JPH11322970A - 二軸配向ポリエステルフィルム - Google Patents

二軸配向ポリエステルフィルム

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JPH11322970A
JPH11322970A JP13643298A JP13643298A JPH11322970A JP H11322970 A JPH11322970 A JP H11322970A JP 13643298 A JP13643298 A JP 13643298A JP 13643298 A JP13643298 A JP 13643298A JP H11322970 A JPH11322970 A JP H11322970A
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JP
Japan
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layer
film
particle size
particles
polyester
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JP13643298A
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English (en)
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Yoshiki Sato
嘉記 佐藤
Yoshio Meguro
義男 目黒
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Mitsubishi Kagaku Polyester Film KK
Original Assignee
Mitsubishi Kagaku Polyester Film KK
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 フィルム製造時および磁気記録媒体製造時の
スリット性に優れ、磁気記録媒体として優れた走行性お
よび電磁変換特性を有し、ドロップアウト発生が防止さ
れ、擦り傷や摩耗粉の発生が極めて少なく、しかも生産
性、コスト面で優れたフィルムを提供する。 【解決手段】 平均粒径(d50)が0.1〜3.0μ
m、粒径分布値(d25/d75)が1.0〜2.0、粒径
比が1.0〜3.0のヒドロキシアパタイト粒子を0.
01〜5重量%含有することを特徴とする二軸配向ポリ
エステルフィルム、および粒子の含有量が1.0重量%
以下のポリエステルからなるB層の少なくとも片面に、
平均粒径(d50)が0.1〜3.0μm、粒径分布値
(d25/d75)が1.0〜2.0、粒径比が1.0〜
3.0のヒドロキシアパタイト粒子を0.01〜5重量
%含有する、厚み0.01〜5.0μmのポリエステル
A層が積層されてなることを特徴とする二軸配向積層ポ
リエステルフィルム。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、二軸配向ポリエス
テルフィルムに関する。詳しくは、本発明は、高品質磁
気記録媒体用ベースフィルムとして、フィルム製造時お
よび磁気記録媒体製造時のスリット性に優れ、磁気記録
媒体としての走行性および電磁変換特性を高度に満足
し、かつドロップアウト発生防止の点で優れた二軸配向
ポリエステルフィルムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】二軸配向ポリエステルフィルムは、各種
の特性を高度にバランス良く有し、コストパフォーマン
スの点で優れるため、産業用資材として広く用いられて
いる。ポリエステルフィルムの数多い用途の中でも、特
に磁気テープ用途において、磁気テープの高品質化のた
めにベースフィルムに対する要求特性が近年ますます高
度になってきている。すなわち、電磁変換特性を向上さ
せるためフィルム表面が平坦であることが強く望まれ、
特にドロップアウトの原因となるような粗大突起が存在
しないことが必須の条件になっている。一方、磁気記録
媒体の走行性を高めるため、フィルム表面を適度に粗面
化し、フィルムの摩擦係数を低くすることも必要であ
る。
【0003】かかる要件に加え、最近は特にフィルム製
造時および磁気記録媒体製造時のフィルムのスリット性
に優れることが望まれるようになった。かかるスリット
性が不足すると、フィルム製造時にはスリット端面の形
状が均一でないためにシワが発生したり、スリット刃の
交換を頻繁に行わなくてはならないという問題が生じる
場合がある。また、スリットにより発生した切り粉や、
磁気記録媒体製造時のスリット工程で発生した切り粉
が、フィルム表面や磁性層面に付着することによりドロ
ップアウトの原因になるという問題が発生する。
【0004】一方、フィルムを加工する工程において
は、磁気記録媒体製造時の磁性層塗布工程やカレンダー
工程、巻取り工程等において、ロールやガイドとの接触
によりフィルム表面が削り取られ、その傷が原因で電磁
変換特性が悪化したり、削れ粉がドロップアウトの原因
になるという問題がある。
【0005】また、特に最近はビデオソフトの普及に伴
い、ソフトビデオテープ生産性向上のため高速ダビング
装置が使用されるようになり、かかる高速ダビング装置
を使用する場合、磁気テープ、ひいては磁気テープ用ベ
ースフィルムに高度な品質が要求されるようになった。
すなわち、ダビング時のテープの走行速度は、通常のビ
デオ再生時の走行よりも高速であるため、従来の磁気テ
ープにおける走行性向上とは異なる設計が必要になる。
例えば、高速走行時の走行安定性が良好で蛇行を起こさ
ないこと、走行時に磁気テープが削れて、その削れ粉の
影響でドロップアウト等の問題を起こさないこと等が要
求されている。これらの品質の厳しい要求に加え、コス
