JP6665519B2 - 二軸配向ポリエステルフィルム及びその製造方法 - Google Patents
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Description
キャリアフィルムに求められる特性としては、剥離性、粒子脱落性、寸法安定性等が知られている。特許文献1、2、3では、ポリエステルフィルムに剥離性、粒子脱落性、寸法安定性を付与するために様々な検討がなされている。
(1)下記要件(a)〜(c)を満たす二軸配向ポリエステルフィルム。
(a)以下の方法で求められる200℃にて8kgf/mの張力がかかった時のフィルム長手方向の伸縮率が−5%以上−0.6%以下であること。
[200℃にて8kgf/mの張力がかかった時のフィルム長手方向の伸縮率の求め方]
測定サンプルはフィルム長手方向が長さ方向になるように5mm(幅)×20mm(長さ)で切り取る。測定サンプルの長さ方向について、アルバック理工社製熱機械的装置(TM−9300)を用いて下記測定条件にて、X軸を温度、Y軸を伸縮率としたTMA寸法変化曲線を測定する。X軸が200℃の際のTMA寸法変化曲線上に位置するY軸の伸縮率の値を伸縮率とする。測定は3回実施し、3回の平均値を200℃にて8kgf/mの張力がかかった時のフィルム長手方向の伸縮率とする。
[測定条件]
荷重 : 40g(8kgf/m)
昇温速度 :10℃/min
測定範囲 :30℃〜230℃
(b)以下の方法で求められる200℃にて8kgf/mの張力がかかった時のフィルム幅方向の伸縮率が0%以上3%以下であること。
[200℃にて8kgf/mの張力がかかった時のフィルム幅方向の伸縮率の求め方]
測定サンプルはフィルム幅方向が長さ方向になるように5mm(幅)×20mm(長さ)で切り取る。測定サンプルの長さ方向について、アルバック理工社製熱機械的装置(TM−9300)を用いて下記測定条件にて、X軸を温度、Y軸を伸縮率としたTMA寸法変化曲線を測定する。X軸が200℃の際のTMA寸法変化曲線上に位置するY軸の伸縮率の値を伸縮率とする。測定は3回実施し、3回の平均値を200℃にて8kgf/mの張力がかかった時のフィルム幅方向の伸縮率とする。
[測定条件]
荷重 : 40g(8kgf/m)
昇温速度 :10℃/min
測定範囲 :30℃〜230℃
(c)少なくとも片面の中心面平均粗さ(SRa)が0.20μm以上0.45μm以下であること。
(2)100℃、30分間加熱したときのフィルム幅方向の熱収縮率が−1.0%以上−0.3%以下である(1)に記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
(3)150℃、30分間加熱したときのフィルム幅方向の熱収縮率が−1.0%以上−0.3%以下である(1)または(2)に記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
(4)フィルム幅方向における配向角の最小値と最大値の差x(゜)と、配向角の最大値と最小値間の幅L(m)に対する比x/Lが0〜20(゜/m)である(1)〜(3)のいずれかに記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
(5)プリント配線基板製造用キャリアフィルムに用いられる(1)〜(4)のいずれかに記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
(6)下記要件(d)〜(g)を満たす、(1)〜(5)のいずれかに記載の二軸配向ポリエステルフィルムの製造方法。
(d)未延伸フィルムを、フィルム長手方向に延伸倍率3.0〜4.0倍の範囲で延伸した後、幅方向に延伸倍率2.0〜4.5倍の範囲で延伸を行うこと。
(e)幅方向延伸後に、ポリエステルフィルムを構成する樹脂のガラス転移温度以下に冷却する工程を経た後、熱固定処理を実施すること。
(f)前記熱固定処理が200℃以上2 30℃以下の温度で実施すること。
(g)前記熱固定処理後に下記(I)〜(III)を満たす弛緩処理を実施すること。
上5.0%以下の 弛緩処理を実施すること。
