JP6432283B2 - ドライフィルムレジスト支持体用二軸配向ポリエステルフィルム - Google Patents
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Description
DFRは、感光層(フォトレジスト層)を、支持体としてのポリエステルフィルム上に積層させた後、LDPE(低密度ポリエチレン)フィルムなどからなる保護フィルム(カバーフィルム)で挟んだ構造をしている。このDFRを用いて導体回路を作成するには、一般的に次のような工程で行われる。
1)DFRから保護フィルムを剥離し、露出したレジスト層の表面と、基板上の銅箔などの導電性基材層の表面とが密着するように、基板・導電性基材層とラミネートする工程。
2)次に、導体回路パターンを焼き付けたフォトマスクを、ポリエステルフィルムからなる支持体上に置き、その上から、感光性樹脂を主体としたレジスト層に紫外線(例えば365nmにピークを有するI線、405nmにピークを有するH線)を照射して、露光させる工程。
3)その後、フォトマスクおよびポリエステルフィルムを剥離した後、溶剤によってレジスト層中の未反応分を溶解、除去する工程。
4)次いで、酸などでエッチングを行い、導電性基材層中の露出した部分を溶解、除去する工程。
4)の工程の後には、レジスト層中の光反応部分とこの光反応部分に対応する導電性基材層部分がそのまま残る。その後、残ったレジスト層を除去する工程を経て、基板上の導体回路が形成されることになる。このため、支持体であるポリエステルフィルムには、紫外線を効率的に透過できることが要求される。これにより、導体回路パターンが、正確にレジスト層上に反映される。とくに近年では、IT機器など小型化、軽量化などに伴い、透過性に優れ、ヘイズが低く、高解像化を達成できるドライフィルムレジスト支持体用ポリエステルフィルムが要求されている。しかしながら、ポリエステルフィルムには、走行性や巻き特性を付与するために易滑材としての粒子を含有させているため、露光工程時の紫外線照射の際、粒子による光散乱が透過、反射共に引き起こされ、レジストの解像度を低下させてしまうという問題が生じていた。
(1)3層以上の積層構造を有するポリエステルフィルムであり、フィルム全体厚みT(μm)が24.50〜50μmであり、フィルムヘイズが1.0%未満であり、一方の面(該面を表面(A)とする)の表面粗さSRa(A)が7nm以下且つSRz(A)が100nm未満であり、もう一方の面(該面を表面(B)とする)は表面粗さSRa(B)が3nm以上10nm未満で且つSRz(B)が100nm以上700nm未満であり、表面(B)側から光を入射させたときの365nm及び405nmでの反射率が14%未満であることを特徴とするドライフィルムレジスト支持体用二軸配向ポリエステルフィルム。
(2)表面(A)有するポリエステル層(該層をA層とする)に粒子が含まれており、当該粒子の最大粒子径DAがDA<0.4μmであり、表面(B)を有するポリエステル層(該層をB層とする)に粒子が含まれており、当該粒子の最大粒子径DBが0.4μm≦DB<1.0μmであり、かつフィルム全体厚みT(μm)としたとき、DB/T≦0.05であることを特徴とする(1)に記載のドライフィルムレジスト支持体用二軸配向ポリエステルフィルム。
(3)表面(A)上にレジスト層を積層して用いる(1)または(2)に記載のドライフィルムレジスト支持体用二軸配向ポリエステルフィルム。
(4)共押し出しにより溶融製膜されたポリエステルフィルムであることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載のドライフィルムレジスト支持体用二軸配向ポリエステルフィルム。
また、縦方向のF−5値と長手方向のF−5値の和は200〜270MPaであることが好ましく、とくに220〜250MPaが好ましい。また幅方向のF−5値は、長手方向のF−5値よりも同等以上であることが好ましく、その差が10〜20MPaの場合がさらに好ましい。
本発明に関する測定方法、評価方法は次の通りである。
