JP2018090740A - ポリエステルフィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】平滑性や透明性に優れるポリエステルフィルムを提供する。【解決手段】ポリエステルフィルムであって、前記ポリエステルフィルムの少なくとも片面(A面)の(M60/M10)×100が0.1以上5.0以下であり、A面とは反対側の表面(B面)における波長9.65μmにおけるスペクトル密度が1000〜50000nm3の範囲であるポリエステルフィルム。【選択図】なし

Description

本発明は、平滑性や透明性に優れたポリエステルフィルムに関する。
ポリエステル樹脂、特にポリエチレンテレフタレート(以下PETと略すことがある)や、ポリエチレン2,6−ナフタレンジカルボキシレート(以下PENを略すことがある)などは機械特性、熱特性、耐薬品性、成形性に優れ、表面制御のしやすさなどから様々な用途に用いられている。そのポリエステルをフィルム化したポリエステルフィルム、中でも二軸配向ポリエステルフィルムは、その優れた機械的特性や熱特性、表面特性などから、磁気記録材料、コンデンサー用材料などの各種工業材料、ドライフィルムレジスト(DFR)基材用や積層セラミックコンデンサー製造工程用、偏光板離型用などの離型・工程用フィルムなどの工程用紙の用途や、また優れた透明性を活かし、フレキシブルディスプレイや有機ELなどの透明電極基板といった光学材料として使用されている。
近年、プリント配線基板、半導体パッケージ、フレキシブル基板などの製造に、ポリエステルフィルムを基材として用いるドライフィルムレジスト(DFR)が多く用いられる。一般的に、DFRは、感光層(フォトレジスト層)が、ポリエステルフィルムからなる基材フィルムとポリオレフィンフィルムなどからなる保護フィルム(カバーフィルム)との間に挟まれたサンドイッチ構造をしている。このDFRを用いて導体回路を作製するには、一般的に次のような操作が行われる。
すなわち、DFRから保護フィルムを剥離し、露出したレジスト層の表面と、基板上の例えば銅箔などの導電性基材層の表面とが密着するように、基板・導電性基材層とラミネートする。次に、導体回路パターンを焼き付けたレチクルを、ポリエステルフィルムからなる基材上に置き、その上から、感光性樹脂を主体としたレジスト層に光線を照射して、露光させる。その後、レクチルおよびポリエステルフィルムを剥離した後、溶剤によってレジスト層中の未反応分を溶解、除去する。次いで、酸などでエッチングを行い、導電性基材層中の露出した部分を溶解、除去する。この結果、レジスト層中の光反応部分とこの光反応部分に対応する導電性基材層部分がそのまま残ることになる。その後、残ったレジスト層を除去すれば、基板上の導体回路が形成されることになる。このような方法により導体回路が形成されるので、支持体としてポリエステルフィルムには、光線を邪魔なく透過できる高い光線透過性が要求される。
とくに、近年、OA機器、IT機器など小型化、軽量化などに伴い、透過性に優れ、ヘイズが低く、高解像化を達成できるドライフィルムレジスト支持体用ポリエステルフィルが要求されている。
また、昨今のスマートフォンの普及に伴い、積層セラミックコンデンサーは小型・高容量化が進んでいる。そのため、積層セラミックコンデンサーの製造に用いる離型フィルムは、平滑性が高く、フィルム表面および内部に欠陥のないポリエステルフィルムの需要が急速に増えている。基材として使用されるポリエステルフィルムの表面特性として、その平滑面の品質が加工後のグリーンシート製品の品質にも影響を与えやすくなる傾向にある。また、粗面の品質も加工後のグリーンシート製品の品質に影響を与えやすくなる傾向にある。例えば、従来のポリエステルフィルムでは問題にならなかったが、グリーンシート加工がなされる平滑面のうねりが積層セラミックコンデンサーの品質に関係したり、また、粗面側の突起がグリーンシート製品を巻き上げた際にグリーンシートに転写し、きずやへこみを生じたりすることがある。
また、液晶ディスプレイ等に使用される部材には偏光板、位相差偏光板または位相差板があり、偏光板は通常、偏光フィルム、表面保護フィルム、粘着剤層および離型フィルムより構成される。偏光フィルムは、沃素や二色性染料などの偏光素子をポリビニルアルコール系フィルムの如き親水性フィルムなどに吸着配向せしめた偏光軸と吸着軸とを有する偏光子を、上下よりセルロース系フィルムで被覆するか、あるいはアクリル系樹脂をコーティングすることによる構造を有する。表面保護フィルムは、ポリエステルフィルム等の透湿性が少なく、伸び等の変形が少ない透明なプラスチックフィルムが使用されている。表面保護フィルムと偏光フィルムは接着剤で被着されており、該接着剤は表面保護フィルムとは強固に接着するが、偏光フィルムとは経日でも容易に剥離し得るものが使用されている。粘着剤層は偏光フィルムを液晶セルに粘着するための感圧型粘着剤等よりなり、離型フィルムはポリエステルフィルム等で構成されている。このような偏光板の製造に際しては、予め原料である偏光フィルムの光の透過率や偏光度あるいはヘイズ等の光学特性を検査し使用してはいるものの、偏光板への製造工程での偏光フィルムへの機械的応力、異物混入あるいは付着等により欠陥が生じる可能性がある。このため最終製品での異物混入や欠陥検査では、クロスニコル法(2枚の偏光板を互いに偏光面を直交させ、その間にフィルムの長手方向、幅方向をそれぞれ直交する偏光板の偏光面に合わせて挟まれた状態での透過光を観察する方法)による人間の目視検査を行なっている。実際の偏光板の目視検査においては、正常な検光子の上に、その偏光面に対して偏光面が直交するように、検査対象の偏光板を、クロスニコル法における偏光子とフィルムとの代わりに重ねて置くと、原理的に、偏光板中の異物混入や欠陥という欠点箇所が輝点として現れるので、目視により欠点が検査できるというものである。しかしながら、現在、偏光板の離型フィルムとして用いられているニ軸配向ポリエステルフィルムは、クロスニコル法による偏光板検査時に、光漏れが生じやすく、正確な目視検査が困難となり、偏光板の異物混入や欠点である輝点を見落とす問題が生じている。
特許文献1および2では、DFR基材である表面の平均粗さを平滑化したフィルムが開示されている。特許文献3では、積層セラミックコンデンサー用製造工程フィルムとして3層構成で特定の粒子を用いるフィルムについて開示されている。
特開2016−87854号公報 特開2015−208939号公報 国際公開2014/061410号公報
しかしながら、上記の特許文献に記載の技術では、DFR基材として用いる場合には露光欠点抑制のために平滑化および透明性が十分ではない。また、積層セラミックコンデンサー用製造工程フィルムとして用いる場合には、グリーンシートがますます薄膜化するため、フィルム上に塗付などの加工がなされる面の波長10μmレベルの長波長の空間周波数密度で表される表面うねり指数がより重要になっており、また、粗面側の高い突起による加工面への転写抑制の観点で、粗面側の平滑性が十分ではない。
本発明の課題は、かかる従来技術の背景に鑑み、離型・工程用あるいは光学部材用として加工が施される面の長波長の表面うねりが小さく、かつ、その反対面の突起高さを制御することで、平滑性や透明性に優れるポリエステルフィルムを提供することにある。
上記課題を解決するための本発明は、次の各構成を特徴とするものである。
(1)ポリエステルフィルムであって、前記ポリエステルフィルムの少なくとも片面(A面)の(M60/M10)×100が0.1以上5.0以下であり、A面とは反対側の表面(B面)における波長9.65μmにおけるスペクトル密度が1000〜50000nmの範囲であるポリエステルフィルム。
