JP5405968B2 - フラットケーブル用難燃性積層ポリエステルフィルム - Google Patents
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Description
該カルボキシホスフィン酸成分の含有量が層(A)の重量を基準として10重量%以上40重量%以下であり、層(A)と層(B)が同一の主たるポリエステル成分であって、かつ層(A)に用いられるポリエステルの固有粘度が0.63dl/g以上1.0dl/g以下であるフラットケーブル用難燃性積層ポリエステルフィルムによって達成される。
<層(A)>
本発明の難燃性積層ポリエステルフィルムは、難燃性を付与するカルボキシホスフィン酸成分を含む共重合ポリエステルを主たる成分とする層(A)をその積層構造の少なくとも1層として有する。
本発明の難燃性積層ポリエステルフィルムは、難燃性を付与する成分として下記式(I)で表わされるカルボキシホスフィン酸成分を含有する。
本発明で用いられる層(A)はカルボキシホスフィン酸成分を含む共重合ポリエステルを主たる成分として形成される。層(A)の主たるポリエステル成分は層(B)の主たるポリエステル成分と同一である。層(B)と同一の主たるポリエステル成分を用いることにより、両層の溶融粘度差を調整しやすく、層(A)の厚み斑を均一にすることができ、かつ層(A)と層(B)の界面について高い界面接着性が得られる。
かかる共重合成分として、分子内に2つのエステル形成性官能基を有する化合物を用いることができ、例えば蓚酸、アジピン酸、フタル酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、イソフタル酸、テレフタル酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、フェニルインダンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、テトラリンジカルボン酸、デカリンジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸等の如きジカルボン酸、p−オキシ安息香酸、p−オキシエトキシ安息香酸の如きオキシカルボン酸、或いはエチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール、ビスフェノールスルホンのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ジエチレングリコール、ポリエチレンオキシドグリコールの如きジオールを好ましく用いることができる。これらの共重合成分は、1種または2種以上用いてもよい。これらの共重合成分の中で、好ましい酸成分としては、イソフタル酸、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、p−オキシ安息香酸であり、好ましいジオール成分としては、トリメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ビスフェノールスルホンのエチレンオキサイド付加物である。これらの共重合成分は、モノマー成分として共重合化されたものでもよく、また他のポリエステルとのエステル交換反応により共重合化されたものでもよい。
前記カルボキシホスフィン酸成分は、ポリエステル製造時の任意の時期に添加されるが、より好ましい添加時期は、エステル化反応あるいはエステル交換反応により得られた低重合体を重縮合反応させる時期である。
本発明の難燃性積層ポリステルフィルムを構成する層(A)には、上記のポリエステル以外の樹脂成分が更に含まれていてもよい。例えばポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエーテルイミド、ポリフェニレンエーテルおよびフェノキシ樹脂が挙げられる。かかる樹脂は、層(A)の重量に対して好ましくは10重量%以下の範囲内で用いる。かかる樹脂を上限を超えて用いた場合、共重合ポリエステルが本来有する物理的特性を損なうことがある。
