JP2011197225A - 偏光板離型用マット調ポリエステルフィルム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】下記要件(1)〜(3)を満たす偏光板離型用マット調積層ポリエステルフィルム。(1)ヘイズが2%以上10%以下、(2)前記積層ポリエステルフィルムの少なくとも片面の十点平均粗さ(SRz)が0.20μm以上、(3)フィルム幅方向における配向角の変化量が500mm当たり5.0°以下
【選択図】なし
Description
(1)ヘイズが2%以上10%以下
(2)前記積層ポリエステルフィルムの少なくとも片面の十点平均粗さ(SRz)が0.20μm以上
(3)フィルム幅方向における配向角の変化量が500mm当たり5.0°以下
第2の発明は、前記積層ポリエステルフィルムが支持層(A)と、該支持層の少なくとも片面に積層された最表層(B)からなり、該最表層(B)が融点220〜250℃のポリエステルを75〜99質量部と、該ポリエステルに非相溶な添加剤を1〜25質量部含む前記偏光板離型用マット調積層ポリエステルフィルムである。
第3の発明は、該支持層(A)は実質的に粒子を含有せず、該ポリエステルに非相溶な添加剤が透明熱可塑性樹脂である前記偏光板離型用マット調積層ポリエステルフィルムである。
第4の発明は、前記積層ポリエステルフィルムがさらに下記要件(4)および(5)を満たす前記偏光板離型用マット調積層ポリエステルフィルムである。
(4)150℃、30分間加熱したときの熱収縮率が長手方向および幅方向とも5.0%以下
(5)150℃、30分間加熱したときの長手方向の熱収縮率と幅方向の熱収縮率の差が1.0%以下
第5の発明は、未延伸フィルムを縦方向および横方向に延伸し、熱固定を行う前記偏光板離型用マットポリエステルフィルムの製造方法であって、下記要件(6)および(7)を満たす偏光板離型用マット調ポリエステルフィルムの製造方法である。
(6)縦延伸を4.2〜4.8倍、横延伸を4.2〜4.8倍の範囲で行うこと
(7)熱固定を220〜230℃の温度で熱固定を行うこと
これまで、光学的な軸精度を保持するために、比較的低温での熱固定処理が推奨されている。しかしながら、本発明では熱固定処理工程の温度は200℃以上230℃以下で行なうことが好ましい。熱固定処理の温度が200℃以上では、熱収縮率の絶対値が小さくなり好ましい。また、熱固定処理の温度が230℃以下であると、フィルムが不透明になり難く、また破断の頻度が少なくなり好ましい。
本発明における偏光板離型用マット調積層ポリエステルフィルムを得るためには4.2〜4.8倍の範囲で幅方向延伸を行うことが望ましい。横延伸倍率が4.2倍以上では、目視検査性が良好であるため好ましい。4.8倍以下であると破断の頻度が少なくなり好ましい。
本発明における偏光板離型用マット調積層ポリエステルフィルムを得るためには2.6〜2.9倍の範囲で縦方向延伸を行うことが望ましい。縦延伸倍率が2.6倍以上では、流れ方向の厚み変動が小さくなり好ましい。2.9倍以下であると配向主軸の変化量が小さくなり好ましい。
(1)固有粘度
JIS K 7367−5に準拠し、溶媒としてフェノール(60質量%)と1,1,2,2−テトラクロロエタン(40質量%)の混合溶媒を用い、30℃で測定した。
エスアイアイ・ナノテクノロジー社製DSC6220型示差走査型熱量計を用いて求める。窒素雰囲気下、樹脂サンプルを300℃で5分間加熱溶融した後、液体窒素で急冷し、粉砕した樹脂サンプル10mgを20℃/分の速度で昇温させ、示差熱分析を行った。ここで、該融解ピーク温度(Tpm)を融点とした。
樹脂サンプルの粘度は、JIS K 7199「プラスチック−キャピラリーレオメータ及びスリットダイレオメータによるプラスチックの流れの特性試験方法」、5.1.3項の方法A(キャピラリーダイ)に準拠して測定した。東洋精機製キャピログラフ1Bにて、φ1mm、L/D=10のキャピラリーダイを用い、270℃に保ったシリンダ内に、乾燥した樹脂サンプルを充填し、約1分間溶融した後、せん断速度608.0sec−1下で溶融粘度を測定した。なお、複数の樹脂を基材ポリマーとして用いる場合、前記基材ポリマーの溶融粘度は、予め複数の樹脂サンプルを十分に混合した後、シリンダに充填し、上記と同様の方法にて溶融粘度を測定した。
