JP2021088185A - 二軸配向積層ポリエステルフィルムおよびその製造方法 - Google Patents

二軸配向積層ポリエステルフィルムおよびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】実質的に粒子を含有することなく、フィルム表面に凹凸形状を形成させることによって、積層セラミックコンデンサを製造する際、極めて薄膜であるグリーンシート成形時の、セラミックスラリーの塗工性およびグリーンシート剥離特性のバランスを適正化した二軸配向積層ポリエステルフィルムを提供する。【解決手段】2層以上からなるポリエステルフィルムであって、少なくとも一方の表層(A層)は実質的に粒子を含有しておらず、脂環構造を持つポリエステル樹脂を含有し、積層厚みが0.5μm以上2.5μm以下の層であり、A層のフィルム表面の中心線粗さSRaが3nm以上30nm以下である二軸配向積層ポリエステルフィルム。【選択図】なし

Description

本発明は、二軸配向積層ポリエステルフィルムおよびその製造方法に関する。
ポリエステルフィルムは、機械特性や熱特性、コシの強さやコストの観点から、工業材料用途として多様な用途にて用いられている。中でも、昨今のスマートデバイス、電気自動車、自動運転、コネクテッドカーの普及、モノのインターネット化により、ポスト・スマートフォン時代においても、電子部材関連の需要は旺盛になることが予想される。特に、積層セラミックコンデンサ(MLCC)は、小型、高容量化が進んでいる一方で、車載用途のような厳しい環境や安全性に関わる要求が高まっている。そのため、積層セラミックコンデンサの製造に用いる離型フィルムは、平滑性が高く、薄膜グリーンシート成形時の、セラミックススラリーの塗工に適した、フィルム表面および内部に欠陥の無いポリエステルフィルムの要求があり、この要求は日に日に高まっている。
極めて平滑な離型用途ポリエステルフィルムに関しては、セラミックススラリーを形成する表面を形成する層を平滑にする構成が開示されている。例えば、特許文献1では、高さ1μm以上の突起の個数や中心線平均粗さRaを規定範囲内にすることで平滑性に優れ、離型層を設けて離型フィルムとしたときにフィルム表面の突起が被離型物のシートに転写しない優れた表面特性を有する離型用ポリエステルフィルムが開示されている。特許文献2では、基材フィルムには実質的に粒子を含有せず表面層にのみ粒子を含有させ、成型性に優れたポリエステルフィルムが開示されている。特許文献3においては、実質的に粒子を含有しない層と、層厚みと粒子径との関係を規定した層により、薄膜のセラミックシートを欠陥が無いように形成する構成が開示されている。
特開2004−142179号公報 特開2010−221715号公報 特開2015−33811号公報
しかしながら、近年、積層セラミックコンデンサには高い精度が要求されているため、離型層を構成する層には、その表面を限りなく平滑にするために実質的に粒子を含有しない層にすることが好ましい旨の開示があるが、実質的に粒子を含有しない平滑な面はハンドリング性に劣り、巻き取り時のエア抜けや、セラミックススラリー塗布時のピンホール発生などの課題がある。また、ハンドリング性を向上させるため最低限の粒子を添加したものでも、添加粒子自体がセラミックスラリー塗工時の欠陥となることや、添加粒子が脱落し工程を汚染することにより歩留まりを悪化させることが課題となっている。
これら事情に鑑み、本発明は、実質的に粒子を含有することなく、フィルム表面に凹凸形状を形成させることによって、加工特性に優れた二軸配向積層ポリエステルフィルムを提供することを課題とする。より好ましい態様として、積層セラミックコンデンサを製造する際、極めて薄膜であるグリーンシート成形時の、セラミックスラリーの塗工性およびグリーンシート剥離特性のバランスを適正化した二軸配向積層ポリエステルフィルムを提供する。
本発明は、以下の特徴を有する。
[I]2層以上からなるポリエステルフィルムであって、少なくとも一方の表層(A層)は実質的に粒子を含有しておらず、脂環構造を持つポリエステル樹脂を含有し、積層厚みが0.5μm以上2.5μm以下の層であり、A層のフィルム表面の中心線粗さSRaが3nm以上30nm以下である二軸配向積層ポリエステルフィルム。
[II]前記A層に含有する脂環構造を持つポリエステル樹脂の脂環構造がシクロヘキサン環である[I]に記載の二軸配向積層ポリエステルフィルム。
[III]前記A層にイソフタル酸成分を共重合成分とする共重合ポリエチレンテレフタレートを含有する[I]または[II]に記載の二軸配向積層ポリエステルフィルム。
[IV]フィルム厚みが16μm以上50μm以下である[I]〜[III]のいずれかに記載の二軸配向積層ポリエステルフィルム。
[V]3層以上からなるポリエステルフィルムであって、両表層が実質的に粒子を含有しておらず、脂環構造を持つポリエステル樹脂を含有し、積層厚みが0.5μm以上2.5μm以下の層であり、フィルムの両表面がいずれも中心線粗さSRaが3nm以上30nm以下である[I]〜[IV]のいずれかに記載の二軸配向積層ポリエステルフィルム。
[VI]離型用途に用いられる[I]〜[V]のいずれかに記載の二軸配向積層ポリエステルフィルム。
[VII]積層セラミックスコンデンサーを製造する工程においてグリーンシート成形の支持体に用いられる[I]〜[VI]のいずれかに記載の二軸配向積層ポリエステルフィルム。
[VIII][I]〜[VII]のいずれかに記載の二軸配向積層ポリエステルフィルムの少なくともA層表面に離型層を有する積層シート。
[IX]共押出し法により溶融製膜して得られる[I]〜[VII]のいずれかに記載の二軸配向積層ポリエステルフィルムの製造方法。
