JP7172045B2 - 転写材用二軸配向ポリエステルフィルムロール - Google Patents

転写材用二軸配向ポリエステルフィルムロール Download PDF

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Description

本発明は、二軸配向ポリエステルフィルムを巻き取ってなる転写材用二軸配向ポリエステルフィルムロールに関する。
二軸配向ポリエステルフィルムはその適度な強靭性、熱安定性、平滑性、透明性、経済性等から、セラミックコンデンサー製造時のセラミックスラリーやプリント配線基板回路形成用のフォトレジスト等の転写材として用いられている。通常、プラスチックないし紙製の中空コアを巻芯とし、シワや異物を巻き込まないようにロール形態として巻き取られている。それを繰り出して被転写体を塗布し再度巻き取って転写材としており、使用時には熱・圧力等により被転写体を対象物に転写させる手法を用いている。
一例としてプリント配線基板回路形成用には、感光性樹脂層(フォトレジスト層)を、支持体としてのポリエステルフィルム上に積層させた後、低密度ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルムやポリエステルフィルムなどからなる保護フィルム(カバーフィルム)で挟んだ構造であるドライフィルムフォトレジストが用いられている。近年、当該技術を用いて、薄膜であっても防錆性を有し、フィルム性に優れ、屈折率が高い保護膜を有する保護膜転写材へ適用されるようになって来た。銅やITO(酸化インジウムスズ)の転写と併せて、保護膜付与によりタッチパネルの額縁金属配線に隠蔽性を持たせる、ITO膜の酸化防止・ぎらつき防止を図るといった性能を付加している。銅・ITO層は露光・エッチングによりマスキング部以外は除去されるが、当該保護膜はタッチパネル部材として残る。被転写体はナノオーダーの超薄膜であり、均一塗布・転写のため、転写面の平滑性が求められる。一方、被転写体の塗布・転写時のハンドリング性を担保すべく、非転写面には適度な粗さが期待される。即ちフィルムの設計としては表裏が異なる積層構造であるか、粒子を塗布することで表裏異なる表面設計であることが必要である。
表裏に別々の機能を持たせた積層フィルムは、一般に表裏で比重が異なり、フィルムロールとして巻き取りそれを引き出した際に局所タルミが生じ、転写材を設けた際に塗布や転写のムラが生じる問題や、転写材を設ける際に収縮によりトタン状に収縮斑が発生する問題があり、とりわけナノオーダーの超薄膜被転写体は均一に塗布し均一に転写出来ない問題が生じていた。これまで、フィルムの極限粘度(IV)やフィルム長さ方向(MD)・幅方向(TD)の収縮率を規定した積層ポリエステルフィルム(例えば、特許文献1)や、熱処理後のリラックス処理を行う際のリラックス率を規定した二軸配向ポリエステルフィルムの製造方法(例えば、特許文献2)や、フィルム幅方向の熱収縮応力値及び熱収縮率を規定した離型用二軸配向ポリエステルフィルム(例えば、特許文献3)や、熱弛緩処理前後のフィルム縦・横方向の熱収縮率を規定した二軸配向ポリエステルフィルムの製造方法(例えば、特許文献4)や、横延伸後に熱弛緩、熱固定の順に処理を施す熱可塑性樹脂フィルムの製造方法(例えば、特許文献5)が提案されている。
特開2015-212056号公報 特許第4983075号公報 特許第4604483号公報 特開2001-191406号公報 特開2001-105490号公報
しかしながら、これら前記の提案でも、転写材とりわけ保護膜転写材として用いるポリエステルフィルムのハンドリング性を担保すべく表裏異設計とすると、ポリエステルフィルムロールとして巻き取った際に表裏の比重差に起因する局所タルミや収縮斑が生じ、ナノオーダーの超薄膜被転写体を均一に設け且つ均一に転写することが出来なかった。この事情に鑑み、本発明は、繰り出し加工時のハンドリング性に優れると共に、基材に局所タルミや収縮斑などの変形がないため、ナノオーダーの超薄膜被転写体を均一に設け且つ均一に転写することが出来る、二軸配向ポリエステルフィルムを巻き取ってなる転写材用二軸配向ポリエステルフィルムロールを提供することを課題とする。
本発明は、以下の特徴を有する。即ち、
(A)下記(I)、(II)を満たす二軸配向ポリエステルフィルムを巻き取ってなる二軸配向ポリエステルフィルムロール
(I)前記ポリエステルフィルムロール幅Wが1000mm以上であり、前記ポリエステルフィルムの一方のフィルム表面を表面(A)、もう一方のフィルム表面を表面(B)としたとき、表面(A)の中心線平均表面粗さSRa(A)が7nm未満であり、表面(B)の中心線平均表面粗さSRa(B)が5nm以上10nm未満であり、表面(A)・表面(B)間の動摩擦係数μd(A/B)が0.8未満である
(II)150℃環境下で30分放置した際のフィルムロール幅方向中央における二軸配向ポリエステルフィルムの幅縮み率をα(%)、フィルムロール幅方向両端における二軸配向ポリエステルフィルムの幅縮み率をβ、γ(%)とした時、以下の式(1)、(2)式を満たす。
0≦(|α-β|/W)<0.00025 式(1)
0≦(|α-γ|/W)<0.00025 式(2)
(B)前記表面(A)の十点平均表面粗さSRz(A)が100nm未満であり、前記表面(B)の十点平均表面粗さSRz(B)が100nm以上400nm未満である、(A)記載の転写材用二軸配向ポリエステルフィルムロール。
(C)3層以上の積層構造を有する(A)または(B)に記載の転写材用二軸配向ポリエステルフィルムロール。
