JP2009235231A - 離型用ポリエステルフィルム - Google Patents
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Abstract
【課題】
光学用途部材、特に偏光板に用いられる離型フィルムおよび偏光板保護フィルムとして好適な、表層におけるオリゴマー起因の異物が少なく、配向角の変動が小さく、さらには引裂伝播抵抗が特定範囲で取り扱い性に優れたポリエステルフィルムを提供する。
【解決手段】
配向角が10°以下で、かつ配向角の変動が幅方向1mあたり5°以下であり、エレメンドルフ引裂伝播抵抗が長手方向および幅方向ともに5N/mm以上であるポリエステルフィルムであり、
かつ150℃で30分間加熱処理後のフィルムの少なくとも一方のフィルム表面において、大きさ15μm2以上20μm2未満のオリゴマー欠点が5000個/mm2以下、大きさ20μm2以上のオリゴマー欠点が1000個/mm2以下である離型用ポリエステルフィルム。
【選択図】なし
光学用途部材、特に偏光板に用いられる離型フィルムおよび偏光板保護フィルムとして好適な、表層におけるオリゴマー起因の異物が少なく、配向角の変動が小さく、さらには引裂伝播抵抗が特定範囲で取り扱い性に優れたポリエステルフィルムを提供する。
【解決手段】
配向角が10°以下で、かつ配向角の変動が幅方向1mあたり5°以下であり、エレメンドルフ引裂伝播抵抗が長手方向および幅方向ともに5N/mm以上であるポリエステルフィルムであり、
かつ150℃で30分間加熱処理後のフィルムの少なくとも一方のフィルム表面において、大きさ15μm2以上20μm2未満のオリゴマー欠点が5000個/mm2以下、大きさ20μm2以上のオリゴマー欠点が1000個/mm2以下である離型用ポリエステルフィルム。
【選択図】なし
Description
本発明は、光学用途部材に使用されるポリエステルフィルムに関するものであり、特に、偏光板用の離型フィルムまたは偏光板保護フィルムに使用される異物欠点の少ないポリエステルフィルムに関するものである。
近年、携帯電話やパーソナルコンピューターの急速な普及に伴い、従来型のディスプレイであるCRTに比べ薄型軽量化、低消費電力、高画質化が可能である液晶ディスプレイ(LCD)の需要が著しく伸びており、LCDの大画面化についてもその技術の成長は著しい。
LCDにおいては、ディスプレイ中における微小な輝点も問題となることが多く、製造工程における異物の混入を防ぐことや、異物混入時の欠点検出精度の向上が重要となっている。
たとえば、偏光板の欠陥検査としてはクロスニコル法による目視検査が一般的である。このクロスニコル法は2枚の偏光板をその配向主軸を直交させて消光状態とし、異物や欠陥があればそこが輝点として現れるので、欠点検査ができるという方法である。偏光板には粘着剤層を介して離型フィルムが貼り付けられているが、このとき、離型フィルムとしてポリエステルフィルムが用いられるとクロスニコル状態を乱し検査に支障をきたす上、ポリエステルフィルム中に異物が存在すると、これが輝点となり偏光板自体の欠点であるか見分けがつかないため偏光板の歩留まりを悪化させる原因となる。
また、離型フィルム表面に存在しているオリゴマーが粘着剤層に転写して、離型フィルム剥離後も偏光板に残留して輝点となり問題となることがある。
さらに、離型剤塗布、粘着剤塗布の過程で、ポリエステルフィルムが熱を受けるため、オリゴマーがフィルム表面に析出し、これが工程中のロールを汚すことがある。この工程ロールの汚れが粘着剤に凹み状の欠点をつくり、偏光板と貼り合わせた際に気泡となり欠点となるため、歩留まり低下の一因となる。
そこで、偏光板離型フィルムの光学特性を検討し、光漏れを防ぐために配向角を特定値以下とすることが好ましいという提案が特許文献1にて例示されており、製造されるフィルム幅の中央部20%程度のみを用いるのが好ましいとされている。通常の二軸延伸法、すなわち縦延伸につづいてテンターによる横延伸を行う方法においては、製品フィルムの幅方向の物性を均一にすることは極めて困難であり、テンター内で横延伸した後に行う熱処理工程において生じるボーイング現象が原因となっている。このボーイング現象はフィルム長手方向におけるポアソン比に基づく収縮率および熱収縮力などに起因して発生するものと考えられており、このボーイング現象がフィルムの幅方向の物性、特に配向角分布などの光学特性、機械的特性、温度膨張率、熱膨張率あるいは熱収縮率を不均一にする原因となっている。ここで配向角とは、フィルム幅方向に対する配向主軸の傾きである。
さらに、配向角の特定値とすることと併せ、上記オリゴマー起因の異物を減少する提案がされている(特許文献2,3,4)。
しかしながら、これらの製造法を持ってオリゴマー異物欠点の減少、配向角の特定をもっても、精密化、薄膜化に対応した離型用フィルムとして十分に満足できるものでなく、さらなる特性の改善が望まれていた。
特開2004−237451号公報
特開2005−178163号公報
特開2004−177718号公報
特開2004−177719号公報
