JP4669619B2 - 積層ポリエステルフィルム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は表面弾性率が高く、耐傷性に優れる積層ポリエステルフィルムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、ポリエチレンテレフタレートに代表されるポリエステルフィルムは、透明性の良さ、低価格のため、透明フィルムとして幅広く使用されている。しかし、耐傷性が不足しており、その改良が望まれていた。
ポリマーフィルムの耐傷性を改良する方法として、一般に以下のように表面にハードコート層を形成する方法が良く知られている。
▲1▼放射線硬化樹脂を表面に塗布する方法(例えば特開平11−254867号)
▲2▼金属酸化膜を表面に蒸着する方法(例えば特開平11−77909号)
▲3▼ゾルゲル法で酸化珪素被膜を形成する方法(例えば特開平11−279305号)
しかし、いずれの方法も、耐傷性を改良するためにハードコート層を厚くする必要があり、これに伴い屈曲時に割れ易く耐傷性を低下し易いという欠点を有していた。さらにポリエステル製膜後にハードコート層を形成するため、工程数が増加しコストが高く改良が望まれていた。
このような目的のために、本発明の積層ポリエステルは微粒子を添加した層を積層しているが、このような構成は磁気記録材料用ポリエステルにも見られる(例えば、特開平5−169604号、特開平3−86542号)。しかし、この積層構成例は、走行性を改良するために大きな微粒子を含む層を薄く積層するものであり、ポリエステルの表面は凹凸であり、平滑な表面を必要とする本発明とは異なるものである。さらに本発明に比べ厚みも薄く、微粒子の添加量も少なく表面弾性率の向上による耐傷性の向上は達成できない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は耐傷性に優れる積層ポリエステルフィルムを提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明の課題は、以下の発明によって達成された。
1.ポリエステル中に1nm以上400nm以下の微粒子を20wt%以上58wt%以下含む層(B層)をポリエステル支持体(A層)の少なくとも片面に積層した積層ポリエステルフィルムであって、該積層ポリエステルフィルムの全層厚みが50μm以上310μm以下で、B層の厚みが10μm以上100μm以下であり、かつ微粒子の粒径(D)とB層の厚み(Tb)の比(D/Tb)が1×10 −2 未満1×10 −5 以上であり、該フィルムの少なくとも片面の表面弾性率が6GPa以上15GPa以下であることを特徴とする積層ポリエステルフィルム。
2.少なくとも片面の表面の中心線粗さ(Ra)が0.01μm以下、最大高さ(Rt)が0.5μm以下であることを特徴とする上記1に記載の積層ポリエステルフィルム。
3.表裏の表面弾性率の差が0.5GPa以上10GPa以下であることを特徴とする上記1または2に記載の積層ポリエチステルフィルム。
4.ポリエステルがポリエチレンテレフタレート系樹脂またはポリエチレンナフタレート系樹脂からなることを特徴とする上記1〜3のいずれかに記載の積層ポリエステルフィルム。
5.微粒子が、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、雲母、タルク、炭酸カルシウムから選ばれることを特徴とする上記1〜4のいずれかに記載の積層ポリエステルフィルム。
6.A層用のペレットと、ポリエステル中に1nm以上400nm以下の微粒子を20wt%以上58wt%以下含有する微粒子を含んだB層用のペレットとをそれぞれ混練押出し機にて溶融して、全層厚みが10μm以上300μm以下で、B層の厚みが5μm以上100μm以下であり、かつ微粒子の粒径(D)とB層の厚み(Tb)の比(D/Tb)が1×10 −2 未満1×10 −5 以上となるように押出すことを特徴とする積層ポリエステルフィルムの製造方法。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明は、ポリエステルフィルムの少なくとも片面の表面弾性率を上げることで、耐傷性を改良することを達成した。ポリエステルフィルムの好ましい表面弾性率は5GPa以上15GPa以下、より好ましくは5.5GPa以上12GPa以下、さらに好ましくは6GPa以上10GPa以下である。
