JP3351821B2 - 二軸配向ポリエステルフィルム - Google Patents

二軸配向ポリエステルフィルム

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JP3351821B2
JP3351821B2 JP21797192A JP21797192A JP3351821B2 JP 3351821 B2 JP3351821 B2 JP 3351821B2 JP 21797192 A JP21797192 A JP 21797192A JP 21797192 A JP21797192 A JP 21797192A JP 3351821 B2 JP3351821 B2 JP 3351821B2
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polymer particles
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一夫 遠藤
一弘 椚原
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三菱化学ポリエステルフィルム株式会社
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ポリエステル中におけ
る分散性および親和性を改良した複合架橋高分子粒子を
含有してなる二軸配向ポリエステルフィルムに関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】ポリ
エステル、特にポリエチレンテレフタレートを原料とす
るポリエステルフィルムは優れた物理的、化学的特性を
有することから産業用資材として広く用いられている
が、近年、各用途において高級志向が著しくなり、フィ
ルム表面が均一であることが強く望まれるようになっ
た。さらに、例えばフィルム同士あるいはフィルムと基
材が高速で接触したときの両者の間の摩擦、摩耗による
フィルム表層の擦り傷や粒子脱落による摩耗粉の発生の
改良が待望されている。特に厳しい品質が要求される磁
気記録用途においては、これらの点を高度に満足する必
要がある。
【0003】従来、ポリエステルフィルムの走行性、耐
摩耗性および耐擦傷性を改良する手段としてはフィルム
の表面を適度に粗面化する方法が知られており、ある程
度その改良がなされているが、必ずしも十分な結果は得
られていない。例えば微粒子としてポリエステル製造時
の触媒残渣等からのいわゆる析出粒子を用いた場合は、
延伸により析出粒子が破壊されやすいため、走行性や耐
摩耗性が劣り、また析出粒子の再生使用も困難である。
また、酸化ケイ素、硫酸バリウム、二酸化チタン、リン
酸カルシウム等のポリエステルに不活性な無機化合物粒
子を添加した場合は、延伸により粒子が破壊、変形され
ることはなく、比較的急峻な突起を与えることができ、
走行性は改良されるが、通常その粒度分布が広く、粒子
の脱落も生じやすいため、例えば磁気記録媒体用として
用いた場合、しばしば電磁変換特性の悪化やドロップア
ウトの多発を引き起こしてしまう。このように、これま
でフィルムの表面均一性、走行性および耐摩耗性を高度
なレベルで満足するポリエステルフィルムは得られてい
ないのが実情である。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らはかかる実情
に鑑み、この走行性および耐摩耗性とを同時に高度に満
たし、フィルムとした場合に必要な諸特性をも十分に満
足し得る優れた二軸配向ポリエステルフィルムを提供す
べく鋭意検討を重ねた結果、ある特定の粒子で被覆され
た特定の変形度を有する複合架橋高分子粒子を配合する
ならば、かかる要求特性を満たすことができることを知
見し、本発明を完成するに至った。
【0005】すなわち本発明の要旨は、平均粒径が0.
1〜3μm、粒度分布値(r)が1.3以下、粒径比が
1.0〜1.1の架橋高分子粒子の表面を平均粒径が
0.03〜0.2μmのδ型酸化アルミニウム粒子で
処理した粒子を0.01〜3重量%含有してなるポリ
エステルを延伸してなるフィルムであって、該架橋高分
子粒子の延伸による変形度が1.2〜5.0であること
を特徴とする二軸配向ポリエステルフィルムに存する。
【0006】以下、本発明を詳細に説明する。本発明で
いうポリエステルとは、芳香族ジカルボン酸またはその
エステルとグリコ−ルとを主たる出発原料として得られ
るポリエステルであり、その繰り返し構造単位の80%
以上がエチレンテレフタレ−ト単位またはエチレン−
2,6−ナフタレ−ト単位を有するポリエステルを指
す。そして、上記の範囲を逸脱しない条件下であれば、
他の第三成分を含有していてもよい。芳香族ジカルボン
酸成分としては、例えば、テレフタル酸および2,6−
ナフタレンジカルボン酸以外に、例えば、イソフタル
酸、フタル酸、アジピン酸、セバシン酸、オキシカルボ
ン酸(例えば、p−オキシエトキシ安息香酸等)等を用
いることができる。グリコ−ル成分としては、エチレン
グリコ−ル以外に、例えば、ジエチレングリコ−ル、プ
ロピレングリコール、ブタンジオ−ル、1,4−シクロ
ヘキサンジメタノ−ル、ネオペンチルグリコ−ル等の一
種または二種以上を用いることができる。
【0007】本発明の重要な構成要件は、ポリエステル
中に配合する粒子として酸化アルミニウム粒子で表面処
理され、延伸により適度に変形しうる複合架橋高分子粒
子を用いることにある。本発明においては、延伸前の粒
径比が1.0〜1.1である架橋高分子粒子であって、
延伸応力を作用させることにより変形度(実施例のとこ
ろに定義する)が1.2〜5.0、好ましくは1.2〜
4.0、さらに好ましくは1.5〜3.0となる複合架
橋高分子粒子を用いる。変形度が1.2未満では、延伸
時の強い応力で該粒子とポリエステルの界面でボイドが
生成し、粒子が脱落しやすくなるので好ましくない。ま
た変形度が5.0を超えると該粒子が変形し過ぎ、フィ
ルム表面にシャープな突起を形成することができなくな
るのでので好ましくない。
【0008】本発明に適用しうる架橋高分子粒子として
は、分子中に唯1個の脂肪族の不飽和結合を有するモノ
