JP2022105988A - 離型用二軸配向ポリエステルフィルム - Google Patents

離型用二軸配向ポリエステルフィルム Download PDF

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Abstract

【課題】薄膜でも平滑(ボイド発生抑制)、製膜工程汚染・後加工汚染・加工品の品質低下を抑制し、さらには厚み斑が抑制された離型用二軸配向ポリエステルフィルム提供すること。【解決手段】少なくとも一方の表面を有するA層と、A層に隣接するB層を有する二軸配向ポリエステルフィルムであって、フィルム全体の厚さTHが2.0μm以上10.0μm以下であり、前記A層は実質的に粒子を含有せず、前記A層の中心面平均粗さSRaが1nm以上40nm以下である離型用二軸配向ポリエステルフィルム。【選択図】なし

Description

本発明は離型用二軸配向ポリエステルフィルムに関する。
ポリエステルフィルムは、機械特性や熱特性、コシの強さやコストの観点から、工業材料用途として多様な用途にて用いられている。中でも、昨今のスマートデバイス、電気自動車、自動運転、コネクテッドカーの普及、モノのインターネット化により、ポスト・スマートフォン時代においても、電子部材関連の需要は旺盛になることが予想される。特に、積層セラミックコンデンサ(以下、MLCCということがある)は、基材となるフィルム上にセラミックススラリーをフィルムに塗工し、その後、セラミックスラリーからなる固形物とフィルムとを剥離し、それらが積層されて、MLCCが製造される。そのため、剥離された後のフィルムは製品として市場に流通されることはなく廃棄される。そのため、こういった離型用フィルムは、対象製品の品位を確保しつつ、基材フィルムの低コスト化ができるフィルムが求められている。
また、対象製品の品位を確保するため、セラミックスラリーを塗布する面は、極めて平滑とすることが求められる。セラミックスラリーを塗布する面を極めて平滑にする技術としては、セラミックススラリーを形成する表面を形成する層に、基材層を2層の複合フィルムとし、実質的に粒子が含有されない構成(例えば、特許文献1)、実質的に粒子が含有されない基材層の片面に易滑層を塗布液で形成した構成(例えば、特許文献2)、最外層には粒子を添加せしめて易滑性を付与したフィルム(例えば、特許文献3)、実質的に粒子を含有しないポリエステル層と内部に空洞を含有するポリエステル層の構成とした複合フィルムによって、セラミックシート積層時の裁断性を考慮した構成(例えば、特許文献4)が開示されている。
特開2019-166656号公報 特開2019-84803号公報 特開2017-200761号公報 特開2017-177563号公報
上記のとおり、積層セラミックコンデンサには高い精度が要求されているため、離型層を構成する層には、その表面を限りなく平滑にすることが好ましいが、一方で、表面を平滑にし過ぎると、ハンドリング性(巻き取り時のエア抜け性)の悪化や、フィルムの製造工程時に接触する延伸ロールや搬送ロールとの擦過によるキズの発生につながるため、離型層を構成する層には一定量の粒子を含有させざるを得なかった。しかしながら、離型層に粒子を含むフィルムは、製膜工程・加工工程における粒子の脱落により工程を汚染したり、MLCCの品位を低下させるなどの課題があった。
また、上記したとおり、離型用フィルムは、使用された後のフィルムは製品として市場に流通されることはなく廃棄されるところ、近年、MLCC数量が増加することにより、廃棄される離型用フィルムが増えることによる環境への負荷が課題となりつつある。
本発明の目的は、薄膜とすることで廃棄時の環境負荷を低減しつつ、被離型物のピンホールや凹凸抑制に優れ、また加工工程における粒子脱落が抑制された離型用二軸配向ポリエステルフィルムを提供することにある。
本発明者らは、上記実情に鑑み鋭意検討した結果、以下の構成とすることで、上記の課題を解決した離型用二軸配向ポリエステルフィルムとすることができることを見いだし、本発明に至った。
すなわち、本発明の好ましい一態様は以下の構成からなる。
(1)少なくとも一方の表面を有するA層と、A層に隣接するB層を有する二軸配向ポリエステルフィルムであって、フィルム全体の厚さTHが2.0μm以上10.0μm以下であり、A層は実質的に粒子を含有せず、A層の中心面平均粗さSRaが1nm以上40nm以下である離型用二軸配向ポリエステルフィルム。
(2)前記A層の厚さTAが0.5μm以上6.0μm以下である(1)に記載の離型用二軸配向ポリエステルフィルム。
(3)前記B層が平均粒径0.2μm以上1.5μm以下の粒子をB層全体に対して0.05質量%以上0.5質量%以下含有する(1)または(2)に記載の離型用二軸配向ポリエステルフィルム。
(4)前記フィルムの長手方向および幅方向のヤング率が4.0GPa以上6.0GPa以下である(1)~(3)のいずれかに記載の離型用二軸配向ポリエステルフィルム。
(5)前記A層の表面上に離型層を積層してなる(1)~(4)のいずれかに記載の離型用二軸配向ポリエステルフィルム。
(6)前記積層セラミックコンデンサの成形基材として用いられる(1)~(5)のいずれかに記載の離型用二軸配向ポリエステルフィルム。
本発明によれば、薄膜とすることで廃棄時の環境負荷を低減しつつ、被離型物のピンホールや凹凸抑制に優れ、また加工工程における粒子脱落が抑制された離型用二軸配向ポリエステルフィルムを得ることができる。
以下、本発明についてさらに詳細に説明する。
本発明は、少なくとも一方の表面を有するA層と、A層に隣接するB層を有する二軸配向ポリエステルフィルムであって、フィルム全体の厚さTHが2.0μm以上10.0μm以下であり、A層は実質的に粒子を含有せず、A層の中心面平均粗さSRaが1nm以上40nm以下である離型用二軸配向ポリエステルフィルムに関する。
本発明の離型用二軸配向ポリエステルフィルムにおける離型用とは、目的物(被離型物)とする樹脂や樹脂組成物を、別の基材上に塗布やラミネートなどの方法で着設した後、必要であれば硬化や加工して後、目的とする被離型物を基材から剥離分離して得ることに用いる基材をいい、このような用途に用いられるフィルムを離型用フィルムという。
