JP2000132828A - 磁気記録媒体用積層ポリエステルフィルムおよびビデオテープカセット - Google Patents

磁気記録媒体用積層ポリエステルフィルムおよびビデオテープカセット

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JP2000132828A
JP2000132828A JP30394898A JP30394898A JP2000132828A JP 2000132828 A JP2000132828 A JP 2000132828A JP 30394898 A JP30394898 A JP 30394898A JP 30394898 A JP30394898 A JP 30394898A JP 2000132828 A JP2000132828 A JP 2000132828A
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JP30394898A
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Yoshiki Sato
嘉記 佐藤
Yoshio Meguro
義男 目黒
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Mitsubishi Polyester Film Corp
Original Assignee
Mitsubishi Polyester Film Corp
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 巻き特性、走行性および電磁変換特性を高度
に満足でき、樹脂製のガイドピンに対する耐摩耗性、ド
ロップアウト発生防止の点で優れ、フィルム製造時およ
び磁気記録媒体製造時のスリット性にも優れ、擦り傷や
摩耗粉の発生が極めて少なく、しかも生産性、コスト面
で優れたフィルムおよびビデオテープカセットを提供す
る。 【解決手段】 粒子Xを含有するポリエステルからなる
A層と、粒子Yを含有するポリエステルからなるB層と
を含み、下記式〜を同時に満足する磁気記録媒体用
積層ポリエステルフィルム、および当該フィルムをベー
スフィルムとする磁気テープと樹脂製ガイドピンとを含
んでなるビデオテープカセット。 (上記式中、dX50はA層中の粒子Xの平均粒径、dY
50はB層中の粒子Yの平均粒径、ta はA層の厚み、C
Y はB層の粒子Y含有量、CX はA層の粒子X含有量を
示す)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、二軸配向ポリエス
テルフィルムに関する。詳しくは、本発明は、高品質磁
気記録媒体用ベースフィルムとして、磁気記録媒体とし
ての走行性および電磁変換特性を高度に満足し、特にビ
デオテープカセットのガイドピンとして特定の樹脂製の
ものを用いた場合の耐摩耗性、ドロップアウト発生防止
の点で優れており、またフィルム製造時、磁気記録媒体
製造時の取り扱い性、巻き特性に優れる磁気記録媒体用
二軸配向ポリエステルフィルムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】二軸配向ポリエステルフィルムは、各種
の特性を高度にバランス良く有し、コストパフォーマン
スの点で優れるため、産業用資材として広く用いられて
いる。ポリエステルフィルムの数多い用途の中でも、特
に磁気テープ用途において、近年、磁気テープの高品質
化のためにベースフィルムに対する要求特性がますます
高度になってきている。すなわち、電磁変換特性を向上
させるためフィルム表面が平坦であることが強く望ま
れ、特にドロップアウトの原因となるような粗大突起が
存在しないことが必須の条件になっている。一方、磁気
記録媒体の走行性を高めるため、フィルム表面を適度に
粗面化し、フィルムの摩擦係数を低くすることも必要で
ある。
【0003】一方、フィルムを加工する工程において
は、磁気記録媒体製造時の磁性層塗布工程やカレンダー
工程、巻取り工程等において、ロールやガイドとの接触
によりフィルム表面が削られ、その傷が原因で電磁変換
特性が悪化したり、削れ粉がドロップアウトの原因にな
るという問題がある。
【0004】また、特に最近はビデオソフトの普及に伴
い、ソフトビデオテープ生産性向上のため高速ダビング
装置が使用されるようになり、かかる高速ダビング装置
を使用する場合、磁気テープ、ひいては磁気テープ用ベ
ースフィルムに高度な品質が要求されるようになった。
すなわち、ダビング時のテープの走行速度は、通常のビ
デオ再生時の走行よりも高速であるため、従来の磁気テ
ープにおける走行性向上とは異なる設計が必要になる。
例えば、高速走行時の走行安定性が良好で蛇行を起こさ
ないこと、また走行時に磁気テープが削れて、その削れ
粉の影響でドロップアウト等の問題を起こさないこと、
すなわち高度な耐削れ性等が要求されている。しかも、
かかる高速走行時の耐削れ性に加え、磁気記録媒体の繰
り返し使用時の耐久性、すなわち耐摩耗性も極めて高度
であることが要求される。
【0005】最近は、ビデオカセットにおいてコストダ
ウンおよび特性向上を目的として、表面が平滑な樹脂製
のガイドピンを使用するケースが増えている。この場
合、従来の金属製ガイドピンと比較して、繰り返し使用
時の耐久性がより高度に要求される。すなわち、繰り返
し走行によってフィルムが摩耗したり、逆にピンが削れ
たりして粉が発生すると、それが磁性層表面に付着して
録画、再生時の信号欠落の原因となってしまう。したが
って、かかる樹脂製のピンとの繰り返し走行摩擦によ
り、フィルムもピンも削れが発生しないことが必要とな
