JP2015042706A - 難燃性ポリエステルフィルム - Google Patents

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奈緒美 水野
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Abstract

【課題】耐ブリードアウト性に優れた難燃性ポリエステルフィルムを提供すること。【解決手段】下記一般式(I)で表される有機リン化合物由来の成分を共重合成分として含有する共重合ポリエステルからなり、該有機リン化合物の割合が、ポリエステルのジカルボン酸成分を基準として2〜20モル%である難燃性ポリエステルフィルムによって達成される。【化1】(式中、R1及びR2は炭素原子数1〜5の低級アルキル基、R3及びR4は水素原子又は炭素原子数1〜5の低級アルキル基、Yを含まないかYは−CH2−、−C(CH3)2−、−S−、−SO2−、−O−、−CO−若しくは−N=N−からなる群より選ばれる少なくとも1種の基、kは0又は1、mは0〜4の整数、nは1〜4の整数であり、R1〜R4はそれぞれ同一でも異なっていてもよい。)【選択図】なし

Description

本発明は、耐ブリードアウト性に優れた難燃性ポリエステルフィルム並びにそれに用いられる共重合ポリエステルの製造方法に関するものである。
ポリエステルフィルム、特にポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレンジカルボキシレートの二軸延伸フィルムは、優れた機械的性質、耐熱性、耐薬品性を有するため、磁気テープ、強磁性薄膜テープ、写真フィルム、包装用フィルム、電子部品用フィルム、電気絶縁フィルム、金属ラミネート用フィルムおよび保護用フィルム等の素材として広く用いられている。
近年、製造物責任法の施行に伴い、火災に対する安全性を確保するために樹脂の難燃化が強く要望されている。
従来用いられている有機ハロゲン化合物、ハロゲン含有有機リン化合物等のハロゲン系難燃剤は、難燃効果は高いものの、成形・加工時にハロゲンが遊離し、腐食性のハロゲン化水素ガスを発生して、成形・加工機器を腐食させる可能性、また作業環境を悪化させる可能性が指摘されている。さらに前記難燃剤は、火災などの燃焼に際してハロゲン化水素等のガスを発生する可能性も指摘されている。そのため、近年ハロゲン系難燃剤に替わり、ハロゲンを含まない難燃剤を用いることが強く要望されている。
ハロゲンを含まない難燃剤による難燃化方法の1つとして、種々のリン系化合物が検討されている。例えば、有機リン化合物を用いた難燃化方法として、ポリエチレンテレフタレートに縮合リン酸エステルを配合する方法(特許文献1)や、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートに特定構造の有機リン化合物を配合する方法(特許文献2)が開示されている。しかしながら、これらの有機リン化合物を配合する方法では、難燃性は発現するものの、高温使用時に難燃剤がブリードアウトすることがあった。
このように、高温で加工、使用してもブリードアウトせず高い難燃性が付与された非ハロゲン系難燃性ポリエステルフィルムが求められているのが現状である。
特公昭51−19858号公報 特開2006−63211号公報
本発明は、上記背景技術に鑑みなされたもので、その目的は、耐ブリードアウト性に優れた難燃性ポリエステルフィルム並びに該フィルム用として好適な共重合ポリエステルの製造方法を提供することにある。
本発明者は、かかる課題を解決するために鋭意検討した結果、特定の有機リン化合物をポリエステル重縮合反応時に添加して得られる共重合ポリエステルからなるフィルムは、該有機リン化合物がブリードアウトすることなく高い難燃性を呈することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の目的は、
「1.下記一般式(I)で表される有機リン化合物由来の成分を共重合成分として含有し、該有機リン化合物の割合が、ポリエステルのジカルボン酸成分を基準として2〜20モル%である共重合ポリエステルからなる難燃性ポリエステルフィルム。
Figure 2015042706
(式中、R及びRは炭素原子数1〜5の低級アルキル基、R及びRは水素原子又は炭素原子数1〜5の低級アルキル基、Yを含まないかYは−CH−、−C(CH−、−S−、−SO−、−O−、−CO−若しくは−N=N−からなる群より選ばれる少なくとも1種の基、kは0又は1、mは0〜4の整数、nは1〜4の整数であり、R〜Rはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。)
2.該共重合ポリエステルの主たる繰返し単位がエチレンテレフタレートまたはエチレンナフタレンジカルボキシレートである上記1に記載の難燃性ポリエステルフィルム。
