JPH07246689A - 二軸配向積層ポリエステルフィルム - Google Patents

二軸配向積層ポリエステルフィルム

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JPH07246689A
JPH07246689A JP4097394A JP4097394A JPH07246689A JP H07246689 A JPH07246689 A JP H07246689A JP 4097394 A JP4097394 A JP 4097394A JP 4097394 A JP4097394 A JP 4097394A JP H07246689 A JPH07246689 A JP H07246689A
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film
layer
polyester
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particle size
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JP4097394A
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Yoshiki Sato
嘉記 佐藤
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Original Assignee
Diafoil Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 スリット性に優れ、走行性および電磁変換特
性を高度に満足し、かつドロップアウト発生防止の点で
優れ、例えば高品質磁気記録媒体用ベースフィルムとし
て有用な二軸配向積層ポリエステルフィルムを提供す
る。 【構成】 少なくとも3層からなるフィルムであって、
フィルム全厚みの40%以上を占める内層(A層)を有
し、当該A層を構成するポリエステルの極限粘度が0.
570未満で、かつフィルム表裏の層を構成するポリエ
ステルの極限粘度よりも0.02以上低く、少なくとも
フィルムの片面に、微粒子を含有する表面粗度Raが
0.005〜0.030μmの表層を有することを特徴
とする二軸配向積層ポリエステルフィルム。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、二軸配向積層ポリエス
テルフィルムに関する。詳しくは、本発明は、高品質磁
気記録媒体用ベースフィルムとして、フィルム製造時お
よび磁気記録媒体製造時のスリット性に優れ、走行性お
よび電磁変換特性を高度に満足し、かつドロップアウト
発生防止の点で優れた二軸配向積層ポリエステルフィル
ムに関するものである。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】二軸
配向ポリエステルフィルムは、各種の特性を高度にバラ
ンス良く有し、コストパフォーマンスの点で優れるた
め、産業用資材として広く用いられている。ポリエステ
ルフィルムの数多い用途の中でも、特に磁気テープ用途
において近年、磁気テープの高品質化のためにベースフ
ィルムに対する要求特性がますます高度になってきてい
る。すなわち、電磁変換特性を向上させるためフィルム
表面が平坦であることが強く望まれ、特にドロップアウ
トの原因となるような粗大突起が存在しない事が必須の
条件になっている。一方、磁気記録媒体の走行性を高め
るため、フィルム表面を適度に粗面化し、フィルムの摩
擦係数を低くすることも必要である。かかる要件に加
え、最近は特にフィルム製造時および磁気記録媒体製造
時のフィルムのスリット性に優れる事が望まれるように
なった。かかるスリット性が不足すると、フィルム製造
時にはスリット端面の形状が均一でないためにシワが発
生したり、スリット刃の交換を頻繁に行わなくてはなら
ないという問題が生じる場合がある。また、スリットに
より発生した切り粉や、磁気記録媒体製造時のスリット
工程で発生した切り粉が、フィルム表面や磁性層面に付
着することによりドロップアウトの原因になるという問
題が発生する。
【0003】一方、フィルムを加工する工程において
は、磁気記録媒体製造時の磁性層塗布工程やカレンダー
工程、巻取り工程等において、ロールやガイドとの接触
によりフィルム表面が削り取られ、その傷が原因で電磁
変換特性が悪化したり、削れ粉がドロップアウトの原因
になるという問題がある。また、特に最近はビデオソフ
トの普及に伴い、ソフトビデオテープ生産性向上のため
高速ダビング装置が使用されるようになり、かかる高速
ダビング装置を使用する場合、磁気テープ、ひいては磁
気テープ用ベースフィルムに高度な品質が要求されるよ
うになった。すなわち、ダビング時のテープの走行速度
は、通常のビデオ再生時の走行よりも高速であるため、
従来の磁気テープにおける走行性向上とは異なる設計が
必要になる。例えば、高速走行時の走行安定性が良好で
蛇行を起こさないこと、走行時に磁気テープが削れて、
その削れ粉の影響でドロップアウト等の問題を起こさな
いこと等が要求されている。これらの品質の厳しい要求
に加え、コスト低減の要求も強く、ベースフィルム生産
性が良好であることも必須である。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記課題に
鑑み鋭意検討した結果、特定の構成を有する積層フィル
ムが優れた特性を有することを見いだし、本発明を完成
するに至った。
【0005】すなわち、本発明の要旨は、少なくとも3
層からなるフィルムであって、フィルム全厚みの40%
以上を占める内層(A層)を有し、当該A層を構成する
ポリエステルの極限粘度が0.570未満で、かつフィ