さらに本発明では表面の凹凸、突起をきっかけに破壊が始まることを見いだした。即ち表面を平滑にすることが耐傷性改良には好ましく、ポリエステルフィルムの少なくとも片面の表面の中心線粗さ(Ra)が0.01μm以下、より好ましくは0.005μm以下さらに好ましくは0.001μm以下で実質的に0に近いほどよい。最大高さ(Rt)は0.5μm以下、より好ましくは0.3μm以下、さらに好ましくは0.1μm以下で実質的に0に近いほどよい。
【0006】
このようなポリエステルフィルムは以下のように達成される。ポリエステルはジカルボン酸とジオールから形成されるが、好ましくは全ジカルボン酸残基中の50mol%以上100mol%以下が芳香族ジカルボン酸からなり、より好ましくは全ジカルボン酸残基中のジカルボン酸残基の70mol%以上100mol%以下がナフタレンジカルボン酸残基または/およびフタル酸残基からなり、さらに好ましくは全ジカルボン酸残基中のジカルボン酸残基の80mol%以上100mol%以下が2,6−ナフタレンジカルボン酸残基または/およびテレフタル酸残基からなるものである。ジオールは、全ジオール残基中エチレングリコール残基が50mol%以上100mol%以下が好ましく、より好ましくは70mol%以上100mol%以下であり、さらに好ましくは80mol%以上100mol%以下である。
【0007】
ポリエステルの好ましい具体例として以下のものが挙げられるが、本発明はこれに限定されるものではない。
▲1▼ホモポリマー例
HP-1:ポリエチレン−2,6−ナフタレート(PEN)
HP-2:ポリエチレンテレフタレート(PET)
▲2▼コポリマー例 組成(モル比)
CP-1:2,6-NDCA/TPA/EG (20/80/100)
CP-2:2,6-NDCA/IPA/EG (80/20/100)
CP-3:2,6-NDCA/TPA/EG (80/20/100)
CP-4:TPA/EG/BPA・2EO (100/25/75)
CP-5:TPA/EG/CHDM/BPA・2EO (100/25/25/50)
CP-6:TPA/EG/CHDM (100/80/20)
(NDCA:ナフタレンジカルボン酸、TPA:テレフタル酸、IPA:イソフタル酸、BPA.2EO:ビスフェノールAのエチレンオキサイド2付加物、CHDM:シクロヘキサンジメタノール、EG:エチレングリコールを示す)
▲3▼ポリマーブレンド例 組成(wt比)
PB-1:PEN/PET (20/80)
PB-2:PAr/PET (15/85)
PB-3:PAr/PCT/PET (15/10/75)
PB-4:PAr/PC/PET (10/10/80)
(PEN:ポリエチレンナフタレート、PET:ポリエチレンテレフタレート、PAr:ポリアリレート、PCT:ポリシクロヘキサンジメタノールテレフタレート、PC:ポリカーボネートを示す)
【0008】
これらのポリマーの好ましい固有粘度は0.4〜0.8dl/g、より好ましくは0.45〜0.7dl/g、さらに好ましくは0.5〜0.7dl/gである。
このようなポリエステルは、原料のジカルボン酸ジエステル(通常ジメチルエステル体)とジオールを大気圧下、エステル交換反応触媒の存在下で、150℃〜250℃に加熱し、副生するメタノールを留去させつつ0.5〜5時間反応させ、ついで250℃〜290℃の温度下、大気圧から40Pa(0.3torr)まで徐々に真空度を上げ撹拌させながら重縮合反応させる。これらのポリエステルの合成法については、例えば、高分子実験学第5巻「重縮合と重付加」(共立出版、1980年)第103頁〜第136頁、「合成高分子V」(朝倉書店、1971年)第187頁〜第286頁の記載、特開平5−163337、同3−179052、同2−3420、同1−275628等を参考に行うことができる。このようにして重合したポリエステルを取り出し、水冷しヌードル状に固めた後ペレットに裁断する。
【0009】
本発明ではポリエステル中に1nm以上400nm以下、より好ましくは5nm以上200nm以下、さらに好ましくは10nm以上100nm以下の微粒子を10wt%以上60wt%以下、より好ましくは15wt%以上50wt%以下、より好ましくは20wt%以上45wt%以下添加させる。
