JP2018059083A - ポリエステルフィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】離型用基材に好適な加工時にPET粉やオリゴマーの発生が少なく、かつ加工後ロールとした時の背面転写の少ないポリエステルフィルムを提供する。【解決手段】少なくとも1つの面の粗さ曲線の最大山高さSRpが150〜300nmであり、テレフタル酸の含有量がフィルム全体に対して10〜25ppmであるポリエステルフィルム。【選択図】なし

Description

本発明はポリエステルフィルムに関するものであり、詳しくは、各種離型用途に好適に用いられるポリエステルフィルムに関するものである。
従来から離型用フィルムは、ポリエステルを基材として、離型性のある樹脂層、たとえばシリコーン樹脂やエポキシ樹脂などを塗布し形成される。特にセラミックグリーンシート製造用、液晶偏光板離型用、液晶保護フィルム用離型用、フォトレジスト用、多層基板用などの各種離型用途として使用されている。離型用途に用いられるポリエステルフィルムには、加工適性、例えば滑り性、巻き特性などが求められる。これまでに、滑り性、巻き特性を良くするための方法として、ポリエステルフィルム中に粒子を適量配合しフィルム表面に微細な突起を形成する方法が知られている(特許文献1〜3)。
特開平5−84820号公報 特開2010−274472号公報 特開平3−209619号公報
しかし、最近の各種用途の精密化などに伴い、離型用途に使用されるポリエステルフィルムには、これまでには問題となっていなかったような微細な欠点も無いことや、これまで以上に均一な品質が要求されるようになって来た。離型用途に用いるポリエステルフィルムから成形される成形体の品質は、離型用途に使用されるポリエステルフィルムの精度や品質、特に表面欠点の有無にかかっている。離形用途に用いるポリエステルフィルムをロール状に巻いて保管する際に、フィルム表面に存在する離形層を構成する成分やPET粉やオリゴマーが隣接するフィルムの表面に転写(いわゆる背面転写)し、離型層の濡れ性や剥離性等の特性が不良となってしまうという課題がある。特許文献1〜3では、各層の厚みや粒子の粒径および粒子種などを制御し、表面平滑性、高速製膜における耐削れ性の付与を行っているが、欠点による背面転写への対策は十分ではなかった。かかるポリエステルフィルムの欠点を改善するため、フィルム厚みムラ、フィルム表面の粗大突起を低減するなどいろいろな改善が図られてきたが、上記の課題を十分解決するには至らなかった。
本発明は、かかる従来技術の欠点を解消することにある。すなわち、適正な加工特性を備えた、表面の平滑性に優れ、特にポリエステルフィルム表面の微細な欠点が少ない、さらにオリゴマーの発生やPET粉の発生による工程汚染の少ないポリエステルフィルムを提供することにある。
本発明者らは上記実情に対し、鋭意検討した結果、フィルム中のテレフタル酸の含有量および粗さ曲線の最大山高さ(SRp)を制御することで、上記課題を解決できることを見出し本発明に至った。すなわち、
少なくとも1つの面の粗さ曲線の最大山高さSRpが150〜300nmであり、テレフタル酸の含有量がフィルム全体に対して10〜25ppmであるポリエステルフィルム。
本発明によれば、加工後にロールとした時の背面転写の少ないポリエステルフィルムを提供することができる。
以下、本発明についてさらに詳細に説明する。
本発明において、離型用途とは、ポリエステルフィルム基材を用い、部材を成型し、成型後の部材から剥離する用途を指す。部材は、多層セラミックスコンデンサーにおけるグリーンシートや多層回路基板における、層間絶縁樹脂、光学関連部材におけるポリカーボネートなどが挙げられる。
本発明のポリエステルフィルムは、離型用途に好適に用いられるが、特に、多層セラミックスコンデンサーの製造工程に用いられる離型用フィルムに好適に用いられる。
本発明のポリエステルフィルムにおけるポリエステルは、ジカルボン酸構成成分とジオール構成成分を有してなるものである。なお、本明細書内において、構成成分とはポリエステルを加水分解することで得ることが可能な最小単位のことである。
ポリエステルを構成するジカルボン酸構成成分としては、本発明を実施するためには、テレフタル酸を全ジカルボン酸構成成分に対して30mol%以上使用することが好ましい。テレフタル酸以外のジカルボン酸成分としてはマロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸、ダイマー酸、エイコサンジオン酸、ピメリン酸、アゼライン酸、メチルマロン酸、エチルマロン酸等の脂肪族ジカルボン酸類、アダマンタンジカルボン酸、ノルボルネンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、デカリンジカルボン酸、などの脂環族ジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,8−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、フェニルエンダンジカルボン酸、アントラセンジカルボン酸、フェナントレンジカルボン酸、9,9’−ビス(4−カルボキシフェニル)フルオレン酸等芳香族ジカルボン酸などのジカルボン酸、もしくはそのエステル誘導体が挙げられるがこれらに限定されない。
また、かかるポリエステルを構成するジオール構成成分としては、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール等の脂肪族ジオール類、シクロヘキサンジメタノール、スピログリコール、イソソルビドなどの脂環式ジオール類、ビスフェノールA、1,3−ベンゼンジメタノール,1,4−ベンセンジメタノール、9,9’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、芳香族ジオール類等のジオール、上述のジオールが複数個連なったものなどが例としてあげられるがこれらに限定されない。
本発明のポリエステルフィルムを構成するポリエステルは、テレフタル酸を全ジカルボン酸構成成分の80mol%以上、エチレングリコールを全ジオール構成成分の80mol%以上のポリエチレンテレフタレートであることが好ましい。
本発明のポリエステルは公知の方法で製造するこができる。具体的にはエステル化工程は単数または複数のエステル化反応槽を使用し、攪拌下に行う。例えば、単一のエステル化反応槽を用いる場合、反応温度は通常240〜280℃、大気圧に対する相対圧力は通常0〜400kPa、反応時間は通常1〜10時間である。エステル化工程で得られるエステル化反応生成物のエステル化反応率は通常95%以上である。
溶融重縮合工程は、通常、単数または複数の重縮合反応槽を使用した連続式または回分式で行なうことができ、常圧から漸次減圧して加熱攪拌下に生成するエチレングリコールを系外に留出させながら行なう。例えば、単一の重縮合反応槽を使用した回分式の場合、反応温度は通常250〜290℃、常圧から漸次減圧とした最終的な絶対圧力は、通常1.3〜0.013kPa(10〜0.1Torr)、反応時間は通常1〜20時間である。