JIS K 7105「プラスチックの光学的特性試験方法」ヘーズ(曇価)に準拠して測定した。測定器には、日本電色工業社製NDH−300A型濁度計を用いた。
フィルムのB層表面を触針式三次元表面粗さ計(株式会社小坂研究所社製、SE−3AK)を用いて、針の半径2μm、荷重30mg、針のスピード0.1mm/秒の条件下で、フィルムの長手方向にカットオフ値0.25mmで、測定長1mmにわたって測定し、2μmピッチで500点に分割し、各点の高さを三次元粗さ解析装置(株式会社小坂研究所社製、TDA−21)に取り込ませた。これと同様の操作をフィルムの幅方向について2μm間隔で連続的に150回、即ちフィルムの幅方向0.3mmにわたって行い、解析装置にデータを取り込ませた。次に、前記解析装置を用いて、十点平均粗さ(SRz)を求めた。SRzの単位はμmである。なお、測定は3回行い、それらの平均値を採用した。
JIS C 2318−1997 5.3.4(寸法変化)に準拠して測定した。測定すべき方向に対し、フィルムを幅10mm、長さ250mmに切り取り、200mm間隔で印を付け、5gfの一定張力下で印の間隔(A)を測定する。次いで、フィルムを150℃の雰囲気中のオーブンに入れ、無荷重下で150±3℃で30分間加熱処理した後、5gfの一定張力下で印の間隔(B)を測定する。以下の式より熱収縮率を求めた。
熱収縮率(%)=(A−B)/A×100
二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム幅において、端縁を0%とし、他の端縁を100%とする。上記フィルム幅の10%に相当する領域から90%に相当する領域について、幅方向に100mmピッチで連続してn個の100mm四方の正方形のフィルムサンプルを切り出した。該正方形のフィルムサンプルは長手方向、又は幅方向のいずれかの軸を基準に直角に切り出した。各フィルムサンプルについて、王子計測器株式会社製、MOA−6004型分子配向計を用いて、フィルム長手方向に対する分子鎖主軸の配向角(θi)、及び下記式によって定義される機械軸方向(長手方向、または幅方向のいずれか)に対する光学主軸の傾斜角(ξi)を測定した。それぞれ長手方向に3箇所サンプリングしその平均値を求めた。なお、nは、フィルム全幅に0.8を乗じ、10mmで除した数値の小数点以下を切り上げた整数である。また、iはサンプル番号を表し、i=1〜nである。
|θ|≦45度のとき ξ=|θ|
|θ|>45度のとき ξ=|90度−|θ||
上記フィルムサンプルより測定した光学主軸の傾斜角のうち、最大値を光学主軸の最大傾斜角(ξmax)、最小値を最小傾斜角(ξmin)とした。
最大傾斜角を得た測定位置をLmax(mm)、最小傾斜角を得た測定位置をLmin(mm)とした場合に、100mmあたりの配向角の変化量は下記式で表すことができる。
(配向角の変化量)=(ξmax−ξmin)/(Lmax−Lmin)×100
MOR値の測定は、王子計測器株式会社製、MOA−6004型分子配向計を用いて行った。測定するポイントはフィルムの幅方向における中央部のポイント及びその中央部とフィルム両端部と結ぶ端部側の1/5のポイントの合計3ヶ所である。つまりフィルムの幅方向の直線における一方の端部からの10%、50%、90%の距離の3ヶ所のポイントにおいてMOR値が測定され、その平均値を求めた。
得られたフィルムの片面に下記シリコーン塗布液を加工張力10kg/mを印可した状態でダイコート方式でシリコーンを塗布し、120℃のオーブンで乾燥させた。
(シリコーン塗布液)
硬化性シリコーン(KS847H、信越化学) 100質量部
硬化剤(CAT PL−50T、信越化学) 2質量部
希釈剤 メチルエチルケトン/キシレン/メチルイソブチルケトン 898質量部
得られたシリコ−ン塗布後のサンプルをロ−ルからカットして、平坦なテ−ブルの上に5mの長さを広げて、塗布面に蛍光灯の光を反射させて下記評価方法により熱しわの有無を確認する。
○:熱しわは全く見られず良好。
△:全面に熱しわは見られないが部分的に熱しわがみられる。
×:全面に熱しわが確認できる。