3.ポリエステルを溶融重縮合するに際し、ポリエステルの固有粘度が0.3dl/gとなる以前の段階で、該ポリエステルのジカルボン酸成分を基準として、前記一般式(I)で表される有機リン化合物を2〜20モル%の割合で添加し、さらに重縮合反応を行う共重合ポリエステルの製造方法。
4.ポリエステルが、テレフタル酸またはナフタレンジカルボン酸を主たる酸成分とし、エチレングリコールを主たるジオール成分とする上記3に記載の共重合ポリエステルの製造方法。」
によって達成される。
本発明の難燃性ポリエステルフィルムは、特定の有機リン化合物に由来する成分を共重合成分として含有する共重合ポリエステルからなるので、高温下で使用しても該有機リン化合物がブリードアウトすることなく優れた難燃性を呈し、難燃性が求められる種々の用途に好適に用いられる。
また、本発明の共重合ポリエステルの製造方法によれば、該有機リン化合物をポリエステルに共重合することができるので、耐ブリードアウト性に優れた難燃性成形品用として好適な共重合ポリエステルを提供することができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
<共重合ポリエステル>
本発明の難燃性ポリエステルフィルムを構成する共重合ポリエステルは、前記式(I)で表される有機リン化合物に由来する成分を共重合成分として含むものであって、該有機リン化合物に由来する共重合成分以外の主たる成分が、芳香族ジカルボン酸成分とジオール成分とからなる共重合ポリエステルを対象とする。かかる芳香族ジカルボン酸成分としては、例えばテレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸を例示することができ、ジオール成分としては、例えばエチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノールを例示することができる。なかでも、共重合ポリエステルの主たる繰返し単位が、エチレンテレフタレート、ブチレンテレフタレート、1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレートまたはエチレンナフタレンジカルボキシレートートであることが好ましく、エチレンテレフタレートまたはエチレンナフタレンジカルボキシレ−トが特に好ましく、エチレンナフタレンジカルボキシレ−トの中では、エチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレ−トが好ましい。なお、ここでいう主たるとは、共重合ポリエステルを構成するジカルボン酸成分を基準として90モル%以上、好ましくは95モル%以上、特に98モル%以上であることをいう。
(有機リン化合物)
本発明の共重合ポリエステルには、前記式(I)で表される有機リン化合物に由来する成分を共重合として含有し、該有機リン化合物としての割合は、該ポリエステルのジカルボン酸成分を基準として2〜20モル%、好ましくは2.5〜15モル%、特に3〜13モル%となる範囲である必要がある。該有機リン化合物の割合が2モル%未満の場合には、十分な難燃性を得ることができない。一方、20モル%を超える場合には、得られる共重合ポリエステルの耐熱性低下が大きいので好ましくない。
前記式(I)中、R及びRは炭素原子数1〜5の低級アルキル基、R及びRは水素原子又は炭素原子数1〜5の低級アルキル基であり、R〜Rはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。かかる低級アルキル基としては、メチル、エチル、n−プロピル、iso−プロピル、n−ブチル、iso−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、iso−ペンチル、tert−ペンチル、neo−ペンチル等が例示され、なかでもメチルが好ましい。
また、Yは含まない(直接結合)か、Yは−CH−、−C(CH−、−S−、−SO−、−O−、−CO−若しくは−N=N−からなる群より選ばれる少なくとも1種の基であり、kは0又は1、mは0〜4の整数、nは1〜4の整数である。
かかる有機リン化合物は、公知の方法で製造することができる。例えば、特開平5−1079号に開示された方法が挙げられる。すなわち、オルト位に低級アルキル基(立体障害基)を有する芳香族モノヒドロキシ化合物とオキシハロゲン化リンの反応によりジアリールホスホロハリデートを得、これに芳香族ジヒドロキシ化合物を反応させることで得られる。かかる芳香族モノヒドロキシ化合物としては、例えば2,6−ジメチルフェノール、2,4,6−トリメチルフェノールなどが例示され、芳香族ジヒドロキシ化合物としては、例えばレゾルシン、ハイドロキノン、ピロカテコール、ビスフェノールA、ビスフェノールS、ビスフェノールF、4,4’−ビフェノール、2,2’,6,6’−テトラメチル−4,4’−ビフェノールなどが例示される。