ト低減の要求も強く、ベースフィルム生産性が良好であ
ることも必須である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、例えば磁気
記録媒体用ベースフィルムとして用いた場合、フィルム
製造時および磁気記録媒体製造時のスリット性に優れ、
磁気記録媒体としての走行性および電磁変換特性を高度
に満足でき、かつドロップアウト発生防止の点で優れて
おり、擦り傷や摩耗粉の発生が極めて少なく、しかも生
産性、コスト面で優れたフィルムを提供することを解決
課題とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記課題に
鑑み鋭意検討した結果、特定の粒子を含有する積層フィ
ルムが優れた特性を有することを見いだし、本発明を完
成するに至った。すなわち、本発明の要旨は、平均粒径
(d50)が0.1〜3.0μm、粒径分布値(d25/d
75)が1.0〜2.0、粒径比が1.0〜3.0のヒド
ロキシアパタイト粒子を0.01〜5重量%含有するこ
とを特徴とする二軸配向ポリエステルフィルム、および
粒子の含有量が1.0重量%以下のポリエステルからな
るB層の少なくとも片面に、平均粒径(d50)が0.1
〜3.0μm、粒径分布値(d25/d75)が1.0〜
2.0、粒径比が1.0〜3.0のヒドロキシアパタイ
ト粒子を0.01〜5重量%含有する、厚み0.01〜
5.0μmのポリエステルA層が積層されてなることを
特徴とする二軸配向積層ポリエステルフィルムに存す
る。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のポリエステルとは、芳香族ジカルボン酸または
そのエステルとグリコールとを主たる出発原料として得
られるポリエステルであり、繰り返し構造単位の80%
以上がエチレンテレフタレート単位またはエチレン−
2,6−ナフタレート単位または1,4−シクロヘキシ
レンジメチレンテレフタレート単位を有するポリエステ
ルを指す。そして、上記の範囲内であれば、他の第三成
分を含有していてもよい。
【0009】芳香族ジカルボン酸成分としては、例え
ば、テレフタル酸および2,6−ナフタレンジカルボン
酸以外に、例えば、イソフタル酸、フタル酸、アジピン
酸、セバシン酸、ジフェニルジカルボン酸、オキシカル
ボン酸(例えば、p−オキシエトキシ安息香酸等)等を
用いることができる。グリコール成分としては、エチレ
ングリコールおよび1,4−シクロヘキサンジメタノー
ル以外に、例えば、ジエチレングリコール、トリエチレ
ングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオー
ル、ネオペンチルグリコール等の一種または二種以上を
用いることができる。
【0010】フィルムの滑り性、走行性、耐摩耗性を向
上し、かつ平坦性を保ち、フィルム製造時に発生する傷
を防止するため、通常、ポリエステルに粒子を含有さ
せ、フィルムに適度な突起を形成させる。本発明者ら
は、特定の粒子を用いた場合、上記した効果を高度に達
成できることを見いだした。すなわち、平均粒径(d5
0)が0.1〜3.0μmであって、粒径分布値(d25
/d75)が1.0〜2.0、かつ粒径比が1.0〜3.
0のヒドロキシアパタイト粒子を0.01〜5重量%含
有させた場合、フィルムの滑り性、平坦性が高度に満足
され、特に磁気記録媒体のベースフィルムとして使用し
た場合、走行性、耐摩耗性が良好で、しかも平坦性に優
れるため、電磁変換特性が良好な高品質磁気記録媒体と
することができる。ここで使用するヒドロキシアパタイ
ト粒子においては、粒子の硬さやポリエステルとの親和
性、分散性等の点で特に適した特性を有し、磁気記録媒
体用として用いた場合の走行性と耐摩耗性が極めて高度
に達成されるものである。
【0011】ヒドロキシアパタイトは、通常、リン酸カ
ルシウム等の粉末原料を高温で固相反応させて合成する
乾式法、溶液反応による湿式法、高温高圧下で合成する
水熱合成法、あるいはメカノケミカル法等により得られ
る。中でも、本発明で目的とする粒径、粒径分布、粒径
比を有する微粒子を製造しやすく、かつ不純物の混入が
少ないという点で湿式法あるいは水熱法が有利に採用さ
れる。
【0012】かかるヒドロキシアパタイト粒子の平均粒
径(d50)は、0.1〜3.0μmであることが必要で
あり、好ましくは0.1〜2.0μm、さらに好ましく
は0.2〜1.5μmである。平均粒径が0.1μm未
満では、フィルム表面に適度な突起を形成することがで
きず、フィルムの走行性向上の効果が得られないこと
や、かえって粒子が凝集しやすくなり、粗大突起形成の
問題が発生し、磁気記録媒体用として用いた場合にドロ
ップアウト発生の原因となる。一方、平均粒径が3.0
μmを超えると、表面の突起が大きくなりすぎて、フィ
ルムの平坦性や耐摩耗性が低下する。特に磁気記録媒体
用として用いた場合、電磁変換特性が低下する問題が発
生するようになる。
【0013】ヒドロキシアパタイト粒子の粒径分布値
(d25/d75)は1.0〜2.0、好ましくは1.1〜
1.9、さらに好ましくは1.2〜1.8である。な
お、ここで粒度分布値とは、粒度分布値=d25/d75
(d25、d75は、粒子群の積算体積を大粒子側から計測
し、それぞれ総体積の25%、75%に相当する粒径
(μm)を示す)により定義される値である。すなわ
ち、磁気記録媒体用として使用したときの電磁変換特性
を高め、かつドロップアウトを防止するために、粗大粒
子を存在させないことが好ましく、そのために粒度分布
がシャープであることが必要である。かかる粒度分布値
が2.0を超えると、得られるフィルムに粗大突起が生
成したり、粒子の脱落が起こって、電磁変換特性が悪化
することがある。一方、粒径分布値が1.1以下の粒子
を製造しようとすると、分級や濾過の工程の精密さが高
度に要求されることになり、コスト的な問題が発生する
ことがある。
【0014】ヒドロキシアパタイト粒子の粒径比は1.