好ましい微粒子として、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、雲母、タルク、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、硫酸カルシウム、カオリンのような無機微粒子、架橋ポリスチレンのような有機微粒子が挙げられる。より好ましくはシリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、雲母、タルク、炭酸カルシウムである。形状は、不定形、板状、球形のいずれでもよく、また、2種類以上の微粒子を混合使用してもよい。
これらの微粒子は、ポリエステル重合前にモノマーと一緒に添加してもよく、ポリエステル重合後に添加しても良いが、前者は重合中に粘度上昇が発生し重合を制御しにくいことがあるため、後者の方が均一に分散し易く、より好ましい。
【0010】
本発明では、このような極めて小さな微粒子を高濃度で均一に分散することを特徴としている。即ち分散するポリエステルのオリゴマーを熔融した中にこれらの微粒子を添加し、予め微粒子の表面をポリエステルで被覆しておく。オリゴマーの好ましい固有粘度(dl/g)は0.05以上0.4以下、より好ましくは0.1以上0.3以下、さらに好ましくは0.1以上0.2以下である。オリゴマー(O)と微粒子(P)の好ましい比(P/O)は1以上100以下、より好ましくは3以上50以下、より好ましくは5以上20以下である。オリゴマーと微粒子の混合はバンバリーミキサー、ニーダー、ロールミル、単軸あるいは2軸の押出し機を用いることができる。好ましい混合温度は100℃以上350℃以下、より好ましくは120℃以上300℃以下、さらに好ましくは150℃以上250℃以下で、1分以上200分以下、より好ましくは2分以上100分以下、さらに好ましくは3分以上30分以下混合する。
【0011】
この後、ポリエステルと混練する。混練はバンバリーミキサー、ニーダー、ロールミル、単軸あるいは2軸の押出し機を用いることができる。好ましい混合温度は200℃以上350℃以下、より好ましくは240℃以上340℃以下、さらに好ましくは260℃以上330℃以下で、1分以上200分以下、より好ましくは2分以上100分以下、さらに好ましくは3分以上30分以下混合する。このとき、高級脂肪酸の金属塩、高級脂肪酸エステル、高級脂肪酸エチル、高級脂肪酸アミド、高級脂肪酸等の分散助剤や酸化防止剤を併用することも好ましい。
【0012】
このような微粒子を含むポリエステルは単層でフィルムを形成しても良いが、積層フィルムで用いることがより好ましい。これにより表裏の表面弾性率の差を0.5GPa以上10GPa以下、より好ましくは0.8GPa以上7GPa、さらに好ましくは1.0GPa以上5GPa以下にするのが好ましい。両面とも表面硬度が高いと、搬送ロールとの保持力が低下し製膜中にスリップによる擦り傷を発生し易いためである。このような積層フィルムは、微粒子を含むポリエステル層(B層)を、B層より微粒子含量の少ないポリエステル層(A層)の片面に積層(B/A)してもよく、B層より微粒子含量の少ないポリエステル層(B’層)をB層の反対側のA層に積層(B/A/B’)しても良い。
【0013】
A層は基本的にB層と同じポリエステルを用いるのが好ましく、微粒子を添加することも好ましい。好ましい微粒子の大きさは1nm以上1000nm以下、より好ましくは5nm以上600nm以下、さらに好ましくは10nm以上400nm以下の微粒子を0wt%以上1wt%以下、より好ましくは0.0001wt%以上0.1wt%以下、より好ましくは0.001wt%以上0.01wt%以下添加させる。微粒子はB層の説明で記載したようなものを用いることができるが、A層とB層の微粒子は同じ素材であっても異なる素材であっても良い。
B’層はB層と同様なポリエステル、微粒子を用いることができるが、微粒子添加量をB層より少なくすることで表面硬度を低下することができる。
【0014】
本発明のポリエステルフィルムの全層厚みは10μm以上300μm以下が好ましく、より好ましくは50μm以上260μm以下であり、さらに好ましくは100μm以上250μm以下である。B層、B’層の厚みは5μm以上100μm以下が好ましく、より好ましくは10μm以上80μm以下、さらに好ましくは20μm以上50μm以下である。
微粒子の粒径(D)とB層、B’層の厚み(Tb)の比(D/Tb)は1×10-2未満1×10-5以上が好ましく、より好ましくは5×10-2以下1×10-4以上、さらに好ましくは1×10-3以下1×10-4以上である。