なかでも、下記式(II)〜(V)で表される有機リン化合物が特に好ましい。
Figure 2015042706
なお、本発明における有機リン化合物は、単独で用いても、2種以上を併用して用いてもよい。
本発明の共重合ポリエステルの、有機リン化合物以外の共重合成分としては、例えば蓚酸、アジピン酸、フタル酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、イソフタル酸、テレフタル酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、フェニルインダンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、テトラリンジカルボン酸、デカリンジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸等の如きジカルボン酸;p−オキシ安息香酸、p−オキシエトキシ安息香酸の如きオキシカルボン酸;或いはトリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、シクロヘキサンメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ビスフェノールスルホンのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ジエチレングリコール、ポリエチレンオキシドグリコールの如きジオールを挙げることができる。これらの共重合成分は、1種または2種以上用いてもよい。これらの共重合成分の中で、好ましい酸成分としては、イソフタル酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、p−オキシ安息香酸であり、好ましいジオール成分としては、トリメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ビスフェノールスルホンのエチレンオキサイド付加物である。
また、本発明の共重合ポリエステルは、例えば安息香酸、メトキシポリアルキレングリコールなどの一官能性化合物によって末端の水酸基および/またはカルボキシル基の一部または全部を封鎖したものであってよく、また極く少量の例えばグリセリン、ペンタエリスリトールの如き三官能以上の多官能化合物を実質的に線状のポリマーが得られる範囲内で共重合したものであってもよい。
<共重合ポリエステルの製造方法>
本発明にかかる共重合ポリエステルの製造方法は、前述の主たる芳香族ジカルボン酸成分とジオール成分とを反応させてポリエステル前躯体とし、さらに重縮合反応によって所望の固有粘度を有する共重合ポリエステルとするに際し、前記有機リン化合物を添加して重縮合反応させるものである。
有機リン化合物の添加時期は、前記ポリエステル前駆体を重縮合反応させて形成されるポリエステルの固有粘度が0.3dl/gに到達する以前の段階であれば特に限定されないが、ポリエステル前駆体形成以降、ポリエステルの固有粘度が0.2dl/gに到達する以前の段階が好ましく、ポリエステル前駆体形成以降、ポリエステルの固有粘度が0.1dl/gに到達する以前の段階がさらに好ましく、特にポリエステル前駆体に有機リン化合物を添加して重縮合反応するのが、重縮合反応の途中での添加よりも、添加が簡便なので好ましい。添加時期が、ポリエステルの固有粘度が0.3dl/gを超える段階になると、有機リン化合物をポリエステル中に十分共重合することが難しくなるため、最終的に得られるポリエステルフィルム等の成型品の高温使用時における耐ブリードアウト性が不十分になりやすい。
本発明の製造方法においては、有機リン化合物を添加後、反応を継続して所望の固有粘度、好ましくは0.40dl/g以上、特に好ましくは0.40〜0.90dl/gの範囲の固有粘度に到達せしめる。固有粘度が0.40dl/g未満の場合には、得られる共重合ポリエステルの分子量が低すぎて、フィルム等に成形する際の工程切断が多発することがある。一方、固有粘度が0.90dl/gを超える場合には、重合時間が過度に長くなる問題があるばかりか、製膜工程において共重合ポリエステルを再溶融して押出しする際、溶融粘度が高いことにより溶融押出し設備等への負荷が大きくなる問題がある。
また、得られる共重合ポリエステルの融点は、該有機リン化合物未添加で得られるポリエステルの融点よりも5〜30℃、好ましくは10〜25℃低いことが好ましい。
