JP2022183056A - 離型用積層ポリエステルフィルム - Google Patents

離型用積層ポリエステルフィルム Download PDF

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友輔 奥村
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Abstract

【課題】離型対象物への表面欠陥抑制、紫外線照射による離型対象物の微小シワの発生を抑制できる離型用積層ポリエステルフィルムを提供すること。【解決手段】少なくとも3層からなるポリエステルフィルムであって、最外層には実質的に酸化チタンを含有せず、最外層以外のいずれかの層に酸化チタンを含有する離型用積層ポリエステルフィルムとする。【選択図】なし

Description

本発明は、紫外線散乱性能を有する離型用積層ポリエステルフィルムに関する。
ポリエステルフィルムは、機械特性や熱特性、コシの強さやコストの観点から、工業材料用途として多様な用途にて用いられている。中でも、昨今のスマートデバイス、電気自動車、自動運転、コネクテッドカーの普及、モノのインターネット化により、ポスト・スマートフォン時代においても、電子部材関連の需要は旺盛になることが予想される。特に、積層セラミックコンデンサ(MLCC)は、小型、高容量化が進んでおり、積層セラミックコンデンサの製造に用いる離型フィルムは、平滑性が高く、薄膜グリーンシート成形時の、セラミックススラリーの塗工に適した、フィルム表面および内部に欠陥の無いポリエステルフィルムの要求が高まっている。セラミックグリーンシートを製造する際、セラミックスラリーを離型フィルムに塗布したのち、乾燥硬化し、そのセラミックスラリーとは反対面から紫外線照射を施しながら離型フィルムから剥離され、セラミックグリーンシートが積層されてセラミックコンデンサが製造される。
このようなセラミックグリーンシート製造用の離型フィルムとして、特許文献1では、気泡を有する層の表層に帯電防止材をもうけた構成が開示され、離型フィルムにクッション性、平面性、異物付着防止性を付与したフィルムが開示されている。また、特許文献2では、少なくとも3層の積層フィルムからなり、それぞれの層に添加させる粒子等を調整し、グリーンシートの剥離性にすぐれ、離型フィルムの表面欠陥が抑制されたフィルムが開示されている。
特開平10-286923号公報 特開2020-11436号公報
しかしながら、特許文献1の技術では、気泡を含有する層の気泡の粗さが表面層に影響し、表面が荒れ、セラミックグリーンシートのような高機能性能品位を求められる用途に用いるとセラミックグリーンシートの表面にフィルムの表面の粗さが転写し表面欠陥となりやすい。また、特許文献2の技術は、フィルムの厚みをより薄膜化するとセラミックスラリーを剥離する際に紫外線照射によってスジ状の欠点(ひび割れ)が発生してしまうことがあらたに分かった。
本発明は、離型対象物への表面欠陥抑制、紫外線照射による離型対象物の微小シワの発生を抑制できる離型用積層ポリエステルフィルムを提供することを目的とする。
本発明は、上記課題を解決するために、特定の構成の離型フィルムとすることで、離型対象物への表面欠陥抑制、紫外線照射による離型対象物の微小シワの発生を抑制できることを見いだし、本発明に至ったものである。
すなわち、本願発明の好ましい一態様は以下からなるものである。
(1)少なくとも3層からなるポリエステルフィルムであって、最外層には実質的に酸化チタンを含有せず、最外層以外のいずれかの層に酸化チタンを含有する離型用積層ポリエステルフィルム。
(2)前記最外層以外のいずれかの層に含有する酸化チタンは、ルチル型酸化チタンである(1)に記載の離型用積層ポリエステルフィルム。
(3)前記最外層以外のいずれかの層は、酸化チタンを含有する層に対して0.5~15質量%含有してなる(1)または(2)に記載の離型用積層ポリエステルフィルム。