(但し、M10は高さ10nmのスライスレベルにおける突起密度(個/mm)、M60は高さ60nmのスライスレベルにおける突起密度(個/mm)である。)
(2)A面のM60が500個/mm以下である、上記(1)に記載のポリエステルフィルム。
(3)A面の高さ100nmのスライスレベルにおける突起密度(M100)が5個/mm以下である、上記(1)または(2)に記載のポリエステルフィルム。
(4)A面のM10が1000個/mm以上30000個/mm未満である、上記(1)〜(3)のいずれかに記載のポリエステルフィルム。
(5)A面の平均表面粗さRaが2〜7nmである、上記(1)〜(4)のいずれかに記載のポリエステルフィルム。
(6)A面の平均表面粗さRaが0.5〜5nmである、上記(1)〜(5)のいずれかに記載のポリエステルフィルム。
(7)フィルムの厚みが10μm以上250nm以下である、上記(1)〜(6)のいずれかに記載のポリエステルフィルム。
(8)3層以上の積層構造からなる、上記(1)〜(7)のいずれかに記載のポリエステルフィルム
(9)A面を形成する層が粒子を含有しており、当該粒子の体積基準粒度分布測定を行い横軸を粒径、縦軸を粒子の存在比率としてプロットしたときに得られる粒子の存在比率のチャートの極大のうち最も粒径の大きいピークトップの粒径をD(μm)とし、A面を形成する層の厚みt(μm)としたとき、t/Dが0.5以上10以下である、上記(1)〜(8)のいずれかに記載のポリエステルフィルム。
(10)離型用または工程用フィルムとして用いられる、上記(1)〜(9)のいずれかに記載のポリエステルフィルム。
(11)ドライフィルムレジスト基材用フィルムとして用いられる、上記(10)に記載のポリエステルフィルム。
(12)積層セラミックコンデンサーを製造する工程においてグリーンシート成形の支持体に用いられる、上記(10)に記載のポリエステルフィルム。
(13)偏光板離型用フィルムとして用いられる、上記(10)に記載のポリエステルフィルム。
(14)光学部材用フィルムとして用いられる、上記(1)〜(9)のいずれかに記載のポリエステルフィルム。
本発明によれば、表面平滑性や透明性に優れ、ドライフィルムレジスト用基材フィルムとして使用した場合に露光欠点が少なく、また、積層セラミックコンデンサーを製造する工程でのグリーンシートの欠点が少なく、さらに偏光板離型用として検査ミスを引き起こす欠点が少ない離型・工程用フィルム、加えて透明電極などの加工がなされた場合に欠点やきずが少ない光学部材として好適なフィルムを提供することができる。
以下に具体例を挙げつつ、本発明について詳細に説明する。
本発明のポリエステルフィルムにおいて用いられるポリエステルとしては、例えば、芳香族ジカルボン酸、脂環族ジカルボン酸または脂肪族ジカルボン酸などの酸成分やジオール成分を構成単位(重合単位)とするポリマーで構成されたものを用いることができる。
芳香族ジカルボン酸成分としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルスルホンジカルボン酸等を用いることができ、なかでも好ましくは、テレフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸を用いることができる。脂環族ジカルボン酸成分としては、例えば、シクロヘキサンジカルボン酸等を用いることができる。脂肪族ジカルボン酸成分としては、例えば、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸等を用いることができる。これらの酸成分は一種のみを用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
ジオール成分としては、例えば、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリアルキレングリコール、2,2’−ビス(4’−β−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン等を用いることができ、なかでも、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコール等を好ましく用いることができ、特に好ましくは、エチレングリコール等を用いることができる。これらのジオール成分は一種のみを用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
ポリエステルには、ラウリルアルコール、イソシアン酸フェニル等の単官能化合物が共重合されていてもよいし、トリメリット酸、ピロメリット酸、グリセロール、ペンタエリスリトール、2,4−ジオキシ安息香酸、等の3官能化合物などが、過度に分枝や架橋をせずポリマーが実質的に線状である範囲内で共重合されていてもよい。さらに酸成分、ジオール成分以外に、p−ヒドロキシ安息香酸、m−ヒドロキシ安息香酸、2,6−ヒドロキシナフトエ酸などの芳香族ヒドロキシカルボン酸およびp−アミノフェノール、p−アミノ安息香酸などを本発明の効果が損なわれない程度の少量であればさらに共重合せしめることができる。
ポリマーの共重合割合はNMR法(核磁気共鳴法)や顕微FT−IR法(フーリエ変換顕微赤外分光法)を用いて調べることができる。
ポリエステルは、二軸延伸を施せること、および、表面特性や透明性などの本発明の効果を発現するために、ガラス転移温度が150℃未満のものを好適に使用できる。本発明において用いるポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート(ポリエチレン−2,6−ナフタレート)が好ましく、また、これらの共重合体や変性体でもよく、他の熱可塑性樹脂とのポリマーアロイでもよい。ここでいうポリマーアロイとは高分子多成分系のことであり、共重合によるブロックコポリマーであってもよいし、混合などによるポリマーブレンドでもよい。本発明で用いるポリエステルとしては特に、結晶子サイズや結晶配向度を高めるプロセスが適用しやすいことから主成分がポリエチレンテレフタレートであることがより好ましい。ここで、主成分とはフィルム組成中80質量%以上であることをいう。
本発明のポリエステルフィルムは、少なくとも片面(A面)の三次元表面粗さ計により測定した粗さ曲線において、基準面から10nm間隔にスライスレベルを設定したときの突起密度について、高さ60nmのスライスレベルにおける突起密度(M60(個/mm))と高さ10nmのスライスレベルにおける突起密度(M10(個/mm))の関係として(M60/M10)×100が0.1以上5.0以下である。好ましくは(M60/M10)×100の値は0.3以上3.0以下であり、さらに好ましくは0.5以上2.5以下である。下限値は小さければ小さい方が転写の抑制につながり好ましいが、0.1より小さくなりすぎると走行性が低下するため加工適性が低下する。上限値が5.0を超えると全突起に対する高さ60nm以上の突起割合が高くなり、転写が発生しやすく、加工層表面(DFRのレジスト層や積層セラミックコンデンサー製造工程におけるグリーンシート層など)の欠陥が発生しやすくなる。突起密度比(M60/M10)×100の値を本発明の範囲内とすることによって、走行性や加工適性と加工層表面の欠陥抑止の両立が高いレベルで可能となる。突起密度比(M60/M10)×100の値を上記の範囲とする方法は、特に限られるものでは無いが、ポリエステルフィルムに含有する粒子種、粒子含有量などにより制御する方法が挙げられる。詳しくは後述する。