【0015】
本発明のポリエステルフィルムは以下のように製膜することができる。
(1)ポリエステル樹脂の乾燥
ポリエステルペレットを100℃以上250℃以下、より好ましくは130℃以上200℃以下で、5分以上5時間以下、より好ましくは10分以上1時間以下乾燥させる。
(2)熔融押出し
A層、B層、B'層用のペレットを各々1軸あるいは多軸の混練押し出し機に入れ熔融する。この時、初めから所望の量の微粒子を添加したペレットを用いても良く、予め高濃度に微粒子を添加したペレット(マスターペレット)に微粒子を添加していないペレットで希釈し所望の濃度に調整しても良い。
押出し温度はポリエステルの250℃以上350℃以下、より好ましくは260度以上340℃以下で、1分以上30分以下、より好ましくは3分以上15分以下滞留させて熔融させる。この後、フィルタ−を用いて溶融ポリマ−をあらかじめろ過しておくことが好ましい。フィルタ−としては、金網、焼結金網、焼結金属、サンド、グラスファイバ−などが挙げられる。好ましいフィルターサイズは1μm以上30μm以下である。
この熔融ポリエステルをTダイから押し出しす。積層フィルムを作る場合は積層構造を有するTダイ(マルチマニホールドダイなど)を用いて各成分を押し出す。これを40℃〜100℃のキャスティングドラムの上で固化させ未延伸フィルムを作成する。このとき、静電印加法、水膜形成法(水等の流体をキャスティングドラム上に塗布しメルトとドラムの密着をよくする)などを用いて、キャスティングドラムへの密着を上げることで、フィルムの平面性を改良でき好ましい。これを剥取り未延伸シートを形成する。
【0016】
(3)MD延伸
未延伸シートを長手方向(MD)に延伸する。好ましい延伸倍率は2.5倍以上4倍以下、より好ましくは3倍以上4倍以下である。延伸温度は70℃以上160℃以下が好ましく、より好ましくは80℃以上150℃以下、より好ましくは80℃以上140℃以下である。好ましい延伸速度は10%/秒以上300%/秒以下、より好ましくは30%/秒以上250%/秒、さらに好ましくは50%/秒以上200%/秒以下である。このようなMD延伸は周速の異なる一対のロール間を搬送することで実施できる。
【0017】
(4)TD延伸
延伸倍率は2.5倍以上5倍以下が好ましく、より好ましくは3倍以上4.5倍以下、さらに好ましくは3.3倍以上4.3倍以下である。延伸温度は75℃以上165℃以下が好ましく、より好ましくは80℃以上160℃以下、より好ましくは85℃以上155℃以下である。好ましい延伸速度は10%/秒以上300%/秒以下、より好ましくは30%/秒以上250%/秒、さらに好ましくは50%/秒以上200%/秒以下である。TD延伸は、フィルムを両端をチャックしテンター内に搬送し、この幅を広げることで達成できる。
【0018】
(5)熱固定
好ましい熱固定温度は190℃以上275℃以下、より好ましくは210℃以上270℃以下、さらに好ましくは230℃以上270℃以下であり、好ましい処理時間は5秒以上180秒以下、より好ましくは10秒以上120秒以下、さらに好ましくは15秒以上60秒以下である。
熱固定中に幅方向に10%以下弛緩させるのが好ましい。より好まし
くは8%以下、さらに好ましくは6%以下であり、その下限は実質的に0%である。
このような熱固定および弛緩は、フィルムを両端をチャックし熱固定ゾーンに搬送し、この幅を狭めることで達成できる。
【0019】
(6)巻取り
熱固定後、冷却、トリミングを行いロ−ルに巻き取る。このとき、支持体端部に厚みだし加工(ナ−リング)を付与することも好ましい。好ましい製膜幅は0.5m以上10m以下、より好ましくは0.8m以上8m以下、さらに好ましくは1m以上6m以下である。
【0020】
このようにして調製したポリエステル支持体に表面処理を施すことも好ましい。表面処理は薬品処理、機械的処理、コロナ処理、火焔処理、紫外線処理、高周波処理、グロー処理、活性プラズマ処理、レーザー処理、混酸処理、オゾン酸化処理などが挙げられ、これらの中でもコロナ処理、紫外線処理、グロー処理、火焔処理が特に効果である。これらについては「発明協会公開技法 公技番号94−6023号」に記載の方法に従って実施することができる。