本発明は上記実情に鑑みなされたものであって、その解決課題は、光学用途部材、特に偏光板に用いられる離型フィルムおよび偏光板保護フィルムとして好適な、表層におけるオリゴマー起因の異物が少なく、配向角の変動が小さく、さらには引裂伝播抵抗が特定範囲で取り扱い性に優れたポリエステルフィルムを提供することにある。
上記課題について鋭意検討した結果、表面におけるオリゴマー起因異物の減少、配向角の変動を小さくすることによる光学的欠点の減少、均一性の向上に加え、引裂伝播抵抗を特定範囲にすることにより取り扱い性と両立した、離型フィルムおよび偏光板保護フィルムとして好適なフィルム特性を達成出来ることを見出したものである。
すなわち、本発明は、配向角が10°以下で、かつ配向角の変動が幅方向1mあたり5°以下であり、エレメンドルフ引裂伝播抵抗が長手方向および幅方向ともに5N/mm以上であるポリエステルフィルムであり、
かつ150℃で30分間加熱処理後のフィルムの少なくとも一方のフィルム表面において、大きさ15μm2以上20μm2未満のオリゴマー欠点が5000個/mm2以下、大きさ20μm2以上のオリゴマー欠点が1000個/mm2以下である離型用ポリエステルフィルム。
かつ150℃で30分間加熱処理後のフィルムの少なくとも一方のフィルム表面において、大きさ15μm2以上20μm2未満のオリゴマー欠点が5000個/mm2以下、大きさ20μm2以上のオリゴマー欠点が1000個/mm2以下である離型用ポリエステルフィルム。
本発明によれば、通常使用されている条件を特に大幅に変更することなくオリゴマー析出を抑制できるポリエステルフィルムを製造することができ、かつその後の加工で受ける熱履歴により生じるオリゴマーの析出を抑制することができるので、加工工程中のロール汚れによる欠点の発生を抑えることができ、加工工程の生産性向上に貢献できるとともに、オリゴマー起因異物による光学欠点を減少することができる。さらに、配向角の変動を少なくすることにより、クロスニコル法の検査において光学的異方性による障害を抑制することが可能となる。さらに、加えて、取り扱い性に優れた、離型用フィルムを提供できる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明におけるポリエステルフィルムとは、分子配向により高強度フィルムとなるポリエステルであれば特に限定しないが、主としてポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレートからなることが好ましい。特に好ましくは価格的にも優位なポリエチレンテレフタレートである。エチレンテレフタレート以外のポリエステル共重合体成分としては、例えばジエチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、ポリエチレングリコール、p−キシリレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノールなどのジオール成分、アジピン酸、セバシン酸、フタル酸、イソフタル酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸などのジカルボン成分、トリメリット酸、ピロメリット酸などの多官能ジカルボン酸成分、p−オキシエトキシ安息香酸などが目的とするフィルム物性を阻害しない範囲で使用できる。
上記ポリエステルは公知の方法で製造することができ、酸化アンチモン、ゲルマニウム、チタン化合物などの重合触媒を用いることによって製造される。製造方法として、ポリエチレンテレフタレートの例では、アルキルエステル、すなわちジメチルテレフタレート(DMT)とエチレングリコール(EG)とのエステル交換後、真空下で重縮合する方法、あるいは直接テレフタル酸(TPA)とEGのエステル化後、重縮合する方法のいずれで合っても良い。本発明に使用されるポリエステルは固有粘度が0.4〜0.9、好ましくは0.5〜0.7、さらに好ましくは0.55〜0.65である。
さらに本発明のポリエステルフィルムを生産する際には、オリゴマー含有量の少ないポリエステルを使用するが、上記のごとく得られた通常の生産に利用される固有粘度0.55〜0.70、さらに好ましくは固有粘度0.55〜0.65のポリエステルを粒状のペレット状態で、不活性ガス、好ましくは流通窒素雰囲気下で、少なくとも10時間以上、好ましくは15時間加熱することで達成できる。
この際、加熱温度を220℃以下、200℃以下に調節することがさらに好ましい。220℃を超えると、時間の経過とともに重縮合反応が進行し固有粘度が上昇するので好ましくない。オリゴマーの含有量の少ないポリエステルについても、通常のポリエステルと同じレベルの固有粘度のポリエステルを用いることが極めて有効である。
さらに、オリゴマー含有量は0.5質量%以下とすることが好ましい。0.4質量%以下であるとさらに好ましい。ポリエステル、すなわちポリエチレンテレフタレート中に低重合体、線状重合体、環状低重合体を含有しているが、環状3量体が主体であり、前述のとおり、不活性ガス、好ましくは窒素気流下で前述の温度下で加熱処理することにより、オリゴマーを脱離することが可能である。処理後のオリゴマー含有量は処理時間を調節ことにより目標の値が得られる。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、少なくともポリエステルA層およびポリエステルB層からなる積層フィルムであることが好ましい。A/Bの2層であっても、3層の場合、フィルム表裏で構成が異なるA/C/Bの3層であっても良いが、製造工程の簡略性からA/B/Aの3層が有利である。
