JP5651960B2 - 偏光板離型用二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム - Google Patents

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本発明は、偏光板離型用二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムに関するものである。詳しくは、加熱処理によるヘイズ変化が少なく、優れた検査性、加工性を有する偏光板離型用二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムに関するものである。
液晶表示装置の構成部材である偏光板は、その一方の面に粘着層が設けられ、その粘着層の上に、偏光板を保護するための離型フィルムを積層した積層体の状態でロール状態に巻いて運搬或いは保管される。このような偏光板離型用フィルムの基材には、強度機能やコストの観点から、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムが広く用いられている。直鎖状の高分子が配向した構造を有する二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムは、光学的に複屈折性を示す複屈折体である。よって、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムは分子の配向方向に対して平行方向と垂直方向の直行する2本の光学軸を有する。そのため離型フィルムの基材が有する光学軸が偏光板の光学軸に対して傾斜した状態で積層されると、クロスニコル下におかれた際に透過光や干渉色を呈し、目視による欠点検査を阻害する要因となってしまう。従って、偏光板離型用二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムには、優れた光学軸精度が求められる(特許文献1)。
かかる偏光板離型用二軸延伸ポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルムは、回転速度に差を設けたロール間で長手方向に延伸された後に、テンター内でフィルムの端部を把持された状態で幅方向に延伸され、熱固定されることによって製造される。この場合、ボーイング現象によりフィルム中央部よりも端部の方が光学軸の歪み、すなわち配向主軸の歪みが大きくなるため、中央部の極限られた製品しかこの用途に用いることができなかった。
フィルムのボーイングを低減させる方法としては、幅方向延伸後に一旦ポリエステルのガラス転移温度以下に冷却した後熱処理する方法、幅方向延伸後にニップロールを設ける方法、熱処理室を複数のゾーンに分けて段階的に昇温する方法、幅方向に温度分布を設けて熱処理ゾーンに導く方法、幅方向の延伸倍率を大きくする方法などが提案されている。(特許文献2〜5)
偏光板検査工程においては、上記のような方法により光学軸の歪みを低減させたフィルムに離型加工や粘着加工などを施して偏光板離型フィルム、プロテクトフィルムを作製し、これを偏光板に積層し、クロスニコル下において偏光板の品質を目視チェックする。
特開2002−40249号公報 特開2008−246685号公報 特開2008−163263号公報 特開2005−14545号公報 特開2004−18588号公報
現在、上記特許文献に提案のフィルムが偏光板検査に用いられている。ところが、ディスプレイの大画面化は飛躍的に進展しており、37インチ、42インチの大画面ディスプレイが市場に浸透してきている。さらに、高精細化の要求により、従来問題とされなかったレベルの異物、欠点でも確実に認知する必要が生じてきた。このような、大画面ディスプレイの進展と検査精度向上の要求を満足するためには、より長幅にわたって光学軸の歪みを低減することが必要となってきた。
一方、生産性の点から検査の自動化が進んでおり、偏光板への離型フィルムの自動貼付けや、微細な異物や欠点の画像解析による同定などが行なわれている。この場合、従来の偏光板離型フィルムではコントラストの程度が低く、画像処理の際に微細な異物や欠点が見落とされる場合があった。また、張り付け作業の機械化により加工スピードが向上した場合は、離型フィルムに破れが生じる恐れがあった。
さらに、ディスプレイの大型化により処理速度が向上し、加えて生産性の向上の点から、加工速度が飛躍的にアップしている。このため、粘着加工などの後加工における熱処理温度がより高温化している。この傾向は今後もさらに進展することが予測される。これに対応するためには、高温での熱寸法安定性の優れた偏光板離型用二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムが必要となると考えられた。熱寸法安定性の良いフィルムを得るためには、フィルム製造工程における熱固定処理温度を高くすることが望ましいが、熱固定温度を高くすると、ボーイング現象がより顕著になり、光学軸精度の高いフィルムを得ることが困難となる。すなわち、長幅にわたる光学軸精度と高度な熱寸法安定性を両立することは困難であった。
また、粘着加工の後加工における熱処理温度の高温化にともない、フィルム表面に析出するオリゴマーの問題が顕在化しつつある。すなわち、高温での加工によりフィルム表面のオリゴマーの析出が増加し、析出したオリゴマーによりヘイズが高くなり品質検査の容易性を妨げることが予想された。
本発明の目的は、上記問題点を解消し、コントラスト性や耐破れ性が良好で、優れた光学軸精度と高い熱寸法安定性を備え、さらに熱処理により析出するオリゴマー量を抑制することでで、優れた検査性と加工性を有する偏光板離型用二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを提供することにある。