る。これらの品質の厳しい要求に加え、コスト低減の要
求も強く、ベースフィルム生産性が良好であることも必
須である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記実情に鑑
みなされてものであって、その解決課題は、例えば磁気
記録媒体用ベースフィルムとして使用した場合、磁気記
録媒体としての巻き特性、走行性および電磁変換特性を
高度に満足でき、かつ特にビデオテープカセットのガイ
ドピンとして樹脂製のものを用いた場合の耐摩耗性、ド
ロップアウト発生防止の点で優れ、フィルム製造時およ
び磁気記録媒体製造時のスリット性にも優れ、擦り傷や
摩耗粉の発生が極めて少なく、しかも生産性、コスト面
で優れたフィルムを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記課題に
鑑み鋭意検討した結果、特定の組み合わせの粒子を各層
中に含有する積層ポリエステルが優れた特性を有するこ
とを見いだし、本発明を完成するに至った。すなわち、
本発明の要旨は、粒子Xを0.01〜1.0重量%含有
するポリエステルからなるA層と、粒子Yを0.01〜
1.0重量%含有するポリエステルからなるB層とを含
む二軸配向積層フィルムであって、下記式〜を同時
に満足することを特徴とする磁気記録媒体用積層ポリエ
ステルフィルム、および当該積層ポリエステルフィルム
をベースフィルムとして、その片面に磁性層を設けた磁
気テープと、ポリブチレンテレフタレート、ポリオキシ
メチレンおよびポリアミドの中から選ばれる少なくとも
1種の樹脂からなるガイドピンとを含んでなるビデオテ
ープカセットに存する。
【0008】
【数3】 0.1≦dY50≦1.5 ……… 0.01≦dX50≦1.0 ……… 0.2ta ≦dY50≦2.0ta ……… 0.1≦ta ≦3.0 ……… 0.3CX ≦CY ≦7.0CX ……… (上記式中、dX50はA層中の粒子Xの平均粒径(μ
m)、dY50はA層中の粒子Yの平均粒径(μm)、t
a はA層の厚み(μm)、CY はB層の粒子Y含有量
(重量%)、CX はA層の粒子X含有量(重量%)を示
す)
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のフィルムを構成するポリエステルとは、芳香族
ジカルボン酸またはそのエステルとグリコールとを主た
る出発原料として得られるポリエステルであり、繰り返
し構造単位の80%以上がエチレンテレフタレート単位
またはエチレン−2,6−ナフタレート単位を有するポ
リエステルを指す。そして、上記の範囲内であれば、他
の第三成分を含有していてもよい。
【0010】芳香族ジカルボン酸成分としては、例え
ば、テレフタル酸および2,6−ナフタレンジカルボン
酸以外に、例えば、イソフタル酸、フタル酸、アジピン
酸、セバシン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、
オキシカルボン酸(例えば、p−オキシエトキシ安息香
酸等)等を用いることができる。グリコール成分として
は、エチレングリコール以外に、例えば、ジエチレング
リコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコ
ール、ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタ
ノール、ネオペンチルグリコール等の一種または二種以
上を用いることができる。
【0011】本発明でいう積層フィルムとして、全ての
層が押出機の口金から共溶融押出しされる、いわゆる共
押出法により押し出されたものを、延伸および熱処理さ
れたものが挙げられる。層構造は、2層、3層、または
それ以上の多層であってもよい。例えば、後述するB層
がA層に隣接すれば、それ以外の層が2層またはそれ以
上の多層構造となり、フィルム全体として4層またはそ
れ以上の多層のフィルムにするという形態を採用するこ
ともできる。
【0012】本発明のフィルムに含有させる粒子X、
Y、Zとしては、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、
シリカ、カオリン、タルク、二酸化チタン、アルミナ、
硫酸バリウム、フッ化カルシウム、フッ化リチウム、ゼ
オライト、硫化モリブデン等の無機粒子、シュウ酸カル
シウム、テレフタル酸カルシウム、架橋高分子粒子等の
有機粒子が挙げられる。
【0013】粒子XのA層中での含有量CX は、0.0
1〜1.0重量%、好ましくは0.1〜0.8重量%、
さらに好ましくは0.1〜0.5重量%の範囲である。
また粒子Xの平均粒径dX50は0.01〜1.0μm、
好ましくは0.1〜1.0μm、さらに好ましくは0.
3〜0.8μmの範囲である。dX50が0.01μm未
満の場合は、フィルムの走行性、取り扱い性改良効果が
不十分となる。CX が0.01重量%未満の場合も、上
記のような問題が生ずる。一方、dX50が上記した範囲
を超えると、磁気記録媒体とした時の電磁変換特性の低
下やドロップアウトの増加が起こったり、またプラスチ
ックガイドピンとの耐摩耗性悪化を招くことがあるため
好ましくない。CX が1.0重量%を超える場合、上記
と同様の不具合が起こる。
【0014】本発明のフィルムのA層は、粒子Xに加
え、粒子Zを含有することが好ましいが、粒子ZのA層
中での含有量は、通常0.1〜1.0重量%、好ましく
は0.2〜0.8重量%、さらに好ましくは0.3〜
0.7重量%の範囲である。また粒子Zの平均粒径は、
粒子Xの平均粒径よりも小さく、かつ粒子Yの平均粒径
の0.1倍〜0.8倍の範囲、さらには0.2倍〜0.