本発明の層(A)に用いられるポリエステルの固有粘度は0.63dl/g以上1.0dl/g以下であり、好ましくは0.63dl/g以上0.90dl/g以下、さらに好ましくは0.63dl/g以上0.80dl/g以下、特に好ましくは0.63dl/g以上0.75dl/g以下である。ここで、層(A)に用いられるポリエステルの固有粘度とは、フィルム製膜工程に供する前のポリエステルの固有粘度であり、かかる固有粘度は、o−クロロフェノール中、35℃において測定される値である。また、かかるポリエステルが固相重合によるポリエステルであり、o−クロロフェノール溶媒に不溶の場合は、重量比が6:4のフェノール:テトラクロロエタン混合溶媒に溶解後、35℃の温度にて測定して求めることができる。
本発明の難燃性積層ポリエステルフィルムは、層(A)に加え、ポリエステル成分が層の重量を基準として95重量%以上である層(B)をその積層構造の少なくとも1層として有する。層(B)を構成するポリエステル成分は、さらに好ましくは97重量%以上、特に好ましくは99重量%以上である。
これらのブレンド成分の中でも、ポリエチレンイソフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート、ポリ(ビス(4−エチレンオキシフェニル)スルホン)−2,6−ナフタレンジカルボキシレートが特に好ましい成分として挙げられる。これらのブレンド成分は、層(B)を構成するポリエステルの全繰り返し単位のモル数を基準として20モル%以下の範囲で用いることが好ましく、また1種であっても2種以上を併用してもよい。
層(B)に用いられるポリエステルの固有粘度は0.48〜0.90dl/gであることが好ましい。層(B)に用いられるポリエステルの固有粘度が下限値に満たない場合、フィルムの製膜時の破断が発生し易くなる他、得られたフィルムが脆くなることがある。また層(B)に用いられるポリエステルの固有粘度が上限値を超えると、層(A)との溶融粘度差が大きくなりやすく、またポリマーの固有粘度をかなり高くする必要があり、通常の合成手法では重合に長時間を要し生産性が悪くなる。
本発明の難燃性積層ポリステルフィルムには、フィルムの取り扱い性を向上させるため、発明の効果を損なわない範囲で不活性粒子などが添加されていても良い。かかる不活性粒子は層(A)、層(B)のいずれの層に配合されてもよい。不活性粒子としては、例えば、周期律表第IIA、第IIB 、第IVA 、第IVBの元素を含有する無機粒子(例えばカオリン、アルミナ、酸化チタン、炭酸カルシウム、二酸化ケイ素など)、架橋シリコーン樹脂、架橋ポリスチレン、架橋アクリル樹脂粒子等のごとき耐熱性の高いポリマーよりなる粒子などを含有させることができる。
不活性粒子を含有させる場合、不活性粒子の平均粒径は、0.001〜5μmの範囲が好ましく、フィルム全重量に対して0.01〜10重量%の範囲で含有されることが好ましい。
本発明の難燃性積層ポリエステルフィルムは、カルボキシホスフィン酸成分を含む共重合ポリエステルを主たる成分とする層(A)、およびポリエステル成分を層の重量を基準として95重量%以上含有する層(B)とを含む積層構造を有する。
かかる積層ポリエステルフィルムにおいて、層(A)が主に難燃性、熱融着性を発現する機能を有し、層(B)が主に耐熱性、機械特性を維持させる機能を有する。
積層ポリエステルフィルムの厚み比は、全層における層(A)の厚み割合が10%以上50%以下であることが好ましい。層(A)の厚み割合は、より好ましくは12%以上40%以下、さらに好ましくは15%以上35%以下、特に好ましくは18%以上30%以下である。層(A)の厚み割合が下限値に満たない場合、熱融着性および難燃性が十分でないことがある。また、層(A)の厚み割合が上限値を超える場合、フィルムの機械特性が低下することがある。