ビニル化合物(A)の一種以上と、架橋剤として分子中
に2個以上の脂肪族の不飽和結合を有する化合物(B)
の一種以上とを乳化重合法で共重合させることにより本
発明に用いる架橋高分子粒子を得ることができる。ここ
で言う乳化重合法とは、ソープフリー乳化重合、シード
乳化重合等の概念も包括した広義の乳化重合を指す。な
お、本発明に用いる化合物(A)としてはアクリル酸、
メタクリル酸およびこれらのアルキルまたはグリシジル
エステル、無水マレイン酸およびそのアルキル誘導体、
ビニルグリシジルエーテル、酢酸ビニル、スチレン、ア
ルキル置換スチレン等を挙げることができる。また、化
合物(B)としてはジビニルベンゼン、ジビニルスルホ
ン、エチレングリコールジメタクリレート、1,4ブタ
ンジオールジアクリレート等を挙げることができる。化
合物(A)および(B)は各々一種類以上用いるが、窒
素原子を有する化合物やエチレンを共重合させてもよ
い。その場合、重合開始剤としては、過酸化水素、過硫
酸カリウム、過硫酸カリウム−チオ硫酸ナトリウム等を
用いることができる。
【0009】架橋高分子粒子重合時の分散助剤としては
脂肪酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルベンゼン
スルホン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、アルキルナ
フタレンスルホン酸塩、アルキルジフェニルエーテルジ
スルホン酸塩、アルキルリン酸塩、ポリオキシエチレン
アルキルまたはアルキルアリル硫酸エステル塩等の陰イ
オン性界面活性剤やポリオキシエチレンアルキルエーテ
ル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリ
オキシエチレン誘導体、ポリオキシエチレン−オキシプ
ロピレンブロックコポリマー、ソルビタン脂肪酸エステ
ル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポ
リオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、グリセ
リン脂肪酸エステル等の非イオン性界面活性剤やアルキ
ルアミン塩、第4級アンモニウム塩等の陽イオン界面活
性剤およびアルキルベタイン、アミンオキサイド等の両
性界面活性剤である。その中でも特にアルキルジフェニ
ルエーテルジスルホン酸塩で代表される陰イオン性界面
活性剤が好適に用いられる。界面活性剤は該粒子をポリ
エステルに配合する際、粒子の凝集を防ぎ分散性を良好
とするので好ましい。
【0010】架橋高分子粒子に対する界面活性剤の量は
通常、0.001〜0.20%(対粒子)、好ましくは
0.005〜0.15%である。この値が0.001%
未満ではポリエステル中での分散性が劣ることがある。
また、0.20%を超えると界面活性剤起因よる粗大異
物が生成することがある。いずれにしても、本発明で用
いる架橋高分子粒子は、架橋構造を有し、ポリエステル
の製造あるいは成型時の高温においても実質的に不溶、
不融で耐熱性を有するものである。具体的には窒素ガス
流通下300℃で30分間加熱処理した後の重量減少率
が通常30重量%以下のものであり、好ましくは20重
量%以下である。また本発明では易変形性が得られるよ
う特にその組成を選定する必要があるが、そのためには
架橋高分子粒子のガラス転移温度が低くなるよう、例え
ば95℃以下、好ましくは85℃となるよう共重合成
分、特に化合物(A)を選定する。具体的には、その共
重合成分のみでポリマーを得たとき、そのガラス転移温
度が0℃以下である化合物を導入することが好ましい。
かかる化合物としてアクリル酸の炭素数が2〜4のアル
キルエステル、メタクリル酸の炭素数が6〜12のアル
キルエステルを挙げることができるがもちろんこれらに
限定される訳ではない。
【0011】また架橋度も易変形性に大きな影響を与え
るが、本発明においては耐熱性が許容される範囲で比較
的架橋度を低くしたものが好ましい。具体的には共重合
体中の(B)成分の重量比が0.5〜20%、好ましく
は1〜15%とするのが良い。本発明において用いる架
橋高分子粒子の平均粒径は0.01〜3μm、好ましく
は0.1〜2μmである。平均粒径が0.01μm未満
ではフィルムの走行性や耐摩耗性が不十分である。また
3μmを超えると表面粗度が大きくなり過ぎ、例えば磁
気記録媒体用においては、電気特性が悪化し、コンデン
サー誘電体用においては耐電圧特性が悪化するようにな
る。本発明においては、架橋高分子粒子の粒度分布値
(r)は1.3以下、好ましくは1.2以下、さらに好
ましくは1.1以下である。この値が1.3を超えると
均一なフィルム表面が得られないので好ましくない。
【0012】また、用いる架橋高分子粒子は多孔質であ
ってもそうでなくても良いが多孔質の方がポリエステル
との親和性により優れているので好ましい。本発明の最
大の特徴は、上記の架橋高分子粒子を酸化アルミニウム
粒子で表面処理した複合架橋高分子粒子を用いる点にあ
る。架橋高分子粒子単独では、特に該粒子の官能基密度
が小さい場合、あるいはポリエステルに対する配合量が
多い場合には粒子がしばしば凝集してしまう。このこと
はポリエステル重合時の攪拌強度が弱い場合に特に顕著
である。しかしながら、かかる特定の無機粒子で表面処
理した複合架橋高分子粒子を使用すれば、ポリエステル
中での分散性を著しく向上させることができるだけでな
く、さらに該粒子を配合したポリエステルフィルムは耐
擦傷性が改良されるという予期せぬ効果が享受される。
【0013】本発明で用いる酸化アルミニウム粒子の製
造法としては、例えば熱分解法、すなわち無水塩化アル
ミニウムを原料として火焔加水分解させる方法、あるい
はアンモニウム明ばん熱分解法、すなわち水酸化アルミ
ニウムを原料として硫酸と反応させて硫酸アルミニウム
とした後硫酸アンモニウムと反応させてアンモニウム明
ばんとして焼成する方法等を挙げることができる。これ
らの方法により得られる酸化アルミニウムの結晶型がδ
型のものを本発明では用いる。酸化アルミニウムの一次
粒径は通常5〜40nmの範囲にあるが、しばしば0.
