回路の絶縁に使用される樹脂であれば特に限定されるものではないが、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ポリブタジエン樹脂、(メタ)アクリレート変性フェノール樹脂、シアネートエステル樹脂などが好適に用いられる。特に、本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、電気絶縁樹脂としてエポキシ樹脂が用いられる電気絶縁用離型フィルムとして使用されることが好ましい。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、任意の一方の方向(該方向をa方向)およびa方向に直交する方向(該方向をb方向)それぞれについて、25℃で9.8mN/5mmの張力をかけた時の長さをX1aおよびX1b、25℃より10℃/分で180℃まで昇温した後の長さをX2aおよびX2bとした際、式1で求められる熱収縮率差が−0.35%以上0.35%以下であることが必要である。
熱収縮率差(%)={(X2a−X1a)/X1a−(X2b−X1b)/X1b}×100 (式1)
この温度である理由は、層間絶縁樹脂(電気絶縁樹脂)は製品使用時の耐熱性と製造時に硬化する際の生産性の点から100℃程度にて溶媒を乾燥させ、180℃程度にて硬化させるためである。この特性を発現させるためには、二軸延伸後の幅方向弛緩を110〜190℃の温度領域、および70〜110℃の温度領域で段階的に実施することで達成できる。弛緩にかける時間としては1〜10秒であり、より好ましくは4〜8秒である。a方向とb方向について、熱収縮率差が上記範囲を下回る場合には、乾燥時に昇温する際、a方向のフィルムの収縮過多により層間絶縁樹脂にa方向にシワなどの変形が生じてしまう。また、上記範囲を上回る場合には、b方向のフィルムの収縮過多により層間絶縁樹脂にb方向にシワなどの変形が生じてしまう。
熱収縮率差(%)={(X2a−X1a)/X1a−(X2b−X1b)/X1b}×100 (式1)
この温度である理由は、層間絶縁樹脂(電気絶縁樹脂)は製品使用時の耐熱性と製造時に硬化する際の生産性の点から100℃程度にて溶媒を乾燥させ、180℃程度にて硬化させるためである。この特性を発現させるためには、二軸延伸後の幅方向弛緩を110〜190℃の温度領域、および70〜110℃の温度領域で段階的に実施することで達成できる。弛緩にかける時間としては1〜10秒であり、より好ましくは4〜8秒である。a方向とb方向について、熱収縮率差が上記範囲を下回る場合には、乾燥時に昇温する際、a方向のフィルムの収縮過多により層間絶縁樹脂にa方向にシワなどの変形が生じてしまう。また、上記範囲を上回る場合には、b方向のフィルムの収縮過多により層間絶縁樹脂にb方向にシワなどの変形が生じてしまう。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、a方向およびb方向それぞれについて25℃で9.8mN/5mmの張力をかけた時の長さをX1aおよびX1b、25℃より10℃/分で180℃まで昇温する過程での長さの最大値をX3aおよびX3bとした際、式2および式3で求められる最大膨張率がa方向で−0.10%以上0.10%以下、b方向で0.10%以上0.50%以下である必要がある。この特性を発現させるためには、二軸延伸後の幅方向弛緩を110〜190℃の温度領域、および70〜110℃の温度領域で段階的に実施することで達成できる。弛緩にかける時間としては1〜10秒であり、より好ましくは4〜8秒である。
最大膨張率(%)=(X3a−X1a)/X1a×100 (式2)
最大膨張率(%)=(X3b−X1b)/X1b×100 (式3)
最大膨張率が上記範囲を外れる場合、層間絶縁樹脂とフィルムそれぞれの膨張収縮の挙動で差が生じ、層間絶縁樹脂の平面性が失われてしまう。
最大膨張率(%)=(X3a−X1a)/X1a×100 (式2)
最大膨張率(%)=(X3b−X1b)/X1b×100 (式3)