ルム表裏の層を構成するポリエステルの極限粘度よりも
0.02以上低く、少なくともフィルムの片面に、微粒
子を含有する表面粗度Raが0.005〜0.030μ
mの表層を有することを特徴とする二軸配向積層ポリエ
ステルフィルムに存する。
【0006】以下、本発明を詳細に説明する。本発明に
いう積層フィルムとして、全ての層が押出機の口金から
共溶融押出しされる、いわゆる共押出法により押し出さ
れたものを、延伸および熱処理されたものが挙げられ
る。以下、積層フィルムとして、共押出3層フィルムに
ついて説明するが、本発明の要旨を越えない限り、本発
明は共押出3層フィルムに限定されず、4層またはそれ
以上の多層であってもよい。本発明の積層フィルムの各
層を構成するポリエステルとは、芳香族ジカルボン酸ま
たはそのエステルとグリコールとを主たる出発原料とし
て得られるポリエステルであり、繰り返し構造単位の8
0%以上がエチレンテレフタレート単位またはエチレン
−2,6−ナフタレート単位を有するポリエステルを指
す。そして、上記の範囲内であれば、他の第三成分を含
有していてもよい。芳香族ジカルボン酸成分としては、
例えば、テレフタル酸および2,6−ナフタレンジカル
ボン酸以外に、例えば、イソフタル酸、フタル酸、アジ
ピン酸、セバシン酸、オキシカルボン酸(例えば、p−
オキシエトキシ安息香酸等)等を用いることができる。
グリコール成分としては、エチレングリコール以外に、
例えば、ジエチレングリコール、プロピレングリコー
ル、ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノ
ール、ネオペンチルグリコール等の一種または二種以上
を用いることができる。
【0007】本発明の積層フィルムにおいて、少なくと
も片側の表層を形成する層(以下、B層として説明す
る)は微粒子を含有する。B層はフィルムの片側であっ
てもよいし、両側にあってもよい。また、両側にB層が
存在する場合、その厚みは同じであってもよく、異なっ
ていてもよい。同じポリエステル組成物からなり、厚さ
の異なる層がそれぞれの表面に存在する場合、粗度の異
なる表面を表裏に有するフィルムとして得られるため、
磁気記録媒体の電磁変換特性と走行性を同時に高度に満
足するフィルムとして好ましいものとなる。また、B層
の反対側の表面層がB層と異なるポリエステル組成物か
らなる場合(以下、これをC層とする)、C層はB層と
異なる微粒子を含有する層であってもよく、実質的に微
粒子を含有しない層であってもよい。本発明のフィルム
の全厚みの40%以上を占める内層であるA層は、微粒
子を含有していてもよいし、含有しなくてもよい。ま
た、A層自身が2層以上の積層構造であってもよい。
【0008】A層を積層構造とする利点として、例えば
以下の点がある。すなわち、原料コスト低減のためには
A層に安価な原料、例えば本発明のフィルム自身または
他のフィルム、あるいは成形品から得られる再生ポリエ
ステル原料を配合することが有利である。かかる安価な
ポリエステル原料は、大きな粒子が存在したり、また塗
布層を有するフィルムの再生原料を使用する場合、塗布
剤に起因するゲル化物等の異物が存在し、得られるフィ
ルムの表面性状に影響を与えることがある。そのような
影響を防止するために、かかる原料からなる層の外側に
大きな粒子を含有しない原料からなる層を積層して、表
面性状への影響を防止することが有効である。本発明の
B層では厚みが不足して、ここでいう外側の層としては
不十分である場合、A層自身を3層構造として、その内
層を大粒子等を含有する可能性のある原料からなる層と
することができる。これによりA層を構成する原料とし
て広範囲のものを使用することができるため、コスト的
なメリットが大きくなる。
【0009】本発明で用いる微粒子の例としては、炭酸
カルシウム、リン酸カルシウム、シリカ、カオリン、タ
ルク、二酸化チタン、アルミナ、硫酸バリウム、フッ化
カルシウム、フッ化リチウム、ゼオライト、硫化モリブ
デン等の無機粒子、架橋高分子粒子、シュウ酸カルシウ
ム等の有機粒子、およびポリエステル重合時に生成させ
る、いわゆる析出粒子を挙げることができる。かかる微
粒子の平均粒径は、好ましくは0.005〜3.0μ
m、さらに好ましくは0.01〜2.0μmの範囲であ
る。平均粒径が3.0μmを超えると、フィルム表面に
必要以上に大きな突起を形成してしまうため、電磁変換
特性が悪化したり、粒子がフィルム表面から脱落しやす
くなるため、耐摩耗性悪化の原因となることがある。ま
た、平均粒径が0.005μm未満では、突起形成が不
十分となることがあり、フィルムの走行性が不足する恐
れがある。
【0010】また、微粒子の粒度分布はシャープなもの
が好ましい。すなわち、磁気記録媒体用として使用した
ときの電磁変換特性を高め、かつドロップアウトを防止
するために、粗大粒子を存在させないことが好ましく、
そのために粒度分布がシャープな粒子を用いる。具体的
には、粒度分布のシャープさを表す指標である粒度分布
値が2.0以下、さらには1.8以下のものが好まし
い。なお、ここで粒度分布値とは、粒度分布値=d25
75(d25、d75は、粒子群の積算体積を大粒子側から
計測し、それぞれ総体積の25%、75%に相当する粒
径(μm)を示す)により定義される値である。かかる
粒度分布値が2.0を超えると、得られるフィルムの表
面粗度が不均一となる傾向があり、電磁変換特性が悪化
することがある。特に平均粒径が0.3μmを超える粒
子については、かかる粒度分布の要件を満足することが
好ましい。
【0011】粒度分布がシャープな粒子の例としては、
特開昭59−217755号公報等に記載された架橋高
分子粒子等の有機粒子、球状シリカ粒子や合成炭酸カル
シウムのような無機粒子が挙げられる。本発明において