フィルム表面を構成する層については次のように測定する。フィルムからポリマーをプラズマ低温灰化処理法で除去し、粒子を露出させる。処理条件は、ポリマーは灰化されるが粒子は極力ダメージを受けない条件を選択する。処理後の試料を走査型電子顕微鏡(SEM;株式会社日立製作所製 S−4000型)で観察し、粒子画像をイメージアナライザ(株式会社ニレコ製 LUZEX_AP)に取り込み、等価円相当径を測定し、粒子の体積平均粒子径を求める。SEMの倍率は粒子径により、5000〜20000倍から適宜選択する。任意に観察箇所をかえて、少なくとも粒子数5000個の粒子の等価円相当径を測定し、測定した等価円相当径データの大きい方から上位2%の等価円相当径の中間値から最大粒子径を求める。
オルトクロロフェノール中、25℃ で測定した溶液粘度から、下式で計算した値を用いる。すなわち、
ηsp/C=[η]+ K[η]2 ・C
ここで、ηsp=(溶液粘度/溶媒粘度)−1であり、Cは、溶媒100ml あたりの溶解ポリマー重量(g/100ml、通常1.2)、Kはハギンス定数(0.343 とする)である。また、溶液粘度、溶媒粘度はオストワルド粘度計を用いて測定した。単位は[dl/g]で示す。
透過型電子顕微鏡(TEM;日立(株)製H−600型)を用いて、加速電圧100kVで、フィルムの断面を、超薄切片(RuO4染色)で観察する。その断面全体から全厚みを求め、積層厚みについては、その界面に観察される粒子の最も深い地点から表面からの深さ、つまり積層されている厚みを求める。倍率は測定するフィルムの全厚み、層厚みによって適宜倍率を設定すればよいが、一般的には全厚み測定には1000倍、積層厚み測定には1万〜10万倍が適当である。
粒子が少ない場合など、積層界面を判別するためにどのような倍率で粒子像を得るべきかを事前に想定するために、断面のSEM−XMAによって断面における元素の分布(マッピング)から想定される積層厚みの概算を行い、TEMでの設定倍率を定めると効率的である。
JIS C2151−1990に準じ、インストロンタイプの引張試験機(オリエンテック(株)製フィルム強伸度自動測定装置“ テンシロン” 万能試験機RTC−1210)を用いて測定した。幅10mmの試料フィルムを、試長間100mm、引張り速度200mm/分の条件で引っ張り試験を行い、フィルムが5%伸張したときの強度をF−5値とし、フィルムが破断した時の応力を求めて破断強度とし、フィルムが破断した時の歪み(伸び率)を求めて破断伸度した。測定は23 ℃ 、湿度65%RHで行う。
フィルム表面に、幅10mm、測定長約100mmとなるように2本のラインを引き、この2本のライン間の距離を23℃で正確に測定しこれをL0とする。このフィルムサンプルを100℃ 又は150℃のオーブン中に30分間、1.5gの荷重下で放置した後、再び2本のライン間の距離を23℃で測定しこれをL1とし、下式によりそれぞれの温度での寸法変化率を求める。
寸法変化率(%)={(L0−L1)/L0]×100。
三次元微細表面形状測定器( 小坂製作所製ET−350K)を用いて測定し、得られた表面のプロファイル曲線より、JIS・B0601に準じ、算術平均粗さSRa値、十点平均面粗さSRz値を求める。測定条件は下記のとおり。
X 方向測定長さ: 0.5mm、X方向送り速度: 0.1mm/ 秒。
Y 方向送りピッチ: 5μm、Y方向ライン数: 40本。
カットオフ: 0.25mm。
触針圧: 0.02mN。
高さ(Z方向) 拡大倍率: 5万倍。
JIS K7105−1981に準じ、フィルム幅方向の中央部から、長手4.0×幅3.5cmの寸法に切り出したものをサンプルとし、ヘイズを、ヘイズメータ(スガ試験機製HGM−2DP(C光源用))を用いて測定する。
分光光度計((株)島津製作所UV2450)に積分球付属装置((株)島津製作所製ISR2200)を取り付け、硫酸バリウムを標準板とし、B面から光を入射した状態で測定を行い、標準板を100%とした365nm及び405nmの波長における相対反射率を測定した。
<標準板作成方法>