(D)フィルムヘイズが1.0%未満である(A)(C)のいずれかに記載の転写材用二軸配向ポリエステルフィルムロール。
(E)局所タルミ欠点が1平方メートル当たり1箇所以下である(A)(D)のいずれかに記載の転写材用二軸配向ポリエステルフィルムロール。
(F)原反形状測定によりロールの幅方向の変位を0.5mm毎に測定した際に、出力データの平均値よりも大きい部分を凸領域とし、出力データの平均値よりも小さい部分を凹領域としたとき、凸領域に観察されるピークaに対応するロール直径Aと、ピークaに隣接し、かつ凹領域に観察されるピークbに対応するロール直径Bの差A-Bの最大値が300μm以下である、(A)(E)のいずれかに記載の転写材用二軸配向ポリエステルフィルムロール。
(G)フィルムロールの硬度をロール幅方向に測定した際に、硬度の最大値Pと最小値Vの差P-Vが80以下である(A)(F)のいずれかに記載の転写材用二軸配向ポリエステルフィルムロール。
(H)保護膜転写材用に用いる(A)(G)のいずれかに記載の転写材用二軸配向ポリエステルフィルムロール。
本発明によれば、繰り出し加工時のハンドリング性に優れると共に、基材に局所タルミや収縮斑などの変形がないため、ナノオーダーの超薄膜被転写体を均一に設け且つ均一に転写することが出来る、二軸配向ポリエステルフィルムを巻き取ってなる転写材用二軸配向ポリエステルフィルムロールを提供できる。
原反形状測定における出力データの概略説明図である。
本発明の転写材用二軸配向ポリエステルフィルムロールの二軸配向ポリエステルフィルムは、ポリエステルフィルムの一方の面(該面を表面(A)とする)の中心線平均表面粗さSRa(A)が7nm未満であり、もう一方の面(該面を表面(B)とする)のSRa(B)が5nm以上10nm未満である。より好ましくはSRa(A)が6nm未満且つSRa(B)が6nm以上9nm未満である。SRa(A)とSRa(B)との間に差異があることが性能とハンドリングを両立する意味で好ましい。SRa(A)とSRa(B)の差が0.5nm以上であることが好ましく、1.0nm以上であることがより好ましい。本発明の転写材用二軸配向ポリエステルフィルムロールは、該範囲の表面粗さを達成することにより、転写材として用いられる際の良好な平滑性が得られ、均一な被転写材層を形成することが可能であり、同時に加工時のハンドリング性を得られる。SRa(A)が7nm以上の場合、転写材として用いられる際に塗布抜けや転写不良が生じることがあり不適である。また、SRa(A)が3nm未満となると、塗布工程や転写工程にてハンドリング性が悪化する場合があるため、SRa(A)は3nm以上であると好ましい。一方で、SRa(B)が10nm以上の場合、二軸配向ポリエステルフィルムロールとして巻き取った際に裏移りが生じ不適である。またSRa(B)が5nm未満となると、塗布工程や転写工程にてハンドリング性が悪化し不適である。A層、B層の表面粗さを上述の範囲とするには、A面を有する層(A層)およびB面を有する層(B層)を構成するポリエステル樹脂に、後述する特定の有機粒子あるいは無機粒子を特定量含有させることによって、あるいはA面および/ないしB面に粒子を塗布することで達成できる。
本発明の転写材用二軸配向ポリエステルフィルムロールは、ポリエステルフィルムの表面(A)の十点平均表面粗さSRz(A)が100nm未満であり、もう一方の表面(B)のSRz(B)が100nm以上400nm未満であることが好ましい。より好ましくはSRz(A)が80nm未満且つSRz(B)が120nm以上380nm未満で、表面(A)と表面(B)とで差異があることが性能とハンドリングを両立する意味で好ましい。本発明のポリエステルフィルムロールは、該範囲の表面粗さを達成することにより、転写材として用いられる際の適度な平滑性が得られ、均一な被転写材層を形成することが可能であり、同時に加工時のハンドリング性を得られる。SRz(A)が100nm以上の場合、転写材として用いられる際に塗布抜けや転写不良が生じることがある。一方で、SRz(B)が400nm以上の場合、フィルムロールとして巻き取った際に裏移りが生じる場合がある。またSRa(B)が100nm未満となると、塗布工程や転写工程にてハンドリング性が悪化する場合がある。A層、B層の表面粗さを上述の範囲とするには、A面を有する層(A層)およびB面を有する層(B層)を構成するポリエステル樹脂に、後述する特定の有機粒子あるいは無機粒子を特定量含有させることによって、あるいはA面および/ないしB面に粒子を塗布することで達成できる。
本発明の転写材用二軸配向ポリエステルフィルムロールの二軸配向ポリエステルフィルムは、ポリエステルフィルム表面(A)・表面(B)間の動摩擦係数μd(A/B)が0.8未満である。μd(A/B)が0.8以上であると、塗布時や転写時に滑りにくくなり、ハンドリング性が悪化する。μd(A/B)を上記の範囲とするには、後述する特定の有機粒子あるいは無機粒子を特定量含有させることによって、あるいはA面および/ないしB面に粒子を塗布することで達成できる。
本発明のポリエステルフィルムロールのポリエステルフィルムを転写材として使用する際は、セラミックスラリー転写材のように透明性が求められない場合は、A面を有する層およびB面を有する層の粒子量をコントロールしながら、A層とB層の間に存在する中間層(C層)を例えばリサイクル原料を用いた構成にすることが経済性の観点で好ましい。またポリエステルフィルムロールを保護膜転写材として使用する際は、透明性を付与するために、A面を有する層およびB面を有する層の粒子量をコントロールしながら、A層とB層の間に存在する中間層(C層)を例えば実質的に粒子を含まない構成にすることが好ましい。