5μmを超える凝集体を形成しているので、適度に解砕
して使用することが望ましい。本発明の架橋高分子粒子
を表面処理する酸化アルミニウム粒子の二次凝集体の平
均粒径は該架橋高分子粒子の平均粒径より小さいことが
好ましく、具体的には1/2以下が好ましく、さらに好
ましくは1/5以下、特に好ましくは1/10以下であ
り、また、その平均粒径は0.03〜0.2μm、好ま
しくは0.03〜0.1μmである。酸化アルミニウム
粒子の二次凝集体の平均粒径が0.2μmを超えるとポ
リエステル重合時の分散性改良効果が不十分となること
がある。
【0014】また、酸化アルミニウム粒子の使用量は架
橋高分子粒子に対し、重量比で0.1〜2倍量が好まし
く、さらに好ましくは0.3〜1倍量である。この値が
0.1倍量未満では分散性の改良が困難となる傾向があ
る。またこの値が2倍量を超えても最早それ以上分散性
は改良されず、酸化アルミニウム粒子起因によりフィル
ムのスリット性が悪化することがある。架橋高分子粒子
表面を酸化アルミニウム粒子で処理する方法としては、
例えば、水溶液中に分散させた架橋高分子粒子のゼータ
電位値が負(−)に帯電している場合には、水溶液中で
のゼータ電位値が正(+)の酸化アルミニウム粒子水溶
液を加え、攪拌下3〜5時間処理する方法が挙げられ、
かかる処理によって、架橋高分子粒子表面が酸化アルミ
ニウム粒子で被覆される。
【0015】本発明においては酸化アルミニウム粒子で
表面処理された複合架橋高分子粒子のポリエステル中に
おける配合量は0.01〜3重量%、好ましくは0.0
5〜2重量%である。配合量が0.01重量%未満では
フィルムの滑り性や耐摩耗性が不十分であるし、逆に3
重量%を超えるとフィルムの表面粗度が大きくなり過ぎ
電磁気特性が低下するので好ましくない。このように本
発明においてはある特定の複合架橋高分子粒子を用いる
が、その効果が特に顕著に発揮できるのは、幾つかの次
の要件が組み合わされたときである。第一は、エチレン
テレフタレ−ト単位を80モル%以上含むフィルムの場
合、該粒子を含むフィルムの厚み方向の屈折率を1.4
92以上とすることである。.フィルムの厚み方向の屈
折率を1.492以上とした場合、易滑性および耐摩耗
性の改良効果が顕著となるとともに磁性層との接着性も
向上することができ好適である。かかる屈折率は好まし
くは1.494〜1.505である。かかる物性を有す
るフィルムは、例えば逐次二軸延伸の場合、縦延伸温度
を通常の延伸温度よりも5〜30℃高い85〜115℃
程度とすることによって得ることができる。
【0016】また、幅方向の屈折率(nTD)と長手方向
の屈折率(nMD)との差(Δn;n TD−nMD)が0.0
10以上の場合、特に、裁断性に優れ、磁気テ−プのベ
−スフィルムとして適したものとなる。上記の裁断性
は、磁気テ−プをシェア−カッタ−等でスリットする際
の特性であり、裁断性が悪い場合には、切り口が筋状に
めくれ上がったり、切り口からヒゲや粉が発生したりす
る。かかる現象が生じた場合、テ−プに白粉が付着し、
電磁変換特性を悪化させたり、ドロップアウトを誘起す
る。Δnは、好ましくは0.020以上、さらに好まし
くは0.025以上、特に好ましくは0.035以上で
ある。Δnが余り大きすぎる場合は、熱収縮率等の不都
合が生じることがあるため、Δnの上限は、0.060
とすることが好ましい。さらに、ポリエステルフィルム
の極限粘度は、0.52〜0.62が好ましく、0.5
4〜0.59がさらに好ましい。かかる範囲のとき、フ
ィルムの裁断性およびフィルムの生産性が向上する。
【0017】本発明の効果が特に発揮される第二の組み
合わせは、エチレンテレフタレ−ト単位を80モル%以
上含むフィルムの場合、フィルムの縦方向のヤング率と
横方向のヤング率の和が900kg/mm2 以上、好ま
しくは1000kg/mm2以上、さらに好ましくは1
100kg/mm2 以上の場合である。通常このように
高強度となるように強く延伸された場合は、フィルム表
層から粒子が脱落しやすく耐摩耗性が悪化するが、本発
明の粒子を用いた場合にはかかる粒子脱落現象が大幅に
改良される。なお、このような高強度フィルムは、例え
ば次の製膜方法により得ることができる。実質的に無配
向の未延伸シ−トを80℃〜120℃で縦方向に、3.