(II)(I)の工程の後に、160℃以上210℃以下の温度で、1.0秒以上10秒以下、1.5%以上5.0%以下の弛緩処理を実施すること。
(III)(II)の工程の後に、80℃以上160℃以下の温度で、1.0秒以上10秒以下、1.0%以上3.0%以下の弛緩処理を実施すること。
(7)フィルム長手方向の延伸が100〜130℃、フィルム幅方向の延伸が100〜130℃の範囲で行う(6)に記載の二軸配向ポリエステルフィルムの製造方法。
ジカルボン酸成分としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルスルホンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ダイマー酸、ドデカンジオン酸、シクロヘキサンジカルボン酸などの脂肪族ジカルボン酸、および、各種芳香族ジカルボン酸、脂肪族ジカルボン酸とのエステル誘導体が挙げられる。これらのジオール成分はエチレングリコール以外に1種類のみでもよく、2種類以上を併用してもよい。
また、ジオール成分としては、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリアルキレングリコール、2,2−ビス(4−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン、イソソルベート、スピログリコールなどを挙げることができる。これらのジカルボン酸成分はエチレングリコール以外に1種類のみでもよく、2種類以上を併用してもよい。
これらのジカルボン酸成分、ジオール成分の中でも、耐溶剤性、耐熱性の観点から、ジカルボン酸成分としては、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸が好ましく、ジオール成分としては、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、イソソルベート、スピログリコールが好ましく用いられる。耐溶剤性、耐熱性に加え、製造コストの観点からは、テレフタル酸とエチレングリコールの組合せが最も好ましい。
本発明のポリエステルフィルムを構成するポリエステルが、テレフタル酸とエチレングリコールの組合せからなる、いわゆるポリエチレンテレフタレートとなる場合、テレフタル酸以外のジカルボン酸成分は、ポリエステルを構成する全ジカルボン酸成分100モル%に対して0モル%以上20モル%以下が好ましく、0モル以上10モル%以下がより好ましく、0モル%以上2モル以下がさらに好ましく、特に好ましくは、0モル%、すなわちジカルボン酸成分がテレフタル酸成分のみからなる構成である。テレフタル酸成分以外のジカルボン酸成分が全ジカルボン酸成分100モル%に対して20モル%を超えると、ポリエステルフィルムの融点が低下したり結晶性が低下したりして、耐熱性が不十分となる場合がある。
また、本発明のポリエステルフィルムを構成するポリエステルが、ポリエチレンテレフタレートとなる場合、エチレングリコール以外のジオール成分は、ポリエステルを構成する全ジオール成分100モル%に対して0モル%以上33モル%以下が好ましく、0%モル以上10モル%以下がより好ましく、0モル%以上5モル%以下がさらに好ましく。特に好ましくは0モル%、すなわちジオール成分がエチレングリコールのみからなる構成である。エチレングリコール以外のジオール成分が全ジオール成分100モル%に対して33モル%を超えると、ポリエステルフィルムの融点が低下したり結晶性が低下したりして、耐熱性が不十分となる場合がある。
本発明のポリエステルフィルムは、後述する測定方法により求められる200℃にて8kgf/mの張力がかかった時のフィルム長手方向の伸縮率が−5%以上−0.6%以下であり、200℃にて8kgf/mの張力がかかった時のフィルム幅方向の伸縮率が0%以上3%以下であることで構成されるものである。
