JP2021001284A - 二軸配向ポリエステルフィルムおよびその製造方法 - Google Patents

二軸配向ポリエステルフィルムおよびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】異なる粒径の粒子を同一層に含有させ、露光阻害の原因物となる粒子含有ボイドのサイズを小さくすることで、レジスト形成時における露光阻害の影響を低減し、かつフィルム表面の突起密度を制御することで、高平滑性と高ハンドリング性を維持したドライフィルムレジスト支持体に好適な二軸配向ポリエステルフィルムを提供する。【解決手段】一方の表面(A)の算術平均表面粗さをSRa(A)、10点平均表面粗さをSRz(A)、としたとき、SRa(A)が6.5nm以下、SRz(A)が100nm以上300nm未満であり、表面(A)において、5nm以上20nm以下の突起密度が50個/0.01mm2以上250個/0.01mm2以下である二軸配向ポリエステルフィルム。【選択図】なし

Description

本発明は、二軸配向ポリエステルフィルムおよびその製造方法に関する。
ドライフィルムレジスト(以下DFRと呼ぶ場合がある)は、プリント配線基板、半導体パッケージ、フレキシブル基板などの回路を形成するために用いられている。DFRは、感光層(フォトレジスト層)を、支持体としてのポリエステルフィルム上に積層させた後、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエステルフィルムなどからなる保護フィルム(カバーフィルム)で挟んだ構造をしている。このDFRを用いて導体回路を作成するには、一般的に次のような工程で行われる。
1)DFRから保護フィルムを剥離し、露出したレジスト層の表面と、基板上の銅箔などの導電性基材層の表面とが密着するように、基板・導電性基材層とラミネートする工程。
2)次に、導体回路パターンを焼き付けたフォトマスクを、ポリエステルフィルムからなる支持体上に置き、その上から、感光性樹脂を主体としたレジスト層に紫外線を照射して、露光させる工程。
3)その後、フォトマスクおよびポリエステルフィルムを剥離した後、溶剤によってレジスト層中の未反応分を溶解、除去する工程。
4)次いで、酸などでエッチングを行い、導電性基材層中の露出した部分を溶解、除去する工程。
4)の工程の後には、レジスト層中の光反応部分とこの光反応部分に対応する導電性基材層部分がそのまま残り、その後、残ったレジスト層を除去する工程を経て、基板上の導体回路が形成されることになる。このため、支持体であるポリエステルフィルムには、紫外線を効率的に透過できることが要求される。これにより、導体回路パターンが、正確にレジスト層上に反映される。特に、近年では、IT機器など小型化、軽量化などに伴い、プリント配線板の微細化、高密度化が進んでおり、配線の幅や配線の間隔が5μm程度といった微細パターンを形成し、高解像化を達成できるドライフィルムレジスト支持体用ポリエステルフィルムが要求されている。また、支持体としてのポリエステルフィルムは、支持体上にレジスト層を形成してレジストフィルムを製造する際のハンドリング性を良好にするために、適度なすべり性を有することが重要であるが、適度なすべり性を付与するために易滑材としての粒子を含有させた場合、含有させた粒子が凝集し、露光工程時の紫外線照射の際、粒子による光散乱の透過と反射が共に引き起こされ、レジストの解像度を低下させてしまうという問題が生じていた。
そこで、フィルムの表面を高平滑にして、かつヘイズ値を低くすることや、波長365nmにおける透過率を一定範囲内とすることを特徴とするドライフィルムレジスト支持体用ポリエステルフィルムが提案されている(特許文献1)。また、帯電防止剤の配合によりレジスト用ポリエステルフィルムを製造する際のハンドリング性、ゴミや異物の付着防止や、該フィルムを用いたレジストフィルム自身のハンドリング性、ゴミや異物の付着防止を向上させる技術が開示されている(特許文献2、3、4)。また、含有させる粒子を任意の製造段階で添加することにより分散性を改善し粒子の凝集を防止する技術が開示されている(特許文献5)。さらに、露光照射面における粗大物の数を少なくすることで、フィルム表面近傍での反射や散乱によるレジストパターンの抜けを抑制し、もう一方のレジスト転写面については、逆に一定数の粗大物を存在させ、露光工程で照射された光を表面近傍で適度に散乱させることで、より均一な露光照射が達成できる技術も開示されている(特許文献6)。
特開2016−87854号公報 特開2001−117237号公報 特開2006−327158号公報 特開2007−254640号公報 特開2014−98136号公報 特開2018−100391号公報
しかしながら、これら前記の提案でも、高解像度化の要求を満足することは難しく、現像後のレジストのパターニングにゆがみや、抜け、レジストパターン壁面の状態が悪いなどの欠点が十分に解消できず、依然として、高解像度化への品質向上が求められている。特に、近年では配線の幅や間隔が5μm程度の微細パターンが要求されていることから、2μm程度の粗大物は、レジストの欠陥につながるとされている。粗大物としては、例えばベースフィルム上に付与された粒子の凝集体を核として、延伸過程で形成される気泡(ボイド)が挙げられ、この粒子含有ボイドが存在すると、露光工程で照射された紫外線が散乱し、パターン通りにレジストが硬化しない。ベースフィルムに含有させる粒子の凝集を防ぎ、上記の粒子含有ボイドを減らすために、粒子の添加量を少なく、また、サイズを小さくした結果、フィルム製造工程や上記DFR製造工程にて収率が低下、特に、すべり性が悪化したことで巻きに関わる問題が目立って発生しているため、生産性(フィルム巻き取り性)向上の要求も達成しなければならない。