本発明によれば、実質的に粒子を含有することなく、フィルム表面に凹凸形状を形成させることによって、加工特性に優れた二軸配向積層ポリエステルフィルムを提供することができる。より好ましい態様として、積層セラミックコンデンサを製造する際、極めて薄膜であるグリーンシート成形時の、セラミックスラリーの塗工性およびグリーンシート剥離特性のバランスを適正化した二軸配向積層ポリエステルフィルムを提供することができる。
以下、本発明についてさらに詳細に説明する。
本発明の二軸配向積層ポリエステルフィルムは、二軸配向していることが必要である。本発明における、二軸配向とは、未延伸(未配向)フィルムを、常法により、二次元方向に延伸された状態(広角X線回折で二軸配向のパターンを示すもの)を指す。延伸は、逐次二軸延伸、同時二軸延伸を採ることができる。逐次二軸延伸は、長手方向(縦)および幅方向(横)に延伸する工程を、縦−横の1回ずつ実施することもできるし、縦−横−縦−横など、2回ずつ実施することもできる。
本発明の二軸配向積層ポリエステルフィルムは、フィルムを構成する樹脂がポリエステル樹脂を主成分とするものである。本発明において、ポリエステル樹脂を主成分とするとは、少なくとも70モル%以上が、ジカルボン酸とジオール、およびそれらのエステル形成性誘導体を主たる構成成分とする単量体または低重合体からの重合により得られるポリエステルである。本発明で用いるポリエステルは、ジカルボン酸としては、芳香族ジカルボン酸を用いることが好ましい。
芳香族ジカルボン酸としては、例えば、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、イソフタル酸などが挙げられ、とくにはテレフタル酸が好ましい。これらのジカルボン酸成分は1種のみ用いてもよく、2種以上併用してもよく、イソフタル酸など他の芳香族ジカルボン酸、あるいは脂肪酸を一部共重合してもよい。
また、ジオール成分としては、例えば、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、などを挙げることができる。中でもエチレングリコールが好ましく用いられる。これらのジオール成分は1種のみ用いてもよく、2種以上併用してもよい。
本発明の二軸配向積層ポリエステルフィルムに用いられるポリエステルとして、好ましくは、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、およびその共重合体、ポリブチレンテレフタレートおよびその共重合体、ポリブチレンナフタレートおよびその共重合体、さらにはポリヘキサメチレンテレフタレートおよびその共重合体、ポリヘキサメチレンナフタレートおよびその共重合体等を挙げることができ、とくに、ポリエチレンテレフタレートが好ましい。
本発明に使用するポリエステルは、従来から知られている方法で製造することができる。例えば、酸成分をジオール成分と直接エステル化反応させた後、この反応の生成物を減圧下で加熱して余剰のジオール成分を除去しつつ重縮合させることによって製造する方法や、酸成分としてジアルキルエステルを用い、これとジオール成分とでエステル交換反応させた後、上記と同様に重縮合させることによって製造する方法などが採用できる。この際、必要に応じて、反応触媒として従来公知のアルカリ金属、アルカリ土類金属、マンガン、コバルト、亜鉛、アンチモン、ゲルマニウム、チタン化合物などを用いることもできる。
上記ポリエステルの固有粘度は下限0.5dl/g、上限0.8dl/gが好ましい。さらに好ましくは下限0.55dl/g、上限0.70dl/gである。
本発明の二軸配向積層ポリエステルフィルムは2層以上からなるポリエステルフィルムであって、少なくとも一方の表層(A層)は実質的に粒子を含有しないことが必要である。実質的に粒子を含有しない、とは、SEMおよびTEMで観察した際に5,000倍で10視野確認しても、粒子の存在が認められなかった場合に、粒子を実質的に含有しないと判断する。
本発明の二軸配向積層ポリエステルフィルムは、前記A層に脂環構造を持つポリエステル樹脂を含有する必要がある。A層においては実質的に粒子を含有することなく、表面凹凸を形成する必要があるため、主たるポリエステル樹脂とは相溶性の異なる脂環構造を持つポリエステル樹脂を含有することで形成される海島構造を利用し、これを二軸延伸することにより、延伸されやすい部分とされにくい部分が生じ、この連続かつ微小な延伸ムラによって、適切な表面凹凸を形成することが出来る。脂環構造としては、シクロプロパン環、シクロブタン環、シクロペンタン環、シクロヘキサン環が好ましい。例えば、ジカルボン酸成分としてテレフタル酸ジメチルを、ジオール成分として1,3−シクロプロパンジオール、1,3−シクロブタンジオール、1,3ーシクロペンタンジオール、1,4―シクロヘキサンジメタノールなどを、200ppmのブチルスズトリス(2−エチルヘキサノエート)の存在下で重縮合反応を行い、脂環構造を有するポリエステル樹脂を得ることが出来る。脂環構造を持つポリエステル樹脂の含有量としては、特に限定されるものではないが、A層を構成するポリエステル樹脂組成物全体に対して、3重量%以上10重量%以下が好ましい。含有量が3重量%を下回る場合、表面凹凸が形成されにくく、平滑となり過ぎてハンドリング性に劣り、巻き取り時のエア抜けや、セラミックススラリー塗布時のピンホールが発生することがある。含有量が10重量%を上回る場合、表面凹凸が多く形成されることで平滑性に劣り、表面凹凸がセラミックスラリー塗工時の欠陥となることがある。
