JP6665519B2 - 二軸配向ポリエステルフィルム及びその製造方法 - Google Patents

二軸配向ポリエステルフィルム及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は二軸配向ポリエステルフィルム及びその製造方法に関するものである。
二軸配向ポリエステルフィルムは、機械的性質、電気的性質、寸法安定性、透明性、耐薬品性などに優れた性質を有することから磁気記録材料、包装材料などの多くの用途において基材フィルムとして広く使用されている。特に近年、プリント配線基板製造用フィルムをはじめとしたキャリアフィルムとしての需要が高まっている。
多層の導体回路を有するプリント配線基板は、例えば、多数のビアホールを形成した導体回路とガラスクロスにエポキシ樹脂等を含浸させたプリプレグを絶縁、接着、導体保護のため多層積層して形成される。
プリント配線基板の製造工程は、プリント配線基板積層体を、剥離性に優れる多層プリント配線基板製造用フィルム(キャリアフィルム)が上下から挟み込むような形で配置され、このキャリアフィルムに載った形で多層プリント基板積層体が搬送され、加熱真空プレス及び高圧加熱プレスという一連の工程を通して、一体化させる方法が一般的である。
多層プリント配線基板製造用フィルム(キャリアフィルム)は、加熱真空プレス及び高圧加熱プレス工程を経た後はプリント配線基板積層体から剥がされて巻き取られる。
キャリアフィルムに求められる特性としては、剥離性、粒子脱落性、寸法安定性等が知られている。特許文献1、2、3では、ポリエステルフィルムに剥離性、粒子脱落性、寸法安定性を付与するために様々な検討がなされている。
特開2002−252458号公報 特開2005−111798号公報 特開2010−46964号公報
近年、プリント配線基板の精密化・多様化が進むにつれて、上記特許文献1〜3に記載のフィルムでは要求特性を満足できなくなっている。特許文献1〜3に記載の方法では、寸法安定性を向上させるために、長手方向・幅方向の熱収縮率を小さくする検討がなされているが、長手方向・幅方向の熱収縮率を小さくするだけでは、多層プリント基板積層体を加熱真空プレスや高圧加熱プレスで加工する際にキャリアフィルムの微小なシワの発生を抑制することができないことが判った。加熱真空プレスや高圧加熱プレスで加工する際にキャリアフィルムに微小なシワが発生すると、プリント配線基板の品質や生産性が低下するという問題が発生する。本発明は、プリント配線基板の製造時に用いられる加熱真空プレスや高圧加熱プレスなどの幅広い加工条件において、加工シワ発生がなく、生産性に優れた二軸配向ポリエステルフィルム及びその製造方法を提供することを課題としている。
上記課題を解決するための本発明は、以下の構成を有する。
(1)下記要件(a)〜(c)を満たす二軸配向ポリエステルフィルム。
(a)以下の方法で求められる200℃にて8kgf/mの張力がかかった時のフィルム長手方向の伸縮率が−5%以上−0.6%以下であること。
[200℃にて8kgf/mの張力がかかった時のフィルム長手方向の伸縮率の求め方]
測定サンプルはフィルム長手方向が長さ方向になるように5mm(幅)×20mm(長さ)で切り取る。測定サンプルの長さ方向について、アルバック理工社製熱機械的装置(TM−9300)を用いて下記測定条件にて、X軸を温度、Y軸を伸縮率としたTMA寸法変化曲線を測定する。X軸が200℃の際のTMA寸法変化曲線上に位置するY軸の伸縮率の値を伸縮率とする。測定は3回実施し、3回の平均値を200℃にて8kgf/mの張力がかかった時のフィルム長手方向の伸縮率とする。
[測定条件]
荷重 : 40g(8kgf/m)
昇温速度 :10℃/min
測定範囲 :30℃〜230℃
(b)以下の方法で求められる200℃にて8kgf/mの張力がかかった時のフィルム幅方向の伸縮率が0%以上3%以下であること。
[200℃にて8kgf/mの張力がかかった時のフィルム幅方向の伸縮率の求め方]
測定サンプルはフィルム幅方向が長さ方向になるように5mm(幅)×20mm(長さ)で切り取る。測定サンプルの長さ方向について、アルバック理工社製熱機械的装置(TM−9300)を用いて下記測定条件にて、X軸を温度、Y軸を伸縮率としたTMA寸法変化曲線を測定する。X軸が200℃の際のTMA寸法変化曲線上に位置するY軸の伸縮率の値を伸縮率とする。測定は3回実施し、3回の平均値を200℃にて8kgf/mの張力がかかった時のフィルム幅方向の伸縮率とする。
[測定条件]
荷重 : 40g(8kgf/m)
昇温速度 :10℃/min
測定範囲 :30℃〜230℃
(c)少なくとも片面の中心面平均粗さ(SRa)が0.20μm以上0.45μm以下であること。
(2)100℃、30分間加熱したときのフィルム幅方向の熱収縮率が−1.0%以上−0.3%以下である(1)に記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
(3)150℃、30分間加熱したときのフィルム幅方向の熱収縮率が−1.0%以上−0.3%以下である(1)または(2)に記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