0〜3.0であることが必要であり、好ましくは1.0
〜2.5、さらに好ましくは1.0〜2.0である。粒
径比が3.0を超えると、フィルムの滑り性と平坦性と
を同時に満足することが難しくなる。ヒドロキシアパタ
イト粒子のフィルム中の含有量は0.01〜5重量%、
好ましくは0.05〜2重量%である。0.01重量%
未満では、フィルムの滑り性、磁気記録媒体としたとき
の走行性が満足されない。一方、粒子含有量が5重量%
を超えると、電磁変換特性が低下したり、粒子が脱落し
てドロップアウトの原因となったり、フィルムのスリッ
ト性が低下して、スリット工程でのトラブルが発生する
等の問題が発生するようになる。また、積層フィルムと
する場合は、ヒドロキシアパタイト粒子の、A層におけ
るA層を構成するポリエステルに対する含有量が上記し
た範囲を満足することが必要である。なお、この場合、
フィルム全体に対するヒドロキシアパタイト粒子の含有
量は、0.001〜1重量%の範囲とすることが、スリ
ット性を高度に満足させるために好ましい。
【0015】また、平均粒径の異なる2種類以上のヒド
ロキシアパタイト粒子を含有させることもできる。この
場合は、それぞれのヒドロキシアパタイト粒子の平均粒
径が本発明の範囲内、かつすべてのヒドロキシアパタイ
ト粒子の合計量が本発明の範囲内であることが好まし
い。また、かかるヒドロキシアパタイト粒子に加え、他
の粒子を1種または2種以上同時に含有させることもで
きる。かかる粒子の例として、炭酸カルシウム、シリ
カ、カオリン、タルク、二酸化チタン、アルミナ、硫酸
バリウム、フッ化カルシウム、フッ化リチウム、ゼオラ
イト、硫化モリブデン等の無機粒子、架橋高分子粒子、
シュウ酸カルシウム等の有機粒子、およびポリエステル
重合時に生成させる析出粒子を挙げることができる。
【0016】さらに、本発明においては、フィルムの耐
摩耗性や耐擦傷性を向上するため、上記した粒子に加
え、モース硬度が7以上の無機粒子を0.01〜1.0
重量%の範囲で含有させることが好ましい。ただし、こ
の粒子は平均一次粒径が0.3μm以下、さらには0.
1μm以下であることが好ましい。モース硬度が7以上
の無機粒子としては、アルミナ、シリコンカーバイド、
バナジウムカーバイド、チタンカーバイド、ボロンカー
バイド等を挙げることができる。これらの中では、工業
的に入手が容易であり、かつ耐擦傷性向上の効果が大き
いアルミナが好ましく、その中でもδ型アルミナおよび
γ型のアルミナが特に好ましい。モース硬度が7以上の
無機粒子は、必要に応じて2種以上併用してもよい。積
層フィルムとして製造する場合は、A層にかかる高モー
ス硬度の粒子を上記した含有量で配合することが好まし
い。またこの場合、フィルム全体に対するかかる粒子の
量が0.001〜0.5重量%である場合、スリット性
が良好となるため好ましい。
【0017】かかるアルミナ粒子の製造法としては、例
えば熱分解法、すなわち無水塩化アルミニウムを原料と
して火焔加水分解させる方法、あるいはアンモニウム明
ばん熱分解法、すなわち水酸化アルミニウムを原料とし
て硫酸と反応させて硫酸アルミニウムとした後硫酸アン
モニウムと反応させてアンモニウム明ばんとして焼成す
る方法等を挙げることができる。これらの方法により得
られるアルミナの一次粒径は、通常、5〜40nmの範
囲にあるが、しばしば0.5μmを超える凝集体を形成
しているので、適度に解砕して使用することが望まし
い。本発明で使用する場合、多少凝集した二次粒子とな
っていてもよいが、見掛け上の平均粒径は0.5μm以
下が好ましく、0.2μm以下が特に好ましい。
【0018】また、フィルム製造時に発生する再生原料
を利用する等の理由で、B層中に微粒子を含有すること
があるが、B層中の粒子の含有量は1.0重量%以下で
あり、さらには0.5重量%以下であることが望まし
い。B層中の粒子の含有量が1.0重量%を超えると、
スリット性が低下することがある。本発明のフィルムを
構成する、粒子を含むポリエステルの製造に際して、粒
子はポリエステルの合成反応中に添加してもポリエステ
ルに直接添加してもよい。合成反応中に添加する場合
は、粒子をエチレングリコール等に分散させたスラリー
として、ポリエステル合成の任意の段階で添加する方法
が好ましい。一方、ポリエステルに直接添加する場合
は、乾燥した粒子として、または水あるいは沸点が20
0℃以下の有機溶媒中に分散したスラリーとして、2軸
混練押出機を用いてポリエステルに添加混合する方法が
好ましい。なお、添加する粒子は、必要に応じ、事前に
解砕、分散、分級、濾過等の処理を施しておいてもよ
い。
【0019】本発明でいう積層フィルムとは、全ての層
が押出機の口金から共溶融押出しされる、いわゆる共押
出法により押し出されたものを、延伸および熱処理され
たものを指す。積層の構成としては、B層の少なくとも
片面にA層を積層した構造を有するが、2層、3層フィ