本発明のフィルムの総厚みは、好ましくは20〜100μm、さらに好ましくは30〜45μmである。また、A/Bの2層、A/B/Aの3層における最表層A層の積層厚さは0.2〜2μmが好ましく、さらに、0.8〜1.5μmであるとさらに好ましい。
積層厚さが0.2μm未満であると、積層部に含有している不活性粒子の脱落が懸念され、また、オリゴマーの表面への析出抑制効果が劣ってくる。積層厚さが2μmを超えると、積層部に含有している不活性粒子による表面突起形成の均一性が劣ってくる。
積層厚さが0.2μm未満であると、積層部に含有している不活性粒子の脱落が懸念され、また、オリゴマーの表面への析出抑制効果が劣ってくる。積層厚さが2μmを超えると、積層部に含有している不活性粒子による表面突起形成の均一性が劣ってくる。
さらに、積層部A層(最表層)を構成するポリエステルのオリゴマー含有量は0.5質量%以下とすることが好ましい。0.4質量%以下であるとさらに好ましい。このようにオリゴマー含有量の少ない層を積層することによって、積層面表層へのオリゴマーの析出を抑制することができる。積層部A層に含有するオリゴマー含有量が0.5質量%を超えるとオリゴマーの析出抑制効果が劣り、さらにA層自体からのオリゴマー析出が多くなり、好ましくない。
本発明のポリエステルフィルムは、150℃で30分間加熱処理後のフィルムの少なくとも一方のフィルム表面において、大きさ15μm2以上20μm2未満のオリゴマー欠点が5000個/mm2以下、大きさ20μm2以上のオリゴマー欠点が1000個/mm2以下であることが必要である。好ましくは、大きさ15μm2以上20μm2未満のオリゴマー欠点が4000個/mm2以下、大きさ20μm2以上のオリゴマー欠点が800個/mm2以下であり、大きさ15μm2以上20μm2未満のオリゴマー欠点が3000個/mm2以下、大きさ20μm2以上のオリゴマー欠点が500個/mm2であるとさらに好ましい。大きさ15μm2以上20μm2未満のオリゴマー欠点が5000個/mm2を超え、あるいは大きさ20μm2以上のオリゴマー欠点が1000個/mm2を超えた場合、オリゴマー欠点が光学的欠点として顕在化し、離型用フィルムとして不十分である。
さらに、本発明のフィルムは、少なくとも一方の表面のオリゴマー抽出量が、フィルム表面積1m2あたり20mg以下であることが好ましい。ここで、オリゴマー抽出量とは、一方のフィルム表面を25℃のクロロホルム中に60分浸下ときに抽出されるオリゴマー量を指す。オリゴマー抽出量が20mgを超えるとオリゴマー起因異物の析出抑制効果に劣り、さらに、離型フィルムの使用工程で、有機溶剤などと接した場合のオリゴマー異物の析出が助長されることが懸念される。好ましくは15mg以下、10mg以下であるとさらに好ましく、積層部A層(最表層)に含有するオリゴマー量を少なくすること、さらに積層部A層の積層厚さを前述範囲で調節することによって達成でき、積層部A層からなる少なくとも片面で達成することができる。すなわち、本発明では、オリゴマー含有量が0.5質量%以下で、固有粘度が0.55〜0.65であるポリエステルからなる層を有し、かつ該層が最表層に位置するようなフィルムとすることが好ましい。
本発明のポリエステルフィルムは、配向角が10°以下で、かつ、配向角の変動が幅方向1mあたり5°以下であり、配向角が8°以下、配向角の変動が幅方向1mあたり4°以下が好ましく、配向角が6°以下、配向角の変動が幅方向1mあたり3°以下であればさらに好ましい。配向角が10°を超え、あるいは配向角の変動が幅方向1mあたり5°を超えると、ニコスニコル下で検査時、最も暗視野になる状態(ブラックモード)にしたときに、光源から光漏れ・色むらが大きくなり、検査性が劣ってしまう。
さらに本発明のポリエステルフィルムは、エレメンドルフ引裂伝播抵抗が長手方向および幅方向ともに5N/mm以上である。5N/mm未満では、離型用フィルムの使用工程で、例えば、熱圧着後あるいは、製品や金属製品などの成型の際に金型から剥離する場合など、剥離時の引っ張り圧力が掛かった場合に破れる懸念があり、実用とならない場合が多い。エレメンドルフ引裂伝播抵抗を10N/mm以上とすることは、ポリエステルフィルムの場合、困難を伴い、エレメンドルフ引裂伝播抵抗が長手方向および幅方向とも7〜9N/mmである場合が好ましく、エレメンドルフ引裂伝播抵抗が長手方向および幅方向とも7.5〜8.5N/mmで、長手方向のエレメンドルフ引裂伝播抵抗が幅方向に対し0.1〜0.5N/mm大きい場合がさらに好ましい。
次に本発明の二軸配向ポリエステルフィルムの製造方法について説明する。その一例を説明するが、本発明はかかる例のみに限定されるものではない。
