JPH08169090A - 積層フィルム - Google Patents

積層フィルム

Info

Publication number
JPH08169090A
JPH08169090A JP31514594A JP31514594A JPH08169090A JP H08169090 A JPH08169090 A JP H08169090A JP 31514594 A JP31514594 A JP 31514594A JP 31514594 A JP31514594 A JP 31514594A JP H08169090 A JPH08169090 A JP H08169090A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
film
particles
laminated film
thermoplastic resin
shell
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP31514594A
Other languages
English (en)
Inventor
Jun Hirata
純 平田
Takashi Mimura
尚 三村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toray Industries Inc filed Critical Toray Industries Inc
Priority to JP31514594A priority Critical patent/JPH08169090A/ja
Publication of JPH08169090A publication Critical patent/JPH08169090A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【目的】 易滑平滑性、易接着性、耐削れ性等に優れ、
磁気記録材料、各種写真材料、包装材料、電気絶縁材
料、一般工業材料等に好適な積層フィルムを提供する。 【構成】 熱可塑性樹脂A、熱可塑性樹脂Bからなる積
層フィルムの熱可塑性樹脂A層内含有の粒子により積層
フィルム表面に高密度かつ高さの均一な突起を形成し、
さらに該積層フィルムの少なくとも片面にシェルコア構
造粒子からなる突起を形成したことを特徴とする積層フ
ィルム。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は積層フィルムに関するも
のである。詳しくは易滑性、平滑性、易接着性、透明
性、耐削れ性、走行性、耐久性に優れた積層フィルムに
関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年磁気記録媒体は小型軽量化あるいは
長時間記録化に伴い情報の高密度記録化が必要となって
いる。高密度記録化のためには、記録波長の短波長化と
ともに磁気記録媒体と磁気ヘッド間のスペ−シングロス
を極力減少させることが必要であり、これに伴い磁気記
録媒体の表面は、より平滑であることが望まれる。中で
も電気メッキ、真空蒸着、スパッタリング、イオンプレ
−ティング等の方法でベ−スフィルム上に強磁性薄膜を
形成して得られた磁気記録媒体は、従来の塗布型磁気記
録媒体に比べて磁性層の厚みを約1/30以下にできる
ため、記録波長の短波長化に伴う厚み損失の低減が可能
であると共に、平滑なベ−スフィルムの使用により磁気
記録媒体の表面をより平滑にすることができ、磁気ヘッ
ド間のスペ−シングの低減が可能となるなど高密度記録
化に極めて有効となっている。このような強磁性薄膜型
磁気記録媒体の研究開発が盛んであるが、そのベ−スフ
ィルムにおいても種々の検討がなされている。このよう
なベ−スフィルムとしては、例えば特開昭60−957
号公報のように基体フィルム上にフッ素系化合物、樹脂
および微細不活性粒子の混合組成物からなる微細突起を
有する被覆層を設けた積層ポリエステルフィルムが開示
されている。また特開昭60−76340号公報には、
ポリエステルフィルムからなる基体フィルム上にプライ
マからなる粒状物質をポリエステルフィルムの全表面積
に対し占有面積1%以上固着させた積層ポリエステルフ
ィルムが開示されている。
【0003】また、ベ−スフィルムの表面特性の改良を
はかつた二軸配向熱可塑性フィルムとして、熱可塑性樹
脂であるポリエステルにコロイド状シリカに起因する実
質的に球形のシリカ粒子を含有させたフィルムが知られ
ている(例えば特開昭59−171623号公報)。こ
のような二軸配向熱可塑性フィルムにおいては、含有さ
れたシリカ粒子により、フィルム表面に突起を形成し、
表面の摩擦抵抗を下げてハンドリング性、走行性を向上
させることが可能である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前述し
た積層ポリエステルには、次のような問題点がある。す
なわち前記特開昭60−957号公報のようにフッ素系
化合物、樹脂および微細不活性粒子の混合組成物からな
る微細突起を有する被覆層を設けた積層ポリエステルフ
ィルムでは優れた易滑性を保持しているが、被覆層中に
微細不活性粒子を均一分散させることが難しく、更には
凝集粒子による粗大突起を生じ易いため安定した平滑性
を有するものが得難く、金属ガイドロ−ルを傷つけた
り、粒子の脱落などによる磁気記録媒体の走行耐久性や
電磁変換特性の低下が見られた。また、前記特開昭60
−76340号公報のようにプライマからなる粒状物質
をポリエステルフィルムの全表面積に対し占有面積1%
以上固着させた積層ポリエステルフィルムでは、粒状物
質の占有面積が高くなると滑り性が極端に悪くなるとい
う現象が見られた。
【0005】また、特開昭59−171623号公報開
示の二軸配向熱可塑性樹脂フィルムでは、含有された粒
子がフィルムの厚さ方向全域にわたってランダムに分布
するため、フィルム表面における含有粒子による突起の
密度増大には限界があり、しかもその突起高さもランダ
ム相当ばらつくことになる。そのため、摩擦抵抗低減に
よるフィルム走行性等の改良、フィルム表面の傷つき防
止性能(以下耐スクラッチ性という)や耐削れ性の向上
にも限界があった。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明はこれらの欠点を
解消せしめるとともに、熱可塑性樹脂Aと熱可塑性樹脂
Bとの積層構成の二軸配向熱可塑性樹脂フィルムであっ
て、熱可塑性樹脂Aに特定サイズの粒子を集中させて含
有させることにより、熱可塑性樹脂A側のフィルム表面
特性の改良をはかった二軸配向熱可塑性樹脂フィルムを
採用することにより、フィルム表面に効率よく、高密度
でかつ高さの均一な突起を形成できるようになり、走行
性、耐スクラッチ性、耐削れ性等を大幅に高めることが
できるとともに、この基板上にさらにシェルコア構造か
らなる突起を少なくとも片面に積層することで、さらに
電磁変換特性、接着性等が大幅に向上させることが可能
となった。
【0007】即ち本発明の目的は、熱可塑性樹脂Aと粒
子とを主成分とするフィルムAを熱可塑性樹脂Bを主成
分とするフィルムBの少なくとも片面に積層し、前記フ
ィルムのAの厚さが0.005〜5μm、該フィルムA
中に含有される前記粒子の平均粒径がフィルムAの厚さ
の0.1〜10倍、該粒子のフィルムA中の含有量が
0.05〜50重量%である二軸配向熱可塑性樹脂積層
フィルムであって、該積層フィルムの少なくとも片面
に、内側より外側が軟質なシェルコア構造からなる突起
を有することを特徴とする積層フィルムをその骨子とす
るものである。
【0008】本発明における熱可塑性樹脂Aはポリエス
テル、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリフェニレンス
ルフィドなど特に限定されることはないが、特にポリエ
ステル、中でもエチレンテレフタレ−ト、エチレンα、
β−ビス(2-クロルフェノキシ)エタン-4,4,-ジカルボ
キシレ−ト、エチレン2,6-ナフタレ−ト単位から選ばれ
た少なくとも一種の構造単位を主要構成成分とする場合
に、フィルム表面に高密度かつ均一高さの突起の形成が
より一層良好となるので好ましい。また、本発明を構成
する熱可塑性樹脂は結晶性である場合に熱可塑性樹脂A
は層表面に目標とする突起を形成し易くなるので極めて
望ましい。ここでいう結晶性とはいわゆる非晶質ではな
いことを示すものであり、定量的には結晶化パラメ−タ
における冷結晶化温度Tccが検出され、かつ結晶化パ
ラメ−タ△Tcgが150℃以下のものである。さら
に、示差走査熱量計で測定された融解熱(融解エンタル
ピ−変化)が7.5 cal/g以上の結晶性を示す場合に
熱可塑性樹脂A層表面突起形成能に優れるので極めて望
ましい。また、エチレンテレフタレ−トを主要構成成分
とするポリエステルの場合に熱可塑性樹脂A層表面突起
形成特性がより一層良好となるので特に好ましい。な
お、本発明を阻害しない範囲内で、2種以上の熱可塑性
樹脂を混合しても良いし、共重合ポリマを用いても良
い。
【0009】本発明の熱可塑性樹脂A中の粒子の形状
は、特に限定されないが、フィルム中での粒径比(粒子
の長径/短径)が1.0〜1.3の粒子、特に、球形状
の粒子の場合に、均一高さのフィルム表面突起を形成し
易いので望ましい。
【0010】また、本発明の熱可塑性樹脂A中の粒子は
フィルム中での単一粒子指数が0.7以上、好ましくは
0.9以上である場合に均一高さの突起を高密度で形成
し易いので特に望ましい。
【0011】本発明の熱可塑性樹脂A中の粒子の種類は
特に限定されないが、上記の好ましい粒子特性を満足さ
せるにはアルミナ珪酸塩、1次粒子が凝集した状態のシ
リカ、内部析出粒子などは好ましくない。好ましい粒子
として、コロイダルシリカに起因する実質的に球形のシ
リカ粒子、架橋高分子による粒子(例えば架橋ポリスチ
レン)などがあるが、特に10重量%減量時温度(窒素
中で熱重量分析装置島津TG−30Mを用いて測定。昇
温速度20℃/分)が380℃以上になるまで架橋度を
高くした架橋高分子粒子の場合にフィルム表面突起形成
特性がより一層良好となるので特に望ましい。なお、コ
ロイダルシリカに起因する球状シリカの場合にはアルコ
キシド法で製造された、ナトリウム含有量が少ない、実
質的に球形のシリカが望ましい。しかしながら、その他
の粒子、例えば炭酸カルシウム、二酸化チタン、アルミ
ナ等の粒子でもフィルム厚さと平均粒径の適切なコント
ロ−ルにより十分使いこなせるものである。
【0012】本発明の熱可塑性樹脂Aを主成分とするフ
ィルム層の厚さは0.005 〜5μm、好ましくは0.01〜1
μm、さらに好ましくは0.03〜0.5μmであることが
必要である。フィルム厚さが上記の範囲より小さいと積
層フィルム層としての耐久性が確保できなくなり、逆に
大きいと含有粒子との関係から、適切な高さの表面突起
を高密度に形成するのが困難になる。
【0013】上記熱可塑性樹脂Aのフィルム中に含有さ
れる粒子の大きさは、該粒子を含有する積層フィルム中
での平均粒径が該積層フィルム厚さの0.1 〜10倍、好ま
しくは0.5 〜5倍、さらに好ましくは1.1 〜3倍の範囲
とされる。平均粒径/フィルム厚さ比が上記の範囲より
小さいと、形成されるフィルム表面突起のバラツキが大
きくなって、耐スクラッチ性、耐削れ性向上効果が不良
となり、逆に大きくても突起高さの不均一化、後述のフ
ィルム表面の粒子濃度比の低下を招きやすくなって、や
はり耐スクラッチ性、耐削れ性向上効果が不良となるの
で好ましくない。 また、熱可塑性樹脂A中の粒子のフ
ィルム中での平均粒径(直径)が0.005〜3μm、好ま
しくは0.02〜0.45μmの範囲である場合に、フィルム表
面の耐スクラッチ性、耐削れ性向上効果がより一層良好
となるので望ましい。そして、このような粒子が、0.05
〜50重量%、好ましくは0.075 〜10重量%、より好まし
くは0.1 〜5重量%熱可塑性樹脂Aのフィルム中に含有
される。これより小さいと、フィルム表面突起形成密度
が低くなりすぎるので磁性面への良好な凹凸転写特性が
得られず、逆に高すぎると、含有粒子の割合が高くなり
すぎ、積層フィルム層自身が脆くなりすぎるので好まし
くない。
【0014】さらに、上記粒子により形成される、熱可
塑性樹脂Aの積層フィルム層の表面突起の平均高さは、
好ましくは粒子の平均粒径の1/3.5 以上である。この
ような平均高さの表面突起は、前述の範囲から、積層フ
ィルム厚さに対し含有粒子の平均粒径を適切に選択、設
定することにより得られる。
【0015】つまり、本発明における熱可塑性樹脂Aの
積層フィルム層には、該フィルム厚さ近傍あるいはそれ
よりも大きな平均粒径の粒子が含有される。換言すれ
ば、極薄積層フィルムに、そのフィルム厚さ近傍あるい
はそれよりも大きな平均粒径の微小粒子が含有される。
したがって、二軸配向熱可塑性樹脂フィルム全体に対
し、その厚さ方向に、実質的に積層フィルム層のみに集
中して粒子を分布させることができる。その結果、積層
フィルム中に置ける粒子密度を容易に高くすることがで
き、該粒子により形成されるフィルム表面の突起の密度
も容易に高めることができる。また、粒子は、上記積層
フィルム中に含有されることで、二軸配向熱可塑性樹脂
フィルム全体に対し、その厚さ方向に位置規制されるこ
とになり、しかも積層フィルムの厚さと平均粒径とは前
述の如き関係にあるから、該粒子により形成される表面
突起の高さは、極めて均一になる。高密度かつ均一高さ
の表面突起形成により、フィルム表面の耐スクラッチ
性、耐削れ性が大幅に高められる。
【0016】上記熱可塑性樹脂Aと粒子とを主成分とす
るフィルムが可塑性樹脂Bを主成分とするフィルムに積
層される。熱可塑性樹脂Bは、前述の熱可塑性樹脂Aと
同様のものからなり、熱可塑性樹脂Bと熱可塑性樹脂A
とは同じ種類のものでも異なるものでもよい。熱可塑性
樹脂Aのフィルム層は、熱可塑性樹脂Bからなるフィル
ム層の両面、または片面に積層される。つまり、積層構
成がA/B/A、A/Bの場合である。(ここで、A、
Bそれぞれの熱可塑性樹脂の種類は同種でも、異種でも
よい。また、少なくとも片方の表面はA層であることが
必要である。) 熱可塑性樹脂Bとしても、結晶性ポリマが望ましく、特
に、結晶性パラメ−タ−△Tcgが20〜100 ℃の範囲の
場合に、例えば磁気記録媒体としてのベ−スフィルム全
体の耐久性がより一層良好となるので望ましい。具体例
として、ポリエステル、ポリアミド、ポリフェニレンス
ルフィド、ポリオレフィンが挙げられるが、ポリエステ
ルの場合にフィルム全体としての耐久性がより一層良好
となるので特に望ましい。また、ポリエステルとして
は、エチレンテレフタレ−ト、エチレンα、β−ビス
(2-クロルフェノキシ)エタン- 4,4,-ジカルボキシ
レ−ト、エチレン2,6-ナフタレ−ト単位から選ばれた少
なくとも一種の構造単位を主要構成成分とするものが、
磁気記録媒体用フィルムとしては好ましい。ただし、本
発明を阻害しない範囲内、望ましい結晶性を損なわない
範囲内で、好ましくは5モル%以内であれば他成分が共
重合されていてもよい。
【0017】また、本発明の熱可塑性樹脂Bにも、本発
明の目的を阻害しない範囲内で、他種ポリマをブレンド
してもよいし、また酸化防止剤、熱安定剤、滑剤、紫外
線吸収剤などの有機添加剤が通常添加される程度添加さ
れていてもよい。熱可塑性樹脂Bを主成分とするフィル
ム中には粒子を含有している必要は特にないが、このフ
ィルムがフィルム表面の一面を形成する場合、平均粒径
が0.007 〜2μm、特に0.02〜0.45μmの粒子が0.001
〜0.2 重量%、特に0.005 〜0.15重量%、さらには、0.