これらの事情に鑑み、本発明は、異なる粒径の粒子を同一層に含有させ、露光阻害の原因物となる粒子含有ボイドのサイズを小さくすることで、レジスト形成時における露光阻害の影響を低減し、かつフィルム表面の突起密度を制御することで、高平滑性と高ハンドリング性を維持したドライフィルムレジスト支持体に好適な二軸配向ポリエステルフィルムを提供することをその課題とする。
本発明は、以下の特徴を有する。
[I]一方の表面(A)の算術平均表面粗さをSRa(A)、10点平均表面粗さをSRz(A)、としたとき、SRa(A)が6.5nm以下、SRz(A)が100nm以上300nm未満であり、表面(A)において、5nm以上20nm以下の突起密度が50個/0.01mm以上250個/0.01mm以下である二軸配向ポリエステルフィルム。
[II]2層以上の積層構造を有する[I]に記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
[III]3層積層二軸配向ポリエステルフィルムであって、表面を有さない層をC層としたとき、C層に存在する長径2.0μm以上の粗大物の数が4個/mm以下である[I]または[II]に記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
[IV]前記表面(A)が、粒径0.2μm以上の不活性粒子を4個以上含有する長径2.0μm以上のボイドを有しており、当該ボイドの個数が2個/10mm以上12個/10mm未満である[I]〜[III]のいずれかに記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
[V]フィルムヘイズが1.0%以下である[I]〜[IV]のいずれかに記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
[VI]前記表面(A)を有する層が粒子を含有しており、当該層に含有する粒子について、横軸に粒子径、縦軸に粒子の存在比率をプロットしたとき、粒子径が100〜250μmの範囲と、粒子径が250〜500nmの範囲のそれぞれに1つ以上の極大値を有する[I]〜[V]のいずれかに記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
[VII]前記表面(A)を有する層に含有する粒子について、横軸に粒子径、縦軸に粒子の存在比率をプロットしたとき、粒子径が100〜250nmの範囲に2つ以上の極大値を有する[VI]に記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
[VIII]前記表面(A)とは反対側のフィルム表面(B)の算術平均表面粗さをSRa(B)としたとき、SRa(A)とSRa(B)の差が1nm以下である[I]〜[VII]のいずれかに記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
[IX]前記表面(A)と前記表面(B)間の静止摩擦係数μsが0.8以上1.6以下かつ、前記表面(A)と前記表面(B)間の動摩擦係数μdが0.4以上1.0以下である[VIII]に記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
[X]前記表面(B)を有する層が粒子を含有しており、当該層に含有する粒子について、横軸に粒子径、縦軸に粒子の存在比率をプロットしたとき、粒子径が30〜100nmの範囲と、粒子径が100〜250nmの範囲のそれぞれに1つ以上の極大値を有する[VIII]または[IX]に記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
[XI]ドライフィルムレジスト支持体用途に用いる[I]〜[X]のいずれかに記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
[XII]ドライフィルムレジスト支持体用途に用いる際、前記表面(A)側から紫外線露光されるように用いる[I]〜[XI]のいずれかに記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
[XIII]共押出し法により溶融製膜して得る[I]〜[XII]のいずれかに記載の二軸配向ポリエステルフィルムの製造方法。
本発明によれば、露光阻害の影響を低減し、欠陥の少ないレジスト形成が達成され、かつ高平滑性と高ハンドリング性を維持したドライフィルムレジスト支持体に好適な二軸配向ポリエステルフィルムを提供することができる。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、ポリエステル樹脂を主成分とした単層構造であってもよいし、粒子を含むポリエステル樹脂層と粒子を含まないポリエステル樹脂層との積層体であってもよいし、粒子濃度の異なる複数の粒子含有樹脂層の積層体であってもよい。
フィルムの滑り性を高くし、かつ高い透過性も向上する観点から、本発明のフィルムは3層以上の積層体であることが好ましい。
レジスト形成時における露光阻害の影響を低減し、かつ高い平滑性と高いハンドリング性を維持するためには、一方の表面(A)の算術平均表面粗さをSRa(A)、10点平均表面粗さをSRz(A)、としたとき、SRa(A)が6.5nm以下、SRz(A)が100nm以上300nm未満が好ましく、更に好ましくは、SRa(A)が6.0nm以下、SRz(A)が150nm以上280nm未満が好ましい。表面(A)において、5nm以上20nm以下の突起密度が50個/0.01mm以上250個/0.01mm以下である二軸配向ポリエステルフィルム。更に好ましくは、60個/0.01mm以上220個/0.01mm以下である
