JP2000000946A - 二軸配向積層ポリエステルフィルム - Google Patents

二軸配向積層ポリエステルフィルム

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JP2000000946A
JP2000000946A JP16668598A JP16668598A JP2000000946A JP 2000000946 A JP2000000946 A JP 2000000946A JP 16668598 A JP16668598 A JP 16668598A JP 16668598 A JP16668598 A JP 16668598A JP 2000000946 A JP2000000946 A JP 2000000946A
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polyester
film
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JP16668598A
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Yoshiki Sato
嘉記 佐藤
Yoshio Meguro
義男 目黒
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Mitsubishi Polyester Film Corp
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Mitsubishi Polyester Film Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 例えば磁気記録媒体として用いたときに、巻
き特性、走行性および電磁変換特性を高度に満足でき、
かつフィルム製造時および磁気記録媒体製造時のスリッ
ト性に優れ、ドロップアウト発生防止の点で優れ、擦り
傷や摩耗粉の発生が極めて少ないフィルムを生産性良
く、低コスト面で提供する。 【解決手段】 ポリエステルB層の少なくとも片面にポ
リエステルA層を有する二軸配向積層フィルムであっ
て、ポリエステルA層が、平均粒径d1 が0.1〜0.
7μmの粒子aを0.1〜1.0重量%、平均粒径d2
が0.4〜1.2μmでかつモース硬度4.5以下の無
機粒子bを0.001〜0.5重量%含有し、平均粒径
d1 およびd2 が下記式を満足することを特徴とする
二軸配向積層ポリエステルフィルム。 【数1】 d1 ×1.3<d2 <d1 ×2.0 ………

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、二軸配向積層ポリ
エステルフィルムに関する。詳しくは、本発明は、高品
質磁気記録媒体用ベースフィルムとして、磁気記録媒体
としての走行性および電磁変換特性を高度に満足し、耐
削れ性に優れかつドロップアウト発生防止の点で優れた
二軸配向積層ポリエステルフィルムに関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】二軸配向ポリエステルフィルムは、各種
の特性を高度にバランス良く有し、コストパフォーマン
スの点で優れるため、産業用資材として広く用いられて
いる。ポリエステルフィルムの数多い用途の中でも、特
に磁気テープ用途において近年、磁気テープの高品質化
のためにベースフィルムに対する要求特性がますます高
度になってきている。すなわち、電磁変換特性を向上さ
せるためフィルム表面が平坦であることが強く望まれ、
特にドロップアウトの原因となるような粗大突起が存在
しないことが必須の条件になっている。一方、磁気記録
媒体の走行性を高めるため、フィルム表面を適度に粗面
化し、フィルムの摩擦係数を低くすることも必要であ
る。
【0003】一方、フィルムを加工する工程において
は、磁気記録媒体製造時の磁性層塗布工程やカレンダー
工程、巻取り工程等において、ロールやガイドとの接触
によりフィルム表面が削り取られ、その傷が原因で電磁
変換特性が悪化したり、削れ粉がドロップアウトの原因
になるという問題がある。また、特に最近はビデオソフ
トの普及に伴い、ソフトビデオテープ生産性向上のため
高速ダビング装置が使用されるようになり、かかる高速
ダビング装置を使用する場合、磁気テープ、ひいては磁
気テープ用ベースフィルムに高度な品質が要求されるよ
うになった。すなわち、ダビング時のテープの走行速度
は、通常のビデオ再生時の走行よりも高速であるため、
従来の磁気テープにおける走行性向上とは異なる設計が
必要になる。例えば、高速走行時の走行安定性が良好で
蛇行を起こさないこと、また走行時に磁気テープが削れ
て、その削れ粉の影響でドロップアウト等の問題を起こ
さないこと、すなわち高度な耐削れ性等が要求されてい
る。これらの品質の厳しい要求に加え、コスト低減の要
求も強く、ベースフィルム生産性が良好であることも必
須である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記実情に
鑑みなされたものであって、その解決課題は、例えば磁
気記録媒体として用いたときに、巻き特性、走行性およ
び電磁変換特性を高度に満足でき、かつフィルム製造時
および磁気記録媒体製造時のスリット性に優れ、ドロッ
プアウト発生防止の点で優れ、擦り傷や摩耗粉の発生が
極めて少ないフィルムを生産性良く、低コスト面で提供
することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記課題に
鑑み鋭意検討した結果、特定の組み合わせの粒子を含有
する積層フィルムが優れた特性を有することを見いだ
し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明の要
旨は、ポリエステルB層の少なくとも片面にポリエステ
ルA層を有する二軸配向積層フィルムであって、ポリエ
ステルA層が、平均粒径d1 が0.1〜0.7μmの粒
子aを0.1〜1.0重量%、平均粒径d2 が0.4〜
1.2μmでかつモース硬度4.5以下の無機粒子bを
0.001〜0.5重量%含有し、平均粒径d1 および
d2 が下記式を満足することを特徴とする二軸配向積
層ポリエステルフィルムに存する。
【0006】
【数2】 d1 ×1.3<d2 <d1 ×2.0 ………
【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明にいう積層フィルムとして、全ての層が押出機の
口金から共溶融押出しされる、いわゆる共押出法により