(4)フィルム幅方向における配向角の最小値と最大値の差x(゜)と、配向角の最大値と最小値間の幅L(m)に対する比x/Lが0〜20(゜/m)である(1)〜(3)のいずれかに記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
(5)プリント配線基板製造用キャリアフィルムに用いられる(1)〜(4)のいずれかに記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
(6)下記要件(d)〜(g)を満たす、(1)〜(5)のいずれかに記載の二軸配向ポリエステルフィルムの製造方法。
(d)未延伸フィルムを、フィルム長手方向に延伸倍率3.0〜4.0倍の範囲で延伸した後、幅方向に延伸倍率2.0〜4.5倍の範囲で延伸を行うこと。
(e)幅方向延伸後に、ポリエステルフィルムを構成する樹脂のガラス転移温度以下に冷却する工程を経た後、熱固定処理を実施すること。
(f)前記熱固定処理が200℃以上2 30℃以下の温度で実施すること。
(g)前記熱固定処理後に下記(I)〜(III)を満たす弛緩処理を実施すること。
(I)200℃以上220℃以下の温度で、1.0秒以上10秒以下、1.5%以
上5.0%以下の 弛緩処理を実施すること。
(II)(I)の工程の後に、160℃以上210℃以下の温度で、1.0秒以上10秒以下、1.5%以上5.0%以下の弛緩処理を実施すること。
(III)(II)の工程の後に、80℃以上160℃以下の温度で、1.0秒以上10秒以下、1.0%以上3.0%以下の弛緩処理を実施すること。
(7)フィルム長手方向の延伸が100〜130℃、フィルム幅方向の延伸が100〜130℃の範囲で行う(6)に記載の二軸配向ポリエステルフィルムの製造方法。
本発明は、プリント配線基板の製造時に用いられる加熱真空プレスや高圧加熱プレスなどの幅広い加工条件において、加工シワ発生がなく、搬送性が良い、生産性に優れた二軸配向ポリエステルフィルム及びその製造方法を提供することが出来る。
以下、本発明のポリエステルフィルムについて詳細に説明する。
本発明における長手方向とは、フィルムの巻き長さ方向であり、幅方向とはそれと直交する方向の事である。本発明におけるポリエステルとは、ジカルボン酸由来の構造単位(ジカルボン酸成分)とジオール由来の構造単位(ジオール成分)のエステル結合により形成されるポリマーを指す。
ジカルボン酸成分としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルスルホンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ダイマー酸、ドデカンジオン酸、シクロヘキサンジカルボン酸などの脂肪族ジカルボン酸、および、各種芳香族ジカルボン酸、脂肪族ジカルボン酸とのエステル誘導体が挙げられる。これらのジオール成分はエチレングリコール以外に1種類のみでもよく、2種類以上を併用してもよい。
また、ジオール成分としては、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリアルキレングリコール、2,2−ビス(4−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン、イソソルベート、スピログリコールなどを挙げることができる。これらのジカルボン酸成分はエチレングリコール以外に1種類のみでもよく、2種類以上を併用してもよい。
これらのジカルボン酸成分、ジオール成分の中でも、耐溶剤性、耐熱性の観点から、ジカルボン酸成分としては、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸が好ましく、ジオール成分としては、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、イソソルベート、スピログリコールが好ましく用いられる。耐溶剤性、耐熱性に加え、製造コストの観点からは、テレフタル酸とエチレングリコールの組合せが最も好ましい。
本発明のポリエステルフィルムを構成するポリエステルが、テレフタル酸とエチレングリコールの組合せからなる、いわゆるポリエチレンテレフタレートとなる場合、テレフタル酸以外のジカルボン酸成分は、ポリエステルを構成する全ジカルボン酸成分100モル%に対して0モル%以上20モル%以下が好ましく、0モル以上10モル%以下がより好ましく、0モル%以上2モル以下がさらに好ましく、特に好ましくは、0モル%、すなわちジカルボン酸成分がテレフタル酸成分のみからなる構成である。テレフタル酸成分以外のジカルボン酸成分が全ジカルボン酸成分100モル%に対して20モル%を超えると、ポリエステルフィルムの融点が低下したり結晶性が低下したりして、耐熱性が不十分となる場合がある。
また、本発明のポリエステルフィルムを構成するポリエステルが、ポリエチレンテレフタレートとなる場合、エチレングリコール以外のジオール成分は、ポリエステルを構成する全ジオール成分100モル%に対して0モル%以上33モル%以下が好ましく、0%モル以上10モル%以下がより好ましく、0モル%以上5モル%以下がさらに好ましく。特に好ましくは0モル%、すなわちジオール成分がエチレングリコールのみからなる構成である。エチレングリコール以外のジオール成分が全ジオール成分100モル%に対して33モル%を超えると、ポリエステルフィルムの融点が低下したり結晶性が低下したりして、耐熱性が不十分となる場合がある。