ポリエステル樹脂の固有粘度は、重合の終点をポリマーの攪拌トルクで判定することができる。攪拌トルクが高い場合には、ポリマーの溶融粘度が高く、固有粘度も高くなる。目標とする固有粘度になるように重合装置の終点判定攪拌トルクを設定すればよい。
本発明のポリエステルフィルムは、IVが0.60〜0.70であると表面粗さの制御がしやすく、背面転写防止効果を得る観点から、また、耐キズ性の観点から好ましい。上記のIVを有するポリエステルフィルムを得るためには、原料となるポリエステルのIVは、フィルムのIVよりも少し高くなるように終点判定の攪拌トルクを設定することが好ましい。
得られた重合の終了したポリエステル樹脂は、重合装置下部からストランド状に吐出し、水冷しながらカッターによってカッティングすればよい。カッティングによってチップ形状が制御できるので、本発明において好ましい嵩密度を有するポリエステルチップを得ることができる。
本発明において使用する重縮合反応触媒には、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン、酢酸アンチモン、アンチモングリコラート、二酸化ゲルマニウム、有機チタン化合物などの一種または二種以上を用いることができる。中でも得られるポリエステルの透明性および入手性の面から三酸化アンチモンが好ましい。
本発明のポリエステルフィルムには、添加物としてマンガン、マグネシウム、カルシウム、コバルトなどの金属化合物、或いはアルカリ金属塩やアルカリ土類金属塩、例えば、酢酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、マグネシウムアルコキシド、炭酸マグネシウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、酢酸カルシウム、炭酸カルシウム等を加えることも可能である。本発明では、オリゴマー発生量などの観点より酸化マンガン、酢酸マンガン、水酸化カリウムが好ましい。
本発明のポリエステルフィルムは、アンチモン元素とマンガン元素を含み、フィルム全体に対するマンガン元素含有率をMn(ppm)、アンチモン元素含有率をSb(ppm)としたとき、以下の式を満たすように含有することが好ましい(いずれも質量基準。以下、ppmについて同じ)。
Mn + Sb < 300ppm ・・・ [I]
5 < Sb/Mn < 10 ・・・ [II]
式[I]についてはより好ましくはMn+Sbが270ppm以下、より好ましくは250ppm以下である。Mn+Sbが300ppmより小さくすることで溶融製膜時の熱分解およびオリゴマーの発生を抑制できる。一方、重合活性保持の観点から、Mn+Sbは、150ppm以上であることが好ましい。
また、式[II]についてはより好ましくは6以上9以下、より好ましくは6以上7以下である。式[II]のSb/Mnを10より小さくすることで、金属化合物の凝集による異物を抑制でき、Sb/Mnを5より大きくすることで、重合活性を保持することができ、熱分解も抑制できる。Mn以外の金属については含有していてもかまわないが、分解反応抑制の観点から、その含有量はMnの含有量以下が好ましい。
本発明のポリエステルフィルムには、安定剤としてリン化合物、例えば、リン酸、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリn−ブチルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、ジブチルホスフェート、モノブチルホスフェート、トリエチルフォスフォノアセテート、トリス(トリエチレングリコール)ホスフェート、亜リン酸、ジオクチルホスフェート、トリフェニルホスファイト、トリスドデシルホスファイト、トリスノニルフェニルホスファイト、メチルアッシドホスフェート、エチルアシッドホスフェート、トリエチレングリコールアシッドホスフェート、イソプロピルアッシドホスフェート、ブチルアッシドホスフェート等を使用しても良い。リン化合物の含有量としては、10ppm以上100ppm以下が好ましく、さらに好ましくは20ppm以上70ppm以下さらに好ましくは25ppm以上60ppmである。前記含有量とすることで、リン化合物による異物化および重合活性の低下を防止できる。
本発明において、溶融製膜後のフィルムを加熱した際のポリマーの分解反応により発生するテレフタル酸の量を抑制するため、PET重合時に一般的に添加しているリン化合物に加えてリン酸アルカリ金属塩を添加することで耐加水分解性、耐熱分解性が向上し、フィルムが熱処理や熱加工される際に発生するテレフタル酸量を抑制し、より好適なテレフタル酸濃度を維持できることができるため、リン酸アルカリ金属塩を含有することが好ましい。フィルムのリン酸アルカリ金属塩の含有量としては、フィルムの加熱、熱加工時のオリゴマー発生量の観点から、アルカリ金属として5ppm以上50ppm以下が好ましく、より好ましくは10ppm以上45ppm以下、さらに好ましくは20〜40ppmである。
本発明におけるリン酸アルカリ金属塩としては特に限定しないが、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸三ナトリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸三カリウム、リン酸二水素リチウム、リン酸水素二リチウム、リン酸三リチウムが挙げられる。その中でもリン酸二水素ナトリウム、リン酸二水素カリウムが耐加水分解性の観点から好ましい。
本発明のポリエステルフィルムは、単層であっても2層以上の積層構造であってもよいが、特に2層以上の構造の場合は表層部の添加粒子量を制御することでよういにフィルム表面の突起形状を制御することができ、かつ3層以上の場合は内層部にフィルム表面の特性に悪影響を与えない範囲で、製膜工程で発生するエッジ部分の回収原料、あるいは他の製膜工程のリサイクル原料などを適時混合して使用することが容易となるのでコスト的にも優位であり、好ましい。
製膜工程で発生する回収原料は、圧縮処理後、裁断処理して粒状化する方法、溶融処理し、フィルターで粗大粒子、異物を除去したのち冷却、裁断しペレット化する方法が採用でき、原料ペレットと適時混合することによりリサイクルできる。内層部における回収原料の混合率は任意に設定できるが、フィルム表面の特性に影響しない範囲でコントロールすることが好ましい。
本発明のフィルムの総厚みは、単層の場合も積層の場合も好ましくは15〜50μm、さらに好ましくは25〜40μmである。また、積層ポリエステルフィルムにおいては、粗さ曲線の最大山高さSRpが150〜300nmである面を有する最外層の厚みが0.8〜2.0μm、好ましくは1.0〜1.8μm、さらに好ましくは1.2〜1.7μmである。この範囲とすることで粒子配列のコントロールが容易となり、表面粗さのコントロールが比較的容易となる。