押し出されたものを、延伸および熱処理されたものが挙
げられる。以下、積層フィルムとして、共押出3層フィ
ルムについて説明するが、本発明の要旨を越えない限
り、本発明は共押出3層フィルムに限定されず、4層ま
たはそれ以上の多層であってもよい。例えば、B層の両
面にA層を積層する場合に、B層を2層または3層構造
とし、フィルム全体として4層または5層のフィルムに
するという形態も採用できる。
【0008】本発明の積層フィルムの各層を構成するポ
リエステルとは、芳香族ジカルボン酸またはそのエステ
ルとグリコールとを主たる出発原料として得られるポリ
エステルであり、繰り返し構造単位の80%以上がエチ
レンテレフタレート単位またはエチレン−2,6−ナフ
タレート単位を有するポリエステルを指す。そして、上
記の範囲内であれば、他の第三成分を含有していてもよ
い。
【0009】芳香族ジカルボン酸成分としては、例え
ば、テレフタル酸および2,6−ナフタレンジカルボン
酸以外に、例えば、イソフタル酸、フタル酸、アジピン
酸、セバシン酸、オキシカルボン酸(例えば、p−オキ
シエトキシ安息香酸等)等を用いることができる。グリ
コール成分としては、エチレングリコール以外に、例え
ば、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブ
タンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、
ネオペンチルグリコール等の一種または二種以上を用い
ることができる。
【0010】本発明の積層フィルムにおいて、少なくと
も片側の表層を形成する層であるポリエステルA層は、
特定粒径の粒子を特定量含有する必要がある。粒子の例
としては、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、シリ
カ、カオリン、タルク、二酸化チタン、アルミナ、硫酸
バリウム、フッ化カルシウム、フッ化リチウム、ゼオラ
イト、硫化モリブデン等の無機粒子、架橋高分子粒子、
シュウ酸カルシウム等の有機粒子、およびポリエステル
重合時に生成させる、いわゆる析出粒子を挙げることが
できる。
【0011】ポリエステルA層は、少なくとも2種類の
粒子aおよびbを含有するが、ここで言う2種類とは、
粒子種が異なっていてもよく、同じ粒子種で平均粒径が
異なる組み合わせを用いてもよい。本発明の要件を満た
す2種類の粒子のうち少なくとも1種類は炭酸カルシウ
ムであることが好ましく、特に粒子bが炭酸カルシウム
であることが好ましく、2種類の粒子ともに炭酸カルシ
ウムであることがさらに好ましい。炭酸カルシウム粒子
を用いた場合、本発明の効果が遺憾なく発揮される。す
なわち、炭酸カルシウム粒子はポリエステルとの親和性
が良好で、フィルム走行時やスリット時に脱落する問題
がなく、フィルム表面に効果的な突起を形成することが
でき、しかも粒子が硬すぎて接触するフィルム表面に傷
をつける等の問題がないという点で優れている。炭酸カ
ルシウムの中でも、合成法により製造された粒子が好ま
しい。
【0012】また、粒子aとして、架橋高分子粒子も好
ましく使用できる。架橋高分子粒子もポリエステルとの
親和性が良好であり、脱落が起こりにくいため好まし
い。ポリエステルA層が含有する粒子aの平均粒径d1
の下限は0.1μm、好ましくは0.2μmであり、上
限は0.7μm、好ましくは0.6μm、さらに好まし
くは0.5μmである。粒子aの含有量c1 の下限は
0.1重量%、好ましくは0.3重量%であり、上限は
1.0重量%、好ましくは0.8重量%、さらに好まし
くは0.7重量%である。一方、粒子bの平均粒径d2
の下限は0.4μm、好ましくは0.5μmであり、上
限は1.2μm、好ましくは1.0μm、さらに好まし
くは0.8μmである。粒子bの含有量c2 の下限は
0.001重量%、好ましくは0.01重量%、上限は
0.5重量%、好ましくは0.3重量%、さらに好まし
くは0.1重量%である。
【0013】粒子aが小さすぎたり含有量が不足したり
すると、フィルムの滑り性が不足し、フィルム生産時や
加工時の生産性が低下したり、磁気テープの走行性が不
足したりする問題が発生する。粒子bが小さすぎたり含
有量が不足したりすると、磁気テープの巻き特性が悪化
する問題や、加工時や磁気テープ使用時の走行において
蛇行の問題が発生することがある。一方、粒子aあるい
は粒子bが大きすぎたり含有量が多すぎたりする場合
は、粗大粒子や凝集粒子により粗大突起が発生して、磁
気テープの電磁変換特性が悪化する問題や、フィルムの
スリット性悪化あるいは粒子の脱落により、磁気テープ
のドロップアウトが増加する問題が発生する。 さらに
本発明においては、平均粒径d1 およびd2 が下記式
を満足する場合、特に高度な耐摩耗性と巻き特性を得る
ことができる。
【0014】
【数3】 d1 ×1.3<d2 <d1 ×2.0 ………
【0015】d1 ×1.3≧d2の場合、フィルムの巻
き特性を満足することが困難となる。すなわち、必要な
高さを有する突起数が不十分となるため、フィルムが巻
きずれを起こしやすくなる。一方、d1 ×2.0≦d2
の場合は、フィルム走行時、大きな突起に力がかかるた
め、粒子の脱落が起こりやすくなり、その結果、耐摩耗
性が悪化する。
【0016】また、用いる粒子の粒度分布はシャープな
ものが好ましい。具体的には、粒度分布のシャープさを
表す指標である粒度分布値が1.0〜2.0、さらには
1.0〜1.8のものが好ましい。なお、ここで粒度分
布値とは、d25/d75(d25、d75は、粒子群の積算体
積を大粒子側から計測し、それぞれ総体積の25%、7
5%に相当する粒径(μm)を示す)により定義される
値である。すなわち、磁気記録媒体用として使用したと
きの電磁変換特性を高め、かつドロップアウトを防止す
るために、粗大粒子を存在させないことが好ましく、そ
のために粒度分布がシャープな粒子を用いることが好ま
しい。特に粒径が大きい粒子bについては、かかるシャ
ープな粒径分布を有するものが好ましい。かかる粒度分
布値が2.0を超えると、得られるフィルムに粗大突起
が生成したり、粒子の脱落が起こって、電磁変換特性が
悪化することがある。
【0017】本発明においては粒子b、すなわち大きい
粒径を有する粒子は、そのモース硬度が4.5以下の無
機粒子である。モース硬度が4.5を超えると、粒子の
脱落が起こりやすくなったり、フィルム表面に傷をつけ
る問題や、スリット性の悪化が起こる。さらに、本発明
においては、フィルムの耐摩耗性や耐擦傷性を向上する
ため、モース硬度が7以上の粒子cをポリエステルA層
に配合することが好ましい。粒子cは、一次粒径が0.