硫酸バリウム白色標準試薬(EASTMAN White Reflectance Standard Cat No.6091)34gを、直径50.8mm、深さ9.5mmの円柱形くぼみに入れ、ガラス板を用いて圧縮して、圧縮密度約2g/cm3の硫酸バリウム白色標準板を作製した。
ドライフィルムレジスト支持体用二軸配向ポリエステルフィルムによるレジストの解像度の目視評価方法は、以下のような手順で行った。
(i)片面鏡面研磨した6インチSiウエハー上に、東京応化(株)製のネガレジスト“PMER N−HC600”を塗布し、大型スピナーで回転させることによって厚み7μmのレジスト層を作製した。次いで、窒素循環の通風オーブンを用いて70℃の温度条件で、約20分間の前熱処理を行った。
(ii)ポリエステルフィルムをレジスト層と接触するように重ね、ゴム製のローラーを用いて、レジスト層上にポリエステルフィルムをラミネートし、その上に、クロム金属でパターニングされたフォトマスクを配置し、そのフォトマスク上からI線ステッパーを用いて露光を行った。
(iii)レジスト層からポリエステルフィルムを剥離した後、現像液N−A5が入った容器にレジスト層を入れ約1分間の現像を行った。その後、現像液から取り出し、水で約1分間の洗浄を行った。
(iv)現像後に作成されたレジストパターンのL/S(μm)(Line and Space )の状態を走査型電子顕微鏡SEMを用いて1000倍率で観察した。レジストの解像度の評価は、以下の基準に従った。
○:L/S=10/10μmが明確に確認できる。
△:L/S=10/10μmは明確に確認できないが、L/S=15/15μmは明確に確認できる。
×:L/S=15/15μmが明確に確認できない。
幅1000mm、長さ5000mにフィルムをスリットし、長さ1100mm、内径6インチ、肉厚7mmのFWP製コアに巻き取り、巻き状態を観察し、シワなどの外観欠点の無いものを合格とした。各10回スリットを行い巻き取り性能は次の基準で判定した。
合格率90% 以上 : ◎
合格率80% 以上90%未満 : ○
合格率60% 以上80%未満 : △
合格率50% 以上60%未満 : ×
合格率50% 未満 : ××。
(1)ポリエステルペレットの作成
(ポリエステルAの作成)
テレフタル酸86.5重量部とエチレングリコール37.1重量部を255℃で、水を留出しながらエステル化反応を行う。エステル化反応終了後、トリメチルリン酸0.02重量部、酢酸マグネシウム0.06重量部、酢酸リチウム0.01重量部、三酸化アンチモン0.0085重量部を添加し、引き続いて、真空下、290℃まで加熱、昇温して重縮合反応を行い、固有粘度0.63dl/gのポリエステルペレットを得た。
(ポリエステルB、CおよびポリエステルDの作成)
さらに別に、モノマーを吸着させる方法によって得た体積平均粒子径0.3μm、体積形状係数f=0.51のジビニルベンゼン/スチレン共重合架橋粒子の水スラリーを、上記の実質的に粒子を含有しないホモポリエステルペレットに、ベント式二軸混練機を用いて含有させ、体積平均粒子径0.3μmのジビニルベンゼン/スチレン共重合架橋粒子をポリエステルに対し1重量%含有するマスターペレットを得る(ポリエステルB)。
(ポリエステルEの作成)
上記と同様にポリエステルを製造するにあたり、エステル交換後、体積平均粒子径0.2μm、体積形状係数f=0.51、体積平均粒子径0.06μm、体積形状係数f=0.51、モース硬度7の球状シリカをそれぞれ添加し、重縮合反応を行い、粒子をポリエステルに対し1重量%含有するシリカ含有マスターペレットを得た(ポリエステルE)。なお、用いる球状シリカは、エタノールとエチルシリケートとの混合溶液を攪拌しながら、この混合溶液に、エタノール、純水、および塩基性触媒としてアンモニア水からなる混合溶液を添加し、得られた反応液を攪拌して、エチルシリケートの加水分解反応およびこの加水分解生成物の重縮合反応を行なった後に、反応後の攪拌を行い、単分散シリカ粒子を得た。
さらに、平均粒子径1.0μmの炭酸カルシウムを準備し、10%のエチレングリコールスラリーとした。このスラリーをジェットアジターで一時間分散処理を行い、5μm以上の捕集効率95%のフィルターで高精度濾過した。