(4)前記最外層は、粒子を最外層に対して0.5~2.0質量%含有してなる(1)~(3)のいずれかに記載の離型用積層ポリエステルフィルム。
(5)前記最外層に含有する粒子は、シリカ粒子である(1)~(4)のいずれかに記載の離型用積層ポリエステルフィルム。
(6)前記フィルムの厚みが10μm以上50μm以下である(1)~(5)のいずれかに記載の離型用積層ポリエステルフィルム。
(7)前記最外層の厚みがいずれも1.0μm以上5.0μm以下である(1)~(6)のいずれかに記載の離型用積層ポリエステルフィルム。
本発明によれば、表面欠陥抑制にすぐれ、紫外線照射によるスジ(ひび割れ)の発生を抑制できる離型用積層ポリエステルフィルムを提供することができる。
本発明の離型用積層ポリエステルフィルムの離型用とは、本発明のフィルムの表裏のいずれか一方の表面に、目的物とする樹脂の液状体を塗布してその目的物を硬化し、その硬化物からフィルムを剥離して目的物を得る場合や、表面上に加工前の目的物を積層し、加工した後、フィルムを剥離して目的物を得る場合の基材に用いられるフィルムである。
本発明の離型用積層ポリエステルフィルムは、本発明のフィルム上にその目的物との剥離性を促すために、離型層をもうけてから上記の目的物を積層する場合も含まれる。
本発明の離型用積層ポリエステルフィルムの積層とは、少なくとも3層からなり、最外層と最外層以外の層を有し、A層/B層/C層のA層およびC層を最外層とし、最外層以外のいずれかの層すなわち中間層としてB層を有する3層積層や、A層/B1層/B2層/C層のA層とC層を最外層とし、最外層以外のいずれかの層としてB1層やB2層の2層以上を含む4層以上の構成であってもよい。また、上記C層は、A層と同一の組成、同一の厚みの層であってもよく、A層/B層/A層、A層/B1層/B2層/A層であってもよい。積層方法においては、層それぞれが別のシートであり、それらを接着剤やプラズマ放電処理を用いてラミネートした方法であってもよいが、厚みが薄い場合は、1層毎が薄膜になるため、ラミネートの方法であるとハンドリング性が悪く加工時にシワが発生する場合があるため、共押し出し法による積層が好ましい。また、共押し出し法において、本発明のフィルムは薄膜であることから、一定の強度を有することが好ましく、延伸を用いて配向させることが好ましい。好ましい製造方法については後述する。なお、本発明の離型用積層ポリエステルフィルムの上には、コーティング層などの離型性を有する離型層や、離型層の塗布性を考慮したアンダーコート層や、ゴミなどの付着を防止する帯電防止層など、他の機能層を設けていてもよい。
本発明の離型用積層ポリエステルフィルムのポリエステルとは、本発明の積層を構成する各層において、例えば、芳香族ジカルボン酸、脂環族ジカルボン酸または脂肪族ジカルボン酸などのジカルボン酸成分と、ジオール成分を構成単位(重合単位)とするポリマーで構成されるものである。
芳香族ジカルボン酸成分としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、1,4-ナフタレンジカルボン酸、1,5-ナフタレンジカルボン酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、6,6’-(アルキレンジオキシ)ジ-2-ナフトエ酸、4,4’-ジフェニルジカルボン酸、4,4’-ジフェニルエーテルジカルボン酸および4,4’-ジフェニルスルホンジカルボン酸等を用いることができ、なかでも、テレフタル酸、フタル酸および2,6-ナフタレンジカルボン酸が好ましい。
