JP2004291240A - 離型フィルム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】同時二軸延伸されたポリエステルフィルムの片面に離型層を有する離型フィルムであり、フィルム厚みむらが長手方向および幅方向ともに5%以下であり、下記式(1)および(2)を同時に満足することを特徴とするグリーンシート成形用離型フィルム。
P−V(Si)≦700 …(1)
P−V≧400 …(2)
(上記式中、P−V(Si)は離型フィルムの離型面の最大粗さ(nm)、P−Vは離型フィルムの離型層が設けられていない面の最大粗さ(nm)を示す)
【選択図】なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は離型フィルムに関するものであり、詳しくはセラミック積層コンデンサー製造時に使用する、特に厚みが3μm以下の薄膜グリーンシート成形用に好適な離型フィルムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、ポリエステルフィルムを基材とする離型フィルムがセラミック積層コンデンサー、セラミック基板等のセラミック離型用に使用されている。近年、セラミック積層コンデンサーの小型化・大容量化が進むに伴い、グリーンシートの厚みも益々薄膜化する傾向にある。グリーンシートの更なる薄膜化に伴い、特に厚みが3μm以下の薄膜グリーンシートを成形しようとした場合、離型フィルムの離型層表面の表面粗度が高い場合には、セラミックスラリー塗工時にスラリーのはじきあるいはピンホールの発生、グリーンシート剥離時にはグリーンシートの破断等の不具合を生じる場合がある。
【0003】
上記不具合を解決するために表面粗度の低いポリエステルフィルムを基材とする離型フィルムを使用すると、離型フィルムをロール状に巻取った際にブロッキングあるいはシワ等が発生する等の不具合を生じる場合がある。一方、離型フィルムの厚みむらが大きい場合、グリーンシートの薄膜化が進行するに伴い、例えば、グリーンシートの積層数の増加に伴い、グリーンシート1枚自体のシート厚みむらが多層積層化に伴い、より強調され、多層積層後のグリーンシート積層体の厚みむらがさらに大きくなる傾向にあり、静電容量のバラツキが大きくなる等により、高容量のセラミック積層コンデンサーを製造するのが困難な状況にある。
【0004】
【特許文献1】特開平11−105131
【特許文献2】特開平11−198228
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記実情に鑑みなされたものであって、その解決課題は、グリーシート成形用として、特にセラミック積層コンデンサー製造時に使用する、厚みが3μm以下の薄膜グリーンシート成形用として、フィルム厚みむらが極力小さく、離型面が平坦な離型フィルムを提供することにある。
【0006】
【発明を解決するための手段】
本発明者らは、上記実状に鑑み鋭意検討した結果、特定の構成からなる離型フィルムによれば、上述の課題を容易に解決できることを知見し、本発明を完成させるに至った。
【0007】
すなわち、本発明の要旨は、同時二軸延伸されたポリエステルフィルムの片面に離型層を有する離型フィルムであり、フィルム厚みむらが長手方向および幅方向ともに5%以下であり、下記式(1)および(2)を同時に満足することを特徴とするグリーンシート成形用離型フィルムに存する。
P−V(Si)≦700 …(1)
P−V≧400 …(2)
(上記式中、P−V(Si)は離型フィルムの離型面の最大粗さ(nm)、P−Vは離型フィルムの離型層が設けられていない面の最大粗さ(nm)を示す)
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
本発明において、ポリエステルフィルムに使用するポリエステルはホモポリエステルであっても共重合ポリエステルであってもよい。
【0009】