3μm以下、さらには0.1μm以下であることが好ま
しい。モース硬度が7以上の無機粒子としては、アルミ
ナ、シリコンカ−バイド、バナジウムカ−バイド、チタ
ンカ−バイド、ボロンカ−バイド等を挙げることができ
る。これらの中では、工業的に入手が容易であり、かつ
耐擦傷性向上の効果が大きいアルミナが好ましく、その
中でもδ型アルミナおよびγ型のアルミナが特に好まし
い。モース硬度が7以上の無機粒子は、必要に応じて2
種以上併用してもよい。
【0018】かかるアルミナ粒子の製造法としては、例
えば熱分解法、すなわち無水塩化アルミニウムを原料と
して火焔加水分解させる方法、あるいはアンモニウム明
ばん熱分解法、すなわち水酸化アルミニウムを原料とし
て硫酸と反応させて硫酸アルミニウムとした後、硫酸ア
ンモニウムと反応させてアンモニウム明ばんとして焼成
する方法等を挙げることができる。これらの方法により
得られるアルミナの一次粒径は、通常、5〜40nmの
範囲にあるが、しばしば0.5μmを超える凝集体を形
成しているので、適度に解砕して使用することが望まし
い。本発明で使用する場合、多少凝集した二次粒子とな
っていてもよいが、見掛け上の平均粒径は0.5μm以
下が好ましく、0.2μm以下が特に好ましい。
【0019】本発明においては、モース硬度7以上の粒
子の含有量は、積層フィルム全体に対して、好ましくは
0.5重量%以下、さらに好ましくは0.3重量%以下
である。含有量が0.5重量%を超える場合は、フィル
ムの製造および磁気テープ加工工程のスリット工程にお
いて、切断刃の損傷の度合が大きくなり、フィルムの製
造時および磁気テープ加工工程時に切断刃の取り替え頻
度が多くなる傾向がある。
【0020】また、フィルム製造時に発生する再生原料
を利用する等の理由で、ポリエステルB層中に粒子を配
合することがあるが、ポリエステルB層中の粒子の含有
量はポリエステルA層中の含有量よりも少ないことが好
ましく、かつ全フィルムに対する粒子の含有量が1.0
重量%以下、さらには0.5重量%以下であることが望
ましい。全フィルムに対する粒子の含有量が1.0重量
%を超えると、本発明のフィルムの一つの特徴である優
れたスリット性が得られなくなる恐れがある。
【0021】本発明のフィルムを構成する、粒子を含む
ポリエステルの製造に際して、粒子はポリエステルの合
成反応中に添加してもポリエステルに直接添加してもよ
い。合成反応中に添加する場合は、粒子をエチレングリ
コール等に分散させたスラリーとして、ポリエステル合
成の任意の段階で添加する方法が好ましい。一方、ポリ
エステルに直接添加する場合は、乾燥した粒子として、
または水あるいは沸点が200℃以下の有機溶媒中に分
散したスラリーとして、2軸混練押出機を用いてポリエ
ステルに添加混合する方法が好ましい。なお、添加する
粒子は、必要に応じ、事前に解砕、分散、分級、濾過等
の処理を施しておいてもよい。
【0022】粒子の含有量を調節する方法としては、上
記した方法で高濃度に粒子を含有するマスター原料を作
っておき、それを製膜時に、実質的に粒子を含有しない
原料で希釈して粒子含有量を調節する方法が有効であ
る。かくして得られる本発明のフィルムのポリエステル
A層表面の非接触式表面粗度計にて測定した自乗平均平
方根粗さ(RMS)が15〜30nm、P−V値が20
0〜400nmであることが、高度な電磁変換特性を得
るために好ましい。RMSが30nmを超えたり、P−
V値が400nmを超える場合は、高度な電磁変換特性
が得られなかったり、ドロップアウトが増加する問題が
発生することがある。一方、RMSが15nm未満で
は、磁気テープの走行性が不足する傾向がある。また、
P−V値が200nm未満では、磁気テープの巻取り性
が低下し、テープの巻きずれが発生することがある。R
MSは好ましくは15〜25nmの範囲であり、P−V
値は好ましくは230〜350nmである。
【0023】ポリエステルA層はフィルムの片側であっ
てもよいし、両側にあってもよい。ポリエステルA層の
反対側にポリエステルA層と異なる組成物からなるC層
を設けてもよい。本発明においては、ポリエステルA層
と反対側の面に、ポリエステルA層と同じポリエステル
組成物からなり、厚さの異なるポリエステルC層を設
け、粗度の異なる表面を表裏に有するフィルムとすれ
ば、磁気記録媒体の電磁変換特性と走行性を同時に高度
に満足することができ好ましい。また、かかる方法で表
裏異なる表面粗度のフィルムを製造することは、製造工
程の単純化が可能で、コスト的にも有利となり、表面粗
度等の物性の調節も容易となる。
【0024】ここでポリエステルC層の厚みtC は、A
層厚みtA の0.1〜0.7倍、さらには0.2〜0.