は、特に優れた電磁変換特性と走行性、巻き特性に加
え、卓越したスリット性を得るために、粒径が0.1〜
1.5μmの架橋高分子粒子を使用することが好まし
い。架橋高分子粒子はポリエステルとの親和性が良く、
粒子脱落等の問題が生じ難く、かつ硬度が高すぎないの
でスリット時に刃にダメージを与えることが少ないた
め、かかる優れた特性を同時に満足できるものと考えら
れる。
【0012】本発明において好ましく使用できる架橋高
分子は、例えば分子中に唯一個の脂肪族の不飽和結合を
有するモノビニル化合物の一種(a)の以上と、架橋剤
として分子中に二個以上の脂肪族の不飽和結合を有する
化合物(b)の一種以上とを特定の開始剤の存在下、乳
化重合法で共重合させることにより得ることができる。
ここで言う乳化重合法とは、シード乳化重合等の概念も
包括した広義の乳化重合を指す。化合物(a)として
は、アクリル酸、メタクリル酸およびこれらのアルキル
またはグリシジルエステル、無水マレイン酸およびその
アルキル誘導体、ビニルグリシジルエーテル、酢酸ビニ
ル、スチレン、アルキル置換スチレン等を挙げることが
できる。また化合物(b)としては、ジビニルベンゼ
ン、ジビニルスルホン、エチレングリコールジメタクリ
レート、1,4−ブタンジオールジアクリレート等を挙
げることができる。化合物(a)および(b)は各々一
種類以上用いるが、窒素原子を含有する化合物やエチレ
ンを共重合させてもよい。重合開始剤としては、例えば
過硫酸カリウム、過硫酸カリウム−チオ硫酸ナトリウ
ム、過酸化水素等の水溶性の重合開始剤を挙げることが
できるが、これらに限定される訳ではない。
【0013】上記化合物の組み合わせあるいは粒子の合
成条件によっては一部凝集粒子が生成する場合があるの
で、粒子の分散性を保持するため下記の分散安定剤を用
いることが好ましい。例えば脂肪酸塩、アルキル硫酸エ
ステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルス
ルホコハク酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ア
ルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩、アルキルリ
ン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルまたはアルキルア
リル硫酸エステル塩等の陰イオン性界面活性剤やポリオ
キシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンア
ルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレン誘導体、ポ
リオキシエチレン−オキシプロピレンブロックコポリマ
ー、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソ
ルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビト
ール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル等の非
イオン性界面活性剤やアルキルアミン塩、第4級アンモ
ニウム塩等の陽イオン界面活性剤およびアルキルベタイ
ン、アミンオキサイド等の両性界面活性剤である。その
中でも特にアルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩
等で代表される陰イオン性界面活性剤が好適に用いられ
る。
【0014】本発明で用いる架橋高分子は、窒素ガス中
300℃で2時間加熱後の重量減少が20重量%以下、
さらには10重量%以下である耐熱性の良いものが好ま
しい。この値が20重量%を超えると該粒子同士が融着
し凝集粒子となることがある。本発明における架橋高分
子粒子製造の一態様を示すと次のとおりである。すなわ
ち、水媒体中に過硫酸カリウム等の水溶性の重合開始剤
とアルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩等の分散
安定剤とを所定量溶解した後、所定量の化合物(a)お
よび(b)の混合溶液を添加する。しかる後、重合開始
剤の分解開始温度以上、好ましくは30〜90℃で攪拌
下3〜10時間程度の反応を行う。この場合、粒子は均
一に分散した水スラリーとして得られる。いずれにして
も本発明の要旨を満たすのならば、粒子の製造法は問わ
ない。B層中の粒子含有量は、B層を構成するポリエス
テルに対し、0.01〜10.0重量%、さらには0.
05〜3.0重量%、特には0.1〜1.5重量%であ
ることが望ましい。0.01重量%未満ではB層表面に
形成される突起数が不足してフィルムの走行性が不足す
る傾向があるし、フィルム製造時に表面に傷が生成する
恐れもある。一方、B層中の粒子含有量が10.0重量
%を超えると、粒子の脱落が起こりやすくなったり、粒
子が凝集して粗大突起を形成する等の問題が生じること
がある。
【0015】また、C層に粒子を含有する場合も、その
粒径範囲と含有量が上記した範囲であることが、電磁変
換特性や走行性を高度に満足させるために好ましい。B
層およびC層中の粒子は、1種類でもよいが、粒子種や
粒径が異なる2種類以上を含有させることも好ましい。
また、該粒子を粒径が異なる2種以上として用いること
も好ましい。この場合、粒子の含有量は合計の量が上記
した範囲であることが好ましい。
【0016】また、A層中の粒子の含有量はB層中の含
有量よりも少ないことが好ましく、かつ全フィルムに対
する粒子の含有量が1.0重量%以下、さらには0.5
重量%以下であることが望ましい。全フィルムに対する
粒子の含有量が1.0重量%を超えると、本発明のフィ
ルムの特徴である優れたスリット性が得られなくなる恐