また、ジオール成分としては、例えば、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,2-シクロヘキサンジメタノール、1,3-シクロヘキサンジメタノール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリアルキレングリコールおよび2,2’-ビス(4’-β-ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン等を用いることができ、なかでも、エチレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノールおよびジエチレングリコール等を好ましく用いることができ、特に好ましくは、エチレングリコール等を用いることができる。これらのジオール成分は一種のみを用いてもよく、二種以上を併用してもよい。 このようなカルボン酸成分、ジオール成分から得られる本発明の二軸配向ポリエステルフィルムを構成するポリエステルとしては、生産性や製造コストの観点からポリエチレンテレフタレートおよび/またはポリエチレンナフタレートが用いられることが特に好ましい。
本発明の積層ポリエステルフィルムを構成するポリエステル樹脂の固有粘度は、製造時の平面性や製膜安定性、加工時の破断強度を良好に保持するために、0.50dl/g以上0.80dl/g以下の範囲であることが好ましい。ポリエステルフィルムを構成するポリエステル樹脂の固有粘度が0.50dl/g未満であると、フィルムの製造時にフィルムに厚みムラを起こしやすく、目的物の厚みムラを引き起きしやすい。また、ポリエステルフィルムを構成するポリエステル樹脂の固有粘度が0.80dl/gを超えると、溶融状態で粘度が高くフィルム製造時の押出機に負担がかかり、安定した吐出が困難となり厚みムラを起こしやすくなる。また、加工時の破断を抑制するために延伸倍率を高めると、フィルム破れが多く製膜安定性に劣り、生産性が悪化する傾向にある。そのため、ポリエステル樹脂のより好ましい固有粘度は、0.60dl/g以上0.70dl/g以下である。
本発明の離型用積層ポリエステルフィルムは、最外層には実質的に酸化チタンを含有せず、最外層以外のいずれかの層(中間層)に酸化チタンを含有することが重要である。上述した積層の構成において、中間層は最外層ではない層であり、本発明は、その中間層のいずれかの層に酸化チタンを含有する。酸化チタンには、紫外線を散乱させる性能があり、これを本発明のフィルムに適用することにより、加工時の紫外線照射によるフィルムのスジ(ひび割れ)の発生を抑制することができ、つまり、目的物の表層にシワが発生するのを抑制することができる。本発明の効果を奏するには、紫外線吸収材をフィルム中に添加することもできるが、紫外線吸収材を添加すると紫外線吸収材の分子が小さいため、フィルムの表面にブリードアウトする場合があり、離型用としては品位が低下する場合がある。本発明は、酸化チタンをフィルム中の中間層に配することで、特に好ましくは一定の粒径を有する酸化チタンをフィルム中の中間層に配することで、紫外線を散乱させ、フィルムのスジ(ひび割れ)の発生を抑制することができる。なお、最外層を実施例に記載の方法で5,000倍で10視野確認しても、酸化チタンの存在が認められなかった場合には、酸化チタンを実質的に含有しないと判断する。
中間層に含有する酸化チタンは、ルチル型酸化チタン、アナターゼ型酸化チタンが好ましくあげられるが、特に紫外線散乱の性能からルチル型酸化チタンであることが好ましい。酸化チタンの含有量は、酸化チタンを含有する中間層に対して0.5~15質量%含有してなることが好ましく、さらには3.0~15質量%が好ましい。酸化チタンの含有量を3.0質量%以上とすることで紫外線散乱の性能を十分に発現でき、紫外線照射時のフィルムのスジ(ひび割れ)を抑制させやすい。また、酸化チタンの含有量を15質量%以下とすると、中間層の粒子量が多くなりフィルムの表面にまで粒子突起が形成され表面が粗くなって平面性を悪化させたり、フィルム製膜時の破断が発生させるのを抑制できる。