5倍の範囲が望ましい。tC /tA が0.7を超える
と、本発明の効果を享受できるほど表面粗度の表裏差が
得られないことがある。一方、tC /tA が0.1未満
では、C層の厚みが薄くなり過ぎて、走行性が不良にな
ったり、耐摩耗性が不足する問題が発生することがあ
る。また、A層が厚くなりすぎてコスト低減のメリット
が低くなる。
【0025】ポリエステルA層表面の自乗平均平方根粗
さRMSA と、C層表面の自乗平均平方根粗さRMSC
との差は、好ましくは2〜10nmの範囲、さらに好ま
しくは2〜9nm、特に好ましくは3〜8nmの範囲で
ある。層厚みの差のみでRMSの差を10nmを超える
範囲とすることは、厚みの差を大きくしなければならな
いので、上記と同様の問題が発生する。また、RMSの
差が2nm未満では、電磁変換特性、走行性、巻き特性
を同時に高度に満足することができないことがある。
【0026】C層表面の自乗平均平方根粗さRMSC
は、好ましくは10〜25nm、さらに好ましくは13
〜20nmである。RMSC が10nm未満では、磁気
テープとして使用する際の走行性が不十分となること
や、磁気テープの巻き特性が不足することがある。一
方、25nmを超えると、磁性層が粗面化して、電磁変
換特性を悪化させることがある。
【0027】A層表面とC層表面とのP−V値(それぞ
れP−VA 、P−VC )の差は、通常0〜100nm、
好ましくは5〜50nmの範囲である。P−V値の差が
100nmを超える場合は、フィルムの耐摩耗性が満足
されなくなる。本発明のフィルムのポリエステルB層
は、フィルム全厚みの40%以上を占めることが好まし
く、60%以上がさらに好ましい。ポリエステルB層
は、粒子を含有していてもよいし、含有しなくてもよ
い。B層が単一層である場合、A層中の粒子aの平均粒
径d2 の1.5倍以上の平均粒径を有する粒子を、0.
05重量%以下、さらには0.01重量%以下、特には
含有しないことが望ましい。B層中に大きな粒子が存在
すると、A層表面の粗大突起発生の原因となり、磁気テ
ープの電磁変換特性悪化を招くことがある。
【0028】また、B層自身が2層以上の積層構造であ
ってもよい。B層を積層構造とする利点として、例えば
以下の点がある。すなわち、原料コスト低減のためにB
層に安価な原料、例えば上記のようなフィルム再生原
料、あるいは成形品から得られる再生ポリエステル原料
を配合することが有利である。かかる安価なポリエステ
ル原料は、大きな粒子が存在したり、また塗布層を有す
るフィルムの再生原料を使用する場合、塗布剤に起因す
るゲル化物等の異物が存在し、得られるフィルムの表面
性状に影響を与えることがある。そのような影響を防止
するために、かかる原料からなる層の外側に大きな粒子
を含有しない原料からなる層を積層して、表面性状への
影響を防止することが有効である。
【0029】ポリエステルA層では厚みが不足して、こ
こでいう外側の層としては不十分である場合、B層自身
を3層構造として、その内層を大粒子等を含有する可能
性のある原料からなる層とすることができる。これによ
りA層を構成する原料として広範囲のものを使用するこ
とができるため、コスト的なメリットが大きくなる。本
発明のフィルムのB層を構成するポリエステルの極限粘
度は、通常0.600未満、好ましくは0.580未
満、さらに好ましくは0.570未満である。極限粘度
が0.600以上では、フィルムのスリット性が悪化す
る傾向がある。
【0030】B層の極限粘度の下限は、フィルムの生産
性の点から、通常0.450、好ましくは0.480、
さらに好ましくは0.500である。A層の極限粘度に
もよるが、B層の極限粘度が0.450未満では、フィ
ルム生産時に破断が頻発するようになり、生産性が低下
する傾向がある。さらに、B層の極限粘度は表層を構成
するポリエステルの極限粘度より0.02以上低いこ
と、言い換えると、A層の極限粘度はB層の極限粘度よ
りも0.02以上、さらには0.03以上高いことが好
ましい。表面層の極限粘度が低くなると、フィルムの耐
削れ性が悪化する傾向がある。
【0031】A層の極限粘度は、好ましくは0.570
以上、さらに好ましくは0.580以上、特に好ましく
は0.600以上である。本発明のフィルムは、幅方向
のヤング率が通常5.5GPa以上、好ましくは5.8
GPa以上、さらに好ましくは6.0GPa以上であ
り、かつ幅方向の引張り破断伸度が100%以下、好ま
しくは90%以下である場合、特にスリット性に優れ、
磁気テープのベースフィルムとして適したものとなる。
かかるスリット性が不足すると、磁気テープ製造時の生
産性が低下したり、スリット時に発生する異物が原因で
磁気テープのドロップアウト特性が悪化する問題が発生
する。幅方向の引張り破断伸度の下限は好ましくは50
%、さらには60%である。またヤング率の上限は10
GPa、好ましくは8.0GPaである。引張り破断伸
度が低すぎたり、ヤング率が高すぎる場合は、フィルム
製造時の生産性が悪化することになる。