れがある。さらに、本発明においては、フィルムの耐摩
耗性や耐擦傷性を向上するため、モース硬度が7以上の
無機粒子をB層に含有させることが好ましい。モース硬
度が7以上の無機粒子としては、アルミナ、シリコンカ
−バイド、バナジウムカ−バイド、チタンカ−バイド、
ボロンカ−バイド等を挙げることができる。これらの中
では、工業的に入手が容易であり、かつ耐擦傷性向上の
効果が大きいアルミナが好ましく、その中でもδ型アル
ミナおよびγ型のアルミナが特に好ましい。モース硬度
が7以上の無機粒子は、必要に応じて2種以上併用して
もよい。
【0017】かかるアルミナ粒子の製造法としては、例
えば熱分解法、すなわち無水塩化アルミニウムを原料と
して火焔加水分解させる方法、あるいはアンモニウム明
ばん熱分解法、すなわち水酸化アルミニウムを原料とし
て硫酸と反応させて硫酸アルミニウムとした後硫酸アン
モニウムと反応させてアンモニウム明ばんとして焼成す
る方法等を挙げることができる。これらの方法により得
られるアルミナの一次粒径は、通常、5〜40nmの範
囲にあるが、しばしば0.5μmを超える凝集体を形成
しているので、適度に解砕して使用することが望まし
い。本発明で使用する場合、多少凝集した二次粒子とな
っていてもよいが、見掛け上の平均粒径は0.5μm以
下が好ましく、0.1μm以下が特に好ましい。
【0018】本発明においては、モース硬度7以上の粒
子の含有量は、積層フィルム全体に対して、好ましくは
0.5重量%以下、さらに好ましくは0.3重量%以下
である。含有量が0.5重量%を超える場合は、フィル
ムの製造および磁気テープ加工工程のスリット工程にお
いて、切断刃の損傷の度合が大きすぎるため、フィルム
の製造時および磁気テープ加工工程時に切断刃を頻繁に
取り替えることが必要となり、生産性が悪くなる。
【0019】本発明のフィルムを構成する、粒子を含む
ポリエステルの製造に際して、粒子はポリエステルの合
成反応中に添加してもポリエステルに直接添加してもよ
い。合成反応中に添加する場合は、粒子をエチレングリ
コール等に分散させたスラリーとして、ポリエステル合
成の任意の段階で添加する方法が好ましい。一方、ポリ
エステルに直接添加する場合は、乾燥した粒子として、
または水あるいは沸点が200℃以下の有機溶媒中に分
散したスラリーとして、2軸混練押出機を用いてポリエ
ステルに添加混合する方法が好ましい。なお、添加する
粒子は、必要に応じ、事前に解砕、分散、分級、濾過等
の処理を施しておいてもよい。粒子の含有量を調節する
方法としては、上記した方法で高濃度に粒子を含有する
マスター原料を作っておき、それを製膜時に、実質的に
粒子を含有しない原料で希釈して粒子含有量を調節する
方法が有効である。かくして得られる本発明のフィルム
の少なくとも片面であって、微粒子を含有する表層の表
面粗度Raは、0.005〜0.030μm、好ましく
は0.005〜0.025μmである。Raが0.00
5μm未満では、フィルムの取扱い性、巻き特性、磁気
テープとしたときの走行性が不十分となる。一方、0.
030μmを超えると磁気テープの電磁変換特性が悪化
するため好ましくない。
【0020】本発明のフィルムのA層を構成するポリエ
ステルの極限粘度は、0.570未満、好ましくは0.
565未満、さらに好ましくは0.560未満である。
極限粘度が0.570以上では、本発明のフィルムの特
徴の一つである優れたスリット性が得られなくなる。A
層の極限粘度の下限は、フィルムの生産性の点から、通
常0.400、好ましくは0.450、さらに好ましく
は0.500である。表面層の極限粘度にもよるが、A
層の極限粘度が0.400未満ではフィルム生産時に破
断が頻発するようになり、生産性の低下をもたらすよう
になる。
【0021】さらに、A層の極限粘度は表層を構成する
ポリエステルの極限粘度より0.02以上低いこと、言
いかえると、表層の極限粘度はA層の極限粘度よりも
0.02以上、好ましくは0.03以上高いことが必要
である。表面層の極限粘度が低くなると、フィルムの耐
削れ性が悪化するため好ましくない。表面層の極限粘度
は、好ましくは0.570以上、さらに好ましくは0.
580以上、特に好ましくは0.600以上である。
【0022】本発明のフィルムは、幅方向の屈折率(n
TD)と長手方向の屈折率(nMD)との差(Δn;nTD
MD)が0.010以上の場合、特に、スリット性に優
れ、磁気テープのベースフィルムとして適したものとな
る。Δnは、好ましくは0.020以上、さらに好まし
くは0.025以上である。Δnがあまり大きすぎる場
合は、熱収縮率等の不都合が生じるため、Δnの上限
は、0.060とすることが好ましい。
【0023】さらに、本発明のフィルムは、少なくとも
片側の表面の表面抵抗が通常、1×1014Ω以下であ
り、1×1012Ω以下、さらには5×1011Ω以下、特
には2×1011Ω以下であることが望ましい。表面抵抗
を低くすることにより、フィルムスリット時に発生する
切り粉がフィルムの表面に引き寄せられて付着すること
を防止でき、磁気テープとしたときのドロップアウトの
発生を減らすことができる。また、表面抵抗を低くして
フィルムの帯電を防止することにより、磁気テープの走
行性、特にプラスチック製のピンとの接触がある場合の
走行性を高度に保つことができる。
【0024】最外層表面の表面抵抗を上記範囲とするた
めには、フィルム表面に特定の塗布層を設ける方法や、
表面層に帯電防止剤を含有させる方法が用いられる。本
発明においてはフィルムの耐削れ性を低下させないため
に、表層に帯電防止剤を含有させる方法が好ましい。具
体的には、ポリエステル製造工程において任意の段階で
帯電防止剤を添加する方法、押出機を用いてポリエステ
ルに帯電防止剤を練り込み配合する方法、製膜時に原料
樹脂中に帯電防止剤またはそれを含むマスターバッチを