従来、二軸配向ポリエステルフィルムの加工シワを抑制させるためには、長手方向・幅方向の熱収縮率を小さくする検討がなされてきた。それぞれの検討の進歩によって、加工シワの抑制は一定程度向上されている。しかしながら、上記の検討の結果、得られたポリエステルフィルムにおいても、特定の加工条件下においては、ポリエステルフィルムの加工シワ抑制が十分でなかった。また、そのようなポリエステルフィルムを、キャリアフィルムとして用いた場合、プリント配線基板の生産性は十分でないという問題があることがわかった。本願発明者らは、この原因について鋭意検討した結果、高温(200℃)にて、高張力下(8kgf/m)がかかった時のポリエステルフィルムの長手方向・幅方向の伸縮率を特定の範囲とすることで、ポリエステルフィルムの加工シワ抑制、およびそのようなポリエステルフィルムをキャリアフィルムして用いたプリント基板の生産性が大きく改善されることを見出した。この原因についてはまだ完全に明らかになっているわけではないが、本発明者らは、以下のとおり推定している。ポリエステルフィルムが、200℃にて8kgf/mの張力がかかった時の伸縮率が上述の範囲を外れる場合、でのプリント基板の製造時に、長手方向・幅方向の変形のバランスが悪くなり、フィルムに歪みが生じ、シワが発生する。
そのため、本発明のポリエステルフィルムは、200℃にて8kgf/mの張力がかかった時のフィルム長手方向の伸縮率が−5%以上−0.6%以下であり、200℃にて8kgf/mの張力がかかった時のフィルム幅方向の伸縮率が0%以上3%以下であることが必要である。より好ましくは、200℃にて8kgf/mの張力がかかった時のフィルム長手方向の伸縮率が−3%以上−1.0%以下であり、200℃にて8kgf/mの張力がかかった時のフィルム幅方向の伸縮率が1%以上2%以下であることが好ましい。上述の範囲とすることで、より加工シワの発生を抑制することが出来る。
以下に、本発明のポリエステルフィルムに適度の表面凹凸を付与させる場合の方法について説明する。フィラーを構成する熱可塑性樹脂100重量部に対して2〜20重量部添加することが好ましい。より好ましくは、3〜10重量部である。フィラーは特に限定しないが好ましくは平均粒径が1〜10μmであり、より好ましくは2〜6μmである事が好ましい。
平均粒子径の算出方法は、以下の通り算出される。
フィルム表面から熱可塑性樹脂をプラズマ低温灰化処理法で除去し、粒子を露出させる。処理条件は、熱可塑性樹脂は灰化されるが、粒子はダメージを受けない条件を選択する。これを走査型電子顕微鏡(SEM)で観察し、粒子の画像をイメージアナライザーで処理する。観察箇所を変えて、粒子数1000個以上で、次の式による数値処理を行い、それによって求めた数平均径Dを平均粒径とした。次の式のDiは粒子の円相当径、Nは粒子数である。
また、本発明のポリエステルフィルムは、100℃、30分間加熱したときのフィルム幅方向の熱収縮率が−1.0%以上−0.3%以下であり、150℃、30分間加熱したときのフィルム幅方向の熱収縮率が−1.0%以上−0.3%以下であることが好ましい。上述の範囲とすることで低温の加工温度で加工される場合において、ポリエステルフィルムに加工シワの発生を抑制することが可能となる。
(d)未延伸フィルムを、フィルム長手方向に延伸倍率3.0倍以上4.0倍以下の範囲で延伸した後、幅方向に延伸倍率2.0倍以上4.5倍以下の範囲で延伸を行うこと。
(e)幅方向延伸後に、ポリエステルフィルムを構成する樹脂のガラス転移温度以下に冷却する工程を経た後、熱固定処理を実施すること。
(f)前記熱固定処理が200℃以上230℃以下の温度で実施すること。
(g)前記熱固定処理後に下記(I)〜(III)を満たす弛緩処理を実施すること。
(I)200℃以上220℃以下の温度で、1.0秒以上10秒以下、1.5%以上5.0%以下の弛緩処理を実施すること。
(II)(I)の工程の後に、160℃以上210℃以下の温度で、1.0秒以上10秒以下、1.5%以上5.0%以下の弛緩処理を実施すること。
(III)(II)の工程の後に、80℃以上160℃以下の温度で、1.0秒以上10秒以下、1.0%以上3.0%以下の弛緩処理を実施すること。
(I)200℃以上220℃以下の温度で、1.0秒以上10秒以下、1.5%以上5.0%以下の弛緩処理を実施すること。