また、本発明の転写材用二軸配向ポリエステルフィルムロールの二軸配向ポリエステルフィルムは、二軸配向していることが必要である。本発明における、二軸配向とは、未延伸(未配向)フィルムを、常法により二次元方向に延伸された状態(広角X線回折で二軸配向のパターンを示すもの)を指す。延伸は、逐次二軸延伸、同時二軸延伸を採ることができる。逐次二軸延伸は、長手方向(縦)および幅方向(横)に延伸する工程を、縦-横の1回ずつ実施することもできるし、縦-横-縦-横など、2回ずつ実施することもできるが、これに限定されるものではない。
本発明において、ポリエステル樹脂を主成分とするとは、少なくとも70モル%以上が、ジカルボン酸とジオール、およびそれらのエステル形成性誘導体を主たる構成成分とする単量体または低重合体からの重合により得られるポリエステルである。本発明では、ジカルボン酸としては、芳香族ジカルボン酸を用いることが好ましい。
芳香族ジカルボン酸としては、例えば、テレフタル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、などであり、とくにはテレフタル酸が好ましい。これらの酸成分は1種のみ用いてもよく、2種以上併用してもよく、イソフタル酸など他の芳香族ジカルボン酸、あるいは脂肪酸を一部共重合してもよい。
また、ジオール成分としては、例えば、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、などを挙げることができる。中でもエチレングリコールが好ましく用いられる。これらのジオール成分は1種のみ用いてもよく、2種以上併用してもよい。
本発明の転写材用二軸配向ポリエステルフィルムロールに用いられるポリエステルとして、好ましくは、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、およびその共重合体、ポリブチレンテレフタレートおよびその共重合体、ポリブチレンナフタレートおよびその共重合体、さらにはポリヘキサメチレンテレフタレートおよびその共重合体、ポリヘキサメチレンナフタレートおよびその共重合体等を挙げることができ、特に性能及び経済性の観点から、ポリエチレンテレフタレートが好ましい。
本発明の転写材用二軸配向ポリエステルフィルムロールに使用するポリエステルは、従来から知られている方法で製造することができる。例えば、酸成分をジオール成分と直接エステル化反応させた後、この反応の生成物を減圧下で加熱して余剰のジオール成分を除去しつつ重縮合させることによって製造する方法や、酸成分としてジアルキルエステルを用い、これとジオール成分とでエステル交換反応させた後、上記と同様に重縮合させることによって製造する方法などが採用できる。この際、必要に応じて、反応触媒として従来公知のアルカリ金属、アルカリ土類金属、マンガン、コバルト、亜鉛、アンチモン、ゲルマニウム、チタン化合物などを用いることもできる。
本発明の転写材用二軸配向ポリエステルフィルムロールに使用するポリエステルの固有粘度は、0.50dl/g以上 0.80dl/g未満が好ましい。さらに好ましくは、0.55dl/g以上0.70dl/g未満である。
本発明の転写材用二軸配向ポリエステルフィルムロールに用いられるポリエステルフィルムは、フィルムの全厚みが10μm以上50μm未満であることが好ましい。特に好ましくは12μm以上40μm未満である。全厚みが10μm未満では、強度が不足し加工工程でのハンドリングが難しくなることがあり、50μm以上では経済性が悪化する。
本発明の転写材用二軸配向ポリエステルフィルムロールの二軸配向ポリエステルフィルムにおいては、ポリエステルフィルムの寸法変化率が、下記の範囲内であると塗布工程ないし加工工程での局所タルミおよび収縮斑を抑制できるため好ましい。即ち、150℃環境下で30分放置した際のフィルムロール幅方向中央における二軸配向ポリエステルフィルムの幅縮み率をα(%)、フィルムロール幅方向両端における二軸配向ポリエステルフィルムの幅縮み率をβ、γ(%)とした時、以下(1)、(2)式を満たすことが好ましい。
0≦(|α-β|/W)<0.00025 式(1)
0≦(|α-γ|/W)<0.00025 式(2)
寸法変化率は、製膜条件における弛緩・熱処理等の条件を公知の方法により適宜調整することにより達成できる。該寸法変化率において上記範囲の上限を上回ると、被転写体を塗布する際にタルミによる平面性不良が発生し、被転写体の塗布厚みや転写厚みに斑を生じさせることがある。
また、本発明の転写材用二軸配向ポリエステルフィルムロールの二軸配向ポリエステルフィルムは、長手方向のフィルムが5%伸張したときの強度(以降この値のことをF-5値と称する)が70MPa以上150MPa未満であることが好ましい。長手方向のF-5値が70MPa未満では強度不足により傷の発生などにより加工特性が悪くなる場合がある。一方、長手方向のF-5値が150MPa以上では幅方向のF-5値との両立が困難となる場合がある。長手方向のF-5値は、好ましくは、80MPa以上140MPa未満、さらに好ましくは90MPa以上130MPa未満である。
さらに、幅方向のF-5値が80MPa以上160MPa未満であることが好ましい。幅方向のF-5値が80MPa未満では強度不足による傷の発生などによる加工特性が悪くなる場合があり、160MPa以上では長手方向のF-5値との両立が難しくなる場合がある。好ましくは90MPa以上150MPa未満であり、さらに好ましくは100MPa以上140MPa未満である。