前記課題を解決することができる、第1の発明は、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムであって、下記構成要件(1)〜(5)を満たす偏光板離型用二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムである。
(1)150℃、30分間加熱したときの熱収縮率が長手方向および幅方向とも2.0%以下
(2)150℃、30分間加熱したときの長手方向の熱収縮率と幅方向の熱収縮率の差が1.0%以下
(3)マイクロ波透過型分子配向計で測定したMOR値が1.80〜2.10
(4)フィルム幅方向における配向角の変化量が500mm当り3.0°〜5.0°
(5)170℃、20分間の熱処理後のヘイズ変化量が0.1%以下
第2の発明は、さらに下記要件(6)および(7)を満たす前記偏光板離型用二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムである。
(6)全光線透過率が85%以上
(7)フィルム表面の3次元中心面平均表面粗さSRaが0.020μm以上、0.035μm以下
第3の発明は、下記要件(8)および(9)を満たす偏光板離型用二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの製造方法である。
(8)横延伸を120℃〜140℃の範囲で4.2〜4.8倍で行うこと
(9)熱固定を220〜230℃の温度で熱固定を行うこと
本発明の偏光板離型用二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムは、コントラスト性や耐破れ性が良好で、優れた光学軸精度、熱寸法安定性、低オリゴマー性を有する。そのため、高温での後加工処理が可能で、且つ、大画面用途の偏光板の高精度の検査、特に自動検査において好適である。
本発明のフィルムは、ポリエチレンテレフタレート系樹脂よりなる。ここで、ポリエチレンテレフタレート系樹脂は、エチレングリコールおよびテレフタル酸を主な構成成分として含有する。本発明の目的を阻害しない範囲であれば、他のジカルボン酸成分およびグリコール成分を共重合させても良い。上記の他のジカルボン酸成分としては、イソフタル酸、p−β−オキシエトキシ安息香酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ジカルボキシベンゾフェノン、ビス−(4−カルボキシフェニルエタン)、アジピン酸、セバシン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、シクロヘキサン−1、4−ジカルボン酸等が挙げられる。上記の他のグリコール成分としては、プロピレングリコール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、ビスフェノールA等のエチレンオキサイド付加物、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等が挙げられる。この他、p−オキシ安息香酸等のオキシカルボン酸成分も利用され得る。
このようなポリエチレンテレフタレート(以下、単にPETという)の重合法としては、テレフタル酸とエチレングリコール、および必要に応じて他のジカルボン酸成分およびジオール成分を直接反応させる直接重合法、およびテレフタル酸のジメチルエステル(必要に応じて他のジカルボン酸のメチルエステルを含む)とエチレングリコール(必要に応じて他のジオール成分を含む)とをエステル交換反応させるエステル交換法等の任意の製造方法が利用され得る。
また、前記ポリエチレンテレフタレートの固有粘度は、0.45から0.70の範囲が好ましい。固有粘度が0.45よりも低いと、フィルムが裂けやすくなり、0.70より大きいと濾圧上昇が大きくなって高精度濾過が困難となる。
偏光板の異物検査時の目視精度を高めるためには、フィルム後加工の熱処理工程によるフィルム表面へのオリゴマーの析出を抑制し、ヘイズ変化を小さくすることが望ましい。そのため、170℃、20分間の熱処理後のヘイズ変化量が0.1%以下であることが好ましい。170℃、20分間の熱処理後のヘイズ変化量が0.1%より大きくなると、偏光板の異物検査の容易性を阻害する場合がある。
熱処理後のヘイズ変化量を上記の範囲とするためオリゴマー含有量の少ないポリエチレンテレフタレートを用いる方法が挙げられる。フィルムのオリゴマー含有量としては、0.90質量%以下であることが望ましい。フィルムのオリゴマー含有量が0.90質量%以下であれば、高温化の処理でもオリゴマーの析出が少なく、加熱によるヘイズ変化量が上記範囲内になり好ましい。そのために、ポリエチレンテレフタレート系樹脂の製造においてオリゴマー含有量を少なくする処理を施すことが好ましい。
しかし、オリゴマー含有量を少なくする為に、後述のような処理を行うと、ポリエチレンテレフタレート系樹脂の酸化劣化が生じ、ポリエチレンテレフタレート系樹脂が黄色味を帯び、視認性が低下する場合がある。そのため、加熱前後のフィルムヘイズ変化量を上記範囲とし、且つ、フィルムの視認性を維持するためには、表層にオリゴマー含有量の少ないポリエチレンテレフタレート樹脂を用いた3層以上の層構成を有する積層構造とすることも好ましい。フィルムの層構成として、オリゴマー含有量の少ないポリエチレンテレフタレート樹脂からなるA層、それら以外のポリエチレンテレフタレート樹脂をB層、C層とすると、フィルム厚み方向の層構成は、A/B/A、A/B/C/A、あるいはA/B/C/B/A等の構成が考えられる。これらの中でも、バイメタル構成によるカールの発生を抑制すためには、A/B/A構成(2種3層構成)とすることが好ましい。