ルム以外にも、本発明の要旨を超えない限り、4層また
はそれ以上の多層であってもよい。例えば、B層の両面
にA層を積層する場合に、B層を2層または3層構造と
し、フィルム全体として4層または5層のフィルムにす
るという形態も採用できる。本発明の特定の粒子を含有
することによる優れた効果は、当該粒子を少なくとも片
側の最外層であるA層に含有させることにより得られ
る。
【0020】かくして得られる本発明のフィルムのA層
表面の中心線表面粗さRaAは、5〜30nm、さらに
は5〜25nmであることが好ましい。RaAが5nm
未満では、フィルムの取扱い性、巻き特性、磁気テープ
としたときの走行性が不十分となる傾向がある。一方、
RaAが30nmを超えると、磁気テープの電磁変換特
性が悪化することがある。
【0021】A層はフィルムの片側であってもよいし、
両側にあってもよい。A層の反対側にC層を設けてもよ
い。C層は、A層と異なる組成物からなっていてもよい
し、A層と同じポリエステル組成物からなり、厚さの異
なる層として設けることもできる。かかる構成を用いる
ことにより、粗度の異なる表面を表裏に有するフィルム
とすることができ、磁気記録媒体の電磁変換特性と走行
性とを同時に高度に満足することができる。特に、C層
をA層と同じポリエステル組成物からなり厚みの異なる
層として設けた場合、製造工程の単純化が可能で、コス
ト的にも有利となり、表面粗度等の物性の調節も容易と
なる。かかる構成の場合、C層の厚みtC は、A層厚み
tA の0.05〜0.8倍、さらには0.1〜0.7倍
の範囲が望ましい。tC /tA が0.8を超えると、表
面粗度の十分な表裏差が得られないことがある。一方、
tC /tA が0.05未満では、C層の厚みが薄くな
り、耐摩耗性が不足する問題が発生する。
【0022】かくして得たフィルムのA層表面の中心線
表面粗さRaAと、C層表面の粗さRaCとの差の絶対
値は好ましくは1〜10nm、さらに好ましくは1.5
〜8nm、特に好ましくは2〜5nmの範囲である。層
厚みの差のみで表面粗さの差を10nmを超える範囲と
することは、厚みの差を大きくしなければならないの
で、上記と同様の問題が発生する。
【0023】本発明のフィルムのB層を構成するポリエ
ステルの極限粘度は、0.600未満、好ましくは0.
580未満、さらに好ましくは0.570未満である。
極限粘度が0.600以上では、フィルムのスリット性
が悪化する問題がある。B層の極限粘度の下限は、フィ
ルムの生産性の点から、通常0.450、好ましくは
0.480、さらに好ましくは0.500である。A層
の極限粘度にもよるが、B層の極限粘度が0.450未
満ではフィルム生産時に破断が頻発するようになり、生
産性の低下をもたらすようになる。
【0024】さらに、A層の極限粘度はB層の極限粘度
よりも0.02以上、好ましくは0.03以上高いこと
が好ましい。表面層の極限粘度が低くなると、フィルム
の耐摩耗性が悪化するため好ましくない。A層の極限粘
度は、好ましくは0.570以上、さらに好ましくは
0.580以上、特に好ましくは0.600以上であ
る。
【0025】本発明のフィルムは、幅方向のヤング率が
5.0GPa以上、好ましくは5.5GPa以上、さら
に好ましくは5.8GPa以上であり、かつ幅方向の引
張り破断伸度が100%以下、好ましくは90%以下で
ある場合、特にスリット性に優れ、磁気テープのベース
フィルムとして極めて適したものとなる。かかるスリッ
ト性が不足すると、磁気テープ製造時の生産性が低下し
たり、スリット時に発生する異物が原因で磁気テープの
ドロップアウト特性が悪化する問題が発生する。幅方向
の引張り破断伸度の下限は好ましくは50%、さらに好
ましくは60%である。またヤング率の上限は通常10
GPa、好ましくは8.0GPaである。引張り破断伸
度が低すぎたり、ヤング率が高すぎる場合は、フィルム
製造時の生産性が悪化することになる傾向がある。
【0026】スリット性をさらに高度に満足するため、
引張り破断伸度の長手方向/幅方向の比は1.1以上、
さらには1.2以上、特に1.3以上が好ましい。また
かかる比の上限は通常2.0、好ましくは1.8であ
る。一方、長手方向のヤング率は通常4.0GPa以
上、好ましくは4.3GPa以上、さらに好ましくは
4.5GPa以上である。長手方向のヤング率が不足す
ると、磁気テープとして使用時にフィルムの伸びが起こ
り、電磁変換特性、特にスキュー特性が悪化する。
【0027】次に本発明におけるフィルムの製造方法に
ついて説明する。フィルムを構成するポリエステル原料
を、押出機に供給し、スリット状のダイから溶融シート
として押し出す。また、積層フィルムとして製造する場
合は、それぞれの層を構成するポリエステル原料を、共
押出積層用押出装置に供給する。すなわち、2または3
台以上の押出機、3層以上のマルチマニホールドまたは