(10)で得られた離型フィルムを幅方向が偏光フィルムの配向軸と平行となるように、粘着剤を介して離型フィルムを偏光フィルムに密着させ偏光板とした。蛍光灯反射下で偏光板を10人の検査員がそれぞれ目視にて観察し、反射光下での目視検査性を下記基準に従い評価した。
○:全体的に検査可能
△:若干の白ぼけ・映り込みはあるが検査可能
×:部分的に白ほけ・映り込みが生じ、検査できない部分が生じる
(10)で得られた離型フィルムを幅方向が偏光フィルムの配向軸と平行となるように、粘着剤を介して離型フィルムを偏光フィルムに密着させ偏光板とした。白色光源とカメラの間に、2枚の偏光板をクロスニコルに配置し、その間に離型フィルムを密着させた偏光板を配置した。検査範囲(12×7cm)についてクロスニコル下で同様に50μm以上の欠点を測定した。得られた結果から以下のようにして検査性を評価した。
○:干渉斑の発生がなく、コントラストが良好
△:若干の干渉斑、もしくは輝点の観察が見られるが検査可能
×:干渉斑の発生
(1)PET樹脂(M1)の製造
エステル化反応缶を昇温し、200℃に到達した時点で、テレフタル酸を86.4質量部及びエチレングリコールを64.4質量部からなるスラリーを仕込み、攪拌しながら触媒として三酸化アンチモンを0.017質量部及びトリエチルアミンを0.16質量部添加した。次いで、加圧昇温を行いゲージ圧3.5kgf/cm2、240℃の条件で、加圧エステル化反応を行った。その後、エステル化反応缶内を常圧に戻し、酢酸マグネシウム4水和物0.071質量部、次いでリン酸トリメチル0.014質量部を添加した。さらに、15分かけて260℃に昇温し、リン酸トリメチル0.012質量部、次いで酢酸ナトリウム0.0036質量部を添加した。15分後、得られたエステル化反応生成物を重縮合反応缶に移送し、減圧下260℃から280℃へ徐々に昇温し、285℃で重縮合反応を行った。
芳香族ジカルボン酸成分としてテレフタル酸単位100モル%、ジオール成分としてエチレングリコール単位70モル%及びネオペンチルグリコール単位30モル%を構成成分とする、固有粘度が0.59dl/g、溶融粘度が121Pa・s、の共重合ポリエステル樹脂(M2)を(M1)の作製方法に準じて作製した。
溶融粘度が147Pa・sのポリスチレン樹脂(PS)を使用した。
支持層(A)の原料として、PET樹脂(M1)100質量部を用い、135℃で6時間減圧乾燥(1Torr)した後、押出機1に供給した。また、最表層(B)層の原料としてPET樹脂(M1)65質量部、共重合ポリエステル樹脂(M2)20質量部と、ポリスチレン(M3)15質量部とを、それぞれ135℃で6時間減圧乾燥(1Torr)した後、混合し、押出機2に供給した。押出機2、及び押出機1に供給された各原料を、押出機の溶融部、混練り部、ポリマー管、ギアポンプ、フィルターまでの樹脂温度は280℃、その後のポリマー管では275℃とし、3層合流ブロックを用いてB/A/Bとなるように積層し、口金よりシート状に溶融押し出した。なお、A層とB層との厚み比率は、B/A/B=8/84/8となるように、各層のギアポンプを用いて制御した。また、前記のフィルターには、いずれもステンレス焼結体の濾材(公称濾過精度:10μm粒子を95%カット)を用いた。また、口金の温度は、押出された樹脂温度が275℃になるように制御した。
最表層(B)の原料を表1に記載の割合に変更する以外は実施例1に記載と同様の方法にて作成した。得られたフィルム物性を表2に示す。
縦延伸倍率を2.6倍に変更する以外は実施例4に記載と同様の方法にて作成した。得られたフィルム物性を表2に示す。本実施例により得られた偏光板離型用マット調積層ポリエステルフィルムは配向角変動に非常に優れるものであった。ヘイズが若干悪化したが、高精度の検査に好適に使用し得るフィルムであった。
熱固定温度、緩和率を表1に記載の条件に変更する以外は実施例4に記載と同様の方法にて作成した。得られたフィルム物性を表2に示す。本実施例により得られた偏光板離型用マット調積層ポリエステルフィルムは配向角変動に非常に優れるものであった。加熱収縮率が若干悪化したが、高精度の検査に好適に使用し得るフィルムであった。
層構成をA/Bの2種2層の表1に記載の条件に変更する以外は、実施例4に記載と得られたフィルム物性を表2に示す。高温での熱寸法安定性に優れるのみならず、反射光・クロスニコルで良好な検査性を備え、大画面用途の偏光板製造工程において、高精度の検査に好適に使用し得るフィルムであった。