本発明のポリエステルフィルムは、後述する測定方法により求められる200℃にて8kgf/mの張力がかかった時のフィルム長手方向の伸縮率が−5%以上−0.6%以下であり、200℃にて8kgf/mの張力がかかった時のフィルム幅方向の伸縮率が0%以上3%以下であることで構成されるものである。
従来、二軸配向ポリエステルフィルムの加工シワを抑制させるためには、長手方向・幅方向の熱収縮率を小さくする検討がなされてきた。それぞれの検討の進歩によって、加工シワの抑制は一定程度向上されている。しかしながら、上記の検討の結果、得られたポリエステルフィルムにおいても、特定の加工条件下においては、ポリエステルフィルムの加工シワ抑制が十分でなかった。また、そのようなポリエステルフィルムを、キャリアフィルムとして用いた場合、プリント配線基板の生産性は十分でないという問題があることがわかった。本願発明者らは、この原因について鋭意検討した結果、高温(200℃)にて、高張力下(8kgf/m)がかかった時のポリエステルフィルムの長手方向・幅方向の伸縮率を特定の範囲とすることで、ポリエステルフィルムの加工シワ抑制、およびそのようなポリエステルフィルムをキャリアフィルムして用いたプリント基板の生産性が大きく改善されることを見出した。この原因についてはまだ完全に明らかになっているわけではないが、本発明者らは、以下のとおり推定している。ポリエステルフィルムが、200℃にて8kgf/mの張力がかかった時の伸縮率が上述の範囲を外れる場合、でのプリント基板の製造時に、長手方向・幅方向の変形のバランスが悪くなり、フィルムに歪みが生じ、シワが発生する。
そのため、本発明のポリエステルフィルムは、200℃にて8kgf/mの張力がかかった時のフィルム長手方向の伸縮率が−5%以上−0.6%以下であり、200℃にて8kgf/mの張力がかかった時のフィルム幅方向の伸縮率が0%以上3%以下であることが必要である。より好ましくは、200℃にて8kgf/mの張力がかかった時のフィルム長手方向の伸縮率が−3%以上−1.0%以下であり、200℃にて8kgf/mの張力がかかった時のフィルム幅方向の伸縮率が1%以上2%以下であることが好ましい。上述の範囲とすることで、より加工シワの発生を抑制することが出来る。
また、本発明のポリエステルフィルムは、少なくとも片面の中心面平均粗さ(SRa)が0.20μm以上0.45μm以下であることで構成されるものである。0.20μm以下である場合はキャリアフィルムとして搬送性・エア抜け性が悪くなる。0.45μm以上の場合は、フィルム表面の凹凸が大きくなり過ぎる傾向にあり、熱プレス時に粒子が脱落して熱板に付着する等の問題が生じることがある。
以下に、本発明のポリエステルフィルムに適度の表面凹凸を付与させる場合の方法について説明する。フィラーを構成する熱可塑性樹脂100重量部に対して2〜20重量部添加することが好ましい。より好ましくは、3〜10重量部である。フィラーは特に限定しないが好ましくは平均粒径が1〜10μmであり、より好ましくは2〜6μmである事が好ましい。
粒子はフィルム添加用の公知の粒子であればよく、たとえば、内部粒子、無機粒子、有機粒子が好ましい。無機粒子としては、例えば、湿式および乾式シリカ、コロイダルシリカ、ケイ酸アルミ、酸化チタン、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化アルミ、マイカ、カオリン、クレーなど、有機粒子としては、スチレン、シリコーン、アクリル酸類、メタクリル酸類、ポリエステル類、ジビニル化合物などを構成成分とする粒子を使用することができる。なかでも、湿式および乾式シリカ、アルミナなどの無機粒子およびスチレン、シリコーン、アクリル酸、メタクリル酸、ポリエステル、ジビニルベンゼンなどを構成成分とする粒子を使用することが好ましい。さらに、これらの内部粒子、無機粒子および有機粒子は二種以上を併用してもよい。
平均粒子径の算出方法は、以下の通り算出される。
フィルム表面から熱可塑性樹脂をプラズマ低温灰化処理法で除去し、粒子を露出させる。処理条件は、熱可塑性樹脂は灰化されるが、粒子はダメージを受けない条件を選択する。これを走査型電子顕微鏡(SEM)で観察し、粒子の画像をイメージアナライザーで処理する。観察箇所を変えて、粒子数1000個以上で、次の式による数値処理を行い、それによって求めた数平均径Dを平均粒径とした。次の式のDiは粒子の円相当径、Nは粒子数である。
D=ΣDi/N・・・・・(式1)
また、本発明のポリエステルフィルムは、100℃、30分間加熱したときのフィルム幅方向の熱収縮率が−1.0%以上−0.3%以下であり、150℃、30分間加熱したときのフィルム幅方向の熱収縮率が−1.0%以上−0.3%以下であることが好ましい。上述の範囲とすることで低温の加工温度で加工される場合において、ポリエステルフィルムに加工シワの発生を抑制することが可能となる。
また、本発明のポリエステルフィルムは、フィルム幅方向における配向角(θ)の最小値と最大値の差x(゜)と、配向角の最大値と最小値間の幅L(m)に対する比x/Lが0〜20(゜/m)であることが好ましい。上述の範囲とすることで、分子配向のムラを抑制し、キャリアフィルムとして使用されるフィルム幅が大きくなっても、ポリエステルフィルムの収縮方向のバランスが取れ、ポリエステルフィルムに加工シワが発生を抑制することが可能となる。