本発明の離型用二軸配向ポリエステルフィルムにおける二軸配向とは、未延伸(未配向)フィルムを、常法により、二次元方向に延伸された状態を指し、広角X線回折で二軸配向のパターンを示すものを意味する。延伸は、逐次二軸延伸または同時二軸延伸のいずれの方法も採ることができる。逐次二軸延伸は、長手方向(縦)及び幅方向(横)に延伸する工程を、縦-横の1回ずつ実施することもできるし、縦-横-縦-横など、2回ずつ実施することもできる。
本発明の離型用二軸配向ポリエステルフィルムにおけるポリエステルとは、二塩基酸とグリコールを構成成分とするポリエステルであり、芳香族二塩基酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸、ジフェニルケトンジカルボン酸、フェニルインダンジカルボン酸、ナトリウムスルホイソフタル酸、ジブロモテレフタル酸などを用いることができる。脂環族二塩基酸としては、シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ダイマー酸などを用いることができる。グリコールとしては、脂肪族ジオールとして、エチレングリコール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコールなどを用いることができ、芳香族ジオールとして、ナフタレンジオール、2,2ビス(4-ヒドロキシジフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルホン、ハイドロキノンなどを用いることができ、脂環族ジオールとしては、シクロヘキサンジメタノール、シクロヘキサンジオールなどを用いることができる。
上記ポリエステルは公知の方法で製造することができ、固有粘度は下限0.50、上限0.80のものを用いることが好ましい。更に好ましくは下限0.55、上限0.75である。なお、固有粘度の測定は、オルトクロロフェノール中、25℃で測定した溶液粘度から、下式で計算した値を用いる。
ηsp/C=[η]+K[η]・C
ここで、ηsp=(溶液粘度/溶媒粘度)-1であり、Cは、溶媒100mlあたりの溶解ポリマー質量(g/100ml、通常1.2)、Kはハギンス定数(0.343とする)である。また、溶液粘度、溶媒粘度はオストワルド粘度計を用いて測定する。単位は[dl/g]で示す。
本発明の離型用二軸配向フィルムは、少なくとも一方の表面を有するA層と、A層に隣接するB層を有する二軸配向ポリエステルフィルムであることが重要である。例えば、A層/B層の2層構成のほか、A層/B層/A層や、A層/B層/C層などの3層以上の構成であってもよい。中でも、A層/B層の2層構成であると、薄膜化の観点から好ましい。積層方法としては、後述するフィルムを構成する樹脂を溶融押出して成型される共押出し法により複合フィルムを得る方法であっても、A層とB層とを接着層を設けラミネート法を用いて積層する方法でもよい。また、B層上に樹脂水分散液を塗布してA層を設ける方法で積層してもよい。A層をB層上に塗布することで積層した場合には、離型用に用いられた際に、離型用フィルムの表面層であるA層が剥がれやすくなる場合がある。たとえば、基材フィルムであるB層の上にA層が塗布工程で積層され、その上にさらに離型層を設けた構成において、離型層上にセラミックスラリーを塗布乾燥した後はがした際にセラミック側に塗布層(A層)が粘着してしまいセラミックコンデンサの品位に影響を与える場合がある。そのため、共押出し法による複合フィルムであることが好ましい。
フィルム全体の厚さTHは2.0μm以上10.0μm以下であることが必要である。フィルム全体の厚さを薄膜とすることで、廃棄時の環境負荷を低減することができる。離型用フィルムは、離型用フィルム上に被離型物(MLCCなど)を形成させた後、剥離するよう用いられるため、一定以上の機械特性が求められる。そのため、従来技術ではフィルム厚みを一定以上薄くすることは困難であった。しかしながら、本発明者らが鋭意検討した結果、フィルムに含有する粒子量の制御し、また後述する製膜方法を適用することによって、薄膜でありながらも、離型用途に用いることができるポリエステルフィルムを見出した。全体厚さTHが2.0μm未満であると薄膜すぎるため、製膜安定性が不安定となる他、加工工程や離型用途に用いた時において破断など引き起こす場合がある。また、10.0μmを超えると、製膜安定性や機械強度を高くすることが容易であり、A層の表面粗さを調整しやすくなるが、廃棄時の環境負荷を低減するという目的を達成することができない。フィルムの全体厚さTHの好ましい範囲は3.0μm以上9.0μm以下、さらに好ましくは4.0μm以上8.0μm以下である。
本発明の離型用二軸配向ポリエステルフィルムにおけるA層は、離型用途に用いる際、被離型物を積層する面として用いられる。A層の表面上に被離型物を剥離しやすくするための離型層を設けた後に、被離型物が設けられるのに好適な層である。被離型物としては、例えば、セラミックスラリーなどが該当する。また、B層は、A層に隣接する層であり、フィルムの製造工程時には、易滑性を付与する層となる。この際、B層に含有する粒子の粒径、粒子量を制御することで、B層に隣接するA層の表面の粗さを制御することができる。
本発明は、A層は実質的に粒子を含有しない層であることが重要である。A層に実質的に粒子を含有しないとは、A層に含有する粒子量がA層全体に対して0.05質量%以下であることを意味する。また、質量で確認することが難しい場合には、SEMおよびTEMで観察した際に5,000倍で10視野確認しても、粒子の存在が認められなかった場合に、粒子を実質的に含有しないと判断する。
少なくとも一方の表面を有するA層に粒子が含まれていると、A層から製膜工程時に粒子が脱落しフィルムの製膜工程を汚染するばかりではく、A層表面に粒子の脱落に由来する穴が生じると、被離型物、例えば、セラミックスラリーが均一に塗布されず、積層セラミックコンデンサの品位が低下する場合がある。また、A層に粒子が含まれていると、延伸時に粒子とポリマーとの面に空隙、すなわちボイドが発生する可能性が高くなり、A層の表面構造に凹凸のバラツキを生じることがあるため、セラミックスラリーの厚みバラツキも大きくなる恐れがある。詳しくは後述する。
