JP2004174788A - 二軸配向積層ポリエステルフィルム - Google Patents

二軸配向積層ポリエステルフィルム Download PDF

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Shoji Nakajima
彰二 中島
Tetsuya Tsunekawa
哲也 恒川
Yasuyuki Imanishi
康之 今西
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Abstract

【課題】大きな表面粗さを有し、耐摩耗性、光の透過性、下地視認性、拡散性の光学特性に優れたフィルムを、安定かつ安価に作ることができ、各種用途への展開可能な二軸配向積層ポリエステルフィルムを提供する。
【解決手段】フィルムA層の少なくとも片面にフィルムB層を積層した二軸配向積層ポリエステルフィルムであって、A層のガラス転移温度とB層のガラス転移温度の差が3〜80℃であり、フィルム中の不活性粒子の含有量が0.001〜3重量%であり、かつにヘイズが40%以上である二軸配向積層ポリエステルフィルム。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、表面に突起を形成し、優れた光学特性を有する二軸配向積層ポリエステルに関する。さらに詳しくは、生産性、耐摩耗性が良好であり、包装材料やラベル、トレーシング用、特にディスプレイや照明カバー等に用いたときの光の透過性、拡散性の光学特性に優れたポリエステルフィルムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ポリエステルフィルムは、他の素材からは得られないような大面積のフィルムの連続生産が可能であり、その優れた特性から種々の用途で広く用いられている。その中で、特に包装材料やラベル、トレーシング用途等において、印刷性、筆記性が必要となるため、また、カバーフィルムや転写フィルムなどの用途において、艶消し性や風合い、下地の視認性を持たせる必要があるため、また、液晶表示板のバックライトフィルムにおいては、良好な光拡散性を持たせる必要があるため、フィルム表面を粗面化したポリエステルが用いられている。
【0003】
従来、ポリエステルフィルムの表面を粗面化する一般的な方法として、シリカ粒子や酸化チタン、炭酸カルシウム粒子、架橋ポリスチレン粒子やシリコーン粒子などポリエステルに不溶な粒子を高濃度に添加し延伸する方法が知られている。また次のような方法も提案されている。(1)ポリエステルにポリスチレンを含有させ延伸することによりフィルム内部に微細な空洞を生成させ、表面を粗面化する方法が特許文献1で提案されている。(2)ポリエステルフィルム上に不活性粒子やビーズを含有した透明樹脂からなる塗剤をコーティングする方法の光拡散フィルムが特許文献2で提案されている。また、(3)ポリエステルの表面を溶剤や、樹脂を分解するような化学薬品で処理、またはサンドブラスト処理する方法や、(4)ポリエステル自身の結晶化を利用して表面突起を形成する方法が、例えば特許文献3で提案されている。
【0004】
【特許文献1】
特開平5−138844号公報
【0005】
【特許文献2】
特開平6−59108号公報
【0006】
【特許文献3】
特開平7−1575号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記のようなフィルムには、以下のような問題点がある。すなわち(1)ポリエステルに不溶な粒子やポリエステルと相容しないポリマーを添加したポリエステルフィルムにおいては、大きな表面粗さのフィルムを得ようとして高濃度に粒子やポリスチレン等を添加すると、延伸性が低下したり、光の透過性が低下するといった問題が生じる。また(2)ポリエステルフィルムフィルム上に不活性粒子やビーズを含有した透明樹脂からなる塗剤をコーティングしたフィルムや、(3)ポリエステルフィルムの表面を溶剤や、樹脂を分解するような化学薬品で処理、またはサンドブラスト処理する方法で得るフィルムは、ポリエステルフィルムの製造工程とは別の処理工程が必要となり、製造速度が大きくできなかったり、コストが高くなったりする問題が生じる。また、(4)ポリエステル自身の結晶化を利用する方法では、フィルム製膜速度を大きくできず、たとえ製膜速度を大きくできたとしても、製膜工程や加工工程においてフィルム搬送用ガイドロール等との擦過によりフィルム表面に傷が付くという問題が生じる。
【0008】