フィードブロックを用いて積層し、スリット状のダイか
ら3層以上の溶融シートとして押し出す。その際、それ
ぞれの層の厚みはメルトラインに設置したギヤポンプ等
の定量フィーダーによるポリマーの流量の調整により設
定することができる。次に、ダイから押し出された溶融
シートを、回転冷却ドラム上でガラス転移温度以下の温
度になるように急冷固化し、実質的に非晶状態の未配向
シートを得る。この場合、シートの平面性を向上させる
ため、シートと回転冷却ドラムとの密着性を高める必要
があり、本発明においては静電印加密着法および/また
は液体塗布密着法が好ましく採用される。
【0028】本発明においてはこのようにして得られた
シートを2軸方向に延伸してフィルム化する。延伸条件
について具体的に述べると、前記未延伸シートを好まし
くは70〜150℃、さらに好ましくは75〜130℃
の温度範囲で、まず一方向にロールもしくはテンター方
式の延伸機により3.0〜7倍、好ましくは3.2〜6
倍に延伸する。次に一段目と直交する方向に好ましくは
75〜150℃、さらに好ましくは80〜140℃の温
度範囲で3.2〜7倍、好ましくは3.5〜6倍に延伸
を行い、2軸に配向したフィルムを得る。なお、一方向
の延伸を2段階以上で行う方法も用いることができる
が、その場合も最終的な延伸倍率が上記した範囲に入る
ことが望ましい。また、前記未延伸シートを面積倍率が
10〜40倍になるように同時二軸延伸することも可能
である。
【0029】かくして得られたフィルムを150〜25
0℃で、30%以内の伸長、制限収縮、または定長下で
1秒〜5分間熱処理する。二軸延伸した後、さらに11
0〜180℃の温度で縦方向に1.05〜2.5倍再延
伸を行った後、熱処理する方法も採り得る。この際、再
縦延伸前熱固定、再縦延伸後縦弛緩、再縦延伸前または
後微小倍率縦延伸等の手法を適宜採用も可能である。ま
た、同様に横方向に再延伸を行ってもよい。また、必要
に応じて製膜工程内で各種の表面処理等を施しても構わ
ない。
【0030】また、本発明のフィルムは、特に磁気記録
媒体用として使用する場合、磁性層との接着性を高める
ため、フィルム表面に塗布層を設けてもよい。塗布層
は、フィルム製造工程内で設けてもよいし、フィルム製
造後に塗布してもよい。特に塗布厚みの均一性や、生産
効率の点で、フィルム製造工程の縦方向延伸後、横延伸
工程の前に塗布する方法が好ましい。
【0031】塗布剤の例としては、磁性層との接着性に
優れる、ポリエステル、ポリアミド、ポリスチレン、ポ
リアクリレート、ポリカーボネート、ポリアリレート、
ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルブチ
ラール、ポリビニルアルコール、ポリウレタンなどの樹
脂およびこれらの樹脂の共重合体や混合体などを挙げる
ことができるが、これらに限定されるわけではない。こ
れらの中で最も好ましい塗布剤樹脂は、ポリエステル系
樹脂である。また、フィルムのブロッキングによる取り
扱い性低下を防止するため、塗布層中に架橋成分を配合
することが好ましい。架橋成分としては、エポキシ系、
メラミン系、イソシアネート系、アジリジン系、オキサ
ゾリン系等の架橋剤が使用できる。
【0032】本発明における塗布剤は、水を媒体とする
塗布剤であることが望ましい。水を媒体とする場合は、
界面活性剤などによって強制分散化した塗布剤であって
もよいが、好ましくはポリエ−テル類のような親水性の
ノニオン成分や、四級アンモニウム塩のようなカチオン
性基を有する自己分散型塗布剤であり、さらに好ましく
は、アニオン性基を有する水溶性または水分散性樹脂塗
布剤である。
【0033】特に高速ダビング装置に使用されるビデオ
パンケーキ用の磁気記録媒体ベースフィルムとして使用
される場合は、かかる易接着処理を施し、磁性層の剥離
を防止することが品質を高めるために有効である。な
お、本発明においては、製膜に供するポリエステル全量
に対し、10重量%程度以下の他のポリマー(例えばポ
リエチレン、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリス
ルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリアミド、ポリ
イミド等)を含有させることができる。また、必要に応
じ、酸化防止剤、熱安定剤、潤滑剤、染料、顔料等の添
加剤を配合してもよい。
【0034】
【実施例】以下、本発明を実施例を挙げてさらに詳細に
説明するが、本発明は、その要旨を越えない限り、以下
の実施例によって限定されるものではない。なお、実施
例における種々の物性および特性の測定方法、定義は下
記のとおりである。実施例および比較例中「部」とある
は「重量部」を示す。
【0035】(1)平均粒径、粒度分布値、粒径比 本発明におけるヒドロキシアパタイト粒子のように、粒