オリゴマーとは、環状三量体を主とする環状オリゴマー、線状二量体および線状三量体を主とする線状オリゴマー、テレフタル酸、テレフタル酸モノグリコールエステル等を包含するが、本発明のオリゴマーは主として環状三量体からなる。このようなオリゴマーの少ないポリエチレンテレフタレートフィルムを形成する方法としては、特に限定しないが、特開昭48−101462号公報、特開昭49−32973号公報等に開示されているように、一旦重合したチップをさらに固相で重合することにより、チップの状態でオリゴマー等の低分子量体を減少させ、これらの原料を用いて製膜する方法や、溶剤を用いてチップ中のオリゴマー等の低分子量体を除去して製膜する方法や、二軸延伸熱固定したフィルムから溶剤を用いてオリゴマー等の低分子量体を抽出除去する方法が好適である。特に前者の固相重合操作を付加する方法では、フィルムへの押出工程での温度が高く時間が長いと、熱的な平衡関係で、折角減少したオリゴマー等の低分子量体が増加してしまうことになるので、できるだけ低温でかつ短時間で押し出すことが好ましい。
本発明の偏光板離型用二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの少なくとも片面表面、好ましくは両面表面における3次元中心面平均表面粗さ(SRa)は0.020μm以上、0.035μm以下であることが好ましい。貼付け作業の自動化や高速化に対応する上で、SRaが0.020μm以上である場合は、好適な作業性(滑り性)を奏することができる。SRaの下限は、0.021μm以上がより好ましく、0.022μm以上がさらに好ましい。一方、作業性の点からは表面凹凸を付与することが好ましいが、上記SRaが0.035μmを超えると、表面凹凸によりフィルム表面で光が拡散し、偏光板検査工程において、十分なコントラストが得られない。SRaの上限は、0.032μm以下がより好ましく、0.030μm以下がさらに好ましい。
SRaを上記範囲にするためには、本発明におけるポリエチレンテレフタレート系樹脂に微粒子を添加することが好ましい。これによりフィルムの作業性(滑り性)を良好となり、貼付け加工の自動化に好適である。微粒子としては任意のものが選べるが、たとえシリカ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、アルミナ、カオリナイト、タルクなど無機粒子やその他の有機粒子が挙げられる。特に透明性・コントラスト性の観点から、樹脂成分と屈折率が比較的近い、シリカ粒子、特に不定形シリカが好適である。
一方、高い透明性・コントラスト性を得るためには、フィルムを構成するポリエチレンテレフタレートには、実質的に粒子を含有させないことが好ましい。ここで、「粒子を実質的に含有させない」とは、例えば無機粒子の場合、ケイ光X線分析で無機元素を定量した場合に50ppm以下、好ましくは10ppm以下、特に好ましくは検出限界以下となる含有量を意味する。
本発明の好ましい実施態様として、良好な透明性と安定な作業性(特に表面摩擦特性)を得るためには、多層構成を有するフィルムであって表面層にのみ微粒子を含有するポリエチレンテレフタレート層を用いることもできる。このようなフィルムとしては、中心層(B層)の両面に不活性粒子を含有する表面層(A層)が共押出法により積層されてなる多層構成(A/B/A)を有するポリエチレンテレフタレートフィルムを用いることが好ましい。表裏の表面層を構成する層は、同種であっても、異種であっても良いが、フィルムの平面性を保持する為には、表裏の表面層のポリエチレンテレフタレート樹脂は同構成とすることが望ましい。
表面層中に含まれる微粒子の平均粒径は1〜10μmが好ましく、より好ましくは1.5〜7μmの範囲であり、更に好ましくは2〜5μmの範囲である。微粒子の平均粒径が1.0μm以上であれば、表面に易滑性付与に好適な凹凸構造を付与することができ好ましい。一方、微粒子の平均粒径が10μm以下であれば、高い透明性・コントラスト性が維持されるので好ましい。また、表面層中の不活性粒子の含有量は、0.005〜0.1質量%であることが望ましく、好ましくは0.008〜0.07%である。微粒子の含有量が0.005質量%以上であれば、表面層表面に易滑性付与に好適な凹凸構造を付与することができ好ましい。一方、微粒子の含有量が0.1質量%以下であれば、高い透明性・コントラスト性が維持されるので好ましい。
なお、上記の粒子の平均粒径の測定は下記方法により行う。
粒子を走査型電子顕微鏡(SEM)で写真を撮り、最も小さい粒子1個の大きさが2〜5mmとなるような倍率で、300〜500個の粒子の最大径(最も離れた2点間の距離)を測定し、その平均値を平均粒径とする。
表面層に粒子を含有する(A/B/A)の2種3層構成の場合は、片面における表面層の厚さは、0.5〜10μmが好ましく、1〜5μmがより好ましい。表面層の厚みが上記範囲を超える場合は、フィルムのヘイズが低下する場合がある。
また、本発明のフィルムの厚みは特に制限されるものではなく任意であるが、9〜300μmであることが好ましく、12〜100μmの範囲であることがより好ましく、14〜50μmがよりさらに好ましい。厚さが300μmをこえるとコスト面で問題があり、またリターデーションが大きくなり、クロスニコル化での視認性が低下しやすくなる。また、厚さが9μmに満たない場合は、機械的特性が低下し、保護フィルムとしての機能が果たせない。