なお、製造後に幅方向にカットされていない二軸配向ポリエステルフィルムの中間製品における幅方向中央部においては、フィルムの配向軸は、通常、長手方向および幅方向の2方向となるが、長手方向および幅方向のどちらが長軸となり、どちらが短軸となるかは、フィルムの製造方法によって異なる。フィルムの長手方向の延伸倍率がフィルムの幅方向と比較して高い場合は、配向の長軸が長手方向となり、超音波伝導速度の最大値を示す方向もフィルムの長手方向になる。この場合の角度(θ)はフィルム幅方向中央部では90°となるが、(例えば、フィルム幅方向の中央部以外の部分において)長軸方向がフィルム幅方向に対して10°ずれた場合、角度(θ)は10°となる。一方、フィルムの幅方向の延伸倍率がフィルムの長手方向と比較して高い場合は、配向の長軸が幅方向となり、超音波伝導速度の最大値を示す方向もフィルムの幅方向となる。この場合の角度(θ)はフィルム幅方向中央部では0°となるが、(例えば、フィルム幅方向の中央部以外の部分において)長軸方向がフィルム幅方向に対して80°ずれた場合、角度(θ)は80°となる。
また、近年では生産性を向上させるために、広いフィルム幅を持つ二軸配向ポリエステルフィルムを一旦製造して中間製品(中間ロール)を得た後、その中間製品(中間ロール)をフィルムの幅方向にスリットして、数本から十数本のロール(最終製品)を得る方法が採用されることがある。中間製品の幅方向中央部では、上述したとおりフィルム長手方向に配向が高い場合の角度(θ)は0°であり、フィルム幅方向に配向が高い場合の角度(θ)は90°であるが、ポリエステルフィルムの幅方向中央部から離れる(端部に近づく)に従い、一般的にはボーイング現象により配向角のズレが発生する。
本発明のポリエステルフィルムの製造方法として、下記要件(d)〜(g)を満たすことが好ましい。
(d)未延伸フィルムを、フィルム長手方向に延伸倍率3.0倍以上4.0倍以下の範囲で延伸した後、幅方向に延伸倍率2.0倍以上4.5倍以下の範囲で延伸を行うこと。

(e)幅方向延伸後に、ポリエステルフィルムを構成する樹脂のガラス転移温度以下に冷却する工程を経た後、熱固定処理を実施すること。
(f)前記熱固定処理が200℃以上230℃以下の温度で実施すること。
(g)前記熱固定処理後に下記(I)〜(III)を満たす弛緩処理を実施すること。
(I)200℃以上220℃以下の温度で、1.0秒以上10秒以下、1.5%以上5.0%以下の弛緩処理を実施すること。
(II)(I)の工程の後に、160℃以上210℃以下の温度で、1.0秒以上10秒以下、1.5%以上5.0%以下の弛緩処理を実施すること。
(III)(II)の工程の後に、80℃以上160℃以下の温度で、1.0秒以上10秒以下、1.0%以上3.0%以下の弛緩処理を実施すること。
長手方向の延伸倍率は、ポリエステル分子鎖を配向させ、長手方向のフィルム伸縮率を好適な範囲にするために、3.0〜4.0倍にする事が好ましい。長手方向の延伸倍率が3.0倍未満の場合では配向が不十分となり、長手方向のフィルム伸縮率が小さくなってしまう。4.0倍を超える場合は、配向が高くなり、長手方向のフィルム伸縮率が高くなってしまう。また、長手方向の延伸倍率は、より好ましくは3.2〜3.5倍である。
幅方向の延伸倍率は、ポリエステル分子鎖を配向させ、幅方向のフィルム伸縮率を好適な範囲にするために、2.0〜4.5倍にする事が好ましい。幅方向の延伸倍率が2.0倍未満の場合では配向が不十分となり、幅方向のフィルム伸縮率が小さくなってしまう。4.5倍を超える場合は、配向が高くなり、幅方向のフィルム伸縮率が高くなってしまう。また、幅方向の延伸倍率は、より好ましくは3.0〜4.0倍である。
さらに、幅方向延伸工程と熱固定処理工程の間にポリエステルフィルムを構成する樹脂のガラス転移温度以下に冷却する工程(中間工程)を有することが好ましい。二軸延伸フィルムの製造において、フィルムの幅方向延伸〜熱処理工程にて、幅方向延伸時の延伸張力により、フィルムが保持されていない幅方向中央部分において、熱処理工程側のフィルムが幅方向延伸側へと引き込まれるため、幅方向の端部に行くに従い配向角が斜め方向にずれるボーイング現象が発生する。この現象によりフィルム面内でのポリエステル分子配向の方向による差が幅方向端部ほど大きくなる。分子配向のムラは、熱負荷がかかった際のフィルム熱収縮方向に影響を与えるため好ましくない。なお、ここでいう熱固定処理工程とは、フィルムに加熱された熱風を吹き付ける手段やラジエーションヒーター等の加熱手段を用いてフィルムを加熱することで結晶化を進める工程のことをさす。熱固定処理工程においては、200〜230℃の温度にてフィルムを加熱処理する事が好ましい。 200℃以下で熱固定処理を実施する場合は、フィルムの結晶化が進まず、長手方向・幅方向のフィルム伸縮率が高くなってしまう。一方、230℃以上で熱固定処理を実施するとフィルムの結晶化が進み、長手方向・幅方向のフィルム伸縮率が小さくなってしまう。また、熱固定処理温度は、より好ましくは205℃以上225℃以下が好ましい。