ホモポリエステルからなる場合、芳香族ジカルボン酸と脂肪族グリコールとを重縮合させて得られるものが好ましい。芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸などが挙げられ、脂肪族グリコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。代表的なポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート(PEN)等が例示される。
【0010】
一方、共重合ポリエステルの場合は、30モル%以下の第三成分を含有した共重合体であることが好ましい。共重合ポリエステルのジカルボン酸成分としては、イソフタル酸、フタル酸テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸セバシン酸、オキシカルボン酸(例えば、P−オキシ安息香酸など)等の一種または二種以上が挙げられ、グリコール成分として、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール等の一種または二種以上が挙げられる。
【0011】
何れにしても本発明でいうポリエステルとは、通常80モル%以上、好ましくは90モル%以上がエチレンテレフタレート単位であるポリエチレンテレフタレート、エチレン−2,6−ナフタレート単位であるポリエチレン−2,6−ナフタレート等であるポリエステルを指す。
【0012】
本発明におけるポリエステル層中には、易滑性付与を主たる目的として粒子を配合することが好ましい。配合する粒子の種類は易滑性付与可能な粒子であれば特に限定されるものではなく、具体例としては、例えば、シリカ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、硫酸カルシウム、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、カオリン、酸化アルミニウム、酸化チタン等の粒子が挙げられる。また、特公昭59−5216号公報、特開昭59−217755号公報等に記載されている耐熱性有機粒子を用いてもよい。この他の耐熱性有機粒子の例として、熱硬化性尿素樹脂、熱硬化性フェノール樹脂、熱硬化性エポキシ樹脂、ベンゾグアナミン樹脂等が挙げられる。さらにポリエステル製造工程中、触媒等の金属化合物の一部を沈殿、微分散させた析出粒子を用いることもできる。
【0013】
一方、使用する粒子の形状に関しても特に限定されるわけではなく、球状、塊状、棒状、扁平状等の何れを用いてもよい。また、その硬度、比重、色等についても特に制限はない。これら一連の粒子は、必要に応じて2種類以上を併用してもよい。
【0014】
使用する粒子の平均粒径は0.1〜5μmを満足するのが好ましく、さらに好ましくは0.5〜3μmの範囲である。平均粒径が0.1μm未満の場合には、粒子が凝集しやすく、分散性が不十分となり、一方、5μmを超える場合には、フィルムの表面粗度が粗くなりすぎて、後工程において離型層を設ける場合等に不具合を生じるようになる。
【0015】
さらにポリエステル中の粒子含有量は、0.01〜5重量%を満足するのが好ましく、さらに好ましくは0.01〜3重量%の範囲である。粒子含有量が0.01重量%未満の場合には、フィルムの易滑性が不十分になる場合があり、一方、5重量%を超えて添加する場合にはフィルム表面の平滑性が不十分になる場合がある。
【0016】
ポリエステル中に粒子を添加する方法としては、特に限定されるものではなく、従来公知の方法を採用しうる。例えば、ポリエステルを製造する任意の段階において添加することができるが、好ましくはエステル化の段階、もしくはエステル交換反応終了後、重縮合反応を進めてもよい。また、ベント付き混練押出機を用い、エチレングリコールまたは水などに分散させた粒子のスラリーとポリエステル原料とをブレンドする方法、または混練押出機を用い、乾燥させた粒子とポリエステル原料とをブレンドする方法などによって行われる。
【0017】