本発明のポリエステルフィルムは少なくとも1つの面の粗さ曲線の最大山高さSRpが150〜300nmである必要がある。SRpが150nmより低くなると巻き特性等ハンドリングが悪くなり、生産性が落ちてしまう場合がある。SRpが300nmを超えてしまうと、後述の範囲でテレフタル酸を含有させたとしても、加工工程で背面転写を起こしてしまい、離型層の濡れ性や剥離性が不良となる。より好ましくは、フィルムの両面のともが粗さ曲線の最大山高さSRpが上記範囲であることが好ましい。なお、粗さ曲線の最大山高さSRpは、より好ましくは、180〜250ppmである。なお、粗さ曲線の最大山高さSRpを上記の範囲とする方法は特に限られるものでは無い。例えば、フィルム表面を有する層に粒子を含有させる方法や、製膜後のフィルム表面に微細加工(プラズマ処理やエンボス加工)する方法などが挙げられる。
本発明のポリエステルフィルムは、テレフタル酸の含有量がフィルム全体に対して5〜100ppmである必要がある。従来の技術では、加工時の背面転写を改善するには、ポリエステルフィルムの表面に析出する成分(低重合体物や原料モノマー)の含有量は可能な限り少なくすることが好ましいと考えられていた。しかしながら、本発明者らが鋭意検討した結果、ポリエステルフィルムの少なくとも1つの面の粗さ曲線の最大山高さSRpを上記範囲としつつ、テレフタル酸の含有量を上記の範囲とすることで、加工時の背面転写を特異的に改善することが可能となることを見出した。この効果が得られる理由はまだ完全に明らかになっているわけではないが、本発明者らは上記の範囲でテレフタル酸を含み、粗さ曲線の最大山高さSRpを150〜300nmの高さとすることで、加熱加工時には選択的にフィルム表面のピーク(山部分)間の谷部分にテレフタル酸が集まり、見かけのSRpを低減させることができ、加工後にロールとしたときの背面転写を低減できることによるものと推定している。一方で、テレフタル酸の含有量が25ppmを超えると、山部分にもテレフタル酸の析出が発生してしまい、背面転写を抑制する効果は得られないどころか、逆に背面転写や表面欠点の原因となってしまう場合がある。一方、テレフタル酸の含有量が10ppm未満であると、見かけのSRpを低減させることができず、背面転写を生じてしまう。テレフタル酸の含有量は、より好ましくは7〜80ppmで、さらに好ましくは10〜50ppm、特に好ましくは10〜25ppmである。なお、テレフタル酸の含有量を上記の範囲とする方法は特に限られるものでは無い。例えば、ポリエステル原料として用いるジカルボン酸成分を選択する方法や、溶融製膜時にテレフタル酸を添加する方法などが挙げられる。ポリエステル原料として用いるジカルボン酸成分を選択する方法では、ジカルボン酸原料としてテレフタル酸ジメチルを用いるとテレフタル酸の含有量は少なくなる傾向があり、ジカルボン酸原料としてテレフタル酸を用いると未反応のテレフタル酸に由来するテレフタル酸の含有量は多くなる傾向にある。
本発明のポリエステルフィルムは、粒径の異なる複数の粒子を含有すると、フィルム表面に形成されるピーク(山部分)間の谷部分の表面積を広げることができ、テレフタル酸を微量含有することによる背面転写防止効果を向上させることができる。本発明のポリエステルフィルムが、2層以上の積層ポリエステルフィルムである場合、小粒径の粒子として両最外層に平均粒径0.01〜0.10μmの不活性粒子を両最外層に対して0.45〜1.05質量%含むことが好ましい。また、大粒径の粒子として両最外層に平均粒径が0.40〜0.60μmの不活性粒子を両最外層に対して0.05〜0.45質量%含有することが好ましい。小粒径粒子と大粒径粒子を上記の割合で含有することで、フィルム表面のピーク(山部分)間の谷部分の表面積を広げることができ、テレフタル酸による背面転写防止効果を特に向上させることができる。
本発明に使用する大粒径の不活性粒子については特に限定されないが、具体的には、球状シリカ、ケイ酸アルミニウム、二酸化チタン、炭酸カルシウムなどの無機粒子、架橋ポリスチレン樹脂粒子、架橋シリコーン樹脂粒子、架橋アクリル樹脂粒子、架橋スチレン−アクリル樹脂粒子、架橋ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、メラミン樹脂等の有機系高分子粒子などが挙げられるが、中でも粒子の粒径が均一な粒子を用いることが、表面粗さの設計およびテレフタル酸の凝集防止の観点から好ましい。
本発明に使用する小粒径の不活性粒子としては特に限定されないが、具体的にはγ型アルミナ、δ型アルミナ、θ型アルミナ、ジルコニア、シリカ、チタン粒子などが挙げられ、大粒径の粒子と同様、粒径が均一な粒子を用いることが好ましい。
本発明のポリエステルフィルムにおいて、ポリエステルフィルムのSRpが150〜300nmである面がμK測定機にてMD長手方向にて10往復させたときのキズの数は10以下であることが好ましい。キズの発生量が少ないことで加工工程でのPET粉の発生が少なく、背面転写および欠点を防止できる。
次に本発明のポリエステルフィルムの製造方法について、ポリエチレンテレフタレートフィルムを例に挙げて説明するが、本発明はかかる例によって限定して解されるべきものではない。ポリエステルに不活性粒子を含有せしめる方法としては、例えばジオール成分であるエチレングリコールに不活性粒子を所定割合にてスラリーの形で分散せしめ、このエチレングリコールスラリーをポリエステル重合完結前の任意段階で添加する。ここで、粒子を添加する際には、例えば、粒子を合成時に得られる水ゾルやアルコールゾルを一旦乾燥させることなく添加すると粒子の分散性が良好であり、粗大突起の発生を抑制でき好ましい。また粒子の水スラリーを直接、所定のポリエステルペレットと混合し、ベント方式の2軸混練押出機に供給しポリエステルに練り込む方法も本発明の効果に有効である。
このようにして準備した、粒子含有マスターペレットと粒子などを実質的に含有しないペレットを所定の割合で混合し、乾燥したのち、公知の溶融積層用押出機に供給し、ポリマーをフィルターにより濾過する。
また、ごく小さな異物もフィルム欠陥となるため、フィルターには例えば5μm以上の異物を95%以上捕集する高精度のものを用いることが有効である。続いてスリット状のスリットダイからシート状に押し出し、キャスティングロール上で冷却固化せしめて未延伸フィルムを作る。すなわち、1から3台の押出機、1から3層のマニホールドまたは合流ブロック(例えば矩形合流部を有する合流ブロック)を用いて必要に応じて積層し、口金からシートを押し出し、キャスティングロールで冷却して未延伸フィルムを作る。この場合、背圧の安定化および厚み変動の抑制の観点からポリマー流路にスタティックミキサー、ギヤポンプを設置する方法は有効である。
延伸方法は同時二軸延伸であっても逐次二軸延伸であってもよい。特に、同時二軸延伸においてはロールによる延伸を伴わないため、フィルム表面の局所的な加熱ムラを抑制し、均一な品質が得られると共に、延伸時にロール延伸に伴うフィルムとロールとの接触場所での速度差、ロールの微少傷の転写などによる特に窪み傷の発生を抑制でき好ましい。同時二軸延伸においては未延伸フィルムを、まず長手および幅方向に延伸温度は80〜130℃、好ましくは85〜110℃で同時に延伸する。延伸温度が80℃よりも低くなるとフィルムが破断しやすく、延伸温度が130℃よりも高くなると十分な強度が得られないため好ましくない。また、延伸ムラを防止する観点から、長手方向・横方向の合計延伸倍率は4〜20倍、好ましくは6〜15倍である。合計延伸倍率が4倍よりも小さいと本発明の対象とする必要十分な強度が得られにくい。一方、倍率が20倍よりも大きくなると、フィルム破断が起こりやすく、安定したフィルムの製造が難しい。必要な強度を得るためには、温度140〜200℃、好ましは160〜190℃で長手方向及び/又は幅方向に1.02〜1.5、好ましくは1.05〜1.2倍で再度延伸を行うことが好ましく、合計延伸倍率が、長手方向で3〜4.5倍、好ましくは3.5〜4.2倍、幅方向に3.2〜5倍、好ましくは3.6〜4.3倍である。