7倍の範囲であることが好ましい。
【0015】B層中に含有させる粒子Yは、平均粒径d
Y50が0.1〜1.5μm、好ましくは0.3〜1.2
μm、さらに好ましくは0.5〜1.0μmの範囲であ
る。また、dY50は、A層厚みの0.2〜2.0倍、好
ましくは0.5〜1.5倍、さらに好ましくは0.5〜
1.0倍の範囲である。粒子YのB層中の含有量CY
は、0.01〜1.0重量%、好ましくは0.02〜
0.5重量%、さらに好ましくは0.02〜0.3重量
%の範囲である。dY50が1.5μm以上であったり、
A層厚みの2.0倍を越える場合は、フィルム表面に粗
大な突起が存在するようになり、磁気テープとした時の
電磁変換特性が低下するようになるため好ましくない。
一方、dY50が0.1μm未満であったり、A層厚みの
0.2倍未満であったりすると、フィルムの滑り性を向
上する効果が不足し、磁気テープの走行性に劣るように
なる。一方、CY が0.01重量%未満の場合は、フィ
ルムの滑り性が劣る。また、CY が1.0重量%を超え
ると、もはや走行性改良の効果は飽和するのに加え、フ
ィルムのスリット性が劣るようになる。
【0016】本発明者らは、樹脂製ガイドピンを使用し
た場合の高度な耐摩耗性を有するためには、フィルムの
表層に含有する粒子の量が多すぎないことが必要である
こと、かつ良好な走行性を維持するためには、フィルム
表面の粗度を適度に大きくすることが必要であることを
知見した。しかるに、かかる相反する要件を同時に満足
するためには、耐摩耗性を悪化させずに粗度を高める方
法として、表層と隣接する層に適度な粒子を配合するこ
とが極めて有効であることを見いだし、本発明を達成し
たものである。かかる効果を有効に発揮するため、フィ
ルムのA層中の粒子XとB層中の粒子Yとの含有量比が
特定範囲であることが必要である。すなわち粒子Xと粒
子Yとの含有量が、下記式を満足する必要があり、さ
らに下記式を満足することが好ましい。
【0017】
【数4】 0.3CX ≦CY ≦7.0CX ……… 0.5CX ≦CY ≦5.0CX ………
【0018】B層中の粒子Y含有量が多すぎる場合は、
樹脂製ガイドピンとの耐摩耗性はある程度良好になって
も、表面形状としてうねりの成分が大きくなり、表面粗
度が大きくなって磁気テープとしての電磁変換特性が低
下する。一方、A層中の粒子Xの含有量が多すぎると、
耐摩耗性が満足されない。
【0019】また、表層に含有する粒子に関しては、適
度な硬さを有していることが、高度な耐摩耗性を達成す
るために好ましい。すなわち、表層の粒子が、例えば有
機粒子のような軟らかい粒子の場合は、樹脂製ガイドピ
ンとの摩擦でポリエステルが削れて白粉が発生するよう
になる。このため粒子XおよびZの少なくとも一種とし
て、適度な硬さを有することから、無機粒子を用いるこ
とが好ましい。一方、無機粒子を用いた場合、表層中で
の含有量が多すぎると粒子の脱落により逆に耐摩耗性が
低下する原因となる。かかる無機粒子の中でも、特に炭
酸カルシウム粒子が、ポリエステルとの親和性が比較的
良好で、フィルムからの脱落が起こりにくいため、フィ
ルムの耐摩耗性が良好となり、かつ粒子のモース硬度が
高すぎないため、樹脂製ガイドピンの摩耗発生を抑える
ことができる。一方、炭酸カルシウム粒子自身の硬さが
適度であるため、フィルムの走行性を良好とするために
有効な突起を、効率良く形成させることができるため好
ましい。
【0020】本発明においては、磁気テープとしたとき
の優れた電磁変換特性を実現するため、粒子X、Y、Z
それぞれの粒径分布値(d25/d75)が1.0〜2.0
の範囲、さらには1.1〜1.8の範囲、特に1.2〜
1.8の範囲であることが好ましい。粒径分布値が2.
0を超えるような粒子を用いると、粗大な粒子の影響
で、電磁変換特性低下やドロップアウトの増加を招いた
り、耐摩耗性が低下する問題が発生することがある。
【0021】また、本発明においては粒子Xと粒子Y
を、同一の粒子とすることができる。特にフィルム製造
時に発生する端部スリット部等の再生原料をB層原料と
して用いて、同粒子を配合することができる点で、コス
ト的にも有利となる。さらに、本発明においては、フィ
ルムの耐摩耗性や耐擦傷性を向上するため、モース硬度
が7以上の無機粒子を0.01〜1.0重量%の範囲で
A層に含有させることが好ましい。ただし、この粒子は
一次粒径が0.3μm以下、さらには0.1μm以下で
あることが好ましい。モース硬度が7以上の無機粒子と
しては、アルミナ、シリコンカーバイド、バナジウムカ
ーバイド、チタンカーバイド、ボロンカーバイド等を挙
げることができる。これらの中では、工業的に入手が容
易であり、かつ耐擦傷性向上の効果が大きいアルミナが
好ましく、その中でもδ型アルミナおよびγ型のアルミ
ナが特に好ましい。モース硬度が7以上の無機粒子は、
必要に応じて2種以上併用してもよい。
【0022】かかるアルミナ粒子の製造法としては、例
えば熱分解法、すなわち無水塩化アルミニウムを原料と
して火焔加水分解させる方法、あるいはアンモニウム明
ばん熱分解法、すなわち水酸化アルミニウムを原料とし
て硫酸と反応させて硫酸アルミニウムとした後、硫酸ア
ンモニウムと反応させてアンモニウム明ばんとして焼成
する方法等を挙げることができる。これらの方法により
得られるアルミナの一次粒径は、通常、5〜40nmの
範囲にあるが、しばしば0.5μmを超える凝集体を形
成しているので、適度に解砕して使用することが望まし
い。本発明で使用する場合、多少凝集した二次粒子とな
っていてもよいが、見掛け上の平均粒径は0.5μm以
下が好ましく、0.2μm以下が特に好ましい。
【0023】本発明においては、モース硬度7以上の粒
子をB層中に含有してもよいが、その含有量は、A層中
の含有量よりも低いことが好ましく、当該粒子の積層フ
ィルム全体に対する含有量は、好ましくは0.5重量%
以下、さらに好ましくは0.3重量%以下である。含有