また、中間層に対して酸化チタンを0.5~15質量%含有するとは、例えば、中間層が複数ある、A層/B1層/B2層/C層の構成の場合において、B1層およびB2層のいずれにも酸化チタンを含有する場合は、B1層とB2層の両層に含有される酸化チタン含有量が平均して0.5~15質量%とすることを意味し、B1層またはB2層のいずれにしか酸化チタンを含有しない場合は、いずれかの層のみに対して酸化チタンを0.5~15質量%とすることを意味する。酸化チタンの粒子径が0.1μm~1.0μm未満であると、フィルムの表面の平滑性や製膜安定性を管理しやすい。より好ましくは、酸化チタンの粒子径が0.1μm~0.7μm未満である。なお、粒子径は実施例に記載の体積平均粒子径の測定方法で求めるものとする。
酸化チタンによりフィルムが紫外線散乱性能を有することによってフィルムのスジ(ひび割れ)が抑制される理由は明らかではないが、波長が280~320nmの紫外線は、フィルムの劣化を促進させるため、薄いひび割れなどを引きおこし、そのひび割れが対象物にシワ状に観測されると考えられる。最外層には実質的に酸化チタンを含有しないが、フィルムのスジ(ひび割れ)が抑制される理由として、フィルム内における紫外線の多重反射を、最外層以外のいずれかの層(中間層)に含まれる酸化チタンが散乱するためとも推測される。
本発明のフィルムは、離型用フィルムであり、例えば、セラミックグリーンシートの製造時には、本発明のフィルムに離型材を塗布し、その後、離型材の表面にセラミックスラリーを塗布硬化しセラミックグリーンシートを製造する。その後、セラミックスラリーを塗布した面とは反対の面から紫外線を照射しグリーンシートを剥離するため、本発明は、セラミックグリーンシートの製造用に好ましく用いることができる。
本発明の積層ポリエステルフィルムの中心面平均粗さSRaは、少なくとも一方の表面が10nm以上100nm以下であることが好ましく、かかるSRaを有する面を離型層に用いることが好ましい。中心面平均粗さSRaを10nm以上とすると、平滑すぎるためフィルム製造時の易滑性が低下しフィルムに本発明のスジとは別のシワが発生しやすくなるのを抑制できる。また、中心面平均粗さSRaを100nm以下とすると、表面が粗いことによる離型対象物の表面欠陥が発生するのを抑制できる。
本発明のフィルムの最外層は、上述した易滑性を付与するため、また平面性やフィルム製膜時の破断を抑制するために、少なくとも一方の最外層に、当該最外層に対して粒子を0.5~2.0質量%含有してなることが好ましく、さらには0.5~1質量%以下であることが好ましい。粒子の含有量が0.5質量%以上とすることで、易滑性が良好となりシワが発生するのを抑制できる。また、粒子の含有量を2.0質量%以下とすることで上述した離型層の中心面平均粗さSRaを上限以下とすることが容易となる。最外層に含有せしめる粒子の平均粒子径は30nm~3.0μmを用いることができ、中心面平均粗さSRaが前述の範囲となれば特段に限定されるものではないが、フィルムの製造時の表面の粒子と樹脂との乖離による空隙による表面欠陥を抑制させるため、好ましくは、1.5μm以下であることが好ましい。なお、平均粒子径は実施例に記載の体積平均粒子径の測定方法で求めるものとする。
また、含有する粒子は、無機粒子、有機粒子があげられ、特には、シリカ粒子が透明性の観点で好ましく用いることができる。また、本発明の最外層は、酸化チタンを実質的に含まない層とすることで、製造時のフィルムから酸化チタンが脱離することを防止し、製造工程の汚染を抑制することができる。なお、実質的に含まないとは、酸化チタンの含有量が0.1質量%以下であることを表す。より好ましくは、0.05質量%以下であり、さらに好ましくは0.01質量%以下である。
本発明のフィルムの厚みは10μm以上50μm以下であることが好ましく、10μm以上であるとフィルムの製造時による破断のほか、離型フィルムとした際の破断抑制、ハンドリング性に優れ、50μmを超えると、離型フィルムの厚みが厚く、コスト高となるため好ましくない。好ましくは10μm以上40μm以下である。フィルムの厚みが10μm以下であるとフィルムのコシが弱くなり、フィルムの製膜時や加工時にフィルムが破断しやすくなり好ましくない場合がある。