さらに、共重合ポリエステル中のオリゴマー含有量を抑制する場合には、溶融重縮合によりまず固有粘度を0.40〜0.60dl/gの範囲とし、次いで従来公知の方法により固相重合して、固有粘度を0.05dl/g以上、特に0.07dl/g以上高くするのが好ましい。このようにして得られる共重合ポリエステルは、ポリマー中のオリゴマー量が0.5質量%以下であることが好ましく、さらに0.3質量%以下であることが好ましい。オリゴマーが0.5質量%以下であると、フィルム製膜工程でオリゴマー起因の白粉が生じ難くなり、オリゴマーに起因する表面欠点の発生が少ないフィルムを得ることができる。
本発明の共重合ポリエステルの製造方法について、さらに詳述する。本発明の共重合ポリエステルの製造方法では、上記重縮合反応を行う前に、エステル化反応もしくはエステル交換反応を行い、芳香族ジカルボン酸成分とジオール成分とを反応させてポリエステル前駆体を得る。エステル交換反応を経由する場合に用いるエステル交換反応触媒としては、カルシウム化合物、マグネシウム化合物、マンガン化合物、チタン化合物などが好適に挙げられる。また、本発明の製造方法ではエステル化反応もしくはエステル交換反応開始前から反応初期の間に、得られる共重合ポリエステルの末端カルボキシル基量を低減するために、微量の水酸化カリウムなどのアルカリ金属化合物を添加しても良い。また、静電印加特性の向上を図るために、エステル化反応もしくはエステル交換反応終了から重合反応初期までの間に、微量の酢酸マグネシウムなどのマグネシウム化合物を添加しても良い。
このようにしてエステル化反応もしくはエステル交換反応を経由して得られた前駆体を、溶融状態で重縮合反応させればよい。重縮合触媒としては、三酸化アンチモン、五酸化アンチモンのようなアンチモン化合物、二酸化ゲルマニウムで代表されるようなゲルマニウム化合物、テトラエチルチタネート、テトラプロピルチタネート、テトラフェニルチタネートまたはこれらの部分加水分解物、蓚酸チタニルアンモニウム、蓚酸チタニルカリウム、チタントリスアセチルアセトネートのようなチタン化合物等、従来公知の触媒を用いることができる。
なお、エステル交換反応によりポリエステル前駆体を形成する場合には、重縮合反応前にエステル交換触媒を失活させる目的で、通常トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリ−n−ブチルホスフェート、正リン酸等のリン化合物が通常添加されるが、本発明においては、前記有機リン化合物を重縮合反応開始前、好ましくはエステル交換反応の終了後から重縮合反応開始前の間に添加することにより、前記エステル交換触媒失活剤を添加しなくても、同等の効果が得られる。エステル交換触媒をより失活させる目的で、通常用いられる前記失活剤をリン元素として100ppm以下のごく少量の範囲内で使用してもよく、その量は極めて少量なので難燃性能を左右するものではない。
<その他の成分>
本発明の難燃性ポリステルフィルムを構成する共重合ポリエステルには、フィルムの取り扱い性を向上させるために、発明の効果を損なわない範囲で不活性粒子などが添加されていてもよい。不活性粒子としては、例えば、炭酸カルシウム、シリカ、タルク、クレーなどの無機粒子、シリコーン、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂などからなる有機粒子が挙げられ、単独あるいは2種以上添加しても良い。
不活性粒子を含有させる場合、不活性粒子の平均粒径は0.001〜5μmの範囲が好ましく、フィルム層質量に対して0.01〜10質量%の範囲で含有されることが好ましく、さらに好ましくは0.05〜5質量%、特に好ましくは0.05〜3質量%である。
さらに必要に応じて、熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、離型剤、着色剤、帯電防止剤等の他の添加剤や、上記の共重合ポリエステル以外の樹脂成分、例えばポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエーテルイミド、ポリフェニレンエーテル、フェノキシ樹脂等を、本発明の目的を損なわない範囲で配合してもよい。
<フィルム厚み>
本発明の難燃性ポリエステルフィルムは、フィルム厚みが5〜300μmであることが好ましく、より好ましくは8〜250μm、更に好ましくは10〜200μmの範囲である。
<塗膜層>
本発明においては、難燃性ポリエステルフィルム表面に各種の機能を付与するため、少なくとも一方の面に塗膜層が形成されてもよい。塗膜層を構成するバインダー樹脂としては、熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂の各種樹脂を使用し得る。たとえば、ポリエステル、ポリイミド、ポリアミド、ポリエステルアミド、ポリ塩化ビニル、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、およびポリオレフィン、ならびにこれらの共重合体やブレンド物が挙げられる。なかでもポリエステル、ポリイミド、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、ポリウレタンが好ましく例示される。かかるバインダー樹脂は、更に架橋剤を加えて架橋されたものでも良い。また塗膜層には、構成成分としてさらにポリアルキレンオキサイドなどの界面活性剤や不活性粒子などを含んでいてもよい。