量が0.5重量%を超える場合は、フィルムの製造およ
び磁気テープ加工工程のスリット工程において、切断刃
の損傷の度合が大きくなる傾向があり、フィルムの製造
時および磁気テープ加工工程時に切断刃を交換する頻繁
が多くなる傾向がある。
【0024】本発明においては、上記した粒子X、Y、
Z、モース硬度7以上の無機粒子に加え、さらに粒子を
A層またはB層に含有させてもよいが、その含有量は、
A層中においては粒子Xの含有量を超えないこと、B層
中においては粒子Yの含有量を超えないことが好まし
い。すなわち、本願発明の優れた効果を得るために粒子
X、Y、Zを特定範囲の量含有させるが、他の粒子が多
すぎると、かかる効果が得られなくなってしまうことが
ある。かかる粒子の例として、例示した粒子に加え、ポ
リエステル重合時に生成させる、いわゆる析出粒子を挙
げることができる。
【0025】本発明のフィルムを構成する、粒子を含む
ポリエステルの製造に際して、粒子はポリエステルの合
成反応中に添加してもポリエステルに直接添加してもよ
い。合成反応中に添加する場合は、粒子をエチレングリ
コール等に分散させたスラリーとして、ポリエステル合
成の任意の段階で添加する方法が好ましい。一方、ポリ
エステルに直接添加する場合は、乾燥した粒子として、
または水あるいは沸点が200℃以下の有機溶媒中に分
散したスラリーとして、2軸混練押出機を用いてポリエ
ステルに添加混合する方法が好ましい。なお、添加する
粒子は、必要に応じ、事前に解砕、分散、分級、濾過等
の処理を施しておいてもよい。
【0026】粒子の含有量を調節する方法としては、上
記した方法で高濃度に粒子を含有するマスター原料を作
っておき、それを製膜時に、実質的に粒子を含有しない
原料で希釈して粒子含有量を調節する方法が有効であ
る。かくして得られる本発明のフィルムのA層表面の非
接触式表面粗度計にて測定した自乗平均平方根粗さ(R
MS)が15〜30nm、P−V値が200〜400n
mであることが、高度な電磁変換特性を得るために好ま
しい。RMSが30nmを超えたり、P−V値が400
nmを超える場合は、高度な電磁変換特性が得られなか
ったり、ドロップアウトが増加する問題が発生すること
がある。一方RMSが15nm未満では、磁気テープの
走行性が不足する問題が発生することがある。またP−
V値が200nm未満では、磁気テープの巻取り性が低
下し、テープの巻きずれが発生することがある。RMS
は好ましくは15〜25nmの範囲であり、P−V値は
好ましくは230〜350nmである。
【0027】A層はフィルムの片側であってもよいし、
両側にあってもよい。A層の反対側にA層と異なる組成
物からなるC層を設けてもよい。本発明においては、A
層と反対側の面に、A層と同じポリエステル組成物から
なり、厚さの異なるC層を設け、粗度の異なる表面を表
裏に有するフィルムとすることによれば、磁気記録媒体
の電磁変換特性と走行性を同時に高度に満足するフィル
ムとすることができ好ましい。また、かかる方法で表裏
異なる表面粗度のフィルムを製造することは、製造工程
の単純化が可能で、コスト的にも有利となり、表面粗度
等の物性の調節も容易となる。ここでC層の厚みtc
は、A層厚みta の0.1〜0.7倍、さらには0.2
〜0.5倍の範囲が望ましい。tc /ta が0.7を超
えると、本発明の著しい効果が得られるほど表面粗度の
表裏差が得られない。一方、tc /ta が0.1未満で
は、C層の厚みが薄くなり過ぎて、走行性が不良になっ
たり、耐摩耗性が不足する問題が発生することがある。
また、A層が厚くなりすぎてコスト低減のメリットが低
くなる。
【0028】A層表面の自乗平均平方根粗さRMSa
と、C層表面の自乗平均平方根粗さRMScとの差は、
好ましくは2〜15nmの範囲、さらに好ましくは2〜
10nm、特に好ましくは3〜8nmの範囲である。層
厚みの差のみでRMSの差を15nmを超える範囲とす
ることは、厚みの差を大きくしなければならないので、
上記と同様の問題が発生する。また、RMSの差が2n
m未満では、電磁変換特性、走行性、巻き特性を同時に
高度に満足することができなくなる恐れがある。
【0029】C層表面の自乗平均平方根粗さRMSc
は、好ましくは10〜25nm、さらに好ましくは13
〜20nmである。RMScが10nm未満では、磁気
テープとして使用する際の走行性が不十分となることが
あり、磁気テープの巻き特性が不足する恐れがある。一
方、25nmを超えると磁性層が粗面化し、電磁変換特
性を悪化させることがある。
【0030】A層表面とC層表面とのP−V値(それぞ
れP−Va、P−Vc)の差は、通常0〜100nm、
好ましくは5〜50nmの範囲である。P−V値の差が
100nmを超える場合は、フィルムの耐摩耗性が満足
されなくなる。本発明のフィルムのB層は、原料コスト
の低減あるいはフィルム全体の粒子含有量を低減してス
リット性を良好にできる等の点から、フィルム全厚みの
40%以上を占めることが好ましく、60%以上がさら
に好ましい。
【0031】また、A層に隣接するB層にさらに2層以
上の多層を積層した構造であってもよい。A層/B層/
多層というような積層構造とする利点として、例えば以
下の点がある。すなわち、原料コスト低減のために上記
多層部分に安価な原料、例えば上記のようなフィルム再
生原料、あるいは成形品から得られる再生ポリエステル
原料を配合することが有利である。かかる安価なポリエ
ステル原料は、粗大な粒子が存在したり、また塗布層を
有するフィルムの再生原料を使用する場合、塗布剤に起
因するゲル化物等の異物が存在し、得られるフィルムの
表面性状に影響を与えることがある。そのような影響を
防止するために、かかる原料からなる層の外側に異物を
含有しない原料からなる層を積層して、かかる異物の表
面性状への影響を防止することが有効である。
【0032】本発明のフィルムのB層を構成するポリエ
ステルの極限粘度は、0.600未満、好ましくは0.