本発明のポリエステルフィルムは、上記突起密度を満足する面とは反対側の表面(B面)の波長9.65μmにおけるスペクトル密度が1000〜50000nmである必要がある。スペクトル密度は、好ましくは2000〜40000nmであり、さらに好ましくは3000〜35000nmの範囲である。スペクトル密度(Power Spectral Density 以下PSDと言う)とは、表面粗さのプロファイルデータをフーリエ変換処理し周波数分析を行い、各波長での強度を算出するものである。本願では原子間力顕微鏡(AFM)を用いて、測定視野125μm×125μmでPSD計測を行い、波長9.65μmにあたる強度を求めた。上記の方法で求められるPSDは、フィルム表面のうねりを表すパラメータである。本願においては、上記、PSDが上記の範囲を満足する表面が加工層表面の欠陥抑止の上で好ましく、PSDが本願の範囲内であると加工適性と欠陥抑止が高いレベルで両立でき好ましい。
本発明のポリエステルフィルムは、前記A面の三次元表面粗さ計により測定した粗さ曲線において、基準面から高さ60nmのスライスレベルにおける突起密度(M60)が500個/mm以下であることが好ましい。より好ましくは300個/mm以下である。突起密度(M60)が500個/mmを越えると、離型・加工用として使用した場合に加工層に転写してピンホールなどの欠陥が発生したり、DFR用では露光不良になったりすることがある。また、本発明のポリエステルフィルムは、前記A面の三次元表面粗さ計により測定した粗さ曲線において、基準面から高さ10nmのスライスレベルにおける突起密度(M10)が1000〜30000個/mmであることが好ましい。より好ましくは、3000〜25000/mmである。突起密度(M10)が1000個/mm未満であると走行性が不十分となり加工適性が低下したり、A面突起の応力分散ができなくなり転写が発生しやすくなったりする場合がある。上限の30000個/mmを超えると突起間距離が狭まることになり突起が密集し粗大突起を形成しやすくなるためフィルムロールとして巻き取ったときに平滑面への転写が増加することがある。また、上記で規定した突起密度の比(M60/M10)×100の値を得ることが困難となるため、反対側表面のPSDを本発明の範囲に制御できない場合がある。M10を特定の範囲内に制御することで粗さ曲線の基準面が上昇し突起の高さが見かけ上低くなるため、平滑面への転写が軽減される効果と、フィルムロールの巻き締まりによる応力を高い突起に集中させずに分散させる効果の相乗効果で平滑面への転写が軽減されると考える。
本発明のポリエステルフィルムは、A面の三次元表面粗さ計により測定した粗さ曲線において、基準面から10nm間隔にスライスレベルを設定したときの突起密度について、高さ100nmのスライスレベルにおける突起密度(M100(個/mm))は5以下であることが好ましい。突起密度(M100)がこの範囲外であると離型・工程用として用いたとき、加工層面への転写が発生し、欠陥を招くため特性が低下する場合がある。上記で規定した突起密度比(M60/M10)×100および突起密度(M100)の各特性(値)を有する特徴面がB層表面であると走行性や加工適性の向上と加工層表面の平滑性欠陥抑制効果が十分に発揮されるので好ましい。
本発明のポリエステルフィルムは、平均粒径が0.050〜0.50μmの不活性粒子を含有する層(A層)を少なくとも1層有する2層以上の積層構成を有することが好ましい。この場合、A面を有する層がA層であるとA層はハンドリング性や加工適性を担う層として機能し、フィルムの一方の最外層として設けられる。このとき、もう一方の最外層(B面を有する層)には、平均粒径が0.05〜0.20μmの不活性粒子を含有した平滑性を担う層(B層)が設けられた少なくとも2層以上の積層構成が本発明の効果を得るためには好ましい。さらに好ましくは、A層およびB層の間に中間層(C層)を設ける3層以上の積層構成が例示される。この場合、B面の波長9.65μmにおけるスペクトル密度(PSD)やA面の突起密度を本発明の範囲に制御するために、C層には実質的に粒子を含有しないことが好ましい。
本発明のポリエステルフィルムは、A面を形成する層(A層)において、該層の厚み(t)と該層の該層の最大粒子径(D)の比(t/D)が0.5〜10であることが好ましい。より好ましくは1〜5である。(t/D)が0.5未満の場合、粒子がフィルムが脱落し、面を形成することが困難になる場合があり、また、t/Dが10より大きい場合、粒子がフィルムに埋没したりして、突起密度比(M60/M10)×100を上記の範囲内に設定することが困難となる場合がある。なお、最大粒子径(D)は、該粒子の体積基準粒度分布測定を行い、横軸を粒径、縦軸を粒子の存在比率としてプロットしたときに得られる粒子の存在比率のチャートの極大のうち最も粒径の大きいピークトップの粒径をD(μm)とした。
上記した突起密度(M60、M100)の制御方法として、(たとえばA層に適用する場合)A層における含有粒子の粒子径、含有量、層厚みで制御が可能である。特にA層に含有する粒子の粒子径が0.5μmを超えないことが好ましい。A層に含有できる最大の粒子(L)の粒子径としては、0.3μm以上0.5μm以下である場合、該粒子の含有量は0.05〜0.25質量%で含有することが好ましく、粒子(L)の粒子径が0.4μmを超える場合の該粒子の含有量は0.05〜0.20質量%とすることが好ましい。また、層厚み(t)と該層に含有される最大粒子径(D)の比(t/D)を0.5〜10、好ましくは1〜5、さらに好ましくは1〜3に設定する。
上記した突起密度(M10)の制御方法として、A層に含有する粒子の粒径や含有量、層厚みを制御することで達成できる。粒子径が0.03〜0.5μmの粒子を0.1〜0.5質量%を含有し、積層厚み(t)と該層に含有される平均粒子径(d)の比(t/d)を0.5〜10、好ましくは1〜5に設定する。特に、粒子径が0.1μm以上0.3μm未満の粒子(M)を0.1〜0.3質量%含有させることに加えて、粒子径が0.03μm以上0.1μm未満の粒子(S)を0.15〜0.3質量%含有させると表面粗さRaや突起密度(M60)を増加させずに効率よく所望の突起密度(M10)を得ることができる。その結果、製造工程における工程内ロールや巻き取り時のフィルムとの接触面積が低下し走行性が向上する。さらに、M10を特定の範囲内に制御することは、A層表面の地肌部分に微細な凹凸が形成されるのでA層の表面積が増加するためフィルムロールに巻き取る際に噛み込んだ空気の抜け道を確保しやすくなると考えられ、巻ズレが生じにくくなり、スリット性が向上する。
上記した密度比(M60/M10)×100の値の制御方法としては、A層中に少なくとも2種類以上の粒子径の異なる粒子(LおよびM、S)を併用することが好ましく、粒子(L)と粒子(M)の含有量とt/Dの調節で制御が可能である。粒子(L)は粒子径が0.3μm以上0.5μm以下であり、粒子(M)の粒子径は0.1μm以上0.3μm未満である。この時、粒子(L)は粒子(M)よりも粒子径が大きい粒子である。さらに、粒子径が0.03μm以上0.1μm未満の粒子(S)を0.15〜0.3質量%添加することによって、本発明の突起密度(M60)を増加させずに突起密度(M10)が効率よく増加することができるため好ましい。