005 〜0.12重量%含有されていると、例えば磁気記録媒
体用ベ−スフィルム用途において、摩擦係数や、耐スク
ラッチ性が良好となるのみならず、フィルムの巻姿が良
好となるのできわめて望ましい。含有する粒子の種類は
熱可塑性樹脂Aに望ましく用いられるものを使用するこ
とが望ましい。熱可塑性樹脂AとBに含有される粒子の
種類、大きさは同じでも異なっていても良い。
【0018】上述の如き粒子を含有する熱可塑性樹脂A
と、熱可塑性樹脂Bとが共押し出しにより積層され、シ
−ト状に成型された後、二軸に延伸され、二軸配向熱可
塑性樹脂フィルムとされる。本発明における共押出によ
る積層とは、粒子を含有する熱可塑性樹脂Aと、熱可塑
性樹脂Bとをそれぞれ異なる押出装置で押出し、口金か
ら積層シ−トを吐出する前にこれらを積層することをい
う。この積層は、シ−ト状に成型、吐出するための口金
内(例えばマニホルド)で行ってもよいが、前述の如く
積層フィルム層が極薄であることから、口金に導入する
前のポリマ管内で行うことが好ましい。特にポリマ管内
の積層部を、矩形に形成しておくと、幅方向に均一に積
層できるので特に好ましい。ポリマ管内矩形積層部で積
層された溶融ポリマは、口金内マニホルドでシ−ト幅方
向に所定幅まで拡幅され、口金からシ−ト状に吐出され
た後、二軸に延伸される。従って、たとえ二軸配向後の
積層フィルムが極薄であっても、ポリマ管内矩形積層部
では、粒子含有熱可塑性ポリマを、かなりの厚さで積層
することになるので、容易にかつ精度よく積層できる。
【0019】また、上記熱可塑性樹脂Aと熱可塑性樹脂
Bとからなる二軸配向熱可塑性樹脂フィルムにおいて
は、粒子を含む積層フィルム側の表層の粒子による粒子
濃度比が0.1以下であることが好ましい。この表層粒
子濃度比は、後述の測定法に示す如く、フィルム表面突
起を形成する粒子がフィルム表面において如何に熱可塑
性樹脂Aの薄膜で覆われているかを示すものであり、粒
子がフィルム表面に実質的に直接露出している度合いが
高いほど表層粒子濃度比が高く、表面突起は形成するが
熱可塑性樹脂Aの薄膜に覆われている度合いが高いほど
表層粒子濃度比は低い。突起を形成する粒子が熱可塑性
樹脂Aの薄膜で覆われていることにより、粒子が高密度
に極薄積層フィルム層に分布している状態にあっても、
該粒子が該積層フィルム層、ひいては熱可塑性樹脂Bの
ベ−スフィルム層にしっかりと保持されることになる。
従って、表層粒子濃度比を上記値以下とすることによ
り、粒子の脱落等が防止されて、フィルム表面の耐久性
が高く維持される。このような表層粒子濃度比は、共押
出による積層を行うことによって達成可能となる。
【0020】ちなみに、コ−ティング方法によっても、
本発明と類似のフィルム、すなわち、ベ−スフィルム層
に対し極薄厚さで樹脂層をコ−ティングし、該樹脂層内
に粒子を含有させることは可能であるが、表層粒子濃度
比が著しく高くなり(つまり粒子が実質的に表面に直接
露出する度合いが著しく高くなり)、本発明フィルムに
比べ表面に極めて脆いものしか得られない。
【0021】そして、上記のような、熱可塑性樹脂Aの
フィルム層と熱可塑性樹脂Bのフィルム層との積層構成
のフィルムに、内側より外側が軟質なシェルコア構造の
粒子からなる突起を有する層(C層)が積層されて本発
明の積層フィルムが完成する。
【0022】積層構成としては、A/B/C、A/B/
A/C、C/A/B/A/Cのいずれでもよいが中でも
特に、A/B/Cが好ましい。本発明フィルムを磁気記
録媒体として用いる時には、磁性層はC層側に設けるこ
とが好ましい。
【0023】上記C層の積層は、二軸配向熱可塑性樹脂
フィルム製造工程における、各工程で可能であるが、C
層が極薄層であることから、C層積層後C層またはフィ
ルム全体として成型固定されるまでに、C層表面にロ−
ル等が接触しないようにするのが好ましい。したがっ
て、たとえば、長手方向延伸、つづいて幅方向延伸を行
う逐次二軸延伸における幅方向延伸前あるいは幅方向延
伸後、あるいは同時二軸延伸における延伸前等において
C層を積層することが好ましい。積層は、フィルム連続
製造工程中でコ−ティングする、いわゆるインラインコ
−ティング等が工業的には好ましいが、オフラインで専
用の別工程にて行っても良い。
【0024】C層として本発明の内部より外部が軟質な
シェルコア構造の粒子からなる突起層を積層することに
より、ベ−スフィルムとの相乗効果により、易滑平滑
性、易接着性、耐削れ性等に優れると共に、磁気記録媒
体等に使用した場合の磁性層との密着性、電磁特性、、
磁性面の耐久性等をより一層向上させることができる。
本発明におけるシェルコア構造からなる粒子(以下、シ
ェルコア粒子と略称することがある)とは、内外部のそ
れぞれが性質の異なるポリマで構成される多層構造のポ
リマ微粒子をいう。この場合多層とは2層以上のことを
いい、性質が径方向に連続的に変化するものであっても
良い。外部(以下、シェル部と略称することがある)は
フィルム上に塗布後フィルム基部と反応し、または熱処
理を行うことにより反応、溶融、軟化もしくは変形しフ
ィルム基部に固着する機能を有し、内部(以下、コア部
と略称することがある)はシェル部とともにフィルムに
適度の滑り性を与える、いわゆる粒子としての機能を担
うと考えられる。上記シェル、コア部それぞれの機能分
担の観点から、シェル部にはフィルム基部との親和性に
優れ、かつ製膜熱処理温度での適切な物理的、化学的、
熱的性質を持つことが要求され、コア部には機械的摩擦
等によって変形せず、シェル部に対して相対的に大なる
硬度を持つことが求められる。
【0025】かかる機能を実現するためのポリマ組成と
してはシェル部については熱可塑性樹脂が一般的に好ま
しく、特にアクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂等が好
ましい。さらにフィルム基部との親和性を高めるため、
その分子中に任意の割合でフィルム基部との反応性もし
くは親和性を有する官能基、具体的にはカルボキシル
基、水酸基、グリシジル基、アミド基、エポキシ基、イ
ソシアネ−ト基等を導入しても良い。これらの官能基は
単独、場合によっては二種以上併用しても良い。またシ