最大膨張率が上記範囲を外れる場合、層間絶縁樹脂とフィルムそれぞれの膨張収縮の挙動で差が生じ、層間絶縁樹脂の平面性が失われてしまう。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムにおいて、二軸配向の意味は、未延伸(未配向)フィルムを、常法により、二次元方向に延伸された状態をいい、延伸は逐次二軸延伸または同時二軸延伸の何れの方法も採ることができる。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムに用いるポリエステル樹脂とはエステル結合によって多価、多くは二価、の有機基が連結された高分子であり、二価のカルボン酸と二価のジオールが重縮合したものが代表的なものである。かかる成分としては、例えば、カルボン酸成分として、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸、さらには比較的少量のトリメット酸などのトリカルボン酸等を用いることができ、ジオール成分として、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール、ポリテトラメチレングリコールなどを用いることができる。また、本発明の目的を損なわない範囲において、3価以上のカルボン酸成分若しくはアルコール成分、あるいは、ヒドロキシカルボン酸成分を用いることは差し支えない。また、本発明の目的を損なわない範囲において、ポリエステル以外の樹脂が相溶し、あるいは、本発明に用いるポリエステルにおいて他の繰り返し単位が共重合されていても良い。
代表的なポリエステル樹脂である、ポリエチレンテレフタレートの製造は、テレフタル酸など上記酸成分とエチレングリコールなど上記アルコール成分を原料とする直接重合法(直重法)、またはテレフタル酸ジメチル(DMT)など上記の酸成分とメタノールなどの低分子アルコールとのカルボン酸エステルと、エチレングリコールなど上記アルコールなどを原料とするDMT法のいずれであっても良い。DMT法の場合のエステル交換触媒としては、例えば、カルシウム、リチウム、マンガン、亜鉛、チタン等の金属の酸化物、塩若しくは錯体を用いることができる。また、DMT法または直重法の場合の重合触媒としては、3酸化アンチモン等のアンチモン化合物、非晶質ゲルマニウム等のゲルマニウム化合物、テトラブチルチタネートなどのチタン化合物を用いることができる。エステル交換触媒や重合触媒は上記化合物に限定されるものでなく、既知の触媒系を用いて、本発明の原料であるポリエステル樹脂を得ることができる。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは原料として固有粘度を上げたポリエステル樹脂を好ましく用いることができ、フィルムとしたときの固有粘度としては、0.55以上であることが好ましい。固有粘度が0.55未満ではポリエステル樹脂に含有されるオリゴマ量が多くなる傾向があり、厳しい条件での使用に向かないことがある。上限としては特に制限はないが、固有粘度が0.65を超えると製膜性に困難を伴うこともあるので、0.65以下で使用することが望ましい。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、少なくとも2層以上のポリエステル層からなることが好ましい。積層の手段としてはピノール、マルチマニホールドダイ等により合流させてTダイより押し出す共押出法、単膜で作製したシートにTダイより押し出しながらラミネートする溶融ラミネート法等を用いることができる。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムが2層以上の積層構成を有する場合、両最表層のうち、単位体積あたりの粒子数が多い最表層を層Aもう一方の最表層を層Bとしたとき、層A、層Bの間に、層Aあるいは層Bを構成するポリエステル組成物とは、ポリエステルの種類または粒子が含まれないもしくは含まれる粒子の種類が異なるポリエステル若しくはポリエステル組成物からなる層が設けられたものであっても良い。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムの厚みは、25μm以上55μm以下である。25μmより薄いフィルムでは加工温度、加工張力に耐えきれずに破断を起こすなど機械的な工程適性を満たすことができず、55μmより厚いフィルムではコスト、廃棄時の環境負荷が高くなるためである。好ましくは30μm以上40μm以下である。