本発明の発明者らはさらに詳細な粗大物の観察に取り組んだ結果、レーザー顕微鏡を用いることにより、より微小な異物を検出することや検出の精度を向上させることが可能となることを見出した。本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、表面を有さない層をC層としたとき、C層に存在する長径2.0μm以上の粗大物の数が4個/mm以下である。本発明における粗大物とは、ポリエステルフィルム中に相溶せずに存在する固形物や該固形物を中心核とするボイドのことを指し、単体の粒子で構成される場合でも、複数の粒子の凝集体で構成される場合でも粗大物とみなす。また、本発明でいう粗大物の長径とは、後述する測定方法により検出される粗大物が最も長く測定される長さを指す。
粗大物の数を上述の範囲とする方法は特に限定されるものではなく、溶融製膜時に用いる異物捕集フィルターのメッシュサイズを制御する方法などが挙げられる。例えば、共押出し法により溶融製膜して得る場合、押出機に2μm以上の異物を95%以上捕集する高精度のものを用いることが有効である。
また、本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、二軸配向していることが必要である。本発明における、二軸配向とは、未延伸(未配向)フィルムを、常法により、二次元方向に延伸された状態(広角X線回折で二軸配向のパターンを示すもの)を指す。延伸は、逐次二軸延伸、同時二軸延伸を採用することができる。逐次二軸延伸は、長手方向(縦)および幅方向(横)に延伸する工程を、縦−横の1回ずつ実施することもできるし、縦−横−縦−横など、2回ずつ実施することもできる。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムにおいて、ポリエステル樹脂を主成分とするとは、少なくとも70モル%以上が、ジカルボン酸とジオール、およびそれらのエステル形成性誘導体を主たる構成成分とする単量体または低重合体からの重合により得られるポリエステルである。本発明では、ジカルボン酸としては、芳香族ジカルボン酸を用いることが好ましい。
芳香族ジカルボン酸としては、例えば、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、などであり、特にはテレフタル酸が好ましい。これらの酸成分は1種のみ用いてもよく、2種以上併用してもよく、イソフタル酸など他の芳香族ジカルボン酸、あるいは脂肪酸を一部共重合してもよい。
また、ジオール成分としては、例えば、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、などを挙げることができ、中でもエチレングリコールが好ましく用いられる。これらのジオール成分は1種のみ用いてもよく、2種以上併用してもよい。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムに用いられるポリエステルとして、好ましくは、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、およびその共重合体、ポリブチレンテレフタレートおよびその共重合体、ポリブチレンナフタレートおよびその共重合体、さらにはポリヘキサメチレンテレフタレートおよびその共重合体、ポリヘキサメチレンナフタレートおよびその共重合体等を挙げることができ、特に、ポリエチレンテレフタレートが好ましい。
本発明に使用するポリエステルは、従来から知られている方法で製造することができる。例えば、酸成分をジオール成分と直接エステル化反応させた後、この反応の生成物を減圧下で加熱して余剰のジオール成分を除去しつつ重縮合させることによって製造する方法や、酸成分としてジアルキルエステルを用い、これとジオール成分とでエステル交換反応させた後、上記と同様に重縮合させることによって製造する方法などが採用できる。この際、必要に応じて、反応触媒として従来公知のアルカリ金属、アルカリ土類金属、マンガン、コバルト、亜鉛、アンチモン、ゲルマニウム、チタン化合物などを用いることもできる。
上記ポリエステルの固有粘度の下限は0.5dl/g以上であることが好ましく、上限は0.8dl/g以下であることが好ましい。さらに好ましくは下限0.55dl/g、上限0.70dl/gである。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、フィルムの全厚みが10μm以上50μm未満であることが好ましい。特に好ましくは12μm以上40μm未満である。全厚みが10μm未満では、強度不足によって加工工程での取り扱いが難しくなることがあり、50μm以上では、光線透過率およびヘイズ値を本発明範囲内にすることが難しくなる場合があり、また、経済性も悪化する。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムにおいては、寸法変化率が、下記の範囲内であるとDFR加工工程での熱収縮による歪みやシワの発生を抑制できるため好ましい。寸法変化率は、製膜条件における弛緩・熱処理等の条件を公知の方法により適宜調整することにより達成できる。150℃における寸法変化率は長手方向で3.0%以下、幅方向で2.5%以下が好ましく、長手方向で0.5%以上2.0%以下、幅方向で1.0%以上2.0%以下がさらに好ましい。また、100℃における寸法変化率は長手方向、幅方向ともに1.0%以下が好ましく、0.2%以上0.8%以下の範囲であるとさらに好ましい。該寸法変化率において上記範囲の下限を下回ると、レジスト層を塗布する際にタルミによる平面性不良が発生し、上限を上回ると、レジスト層を塗布する際に収縮によりトタン状に収縮斑が発生し平面性不良となり、いずれの場合もレジスト層の塗布厚みに斑を生じさせることがある。