0〜6.0倍、次いで横方向に3.0〜6.0倍延伸
し、170℃〜240℃にて熱処理する方法である。も
ちろん縦横に逐次二軸延伸あるいは同時二軸延伸した後
さらに110℃〜180℃の温度で縦方向に1.05〜
2.5倍再延伸を行った後、熱処理する方法も採り得
る。この際、再縦延伸前熱固定、再縦延伸後縦弛緩、再
縦延伸前または後微小倍率縦延伸等の手法の適宜採用も
可能である。また、同様に横方向に再延伸を行ってもよ
い。
【0018】本発明の効果が特に発揮される第三の組み
合わせは、ポリエチレン−2,6−ナフタレ−ト単位を
80モル%以上含むフィルムに複合架橋高分子粒子を配
合した場合である。ポリエステルフィルムの中でも特に
ポリエチレン−2,6−ナフタレ−ト単位を80モル%
以上含むフィルムは、機械的強度や耐熱性に優れている
ことから注目されているが、該フィルムはフィルムの走
行速度や張力の点においてしばしばより厳しい条件下で
使用されるので、特に耐摩耗性の改良が望まれている。
特に、該粒子を含むかかるフィルムの縦方向のヤング率
と横方向のヤング率の和が1300kg/mm2 以上、
さらに好ましくは1400kg/mm2以上、特に好ま
しくは1500kg/mm2 以上の場合に、その耐摩耗
性の改良効果が顕著である。ポリエチレン−2,6−ナ
フタレ−トの場合、延伸温度を高くする以外はポリエチ
レンテレフタレ−トと同様な手法により、かかる高強度
フィルムを得ることができる。実質的に無配向の未延伸
シ−トを90℃〜180℃で縦方向に、3.0〜6.0
倍、次いで横方向に3.0〜6.0倍延伸し、180℃
〜260℃にて熱処理する方法である。もちろん縦横に
逐次二軸延伸あるいは同時二軸延伸した後、さらに14
0℃〜200℃の温度で縦方向に1.05〜4.0倍再
延伸を行った後、熱処理する方法も採り得る。この際、
再縦延伸前熱固定、再縦延伸後縦弛緩、再縦延伸前また
は後に微小倍率縦延伸等の手法の適宜採用も可能であ
る。また、同様に横方向に再延伸を行ってもよい。
【0019】以上述べたように、本発明においてはある
特定の複合架橋高分子粒子を特定量用いることにより、
ポリエステルフィルムの特性を改良することができる
が、上記3通りの場合においてその効果をさらに顕著な
ものとすることができる。本発明においては、その要旨
を超えない範囲で、他の粒子を一種以上併用して、さら
にフィルムの走行性、耐摩耗性等を改良することが可能
である。かかる粒子の一つとして析出粒子を挙げること
ができる。ここでいう析出粒子とは、例えばエステル交
換触媒としてアルカリ金属またはアルカリ土類金属化合
物を用いた系を常法により重合することにより反応系内
に析出するものを指す。また、エステル交換反応あるい
は重縮合反応時にテレフタル酸を添加することにより析
出させてもよい。これらの場合、リン酸、リン酸トリメ
チル、リン酸トリエチル、リン酸トリブチル、酸性リン
酸エチル、亜リン酸、亜リン酸トリメチル、亜リン酸ト
リエチル、亜リン酸トリブチル等のリン化合物の一種以
上を存在させてもよい。また、エステル化工程を経る場
合にもこれらの方法で不活性物質粒子を析出させること
ができる。例えば、エステル化反応終了前または後にア
ルカリ金属またはアルカリ土類金属化合物を存在させ、
リン化合物の存在下あるいは非存在下に重縮合反応を行
う。いずれにしても本発明でいう析出粒子にはカルシウ
ム、リチウム、アンチモン、リン等の元素が一種以上含
まれている。
【0020】また、併用する粒子の一つとして添加粒子
も用いることができる。ここでいう添加粒子とはポリエ
ステルに外部から添加する粒子を指すが、具体的にはカ
オリン、タルク、カ−ボンブラック、硫化モリブデン、
石膏、酸化アルミニウム、硫酸バリウム、フッ化リチウ
ム、フッ化カルシウム、ゼオライト、リン酸カルシウ
ム、二酸化ケイ素、二酸化チタン等を挙げることができ
る。なお、本発明において併用する粒子は、その平均粒
径が本発明の複合架橋高分子粒子の平均粒径より大きい
場合は、該架橋高分子粒子と同量以下が好ましく、0.