本発明の離型フィルムを構成するポリエステルフィルムの厚みは特にグリーンシートに対する離型性を軽剥離化する点より、フィルムの腰による影響を低減させるためにより薄膜であるのが好ましい。しかしながら、一方においては後述する離型層積層時のフィルム平面性確保の必要があり、離型フィルムを構成するポリエステルフィルム厚みが薄膜化しすぎる場合には往々にして熱しわ等により、フィルム平面性が損なわれる場合が多い。かかる観点より、本発明における離型フィルムを構成するポリエステルフィルムの厚みは9〜38μm、さらには9〜30μmの範囲が好ましい。
【0018】
本発明における離型フィルムを構成するポリエステルフィルムの延伸配向方法については、長手方向および幅方向ともにフィルム厚みむらを5%以下に抑える必要があるため、同時二軸延伸法を採用する必要がある。フィルム厚みむらに関しては、フィルム長手方向および幅方向ともに3%以下であることがさらに好ましい。フィルム厚みむらが長手方向または幅方向の何れか一方が5%を超える場合、当該ポリエステルフィルムから構成される離型フィルムを用いてグリーンシートを成形した場合、得られるグリーンシートは厚みむらが大きく、例えば、グリーンシートの積層数が400層以上の高容量のセラミック積層コンデンサー製造用には不適当となる。
【0019】
次に本発明におけるポリエステルフィルムの製造例について具体的に説明するが、以下の製造例に何ら限定されるものではない。
【0020】
すなわち、先に述べたポリエステル原料を使用し、ダイから押し出された溶融シートを冷却ロールで冷却固化して未延伸シートを得る方法が好ましい。この場合、シートの平面性を向上させるためシートと回転冷却ドラムとの密着性を高める必要があり、静電印加密着法および/または液体塗布密着法が好ましく採用される。
【0021】
次に得られた未延伸シートは機械方向および幅方向に同時に二軸方向に延伸される。同時二軸延伸法としては、前記の未延伸シートを通常70〜120℃、好ましくは80〜110℃で温度コントロールされた状態で機械方向および幅方向に同時に延伸し配向させる方法で、延伸倍率としては、面積倍率で4〜50倍、好ましくは7〜35倍、さらに好ましくは10〜25倍である。そして、引き続き、170〜250℃の温度で緊張下または30%以内の弛緩下で熱処理を行い、延伸配向フィルムを得る。
【0022】
上述の延伸方式を使用する同時二軸延伸装置に関しては、スクリュー方式、パンタグラフ方式、リニアー駆動式等、従来公知の延伸方式を採用することができる(例えば、特許文献1および特許文献2に記載例がある)。「スクリュー方式」とは、スクリューの溝にクリップを乗せてクリップ間隔を広げていく方式である。「パンタグラフ方式」とは、パンタグラフを用いてクリップ間隔を広げていく方式である。「リニアモーター方式」とは、リニアモーター原理を応用し、クリップを個々に制御可能な方式でクリップ間隔を任意に調整することができる利点を有する。
【0023】
さらに同時二軸延伸に関しては二段階以上に分割して行ってもよく、その場合、延伸場所は一つのテンター内で行ってもよいし、複数のテンターを併用してもよい。
【0024】
本発明において、同時二軸延伸により離型フィルムを構成するポリエステルフィルムを延伸することによれば、従来、逐次延伸では面積倍率が大きくなる場合において、延伸時に破断する等の不具合を生じる場合があったが、同時二軸延伸においては延伸追従性が良好であるため、フィルム長手方向および幅方向において、逐次二軸延伸よりもさらに面積倍率を大きくすることが可能なため、さらにフィルム厚みむらの小さいポリエステルフィルムを製造することが可能となる。
【0025】
また、上述のポリエステルフィルムの延伸工程中にフィルム表面を処理する、いわゆる塗布延伸法(インラインコーティング)を施すことができる。塗布延伸法にてポリエステルフィルム上に塗布層が設けられる場合には、延伸と同時に塗布が可能になると共に塗布層の厚みを延伸倍率に応じて薄くすることができ、ポリエステルフィルムとして好適なフィルムを製造できる。
【0026】
本発明の離型フィルムを構成する離型層は離型性を有する材料を含有していれば、特に限定されるものではない。特に硬化型シリコーン樹脂を含有することによれば、離型性が良好となるので好ましい。硬化型シリコーン樹脂の種類としては付加型・縮合型・紫外線硬化型・電子線硬化型・無溶剤型等、何れの硬化反応タイプでも用いることができる。これらの中でも硬化反応が早い点で付加型が好ましく、さらに付加型の中でも、紫外線硬化型・電子線硬化型・無溶剤型からなるタイプが、より低温で硬化可能であるために好ましい。また、離型層の剥離性等を調整するために剥離コントロール剤を併用してもよい。本発明の離型フィルムを構成する離型層は上述の塗布延伸法によりポリエステルフィルム上に設けられてもよい。