(II)(I)の工程の後に、160℃以上210℃以下の温度で、1.0秒以上10秒以下、1.5%以上5.0%以下の弛緩処理を実施すること。
(III)(II)の工程の後に、80℃以上160℃以下の温度で、1.0秒以上10秒以下、1.0%以上3.0%以下の弛緩処理を実施すること。
弛緩処理前のフィルム幅をW0とし、第1の弛緩処理後のフィルム幅をW1、第2の弛緩処理後のフィルム幅をW2、第3の弛緩処理後のフィルム幅をW3とし、弛緩処理率は、下記の様に算出した。
第1の弛緩処理率:100×(W0−W1)/W0
第2の弛緩処理率:100×(W1−W2)/W1
第3の弛緩処理率:100×(W2−W3)/W2
また、幅W0のフィルムがW1になる区間L1(m)とした時に該工程を通過するフィルム速度S1(m/min)とし、幅W1のフィルムがW2になる区間L2(m)とした時に該工程を通過するフィルム速度S2(m/min)とし、幅W2のフィルムがW3になる区間L3(m)とした時の該工程を通過するフィルム速度S3(m/min)とし、各弛緩処理時間は、下記式の様に算出した。
第1の弛緩処理時間:L1/S1
第2の弛緩処理時間:L2/S2
第3の弛緩処理時間:L3/S3
また、縦方向・横方向の延伸温度を100〜130℃にする事が好ましい。延伸温度がTg以上100℃以下であると分子配向が強くなり、熱収縮率が高くなるため、好ましくない。また、130℃を超える場合もフィルムの熱結晶化が進み、加工時のフィルム熱収縮率が高くなり好ましくない。特に好ましくは、115〜125℃の範囲である。
次に、本発明のポリエステルフィルムの好ましい製造方法を以下に説明するが、本発明はかかる例に限定して解釈されるものではない。
ついで、フィルターやギヤポンプを通じて、異物の除去、押出量の均整化を各々行い、Tダイより冷却ドラム上にシート状に吐出する。その際、高電圧を掛けた電極を使用して静電気で冷却ドラムと樹脂を密着させる静電印加法、キャストドラムと押出したポリマーシート間に水膜を設けるキャスト法、キャストドラム温度をポリエステル樹脂のガラス転移点〜(ガラス転移点−20℃)にして押出したポリマーを粘着させる方法、もしくは、これらの方法を複数組み合わせた方法により、シート状ポリマーをキャストドラムに密着させ、冷却固化し、未延伸フィルムを得る。これらのキャスト法の中でも、ポリエステルを使用する場合は、生産性や平面性の観点から、静電印加する方法が好ましく使用される。キャストドラムの表面温度は、延伸性の観点から、30℃以下が好ましい。
かかる延伸方法における延伸倍率としては、長手方向に、好ましくは、3.0倍以上4.0倍以下、さらに好ましくは3.2倍以上3.5倍以下が採用される。また、延伸速度は1,000%/分以上200,000%/分以下であることが望ましい。また長手方向の延伸温度は、100℃以上130℃以下が好ましく、さらに好ましくは115〜125℃の範囲である。
〔特性の測定方法および評価方法〕
本発明における特性の測定方法、および効果の評価方法は次のとおりである。
測定サンプルはフィルム長手方向が長さ方向になるように5mm(幅)×20mm(長さ)で切り取る。測定サンプルの長さ方向について、アルバック理工社製熱機械的装置(TM−9300)を用いて下記測定条件にて、X軸を温度、Y軸を伸縮率としたTMA寸法変化曲線を測定する。X軸が200℃の際のTMA寸法変化曲線上に位置するY軸の伸縮率の値を伸縮率とする。測定は3回実施し、3回の平均値を200℃にて8kgf/mの張力がかかった時のフィルム長手方向の伸縮率とする。
[測定条件]
荷重 : 40g(8kgf/m)
昇温速度 :10℃/min
測定範囲 :30℃〜230℃
(2)200℃にて8kgf/mの張力がかかった時のフィルム幅方向の伸縮率
測定サンプルはフィルム幅方向が長さ方向になるように5mm(幅)×20mm(長さ)で切り取る。測定サンプルの長さ方向について、アルバック理工社製熱機械的装置(TM−9300)を用いて下記測定条件にて、X軸を温度、Y軸を伸縮率としたTMA寸法変化曲線を測定する。X軸が200℃の際のTMA寸法変化曲線上に位置するY軸の伸縮率の値を伸縮率とする。測定は3回実施し、3回の平均値を200℃にて8kgf/mの張力がかかった時のフィルム幅方向の伸縮率とする。