また、最外層の厚みは、両最外層のそれぞれ、1.0μm以上5.0μm以下であることが好ましく、両最外層の合計厚みとしては、2.0μm以上10.0μm以下である。フィルム全体としての最外層の厚みは、10%以上20%以下であることが好ましい。最外層の厚みをいずれも1.0μm以上とすることで、フィルムの製造時に最外層以外のいずれかの層から酸化チタンが表面に析出するのを抑制でき、また最外層の厚みをいずれも5.0μm以下とすることで、フィルム全体としての厚みが厚くなるのを抑制でき、最外層以外のいずれかの層の酸化チタン含有による紫外線散乱性能を十分に発現することができる。
次に本発明の積層ポリエステルフィルムの製造方法について説明する。
ポリエステルに最外層以外のいずれかの層のチタン粒子や最外層に粒子を含有せしめる方法としては、例えばジオール成分であるエチレングリコールに不活性粒子を所定割合にてスラリーの形で分散せしめ、このエチレングリコールスラリーをポリエステル重合完結前の任意段階で添加する。ここで、粒子を添加する際には、例えば、粒子を合成時に得られる水ゾルやアルコールゾルを一旦乾燥させることなく添加すると粒子の分散性が良好であり、粗大突起の発生を抑制でき好ましい。また粒子の水スラリーを直接、所定のポリエステルペレットと混合し、ベント方式の2軸混練押出機に供給しポリエステルに練り込む方法も本発明の製造に有効である。
このようにして、粒子含有ペレットと、粒子などを実質的に含有しないペレットを所定の割合で混合し、乾燥したのち、公知の溶融積層用押出機に供給する。本発明の離型用積層ポリエステルフィルムの製造における押出機は、1軸、2軸の押出機を用いることができる。また、ペレットの乾燥工程を省くために、押出機に真空引きラインを設けた、ベント式押出機を用いることもできる。また、最も押出量が多くなる最外層以外のいずれかの層には、ペレットを溶融する機能と、溶融したペレットを一定温度に保つ機能をそれぞれの押出機で分担する、いわゆるタンデム押出機を用いることができる。
押出機で溶融して押出したポリマーは、フィルターにより濾過する。ごく小さな異物もフィルム中に入ると粗大突起欠陥となるため、フィルターには例えば3μmを超える異物を95%以上捕集する高精度のものを用いることが有効である。続いてスリット状のスリットダイからシート状に押し出し、キャスティングロール上で冷却固化せしめて未延伸フィルムを作る。本発明の少なくとも3層からなるフィルムにおいては、各層を単層フィルムをラミネートなどで積層することも可能であるが、共押し出しによる積層が好ましく、すなわち、少なくとも3台の押出機、3層のマニホールドまたは合流ブロック(例えば矩形合流部を有する合流ブロック)を用いて、口金からシートを共押し出しし、キャスティングロールで冷却して未延伸フィルムを作る。また、4層のフィルムとなる場合には、押出機やマニホールドや合流ブロックを適宜調整することが可能である。この場合、背圧の安定化および厚み変動の抑制の観点からポリマー流路にスタティックミキサー、ギヤポンプを設置する方法は有効である。
延伸方法は同時二軸延伸であっても逐次二軸延伸であってもよい。特に、同時二軸延伸においてはロールによる延伸を伴わないため、フィルム表面の局所的な加熱ムラを抑制し、均一な品質が得られると共に、延伸時にロール延伸に伴うフィルムとロールとの接触場所での速度差、ロールの微小傷の転写などによる傷の発生を抑制でき好ましい。