また、長手方向のフィルムが5%伸張したときの強度(以降この値のことをF−5値と称する)が70MPa以上150MPa未満であることが好ましい。長手方向のF−5値が70MPa未満では強度不足により傷の発生などにより加工特性が悪くなる場合がある。一方、長手方向のF−5値が150MPa以上では幅方向のF−5値との両立が困難となる場合がある。長手方向のF−5値は、好ましくは、80MPa以上140MPa未満、さらに好ましくは90MPa以上130MPa未満である。
さらに、幅方向のF−5値が80MPa以上160MPa未満であることが好ましい。幅方向のF−5値が80MPa未満では強度不足による傷の発生などによる加工特性が悪くなる場合があり、160MPa以上では長手方向のF−5値との両立が難しくなる場合がある。好ましくは90MPa以上150MPa未満であり、さらに好ましくは100MPa以上140MPa未満である。
また、長手方向の破断強度は200MPa以上360MPa未満であるのが好ましく、220MPa以上340MPa未満の場合がさらに好ましい。幅方向の破断強度については260MPa以上420MPa未満であるのが好ましく、とくに好ましくは280MPa以上400MPa未満である。上記、F−5値および破断強度は縦方向および横方向の延伸温度、延伸倍率を適宜調整することで達成できる。
さらに、本発明の二軸配向ポリエステルフィルムでは、フィルムヘイズは1.0%未満であることが好ましい。フィルムヘイズが1.0%以上になると、ポリエステルフィルムにレジスト層を積層した後、紫外線を照射して露光するにあたってのレジスト層の支持体であるポリエステルフィルムによる紫外光線の散乱が大きくなるため、現像後のレジストのパターニングにゆがみや、抜け、レジストパターン壁面の状態が悪化する場合や、ポリエステルフィルムの透過率が阻害される場合がある。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、粒子を含んでいてもよい。粒子としては、有機、無機の粒子を用いることができるが、有機系としては、例えば、ポリイミド系樹脂、オレフィンあるいは変性オレフィン系樹脂、架橋ポリスチレン系樹脂、シリコーン樹脂など、無機系としては、例えば、真球状シリカ、酸化珪素、炭酸カルシウム、凝集アルミナ、珪酸アルミニウム、マイカ、クレー、タルク、硫酸バリウムなどが挙げられる。これらの粒子の採用にあたっては、光線透過率およびヘイズ値の上昇を抑制するため、粒子表面を界面活性剤などで表面改質し、ポリエステルとの親和性を改善する方法が添加粒子周辺でのボイド発生を抑制する点で好ましく採用できる。また、粒子形状が球状に近く、ポリエステルとの屈折率に差が少ない方が、フィルム層内を紫外線が通過する際の散乱光を抑制することができる。特に、コロイダルシリカ、有機粒子が好ましく、シリコーン粒子、架橋ポリスチレン粒子が好適である。中でも、乳化重合で調整された、スチレン−ジビニルベンゼン共重合体からなる架橋ポリスチレン粒子は粒子形状が真球に近く、粒子径分布が均一であることから、均一な突起形成を図ることが可能な点で好ましい。コロイダルシリカやスチレン−ジビニルベンゼン共重合体からなる架橋ポリスチレン粒子は表層(A層、B層)を構成するポリエステル樹脂組成物に含有させることが好ましく、その含有量は表層(A層、B層)を構成するポリエステル樹脂組成物全体に対して0.01重量%以上0.1重量%未満が好ましい。含有量が0.01重量%を下回る場合、レジスト塗布工程にてハンドリング性が悪化し、塗布が不安定となり、塗布斑が発生することがあり、また、塗布後の巻き取り時には、噛み込んだ空気が抜けにくくなることによって巻きズレが起きることがあるため、好ましくない。含有量が0.1重量%以上の場合、架橋ポリスチレン粒子同士が凝集しやすい傾向となり、露光工程での光の入射角が不均一になることによる光の反射や散乱の影響により、レジストパターンの抜けが生じることがあるため、好ましくない。
前記A層、B層ともに、前記した粒子とともに、凝集アルミナを併用することも望ましい形態のひとつである。ここで、凝集アルミナは、平均一次粒子径が5nm以上30nm未満の粒子が数個から数百個凝集したものを表す。凝集アルミナの平均一次粒子径は、8nm以上15nm未満の平均一次粒子径であることがより好ましい。当該凝集アルミナは、無水塩化アルミニウムを原料として火焔加水分解法、あるいはアルコキシドアルミナの加水分解などによって製造されたものが採用できる。凝集アルミナは、結晶型としてδ型、θ型、γ型などが知られているが、とくにδ型アルミナが好適に使用できる。これらの凝集アルミナについて、ポリエステル重合時に添加することで使用に供せるが、例えば、ポリエステル重合時の原料の一部であるエチレングリコールのスラリーとして、サンドグラインダーなどの粉砕、分散を行い、精密濾過を行うことによって、平均二次粒子径が10nm以上200nm未満の凝集アルミナを得ることができる。このようにして得られた凝集アルミナをフィルム中に添加した場合、二軸延伸によって、面方向に配置されるため、実質的突起を形成せず、表面粗さへの影響が少なく、また、透過性が良いため、光線透過率およびヘイズ値の劣化を抑制できる。凝集アルミナを含有せしめることにより、フィルム表面の地肌補強効果が大きく得られ、耐摩耗性が向上し、延伸時のロールとの接触時に発生する凹み欠点を抑制するという効果が得られる。凝集アルミナは表層(A層、B層)を構成するポリエステル樹脂組成物に含有させることが好ましく、その含有量はポリエステル樹脂組成物全体に対して0.1重量%以上5.0重量%未満が好ましい。含有量が0.1重量%を下回る場合、レジスト塗布工程にてハンドリング性が悪化し、塗布が不安定となり、塗布斑が発生することや、塗布後の巻き取り時に、噛み込んだ空気が抜けにくくなることによる、巻きズレを起こすことがあるため、好ましくない。含有量が5.0重量%以上の場合、凝集アルミナ同士がさらに凝集しやすい傾向となり、露光工程での光の入射角が不均一になることによる光の反射や散乱の影響により、レジストパターンの抜けが生じることがあるため、好ましくない。