ジメチルテレフタレートに1.9モルのエチレングリコールおよび酢酸マグネシウム・4水塩を0.05%、リン酸を0.015%加え加熱エステル交換を行い、前述した炭酸カルシウムを含むスラリーをエステル交換後に添加し、引き続き三酸化アンチモン0.025%を加え、加熱昇温し真空化で重縮合反応を行い、平均粒子径1.0μmの炭酸カルシウムを1%含む、固有粘度0.63dl/gの炭酸カルシウム含有マスターペレットを得た。(ポリエステルF)。
さらに、凝集アルミナとしてδ型−アルミナを10%のエチレングリコールスラリーとし、サンドグラインダーを用い、粉砕、分散処理を行い、さらに捕集効率95%の3μmフィルターを用いて濾過し、これを前記と同様に調整したエステル交換反応物に添加し、引き続き三酸化アンチモンを加え、重縮合反応を行い、凝集アルミナを2%含有する、固有粘度0.62dl/gのマスターペレットを得た。(ポリエステルG)
(2)ポリエステルペレットの調合
A層、B層、C層それぞれの層の押出機に供給するポリエステルペレットは、以下の比率(組成)にて調合する。なお以下に記載する比率は、おのおのの層を構成するポリエステルペレットに対する重量比(単位:重量%)である。
ポリエステルA:41.4
ポリエステルE:10.0
ポリエステルG:48.6。
ポリエステルA:94.6
ポリエステルB: 2.4
ポリエステルD: 3.0。
ポリエステルA:100
(3)二軸配向ポリエステルフィルムの製造
先述の、各層について調合した原料を、ブレンダー内で攪拌した後、A層、B層の原料は攪拌後の原料を、A層用、B層用のベント付き二軸押出機に供給し、C層の原料は160℃で8時間減圧乾燥し、B層用の一軸押出機に供給した。275℃で溶融押出し、5μm以上の異物を95% 以上捕集する高精度なフィルターにて濾過した後、矩形の3層用合流ブロックで合流積層し、層A、層B、層Cからなる3層積層とした。その後、285℃に保ったスリットダイを介し冷却ロール上に静電印可キャスト法を用いて表面温度23℃のキャスティングドラムに巻き付け冷却固化して未延伸積層フィルムを得る。
層A、層B、層Cの組成、長手方向の延伸倍率、長手方向の延伸時のロールとフィルムの接触時間を表1に記載のように変更する以外は参考例1と同様にして二軸配向積層ポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムの積層厚みの結果を表1に、フィルムの評価結果を表2に示した。
Claims (4)
- 3層以上の積層構造を有するポリエステルフィルムであり、
フィルム全体厚みT(μm)が24.50〜50μmであり、
フィルムヘイズが1.0%未満であり、
一方の面(該面を表面(A)とする)の表面粗さSRa(A)が7nm以下且つSRz(A)が100nm未満であり、
もう一方の面(該面を表面(B)とする)は表面粗さSRa(B)が3nm以上10nm未満で且つSRz(B)が100nm以上700nm未満であり、
表面(B)側から光を入射させたときの波長365nm及び405nmにおける反射率がともに14%未満であることを特徴とするドライフィルムレジスト支持体用二軸配向ポリエステルフィルム。 - 表面(A)を有するポリエステル層(該層をA層とする)に粒子が含まれており、当該粒子の最大粒子径DAがDA<0.4μmであり、
表面(B)を有するポリエステル層(該層をB層とする)に粒子が含まれており、当該粒子の最大粒子径DBが0.4μm≦DB<1.0μmであり、
かつフィルム全体厚みT(μm)としたとき、DB/T≦0.05であることを特徴とする請求項1に記載のドライフィルムレジスト支持体用二軸配向ポリエステルフィルム。 - 表面(A)上にレジスト層を積層して用いる請求項1または2に記載のドライフィルムレジスト支持体用二軸配向ポリエステルフィルム。
- 共押出し法により溶融製膜して得ることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のドライフィルムレジスト支持体用二軸配向ポリエステルフィルムの製造方法。
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