そこで、本発明は上記従来技術の問題点を解決し、大きな表面粗さを有し、耐摩耗性、光の透過性、下地視認性、拡散性の光学特性に優れたフィルムを、ポリエステルフィルムの製膜工程において、安定かつ安価に作ることができ、各種用途への展開可能な二軸配向積層ポリエステルフィルムを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の二軸配向積層ポリエステルフィルムは、上記した従来技術の問題点に鑑み、フィルムA層の少なくとも片面にフィルムB層を積層した二軸配向積層ポリエステルフィルムであって、A層のガラス転移温度とB層のガラス転移温度の差が3〜80℃の範囲であり、フィルム中の不活性粒子の含有量が0.001〜3重量%の範囲であり、かつ、ヘイズが40%以上であることを特徴とするものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の積層ポリエステルフィルムは、少なくとも2層以上の積層構造である。すなわち、フィルムA層の少なくとも片面にフィルムB層を積層したポリエステルフィルムである。フィルムA層またはフィルムB層のみの単層構成では、A層とB層のガラス転移温度の差を利用して得られる本発明のフィルムを得ることができない。なお、場合によっては、フィルムA層、フィルムB層とは異なるフィルムC層がA層とB層に積層された異種3層積層構造またはその構造を含む多層積層構造でも構わない。
【0011】
本発明の積層フィルムのフィルムA層のポリエステルは、特に限定されないが、エチレンテレフタレート、エチレン−α,β−ビス(2−クロルフェノキシ)エタン−4,4´−ジカルボキシレート、エチレン2,6−ナフタレート単位から選ばれた少なくとも一種の構造単位を主要構成成分とするポリエステルが好ましく、特に、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン2,6−ナフタレートまたはこれらの共重合体もしくは変成体を主成分とすることが好ましい。なお、本発明の効果を阻害しない範囲内で2種以上のポリエステルを混合してもよいし、共重合のポリマーを用いてもよい。
【0012】
本発明の二軸配向積層ポリエステルフィルムの、フィルムA層のガラス転移温度(A層を構成する成分が粒子を含有するときは粒子も含んだポリマーのガラス転移温度)とフィルムB層のガラス転移温度(B層を構成する成分が粒子を含有するときは粒子も含んだポリマーのガラス転移温度)の差が、3〜80℃であることが必要であるが、好ましくは、5〜60℃、さらに好ましくは10〜40℃である。フィルム表面が粗面化したものが得られ易いため、光が反射、透過する時のフィルム表面に起こる拡散が起こりやすくなり、例えば拡散板として用いる時の拡散能力を、フィルムに付与したり、カバーフィルムとして用いる時のギラツキや電灯などの映り込みを防止することができる。またトレーシングシートとして用いる時の筆記性をフィルムに付与することができる。A層のガラス転移温度とB層のガラス転移温度の差が3℃未満では、フィルム表面を粗面化することができなくなり、また、A層のガラス転移温度とB層のガラス転移温度の差が80℃を超えるとフィルム製造における延伸温度の設定が困難になるばかりか、延伸できなかったり、延伸破れが発生するため好ましくない。また、フィルムA層のガラス転移温度がフィルムB層のガラス転移温度より3〜80℃高くすることによって、本発明のフィルムが得やすくなるため、特に好ましい。
【0013】
本発明のフィルムは、フィルム中の不活性粒子の含有量が0.001〜3重量%、好ましくは0.005〜2重量%、さらに好ましくは0.01〜1重量%であることが必要である。フィルム中の不活性粒子の含有量が下限値未満であると、耐摩耗性、光の拡散性が得られなく好ましくない。また、フィルム中の不活性粒子の含有量が上限値を越えると、例えばフィルム製膜時あるいは、加工時やフィルムを使用する場合に、接触する部材によって粒子が削り落とされてフィルムの耐摩耗性が劣るものとなったり、また光の透過性が悪化するために好ましくない。ただし、ここでいうフィルム中の不活性粒子の含有量とは、積層ポリエステルフィルムを形成する全部のフィルム層(A層、B層、場合によってはC層)を形成するポリマーに対する不活性粒子の含有量のことを言う。
【0014】
本発明のフィルム中の不活性粒子の種類は、特に限定されないが、ゼオライト、マイカ、酸化チタン、炭酸カルシウム、カオリン、タルク、湿式または乾式シリカ、コロイド状シリカ、ケイ酸アルミニウム、リン酸カルシウム、硫酸バリウム、アルミナおよびジルコニア等の無機粒子、アクリル酸類、スチレン等を構成成分とする有機粒子、ポリエステル重合反応時に添加する触媒等によって析出する、いわゆる内部粒子などが挙げられる。添加する粒子の平均径は、特に限定されないが、0.05〜60μmが好ましく、より好ましくは0.1〜50μm程度であり、更に好ましくは0.20〜40μm程度である。従来、上記範囲のごとく大きな粒子を含有したポリマーを延伸すると、粒子による突起の周りのフィルムにひび割れが生じやすく問題であるが、本発明のフィルムA層のガラス転移温度とフィルムB層のガラス転移温度が違うことによりひび割れが起きることなく、耐摩耗性や光学特性に優れたフィルムを得ることができる。また、フィルム中の不活性粒子は単一粒子でも良いし、種類や大きさが異なる粒子を複数用いることもできる。
【0015】
また、不活性粒子は、A層、B層それぞれに粒子を含有していても構わないがフィルムA層に不活性粒子を含有していると、入射光がフィルム内部(フィルムA層)で拡散して出射光量が減少し、全光線透過率が小さくなり、視認性が低下したり、全光線透過率のフィルム厚み依存性が大きくなることがある。フィルムA層には不活性粒子は実質的に含有していないことが、光の透過性の観点から好ましいが、本発明の目的を阻害しない範囲であれば少量含有していても構わない。