本発明のポリエステルフィルムA層に好ましく含有される粒子としては特に限定されないが、無機粒子、有機粒子、いずれも用いることができる。2種類以上の粒子を併用することが本発明の特徴面を得るためには好ましい。具体的な種類としては、例えば、クレー、マイカ、酸化チタン、炭酸カルシウム、湿式シリカ、乾式シリカ、コロイダルシリカ、リン酸カルシウム、硫酸バリウム、アルミナ珪酸塩、カオリン、タルク、モンモリロナイト、アルミナ、ジルコニア等の無機粒子、アクリル酸類、スチレン系樹脂、シリコーン、イミド等を構成成分とする有機粒子、コアシェル型有機粒子などが例示できるが、本発明の突起密度とPSDを制御するには、単一分散する球形の粒子である有機粒子やコロイダルシリカが特に好ましい。
また、本発明のポリエステルフィルムのA層に好ましく含有される粒子としては、単一分散する球形の粒子が好ましい。
本発明のポリエステルフィルムにおいて、A面の中心線表面粗さRaは2〜10nmであることが好ましく、2〜7nmであることがさらに好ましい。また、10点平均粗さRzは30〜200nm、好ましくは40〜180nmであり、さらに好ましくは80〜160nmである。表面粗さRaおよびRzが下限値未満であると走行性やスリット性が不良となりやすく、RaおよびRzが上限値を超えると離型・工程用として使用した場合に、B層側に加工された層に転写痕が発生しやすくなり、欠点が発生しやすくなることがある。
また、本発明のポリエステルフィルムにおいて、B面の中心線表面粗さRaは0.5〜5nmであることが好ましく、1〜4nmであることがさらに好ましい。表面粗さRaが下限値未満であると走行性やスリット性が不良となりやすく、Raが上限値を超えると離型・工程用として使用した場合に、加工された層に欠点が発生しやすくなることがある。
本発明のポリエステルフィルムにおいて、B面の波長9.65μmにおけるスペクトル密度(PSD)の制御方法としては、ポリエステルフィルムに含有する粒子の粒子径および含有量、層厚みによって制御することができる。例えば、ポリエステルフィルムを3層以上の積層構成とし、B面を形成するB層に含有する粒子として粒子径が0.05〜0.15μmの粒子を0.02〜0.20質量%含有させ、かつ、A層とB層の間に中間層(C層)を設け、C層には実質的に粒子を含有しない方法が例示される。
なお、本発明において、MDとはポリエステルフィルムの長手方向(縦方向)を示し、TDとはポリエステルフィルムの幅方向(横方向)を示す。
本発明のポリエステルフィルムの厚みは、10μm以上250μm以下であることが好ましい。フィルムの厚みが250μmを超える場合、フィルムを構成するポリエステル自体でも光が吸収されるため、DFR基材として使用する場合に露光性が低下したり、光学部材として使用した場合に透明性が低下したりすることがある。フィルム厚みが10μm未満の場合は、フィルムのハンドリング性、搬送性が低下する場合がある。ポリエステルフィルムの厚みを上記範囲とすると、透明性や露光性、ハンドリング性、搬送性が良好となり、DFR基材用や積層セラミックコンデンサー製造工程用、偏光板離型用などの離型・工程用フィルム、さらフレキシブルディスプレイの透明電極基板などの光学部材用フィルムとして好適に用いることができる。フィルム厚みは、より好ましくは15μm以上100μm以下、さらに好ましくは15μm以上50μm以下である。
上記したような本発明のポリエステルフィルムの製造方法は、特に限られるものでは無いが、たとえば次のように製造される。
まず、ポリエステルのペレットを、押出機を用いて溶融し、口金から吐出した後、冷却固化してシート状に成形する。このとき、繊維焼結ステンレス金属フィルターによりポリマーを濾過することが、ポリマー中の未溶融物を除去するために好ましい。
本発明の特徴面を阻害しない範囲内であれば、各種添加剤、例えば、相溶化剤、可塑剤、耐候剤、酸化防止剤、熱安定剤、滑剤、帯電防止剤、増白剤、着色剤、導電剤、結晶核剤、紫外線吸収剤、難燃剤、難燃助剤、顔料、染料、などが添加されてもよい。
続いて、上記シートを長手方向と幅方向の二軸に延伸した後、熱処理する。上記のA面の突起密度比(M60/M10)およびB面のスペクトル密度(PSD)を本発明の範囲に制御するための延伸工程は、幅方向において2段階以上に分けることが好ましい。
延伸形式としては、長手方向に延伸した後に幅方向に2段階で延伸を行うなどの逐次二軸延伸法が好ましく例示される。また、同時二軸延伸法にて長手方向および幅方向に同時延伸した後に幅方向に延伸を行う方法も好ましく例示される。
以下、本発明のポリエステルフィルムの製造方法について、ポリエチレンテレフタレート(PET)をポリエステルとして用いた例を代表例として説明する。なお本発明はPETフィルムに限定されるものではなく、他のポリマーを用いたものものでもよい。例えば、ガラス転移温度や融点の高いポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートなどを用いてポリエステルフィルムを構成する場合は、以下に示す温度よりも高温で押出や延伸を行えばよい。
まず、PETのペレットを製造する。PETは、次のいずれかのプロセスで製造される。すなわち、(1)テレフタル酸とエチレングリコールを原料とし、直接エステル化反応によって低分子量のPETまたはオリゴマーを得、さらにその後の三酸化アンチモンやチタン化合物を触媒に用いた重縮合反応によってポリマーを得るプロセス、(2)ジメチルテレフタレートとエチレングリコールを原料とし、エステル交換反応によって低分子量体を得、さらにその後の三酸化アンチモンやチタン化合物を触媒に用いた重縮合反応によってポリマーを得るプロセスである。
フィルムを構成するPETに粒子を含有させるには、エチレングリコールに粒子を所定割合にてスラリーの形で分散させ、このエチレングリコールを重合時に添加する方法が好ましい。粒子を添加する際には、例えば、粒子の合成時に得られる水ゾルやアルコールゾル状態の粒子を一旦乾燥させることなく添加すると粒子の分散性がよい。また、粒子の水スラリーを直接PETペレットと混合し、ベント式二軸混練押出機を用いて、PETに練り込む方法も有効である。粒子の含有量を調節する方法としては、上記方法で高濃度の粒子のマスターペレットを作っておき、それを製膜時に粒子を実質的に含有しないPETで希釈して粒子の含有量を調節する方法が有効である。この際、粒子を含有しないPETの固有粘度を粒子含有ペレットの固有粘度よりも高く調整しておくことは上記した突起密度比(M60/M10)×100の値やM100を制御する上で有効である。
次に、得られたPETのペレットを、180℃で3時間以上減圧乾燥した後、固有粘度が低下しないように窒素気流下あるいは減圧下で、270〜320℃に加熱された押出機に供給し、スリット状のダイから押出し、キャスティングロール上で冷却して未延伸フィルムを得る。この際、異物や変質ポリマーを除去するために各種のフィルター、例えば、焼結金属、多孔性セラミック、サンド、金網などの素材からなるフィルターを用いることが好ましい。また、定量供給性を向上させ、所望のt/Dを得るためにギアポンプを設けることは上記した特徴面を形成する上で極めて好ましい。フィルムを積層するには、2台以上の押出機およびマニホールドまたは合流ブロックを用いて、複数の異なるポリマーを溶融積層するとよい。
次に、このようにして得られた未延伸フィルムを、数本のロールの配置された縦延伸機を用いて、ロールの周速差を利用して縦方向に延伸し(MD延伸)、続いてステンターにより横延伸を二段階行う(TD延伸1、TD延伸2)二軸延伸方法について説明する。