配合する方法が好ましく採用される。特に製造の簡便
さ、濃度の調節のしやすさ、およびコストの面から練り
込み配合法にて製造した、帯電防止剤のマスターバッチ
を製膜時に配合する方法が好ましい。上記の帯電防止剤
の例としては、イオン導電性化合物の代表的なスルホン
酸塩やリン酸塩の誘導体を挙げることができる。最も典
型的な例としては、アルキルスルホン酸の金属塩また
は、アルキルベンゼンスルホン酸の金属塩が挙げられ
る。また、これらを使用する場合、ポリアルキレングリ
コールを共存させると帯電防止効果が増すので好まし
い。電子導電性化合物の代表的なカーボンブラックも用
いることができる。
【0025】本発明のフィルム表面の表面抵抗の下限
は、好ましくは1×109 Ωである。表面抵抗が1×1
9 Ω未満では、もはや帯電防止の効果がほとんど変わ
らないばかりか、帯電防止剤の量が多量になるため、い
わゆるブルーミングが発生し、磁性層や他の塗布層との
接着性が悪化する等の悪影響を及ぼすようになる。本発
明において、積層フィルムを得る方法としては、共押出
法が好ましく用いられる。以下、共押出法による例につ
いて説明する。それぞれの層を構成するポリエステル原
料を、共押出積層用押出装置に供給する。すなわち、2
または3台以上の押出機、3層以上のマルチマニホール
ドまたはフィードブロックを用いて積層し、スリット状
のダイから3層以上の溶融シートとして押し出す。その
際、それぞれの層の厚みはメルトラインに設置したギヤ
ポンプ等の定量フィーダーによるポリマーの流量の調整
により設定することができる。次に、ダイから押し出さ
れた溶融シートを、回転冷却ドラム上でガラス転移温度
以下の温度になるように急冷固化し、実質的に非晶状態
の未配向シートを得る。この場合、シートの平面性を向
上させるため、シートと回転冷却ドラムとの密着性を高
める必要があり、本発明においては静電印加密着法およ
び/または液体塗布密着法が好ましく採用される。
【0026】本発明においてはこのようにして得られた
シートを2軸方向に延伸してフィルム化する。延伸条件
について具体的に述べると、前記未延伸シートを好まし
くは70〜150℃、さらに好ましくは75〜130℃
の温度範囲で、まず一方向にロールもしくはテンター方
式の延伸機により3.0〜7倍、好ましくは3.2〜6
倍に延伸する。次に一段目と直交する方向に好ましくは
75〜150℃、さらに好ましくは80〜140℃の温
度範囲で3.2〜7倍、好ましくは3.5〜6倍に延伸
を行い、2軸に配向したフィルムを得る。なお、一方向
の延伸を2段階以上で行う方法も用いることができる
が、その場合も最終的な延伸倍率が上記した範囲に入る
ことが望ましい。また、前記未延伸シートを面積倍率が
10〜40倍になるように同時二軸延伸することも可能
である。
【0027】かくして得られたフィルムを150〜25
0℃で、30%以内の伸長、制限収縮、または定長下で
1秒〜5分間熱処理する。二軸延伸した後さらに110
℃〜180℃の温度で縦方向に1.05〜2.5倍再延
伸を行った後、熱処理する方法も採り得る。この際、再
縦延伸前熱固定、再縦延伸後縦弛緩、再縦延伸前または
後微小倍率縦延伸等の手法を適宜採用も可能である。ま
た、同様に横方向に再延伸を行ってもよい。また、必要
に応じて製膜工程内で各種の表面処理等を施しても構わ
ない。
【0028】また、本発明のフィルムは、特に磁気記録
媒体用として使用する場合、磁性層との接着性を高める
ため、フィルム表面に塗布層を設けてもよい。塗布層
は、フィルム製造工程内で設けてもよいし、フィルム製
造後に塗布してもよい。特に塗布厚みの均一性や、生産
効率の点で、フィルム製造工程の縦方向延伸後、横延伸
工程の前に塗布する方法が好ましい。塗布剤の例として
は、磁性層との接着性に優れる、ポリエステル、ポリア
ミド、ポリスチレン、ポリアクリレート、ポリカーボネ
ート、ポリアリレート、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニ
リデン、ポリビニルブチラール、ポリビニルアルコー
ル、ポリウレタンなどの樹脂およびこれらの樹脂の共重
合体や混合体などを挙げることができるが、これらに限
定されるわけではない。これらの中で最も好ましい塗布
剤樹脂は、ポリエステル系樹脂である。
【0029】本発明における塗布剤は、水を媒体とする
塗布剤であることが望ましい。水を媒体とする場合は、
界面活性剤などによって強制分散化した塗布剤であって
もよいが、好ましくはポリエ−テル類のような親水性の
ノニオン成分や、四級アンモニウム塩のようなカチオン
性基を有する自己分散型塗布剤であり、さらに好ましく
は、アニオン性基を有する水溶性または水分散性樹脂塗
布剤である。特に高速ダビング装置に使用されるビデオ
パンケーキ用の磁気記録媒体ベースフィルムとして使用
される場合は、かかる易接着処理を施し、磁性層の剥離
を防止することが品質を高めるために有効である。な
お、本発明においては、製膜に供するポリエステル全量
に対し、10重量%程度以下の他のポリマー(例えばポ
リエチレン、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリス
ルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリアミド、ポリ
イミド等)を含有させることができる。また、必要に応
じ、酸化防止剤、熱安定剤、潤滑剤、染料、顔料等の添
加剤を配合してもよい。
【0030】
【実施例】以下、本発明を実施例を挙げてさらに詳細に
説明するが、本発明は、その要旨を越えない限り、以下
の実施例によって限定されるものではない。なお、実施
例における種々の物性および特性の測定方法、定義は下
記のとおりである。実施例および比較例中「部」とある