高精細化に対応して偏光板の検査精度が向上している。そのため、離型用フィルムとしては透明性が高いことが望ましい。そのため、本発明の偏光板離型用二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムにおける光線透過率は85%以上が好ましく、87%以上がより好ましく、89%以上が更に好ましい。偏光板検査工程での検査精度向上のためには、光線透過率は高ければ高いほど良いが、易滑り性のために粒子を含有したポリエチレンテレフタレートフィルムにおいては100%の光線透過率は技術的に達成困難であり、実質的な上限は91%である。
また、自動検査において異物の存在を際立たさせ、より検査精度を得るためには、高いコントラストを得ることが望ましい。そのため、本発明の偏光板離型用二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムにおけるヘイズは5%以下であることが好ましく、4%以下であることがより好ましく、3%以下であることがさらに好ましい、2%以下であることがよりさらに好ましい。高いコントラストを得るためには、ヘイズは低い方が好ましいが、易滑り性のために粒子を含有したポリエチレンテレフタレートフィルムにおいては1%が下限であると思われる。なお、上記ヘイズおよび全光線透過率は、JIS−K7105に準じ、濁度計を使用して、測定することができる。
従来、特許文献1のように、クロスニコル下での目視検査性において干渉色の発生を抑制し検査性を向上させるため、フィルムの光学軸の歪みを低減させることが行なわれていた。しかしながら、このように光学軸精度を向上させたフィルムであっても、画像検査に必要なコントラストが得られない場合があった。そこで、本願発明者は鋭意検討した結果、単に光学軸の機械軸からの歪みを低減させるだけでは十分でなく、2つの機械軸における配向度合いがコントラスト向上に重要であることを見出した。そこで、本発明の偏光板離型用二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムにおけるMOR値は1.80以上であることが好ましく、1.85以上であることがより好ましく、1.90以上であることがさらに好ましい。MOR(Maximum Oriented Ratio)値とは、透過型分子配向計で測定された透過マイクロ波強度の最大値と最小値の比(最大値/最小値)である。このMOR値は、縦方向と横方向の配向差が小さくバランスしたフィルムほど小さくなり、いずれか一方向の配向強度が強いほど大きくなる。
MOR値がコントラスト性に及ぼす作用については良く分からないが、以下のように考えている。すなわち。配向主軸が機械軸と精度よく一致した場合であっても、配向主軸の90度方向の配向度合いが比較的強い場合は、偏光光線の進路を遮断され、結果としてコントラスト性が低下するものと考えられる。そこで、MOR値が1.80以上である場合は、配向主軸方向の配向強度が強くなり、偏光光線が効率よく通過するので、コントラスト性の向上につながると考えられる。
そのため検査精度を上げるためには、MOR値は高い方が好ましいが、2.10を超えると配向主軸と直交方向の配向強度が弱まるため、フィルムが一方向に裂けやすくなり、耐破れ性が低下する。そのため、検査時にフィルム破断、走行性不良の問題が発生しやすくなる。そのため、MOR値の上限は2.10以下であり、好ましくは2.08以下、より好ましくは2.05以下である。
本発明の偏光板離型用二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムは、フィルム幅方向における配向角の変化量が500mm当り3.0°〜5.0°の範囲である。5.0°を超えると一様な光学軸精度が得られず、干渉色の発生により検査性が低下し、高精度の検査に用いることができない。フィルム幅方向における500mm当りの配向角の変化量の上限は、4.8°以下が好ましく、4.5°以上がより好ましい。一方、配向角の変化量は低い方が好ましいが、前述のようにフィルムは製膜加工でのボーイング現象により、中央部から端にかけて配向に歪みが生じる。そのため、フィルム幅方向にそって光学軸の傾きが生じやすい。そのため、大画面用途の偏光板の高精度の検査に好適な高い熱安定性との両立を図るために、実質的に、フィルム幅方向における500mm当りの配向角の変化量の下限は3.0°であり、好ましくは3.5°、より好ましくは4.0°である。
本発明の偏光板離型用二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムは、高温での後加工においても高い熱寸法安定性を有する。本発明のフィルムにおける150℃で30分間加熱したときの熱収縮率は長手方向および幅方向とも2.0%以下であり、より好ましくは、1.5%以下である。前記熱収縮率が2.0%以下であると、150℃以上の高温熱処理加工であっても高い寸法安定性が得られるので、生産性の向上に著しく寄与しえる。上記熱収縮率は低いことが好ましいが、製造上の点から0.5%程度が下限と考える。
また、本発明の偏光板離型用二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムは150℃、30分間加熱したときの長手方向の熱収縮率と幅方向の熱収縮率の差が1.0%以下であり、より好ましくは0.8%以下、さらに好ましくは0.5%以下である。本発明のフィルムは上記のように熱寸法安定性に優れる上、長手方向および幅方向でほぼ同等でバランスのとれた熱収縮率を有するため、加熱処理によってもシワや厚み斑が生じにくく、大画面の偏光板での欠点検査に極めて適している。
本発明の偏光板離型用二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムにおける製造方法について説明する。ポリエチレンテレフタレートのペレットを用いた代表例について詳しく説明するが、当然これに限定されるものではない。