まず、未延伸フィルムをMD延伸する。MD延伸の延伸温度は、用いるポリマーの種類によって異なるが、未延伸フィルムのガラス転移温度(Tg)を目安として決めることができる。Tg−10〜Tg+20℃の範囲であることが好ましく、より好ましくはTg℃〜Tg+15℃である。上記範囲より延伸温度が低い場合には、フィルム破れが多発して生産性が低下し、MD延伸後の二段階TD延伸で安定して延伸することが困難となることがある。MD延伸倍率は3〜6倍、好ましくは3.3〜5.5倍である。
次に、ステンターを用いて、TD延伸を行う。本発明のA面の突起密度(M60およびM10)およびB面のスペクトル密度(PSD)を有するフィルムを効率よく形成させるためには、温度の異なるゾーンで二段階にTD方向に延伸することが好ましい。まず、一段目の延伸(TD延伸1)の延伸倍率は、好ましくは3.0〜6.0倍であり、より好ましくは3.3〜5.8倍である。また、TD延伸1の延伸温度は好ましくは(縦延伸温度+5)〜(縦延伸温度+20)℃の範囲で行う。
次にステンター内で二段目の延伸(TD延伸2)を行う。TD延伸2の延伸倍率は好ましくは1.2〜2倍であり、より好ましくは1.3〜1.8倍、さらに好ましくは1.3〜1.6倍である。TD延伸倍率比(TD延伸1)/(TD延伸2)を2〜3の範囲に設定することは上記の突起密度や表面スペクトル密度を本発明の範囲内に設定する有効な手段である。TD延伸2の延伸温度は好ましくは(TD延伸1温度+20)℃以上(TD延伸1温度+50)℃未満の範囲であり、さらに好ましくは(TD延伸1温度+30)℃以上(TD延伸1温度+50)℃未満の範囲で行う。前工程(TD延伸1)の延伸温度よりも高めた幅方向の延伸(TD延伸2)を設けることにより、平面性を高めることができ、つまり、上記のB面のスペクトル密度(PSD)を本発明の範囲内に制御することが可能となるため好ましい。
続いて、この延伸フィルムを緊張下または幅方向に弛緩しながら熱固定処理する。熱固定処理条件として、熱固定温度は、180〜240℃が好ましい。熱固定温度の上限は、より好ましくは230℃、さらに好ましくは220℃である。熱固定温度の下限は、より好ましくは185℃、さらに好ましくは190℃である。熱固定処理時間は0.5〜10秒の範囲、弛緩率は0.3〜2%で行うのが好ましい。熱固定処理後は把持しているクリップを開放することでフィルムにかかる張力を低減させながら室温へ急冷する。その後、フィルムエッジを除去しロールに巻き取り、本発明のポリエステルフィルムを得ることができる。また、熱固定温度は(TD延伸2温度+20)℃以上(TD延伸2温度+80)℃以下の範囲がさらに好ましい。TD延伸2の延伸温度と熱固定温度に差があり、熱固定温度が上述の範囲よりも高いとフィルムが緩和しやすく表面突起が大きくなることがある。一方、熱固定温度が低すぎると結晶性が低くなりやすいため、離型・工程用や光学部材として使用される製造工程においてベースフィルムのへ平面性が低下したりする傾向がある。また、熱固定を2段階以上で行い、1段目では横方向に1.01〜1.2倍の範囲で微延伸することが、フィルム平面性を高め、A面突起密度やB面スペクトル密度(PSD)を本発明の範囲に制御するために、さらに好ましい。
本発明のポリエステルフィルムは離型・工程用フィルムとしても使用できる。離型・工程用フィルムは、ポリエステルフィルムを基材として、離型性のある樹脂層、例えばシリコ−ン樹脂やエポキシ樹脂などを塗布し形成される。特に、フォトレジストを塗布するドライフィルムレジスト(DFR)用、絶縁樹脂を塗布する多層基板用、積層セラミックコンデンサーのグリーンシート製造用、液晶偏光板用離型用、液晶保護フィルム用離型用、などの各種離型・工程用途として使用されている。ポリエステルフィルム中には、加工適性、例えば滑り性、巻き特性などを良くするために粒子を適量配合しフィルム表面に微細な突起を形成することが一般的であるが、近年の各種用途の精密化などに伴い、使用される離型フィルムについても表面欠点の無い平滑な表面性と走行性が要求されている。本発明のポリエステルフィルムは高精細な表面平滑性と走行性を有するため各種用途の離型用フィルムとして好適に用いることができる。
本発明のポリエステルフィルムは、また、透明電極フィルム、及び偏光板、液晶表示装置用の光学補償フィルム等の光学部材用フィルムとして用いることができる。近年の薄型軽量ノートパソコンや薄型の電子モバイルの開発に伴い、液晶表示装置用光学補償フィルムの薄膜化への要求が非常に厳しくなっており、特に透明性と走行性に優れた薄膜の光学フィルムとして好適に用いることができる。
(物性の測定方法ならびに効果の評価方法)
本発明における特性値の測定方法並びに効果の評価方法は次の通りである。
(1)突起密度(M100、M60、M10)
小坂研究所製のsurf−corder ET−4000Aを用いて下記条件にて3次元表面粗さを測定し、その後、内蔵されている解析ソフトにて粒子解析(複数レベル)を実施した。測定条件は下記のとおりであり、スライスレベルを10nmの等間隔に設定し、各スライスレベルの平均直径と密度を場所変更して5回測定し平均値をもって値とした。サンプルセットは、視野測定のX方向がポリエステルフィルムの幅方向になるように試料台にセットした。
(但し、M100:100nmのスライスレベルにおける突起密度
M60:60nmのスライスレベルにおける突起密度、
M10:10nmのスライスレベルにおける突起密度)
装置:小坂研究所製“surf−corder ET−4000A”
解析ソフト:i−Face model TDA31 Ver2.2.0.4JSGIS
触針先端半径:0.5μm
測定視野 :X方向:380μm ピッチ:1μm
Y方向:280μm ピッチ:5μm
針圧 :50μN
測定速度 :0.1mm/s
カットオフ値:低域−0.8mm、高域-なし
レベリング :全域
フィルター :ガウシアンフィルタ(2D)
倍率 :10万倍
粒子解析(複数レベル)条件
出力内容設定:山粒子
ヒステリシス幅:5nm
スライスレベル等間隔:10nm
(2)中心線表面粗さRa、10点平均粗さRz
上記(1)に記載の装置を用いて、上記に記載の測定条件で3次元粗さを場所を変えて10回測定しその平均値をそれぞれ中心線表面粗さRa、10点平均粗さRzとした。
(3)スペクトル密度(PSD)
原子力顕微鏡(AFM)を用いて、場所を変えて10視野測定を行った。サンプルセットは、カンチレバーの走査方向に対して垂直方向(Y軸方向)がサンプルフィルムの長手方向(長手方向とは、フィルムの製造工程においてフィルムが走行する方向)となるようにサンプルをピエゾにセットして測定する。得られた画像について、Off−Line機能のPower Spectral DensityyにおけるY軸方向(フィルムの長手方向)の1D PSDを求め、平均値をPSDとした。
測定装置 :NanoScope (R)IIIa Version5.31R1
(Digital Instruments社製)
カンチレバー :シリコン単結晶
走査モード :タッピングモード
走査範囲 :125μm□
走査速度 :0.5Hz
Samples line :256
Flatten Auto :オーダー3
(4)積層厚み
以下の条件にて断面観察を場所を変えて10視野行い、得られた厚み[nm]の平均値を算出しA層またはB層の厚み[nm]とした。
測定装置:透過型電子顕微鏡(TEM) 日立製H−7100FA型
測定条件:加速電圧 100kV
測定倍率:1万倍
試料調整:超薄膜切片法
観察面 :TD−ZD断面(TD:幅方向、ZD:厚み方向)
(5)最大粒子径(D)、積層部の平均粒子径(d)、
