JP5614112B2 - 二軸配向積層ポリエステルフィルム - Google Patents
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Description
(1) 少なくとも2層以上のポリエステルからなる層が積層された積層ポリエステルフィルムであって、両最表層のうち単位体積あたりの粒子数が多い最表層を層Aもう一方の最表層を層Bとしたとき、層Aおよび層Bの粒子体積の比(層A/層B)が3.0以上であり、かつ、フィルムの厚みが25〜55μmである二軸配向積層ポリエステルフィルム。
(2) フィルム表面に塗布層を有しない状態で160℃、30分の加熱処理後の層Aの表面に析出するオリゴマー量が6.0mg/m2以下であることを特徴とする上記(1)に記載の二軸配向積層ポリエステルフィルム。
(3) 層Bの表面の中心線平均粗さSRaが5〜25nm、十点平均粗さSRzが100〜400nmである、上記(1)又は(2)に記載の二軸配向積層ポリエステルフィルム。
(4) 層間絶縁樹脂支持体用として使用される上記(1)〜(3)の何れかに記載の二軸配向積層ポリエステルフィルム。
(5) 150℃熱収縮率が一方の方向で1.0〜2.5%、該一方の方向に直交する方向で0.3%〜1.0%である上記(1)〜(4)の何れかに記載の二軸配向積層ポリエステルフィルム。
(6) 上記(1)〜(6)の何れか記載の二軸配向積層ポリエステルの層B側表面に直接または離型層を介して層間絶縁樹脂層が設けられていることを特徴とする層間絶縁樹脂形成材。
粒子体積の比=VpA/VpB (1)
本発明の二軸配向積層ポリエステルフィルムの厚みは、25μm以上55μm以下である。25μmより薄いフィルムでは加工温度、加工張力に耐えきれずに破断を起こすなど機械的な工程適性を満たすことができず、55μmより厚いフィルムではコスト、廃棄時の環境負荷が高くなるためである。好ましくは30μm以上40μm以下である。
まず、ポリエステル樹脂チップを、必要に応じて適宜混合した後、図1の真空乾燥機1により、チップ中の水分を除去する。その後原料ホッパー2に貯蔵して、押出機3で溶融して押し出す。その後フィルター4で濾過を行う。
透過型電子顕微鏡(TEM;日立(株)製H−600型)を用いて、加速電圧100kVで、フィルムの断面を、超薄切片(RuO4染色)で観察する。その断面全体から全厚みを求め、積層厚みについては、その界面に観察される粒子の最も深い地点から表面からの深さ、つまり積層されている厚みを求める。倍率は測定するフィルムの全厚み、層厚みによって適宜倍率を設定すればよいが、一般的には全厚み測定には1000倍、積層厚み測定には1万〜10万倍が適当である。
粒子が少ない場合など、積層界面を判別するためにどのような倍率で粒子像を得るべきかを事前に想定するために、断面のSEM−XMAによって断面における元素の分布(マッピング)から想定される積層厚みの概算を行い、TEMでの設定倍率を定めると効率的である。
フィルムからポリマーをプラズマ低温灰化処理法で除去し、粒子を露出させる。処理条件は、ポリマーは灰化されるが粒子は極力ダメージを受けない条件を選択する。処理後の試料料を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察する。SEMの倍率は5000倍とし、任意に場所を変えて少なくとも100個の粒子の等価円相当径を測定し、その平均値を算出して平均粒径とした。凝集粒子の場合は凝集体(二次粒子)について少なくとも100個の粒子の等価円相当径を測定し、その平均値から平均粒径を求めた。
粒径あるいは形状の異なる2種類以上の粒子を含有している場合、それぞれの粒子種について形状で粒子種を分類して区別し、同様に等価円相当径を測定し、その平均値を算出して平均粒径とした。
粒子がプラズマ低温灰化処理法で大幅にダメージを受ける場合には、フィルム断面を透過型電子顕微鏡(TEM)を用い、5000倍で観察する。TEMの切片厚さは約100nmとし、任意に場所を変えて少なくとも100個の粒子の等価円相当径を測定し、その平均値を算出して平均粒径とした。凝集粒子の場合は凝集体について少なくとも100個の粒子の等価円相当径を測定し、その平均値から平均粒径を求めた。