ポリエステルに不活性粒子を含有せしめる方法としては、例えばジオール成分であるエチレングリコールに不活性粒子を所定割合にてスラリーの形で分散せしめ、このエチレングリコールスラリーをポリエステル重合完結前の任意段階で添加する。ここで、粒子を添加する際には、例えば、粒子を合成時に得られる水ゾルやアルコールゾルを一旦乾燥させることなく添加すると粒子の分散性が良好であり、粗大突起の発生を抑制でき好ましい。また粒子の水スラリーを直接、所定のポリエステルペレットと混合し、ベント方式の2軸混練押出機に供給しポリエステルに練り込む方法も本発明の効果に有効である。
このようにして準備した、粒子含有マスターペレットと粒子などを実質的に含有しないペレットを所定の割合で混合し、乾燥したのち、公知の溶融積層用押出機に供給し、ポリマーをフィルターにより濾過する。
また、ごく小さな異物もフィルム欠陥となるため、フィルターには例えば5μm以上の異物を95%以上捕集する高精度のものを用いることが有効である。
また、ごく小さな異物もフィルム欠陥となるため、フィルターには例えば5μm以上の異物を95%以上捕集する高精度のものを用いることが有効である。
続いてスリット状のスリットダイからシート状に押し出し、キャスティングロール上で冷却固化せしめて未延伸フィルムを作る。すなわち、2台以上の押出機、および2区画あるいは3区画以上のマニホールドまたは合流ブロック(例えば矩形合流部を有する合流ブロック)を用いて2層あるいは3層以上に溶融ポリエステルを積層し、口金からシートとして押し出し、キャスティングロールで冷却して未延伸フィルムを作る。この場合、押し出し背圧の安定化および厚み変動の抑制の観点から溶融ポリマー流路にスタティックミキサー、ギヤポンプを設置する方法は有効である。
この場合、積層部に用いるポリエステル原料について、前条のごとく事前にオリゴマー含有量を減少させた後使用することで、オリゴマー欠点の減少を達成することができる。
未延伸フィルムを得た後、長手方向に延伸温度90〜120℃、好ましくは100〜110℃で3.0〜4.0倍、好ましくは3.2倍〜3.6倍に延伸する。延伸温度が90℃よりも低くなるとフィルムが破断しやすく、延伸温度が110℃よりも高くなると厚みムラが悪化し偏光板との貼り合わせ後の検査時に色むらとなって見えるため好ましくない。また、延伸倍率が3.0倍よりも低くなると、延伸温度が高い場合と同様に厚みムラ悪化による偏光板検査時の色むらの原因となり、延伸倍率が4.0倍以上の場合には幅方向の配向角変動が大きくなるため好ましくない。
未延伸フィルムを得た後、長手方向に延伸温度90〜120℃、好ましくは100〜110℃で3.0〜4.0倍、好ましくは3.2倍〜3.6倍に延伸する。延伸温度が90℃よりも低くなるとフィルムが破断しやすく、延伸温度が110℃よりも高くなると厚みムラが悪化し偏光板との貼り合わせ後の検査時に色むらとなって見えるため好ましくない。また、延伸倍率が3.0倍よりも低くなると、延伸温度が高い場合と同様に厚みムラ悪化による偏光板検査時の色むらの原因となり、延伸倍率が4.0倍以上の場合には幅方向の配向角変動が大きくなるため好ましくない。
次いで幅方向に90〜120℃で3.5〜5.5倍、好ましくは4.0〜4.8倍に延伸する。延伸倍率が3.5倍よりも低いと幅方向の配向が不十分となり配向角の変動が大きくなり、5.5倍よりも大きくなると延伸時にフィルムの破断が起こり、安定的にフィルムを得ることができない。幅方向の延伸終了後熱固定を行うが、熱固定の前に幅方向延伸終了後のフィルムをガラス転移点以下に冷却する工程を経ることが望ましい。ガラス転移点以下に冷却すると、その後の熱固定温度が同じであったとしても得られたフィルムの配向角が小さくなり、配向角の変動が小さいフィルムを得るのに有利である。熱固定温度は180℃〜230℃、好ましくは190℃〜220℃とし、3〜15秒、好ましくは5〜10秒間熱固定を行う。熱固定温度が180℃よりも低いと熱収縮率が高く、フィルム加工時の寸法変化量が大きくなり取り扱いが難しくなり、温度が230℃よりも高いとボーイング現象の増大により目標とする幅方向の配向角変動を達成できなくなるため好ましくない。
以下、実施例で本発明を詳細に説明する。
本発明のフィルムが持つ特性値の測定方法、並びに効果の評価方法は次の通りである。
本発明のフィルムが持つ特性値の測定方法、並びに効果の評価方法は次の通りである。
(1)粒子の平均粒径
フィルムからポリマーをプラズマ低温灰化処理法で除去し、粒子を露出させた。この際、処理条件として、ポリマーは灰化されるが粒子は極力ダメージを受けない条件を選択した。その粒子を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察し、粒子画像をイメージアナライザで処理した。SEMの倍率は10000倍とし、観察箇所をかえて粒子数2000個以上として、各粒子の粒径とその体積分率から、次式で体積平均径dを得た。粒径の異なる2種類以上の粒子を含有している場合には、それぞれの粒子について同様の測定を行い、粒径を求めた。
d=Σ(di・Nvi)
ここで、diは粒径、Nviはその体積分率である。粒子がプラズマ低温灰化処理法で大幅にダメージを受ける場合には、フィルム断面を透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて、5000倍で観察した。TEMの切片厚さは約100nmとし、場所をかえて500視野以上測定し、上記式から体積平均径dを求めた。