また、長手方向の破断強度は200MPa以上360MPa未満であるのが好ましく、220MPa以上340MPa未満の場合がさらに好ましい。幅方向の破断強度については260MPa以上420MPa未満であるのが好ましく、とくに好ましくは280MPa以上400MPa未満である。上記、F-5値および破断強度は縦方向および横方向の延伸温度、延伸倍率を適宜調整することで達成できる。
本発明の転写材用二軸配向ポリエステルフィルムロールの二軸配向ポリエステルフィルムは、特に保護膜転写材として用いる場合、ポリエステルフィルムのヘイズが1.0%未満であることが好ましい。フィルムヘイズが1.0%以上になると、ポリエステルフィルムにレジスト層を積層した後、紫外線を照射して露光するにあたってのレジスト層の支持体であるポリエステルフィルムによる紫外光線の散乱が大きくなるため、現像後のレジストのパターニングにゆがみや、抜け、レジストパターン壁面の状態悪化が発生する場合がある。
近年、例えばプリント配線基板回路形成用はPLP(パネルレベルパッケージ)と呼ばれる基板の大型化が進んでいるため、その技術動向に対応するためには、転写材用に用いるポリエステルフィルムのフィルム幅も一定幅以上が求められている。したがって、本発明の転写材用二軸配向ポリエステルフィルムロールは、ロール幅Wが1000mm以上であることが必要である。より好ましくは、1200mm以上であり、さらに好ましくは1400mm以上である。一方、上記のように広幅のポリエステルフィルムロールにおいては、後述する局所タルミ欠点が発生しやすいという問題が発生する。フィルム表面の表面粗さや、ポリエステルフィルムの熱処理条件などを制御することによって解決することが可能である。
本発明の転写材用二軸配向ポリエステルフィルムロールは、後述する測定方法により求められる局所タルミ欠点が1平方メートル当たり1箇所以下であることが好ましい。上記を満たすことにより、欠陥のない均一な被転写体の塗布及び転写状態を実現し得る。より好ましくは、ポリエステルフィルムの表面に上記の局所タルミ欠点が実質的に存在しないことである。ポリエステルフィルムの表面の局所タルミ欠点を減らす方法は特に限定されるものではないが、例えば、ポリエステルフィルムの熱処理温度を220~240℃として結晶領域の結晶化及び非結晶領域の定着化を十分に実施する、あるいは弛緩時に、幅方向のリラックス率を1~4%として、ポリエステルフィルムの残留応力を適度に除去することが挙げられる。
本発明の転写材用二軸配向ポリエステルフィルムロールは、後述する測定方法により求められる収縮斑が1平方メートル当たり1箇所以下であることが好ましい。上記を満たすことにより、欠陥のない均一な被転写体の塗布及び転写状態を実現し得る。より好ましくは、ポリエステルフィルムの表面に上記の収縮斑が実質的に存在しないことである。ポリエステルフィルムの表面の収縮斑を減らす方法としては、後述するポリエステルフィルムロールの幅方向の直径のプロファイルや硬度を規定の範囲内とすることが挙げられる。
本発明の転写材用二軸配向ポリエステルフィルムロールのロール直径は特に限定されないが、400mm以上600mm以下であることが好ましい。
また、原反形状測定によりロールの幅方向の変位を0.5mm毎に測定した際に、出力データの平均値よりも大きい部分を凸領域とし、出力データの平均値よりも小さい部分を凹領域としたとき、凸領域に観察されるピークaに対応するロール直径Aと、ピークaに隣接し、かつ凹領域に観察されるピークbに対応するロール直径Bの差A-Bの最大値が300μm以下であることが好ましい。
以下、原反形状測定について図1を用いてその概略を説明する。図1において、原反形状測定器からの出力データ1は、横軸にロールの幅方向をとり、縦軸に変位をとる形でプロットされている。ここで、出力データ1の平均値Xのライン2よりも大きい部分を凸領域、小さい部分を凹領域としたときに、両領域を挟んで隣接する、凸領域内のピークaと凹領域内のピークbとが定義される。ロール直径Aはこのピークaに対応するロール直径であり、ロール直径Bはピークbに対応するロール直径である。上記した差A-Bの最大値とは、このようなピークa、bの組から算出される差A-Bの最大値をいう。
なお、測定方法の詳細については後述する。
A-Bの最大値が300μmを超えると、被転写体を塗布する際に収縮によりトタン状に収縮斑が発生し平面性不良となり、被転写体の塗布厚みや転写厚みに斑が生じることがある。A-Bの最大値を300μm以下とする方法は特に限定されるものではないが、例えば、本発明のフィルムをジャンボロールとして巻き取る際、オシレーションによって厚み斑を幅方向に分散させてもよい。またジャンボロールとして巻き取り後、スリッターで所定の幅、長さにスリットする際、ジャンボロールをオシレーションによって厚み斑を幅方向に分散させてもよい。また本発明のフィルムの幅方向の厚み斑を、厚み平均値の3%以下としてもよい。
本発明の転写材用二軸配向ポリエステルフィルムロールにおいて、フィルムロールの硬度をロール幅方向に測定した際に、硬度の最大値Pと最小値Vの差P-Vが80以下であることが好ましい。P-Vが80を超えると、被転写体を塗布する際に収縮によりトタン状に収縮斑が発生し平面性不良となり、被転写体の塗布厚みや転写厚みに斑が生じることがある。P-Vを80以下とするためには、例えば、本発明のフィルムをジャンボロールとして巻き取る際、オシレーションによって厚み斑を幅方向に分散させてもよい。またジャンボロールとして巻き取り後、スリッターで所定の幅、長さにスリットする際、ジャンボロールをオシレーションによって厚み斑を幅方向に分散させてもよい。また本発明のフィルムの幅方向の厚み斑を、厚み平均値の3%以下としてもよい。