005〜0.5倍重量がさらに好ましく、0.01〜
0.3倍重量が特に好ましい。一方、その平均粒径が本
発明の複合架橋高分子粒子の平均粒径より小さい場合
は、該架橋高分子粒子と同量以上が好ましく、1〜20
倍重量がさらに好ましい。
【0021】また本発明においては平均粒径の異なる複
合架橋高分子粒子を二種以上用いてもよい。特に、巻き
特性および走行性改良等を目的として、大粒子の該架橋
高分子粒子と小粒子の該架橋高分子粒子を組み合わせる
ことはさらに好ましい実施態様である。ここで大粒子の
架橋高分子粒子とは、平均粒径が0.5〜2μmのもの
を指し、含有量が0.005〜0.15重量%が特に好
ましく、一方、小粒子の架橋高分子粒子とは、平均粒径
が0.10〜0.8μmのものを指し、含有量が0.2
0〜3.0重量%が特に好ましいものである。
【0022】本発明の特定の複合架橋高分子粒子を含む
ポリエステルの製造に際しては、該粒子および併用する
添加粒子は、ポリエステルの合成反応中に添加すること
が好ましい。特に、エステル交換反応またはエステル化
反応終了後、重縮合反応開始前に添加することが好まし
い。なお、添加する粒子は、通常、エチレングリコ−ル
のスラリ−として添加するが、必要に応じ、事前に解
砕、分散、分級、濾過等の処理を施しておいてもよい。
添加するエチレングリコ−ル中のスラリ−濃度は5〜5
0重量%、好ましくは10〜40%とするのがよい。ス
ラリ−の粒子濃度が3重量%未満では、エチレングリコ
−ルの使用量が増し、エチレングリコ−ルの原単位が大
きくなる。また、粒子濃度が50重量%を超えたスラリ
−を添加すると、粒子の分散性が悪化する傾向がある。
なお、ポリエステル合成の重縮合反応触媒としては、S
b,Ti,Ge,Sn,Si化合物等の通常用いられて
いる触媒が使用される。
【0023】特に磁気記録媒体用として好適な本発明の
フィルムは特定の粒子と特定のフィルム物性との組み合
わせにより初めて得られるものであるが、そのフィルム
表面粗度は中心線平均粗さ(Ra)は、通常、0.00
5〜0.1μmであり、0.007〜0.08μmが好
ましく、0.01〜0.03μmがさらに好ましい。さ
らに、本発明のフィルムの最大突起高さ(Rt)と中心
線平均粗さ(Ra)の比(Rt/Ra)は15以下であ
ることが好ましく、12以下であることがさらに好まし
く、5以上10以下が特に好ましい。Rt/Ra値が1
5を超える場合、ベ−スフィルム表面の均一性が劣る傾
向があり、走行性または耐摩耗性が劣ることがある。ま
た、本発明のフィルムは、本発明の構成要件を満足して
いれば、単層または2層以上の積層フィルムであっても
よい。本発明のフィルムはビデオテ−プ用のベ−スフィ
ルムとして賞用されるほか、オ−ディオ用、フロッピ−
ディスク用のそれとして用いた場合にも特に効果を発揮
し得る。もちろん必要に応じコンデンサ−の誘電体用、
包装用、製版用、その他の用途に用いることも可能であ
る。
【0024】
【実施例】以下、本発明を実施例を挙げてさらに詳細に
説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、以下
の実施例によって限定されるものではない。なお、実施
例における種々の物性および特性の測定方法、定義は下
記のとおりである。実施例および比較例中「部」とある
は「重量部」を示す。
【0025】(1)平均粒径および粒度分布値 電子顕微鏡にて測定した等価球形分布における積算体積
分率50%の粒径を平均粒径とした。なお粒度分布値
(r)は下記式から算出した。 粒度分布値(r)=d25/d75 (上記式中、d25、d75は粒子群の積算体積を大粒子側
から計測し、それぞれ総体積の25%、75%に相当す
る粒径(μm)を示す) (2)二次凝集体の平均粒径 島津製作所製遠心沈降式粒度分布測定装置(SA−CP
3型)で測定した等価球形分布における積算体積分率5
0%の粒径を平均粒径とした。 (3)重量減少率 島津製作所製熱分析装置DT−20Bs型を用い、窒素
ガス流通下(200ml/分)室温から10℃/分の昇温
速度で300℃まで加熱し、300℃−30分間保持し
た後の重量減少率を求めた。
【0026】(4)ガラス転移温度 示差走査熱量測定装置(デュポン製 DSC-Thermal Analy
st 200型)を用い、16℃/分の昇温速度で昇温したと
きのDSC曲線の熱量変化開始点をガラス転移温度とし
た。 (5)粒径比 走査型電子顕微鏡にてポリエステルに配合する粒子を観
察し、粒子毎に最大径と最小径を求めその比を算出し
た。少なくとも100個の粒子についてこの値を求めそ
の相加平均を変形度とした。 (6)変形度 フィルム小片をエポキシ樹脂にて固定成形した後、ミク
ロトームで切断し、フィルムの長手方向の断面を観察し
た。フィルム表面から5μm以内に存在する粒子につ