フィルムからポリマーをプラズマ低温灰化処理法で除去し、粒子を露出させた。この際、処理条件として、ポリマーは灰化されるが粒子は極力ダメージを受けない条件を選択した。その粒子を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察し、粒子画像をイメージアナライザで処理した。SEMの倍率は10000倍とし、観察箇所をかえて粒子数2000個以上として、各粒子の粒径とその体積分率から、次式で体積平均径dを得た。粒径の異なる2種類以上の粒子を含有している場合には、それぞれの粒子について同様の測定を行い、粒径を求めた。
d=Σ(di・Nvi)
ここで、diは粒径、Nviはその体積分率である。粒子がプラズマ低温灰化処理法で大幅にダメージを受ける場合には、フィルム断面を透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて、5000倍で観察した。TEMの切片厚さは約100nmとし、場所をかえて500視野以上測定し、上記式から体積平均径dを求めた。
(2)固有粘度
オルトクロロフェノールに溶解し、25℃で測定した溶液粘度から、下式で計算した値を用いた。すなわち、
ηsp/C=[η]+K[η]2・C
ここで、ηsp=(溶液粘度/溶媒粘度)−1であり、Cは、溶媒100mlあたりの溶解ポリマー重量(g/100ml、通常1.2)、Kはハギンス定数(0.343とする)である。また、溶液粘度、溶媒粘度はオストワルド粘度計を用いて測定した。単位は[dl/g]で示した。
オルトクロロフェノールに溶解し、25℃で測定した溶液粘度から、下式で計算した値を用いた。すなわち、
ηsp/C=[η]+K[η]2・C
ここで、ηsp=(溶液粘度/溶媒粘度)−1であり、Cは、溶媒100mlあたりの溶解ポリマー重量(g/100ml、通常1.2)、Kはハギンス定数(0.343とする)である。また、溶液粘度、溶媒粘度はオストワルド粘度計を用いて測定した。単位は[dl/g]で示した。
(3)フィルム厚み
JIS C2151−1990に準じ、マイクロメーター((株)ミツトヨ製OMM−25)を用いてフィルム幅方向に対して均等に30点測定し、その平均値を測定結果とした。
JIS C2151−1990に準じ、マイクロメーター((株)ミツトヨ製OMM−25)を用いてフィルム幅方向に対して均等に30点測定し、その平均値を測定結果とした。
(4)フィルム積層厚み
表面からエッチングしながらXPS(X線光電子光法)、IR(赤外分光法)あるいはコンフォーカル顕微鏡などで、その粒子濃度のデプスプロファイル(濃度分布曲線)を測定する。積層フィルムにおける表層では、表面という空気−樹脂の界面のために粒子濃度は低く、表面から遠ざかるにつれて粒子濃度は高くなる。積層フィルムの場合は、深さ[I]で一旦極大値となった粒子濃度がまた減少し始める。この濃度分布曲線をもとに極大値の粒子濃度の1/2になる深さ[II](ここで、II>I)を積層厚みとした。
さらに、無機粒子などが含有されている場合には、二次イオン質量分析装置(SIMS)を用いて、フィルム中の粒子のうち最も高濃度に存在する粒子に起因する元素(M+)とポリエチレンテレフタレートの炭素元素の濃度(C+)の比(M+/C+)を粒子濃度とし、一方の表面から深さ(厚さ)方向の分析を行う。そして上記同様の手法から積層厚みを得る。
表面からエッチングしながらXPS(X線光電子光法)、IR(赤外分光法)あるいはコンフォーカル顕微鏡などで、その粒子濃度のデプスプロファイル(濃度分布曲線)を測定する。積層フィルムにおける表層では、表面という空気−樹脂の界面のために粒子濃度は低く、表面から遠ざかるにつれて粒子濃度は高くなる。積層フィルムの場合は、深さ[I]で一旦極大値となった粒子濃度がまた減少し始める。この濃度分布曲線をもとに極大値の粒子濃度の1/2になる深さ[II](ここで、II>I)を積層厚みとした。
さらに、無機粒子などが含有されている場合には、二次イオン質量分析装置(SIMS)を用いて、フィルム中の粒子のうち最も高濃度に存在する粒子に起因する元素(M+)とポリエチレンテレフタレートの炭素元素の濃度(C+)の比(M+/C+)を粒子濃度とし、一方の表面から深さ(厚さ)方向の分析を行う。そして上記同様の手法から積層厚みを得る。
(5)オリゴマー含有量の測定
ヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)2mlに100mgのポリマーを溶解し、液体クロマトグラフィー(モデル8500、Varian社製)で環状3量体を測定し、ポリマーに対する割合(質量%)で示した。分離カラムには昭和電工(株)製、シリカC18M4D/Vを用い、展開液は水−メタノール系を用いた。
ヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)2mlに100mgのポリマーを溶解し、液体クロマトグラフィー(モデル8500、Varian社製)で環状3量体を測定し、ポリマーに対する割合(質量%)で示した。分離カラムには昭和電工(株)製、シリカC18M4D/Vを用い、展開液は水−メタノール系を用いた。
(6)表面オリゴマーの抽出量