580未満、さらに好ましくは0.570未満である。
極限粘度が0.600以上では、フィルムのスリット性
が悪化することがある。B層の極限粘度の下限は、フィ
ルムの生産性の点から、通常0.450、好ましくは
0.480、さらに好ましくは0.500である。A層
の極限粘度にもよるが、B層の極限粘度が0.450未
満では、フィルム生産時に破断の発生頻度が高くなる傾
向がある。
【0033】さらに、B層の極限粘度は表層を構成する
ポリエステルの極限粘度より0.02以上低いこと、言
いかえると、A層の極限粘度はB層の極限粘度よりも
0.02以上、さらには0.03以上高いことが好まし
い。表面層の極限粘度が低くなると、フィルムの耐削れ
性が悪化する傾向がある。A層の極限粘度は、好ましく
は0.570以上、さらに好ましくは0.580以上、
特に好ましくは0.600以上である。
【0034】本発明のフィルムは、幅方向のヤング率が
通常6.0GPa以上、好ましくは6.5GPa以上、
さらに好ましくは7.0GPa以上であり、かつ幅方向
の引張り破断伸度が100%以下、好ましくは90%以
下である場合、特にスリット性に優れ、また極めて高度
な電磁変換特性を与えることができ、磁気テープのベー
スフィルムとして適したものとなる。フィルムのスリッ
ト性が不足すると、磁気テープ製造時の生産性が低下し
たり、スリット時に発生する異物が原因で磁気テープの
ドロップアウト特性が悪化する問題が発生する。幅方向
の引張り破断伸度の下限は好ましくは50%、さらに好
ましくは60%である。またヤング率の上限は好ましく
は10GPa、さらに好ましくは8.0GPaである。
引張り破断伸度が低すぎたり、ヤング率が高すぎる場合
は、フィルム製造時の生産性が悪化する傾向がある。ス
リット性をさらに高度に満足するため、引張り破断伸度
の長手方向/幅方向の比は1.1以上、さらには1.2
以上、特に1.3以上が好ましい。またかかる比の上限
は通常2.0、好ましくは1.8である。
【0035】一方、長手方向のヤング率は4.0GPa
以上が好ましく、さらに好ましくは4.3GPa以上、
特に好ましくは4.5GPa以上である。長手方向のヤ
ング率が不足すると、磁気テープとして使用時にフィル
ムの伸びが起こり、電磁変換特性、特にスキュー特性が
悪化する傾向がある。本発明において、積層フィルムを
得る方法としては、共押出法が好ましく用いられる。以
下、共押出法による例について説明する。
【0036】それぞれの層を構成するポリエステル原料
を、共押出積層用押出装置に供給する。すなわち、2ま
たは3台以上の押出機、3層以上のマルチマニホールド
またはフィードブロックを用いて積層し、スリット状の
ダイから3層以上の溶融シートとして押し出す。その
際、それぞれの層の厚みはメルトラインに設置したギヤ
ポンプ等の定量フィーダーによるポリマーの流量の調整
により設定することができる。次に、ダイから押し出さ
れた溶融シートを、回転冷却ドラム上でガラス転移温度
以下の温度になるように急冷固化し、実質的に非晶状態
の未配向シートを得る。この場合、シートの平面性を向
上させるため、シートと回転冷却ドラムとの密着性を高
めることが好ましく、本発明においては静電印加密着法
および/または液体塗布密着法が好ましく採用される。
【0037】本発明においてはこのようにして得られた
シートを2軸方向に延伸してフィルム化する。延伸条件
について具体的に述べると、前記未延伸シートを好まし
くは70〜150℃、さらに好ましくは75〜130℃
の温度範囲で、まず一方向にロールもしくはテンター方
式の延伸機により3.0〜7倍、好ましくは3.2〜6
倍に延伸する。次に一段目と直交する方向に好ましくは
75〜150℃、さらに好ましくは80〜140℃の温
度範囲で3.2〜7倍、好ましくは3.5〜6倍に延伸
を行い、2軸に配向したフィルムを得る。なお、一方向
の延伸を2段階以上で行う方法も用いることができる
が、その場合も最終的な延伸倍率が上記した範囲に入る
ことが望ましい。また、前記未延伸シートを面積倍率が
10〜40倍になるように同時二軸延伸することも可能
である。
【0038】かくして得られたフィルムを150〜25
0℃で、30%以内の伸長、制限収縮、または定長下で
1秒〜5分間熱処理する。二軸延伸した後さらに110
℃〜180℃の温度で縦方向に1.05〜2.5倍再延
伸を行った後、熱処理する方法も採り得る。この際、再
縦延伸前熱固定、再縦延伸後縦弛緩、再縦延伸前または
後微小倍率縦延伸等の手法を適宜採用も可能である。ま
た、同様に横方向に再延伸を行ってもよい。また、必要
に応じて製膜工程内で各種の表面処理等を施しても構わ
ない。
【0039】また、本発明のフィルムは、特に磁気記録
媒体用として使用する場合、磁性層との接着性を高める
ため、フィルム表面に塗布層を設けてもよい。塗布層
は、フィルム製造工程内で設けてもよいし、フィルム製
造後に塗布してもよい。特に塗布厚みの均一性や、生産
効率の点で、フィルム製造工程の縦方向延伸後、横延伸
工程の前に塗布する方法が好ましい。
【0040】塗布剤の例としては、磁性層との接着性に
優れる、ポリエステル、ポリアミド、ポリスチレン、ポ
リアクリレート、ポリカーボネート、ポリアリレート、
ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルブチ
ラール、ポリビニルアルコール、ポリウレタンなどの樹
脂およびこれらの樹脂の共重合体や混合体などを挙げる
ことができるが、これらに限定されるわけではない。こ
れらの中で最も好ましい塗布剤樹脂は、ポリエステル系
樹脂である。また、フィルムのブロッキングによる取り
扱い性低下を防止するため、塗布層中に架橋成分を配合
することが好ましい。架橋成分としては、エポキシ系、
メラミン系、イソシアネート系、アジリジン系、オキサ
ゾリン系等の架橋剤が使用できる。
【0041】本発明において用いる塗布剤は、水を媒体
とする塗布剤であることが望ましい。水を媒体とする場
合は、界面活性剤などによって強制分散化した塗布剤で
あってもよいが、好ましくはポリエ−テル類のような親
水性のノニオン成分や、四級アンモニウム塩のようなカ
チオン性基を有する自己分散型塗布剤であり、さらに好