径および形状が均一な粒子の場合は、平均粒径を電子顕
微鏡による写真法にて測定した。すなわち、約1000
個の粒子の粒径を測定して大粒子側から体積を積算し、
総体積に対し25%の点の粒径をd25、50%の点をd
50、75%の点をd75とし、d50を平均粒径、d25とd
75との比(d25/d75)を粒度分布値とした。また、同
測定において、粒子の長径と短径との比(長径/短径)
の値を測定し、500個以上の粒子に関する測定値の平
均値を粒径比として算出した。本発明の実施例、比較例
におけるヒドロキシアパタイト粒子、炭酸カルシウム粒
子、平均粒径0.8μmのシリカ粒子に関しては、上記
の方法にて測定を行った。その他の粒子については島津
製作所製遠心沈降式粒度分布測定装置(SA−CP3
型)で測定した等価球形分布における積算体積分率50
%の粒径を平均粒径d50とした。また、大粒子側から積
算して重量分率25%の点の直径と重量分率75%の点
の直径との比d25/d75値を粒度分布値とした。
【0036】(2)ポリマーの極限粘度〔η〕(dl/
g) ポリマ−1gをフェノール/テトラクロロエタン=50
/50(重量比)の混合溶媒100ml中に溶解し、3
0℃で測定した。 (3)フィルムの層厚み 透過型電子顕微鏡(TEM)によるフィルム断面の観察
にて行った。すなわち、フィルムサンプルの小片を、エ
ポキシ樹脂に硬化剤、加速剤を配合した樹脂に包埋処理
し、ウルトラミクロトームにて厚み約200nmの切片
を作成し、観察用サンプルとした。得られたサンプルを
日立(株)製透過型電子顕微鏡H−9000を用いて断
面の顕微鏡写真を撮影し、表層の厚みを測定した。ただ
し、加速電圧は300kV、倍率は最表層厚みに応じ、
1万倍〜10万倍の範囲で設定した。厚み測定は50点
行い、測定値の厚い方から10点、薄い方から10点を
削除して30点を平均して測定値とした。
【0037】(4)中心線平均粗さ(Ra) (株)小坂研究所製表面粗さ測定機(SE−3F)を用
いて次のようにして求めた。すなわち、フィルム断面曲
線からその中心線の方向に基準長さL(2.5mm)の
部分を抜きとり、この抜き取り部分の中心線をx軸、縦
倍率の方向をy軸として粗さ曲線y=f(x)で表した
とき、次式で与えられた値を〔μm〕で表した。中心線
平均粗さは、試料フィルム表面から10本の断面曲線を
求め、これらの断面曲線から求めた抜き取り部分の中心
線平均粗さの平均値で表した。なお、触針の先端半径は
2μm、荷重は30mgとし、カットオフ値は0.08
mmとした。
【0038】
【数1】Ra=(1/L)∫0 L|f(x)|dx
【0039】(5)フィルムのヤング率(GPa) (株)インテスコ製引張り試験機インテスコモデル20
01型を用いて、温度23℃、湿度50%RHに調節さ
れた室内において、長さ(チャック間)300mm、幅
20mmの試料フィルムを、10%/分の歪み速度で引
張り、引張り応力−歪み曲線の初期の直線部分を用いて
次の式によって計算した。
【0040】
【数2】E=Δσ/Δε (上記式中、Eはヤング率(GPa)、Δσは直線上の
2点間の元の平均断面積による応力差(GPa)、Δε
は上記2点間の歪み差/初期長さ(−)を意味する)
【0041】(6)引張り破断伸度(%) (株)インテスコ製引張り試験機インテスコモデル20
01型を用いて、温度23℃、湿度50%RHに調節さ
れた室内において、長さ(チャック間)50mm、幅1
5mmの試料フィルムを、200mm/分の歪み速度で
引張り、引張り応力−歪み曲線より次の式によって計算
した。
【0042】
【数3】 (上記式中、LBは引張り破断伸度(%)、Lは破断時
のフィルム長さ(mm)、L0 は元のフィルム長さ(m
m)を意味する)
【0043】(7)摩耗特性 幅10mmのポリエステルフィルムを200m長さにわ
たって固定ピン(直径6mm、材質SUS420−J
2、仕上げ0.2S)に接触させながら走行させ、固定
ピンに付着した摩耗粉の量を目視評価し下記の4ランク
に分けた。なお、フィルムの走行速度は11.4m/分
とし、初期張力を300g、フィルムと固定ピンとの巻
き付け角を125゜とした。
【0044】
【表1】 ───────────────────────── A:付着がまったく認められない B:付着が極く僅か認められるが実用上は問題ない C:付着量やや多く、長時間使用すると問題となる D:付着量が多く実用上使用し難い ─────────────────────────
【0045】(8)スリット性 フィルムをスリット刃にて1000mスリットした後、
顕微鏡にて刃を観察した。刃の損傷状況により以下のよ
うに評価した。
【0046】
【表2】 ────────────────────────── A:損傷はほとんど認められない B:損傷が僅かに認められるが実用上は問題ない C:損傷がやや大きく、長時間使用すると問題となる D:損傷が大きく実用上使用し難い ──────────────────────────