フィルム断面を透過型電子顕微鏡(TEM)を用い、1万倍で観察する。この時、写真上で1cm以下の粒子が確認できた場合はTEM観察倍率を5万倍に変えて観察する。TEMの切片厚さは約100nmとし、場所を変えて100視野測定し、写真に撮影された分散した粒子全てについて等価円相当径をもとめ、横軸に等価円相当径を、縦軸に粒子の個数として粒子の個数分布をプロットし、そのピーク値の等価円相当径を粒子の平均粒子径とした。ここで、1万倍で観察した写真上に凝集粒子が確認できた場合は上記プロットに含めない。フィルム中に粒子径の異なる2種類以上の粒子が存在する場合、上記等価円相当径の個数分布は2個以上のピークを有する分布となる。この場合は、それぞれのピーク値をそれぞれの粒子の平均粒径とする。最大粒子径は、1万倍で観察した100視野の写真において、最大の粒子径を持つ粒子の粒子径である。
積層部の平均粒子径は、上記で得られたそれぞれの等価球相当径とその体積分率から、次式で体積平均径を求め、この値を積層部の平均粒子径(d)とする。
d=Σ(di・Nvi)
ここで、diは等価球相当径、Nviはその体積分率である。
(6)粒子の含有量
実施例においては、粒子の含有量は、フィルム原料であるポリエステルへの粒子配合量から計算し、表に記載した。
なお、以下の手法に従いフィルムを分析することにより算出することもできる。
(6)−1 粒子の元素分析
フィルムからポリエステルをプラズマ灰化処理法で除去し粒子を露出させる。処理条件としてポリマーは灰化されるが粒子は極力ダメージを受けない条件を選択する。その粒子を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察し、粒子画像をイメージアナライザーで処理する。上記(6)で求めた粒度分布に従い、SEMの倍率を30000倍にして、観察箇所を変えて20視野観察し、観察した全粒子についてエネルギー分散型X線分光法(EDX)を用いて元素分析を実施し、粒子と元素の関係を明確にする。
(6)−2 粒子の含有量
各積層部の表面を片刃で削り取り、削れ粉100gにo−クロロフェノールを加え、攪拌しながら100℃で1時間を要してポリマーを溶解する。次いで日立製作所製分離用超遠心機40P型にローターRP30を装備し、セル1個当りに上記溶解液30ccを注入した後徐々に30000rpmにする。30000rpm到達60分後に粒子の分離を終了する。次いで上澄液を除去し分離粒子を採取する。採取した該粒子に常温のo−クロロフェノールを加え、均一けん濁した後、超遠心分離操作を行う。この操作は後述の分離粒子を示差走査熱量測定装置(DSC)を用いてポリマーに相当する融解ピークが検出されなくなるまでくり返す。このようにして得た分離粒子を120℃で16時間真空乾燥した後、質量を測定した値を粒子の総含有量とし、これに対する比率(質量%)をもって粒子の含有量とする。
(7)走行性
フィルムのA面側とB面側を重ね合わせた2枚のフィルムをガラス板の上に設置し、フィルム上に200gの重り(接触面積40cm)を置く。下側のフィルムの一端(移動方向側)とガラスを固定し、上側のフィルムの一端(移動方向とは逆端)は検出器に固定した。ガラス板を速度2mm/secで5mm移動した時の静摩擦係数(μs)を以下の式より求めた。
なお、走行性の判断は、下記の通りとした。
μs=(スタート時の張力)/(荷重200g)
A:μs=0.4以下
B:μs=0.4を超え、0.5以下
C:μs=0.5を超える
(8)レジスト特性評価
以下a.からc.の方法により評価を行う。
a.片面鏡面研磨した6インチSiウエハー上に、東京応化(株)製のネガレジスト“PMERN−HC600”を塗布し、大型スピナーで回転させることによって厚み7μmのレジスト層を作製する。次いで、窒素循環の通風オーブンを用いて70℃の温度条件で約20分間の前熱処理を行う。
b.ポリエステルフィルムのB面をレジスト層と接触するように重ね、ゴム製のローラーを用いて、レジスト層上にポリエステルフィルムをラミネートし、その上に、クロム金属でパターニングされたレチクルを配置し、そのレクチル上からI線(波長365nmにピークをもつ紫外線)ステッパーを用いて露光を行う。
c.レジスト層からポリエステルフィルムを剥離した後、現像液N−A5が入った容器にレジスト層を入れ約1分間の現像を行う。その後、現像液から取り出し、水で約1
分間の洗浄を行う。現像後に作成されたレジストパターンのL/S(μm)(Line and Space)=10/10μmの30本の状態を走査型電子顕微鏡SEMを用いて約800〜3000倍率で観察し、パターンに欠けのある本数で以下のように評価する。
A;欠けのある本数が0から8本
B;欠けのある本数が9から15本
C;欠けのある本数が16本以上
Aがレジスト性が最も良好で、Cが最も劣る。
なお、上記の測定において、測定するフィルムの長手方向や幅方向が分からない場合は、フィルムにおいて最大の屈折率を有する方向を長手方向、長手方向に直行する方向を幅方向とみなす。また、フィルムにおける最大の屈折率の方向は、フィルムの全ての方向の屈折率を屈折率計で測定して求めてもよく、位相差測定装置(複屈折測定装置)などにより遅相軸方向を決定することで求めてもよい。
(9)グリーンシート特性評価
以下a.からb.の方法により評価を行う。
a.離型層の塗布
二軸配向ポリエステルフィルムのB面に、架橋プライマー層(東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製商品名BY24−846)を固形分1重量%に調整した塗布液を塗布/乾燥し、乾燥後の塗布厚みが0.1μmとなるようにグラビアコーターで塗布し、100℃で20秒乾燥硬化した。その後1時間以内に付加反応型シリコーン樹脂(東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製商品名LTC750A)100重量部、白金触媒(東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製商品名SRX212)2重量部を固形分5重量%に調整した塗布液を、乾燥後の塗布厚みが0.1μmとなるようにグラビアコートで塗布し、120℃で30秒乾燥硬化した後に巻き取り、離型フィルムを得た。
b.グリーンシートの塗布状態の評価(セラミックススラリーの塗布性)
チタン酸バリウム(富士チタン工業(株)製商品名HPBT−1)100重量部、ポリビニルブチラール(積水化学(株)製商品名BL−1)10重量部、フタル酸ジブチル5重量部とトルエン−エタノール(重量比30:30)60重量部に、数平均粒径2mmのガラスビーズを加え、ジェットミルにて20時間混合・分散させた後、濾過してペースト状のセラミックスラリーを調整した。得られたセラミックスラリーを、離型フィルムの上に乾燥後の厚みが2μmとなるように、ダイコーターにて塗布し乾燥させ、巻き取り、グリーンシートを得た。 上記で巻き取られたグリーンシートを、繰り出し、離型フィルムから剥がさない状態にて目視で観察し、ピンホールの有無や、シート表面および端部の塗布状態を確認する。なお観察する面積は幅300mm、長さ500mmである。離型フィルムの上に成型されたグリーンシートについて、背面から1000ルクスのバックライトユニットで照らしながら、塗布抜けによるピンホールあるいは、離型フィルム背面の表面転写による凹み状態を観察する。
A:ピンホールも凹みも無い。
B:ピンホールは無く、凹みが3個以内認められる
C:ピンホールが有り、また凹みが4個以上認められる。
(10)偏光板の目視検査