上記A層の積層厚みは、0.5μm以上2.5μm以下の層である必要がある。より好ましくは0.6μm以上2.0μm以下である。積層厚みが0.5μmを下回る場合、表面凹凸が形成されにくく、平滑となり過ぎてハンドリング性に劣り、巻き取り時のエア抜けや、セラミックススラリー塗布時のピンホールが発生することがある。積層厚みが2.5μmを超える場合には、表面凹凸が多く形成されることで平滑性に劣り、表面凹凸がセラミックスラリー塗工時の欠陥となることがある。
上記A層のフィルム表面の中心線粗さSRaは3nm以上30nm以下である必要がある。より好ましくは5nm以上10nm以下である。SRaが3nmを下回る場合、平滑過ぎてハンドリング性に劣り、巻き取り時のエア抜けや、セラミックススラリー塗布時のピンホールが発生することがある。また、平滑すぎるため、フィルムの製造工程時に接触する延伸ロールや搬送ロールとの擦過によってキズが発生してしまう。SRaが30nmを上回る場合、フィルムの製造工程時に接触する延伸ロールや搬送ロールとの擦過によるキズは抑制することが出来るが、平滑性に劣り、表面凹凸がセラミックスラリー塗工時の欠陥となることがある。中心線粗さSRaはグリーンシートの薄膜化において、スラリー塗布時の平坦さを担保する指標であり、A層表面の中心線粗さSRaを所望の値にすることは特に重要である。また、スラリーを塗布し、乾燥させたグリーンシートを巻き取った後に、A層表面の中心線粗さが荒すぎると、背面の形状がグリーンシートにも転写して、陥没構造を形成する。また平滑過ぎるとブロッキングを起こすことがある。
本発明の二軸配向積層ポリエステルフィルムのA層には、前記した脂環構造を持つポリエステル樹脂とともに、イソフタル酸成分を共重合成分とする共重合ポリエチレンテレフタレートを含有することも望ましい形態のひとつである。本発明において、イソフタル酸成分を共重合成分とする共重合ポリエチレンテレフタレートとは、ポリエステルの最も多く含むジオール成分がエチレングリコール、最も多く含むジカルボン酸成分がテレフタル酸であるポリエステルであって、ジカルボン酸成分としてイソフタル酸を含むポリエステルをいう。イソフタル酸の共重合率は、ジカルボン酸成分全体に対して、0.1〜49モル%の範囲であることが好ましく、0.5〜40モル%であることが好ましい。イソフタル酸成分を共重合成分とする共重合ポリエチレンテレフタレートをA層に含有すると、製膜性の点で好ましく、更には脂環構造を持つポリエステル樹脂との延伸性の違いから表面凹凸を形成しやすくなる点で好ましい。イソフタル酸成分を共重合成分とする共重合ポリエチレンテレフタレートの含有量としては、特に限定されるものではないが、A層を構成するポリエステル樹脂組成物全体に対して、10重量%以上20重量%以下が好ましい。含有量が10重量%を下回る場合、製膜安定性の効果が低い、または、表面凹凸形成の効果が低い場合がある。含有量が20重量%を上回る場合、耐熱性が低下する場合がある。
本発明の二軸配向積層ポリエステルフィルムは、フィルム厚みが16μm以上50μm以下であることが好ましく、20μm以上40μm以下であることがより好ましい。フィルム厚みが16μm未満では、セラミックススラリーを保持するための腰がなくなり、セラミックススラリーの塗布において、セラミックススラリーを支えられなくなり、後工程で均一な乾燥ができなくなることや、熱しわの抑制が不十分となる場合がある。フィルム厚みが50μmを越えると、熱しわに対する耐久性は格段に優れるものの、巻き長さが少なくなる分、セラミックスラリーを形成する基材としての単位面積あたりの単価が高くなる傾向にあり、また、縦延伸における昇温や延伸が行いづらく、厚みむらを悪化させる要因となる。
本発明の二軸配向積層ポリエステルフィルムは、2層以上の積層構造を有するポリエステルフィルムであることが必要である。2層の積層構造を有するフィルムとしては、A層/B層(表層)、3層の積層構造を有するフィルムとしては、A層/B層(中間層:表層を有さない層)/A層、A層/B層(中間層:表層を有さない層)/C層からなるものなどが挙げられる。4層以上の積層構造を有するフィルムとしては、中間層が積層構造を有するものが挙げられる。表層であるA層を構成するポリエステル層には、脂環構造を持つポリエステル樹脂を含有する点から、共押出し法により溶融製膜して得ることが好ましい。
本発明の二軸配向積層ポリエステルフィルムが2層積層構造を有する場合のB層(表層)や、A層/B層/C層の3層積層構造を有する場合のA層とは反対側の表層を構成するB層、C層は、前記の通りポリエステル樹脂によって構成され、本発明の目的を損なわない範囲で、粒子を含有してもかまわないが、積層セラミックコンデンサを製造する際、添加粒子が脱落し工程を汚染することにより歩留まりを悪化させることがあるため、A層同様に実質的に粒子を含有しない構成とすることが最も好ましい。粒子を含有する場合は、有機、無機の粒子を用いることができるが、有機系としては、例えば、ポリイミド系樹脂、オレフィンあるいは変性オレフィン系樹脂、架橋ポリスチレン系樹脂、シリコーン樹脂などを、無機系としては、例えば、酸化珪素、炭酸カルシウム、凝集アルミナ、珪酸アルミニウム、マイカ、クレー、タルク、硫酸バリウムなどを挙げることができる。これらの粒子の採用にあたっては、光線透過率およびヘイズ値の上昇を抑制するため、粒子表面を界面活性剤などで表面改質し、ポリエステルとの親和性を改善する方法が添加粒子周辺でのボイド発生を抑制する点で好ましく採用できる。また、粒子形状が球状に近く、さらに、ポリエステルとの屈折率の差が少ない方が、フィルム層内を紫外線が通過時の散乱光を抑制することができ好ましく、コロイダルシリカ、有機粒子がとくに好ましく、さらに、シリコーン粒子、架橋ポリスチレン粒子が好適である。中でも、乳化重合で調整された、スチレン−ジビニルベンゼン共重合体からなる架橋ポリスチレン粒子は粒子形状が真球に近く、粒子径分布が均一であり、均一な突起形成を図ることが可能で好ましい。