次に本発明の二軸配向ポリエステルフィルムの製造方法について説明する。共押出し法による溶融製膜におけるポリエステルに不活性粒子を含有せしめる方法としては、例えばジオール成分であるエチレングリコールに不活性粒子を所定割合にてスラリーの形で分散せしめ、例えば2μm以上もしくは5μm以上の粗大粒子を95%以上捕集できる高精度濾過を行った後、このエチレングリコールスラリーをポリエステル重合完結前の任意段階で添加する。ここで、粒子を添加する際には、例えば、粒子を合成時に得られる水ゾルやアルコールゾルを一旦乾燥させることなく添加すると粒子の分散性が良好であり、粗大突起の発生を抑制でき好ましい。また粒子の水スラリーを直接、所定のポリエステルペレットと混合し、ベント方式の二軸混練押出機に供給しポリエステルに練り込む方法も本発明の効果に有効である。粒子の含有量を調節する方法としては、上記方法で高濃度の粒子のマスターペレットを作っておき、それを製膜時に粒子を実質的に含有しないPETで希釈して粒子の含有量を調節する方法が有効である。この際、粒子を含有しないPETの固有粘度を粒子含有ペレットの固有粘度よりも高く調整しておくことで、上記した粒子含有ボイドの密度を制御することができる。また、粒子含有ペレットの固有粘度が粒子を含有しないPETの固有粘度よりも高い場合や同じ場合は、粒子の分散性が低下し粒子間距離が近くなることにより、粒子含有ボイドの密度が高くなる傾向にある。
このようにして、各層のために準備した、粒子含有マスターペレットと粒子などを実質的に含有しないペレットを所定の割合で混合し、乾燥した後、固有粘度が低下しないように窒素気流下あるいは減圧下で、公知の溶融積層用押出機に供給する。本発明の二軸配向ポリエステルフィルムの製造における押出機は、一軸、二軸の押出機を用いることができる。また、ペレットの乾燥工程を省くために、押出機に真空引きラインを設けた、ベント式押出機を用いることもできる。また、中間層を設ける場合には、最も押出量が多くなるため、ペレットを溶融する機能と、溶融したペレットを一定温度に保つ機能をそれぞれの押出機で分担する、いわゆるタンデム押出機を用いることができる。本発明の二軸配向ポリエステルフィルムにおける表面を構成する層の押出しには、二軸式ベント式押出機を用いることが、粒子の分散性を良好に保ち、粒子の凝集を抑制することができるため、好ましい。
押出機で溶融して押出したポリマーは、フィルターにより濾過する。ごく小さな異物もフィルム中に入ると粗大突起欠陥となるため、フィルターには例えば2μm以上もしくは5μm以上の異物を95%以上捕集する高精度のものを用いることが有効である。続いて、スリット状のスリットダイからシート状に押し出し、キャスティングロール上で冷却固化せしめて未延伸フィルムを作る。すなわち、複数の押出機、複数層のマニホールドまたは合流ブロック(例えば矩形合流部を有する合流ブロック)を用いて積層し、口金からシートを押し出し、キャスティングロールで冷却して未延伸フィルムを作る。この場合、背圧の安定化および厚み変動の抑制の観点からポリマー流路にスタティックミキサー、ギヤポンプを設置する方法は有効である。
延伸方法は同時二軸延伸であっても逐次二軸延伸であってもよい。逐次延伸の場合、長手方向の延伸温度は好ましくは90℃以上130℃未満、更に好ましくは110℃以上120℃未満である。延伸温度が90℃未満になるとフィルムが破断しやすく、延伸温度が130℃以上になるとフィルム表面が熱ダメージを受けやすくなるため好ましくない。また、延伸ムラ、およびキズを防止する観点からは延伸する前に予熱ゾーンを設け、段階的に加熱することが有効で有り、長手方向の予熱温度は65℃〜135℃が好ましく、更に好ましくは70℃〜130℃である。長手方向の延伸倍率は好ましくは3倍以上4.5倍未満、更に好ましくは3.5倍以上4.3倍未満である。
得られた一軸延伸フィルムは。一旦冷却される。冷却温度は18℃以上40℃以下が好ましく、更に好ましくは21℃以上35℃以下である。冷却を行うことで幅寸法安定性が安定し、本発明の平滑なフィルム表面であったとしても、フィルム搬送ロールでのキズの防止とシワを抑制することができる。
引き続き公知のステンターオーブンにより幅方向に延伸されて二軸延伸フィルムとなる。フィルムはステンターオーブン内のレール上を走行するクリップに把持された状態で、オーブン中で再び樹脂のガラス転移温度以上に加熱され、クリップが走行するレールの広がりに伴い幅方向に延伸される。このとき、幅方向の延伸倍率は好ましくは3.2倍以上5倍未満、更に好ましくは4.0倍以上4.6倍未満である。
ここで、フィルムの表面粗さと突起分布を制御するために、段階的にフィルムを加熱することが重要である。一軸延伸フィルムを幅手方向に延伸する前に90℃以上110℃以下で加熱し、十分にガラス転移温度以上に加熱されたフィルムを110℃以上120℃以下で幅手方向に延伸することで、フィルムの延伸が容易となり、フィルム表面を形成する粒子による微少な延伸ムラを抑制することができる。
次に、得られた二軸延伸フィルムの熱処理を行うことができる。熱処理は幅方向の延伸に引き続き同じステンターオーブン内で行っても、幅方向の延伸を行ったステンターオーブンとは別のオーブンで行ってもよい。熱処理の温度は、好ましくは170℃以上250℃以下である。熱処理を行うことにより、その後の加工工程や最終製品として使用する時に高温下に晒されたときの寸法安定性が向上するため好ましい。また、熱処理時に幅方向にフィルムを0%より大きく8%以下の条件で弛緩させ、さらに寸法安定性を向上させることも好ましい。