また帯電防止層を付与することが好ましい。帯電防止剤としては、金属酸化物、導電性金属,炭素繊維,π共役系高分子(ポリアリーレンビニレン等)イオン性化合物などを挙げることができ、体積抵抗率が107 Ωcm以下、よりこのましくは106Ω以下、さらに好ましくは105 Ωcm以下のものである。
【0021】
帯電防止剤として好ましくは、導電性金属酸化物及びその誘導体であり、この中でも特に好ましく用いられる導電性材料は結晶性の金属酸化物粒子であり、ZnO、TiO2 、SnO2 、Al2O3、In2O3、SiO2、MgO、BaO、MoO3、V2O5 が挙げられ、特に好ましい物は、SnO2を主成分とし酸化アンチモン約5〜20%含有させ及び/又はさらに他成分(例えば酸化珪素、ホウ素、リンなど)を含有させたものである。これらの導電性素材および塗設方法の詳細はは「発明協会公開技法 公技番号94−6023号」に記載されており、これに従って実施することができる。
【0022】
最後に、本発明で採用した評価・測定法について説明する。
(1)表面弾性率
微小表面硬度計((株)フィッシャー・インスツルメンツ社製:フィッシャースコープH100VP-HCU)を用い、試料表面にビッカース圧子を接触させた後、10秒間に加重を1mNにまで増加させる。この状態で5秒保持する。この時のビッカース圧子の侵入深さをDvoとする。この後、加重を取り去った時にビッカース圧子を押し戻す力(Fv)と侵入深さ(Dv)を測定し、その傾きを表面弾性率とする。即ちDvを横軸にとり、縦軸にFvをとったとき、DvがDvoから0.9×Dvoの間の傾きの絶対値を表面弾性率とした。この測定は25℃60%RH下で行い、10点の平均値で表した。
【0023】
(2)中心線粗さ(Ra)
表面粗さ測定器(小坂研究所(株)製SE−3F)を用いて、フィルム断面曲線からその中心線の方向に基準長さL(2.5mm)の部分を切り取り、この部分の中心線をX軸、縦倍率の方向をY軸として粗さ曲線Y=f(X)で表したとき、下記(1)式で与えられた値を(μm)で表す。中心線粗さ(Ra)は、試料フィルム表面から10本の断面曲線を求め、これらの断面曲線から求めた抜き取り部分の中心線平均粗さの平均値で表した。なお、触針の先端半径は2μm、荷重は30mgとし、カットオフ値は0.08mmとした。
【0024】
【数1】
【0025】
(3)最大高さ(Rt)
表面粗さ測定器(小坂研究所(株)製SE−3F)によって得られた断面曲線から、基準長さ(2.5mm)だけ抜き取り、この部分の平均線に平行な2直線で最大点と最小点を挟んだとき、この間隔をμm単位で表し、10点の平均値を求めRtとした。なお、この測定は先端半径2μmの触針を用い荷重は30mgとし、カットオフ値は0.08mmとした。
【0026】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明をさらに説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
(1)ポリエステルの重合
(a)ポリエチレンテレフタレート(PET)
テレフタル酸ジメチルエステル80部、エチレングリコ−ル58部、酢酸マンガン4水和物0.029部、三酸化アンチモン0.028部を加え、撹拌しながら200℃に加熱した。副生するメタノ−ルを除去しつつ235℃まで昇温した。メタノ−ルの副生が終了後トリメチルリン酸0.03部を添加し、285℃に昇温しながら40Pa(0.3Torr)に減圧し固有粘度0.62dl/gのPETを重合した。
【0027】
(b)ポリエチレンナフタレート(PEN)
2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチルエステル100部、エチレングリコ−ル58部、酢酸マンガン4水和物0.029部、三酸化アンチモン0.028部を加え、撹拌しながら200℃に加熱した。副生するメタノ−ルを除去しつつ235℃まで昇温した。メタノ−ルの副生が終了後トリメチルリン酸0.03部を添加し、285℃に昇温しながら40Pa(0.3Torr)に減圧し固有粘度0.58dl/gのPENを重合した。
なお、これらの固有粘度は以下の方法で測定した。
▲1▼フェノール/1,1,2,2-テトラクロロエタン混合溶媒(重量比:60/40)にポリエステルを溶解し、0.2g/dl、0.6g/dl、1.0g/dlの溶液を作成する。
▲2▼これを20℃において、ウベローデ粘度計を用いて測定する。
▲3▼濃度に対し粘度をプロットし、濃度=0に外挿した粘度を固有粘度(dl/g)とした。