は「重量部」を示す。 (1)平均粒径および粒度分布値 球状の架橋高分子粒子のように、粒径および形状が均一
な粒子の場合は、平均粒径を電子顕微鏡による写真法に
て測定した。すなわち、約1000個の粒子の粒径を測
定して大粒子側から体積を積算し、総体積に対し25%
の点の粒径をd 25、50%の点をd50、75%の点をd
75とし、d50を平均粒径、d25とd75との比(d25/d
75)を粒度分布値とした。その他の粒子については島津
製作所製遠心沈降式粒度分布測定装置(SA−CP3
型)で測定した等価球形分布における積算体積分率50
%の粒径を平均粒径d50とした。また、大粒子側から積
算して重量分率25%の点の直径と重量分率75%の点
の直径の比d25/d75値を粒度分布値とした。
【0031】(2)ポリマーの極限粘度〔η〕(dl/
g) ポリマ−1gをフェノール/テトラクロロエタン=50
/50(重量比)の混合溶媒100ml中に溶解し、3
0℃で測定した。フィルムの外層の極限粘度は、表面を
削り取ったポリマーにより測定した。また、内層は表面
層を削り取ったあとのフィルムを用いて測定した。 (3)最表層厚み 透過型電子顕微鏡(TEM)によるフィルム断面の観察
にて行った。すなわち、フィルムサンプルの小片を、エ
ポキシ樹脂に硬化剤、加速剤を配合した樹脂に包埋処理
し、ウルトラミクロトームにて厚み約200nmの切片
を作成し、観察用サンプルとした。得られたサンプルを
日立(株)製透過型電子顕微鏡H−9000を用いて断
面の顕微鏡写真を撮影し、表層の厚みを測定した。ただ
し、加速電圧は300kV、倍率は最表層厚みに応じ、
1万倍〜10万倍の範囲で設定した。厚み測定は50点
行い、測定値の厚い方から10点、薄い方から10点を
削除して30点を平均して測定値とした。
【0032】(4)中心線平均粗さ(Ra) (株)小坂研究所製表面粗さ測定機(SE−3F)を用
いて次のようにして求めた。すなわち、フィルム断面曲
線からその中心線の方向に基準長さL(2.5mm)の
部分を抜きとり、この抜き取り部分の中心線をx軸、縦
倍率の方向をy軸として粗さ曲線y=f(x)で表した
とき、次式で与えられた値を〔μm〕で表した。中心線
平均粗さは、試料フィルム表面から10本の断面曲線を
求め、これらの断面曲線から求めた抜き取り部分の中心
線平均粗さの平均値で表した。なお、触針の先端半径は
2μm、荷重は30mgとし、カットオフ値は0.08
mmとした。
【数1】Ra=(1/L)∫0L|f(x)|dx
【0033】(5)摩耗特性 幅10mmのポリエステルフィルムを200m長さにわ
たって固定ピン(直径6mm、材質SUS420−J
2、仕上げ0.2S)に接触させながら走行させ、固定
ピンに付着した摩耗粉の量を目視評価し下記の4ランク
に分けた。なお、フィルムの走行速度は11.4m/分
とし、初期張力を300g、フィルムと固定ピンとの巻
き付け角を125゜とした。 A:付着がまったく認められない B:付着が極く僅か認められるが実用上は問題ない C:付着量やや多く、長時間使用すると問題となる D:付着量が多く実用上使用し難い
【0034】(6)スリット性 フィルムをスリット刃にて1000mスリットした後、
顕微鏡にて刃を観察した。刃の損傷状況により以下のよ
うに評価した。 A:損傷はほとんど認められない B:損傷が僅かに認められるが実用上は問題ない C:損傷がやや大きく、長時間使用すると問題となる D:損傷が大きく実用上使用し難い スリット性が悪い場合は、フィルム製造時に刃の交換を
頻繁に行わなければならない。また、スリット性は、磁
気テープ特性の中のドロップアウトによっても評価され
る。すなわち、スリット性が不良の場合はドロップアウ
トが増加してしまうことがある。
【0035】(7)表面固有抵抗値 横河・ヒューレットパッカード社の同心円型電極「16
008A(商品名)」(内側電極50mm径、外側電極
70mm径)に23℃、50%RHの雰囲気下で試料を
設置し、100Vの電圧を印加し、60秒後、同社の高
抵抗計「4329A(商品名)」で試料の表面固有抵抗
を測定した。 (8)磁気テープ特性 磁性微粉末200部、ポリウレタン樹脂30部、ニトロ
セルロース10部、塩化ビニル−酢酸セルロース共重合
体10部、レシチン5部、シクロヘキサノン100部、
メチルイソブチルケトン100部、およびメチルエチル
ケトン300部をボールミルにて48時間混合分散後、
ポリイソシアネート化合物5部を加えて磁性塗料とし、
これをポリエステルフィルムのB面に塗布し、塗料が十
分乾燥固化する前に磁気配向させた後乾燥し、2μmの
膜厚の磁性層を形成した。次いで、この塗布フィルム
を、鏡面仕上げの金属ロールとポリエステル系複合樹脂
ロールとから構成されているスーパーカレンダーを用
い、カレンダー処理を行った。次いで、カレンダー処理
後のテープを1/2インチ幅にスリットし、松下電気製
NV−3700型ビデオデッキにより、常速にて下記の
磁気テープ特性を評価した。
【0036】(A)電磁変換特性(VTRヘッド出力) シンクロスコープにより測定周波数が4メガヘルツにお
ける初期のVTRヘッド出力を測定し、基準テープ(ハ
イグレ−ドタイプビデオテープ市販品)と比較し、下に
示すランク別に評価を行った。 A:基準テープと同等である B:基準テープよりやや劣る C:明らかに基準テープより劣り、実用に耐えない (B)ドロップアウト 4.4メガヘルツの信号を記録したビデオテープを再生
し、大倉インダストリー(株)ドロップアウトカウンタ
ーでドロップアウト数を約20分間測定し、良好なもの
をA、不良であり実用に耐えないものをC、AおよびC
の中間的状況をBとした。
【0037】(9)耐擦傷性 幅1/2インチにスリットした磁気テープを直径6mm
の硬質クロムメッキ金属ピン(仕上げ3S)にフィルム
を巻きつけ角135°、走行速度4m/min、張力5