本発明の二軸配向積層ポリエステルフィルムが3層積層構造を有する場合、中間層を構成するB層は、ポリエステルフィルム製造工程において発生する二軸延伸後に発生するフィルム屑を回収原料として含有することが環境負荷を低減する点から、また製造コストの点から好ましい。B層に入れ得る回収原料は、本発明のポリエステルフィルム製造工程において発生する二軸延伸後に発生するフィルム屑のみとすることが好ましい。ただし、回収原料の形状や、かさ密度によっては、原料乾燥の効率が悪くなることや、押出工程での吐出が不安定になることもあるため、B層に入れる回収原料の、B層全体の原料に対する混率は、これらの乾燥や押出工程の適性に合わせ、所望の量に調整を行う。B層に入れる回収原料は、中間製品の巻き取り後の工程で発生した屑のみを入れることが、さらに好ましい。また、回収原料は、回収原料を得るまでの熱履歴を均質化させることが好ましい。例えば、未配向フィルムと二軸延伸後のフィルムを混在させて回収させると、結晶性が異なるために溶融粘度が安定せず、グリーンシートの打ち抜き性にばらつきが生じることがある。また、再溶融時に融点の違いが生じ、未溶融異物あるいは熱劣化異物の生成に繋がると、該異物が粗大突起となる場合がある。この粗大突起が表層であるA層の層厚みよりも大きな場合、A層の表面に粗大突起が形成されることがあり、グリーンシートのピンホールが発生することがある。
本発明の好適な態様としては、3層以上からなるポリエステルフィルムであって、両表層が実質的に粒子を含有しておらず、脂環構造を持つポリエステル樹脂を含有し、積層厚みが0.5μm以上2.5μm以下の層であり、フィルムの両表面がいずれも中心線粗さSRaが3nm以上30nm以下である二軸配向ポリエステルフィルムが挙げられる。かかるポリエステルフィルムとすることで、特に加工特性に優れ、かつ、粒子脱落による工程汚染を抑制できるフィルムとすることができる。
次に本発明の二軸配向積層ポリエステルフィルムの製造方法について説明する。共押出し法による溶融製膜におけるポリエステルに不活性粒子を含有せしめる方法としては、例えばジオール成分であるエチレングリコールに不活性粒子を所定割合にてスラリーの形で分散せしめ、例えば3μm以上の粗大粒子を95%以上捕集できる高精度濾過を行った後、このエチレングリコールスラリーをポリエステル重合完結前の任意段階で添加する。ここで、粒子を添加する際には、例えば、粒子を合成時に得られる水ゾルやアルコールゾルを一旦乾燥させることなく添加すると粒子の分散性が良好であり、粗大突起の発生を抑制でき好ましい。また粒子の水スラリーを直接、所定のポリエステルペレットと混合し、ベント方式の2軸混練押出機に供給しポリエステルに練り込む方法も本発明の効果に有効である。
このようにして、各層のために準備した、粒子含有マスターペレットと粒子などを実質的に含有しないペレットを所定の割合で混合し、乾燥したのち、公知の溶融積層用押出機に供給する。本発明の二軸配向積層ポリエステルフィルムの製造における押出機は、1軸、2軸の押出機を用いることができる。また、ペレットの乾燥工程を省くために、押出機に真空引きラインを設けた、ベント式押出機を用いることもできる。また、最も押出量が多くなるB層には、ペレットを溶融する機能と、溶融したペレットを一定温度に保つ機能をそれぞれの押出機で分担する、いわゆるタンデム押出機を用いることができる。
押出機で溶融して押出したポリマーは、フィルターにより濾過する。ごく小さな異物もフィルム中に入ると粗大突起欠陥となるため、フィルターには例えば5μm以上の異物を95%以上捕集する高精度のものを用いることが有効である。続いてスリット状のスリットダイからシート状に押し出し、キャスティングロール上で冷却固化せしめて未延伸フィルムを作る。すなわち、複数の押出機、複数層のマニホールドまたは合流ブロック(例えば矩形合流部を有する合流ブロック)を用いて積層し、口金からシートを押し出し、キャスティングロールで冷却して未延伸フィルムを作る。この場合、背圧の安定化および厚み変動の抑制の観点からポリマー流路にスタティックミキサー、ギヤポンプを設置する方法は有効である。
延伸方法は同時二軸延伸であっても逐次二軸延伸であってもよい。逐次延伸の場合、最初の長手方向の延伸が重要であり延伸温度は好ましくは90℃以上130℃未満、更に好ましくは100℃以上125℃未満である。延伸温度が90℃未満になるとフィルムが破断しやすく、延伸温度が130℃以上になるとフィルム表面が熱ダメージを受けやすくなるため好ましくない。また、延伸ムラ、およびキズを防止する観点からは延伸は2段階以上に分けて行うことが好ましく、トータル倍率は長さ方向に好ましくは3倍以上4.5倍未満、更に好ましくは3.5倍以上4.3倍未満であり、幅方向に好ましくは3.2倍以上5倍未満、更に好ましくは4.0倍以上4.6倍未満である。目標とするフィルムの破断強度を達成するため、適時倍率を選択できる。かかる温度、倍率範囲をはずれると延伸ムラあるいはフィルム破断などの問題を引き起こし、本発明の特徴とするフィルムが得られにくいため好ましくない。再縦または横延伸した後、好ましくは200℃以上230℃未満、更に好ましくは210℃以上230℃未満で好ましくは0.5秒以上20秒未満、更に好ましくは1秒以上15秒未満の熱固定を行う。とくに熱固定温度が200℃未満になるとフィルムの結晶化が進まないために構造が安定せず、目標とする熱収縮率などの特性が得られず好ましくない。その後、長手及び/又は幅方向に0.1%以上7.0%未満の弛緩処理を施すことが好ましい。