本発明において、難燃性積層ポリエステルフィルム表面に各種の機能を付与するため、少なくとも一方の面に塗膜層が形成されてもよい。塗膜層はいずれの面に形成してもよいが、熱融着性を有しない層(B)側の面に形成するのが好ましい。塗膜層を構成するバインダー樹脂としては、熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂の各種樹脂を使用し得る。たとえば、ポリエステル、ポリイミド、ポリアミド、ポリエステルアミド、ポリ塩化ビニル、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、およびポリオレフィン、ならびにこれらの共重合体やブレンド物が挙げられる。中でもポリエステル、ポリイミド、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、ポリウレタンが好ましく例示される。かかるバインダー樹脂は、更に架橋剤を加えて架橋されたものでも良い。塗膜層はコーティングによって形成されるのが好ましく、コーティング塗剤の溶媒として、トルエン、酢酸エチル、メチルエチルケトンなどの有機溶媒および混合物が使用され、また水を溶媒としてもよい。
上記の延伸可能なポリエステルフィルムとは、未延伸ポリエステルフィルム、一軸延伸ポリエステルフィルムまたは二軸延伸ポリエステルフィルムであり、これらの中でもフィルムの押出方向(縦方向または長手方向)に一軸延伸した縦延伸ポリエステルフィルムが特に好ましい。
本発明の難燃性積層ポリエステルフィルムの熱収縮率は、150℃で10分間加熱処理したときのフィルムの長手方向(以下、連続製膜方向、縦方向、MD方向と称することがある)、幅方向(以下、横方向、TD方向と称することがある)の少なくとも一方向において1.8%以下であることが好ましい。また本発明における熱収縮率は、好ましくは1.5%以下、特に好ましくは1.3%以下である。フィルムの熱収縮率が上限値を超える場合は、フラットケーブルを作製する工程においてフィルムの寸法変化が大きいため、導体間が狭い場合良好なケーブルを作製できないことがある。かかる熱収縮率特性は、4.0倍以下の延伸倍率でフィルム延伸を行うことによって得ることができる。
本発明の積層ポリエステルフィルムを製造する方法として、熱可塑性ポリエステルを溶融押出し固化成形したシートを少なくとも一方向に延伸するフィルム製造方法が挙げられ、二方向に延伸した二軸配向フィルムであることが好ましい。
フィルム製膜方法は、公知の製膜方法を用いて製造することができ、例えば層(A)用に調整したカルボキシホスフィン酸を含む共重合ポリエステルを十分に乾燥させた後、融点〜(融点+70)℃の温度で押出機内で溶融する。同時に層(B)用に調整したポリエステルを十分に乾燥させた後、他の押出機に供給し、融点〜(融点+70)℃の温度で溶融する。続いて、両方の溶融樹脂をダイ内部で積層する方法、例えばマルチマニホールドダイを用いた同時積層押出法により、積層された未延伸フィルムが製造される。かかる同時積層押出法によると、一つの層を形成する樹脂の溶融物と別の層を形成する樹脂の溶融物はダイ内部で積層され、積層形態を維持した状態でダイよりシート状に成形される。
熱固定は、130〜260℃、より好ましくは150〜240℃の温度で緊張下又は制限収縮下で熱固定するのが好ましく、熱固定時間は1〜1000秒が好ましい。また同時二軸延伸の場合、上記の延伸温度、延伸倍率、熱固定温度等を適用することができる。また、熱固定後に弛緩処理を行ってもよい。
本発明の難燃性積層ポリエステルフィルムはフラットケーブル用に使用でき、以下の方法でフラットケーブルを作成することができる。
フラットケーブルは、導電体が電気絶縁性被覆材でサンドイッチ状に被覆されたフラットな形状のケーブルである。具体的には、本発明の難燃性積層ポリエステルフィルムを2枚用いて層(A)同士を対向させ、その間に配線パターンを形成した導電体を挟みこみ、その後層(A)の融点以上、層(B)の融点以下の温度範囲で、層(A)を溶融させた状態でプレスして熱融着させることによりフラットケーブルを作成することができる。
導電体としては、フラットケーブルに使用される通常の導電体を使用でき、例えば銅、メッキされた銅、銀などが挙げられる。導電体は箔状や平角状であり、直線、曲線またはこれらの組合せで複数の自由な配線パターンが形成される。
ポリエステルチップの固有粘度([η]dl/g)は、35℃のo−クロロフェノール溶液で測定した。o−クロロフェノール溶媒に不溶の場合は、重量比が6:4のフェノール:テトラクロロエタン混合溶媒に溶解後、35℃の温度にて測定して求めることができる。
フィルムサンプルの各層について、1H−NMR測定よりポリエステルの成分および共重合成分及び各成分量を特定した。