[測定条件]
荷重 : 40g(8kgf/m)
昇温速度 :10℃/min
測定範囲 :30℃〜230℃
(3)中心面平均粗さ(SRa)
3次元表面粗さ計(小坂研究所製、ET4000AK)を用い、次の条件で触針法により測定を行った。なお、表面粗さ(SRa)は、粗さ曲面の高さと粗さ曲面の中心面の高さの差をとり、その絶対値の平均値を表したものであり、なお、本発明における表面粗さ(SRa)、はフィルムの両側表面を測定し、数値が低い値とする。
針径 2(μmR)
針圧 10(mg)
測定長 500(μm)
縦倍率 20000(倍)
CUT OFF 250(μm)
測定速度 100(μm/s)
測定間隔 5 (μm)
記録本数 80本
ヒステリシス幅 ±6.25(nm)
基準面積 0.1(mm2) 。
フィルムを長手方向および幅方向にそれぞれ長さ70mm×幅10mmの矩形に切り出しサンプルとした。サンプルに50mmの間隔で標線を描き、3gの錘を吊して100℃に加熱した熱風オーブン内に30分間設置し加熱処理を行った。熱処理後の標線間距離を測定し、加熱前後の標線間距離の変化から下記式により熱収縮率を算出した。測定は各フィルムとも長手方向および幅方向に3サンプル実施して平均値で評価を行った。
フィルムを長手方向および幅方向にそれぞれ長さ70mm×幅10mmの矩形に切り出しサンプルとした。サンプルに50mmの間隔で標線を描き、3gの錘を吊して150℃に加熱した熱風オーブン内に30分間設置し加熱処理を行った。熱処理後の標線間距離を測定し、加熱前後の標線間距離の変化から下記式により熱収縮率を算出した。測定は各フィルムとも長手方向および幅方向に3サンプル実施して平均値で評価を行った。
フィルム幅方向における配向角の最小値と最大値の差x(°)と配向角の最大値と最小値間のフィルム幅は以下の様に算出する。
測定するフィルムサンプルのフィルム幅において、端縁を0%とし、他の端縁を100%とする。上記フィルム幅の10%に相当する領域から90%に相当する領域について、幅方向に300mmピッチで連続してn個の300mm四方の正方形のフィルムサンプルを切り出した。該正方形のフィルムサンプルは長手方向、又は幅方向のいずれかの軸を基準に直角に切り出した。
なお、一般的なポリエステルフィルムの製品においては、ポリエステルフィルムの中間ロール(広幅ロール)を一旦得た後に、その中間ロールをフィルムの幅方向にスリットして、数本のロール(最終製品)を得る方法が採用されている。そして、以下の実施例や比較例においては、中間ロールのロール(フィルム)とスリット後のフィルムロール(最終製品)いずれかに対して実施し、配向角を求めた。中間ロール、フィルムロールの両方を測定した場合は、x/Lが大きい値を採用した。
上記幅方向300mm、長手方向300mmのフィルム試料を採取し、野村商事(株)製SONIC SHEET TESTER SST−250にて、ポリエステルフィルムの幅方向を基準(0゜)とし、フィルムの垂線を軸としてこのフィルム試料を回転させ、5°毎に0°〜180°まで超音波伝導速度(km/秒)を測定し、超音波伝導速度が最大値を示す方向と、フィルム幅方向とのなす角度(θ)を算出した。なお、角度(θ)は、超音波伝導速度が最大値を示す方向と、フィルム幅方向とのなす角度のうち、鋭角(0°以上90°以下)となる角度を指す。
上記(6−1)で採取したフィルムの配向角において、測定フィルムロール(最終製品)・中間ロールのいずれかにおいて、最大配向角(θmax)と最小角(θmin)を求め、下記式より算出した。
θmax−θmin=X(°)
(6−4)配向角の最大値と最小値間の幅L(m)に対する比x/L
上記(6−3)で得た最大配向角θmaxを得た測定位置をLmax(m)、最小角θminを得た測定位置をLmin(m)とした場合に、1mあたりの配向角の変化量x/Lは下記式で表すことが出来る。
(7)加工性(加工シワの発生有無)