その後、205〜240℃ 好ましくは210〜230℃ で0.5〜20秒、好ましくは1〜15秒熱固定を行う。熱固定温度が205℃よりも低いとフィルムの結晶化が進まないため目標とする熱収縮率などが安定しにくいため好ましくない。また、フィルム物性を安定させるため、フィルム上下の温度差が20℃以下、好ましくは10℃以下、更に好ましくは5℃以下である。フィルム上下での温度差が20℃よりも大きいと、熱処理時に微小平面性の悪化を引き起こしやすいため好ましくない。その後、長手及び/又は幅方向に0.5〜7.0%の弛緩処理を施す。
同時二軸延伸では後述する逐次二軸延伸とは異なり、高温空気によってフィルムが加熱される。そのため、フィルム表面のみ局所的に加熱されて粘着が発生することはなく、延伸方式として逐次延伸より好ましい。一方で、同時二軸延伸は最初の延伸温度である90℃前後から熱固定温度である220℃前後までのゾーンが全て長手方向につながっているため、随伴気流など高温空気の自由な流れによりフィルム上下や幅方向に温度差が発生しやすい延伸方法でもある。温度差を低減する方法としては特に限定されないが、温度の異なるゾーンの間に高温空気の自由な流れを抑制するシャッターなどの設備を設けることが有効である。フィルムとシャッターの隙間は1〜250、好ましくは2〜100mm、更には3〜50mmであることが好ましい。隙間が1mmよりも小さいとフィルムがシャッターに接触し破れやすいため、製造が難しく好ましくない。しかしながら、250mmよりも大きいと熱特性のばらつきが大きくなり微小平面性が悪化しやすく好ましくない。フィルムとシャッターが接触しないようにするためには、ノズルから吹き出す風速を適宜調整することが有効である。
一方、本発明のポリエステルフィルムは、逐次延伸を用いて製造することもできる。最初の長手方向の延伸が重要であり延伸温度は90〜130℃、好ましくは100〜120℃である。延伸温度が90℃よりも低くなるとフィルムが破断しやすく、延伸温度が130℃よりも高くなるとフィルム表面が熱ダメージを受けやすくなるため好ましくない。また、延伸ムラ、及びキズを防止する観点からは延伸は2段階以上に分けて行うことが好ましく、トータル倍率は長さ方向に3〜4.5倍、好ましくは3.5〜4.2倍であり、幅方向に3.2〜5倍、好ましくは3.6〜4.3倍である。目標とするフィルムの破断強度を達成するため、適時倍率を選択できるが、幅方向の破断強度を高くするため、幅方向の延伸倍率を長手方向よりも高めに設定することがさらに好ましい。かかる温度、倍率範囲をはずれると延伸ムラあるいはフィルム破断などの問題を引き起こし、本発明の特徴とするフィルムが得られにくいため好ましくない。再度縦または横延伸した後、205〜240℃、好ましくは210〜230℃で0.5〜20秒、好ましくは1〜15秒熱固定を行う。特に熱固定温度が205℃よりも低くなるとフィルムの結晶化が進まないために構造が安定せず、目標とする特性が得られず好ましくない。
逐次延伸においては、延伸過程で、フィルムとロールの接触が避けられず、ロールの周速とフィルムの速度差を極力抑えるようにするとともに、延伸ロールとしては、表面の粗さなどを制御しやすい非粘着性のシリコーンロールが好ましい。従来技術のようにセラミックスやテフロン(登録商標)更には金属のロールを用いても可能であるが、フィルム表面のみが局所的に加熱されて粘着が発生し、フィルム表面に傷を発生する場合があり、好ましくない。
さらに、延伸部におけるロールとフィルムのトータルの接触時間は0.1秒以下、好ましくは0.08秒以下にすることがフィルムを製造する上で特に有効である。ロールとフィルムの接触時間が0.1秒よりも大きくなると、延伸ロールの熱によりフィルム表面のみが局所的に加熱され、引いては熱負荷時の微小平面性悪化を引き起こすこともあり、さらに、フィルムに傷を発生する場合もあり、好ましくない。接触時間を短くする方法としては、例えばフィルムを延伸ロールに巻き付けず、ニップロール間で平行に延伸することが有効である。
上記によって得られたポリエステルフィルムは、加熱加工後にロールとした時の背面転写の発生を少なくすることができる。そのため、セラミックコンデンサ生産時に使用されるグリーンシート用、偏光板離型用、フォトレジスト用、またポリエステルフィルム上にエポキシ樹脂等をコーティングして製造される多層基板用などに好適に用いることができる。
以下、実施例で本発明を詳細に説明する。
本発明の特性値の測定方法、並びに効果の評価方法は次の通りである。
(1)粒子の平均粒径
フィルムからポリマーをプラズマ低温炭化処理法で除去し、粒子を露出させる。処理条件は、ポリマーは炭化されるが、粒子は極力ダメージを受けない条件を選択する。処理後の試料を走査型電子顕微鏡(SEM;株式会社日立製作所製 S4000型)で観察し、粒子画像をイメージアナライザ(株式会社ニレコ製 LUZEX_AP)に取り込み、等価円相当径を測定し、粒子の体積平均粒径を求める。SEMの倍率は粒径により、5000〜20000倍から適宜選択する。任意に観察箇所を変えて、少なくとも5000個の粒子の等価円相当径を測定し、その平均値から平均粒径を求めた。
粒子がプラズマ低温炭化処理法で大幅にダメージを受ける場合には、フィルム断面を透過型電子顕微鏡(TEM;株式会社日立製作所製 H−600型)を用いて、粒径により、3000〜20000倍で観察する。TEMの切片厚さは約100nmとし、場所を変えて、少なくとも100個以上の粒子の等価円相当径を測定し、その平均値から体積平均粒径を求める。
なお、粒子の体積平均粒径を測定する際に、SEMおよびTEMで観察した際に5000倍で10視野確認しても、粒子が認められなかった場合には、粒子を実質的に含有しないと判断する。
(2)フィルムの表面粗さ(SRp)
三次元微細表面形状測定器(小坂製作所製ET−350K)を用いて測定し、得られた表面のプロファイル曲線より、JIS・B0601−1994に準じ、算術平均粗さSRa、十点平均粗さSRz、粗さ曲線の最大山高さSRpを求めた。条件は以下に示す通り測定を行った。
X方向測定長さ:0.5mm、X方向送り速度:0.1mm/秒。
Y方向送りピッチ:5μm、Y方向ライン数:40本。
カットオフ:0.25mm。
触針圧:0.02mN。
高さ(Z方向)拡大倍率:5万倍。
(3)フィルム厚みおよび層厚み
フィルムサンプルを全幅にわたって採取し、これを10枚重ね合わせて(株)ミツトヨ製のマイクロメーターを用いて測定し、10で割って1枚あたりの厚みを出す。サンプリング箇所は幅方向に均等に10カ所とし、この平均値をとって平均厚みとした。
フィルムが積層フィルムである場合、下記の方法にて、各層の厚みを求めた。フィルム断面を、フィルム幅方向に平行な方向にミクロトームで切り出す。該断面を走査型電子顕微鏡で5000倍の倍率で観察し、積層各層の厚み比率を求める。求めた積層比率と上記したフィルム厚みから、各層の厚みを算出する。