本発明の転写材用二軸配向ポリエステルフィルムロールの二軸配向ポリエステルフィルムに含有する粒子としては、有機、無機の粒子を用いることができるが、例えば、酸化珪素、炭酸カルシウム、凝集アルミナ、珪酸アルミニウム、マイカ、クレー、タルク、硫酸バリウムなどを、有機系としては、例えば、ポリイミド系樹脂、オレフィンあるいは変性オレフィン系樹脂、架橋ポリスチレン系樹脂、シリコーン樹脂などを挙げることができる。これらの粒子の採用にあたっては、光線透過率およびヘイズ値の上昇を抑制するため、粒子表面を界面活性剤などで表面改質し、ポリエステルとの親和性を改善する方法が添加粒子周辺でのボイド発生を抑制する点で好ましく採用できる。また、粒子形状が球状に近く、さらに、ポリエステルとの屈折率の差が少ない方が、フィルム層内を紫外線が通過時の散乱光を抑制することができ好ましく、コロイダルシリカ、有機粒子がとくに好ましく、さらに、シリコーン粒子、架橋ポリスチレン粒子が好適である。中でも、乳化重合で調整された、スチレン-ジビニルベンゼン共重合体からなる架橋ポリスチレン粒子は粒子形状が真球に近く、粒子径分布が均一であり、均一な突起形成を図ることが可能で好ましい。
本発明の転写材用二軸配向ポリエステルフィルムロールは、転写面の平滑性と非転写面のハンドリング性を両立するため、表裏設計2層以上の積層構造を有するか、片面に粒子を塗布するか、両面異設計となるように粒子を塗布したポリエステルフィルムを巻き取ってなることが好ましい。特に表裏異設計2層以上の積層構造とするのがより好ましい。粒子を塗布した場合、繰り出しパスラインロール上を搬送した際や転写の際に粒子の脱落や削れが発生するためである。2層の積層構造を有するフィルムとしては、A層/B層からなるものが挙げられる。3層の積層構造を有するフィルムとしては、A層/C層/B層からなるものが挙げられる。4層の積層構造を有するフィルムとしては、A層/C層/D層/B層からなるものが挙げられるが、4層ではC層とD層とを分離する必然性がなく、5層以上でも同様であることから、2層ないし3層が実情に即するが、後述のような形態を取ることができる3層構造が最も好ましい。表層部であるA層およびB層に含有する粒子種、平均粒子径、含有量は、少なくとも1要素は異なっているのが望ましい。表層を構成するポリエステル層は、粒子の分散性の観点から、粒子を含有するポリエステル樹脂組成物を用いて、共押出し法により溶融製膜するのがよい。
セラミックスラリー転写材のように透明性が求められない場合は、3層構造とし、A面を有する層およびB面を有する層の粒子量をコントロールしながら、A層とB層の間に存在する中間層(C層)を例えばリサイクル原料を用いた構成にすることが経済性の観点で好ましい。またポリエステルフィルムロールを保護膜転写材として使用する際も、3層構造とし、透明性を付与するために、A面を有する層およびB面を有する層の粒子量をコントロールしながら、A層とB層の間に存在する中間層(C層)を例えば実質的に粒子を含まない構成にすることが好ましい。
上記構成において、フィルムの表面を構成する層(A層、B層)の積層厚さは0.1μm以上2μm未満が好ましく、更に好ましくは0.4μm以上1.8μm未満である。0.1μm未満の場合にはポリエステル層に添加した粒子の脱落が大きくなり、2μm以上になると前述したヘイズを達成するためには添加している粒子の平均径および添加量を更に減少することが必要になり、加工特性との両立が難しくなる場合がある。
A層、B層には、さらに、前記した粒子とともに、凝集アルミナを含有させることもできる。ここで、凝集アルミナは、平均一次粒子径が5nm以上30nm未満の粒子が数個から数百個凝集したものを表す。凝集アルミナの平均一次粒子径は、8nm以上15nm未満の平均一次粒子径であることがより好ましい。当該凝集アルミナは、無水塩化アルミニウムを原料として火焔加水分解法、あるいはアルコキシドアルミナの加水分解などによって製造されたものが採用できる。凝集アルミナは、結晶型としてδ型、θ型、γ型などが知られているが、とくにδ型アルミナが好適に使用できる。これらの凝集アルミナについて、ポリエステル重合時に添加することで使用に供せるが、例えば、ポリエステル重合時の原料の一部であるエチレングリコールのスラリーとして、サンドグラインダーなどの粉砕、分散を行い、精密濾過を行うことによって、平均二次粒子径が0.01μm以上0.2μm未満の凝集アルミナを得ることができる。このようにして得られた凝集アルミナをフィルム中に添加した場合、二軸延伸によって、面方向に配置されるため、実質的突起を形成せず、表面粗さへの影響が少なく、また、透過性が良いため、ヘイズ値の上昇を抑制できる。凝集アルミナを含有せしめることにより、フィルム表面の地肌補強効果が大きく得られ、耐摩耗性が向上し、延伸時のロールとの接触時に発生する凹み欠点を抑制するという効果が得られる。凝集アルミナは表層(A層、B層)を構成するポリエステル樹脂組成物に含有させることが好ましく、その含有量はポリエステル樹脂組成物全体に対して0.1質量%以上5質量%未満が好ましい。
次に本発明の転写材用二軸配向ポリエステルフィルムロールの製造方法について説明するが、本発明はかかる例に限定して解釈されるものではない。共押出し法による溶融製膜におけるポリエステルに不活性粒子を含有せしめる方法としては、例えばジオール成分であるエチレングリコールに不活性粒子を所定割合にてスラリーの形で分散せしめ、例えば3μm以上の粗大粒子を95%以上捕集できる高精度濾過を行った後、このエチレングリコールスラリーをポリエステル重合完結前の任意段階で添加する。ここで、粒子を添加する際には、例えば、粒子を合成時に得られる水ゾルやアルコールゾルを一旦乾燥させることなく添加すると粒子の分散性が良好であり、粗大突起の発生を抑制でき好ましい。また粒子の水スラリーを直接、所定のポリエステルペレットと混合し、ベント方式の2軸混練押出機に供給しポリエステルに練り込む方法も本発明の効果に有効である。