【0016】
また、フィルムB層中には、不活性粒子をフィルムB層構成組成物に対して0.01〜35重量%、好ましくは0.05〜30重量%、更に好ましくは0.1〜25重量%含有していると、光の拡散性、透過性の光学特性や、耐摩耗性の観点から特に好ましい。フィルムB層中の粒子含有量が、下限値未満ではフィルム滑り性が得られ難く、一方上限値を超えるとフィルムB層の膜強度が低下し易く、フィルム製造工程や加工工程中でフィルムが破れ易くなり生産性が低下する場合がある。フィルムB層中に含有する粒子は、粒径比(粒子の長径/粒子の短径)が1.0〜1.3の粒子、特に球形状の粒子の場合に耐摩耗性や光学特性がより一層良好となるため好ましい。
【0017】
本発明のフィルムのヘイズは、40%以上、好ましくは45%以上、さらに好ましくは50%以上である。フィルムヘイズが40%未満であると、カバーシートやトレーシングシートとして用いる時などに、表面での光の拡散による艶消し性、映り込み性、風合いや筆記性を同時に良好なフィルムを得ることができない。なお、フィルムのヘイズの上限は特に限定されないが95%程度である。ヘイズが95%以上であると下地視認性や、耐摩耗性を得ることができない場合がある。
上記のフィルムのヘイズを所望の値にする方法としては、▲1▼粒子の大きさや含有量を調整する方法、▲2▼本発明のB層の積層厚みを調整する方法、▲3▼A層とB層のガラス転移温度を調整する方法、▲4▼フィルム製膜時の延伸温度等の製膜条件を最適化する方法等が挙げられ、これらの方法を組み合わせることにより、へイズを40%以上、50%以上にすることができる。
【0018】
また、フィルムの全光線透過率が80%以上、好ましくは83%以上、さらに好ましくは85%以上にすることにより、カバーシートやトレーシングシートとして用いる時などに、他の部材と重ねた時に、下地の模様がはっきりと視認できる視認性と表面での光の拡散による艶消し性、映り込み性、風合いや筆記性を同時に良好なフィルムを得ることができるので特に好ましい。なお、全光線透過率は高いほど良いが上限は特に限定されないが98%程度である。全光線透過率が80%未満であると他部材と重ねた時の下地視認性が優れたフィルムを得られ難くなることがある。また拡散透過率が50%以上、好ましくは55%以上、さらに好ましくは60%以上であると、艶消し性、映り込み防止性、筆記性が良好となり、さらに拡散シートとして用いた時に拡散光量が大きく、特に好ましい。拡散透過率は90%程度が製法上の上限である。上記のフィルムの全光線透過率や拡散透過率を所望の値にする方法としても、▲1▼粒子の大きさや含有量を調整する方法、▲2▼本発明のB層の積層厚みを調整する方法、▲3▼A層とB層のガラス転移温度を調整する方法、▲4▼フィルム製膜時の延伸温度を最適化する方法等が挙げられ、これらの方法を組み合わせることにより、任意の全光線透過率、拡散透過率を得ることができる。
【0019】
本発明のフィルムA層を形成するポリマーの種類は特に限定されないが、ポリエステルを主成分とし、ポリイミドを含有していることが、本発明のフィルムの効果をより一層得やすくなるので好ましい。
【0020】
フィルムA層に含有するポリイミドは、溶融成形性を有し、ポリエステルと相溶し得るポリイミドであれば特に限定されないが、例えば、テトラカルボン酸及び/又はその酸無水物と、脂肪族一級モノアミン、芳香族一級モノアミン、脂肪族一級ジアミンおよび芳香族一級ジアミンよりなる群から選ばれる一種もしくは二種以上の化合物とを脱水重縮合することにより得られる重合体を挙げることができる。なかでも、ポリエステルとの溶融成形性や取り扱い性などの点から、ポリイミド構成成分中にエーテル結合を含有するポリエーテルイミドが好ましい。
【0021】
ここでいう相溶とは、ブレンドして得られたチップのガラス転移温度(Tg)が単一であることにより判断できる。単一のガラス転移温度とは、示差走査熱量計(DSC)測定において、ポリエステルのガラス転移温度とポリイミドのガラス転移温度の間に、一つだけガラス転移温度が存在することである。ポリエステルのガラス転移温度とポリイミドのガラス転移温度の間に、ガラス転移温度が2つ以上観測されると、ポリエステルとポリイミドの相溶性が不十分であり、フィルム製膜時にフィルムが破断し易くなり生産性が低下することがある。
【0022】
本発明において、ポリイミドをポリエステルに添加する時期は、特に限定されないが、ポリエステルの重合前、例えば、エステル化反応前に添加してもよいし、重合後かつ溶融押出前に添加してもよい。また、溶融押出前に、ポリエステルとポリイミドをペレタイズして用いてもよい。
【0023】
本発明のフィルムA層に、ポリイミドを含有させる量は、特に限定されないが、フィルムA層を構成する組成物に対して3〜50重量%、好ましくは5〜45重量%、より好ましくは7〜40重量%であることが、光の透過性などの観点から好ましい。ポリエステルとポリイミドの溶融粘度は大きく異なるため、ポリイミドの含有量が上記下限値%未満であると、フィルムB層のガラス転移温度とA層のガラス転移温度の差を付けることが困難になり、フィルム表面の拡散性が得られ難くなったり、押出機にて十分混練させても互いに相溶させることが困難なことがある。また、ポリイミドの含有量が上記上限値を超えると、押出、延伸が困難になり生産性が低下することがある。