なお、本発明において、被離型物をA層表面に設けるに際し、本発明にフィルムのA層の表面に離型層を設けたフィルムも好ましい態様として挙げることが出来る。離型層は、本発明のA層表面の設計を管理することによって、極薄膜とすることが可能である。
本発明において、A層の中心面平均粗さSRaは1nm以上40nm以下であることが重要である。A層の中心面平均粗さSRaが該範囲であることによって、ピンホール欠陥の抑制、被離型物の凹凸が抑制できる。本発明において、A層は実質的には粒子を含有しない層であるため、A層の表面粗さは、A層に隣接するB層に後述する粒子を含有させることによって制御することが好ましい。A層の中心面平均粗さSRaが1nm未満であると、フィルムを共押出し法で製造するには、実質的には、易滑性が発現しないため、フィルムの製造工程時にシワを発生させる場合があり、そのシワが発生することにより、被離型物を積層すると、その被離型物に凹凸を転写させてしまうことになる。また、平滑すぎるため、フィルムの製造工程時に接触する延伸ロールや搬送ロールとの擦過によってキズが発生してしまう。A層の中心面平均粗さSRaが40nmを超えると、A層の表面が粗いためフィルムの製造工程時の搬送性、擦過キズは抑制することができるが、被離型物にその粗さが転写されてしまうため、ピンホール欠陥となってしまう。ピンホール欠陥とは、被離型物の表面に凹み形状が形成されることをいい、例えば被離型物がセラミックグリーンシートである場合は、耐電圧が低下するという問題につながってしまう。また、A層が粒子を実質的に含有しない層でありながら、A層の表面粗さが40nmを超える場合は、B層に含有する粒子量が過多な状態となるため、A層面の厚みによって、あるいはB層が表面を有する層である場合はB層から粒子が脱落しやすくなり、製造工程を汚染するばかりか、その脱落粒子が工程内でフィルムに接触してキズを発生することにもなってしまう。より好ましくは5nm以上30nm以下であり、さらに好ましくは10nm以上22nm以下であり、特に好ましくは10nm以上20nm以下である。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、前記中心面平均粗さSRaが1nm以上40nm以下である表面と反対の表層の中心面平均粗さSRaは10nm以上35nm以下であることが好ましい。前記中心面平均粗さSRaが1nm以上40nm以下である表面と反対の表層の中心面平均粗さSRaを前述の範囲とすると、被離型物の凹凸の抑制と製膜・加工工程のハンドリング性を両立させることができる。前記中心面平均粗さSRaが35nmを超えるとA層上に被離型物を設けてロール状に巻き取った際に背面の形状が被離型物に転写して陥没構造を形成する場合がある。一方で前記中心面平均粗さSRaが1nm以上40nm以下である表面と反対の表層の中心面平均粗さSRaが10nm未満であるとフィルム製造工程時のハンドリング性が低下し巻姿が悪化したりシワが発生したりする場合がある。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、A層の厚さTAが0.5μm以上6.0μm以下であることが好ましい。本発明の二軸配向ポリエステルフィルムの全体厚みTHに対して、A層の厚さTAを該範囲にすることによって、A層に粒子を含有せずにA層に隣接するB層に粒子を含有させることでA層の中心面平均粗さSRaを調整しやすくなる。また、B層は粒子を含有してA層の表面粗さを調整させる際、A層の厚さTAが0.5μm以上であると、B層が粒子を含有することによるフィルムの破断も抑制しやすくなる。A層の厚さが6.0μmを超えると、フィルムの全体厚みTHに対してA層の厚さが厚くなりすぎるため、B層に含有する粒子によってA層の表面粗さの調整がしにくくなる。好ましくは、A層の厚さTAは0.5μm以上5.0μm以下である。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムにおいて、B層は、平均粒径0.2μm以上1.5μm以下の粒子を含有する層であることが好ましい。B層に特定の平均粒径を有する粒子を含有することによって、A層の中心面平均粗さSRaを好適な範囲に制御することが容易となる。平均粒径が0.2μm未満であると、十分な表面粗さをA層の表面に形成することが困難になる場合があったり、製膜工程時における易滑性が悪化する傾向がある。易滑性が低下するとフィルムにシワが発生し、被離型物に凹凸を形成させてしまう。また、被離型物を形成し、フィルムを剥離して被離型物を得る工程において、フィルムと被離型物の間で剥離する起点がなくなりセラミックがフィルムに残存してしまう場合がある。また、平均粒径が1.5μmを超えると、B層を構成する層から製膜工程時に粒子が脱落したり、A層の厚みが薄いとA層の表層からも粒子が脱落する場合があり、これらの脱落は、フィルムの製膜工程を汚染するばかりではなく、その脱落した粒子がフィルムを巻き取った際にA層側に転写し、最終的に得られる被離型物の品位を低下させてしまう場合がある。具体的には、被離型物がセラミックスラリーである場合は、セラミックスラリーは溶液として塗布されるため、被離型物そのものに内在させてしまい、セラミックシートを積層して得られたセラミックコンデンサの耐電圧が低下する場合がある。また、後述するフィルムの製膜工程における縦延伸工程では延伸ロールとフィルムが接触しながら走行、延伸されるため、延伸ロール表面に粒子が脱落付着する他、脱落した表層には空洞が発現し、その後、走行方向とは垂直な方向に延伸されるとさらにその空洞が大きくなり、粒径よりも大きい空洞がフィルムに形成されてしまうことがある。そのため、その表層に被離型物を塗布するとその空洞が転写され凹凸が形成されることがある。より好ましくは平均粒径が0.2μm以上0.9μm以下である。なお、平均粒径は、後述する方法により求められる値である。
B層に含有する粒子含有量は0.05質量%以上0.5質量%以下であることが好ましい。該範囲とすることでA層に適切な中心面平均粗さSRaを形成しやすくなる。0.05質量%未満であると、上記の粒径にも左右されるが、A層の中心面平均粗さSRaを1nm以上とすることが難しい場合がある。また、0.5質量%以上であると、B層に対して粒子が過多状態となり、易滑性は向上するが、粒子の脱落、粒子の脱落による被離型物に凹凸を形成してしまう場合がある。