本発明において、層Aないし層Bに含有される粒子としては、有機粒子、無機粒子の何れでも特に差し支えはなく、層Aと層Bとで含有される粒子として種類あるいは粒径等において同一でも異なっていても良い。また、二種以上の粒子が用いられても良い。粒子としては、例えば、球状シリカ、ケイ酸アルミニウム、二酸化チタン、炭酸カルシウムなどの無機粒子、またその他有機系高分子粒子としては、架橋ポリスチレン樹脂粒子、架橋シリコーン樹脂粒子、架橋アクリル樹脂粒子、架橋スチレン−アクリル樹脂粒子、架橋ポリエステル粒子、ポリイミド粒子、メラミン樹脂粒子等の外部添加粒子が好ましく、内部粒子(ポリエステル重合反応時に添加する触媒等によって析出する粒子)や塗布等による手段での粒子付与であっても良い。また、必要に応じて濾過などを行うことにより、凝集粒子や粗大粒子などを除去することが好ましい。中でも、乳化重合法で等で合成された、架橋ポリスチレン樹脂粒子、架橋シリコーン樹脂粒子、架橋アクリル樹脂粒子が好適に使用できるが、とくに架橋ポリスチレン粒子、架橋シリコーン、さらに球状シリカなどは真球に近く、粒径分布が極めて均一であることから、好適に用いることができる。さらに、これらの粒子については界面活性剤などによる表面処理を施すことにより、ポリエステルとの親和性の改善を図ることが可能である。
本発明における二軸配向ポリエステルフィルムの層B側表面の中心線平均粗さSRaは5〜25nm、十点平均粗さSRzが100〜400nmであることが好ましい。係る範囲とすることにより、平滑さが保たれ、層間絶縁樹脂におけるフィルム表面起因の欠陥を抑制することができる。
本発明における二軸配向ポリエステルフィルムの層A側表面の中心線平均粗さSRaが25〜45nm、十点平均粗さSRz(A)が600〜1000nmであることが好ましい。また、面粗さを前述の範囲とすることによって、加工中のフィルムの搬送特性(ロールとの摩擦特性)を担保することができる。
フィルム表面の中心線粗さ、十点平均粗さを上記範囲とするためには、フィルムに平均粒径が0.01μm以上8μm以下の粒子を添加することが好ましい。より好ましくは、平均粒径が0.10μm以上5μm以下である。粒子が0.01μm以下では面粗さへの寄与が少なく、8μm以上の粒子では前述の面粗さを実現することが困難となるためである。
ポリエステルに粒子を添加する方法としては、例えばジオール成分であるエチレングリコールに粒子を所定割合にてスラリーの形で分散させ、このエチレングリコールスラリーをポリエステル重合完結前の任意段階で添加する。ここで、粒子を添加する際には、例えば、粒子を合成時に得られる水ゾルやアルコールゾルを一旦乾燥させることなく添加すると粒子の分散性が良好であり、粗大突起の発生を抑制でき好ましい。また粒子の水スラリーを直接、所定のポリエステルペレットと混合し、ベント方式の2軸混練押出機に供給しポリエステルに練り込む方法も有効である。
以下、本発明のフィルムを製造するための方法を例をあげて図1を用いて説明する。
まず、ポリエステル樹脂チップを、必要に応じて適宜混合した後、図1の真空乾燥機1により、チップ中の水分を除去する。その後原料ホッパー2に貯蔵して、押出機3で溶融して押し出す。その後フィルター4で濾過を行う。
まず、ポリエステル樹脂チップを、必要に応じて適宜混合した後、図1の真空乾燥機1により、チップ中の水分を除去する。その後原料ホッパー2に貯蔵して、押出機3で溶融して押し出す。その後フィルター4で濾過を行う。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムでは、離型フィルムとして使用したときにフィルム上に形成された層間絶縁樹脂などの転写目的物の層(以下、係る層を成形層と称する)の表面欠落を抑制するために、フィルム内部異物が少ないことが望ましい。フィルム中において100μm以上の物が100cm2当たり2個以内であることが好ましく、更には、実質的に含まないことが好ましい。
このようなフィルムを得るには、濾過精度1〜20μmのフィルターを用いて溶融ポリマーを濾過して押し出すことが必要である。濾過寿命をある程度の期間とし、粗大突起や内部異物の発生を抑制するためには、絶対濾過精度3〜10μmのフィルターを用いることが更に好ましい。
濾過後の溶融状態の樹脂を、スリット状のダイ5から出してシート状に成形する。このシート状物を、表面温度20〜50℃のキャスティングドラム6に巻き付けて冷却固化し未延伸(未配向)フィルムとする。
この未延伸フィルムを、縦延伸機7にて、70〜130℃に加熱し、ロール間の周速差により倍率が2.5〜5倍になるように1段階もしくは多段階で長手方向に延伸し、一軸延伸(一軸配向)フィルムを得る。
かかる長手方向に延伸された一軸延伸フィルムを、横延伸機(ステンタ)8にて、80℃〜120℃で3〜6倍に幅方向に延伸し、二軸延伸(二軸配向)フィルムとする。延伸後、180℃〜250℃にて1〜20秒間熱処理を行った。