【0027】
離型層の塗工量(乾燥後)は0.005〜2g/m2、さらには0.005〜1g/m2、特に0.005〜0.5(g/m2)の範囲が好ましい。離型層の塗工量(乾燥後)が0.005g/m2未満の場合、塗工性の面で安定性に欠け、均一な塗膜を得るのが困難な場合がある。一方、塗工量が2g/m2を超える場合、離型層自体の塗膜密着性、硬化性等が低下する場合がある。
【0028】
本発明において、ポリエステルフィルムに離型層を設ける方法として、リバースグラビアコート、ダイレクトグラビアコート、バーコート、ダイコート等、従来公知の塗工方式を用いることができる。
【0029】
また、本発明における離型フィルムを構成するポリエステルフィルムには予めコロナ処理、プラズマ処理等の表面処理を施してもよい。さらに本発明における離型フィルムを構成するポリエステルフィルムには予め接着層、帯電防止層等の塗布層が設けられていてもよい。
【0030】
本発明の離型フィルムの離型面の最大粗さ(P−V(Si))は700nm以下であり、好ましくは500nm以下、さらに好ましくは400nm以下である。P−V(Si)が700nmを超える場合には、離型面の平坦性が不十分となり、例えば、平坦な表面を有するグリーンシートを得るのが困難になる。P−V(Si)の下限に関しては、離型フィルムの巻取り性あるいは搬送性等を考慮し、通常100nmとされる。
【0031】
さらに本発明の離型フィルムの離型層が設けられていない面の最大粗さ(P−V)は400nm以上である。P−Vが400nm未満の場合、離型層が設けられていない面が平坦になりすぎて、滑り性が低下する等の不具合を生じるようになる。一方、P−Vの上限に関しては、グリーンシート表面への粗度転写等を考慮し、700(nm)を上限とするのが好ましい。
【0032】
さらに本発明における離型フィルムに関して、離型面とアクリル系粘着テープとの剥離力(F)は300mN/cm以下が好ましく、200mN/cm以下がさらに好ましい。Fが300mN/cmを超える場合には、グリーンシート剥離時に剥離困難になる場合がある。
【0033】
本発明における離型フィルムについて、離型層の残留接着率は成形するグリーンシート表面への離型成分の移行あるいは転着を抑制するため、80%以上が好ましく、さらに好ましくは90%以上である。残留接着率が80%未満の場合、離型フィルムの離型面と接する相手方グリーンシート表面への離型成分の移行が多くなり、例えば、グリーンシート積層時にシート間接着力が低下する等の不具合を生じる場合がある。
【0034】
【実施例】
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。また、本発明で用いた測定法は次のとおりである。
【0035】
(1)ポリエステルの固有粘度の測定
ポリエステルに非相溶な他のポリマー成分および顔料を除去したポリエステル1gを精秤し、フェノール/テトラクロロエタン=50/50(重量比)の混合溶媒100mlを加えて溶解させ、30℃で測定した。
【0036】
(2)平均粒径(d50:μm)の測定
遠心沈降式粒度分布測定装置((株)島津製作所(製)SA−CP3型)を使用して測定した等価球形分布における積算(重量基準)50%の値を平均粒径とした。
【0037】
(3)離型フィルムの剥離力(F)の評価
試料フィルムの離型層に両面粘着テープ(日東電工製「No.502」)の片面を貼り付けた後、50mm×300mmのサイズにカットし、室温にて1時間放置後の剥離力を測定する。剥離力は引張試験機((株)インテスコ製「インテスコモデル2001型」)を使用し、引張速度300mm/分の条件下、180°剥離を行った。
【0038】
(4)離型フィルムの離型面および離型層が設けられていない面の最大粗さ(P−V(Si)、P−V)評価