さらに延伸ロールの表面粗さRaは好ましくは0.005μm以上1.0μm未満、更に好ましくは0.1μm以上0.6μm未満である。Raが1.0μm以上だと延伸時ロール表面の凸凹がフィルム表面に転写するため好ましくなく、一方0.005μm未満だとロールとフィルム地肌が粘着し、フィルムが熱ダメージを受けやすくなるため好ましくない。延伸ロールの表面粗さを制御するためには、延伸ロールを研磨する研磨剤の粒度や、延伸ロールを研磨する回数などを適宜調整することが有効である。とくに延伸ロールについては、フィルム表面の凹み欠点の原因と懸念されるポリエステルの分解物、オリゴマーの付着、蓄積を回避するため、延伸ロールの研磨の回数を高くすることが好ましい。
さらに、延伸部におけるロールとフィルムのトータルの接触時間は好ましくは0.1秒未満、更に好ましくは0.08秒未満にすることがフィルムを製造する上で特に有効である。延伸ロールとフィルムの接触時間が0.1秒以上だと、延伸ロールの熱によりフィルム表面のみが局所的に加熱され、引いては熱負荷時の微小平面性悪化を引き起こすこともあり、あるいは、フィルムに傷を発生する場合がある。接触時間を短くする方法としては、例えばフィルムを延伸ロールに巻き付けず、ニップロール間で平行に延伸する方法が有効である。
二軸延伸後のフィルムは、搬送工程にて冷却させた後、エッジを切断後巻取り、中間製品を得る。この搬送工程にて、フィルムの厚みを測定し、該データをフィードバックして用いてダイ厚みなどの調整によってフィルム厚みの調整を行い、また、欠点検出器による異物検知を行う。
エッジの切断時には、切粉の発生を抑制することが、本発明の二軸配向積層ポリエステルフィルムを得るに際し好ましい。エッジの切断は丸刃、シェアー刃、ストレート刃を使用して行うが、ストレート刃を用いる場合は、刃がフィルムに当たる箇所を、常に同じ箇所にさせないことが、刃の摩耗を抑制できるため好ましい形態である。このため刃を上下にオシレーションする機構を有することが好ましい。また、フィルム切断箇所に吸引装置を設けて、発生した切り粉や、切断後のフィルム端部同士が削れて発生する削れ粉を吸引することが好ましい。
中間製品はスリット工程により適切な幅・長さにスリットして巻き取り、本発明の本発明の二軸配向積層ポリエステルフィルムのロールが得られる。スリット工程におけるフィルムの切断時も、先述のエッジの切断と同様な切断の方式から選定できる。
中間製品を所望の幅にスリットを行い、本発明の二軸配向積層ポリエステルフィルムを得る。こうして得られる本発明の二軸配向積層ポリエステルフィルムは、実質的に粒子を含有することなくフィルム表面に凹凸形状を形成させることで、平滑性とハンドリング性を両立した二軸配向積層ポリエステルフィルムとすることができ、その少なくともA層のフィルム表面に離型層を設けた積層シートとすることで、積層セラミックスコンデンサーを製造する工程におけるグリーンシート成形の支持体として好適に用いることができる。
以下実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれに限定して解釈されるものではない。
(測定方法)
(1)A層に含有する粒子有無確認
フィルム表面を構成する層については次のように測定する。フィルムからポリマーをプラズマ低温灰化処理法で除去し、粒子を露出させる。処理条件は、ポリマーは灰化されるが粒子は極力ダメージを受けない条件を選択する。処理後の試料を走査型電子顕微鏡(SEM;株式会社日立製作所製 S−4000型)で観察し、粒子画像をイメージアナライザ(株式会社ニレコ製 LUZEX_AP)に取り込み、粒子の有無を確認した。
粒子がプラズマ低温灰化処理法で大幅にダメージを受ける場合には、フィルム断面を透過型電子顕微鏡(TEM;株式会社日立製作所製H−600型)を用いて、5000倍で観察し、粒子の有無を確認した。
SEMおよびTEMで観察した際に5,000倍で10視野確認しても、粒子の存在が認められなかった場合には、粒子を実質的に含有しないと判断した。
(2)フィルム表面の中心線粗さ(SRa値)
三次元微細表面形状測定器(小坂製作所製ET−350K)を用いて測定し、得られた表面のプロファイル曲線より、JIS・B0601(1994年)に準じ、算術平均粗さSRa値を求める。測定条件は下記のとおり。
X方向測定長さ:0.5mm、X方向送り速度:0.1mm/秒。
Y方向送りピッチ:5μm、Y方向ライン数:40本。
カットオフ:0.25mm。
触針圧:0.02mN。
高さ(Z方向)拡大倍率:5万倍。
(3)フィルム厚みおよびA層の積層厚み
透過型電子顕微鏡(TEM;日立(株)製H−600型)を用いて、加速電圧100kVで、フィルムの断面を、超薄切片(RuO染色)で観察する。その断面全体から全厚みを求め、A層の積層厚みについては、その界面に観察される脂環構造を持つポリエステル樹脂の最も深い地点から表面からの深さ、つまり積層されている厚みを求める。倍率は測定するフィルムの全厚み、A層の厚みによって適宜倍率を設定すればよいが、一般的には全厚み測定には1,000倍、積層厚み測定には1万〜10万倍が適当である。
(4)グリーンシートのピンホール、凹み評価
本発明の二軸配向積層ポリエステルフィルムにおけるグリーンシートのピンホール、凹み評価方法は、以下のような手順で行った。
(i)離型フィルムの作製
本発明の二軸配向積層ポリエステルフィルムのロールに、架橋プライマー層(東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製商品名BY24−846)を固形分1重量%に調整した塗布液を塗布/乾燥し、乾燥後の塗布厚みが0.1μmとなるようにグラビアコーターで塗布し、100℃で20秒乾燥硬化した。その後1時間以内に付加反応型シリコーン樹脂(東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製商品名LTC750A)100重量部、白金触媒(東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製商品名SRX212)2重量部を固形分5重量%に調整した塗布液を、乾燥後の塗布厚みが0.1μmとなるようにグラビアコートで塗布し、120℃で30秒乾燥硬化した後に巻き取り、離型フィルムを得た。