(4)ポリエステルフィルム中のリン元素量およびアンチモン元素量、2価金属元素量
P、Mn、Mg、CaおよびSbの含有量についてはポリエステルフィルムを溶融プレス機で円柱状に成型し、理学電機(株)製蛍光X線分析装置(型番:3270)を用いて測定した。
(5)ポリエステルフィルム中のアルカリ金属元素量
K、Naの含有量については原子吸光分析法(日立製作所製:偏光ゼーマン原子吸光光度計180−80。フレーム:アセチレン−空気)にて定量を行った。
(6)フィルムのテレフタル酸含有量
ポリエステル組成物のオリゴマー量:ポリマー又はフィルム 100mgをオルトクロロフェノール5mlに溶解し、液体クロマトグラフィー(モデル8500 Varian社製)で測定し、ポリマーに対する割合(重量%)で示した。
(7)290℃、20分間の溶融後の線状オリゴマー発生量(以下、単に線状オリゴマー発生量ということもある。)
フィルムを0.1g凍結粉砕し、160℃、6時間減圧乾燥を行った後、N雰囲気下のアンプルに封入した。その後290℃にて20分間加熱を行いLC20A(島津製作所製)で線状オリゴマーとしてテレフタル酸、モノ−2−ヒドロキシエチルテレフタレート、ビス−2−ヒドロキシエチルテレフタレートの量を測定し、その合計量を線状オリゴマー発生量とした。
(8)フィルムのキズの数
横浜システム研究所社製、高速静止摩擦係数測定器(SFT−700H)を用いて、MD長手方向にて10往復させた。(サンプル形状:幅0.5インチ、長さ30センチ測長:10センチ)、荷重100g)処理後のサンプルをベルジャー蒸着機にてサンプル面蒸着を行い、実体顕微鏡にて最もキズが見える角度でのキズをカウントした。キズの数が10以下であれば加工工程でのPETの粉の発生が少なく、より離型フィルムとして工程汚染が少なく、好ましい。
ポリエステルペレットの製造方法、回収原料、ポリエステルの調合、については以下の通りである。
(1)ポリエステルペレットの作成
(ポリエステルA)
テレフタル酸とエチレングリコールのスラリー(エチレングリコール/テレフタル酸のモル比が1.05〜1,30)を255℃で、水を留出しながらエステル化反応を行う。エステル化反応終了後、ポリエステル組成物に対し、三酸化二アンチモンを0.0207質量%(0.693mol/t相当)、酢酸マンガンを0.014質量%(0.281mol/t相当)、リン酸を0.014質量%(1.428mol/t相当)、水酸化カリウム水溶液を0.0005質量%(0.09mol/t)となるように添加し、引き続いて、真空下、290℃まで加熱、昇温して重縮合反応を行い、固有粘度0.70のポリエステルペレットを得た。
(ポリエステルB)
添加する金属量をポリエステルAに対して三酸化二アンチモンを0.0173質量%(0.578mol/t相当)、酢酸マンガンを0.007質量%(0.140mol/t相当)へ変更した以外はポリエステルAと同様の方法で重合を行い、固有粘度0.70のポリエステルBを得た。
(ポリエステルC)
添加する金属量をポリエステルAに対して酢酸マンガンを0.017質量%(0.337mol/t相当)へ変更した以外はポリエステルAと同様の方法で重合を行い、固有粘度0.70のポリエステルCを得た。
(ポリエステルD)
添加する金属量をポリエステルAに対して三酸化二アンチモンを0.0276質量%(0.831mol/t相当)へ変更した以外はポリエステルAと同様の方法で重合を行い、固有粘度0.70のポリエステルDを得た。
(ポリエステルE)
添加する金属として、ポリエステルAに添加する金属に加えて、酢酸マグネシウムを0.0276質量%(1.284mol/t相当)を添加した以外はポリエステルAと同様の方法で重合を行い、固有粘度0.70のポリエステルEを得た。
(ポリエステルF)
ポリエステルAを製造する際の金属化合物を添加する前に平均粒径が0.03μmの酸化アルミナをポリエステルに対して2質量%となるように添加し、その後ポリエステルAと同様に重合を行い、固有粘度0.70のアルミナ含有のポリエステルを得た。
(ポリエステルG、H)
ポリエステルAを製造する際の金属化合物を添加する前に平均粒径がそれぞれ0.01μm、0.1μmのコロイダルシリカをポリエステルに対して2質量%となるように添加し、その後ポリエステルAと同様に重合を行い、固有粘度0.70のシリカ含有のポリエステルを得た。
(ポリエステルI、J、K)
さらに別にモノマーを吸着させる方法によって得た平均粒径が0.52μm、0.40μm、0.60μmのジビニルベンゼン/スチレン共重合架橋粒子の水スラリーをポリエステルAにベント式二軸混練機を用いて含有させ、それぞれの粒径のジビニルベンゼン/スチレン共重合架橋粒子をポリエステルに対し2質量%含有するポリエステルI,J、Kを得た。
(ポリエステルL、N、P、R)
ポリエステルB、C、D、Eを製造する際の金属化合物を添加する前に平均粒径が0.03μmの酸化アルミナをポリエステルに対して2質量%となるように添加し、その後ポリエステルAと同様に重合を行い、固有粘度0.70のアルミナ含有のポリエステルL,N,P、Rを得た。
(ポリエステルM,O、Q、S)
平均粒径が0.52μmのジビニルベンゼン/スチレン共重合架橋粒子の水スラリーをポリエステルB、C、D、Eにベント式二軸混練機を用いて含有させ、それぞれの粒径のジビニルベンゼン/スチレン共重合架橋粒子をポリエステルに対し2質量%含有するポリエステルM,O,Q、Sを得た。
(ポリエステルT、U)
ポリエステルAと同様の添加物を添加し、同様の方法で重合を行い、重合終了を判定する最終的な攪拌機のトルクを調整することで固有粘度がそれぞれ0.80、0.50であるポリエステルT,Uを得た。
(ポリエステルV)
テレフタル酸ジメチルとエチレングリコールをモル比(エチレングリコール/テレフタル酸ジメチルのモル比が1.5〜2.0)にポリエステル組成物に対し、三酸化二アンチモンを0.0207質量%(0.693mol/t相当)、酢酸マンガンを0.014質量%(0.281mol/t相当)、となるように添加した後、145〜230℃で3.5時間要して徐々に昇温し、メタノールを留出させ、エステル交換反応を完結させた。その後、該反応生成物に、リン酸を0.014質量%(1.428mol/t相当)、水酸化カリウム水溶液を0.0005質量%(0.09mol/t)を添加し、常法によって3.0時間重縮合反応を行い、固有粘度0.70のポリエステルペレットVを得た。
(ポリエステルW)
ポリエステルVを製造する際のリン化合物を添加した後に平均粒径が0.03μmの酸化アルミナをポリエステルに対して2質量%となるように添加し、その後ポリエステルVと同様に重合を行い、固有粘度0.70のアルミナ含有のポリエステルを得た。
(ポリエステルX)
さらに別にモノマーを吸着させる方法によって得た平均粒径が0.52μmのジビニルベンゼン/スチレン共重合架橋粒子の水スラリーをポリエステルVにベント式二軸混練機を用いて含有させ、それぞれの粒径のジビニルベンゼン/スチレン共重合架橋粒子をポリエステルに対し2質量%含有するポリエステルXを得た。
(ポリエステルY)