フィルムを直径10cmの円形に切り出し、これを25℃、50mlのクロロホルム中に浸漬し60分間放置する。フィルム除去後、分光光度計(日立U−3200)にて240nm吸光度を測定し、環状3量体換算で1m2あたりのオリゴマー抽出量に換算した。
A/B/Aの3層積層フィルムの場合はフィルムをそのまま上記条件でクロロホルムに全てを浸漬することで、両面の積層A面の表面オリゴマーの抽出量が測定できる。A/Bの2層積層フィルムにおいては、上記に準じ、10cmの円形面にほぼ相当するA層の表面のみをクロロホルムに浸漬し(B層はクロロホルムに浸さない)、A層表面の表面オリゴマー抽出量を測定する。
フィルムを直径10cmの円形に切り出し、これを25℃、50mlのクロロホルム中に浸漬し60分間放置する。フィルム除去後、分光光度計(日立U−3200)にて240nm吸光度を測定し、環状3量体換算で1m2あたりのオリゴマー抽出量に換算した。
A/B/Aの3層積層フィルムの場合はフィルムをそのまま上記条件でクロロホルムに全てを浸漬することで、両面の積層A面の表面オリゴマーの抽出量が測定できる。A/Bの2層積層フィルムにおいては、上記に準じ、10cmの円形面にほぼ相当するA層の表面のみをクロロホルムに浸漬し(B層はクロロホルムに浸さない)、A層表面の表面オリゴマー抽出量を測定する。
(7)析出オリゴマー(表面オリゴマー)の個数
フィルムを150℃に設定したオーブンの中で30分間加熱した後、オーブンから取り出して冷却し、積層部A層の面について、フィルム表面に銀を蒸着し、その後スパッタリングにより白金をコートする。蒸着したフィルムを走査型電子顕微鏡で2000倍の拡大倍率で2視野観察し、析出オリゴマー物の短軸及び長軸を測定した。
オリゴマー物は、塊状、6角型状、馬蹄型が特徴であるが、オリゴマー起因と判断出来ない場合は、フーリエ変換赤外線顕微鏡(FT−IR)で確認する。
顕微赤外分光光度計の測定条件および判別方法は下記のとおり。
フィルムを150℃に設定したオーブンの中で30分間加熱した後、オーブンから取り出して冷却し、積層部A層の面について、フィルム表面に銀を蒸着し、その後スパッタリングにより白金をコートする。蒸着したフィルムを走査型電子顕微鏡で2000倍の拡大倍率で2視野観察し、析出オリゴマー物の短軸及び長軸を測定した。
オリゴマー物は、塊状、6角型状、馬蹄型が特徴であるが、オリゴマー起因と判断出来ない場合は、フーリエ変換赤外線顕微鏡(FT−IR)で確認する。
顕微赤外分光光度計の測定条件および判別方法は下記のとおり。
・メーカー:サーモフィッシャーサイエンティフィック株式会社
・機種名 :NICOLET6700、およびCONTINUμM赤外顕微鏡
・測定条件:測定範囲:650cm−1〜4000cm−1、分解能:8cm−1、検出器:MCT
観察された析出オリゴマーの短軸×長軸を析出オリゴマーの面積とし、面積毎に分類し、その個数をmm2あたりに換算した。
・機種名 :NICOLET6700、およびCONTINUμM赤外顕微鏡
・測定条件:測定範囲:650cm−1〜4000cm−1、分解能:8cm−1、検出器:MCT
観察された析出オリゴマーの短軸×長軸を析出オリゴマーの面積とし、面積毎に分類し、その個数をmm2あたりに換算した。
(8)エレメンドルフ引裂伝播抵抗
東洋精機製作所のエレメンドルフ引裂機を用い、JIS K7128−2・1998に基づいて引裂強さ(N)を測定した。この計測値を測定したフィルム厚みで除して引裂伝播抵抗(N/mm)とした。なお、引裂強度は縦方向および横方向それぞれ20サンプルの試験結果の平均値を用いた。
東洋精機製作所のエレメンドルフ引裂機を用い、JIS K7128−2・1998に基づいて引裂強さ(N)を測定した。この計測値を測定したフィルム厚みで除して引裂伝播抵抗(N/mm)とした。なお、引裂強度は縦方向および横方向それぞれ20サンプルの試験結果の平均値を用いた。
(9)配向角の測定
野村商事製SONIC SHEET TESTER(SST−250)を用いて測定をする。フィルム幅方向の両端部からA4サイズ(長さ297mm×幅210mm)に切り出し、サンプルを得る。このときA4サンプルの幅方向とフィルムの幅方向は一致させるものとする。得られたサンプルの中点を測定し、最大値を配向角Aとした。なお、配向主軸がフィルム幅方向と平行である時を配向角0度であり、フィルム幅方向に対して時計回りの傾きを+、反時計回りを−とし、その絶対値を測定結果とした。
次いで、フィルムの幅方向中央部についても同様にA4サイズのサンプルを採取し、同様に測定し、配向角Bを得た。
野村商事製SONIC SHEET TESTER(SST−250)を用いて測定をする。フィルム幅方向の両端部からA4サイズ(長さ297mm×幅210mm)に切り出し、サンプルを得る。このときA4サンプルの幅方向とフィルムの幅方向は一致させるものとする。得られたサンプルの中点を測定し、最大値を配向角Aとした。なお、配向主軸がフィルム幅方向と平行である時を配向角0度であり、フィルム幅方向に対して時計回りの傾きを+、反時計回りを−とし、その絶対値を測定結果とした。
次いで、フィルムの幅方向中央部についても同様にA4サイズのサンプルを採取し、同様に測定し、配向角Bを得た。