ェル部のガラス転移温度(以下、Tgと略称する)は好
ましくは80℃以下、さらに好ましくは40℃以下が良
い。Tgが80℃を超えるとシェルコア粒子のフィルム
上からの脱落が目立つようになる。かかる上記組成のポ
リマをシェル部に使用することにより優れた耐削れ性を
発現することができる。中でも、コア部ポリマとの親和
性、基板に対する密着性、突起ホ−ルド性、易滑性など
の点からアクリルおよび/またはポリエステルが好まし
く用いられる。このアクリルも特に限定されるものでは
なく、単独あるいは共重合体のいづれでも良いが、ガラ
ス転移点あるいは造膜温度などの変更が容易なことから
共重合体が好ましく用いられる。例えば、、メチルメタ
クリレ−ト(以下、MMAと略称することがある)、エ
チルアクリレ−ト(以下、EAと略称することがあ
る)、ブチルアクリレ−トなどがその代表的なものであ
る。必要に応じてアクリル酸(以下、AAと略称するこ
とがある)、N−メチロ−ルアクリルアミド(以下、N
−MAMと略称することがある)などの架橋性単量体を
適当なモル比で共重合することは本発明の効果を損なわ
ない範囲で可能である。これにより三元あるいは四元ア
クリル共重合体が得られる。また、シェル部を構成する
ポリエステルとしては、分子内に極性の高いグル−プと
疎水性のグル−プとが組合わさったものが好ましい。極
性グル−プとして水酸基、酸基、エ−テル、エステル
基、エポキシ、スルホン酸基、ウレタン結合等、疎水性
部分としては脂肪族鎖、芳香族鎖等を含むものが良く、
ポリエステルエ−テル共重合体、ポリエチレングリコ−
ル.スルホン酸アルカリ金属塩を含むポリエステル共重
合体等が使用できる。
【0026】一方、コア部については尿素樹脂、メラミ
ン樹脂、フェノ−ル樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエ
ステル樹脂、アルキド樹脂、ウレタン樹脂等の熱硬化性
樹脂が使用しうるが、特にジビニルベンゼン系樹脂、ポ
リスチレン系樹脂、アクリル系樹脂、あるいは強度を高
めるためそれらの樹脂の同種または異種同士の高架橋お
よび/または架橋性ポリマが望ましい。高架橋ポリマと
しては、例えばスチレン/ジビニルベンゼン二元共重合
体、スチレン/ジビニルベンゼン/エチレンジビニルベ
ンゼン三元共重合体などの有機粒子が挙げられるが、こ
れらに限定されるものではない。また、架橋性ポリマと
しては特に限定されるものではないが、自己架橋性ポリ
マあるいは架橋性ポリマからなるものが突起形成能にお
いて特に好ましい。自己架橋性ポリマとは、分子中に架
橋性官能基を有し、熱または光により架橋反応を行い、
三次元網目構造を生成しうるものであり、代表的な例と
してはアクリルを挙げることができるがこれに限定され
るものではない。しかし、該突起の微細化、形成される
突起数、易滑性、透明性などの点で本発明ではアクリル
が好ましく用いられる。また、架橋性ポリマとして好ま
しい自己架橋性アクリル系共重合体としては、官能基含
有ビニル重合性単量体、炭化水素系ビニル重合性単量
体、炭化水素系非共役ジビニル重合性単量体などの共重
合化合物が挙げられるが、本発明においては、官能基含
有ビニル重合性単量体の共重合体が好ましく用いられ
る。官能基含有ビニル重合性単量体としては、例えばア
クリル酸、メタクリル酸、アクリルアミド、メタクリル
アミド、N−メチロ−ルアクリルアミド、N−ブトキシ
メチルアクリルアミド、2-ヒドロキシエチルメタクリレ
−ト、2-ヒドロキシエチルアクリレ−ト、ヒドロキシプ
ロピルアクリレ−ト、3-クロロ-2- ヒドロキシプロピル
メタクリレ−トなどが挙げられ、これらの中から選択さ
れるが特に限定されるものではない。また、該突起に
は、架橋性ポリマが70重量%以上、好ましくは80重
量%以上、より好ましくは90重量%以上含むものが好
ましい。また、架橋ポリマとは架橋成分により既に架橋
されたポリマであり、ポリマ種は特に限定されないが、
本発明においてはアクリルが好ましく用いられる。かか
る突起を前記フィルム基体の少なくとも片面に設けるの
であるが、この中で両面に設ける場合は、以下に述べる
突起の説明は少なくとも一方に適用されるものである。
本発明における高架橋ポリマとは、前述したように、ス
チレン/ジビニルベンゼン二元共重合体、スチレン/ジ
ビニルベンゼン/エチレンジビニルベンゼン(共重合比
は例えば45/50/5wt%)三元共重合体などであ
り、通常のポリエステル製膜温度においては熱変形しな
いものが好ましい。
【0027】シェル部ポリマとコア部ポリマの特に好ま
しい組み合わせとしては、シェル部ポリマとして、アク
リル樹脂、あるいはポリエステル樹脂、コア部ポリマと
して架橋性および/または高架橋アクリル、スチレン/
ジビニルベンゼン共重合体が挙げられる。
【0028】シェル粒子が2層で構成される場合、その
シェル/コア重量比は自由に選択しうるが、好ましくは
100/1〜1/10、さらに好ましくは10/1〜1
/3が好ましい。シェル/コア重量比が100/1より
大きくなると多層構造を持たない有機粒子としての性質
をより強く帯びるようになり、熱や機械的摩擦による変
形が大きくなる。また1/10より小さくなると無機粒
子的な性質が強くなり、フィルムとの固着性低下、該粒
子の脱落等が顕著となる。いづれの場合もフィルムの加
工性に悪影響を及ぼし易い。粒子の形状としては、球
形、楕円形、長方体形、立方体形等いずれであってもよ
いが、特に球形粒子が好ましい。平均粒径は3〜100
nm、より好ましくは5〜50nmの範囲にあって粒度
分布が均一であるものが好ましい。平均粒径が3nmを
下回ると滑り性、耐削れ性が悪化し、ロ−ル状に巻取っ
た場合ブロッキング現象が発生しやすくなる。また平均
粒径が100nmを超えると磁気記録テ−プに加工した
場合、磁気ヘッドとのスペ−シングが大きくなり高密度
の磁気記録媒体として供することが困難となる場合があ
る。
【0029】本発明のシェルコア構造の粒子からなる突
起を得るには、シェルコア粒子を含有した塗剤を基体フ
ィルム上に塗布した後乾燥し、横延伸することで可能で
ある。本発明のシェルコア構造の粒子からなる突起にお
いては、コア部として高架橋および/または架橋性ポリ