フィルム幅550mmのフィルムロールを巻出し、加熱炉を通過させ、巻き取りを実施した。巻き出し条件は、加熱炉温度100℃にて40秒巻き取り、加熱炉温度150℃にて20秒巻き取り、加熱炉温度200℃にて20秒巻き取りの3つの条件で実施した。また、巻き取り張力はいずれも100N/mで実施した。このフィルムの巻き取り時おけるシワの発生有無を確認し、加工性を下記のとおり評価した。
◎:全条件でシワの発生なし
○:いずれかの条件で軽微なシワの発生あり
△:いずれかの条件でシワの発生あり
×:ふたつ以上の条件でシワの発生あり
ポリエチレンテレフタレート樹脂は以下のように準備した。
テレフタル酸ジメチル100重量部、およびエチレングリコール61重量部の混合物に、0.04重量部の酢酸マグネシウム、0.02重量部の三酸化アンチモンを添加して、徐々に昇温し、最終的には220℃でメタノールを留出させながらエステル交換反応を行う。ついで、該エステル交換反応生成物に、0.020重量部のリン酸85%水溶液を添加した後、重縮合反応釜に移行する。さらに、加熱昇温しながら反応系を徐々に減圧して1hPaの減圧下、290℃で常法により重縮合反応を行い、ジエチレングリコール量1.2重量%、固有粘度0.65であり、なおかつ酸成分の95モル%以上がテレフタル酸からなり、グリコール成分の95モル%以上がエチレングリコールからなるポリエチレンテレフタレート樹脂(以下、「PET」ということもある)を作製した。
上記(1)のポリエチレンテレフタレートを製造する際、エステル交換反応後にレーザ回折/散乱式粒度分布測定装置LA−700(株式会社堀場製作所製)によって測定されるメジアン径(平均粒子径)4.0μmの凝集シリカ粒子のエチレングリコールスラリーを添加してから重縮合反応を行い、粒子濃度6.0重量%の粒子マスターを得た。
上記(1)のポリエチレンテレフタレートを製造する際、エステル交換反応後にレーザ回折/散乱式粒度分布測定装置LA−700(株式会社堀場製作所製)によって測定されるメジアン径(平均粒子径)2.1μmの凝集シリカ粒子のエチレングリコールスラリーを添加してから重縮合反応を行い、粒子濃度2.0重量%の粒子マスターを得た。
ポリエチレンテレフタレート樹脂を54.5重量部、粒子マスターを45.5重量部の割合で混合して使用した。
ポリエチレンテレフタレート樹脂と粒子マスターの混合物を真空乾燥した後、押出機に供給して、280℃で溶融押出し、14μmカットのステンレスパウダー焼結フィルター(PSS)で濾過した後、T字型口金からシート状に押出し、これを表面温度25℃の冷却ドラムに静電密着法で冷却固化せしめた。このようにして得られた未延伸(未配向)PETフィルムを、120℃に2秒間加熱した。加熱には赤外線ヒーターによる加熱に加えて、70〜120℃に加熱したロール群による加熱を施した。全幅加熱用赤外線ヒーターの出力は20W/cmとした。赤外線ヒーターとフィルムの距離は10mmとした。その後、MD方向に延伸する。長手方向の延伸では120℃で3.3倍延伸し、1軸配向フィルムとした。
この1軸配向フィルムを105℃で2秒間予熱し、次いで120℃に加熱しつつTD方向に3.7倍に延伸した。このフィルムを220℃の熱風中に導き入れ、2秒間MD方向、TD方向に弛緩させずに熱処理した後、第1の弛緩処理として、210℃で幅方向にTD延伸後のフィルム幅に対して2.5%の弛緩処理を施し、第2の弛緩処理として210℃で幅方向にTD延伸後のフィルム幅に対して2.0%の弛緩処理を施し、210℃で2.5%の弛緩処理を施し、第3の弛緩処理として、150℃で1.3%の弛緩処理を実施した後に冷却した。最終的に室温まで冷却した後、これを巻取り機に導いて巻き上げてミルロールとした。このようにして最終的に厚み25μmの二軸配向ポリエチレンテレフタレートフィルムを得た。
表1に示す製膜条件・組成として、その他の条件は実施例1と同様の条件とし、25μmの二軸配向ポリエチレンテレフタレートフィルムを得た。
表1に示す製膜条件・組成として、その他の条件は実施例1と同様の条件とし、厚さ9μmの包装用二軸配向ポリエチレンテレフタレートフィルムを得た。
Claims (7)
- 下記要件(a)〜(c)を満たす二軸配向ポリエステルフィルム。
(a)以下の方法で求められる200℃にて8kgf/mの張力がかかった時のフィルム長手方向の伸縮率が−5%以上−0.6%以下であること。