塗膜層はコーティングによって形成されることが好ましく、コーティング塗剤の溶媒としては、トルエン、酢酸エチル、メチルエチルケトンなどの有機溶媒および混合物が使用され、また水を溶媒としてもよい。ポリエステルフィルムの少なくとも片面に前記成分からなる塗膜を形成させる方法としては、例えば延伸可能なポリエステルフィルムに塗膜形成成分を含む水溶液を塗布した後、乾燥、延伸し必要に応じて熱処理する方法を挙げることができる。ここで延伸可能なポリエステルフィルムとは、未延伸ポリエステルフィルム、一軸延伸ポリエステルフィルムまたは二軸延伸ポリエステルフィルムであり、これらの中でもフィルムの押出方向(縦方向または長手方向)に一軸延伸した縦延伸ポリエステルフィルムが特に好ましい。
塗布方法としては、公知の任意の塗布方法が適用できる。例えばロールコート法、グラビアコート法、ロールブラッシュ法、スプレーコート法、エアーナイフコート法、含浸法およびカーテンコート法などを単独または組み合わせて用いることができる。
<その他の層>
本発明の難燃性ポリエステルフィルムは、他の機能を付与する目的で片面または両面にさらに他層を積層した積層体としてもよい。ここでいう他の層とは、例えば透明なポリエステルフィルム、金属箔、ハードコート層などが挙げられる。
<フィルムの製造方法>
本発明の難燃性ポリエステルフィルムの製造方法としては、従来公知の、例えば熱可塑性ポリエステルを溶融押出し、固化成形したシートを少なくとも一方向に延伸するポリエステルフィルムの製造方法を挙げることができ、二方向に延伸した二軸配向フィルムであることが好ましい。
すなわち、十分に乾燥させた共重合ポリエステルを融点〜(融点+70)℃の温度で溶融押出し、キャスティンクドラム上で急冷して未延伸フィルムとし、次いで該未延伸フィルムを逐次または同時二軸延伸し、熱固定する方法で製造することができる。逐次延伸法により製膜する場合、未延伸フィルムを縦方向に60〜100℃で2.3〜5.5倍、より好ましくは2.5〜5.0倍の範囲で延伸し、次いでステンターにて横方向に80〜130℃で2.3〜5.0倍、より好ましくは2.5〜4.8倍の範囲で延伸する方法が挙げられる。
熱固定は、130〜240℃、より好ましくは150〜230℃の温度で緊張下又は制限収縮下で行うことが好ましく、熱固定時間は1〜1000秒が好ましい。また同時二軸延伸の場合、上記の延伸温度、延伸倍率、熱固定温度等を適用することができる。また、熱固定後にさらに弛緩処理を行ってもよい。
以下、実施例により本発明を詳述するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、各特性値は以下の方法で測定した。また、実施例中の部および%は、特に断らない限り、それぞれ質量部および質量%を意味する。
(1)固有粘度
オルトクロロフェノール溶媒に溶解し、温度35℃にてオストワルド粘度計を用いて測定した。単位は[dl/g]で示す。
(2)融点
試料20mgを、示差走査熱量測定装置(TA Instruments 2100 DSC)を用いて昇温速度20℃/分で測定した。
(3)燃焼性
フィルムサンプルをUL−94VTM法に準拠して評価した。サンプルを20cm×5cmにカットし、23±2℃、50±5%RH中で48時間放置し、その後、試料下端をバーナーから10mm上方に離し垂直に保持した。該試料の下端を内径9.5mm、炎長20mmのブンゼンバーナーを加熱源とし、3秒間接炎した。VTM−0,VTM−1,VTM−2の評価基準に沿って難燃性を評価し、n=5の測定回数のうち、同じランクになった数の最も多いランクとした。
(4)耐ブリードアウト性
100mm×100mmのフィルムを、150℃のオーブン内にステンレス製のクリップで吊り下げる。1時間経過後にオーブンからフィルムを取り出し、フィルム表面を目視で観察して下記基準で耐ブリードアウト性を判定した。
○ : ブリードアウトなし
× : ブリードアウトあり
[実施例1]
テレフタル酸ジメチル100質量部、エチレングリコール60質量部に、エステル交換触媒として酢酸マンガン四水塩0.03質量部、滑剤として平均粒径1.5μmの多孔質シリカ粒子を0.06質量%含有するように添加して、常法に従ってエステル交換反応させた。滑剤は得られるポリエステル質量に対する配合量を示す。ついで、前記有機リン化合物(V)をポリエステルのジカルボン酸成分を基準として5モル%となるよう添加し、三酸化アンチモン0.03質量部を添加して、引き続き高温高真空下で常法にて重縮合反応を行い、固有粘度0.62dl/gの共重合ポリエステルを得た。得られた共重合ポリエステルを170℃ドライヤーで3時間乾燥後、押出機に投入し、270℃で溶融してダイスリットより押出した後、表面温度25℃に設定したキャスティングドラム上で冷却固化させて未延伸フィルムを作成した。