【0024】
本発明のフィルムのB層にも、ポリイミドが含有されていても構わないが、フィルムA層に含有するポリイミドより少ないことが生産性、光拡散性の点から好ましい。
【0025】
本発明のフィルムB層を形成するポリマーは特に限定されないが、ポリエステルが好ましい。ポリエステルとしては、特に限定されないが、エチレンテレフタレート、エチレン−α,β−ビス(2−クロルフェノキシ)エタン−4,4´−ジカルボキシレート、エチレン2,6−ナフタレート単位から選ばれた少なくとも一種の構造単位を主要構成成分とするポリエステルが好ましく、特に、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン2,6−ナフタレート、またはこの共重合体もしくは変成体が好ましい。なお、本発明の効果を阻害しない範囲内で2種以上のポリエステルを混合してもよいし、共重合のポリマーを用いてもよい。
【0026】
また、本発明のポリエステルの固有粘度は、特に限定されないが、フィルム成形加工の安定性の観点から、0.45〜1.8(dl/g)の範囲であることが好ましく、さらに好ましくは、0.55〜1.7(dl/g)である。
【0027】
また本発明のフィルムは、フィルムA層または/およびフィルムB層に、本発明の効果を阻害しない範囲内で各種の添加剤や架橋剤などを含有してもよい。例えば酸化防止剤、耐熱安定剤、耐侯安定剤、紫外線吸収剤、顔料、染料、帯電防止剤、脂肪酸エステル、ワックス等の有機滑剤などを挙げることができる
本発明フィルムは、上記組成物を二軸配向せしめたフィルムである。一軸あるいは無配向フィルムでは、耐摩耗性が不足するので好ましくない。延伸方法としては、長手方向に延伸した後に幅方向に延伸を行うなどの逐次二軸延伸法や、同時二軸テンター等を用いて長手方向と幅方向を同時に延伸する同時二軸延伸法、さらに、逐次二軸延伸法と同時二軸延伸法を組み合わせた方法などが包含される。
この中で同時二軸延伸法を用いることが、本発明のフィルムを得やすいので、特に好ましい。
【0028】
本発明の積層ポリエステルフィルムの全体厚みは、25〜250μm、好ましくは38〜188μmであり、フィルムの用途、使用目的に応じて適宜に定めればよい。またフィルム厚み斑{100×(厚みの最大値−厚みの最小値)/平均厚み}は、10%以下、好ましくは5%以下であることが好ましい。フィルム厚み斑が10%を超えると、均一な光学特性が得られ難くなる場合がある。
【0029】
また各層の厚み構成は特に限定されないが、フィルムB層の厚みは、少なくとも一方のB層の厚みがフィルム全体の厚みの20%以下、好ましくは10%以下さらに好ましくは5%以下であると、フィルム製膜の逐次延伸におけるフィルムとロールの粘着によるフィルム表面欠点などが少なくなり、フィルム延伸性が良好となりフィルム厚み斑が小さく、本発明で開示する好ましいフィルム表面の突起形態が得られ易くなり耐摩耗性や光学特性が優れたものが得やすくなるので好ましい。また本発明の積層ポリエステルフィルムに、さらに易接着性、帯電防止性等を付与するために少なくとも片面にコーティング層を設けても良い。
【0030】
次に、本発明の二軸配向積層ポリエステルフィルムの製造方法の具体例について説明するが、以下の記述に限定されものではない。まず、フィルムA層、B層のポリエステルとして、ポリエチレンテレフタレートを用い、ポリエステルA層にポリイミドとして、ポリエーテルイミドを用いた例を示す。ポリエーテルイミドは特に限定されるものではないが、例えば、“ウルテム”(General Electric社製)を用いることができる。
【0031】
まず、テレフタル酸とエチレングリコールとをエステル化し、または、テレフタル酸ジメチルとエチレングリコールをエステル交換反応することにより、ビスーβ―ヒドロキシエチルテレフタレート(BHT)を得る。次にこのBHTを重合槽に移送しながら、真空下で280℃に加熱して重合する。この時、所定量のポリエーテルイミドを添加しておいてもよい。必要に応じて、得られたポリエステルペレットを減圧下で固相重合する。固相重合する場合は、あらかじめ180℃以下の温度で予備結晶化させた後、190〜250℃で1mmHg程度の減圧下、3〜50時間固相重合させ、固有粘度0.5〜1.5(dl/g)のペレットを作る。
【0032】
また、重合したポリエチレンテレフタレートのペレットとポリエーテルイミドのペレットとを任意の割合で混合して、270〜300℃に加熱されたベント式2軸混練押出機に供給して溶融押出し、両者を混練する。このときの滞留時間は0.5〜20分が好ましく、より好ましくは1〜15分の条件である。また、必要に応じて、得られたチップを再び二軸押出機に投入し相溶するまで押出を繰り返してもよい。上記混練によって、ポリエチレンテレフタレートとポリエーテルイミドとは相溶し、ガラス転移点が単一の混合ポリエステルのペレットを得ることができる。