また、本発明における中間工程とは、幅方向延伸工程と熱固定処理工程の中間に位置し、フィルムを加熱する手段を有さず、長手方向・幅方向共にフィルムの寸法を変えない状態で幅方向両端を保持しながら搬送する工程をさす。中間工程では温度変動を抑制するために、周囲が断熱壁などで囲われていることが好ましい。
上記の幅方向延伸工程および中間工程を有する事で、幅方向延伸時の延伸張力が熱処理工程に伝搬しにくくなり、フィルム配向軸の歪みを発生させる上述のボーイング現象抑制することが可能となる。
フィルムの製造コストを低減するためには、例えばフィルム幅が2mを越えるような広幅にて二軸配向ポリエステルフィルムを製造することが必要となってくるが、フィルム幅が広くなる程、幅方向端部位置での配向軸が傾くため、このような広幅のフィルムを製造する場合に、上記の製造方法を用いる事は特に好ましい。
さらに、熱固定処理後に下記(I)〜(III)の3段の弛緩処理工程を順次実施する事が好ましい。3段の弛緩処理工程を順次実施することで、幅方向の延伸で形成された分子配向が弛緩し、幅方向のフィルムの熱収縮率を好ましい範囲に制御する事が出来る。3段階で弛緩処理を実施しない場合は、弛緩処理温温度で決まる特定の温度領域における熱収縮率は目標値を達成するが、幅広い温度域における幅方向の熱収縮率を制御する事が出来ない。そのため、幅広い加工温度での使用が困難になると言った不具合が発生する。
(I)200℃以上220℃以下の温度で、1.0秒以上10秒以下、1.5%以上5.0%以下の弛緩処理を実施すること。
(II)(I)の工程の後に、160℃以上210℃以下の温度で、1.0秒以上10秒以下、1.5%以上5.0%以下の弛緩処理を実施すること。
(III)(II)の工程の後に、80℃以上160℃以下の温度で、1.0秒以上10秒以下、1.0%以上3.0%以下の弛緩処理を実施すること。
弛緩処理前のフィルム幅をW0とし、第1の弛緩処理後のフィルム幅をW1、第2の弛緩処理後のフィルム幅をW2、第3の弛緩処理後のフィルム幅をW3とし、弛緩処理率は、下記の様に算出した。
第1の弛緩処理率:100×(W0−W1)/W0
第2の弛緩処理率:100×(W1−W2)/W1
第3の弛緩処理率:100×(W2−W3)/W2
また、幅W0のフィルムがW1になる区間L1(m)とした時に該工程を通過するフィルム速度S1(m/min)とし、幅W1のフィルムがW2になる区間L2(m)とした時に該工程を通過するフィルム速度S2(m/min)とし、幅W2のフィルムがW3になる区間L3(m)とした時の該工程を通過するフィルム速度S3(m/min)とし、各弛緩処理時間は、下記式の様に算出した。
第1の弛緩処理時間:L1/S1
第2の弛緩処理時間:L2/S2
第3の弛緩処理時間:L3/S3
また、縦方向・横方向の延伸温度を100〜130℃にする事が好ましい。延伸温度がTg以上100℃以下であると分子配向が強くなり、熱収縮率が高くなるため、好ましくない。また、130℃を超える場合もフィルムの熱結晶化が進み、加工時のフィルム熱収縮率が高くなり好ましくない。特に好ましくは、115〜125℃の範囲である。
次に、本発明のポリエステルフィルムの好ましい製造方法を以下に説明するが、本発明はかかる例に限定して解釈されるものではない。
ポリエステルを押出機に供給し溶融押出する。この際、押出機内を流通窒素雰囲気下で、酸素濃度を0.7体積%以下とし、樹脂温度は265℃〜295℃に制御することが好ましい。また、2種類以上の異なる層を積層させる場合はそれぞれ別々の押出機に供給して溶融押出した後、フィードブロック、マルチマニホールドなどの装置を使用して各溶融押出ポリマーを合流させて積層状態にする。
ついで、フィルターやギヤポンプを通じて、異物の除去、押出量の均整化を各々行い、Tダイより冷却ドラム上にシート状に吐出する。その際、高電圧を掛けた電極を使用して静電気で冷却ドラムと樹脂を密着させる静電印加法、キャストドラムと押出したポリマーシート間に水膜を設けるキャスト法、キャストドラム温度をポリエステル樹脂のガラス転移点〜(ガラス転移点−20℃)にして押出したポリマーを粘着させる方法、もしくは、これらの方法を複数組み合わせた方法により、シート状ポリマーをキャストドラムに密着させ、冷却固化し、未延伸フィルムを得る。これらのキャスト法の中でも、ポリエステルを使用する場合は、生産性や平面性の観点から、静電印加する方法が好ましく使用される。キャストドラムの表面温度は、延伸性の観点から、30℃以下が好ましい。
本発明の二軸配向フィルムは、未延伸フィルムを長手方向に延伸した後、幅方向に延伸する、あるいは、幅方向に延伸した後、長手方向に延伸する逐次二軸延伸方法により、得ることができる。
かかる延伸方法における延伸倍率としては、長手方向に、好ましくは、3.0倍以上4.0倍以下、さらに好ましくは3.2倍以上3.5倍以下が採用される。また、延伸速度は1,000%/分以上200,000%/分以下であることが望ましい。また長手方向の延伸温度は、100℃以上130℃以下が好ましく、さらに好ましくは115〜125℃の範囲である。
幅方向の延伸倍率としては、好ましくは2.0倍以上4.5倍以下、さらに好ましくは、3.0倍以上4.0倍以下である。幅方向の延伸速度は1,000%/分以上200,000%/分以下であることが望ましい。その後、必要に応じて2回目の縦延伸を行ってもよい。2回目の縦延伸を行う場合の延伸倍率は、1倍以上2倍以下が好ましく、1.2倍以上1.6倍以下がより好ましい。また、延伸温度は、140℃以上160℃以下が好ましい。