積層フィルムの各層厚みは、フィルム全幅の中心をセンター部とし、センター部を含むフィルムの小片をエポキシ樹脂(リファインテック(株)製の商品名「エポマウント」)中に包埋し、Reichert−Jung社製Microtome2050を用いて包埋樹脂ごと50nm厚さにスライスし、透過型電子顕微鏡(LEM−2000)により加速電圧100KVで測定して求めた。
得られた各層厚みをもとに、下記式(1)により厚み割合(%)を求めた。
厚み割合(%)=(T(A)/T(T))×100 ・・・(1)
(式(1)中、T(A)は層(A)の厚み、T(T)は積層フィルム全体の厚みをそれぞれ表わす)
フィルム全幅の中心をセンター部とし、フィルム全幅方向においてセンターから95%の位置をエッジ部とし、センター部およびエッジ部の層(A)厚み比を上記の(3)厚み割合の方法に準じて求め、下記式(2)により層(A)の層厚み比のばらつきを求め、下記基準で判定した。
層(A)の層厚み比のばらつき=T(AE)/T(AC) ・・・(2)
(式(2)中、T(AE)はエッジ部の層(A)厚み比、T(AC)はセンター部の層(A)厚み比をそれぞれ表わす)
○: 層(A)の層厚み比のばらつき 0.7以上2.5未満
△: 層(A)の層厚み比のばらつき 0.4以上0.7未満、2.5以上4.0未満
×: 層(A)の層厚み比のばらつき 0.4未満、4.0以上
フィルムサンプルに30cm間隔で標点をつけ、荷重をかけずに150℃ のオーブンで10分間熱処理を実施し、熱処理後の標点間隔を測定して、フィルム連続製膜方向(MD方向)と、製膜方向に垂直な方向(TD方向)において、下記式にて熱収縮率を算出した。
熱収縮率(%)=((熱処理前標点間距離−熱処理後標点間距離)/熱処理前標点間距離)×100
フィルムサンプルをUL−94VTM法に準拠して評価した。サンプルを20cm×5cmにカットし、23±2℃、50±5%RH中で48時間放置し、その後、試料下端をバーナーから10mm上方に離し垂直に保持した。該試料の下端を内径9.5mm、炎長19mmのブンゼンバーナーを加熱源とし、3秒間接炎した。VTM−0,VTM−1,VTM−2の評価基準に沿って難燃性を評価し、n=5の測定回数のうち、同じランクになった数の最も多いランクとした。
(6)の方法での難燃性評価において、測定回数5回のうちのいくつが(6)で求めたランクになったかにより、燃焼性のばらつきを評価した。
2枚のフィルムサンプルの層(A)(カルボキシホスフィン酸成分を配合してなる層)同士を熱融着させて接着したものにつき、10mm幅×150mm長さの試料を引張り速度100mm/分で引き剥がし、ヒートシール接着強度を測定した。n=5の測定回数の平均値より、下記基準で判定した。
○: 引き剥がし強さ50g/mm以上
△: 引き剥がし強さ20g/mm以上50g/mm未満
×: 引き剥がし強さ20g/m m 未満
(8)の方法での熱融着性評価において、測定回数5回のうちの最大値と最小値との差を求め、下記基準で判定した。
○: 引き剥がし強さの最大値と最小値の差 平均値の30%以下
×: 引き剥がし強さの最大値と最小値の差 平均値の30%こえる
フィルムの間に銅箔を挟んで作製したフラットケーブルサンプルを幅1.5cm×6cmに切り出し、1kgの荷重を加えて吊るし、試料を左右方向に90°繰り返し屈曲させ、試料の平角導体が断線するまでの屈曲回数を測定した。
○:屈曲回数2000回以上
△:屈曲回数1500回以上2000回未満
×:屈曲回数1500回未満
層(A)用に、テレフタル酸ジメチル100重量部、エチレングリコール60重量部を、エステル交換触媒として酢酸マンガン四水塩0.03重量部、滑剤として平均粒径0.5μmの炭酸カルシウム粒子を0.4重量%含有するように添加して、常法に従ってエステル交換反応をさせた。滑剤はフィルム重量に対する配合量を示す。ついで、2−カルボキシエチルフェニルホスフィン酸を配合量で層Aの20重量%になるよう添加し、三酸化アンチモン0.024重量部を添加して、引き続き高温高真空下で常法にて重縮合反応を行い、固有粘度0.64dl/gのポリエステルを得た。得られたポリエステルは組成物の重量を基準として2−カルボキシエチルフェニルホスフィン酸量が15重量%であり、全てポリエステルと共重合化していた。得られたポリエステルを120℃ドライヤーで8時間乾燥後、押出機に投入し、250℃で溶融混練した。