【0033】
フィルムB層中に粒子を含有させる場合は、エチレングリコールに所定割合の粒子をスラリーの形で添加して分散させた後、このエチレングリコールをテレフタル酸と重合させる方法が好ましい。粒子を添加する際には、例えば、粒子の合成時に得られる水ゾルやアルコールゾルを一旦乾燥させることなく添加すると粒子の分散性がよい。また、粒子の水スラリーを直接所定のポリエステルペレットと混合し、ベント式2軸混練押出機を用いて、ポリエステルに練り込む方法も有効である。
【0034】
ポリエーテルイミドあるいは粒子の含有量を調節する方法としては、上記方法で作ったポリエーテルイミドを高濃度で含有するペレット、あるいは粒子を高濃度に含有するPETマスタ−ペレットを作っておき、それを製膜する時に粒子を実質的に含有しないポリエステルペレットで希釈して、それぞれの含有量を調節する方法が有効である。
【0035】
次に、これらのポリエステル、ポリエーテルイミド、さらには粒子を含有するペレット、または、そのブレンドしたペレットを、110〜190℃で3時間以上真空乾燥した後、押出機に投入する。積層フィルムの構成を例えば3層積層構成(B層/A層/B層)とする場合は、2台の押出機で積層用マニホールド又は矩形の合流ブロックを用いて、溶融押出し3層積層未延伸フィルムを得る。この積層はシート状に成形、吐出するための口金内(例えばマニホールド)で行なっても良いが、口金に導入する前のポリマー管内で行なうことが、フィルムB層を精度良く積層できるので好ましい。特にポリマー管内の積層部を矩形にしておくと幅方向に均一に積層できるので、その後の二軸延伸が容易におこなえるため特に好ましい。また、溶融ポリマー中の異物や変質ポリマーを除去するために各種のフィルター、例えば、焼結金属、多孔性セラミック、サンド、金網などの素材からなることが好ましい。また、必要に応じて、それぞれのポリマー流路にスタティックミキサー、ギヤポンプを設置し、ポリマ押出量を制御する方法は本発明の効果を得るのに有効である。
【0036】
また、ポリエステルA層とB層を構成する各ポリマーの固有粘度は、フィルムA層を構成するポリマーの固有粘度を、フィルムB層を構成するポリマーの固有粘度より0〜1.5(dl/g)、好ましくは0〜1(dl/g)の範囲で大きくしておくことが、本発明のフィルムを安定して工業的に製造するのに有効である。
【0037】
フィルムA層の少なくとも片面にフィルムB層を積層した溶融押出しフィルムを、20〜60℃のキャスティングドラム上で冷却固化せしめて未延伸フィルムを作る。この場合、静電印加キャスト法を用いることが好ましい。
【0038】
次にこの未延伸フィルムを、最初に長手方向に延伸する。長手方向の延伸は通常ロールを用いて行われる。予熱、延伸ロール群の表面材質は、例えばテフロン(登録商標)やシリコンゴムなどの非粘着性のものが好ましい。長手方向の延伸温度は、フィルムA層のガラス転移温度がフィルムB層のガラス転移温度より高い場合は、ポリエステルA層を構成するポリマーのガラス転移温度(ATg)より高い温度、つまり(ATg)〜(ATg+70℃)、好ましくは、(ATg+5℃)〜(ATg+60℃)、さらに好ましくは(ATg+10℃)〜(ATg+50℃)であることが、フィルム表面の粗面化が得られやすく好ましい。長手方向の延伸は、1段もしくは2段階以上の多段階で行い、2〜8倍、好ましくは2.5〜7倍で、延伸速度5000〜50000%/分の範囲で延伸することが好ましい。この一軸延伸フィルムの両端をクリップで把持しつつテンターに導く。テンター内で予熱後、幅方向に、80〜160℃の温度で2.5〜6倍、好ましくは3〜5倍で、延伸速度1000〜30000%/分の範囲で延伸を行う。また、いったん二軸延伸されたフィルムを少なくとも一方向にさらに延伸しても良いが、延伸後の定長熱処理は170〜245℃で0.5秒〜60秒行なうのが好ましい。さらに、寸法安定性の優れたフィルムを得るためには、定長熱処理後、5〜15%弛緩させながら170℃〜245℃で0.5秒〜60秒間弛緩処理を施すことが有効である。
【0039】
本発明の積層ポリエステルフィルムの用途は、特に限定されないが、フィルム表面粗さが大きく、大きなヘイズ値によって、艶消し性、風合い、映り込み防止性、筆記性、光拡散性、耐摩耗性が要求されるような用途、例えば包装材料、ラベル、カバーフィルム、トレーシング用フィルム、反射シートなどに好適である。中でも模様、図形を記した他部材の上に重ねて鉛筆等で筆記するトレーシング用フィルム、液晶バックライトや照明器具において光を拡散させるために用いる拡散シート、光沢のある他部材の上に重ねて下地部材の模様はそのままで照明などの映り込みやギラツキを抑制する反射シート、他部材の上に重ねて表面を保護し、しっとりとした風合いを付与するカバーフィルムの用途においては、光の透過性や拡散性の点から非常に有効に用いられる。
【0040】
【物性の測定方法ならびに効果の評価方法】
本発明における特性値の測定方法並びに効果の評価方法は次の通りである。
【0041】
(1)フィルムA層の積層厚さ