【0032】スリット性をさらに高度に満足するため、
引張り破断伸度の長手方向/幅方向の比を1.1以上、
さらには1.2以上、特に1.3以上とすることが好ま
しい。また、かかる比の上限は通常2.0、好ましくは
1.8である。一方、長手方向のヤング率は4.0GP
a以上、さらには4.3GPa以上、特には4.5GP
a以上であることが好ましい。長手方向のヤング率が不
足すると、磁気テープとして使用時にフィルムの伸びが
起こり、電磁変換特性、特にスキュー特性が悪化する傾
向がある。
【0033】本発明において、積層フィルムを得る方法
としては、共押出法が好ましく用いられる。以下、共押
出法による例について説明する。それぞれの層を構成す
るポリエステル原料を、共押出積層用押出装置に供給す
る。すなわち、2または3台以上の押出機、3層以上の
マルチマニホールドまたはフィードブロックを用いて積
層し、スリット状のダイから3層以上の溶融シートとし
て押し出す。その際、それぞれの層の厚みはメルトライ
ンに設置したギヤポンプ等の定量フィーダーによるポリ
マーの流量の調整により設定することができる。次に、
ダイから押し出された溶融シートを、回転冷却ドラム上
でガラス転移温度以下の温度になるように急冷固化し、
実質的に非晶状態の未配向シートを得る。この場合、シ
ートの平面性を向上させるため、シートと回転冷却ドラ
ムとの密着性を高めることが好ましく、本発明において
は静電印加密着法および/または液体塗布密着法が好ま
しく採用される。
【0034】本発明においてはこのようにして得られた
シートを2軸方向に延伸してフィルム化する。延伸条件
について具体的に述べると、前記未延伸シートを好まし
くは70〜150℃、さらに好ましくは75〜130℃
の温度範囲で、まず一方向にロールもしくはテンター方
式の延伸機により3.0〜7倍、好ましくは3.2〜6
倍に延伸する。次に一段目と直交する方向に、好ましく
は75〜150℃、さらに好ましくは80〜140℃の
温度範囲で3.2〜7倍、好ましくは3.5〜6倍に延
伸を行い、2軸に配向したフィルムを得る。なお、一方
向の延伸を2段階以上で行う方法も用いることができる
が、その場合も最終的な延伸倍率が上記した範囲に入る
ことが望ましい。また、前記未延伸シートを面積倍率が
10〜40倍になるように同時二軸延伸することも可能
である。
【0035】かくして得られたフィルムを150〜25
0℃で、30%以内の伸長、制限収縮、または定長下で
1秒〜5分間熱処理する。二軸延伸した後、さらに11
0℃〜180℃の温度で縦方向に1.05〜2.5倍再
延伸を行い、次いで熱処理する方法も採り得る。この
際、再縦延伸前熱固定、再縦延伸後縦弛緩、再縦延伸前
または後微小倍率縦延伸等の手法を適宜採用も可能であ
る。また、同様に横方向に再延伸を行ってもよい。ま
た、必要に応じて製膜工程内で各種の表面処理等を施し
ても構わない。
【0036】また、本発明のフィルムは、特に磁気記録
媒体用として使用する場合、磁性層との接着性を高める
ため、フィルム表面に塗布層を設けてもよい。塗布層
は、フィルム製造工程内で設けてもよいし、フィルム製
造後に塗布してもよい。特に塗布厚みの均一性や、生産
効率の点で、フィルム製造工程の縦方向延伸後、横延伸
工程の前に塗布する方法が好ましい。
【0037】塗布剤の例としては、磁性層との接着性に
優れる、ポリエステル、ポリアミド、ポリスチレン、ポ
リアクリレート、ポリカーボネート、ポリアリレート、
ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルブチ
ラール、ポリビニルアルコール、ポリウレタンなどの樹
脂およびこれらの樹脂の共重合体や混合体などを挙げる
ことができるが、これらに限定されるわけではない。こ
れらの中で最も好ましい塗布剤樹脂は、ポリエステル系
樹脂である。また、フィルムのブロッキングによる取り
扱い性低下を防止するため、塗布層中に架橋成分を配合
することが好ましい。架橋成分としては、エポキシ系、
メラミン系、イソシアネート系、アジリジン系、オキサ
ゾリン系等の架橋剤が使用できる。
【0038】本発明で用いる塗布剤は、水を媒体とする
塗布剤であることが望ましい。水を媒体とする場合は、
界面活性剤などによって強制分散化した塗布剤であって
もよいが、好ましくはポリエーテル類のような親水性の
ノニオン成分や、四級アンモニウム塩のようなカチオン
性基を有する自己分散型塗布剤であり、さらに好ましく
は、アニオン性基を有する水溶性または水分散性樹脂塗
布剤である。
【0039】特に高速ダビング装置に使用されるビデオ
パンケーキ用の磁気記録媒体ベースフィルムとして使用
される場合は、かかる易接着処理を施し、磁性層の剥離
を防止することが品質を高めるために有効である。な
お、本発明においては、製膜に供するポリエステル全量
に対し、10重量%程度以下の他のポリマー(例えばポ
リエチレン、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリス
ルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリアミド、ポリ
イミド等)を含有させることができる。また、必要に応
じ、酸化防止剤、熱安定剤、潤滑剤、染料、顔料等の添
加剤を配合してもよい。
【0040】
【実施例】以下、本発明を実施例を挙げてさらに詳細に
説明するが、本発明は、その要旨を越えない限り、以下
の実施例によって限定されるものではない。なお、実施
例における種々の物性および特性の測定方法、定義は下
記のとおりである。実施例および比較例中「部」とある
は「重量部」を示す。
【0041】(1)平均粒径および粒度分布値 球状の粒子のように、粒径および形状が均一な粒子の場
合は、平均粒径を電子顕微鏡による写真法にて測定し
た。すなわち、約1000個の粒子の粒径を測定して大
粒子側から体積を積算し、総体積に対し25%の点の粒
径をd25、50%の点をd50、75%の点をd75とし、
50を平均粒径、d25とd75との比(d25/d75)を粒
度分布値とした。その他の粒子については島津製作所製
遠心沈降式粒度分布測定装置(SA−CP3型)で測定
した等価球形分布における積算体積分率50%の粒径を
平均粒径d50とした。また、大粒子側から積算して重量
分率25%の点の直径と重量分率75%の点の直径の比
25/d75値を粒度分布値とした。
【0042】(2)ポリマーの極限粘度〔η〕(dl/
g) ポリマ−1gをフェノール/テトラクロロエタン=50
/50(重量比)の混合溶媒100ml中に溶解し、3
0℃で測定した。 (3)フィルムの層厚み 透過型電子顕微鏡(TEM)によるフィルム断面の観察
にて行った。すなわち、フィルムサンプルの小片を、エ
ポキシ樹脂に硬化剤、加速剤を配合した樹脂に包埋処理
し、ウルトラミクロトームにて厚み約200nmの切片
を作成し、観察用サンプルとした。得られたサンプルを
日立(株)製透過型電子顕微鏡H−9000を用いて断
面の顕微鏡写真を撮影し、表層の厚みを測定した。ただ
し、加速電圧は300kV、倍率は最表層厚みに応じ、
1万倍〜10万倍の範囲で設定した。厚み測定は50点
行い、測定値の厚い方から10点、薄い方から10点を
削除して30点を平均して測定値とした。
【0043】(4)自乗平均平方根粗さ(RMS)およ
びP−V値 マイクロマップ社製、2光束干渉式(対物レンズ 20
倍)非接触表面形状計測システム(Micromap
512)を用いてRMS、P−V値を測定した。測定
は、50視野計測を行い、その平均値を算出した。 (5)フィルムのヤング率(GPa) (株)インテスコ製引張り試験機インテスコモデル20
01型を用いて、温度23℃、湿度50%RHに調節さ
れた室内において、長さ(チャック間)300mm、幅
20mmの試料フィルムを、10%/分の歪み速度で引
張り、引張り応力−歪み曲線の初期の直線部分を用いて
次の式によって計算した。
【0044】
【数4】E=Δσ/Δε (上記式中、Eはヤング率(GPa)、Δσは直線上の
2点間の元の平均断面積による応力差(GPa)、Δε
は上記2点間の歪み差/初期長さ(−)である)
【0045】(6)引張り破断伸度(%) (株)インテスコ製引張り試験機インテスコモデル20
01型を用いて、温度23℃、湿度50%RHに調節さ
れた室内において、長さ(チャック間)50mm、幅1
5mmの試料フィルムを、200mm/分の歪み速度で
引張り、引張り応力−歪み曲線より次の式によって計算
した。
【0046】
【数5】 (上記式中、LBは引張り破断伸度(%)、Lは破断時
のフィルム長さ(mm)、L0 は元のフィルム長さ(m
m)である)
【0047】(7)摩耗特性 幅10mmのポリエステルフィルムを200m長さにわ
たって固定ピン(直径6mm、材質SUS420−J
2、仕上げ0.2S)に接触させながら走行させ、固定
ピンに付着した摩耗粉の量を目視評価し、下記の4ラン
クに分けた。なお、フィルムの走行速度は11.4m/
分とし、初期張力を300g、フィルムと固定ピンとの
巻き付け角を125゜とした。
【0048】
【表1】 ───────────────────────── A:付着がまったく認められない B:付着が極く僅か認められるが実用上は問題ない C:付着量やや多く、長時間使用すると問題となる D:付着量が多く実用上使用し難い ─────────────────────────
【0049】(8)スリット性 フィルムをスリット刃にて1000mスリットした後、
顕微鏡にて刃を観察した。刃の損傷状況により以下のよ
うに評価した。
【0050】
【表2】 ─────────────────────────
─ A:損傷はほとんど認められない B:損傷が僅かに認められるが実用上は問題ない C:損傷がやや大きく、長時間使用すると問題となる D:損傷が大きく実用上使用し難い ─────────────────────────
【0051】スリット性が悪い場合は、フィルム製造時