二軸延伸後のフィルムは、オーブンから出るときに冷却することが好ましい。冷却温度は100℃以上130℃以下が好ましく、更に好ましくは110℃以上125℃以下である。冷却をすることで幅寸法が安定し、本発明の平滑なフィルム表面であったとしても、フィルム搬送ロールでのキズの防止とシワを抑制することができる。
続いて、エッジを切断して巻き取った後、中間製品を得る。この搬送工程にて、フィルムの厚みを測定し、該データをフィードバックして用いて、ダイ厚みなどの調整によってフィルム厚みを調整し、また、欠点検出器による異物検知を行う。
エッジの切断時には、切粉の発生を抑制することが、本発明の二軸配向ポリエステルフィルムにおいて好ましい。エッジの切断には丸刃、シェアー刃、ストレート刃を使用するが、ストレート刃を用いる場合は、刃がフィルムに当たる箇所を常に同じ箇所にさせないことが、刃の摩耗を抑制できるため好ましい形態である。このため、刃を上限までオシレーションする機構を有することが好ましい。また、フィルム切断箇所に吸引装置を設けて、発生した切り粉や、切断後のフィルム端部同士が削れて発生する削れ粉を吸引することが好ましい。
中間製品はスリット工程により適切な幅・長さにスリットして巻き取り、本発明の二軸配向ポリエステルフィルムのロールが得られる。スリット工程におけるフィルムの切断時も、先述のエッジの切断と同様な切断の方式から選定できる。
中間製品を所望の幅にスリットし、本発明の二軸配向ポリエステルフィルムを得る。こうして得られる本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、良好な透過性、すべり性を有するため、ドライフィルムレジスト支持体用に好適に用いることができる。
以下実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれに限定して解釈されるものではない。
(測定方法)
(1)フィルム表面粗さ(SRa、SRz値)
三次元微細表面形状測定器(小坂製作所製ET−350K)を用いて表面(A)および表面(B)について測定し、得られた表面のプロファイル曲線より、JIS・B0601に準じ、算術平均表面粗さSRa値、十点平均表面粗さSRz値を求めた。測定条件は下記のとおり。
X方向測定長さ:0.5mm、X方向送り速度:0.1mm/秒。
Y方向送りピッチ:5μm、Y方向ライン数:40本。
カットオフ:0.25mm。
触針圧:0.02mN。
高さ(Z方向)拡大倍率:5万倍
(2)突起密度
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムを20mm×40mmに切り出し、非接触光学式粗さ測定器(装置:Zygo社製NewView7300)を用い、50倍対物レンズを使用して測定面積0.01mmの場所をランダムに変えて80視野測定し、1視野当たりの平均値を求めた。サンプルセットは、測定Y軸がサンプルフィルムのMD方向となるようにサンプルをステージにセットして測定した。
(3)粗大異物個数
二軸配向ポリエステルフィルムを5cm×5cmに切り出し、レーザー顕微鏡(キーエンス製VK−X250)で50倍の対物レンズを用いて、C層中の画像を1mm取り込む。取り込んだ画像を2値化処理し、粒子解析モジュール(キーエンス製VKH1XG)を用いて、フィルム表面から一定の深さ範囲内に存在する長径2.0μm以上の粗大物の数を計測した。
(4)粒子含有ボイドの密度
フィルム表面(A)のポリエステルをプラズマ低温処理法で除去し、粒子を露出させる。処理条件は、ポリエステルは灰化されるが粒子がダメージを受けない条件を選択する。これを走査型電子顕微鏡(SEM;株式会社日立製作所製 S−4000型)にて1000倍程度の倍率で粒子を観察する。フィルム表面上の突起は、延伸により粒子の周辺にボイドが発生する。ボイド中に粒径が100〜500nmの粒子を4個以上、かつ、その隣り合う、最も近い粒子間の距離が1.5μm未満で密集していることが確認できるボイドを粒子含有ボイドとし、当該ボイドの10mmのボイド数を計測し、その個数(存在密度)を算出した。
(5)フィルムのヘイズ
JIS K7105−1981に準じ、フィルム幅方向の中央部から、長手4.0×幅3.5cmの寸法に切り出したものをサンプルとし、ヘイズを、ヘイズメータ(スガ試験機製HGM−2DP(C光源用))を用いて測定する。
(6)摩擦係数
JIS K7125−1987に準じ、二軸配向ポリエステルフィルムから切り出したサンプルを2枚準備し、各サンプルの表面を除電後、一方のサンプルの表面(A)ともう一方のサンプルの表面(B)を重ね合わせ、フィルム端部を固定し、荷重200g(法線力1.96N)をかけて150mm/分で10mm移動させたときの張力からすべり係数を算出した。
(7)レジスト解像度の目視検査
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムにおけるレジストの解像度の目視評価方法は、以下のような手順で行った。
(i)片面鏡面研磨した6インチSiウエハー上に、東京応化(株)製のネガレジスト“PMER N−HC600”を塗布し、大型スピナーで回転させることによって厚み7μmのレジスト層を作製した。次いで、窒素循環の通風オーブンを用いて70℃の温度条件で、約20分間の前熱処理を行った。
(ii)ポリエステルフィルムのA層側表面をレジスト層と接触するように重ね、ゴム製のローラーを用いて、レジスト層上にポリエステルフィルムをラミネートし、その上に、クロム金属でパターニングされたフォトマスクを配置し、そのフォトマスク上からI線ステッパーを用いて露光を行った。
(iii)レジスト層からポリエステルフィルムを剥離した後、現像液N−A5が入った容器にレジスト層を入れ約1分間の現像を行った。その後、現像液から取り出し、水で約1分間の洗浄を行った。
(iv)現像後に作成されたレジストパターンのL/S(μm)(Line and Space )の状態を走査型電子顕微鏡SEMを用いて1000倍率で観察した。レジストの解像度の評価は、以下の基準に従った。なお、△以上の評価が実用可能レベルとなる。