本発明のフィルムにおけるB層が含有する粒子は、上記の平均粒径であることが好ましいが、平均粒径が大きすぎると空洞を形成してしまうため、樹脂との相溶性に優れた有機粒子を用いることが好ましい。有機粒子は、前述の有機粒子の内、架橋ポリスチレン樹脂粒子、架橋シリコーン樹脂粒子、架橋アクリル樹脂粒子、架橋スチレン-アクリル樹脂粒子、架橋ポリエステル粒子より選ばれる有機粒子が特に好ましい。無機粒子においては、球状シリカ、酸化アルミニウムが特に好ましい。
粒子の形状・粒径分布については均一なものが好ましく、特に粒子形状は球形に近いものが好ましい。体積形状係数は好ましくはf=0.3~π/6であり、より好ましくはf=0.4~π/6である。体積形状係数fは、次式で表される。
f=V/Dm
ここでVは粒子体積(μm),Dmは粒子の投影面における最大径(μm)である。
なお、体積形状係数fは粒子が球のとき、最大のπ/6(=0.52)をとる。また、必要に応じて濾過などを行うことにより、凝集粒子や粗大粒子などを除去することが好ましい。中でも、乳化重合法で等で合成された、架橋ポリスチレン樹脂粒子、架橋シリコーン樹脂粒子、架橋アクリル樹脂粒子が好適に使用できるが、特に架橋ポリスチレン粒子、架橋シリコーン、更に球状シリカなどは体積形状係数が真球に近く、粒径分布が極めて均一であり、均一にフィルム表面突起を形成する観点で好ましい。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、フィルムの長手方向および幅方向のヤング率が4.0GPa以上6.0GPa以下であることが好ましい。本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、全体の厚みTHが2μm以上10μm以下と薄膜なため、フィルムの長手方向および幅方向のヤング率を上記範囲とすることで、フィルムの伸びや破断が抑制されるため、加工時の加工工程のハンドリング性を向上させ、また離型用途に用いる際、フィルム破れなどを抑制することが出来る。
延伸方法としては、一般的に知られている逐次二軸延伸、同時二軸延伸が挙げられ、具体的な延伸条件は後述する。
本発明のフィルムの長手方向とは、フィルムの製膜工程時におけるフィルムの流れ方向をいい、フィルムの幅方向とは、その長手方向とは垂直な方向を言う。本発明においては、長手方向および幅方向のいずれのヤング率も上記範囲であることが好ましく、長手方向および幅方向の特定は必須ではないため、長手方向および幅方向を特定する方法は後述する。
長手方向または幅方向のヤング率が4.0GPa未満であると、被離型物をフィルム上に塗布する際に加工工程の張力によってフィルムが変形しやすくなるため、被離型物に凹凸が形成されやすくなってしまう。また、長手方向または幅方向のヤング率が6.0GPaを超えると、逆に加工工程の張力によって剛性が高くなり破断しやすくなってしまう。好ましい長手方向または幅方向のヤング率は4.0GPa以上5.5GPa以下、より好ましくは4.0GPa以上5.0GPa以下である。
本発明においては、長手方向および幅方向のいずれにおいても上記のヤング率であることが好ましい。一方の方向のみ上記のヤング率を満たしていたとしても、例えば、被離型物がセラミックシートである場合は、フィルムロールを巻き出しながらフィルム上に帯状に連続して張力をかけながらセラミックスラリーが塗布されるため、フィルムの伸びや破断が抑制さないと、セラミックシートに凹凸が形成されやすい。また、被離型物をフィルム上に積層した後に施される打ち抜き加工時にフィルムが破断し加工性が低下しやすくなる。
被離型物を得る工程は、一般的にはフィルム上に被離型物を塗布し乾燥した後、一旦巻き取り被離型物と一体化されたロール状物を得る。その後、ロール状物を巻き出しながら、必要となる対象領域を金型で打ち抜き、加工が施される。上記した打ち抜き加工時の破断は、その打ち抜き時に金型がフィルムに接触して連続帯状物が破断することによって連続性を中断させてしまうことになる。その打ち抜き加工は、フィルムと一緒にフィルムの長尺物の中から被離型物を一旦打ち抜いた対象を取出し、それをセラミックシート表層に積層しフィルムをはがして、次の打ち抜き対象物をセラミックシート表層に積層し、を繰り返しセラミックコンデンサが得られるため、巻き出せなくなるため一旦連続性が中断されると生産性も低下する。
本発明のフィルムは、A層が平滑であることから、その表面に塗布される離型層の平滑性が阻害されないため、A層の表面上に離型層を形成することが好ましい。
次に、本発明の二軸配向ポリエステルフィルムの製造方法について、ポリエステルの中でもポリエチレンテレフタレートを用いて説明する。
本発明のフィルムの主成分を構成するポリエチレンテレフタレートに粒子を含有せしめる方法としては、例えばジオール成分であるエチレングリコールに粒子を所定割合にてスラリーの形で分散せしめ、このエチレングリコールスラリーをポリエステル重合完結前の任意段階で添加する。ここで、粒子を添加する際には、例えば、粒子を合成時に得られる水ゾルやアルコールゾルを一旦乾燥させることなく添加すると粒子の分散性が良好であり、粗大突起の発生を抑制でき好ましい。また粒子の水スラリーを直接、所定のポリエステルペレットと混合し、ベント方式の2軸混練押出機に供給しポリエステルに練り込む方法も本発明の製造に有効である。
このようにして、各層のために準備した、粒子含有マスターペレットと粒子などを実質的に含有しないペレットを所定の割合で混合し、乾燥したのち、公知の溶融積層用押出機に供給する。本発明の離型用二軸配向ポリエステルフィルムの製造における押出機は、1軸、2軸の押出機を用いることができる。また、ペレットの乾燥工程を省くために、押出機に真空引きラインを設けた、ベント式押出機を用いることもできる。また、最も押出量が多くなる層には、ペレットを溶融する機能と、溶融したペレットを一定温度に保つ機能をそれぞれの押出機で分担する、いわゆるタンデム押出機を用いることができる。本発明の離型用二軸配向ポリエステルフィルムにおけるA層、異種3層構成時のB層は、2軸式ベント式押出機を用いることが、粒子の分散性を良好に保てるので好ましい。