【0028】
(2)微粒子の混練
上記方法で重合時間を短くすることで、表1に記載の固有粘度のPET、PENのオリゴマーを調製する。これを表1に記載のように微粒子に添加する。これをバンバリーミキサーを用い230℃で5分間混練した。
これに上記の固有粘度0.62dl/gのPET、固有粘度0.58dl/gのPENを150℃で30分乾燥した後、1軸混練押出し機を用い、280℃から320℃に昇温しながら5分間混練した。これをヌードル状に押出した後、水冷、裁断しペレットを形成した。
【0029】
【表1】
【0030】
(2)ポリエステルフィルムの製膜
上記方法で調製したポリエステルペレットを160℃減圧化で3時間乾燥した。これを表2に示した構成になるように、各組成のペレットを押出し機で310℃で熔融、5μmのメッシュフィルタ−で濾過した後、Tダイ(マルチマニホールドダイ)から50℃の静電印加したキャスティングドラム上に押し出して、未延伸フィルムを調製した。
【0031】
【表2】
【0032】
これを表2に示す条件でMD延伸、TD延伸、熱固定、熱緩和を行った。なお、全水準製膜幅は1.8mであり、これを両端トリミングし1.5mとした後、両端に高さ30μm、幅10mmのナール加工をした後、3000mずつ直径30cmの巻芯に巻き取った。
(3)ポリエステルフィルムの評価
上記方法に従って、表面弾性率、中心線粗さ(Ra)、最大高さ(Rt)を測定し、表3に記載した。耐傷性の評価は、JIS−K−5400に従い、鉛筆硬度法で測定した。なお、この測定はフィルムを平面に伸ばした状態と、直径10cmの筒状にした状態で測定した。また擦り傷の評価は、製膜後のポリエステルフィルムの1.5m幅×1m長に裁断し、これを黒布の上に置き、100Wのタングステンランプの下で傷に起因する輝点の数を肉眼で数えた。10個以下が好ましく、より好ましくは5個以下である。
【0033】
【表3】
【0034】
【発明の効果】
少なくとも片面の表面弾性率が5GPa以上15GPa以下の積層ポリエステルフィルムにより、耐傷性に優れる積層ポリエステルフィルムを達成した。
Claims (6)
- ポリエステル中に1nm以上400nm以下の微粒子を20wt%以上58wt%以下含む層(B層)をポリエステル支持体(A層)の少なくとも片面に積層した積層ポリエステルフィルムであって、該積層ポリエステルフィルムの全層厚みが50μm以上310μm以下で、B層の厚みが10μm以上100μm以下であり、かつ微粒子の粒径(D)とB層の厚み(Tb)の比(D/Tb)が1×10 −2 未満1×10 −5 以上であり、該フィルムの少なくとも片面の表面弾性率が6GPa以上15GPa以下であることを特徴とする積層ポリエステルフィルム。
- 少なくとも片面の表面の中心線粗さ(Ra)が0.01μm以下、最大高さ(Rt)が0.5μm以下であることを特徴とする請求項1に記載の積層ポリエステルフィルム。
- 表裏の表面弾性率の差が0.5GPa以上10GPa以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の積層ポリエチステルフィルム。
- ポリエステルがポリエチレンテレフタレート系樹脂またはポリエチレンナフタレート系樹脂からなることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の積層ポリエステルフィルム。
- 微粒子が、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、雲母、タルク、炭酸カルシウムから選ばれることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の積層ポリエステルフィルム。
- A層用のペレットと、ポリエステル中に1nm以上400nm以下の微粒子を20wt%以上58wt%以下含有する微粒子を含んだB層用のペレットとをそれぞれ混練押出し機にて溶融して、全層厚みが10μm以上300μm以下で、B層の厚みが5μm以上100μm以下であり、かつ微粒子の粒径(D)とB層の厚み(Tb)の比(D/Tb)が1×10 −2 未満1×10 −5 以上となるように押出すことを特徴とする積層ポリエステルフィルムの製造方法。
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