まず、フィルム原料乾燥あるいは熱風乾燥によって、水分率が100ppm未満となるように乾燥する。次いで、各原料を計量、混合して押し出し機に供給し、シート状に溶融押出を行う。さらに、溶融状態のシートを、静電印加法を用いて回転金属ロール(キャスティングロール)に密着させて冷却固化し、未延伸PETシートを得る。
また、溶融樹脂が280℃に保たれた任意の場所で、樹脂中に含まれる異物を除去するために高精度濾過を行う。溶融樹脂の高精度濾過に用いられる濾材は、特に限定はされないが、ステンレス焼結体の濾材の場合、Si、Ti、Sb、Ge、Cuを主成分とする凝集物及び高融点有機物の除去性能に優れ好適である。
表面層(A層)と中間層(B層)とを共押出し積層する場合は、2台以上の押出し機を用いて、各層の原料を押出し、多層フィードブロック(例えば角型合流部を有する合流ブロック)を用いて両層を合流させ、スリット状のダイからシート状に押出し、キャスティングロール上で冷却固化せしめて未延伸フィルムを作る。あるいは多層フィードブロックを用いる代わりにマルチマニホールドダイを用いても良い。
次に、前記の方法で得られた未延伸フィルムを逐次二軸延伸もしくは同時二軸延伸を行い、次いで熱処理を行う
特許文献2〜5に開示されているように、これまで光学的な軸精度を高める方法が提案されている。しかしながら、前述のように上記開示の方法では、コントラスト性と耐破れ性との両立、および光学的な軸精度と熱寸法安定性との両立を図ることは困難であった。そこで、本願発明者は鋭意検討を行なった結果、以下のような延伸方法を行なうことにより、二律背反する特性を高度に両立させるに至った。
(1)縦方向、横方向の延伸倍率の制御
MOR値を上記範囲にするためには、縦方向および横方向の延伸倍率を制御することが好ましい。
本発明における偏光板離型用二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを得るためには2.0〜3.0倍の範囲で縦方向延伸を行うことが好ましく、より好ましくは2.6〜2.9倍である。縦延伸倍率が2.0倍以上では、耐破れ性を奏する上で好ましく、加えて流れ方向の厚み変動が小さくなり好ましい。また、3.0倍以下であるとコントラスト性の向上及び配向主軸の変化量が小さくなり好ましい。
一方、本発明における偏光板離型用二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを得るためには4.2〜4.8倍の範囲で幅方向延伸を行うことが望ましい。横延伸倍率が4.2倍以上では、コントラスト性の向上により目視検査性が良好であるため好ましい。4.8倍以下であると耐破れ性が維持され、破断の頻度が少なくなり好ましい。
なお、フィルムの耐破れ性は、引張弾性率を測定することにより評価することができる。具体的には、フィルムの縦方向もしくは横方向の引張弾性率のいずれか小さい方が80%以上であることが好ましく、100%以上であることがより好ましい。引張弾性率が80%以上であれば、離型フィルムのリワーク作業においてもフィルムの破れが生じにくい。
(2)熱固定温度の制御
これまで、光学的な軸精度を保持するために、比較的低温での熱固定処理が推奨されている。しかしながら、軸精度と熱寸法安定性の両立を図るためには、本願発明では熱固定処理工程の温度は220℃以上230℃以下が好ましい。熱固定処理の温度が220℃以上では、熱収縮率の絶対値が小さくなり好ましい。また、熱固定処理の温度が230℃以下であると、フィルムが不透明になり難く、また破断の頻度が少なくなり好ましい。
熱固定処理で把持具のガイドレールを先狭めにして、弛緩処理することは熱収縮率、特に幅方向の熱収縮率の制御に有効である。弛緩処理する温度は熱固定処理温度からポリエチレンテレフタレートフィルムのガラス移転温度Tgまでの範囲で選べるが、好ましくは(熱固定処理温度)−10℃〜Tg+10℃である。この幅弛緩率は1〜6%が好ましい。1%未満では効果が少なく、6%以下であるとフィルムの平面性の点で好ましい。
本発明のフィルムは上記方法により製造しるものであるが、上記技術思想の範囲であれば、上記具体的に開示された方法に限定されるものはない。本発明のフィルムを製造する上で重要なのは、上記技術思想に基づき、縦延伸、横延伸、熱固定を極めて狭い範囲で高精度の制御をすることである。
さらに他の製造方法について述べる。フィルムを二軸方向に延伸する方法としては、同時二軸延伸や、得られた未延伸シートを、ロールあるいは、テンター方式の延伸機により長手方向に延伸した後に、一段目の延伸方向と直交する幅方向に延伸を行う方法を挙げることができる。長手方向の延伸温度は、75〜110℃である必要がある。長手方向の延伸温度が75℃以下では、フィルムが破断し、安定して生産が行えない。また、110℃以上では、得られたフィルムに厚み斑が生じ、偏光板離型用途として利用することができ
次に、本発明の効果を実施例および比較例を用いて説明する。まず、本発明で使用した特性値の評価方法を下記に示す。
[評価方法]
(1)光線透過率、ヘイズ
JIS K 7105「プラスチックの光学的特性試験方法」ヘーズ(曇価)に準拠して測定した。測定器には、日本電色工業社製NDH−300A型濁度計を用いた。
(2)ヘイズ変化量(△ヘイズ)
フィルムの加熱処理前のヘイズ値(A)と、170℃の雰囲気中のオーブンに入れ、無荷重下で170±3℃で20分加熱処理した後のヘイズ値(B)をJIS K 7105「プラスチックの光学的特性試験方法」ヘーズ(曇価)に準拠して測定する。以下の式よりヘイズ変化量を求め、下記分類にて評価した。
ヘイズ変化量(△ヘイズ)(%)=(B)−(A)
<ヘイズ変化量 分類基準>
○:ヘイズ変化量が0.1%以下である