次に、本発明のフィルムは段階的に弛緩を行う。1段階目で100〜190℃の温度にて幅方向に0.5〜2%の弛緩した後、2段階目で70〜110℃の温度にて幅方向に0.5〜2%弛緩処理させる。より好ましくは1段階目で100〜190℃にて幅方向に0.7〜1.3%、2段階目で70〜110℃にて幅方向に0.7〜1.3%弛緩処理させる。弛緩にかける時間としては1〜10秒であり、より好ましくは4〜8秒である。
次に、本発明のフィルムは段階的に弛緩を行う。1段階目で100〜190℃の温度にて幅方向に0.5〜2%の弛緩した後、2段階目で70〜110℃の温度にて幅方向に0.5〜2%弛緩処理させる。より好ましくは1段階目で100〜190℃にて幅方向に0.7〜1.3%、2段階目で70〜110℃にて幅方向に0.7〜1.3%弛緩処理させる。弛緩にかける時間としては1〜10秒であり、より好ましくは4〜8秒である。
幅方向に延伸をしたフィルムは、渡り搬送装置9で冷却させたのち巻き取り、中間製品10を得る。中間製品10は、スリット工程にて適切な幅にスリットして巻き取り、本発明の二軸配向ポリエステルフィルムが得られる。
次に実施例に基づき、本発明の実施態様をより具体的に説明する。
本発明で規定する特性値の測定方法と評価方法を以下に述べる。
(1)熱収縮率
ポリエステルフィルムを幅1cm、長さ15cmの短冊状に切りだし、長さ方向の両端からそれぞれ2.5cm内側に幅方向と平行な線を引き、2本の平行線間の距離L0を正確に測定した。次いでその短冊状サンプルを所定温度の熱風オーブン中にて30分間熱処理し、冷却後、2本の平行線間の距離L1を正確に測定した。処理前の寸法と処理後の寸法から下記式にて熱収縮率(%)を求めた。
熱収縮率(%)=(L0−L1)/L0×100
なお、測定はa方向及びb方向それぞれについて、各10サンプル測定を実施し、それぞれの平均値をもってa方向の熱収縮率、b方向の熱収縮率とした。
また、上記所定温度は、100℃ないし180℃とした。
ポリエステルフィルムを幅1cm、長さ15cmの短冊状に切りだし、長さ方向の両端からそれぞれ2.5cm内側に幅方向と平行な線を引き、2本の平行線間の距離L0を正確に測定した。次いでその短冊状サンプルを所定温度の熱風オーブン中にて30分間熱処理し、冷却後、2本の平行線間の距離L1を正確に測定した。処理前の寸法と処理後の寸法から下記式にて熱収縮率(%)を求めた。
熱収縮率(%)=(L0−L1)/L0×100
なお、測定はa方向及びb方向それぞれについて、各10サンプル測定を実施し、それぞれの平均値をもってa方向の熱収縮率、b方向の熱収縮率とした。
また、上記所定温度は、100℃ないし180℃とした。
(2)熱機械挙動
ポリエステルフィルムから、a方向及びb方向に幅5mm、長さ40mmの短冊状サンプルを切り出し、熱機械分析装置(真空理工(株)製TMA TM−3000)を用いて、荷重9.8mN/5mm、サンプル長15mm、下記昇温パターンの条件で測定を行った。
昇温パターン (あ)25℃→180℃(10℃/分)
上記昇温パターンのうち、(あ)の工程開始前のサンプル長さをX1aおよびX1b、(あ)の工程終了時点でのサンプル長さをX2aおよびX2b、(あ)の過程での最大長さをX3aおよびX3bとしたとき、熱収縮率差と最大膨張率を下記の通り求めた。
熱収縮率差(%)={(X2a−X1a)/X1a−(X2b−X1b)/X1b}×100
最大膨張率(a方向)(%)=(X3a−X1a)/X1a×100
最大膨張率(b方向)(%)=(X3b−X1b)/X1b×100
(3)加工適性
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムに層間絶縁樹脂層を塗布し、100℃程度にて溶媒を乾燥させ、180℃程度にて硬化させるときのシワの発生有無を下記の基準により判定した。なお、評価結果は◎が最も優れており、○以上を合格、×を不合格とした。
◎:シワの発生なく良好。
○:シワの発生はあるが、加工上は問題なし。
×:シワが発生し、加工が困難(生産適用不可)。
ポリエステルフィルムから、a方向及びb方向に幅5mm、長さ40mmの短冊状サンプルを切り出し、熱機械分析装置(真空理工(株)製TMA TM−3000)を用いて、荷重9.8mN/5mm、サンプル長15mm、下記昇温パターンの条件で測定を行った。
昇温パターン (あ)25℃→180℃(10℃/分)