測定対象のフィルムの最表層のポリエステル層(層A、層B)について、前項で求めた積層厚みに基づき、それぞれ、研磨(一例として、マイクロメーターや重量変化などで厚み減少分を測りながら、片刃を用いて表面から削っていく方法など)を行い、当該層のみを削りだし、粒子を含有するポリエステルを得た。
ここからポリエステル樹脂のみを溶解して粒子のみを得るため、粒子を含有するポリエステル100mgに対して、溶剤としてフェノール/四塩化エタン(6/4重量比)の混合溶媒またはo−クロロフェノールを20mlの割合で添加し、130℃、30分攪拌有りでポリエステルのみを溶解した。
ここに、体積の基準粒子として、同溶媒にモメンティブ・パフォーマンス・マテリアル社製「トスパール1110」(平均粒径11μm)を分散させたブランク溶液を添加し、(株)堀場製作所製レーザ回折散乱式粒度分布測定装置LA−700を用い、平均粒径(メジアン径)とともに粒径分布を出力した。
[測定条件]
測定モード :バッチ式セル測定
データ取り込み回数 :10回
分布形態 :1
屈折率設定値 :1.1
[表示条件]
累積分布グラフ :付ける
累積分布表示の種類 :ふるい下
ヒストグラムスケール :固定
固定スケール :15
分割数 :64
粒子径基準 :体積
粒子径間隔 :固定間隔
任意%粒子径設定 :しない 。
なお、前項のSEMやTEMによる平均粒径の観察結果から、ピークが重ならないことが確認できた場合には、「トスパール1110」よりも小さい径の基準粒子を用いて同様の測定および粒子体積比の算出を行うこともできる。
A.熱処理
縦長方向で試料(A4サイズ)を目玉クリップ(クリ15)で上部2個、下部3個を使用し、番線につるし、セーフティー・オーブン(TABAI社 MODEL SPHH−101)で160℃、30分間熱処理する。オーブンの熱風は測定面と反対面に当たるようにした。
直径4mmの番線を使用した四角形の枠11(内側寸法 45mm×120mm)を用意し、枠の片面側を覆うように粘着テープ12を貼り付け、試料フィルム13を反対面から図2に示したように貼り付け、試料フィルム45mm×120mmのくぼみ部分を設ける。このくぼみ部分に上側よりホールピペットでエタノールを10ml入れ、25℃で5分間放置してオリゴマーを溶解させたものを測定液とした。
U-3310形分光光度計(日立製作所製)で240nmの吸収を測定し、オリゴマー量を検量線から算出し、測定液が接触したフィルムの単位面積・厚みあたりに換算した。測定条件は下記の通りで実施した。
測定モード:定量演算
ホトマル電圧:自動制御
セル長:10mm
光源切換波長:340nm 。
三次元微細表面形状測定器(小坂製作所製ET−350K)を用いて測定し、得られたフィルム表面のプロファイル曲線により、JIS B0601−1994に準じ、算術平均粗さSRa、十点平均粗さSRzを求めた。なお、測定条件は下記の通り。
X方向測定長さ:0.5mm、X方向送り速度:0.1mm/秒
Y方向送りピッチ:5μm、Y方向ライン数:40本
カットオフ:0.25mm
測定力:0.04mN 。
ポリエステルフィルムを幅1cm、長さ15cmの短冊状に切りだし、長さ方向の両端からそれぞれ2.5cm内側に幅方向と平行な線を引き、2本の平行線間の距離L0を正確に測定した。次いでその短冊状サンプルを150℃の熱風オーブン中にて30分間熱処理し、冷却後、2本の平行線間の距離L1を正確に測定した。処理前の寸法と処理後の寸法から下記式にて熱収縮率(%)を求めた。
熱収縮率(%)=(L0−L1)/L0×100
なお、測定は短冊の長さ方向がフィルム長手方向に平行な場合、フィルム幅方向に平行な場合、それぞれについて各10サンプル測定を実施し、それぞれの平均値でもって長手方向の熱収縮率、幅方向の熱収縮率とした。
o−オルトクロロフェノール中、25℃で測定した溶液粘度から、下式で計算した値を用いた。すなわち、