マからなる硬質のものを用いるためその突起形成能が高
く、さらに突起の周辺を熱可塑性高分子等の軟質のもの
で包含する構造であるため、突起の脱落が少なく削れに
対しても強い突起を形成することができる。高架橋ポリ
マおよび/または架橋性ポリマ等の硬質のもの単独で突
起を形成した場合、突起の脱落や突起高さが高過ぎるな
どの欠点が生じる。逆に熱可塑性ポリマ等の軟質のもの
のみで突起を形成しようとすると、熱による変形が大き
過ぎて突起形成能が著しく劣り、均一突起を形成し難い
ので好ましくない。また、高架橋ポリマおよび/または
架橋性ポリマ等の硬質のものに熱可塑性ポリマ等をブレ
ンドして突起を形成しようとすると、シェルコア構造の
粒子に見られるコア部ポリマとシェル部ポリマのインタ
−ラクションが不十分なため、コアの周辺にボイド(い
わゆる空隙)を生じるため透明性を損なったり、凝集力
不足による粒子の脱落などが生じるので好ましくない。
【0030】本発明のシェルコア構造の粒子の製造方法
は特に限定されるものではなく、通常の乳化重合を用い
て容易に製造することができる。例えば、まず重合体粒
子の核(コア)部分を形成するモノマ、乳化剤、重合開
始剤および水の系で第一段乳化重合を行い、重合が実質
的に終了した後、殻(シェル)部分を形成するモノマと
重合開始剤を添加し、第二段乳化重合を行う。この際、
生成する合成樹脂粒子を2層構造とするため、第二段乳
化重合においては乳化剤を添加しないか、あるいは添加
したとしても新しい粒子を形成しない程度の量にとど
め、第一段乳化重合で形成された重合体粒子においては
実質的に重合が進行するように配慮するのが有利であ
る。本発明の高架橋あるいは架橋性ポリマをコア(核)
として、その周りに熱可塑性ポリマ(シェル)を付加さ
せたシェルコア構造の粒子は以上述べたような二段階乳
化重合などのプロセスによって得られる。
【0031】本発明のシェルコア構造粒子の形態は特に
限定されるものではないが、衛生環境、防爆、突起形成
の均一性、安定性、ハンドリング性など種々の面から水
分散体が好ましく用いられる。水分散体の固形分は特に
限定されないが、水分散体の安定性、保存性、凝集防止
などから50wt%以下が通常好ましい。
【0032】本発明のシェルコア構造粒子のフィルム基
体への塗布においては、耐削れ性などの観点から他の無
機粒子、有機粒子、無機コロイドなどを含有しないこと
が好ましいが、本発明の積層フィルムの特性を損なわな
い範囲であるなら少量添加しても差し支えない。その場
合、粒子の添加量は、樹脂100重量部に対して10重
量部以下が好ましく、5重量部以下がより好ましい。ま
た、本発明の効果を損なわない範囲であるなら、突起の
平滑性、易滑性、接着性などを向上するために、シェル
コア構造粒子にメチルセルロ−ス、エチルセルロ−スな
どのセルロ−ス系高分子あるいは各種界面活性剤、各種
カップリング剤(シラン、チタンなど)などを添加して
も良い。添加量はシェルコア構造粒子の固形分に対して
1〜30%、好ましくは3〜20%の範囲が好ましい。
【0033】本発明では、突起の平滑性、粒子形態など
を損なわないためには、シェルコア構造粒子のみで突起
を形成することが好ましいが、密着性、機械強度をより
良化せしめるために、突起に水溶性及び/または水分散
性の共重合ポリエステルや架橋結合剤を含有しても良
い。
【0034】本発明における水溶性または水分散性の共
重合ポリエステルとは特に限定されるものではないが、
酸成分として芳香族ジカルボン酸を60モル%以上とす
ることが耐ブロッキング性、耐削れ性などから好まし
い。芳香族ジカルボン酸としては特に限定されることは
ないが、好ましいジカルボン酸としてはテレフタル酸、
イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸である。他のジ
カルボン酸成分としては、水溶性あるいは水分散性とす
るためのエステル形成性スルホン酸アルカリ金属塩化合
物を全酸成分に対して1〜40モル%添加することが好
ましい。エステル形成性スルホン酸アルカリ金属塩化合
物としては特に限定されないが、例えばスルホテレフタ
ル酸、5−スルホイソフタル酸、2−スルホイソフタル
酸、4−スルホイソフタル酸、4−スルホナフタレン−
2,6−ジカルボン酸等のアルカリ金属塩を挙げること
ができ、なかでも5−スルホイソフタル酸、スルホテレ
フタル酸のリチウム、ナトリウム、カリウム塩がより好
ましく用いられる。
【0035】本発明の共重合ポリエステルのグリコ−ル
成分は特に限定されるものではないが、炭素数2〜8の
脂肪族グリコ−ルおよび/または炭素数6〜16の肪環
族グリコ−ル80〜99モル%、ジエチレングリコ−ル
1〜20モル%が好ましく用いられる。
【0036】炭素数2〜8の脂肪族グリコ−ルおよび/
または炭素数6〜16の肪環族グリコ−ルが80モル%
未満あるいはジエチレングリコ−ルが20モル%を超え
た場合は耐ブロッキング性、易滑性等の特性が劣るよう
になるので好ましくない。一方、炭素数2〜8の脂肪族
グリコ−ルおよび/または炭素数6〜16の肪環族グリ
コ−ルが99モル%を超えるか、あるいはジエチレング
リコ−ルが1モル%未満の場合は耐ブロッキング性は良
好であるものの、水溶性および/または水分散性、接着
性に劣る。
【0037】本発明の炭素数2〜8の脂肪族グリコ−ル
および/または炭素数6〜16の肪環族グリコ−ルとし
ては、例えばエチレングリコ−ル、1,2−プロパンジ
オ−ル、1,3−プロパンジオ−ル、ネオペンチルグリ
コ−ル、1,3−ブタンジオ−ル、1,4−ブタンジオ
−ル、1,5−ペンタンジオ−ル、1,6−ヘキサンジ
オ−ル、1,2−シクロヘキサンジメタノ−ル、1,3
−シクロヘキサンジメタノ−ル、1,4−シクロヘキサ
ンジメタノ−ル等のグリコ−ルを挙げることができる。
好ましい炭素数2〜8の脂肪族グリコ−ルおよび/また
は炭素数6〜16の肪環族グリコ−ルとしては、エチレ
ングリコ−ル、ネオペンチルグリコ−ル、1,4−ブタ
ンジオ−ル、1,4−シクロヘキサンジメタノ−ルであ
る。これらのグリコ−ルは1種のみ用いても良く、また
2種以上併用しても良い。なお、本発明におけるジエチ