×:ヘイズ変化量が0.1%を超える
(3)オリゴマー含有量
PET樹脂を0.1gに秤量し、1,1,1,3,3,3―ヘキサフルオロ―2―プロパノール/クロロホルム(2/3(容量比))の混合溶媒3mlに溶解する。得られた溶液にクロロホルム20mlを加えて均一に混合する。得られた混合液にメタノール10mlを加え、線状ポリエステルを再沈殿させる。次いで、この混合液を濾過し、沈殿物をクロロホルム/メタノール(2/1(容量比))の混合溶媒30mlで洗浄し、さらに濾過する。得られた濾液をロータリーエバポレーターで濃縮乾固する。濃縮乾固物にジメチルホルムアミド10mlを加え、環状オリゴマー測定溶液とする。この測定溶液を横河電機(株)社製LC100型の高速液体クロマトグラフィーを使用して定量する。
(4)加熱収縮率
JIS C 2318−1997 5.3.4(寸法変化)に準拠して測定した。測定すべき方向に対し、フィルムを幅10mm、長さ250mmに切り取り、200mm間隔で印を付け、5gfの一定張力下で印の間隔(A)を測定する。次いで、フィルムを150℃の雰囲気中のオーブンに入れ、無荷重下で150±3℃で30分間加熱処理した後、5gfの一定張力下で印の間隔(B)を測定する。以下の式より熱収縮率を求めた。
熱収縮率(%)=(A−B)/A×100
(5)3次元中心面平均表面粗さ(SRa)
フィルムの表面を触針式三次元表面粗さ計(株式会社小坂研究所社製、SE−3AK)を用いて、針の半径2μm、荷重30mg、針のスピード0.1mm/秒の条件下で、フィルムの長手方向にカットオフ値0.25mmで、測定長1mmにわたって測定し、2μmピッチで500点に分割し、各点の高さを三次元粗さ解析装置(株式会社小坂研究所社製、TDA−21)に取り込ませた。これと同様の操作をフィルムの幅方向について2μm間隔で連続的に150回、即ちフィルムの幅方向0.3mmにわたって行い、解析装置にデータを取り込ませた。次に、前記解析装置を用いて、三次元平均表面粗さSRaを求めた。SRaの単位はμmである。なお、測定は3回行い、それらの平均値を採用した。
(6)MOR値
MOR値の測定は、王子計測器株式会社製、MOA−6004型分子配向計を用いて行った。測定するポイントはフィルムの幅方向における中央部のポイント及びその中央部とフィルム両端部と結ぶ端部側の1/5のポイントの合計3ヶ所である。つまりフィルムの幅方向の直線における一方の端部からの10%、50%、90%の距離の3ヶ所のポイントにおいてMOR値が測定される。
(7)分子鎖主軸の配向角(θ)、光学主軸の傾斜角(ξ)
フィルム幅において、端縁を0%とし、他の端縁を100%とする。該フィルム幅の10%に相当する領域から90%に相当する領域について、幅方向に100mmピッチで連続してn個の100mm四方の正方形のフィルムサンプルを切り出した。該正方形のフィルムサンプルは長手方向、又は幅方向のいずれかの軸を基準に直角に切り出した。各フィルムサンプルについて、王子計測器株式会社製、MOA−6004型分子配向計を用いて、フィルム長手方向に対する分子鎖主軸の配向角(θi)、及び下記式によって定義される機械軸方向(長手方向、または幅方向のいずれか)に対する光学主軸の傾斜角(ξi)を測定した。
|θ|≦45度のとき ξ=|θ|
|θ|>45度のとき ξ=|90度−|θ||
(8)配向角の変化量
上記フィルムサンプルより測定した光学主軸の傾斜角のうち、最大値を光学主軸の最大傾斜角(ξmax)、最小値を最小傾斜角(ξmin)とした。
最大傾斜角を得た測定位置をLmax(mm)、最小傾斜角を得た測定位置をLmin(mm)とした場合に、500mmあたりの配向角の変化量は下記式で表すことができる。
(配向角の変化量)=(ξmax−ξmin)/(Lmax−Lmin)×500
(9)耐破れ性
得られたフィルムを幅10mmに裁断し、JIS−K−7127(2000)に準拠し、株式会社オリエンテック製「テンシロン万能試験機RTA−T−4M」を用い、初期長50mm、引張速度200mm/分として引張試験を行った。当該引張試験により得られた応力−歪み曲線の最初の直線部分を用い、直線上の2点間の応力の差を同じ2点間の歪みの差によって除すことにより、引張弾性率を得た。当該測定は、温度23±2℃、相対湿度50±15%RHに調整された標準環境下にて行い、縦方向及び横方向について測定した。縦方向もしくは横方向の引張弾性率について何れか小さい方の値が80%以上のものは耐破れ性を○とし、80%未満のものは耐破れ性を×とした。
(10)熱しわ判定法
得られたフィルムの片面に下記シリコーン塗布液を加工張力10kg/mを印可した状態でダイコート方式でシリコーンを塗布し、120℃のオーブンで乾燥させた。
(シリコーン塗布液)
硬化性シリコーン(KS847H、信越化学) 100質量部
硬化剤(CAT PL−50T、信越化学) 2質量部
希釈剤 メチルエチルケトン/キシレン/メチルイソブチルケトン 898質量部
得られたシリコ−ン塗布後のサンプルをロ−ルからカットして、平坦なテ−ブルの上に5mの長さを広げて、塗布面に蛍光灯の光を反射させて下記評価方法により熱しわの有無を確認する。
○:熱しわは全く見られず良好。
△:全面に熱しわは見られないが部分的に熱しわがみられる。
×:全面に熱しわが確認できる。
(11)検査性
(10)で得られた離型フィルムを幅方向が偏光フィルムの配向軸と平行となるように、粘着剤を介して離型フィルムを偏光フィルムに密着させ偏光板とした。白色光源とカメラの間に、2枚の偏光板をクロスニコルに配置し、その間に離型フィルムを密着させた偏光板を配置した。光源として180Wのメタハラ伝送ライト、カメラとして55mmマクロレンズを備えた5000画素ラインカメラを用いた。サンプルを5m/minで移動させながら検査範囲(12×7cm)について異物検査を行った。カメラからの画像信号は画像処理装置で処理し、検出された50μm以上の欠点を測定した。同様のサンプルを検査範囲(12×7cm)についてクロスニコル下で同様に50μm以上の欠点を測定した。得られた結果から以下のようにして検査性を評価した。