さらに、二軸延伸後にフィルムの熱固定処理を行う。熱固定処理はオーブン中、加熱したロール上など従来公知の任意の方法により行うことができ、上述した200℃以上230℃以下で行うことが好ましい。
さらに、熱固定処理後にフィルムの弛緩処理を上述した3段階の方法で実施することが好ましい。
〔特性の測定方法および評価方法〕
本発明における特性の測定方法、および効果の評価方法は次のとおりである。
(1)200℃にて8kgf/mの張力がかかった時のフィルム長手方向の伸縮率
測定サンプルはフィルム長手方向が長さ方向になるように5mm(幅)×20mm(長さ)で切り取る。測定サンプルの長さ方向について、アルバック理工社製熱機械的装置(TM−9300)を用いて下記測定条件にて、X軸を温度、Y軸を伸縮率としたTMA寸法変化曲線を測定する。X軸が200℃の際のTMA寸法変化曲線上に位置するY軸の伸縮率の値を伸縮率とする。測定は3回実施し、3回の平均値を200℃にて8kgf/mの張力がかかった時のフィルム長手方向の伸縮率とする。
[測定条件]
荷重 : 40g(8kgf/m)
昇温速度 :10℃/min
測定範囲 :30℃〜230℃
(2)200℃にて8kgf/mの張力がかかった時のフィルム幅方向の伸縮率
測定サンプルはフィルム幅方向が長さ方向になるように5mm(幅)×20mm(長さ)で切り取る。測定サンプルの長さ方向について、アルバック理工社製熱機械的装置(TM−9300)を用いて下記測定条件にて、X軸を温度、Y軸を伸縮率としたTMA寸法変化曲線を測定する。X軸が200℃の際のTMA寸法変化曲線上に位置するY軸の伸縮率の値を伸縮率とする。測定は3回実施し、3回の平均値を200℃にて8kgf/mの張力がかかった時のフィルム幅方向の伸縮率とする。
[測定条件]
荷重 : 40g(8kgf/m)
昇温速度 :10℃/min
測定範囲 :30℃〜230℃
(3)中心面平均粗さ(SRa)
3次元表面粗さ計(小坂研究所製、ET4000AK)を用い、次の条件で触針法により測定を行った。なお、表面粗さ(SRa)は、粗さ曲面の高さと粗さ曲面の中心面の高さの差をとり、その絶対値の平均値を表したものであり、なお、本発明における表面粗さ(SRa)、はフィルムの両側表面を測定し、数値が低い値とする。
針径 2(μmR)
針圧 10(mg)
測定長 500(μm)
縦倍率 20000(倍)
CUT OFF 250(μm)
測定速度 100(μm/s)
測定間隔 5 (μm)
記録本数 80本
ヒステリシス幅 ±6.25(nm)
基準面積 0.1(mm) 。
(4)100℃、30分間加熱したときのフィルム幅方向の熱収縮率
フィルムを長手方向および幅方向にそれぞれ長さ70mm×幅10mmの矩形に切り出しサンプルとした。サンプルに50mmの間隔で標線を描き、3gの錘を吊して100℃に加熱した熱風オーブン内に30分間設置し加熱処理を行った。熱処理後の標線間距離を測定し、加熱前後の標線間距離の変化から下記式により熱収縮率を算出した。測定は各フィルムとも長手方向および幅方向に3サンプル実施して平均値で評価を行った。
(5)150℃、30分間加熱したときのフィルム幅方向の熱収縮率
フィルムを長手方向および幅方向にそれぞれ長さ70mm×幅10mmの矩形に切り出しサンプルとした。サンプルに50mmの間隔で標線を描き、3gの錘を吊して150℃に加熱した熱風オーブン内に30分間設置し加熱処理を行った。熱処理後の標線間距離を測定し、加熱前後の標線間距離の変化から下記式により熱収縮率を算出した。測定は各フィルムとも長手方向および幅方向に3サンプル実施して平均値で評価を行った。
(6)フィルム幅方向における配向角の最小値と最大値の差x(゜)と、配向角の最大値と最小値間の幅L(m)に対する比x/L
フィルム幅方向における配向角の最小値と最大値の差x(°)と配向角の最大値と最小値間のフィルム幅は以下の様に算出する。
(6−1)フィルムの配向角測定用サンプル
測定するフィルムサンプルのフィルム幅において、端縁を0%とし、他の端縁を100%とする。上記フィルム幅の10%に相当する領域から90%に相当する領域について、幅方向に300mmピッチで連続してn個の300mm四方の正方形のフィルムサンプルを切り出した。該正方形のフィルムサンプルは長手方向、又は幅方向のいずれかの軸を基準に直角に切り出した。
なお、一般的なポリエステルフィルムの製品においては、ポリエステルフィルムの中間ロール(広幅ロール)を一旦得た後に、その中間ロールをフィルムの幅方向にスリットして、数本のロール(最終製品)を得る方法が採用されている。そして、以下の実施例や比較例においては、中間ロールのロール(フィルム)とスリット後のフィルムロール(最終製品)いずれかに対して実施し、配向角を求めた。中間ロール、フィルムロールの両方を測定した場合は、x/Lが大きい値を採用した。
(6−2)フィルムの配向角