(ii)グリーンシートの作製
チタン酸バリウム(富士チタン工業(株)製商品名HPBT−1)100重量部、ポリビニルブチラール(積水化学(株)製商品名BL−1)10重量部、フタル酸ジブチル5重量部とトルエン−エタノール(重量比30:30)60重量部に、数平均粒径2mmのガラスビーズを加え、ジェットミルにて20時間混合・分散させた後、濾過してペースト状のセラミックスラリーを調整した。得られたセラミックスラリーを、(i)で得られた離型フィルムの上に乾燥後の厚みが0.8μmとなるように、ダイコーターにて塗布し乾燥させ、巻き取り、グリーンシートを得た。
(iii)グリーンシートのピンホール、凹み評価
(ii)で巻き取られたグリーンシートを繰り出し、離型フィルムから剥がさない状態にて、背面から1,000ルクスのバックライトユニットで照らしながら、塗布抜けによるピンホールあるいは、離型フィルム背面の表面転写による凹み状態を観察した。なお観察する面積は幅300mm、長さ500mmである。グリーンシートのピンホール、凹み評価は、以下の基準に従った。なお、○以上の評価が実用可能レベルとなる。
◎:ピンホールも凹みも無い。
〇:ピンホールは無く、凹みが3個以内認められる
△:ピンホールが有り、凹みが3個以内認められる、または、ピンホールは無いが、凹みが4個以上認められる。
×:ピンホールが有り、凹みが4個以上認められる。
(5)キズの評価
以下の要領で蛍光灯下及び投光器下で目視検査を実施する。
蛍光灯下:700Lux以上の照度の蛍光灯下で反射にてキズを検査。
投光器下:600Lux以上の照度の投光器下で反射及び透過にてキズを検査。
◎:長さ0.5mm、または、高低差0.5μmを超えるキズが無い。
〇:◎に該当せず、長さ1mm、または、高低差1μmを超えるキズが無い。
△:◎、○に該当せず、長さ5mm、または、高低差1.5μmを超えるキズが無い
×:長さ5mm、または、高低差1.5μmを超えるキズがある。
(原料)
(ポリエステルA、Bの作成)
テレフタル酸86.5重量部とエチレングリコール37.1重量部を255℃で、水を留出しながらエステル化反応を行う。エステル化反応終了後、トリメチルリン酸0.02重量部、酢酸マグネシウム0.06重量部、酢酸リチウム0.01重量部、三酸化アンチモン0.0085重量部を添加し、引き続いて、減圧下、290℃まで加熱、昇温して重縮合反応を行い、固有粘度0.63dl/gのポリエステルペレットを得た。(ポリエステルA)。ポリエステルAと同様の方法で、ジカルボン酸成分としてイソフタル酸をジカルボン酸成分全体に対して17.5mol%添加することでポリエチレンテレフタレート/イソフタレート共重合物ペレット(PET−I)を得た(ポリエステルB)。
(ポリエステルCの作成)
ジカルボン酸酸成分としてテレフタル酸を、ジオール成分としてCHDM(シクロヘキサンジメタノール)を、200ppmのブチルスズトリス(2−エチルヘキサノエート)の存在下で重縮合反応を行い、脂環構造を持つポリエステルペレットを得た。(ポリエステルC)。
(ポリエステルDの作成)
モノマーを吸着させる方法によって得た体積平均粒子径0.3μm、体積形状係数f=0.51のジビニルベンゼン/スチレン共重合架橋粒子の水スラリーを、上記の実質的に粒子を含有しないホモポリエステルペレット(ポリエステルA)に、ベント式二軸混練機を用いて含有させ、体積平均粒子径0.3μmのジビニルベンゼン/スチレン共重合架橋粒子をポリエステルに対し2重量%含有するマスターペレットを得る(ポリエステルD)。
(ポリエステルEの作成)
上記と同様にポリエステルAを製造するにあたり、エステル交換後、体積平均粒子径0.2μm、体積形状係数f=0.51、体積平均粒子径0.06μm、体積形状係数f=0.51、モース硬度7の球状シリカをそれぞれ添加し、重縮合反応を行い、粒子をポリエステルに対し1重量%含有するシリカ含有マスターペレットを得た(ポリエステルE)。なお、用いる球状シリカは、エタノールとエチルシリケートとの混合溶液を攪拌しながら、この混合溶液に、エタノール、純水、および塩基性触媒としてアンモニア水からなる混合溶液を添加し、得られた反応液を攪拌して、エチルシリケートの加水分解反応およびこの加水分解生成物の重縮合反応を行なった後に、反応後の攪拌を行い、単分散シリカ粒子を得た。
(ポリエステルFの作成)
平均粒子径1.0μmの炭酸カルシウムを準備し、10重量%のエチレングリコールスラリーとした。このスラリーをジェットアジターで一時間分散処理を行い、5μm以上の捕集効率95%のフィルターで高精度濾過した。ジメチルテレフタレート100重量部、エチレングリコール64重量部に触媒として酢酸マンガン0.04重量部、三酸化アンチモン0.03重量部を加えエステル交換反応を行い、その後反応生成物に、リン化合物としてトリメチルホスフェート0.04重量部を加え、さらにその後、先に調整したスラリー1.0重量部を加えて重縮合反応を行い、平均粒子径1.0μmの炭酸カルシウムを1重量%含む、固有粘度0.63dl/gの炭酸カルシウム含有マスターペレットを得た。(ポリエステルF)。
(ポリエステルGの作成)