レングリコ−ルは、通常エチレングリコ−ルをグリコ−
ル成分とするポリエステルの製造の際に副生するジエチ
レングリコ−ルを含むものである。
【0038】本発明の水溶性共重合ポリエステルには上
述の酸成分およびグリコ−ル成分以外に、ポリオキシア
ルキレングリコ−ルを添加しても良い。ポリオキシアル
キレングリコ−ルの添加量は通常10〜20wt%であ
る。通常の水溶性あるいは水分散性共重合ポリエステル
は、エステル形成性スルホン酸アルカリ金属塩化合物を
共重合成分としているため、剥離帯電あるいは工程帯電
は強いマイナス帯電を示すが、帯電列においてポリエチ
レンテレフタレ−トよりプラス側にあるポリオキシアル
キレングリコ−ルを添加することにより、このマイナス
帯電を回避し、工程帯電においてプラスマイナスゼロと
なるようになるので好ましい。
【0039】ポリオキシアルキレングリコ−ル成分の種
類は特に限定されることはないが、優れた接着性、水溶
性、帯電防止性を兼備させる点からポリオキシアルキレ
ングリコ−ル成分の数平均分子量400〜10000が
好ましい。このようなポリオキシアルキレングリコ−ル
成分としては、例えばポリエレングリコ−ル、ポリプロ
ピレングリコ−ル、ポリテトラメチレングリコ−ルなど
を挙げることができる。なかでも水溶性、帯電防止性、
接着性の点からポリエレングリコ−ルが好ましい。
【0040】本発明のポリオキシアルキレングリコ−ル
成分を共重合ポリエステルに含有させる方法は特に限定
されるものではなく、例えばポリオキシアルキレングリ
コ−ル成分を共重合ポリエステルの製造工程の任意の段
階で添加する方法、あるいは共重合ポリエステルとポリ
オキシアルキレングリコ−ル成分とを押出機等を用いて
溶融混練りする方法等を挙げることができる。この際、
ポリオキシアルキレングリコ−ル成分は粉体、溶融ある
いは溶液状態等任意の方法で添加することができる。
【0041】また、本発明の水溶性共重合ポリエステル
の固有粘度は特に限定されるものではないが、接着性の
点で0.3dl/g以上が好ましく、さらには0.4d
l/g以上が好ましい。
【0042】また、該水溶性共重合ポリエステルには必
要に応じて、難燃剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、顔料、
染料、脂肪酸エステル、ワックスなどの有機滑剤あるい
はポリシロキ酸などの消泡剤を配合してもよく、さらに
は滑り性などを付与する目的でクレ−、マイカ、酸化チ
タン、炭酸カルシウム、カオリン、湿式および乾式法シ
リカ、コロイド状シリカ、リン酸カルシウム、硫酸バリ
ウム、アルミナなどの無機粒子、さらにはアクリル酸
類、スチレンなどを構成成分とする有機粒子等を配合し
ても良い。
【0043】本発明における水溶性あるいは水分散性共
重合ポリエステルの役割は、内部より外部が軟質なシェ
ルコア構造の粒子からなる突起を形成する際に、ポリエ
ステルフィルム基体上に該突起をより強固に接着する役
割を担うものであり、さらに突起全体を水溶性あるいは
水分散性の共重合ポリエステルの被膜が覆うため粒子の
脱落を防止し、突起の高さを調節する効果もある。
【0044】また、シェルコア構造粒子と該共重合ポリ
エステルの固形分比率は、95/5〜5/95、好まし
くは80/20〜20/80の範囲である。該共重合ポ
リエステルの比率が低過ぎると突起ホ−ルド性に劣る傾
向にあり、逆に高過ぎると表面粗度の上昇を招き、粒子
の凝集が発生しやすくなる。
【0045】本発明でいう架橋結合剤とは、アクリル系
共重合体に存在する官能基、例えば、ヒドロキシル基、
カルボキシル基、グリシジル基、アミド基などと架橋反
応し、最終的には三次元網目構造を有するための架橋剤
であれば特に限定されないが、代表例としてはメチロ−
ル化、あるいはアルキロ−ル化した尿素系、メラミン
系、アクリルアミド系、ポリアミド系樹脂、およびエポ
キシ化合物、イソシアネ−ト化合物、アジリジン化合物
などを挙げることができる。その中でも基体フィルムと
の密着性、機械強度などの点でメチロ−ル化メラミン、
イソシアネ−ト化合物が好ましい。これらの架橋結合剤
は単独、場合によっては二種以上併用しても良い。添加
する架橋結合剤の量は架橋剤の量によって適宜選択され
るが通常は樹脂固形分100重量部に対し0.01〜5
0重量部が好ましく、0.1〜30重量部がより好まし
い。添加量が0.01重量部未満では架橋効果が低く、
50重量部を超えるものは突起の密着性が低下したり、
さらには塗布性が悪化し均一層を形成し難い。また、架
橋結合剤に架橋触媒を併用しても良い。架橋触媒として
は塩類、無機物質、有機物質、酸物質、アルカリ物質な
ど公知のものを用いることができる。添加する架橋触媒
の量は、樹脂固形分100重量部に対し0.01〜10
重量部、好ましくは0.1〜5重量部である。架橋剤を
加えた塗剤は基体フィルムに塗布後、加熱、紫外線、電
子線などによって架橋されるが、通常は加熱による方法
が一般的である。
【0046】本発明における突起とは、基体ポリエステ
ルフィルム表面上に形成された粒状のシェルコア構造粒
子からなるもので、シェルコア構造粒子とすることによ
り、コア部ポリマは高架橋あるいは架橋性ポリマゆえに
微細均一突起としての形態を保ちつつ、シェル部ポリマ
に包含されつつ、シェル部ポリマが加熱溶融あるいは加
熱軟化により基体ポリエステルフィルムに密着し、基体
ポリエステルフィルムとの間での凝集力等で接着される
ことにより形成される。また、シェル部ポリマは核とな
るコアポリマの高さ調整の役割も果たしている。
【0047】本発明における基体フィルムであるポリエ
ステルフィルムの厚みは特に限定されるものではない
が、1〜500μm、好ましくは3〜250μmの範囲
が基体フィルムとしての実用面での取り扱い性に優れて
いる。またポリエステルフィルムの表面粗さ(Ra)や
光学ヘイズは特に限定されるものではないが、表面粗さ
(Ra)は0.03μm以下、好ましくは0.01μm
以下であるのが望ましい。本発明フィルムを構成するシ
ェルコア構造粒子からなる突起とは、突起を含む積層厚
みが0.0001〜0.1μmが好ましく、0.001
〜0.05μmの範囲がより好ましい。積層厚みが0.