【0047】スリット性が悪い場合は、フィルム製造時
に刃の交換を頻繁に行わなければならない。また、スリ
ット性は、磁気テープ特性の中のドロップアウトによっ
ても評価される。すなわち、スリット性が不良の場合は
ドロップアウトが増加してしまうことがある。
【0048】(9)磁気テープ特性 磁性微粉末200部、ポリウレタン樹脂30部、ニトロ
セルロース10部、塩化ビニル−酢酸セルロース共重合
体10部、レシチン5部、シクロヘキサノン100部、
メチルイソブチルケトン100部、およびメチルエチル
ケトン300部をボールミルにて48時間混合分散後、
ポリイソシアネート化合物5部を加えて磁性塗料とし、
これをポリエステルフィルムのA層表面、またはA/B
/Cの積層の場合はC層表面に塗布し、塗料が十分乾燥
固化する前に磁気配向させた後乾燥し、1.8μmの膜
厚の磁性層を形成した。
【0049】次いで、この塗布フィルムを、鏡面仕上げ
の金属ロールとポリエステル系複合樹脂ロールとから構
成されているスーパーカレンダーを用い、カレンダー処
理を行った。次いで、カレンダー処理後のテープを1/
2インチ幅にスリットし、松下電気製NV−3700型
ビデオデッキにより、常速にて下記の磁気テープ特性を
評価した。
【0050】(A)電磁変換特性(VTRヘッド出力) シンクロスコープにより測定周波数が4メガヘルツにお
ける初期のVTRヘッド出力を測定し、基準テープ(ハ
イグレ−ドタイプビデオテープ市販品)と比較し、下に
示すランク別に評価を行った。
【0051】
【表3】 ───────────────────────── A:基準テープと同等である B:基準テープよりやや劣る C:明らかに基準テープより劣り、実用に耐えない ─────────────────────────
【0052】(B)ドロップアウト 4.4メガヘルツの信号を記録したビデオテープを再生
し、大倉インダストリー(株)ドロップアウトカウンタ
ーでドロップアウト数を約20分間測定し、良好なもの
をA、不良であり実用に耐えないものをC、AおよびC
の中間的状況をBとした。(10)耐擦傷性 幅1/2インチにスリットした磁気テープを直径6mm
の硬質クロムメッキ金属ピン(仕上げ3S)にフィルム
を巻きつけ角135°、走行速度4m/分、張力50g
で磁気テープのベースフィルム面を1回擦過させた。次
に擦過面にアルミニウムを約50nm厚となるよう真空
蒸着し、傷の量を目視により観察し、下記判定を行っ
た。
【0053】
【表4】 ───────────────── ランク1:傷の量が極めて多い ランク2:傷の量が多い ランク3:傷の量が2、4の中間 ランク4:傷の量が少ない ランク5:傷が付かない ─────────────────
【0054】(11)走行性 市販のVHS方式VTRを用い、巻き出し側のバックテ
ンションをゼロにして、ビデオテープを180分間走行
させた。ヘッドシリンダーの直前のピンで、ビデオテー
プの走行状態を観察し、下記判定を行った。
【0055】
【表5】 ──────────────────────────────────── A:走行中のテープの走行位置の外れが規定位置から0.5mm未満である B:走行中のテープの走行位置の外れが規定位置から0.5mm以上2mm未 満である C:走行中のテープの走行位置が規定位置から2mm以上外れる ────────────────────────────────────
【0056】実施例1〜6および比較例1〜7 [ポリエステルの製造]ジメチルテレフタレート100
部、エチレングリコール60部および酢酸マグネシウム
4水塩0.09部を反応器にとり、加熱昇温するととも
にメタノールを留去してエステル交換反応を行い、反応
開始から4時間を要して230℃まで昇温し、実質的に
エステル交換反応を終了した。
【0057】次いで、平均粒径0.7μm、粒径分布値
1.45,粒径比1.1のヒドロキシアパタイト粒子の
エチレングリコールスラリーを添加した。スラリー添加
後、さらにリン酸0.03部、三酸化アンチモン0.0
4部を加え、徐々に反応系を減圧とし、温度を高めて重
縮合反応を4時間行い、極限粘度0.63のポリエステ
ルを得た。ヒドロキシアパタイト粒子の含有量は0.8
重量%であった。
【0058】また、上記のヒドロキシアパタイト粒子の
代わりに、あらかじめ解砕、分級、濾過した一次粒径
0.02μmのδ−アルミナ粒子1.5部をエチレング
リコールスラリーとして添加した以外は、上記と同様に
エステル交換反応、重縮合反応を行い、極限粘度0.6
2のポリエステルを得た。また、粒子を添加しないこと
以外は、上記と同様にエステル交換反応、重縮合反応を
行い、実質的に不活性粒子を含まない極限粘度0.64
のポリエステルを得た。さらに、別途、上記のヒドロキ