○:コントラストが良好で目視結果と自動検査結果が同等(目視検査の欠点数の98%
以上を自動検出)、かつ、自動検査時の滑り性が良好
△:目視結果と自動検査結果がほぼ同等(目視検査の欠点数の98%未満を自動検出
×:干渉斑の発生
以下の実施例および比較例で用いたポリエチレンテレフタレート樹脂の製造方法は次の通りである。
(1)PET樹脂(a)の製造
エステル化反応缶を昇温し、200℃に到達した時点で、テレフタル酸を86.4質量部及びエチレングリコールを64.4質量部からなるスラリーを仕込み、攪拌しながら触媒として三酸化アンチモンを0.017質量部及びトリエチルアミンを0.16質量部添加した。次いで、加圧昇温を行いゲージ圧3.5kgf/cm、240℃の条件で、加圧エステル化反応を行った。その後、エステル化反応缶内を常圧に戻し、酢酸マグネシウム4水和物0.071質量部、次いでリン酸トリメチル0.014質量部を添加した。さらに、15分かけて260℃に昇温し、リン酸トリメチル0.012質量部、次いで酢酸ナトリウム0.0036質量部を添加した。15分後、得られたエステル化反応生成物を重縮合反応缶に移送し、減圧下260℃から280℃へ徐々に昇温し、285℃で重縮合反応を行った。
重縮合反応終了後、95%カット径が5μmのナスロン製フィルターで濾過処理を行い、ノズルからストランド状に押出し、予め濾過処理(孔径:1μm以下)を行った冷却水を用いて冷却、固化させ、ペレット状にカットした。得られたPET樹脂(a)は、融点が257℃、固有粘度が0.616dl/g、オリゴマー含有量が0.97質量%、不活性粒子及び内部析出粒子は実質上含有していなかった。
(2)PET樹脂(b)の製造
添加剤としてシリカ粒子(富士シリシア化学株式会社製、サイリシア310)を2000ppm含有したポリエチレンテレフタレートをPET樹脂(a)と同様の製法で作成した。
(3)PET樹脂(c)の製造
PET樹脂(a)を、予め160℃で予備結晶化させた後、温度220℃の窒素雰囲気下で固相重合し、固有粘度0.632dl/g、オリゴマー含有量0.26質量%のPET樹脂(c)を得た。
(4)PET樹脂(d)の製造
PET樹脂(b)を、予め160℃で予備結晶化させた後、温度220℃の窒素雰囲気下で固相重合し、固有粘度0.632dl/g、オリゴマー含有量0.26質量%のPET樹脂(d)を得た。
実施例1
(1)偏光板離型用二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの製造
表面層(A)の原料として、PET樹脂(c)50質量部と、PET樹脂(d)50質量部とをペレット混合し、135℃で6時間減圧乾燥(1Torr)した後、押出機1に供給した。また、中間層(B)層の原料としてPET樹脂(c)を135℃で6時間減圧乾燥(1Torr)した後、押出機2に供給した。押出機2、及び押出機1に供給された各原料を、押出機の溶融部、混練り部、ポリマー管、ギアポンプ、フィルターまでの樹脂温度は280℃、その後のポリマー管では275℃とし、3層合流ブロックを用いてA/B/Aとなるように積層し、口金よりシート状に溶融押し出した。なお、A層とB層との厚み比率は、A/B/A=8/84/8となるように、各層のギアポンプを用いて制御した。また、前記のフィルターには、いずれもステンレス焼結体の濾材(公称濾過精度:10μm粒子を95%カット)を用いた。また、口金の温度は、押出された樹脂温度が275℃になるように制御した。
そして、押し出した樹脂を、表面温度30℃の冷却ドラム上にキャスティングして静電印加法を用いて冷却ドラム表面に密着させて冷却固化し、厚さ480μmの未延伸フィルムを作成した。
得られた未延伸シートを、78℃に加熱されたロール群でフィルム温度を75℃に昇温した後、赤外線ヒータで105℃に加熱し、周速差のあるロール群で、長手方向に2.8倍に延伸した。
次いで、得られた一軸延伸フィルムをクリップで把持し、横延伸を行った。TD1の横延伸温度は120℃、横延伸倍率は4.5倍とした。次いで、228℃で15秒間の熱処理を行い、200℃で3%の弛緩処理を行い、偏光板離型用二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを得た。得られたフィルム物性を表2に示す。
本実施例により得られた二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムは、高温での熱寸法安定性に優れるのみならず、優れた偏光板検査性を兼ね備え、大画面用途の偏光板製造工程において、高精度の検査に好適に使用し得るフィルムであった。
実施例2
中間層(B)層の原料をPET樹脂(a)に変更する以外は実施例1に記載と同様の方法にてフィルムを得た。得られたフィルム物性を表2に示す。本実施例により得られた二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムは中間層に低オリゴマー性の樹脂を用いなくてもヘイズ変化量を抑制することができており、優れた偏光検査性を達成した。
実施例3
縦延伸倍率を2.6倍に変更する以外は実施例1に記載と同様の方法にてフィルムを得た。得られたフィルム物性を表2に示す。本実施例により得られた二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムは配向角変動を抑制し、MOR値が大きいことにより、更に優れた偏光板検査性を達成した。