◎:L/S=8/8μmが明確に確認できる。
○:L/S=8/8μmは明確に確認できないが、L/S=10/10μmは明確に確認できる。
△:L/S=10/10μmは明確に確認できないが、L/S=15/15μmは明確に確認できる。
×:L/S=15/15μmが明確に確認できない。(生産適用不可)。
(8)レジストフィルムのハンドリング性(すべり性評価)
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムを支持体として、A層側にネガ型感光性樹脂からなるレジスト層をコーティングにより形成し、レジストフィルムを作製した。レジストフィルム製造時のハンドリング性としてすべり性の評価は、以下の基準に従った。なお、△以上の評価が実用可能レベルとなる。
○:適正なすべり性を有し、ハンドリング性が良好。
△:すべり性が悪く、ハンドリング性に劣る。
×:適正なすべり性がないため、ハンドリング困難(生産適用不可)。
(原料)
(ポリエステルAの作成)
テレフタル酸86.5重量部とエチレングリコール37.1重量部を255℃で、水を留出しながらエステル化反応を行う。エステル化反応終了後、トリメチルリン酸0.02重量部、酢酸マグネシウム0.06重量部、酢酸リチウム0.01重量部、三酸化アンチモン0.0085重量部を添加し、引き続いて、真空下、290℃まで加熱、昇温して重縮合反応を行い、固有粘度0.63dl/gのポリエステルペレットを得た。(ポリエステルA)。
(ポリエステルBの作成)
上記と同様にポリエステルを製造するにあたり、エステル交換後、体積平均粒子径0.06μm、体積形状係数f=0.51、モース硬度7の球状シリカをそれぞれ添加し、重縮合反応を行い、粒子をポリエステルに対し0.5重量%含有するシリカ含有マスターペレットを得た(ポリエステルB)。なお、用いる球状シリカは、エタノールとエチルシリケートとの混合溶液を攪拌しながら、この混合溶液に、エタノール、純水、および塩基性触媒としてアンモニア水からなる混合溶液を添加し、得られた反応液を攪拌して、エチルシリケートの加水分解反応およびこの加水分解生成物の重縮合反応を行なった後に、反応後の攪拌を行い、単分散シリカ粒子を得た。
(ポリエステルCの作成)
上記と同様にポリエステルを製造するにあたり、エステル交換後、体積平均粒子径0.2μm、体積形状係数f=0.51、モース硬度7の球状シリカをそれぞれ添加し、重縮合反応を行い、粒子をポリエステルに対し2重量%含有するシリカ含有マスターペレットを得た(ポリエステルC)。なお、用いる球状シリカは、エタノールとエチルシリケートとの混合溶液を攪拌しながら、この混合溶液に、エタノール、純水、および塩基性触媒としてアンモニア水からなる混合溶液を添加し、得られた反応液を攪拌して、エチルシリケートの加水分解反応およびこの加水分解生成物の重縮合反応を行なった後に、反応後の攪拌を行い、単分散シリカ粒子を得た。
(ポリエステルD、E、Fの作成)
さらに別に、モノマーを吸着させる方法によって得た体積平均粒子径0.15μm、体積形状係数f=0.51のジビニルベンゼン/スチレン共重合架橋粒子の水スラリーを、上記の実質的に粒子を含有しないホモポリエステルペレットに、ベント式二軸混練機を用いて含有させ、体積平均粒子径0.15μmのジビニルベンゼン/スチレン共重合架橋粒子をポリエステルに対し1重量%含有するマスターペレットを得る(ポリエステルD)。また、体積平均粒子径0.3μm、0.45μmのジビニルベンゼン/スチレン共重合架橋粒子含有マスターペレットは、ポリエステルに対しそれぞれ0.2重量%1重量%含有するマスターペレットを同様にして得た(ポリエステルE、F)。
(ポリエステルGの作成)
さらに、平均粒子径1.0μmの炭酸カルシウムを準備し、10%のエチレングリコールスラリーとした。このスラリーをジェットアジターで一時間分散処理を行い、5μm以上の捕集効率95%のフィルターで高精度濾過した。ジメチルテレフタレートに1.9モルのエチレングリコールおよび酢酸マグネシウム・4水塩を0.05%、リン酸を0.015%加え加熱エステル交換を行い、前述した炭酸カルシウムを含むスラリーをエステル交換後に添加し、引き続き三酸化アンチモン0.025%を加え、加熱昇温し真空下で重縮合反応を行い、平均粒子径1.0μmの炭酸カルシウムを1重量%含む、固有粘度0.63dl/gの炭酸カルシウム含有マスターペレットを得た。(ポリエステルG)。
(ポリエステルHの作成)
さらに、凝集アルミナとしてδ型−アルミナを10%のエチレングリコールスラリーとし、サンドグラインダーを用い、粉砕、分散処理を行い、さらに捕集効率95%の3μmフィルターを用いて濾過し、これを前記と同様に調整したエステル交換反応物に添加し、引き続き三酸化アンチモンを加え、重縮合反応を行い、凝集アルミナを1.5重量%含有する、固有粘度0.62dl/gのマスターペレットを得た。(ポリエステルH)。
(実施例1)
各層について表1に示した配合で調合した原料の混合物を、ブレンダー内で攪拌した後、A層、B層の原料は攪拌後の原料を、A層用、B層用のベント付き二軸押出機に供給し、C層の原料は120〜140℃で1時間以上減圧乾燥し、C層用の一軸押出機に供給した。続いて、275℃で溶融押出し、A層は5μm以上の異物を95%以上捕集する高精度なフィルター、B層は2μm以上の異物を95%以上捕集する高精度なフィルターにて濾過した後、矩形の3層用合流ブロックで合流積層し、A層、B層、C層からなる3層積層とした。その後、285℃に保ったスリットダイを介し冷却ロール上に静電印可キャスト法を用いて表面温度23℃のキャスティングドラムに巻き付け冷却固化して未延伸積層フィルムを得た。