凝集アルミナとしてδ型−アルミナを10重量%のエチレングリコールスラリーとし、サンドグラインダーを用い、粉砕、分散処理を行い、さらに捕集効率95%の3μmフィルターを用いて濾過し、これをポリエステルFの作成時と同様に調整したエステル交換反応物に添加し、引き続き三酸化アンチモンを加え、重縮合反応を行い、凝集アルミナを2重量%含有する、固有粘度0.62dl/gのマスターペレットを得た。(ポリエステルG)。
(回収原料Aの作成)
下記処方のフィルムを製造した後のフィルム(二軸配向フィルム)を回収し、ペレット化したものを回収原料Aとした。
ポリエステルA:99.5重量%
ポリエステルC:0.5重量%
(実施例1)
各層について表1に示した配合で調合した原料の混合物を、ブレンダー内で攪拌した後、A層用、B層用のベント付き二軸押出機に供給した。275℃で溶融押出し、5μm以上の異物を95%以上捕集する高精度なフィルターにて濾過した後、矩形の3層用合流ブロックで合流積層し、A層/B層/A層からなる3層積層とした。その後、285℃に保ったスリットダイを介し冷却ロール上に静電印可キャスト法を用いて表面温度25℃のキャスティングドラムに巻き付け冷却固化して未延伸積層フィルムを得た。
この未延伸積層フィルムに逐次延伸(長手方向、幅方向)を実施した。まず長手方向の延伸を実施し、次に幅方向の延伸を実施した。長手方向の延伸は、105℃でテフロン(登録商標)ロールにて搬送した後に、ロールの周速差にて120℃で4.0倍延伸して一軸延伸フィルムとした。
この一軸延伸フィルムをステンター内で横方向に115℃で4.0倍延伸し、続いて230℃で熱固定し、その際幅方向に5%弛緩し搬送工程にて冷却させた後、エッジを切断後に巻き取り、厚さ31μmの二軸延伸フィルムの中間製品を得た。この中間製品をスリッターにてスリットし、厚さ31μmの二軸配向積層ポリエステルフィルムのロールを得た。得られたフィルムの評価結果を表1に示した。この二軸延伸フィルムより、任意の場所にてカットシートサンプルを採取し、SEMおよびTEMで観察した際に5,000倍で10視野確認しても、粒子の存在が認められなかったため、A層に粒子を実質的に含有しないと判断した。このように本発明の二軸配向積層ポリエステルフィルムは、離型層を設けグリーンシートとしたときのピンホールは無く、凹みも少なく、加工性に優れるものであった。
(実施例2〜4、10)
A層の組成を表1に記載のように変更する以外は実施例1と同様にして二軸配向積層ポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムの評価結果を表1に示した。これら二軸延伸フィルムより、任意の場所にてカットシートサンプルを採取し、SEMおよびTEMで観察した際に5,000倍で10視野確認しても、粒子の存在が認められなかったため、A層に粒子を実質的に含有しないと判断した。このように本発明の二軸配向積層ポリエステルフィルムは実施例1同様に、離型層を設けグリーンシートとしたときのピンホールは無く、凹みも少なく、加工性に優れるものであった。特に実施例4、10はピンホール、凹みともになく、さらに加工性に優れるものであった。
(実施例5、6)
A層の積層厚みを表1に記載のように変更する以外は実施例1と同様にして二軸配向積層ポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムの評価結果を表1に示した。これら二軸延伸フィルムより、任意の場所にてカットシートサンプルを採取し、SEMおよびTEMで観察した際に5,000倍で10視野確認しても、粒子の存在が認められなかったため、A層に粒子を実質的に含有しないと判断した。このように本発明の二軸配向積層ポリエステルフィルムは実施例1同様に、離型層を設けグリーンシートとしたときのピンホールは無く、凹みも少なく、加工性に優れるものであった。
(実施例7〜9)
フィルム厚みを表1に記載のように変更する以外は実施例1と同様にして二軸配向積層ポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムの評価結果を表1に示した。これら二軸延伸フィルムより、任意の場所にてカットシートサンプルを採取し、SEMおよびTEMで観察した際に5,000倍で10視野確認しても、粒子の存在が認められなかったため、A層に粒子を実質的に含有しないと判断した。このように本発明の二軸配向積層ポリエステルフィルムは実施例1同様に、離型層を設けグリーンシートとしたときのピンホールは無く、凹みも少なく、加工性に優れるものであった。
(実施例11)
A層/B層からなる2層積層とした以外は実施例1と同様にして二軸配向積層ポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムの評価結果を表1に示した。これら二軸延伸フィルムより、任意の場所にてカットシートサンプルを採取し、SEMおよびTEMで観察した際に5,000倍で10視野確認しても、粒子の存在が認められなかったため、A層に粒子を実質的に含有しないと判断した。実施例11の二軸配向積層ポリエステルフィルムは実施例1同様に、A層側に離型層を設けグリーンシートとしたときのピンホールは無く、凹みも少なく、加工性に優れるものであった。
(実施例12)
各層について表1に示した配合で調合した原料の混合物を、ブレンダー内で攪拌した後、A層用、B層用、C層用のベント付き二軸押出機に供給した。275℃で溶融押出し、5μm以上の異物を95%以上捕集する高精度なフィルターにて濾過した後、矩形の3層用合流ブロックで合流積層し、A層/B層/C層からなる3層積層とした以外は実施例1と同様にして二軸配向積層ポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムの評価結果を表1に示した。これら二軸延伸フィルムより、任意の場所にてカットシートサンプルを採取し、SEMおよびTEMで観察した際に5,000倍で10視野確認しても、粒子の存在が認められなかったため、A層に粒子を実質的に含有しないと判断した。実施例12の二軸配向積層ポリエステルフィルムは実施例1同様に、A層側に離型層を設けグリーンシートとしたときのピンホールは無く、凹みも少なく、加工性に優れるものであった。