ポリエステルVと同様の添加物を添加し、同様の方法で重合を行い、重合終了を判定する最終的な攪拌機のトルクを調整することで固有粘度がそれぞれ0.80であるポリエステルYを得た。
(ポリエステルZ)
ポリエステルAを製造する際の金属化合物を添加した後にリン酸二水素ナトリウムをポリエステルに対して0.0308質量%となるように添加し、その後ポリエステルAと同様に重合を行い、ポリエステルZを得た。
(2)回収原料について
一方で、下記処方のフィルムを製造した後のフィルムを回収し、ペレット化したものを回収原料Aとした。なお、以下に記載する比率は、フィルム全体に対する重量比(単位:質量%)で表す。
ポリエステルA: 50.0
ポリエステルF: 30.0
ポリエステルI: 20.0
また、下記処方のフィルムを製造した後のフィルムを回収し、ペレット化したものを回収原料Bとした。
ポリエステルV: 50.0
ポリエステルW: 30.0
ポリエステルX: 20.0
(3)ポリエステルペレットの調合
層の数が1層のフィルムについてはA層、層の数が2層の場合はA層、B層、層の数が3層の場合は表層からA層、B層、C層とする。A層、B層、C層それぞれの層に供給するポリエステルペレットはそれぞれの配合比率にて調合を行い、ポリエステルフィルムを得た。なお、これ以下層の構成において記載する比率は、おのおのの層を構成するポリエステルペレットに対する質量比(単位:質量%)である。
[実施例1]
A層、B層、C層にそれぞれの層の押し出し機に供給するポリエステルペレットは以下の通りとした。
A層
ポリエステルA: 50.0
ポリエステルF: 40.0
ポリエステルI: 10.0
B層
ポリエステルT: 50.0
回収原料A: 50.0
C層
ポリエステルA: 50.0
ポリエステルF: 40.0
ポリエステルI: 10.0
各層について調合した原料を、ブレンダー内で攪拌した後、A層およびC層の原料は、攪拌後の原料を、A層およびC層用のベント付き二軸押出機に供給し、B層の原料は160℃で8時間減圧乾燥し、B層用の一軸押出機に供給した。275℃で溶融押出し、3μm以上の異物を95%以上捕集する高精度なフィルターにて濾過した後、矩形の異種3層用合流ブロックで合流積層し、層A、層B、層Cからなる3層積層とした。その後、285℃に保ったスリットダイを介し冷却ロール上に静電印可キャスト法を用いて表面温度25℃のキャスティングドラムに巻き付け冷却固化して未延伸積層フィルムを得た。
この未延伸積層フィルムに逐次延伸(長手方向、幅方向)を実施した。まず長手方向の延伸を実施し、105℃でテフロン(登録商標)ロールにて搬送した後に、長手方向に120℃で4.0倍延伸して一軸延伸フィルムとした。
この一軸延伸フィルムをステンター内で横方向に115℃で4倍延伸し、続いて230℃で熱固定し、その際幅方向に5%弛緩し搬送工程にて冷却させた後、エッジを切断後に巻き取り、厚さ38μmの二軸延伸フィルムの中間製品を得た。この中間製品をスリッターにてスリットし、厚さ38μmの二軸延伸フィルムのロールを得た。この二軸延伸フィルムの積層厚みを測定した結果、A層:1.5μm、B層:28.0μm、C層:1.5μmであった。
次にこの二軸延伸フィルムのロールに、架橋プライマー層(東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製商品名BY24−846)を固形分1%に調整した塗布液を塗布/乾燥し、乾燥後の塗布厚みが0.1μmとなるようにグラビアコーターで塗布し、100℃で20秒乾燥硬化した。その後1時間以内に付加反応型シリコーン樹脂(東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製商品名LTC750A)100重量部、白金触媒(東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製商品名SRX212)2重量部を固形分5%に調整した塗布液を、乾燥後の塗布厚みが0.1μmとなるようにグラビアコートで塗布し、120℃で30秒乾燥硬化した後に巻き取り、離型フィルムを得た。
チタン酸バリウム(富士チタン工業(株)製商品名HPBT−1)100重量部、ポリビニルブチラール(積水化学(株)製商品名BL−1)10重量部、フタル酸ジブチル5重量部とトルエン−エタノール(重量比30:30)60重量部に、数平均粒径2mmのガラスビーズを加え、ジェットミルにて20時間混合・分散させた後、濾過してペースト状のセラミックスラリーを調整した。得られたセラミックスラリーを、離型フィルムの上に乾燥後の厚みが2μmとなるように、ダイコーターにて塗布し乾燥させ、巻き取り、グリーンシートを得た。
上記で巻き取られたグリーンシートを、繰り出し、離型フィルムから剥がさない状態にて目視で観察し、ピンホールの有無や、シート表面および端部の塗布状態を確認する。なお観察する面積は幅300mm、長さ500mmである。
a.ピンホール、凹みの有無
離型フィルムの上に成型されたグリーンシートについて、背面から1000ルクスのバックライトユニットで照らしながら、塗布抜けによるピンホールあるいは、離型フィルム背面の表面転写による凹み状態を観察する。以下のような評価値とし、評価4以上を合格とした。
評価5:ピンホールも凹みも無い。
評価4:ピンホールは無く、凹みが2個以内認められる。
評価3:ピンホールが1個以内、また凹みが4個以内認められる。
評価2:ピンホールが複数有り、また凹みが10個以内認められる。
評価1:ピンホールが複数有り、また凹みが11個以上認められる。
b.シート表面・端部の塗布状態
離型フィルムの上に成型されたグリーンシートについて、シートの表面および端部を目視で観察する。以下のような評価値とし、評価4以上を合格とした。
評価5:シート表面および端部に塗布斑が認められない。
評価4:シート表面に塗布斑が無いが、端部には弱い塗布斑が有る。
評価3:シート表面に塗布斑が無いが、端部には塗布斑が有る。
評価2:シート表面に弱い塗布斑が有り、端部にも塗布斑が有る。
評価1:シート表面、端部に塗布斑が認められる。
実施例1においては、ピンホール、凹みの有無評価は、ピンホール、凹みとも無いため、評価を5とした。また、シート表面も端部も塗布斑が無いため、評価を5とした。
[実施例2〜5]
A層、C層のそれぞれの押し出し機に供給するポリエステルペレットを以下のようにした以外は実施例1と同じ製法にてポリエステルフィルムを得、離型層の塗布およびグリーンシートの成型を行った。
実施例2
A層
ポリエステルA: 50.0
ポリエステルF: 40.0
ポリエステルJ: 10.0
B層
ポリエステルT: 50.0
回収原料A: 50.0
C層
ポリエステルA: 50.0
ポリエステルF: 40.0
ポリエステルJ: 10.0
実施例3
A層
ポリエステルA: 57.5
ポリエステルF: 40.0
ポリエステルI: 2.5
C層
ポリエステルA: 57.5
ポリエステルF: 40.0
ポリエステルI: 2.5
実施例4
A層
ポリエステルA: 37.5
ポリエステルF: 40.0
ポリエステルI: 22.5
C層
ポリエステルA: 37.5
ポリエステルF: 40.0
ポリエステルI: 22.5
実施例5
A層
ポリエステルA: 50.0
ポリエステルF: 40.0