このようにして、各層のために準備した、粒子含有マスターペレットと粒子などを実質的に含有しないペレットを所定の割合で混合し、乾燥したのち、公知の溶融積層用押出機に供給する。本発明の二軸配向ポリエステルフィルムロールの製造における押出機は、1軸、2軸の押出機を用いることができる。また、ペレットの乾燥工程を省くために、押出機に真空引きラインを設けた、ベント式押出機を用いることもできる。また、中間層を設ける場合には、最も押出量が多くなるため、ペレットを溶融する機能と、溶融したペレットを一定温度に保つ機能をそれぞれの押出機で分担する、いわゆるタンデム押出機を用いることができる。本発明の転写材用二軸配向ポリエステルフィルムロールにおける表面を構成する層の押し出しには、二軸式ベント式押出機を用いることが、粒子の分散性を良好に保てるので好ましい。
押出機で溶融して押出したポリマーは、フィルターにより濾過する。ごく小さな異物もフィルム中に入ると粗大突起欠陥となるため、フィルターには例えば5μm以上の異物を95%以上捕集する高精度のものを用いることが有効である。続いてスリット状のスリットダイからシート状に押し出し、キャスティングロール上で冷却固化せしめて未延伸フィルムを作る。すなわち、複数の押出機、複数層のマニホールドまたは合流ブロック(例えば矩形合流部を有する合流ブロック)を用いて積層し、口金からシートを押し出し、キャスティングロールで冷却して未延伸フィルムを作る。この場合、背圧の安定化および厚み変動の抑制の観点からポリマー流路にスタティックミキサー、ギヤポンプを設置する方法は有効である。
延伸方法は同時二軸延伸であっても逐次二軸延伸であってもよい。逐次延伸の場合、最初の長手方向の延伸が重要であり延伸温度は好ましくは90℃以上130℃未満、更に好ましくは100℃以上125℃未満である。延伸温度が90℃未満になるとフィルムが破断しやすく、延伸温度が130℃以上になるとフィルム表面が熱ダメージを受けやすくなるため好ましくない。また、延伸ムラ、およびキズを防止する観点からは延伸は2段階以上に分けて行うことが好ましく、トータル倍率は長さ方向に好ましくは3倍以上4.5倍未満、更に好ましくは3.5倍以上4.3倍未満であり、幅方向に好ましくは3.2倍以上5倍未満、更に好ましくは4.0倍以上4.6倍未満である。目標とするフィルムの破断強度を達成するため、適宜倍率を選択できる。かかる温度、倍率範囲をはずれると延伸ムラあるいはフィルム破断などの問題を引き起こし、本発明の特徴とするフィルムが得られにくいため好ましくない。再縦または横延伸した後、好ましくは210℃以上240℃未満、更に好ましくは220℃以上240℃未満で好ましくは0.5秒以上20秒未満、更に好ましくは1秒以上15秒未満の熱固定を行う。とくに熱固定温度が210℃未満になるとフィルムの結晶化が進まないために構造が安定せず、目標とする熱収縮率や良好な平面性などの特性が得られず好ましくない。その後、長手及び/又は幅方向に0.1%以上7.0%未満の弛緩処理を施すことが好ましい。幅方向には1.0%以上4.0%未満の弛緩処理を施すことが、良好な平面性を得るためにより好ましい。
二軸延伸後のフィルムは、搬送工程にて冷却させた後、エッジを切断後巻取り、中間製品を得る。この搬送工程にて、フィルムの厚みを測定し、該データをフィードバックして用いてダイ厚みなどの調整によってフィルム厚みの調整を行い、また、欠点検出器による異物検知を行う。中間製品はスリット工程により所望の幅・長さにスリットして巻き取り、本発明の転写材用二軸配向ポリエステルフィルムロールが得られる。スリット時、巻き取り径に応じて巻き取り面圧・張力を調整し巻き取られてなることが本発明の二軸配向ポリエステルフィルムロールを得るためには好ましい。
以下、実施例で本発明を詳細に説明する。
本発明に関する測定方法、評価方法は次の通りである。
(1)フィルム表面粗さ(SRa、SRz値)
三次元微細表面形状測定器(小坂製作所製ET-350K)を用いて測定し、得られた表面のプロファイル曲線より、JIS B0601に準じ、中心線平均表面粗さSRa値、十点平均表面粗さSRz値を求める。測定条件は下記のとおり。
X方向測定長さ:0.5mm、X方向送り速度:0.1mm/秒
Y方向送りピッチ:5μm、Y方向ライン数:40本
カットオフ:0.25mm
触針圧:0.02mN
高さ(Z方向)拡大倍率:5万倍。
(2)フィルムの幅縮み率
ポリエステルフィルムを長さ15cm、幅1cmの短冊状に(ポリエステルフィルムロールの幅方向が長さに、長さ方向が幅になるように)切りだし、長さ方向の両端からそれぞれ2.5cm内側に幅方向と平行な線を引き、2本の平行線間の距離L0を測定した。次いでその短冊状サンプルを150℃の熱風オーブン中にて30分間熱処理し、冷却後、2本の平行線間の距離L1を測定した。処理前の寸法と処理後の寸法から下記式にて幅縮み率(%)を求めた。
熱収縮率(%)=(L0-L1)/L0×100
なお測定はフィルムロール幅方向の中央及び両端部位置について、各10点サンプル測定を実施し、それぞれの平均値をもって幅縮み率とした。
(3)フィルムの動摩擦係数
ASTM-D1894に準じ、縦110mm×横70mmのフィルム片2枚を切り出し、表面Aと表面Bとが接触するように重ね合わせ、64mm×64mmの金属板を重ね、その上に200gの分銅を載せて、フィルム片1枚にスリッパリー測定器(東洋テスター製)を取り付けてスベリを測定した。