同時二軸延伸においては未延伸フィルムを、まず長手および幅方向に延伸温度を80℃以上130℃以下、好ましくは85℃以上110℃以下として同時に延伸する。延伸温度が80℃よりも低くなるとフィルムが破断しやすく、延伸温度が130℃よりも高くなると十分な強度が得られないことがある。また、延伸ムラを防止する観点から、長手方向・幅方向の合計延伸倍率は4倍以上20倍以下、好ましくは6倍以上15倍以下である。合計延伸倍率が4倍よりも小さいと十分な強度が得られにくい。一方、倍率が20倍よりも大きくなると、フィルム破断が起こりやすく、安定したフィルムの製造が難しい。必要な強度を得るためには、温度140℃以上200℃以下、好ましくは160℃以上190℃以下で長手方向及び/又は幅方向に1.02倍以上1.5倍以下、好ましくは1.05倍以上1.2倍以下で再度延伸を行うことが好ましく、合計延伸倍率が、長手方向で3倍以上4.5倍以下、好ましくは3.5倍以上4.2倍以下、幅方向に3.2倍以上5倍以下、好ましくは3.6倍以上4.3倍以下である。目標とするフィルムの破断強度を達成するため、適時倍率を選択できるが、幅方向の破断強度を高くするため、幅方向の延伸倍率を長手方向よりも高めに設定することがさらに好ましい。
その後、205℃以上240℃以下好ましくは220℃以上240℃以下で0.5秒以上20秒以下、好ましくは1秒以上15秒以下で熱固定を行う。熱固定温度が205℃よりも低いとフィルムの熱結晶化が進まないため目標とする寸法変化率などが安定しにくい。また、フィルム物性を安定させるため、フィルム上下の温度差が20℃以下、好ましくは10℃以下、更に好ましくは5℃以下である。フィルム上下での温度差が20℃よりも大きいと、熱処理時に微小な平面性の悪化を引き起こしやすい。
その後、長手及び/又は幅方向に0.5%以上7.0%以下の弛緩処理を施し、二軸延伸されたフィルムを得る。
以下、実施例で本発明を詳細に説明する。本発明に関する測定方法、評価方法は次の通りである。
(1)フィルム厚み(各層の厚み、総厚み)
フィルムをミクロトームで厚み方向に断面を切る前処理をしたのち、走査型電子顕微鏡(SEM)S-4300A形(株式会社日立製作所製)を用い、厚み断面を全体像が写る倍率(×1000)で撮像し、その断面写真より各層の厚みとフィルム厚みを採取し、互いに異なる測定視野から任意に選んだ計5箇所の断面写真を使用して、その平均値を用いて各層の厚みおよびフィルム厚みとした。
(2)粒子の体積平均粒子径
表層の体積平均粒子径は、フィルムからサンプリングしたポリマーをプラズマ低温灰化処理法で除去し、粒子を露出させる。また、最外層以外のいずれかの層として表層から順に層を露出させる。処理条件は、ポリマーは灰化されるが粒子は極力ダメージを受けない条件を選択する。その粒子を走査型電子顕微鏡(SEM)S-4000型(株式会社日立製作所製)で観察し、粒子画像をイメージアナライザ(株式会社ニレコ製 LUZEX_AP)に取り込み、等価円相当径を測定し、粒子の体積平均粒子径を求める。SEMの倍率は粒径により、5,000~20,000倍から適宜選択する。任意に観察箇所を変えて、少なくとも5,000個の粒子において粒径の等価円相当径を測定し、その平均値から体積平均粒子径を求める。
粒子がプラズマ低温灰化処理法で大幅にダメージを受ける場合には、フィルム断面を透過型電子顕微鏡(TEM)H-600型(株式会社日立製作所製)を用いて、粒径により、3,000~20,000倍で観察する。TEMの切片厚さは約100nmとし、場所を変えて少なくとも100個以上の粒子の等価円相当径を測定し、その平均値から体積平均粒子径を求める。
なお、粒子の体積平均粒子径を測定する際に、SEMおよびTEMで観察した際に5,000倍で10視野確認しても、粒子の存在が認められなかった場合には、粒子を実質的に含有しないと判断した。
(3)酸化チタンの含有量
(1)のSEM画像から各層が粒子を含有するか否か目視にて確認した。粒子を含有する層を特定した後、各層を表層から順に削りとり、樹脂を各層毎に組成物を採取する。その後、採取した樹脂を各層毎に溶融し、φ30mm、1cm厚み1mmの固形物とした後、(株)リガク社製 波長分散型蛍光X線分析装置(型番:ZSX100e)を用いて、チタン元素が検出される場合、酸化チタンを含有するものとして、チタン元素濃度から、以下のように酸化チタン濃度を算出した。