透過型電子顕微鏡(日立製H−600型)を用いて、加速電圧100kVで、フィルム断面を、超薄切片法(RuO染色、)で観察し、積層界面をTEM写真のコントラストの濃淡差でとらえる。隣接する層の一方がポリイミドまたは粒子を含有する場合は、ポリイミドや粒子の有無や粒子の形状の違いから、各層の界面をとらえ、その積層厚さ及び離型層厚さを求める。
また、倍率は、判定したい積層厚さによって選ぶことが通常であり、特に限定されないが、1万〜20万倍が適当である。
【0042】
(2)ポリイミドの含有量
ポリエステルとポリイミドの両者を溶解する適切な溶媒に溶解し、H核のNMR(核磁気共鳴)スペクトルを測定する。得られたスペクトルで、ポリエステル中の芳香族プロトンに相当する吸収(PETでは8.1ppm付近)とポリイミドのプロトンに相当する吸収のピーク面積強度をもとめ、その比率とプロトン数よりブレンドのモル比を算出する。さらにポリマーの単位ユニットに相当する式量より重量比を算出する。
【0043】
ポリイミドがポリエーテルイミド(PEI)の場合、フィルムをヘキサフルオロイソプロパノール/クロロホルムのようなPETとPEIの両者を溶解する適切な溶媒に溶解し、H核のNMRスペクトルを測定する。得られたスペクトルで、ポリエステル中の芳香族プロトンに相当する吸収(PETでは8.1ppm付近)とポリエーテルイミドのビスフェノールAの芳香族のプロトンに相当する吸収(7.0ppm)のピーク面積強度をもとめ、その比率とプロトン数よりブレンドのモル比を算出する。さらにポリマーの単位ユニットに相当する式量より重量比を算出する。
【0044】
1)NMR測定条件
装置 :BRUKER DRX−500(ブルカー社製)
溶媒 :ヘキサフルオロイソプロパノール/重クロロホルム
観測周波数 :499.8MHz
基準 :TMS(0ppm)
測定温度 :30℃
観測幅 :10KHz
データ点 :64K
acquisiton time :4.952秒
pulse delay time:3.048秒
積算回数 :256回
(3)フィルム中の不活性粒子の含有量
ポリエステルとポリイミドは溶解し粒子は溶解させない溶媒を選択し、ポリエステルとポリイミドを溶解し、粒子をポリエステルから遠心分離し、粒子の基材フィルム全体重量に対する比率(重量%)をもって粒子含有量とする。場合によっては赤外分光法の併用、X線マイクロアナライザーを併用した。
【0045】
(4)粒子の平均粒径
上記の評価方法(1)と同様にして、透過型電子顕微鏡(日立製H−600型)を用いて、加速電圧100kVで、フィルム断面を超薄切片法(RuO染色、)で観察し、TEMの切片厚さは約100nm としTEM写真から100視野以上測定し粒径を求めた。
【0046】
(5)ガラス転移温度(Tg)
パーキンエルマー社のDSC(示差走査熱量計)II型を用いて測定した。DSCの測定条件は次のとおりである。すなわち、試料10mgをDSC装置にセットし、300℃の温度で5分間溶融した後、液体窒素中に急冷する。この急冷試料を10℃/分で昇温し、ガラス転移点Tgを検知する。
【0047】
(6)固有粘度
オルトクロロフェノール中、25℃で測定した溶液粘度から下式から計算される値を用いる。
【0048】
ηsp/C=[η]+K[η]2・C
ここで、ηsp=(溶液粘度/溶媒粘度)−1、Cは溶媒100mlあたりの溶解ポリマ重量(g/100ml、通常1.2)、Kはハギンス定数(0.343とする)である。また、溶液粘度、溶媒粘度はオストワルド粘度計を用いて測定した。
【0049】
(7)フィルムヘイズ、全光線透過率、拡散透過率
全自動直読ヘイズコンピューター、型式HGM−2DP(スガ試験機(株)製)で光源にハロゲンランプ12V50Wを用いてヘイズ、全光線透過率、拡散透過率を測定した。なおフィルムがA層/B層の2層構成の場合は、B層側から光線が入射するようにフィルムをセットして測定した。
【0050】
(8)下地視認性
コクヨ社製1mm方眼紙(ホ−19)の上にフィルムサンプルを重ね、個々の1mm方眼線が判別できるか評価し、以下の基準で評価した。
【0051】
◎:フィルムを8枚重ねた時に個々の線が判別できるもの
○:5枚重ねでは判別できるが8枚重ねると判別できなくなるもの
×:フィルムを5枚重ねた時に個々の線が判別できないもの
(8)筆記性
フィルムにHの鉛筆を用いて1mm間隔で、押圧200〜400gで直線を描き目視で以下の評価を行なった。
【0052】
◎:個別の直線を判別でき、線の色も濃い。
【0053】
○:個別の直線を判別できるが、線の色はやや薄い。
【0054】
△:濃い線が描けるが、滲んで個別の線を判別できない。
【0055】
×:はっきりした線を描くことができない。
(9)耐摩耗性
フィルムを幅1/2インチのテープ状にスリットしたものを、テープ低速走行試験機を用いて荷重100gをかけ、市販の剃刃片刃(フェザー安全剃刃株式会社製FAS−10)を走行面に1.5mm押しつけ走行させる(走行速度100m/分、走行距離200m、走行回数1回)。このとき、剃刃片刃に付着したフィルム削れ粉の付着平均高さを顕微鏡で観察し、削れ粉の付着高さが30μm以下の場合は◎、30μmより大きく40μm以下の場合は○、40μmより大きい場合は耐摩耗性×とした。この片刃を用いたモデルテストは加工工程内で金属ガイドなどポリエステルフィルムより硬い走行手段上を走行する時の耐削れ性、粉発生により工程を汚す性質をよく反映するものである。