ましくは、アニオン性基を有する水溶性または水分散性
樹脂塗布剤である。
【0042】特に高速ダビング装置に使用されるビデオ
パンケーキ用の磁気記録媒体ベースフィルムとして使用
される場合は、かかる易接着処理を施し、磁性層の剥離
を防止することが品質を高めるために有効である。な
お、本発明においては、製膜に供するポリエステル全量
に対し、10重量%程度以下の他のポリマー(例えばポ
リエチレン、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリス
ルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリアミド、ポリ
イミド等)を含有させることができる。また、必要に応
じ、酸化防止剤、熱安定剤、潤滑剤、染料、顔料等の添
加剤を配合してもよい。
【0043】本発明のフィルムをベースフィルムとし、
その片面に磁性層を設けて磁気テープとし、ポリブチレ
ンテレフタレート、ポリオキシメチレンおよびポリアミ
ドの中から選ばれる少なくとも1種の樹脂からなるガイ
ドピンを組み込んだビデオカセットケースに上記磁気テ
ープを組み込み、ビデオテープを作成することができ
る。
【0044】
【実施例】以下、実施例を挙げてさらに詳細に本発明を
説明するが、本発明は、その要旨を越えない限り、以下
の実施例によって限定されるものではない。なお、実施
例における種々の物性および特性の測定方法、定義は下
記のとおりである。実施例および比較例中「部」とある
は「重量部」を示す。
【0045】(1)平均粒径および粒度分布値 球状架橋高分子粒子のように、粒径および形状が均一な
粒子の場合は、平均粒径を電子顕微鏡による写真法にて
測定した。すなわち、約1000個の粒子の粒径を測定
して大粒子側から体積を積算し、総体積に対し25%の
点の粒径をd25、50%の点をd50、75%の点をd75
とし、d50を平均粒径、d25とd75との比(d25/d7
5)を粒度分布値とした。その他の粒子については島津
製作所製遠心沈降式粒度分布測定装置(SA−CP3
型)で測定した等価球形分布における積算体積分率50
%の粒径を平均粒径d50とした。また、大粒子側から積
算して重量分率25%、75%の点の粒径をそれぞれd
25、d75とし、d25とd75との比(d25/d75)を粒径
分布値とした。
【0046】(2)ポリマーの極限粘度〔η〕(dl/
g) ポリマ−1gをフェノール/テトラクロロエタン=50
/50(重量比)の混合溶媒100ml中に溶解し、3
0℃で測定した。
【0047】(3)フィルムの層厚み 透過型電子顕微鏡(TEM)によるフィルム断面の観察
にて行った。すなわち、フィルムサンプルの小片を、エ
ポキシ樹脂に硬化剤、加速剤を配合した樹脂に包埋処理
し、ウルトラミクロトームにて厚み約200nmの切片
を作成し、観察用サンプルとした。得られたサンプルを
日立(株)製透過型電子顕微鏡H−9000を用いて断
面の顕微鏡写真を撮影し、表層の厚みを測定した。ただ
し、加速電圧は300kV、倍率は最表層厚みに応じ、
1万倍〜10万倍の範囲で設定した。厚み測定は50点
行い、測定値の厚い方から10点、薄い方から10点を
削除して30点を平均して測定値とした。
【0048】(4)自乗平均平方根粗さ(RMS)およ
びP−V値 マイクロマップ社製、2光束干渉式(対物レンズ 20
倍)非接触表面形状計測システム(Micromap
512)を用いてRMS、P−V値を測定した。測定
は、50視野計測を行い、その平均値を算出した。
【0049】(5)フィルムのヤング率(GPa) (株)インテスコ製引張り試験機インテスコモデル20
01型を用いて、温度23℃、湿度50%RHに調節さ
れた室内において、長さ(チャック間)300mm、幅
20mmの試料フィルムを、10%/分の歪み速度で引
張り、引張り応力−歪み曲線の初期の直線部分を用いて
次の式によって計算した。
【0050】
【数5】E=Δσ/Δε (上記式中、Eはヤング率(GPa)、Δσは直線上の
2点間の元の平均断面積による応力差(GPa)、Δε
は上記2点間の歪み差/初期長さ(−)を意味する)
【0051】(6)引張り破断伸度(%) (株)インテスコ製引張り試験機インテスコモデル20
01型を用いて、温度23℃、湿度50%RHに調節さ
れた室内において、長さ(チャック間)50mm、幅1
5mmの試料フィルムを、200mm/分の歪み速度で
引張り、引張り応力−歪み曲線より次の式によって計算
した。
【0052】
【数6】 (上記式中、LBは引張り破断伸度(%)、Lは破断時
のフィルム長さ(mm)、L0 は元のフィルム長さ(m
m)を意味する)
【0053】(7)摩耗特性 幅10mmのポリエステルフィルムを400m長さにわ
たって固定ピン(直径6mm、ポリオキシメチレン製ガ
イドピン)に接触させながら走行させ、固定ピンに付着
した摩耗粉の量を目視評価し下記の4ランクに分けた。
なお、フィルムの走行速度は11.4m/分とし、初期
張力を400g、フィルムと固定ピンとの巻き付け角を
135゜とした。 A:付着がまったく認められない B:付着が極く僅か認められるが実用上は問題ない C:付着量やや多く、長時間使用すると問題となる D:付着量が多く実用上使用し難い
【0054】(8)スリット性 フィルムをスリット刃にて1000mスリットした後、
顕微鏡にて刃を観察した。刃の損傷状況により以下のよ
うに評価した。 A:損傷はほとんど認められない B:損傷が僅かに認められるが実用上は問題ない C:損傷がやや大きく、長時間使用すると問題となる D:損傷が大きく実用上使用し難い スリット性が悪い場合は、フィルム製造時に刃の交換を
頻繁に行わなければならない。また、スリット性は、磁
気テープ特性の中のドロップアウトによっても評価され
る。すなわち、スリット性が不良の場合はドロップアウ
トが増加してしまうことがある。
【0055】(9)磁気テープ特性 磁性微粉末200部、ポリウレタン樹脂30部、ニトロ
セルロース10部、塩化ビニル−酢酸セルロース共重合
体10部、レシチン5部、シクロヘキサノン100部、
メチルイソブチルケトン100部、およびメチルエチル
ケトン300部をボールミルにて48時間混合分散後、