ηsp/C=[η]+K[η]2 ・C
ここで、ηsp=(溶液粘度/溶媒粘度)−1であり、Cは、溶液濃度(g/100ml、通常1.2)、Kはハギンス定数(0.343とする)である。また、溶液粘度、溶媒粘度はオストワルド粘度計を用いて測定した。単位は[dl/g]で示した。
対象フィルムの層Aの側の面を160℃のステンレス板で熱プレスし、プレス前後でのステンレス板の汚れ程度を目視にて判定した。プレス圧は4.9×106N/m2(5kgf/cm2)とし、一回30秒で100回実施し、評価の判定は以下のとおりとした。
A:ステンレス板に汚れは見えなかった。
B:ステンレス板に少し汚れは見えたが、実用的には問題ないレベルだった。
C:ステンレス板に白い汚れがはっきり見えた。
なお、上記においてAと評価されるフィルムが、電気絶縁用離型フィルムとして特に好適に用いられるものである。
実施例1:
ジメチルテレフタレート(DMT)に、DMT・1モルに対し1.9モルのエチレングリコールおよび酢酸マグネシウム・4水塩をDMT100質量部に対し0.05質量部、リン酸をDMT100質量部に対し0.015質量部加え加熱エステル交換を行い、引き続き三酸化アンチモンをDMT100質量部に対し0.025質量部を加え、加熱昇温し真空化で重縮合反応を行い、粒子を実質的に含有しない、固有粘度0.63のポリエチレンテレフタレートペレットを得た。
粒径の異なる炭酸カルシウム粒子およびジビニルベンゼン/スチレン共重合架橋粒子、さらにジビニルベンゼン/スチレン共重合架橋粒子に代えて、真比重2.70g/cm3、平均粒子径2.6μmのシリカ粒子について実施例1と同様にこれら粒子を含有するポリエステルペレットをそれぞれ得た後、層A、層Bに添加する粒子の種類、粒径、含有量、さらにフィルム各層の厚み、層構成(A/Bの2層あるいはA/C/Bの3層)、構成する層Aおよび層Bの厚み、を表1に記載のように変更する以外は実施例1と同様にして二軸配向積層ポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムの評価結果を表2に示す。しかしながら、比較例3においては、全厚みが13μmと薄かったために、オリゴマー付着評価の際に破断を起こして本用途における加工適性を満たさないことが明らかとなった。
2 原料ホッパー
3 押出機
4 フィルター
5 ダイ
6 キャスティングドラム
7 縦延伸機
8 横延伸機
9 渡り搬送装置
10 中間製品
11 直径4mmの番線を使用した四角形の枠(内側寸法 45mm×120mm)
12 試料フィルム
13 粘着テープ
Claims (4)
- 少なくとも2層以上のポリエステルからなる層が積層された積層ポリエステルフィルムであって、両最表層のうち単位体積あたりの粒子数が多い最表層を層Aもう一方の最表層を層Bとしたとき、層Aおよび層Bの粒子体積の比(層A/層B)が3.94以上であり、かつ、層Bの表面の中心線平均粗さSRaが5〜25nm、十点平均粗さSRzが100〜400nmであり、かつ、層Aの表面の中心線平均粗さSRaが31〜45nm、十点平均粗さSRzが600〜1000nmであり、かつ、フィルムの厚みが25〜55μmである層間絶縁樹脂支持体用として使用される二軸配向積層ポリエステルフィルム。
- フィルム表面に塗布層を有しない状態で160℃、30分の加熱処理後の層Aの表面に析出するオリゴマー量が6.0mg/m2以下であることを特徴とする請求項1に記載の層間絶縁樹脂支持体用として使用される二軸配向積層ポリエステルフィルム。
- 150℃熱収縮率が一方の方向で1.0〜2.5%、該一方の方向に直交する方向で0.3%〜1.0%である請求項1または2に記載の層間絶縁樹脂支持体用として使用される二軸配向積層ポリエステルフィルム。
- 請求項1〜3の何れか記載の二軸配向積層ポリエステルの層B側表面に直接または離型層を介して層間絶縁樹脂層が設けられていることを特徴とする層間絶縁樹脂形成材。
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