実施例4
縦延伸倍率を2.9倍に変更する以外は実施例1に記載と同様の方法にてフィルムを得た。得られたフィルム物性を表2に示す。本実施例により得られた二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムは配向角変動、MOR値が若干悪化したが、高精度の検査に好適に使用し得るフィルムであった。
実施例5〜10
実施例1においてA層、B層で使用したPET樹脂とその配合、および製膜条件を表1に示す通りに変更した以外は、実施例1と同様の方法にてフィルムを得た。得られたフィルム物性を表2に示す。
実施例11、12
表1に示す通りに変更した以外は実施例1に記載と同様の方法にてフィルムを得た。得られたフィルムの物性を表2に示す。本実施例により得られた二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムは、ヘイズが高く、検査時のコントラストがやや低下した。
実施例13
表1に記載の条件変更以外は、実施例1と同様の方法にて作成した。得られたフィルム物性を表2に示す。本実施例により得られた二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムは、滑り性が不良で、製膜工程中で微小キズが発生した。
比較例1、2
表1に示す通りに変更した以外は実施例1に記載と同様の方法にてフィルムを得た。得られたフィルムの物性を表2に示す。本実施例により得られた二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムは高温での寸法安定性に優れるが、熱処理後のヘイズ変化量が大きく、偏光板検査性に劣るものであった。
比較例3
表1に示す通りに変更した以外は実施例1に記載と同様の方法にてフィルムを得た。得られたフィルムの物性を表2に示す。本実施例により得られた二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムは高温での寸法安定性に劣り、大画面用途の偏光板製造工程において、高精度の検査に使用することができなかった。
比較例4
表1に示す通りに変更した以外は実施例1に記載と同様の方法にてフィルムを得た。得られたフィルムの物性を表2に示す。本実施例により得られた二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムはMOR値が低く、配向角変動が大きいため偏光板検査性に劣るものであった。
比較例5
表1に示す通りに変更した以外は実施例1に記載と同様の方法にてフィルムを得た。得られたフィルムの物性を表2に示す。本実施例により得られた二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムは、高温での寸法安定性に劣り、MOR値も小さいため偏光板検査性に劣るものであった。
比較例6
表1に記載の条件変更以外は、実施例1と同様の方法にて作成した。得られたフィルム物性を表2に示す。本実施例により得られた二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムは、フィルムが一方向に裂けやすく、耐破れ性が低いものであった。
Figure 0005651960
Figure 0005651960
本発明の偏光板離型用二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムは、大型液晶表示装置の構成部材である偏光板に貼り付けて使用することができ、クロスニコル下での欠点検査にも好適である。

Claims (3)

  1. 二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムであって、下記構成要件(1)〜(5)を満たす偏光板離型用二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム。
    (1)150℃、30分間加熱したときの熱収縮率が長手方向および幅方向とも2.0%以下
    (2)150℃、30分間加熱したときの長手方向の熱収縮率と幅方向の熱収縮率の差が1.0%以下
    (3)マイクロ波透過型分子配向計で測定したMOR値が1.80〜2.10
    (4)フィルム幅方向における配向角の変化量が500mm当り3.0°〜5.0°
    (5)170℃、20分間の熱処理後のヘイズ変化量が0.1%以下
  2. 前記二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムであって、さらに下記要件(6)および(7)を満たす請求項1に記載の偏光板離型用二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム。
    (6)全光線透過率が85%以上
    (7)フィルム表面の3次元中心面平均表面粗さSRaが0.020μm以上、0.035μm以下
  3. 未延伸フィルムを縦方向および横方向に延伸し、熱固定を行う請求項1または2に記載の偏光板離型用二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの製造方法であって、下記要件(8)および(9)を満たす偏光板離型用二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの製造方法。
    (8)横延伸を120℃〜140℃の範囲で4.2〜4.8倍で行うこと
    (9)熱固定を220〜230℃の温度で熱固定を行うこと
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