シアパタイト粒子の代わりに、表1に示す平均粒径、お
よび粒径分布値を有するヒドロキシアパタイト粒子また
は合成炭酸カルシウム粒子またはシリカ粒子をそれぞれ
0.8部をエチレングリコールスラリーとして添加した
以外は、上記と同様にエステル交換反応、重縮合反応を
行い、極限粘度0.62の各種ポリエステル原料を得
た。粒子を含有するポリエステルの内部を顕微鏡で観察
したところ、粒子が均一に分散していることが確認され
た。
【0059】[ポリエステルフィルムの製造]得られた
ポリエステル原料を、下記表1の粒子含有量となるよう
にブレンドし、溶融押出機により溶融押出して、単層ま
たは積層の無定形シートを得た。なお、B層の原料はA
層で用いた原料を、粒子を含有しない原料で希釈し、A
層の粒子含有量の1/20の濃度としたものを用いた。
次いで、上記の無定形シートをフィルムの流れ方向(縦
方向)に85℃で2.9倍、さらに縦方向に76℃で
1.20倍延伸し、横方向に110℃で4.4倍延伸
し、210℃で4秒間熱処理を行い、さらに200℃で
3%横方向に弛緩処理して二軸配向積層フィルムを得
た。フィルムの全厚さは15μm、それぞれの層厚みは
表1にまとめたとおりであった。また、実施例1におい
て、得られたフィルムのA層の極限粘度は0.610、
B層の極限粘度は0.570であった。
【0060】実施例7 実施例2の原料、層厚み構成で、長手方向の2段目の延
伸倍率を1.35倍とし、横方向の延伸倍率を4.2倍
にして、他の条件は実施例2と同様にしてフィルムを作
成した。 比較例8 実施例2において、長手方向の2段目の延伸倍率を1.
35倍、横方向の延伸倍率を3.5倍とし、熱処理後に
200℃で10%横方向に弛緩処理を行ったこと以外は
実施例2と同様にして、二軸延伸積層ポリエステルフィ
ルムを得た。実施例および比較例で得られたフィルムに
磁性層を塗布して磁気テープを得、その特性を評価し
た。下記表1〜3にそれぞれのフィルムの特性と、磁気
テープの評価結果を示す。
【0061】
【表6】
【0062】
【表7】
【0063】
【表8】
【0064】
【表9】
【0065】
【発明の効果】本発明のフィルムは、例えば磁気記録媒
体用ベースフィルムとして用いた場合、フィルム製造時
および磁気記録媒体製造時のスリット性に優れ、磁気記
録媒体としての走行性および電磁変換特性を高度に満足
でき、かつドロップアウト発生防止の点で優れており、
擦り傷や摩耗粉の発生が極めて少なく、しかも生産性、
コスト面で優れたものであり、その工業的価値は非常に
大きい。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI B29K 503:04 C08L 67:02

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 平均粒径(d50)が0.1〜3.0μ
    m、粒径分布値(d25/d75)が1.0〜2.0、粒径
    比が1.0〜3.0のヒドロキシアパタイト粒子を0.
    01〜5重量%含有することを特徴とする二軸配向ポリ
    エステルフィルム。
  2. 【請求項2】 モース硬度が7以上で、平均一次粒径が
    0.3μm以下の微粒子を0.01〜1.0重量%含有
    することを特徴とする請求項1記載の二軸配向ポリエス
    テルフィルム。
  3. 【請求項3】 粒子の含有量が1.0重量%以下のポリ
    エステルからなるB層の少なくとも片面に、平均粒径
    (d50)が0.1〜3.0μm、粒径分布値(d25/d
    75)が1.0〜2.0、粒径比が1.0〜3.0のヒド
    ロキシアパタイト粒子を0.01〜5重量%含有する、
    厚み0.01〜5.0μmのポリエステルA層が積層さ
    れてなることを特徴とする二軸配向積層ポリエステルフ
    ィルム。
  4. 【請求項4】 A層が、モース硬度7以上、平均一次粒
    径0.3μm以下の微粒子を0.01〜1.0重量%の
    範囲で含有することを特徴とする請求項3記載の二軸配
    向ポリエステルフィルム。
  5. 【請求項5】 B層の片面にA層を積層し、反対面に、
    A層と同じポリエステル組成物からなるC層を設け、C
    層の厚みtC がA層の厚みtA の0.1〜0.8倍であ
    り、A層表面とC層表面の中心線表面粗さ(それぞれR
    aA、RaC)の差の絶対値が1〜10nmの範囲であ
    ることを特徴とする請求項3または4記載の二軸配向ポ
    リエステルフィルム。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5の何れかに記載の磁気記録
    媒体用二軸配向ポリエステルフィルム。
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