0gで磁気テープのベースフィルム面を1回擦過させ
た。次に擦過面にアルミニウムを約1000Å厚となる
よう真空蒸着し、傷の量を目視により観察し、下記判定
を行った。 ランク1:傷の量が極めて多い ランク2:傷の量が多い ランク3:傷の量が2、4の中間 ランク4:傷の量が少ない ランク5:傷が付かない
【0038】(10)走行性 市販のVHS方式VTRを用い、巻き出し側のバックテ
ンションをゼロにして、ビデオテープを180分間走行
させた。ヘッドシリンダーの直前のピンで、ビデオテー
プの走行状態を観察し、下記判定を行った。 A:走行中のテープの走行位置の外れが規定位置から
0.5mm未満である B:走行中のテープの走行位置の外れが規定位置から
0.5mm以上2mm未満である C:走行中のテープの走行位置が規定位置から2mm以
上外れる
【0039】比較例1および実施例1 [架橋高分子粒子の製造]脱塩水1500部に水溶性重
合開始剤の過硫酸カリウム3.2部と分散安定剤として
陰イオン界面活性剤のラウリルナトリウム(商品名:エ
マール 0 花王株式会社製)1部を添加し均一に溶解
させた後、エチレングリコールジメタクリレート65
部、メチルメタクリレート10部、1,4−ブタンジオ
ールジアクリレート5部およびジビニルベンゼン20部
の混合溶液を加え、窒素ガス雰囲気下で攪拌しながら7
0℃で12時間重合反応を行った。反応率は98%で、
得られた粒子の平均粒径は0.50μm、粒度分布値は
1.05であった。得られた粒子はほぼ球状であった。
次いで、得られた粒子の水スラリーを50℃に冷却し、
ポリアクリル酸ナトリウム/メトキシポリエチレングリ
コール/ポリプロピレングリコールモノメタクリレート
共重合体の部分アンモニウム中和物1部を加え、1時間
攪拌処理した後、エチレングリコール2000部を加
え、加熱減圧下で水を留去した。
【0040】[ポリエステルの製造]ジメチルテレフタ
レート100部、エチレングリコール60部および酢酸
マグネシウム4水塩0.09部を反応器にとり、加熱昇
温するとともにメタノールを留去してエステル交換反応
を行い、反応開始から4時間を要して230℃まで昇温
し、実質的にエステル交換反応を終了した。次いで、先
に製造した球形架橋高分子粒子のエチレングリコールス
ラリーを添加した。スラリー添加後、さらにリン酸0.
03部、三酸化アンチモン0.04部を加え、徐々に反
応系を減圧とし、温度を高めて重縮合反応を4時間行
い、極限粘度0.630のポリエステル(A)を得た。
架橋高分子粒子の含有量は1.0重量%であった。
【0041】また、上記の架橋高分子粒子の代わりに、
あらかじめ解砕、分級、濾過した一次粒径0.02μm
のδ−アルミナ粒子1.5部をエチレングリコールスラ
リーとして添加した以外は、上記と同様にエステル交換
反応、重縮合反応を行い、極限粘度0.622のポリエ
ステル(B)を得た。また、上記の架橋高分子粒子を添
加しない以外は、上記と同様にエステル交換反応、重縮
合反応を行い、実質的に不活性粒子を含まない極限粘度
0.650のポリエステル(C)、および極限粘度0.
595のポリエステル(D)を得た。さらに、別途、上
記の架橋高分子粒子の代わりに、平均粒径0.65μ
m、粒度分布値1.50の合成炭酸カルシウム粒子2.
0部をエチレングリコールスラリーとして添加した以外
は、上記と同様にエステル交換反応、重縮合反応を行
い、極限粘度0.625のポリエステル(E)を得た。
ポリエステル(A)、(E)の内部を顕微鏡で観察した
ところ、粒子が均一に分散していることが確認された。
【0042】ポリエステル(C)に、ベント型二軸押出
機を用いて、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを
1.5重量%、および分子量6000のポリエチレング
リコールを2.0重量%ブレンドした原料を製造し、こ
れをポリエステル(F)とした。
【0043】[ポリエステルフィルムの製造]ポリエス
テル(A)、ポリエステル(B)、ポリエステル(C)
をそれぞれ、35:25:40(重量比)の割合でブレ
ンドし、B層用のポリエステル原料とした。また、ポリ
エステル(C)をA層用の原料とし、A層およびB層用
原料を、それぞれ常法により乾燥し、別個の溶融押出機
により、溶融押出して(B/A/B)の2種3層積層の
無定形シートを得た。次いで、上記の無定形シートをフ
ィルムの流れ方向(縦方向)に93℃で3.6倍、横方
向に110℃で4.2倍延伸し、220℃で3秒間熱処
理を行い、二軸配向積層フィルムを得た。フィルムの全
厚さは15μm、A層厚みは13.0μm、B層厚みは
1.0μmであった(比較例1)。上記フィルム製造時
に発生した耳部等のスクラップを回収し、二軸押出機を
用いてペレット化した。得られた再生ペレットの極限粘
度は0.551であった。比較例1におけるA層の原料
を、該再生原料とポリエステル(D)とを50:50
(重量比)の割合でブレンドしたものとした以外は比較
例1と同様にして、二軸配向積層ポリエステルフィルム
を製造した(実施例1)。
【0044】実施例2 実施例1において、B層原料としてポリエステル
(A)、ポリエステル(B)、ポリエステル(C)、ポ
リエステル(F)をそれぞれ30:25:5:40(重
量比)の割合でブレンドしたものを用い、A層原料、製
膜条件等の条件は実施例1と同様にして(B/A/B)
の構造を有する二軸配向積層ポリエステルフィルムを製
造した。
【0045】実施例3 実施例2において、B層およびA層の原料をそれぞれ実
施例2と同じものとし、A層の厚みを13μm、B層原
料を用いた片側の表層(B1層とする)の厚みを1μ
m、反対側の表層(B2層とする)の厚みを0.5μm
とした以外は実施例2と同様にして、(B1/A/B
2)の構造を有する二軸配向積層ポリエステルフィルム