ポリエステルK: 10.0
C層
ポリエステルA: 50.0
ポリエステルF: 40.0
ポリエステルK: 10.0
実施例2、3、4については実施例1と変わらず、ピンホールや凹みを確認されず評価を5とし、また、シート表面も端部も塗布斑が無いため、評価を5とした。実施例5についてはSRpが上昇した結果、グリーンシートにピンホールは確認されなかったが、凹みについては1個確認されたため、評価を4とした。塗布斑については表面も端部も確認されなかったため、評価は5とした。
[実施例6〜7]
A層、B層、C層のそれぞれの押し出し機に供給するポリエステルの組成を以下の通りとする以外は実施例1と同様の製法にてポリエステルフィルムを得、離型層の塗布およびグリーンシートの成型を行った。
実施例6
A層
ポリエステルB: 50.0
ポリエステルL: 40.0
ポリエステルM: 10.0
B層
ポリエステルB: 100.0
C層
ポリエステルB: 50.0
ポリエステルL: 40.0
ポリエステルM: 10.0
実施例7
A層
ポリエステルC: 50.0
ポリエステルN: 40.0
ポリエステルO: 10.0
B層
ポリエステルB: 100.0
C層
ポリエステルC: 50.0
ポリエステルN: 40.0
ポリエステルO: 10.0
実施例6についてはフィルム含有のテレフタル酸の量が少ないことから、グリーンシートにピンホールはなかったが、凹みは2個確認され、評価を4とし、塗布斑についてはシート表面と端部に確認されず評価を5とした。実施例7についてはフィルムに含有するテレフタル酸の量は若干上昇したが、グリーンシートの表面性および塗布斑についての評価は実施例1と同様に評価5、評価5とした。
[実施例8〜11]
B層の押し出し機へ供給するポリエステルを以下のような組成にする以外は実施例1と同様の製法にてポリエステルフィルムを得、離型層の塗布およびグリーンシートの成型を行った。
実施例8
B層
ポリエステルA: 60.0
ポリエステルU: 40.0
実施例9
B層
ポリエステルA: 60.0
ポリエステルT: 40.0
実施例10
B層
ポリエステルA: 20.0
ポリエステルU: 80.0
実施例11
B層
ポリエステルA: 20.0
ポリエステルT: 80.0
実施例8、実施例9についてフィルムの固有粘度は0.60および0.70となったが、延伸状態には変化はなく、グリーンシートの状態は実施例1と同様に良い結果となった。実施例10についてはフィルムの固有粘度が0.55となったことから、フィルムのこしが弱くなったことにより、グリーンシートに凹みが発生し、評価4となり、さらにシート端部の厚み斑により塗布斑が確認できたため、塗布斑についても評価は4となった。実施例11についてはフィルムの固有粘度が0.70となったため、グリーンシートのピンホール、凹みについては発生がなく、評価は5となったが、厚み斑が発生し、塗布斑については弱い斑が発生したことにより塗布斑の評価は4となった。
[実施例12〜13]
A層、B層、C層のそれぞれの押し出し機に供給する以下の通りとする以外は実施例1と同様の製法にてポリエステルフィルムを得、離型層の塗布およびグリーンシートの成型を行った。
実施例12
A層
ポリエステルD: 50.0
ポリエステルP: 40.0
ポリエステルQ: 10.0
B層
ポリエステルD: 100.0
C層
ポリエステルD: 50.0
ポリエステルP: 40.0
ポリエステルQ: 10.0
実施例13
A層
ポリエステルE: 50.0
ポリエステルR: 40.0
ポリエステルS: 10.0
B層
ポリエステルE: 100.0
C層
ポリエステルE: 50.0
ポリエステルR: 40.0
ポリエステルS: 10.0
実施例12、13については触媒量が増加したことでフィルムに含有するテレフタル酸の量が増加したが、ピンホール、凹みは確認されず評価5となったが、端部に弱い塗布斑が確認され評価は4となった。
[実施例14]
ポリエステルの組成を以下のA層の単層とした以外は実施例1と同じ製法にてポリエステルフィルムを得、離型層の塗布およびグリーンシートの成型を行った。
A層
ポリエステルA: 57.5
ポリエステルF: 40.0
ポリエステルI: 2.5
単層となったことでSRpが若干低くなったが、ピンホールや凹みは確認されず、評価を5とし、塗布斑等もなく評価を5とした。
[実施例15]
ポリエステルの組成を以下のA層、B層の2層とした以外は実施例1と同じ製法にてポリエステルフィルムを得、離型層の塗布およびグリーンシートの成型を行った。
A層
ポリエステルA: 57.5
ポリエステルF: 40.0
ポリエステルI: 2.5
B層
ポリエステルA: 57.5
ポリエステルF: 40.0
ポリエステルI: 2.5
2層であっても単層と差は無く、実施例15と同様の評価結果となった。
[実施例16、17]
A層、C層のそれぞれの押し出し機に供給するポリエステルペレットを以下のようにした以外は実施例1と同じ製法にてポリエステルフィルムを得、離型層の塗布およびグリーンシートの成型を行った。
実施例16
A層
ポリエステルA: 50.0
ポリエステルG: 40.0
ポリエステルI: 10.0
C層
ポリエステルA: 50.0
ポリエステルG: 40.0
ポリエステルI: 10.0
実施例17
A層
ポリエステルA: 50.0
ポリエステルH: 40.0
ポリエステルI: 10.0
C層
ポリエステルA: 50.0
ポリエステルH: 40.0
ポリエステルI: 10.0
実施例17については粒子の粒径が小さくなったことで実施例1に比べてキズの数が増えたが、グリーンシートの表面性、塗布性は問題なかった。実施例18は粒子の粒径が大きくなり、実施例17以上にキズが増え、さらにSRpは増加したがグリーンシートの表面性、塗布性には影響はなかった。
[実施例18、19]
A層、C層のそれぞれの押し出し機に供給するポリエステルペレットを以下のようにした以外は実施例1と同じ製法にてポリエステルフィルムを得、離型層の塗布およびグリーンシートの成型を行った。
実施例18
A層
ポリエステルA: 67.5
ポリエステルF: 22.5
ポリエステルI: 10.0
C層
ポリエステルA: 67.5
ポリエステルF: 22.5
ポリエステルI: 10.0
実施例19
A層
ポリエステルA: 37.5
ポリエステルF: 52.5
ポリエステルI: 10.0
C層
ポリエステルA: 37.5
ポリエステルF: 52.5
ポリエステルI: 10.0
実施例18は濃度を下げたため、キズの数が増加したが、グリーンシートの評価は実施例1と同等であった。実施例19は粒子濃度を増加させたため、グリーンシートを塗布する際にフィルム端部に塗布斑が確認でき、評価は4となったが、それ以外の特性については良好であった。
[実施例20、21]
最外層の厚みをそれぞれ0.80μm、2.00μmとした以外は実施例1と同じ製法にてポリエステルフィルムを得、離型層の塗布およびグリーンシートの成型を行った。表層の厚みを変更したことで、SRpは変化したが、キズの付き方、グリーンシートの表面性、塗布性には影響はなかった。
[実施例22]