(4)フィルムのヘイズ
JIS K7105-1981に準じ、フィルムロール幅方向の中央部から、長手40mm×幅35mmの寸法に切り出したものをサンプルとし、ヘイズメーター(スガ試験機製HGM-2DP(C光源用))を用いて測定した。
(5)フィルムの局所タルミおよび収縮斑
転写材用二軸配向ポリエステルフィルムロールの局所タルミおよび収縮斑は、以下のような手順で評価した。即ち、ポリエステルフィルムロール外層よりフィルムを繰り出し、繰り出し方向に5Nの張力をかけて1500ルクスのバックライトを当て、1m×1mの視野における目視観察を実施した。フィルムが平面でなく、局所的に繰り出し方向が長辺となるように楕円状に変形している箇所を局所タルミと捉え、カウントした。また、フィルムが平面でなく、ポリエステルフィルムロールの幅方向にトタン状の凹凸を有し、該凹凸が繰り出し方向に連続的に発生している箇所を収縮斑と捉え、カウントした。測定は、異なる視野において5回行い、その平均値をもって1平方メートルあたりの局所タルミ欠点の数および収縮斑欠点の数とした。
(6)フィルムのハンドリング性
転写材用二軸配向ポリエステルフィルムロールのハンドリング性は、以下の基準で評価した。
○:フィルムロールを繰り出し、非転写面を鏡面仕上げ金属ロール上を10m/分で走行させた際、搬送不良や帯電上昇が発生せず良好。
△:フィルムロールを繰り出し、非転写面を鏡面仕上げ金属ロール上を10m/分で走行させた際、搬送不良は生じないが帯電上昇が発生しやや不良。
×:フィルムロールを繰り出し、非転写面を鏡面仕上げ金属ロール上を10m/分で走行させた際、搬送不良が生じ且つ帯電上昇も発生し不良。
(7)ロール平均直径D
ロール平均直径Dは、以下の方法で定めた。
フィルムロールの外周長さをロール幅方向の両端部から1cm内側の部分と中心位置の3点で寸法精度100μmの巻尺を用いて測定し、その平均値をDe(mm)とした。
ロール平均直径Dは下記式で定義を行った。
ロール平均直径D=De/π
(8)ロール直径の幅方向の変位
ロール直径の幅方向の変位は、原反形状測定器(キタノ企画社製)を用いて測定した。
該測定器に付属の検出部であるリニヤーゲージ(LGB-110)を製品ロールの表面に接触させ、専用レール上を速度12.5mm/secで走行させた。検出部が検知したロール径の変位は、D/A変換ユニット(LG-DA1)およびリニヤーゲージカウンター(LG-S1)を介してロールの幅方向0.5mm毎に出力させた。出力したデータは測定位置のロール直径(mm)に対応している。
出力したデータの平均値をXとし、Xよりも大きい部分を凸領域、小さい部分を凹領域とし、凸領域のピーク(直径の大きい方向に凸)に該当するデータをa、aに隣接する凹領域のピーク(直径の小さい方向に凸)に該当するデータをbとした。これらa、bのデータをもとに、aのピークに対応するロール直径Aとbのピークに対応するロール直径Bを下記式に基づいて算出し、A-Bの最大値を求めた。なお、ロール直径AとBは、凸領域と凹領域を挟んで隣接するピークの位置にそれぞれ対応した直径である。
A=D+2(a-X)
B=D-2(X-b)
なお、Dは上記(7)で測定したロール平均直径Dである。
(9)硬度
フィルムロールの硬度は、以下の方法で測定した。
スリッターで巻き取った本発明のフィルムロールを、紙フィルム巻硬度計(株式会社シロ産業社製)にてロール幅方向に50mmピッチで硬度を測定した。そして得られた硬度の最大値をP、最小値をVとし、P-Vを算出した。
[実施例1]
(1)ポリエステルペレットの作成
(ポリエステルAの作成)
テレフタル酸86.5質量部とエチレングリコール37.1質量部を255℃で、水を留出しながらエステル化反応を行う。エステル化反応終了後、トリメチルリン酸0.02質量部、酢酸マグネシウム0.06質量部、酢酸リチウム0.01質量部、三酸化アンチモン0.0085質量部を添加し、引き続いて、真空下、290℃まで加熱、昇温して重縮合反応を行い、固有粘度0.63dl/gのポリエステルペレットを得た。
(ポリエステルB、CおよびポリエステルDの作成)
さらに別に、モノマーを吸着させる方法によって得た体積平均粒子径0.3μm、体積形状係数f=0.51のジビニルベンゼン/スチレン共重合架橋粒子の水スラリーを、上記の実質的に粒子を含有しないホモポリエステルペレットに、ベント式二軸混練機を用いて含有させ、体積平均粒子径0.3μmのジビニルベンゼン/スチレン共重合架橋粒子をポリエステルに対し1質量%含有するマスターペレットを得る(ポリエステルB)。
体積平均粒子径0.45μm、0.8μmのジビニルベンゼン/スチレン共重合架橋粒子含有マスターペレットは、ポリエステルに対しそれぞれ1質量%含有するマスターペレットを同様にして得た(それぞれポリエステルC、ポリエステルD)
(ポリエステルEの作成)
上記と同様にポリエステルを製造するにあたり、エステル交換後、体積平均粒子径0.2μm、体積形状係数f=0.51、体積平均粒子径0.1μm、体積形状係数f=0.51、モース硬度7の球状シリカをそれぞれ添加し、重縮合反応を行い、粒子をポリエステルに対し1質量%含有するシリカ含有マスターペレットを得た(ポリエステルE)。なお、用いる球状シリカは、エタノールとエチルシリケートとの混合溶液を攪拌しながら、この混合溶液に、エタノール、純水、および塩基性触媒としてアンモニア水からなる混合溶液を添加し、得られた反応液を攪拌して、エチルシリケートの加水分解反応およびこの加水分解生成物の重縮合反応を行なった後に、反応後の攪拌を行い、単分散シリカ粒子を得た。
(ポリエステルの作成)