き、粒子毎に最大径と最小径を求めその比を算出した。
少なくとも100個の粒子についてこの値を求めその相
加平均を変形度とした。
【0027】(7)粒子のゼータ電位 大塚電子製ゼータ電位測定装置(ELS−800型)を
用い、純水中に粒子を添加して希薄スラリーとし、通常
の電気泳動法により測定した。 (8)ポリマー中の架橋高分子粒子の見かけ上の平均粒
径および粒子分散性 ポリマーを超薄膜作成装置にて約800Åの超薄切片と
した後、透過型電子顕微鏡で観察することにより平均粒
径を求めた。また粒子分散性の判定は次ぎのとおり行っ
た。 〇:二次凝集粒子はほとんど観察されず、目的を達
成。;△:わずかに二次凝集が存在し、目的を達成しな
い。;×:ほとんどの粒子が二次凝集粒子で、目的を達
成しない。 (9)フィルムの極限粘度 ポリマ−1gをフェノ−ル/テトラクロロエタン=50
/50(重量比)の混合溶媒100ml中に溶解し、3
0℃で測定した。
【0028】(10)フィルムの屈折率 アタゴ光学社製アッベ式屈折計を用い、フィルムの厚さ
方向の屈折率(nα)、幅方向の屈折率(nTD)および
長手方向の屈折率(nMD)を測定した。なお屈折率の測
定はナトリウムD線を用いた。 (11)ヤング率(引張弾性率) (株)インテスコ製 引張試験機インテスコモデル20
01型を用いて、温度23℃、湿度50%RHに調節さ
れた室内において、長さ300mm、幅20mmの試料
フィルムを、10%/minの歪速度で引張り、引張応
力−歪曲線の初めの直線部分を用いて次式によってヤン
グ率(E)を計算した。 E=Δσ/Δε (上記式中、E、Δσ、Δεはそれぞれヤング率(kg
/mm2 )、直線上の2点間の元の平均断面積による応
力差、同じ2点間の歪差を表す) (12)フィルム表面の平均粗さおよび粗さの均一性 日本工業規格JIS B0601に記載されている方法
に従い、(株)小坂研究所製 表面粗さ測定機(SE−
3F)を用いて、中心線平均粗さ(Ra)および最大高
さ(Rt)を求めた。なお、使用した触針の半径は2.
0μm、荷重は30mgであり、カットオフ値は0.0
8mmである。Rt/Raが小さいほど表面が均一であ
る。
【0029】(13)走行性 フィルムの滑り性により評価した。滑り性は、固定した
硬質クロムメッキ金属ロール(直径6mm)にフィルム
を巻き付け角(θ)135°で接触させ、53g(T
2 )の荷重を一端にかけて、1m/minの速度でこれ
を走行させ、他端の抵抗力(T1 ,g)を測定し、次式
により走行中の摩擦係数(μd)を求めた。 μd=0.424・ln(T1 /53) (14)粗大突起数 フィルム表面にアルミニウムを蒸着し、ニコンオプチフ
ォト干渉顕微鏡を用い、二光束法にて測定した。測定波
長は0.54μmで3次以上の干渉縞を示す突起(突起
高さ0.81μm以上)個数を100cm2 の面積に亘
り測定し、粗大突起数とした。 (15)親和性 上記(6)項の方法にしたがってフィルム中の複合架橋
高分子粒子周辺を暴露し、少なくとの100個の該粒子
の長径と該粒子周辺のボイドの長径を測定し、その比
(ボイドの長径/複合架橋高分子粒子の長径)の平均値
を、下記の3段階の基準で評価した。 〇:ボイド比≦0.50以下 △:0.51≦ボイド比≦1.00 ×:ボイド比≧1.01
【0030】(16)摩耗特性 固定した直径6mmの硬質クロム製固定ピン(材質SU
S420−J2、仕上げ0.2S)に幅10mmのフィ
ルムを巻きつけ角135°で接触させ、速度は11.4
m/min、初期張力300gで、200mのフィルム
を計5000mにわたって走行させ、ピンに付着した摩
耗白粉量を目視評価し、下に示すランク別に評価を行っ
た。 ランクA:全く付着しない ランクB:微量付着する ランクC:少量(ランクBよりは多い)付着する ランクD:極めて多く付着する (17)フィルムの巻き特性 ポリエステルフィルムの巻き取り作業時のロ−ルの巻き
ずれ、シワ入りおよび巻き姿等の良否を総合的に判断し
た。
【0031】(18)磁気テ−プ特性 まず磁気テープを製造した。すなわち、磁性微粉末20
0部、ポリウレタン樹脂30部、ニトロセルロース10
部、塩化ビニル−酢酸セルロース共重合体10部、レシ
チン5部、シクロヘキサノン100部、メチルイソブチ
ルケトン100部、およびメチルエチルケトン300部
をボールミルにて48時間混合分散後ポリイソシアネー
ト化合物5部を加えて磁性塗料とし、これをポリエステ
ルフィルムに塗布した後、塗料が十分乾燥固化する前に
磁気配向させ、その後乾燥し、2μmの膜厚の磁性層を
形成した。次いでこの塗布フィルムを、鏡面仕上げの金
属ロ−ルとポリエステル系複合樹脂ロ−ルとから構成さ
れている5段のス−パ−カレンダ−を用い、ロ−ル温度
85℃、線圧250kg/cm、走行速度80m/mi
nの条件下、5000mにわたって7回繰り返し走行さ