A層、B層、C層のそれぞれの押し出し機に供給するポリエステルペレットを以下の通りとし、フィルム中のテレフタル酸の含有量が5ppmとなるように溶融製膜時にテレフタル酸を添加した以外は実施例1と同様の製法にてポリエステルフィルムを得、離型層の塗布およびグリーンシートの成型を行った。
A層
ポリエステルV: 50.0
ポリエステルW: 40.0
ポリエステルX: 10.0
B層
ポリエステルY: 50.0
回収原料B: 50.0
C層
ポリエステルV: 50.0
ポリエステルW: 40.0
ポリエステルX: 10.0
[実施例23]
溶融製膜時にテレフタル酸をフィルム中のテレフタル酸の含有量が100ppmとなるように添加した以外は実施例1と同様の製法でポリエステルフィルムを得、離型層の塗布およびグリーンシートの成型を行った。テレフタル酸含有量が増加したことで塗布ムラが一部見られたが、塗布状態は評価4となり、凹みいついては1個見られたため、評価を4とした。
[実施例24〜27]
A層、B層、C層のそれぞれの押し出し機に供給するポリエステルの組成を以下の通りとする以外は実施例1と同様の製法にてポリエステルフィルムを得、離型層の塗布およびグリーンシートの成型を行った。
実施例24
A層
ポリエステルA: 50.0
ポリエステルF: 40.0
ポリエステルJ: 10.0
B層
ポリエステルT: 50.0
回収原料A: 50.0
C層
ポリエステルZ: 50.0
ポリエステルF: 40.0
ポリエステルJ: 10.0
実施例25
A層
ポリエステルA: 50.0
ポリエステルF: 40.0
ポリエステルJ: 10.0
B層
ポリエステルT: 50.0
回収原料A: 50.0
C層
ポリエステルZ: 5.0
ポリエステルF: 40.0
ポリエステルJ: 10.0
ポリエステルA: 45.0
実施例26
A層
ポリエステルA: 50.0
ポリエステルF: 40.0
ポリエステルJ: 10.0
B層
ポリエステルT: 50.0
回収原料A: 50.0
C層
ポリエステルZ: 10.0
ポリエステルF: 40.0
ポリエステルJ: 10.0
ポリエステルA: 40.0
実施例27
A層
ポリエステルA: 50.0
ポリエステルF: 40.0
ポリエステルJ: 10.0
B層
ポリエステルT: 50.0
回収原料A: 50.0
C層
ポリエステルZ: 25.0
ポリエステルF: 40.0
ポリエステルJ: 10.0
ポリエステルA: 25.0
実施例24、25、26、27については、ピンホール、凹みの有無評価は、ピンホール、凹みとも無いため、評価を5とした。また、シート表面も端部も塗布斑が無いため、評価を5とした。また、線状オリゴマーの発生量はリン酸アルカリ金属塩を最外層に添加したため、実施例1のフィルムに比べて低い結果となった。
[比較例1]
A層、B層、C層のそれぞれの押し出し機に供給するポリエステルの組成を以下の通りとする以外は実施例1と同様の製法にてポリエステルフィルムを得、離型層の塗布およびグリーンシートの成型を行った。
A層
ポリエステルA: 50.0
ポリエステルF: 40.0
ポリエステルJ: 2.5
B層
ポリエステルT: 50.0
回収原料A: 50.0
C層
ポリエステルA: 50.0
ポリエステルF: 40.0
ポリエステルJ: 2.5
SRpが100となり、製膜性、生産性についても低下が見られた。また、ピークの山高さが低くなったことにより、テレフタル酸が選択的に谷部分に集まることができず、グリーンシートを塗布する際に塗布斑が表面、端部ともに発生し、評価が3となった。
[比較例2]
A層、B層、C層のそれぞれの押し出し機に供給するポリエステルの組成を以下の通りとする以外は実施例1と同様の製法にてポリエステルフィルムを得、離型層の塗布およびグリーンシートの成型を行った。
A層
ポリエステルA: 50.0
ポリエステルF: 40.0
ポリエステルK: 22.5
B層
ポリエステルT: 50.0
回収原料A: 50.0
C層
ポリエステルA: 50.0
ポリエステルF: 40.0
ポリエステルK: 22.5
SRpが350となったことで、製膜性等は問題ないが、グリーンシートを塗布した際に背面転写が発生し、ピンホールや凹みが数カ所見られ、評価は3となった。
[比較例3]
押し出し機にポリエステルチップを供給する際に、最終的なテレフタル酸の濃度が150ppmとなるように粉末のテレフタル酸を押し出し機へ添加した以外は実施例1と同様の製法でポリエステルフィルムを得、離型層の塗布およびグリーンシートの成型を行った。テレフタル酸が多いことから、テレフタル酸に由来する欠点が発生し、グリーンシートに凹みおよびピンホールが確認され、評価は2となり、さらに塗布斑も全面的に発生し、評価は2となった。
[比較例4]
実施例22と同様の配合でポリエステルペレットを押し出し機に供給し、テレフタル酸を添加せずに溶融製膜を行った以外については実施例1と同様の製法にてポリエステルフィルムを得、離型層の塗布およびグリーンシートの成型を行った。テレフタル酸の含有量が少ないことから、見かけの山高さをおさえることができず、背面転写が発生し、凹みやピンホールが発生してしまい、評価は1となった。また、塗布状態については端部に弱いムラが確認できる状態であったので、評価を4とした。
Figure 2018059083
本発明のポリエステルフィルムは、加熱加工後にロールとした時の背面転写の発生を少なくすることができる。そのため、セラミックコンデンサ生産時に使用されるグリーンシート用、偏光板離型用、フォトレジスト用、またポリエステルフィルム上にエポキシ樹脂等をコーティングして製造される多層基板用などに好適に用いることができる。

Claims (8)

  1. 少なくとも1つの面の粗さ曲線の最大山高さSRpが150〜300nmであり、テレフタル酸の含有量がフィルム全体に対して5〜100ppmであるポリエステルフィルム。
  2. アンチモン元素とマンガン元素を含み、フィルム全体に対するマンガン元素含有率をMn(ppm)、アンチモン元素含有率をSb(ppm)としたとき、以下の式を満たす請求項1に記載のポリエステルフィルム。
    Mn + Sb < 300ppm
    5 < Sb/Mn < 10
  3. フィルムのIVが0.60〜0.70である請求項1または2に記載のポリエステルフィルム。
  4. 2層以上の層を持つポリエステルフィルムであり、両最外層が平均粒径0.01〜0.10μmの不活性粒子を両最外層に対して0.45〜1.05質量%含有する請求項1〜3のいずれかに記載のポリエステルフィルム。
  5. 両最外層が平均粒径0.40〜0.60μmの不活性粒子を両最外層に対して0.05〜0.45質量%含有する請求項4に記載のポリエステルフィルム。
  6. 前記粗さ曲線の最大山高さSRpが150〜300nmである面を有する最外層の厚みが0.8〜2.0μmである請求項4または5に記載のポリエステルフィルム。
  7. 離型用途に用いられる請求項1〜6のいずれかに記載のポリエステルフィルム。
  8. 3層以上の層を持つポリエステルフィルムであり、少なくとも1つの最外層にリン酸アルカリ金属塩をアルカリ金属として5〜50ppm含有する、請求項1〜7のいずれかに記載のポリエステルフィルム。
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