上記幅方向300mm、長手方向300mmのフィルム試料を採取し、野村商事(株)製SONIC SHEET TESTER SST−250にて、ポリエステルフィルムの幅方向を基準(0゜)とし、フィルムの垂線を軸としてこのフィルム試料を回転させ、5°毎に0°〜180°まで超音波伝導速度(km/秒)を測定し、超音波伝導速度が最大値を示す方向と、フィルム幅方向とのなす角度(θ)を算出した。なお、角度(θ)は、超音波伝導速度が最大値を示す方向と、フィルム幅方向とのなす角度のうち、鋭角(0°以上90°以下)となる角度を指す。
(6−3)フィルムの配向角の最大値と最小値
上記(6−1)で採取したフィルムの配向角において、測定フィルムロール(最終製品)・中間ロールのいずれかにおいて、最大配向角(θmax)と最小角(θmin)を求め、下記式より算出した。
θmax−θmin=X(°)
(6−4)配向角の最大値と最小値間の幅L(m)に対する比x/L
上記(6−3)で得た最大配向角θmaxを得た測定位置をLmax(m)、最小角θminを得た測定位置をLmin(m)とした場合に、1mあたりの配向角の変化量x/Lは下記式で表すことが出来る。
x/L=(θmax−θmin)/(Lmax−Lmin)
(7)加工性(加工シワの発生有無)
フィルム幅550mmのフィルムロールを巻出し、加熱炉を通過させ、巻き取りを実施した。巻き出し条件は、加熱炉温度100℃にて40秒巻き取り、加熱炉温度150℃にて20秒巻き取り、加熱炉温度200℃にて20秒巻き取りの3つの条件で実施した。また、巻き取り張力はいずれも100N/mで実施した。このフィルムの巻き取り時おけるシワの発生有無を確認し、加工性を下記のとおり評価した。
◎:全条件でシワの発生なし
○:いずれかの条件で軽微なシワの発生あり
△:いずれかの条件でシワの発生あり
×:ふたつ以上の条件でシワの発生あり
次に、実施例を挙げて、具体的に本発明の二軸配向ポリエチレンテレフタレートフィルムについて説明する。実施例中で「部」とは、特に注釈のない限り「重量部」である。
[ポリエチレンテレフタレートの製造]
ポリエチレンテレフタレート樹脂は以下のように準備した。
(1)ポリエチレンテレフタレート樹脂
テレフタル酸ジメチル100重量部、およびエチレングリコール61重量部の混合物に、0.04重量部の酢酸マグネシウム、0.02重量部の三酸化アンチモンを添加して、徐々に昇温し、最終的には220℃でメタノールを留出させながらエステル交換反応を行う。ついで、該エステル交換反応生成物に、0.020重量部のリン酸85%水溶液を添加した後、重縮合反応釜に移行する。さらに、加熱昇温しながら反応系を徐々に減圧して1hPaの減圧下、290℃で常法により重縮合反応を行い、ジエチレングリコール量1.2重量%、固有粘度0.65であり、なおかつ酸成分の95モル%以上がテレフタル酸からなり、グリコール成分の95モル%以上がエチレングリコールからなるポリエチレンテレフタレート樹脂(以下、「PET」ということもある)を作製した。
(2)粒子マスター1
上記(1)のポリエチレンテレフタレートを製造する際、エステル交換反応後にレーザ回折/散乱式粒度分布測定装置LA−700(株式会社堀場製作所製)によって測定されるメジアン径(平均粒子径)4.0μmの凝集シリカ粒子のエチレングリコールスラリーを添加してから重縮合反応を行い、粒子濃度6.0重量%の粒子マスターを得た。
(2)粒子マスター2
上記(1)のポリエチレンテレフタレートを製造する際、エステル交換反応後にレーザ回折/散乱式粒度分布測定装置LA−700(株式会社堀場製作所製)によって測定されるメジアン径(平均粒子径)2.1μmの凝集シリカ粒子のエチレングリコールスラリーを添加してから重縮合反応を行い、粒子濃度2.0重量%の粒子マスターを得た。
(実施例1)
ポリエチレンテレフタレート樹脂を54.5重量部、粒子マスターを45.5重量部の割合で混合して使用した。
ポリエチレンテレフタレート樹脂と粒子マスターの混合物を真空乾燥した後、押出機に供給して、280℃で溶融押出し、14μmカットのステンレスパウダー焼結フィルター(PSS)で濾過した後、T字型口金からシート状に押出し、これを表面温度25℃の冷却ドラムに静電密着法で冷却固化せしめた。このようにして得られた未延伸(未配向)PETフィルムを、120℃に2秒間加熱した。加熱には赤外線ヒーターによる加熱に加えて、70〜120℃に加熱したロール群による加熱を施した。全幅加熱用赤外線ヒーターの出力は20W/cmとした。赤外線ヒーターとフィルムの距離は10mmとした。その後、MD方向に延伸する。長手方向の延伸では120℃で3.3倍延伸し、1軸配向フィルムとした。
この1軸配向フィルムを105℃で2秒間予熱し、次いで120℃に加熱しつつTD方向に3.7倍に延伸した。このフィルムを220℃の熱風中に導き入れ、2秒間MD方向、TD方向に弛緩させずに熱処理した後、第1の弛緩処理として、210℃で幅方向にTD延伸後のフィルム幅に対して2.5%の弛緩処理を施し、第2の弛緩処理として210℃で幅方向にTD延伸後のフィルム幅に対して2.0%の弛緩処理を施し、210℃で2.5%の弛緩処理を施し、第3の弛緩処理として、150℃で1.3%の弛緩処理を実施した後に冷却した。最終的に室温まで冷却した後、これを巻取り機に導いて巻き上げてミルロールとした。このようにして最終的に厚み25μmの二軸配向ポリエチレンテレフタレートフィルムを得た。
(実施例2〜5)
表1に示す製膜条件・組成として、その他の条件は実施例1と同様の条件とし、25μmの二軸配向ポリエチレンテレフタレートフィルムを得た。