ポリイソシアネート化合物5部を加えて磁性塗料とし、
これをポリエステルフィルムのC層表面(A/B/A積
層、およびA層単層の場合はA層表面)に塗布し、塗料
が十分乾燥固化する前に磁気配向させた後乾燥し、2μ
mの膜厚の磁性層を形成した。
【0056】次いで、この塗布フィルムを、鏡面仕上げ
の金属ロールとポリエステル系複合樹脂ロールとから構
成されているスーパーカレンダーを用い、カレンダー処
理を行った。次いで、カレンダー処理後のテープを1/
2インチ幅にスリットし、松下電気製NV−3700型
ビデオデッキにより、常速にて下記の磁気テープ特性を
評価した。
【0057】(A)電磁変換特性(VTRヘッド出力) シンクロスコープにより測定周波数が4メガヘルツにお
ける初期のVTRヘッド出力を測定し、基準テープ(ハ
イグレ−ドタイプビデオテープ市販品)と比較し、下に
示すランク別に評価を行った。 A:基準テープと同等である B:基準テープよりやや劣る C:明らかに基準テープより劣り、実用に耐えない
【0058】(B)ドロップアウト 4.4メガヘルツの信号を記録したビデオテープを再生
し、大倉インダストリー(株)ドロップアウトカウンタ
ーでドロップアウト数を約20分間測定し、良好なもの
をA、不良であり実用に耐えないものをC、AおよびC
の中間的状況をBとした。
【0059】(10)耐擦傷性 幅1/2インチにスリットした磁気テープを、直径6m
mの硬質クロムメッキ金属ピン(仕上げ3S)に、巻き
つけ角135°、走行速度4m/min、張力50gで
磁気テープのベースフィルム面を1回擦過させた。次に
擦過面にアルミニウムを約50nm厚となるよう真空蒸
着し、傷の量を目視により観察し、下記判定を行った。 ランク1:傷の量が極めて多い ランク2:傷の量が多い ランク3:傷の量が2、4の中間 ランク4:傷の量が少ない ランク5:傷が付かない
【0060】(11)走行性 市販のVHS方式VTRを用い、巻き出し側のバックテ
ンションをゼロにして、ビデオテープを180分間走行
させた。ヘッドシリンダーの直前のピンで、ビデオテー
プの走行状態を観察し、下記判定を行った。 A:走行中のテープの走行位置の外れが規定位置から
0.5mm未満である B:走行中のテープの走行位置の外れが規定位置から
0.5mm以上2mm未満である C:走行中のテープの走行位置が規定位置から2mm以
上外れる
【0061】実施例1〜6および比較例1〜7 [架橋高分子粒子の製造例]脱塩水600部に水溶性重
合開始剤の過硫酸カリウム1.8部と分散安定剤として
陰イオン界面活性剤のラウリルナトリウム(商品名:エ
マール 0 花王株式会社製)0.7部を添加し均一に
溶解させた後、エチレングリコールモノメタクリレート
30部、n−ブチルアクリレート20部、スチレン20
部およびジビニルベンゼン30部の混合溶液を徐々に加
え、窒素ガス雰囲気下で攪拌しながら70℃で15時間
重合反応を行った。反応率は98%で、得られた粒子の
平均粒径は0.80μm、粒度分布値は1.05であっ
た。得られた粒子はほぼ球状であった。次いで、得られ
た粒子の水スラリーを50℃に冷却し、ポリアクリル酸
ナトリウム/メトキシポリエチレングリコール/ポリプ
ロピレングリコールモノメタクリレート共重合体の部分
アンモニウム中和物1部を加え、1時間攪拌処理した
後、エチレングリコール2000部を加え、加熱減圧下
で水を留去した。
【0062】[ポリエステルの製造]ジメチルテレフタ
レート100部、エチレングリコール60部および酢酸
マグネシウム4水塩0.09部を反応器にとり、加熱昇
温するとともにメタノールを留去してエステル交換反応
を行い、反応開始から4時間を要して230℃まで昇温
し、実質的にエステル交換反応を終了した。
【0063】次いで、先に得た架橋高分子粒子のエチレ
ングリコールスラリーを添加した。スラリー添加後、さ
らにリン酸0.03部、三酸化アンチモン0.04部を
加え、徐々に反応系を減圧とし、温度を高めて重縮合反
応を4時間行い、極限粘度0.64のポリエステルを得
た。架橋高分子粒子の含有量は0.5重量%であった。
【0064】また、上記の架橋高分子粒子の代わりに、
平均粒径0.41μm、粒径分布値1.55の合成炭酸
カルシウム(合成炭カル)粒子をエチレングリコールス
ラリーとして、ポリエステルに対する粒子濃度が1.0
重量%となるように添加した以外は、上記と同様にエス
テル交換反応、重縮合反応を行い、極限粘度0.63の
ポリエステルを得た。
【0065】また、あらかじめ解砕、分級、濾過した一
次粒径0.02μmのδ−アルミナ粒子をエチレングリ
コールスラリーとして、ポリエステルに対する粒子濃度
が1.5重量%となるように添加して、極限粘度0.6
3のポリエステルを得た。上記の架橋高分子粒子を添加
しない以外は、上記と同様にエステル交換反応、重縮合
反応を行い、実質的に不活性粒子を含まない極限粘度
0.62のポリエステルを得た。さらに、別途、表1に
示す平均粒径、および粒径分布値を有する合成炭酸カル
シウム粒子(添加量はポリエステルに対し1.0重量
%)、あるいは架橋高分子粒子(添加量はポリエステル
に対し0.6重量%)、球状シリカ粒子(添加量はポリ
エステルに対し1.0重量%)をエチレングリコールス
ラリーとして添加した以外は、上記と同様にエステル交
換反応、重縮合反応を行い、極限粘度0.63の各種ポ
リエステル原料を得た。粒子を含有するポリエステルの
内部を顕微鏡で観察したところ、粒子が均一に分散して
いることが確認された。合成炭酸カルシウムのモース硬
度は3,球状シリカ粒子のモース硬度は6,δ−アルミ
ナ粒子のモース硬度は9であった。
【0066】[ポリエステルフィルムの製造]得られた
ポリエステル原料を、表1の粒子含有量となるようにブ
レンドし、A層用およびC層のポリエステル原料とし
た。また、B層用の原料を別途ブレンドし、準備した。
A層およびB層用原料を、それぞれ常法により乾燥し、
別個の溶融押出機により、溶融押出して(A/B/A)
または(A/B/C)の2種3層積層の無定形シートを
得た。
【0067】次いで、上記の無定形シートをフィルムの
流れ方向(縦方向)に87℃で3.0倍、さらに縦方向
に76℃で1.15倍延伸し、横方向に110℃で4.