に刃の交換を頻繁に行わなければならない。また、スリ
ット性は、磁気テープ特性の中のドロップアウトによっ
ても評価される。すなわち、スリット性が不良の場合は
ドロップアウトが増加してしまうことがある。
【0052】(9)磁気テープ特性 磁性微粉末200部、ポリウレタン樹脂30部、ニトロ
セルロース10部、塩化ビニル−酢酸セルロース共重合
体10部、レシチン5部、シクロヘキサノン100部、
メチルイソブチルケトン100部、およびメチルエチル
ケトン300部をボールミルにて48時間混合分散後、
ポリイソシアネート化合物5部を加えて磁性塗料とし、
これをポリエステルフィルムのC層表面(A/B/A積
層、およびA層単層の場合はA層表面)に塗布し、塗料
が十分乾燥固化する前に磁気配向させた後乾燥し、2μ
mの膜厚の磁性層を形成した。
【0053】次いで、この塗布フィルムを、鏡面仕上げ
の金属ロールとポリエステル系複合樹脂ロールとから構
成されているスーパーカレンダーを用い、カレンダー処
理を行った。次いで、カレンダー処理後のテープを1/
2インチ幅にスリットし、松下電気製NV−3700型
ビデオデッキにより、常速にて下記の磁気テープ特性を
評価した。
【0054】電磁変換特性(VTRヘッド出力) シンクロスコープにより測定周波数が4メガヘルツにお
ける初期のVTRヘッド出力を測定し、基準テープ(ハ
イグレ−ドタイプビデオテープ市販品)と比較し、下に
示すランク別に評価を行った。
【0055】
【表3】 ───────────────────────── A:基準テープと同等である B:基準テープよりやや劣る C:明らかに基準テープより劣り、実用に耐えない ─────────────────────────
【0056】ドロップアウト 4.4メガヘルツの信号を記録したビデオテープを再生
し、大倉インダストリー(株)ドロップアウトカウンタ
ーでドロップアウト数を約20分間測定し、良好なもの
をA、不良であり実用に耐えないものをC、AおよびC
の中間的状況をBとした。
【0057】(10)耐擦傷性 幅1/2インチにスリットした磁気テープを直径6mm
の硬質クロムメッキ金属ピン(仕上げ3S)にフィルム
を巻きつけ角135°、走行速度4m/min、張力5
0gで磁気テープのベースフィルム面を1回擦過させ
た。次に擦過面にアルミニウムを約50nm厚となるよ
う真空蒸着し、傷の量を目視により観察し、下記判定を
行った。
【0058】
【表4】 ───────────────── ランク1:傷の量が極めて多い ランク2:傷の量が多い ランク3:傷の量が2、4の中間 ランク4:傷の量が少ない ランク5:傷が付かない ─────────────────
【0059】(11)走行性 市販のVHS方式VTRを用い、巻き出し側のバックテ
ンションをゼロにして、ビデオテープを180分間走行
させた。ヘッドシリンダーの直前のピンで、ビデオテー
プの走行状態を観察し、下記判定を行った。
【0060】
【表5】 ──────────────────────────────────── A:走行中のテープの走行位置の外れが規定位置から0.5mm未満である B:走行中のテープの走行位置の外れが規定位置から0.5mm以上2mm 未満である C:走行中のテープの走行位置が規定位置から2mm以上外れる ────────────────────────────────────
【0061】実施例1〜6および比較例1〜8 [ポリエステルの製造]ジメチルテレフタレート100
部、エチレングリコール60部および酢酸マグネシウム
4水塩0.09部を反応器にとり、加熱昇温するととも
にメタノールを留去してエステル交換反応を行い、反応
開始から4時間を要して230℃まで昇温し、実質的に
エステル交換反応を終了した。次いで、平均粒径0.4
1μm、粒径分布値1.55の合成炭酸カルシウム粒子
のエチレングリコールスラリーを添加した。スラリー添
加後、さらにリン酸0.03部、三酸化アンチモン0.
04部を加え、徐々に反応系を減圧とし、温度を高めて
重縮合反応を4時間行い、極限粘度0.62のポリエス
テルを得た。合成炭酸カルシウム粒子の含有量は1.0
重量%であった。
【0062】また、上記の合成炭酸カルシウム粒子の代
わりに、あらかじめ解砕、分級、濾過した一次粒径0.
02μmのδ−アルミナ粒子1.5部をエチレングリコ
ールスラリーとして添加した以外は、上記と同様にエス
テル交換反応、重縮合反応を行い、極限粘度0.62の
ポリエステルを得た。また、上記の合成炭酸カルシウム
粒子を添加しない以外は、上記と同様にエステル交換反
応、重縮合反応を行い、実質的に不活性粒子を含まない
極限粘度0.63のポリエステル、および極限粘度0.
59のポリエステルを得た。さらに、別途、下記表1に
示す平均粒径、および粒径分布値を有する合成炭酸カル
シウム粒子あるいは架橋高分子粒子1.0部をエチレン
グリコールスラリーとして添加した以外は、上記と同様
にエステル交換反応、重縮合反応を行い、極限粘度0.