押出機で溶融して押し出したポリマーは、フィルターにより濾過する。極小さな異物もフィルム中に入ると粗大突起欠陥となるため、フィルターには例えば3μm以上の異物を95%以上捕集する高精度のものを用いることが有効である。続いてスリット状のスリットダイからシート状に押し出し、キャスティングロール上で冷却固化せしめて未延伸フィルムを作る。すなわち、2層構成の場合は2台の押出機、2層のマニホールドまたは合流ブロック(例えば短形合流部を有する合流ブロック)を用いて2層に積層し、異種3層構成の場合は3台の押出機、3層のマニホールドまたは合流ブロックを用いて3層に積層し、口金からシートを押し出し、キャスティングロールで冷却して未延伸フィルムを作る。この場合、背圧の安定化および厚み変動の抑制の観点からポリマー流路にスタティックミキサー、ギヤポンプを設置することが好ましい。また、長手方向に2000mの厚みムラ測定の移動平均が6.0%以下を達成するには、スリットダイの間隙と未延伸フィルム厚みの比率が7.0以上11.0以下、より好ましくは7.5以上10.5以下になるようポリマーの押出量やキャスティングロールの速度を調整することが有効である。
延伸方法は逐次二軸延伸であっても同時二軸延伸であってもよい。同時二軸延伸はロールによる延伸を伴わないため、フィルム表面の局所的な加熱ムラを抑制し、均一な品質が得られると共に、延伸時にロール延伸に伴うフィルムとロールとの接触場所での速度差、ロールの微少傷の転写による傷の発生を抑制できる点で好ましく、逐次二軸延伸は長手方向と幅方向の特性を個別に細かく制御できる点で好ましい。
逐次二軸延伸方法として、上記から得られた未延伸フィルムを、まず長手方向に延伸温度をポリエステル樹脂のガラス転移温度+1℃以上ガラス転移温度+30℃以下で予熱し、その後ガラス転移温度+5℃以上ガラス転移温度+45℃以下として2.5倍以上5.0倍以下延伸する。延伸温度がガラス転移温度+5℃よりも低くなるとフィルムが破断しやすく、延伸温度がガラス転移温度+45℃よりも高くなると十分な強度が得られない傾向がある。また、本発明のフィルムは、2.0μm以上10.0μm以下と薄膜でもヤング率を4.5GPa以上とするために、長手方向の延伸温度は低いほうが好ましい。長手方向の延伸を段階的に行うこともヤング率を高める方法の一つである。また、長手方向の延伸温度をガラス転移温度+5℃以上ガラス転移温度+40℃以下に調整することで上述したヤング率を6.0GPa以下、好ましくは5.0GPa未満とすることが容易となる。すなわち本発明のフィルムは薄膜であるため予熱温度及び長手方向の延伸温度でフィルムに与える熱量がヤング率に影響を及ぼしやすい。逐次二軸延伸の場合は、長手方向にフィルムが把持されることはないため、延伸温度が高いとヤング率を高くすることが難しい。一方で幅方向の延伸は一旦長手方向の延伸で結晶化が進行した状態で幅方向にクリップで把持されて延伸されるため、延伸温度が高温であってもヤング率が高くなりやすい。幅方向の延伸温度はガラス転移温度+20℃以上ガラス転移温度+45℃以下、好ましくはガラス転移温度+20℃以上ガラス転移温度+40℃以下である。幅方向の延伸倍率は2.5倍以上5.0倍以下であることが好ましい。また、長手方向・幅方向の面積延伸倍率(長手方向の延伸倍率と幅方向の延伸倍率の積)は、12倍以上36倍以下が好ましく、13倍以上35倍以下が好ましく、16倍以上30倍以下が好ましい。かかる範囲とすることで、十分な強度を維持したまま、安定してフィルムを製造することができる。長手方向・幅方向に延伸した後、ガラス転移温度+125℃以上ガラス転移温度+160℃以下好ましくはガラス転移温度+140℃以上ガラス転移温度+160℃以下で0.5秒以上20秒以下、好ましくは1.0秒以上15秒以下熱固定を行う。熱固定温度がガラス転移温度+125℃よりも低いとフィルムの熱結晶化が進まないため寸法変化率などが安定しにくい傾向がある。また、フィルム物性を安定させるため、フィルム上下の温度差が20℃以下、好ましくは10℃以下、更に好ましくは5℃以下である。フィルム上下での温度差が20℃よりも大きいと、熱処理時に微小な平面性の悪化を引き起こしやすい傾向がある。その後、長手方向および/または幅方向に0.5%以上7.0%以下の弛緩処理を施す。ポリエチレンテレフタレートを具体例にすると、ポリエチレンテレフタレートのガラス転移温度は一般的に79℃であるため、長手方向の延伸温度が80℃以上125℃以下、幅方向の延伸温度が99℃以上124℃以下、熱固定温度が204℃以上239℃以下である。段階的に延伸する場合であっても同範囲の延伸条件であればよいが、フィルムの破断及び長手方向のフィルムのヤング率を高めるためには、低温高倍率を行った後に不足するヤング率を補充する意味合いで延伸を追加することもできる。段階延伸としては、長手方向に延伸した後幅方向に延伸し再度長手方向に延伸し必要に応じて再度幅方向に延伸する方法や、長手方向に延伸した後再度長手方向に延伸し幅方向に延伸する方法などが挙げられる。
逐次二軸延伸において、長手方向の延伸過程は、フィルムとロールの接触し、ロールの周速とフィルムの速度差による傷が発生しやすい工程につき、ロール周速がロール毎に個別に設定できる駆動方式が好ましい。長手方向の延伸過程において、搬送ロールの材質は、延伸前に未延伸フィルムをガラス転移点以上に加熱するか、ガラス転移点未満の温度に保った状態で延伸ゾーンまで搬送し、延伸時に一挙に加熱するかにより選択されるが、延伸前に未延伸フィルムをガラス転移点以上まで加熱する際は、加熱による粘着を防止する上で、非粘着性シリコーンロール、セラミックス、テフロン(登録商標)から選択できる。また、延伸ロールは最もフィルムに負荷がかかり、該プロセスで傷や延伸ムラが発生しやすい工程につき、延伸ロールの表面粗さRaは、0.005μm以上1.0μm以下、好ましくは0.1μm以上0.6μm以下である。Raが1.0μmよりも大きいと延伸時ロール表面の凹凸がフィルム表面に転写するため好ましくなく、0.005μmよりも小さいとロールとフィルム地肌が粘着し、フィルムが熱ダメージを受けやすくなる傾向がある。表面粗さを制御するためには研磨剤の粒度、研磨回数などを適宜調整することが有効である。未延伸フィルムをガラス転移点未満の温度に保った状態で延伸ゾーンまで搬送し、延伸時に一挙に加熱する際、予熱ゾーンの搬送ロールは、ハードクロムやタングステンカーバイドで表面処理を行った、表面粗さRaが0.2μm以上0.6μm以下の金属ロールを使用するのが好ましい。