上記昇温パターンのうち、(あ)の工程開始前のサンプル長さをX1aおよびX1b、(あ)の工程終了時点でのサンプル長さをX2aおよびX2b、(あ)の過程での最大長さをX3aおよびX3bとしたとき、熱収縮率差と最大膨張率を下記の通り求めた。
熱収縮率差(%)={(X2a−X1a)/X1a−(X2b−X1b)/X1b}×100
最大膨張率(a方向)(%)=(X3a−X1a)/X1a×100
最大膨張率(b方向)(%)=(X3b−X1b)/X1b×100
(3)加工適性
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムに層間絶縁樹脂層を塗布し、100℃程度にて溶媒を乾燥させ、180℃程度にて硬化させるときのシワの発生有無を下記の基準により判定した。なお、評価結果は◎が最も優れており、○以上を合格、×を不合格とした。
◎:シワの発生なく良好。
○:シワの発生はあるが、加工上は問題なし。
×:シワが発生し、加工が困難(生産適用不可)。
(実施例1)
平均粒径0.3μmのジビニルベンゼン/スチレン共重合架橋粒子を0.20質量%、平均粒径1.05μmの炭酸カルシウムを0.50質量%含有するポリエステルA及び、0.3μmのジビニルベンゼン/スチレン共重合架橋粒子を0.10質量%含有するポリエステルBをそれぞれ160℃で8時間減圧乾燥した後、別々の押出機に供給し、275℃で溶融押出して5μm以上の捕集率95%のフィルターで高精度濾過した後、矩形の合流ブロックで合流積層し、ポリエステルAによる層/ポリエステルBによる層からなる2層積層とした。その後、285℃に保ったスリットダイを介し冷却ロール上に静電印可キャスト法を用いて表面温度25℃のキャスティングドラムに巻き付け冷却固化して未延伸積層フィルムを得た。
平均粒径0.3μmのジビニルベンゼン/スチレン共重合架橋粒子を0.20質量%、平均粒径1.05μmの炭酸カルシウムを0.50質量%含有するポリエステルA及び、0.3μmのジビニルベンゼン/スチレン共重合架橋粒子を0.10質量%含有するポリエステルBをそれぞれ160℃で8時間減圧乾燥した後、別々の押出機に供給し、275℃で溶融押出して5μm以上の捕集率95%のフィルターで高精度濾過した後、矩形の合流ブロックで合流積層し、ポリエステルAによる層/ポリエステルBによる層からなる2層積層とした。その後、285℃に保ったスリットダイを介し冷却ロール上に静電印可キャスト法を用いて表面温度25℃のキャスティングドラムに巻き付け冷却固化して未延伸積層フィルムを得た。
この未延伸フィルムを長手方向に3.8倍延伸した。さらに、引き続いてテンターにて115℃の熱風下で幅方向に3.9倍延伸後、定長下、熱処理温度230℃で4秒間熱処理し、その後、1段階目で弛緩温度110℃で幅方向に0.9%、2段階目に弛緩温度70℃で幅方向に弛緩率1.1%、計5秒間弛緩処理を施した。その後、渡り搬送装置で冷却させたのち巻き取り、ポリエステルAによる層の厚み35.0μm、ポリエステルBによる層の厚み3.0μm、総厚み38μmの二軸配向積層ポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムの評価結果を表1に示した。本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、熱収縮率、膨張率が所望の範囲となり、特性に優れるものであった。
(実施例2〜3)
熱処理後の幅方向の弛緩率を表1に記載のように変更する以外は実施例1と同様にして二軸配向積層ポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムの評価結果を表1に示した。本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは実施例1同様に、熱収縮率、膨張率が所望の範囲となり、特性に優れるものであった。
熱処理後の幅方向の弛緩率を表1に記載のように変更する以外は実施例1と同様にして二軸配向積層ポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムの評価結果を表1に示した。本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは実施例1同様に、熱収縮率、膨張率が所望の範囲となり、特性に優れるものであった。
(比較例1〜3)