せ、樹脂ロ−ルに付着する白粉量を目視評価し、下に示
すランク別に評価を行った。 〇…樹脂ロ−ルに白粉の付着はほとんど見られない △…極く僅かな白粉の付着が見られる ×…明らかに白粉の付着が見られる 次いで上記カレンダ処理テープを1/2インチ幅にスリ
ットした後、松下電気製NV−3700型ビデオデッキ
により、常速にて下記の磁気テープ特性を評価した。
【0032】(I)電磁変換特性(VTRヘッド出力) シンクロスコープにより測定周波数が4メガヘルツにお
けるVTRヘッド出力を測定し、基準テ−プと比較し下
に示すランク別に評価を行った。 ◎…基準テ−プより非常に優れる 〇…基準テ−プと同等である △…基準テ−プより劣る ×…明らかに基準テ−プより劣り、実用に耐えない (II)最大ドロップアウト数 4.4メガヘルツの信号を記録したビデオテープを再生
し、大倉インダストリー(株)ドロップアウトカウンタ
ーでドロップアウト数を約20分間測定し、1分間当り
のドロップアウト数に換算した。その測定を20回繰り
返し、換算値の最大値を最大ドロップアウト数とした。
【0033】(19)耐擦傷性 幅1/2インチにスリットした磁気テ−プを直径6mm
の硬質クロムメッキ金属ピン(仕上げ3S)にフィルム
を巻きつけ角135°、走行速度3m/sec、張力5
0gで磁気テ−プのベ−スフィルム面を1回擦過させ
た。次に擦過面にアルミニウムを約1000Å厚となる
よう真空蒸着し、傷の量を目視により観察し、下記判定
を行った。 ランク1:傷の量が極めて多い ランク2:傷の量が多い ランク3:傷の量が2、4の中間 ランク4:傷の量が少ない ランク5:傷が付かない
【0034】実施例1 [複合架橋高分子粒子の製造]脱塩水1500重量部に
水溶性重合開始剤の過硫酸カリウム3.2重量部と分散
安定剤としてラウリル硫酸ナトリウム(商品名:エマ−
ル 0 花王株式会社製)0.067重量部を添加し均
一に溶解させた後、エチレングリコールモノメタクリレ
ート70重量部、n−ブチルアクリレート20重量部お
よびジビニルベンゼン10重量部の混合溶液を加えた。
次いで窒素ガス雰囲気下で攪拌しながら70℃−12時
間重合反応を行った。反応率は98%で得られた粒子の
平均粒径は0.50μm、粒度分布値(r)は1.2
3、重量減少率は5.2%、ガラス転移温度は112
℃、粒径比は1.03であった。また得られた粒子のゼ
ータ電位は−20mVで、そのときのpHは6.0であっ
た。さらに得られた該粒子を電子顕微鏡で観察したとこ
ろほぼ球状であった。
【0035】次いで、脱塩水500重量部に一次粒径が
0.02μmのδ型アルミナ粒子50重量部を加えホモ
ミキサー分散した後、エチルアシッドフォスフェート
0.5重量部を加えpHを5.0に調整し、サンドグラ
インダー解砕および濾過処理し、粒子含有水スラリーを
得た。粒子の平均二次粒径は0.06μm、ゼータ電位
は+30mVであった。次に前述の架橋高分子粒子含有水
スラリー1600重量部とδ型アルミナ粒子含有水スラ
リー550重量部とを加え、攪拌下−4時間保持し、架
橋高分子粒子表面にδ型アルミナ粒子を被覆した。さら
にエチレングリコール1500部を加え、加熱減圧下で
水を留去しエチレングリコールスラリーとした。
【0036】[ポリエステルの製造]ジメチルテレフタ
レート100部、エチレングリコール60部および酢酸
マグネシウム4水塩0.09部を反応器にとり、加熱昇
温するとともにメタノールを留去してエステル交換反応
を行い、反応開始から4時間を要して230℃まで昇温
し実質的にエステル交換反応を終了した。次いで、上記
スラリー4部を添加した。スラリー添加後、さらにリン
酸0.03部、三酸化アンチモン0.04部を加えて4
時間重縮合反応を行い、極限粘度0.61のポリエチレ
ンテレフタレートを得た。ポリマー中の粒子を透過型電
子顕微鏡によって観察したところ、架橋高分子粒子の表
層にδ型アルミナ粒子が被覆されているのが観察され、
該粒子の分散性は極めて良好であった。また、粒子の見
かけ上の平均粒径は0.55μmであった。 次いで得
られたポリエステルを乾燥後、290℃で溶融押出し、
無定形シートを得、シートの流れ方向(縦方向)に93
℃で3.5倍、横方向に110℃で3.5倍延伸し、2
20℃で3秒間熱処理を行い、厚さ15μmのフィルム
を得た。 得られたフィルムのヤング率は縦方向が43
0kg/mm2 、横方向が440kg/mm2 であっ
た。またフィルムの極限粘度は0.59であった。得ら
れたフィルムに磁性層を塗布し磁気テープを得、その特
性を測定した。
【0037】実施例2 実施例1で用いたδ型アルミナ粒子で被覆された架橋高
分子粒子を用い、フィルムの厚さ方向の屈折率を1.4
90とする以外は実施例1と同様にしてフィルムを得、
その特性を評価した。
【0038】実施例3 実施例1で用いたδ型アルミナ粒子で被覆された架橋高