熱処理後のフィルムは、例えば中間冷却ゾーンや徐冷ゾーンを設け、寸法変化率や平面性を調整することができる。特に、熱機械分析により測定した加熱温度80~140℃における長手方向の寸法変化率が-0.20~0.20%を達成するには、中間冷却ゾーンや徐冷ゾーンに角度変更機構を持つ遮蔽板を上下に設けるなどして熱処理ゾーンの高温が漏れないよう、かつ、逆流しないように調整することが有効である。また、特定の熱収縮性を付与するために、熱処理時あるいはその後の中間冷却ゾーンや徐冷ゾーンにおいて、縦方向および/または横方向に弛緩してもよい。
二軸延伸後のフィルムは、搬送工程にて冷却させた後、エッジを切断後巻取り、中間製品を得る。この搬送工程にて、フィルムの厚みを測定し、該データをフィードバックしてダイ厚みなどの調整によってフィルム厚みの調整を行い、また、欠点検出器による異物検知を行う。
エッジの切断時には、切粉の発生を抑制することが、本発明の離型用二軸配向ポリエステルフィルムにおいて必要である。エッジの切断は丸刃、シェア刃、ストレート刃を使用して行うが、ストレート刃を用いる場合は、刃がフィルムに当たる箇所を、常に同じ箇所にさせないことが、刃の摩耗を抑制できるため好ましい。更に刃はオシレーションする機構を有することが好ましい。また、フィルム切断箇所に吸引装置を設けて、発生した切り粉や、切断後のフィルム端部同士が削れて発生する削れ粉を吸引することが好ましい。
中間製品はスリット工程により適切な幅・長さにスリットして巻き取り、本発明の本発明のフィルムを巻き取ってフィルムロールが得られる。スリット工程におけるフィルムの切断時も、先述のエッジの切断と同様な切断の方式から選定できる。中間製品を所望の幅にスリットを行い、本発明のフィルムを得る。
次に実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はかかる例に限定して解釈されるものではない。
[特性の評価方法]
(1)長手方向及び幅方向のヤング率
フィルムロールからA4サイズにカットした試料を用いて測定を行った。長手方向、幅方向の特定が困難な場合は、後述する屈折率の測定によって長手方向、幅方向を定義した。ASTM-D882に準拠し、エー・アンド・デイ社製のテンシロン万能材料試験機(RTC-1210A)を用い、フィルムのヤング率を測定する。長手方向、幅方向にA4試料から5つの試験片を切り出す。全試験片において、10mm×200mm(チャック間距離100mm)を切り出し、該試験片を引張速度200mm/分で引っ張り、試験片が変形する直前での最大弾性(SSカーブの最大傾斜の接線の一次式)から求める。長手方向および幅方向それぞれ平均を求め、その値を各方向のヤング率とした。上記の測定において、フィルムの長手方向や幅方向が分からない場合は、フィルムにおいて最大の屈折率を有する方向を長手方向、長手方向に直行する方向を幅方向とみなす。フィルムにおける最大の屈折率の方向は、フィルムをある方向から10°ずつ回転させて0°~170°の方向の屈折率を屈折率計で測定して求める。
(2)フィルム表面の中心面平均粗さ(SRa値)
A4サイズにカットした試料の表面それぞれを観測する。三次元微細表面形状測定器(小坂研究所製ET-350K)を用いて測定し、得られた表面のプロファイルより、測定器付属のマニュアルにて定義されている、JIS・B0601(1994年)の算術平均粗さRaに準じた、3次元での粗さパラメータである中心面平均粗さSRa値を求める。これを各面について5回繰り返し平均をそれぞれの中心面平均粗さとした。測定条件は下記のとおり。
X方向測定長さ:0.5mm、X方向送り速度:0.1mm/秒。
Y方向送りピッチ:5μm、Y方向ライン数:40本。
カットオフ:0.25mm。
触針圧:0.02mN。
高さ(Z方向)拡大倍率:5万倍。
(3)フィルムの全体厚みおよび各層の厚み
A4サイズにカットした試料をミクロトームを用いて厚み方向に潰すことなくフィルムを切断し、その断面をSEM画像で解析した。
フィルムの厚みは、JIS C2151-2006に準じて測定し、該切片サンプルの断面を日立製作所製走査型電子顕微鏡(FE-SEM)S-4000型を用いて、2000倍の倍率で撮像し、撮像から積層厚みを採寸し各層厚みを算出した。
(4)A層の粒子含有量
上記(3)で得られたフィルムの断面を同一の装置で5000倍の倍率で撮像し、観察を観察した際に10視野確認しても、粒子の存在が認められなかった場合に、粒子を実質的に含有しないと判断する。
(5)B層に含有する粒子の平均粒径
フィルムからサンプリングしたポリマーをプラズマ低温灰化処理法で除去し、粒子を露出させる。処理条件は、ポリマーは灰化されるが粒子は極力ダメージを受けない条件を選択する。その粒子を日立製作所製走査型電子顕微鏡(FE-SEM)S-4000型で観察し、粒子画像を株式会社ニレコ製イメージングアナライザLUZEX_APに取り込み、等価円相当径を測定し、粒子の体積平均粒径を求める。SEMの倍率は粒径により5,000~20,000倍から適宜選択する。任意に観察箇所を変えて、少なくとも5,000個の粒子で粒径の等価円相当径を測定し、その平均値から体積平均粒径を求めた。
(6)B層の粒子含有量
B層を形成する押出機へ供給したポリエステルへの粒子配合量から算出した。
なお、以下の方法に従ってフィルムを分析することによりB層の粒子含有量を算出することもできる。
B層の表面を片刃で削り取り、削れ粉100gにo―クロロフェノールを加え、攪拌しながら100℃で1時間かけてポリマーを溶解する。次いで日立製作所製分離用超遠心機40P型にローターRP30を装備し、セル1個当たりに上記溶解液30mLを注入した後、徐々に30,000rpmにする。30,000rpmに到達してから60分後に粒子の分離を終了する。次いで上澄み液を除去し分離粒子を採取する。採取した該粒子に常温のo―クロロフェノールを加え、均一懸濁した後、超遠心分離操作を行う。この操作は後述の分離粒子を示差走査熱量測定装置を用いてポリマーに相当する融解ピークが検出されなくなるまで繰り返す。このようにして得た分離粒子を120℃で16時間真空乾燥した後、質量を測定した値を粒子の総含有量とし、B層の粒子含有量を求めた。