熱処理後の幅方向の弛緩率を表1に記載のように変更する以外は実施例1と同様にして二軸配向積層ポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムの評価結果を表1に示した。しかし、このように本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは実施例1にくらべそれぞれ、熱収縮率、膨張率が所望の範囲から外れ、特性に劣るものであった。
熱処理後の幅方向の弛緩率を表1に記載のように変更する以外は実施例1と同様にして二軸配向積層ポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムの評価結果を表1に示した。しかし、このように本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは実施例1にくらべそれぞれ、熱収縮率、膨張率が所望の範囲から外れ、特性に劣るものであった。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、良好な熱収縮率、膨張率を有するため、たとえば層間絶縁樹脂支持体用に好適に用いることができる。
1:真空乾燥機
2:原料ホッパー
3:押出機
4:フィルター
5:ダイ
6:キャスティングドラム
7:縦延伸機
8:横延伸機
9:渡り搬送装置
10:中間製品
2:原料ホッパー
3:押出機
4:フィルター
5:ダイ
6:キャスティングドラム
7:縦延伸機
8:横延伸機
9:渡り搬送装置
10:中間製品
Claims (5)
- 任意の一方の方向(該方向をa方向)およびa方向に直交する方向(該方向をb方向)それぞれについて、25℃で9.8mN/5mmの張力をかけた時の長さをX1aおよびX1b、25℃より10℃/分で180℃まで昇温した後の長さをX2aおよびX2bとした際、式1で求められる熱収縮率差が−0.35%以上0.35%以下である、二軸配向ポリエステルフィルム。
熱収縮率差(%)={(X2a−X1a)/X1a−(X2b−X1b)/X1b}×100 (式1) - 前記a方向およびb方向について、25℃で9.8mN/5mmの張力をかけた時の長さをX1aおよびX1b、25℃より10℃/分で180℃まで昇温する過程での長さの最大値をX3aおよびX3bとした際、式2および式3で求められる最大膨張率がa方向で−0.10%以上0.10%以下、b方向で0.10%以上0.50%以下である、請求項1に記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
最大膨張率(%)=(X3a−X1a)/X1a×100 (式2)
最大膨張率(%)=(X3b−X1b)/X1b×100 (式3) - 100℃にて30分保持時の熱収縮率が前記a方向で0.5%以上1.0%以下、b方向で−0.5%以上0.0%以下であり、180℃にて30分保持時の熱収縮率がa方向で2.5%以上3.0%以下、b方向で2.3%以上3.0%以下である、請求項1または2に記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
- 2層以上の積層構造を有する、請求項1〜3のいずれかに記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
- 層間絶縁樹脂支持体用として使用される、請求項1〜4のいずれかに記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2019116988A JP2021003808A (ja) | 2019-06-25 | 2019-06-25 | 二軸配向ポリエステルフィルムおよびその製造方法 |
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JP (1) | JP2021003808A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2022209396A1 (ja) * | 2021-03-30 | 2022-10-06 | 富士フイルム株式会社 | 検査装置及びカートリッジ |
-
2019
- 2019-06-25 JP JP2019116988A patent/JP2021003808A/ja active Pending
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