[200℃にて8kgf/mの張力がかかった時のフィルム長手方向の伸縮率の求め方]
測定サンプルはフィルム長手方向が長さ方向になるように5mm(幅)×20mm(長さ)で切り取る。測定サンプルの長さ方向について、アルバック理工社製熱機械的装置(TM−9300)を用いて下記測定条件にて、X軸を温度、Y軸を伸縮率としたTMA寸法変化曲線を測定する。X軸が200℃の際のTMA寸法変化曲線上に位置するY軸の伸縮率の値を伸縮率とする。測定は3回実施し、3回の平均値を200℃にて8kgf/mの張力がかかった時のフィルム長手方向の伸縮率とする。
[測定条件]
荷重 : 40g(8kgf/m)
昇温速度 :10℃/min
測定範囲 :30℃〜230℃
(b)以下の方法で求められる200℃にて8kgf/mの張力がかかった時のフィルム幅方向の伸縮率が0%以上3%以下であること。
[200℃にて8kgf/mの張力がかかった時のフィルム幅方向の伸縮率の求め方]
測定サンプルはフィルム幅方向が長さ方向になるように5mm(幅)×20mm(長さ)で切り取る。測定サンプルの長さ方向について、アルバック理工社製熱機械的装置(TM−9300)を用いて下記測定条件にて、X軸を温度、Y軸を伸縮率としたTMA寸法変化曲線を測定する。X軸が200℃の際のTMA寸法変化曲線上に位置するY軸の伸縮率の値を伸縮率とする。測定は3回実施し、3回の平均値を200℃にて8kgf/mの張力がかかった時のフィルム幅方向の伸縮率とする。
[測定条件]
荷重 : 40g(8kgf/m)
昇温速度 :10℃/min
測定範囲 :30℃〜230℃
(c)少なくとも片面の中心面平均粗さ(SRa)が0.20μm以上0.45μm以下であること。 - 100℃、30分間加熱したときのフィルム幅方向の熱収縮率が−1.0%以上−0.3%以下である請求項1に記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
- 150℃、30分間加熱したときのフィルム幅方向の熱収縮率が−1.0%以上−0.3%以下である請求項1または2に記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
- フィルム幅方向における配向角の最小値と最大値の差x(゜)と、配向角の最大値と最小値間の幅L(m)に対する比x/Lが0〜20(゜/m)である請求項1〜3のいずれかに記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
- プリント配線基板製造用キャリアフィルムに用いられる請求項1〜4のいずれかに記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
- 下記要件(d)〜(g)を満たす、請求項1〜5のいずれかに記載の二軸配向ポリエステルフィルムの製造方法。
(d)未延伸フィルムを、フィルム長手方向に延伸倍率3.0〜4.0倍の範囲で延伸した後、幅方向に延伸倍率2.0〜4.5倍の範囲で延伸を行うこと。
(e)幅方向延伸後に、ポリエステルフィルムを構成する樹脂のガラス転移温度以下に冷却する工程(中間工程)を経た後、熱固定処理を実施すること。
(f)前記熱固定処理が200℃以上230℃以下の温度で実施すること。
(g)前記熱固定処理後に下記(I)〜(III)を満たす弛緩処理を実施すること。
(I)200℃以上220℃以下の温度で、1.0秒以上10秒以下、1.5%以上5.0%以下の 弛緩処理を実施すること。
(II)(I)の工程の後に、160℃以上210℃以下の温度で、1.0秒以上10秒以下、1.5%以上5.0%以下の弛緩処理を実施すること。
(III)(II)の工程の後に、80℃以上160℃以下の温度で、1.0秒以上10秒以下、1.0%以上3.0%以下の弛緩処理を実施すること。 - フィルム長手方向の延伸が100〜130℃、フィルム幅方向の延伸が100〜130℃の範囲で行う請求項6に記載の二軸配向ポリエステルフィルムの製造方法。
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