(10)光拡散性
可視光レーザー(He−Neレーザー、波長632.8nm)をフィルムに照射し、透過した光線をスクリーンに投影して、入射光線がどの程度の広がりを示すか観察して評価した。強度分布が見られず均一で広い拡散範囲を持つものを○、著しい強度分布または狭い拡散範囲のもの、または透過光量が少なくくらいものを×とした。
【0056】
【実施例】
次に実施例に基づいて本発明を説明するが、必ずしもこれに限定されるものではない。
【0057】
まず、酢酸マグネシウムを触媒として用いジメチルテレフタレートとエチレングリコールよりビスヒドロキシメチルテレフタレートを得た。ビスヒドロキシメチルテレフタレートの重合を酸化ゲルマニウム触媒を用いて行い重合触媒残査等に基づき形成される微細粒子、即ち内部粒子をできる限り含まないポリエチレンテレフタレート(PET)のペレット1(固有粘度0.65)を得た。このペレットの50重量%とポリエーテルイミド(PEI)のペレット“ウルテム1010”(ジーイープラスチックス社製、登録商標)の50重量%を、290℃に加熱されたベント式の2軸混練押出機に供給して、滞留時間1分にて溶融押出し、ポリエーテルイミドを50重量%含有したポリエステルペレット2を得た。得られたチップは透明であり、単一のガラス転移温度しか観測されなかった。また、ポリエチレンテレフタレートの重合時に粒子を5重量%添加して重合した。平均粒径0.3μmの球状シルカ粒子を5重量%含有したPETのペレット3、平均粒径3μmのシリカ粒子を5重量%含有したPETのペレット4、平均粒径5μmの球状架橋ポリスチレンを10重量%含有したPETのペレット5を得た。
【0058】
実施例1
上記の粒子を含有しないポリエチレンテレフタレートのペレット1とペレット2を重量比(以下、特に断らない限りペレットの比は重量比である)4:6の割合で混合し(ポリエステルA)、180℃で4時間真空乾燥した後、溶融押出機Aに供給し295℃で溶融押出した。また、前記のペレット1とペレット4を9.5:0.5の割合で混合し(ポリエステルB)、180℃で4時間真空乾燥した後、溶融押出機Bに供給し290℃で溶融した。これらのポリマーを濾過し、3層用の矩形の合流ブロック(フィードブロック)にて、B/A/Bの3層積層した。また各層の厚みはそれぞれのラインに設置されたギヤポンプの回転数を調節して押出量を制御することによって調節した。これを静電印加キャスト法を用いて、表面温度25℃のキャスティングドラム上に巻き付けて冷却固化し、未延伸フィルムを作った。この未延伸フィルムを125℃で長手方向に3.4倍延伸した。この延伸は2組ずつのロールの周速差を利用して行った。この一軸延伸フィルムの両端をクリップで把持しつつ100℃の予熱ゾーンに導き、引き続き108℃の加熱ゾーンで幅方向に3.8倍延伸した。更に連続的に230℃の熱処理ゾーンで8%の弛緩処理を行いながら5秒間の熱処理を施し、積層フィルム厚みが50μm(B層/A層/B層=1/48/1μm)の積層ポリエステルフィルムを得た。この二軸配向積層ポリエステルフィルムの特性を、表1、2に示した。
【0059】
実施例2
ペレット1、ペレット2を8:2の割合で混合し(ポリエステルA)、平均粒径5μmの球状架橋ポリスチレンを10重量%含有したペレット5(ポリエステルB)を用いて、B層/A層/B層の積層比率1/48/1とし、長手方向の延伸温度を110℃にした以外は実施例1と同様にして、3層積層の二軸配向積層ポリエステルフィルムを得た。
【0060】
実施例3
ペレット1、ペレット2を2:8の割合で混合したもの(ポリエステルA)を用い、B層/A層/B層の積層比率3/44/3とし、長手方向の延伸倍率を3.2倍にした以外は実施例1と同様にして、3層積層の二軸配向積層ポリエステルフィルムを得た。
【0061】
実施例4
ポリエステルAとして重合したPEN(Tg=120℃)を用い、180℃で4時間真空乾燥した後、溶融押出機Aに供給し300℃で溶融した。ペレット1とペレット2とペレット4を7.5:2:0.5の割合で混合し(ポリエステルB)、180℃で4時間真空乾燥した後、溶融押出機Bに供給し295℃で溶融した。これらのポリマーを濾過し、3層用の矩形の合流ブロック(フィードブロック)にて、B/A/Bの3層積層した。また長手方向の延伸温度を135℃で3.3倍、幅方向の延伸温度を125℃にした以外は実施例1と同様にして、積層厚み構成(B層/A層/B層=1/48/1μm)の二軸配向積層ポリエステルフィルムを得た。
【0062】
実施例5
ペレット1とペレット2とペレット3を3.8:6:0.2の割合で混合し(ポリエステルA)、180℃で4時間真空乾燥した後、溶融押出機Aに供給し295℃で溶融押出した。また、ペレット1とペレット4を9.5:0.5の割合で混合し(ポリエステルB)、180℃で4時間真空乾燥した後、溶融押出機Bに供給し290℃で溶融した。これらのポリマーを濾過し、2層用の矩形の合流ブロックを用いて実施例1と同様にしてA/Bの2層積層した。長手方向の延伸を温度125℃、倍率3.2倍、幅方向の延伸を130℃、倍率3.5倍に延伸した以外は実施例1と同様にして積層フィルム厚みが50μm(A層/B層=48/2μm)の二軸配向積層ポリエステルフィルムを得た。