フィルム幅方向両端部の配向角の最大配向角Aとフィルム幅方向中央部の配向角Bより配向角の変動Cを以下の方法により求めた。
C=(A−B)/((L−0.21)/2)
ここで、Lはフィルム幅方向の長さ(m)である。
なお、フィルム幅方向両端部のサンプルを採取して、配向角の変動を求めるのは、フィルム幅方向両端部がフィルムの幅に対して最も配向主軸が傾くためである。
また、測定にあたっては、フィルム幅が1.21m以上のフィルムを用いるものとする。
C=(A−B)/((L−0.21)/2)
ここで、Lはフィルム幅方向の長さ(m)である。
なお、フィルム幅方向両端部のサンプルを採取して、配向角の変動を求めるのは、フィルム幅方向両端部がフィルムの幅に対して最も配向主軸が傾くためである。
また、測定にあたっては、フィルム幅が1.21m以上のフィルムを用いるものとする。
(10)フィルム表面の中心線平均粗さSRa
三次元微細表面形状測定器(小坂製作所製ET−350K)を用いて測定し、得られたる表面のプロファイル曲線より、JIS・B0601−2001に準じ、算術平均粗さSRa値を求めた。測定条件は下記のとおり。
X方向測定長さ:0.5mm、X方向送り速度:0.1mm/秒。
Y方向送りピッチ:5μm、Y方向ライン数:40本。
カットオフ:0.25mm。
触針圧:0.02mN。
高さ(Z方向)拡大倍率:5万倍。
三次元微細表面形状測定器(小坂製作所製ET−350K)を用いて測定し、得られたる表面のプロファイル曲線より、JIS・B0601−2001に準じ、算術平均粗さSRa値を求めた。測定条件は下記のとおり。
X方向測定長さ:0.5mm、X方向送り速度:0.1mm/秒。
Y方向送りピッチ:5μm、Y方向ライン数:40本。
カットオフ:0.25mm。
触針圧:0.02mN。
高さ(Z方向)拡大倍率:5万倍。
(11)フィルムのヘイズ値
JIS K7105−1981に準じ、フィルム長手方向4cm×フィルム幅方向3.5cmの寸法に切り出したものをサンプルとし、ヘイズメータ(スガ試験機製HGM−2DP(C光用))を用いて測定する。フィルム幅方向に対して均等に3点測定し、その平均値を測定結果とした。
JIS K7105−1981に準じ、フィルム長手方向4cm×フィルム幅方向3.5cmの寸法に切り出したものをサンプルとし、ヘイズメータ(スガ試験機製HGM−2DP(C光用))を用いて測定する。フィルム幅方向に対して均等に3点測定し、その平均値を測定結果とした。
(12)フィルムの破断強度
JIS C2151−1990に準じ、インストロンタイプの引張試験機(オリエンテック(株)製フィルム強伸度自動測定装置“テンシロン”万能試験機RTC−1210)を用いて測定した。幅10mmの試料フィルムを、試長間100mm、引張り速度200mm/分の条件で引っ張り試験を行い、フィルムが破断した時の応力を求めて破断強度とした。測定は23℃、湿度65%RHで行った。
JIS C2151−1990に準じ、インストロンタイプの引張試験機(オリエンテック(株)製フィルム強伸度自動測定装置“テンシロン”万能試験機RTC−1210)を用いて測定した。幅10mmの試料フィルムを、試長間100mm、引張り速度200mm/分の条件で引っ張り試験を行い、フィルムが破断した時の応力を求めて破断強度とした。測定は23℃、湿度65%RHで行った。
実施例1
DMT(ジメチルテレフタレート)に、DMTに対し1.9モルのEG(エチレングリコール)および、それぞれDMT100質量部に対して酢酸マグネシウム・4水塩を0.05質量部、リン酸を0.015質量部を加え、加熱エステル交換を行い、引き続き三酸化アンチモンをDMT100質量部に対し0.025質量部を加え、加熱昇温し真空化で重縮合反応を行い、粒子を実質的に含有しない、固有粘度0.63、オリゴマー含有量1.2質量%のホモポリエステルペレットIを得た。さらに上記と同様にポリエステルを製造するにあたり、エステル交換後、平均粒子径1.1μmの炭酸カルシウムをポリエステルに対し2質量%添加し、固有粘度0.63、オリゴマー含有量1.2%で平均粒子径1.1μmの炭酸カルシウムを2質量%含有するポリエステルペレットIIを得た。
DMT(ジメチルテレフタレート)に、DMTに対し1.9モルのEG(エチレングリコール)および、それぞれDMT100質量部に対して酢酸マグネシウム・4水塩を0.05質量部、リン酸を0.015質量部を加え、加熱エステル交換を行い、引き続き三酸化アンチモンをDMT100質量部に対し0.025質量部を加え、加熱昇温し真空化で重縮合反応を行い、粒子を実質的に含有しない、固有粘度0.63、オリゴマー含有量1.2質量%のホモポリエステルペレットIを得た。さらに上記と同様にポリエステルを製造するにあたり、エステル交換後、平均粒子径1.1μmの炭酸カルシウムをポリエステルに対し2質量%添加し、固有粘度0.63、オリゴマー含有量1.2%で平均粒子径1.1μmの炭酸カルシウムを2質量%含有するポリエステルペレットIIを得た。
さらに別に、平均粒子径0.3μmのジビニルベンゼン/スチレン共重合架橋粒子の水スラリーを、上記の実質的に粒子を含有しないホモポリエステルペレットIにベント式二軸混練機を用いて含有させ、0.3μmのジビニルベンゼン/スチレン共重合架橋粒子をポリエステルに対し2質量%含有するポリエステルペレットIIIを得た。得られたポリエステルペレットIIIの固有粘度は0.63で、オリゴマー含有量は1.2質量%であった。