(7)ピンホール欠陥の個数および凹凸個数
離型フィルムの上に成型されたグリーンシートについて、背面から1,000ルクスのバックライトユニットで照らしながら、塗布抜けによるピンホールあるいは、離型フィルム背面の表面転写による凹み状態を観察する。
◎:ピンホールも凹みも無い。
〇:ピンホールは無く、凹みが1個以上2個以下認められる。
△:ピンホールは無く、凹みが3個以上4個以下認められる
×:ピンホールが有るか、凹みが5個以上認められる。
(8)キズの評価
以下の要領で蛍光灯下及び投光器下で目視検査を実施する。
蛍光灯下:700Lux以上の照度の蛍光灯下で反射にてキズを検査。
投光器下:600Lux以上の照度の投光器下で反射及び透過にてキズを検査。
◎:長さ0.5mm、または、高低差0.5μmを超えるキズが無い。
〇:◎に該当せず、長さ3mm、または、高低差1μmを超えるキズが無い。
△:◎、○に該当せず、長さ5mm、または、高低差1.5μmを超えるキズが無い
×:長さ5mm、または、高低差1.5μmを超えるキズがある。
(9)巻き姿
フィルムを巻き取ったフィルムロールの端側面の凹凸をフィルムロールの側面上部から観測する。測定は、フィルムロールの端側面の中心部から端部にむけてスケールを当てて、フィルムロールの最表層からスケールのメモリを測定し、その長さを凹凸の変化量とし、巻き姿を評価した。
◎:凹凸なし(0.1mm未満)。
〇:凹凸が0.1mm以上1mm未満。
△:凹凸が1mm以上3mm未満。
×:凹凸が3mm以上ある。
(10)製膜安定性
フィルムを製造するに際し、下記の期間で破断があるかどうかをもとに判断した。
〇:6時間連続製膜で破断がなし。
△:1時間連続製膜では破断がないが6時間連続製膜で破断がある。
×:1時間連続製膜で破断がある。
実施例および比較例では、以下のようにして作製したポリエステルペレットを用いて二軸配向ポリエステルフィルムを製造した。
(1)ポリエステルペレットの作製
(ポリエステルペレットAの作製)
テレフタル酸86.5質量部とエチレングリコール37.1質量部を255℃で、水を留出しながらエステル化反応を行う。エステル化反応終了後、トリメチルリン酸0.02質量部、酢酸マグネシウム0.06質量部、酢酸リチウム0.01質量部、三酸化アンチモン0.0085質量部を添加し、引き続いて、減圧下、290℃まで加熱、昇温して重縮合反応を行い、固有粘度0.63dl/gのポリエステルペレットAを得た。
(ポリエステルペレットBの作製)
上記と同様にポリエステルを製造するにあたり、モノマーを吸着させる方法によって得た体積平均粒径0.49μm、体積形状係数f=0.51のジビニルベンゼン/スチレン共重合架橋粒子の水スラリーを、上記の実質的に粒子を含有しないホモポリエステルペレットに、ベント式二軸混練機を用いて含有させ、体積平均粒径0.49μmのジビニルベンゼン/スチレン共重合架橋粒子をポリエステルに対し2.0質量%含有するポリエステルペレットBを得た。
(ポリエステルペレットCの作製)
ポリエステルペレットBの製作において、ジビニルベンゼン/スチレン共重合架橋粒子を体積平均粒径0.2μmのジビニルベンゼン/スチレン共重合架橋粒子に替えて同様にポリエステルペレットCを得た。
(ポリエステルペレットDの作製)
ポリエステルペレットBの製作において、ジビニルベンゼン/スチレン共重合架橋粒子を体積平均粒径1.0μmのジビニルベンゼン/スチレン共重合架橋粒子に替えて同様にポリエステルペレットDを得た。
(ポリエステルペレットEの作製)
ポリエステルペレットBの製作において、ジビニルベンゼン/スチレン共重合架橋粒子を体積平均粒径0.1μmのジビニルベンゼン/スチレン共重合架橋粒子に替えて同様にポリエステルペレットEを得た。
(ポリエステルペレットFの作製)
ポリエステルペレットBの製作において、ジビニルベンゼン/スチレン共重合架橋粒子を体積平均粒径2.0μmのジビニルベンゼン/スチレン共重合架橋粒子に替えて同様にポリエステルペレットFを得た。
(2)ポリエステルペレットの調合
A層、B層それぞれの層の押出機に供給するポリエステルペレットは、各層に含有する粒子量が表1に記載の比率になるよう調合した。なお以下に記載する比率は、各々の層を構成するポリエステル樹脂全体に対する質量比(単位:質量%)である。
[実施例1]
A層を構成するために、上記で得られたポリエステルペレットAおよびポリエステルペレットBを、ポリエステルペレットA:ポリエステルペレットB=100:1.5の割合でブレンドした状態で、160℃で8時間減圧乾燥した後、A層を形成する押出機Aへ、B層を構成するために、ポリエステルペレットA:ポリエステルペレットB=100:4.7の割合でブレンドした状態で、160℃で8時間減圧乾燥した後、B層を形成する押出機Bに供給し、275℃で溶融押出して高精度濾過した後、矩形の2層用合流ブロックで最終フィルムの厚みが、A層が5.9μm、B層が3.6μmとなるよう積層し、2層積層とした。その後、295℃に保ったスリットダイを介し冷却ロール上に静電印加キャスト法を用いて表面温度25℃のキャスティングドラムに巻き付け冷却固化し、未延伸フィルムを得た。
この未延伸フィルムを2組ずつのロールの周速差を用いて延伸するロール式延伸機にて85℃で長手方向に4.0倍で延伸した。
得られた一軸延伸フィルムの両端をクリップで把持しながらテンター内の90℃の温度の予熱ゾーンに導き、引き続き連続的に110℃の温度の加熱ゾーンで長手方向に直角な幅方向に4.2倍延伸した。
得られた二軸延伸フィルムを220℃の温度で10秒間の熱処理を施し、さらに160℃の温度で4.0%幅方向に弛緩処理を行った。次いで、25℃に均一に冷却後、フィルムエッジを除去し、コアに巻き取り、全体厚さ9.5μm(A層厚み5.9μm、B層厚み3.6μm)の二軸配向ポリエステルフィルムを得た。各評価の結果は表1に表す。
[実施例2]
A層およびB層の厚みを変える以外は実施例1と同様にして二軸配向ポリエステルフィルムを得た。各評価の結果は表1に表す。