チタン元素濃度(質量%)×(79.9/47.9)=酸化チタン濃度(質量%)
(4)(3)と同様に採取した表層の組成物の質量を測定しこれを質量a(g)とした。この組成物をオルトクロロフェノール(o-chlorophenol、OCP)に溶解した後、遠心分離を行い、固形分を乾燥してから秤量しこれを質量b(g)とした。質量aと質量bから、b/a×100として含有量(質量%)を算出した。
(5)フィルム表面の中心面平均粗さ(SRa値)
三次元微細表面形状測定器(小坂研究所製 ET-350K)を用いて測定し、得られた表面のプロファイル曲線より、JIS・B0601(1994年)に準じた3次元パラメータである、中心面平均粗さSRa値を求めた。
(測定条件)
X方向測定長さ:0.5mm、X方向送り速度:0.1mm/秒。
Y方向送りピッチ:5μm、Y方向ライン数:40本。
カットオフ:0.25mm。
触針圧:0.02mN。
高さ(Z方向)拡大倍率:5万倍。
(6)離型フィルムおよびグリーンシートの制作
ポリエステルフィルムに、架橋プライマー層(東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製 商品名BY24-846)を固形分1質量%に調整した塗布液を塗布/乾燥し、乾燥後の塗布厚みが0.1μmとなるようにグラビアコーターで塗布し、100℃で20秒乾燥硬化する。その後1時間以内に付加反応型シリコーン樹脂(東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製 商品名“LTC”(登録商標)750A)100質量部、白金触媒(東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製 商品名SRX212)2質量部を固形分5質量%に調整した塗布液を、乾燥後の塗布厚みが0.1μmとなるようにグラビアコートで塗布し、120℃で30秒乾燥硬化した後に巻き取り、離型フィルムを得る。得られた離型フィルムのシリコーン樹脂を塗布した面に、下記のセラミックスラリーを上記の離型フィルムの上に乾燥後の厚みが2μmとなるように、ダイコーターにて塗布し乾燥させ、巻き取り、グリーンシートを得る。
(セラミックスラリーの調整)
チタン酸バリウム(富士チタン工業(株)製 商品名HPBT-1)100質量部、ポリビニルブチラール(積水化学(株)製 商品名BL-1)10質量部、フタル酸ジブチル5質量部とトルエン-エタノール(質量比30:30)60質量部に、数平均粒径2mmのガラスビーズを加え、ジェットミルにて20時間混合・分散させた後、濾過してペースト状のセラミックスラリーを調整する。
(7)表面の平面性評価
(6)で得られたグリーンシートを繰り出し、離型フィルムから剥がさない状態にて目視で観察し、ピンホールの有無を確認する。なお観察する面積は幅300mm、長さ500mmである。離型フィルムの上に成型されたグリーンシートについて、背面から1000ルクスのバックライトユニットで照らしながら、離型フィルム背面の表面転写による凹み状態を観察し、以下のように評価する。
A:凹みが5個以下である。
B:凹みが5個を超えて10個以下である。
C:凹みが10個を超えて15個以下である。
D:凹みが15個を超える。
(8)スジ(ひび割れ)の評価
(6)で得られたグリーンシートを繰り出し、セラミックスラリーを設けた面とは反対の面から紫外線照射をしながらグリーンシートを剥がし、剥がし終わった後の離型フィルムを目視で観察し、スジ(ひび割れ)の有無を確認する。なお、観察する面積は幅300mm、長さ500mmである。剥がした離型フィルムについて、背面から1000ルクスのバックライトユニットで照らしながら、スジ(ひび割れ)を確認し、スジ状かつ最長1μm以上あるものを、以下のように評価する。
A:スジが5本以下である。
B:スジが5本を超えて10本以下である。
C:スジが10本を超えて15本以下である。