(比較例1〜5)
表1に示す製膜条件・組成として、その他の条件は実施例1と同様の条件とし、厚さ9μmの包装用二軸配向ポリエチレンテレフタレートフィルムを得た。
実施例1〜5、比較例1〜5の特性を表1に示す。
Figure 0006665519
本発明は、加熱真空プレスや高圧加熱プレスなどの幅広い加工条件において、加工シワ発生がなく、生産性に優れた二軸配向ポリエステルフィルムを提供することが出来る。そのため、プリント配線基板製造用キャリアフィルム、ビルドアップ基板用キャリアフィルムをはじめとしたキャリアフィルム用途に適して好ましく用いられる。

Claims (7)

  1. 下記要件(a)〜(c)を満たす二軸配向ポリエステルフィルム。
    (a)以下の方法で求められる200℃にて8kgf/mの張力がかかった時のフィルム長手方向の伸縮率が−5%以上−0.6%以下であること。
    [200℃にて8kgf/mの張力がかかった時のフィルム長手方向の伸縮率の求め方]
    測定サンプルはフィルム長手方向が長さ方向になるように5mm(幅)×20mm(長さ)で切り取る。測定サンプルの長さ方向について、アルバック理工社製熱機械的装置(TM−9300)を用いて下記測定条件にて、X軸を温度、Y軸を伸縮率としたTMA寸法変化曲線を測定する。X軸が200℃の際のTMA寸法変化曲線上に位置するY軸の伸縮率の値を伸縮率とする。測定は3回実施し、3回の平均値を200℃にて8kgf/mの張力がかかった時のフィルム長手方向の伸縮率とする。
    [測定条件]
    荷重 : 40g(8kgf/m)
    昇温速度 :10℃/min
    測定範囲 :30℃〜230℃
    (b)以下の方法で求められる200℃にて8kgf/mの張力がかかった時のフィルム幅方向の伸縮率が0%以上3%以下であること。
    [200℃にて8kgf/mの張力がかかった時のフィルム幅方向の伸縮率の求め方]
    測定サンプルはフィルム幅方向が長さ方向になるように5mm(幅)×20mm(長さ)で切り取る。測定サンプルの長さ方向について、アルバック理工社製熱機械的装置(TM−9300)を用いて下記測定条件にて、X軸を温度、Y軸を伸縮率としたTMA寸法変化曲線を測定する。X軸が200℃の際のTMA寸法変化曲線上に位置するY軸の伸縮率の値を伸縮率とする。測定は3回実施し、3回の平均値を200℃にて8kgf/mの張力がかかった時のフィルム幅方向の伸縮率とする。
    [測定条件]
    荷重 : 40g(8kgf/m)
    昇温速度 :10℃/min
    測定範囲 :30℃〜230℃
    (c)少なくとも片面の中心面平均粗さ(SRa)が0.20μm以上0.45μm以下であること。
  2. 100℃、30分間加熱したときのフィルム幅方向の熱収縮率が−1.0%以上−0.3%以下である請求項1に記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
  3. 150℃、30分間加熱したときのフィルム幅方向の熱収縮率が−1.0%以上−0.3%以下である請求項1または2に記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
  4. フィルム幅方向における配向角の最小値と最大値の差x(゜)と、配向角の最大値と最小値間の幅L(m)に対する比x/Lが0〜20(゜/m)である請求項1〜3のいずれかに記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
  5. プリント配線基板製造用キャリアフィルムに用いられる請求項1〜4のいずれかに記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
  6. 下記要件(d)〜(g)を満たす、請求項1〜5のいずれかに記載の二軸配向ポリエステルフィルムの製造方法。
    (d)未延伸フィルムを、フィルム長手方向に延伸倍率3.0〜4.0倍の範囲で延伸した後、幅方向に延伸倍率2.0〜4.5倍の範囲で延伸を行うこと。
    (e)幅方向延伸後に、ポリエステルフィルムを構成する樹脂のガラス転移温度以下に冷却する工程(中間工程)を経た後、熱固定処理を実施すること。
    (f)前記熱固定処理が200℃以上230℃以下の温度で実施すること。
    (g)前記熱固定処理後に下記(I)〜(III)を満たす弛緩処理を実施すること。
    (I)200℃以上220℃以下の温度で、1.0秒以上10秒以下、1.5%以上5.0%以下の 弛緩処理を実施すること。
    (II)(I)の工程の後に、160℃以上210℃以下の温度で、1.0秒以上10秒以下、1.5%以上5.0%以下の弛緩処理を実施すること。
    (III)(II)の工程の後に、80℃以上160℃以下の温度で、1.0秒以上10秒以下、1.0%以上3.0%以下の弛緩処理を実施すること。
  7. フィルム長手方向の延伸が100〜130℃、フィルム幅方向の延伸が100〜130℃の範囲で行う請求項6に記載の二軸配向ポリエステルフィルムの製造方法。
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