0001μm未満では均一積層が難しいのみならず易滑
性のある突起が得難い。0.1μmを超えるものは突起
が造膜性を持つようになり、突起が出来難くなるので好
ましくない。また、該突起には、基体ポリエステルフィ
ルムや磁性層との接着促進剤としてエポキシ化合物、ア
ジリジン化合物、ビニル化合物などの反応性化合物やシ
ランカップリング剤等を含有せしめても良い。さらに必
要に応じて、本発明の効果を損なわない量での公知の添
加剤、例えば塗布性改良剤、帯電防止剤、酸化防止剤、
紫外線吸収剤、防錆剤、染料、消泡剤などを含有しても
良い。
【0048】本発明におけるシェルコア構造粒子からな
る突起が単位面積あたりに占める個数は、好ましくは1
×106 個/mm2 以上であり、より好ましくは1×1
7個/mm2 以上、さらに好ましくは5×107 個/
mm2 以上である。この値以上であると強磁性薄膜を形
成させた場合、形成面での易滑性が十分となり、また、
電磁変換特性がより良好となる。
【0049】また、本発明のフィルムは該突起が一方向
に配向した後、更に同方向に延伸(再横延伸)して配向
を強化してその後熱処理されることが望ましく、この延
伸・再延伸・熱処理作用によって突起がより均一化、微
細化できるので望ましい。
【0050】次に本発明フィルムの製造方法について説
明する。
【0051】まず、熱可塑性樹脂Aに粒子を含有せしめ
る方法としては、重合後、重合中、重合前のいずれでも
良いが、ポリマにベント方式の二軸押出機を用いて練り
込む方法が、本発明範囲の表面形態のフィルムを得るの
に有効である。また、粒子の含有量を調節する方法とし
ては、上記方法で高濃度マスタを作っておき、それを製
膜時に粒子を実質的に含有しない熱可塑性樹脂で希釈し
て粒子の含有量を調節する方法が、本発明範囲の表面形
態のフィルムを得るのに有効である。さらにこの粒子高
濃度マスタポリマの溶融粘度、共重合成分などを調節し
て、その結晶化パラメ−タ△Tcgを30〜80℃の範囲に
しておく方法は延伸破れが少なく、本発明範囲の表面形
態のフィルムを得るのに有効である。
【0052】かくして、粒子を含有するペレットAを十
分乾燥した後、公知の溶融押出機に供給し、スリット状
のダイからシ−ト状に押出し、キャスティングロ−ル上
で冷却固化せしめて未延伸フィルムを作る。すなわち、
2または3台の押出機、2または3層用の合流ブロック
あるいは口金を用いて、これらの熱可塑性樹脂を積層す
る。合流ブロック方式を用いる場合は積層部分を前述の
如く矩形のものとし、両者の熱可塑性樹脂の粘度の差
(絶対値)を0〜2000ポイズ、好ましくは0〜1000ポイ
ズの範囲にしておくことが本発明範囲の表面形態のフィ
ルムを安定して、幅方向の斑なく、工業的に製造するの
に有効である。
【0053】次にこの多層の未延伸フィルムを70〜1
20℃で2.0〜5.0倍延伸したフィルム上に、本発
明のシェルコア構造粒子を所定量に調製した塗剤を塗布
し、塗膜を乾燥させて所定の塗布層を設けた後70〜1
50℃で2.0〜5.0倍横延伸する。また、必要に応
じて再横延伸しても良い。、さらに二軸配向フィルムは
150〜250℃で0〜10%弛緩を与えつつ1〜60
秒熱処理する。塗布方法は特に限定されないが、高速で
薄膜コ−トすることが可能であるという理由から水分散
化させた塗剤のグラビアコ−ト法、リバ−スコ−ト法、
キッスコ−ト法、ダイコ−ト法、メタリングバ−コ−ト
法などの公知の方法を適用するのが好適である。この
際、フィルム上には塗布する前に必要に応じて空気中あ
るいはその他種々の雰囲気中でのコロナ放電処理などの
公知の表面処理を施しても良い。なお、塗剤濃度、塗膜
乾燥条件は特に限定されないが、塗膜乾燥条件はポリエ
ステルフィルムの諸特性に悪影響を及ぼさない範囲で行
うのが好ましい。なお、本発明の突起を得るには、熱処
理後の積層フィルムにおける塗布量は0.0001〜
0.1g/mm2 、好ましくは0.0005〜0.05
g/mm2 、より好ましくは0.001〜0.1g/m
2 の範囲が望ましい。塗布量が0.0001g/mm
2 以下では突起数が少なく十分な易滑性を付与すること
が難しい場合があり、0.1g/mm2 以上では突起が
造膜性を持つようになり、突起の形成が難しくなる場合
がある。なお、塗料組成としては、水溶性あるいは水分
散性共重合ポリエステルは、水中に共重合ポリエステル
を0.5〜10重量%程度含むものが好ましい。水溶性
共重合ポリエステル塗料は、例えば80〜90℃程度の
温湯に水溶性共重合ポリエステルを加え、撹拌すること
により調製することができる。上記共重合ポリエステル
塗料とシェルコア構造粒子塗料とは混合後、ポリエステ
ルフィルムに塗布することが好ましい。
【0054】以上のようにして本発明の積層フィルムを
作ることができる、この積層ポリエステルの該突起形成
面に強磁性薄膜層を設けることにより強磁性薄膜型磁気
記録媒体を製造することができる。ここで強磁性薄膜と
は、鉄、コバルト、ニッケルのような強磁性金属あるい
は、Fe−Co,Fe−Ni,Fe−Rh,Fe−C
u,Fe−Au,Co−Cu,Co−Au,Co−Y,
Co−La,Co−Pr,Co−Gd,Co−Sn,C
o−Pt,Ni−Cu,Fe−Co−Nd,Mn−B
i,Mn−Sn,Mn−Alのような磁性合金を真空蒸
着法、イオンプレ−ティング法、スパッタリング法、イ
オンビ−ムデポジション法、電解蒸着法、電解メッキ法
等によってフィルム上に形成したものである。本発明の
積層フィルムに適用する強磁性薄膜は、前記のどのよう
な方法によって製造されたものでも勿論用いることがで
きるが、蒸着方向が長手方向に傾斜(90°〜30°)
し幅方向には傾斜していないので、雰囲気としてO2
たはO2 とArを導入しながら1×10-4Torrで蒸着し
たものが好ましく用いられる。また、強磁性薄膜の厚み
は、通常0.01〜1μm、好ましくは0.05〜0.