それぞれ溶融した状態で2層に積層し( 厚み比率 層(A):層(B)=1:4)、かかる積層構造を維持した状態でダイスリットより押出した後、表面温度20℃に設定したキャスティングドラム上で冷却固化させて2つの層からなる未延伸フィルムを作成した。
この未延伸フィルムを100℃に加熱したロール群に導き、長手方向(縦方向)に3.5倍で延伸し、25℃のロール群で冷却した。続いて、縦延伸したフィルムの両端をクリップで保持しながらテンターに導き120℃に加熱された雰囲気中で長手方向に垂直な方向(横方向)に4.0倍で延伸した。その後テンタ−内で200℃の熱固定を行い、180℃で1%の弛緩後、均一に除冷して室温まで冷やし、50μm厚み(層(A):10μm,層(B):40μm)の二軸延伸フィルムを得た。得られたフィルムの特性は表1の通りである。本実施例のフィルムは、難燃性、熱融着性、耐熱寸法安定性に優れていた。さらに、銅箔を挟んだサンプルの耐屈曲性も良好であった。
2−カルボキシエチルフェニルホスフィン酸の配合量を10重量%に変更した以外は実施例1と同様に重縮合、製膜を行い、厚み50μmの二軸延伸フィルムを得た。なお得られた層(A)用のポリエステルは、組成物の重量を基準として2−カルボキシエチルフェニルホスフィン酸量が7重量%であり、全てポリエステルと共重合化していた。また得られたポリエステルの固有粘度は0.63dl/gであった。
得られたフィルムの特性は表1の通りである。本実施例のフィルムは、難燃性、熱融着性、耐熱寸法安定性に優れていた。さらに、銅箔を挟んだサンプルの耐屈曲性も良好であった。
厚み比率を層(A):層(B)=1:9とした以外は実施例1と同様にし、厚み50μmの二軸延伸フィルムを得た。得られたフィルムの特性は表1の通りである。本実施例のフィルムは、難燃性、耐熱寸法安定性、銅箔を挟んだサンプルの耐屈曲性に優れていた、また、熱融着性は実施例1よりやや低下するものの実用可能な範囲であった。
2−カルボキシエチルフェニルホスフィン酸の代わりに2−カルボキシプロピルフェニルホスフィン酸を用いた以外は実施例1と同様に重縮合、製膜を行い、厚み50μmの二軸延伸フィルムを得た。本実施例のフィルムは、難燃性、熱融着性、耐熱寸法安定性に優れていた。さらに、銅箔を挟んだサンプルの耐屈曲性も良好であった。
層(A)用に、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチル100重量部、エチレングリコール60重量部、エステル交換触媒として酢酸マンガン四水塩0.03重量部、滑剤として平均粒径0.5μmの炭酸カルシウム粒子を0.25重量%、平均粒径0.2μmの球状シリカ粒子を0.06重量%、および平均粒径0.1μmの球状シリカ粒子を0.1重量%を含有するように添加して、常法に従ってエステル交換反応をさせた。それぞれの滑剤はフィルム重量に対する配合量を示す。ついで、2−カルボキシエチルフェニルホスフィン酸を配合量で層Aの20重量%になるよう添加し、三酸化アンチモン0.024重量部を添加して、引き続き高温高真空下で常法にて重縮合反応を行い、固有粘度0.63dl/gのポリエステルを得た。得られたポリエステルは組成物の重量を基準として2−カルボキシエチルフェニルホスフィン酸量が15重量%であり、全てポリエステルと共重合化していた。得られたポリエステルを120℃ドライヤーで8時間乾燥後、押出機に投入し、270℃で溶融混練した。
それぞれ溶融した状態で2層に積層し(厚み比率 層(A):層(B)=1:4)、かかる積層構造を維持した状態でダイスリットより押出した後、表面温度60℃に設定したキャスティングドラム上で冷却固化させて2つの層からなる未延伸フィルムを作成した。