サンプルは、フィルム幅方向における任意の位置からA4のカットサンプルの長手方向とフィルム長手方向を一致させて切り出した。クロスニコル法として、光源部にフジカラーライトボックス100V8W((株)進光社製)を用いて、その上に正常な検光子と偏光子の吸収軸面が直交するように配置し、その間にポリエステルフィルムを挟んだ状態でB面が偏光子と接するように設置して、偏光子側から目視検査を行なった。このとき、観察面側の寸法幅28cm×縦34cmの偏光子の吸収軸とA4カットサンプルのフィルムの長手方向を一致させた。目視検査は、まず、ポリエステルフィルムを挟んでない状態での輝点として表れる偏光子の異物や欠陥の位置と数を50個、確認した。次に、ポリエステルフィルムを挟んだ状態で、異物や欠点の数が幾つ認識できなくなるかどうかで評価した。また、干渉色も同時に観察した。評価基準は以下に従った。
A:確認できなくなる輝点数が5個未満。
B:確認できなくなる輝点数が5個以上15個未満。
C:確認できなくなる輝点数が15個以上。
次の実施例に基づき、本発明の実施形態を説明する。なお、ここでポリエチレンテレフタレートをPETと表記する。
(1−a)PETペレットの作製:テレフタル酸ジメチル194質量部とエチレングリコール124質量部とをエステル交換反応装置に仕込み、内容物を140℃に加熱して溶解した。その後、内容物を撹拌しながら酢酸マグネシウム四水和物0.3質量部および三酸化アンチモン0.05質量部を加え、140〜230℃でメタノールを留出しつつエステル交換反応を行った。次いで、リン酸トリメチルの5質量%エチレングリコール溶液を0.5質量部(リン酸トリメチルとして0.025質量部)とリン酸二水素ナトリウム2水和物の5質量%エチレングリコール溶液を0.3質量部(リン酸二水素ナトリウム2水和物として0.015質量部)添加した。
トリメチルリン酸のエチレングリコール溶液を添加すると反応内容物の温度が低下する。そこで余剰のエチレングリコールを留出させながら反応内容物の温度が230℃に復帰するまで撹拌を継続した。このようにしてエステル交換反応装置内の反応内容物の温度が230℃に達した後、反応内容物を重合装置へ移行した。
移行後、反応系を230℃から275℃まで徐々に昇温するとともに、圧力を0.1kPaまで下げた。最終温度、最終圧力到達までの時間はともに60分とした。最終温度、最終圧力に到達した後、6時間(重合を始めて5時間)反応させたところ、重合装置の撹拌トルクが所定の値(重合装置の仕様によって具体的な値は異なるが、本重合装置にて固有粘度0.62のポリエチレンテレフタレートが示す値を所定の値とした)を示した。そこで反応系を窒素パージし常圧に戻して重縮合反応を停止し、冷水にストランド状に吐出、直ちにカッティングして固有粘度0.62のポリエチレンテレフタレート(PET)ペレットを得た(原料−1)。ガラス転移温度(Tg)は78℃であった。
(2−a)粒子含有PETペレットの作製:280℃に加熱された同方向回転タイプのベント式2軸混練押出機に、上述の固相重合PETペレット(原料−1k:処理時間2時間)を80質量部と平均粒径0.30μmの架橋ポリスチレン粒子の10質量%水スラリーを20質量部(架橋ポリスチレン粒子として2質量部)を供給し、ベント孔を1kPa以下の減圧度に保持し水分を除去し、架橋ポリスチレン粒子を2質量%含有する固有粘度0.62の粒子含有ペレット(原料−2a)を得た。
(2−b)粒子含有PETペレットの作製:280℃に加熱された同方向回転タイプのベント式2軸混練押出機に、上述の固相重合PETペレット(原料−1k:処理時間2時間)を80質量部と平均粒径0.45μmの架橋ポリスチレン粒子の10質量%水スラリーを20質量部(架橋ポリスチレン粒子として2質量部)を供給し、ベント孔を1kPa以下の減圧度に保持し水分を除去し、架橋ポリスチレン粒子を2質量%含有する固有粘度0.62の粒子含有ペレット(原料−2b)を得た。
(2−c)粒子含有PETペレットの作製:280℃に加熱された同方向回転タイプのベント式2軸混練押出機に、上述の固相重合PETペレット(原料−1k:処理時間2時間)を80質量部と平均粒径0.80μmの架橋ポリスチレン粒子の10質量%水スラリーを20質量部(架橋ポリスチレン粒子として2質量部)を供給し、ベント孔を1kPa以下の減圧度に保持し水分を除去し、架橋ポリスチレン粒子を2質量%含有する固有粘度0.62の粒子含有ペレット(原料−2c)を得た。
(2−d)粒子含有PETペレットの作製:280℃に加熱された同方向回転タイプのベント式2軸混練押出機に、上述の固相重合PETペレット(原料−1k:処理時間2時間)を90質量部と平均粒径0.060μmのコロイダルシリカ粒子の10質量%水スラリーを10質量部(コロイダルシリカ粒子として1質量部)を供給し、ベント孔を1kPa以下の減圧度に保持し水分を除去し、コロイダルシリカ粒子を1質量%含有する固有粘度0.62の粒子含有ペレット(原料−2d)を得た。
(2−e)粒子含有PETペレットの作製:280℃に加熱された同方向回転タイプのベント式2軸混練押出機に、上述の固相重合PETペレット(原料−1k:処理時間2時間)を80質量部と平均粒径0.10μmのコロイダルシリカ粒子の10質量%水スラリーを20質量部(コロイダルシリカ粒子として2質量部)を供給し、ベント孔を1kPa以下の減圧度に保持し水分を除去し、コロイダルシリカ粒子を2質量%含有する固有粘度0.62の粒子含有ペレット(原料−2e)を得た。
(2−f)粒子含有PETペレットの作製:280℃に加熱された同方向回転タイプのベント式2軸混練押出機に、上述の固相重合PETペレット(原料−1k:処理時間2時間)を80質量部と平均粒径0.20μmのコロイダルシリカ粒子の10質量%水スラリーを20質量部(コロイダルシリカ粒子として2質量部)を供給し、ベント孔を1kPa以下の減圧度に保持し水分を除去し、コロイダルシリカ粒子を2質量%含有する固有粘度0.62の粒子含有ペレット(原料−2f)を得た。
(実施例1)
押出機E1、E2およびE3の3台を用い、280℃に加熱された押出機E1には、B層原料として、PETペレット(原料−1)を90質量部、平均粒径0.06μmのコロイダルシリカ粒子含有ペレット(原料−2d)10質量部を180℃で3時間減圧乾燥した後に供給した。同じく280℃に加熱された押出機E2には、A層原料として、B層で用いたPETペレット(原料−1)を82.5質量部、平均粒径0.20μmのコロイダルシリカ粒子含有ペレット(原料−2f)10質量部、平均粒径0.30μmの架橋ポリスチレン粒子含有ペレット(原料−2a)7.5質量部を配合し、180℃で3時間減圧乾燥した後に供給した。さらに、同じく280℃に加熱された押出機E3には、C層としてPETペレット(原料−1)を180℃で3時間減圧乾燥した後に供給した。これらを3層積層するべくTダイ中で積層厚み比(A層|C層|B層)=0.5|14|1.5とし、B層側がキャストドラム面側になるように合流させ、表面温度25℃のキャストドラムに静電荷を印加させながら密着冷却固化し、積層未延伸フィルムを作製した。
この積層未延伸フィルムをロール式延伸機にて90℃で長手方向に3.5倍延伸した。得られた一軸延伸フィルムの両端をクリップで把持しながらテンター内の95℃の温度の予熱ゾーンに導き、引き続き連続的に110℃の温度の加熱ゾーンで長手方向に直角な幅方向(TD方向)に3.4倍延伸し(TD延伸1)、さらに続いて150℃の温度の加熱ゾーンでに幅方向に1.2倍延伸した(TD延伸2)。引き続いて、テンター内の熱処理ゾーンで220℃の温度で1.05倍微延伸した後に10秒間の熱処理を施し、さらに150℃の温度で0.5%幅方向に弛緩処理を行った。次いで、25℃に均一に冷却後、フィルムエッジを除去し、コア上に巻き取って厚さ16μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。得られた二軸配向ポリエステルフィルムの製膜安定性は良好であり、物性評価したところ、表に示すように、優れた特性を有していた。