直接位相検出干渉法、いわゆるマイケルソンの干渉を利用した2光束干渉法を用いた、非接触表面計測システム「マイクロマップ社製Micromap512)」により、試料フィルムの離型面の最大粗さ(P−V(Si))および離型層が設けられていない面の最大粗さ(P−V)を計測した。なお、測定波長は554nmとし、対物レンズは20倍を用いて、20視野計測し、その平均値を採用した。
【0039】
(5)離型層の塗布量測定
蛍光X線測定装置((株)島津製作所(製)型式「XRF−1500」)を用いてFP(Fundamental Parameter Method)法により、下記測定条件下、離型フィルムの離型層が設けられた面および離型層がない面の珪素元素量を測定し、その差をもって、離型層中の珪素元素量とした。次に得られた珪素元素量を用いて、−SiO(CH3)2のユニットとしての 塗布量(Si)(g/m2)を算出した。
《測定条件》
分光結晶:PET(ペンタエリスリトール)
2θ:108.88°
管電流:95mA
管電圧:40kv
【0040】
(6)離型フィルムの残留接着率評価
▲1▼残留接着力
試料フィルムの離型面に日東電工(製)No.31B粘着テープを2kgゴムローラーにて1往復圧着し、100℃で1時間加熱処理する。次いで、圧着したサンプルからNo.31B粘着テープを剥がし、JIS− C−2107(ステンレス板に対する粘着力、180°引き剥がし法)の方法に準じて接着力を測定する。これを残留接着力とする。
【0041】
▲2▼基礎接着力
残留接着力の場合と同じテープ(No.31B)を用いてJIS−C−2107に準じてステンレス板に粘着テープを圧着して、同様の要領にて測定を行う。この時の値を基礎接着力とする。これらの測定値を用いて、下記式に基づいて残留接着率を求める。
残留接着率(%)=(残留接着力/基礎接着力)×100
なお、測定は20±2℃、65±5%RHにて行う。
【0042】
(7)離型フィルムの長手方向および幅方向のフィルム厚みむら測定
試料フィルムを30mm幅×3m長に切り出す。その後、安立電気社製連続 フィルム厚み測定器(電子マイクロメーター使用)により測定し、下記式によりフィルム厚みむらを算出した。
厚みむら(%)=(最大厚み−最小厚み)/平均厚み×100
例えば、試料サンプルがA4カット判サイズの場合には、30mm幅に切り出したサンプル同士をつなぎ合わせて、測定長3m分(つなぎ部は除く)を確保する要領にて測定を行うことができる。
【0043】
(8)セラミックグリーンシートの厚みむら評価
下記組成よりなるセラミックスラリーを公知の手法により湿潤状態で12μmとなるようにスロットダイを用いて、試料フィルムの離型面にセラミック層を塗設しセラミックグリーンシートを作成し、セラミックグリーンシートの厚さを非接触式のβ線厚さ計にてフィルム上における縦方向、横方向のセラミック層の厚さを実測し、その結果を基に下記判定基準にて判定を行った。
【0044】
<セラミックスラリー組成>
セラミック粉体(チタン酸バリウム) 100部
結合剤(ポリビニルブチラール樹脂) 5部
可塑剤(フタル酸ジオクチル) 1部
トルエン/MEK混合溶媒(1:1の配合比率) 10部
【0045】
<グリーンシート厚さムラ判定基準>
○:厚みむらが3%未満
×:厚みむらが3%以上
○は実用上問題のないレベルである。
【0046】
(9)グリーンシート表面の平坦性評価
(8)項で得られたグリーンシート表面(測定対象面積;1m2)を走査型レーザー顕微鏡(レーザーテック社製)による表面観察を行い、下記判定基準により判定を行った。
《判定基準》
○…誘電体層表面に深さ1μm以上のクレーター(凹み)が1個/m2以下。
×…誘電体層表面に深さ1μm以上のクレーター(凹み)が2個/m2以上。
○は実用上問題のないレベルである。
【0047】
〈ポリエステルの製造〉
製造例1(ポリエチレンテレフタレートA1)
テレフタル酸86部、エチレングリコール70部を反応器にとり、約250℃で4時間エステル交換反応を行った。三酸化アンチモンを0.03部およびリン酸0.01部、平均粒径1.5μmの二酸化珪素粒子を0.1部加え、250℃から285℃まで徐々に昇温すると共に圧力を徐々に減じて0.5mmHgとした。 4時間後、重合反応を停止し、極限粘度0.65のポリエチレンテレフタレートA1を得た。