同様に、平均粒子径0.8μmのジビニルベンゼン/スチレン共重合架橋粒子の水スラリーを、上記の実質的に粒子を含有しないホモポリエステルペレットIにベント式二軸混練機を用いて含有させ、0.8μmのジビニルベンゼン/スチレン共重合架橋粒子をポリエステルに対し2質量%含有するポリエステルペレットIVを得た。得られたポリエステルペレットIVの固有粘度は0.63で、オリゴマー含有量は1.2質量%であった。
同様に、平均粒子径0.8μmのジビニルベンゼン/スチレン共重合架橋粒子の水スラリーを、上記の実質的に粒子を含有しないホモポリエステルペレットIにベント式二軸混練機を用いて含有させ、0.8μmのジビニルベンゼン/スチレン共重合架橋粒子をポリエステルに対し2質量%含有するポリエステルペレットIVを得た。得られたポリエステルペレットIVの固有粘度は0.63で、オリゴマー含有量は1.2質量%であった。
次に、ホモポリエステルペレットI、および0.3μmのジビニルベンゼン/スチレン共重合架橋粒子をポリエステルに対し2質量%含有するポリエステルペレットIII、0.8μmのジビニルベンゼン/スチレン共重合架橋粒子をポリエステルに対し2質量%含有するポリエステルペレットIVを混合し、平均粒子経0.3μmのジビニルベンゼン/スチレン共重合架橋粒子を0.10質量%、平均粒子経0.8μmのジビニルベンゼン/スチレン共重合架橋粒子を0.05質量%含有するポリエステルAを得た。このポリエステルを窒素ガス気流下で195℃に加熱、引き続き、窒素気流下で16時間加熱を継続した。加熱処理後の固有粘度は0.63で、固有粘度の上昇は見られず、オリゴマー含有量0.3質量%に減少していた。
さらに、別に、ホモポリエステルペレットI、および0.3μmのジビニルベンゼン/スチレン共重合架橋粒子をポリエステルに対し2質量%含有するポリエステルペレットIIIを混合し、平均粒子経0.3μmのジビニルベンゼン/スチレン共重合架橋粒子を0.05質量%含有するポリエステルBを得た。
これらのポリエステルA、ポリエステルBをそれぞれ160℃で8時間減圧乾燥した後、別々の押出機に供給し、275℃で溶融押出して高精度濾過した後、矩形の3層用合流ブロックで合流積層し、ポリエステルA/ポリエステルB/ポリエステルAからなる3層積層とした。その後、285℃に保ったスリットダイを介し冷却ロール上に静電印可キャスト法を用いて表面温度25℃のキャスティングドラムに巻き付け冷却固化して未延伸積層フィルムを得た。この未延伸積層フィルムを縦延伸予熱温度70℃から延伸温度104℃まで順次上げていき、縦延伸倍率3.4倍で延伸した。延伸は2組ずつのロールの周速差を設けた2段階で行った。この一軸延伸フィルムをテンターにて105℃で幅方向に4.4倍に延伸した。横延伸後、搬送ロールを経由してフィルム温度を40℃まで冷却したのち、再度テンターを用いて220℃で6秒間熱処理し、総厚さ38μm、A層/B層/A層の積層厚み1.5μm/35.0μm/1.5μmの2軸配向ポリエステルフィルムを得た。なお、フィルム幅は1.5mであった。このポリエステルフィルムの特性は表1、表2、表3に示した。
実施例2〜4、比較例1〜3
ポリエステルA層、B層中の不活性粒子の種類、含有量、ポリエステルAの加熱処理条件、フィルム厚み条件を変更する以外実施例1と同様にして二軸配向ポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムの評価結果を表1、表2、表3に示した。
ポリエステルA層、B層中の不活性粒子の種類、含有量、ポリエステルAの加熱処理条件、フィルム厚み条件を変更する以外実施例1と同様にして二軸配向ポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムの評価結果を表1、表2、表3に示した。
本発明のフィルムは、表層におけるオリゴマー起因の異物が少なく、かつ配向角の変動が小さいため、特に偏光板に用いられる離型フィルムおよび偏光板保護フィルムとして有用である。
Claims (3)
- 配向角が10°以下で、かつ配向角の変動が幅方向1mあたり5°以下であり、エレメンドルフ引裂伝播抵抗が長手方向および幅方向ともに5N/mm以上であるポリエステルフィルムであり、
かつ150℃で30分間加熱処理後のフィルムの少なくとも一方のフィルム表面において、大きさ15μm2以上20μm2未満のオリゴマー欠点が5000個/mm2以下、大きさ20μm2以上のオリゴマー欠点が1000個/mm2以下である離型用ポリエステルフィルム。 - 少なくとも一方の表面のオリゴマー抽出量が、フィルム表面積1m2あたり20mg以下である請求項1記載の離型用ポリエステルフィルム。
- オリゴマー含有量が0.5質量%以下で、固有粘度が0.55〜0.65であるポリエステルからなる層を有し、かつ該層が最表層に位置する請求項1または2に記載の離型用ポリエステルフィルム。
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