この未延伸フィルムを140℃に加熱したロール群に導き、長手方向(縦方向)に3.5倍で延伸し、60℃のロール群で冷却した。続いて、縦延伸したフィルムの両端をクリップで保持しながらテンターに導き150℃に加熱された雰囲気中で長手方向に垂直な方向(横方向)に4.0倍で延伸した。その後テンタ−内で200℃の熱固定を行い、180℃で1%の弛緩後、均一に除冷して室温まで冷やし、50μm厚み(層(A):10μm ,層(B):40μm)の二軸延伸フィルムを得た。得られたフィルムの特性は表1の通りである。本実施例のフィルムは、難燃性、熱融着性、耐熱寸法安定性に優れていた。さらに、銅箔を挟んだサンプルの耐屈曲性も良好であった。
厚み比率を層(A):層(B)=1:9とした以外は実施例5と同様にし、厚み50μmの二軸延伸フィルムを得た。得られたフィルムの特性は表1の通りである。本実施例のフィルムは、難燃性、耐熱寸法安定性、銅箔を挟んだサンプルの耐屈曲性に優れていた、また、熱融着性は実施例1よりやや低下するものの実用可能な範囲であった。
層(A)のポリエステルが表1に示す割合になるよう、原料モノマーを変更した以外は実施例5と同様に重縮合、製膜を行い、厚み50μmの二軸延伸フィルムを得た。得られたフィルムの特性は表1の通りである。本実施例のフィルムは、難燃性、熱融着性、耐熱寸法安定性に優れていた。さらに、銅箔を挟んだサンプルの耐屈曲性も良好であった。
層(A)に用いたポリエステルの固有粘度が0.57dl/gであること以外は実施例1と同様にし、厚み50μmの二軸延伸フィルムを得た。得られたフィルムの特性は表1の通りである。本比較例のフィルムは層(A)の厚みが十分に均一でなく、難燃性、熱融着性にばらつきが見られた。
2−カルボキシエチルフェニルホスフィン酸の配合量を層Aの5重量%になるよう変更した以外は実施例1と同様に重縮合、製膜を行い、厚み50μmの二軸延伸フィルムを得た。得られたポリエステルは組成物の重量を基準として2−カルボキシエチルフェニルホスフィン酸量が3.5重量%であり、全てポリエステルと共重合化していた。得られたフィルムの特性は表1の通りである。本比較例のフィルムは、難燃性、熱融着性、耐屈曲性が十分ではなかった。
2−カルボキシエチルフェニルホスフィン酸の配合量を層Aの5重量%になるよう変更した以外は実施例5と同様に重縮合、製膜を行い、厚み50μmの二軸延伸フィルムを得た。得られたポリエステルは組成物の重量を基準として2−カルボキシエチルフェニルホスフィン酸量が3.5重量%であり、全てポリエステルと共重合化していた。得られたフィルムの特性は表1の通りである。本比較例のフィルムは、難燃性、熱融着性、耐屈曲性が十分ではなかった。
Claims (6)
- カルボキシホスフィン酸成分を含む共重合ポリエステルを主たる成分とする層(A)およびポリエステル成分を層の重量を基準として95重量%以上含有する層(B)とを含む積層構造を有し、該カルボキシホスフィン酸成分が下記式(I)で表わされ、
該カルボキシホスフィン酸成分の含有量が層(A)の重量を基準として10重量%以上40重量%以下であり、層(A)と層(B)が同一の主たるポリエステル成分であって、かつ層(A)に用いられるポリエステルの固有粘度が0.63dl/g以上1.0dl/g以下であることを特徴とするフラットケーブル用難燃性積層ポリエステルフィルム。 - 全層における層(A)の厚み割合が10%以上50%以下である請求項1に記載のフラットケーブル用難燃性積層ポリエステルフィルム。
- 150℃で10分間加熱処理したときのフィルムの熱収縮率がフィルムの少なくとも一方向において1.8%以下である請求項1または2に記載のフラットケーブル用難燃性積層ポリエステルフィルム。
- カルボキシホスフィン酸成分が、(2−カルボキシエチル)フェニルホスフィン酸、(3−カルボキシプロピル)フェニルホスフィン酸のうち少なくとも1種である請求項1〜3のいずれかに記載のフラットケーブル用難燃性積層ポリエステルフィルム。
- 層(A)、層(B)を構成するポリエステルの主たる構成成分がエチレンテレフタレートまたはエチレンナフタレンジカルボキシレートである請求項1〜4のいずれかに記載のフラットケーブル用難燃性積層ポリエステルフィルム。
- 請求項1〜5のいずれかに記載のフラットケーブル用難燃性積層ポリエステルフィルムのA層同士が対向するように熱融着され、両方のA層の間に配線パターンを形成した導電体が挟み込まれてなるフラットケーブル。
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