【0048】
製造例2(ポリエチレンテレフタレートA2)
製造例1において、平均粒径1.5μmの二酸化珪素粒子0.1部を用いる 代わりに平均粒径0.1μmの二酸化珪素粒子0.1部を用いる以外は製造例2と同様にして製造し、ポリエチレンテレフタレートA2を得た。
【0049】
製造例3(ポリエチレンテレフタレートA3)
製造例1において、平均粒径1.5μmの二酸化珪素粒子0.1部を用いる 代わりに平均粒径1.5μmの二酸化珪素粒子6部を用いる以外は製造例2と 同様にして製造し、ポリエチレンテレフタレートA3を得た。
【0050】
〈ポリエステルフィルムの製造〉
製造例4(PETフィルムF1)
製造例2で製造したポリエチレンテレフタレートA2を180℃で4時間不活性ガス雰囲気中で乾燥し、溶融押出機により290℃で溶融し、口金から押出し静電印加密着法を用いて表面温度を40℃に設定した冷却ロール上で冷却固化して未延伸シートを得た。次いで、下記組成からなる塗布剤を塗布した後、フィルムをテンターに導き、90℃で縦方向に4.5倍、横方向に4.8倍、同時二軸延伸した後、230℃にて熱固定を行い、塗工量が0.06g/m2(乾燥後)の塗布層が設けられた、厚さ38μmのPETフィルムF1を得た。
【0051】
《塗布剤組成》
硬化型シリコーン樹脂(旭化成ワッカー製:DEHESIVE39006)45重量%
硬化剤含有硬化型シリコーン樹脂(旭化成ワッカー製:DEHESIVE39005)45重量%
添加剤(信越化学製:KBM403)10重量%
上記離型剤にて固型分濃度5重量%水溶液を作製した。
【0052】
製造例5(PETフィルムF2)
製造例4において、塗布剤組成を下記塗布剤組成に変更する以外は製造例4と同様に製造し、塗工量が0.06g/m2(乾燥後)の塗布層が設けられた、厚さ38μmのPETフィルムF2を得た。
【0053】
《塗布剤組成》
硬化型シリコーン樹脂
(旭化成ワッカー製:DEHESIVE39006)5重量%
硬化剤含有硬化型シリコーン樹脂(旭化成ワッカー製:DEHESIVE39005)5重量%
ワックス(東邦化学製:E68A)40.5重量%
ワックス(東邦化学製:P5060)40.5重量%
架橋剤(大日本インキ化学工業製:ベッカミンMA−S)8重量%
添加剤(信越化学製:KBM403)1重量%
上記離型剤にて固型分濃度5重量%水溶液を作製した。
【0054】
製造例6(PETフィルムF3)
製造例4において、塗布剤組成を下記塗布剤組成に変更する以外は製造例4と同様に製造し、塗工量が0.06g/m2(乾燥後)の塗布層が設けられた、厚さ38μmのPETフィルムF3を得た。
【0055】
《塗布剤組成》
ワックス(東邦化学製:ハイテックP5060)90重量%
架橋剤(大日本インキ化学工業製:ベッカミンMA−S)10重量%
上記離型剤にて固型分濃度5重量%水溶液を作製した。
【0056】
製造例7(PETフィルムF4)
製造例4において塗布層を設けない以外は製造例4と同様にして製造し、PETフィルムF4を得た。
【0057】
製造例8(PETフィルムF5)
製造例4において、ポリエチレンテレフタレートA2の代わりに製造例1で製造したポリエチレンテレフタレートA1を用いる以外は製造例4と同様にして、塗工量が0.06g/m2(乾燥後)の塗布層が設けられた、厚さ38μmのPETフィルムF5を得た。
【0058】
製造例9(PETフィルムF6)
製造例4において、ポリエチレンテレフタレートA2の代わりに製造例3で製造したポリエチレンテレフタレートA3を用いる以外は製造例4と同様にして、塗工量が0.06g/m2(乾燥後)の塗布層が設けられた、厚さ38μmのPETフィルムF6を得た。
【0059】
製造例10(PETフィルムF7)
製造例2で製造したポリエチレンテレフタレートA2を180℃で4時間不活性ガス雰囲気中で乾燥し、溶融押出機により290℃で溶融し、口金から押出し静電印加密着法を用いて表面温度を40℃に設定した冷却ロール上で冷却固化して未延伸シートを得た。次いで、85℃で縦方向に4.5倍延伸した。その後、下記組成からなる塗布剤を塗布した後、フィルムをテンターに導き、横方向に4.8倍延伸した後、230℃にて熱固定を行い、塗工量が0.06g/m2(乾燥後)の塗布層が設けられた、厚さ38μmのPETフィルムF7を得た。