6倍延伸し、214℃で4秒間熱処理を行い、さらに2
00℃で2.0%横方向に弛緩処理して二軸配向積層フ
ィルムを得た。フィルムの全厚さは15.0μm、それ
ぞれの層厚みは表1にまとめた通りであった。また、実
施例1において、得られたフィルムのA層の極限粘度は
0.610、B層の極限粘度は0.595であった。な
お、A層中にアルミナ以外の粒子を2種含有する場合
は、平均粒径の大きい粒子を粒子X、小さい方を粒子Z
とする。
【0068】実施例7 実施例1の原料、層厚み構成で、長手方向の延伸倍率を
大きくし、横方向の延伸倍率を小さくして、フィルムを
作成した。実施例および比較例で得られたフィルムに磁
性層を塗布して磁気テープを得、テープガイドとしてポ
リオキシメチレン製のピンを使用したVHSビデオカセ
ットに巻き込んで、ビデオテープカセットを得て、その
特性を評価した。下記表1〜3にそれぞれのフィルムの
特性と、磁気テープの評価結果を示した。
【0069】
【表1】
【0070】
【表2】
【0071】
【表3】
【0072】
【表4】
【0073】
【表5】
【0074】
【表6】
【0075】
【表7】
【0076】
【表8】
【0077】
【発明の効果】本発明のフィルムは、磁気記録媒体用ベ
ースフィルムとして使用した場合、磁気記録媒体として
の巻き特性、走行性および電磁変換特性を高度に満足で
き、かつ特にビデオテープカセットのガイドピンとして
樹脂製のものを用いた場合の耐摩耗性、ドロップアウト
発生防止の点で優れており、フィルム製造時および磁気
記録媒体製造時のスリット性に優れ、擦り傷や摩耗粉の
発生が極めて少なく、しかも生産性、コスト面で優れた
ものであり、その工業的価値は非常に大きい。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4F100 AA08A AA08C AA19 AA20 AK24 AK41A AK41B AK41C AK42E AK46E AK54E AR00D BA02 BA03 BA05 BA06 BA07 BA10A BA10B BA10C BA10D BA10E BA25 BA26 CA30A DD07C DE04A DE04B DE04C EJ05 EJ38A EJ38B EJ38C GB41 JG06D JK06 JK09 JK12A JK12B JK12C JK16 JK16A JL02 YY00A YY00B YY00C 5D006 CB01 CB05 CB06 CB07 CB08 FA00 FA05 FA09

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 粒子Xを0.01〜1.0重量%含有す
    るポリエステルからなるA層と、当該A層に隣接する、
    粒子Yを0.01〜1.0重量%含有するポリエステル
    からなるB層とを含む二軸配向積層フィルムであって、
    下記式〜を同時に満足することを特徴とする磁気記
    録媒体用積層ポリエステルフィルム。 【数1】 0.1≦dY50≦1.5 ……… 0.01≦dX50≦1.0 ……… 0.2ta ≦dY50≦2.0ta ……… 0.1≦ta ≦3.0 ……… 0.3CX ≦CY ≦7.0CX ……… (上記式中、dX50はA層中の粒子Xの平均粒径(μ
    m)、dY50はA層中の粒子Yの平均粒径(μm)、t
    a はA層の厚み(μm)、CY はB層の粒子Y含有量
    (重量%)、CX はA層の粒子X含有量(重量%)を示
    す)
  2. 【請求項2】 粒子Zを0.1〜1.0重量%の範囲で
    A層中に含有し、下記式〜を同時に満足することを
    特徴とする請求項1記載の磁気記録媒体用積層ポリエス
    テルフィルム 【数2】 0.1dY50≦dZ50≦0.8dY50 ……… dX50>dZ50 ……… (上記式中、dZ50はA層中の粒子Zの平均粒径(μ
    m)、dX50およびdY50は請求項1において定義した
    とおりである)
  3. 【請求項3】 モース硬度が7以上で、平均一次粒径が
    0.3μm以下の微粒子を0.01〜1.0重量%の範
    囲でA層中に含有することを特徴とする請求項1または
    2記載の磁気記録媒体用積層ポリエステルフィルム。
  4. 【請求項4】 粒子Xおよび粒子Zの少なくとも一方が
    炭酸カルシウムであることを特徴とする請求項1〜3の
    いずれかに記載の磁気記録媒体用積層ポリエステルフィ
    ルム。
  5. 【請求項5】 非接触式表面粗度計にて測定したA層表
    面の自乗平均平方根粗さ(RMS)が5〜30nm、P
    −V値が100〜500nmであることを特徴とする請
    求項1〜4のいずれかに記載の磁気記録媒体用積層ポリ
    エステルフィルム。
  6. 【請求項6】 一方の表面がA層により構成され、もう
    一方の表面が、A層と同じポリエステル組成物からなる
    C層により構成されるフィルムであって、C層の厚みt
    c がA層の厚みta の0.1〜0.7倍であり、非接触
    式表面粗度計にて測定したA層表面とC層表面の自乗平
    均平方根粗さ(それぞれRMSa、RMSc)の差が2
    〜15nmの範囲であることを特徴とする請求項1〜5
    のいずれかに記載の磁気記録媒体用積層ポリエステルフ
    ィルム。
  7. 【請求項7】 請求項1〜6のいずれかに記載の積層ポ
    リエステルフィルムをベースフィルムとして、その片面
    に磁性層を設けた磁気テープと、ポリブチレンテレフタ
    レート、ポリオキシメチレンおよびポリアミドの中から
    選ばれる少なくとも1種の樹脂からなるガイドピンとを
    含んでなるビデオテープカセット。
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