(実施例2〜7)
表に示すように各種粒子原料を所定の濃度になるよう配合量や積層厚みを変更した以外は全て実施例1と同様にして厚さ16μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。得られた二軸配向ポリエステルフィルムの製膜安定性は良好であり、物性評価したところ、表に示すように、優れた特性を有していた。
(実施例8)
押出機E1、E2の2台を用い、280℃に加熱された押出機E1には、B層原料として、PETペレット(原料−1)を90質量部、平均粒径0.06μmのコロイダルシリカ粒子含有ペレット(原料−2d)10質量部を180℃で3時間減圧乾燥した後に供給した。同じく280℃に加熱された押出機E2には、A層原料として、B層で用いたPETペレット(原料−1)を82.5質量部、平均粒径0.20μmのコロイダルシリカ粒子含有ペレット(原料−2f)10質量部、平均粒径0.30μmの架橋ポリスチレン粒子含有ペレット(原料−2a)7.5質量部を配合し、180℃で3時間減圧乾燥した後に供給した。これらを2層積層するべくTダイ中で積層厚み比(A層|B層)=1|15とし、B層側がキャストドラム面側になるように合流させ、表面温度25℃のキャストドラムに静電荷を印加させながら密着冷却固化し、積層未延伸フィルムを作製した。
この積層未延伸フィルムをロール式延伸機にて90℃で長手方向に3.5倍延伸した。得られた一軸延伸フィルムの両端をクリップで把持しながらテンター内の95℃の温度の予熱ゾーンに導き、引き続き連続的に110℃の温度の加熱ゾーンで長手方向に直角な幅方向(TD方向)に3.4倍延伸し(TD延伸1)、さらに続いて150℃の温度の加熱ゾーンでに幅方向に1.2倍延伸した(TD延伸2)。引き続いて、テンター内の熱処理ゾーンで220℃の温度で1.05倍微延伸した後に10秒間の熱処理を施し、さらに150℃の温度で0.5%幅方向に弛緩処理を行った。次いで、25℃に均一に冷却後、フィルムエッジを除去し、コア上に巻き取って厚さ16μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。得られた二軸配向ポリエステルフィルムの製膜安定性は良好であり、物性評価したところ、表に示すように、優れた特性を有していた。
(比較例1〜5)
表に示すように各種粒子原料を所定の濃度になるよう配合量や積層厚みを変更した以外は全て実施例1と同様にして厚さ16μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。A面のPSDはすべて50000nmより大きく、それ以外の特性は表に示すとおりであった。
(比較例6)
押出機E1、E2およびE3の3台を用い、280℃に加熱された押出機E1には、B層原料として、PETペレット(原料−1)を90質量部、平均粒径0.06μmのコロイダルシリカ粒子含有ペレット(原料−2d)10質量部を180℃で3時間減圧乾燥した後に供給した。同じく280℃に加熱された押出機E2には、A層原料として、B層で用いたPETペレット(原料−1)を82.5質量部、平均粒径0.20μmのコロイダルシリカ粒子含有ペレット(原料−2f)10質量部、平均粒径0.30μmの架橋ポリスチレン粒子含有ペレット(原料−2a)7.5質量部を配合し、180℃で3時間減圧乾燥した後に供給した。さらに、同じく280℃に加熱された押出機E3には、C層としてPETペレット(原料−1)を180℃で3時間減圧乾燥した後に供給した。これらを3層積層するべくTダイ中で積層厚み比(A層|C層|B層)=0.5|14|1.5とし、B層側がキャストドラム面側になるように合流させ、表面温度25℃のキャストドラムに静電荷を印加させながら密着冷却固化し、積層未延伸フィルムを作製した。
この積層未延伸フィルムをロール式延伸機にて90℃で長手方向に3.5倍延伸した。得られた一軸延伸フィルムの両端をクリップで把持しながらテンター内の95℃の温度の予熱ゾーンに導き、引き続き連続的に110℃の温度の加熱ゾーンで長手方向に直角な幅方向(TD方向)に4.3倍延伸し(TD延伸)、引き続いて、テンター内の熱処理ゾーンで220℃の温度で10秒間の熱処理を施し、さらに150℃の温度で0.5%幅方向に弛緩処理を行った。次いで、25℃に均一に冷却後、フィルムエッジを除去し、コア上に巻き取って厚さ16μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。A面のPSDは50000nmより大きく、それ以外の特性は表に示すとおりであった。
Figure 2018090740
Figure 2018090740
Figure 2018090740

Claims (14)

  1. ポリエステルフィルムであって、前記ポリエステルフィルムの少なくとも片面(A面)の(M60/M10)×100が0.1以上5.0以下であり、A面とは反対側の表面(B面)における波長9.65μmにおけるスペクトル密度が1000〜50000nmの範囲であるポリエステルフィルム。
    (但し、M10は高さ10nmのスライスレベルにおける突起密度(個/mm)、M60は高さ60nmのスライスレベルにおける突起密度(個/mm)である。)
  2. A面のM60が500個/mm以下である請求項1記載のポリエステルフィルム。
  3. A面の高さ100nmのスライスレベルにおける突起密度(M100)が5個/mm以下である請求項1または2に記載のポリエステルフィルム。
  4. A面のM10が1000個/mm以上30000個/mm未満である請求項1〜3のいずれかに記載のポリエステルフィルム。
  5. A面の平均表面粗さRaが2〜7nmである請求項1〜4のいずれかに記載のポリエステルフィルム。
  6. B面の平均表面粗さRaが0.5〜5nmである請求項1〜5のいずれかに記載のポリエステルフィルム。
  7. フィルムの厚みが10μm以上250nm以下である請求項1〜6のいずれかに記載のポリエステルフィルム。
  8. 3層以上の積層構造からなる請求項1〜7のいずれかに記載のポリエステルフィルム
  9. A面を形成する層が粒子を含有しており、当該粒子の体積基準粒度分布測定を行い、横軸を粒径、縦軸を粒子の存在比率としてプロットしたときに得られる粒子の存在比率のチャートの極大のうち最も粒径の大きいピークトップの粒径をD(μm)とし、A面を形成する層の厚みt(μm)としたとき、t/Dが0.5以上10以下である請求項1〜8のいずれかに記載のポリエステルフィルム。
  10. 離型用または工程用フィルムとして用いられる請求項1から9のいずれかに記載のポリエステルフィルム。
  11. ドライフィルムレジスト基材用フィルムとして用いられる請求項10に記載のポリエステルフィルム。
  12. 積層セラミックコンデンサーを製造する工程においてグリーンシート成形の支持体として用いられる請求項10に記載のポリエステルフィルム。
  13. 偏光板離型用フィルムとして用いられる請求項10に記載のポリエステルフィルム。
  14. 光学部材用フィルムとして用いられる請求項1から9のいずれかに記載のポリエステルフィルム。
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