62の各種ポリエステル原料を得た。粒子を含有するポ
リエステルの内部を顕微鏡で観察したところ、粒子が均
一に分散していることが確認された。
【0063】また、上記粒子添加量で不足する場合は、
粒子をポリエステル溶融押出時に添加した高濃度マスタ
ーバッチを作成して使用した。なお、架橋高分子粒子は
以下の方法で作成した。すなわち、脱塩水1500部に
水溶性重合開始剤の過硫酸カリウム3.6部と分散安定
剤として陰イオン界面活性剤のラウリルナトリウム(商
品名:エマール 0 花王株式会社製)1部を添加し均
一に溶解させた後、エチレングリコールジメタクリレー
ト65部、メチルメタクリレート10部、1,4−ブタ
ンジオールジアクリレート5部およびジビニルベンゼン
20部の混合溶液を加え、窒素ガス雰囲気下で攪拌しな
がら70℃で12時間重合反応を行った。
【0064】反応率は98%で、得られた粒子の平均粒
径は0.45μm、粒度分布値は1.05であった。得
られた粒子はほぼ球状であった。次いで、得られた粒子
の水スラリーを50℃に冷却し、ポリアクリル酸ナトリ
ウム/メトキシポリエチレングリコール/ポリプロピレ
ングリコールモノメタクリレート共重合体の部分アンモ
ニウム中和物1部を加え、1時間攪拌処理した後、エチ
レングリコール2000部を加え、加熱減圧下で水を留
去した。
【0065】合成炭酸カルシウムおよび天然炭酸カルシ
ウムのモース硬度は3,球状シリカ粒子のモース硬度は
6,δ−アルミナ粒子のモース硬度は9であった。
【0066】[ポリエステルフィルムの製造]得られた
ポリエステル原料を、表1の粒子含有量となるようにブ
レンドし、A層用およびC層のポリエステル原料とし
た。この時粒子を含有しない原料として極限粘度0.6
3のものを用いた。また、B層用の原料として、A層原
料と同組成の原料8部と極限粘度0.59のポリエステ
ル92部とをブレンドした原料を用いた。A層およびB
層用原料を、それぞれ常法により乾燥し、別個の溶融押
出機により、溶融押出して(A/B/A)または(A/
B/C)の2種3層積層の無定形シートを得た。
【0067】次いで、上記の無定形シートをフィルムの
流れ方向(縦方向)に85℃で2.9倍、さらに縦方向
に76℃で1.20倍延伸し、横方向に110℃で4.
4倍延伸し、215℃で3秒間熱処理を行い、さらに2
00℃で3%横方向に弛緩処理して二軸配向積層フィル
ムを得た。フィルムの全厚さは13.0μm、それぞれ
の層厚みは表1にまとめたとおりであった。また、実施
例1において、得られたフィルムのA層の極限粘度は
0.610、B層の極限粘度は0.564であった。
【0068】実施例7 実施例1の原料、層厚み構成で、長手方向の延伸倍率を
大きくし、横方向の延伸倍率を小さくして、フィルムを
作成した。 比較例8 実施例1のA層原料を用いて、厚さ15μmの単層フィ
ルムを製造した。製膜条件は実施例1と同様とした。実
施例および比較例で得られたフィルムに磁性層を塗布し
て磁気テープを得、その特性を評価した。下記表1〜3
にそれぞれのフィルムの特性と、磁気テープの評価結果
を示した。
【0069】
【表6】
【0070】
【表7】
【0071】
【表8】
【0072】
【表9】
【0073】
【発明の効果】本発明のフィルムは、例えば磁気記録媒
体用ベースフィルムとして使用した場合、磁気記録媒体
としての巻き特性、走行性および電磁変換特性を高度に
満足でき、かつフィルム製造時および磁気記録媒体製造
時のスリット性に優れ、ドロップアウト発生防止の点で
優れており、擦り傷や摩耗粉の発生が極めて少なく、し
かも生産性、コスト面で優れたものであり、その工業的
価値は非常に大きい。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4F100 AA01B AA01C AA08B AA08C AA19 AK41B AK41C AK41K AL05 BA02 BA03 BA10A BA10B BA10C BA25 DD07 DE01B DE01C DE04 EJ38 GB41 JK12B JK12C JK14 YY00B YY00C

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリエステルB層の少なくとも片面にポ
    リエステルA層を有する二軸配向積層フィルムであっ
    て、ポリエステルA層が、平均粒径d1 が0.1〜0.
    7μmの粒子aを0.1〜1.0重量%、平均粒径d2
    が0.4〜1.2μmでかつモース硬度4.5以下の無
    機粒子bを0.001〜0.5重量%含有し、平均粒径
    d1 およびd2 が下記式を満足することを特徴とする
    二軸配向積層ポリエステルフィルム。 【数1】 d1 ×1.3<d2 <d1 ×2.0 ………
  2. 【請求項2】 ポリエステルA層が、モース硬度が7以
    上でかつ平均一次粒径が0.3μm以下の粒子cを0.
    01〜1.0重量%の範囲で粒子aおよび無機粒子bと
    同時に含有することを特徴とする請求項1記載の二軸配
    向積層ポリエステルフィルム。
  3. 【請求項3】 粒子aと無機粒子bの少なくとも1種が
    炭酸カルシウムであって、無機粒子bの粒径分布値(d
    25/d75)が1.0〜2.0であることを特徴とする請
    求項1または2記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
  4. 【請求項4】 非接触式表面粗度計にて測定したポリエ
    ステルA層表面の自乗平均平方根粗さ(RMS)が15
    〜30nm、P−V値が200〜400nmであること
    を特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の二軸配向
    積層ポリエステルフィルム。
  5. 【請求項5】 ポリエステルB層の片面にポリエステル
    A層を積層し、反対面に、ポリエステルA層と同じポリ
    エステル組成物からなるポリエステルC層を設け、ポリ
    エステルC層の厚みtC がポリエステルA層の厚みtA
    の0.1〜0.7倍であり、非接触式表面粗度計にて測
    定したポリエステルA層表面とポリエステルC層表面の
    自乗平均平方根粗さ(それぞれRMSA 、RMSC )の
    差の絶対値が2〜10nmの範囲であることを特徴とす
    る請求項1〜4のいずれかに記載の二軸配向積層ポリエ
    ステルフィルム。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006001274A (ja) * 2004-05-17 2006-01-05 Teijin Dupont Films Japan Ltd 二軸配向積層フィルムおよび磁気記録媒体
US8067105B2 (en) 2004-01-29 2011-11-29 Teijin Dupont Films Japan Limited Biaxially oriented film

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