D:スジが15本を超える。
(ペレットa)
テレフタル酸86.5質量部とエチレングリコール37.1質量部を255℃で、水を留出しながらエステル化反応を行う。エステル化反応終了後、トリメチルリン酸0.02質量部、酢酸マグネシウム0.06質量部、酢酸リチウム0.01質量部、三酸化アンチモン0.0085質量部を添加し、引き続いて、減圧下、290℃まで加熱、昇温して重縮合反応を行い、固有粘度0.63dl/gのポリエステルペレットを得た。これをペレットaと称する。
(ペレットb(シリカ粒子含有ペレット))
上記と同様にポリエステルを製造するにあたり、エステル交換後、平均粒径1.0μmの球状シリカを添加し、重縮合反応を行い、粒子をポリエステルに対し10質量%含有するシリカ含有マスターペレットを得た。これをペレットbと称する。
(ペレットc(チタン粒子含有ペレット))
ポリエステルペレットaに、平均粒径0.22μmの酸化チタン粒子(デュポン株式会社製「“タイピュア”(登録商標)R104」)を添加しポリマー温度280℃にて溶融混練し、酸化チタンをポリエステルに対し30質量%含有するポリエステルペレットを得た。これをペレットcと称する。
(ペレットd(アルミナ粒子含有ペレット))
上記と同様にポリエステルを製造するにあたり、エステル交換後、平均粒径0.1μmのアルミナ粒子を添加し、重縮合反応を行い、粒子をポリエステルに対し10質量%含有するアルミナ含有マスターペレットを得た。これをペレットdと称する。
(実施例1)
最外層として、ペレットaにペレットbをシリカ粒子含有量が0.5質量%となるよう添加、中間層として、ペレットaにペレットc、もしくはペレットdを表1に示す酸化チタン粒子量となるよう添加し、最外層/中間層/最外層の3層構成の構成となるよう3台の押出機に供給して280℃で溶融し、口金からシート状に吐出して40℃でキャストし共押し出しからなる3層の実延伸フィルムを得た。続いて、この未延伸シートを延伸温度115℃、延伸倍率3.3倍で縦延伸した後、テンターにて、延伸温度135℃、延伸倍率3.5倍で横延伸し、230℃で5秒間、幅方向リラックス率4%にて熱処理して、厚さ31μmの積層ポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムの特性を表1に記す。
(実施例2~10、比較例1および2)
表1に記載する以外は実施例1と同様にして積層ポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムの特性を表1に記す。
Figure 2022183056000001

Claims (7)

  1. 少なくとも3層からなるポリエステルフィルムであって、最外層には実質的に酸化チタンを含有せず、最外層以外のいずれかの層に酸化チタンを含有する離型用積層ポリエステルフィルム。
  2. 最外層以外のいずれかの層に含有する酸化チタンは、ルチル型酸化チタンである請求項1に記載の離型用積層ポリエステルフィルム。
  3. 最外層以外のいずれかの層は、酸化チタンを含有する層に対して0.5~15質量%含有してなる請求項1または2に記載の離型用積層ポリエステルフィルム。
  4. 前記最外層の少なくとも一方の層は、粒子を当該最外層に対して0.5~2.0質量%含有してなる請求項1~3のいずれかに記載の離型用積層ポリエステルフィルム。
  5. 前記最外層に含有する粒子は、シリカ粒子である請求項1~4のいずれかに記載の離型用積層ポリエステルフィルム。
  6. 前記フィルムの厚みが10μm以上50μm以下である請求項1~5のいずれかに記載の離型用積層ポリエステルフィルム。
  7. 前記最外層の厚みがいずれも1.0μm以上5.0μm以下である請求項1~6のいずれかに記載の離型用積層ポリエステルフィルム。
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