【0063】
実施例6
ペレット1を70重量%とポリエーテルイミド(PEI)のペレット“ウルテム1010”(ジーイープラスチックス社製、登録商標)の5重量%と平均粒径3μmのシリカ粒子を25重量%を290℃に加熱されたベント式の2軸混練押出機に供給して、滞留時間1分にて溶融押出した。得られたチップのガラス転移温度は80℃であった。このペレットを180℃で4時間真空乾燥した後、溶融押出機Bに供給し290℃で溶融押出し、B層/A層/B層の積層比率0.3/49.4/0.3とし、長手方向の延伸倍率を3.4倍にした以外は実施例1と同様にして、厚み50μmの3層積層の二軸配向積層ポリエステルフィルムを得た。
【0064】
比較例1
実施例1と同じペレットを用いて、長手方向の延伸温度を90℃、延伸倍率3.6倍、幅方向の延伸温度100℃、延伸倍率を3.8倍にした以外は実施例1と同様にして3層積層フィルムを得た。得られた二軸配向積層ポリエステルフィルムの特性は、ヘイズが20.3%と小さく、筆記性、光拡散性が不良であった。
【0065】
比較例2
ポリエステルBを、ペレット1とペレット2とペレット4を3.5:6:0.5の割合で混合したものを用いた以外は、実施例1と同様にして二軸配向積層ポリエステルフィルムを得た。得られた二軸配向積層ポリエステルフィルムの特性はへイズが0.5%と小さく、筆記性、光拡散性が不良であった。
【0066】
比較例3
ペレット1とペレット2とペレット4を4.8:5:0.2の割合で混合したものを(ポリエステルA、B)、180℃で4時間真空乾燥した後、溶融押出機AとBに供給し295℃で溶融押出した。長手方向の延伸温度を110℃、積層比率を変更した以外は、実施例1と同様にして同じ組成の3層構成(B層/A層/B層=10/30/10μm)の積層ポリエステルフィルムを得た。この二軸配向積層ポリエステルフィルムの特性は、耐摩耗性、光学特性が不良であった。
【0067】
比較例4
ポリエステルAとしてペレット1のみを用い、積層比率をB層/A層/B層=3/44/3μmにした以外は比較例1と同様にして二軸配向積層ポリエステルを得た。この二軸配向積層ポリエステルフィルムの特性は、耐摩耗性、光拡散性、筆記性が不良であった。
【0068】
比較例5
ポリエステルBとしてペレット3のみを用い、積層比率と長手方向の延伸温度を95℃、延伸倍率を3.7倍、幅方向の延伸温度100℃、延伸倍率4.0倍にした以外は実施例2と同様にして、3層構成(B層/A層/B層=3/44/3μm)の積層ポリエステルフィルムを得た。この二軸配向積層ポリエステルフィルムの特性は、耐摩耗性、光学特性が不良であった。
【0069】
【表1】
Figure 2004174788
【0070】
【表2】
Figure 2004174788
【0071】
【発明の効果】
本発明によって得られる二軸配向積層ポリエステルフィルムは、大きな表面粗さを有し、耐摩耗性、光の透過性、下地視認性、拡散性の光学特性に優れている。
従って、これら特性を生かして、包装材料やラベル、トレーシング用、カバーフィルム、転写フィルム、また液晶表示板のバックライトフィルム用などの各種工業材料に好適に使用することができる。

Claims (9)

  1. フィルムA層の少なくとも片面にフィルムB層を積層した二軸配向積層ポリエステルフィルムであって、A層のガラス転移温度とB層のガラス転移温度の差が3〜80℃の範囲内であり、フィルム中の不活性粒子の含有量が0.001〜3重量%の範囲内であり、かつヘイズが40%以上である二軸配向積層ポリエステルフィルム。
  2. 全光線透過率が80%以上である請求項1に記載の二軸配向積層ポリエステルフィルム。
  3. 拡散透過率が50%以上である請求項1又は2に記載の二軸配向積層ポリエステルフィルム。
  4. フィルムB層中の不活性粒子の含有量が0.01〜35重量%の範囲内である請求項1〜3のいずれかに記載の二軸配向積層ポリエステルフィルム。
  5. フィルムA層のガラス転移温度がフィルムB層のガラス転移温度より3〜80℃高い請求項1〜4のいずれかに記載の二軸配向積層ポリエステルフィルム。
  6. フィルムA層が、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン2,6−ナフタレート、またはこれらの共重合体もしくは変成体を主成分とする請求項1〜5のいずれかに記載の二軸配向積層ポリエステルフィルム。
  7. フィルムA層にポリイミドを3〜50重量%含有する請求項1〜6のいずれかに記載の二軸配向積層ポリエステルフィルム。
  8. ポリイミドがポリエーテルイミドである請求項7に記載の二軸配向積層ポリエステルフィルム。
  9. フィルムの厚みが25〜250μmであり、厚み斑が10%以下である請求項1〜8のいずれかに記載の二軸配向積層ポリエステルフィルム。
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