を製造した。
【0046】比較例2 ポリエステル(E)、ポリエステル(B)、ポリエステ
ル(C)をそれぞれ、25:25:50(重量比)の割
合でブレンドして、B層の原料とした。また、ポリエス
テル(C)をA層原料とした。それぞれの原料を用いて
比較例1と同様にして溶融押出して(B/A/B)の構
造を有する無定形シートを製造した。得られた無定形シ
ートをフィルムの流れ方向(縦方向)に83℃で2.9
倍、さらに縦方向に75℃で1.25倍延伸し、横方向
に120℃で4.2倍延伸し、225℃で3秒間熱処理
を行い、二軸配向積層フィルムを得た。フィルムの全厚
さは15μm、A層厚みは13.0μm、B層厚みは
1.0μmであった。
【0047】実施例4 比較例2のフィルム製造時に発生したスクラップを回収
し、実施例1と同様にして極限粘度0.548の再生ペ
レットを得た。比較例2におけるA層の原料を、当該再
生原料とポリエステル(D)とを50:50(重量比)
の割合でブレンドしたものとした以外は比較例2と同様
にして、二軸配向積層ポリエステルフィルムを製造し
た。
【0048】実施例5 実施例4において、B層原料としてポリエステル
(E)、ポリエステル(B)、ポリエステル(C)、ポ
リエステル(F)をそれぞれ25:25:10:40
(重量比)の割合でブレンドしたものを用い、A層原
料、製膜条件等他の条件は実施例4と同様にして(B/
A/B)の構造を有する二軸配向積層ポリエステルフィ
ルムを製造した。
【0049】比較例3 実施例2において、B層原料をポリエステル(A)、ポ
リエステル(C)、ポリエステル(F)をそれぞれ3
0:30:40(重量比)の割合でブレンドしたものを
用い、A層原料、製膜条件等他の条件は実施例2と同様
にして(B/A/B)の構造を有する二軸配向積層ポリ
エステルフィルムを製造した。
【0050】比較例4 実施例1で得られた再生原料とポリエステル(A)およ
びポリエステル(B)をB層用原料として用いた。ただ
し、B層の含有粒子量を実施例1のB層と同じになるよ
うに配合量を調節した。また、A層原料、およびその他
の条件は実施例1と同様にして二軸配向積層ポリエステ
ルフィルムを製造した。このフィルムはA層を構成する
ポリエステルの極限粘度が低いものであった。
【0051】比較例5 平均粒径1.3μm、粒径分布値2.5のシリカ粒子を
0.3重量%含有し、極限粘度が0.63のポリエチレ
ンテレフタレートをB層の原料とした以外は実施例1と
同様にして、(B/A/B)の構造を有する二軸配向積
層ポリエステルフィルムを製造した。
【0052】比較例6 実施例1のB層原料を用いて、厚さ15μmの単層フィ
ルムを製造した。製膜条件は実施例1と同様とした。実
施例および比較例で得られたフィルムに磁性層を塗布し
て磁気テープを得、その特性を評価した。下記表1〜3
にそれぞれのフィルムの特性と、磁気テープの評価結果
を示した。なお、実施例3の場合は、B2層表面に磁性
層を形成させた。
【0053】
【表1】
【0054】
【表2】
【0055】
【表3】 表2
【0056】
【表4】
【0057】
【発明の効果】本発明のフィルムは、磁気記録媒体用ベ
ースフィルムとして、フィルム製造時および磁気記録媒
体製造時のスリット性に優れ、走行性および電磁変換特
性を高度に満足でき、かつドロップアウト発生防止の点
で優れており、擦り傷や摩耗粉の発生が極めて少なく、
しかも生産性、コスト面で優れたものであり、その工業
的価値は非常に大きい。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 // B29K 67:00 B29L 9:00

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも3層からなるフィルムであっ
    て、フィルム全厚みの40%以上を占める内層(A層)
    を有し、当該A層を構成するポリエステルの極限粘度が
    0.570未満で、かつフィルム表裏の層を構成するポ
    リエステルの極限粘度よりも0.02以上低く、少なく
    ともフィルムの片面に、微粒子を含有する表面粗度Ra
    が0.005〜0.030μmの表層を有することを特
    徴とする二軸配向積層ポリエステルフィルム。
  2. 【請求項2】 少なくとも片側のフィルム表面の表面抵
    抗が1×1014Ω以下であることを特徴とする請求項1
    の二軸配向積層ポリエステルフィルム。
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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002080619A (ja) * 2000-09-07 2002-03-19 Mitsubishi Polyester Film Copp ポリエステルフィルムおよび複合体
US7466832B2 (en) 2002-07-31 2008-12-16 Harman International Industries, Incorporated Seatback audio controller
JP2011098528A (ja) * 2009-11-07 2011-05-19 Mitsubishi Plastics Inc 層間絶縁材料用支持ポリエステルフィルム
JP2014139514A (ja) * 2013-01-21 2014-07-31 Meidensha Corp 絶縁材料の劣化度計測方法及び絶縁材料の劣化度計測装置
JP2018059083A (ja) * 2016-09-28 2018-04-12 東レ株式会社 ポリエステルフィルム

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