(比較例1、2、5)
A層の組成を表2に記載のように変更する以外は実施例1と同様にして二軸配向積層ポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムの評価結果を表2に示した。これら二軸延伸フィルムより、任意の場所にてカットシートサンプルを採取し、SEMおよびTEMで観察した際に5,000倍で10視野確認しても、粒子の存在が認められなかったため、A層に粒子を実質的に含有しないと判断した。このように本発明の二軸配向積層ポリエステルフィルムは実施例1に比べ、離型層を設けグリーンシートとしたときのピンホールや凹みが多く、加工性に劣るものであった。
(比較例3、4)
A層の積層厚みを表2に記載のように変更する以外は実施例1と同様にして二軸配向積層ポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムの評価結果を表2に示した。これら二軸延伸フィルムより、任意の場所にてカットシートサンプルを採取し、SEMおよびTEMで観察した際に5,000倍で10視野確認しても、粒子の存在が認められなかったため、A層に粒子を実質的に含有しないと判断した。このように本発明の二軸配向積層ポリエステルフィルムは実施例1に比べ、離型層を設けグリーンシートとしたときのピンホールや凹みが多く、加工性に劣るものであった。
(比較例6、7)
A層の組成を表2に記載のように変更する以外は実施例1と同様にして二軸配向積層ポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムの評価結果を表2に示した。これら二軸延伸フィルムより、任意の場所にてカットシートサンプルを採取し、SEMおよびTEMで観察した際に5,000倍で10視野確認したところ、添加している粒子の存在が確認された。このように本発明の二軸配向積層ポリエステルフィルムは実施例1に比べ、離型層を設けグリーンシートとしたときのピンホールや凹みが多く、加工性に劣るものであった。
(比較例8)
各層について表2に示した配合とした以外は実施例12と同様にして二軸配向積層ポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムの評価結果を表2に示した。これら二軸延伸フィルムより、任意の場所にてカットシートサンプルを採取し、SEMおよびTEMで観察した際に5,000倍で10視野確認したところ、添加している粒子の存在が確認された。比較例8の二軸配向積層ポリエステルフィルムは実施例1に比べ、A層側に離型層を設けグリーンシートとしたときのピンホールや凹みが多く、加工性に劣るものであった。
Figure 2021088185
Figure 2021088185
本発明によれば、実質的に粒子を含有することなくフィルム表面に凹凸形状を形成させることで、平滑性とハンドリング性を両立した二軸配向積層ポリエステルフィルムを提供することができ、積層セラミックスコンデンサーを製造する工程におけるグリーンシート成形の支持体として好適に用いられる。

Claims (9)

  1. 2層以上からなるポリエステルフィルムであって、少なくとも一方の表層(A層)は実質的に粒子を含有しておらず、脂環構造を持つポリエステル樹脂を含有し、積層厚みが0.5μm以上2.5μm以下の層であり、A層のフィルム表面の中心線粗さSRaが3nm以上30nm以下である二軸配向積層ポリエステルフィルム。
  2. 前記A層に含有する脂環構造を持つポリエステル樹脂の脂環構造がシクロヘキサン環である請求項1に記載の二軸配向積層ポリエステルフィルム。
  3. 前記A層にイソフタル酸成分を共重合成分とする共重合ポリエチレンテレフタレートを含有する請求項1または2に記載の二軸配向積層ポリエステルフィルム。
  4. フィルム厚みが16μm以上50μm以下である請求項1〜3のいずれかに記載の二軸配向積層ポリエステルフィルム。
  5. 3層以上からなるポリエステルフィルムであって、両表層が実質的に粒子を含有しておらず、脂環構造を持つポリエステル樹脂を含有し、積層厚みが0.5μm以上2.5μm以下の層であり、フィルムの両表面がいずれも中心線粗さSRaが3nm以上30nm以下である請求項1〜4のいずれかに記載の二軸配向積層ポリエステルフィルム。
  6. 離型用途に用いられる請求項1〜5のいずれかに記載の二軸配向積層ポリエステルフィルム。
  7. 積層セラミックスコンデンサーを製造する工程においてグリーンシート成形の支持体に用いられる請求項1〜6のいずれかに記載の二軸配向積層ポリエステルフィルム。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載の二軸配向積層ポリエステルフィルムの少なくともA層の表面に離型層を有する積層シート。
  9. 共押出し法により溶融製膜して得られる請求項1〜7のいずれかに記載の二軸配向積層ポリエステルフィルムの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2023047936A1 (ja) * 2021-09-24 2023-03-30 東レ株式会社 二軸配向ポリエステルフィルム

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