【0060】
《塗布剤組成》
硬化型シリコーン樹脂(旭化成ワッカー製:DEHESIVE39006)45重量%
硬化剤含有硬化型シリコーン樹脂(旭化成ワッカー製:DEHESIVE39005)45重量%
添加剤(信越化学製:KBM403)10重量%
上記離型剤にて固型分濃度5重量%水溶液を作製した。
【0061】
実施例1
製造例7で得たPETフィルムF4の片面に下記組成からなる離型剤を塗布量(乾燥後)が0.1g/m2になるように塗布し、120℃、30秒間熱処理した後、離型フィルムを得た。
《離型剤組成》
硬化型シリコーン樹脂(信越化学製:KS−5508)95重量%
硬化剤(信越化学製:PL−5000)5重量%
上記をトルエン/MEKの混合溶媒(混合比率は1:1)にて希釈し、固型分濃度2重量%の塗布液を作製した。
【0062】
実施例2
製造例4で得たPETフィルムF1を使用した。
実施例3
製造例5で得たPETフィルムF2を使用した。
実施例4
製造例8で得たPETフィルムF5を使用した。
実施例5
製造例6で得たPETフィルムF3を使用した。
【0063】
比較例1
製造例9で得たPETフィルムF6を使用した。
得られた離型フィルムは表面粗度が大きく、薄膜のグリーンシート成形用には不適当であった。
【0064】
比較例2
製造例10で得たPETフィルムF7を使用した。得られた離型フィルムは製膜時の延伸追従性が悪く、破断が発生しやすい状況にあった。そのため、グリーンシート成形用には不適当であった。
以上、上記実施例および比較例で得られた各フィルムの特性を下記表1および2にまとめて示す。
【0065】
【表1】
【0066】
【表2】
【0067】
【発明の効果】
本発明の離型フィルムはフィルム厚みむらが極力小さく、離型面が平坦であるために特にセラミック積層コンデンサー製造時に使用する、厚みが3μm以下の薄膜グリーンシート成形用に好適な離型フィルムを提供するため、その工業的価値は極めて高い。
Claims (1)
- 同時二軸延伸されたポリエステルフィルムの片面に離型層を有する離型フィルムであり、フィルム厚みむらが長手方向および幅方向ともに5%以下であり、下記式(1)および(2)を同時に満足することを特徴とするグリーンシート成形用離型フィルム。
P−V(Si)≦700 …(1)
P−V≧400 …(2)
(上記式中、P−V(Si)は離型フィルムの離型面の最大粗さ(nm)、P−Vは離型フィルムの離型層が設けられていない面の最大粗さ(nm)を示す)
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
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Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006181994A (ja) * | 2004-12-28 | 2006-07-13 | Toyobo Co Ltd | 薄層セラミックシート製造用離型フィルムロールの製造方法 |
JP2010235664A (ja) * | 2009-03-30 | 2010-10-21 | Mitsubishi Plastics Inc | 両面離型フィルム |
KR20140002552A (ko) | 2012-06-29 | 2014-01-08 | 코오롱인더스트리 주식회사 | 폴리에스테르 필름의 제조방법 |
KR20200131262A (ko) | 2018-03-12 | 2020-11-23 | 도레이 카부시키가이샤 | 이형용 2축 배향 폴리에스테르 필름 롤 |
-
2003
- 2003-03-25 JP JP2003082600A patent/JP2004291240A/ja active Pending
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