分子粒子を用い、フィルムの複屈折率を0.006とす
る以外は実施例1と同様にしてフィルムを得、その特性
を評価した。
【0039】比較例1 実施例1の架橋高分子粒子の製造においてδ型アルミナ
粒子を用いないこと以外は実施例1と同様にしてフィル
ムを得、その特性を評価した。 比較例2 実施例1の架橋高分子粒子の製造においてδ型アルミナ
粒子の代りに微細シリカ粒子を用いること以外は実施例
1と同様にしてフィルムを得、その特性を評価した。 比較例3 実施例1において、架橋高分子粒子の組成をエチレング
リコールモノメタクリレート70重量部、スチレン20
重量部、ジビニルベンゼン10重量部とする以外は実施
例1と同様にしてフィルムを得、その特性を評価した。 実施例4 実施例1で用いた架橋高分子粒子を用い、実施例1のフ
ィルム製造と同様に縦および横方向に延伸した後、13
0℃で縦方向に1.08倍延伸を行い、縦方向に強化さ
れた厚み9.8μmのフィルムを得、その特性を評価し
た。
【0040】実施例5 実施例1のポリエステルの製造において、ジメチルテレ
フタレ−トの代わりにジメチル−2,6−ジメチルナフ
タレ−トを用いるほかは実施例1と同様にしてエステル
交換反応を行った。次いで、実施例1で用いたδ型アル
ミナ粒子で被覆された架橋高分子粒子含有エチレングリ
コ−ルスラリ−4部を添加し、さらにリン酸0.03
部、三酸化アンチモン0.04部を加えて常法により重
縮合反応を行い、極限粘度0.59のポリエチレン−
2,6−ナフタレートを得た。次いで得られたポリマ−
を0.3mmHg、235℃で7時間固相重合し、極限
粘度0.68のポリエチレン−2,6−ナフタレートを
得た。ポリマ−を295℃で押出機よりシ−ト状に押し
出し、静電印加冷却法を用いて厚さ100μmの無定形
シ−トを得た。次いで、140℃で縦方向に4.2倍、
テンタ−で横方向に3.9倍延伸した後、220℃で5
秒間熱処理を行い、厚み8μmのポリエチレン−2,6
−ナフタレートフィルムを得、その特性を評価した。
【0041】実施例6 実施例5で用いた粒子を用い、縦方向のヤング率を10
10kg/mm2 とすほかは実施例5と同様にしてポリ
エチレン−2,6−ナフタレートフィルムを得、その特
性を評価した。以上、得られた結果をまとめて下記表1
〜3に示す。
【0042】
【表1】 上記表1中、EGMMはエチレングリコールモノメタク
リレート、STはスチレン、n−BAはn−ブチルアク
リレート、DVBはジビニルベンゼンを表す。
【0043】
【表2】
【0044】
【表3】
【0045】本発明の要件を満足する実施例1〜7のフ
ィルムは、何れもフィルム表面が均一であり、走行性、
耐摩耗性に優れたものである。特に微細な酸化アルミニ
ウム粒子を併用したフィルムは、さらに耐擦傷性にも優
れ、磁気記録媒体用ベ−スフィルムとして好適である。
【0046】
【発明の効果】本発明のフィルムは均一微細な表面構造
を有しており、特に耐摩耗性および走行性等に優れ、磁
気記録媒体用ベ−スフィルムをはじめとする産業用資材
として有用であり、その工業的価値は高い。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭64−16860(JP,A) 特開 昭63−311622(JP,A) 特開 昭63−304047(JP,A) 特開 平5−245985(JP,A) 特開 平4−7336(JP,A) 特開 平4−266933(JP,A) 特開 平4−211439(JP,A) 特開 平4−117428(JP,A) 特開 平3−6239(JP,A) 特開 平3−195742(JP,A) 特開 平3−185034(JP,A) 特開 平3−143929(JP,A) 特開 平2−31321(JP,A) 特開 平2−245056(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B29C 55/00 - 55/30 C08J 5/18 C08K 3/00 - 13/08 C08L 1/00 - 101/16 G11B 5/00 - 5/86

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 平均粒径が0.01〜3μm、粒度分布
    値(r)が1.3以下、粒径比が1.0〜1.1の架橋
    高分子粒子の表面を平均粒径が0.03〜0.2μmの
    δ型酸化アルミニウム粒子で被覆処理した粒子を0.0
    1〜3重量%含有してなるポリエステルを延伸してなる
    フィルムであって、該架橋高分子粒子の延伸による変形
    度が1.2〜5.0であることを特徴とする二軸配向ポ
    リエステルフィルム。
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