延伸条件を表1に記載の比率に変更する以外は、実施例1に記載と同様の方法にて作成した。得られたフィルム物性を表2に示す。本実施例により得られた偏光板離型用マット調積層ポリエステルフィルムは反射光・クロスニコルで良好な検査性を備えるものの、加工時に熱シワが発生した。
(1)PET樹脂(M4)の製造
添加剤としてシリカ粒子(富士シリシア化学株式会社製、サイリシア310)を2000ppm含有したポリエチレンテレフタレートをPET(M1)樹脂と同様の製法で作成した。
最表層(B)の原料としてPET樹脂(M1)50質量部、PET樹脂(M2)50質量部を用いる以外は実施例1と同様の方法にて作成した。得られたフィルム物性を表2に示す。本実施例により得られた偏光板離型用マット調積層ポリエステルフィルムは、検査性は良好だが、粗大突起が確認され、突起部分周辺に光学的な歪みが発生することから、偏光板検査工程で輝点となった。
用いる原料を表1に記載の比率に変更する以外は、実施例1に記載と同様の方法にて作成した。得られたフィルム物性を表2に示す。本実施例により得られた偏光板離型用マット調積層ポリエステルフィルムは、検査性は良好だが、粗大突起が確認され、突起部分周辺に光学的な歪みが発生することから、偏光板検査工程で輝点となった。
延伸条件を表1に記載の比率に変更する以外は、実施例4に記載と同様の方法にて作成した。得られたフィルム物性を表2に示す。本実施例により得られた偏光板離型用マット調積層ポリエステルフィルムは配向角変動が大きく、偏光板製造工程において、用いることができなかった。
用いる原料を表1に記載の比率に変更する以外は、実施例1に記載と同様の方法にて作成した。得られたフィルム物性を表2に示す。本実施例により得られた積層ポリエステルフィルムはヘイズが高く、偏光板検査工程で異物が見難くなり、正確な検査を阻害した。
用いる原料を表1に記載の比率に変更する以外は、実施例1に記載と同様の方法にて作成した。得られたフィルム物性を表2に示す。本実施例ではポリスチレン添加量が多いことから、延伸時に破断し、フィルムを得ることができなかった。
用いる原料を表1に記載の比率に変更する以外は、実施例1に記載と同様の方法にて作成した。得られたフィルム物性を表2に示す。本実施例では表面が平滑で反射光での検査性が不良であった。
Claims (5)
- 共押出法からなる2層以上の積層ポリエステルフィルムであって、下記要件(1)〜(3)を満たす偏光板離型用マット調積層ポリエステルフィルム。
(1)ヘイズが2%以上10%以下
(2)前記積層ポリエステルフィルムの少なくとも片面の十点平均粗さ(SRz)が0.20μm以上
(3)フィルム幅方向における配向角の変化量が500mm当たり5.0°以下 - 前記積層ポリエステルフィルムが支持層(A)と、該支持層の少なくとも片面に積層された最表層(B)からなり、該最表層(B)が融点220〜250℃のポリエステルを75〜99質量部と、該ポリエステルに非相溶な添加剤を1〜25質量部含む、請求項1に記載の偏光板離型用マット調積層ポリエステルフィルム。
- 該支持層(A)は実質的に粒子を含有せず、該ポリエステルに非相溶な添加剤が透明熱可塑性樹脂である、請求項2に記載の偏光板離型用マット調積層ポリエステルフィルム。
- 前記積層ポリエステルフィルムがさらに下記要件(4)および(5)を満たす請求項1〜3のいずれかに記載の偏光板離型用マット調積層ポリエステルフィルム。
(4)150℃、30分間加熱したときの熱収縮率が長手方向および幅方向とも5.0%以下
(5)150℃、30分間加熱したときの長手方向の熱収縮率と幅方向の熱収縮率の差が1.0%以下 - 未延伸フィルムを縦方向および横方向に延伸し、熱固定を行う請求項1〜4のいずれかに記載の偏光板離型用マットポリエステルフィルムの製造方法であって、下記要件(6)および(7)を満たす偏光板離型用マット調ポリエステルフィルムの製造方法。
(6)縦延伸を4.2〜4.8倍、横延伸を4.2〜4.8倍の範囲で行うこと
(7)熱固定を20〜230℃の温度で熱固定を行うこと
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