この未延伸フィルムを70〜130℃の加熱ロールで予熱後、表面粗さRaが0.2μmの延伸ロールを用いて110〜120℃で長手方向4倍に延伸し、続けて、延伸温度よりも80〜100℃下げて、一軸延伸後のフィルムを冷却させた。さらに、引き続いてステンタにて110〜115℃の熱風下で幅方向に4.5倍延伸後、定張下、220℃で4秒間熱処理し、その後、長手方向に0.1%、幅方向に3.2%の弛緩処理を施し、厚さ16μmの二軸配向ポリエステルフィルムの中間製品を得た。この中間製品をスリッターにてスリットし、厚さ16μmの二軸配向ポリエステルフィルムのロールを得た。得られたフィルムの評価結果を表2に示した。このように本発明の二軸配向ポリエステルフィルムはすべり性、レジスト解像度に優れるものであった。
(実施例2、3)
A層、B層、C層の組成を表1に記載のように変更する以外は実施例1と同様にして二軸配向ポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムの評価結果を表2に示す。このように本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは実施例1同様に、すべり性、レジスト解像度に優れるものであった。
(比較例1〜3)
A層、B層、C層の組成を表1に記載のように変更した以外は実施例1と同様にして二軸配向ポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムの評価結果を表2に示す。
Figure 2021001284
Figure 2021001284
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、良好な透過性、すべり性を有するため、ドライフィルムレジスト支持体用に好適に用いることができる。

Claims (13)

  1. 一方の表面(A)の算術平均表面粗さをSRa(A)、10点平均表面粗さをSRz(A)、としたとき、SRa(A)が6.5nm以下、SRz(A)が100nm以上300nm未満であり、表面(A)において、5nm以上20nm以下の突起密度が50個/0.01mm以上250個/0.01mm以下である二軸配向ポリエステルフィルム。
  2. 2層以上の積層構造を有する請求項1に記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
  3. 3層積層二軸配向ポリエステルフィルムであって、表面を有さない層をC層としたとき、C層に存在する長径2.0μm以上の粗大物の数が4個/mm以下である請求項1または2に記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
  4. 前記表面(A)が、粒径0.2μm以上の不活性粒子を4個以上含有する長径2.0μm以上のボイドを有しており、当該ボイドの個数が2個/10mm以上12個/10mm未満である請求項1〜3のいずれかに記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
  5. フィルムヘイズが1.0%以下である請求項1〜4のいずれかに記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
  6. 前記表面(A)を有する層が粒子を含有しており、当該層に含有する粒子について、横軸に粒子径、縦軸に粒子の存在比率をプロットしたとき、粒子径が100〜250μmの範囲と、粒子径が250〜500μmの範囲のそれぞれに1つ以上の極大値を有する請求項1〜5のいずれかに記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
  7. 前記表面(A)を有する層に含有する粒子について、横軸に粒子径、縦軸に粒子の存在比率をプロットしたとき、粒子径が100〜250μmの範囲に2つ以上の極大値を有する請求項6に記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
  8. 前記表面(A)とは反対側のフィルム表面(B)の算術平均表面粗さをSRa(B)としたとき、SRa(A)とSRa(B)の差が1nm以下である請求項1〜7のいずれかに記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
  9. 前記表面(A)と前記表面(B)間の静止摩擦係数μsが2.0以上3.0以下かつ、前記表面(A)と前記表面(B)間の動摩擦係数μdが1.0以上1.5以下である請求項8に記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
  10. 前記表面(B)を有する層が粒子を含有しており、当該層に含有する粒子について、横軸に粒子径、縦軸に粒子の存在比率をプロットしたとき、粒子径が30〜100μmの範囲と、粒子径が100〜250μmの範囲のそれぞれに1つ以上の極大値を有する請求項8または9に記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
  11. ドライフィルムレジスト支持体用途に用いる請求項1〜10のいずれかに記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
  12. ドライフィルムレジスト支持体用途に用いる際、前記表面(A)側から紫外線露光されるように用いる請求項1〜11のいずれかに記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
  13. 共押出し法により溶融製膜して得る請求項1〜12のいずれかに記載の二軸配向ポリエステルフィルムの製造方法。
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