[実施例3]
B層の製造において、ポリエステルペレットBに替えてポリエステルペレットCを用いてB層に含有する粒子量が表1に記載のとおりになるようにし、各A層、B層の厚みを変更した以外は、実施例1と同様にして二軸配向ポリエステルフィルムを得た。各評価の結果は表1に表す。
[実施例4]
A層およびB層の厚みを変える以外は実施例1と同様にして二軸配向ポリエステルフィルムを得た。各評価の結果は表1に表す。
[実施例5]
A層およびB層の厚みを変える以外は実施例3と同様にして二軸配向ポリエステルフィルムを得た。各評価の結果は表1に表す。
[実施例6]
A層およびB層の厚みを変える以外は実施例1と同様にして二軸配向ポリエステルフィルムを得た。各評価の結果は表1に表す。
[実施例7]
B層の製造において、ポリエステルペレットBに替えてポリエステルペレットDを用いて表1の含有量とし、各A層、B層の厚みを変更した以外は、実施例1と同様にして二軸配向ポリエステルフィルムを得た。各評価の結果は表1に表す。
[実施例8]
長手方向の延伸倍率を3.0倍、幅方向の延伸倍率を3.0倍とした他は実施例4と同様にして二軸配向ポリエステルフィルムを得た。各評価の結果は表1に表す。
[実施例9]
長手方向の延伸温度を88℃とした他は実施例4と同様にして二軸配向ポリエステルフィルムを得た。各評価の結果は表1に表す。
[実施例10]
矩形の3層用合流ブロックで最終フィルムの厚みが、A層が1.0μm、B層が4.0μm、A層が1.0μmとなるようA層、B層、A層の順で積層し、3層積層とした他は実施例1と同様にして二軸延伸フィルムを得た。各評価の結果は表1に表す。
[実施例11]
B層に含有する粒子量が表1に記載のとおりになるようにし、各A層、B層の厚みを変更した以外は、実施例4と同様にして二軸配向ポリエステルフィルムを得た。各評価の結果は表1に表す。
[実施例12]
B層に含有する粒子量が表1に記載のとおりになるようにし、各A層、B層の厚みを変更した以外は、実施例5と同様にして二軸配向ポリエステルフィルムを得た。各評価の結果は表1に表す。
[実施例13]
B層に含有する粒子量及び厚みが表1に記載のとおりになるようにし、長手方向の延伸倍率を4.2倍、幅方向の延伸倍率を4.5倍とした他は実施例6と同様にして二軸配向ポリエステルフィルムを得た。各評価の結果は表1に表す。
[実施例14]
長手方向の延伸温度を80℃に変更した以外は実施例13と同様にして二軸配向ポリエステルフィルムを得た。各評価の結果は表1に表す。実施例14は長手方向の延伸温度が低いため、フィルムに与えた熱量が少なくヤング率が高くなる傾向にあった。
[比較例1]
B層の製造において、ポリエステルペレットBに替えてポリエステルペレットEを用いてB層に含有する粒子量が表1に記載のとおりになるようにし、各A層、B層の厚みを変更した以外は、実施例1と同様にして二軸延伸フィルムを得た。各評価の結果は表1に表す。比較例1は実施例1に比べてフィルムの厚みが厚く予熱時及び長手方向の延伸時のフィルムに与えた熱量が少なくヤング率が高くなる傾向にあった。
[比較例2]
A層およびB層の厚みを変える以外は実施例1と同様にして二軸配向ポリエステルフィルムを得た。各評価の結果は表1に表す。比較例2は実施例1に比べてフィルムの厚みが厚く予熱時及び長手方向の延伸時のフィルムに与えた熱量が少なくヤング率が高くなる傾向にあった。
[比較例3]
A層およびB層の厚みを変える以外は実施例7と同様にして二軸配向ポリエステルフィルムを得た。各評価の結果は表1に表す。
[比較例4]
B層の製造において、ポリエステルペレットBを用いてB層に含有する粒子量が表1に記載のとおりになるようにし、各A層、B層の厚みを変更した以外は、実施例1と同様にして二軸配向ポリエステルフィルムを得た。各評価の結果は表1に表す。
[比較例5]
B層の製造において、ポリエステルペレットBに替えてポリエステルペレットFを用いて表1に記載のとおりになるようにし、各A層、B層の厚みを変更した以外は、実施例1と同様にして二軸配向ポリエステルフィルムを得た。各評価の結果は表1に表す。
[比較例6]
A層及びB層の製造において、ポリエステルペレットBをA層、B層に含有する粒子量が表1に記載のとおりになるようにし、各A層、B層の厚みを変更した以外は、実施例1と同様にして二軸配向ポリエステルフィルムを得た。各評価の結果は表1に表す。
[比較例7]
B層の粒子含有量を表1に記載の通りとすること以外は実施例4と同様にして二軸配向ポリエステルフィルムを得た。各評価の結果は表1に表す。
[比較例8]
長手方向の延伸温度を80℃にすること以外は比較例7と同様にして二軸配向ポリエステルフィルムを得た。各評価の結果は表1に表す。比較例8は長手方向の延伸温度が低いため、フィルムに与えた熱量が少なくヤング率が高くなる傾向にあった。
Figure 2022105988000001

Claims (6)

  1. 少なくとも一方の表面を有するA層と、A層に隣接するB層を有する二軸配向ポリエステルフィルムであって、フィルム全体の厚さTHが2.0μm以上10.0μm以下であり、前記A層は実質的に粒子を含有せず、前記A層の中心面平均粗さSRaが1nm以上40nm以下である離型用二軸配向ポリエステルフィルム。
  2. 前記A層の厚さTAが0.5μm以上6.0μm以下である請求項1に記載の離型用二軸配向ポリエステルフィルム。
  3. 前記B層が平均粒径0.2μm以上1.5μm以下の粒子をB層全体に対して0.05質量%以上0.5質量%以下含有する請求項1または請求項2に記載の離型用二軸配向ポリエステルフィルム。
  4. 前記フィルムの長手方向および幅方向のヤング率が4.0GPa以上6.0GPa以下である請求項1~3のいずれかに記載の離型用二軸配向ポリエステルフィルム。
  5. 前記A層の表面上に離型層を積層してなる請求項1~4のいずれかに記載の離型用二軸配向ポリエステルフィルム。
  6. 前記積層セラミックコンデンサの成形基材として用いられる請求項1~5のいずれかに記載の離型用二軸配向ポリエステルフィルム。
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