さらに、凝集アルミナとしてδ型-アルミナを10質量%のエチレングリコールスラリーとし、サンドグラインダーを用い、粉砕、分散処理を行い、さらに捕集効率95%の3μmフィルターを用いて濾過し、これを前記と同様に調整したエステル交換反応物に添加し、引き続き三酸化アンチモンを加え、重縮合反応を行い、凝集アルミナを2質量%含有する、固有粘度0.62dl/gのマスターペレットを得た。(ポリエステル
(2)ポリエステルペレットの調合
A層、B層、C層それぞれの層の押出機に供給するポリエステルペレットは、以下の比率(組成)にて調合する。なお以下に記載する比率は、おのおのの層を構成するポリエステルペレットに対する質量比(単位:質量%)である。
A層
ポリエステルA:41.5
ポリエステルE:10.0
ポリエステル:48.5。
B層
ポリエステルA:94.5
ポリエステルB: 2.5
ポリエステルD: 3.0。
C層
ポリエステルA:100
(3)二軸配向ポリエステルフィルムの製造
先述の、各層について調合した原料を、ブレンダー内で攪拌した後、A層、B層の原料は攪拌後の原料を、A層用、B層用のベント付き二軸押出機に供給し、C層の原料は160℃で8時間減圧乾燥し、C層用の一軸押出機に供給した。275℃で溶融押出し、5μm以上の異物を95%以上捕集する高精度なフィルターにて濾過した後、矩形の3層用合流ブロックで合流積層し、層A、層Bからなる2層積層、ないし層A、層C、層Bからなる3層積層とした。その後、285℃に保ったスリットダイを介し冷却ロール上に静電印加キャスト法を用いて表面温度25℃のキャスティングドラムに巻き付け冷却固化して未延伸積層フィルムを得た。
この未延伸フィルムを表面粗さRaが0.2μmの延伸ロールを用い、110℃で長手方向4.2倍に延伸した。さらに、引き続いてステンタにて115℃の熱風下で幅方向に4.5倍延伸後、定張下、225℃で4秒間熱処理し、その後長手方向に0.1%、幅方向に3.0%の弛緩処理を施し、厚さ16μmの二軸延伸フィルムの中間製品を得た。この中間製品をスリッターにてスリットし、製品幅1500mmの二軸延伸フィルムロールを得た。得られたフィルムロールの評価結果を表2に示した。
[実施例2~7、比較例1] 以下では実施例6,7を比較例2,3と読み替える。
層A、層B、層Cの組成、熱処理温度ないし幅方向弛緩率を表1に記載のように変更する
以外は実施例1と同様にして二軸配向積層ポリエステルフィルムロールを得た。得られた
フィルムロールの評価結果を表2に示した。
Figure 0007172045000001
Figure 0007172045000002
本発明の転写材用二軸配向ポリエステルフィルムロールは、繰り出し加工時のハンドリング性に優れると共に、基材に局所タルミや収縮斑などの変形がないため、ナノオーダーの超薄膜被転写体を均一に設け且つ均一に転写することが出来る、転写材用二軸配向ポリエステルフィルムロールに好適に用いることができる。
1 出力データ(横軸:ロール幅方向、縦軸:変位)
2 平均値Xを示すライン
3 ピークa
4 ピークb

Claims (8)

  1. 下記(I)、(II)を満たす二軸配向ポリエステルフィルムを巻き取ってなる二軸配向ポリエステルフィルムロール
    (I)前記ポリエステルフィルムロール幅Wが1000mm以上であり、前記ポリエステルフィルムの一方のフィルム表面を表面(A)、もう一方のフィルム表面を表面(B)としたとき、表面(A)の中心線平均表面粗さSRa(A)が7nm未満であり、表面(B)の中心線平均表面粗さSRa(B)が5nm以上10nm未満であり、表面(A)・表面(B)間の動摩擦係数μd(A/B)が0.8未満である
    (II)150℃環境下で30分放置した際のフィルムロール幅方向中央における二軸配向ポリエステルフィルムの幅縮み率をα(%)、フィルムロール幅方向両端における二軸配向ポリエステルフィルムの幅縮み率をβ、γ(%)とした時、以下の式(1)、(2)式を満たす。
    0≦(|α-β|/W)<0.00025 式(1)
    0≦(|α-γ|/W)<0.00025 式(2)
  2. 前記表面(A)の十点平均表面粗さSRz(A)が100nm未満であり、前記表面(B)の十点平均表面粗さSRz(B)が100nm以上400nm未満である、請求項1記載の転写材用二軸配向ポリエステルフィルムロール。
  3. 3層以上の積層構造を有する請求項1または2に記載の転写材用二軸配向ポリエステルフィルムロール。
  4. フィルムヘイズが1.0%未満である請求項1~3のいずれかに記載の転写材用二軸配向ポリエステルフィルムロール。
  5. 局所タルミ欠点が1平方メートル当たり1箇所以下である請求項1~4のいずれかに記載の転写材用二軸配向ポリエステルフィルムロール。
  6. 原反形状測定によりロールの幅方向の変位を0.5mm毎に測定した際に、出力データの平均値よりも大きい部分を凸領域とし、出力データの平均値よりも小さい部分を凹領域としたとき、凸領域に観察されるピークaに対応するロール直径Aと、ピークaに隣接し、かつ凹領域に観察されるピークbに対応するロール直径Bの差A-Bの最大値が300μm以下である、請求項1~5のいずれかに記載の転写材用二軸配向ポリエステルフィルムロール。
  7. フィルムロールの硬度をロール幅方向に測定した際に、硬度の最大値Pと最小値Vの差P-Vが80以下である、請求項1~6のいずれかに記載の転写材用二軸配向ポリエステルフィルムロール。
  8. 保護膜転写材用に用いる請求項1~7のいずれかに記載の転写材用二軸配向ポリエステルフィルムロール。
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