この未延伸フィルムを100℃で縦方向(連続製膜方向)に3.2倍延伸し、その後、130℃で横方向(幅方向)に3.6倍に逐次二軸延伸し、さらに220℃で熱固定処理し、さらに200℃で横方向に1%の弛緩後、均一に除冷して室温まで冷やし、50μm厚みの二軸延伸フィルムを得た。得られたフィルムの特性を表1に示す。
[実施例2]
有機リン化合物(V)共重合量を15モル%に変更した以外は実施例1と同様の操作を行い、厚み50μmの二軸延伸フィルムを得た。得られたフィルムの特性を表1に示す。
[実施例3]
有機リン化合物を(II)とし、共重合量を7モル%に変更した以外は実施例1と同様の操作を行い、厚み50μmの二軸延伸フィルムを得た。得られたフィルムの特性を表1に示す。
[比較例1]
固有粘度0.62dl/gのポリエチレンテレフタレートを用い、170℃ドライヤーで3時間乾燥後、上記式(V)で表される有機リン化合物を15重量%混合して押出機に投入し、その後は実施例1と同様の操作を行って厚み50μmの二軸延伸フィルムを得た。得られたフィルムの特性を表1に示す。
[比較例2]
有機リン化合物(V)共重合量を1モル%に変更した以外は実施例1と同様の操作を行い、厚み50μmの二軸延伸フィルムを得た。得られたフィルムの特性を表1に示す。
[比較例3]
有機リン化合物(V)共重合量を25モル%に変更した以外は実施例1と同様の操作を行い、厚み50μmの二軸延伸フィルムを得た。得られたフィルムの特性を表1に示す。
Figure 2015042706
本発明の難燃性ポリエステルフィルムは、難燃成分として用いられている有機リン化合物がブリードアウトすることなく優れた難燃性を呈するので、難燃性が求められる種々の用途に好適に用いることができる。

Claims (4)

  1. 下記一般式(I)で表される有機リン化合物由来の成分を共重合成分として含有し、該有機リン化合物の割合が、ポリエステルのジカルボン酸成分を基準として2〜20モル%である共重合ポリエステルからなる難燃性ポリエステルフィルム。
    Figure 2015042706
    (式中、R及びRは炭素原子数1〜5の低級アルキル基、R及びRは水素原子又は炭素原子数1〜5の低級アルキル基、Yを含まないかYは−CH−、−C(CH−、−S−、−SO−、−O−、−CO−若しくは−N=N−からなる群より選ばれる少なくとも1種の基、kは0又は1、mは0〜4の整数、nは1〜4の整数であり、R〜Rはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。)
  2. 該共重合ポリエステルの主たる繰返し単位がエチレンテレフタレートまたはエチレンナフタレンジカルボキシレートである請求項1に記載の難燃性ポリエステルフィルム。
  3. ポリエステルを溶融重縮合するに際し、ポリエステルの固有粘度が0.3dl/gとなる以前の段階で、ポリエステルのジカルボン酸成分を基準として、下記一般式(I)で表される有機リン化合物を2〜20モル%の割合で添加し、さらに重縮合反応を行う共重合ポリエステルの製造方法。
    Figure 2015042706
    (式中、R及びRは炭素原子数1〜5の低級アルキル基、R及びRは水素原子又は炭素原子数1〜5の低級アルキル基、Yを含まないかYは−CH−、−C(CH−、−S−、−SO−、−O−、−CO−若しくは−N=N−からなる群より選ばれる少なくとも1種の基、kは0又は1、mは0〜4の整数、nは1〜4の整数であり、R〜Rはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。)
  4. ポリエステルが、テレフタル酸またはナフタレンジカルボン酸を主たる酸成分とし、エチレングリコールを主たるジオール成分とする請求項3に記載の共重合ポリエステルの製造方法。
JP2013174466A 2013-08-26 2013-08-26 難燃性ポリエステルフィルム Pending JP2015042706A (ja)

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JPS52125595A (en) * 1976-02-02 1977-10-21 Ciba Geigy Ag Preparation of linear polyesters containing phosphites and or phosphates
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