3μmが用いられる。このように、透明性、易滑性、平
滑性、易接着性などに優れているため、磁気材料、グラ
フィック、写真フィルム、包装用フィルム、トレ−シン
グ、電気絶縁材料用途などに好適である。
【0055】かくして得られた積層フィルムの巻取性、
スリット性は良好であり、磁気記録材料、特に蒸着用な
どの無機質被覆用基材フィルムとして好適に使用される
ものである。
【0056】
【特性値の測定方法および評価方法】本発明における特
性の測定方法および効果の評価方法は次の通りである。
【0057】(1)粒子の平均粒径、粒子数 フィルムからポリマをプラズマ低温灰化処理法で除去
し、粒子を露出させる。処理条件はポリマは灰化される
が粒子は極力ダメ−ジを受けない条件を選択する。その
粒子を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察し、粒子画像
をイメ−ジアナライザ−で処理する。SEMの倍率はお
よそ2000〜10000倍、また、1回の測定での視
野は一辺がおよそ10〜50μmから適宜選択する。観
察箇所を変えて粒子数5000個以上で、粒径とその体
積分率から、次式で体積平均径dを得る。
【0058】d=Σdi・Nvi ここで、diは粒径、Nvi はその体積分率である。
【0059】粒子数は、積層厚みと平均粒径の関係を満
たすものについて、体積分率から求め、mm2 に換算す
る。
【0060】粒子が有機粒子等で、プラズマ低温灰化処
理法で大幅にダメ−ジを受ける場合には、以下の方法を
用いても良い。
【0061】フィルム断面を透過型電子顕微鏡(TE
M)を用い、3000〜100000倍で観察する。T
EMの切片厚さは約1000オングストロームとし、場
所を変えて500視野以上測定し、上記の式から体積平
均径dを求める。
【0062】(2)積層ポリエステル層の厚さ(最外層
の厚さ:t) 2次イオン質量分析装置(SIMS)を用いて、表層か
ら深さ3000nmの範囲のフィルム中の粒子の内もっ
とも高濃度の粒子に起因する元素とポリエステルの炭素
元素の濃度比(M+ /C+ )を粒子濃度とし、表面から
深さ3000nmまで厚さ方向の分析を行なう。表層で
は表面という界面のために粒子濃度は低く表面から遠ざ
かるにつれて粒子濃度は高くなる。本発明フィルムの場
合は一旦極大値となった粒子濃度がまた減少し始める。
この濃度分布曲線をもとに表層粒子濃度が極大値の1/
2となる深さ(この深さは極大値となる深さよりも深
い)を求め、これを積層厚さとした。条件は次の通り。
【0063】測定装置 2次イオン質量分析装置(SIMS) 西独、ATOMIKA社製 A−DIDA3000 測定条件 1次イオン種 :O2 + 1次イオン加速電圧:12KV 1次イオン電流:200nA ラスタ−領域 :400μm□ 分析領域 :ゲ−ト30% 測定真空度 :6.0×10-9Torr E−GUN :0.5KV−3.0A なお、表層から深さ3000nmの範囲にもっとも多く
含有する粒子が有機高分子粒子の場合はSIMSでは測
定が難しいので、表面からエッチングしながらXPS
(X線光電子分光法)、IR(赤外分光法)などで上記
同様のデプスプロファイルを測定し積層厚さを求めても
良いし、また、電子顕微鏡等による断面観察で粒子濃度
の変化状態やポリマの違いによるコントラストの差から
界面を認識し積層厚さを求めることもできる。さらには
積層ポリマを剥離後、薄膜段差測定機を用いて積層厚さ
を求めることもできる。
【0064】(3)粒子の含有量 ポリマは溶解し粒子は溶解させない溶媒を選択し、粒子
をポリマから遠心分離し、粒子の全体重量に対する比率
(重量%)をもって粒子含有量とする。場合によっては
赤外分光法の併用も有用である。
【0065】(4)ガラス転移点Tg、冷結晶化温度T
cc、結晶化パラメ−タ△Tcg、融点 パ−キンエルマ−社製のDSC(示差走査熱量計)II型
を用いて測定した。DSCの測定条件は次の通りであ
る。すなわち、試料10mgをDSC装置にセツトし、300
℃の温度で5分間溶融した後、液体窒素中に急冷する。
この急冷試料を10℃/分で昇温し、ガラス転移点Tgを
検知する。さらに、昇温を続け、ガラス状態からの結晶
化発熱ピ−ク温度をもって冷結晶化温度Tccとした。
さらに昇温を続け融解ピ−ク温度を融点とした。また、
TccとTgの差(Tcc−Tg)を結晶化パラメ−タ
△Tcgと定義する。
【0066】(5)表面突起の平均高さ 2検出器方式の走査型電子顕微鏡[ESM−3200、エリ
オニクス(株)製]と断面測定装置[PMS−1、エリ
オニクス(株)製]においてフィルム表面の平坦面の高
さを0として走査した時の突起の高さ測定値を画像処理
装置[IBAS2000、カ−ルツァイス(株)製]に送
り、画像処理装置上にフィルム表面突起画像を再構築す
る。次に、この表面突起画像で突起部分を2値化して得
られた個々の突起の面積から円相当径を求め、これをそ
の突起の平均径とする。また、この2値化された個々の
突起部分の中で最も高い値をその突起の高さとし、これ
を個々の突起について求める。この測定を場所を変えて
500 回繰り返し、突起個数を求め、測定された全突起に
ついてその高さの平均値を平均高さとした。また、走査
型電子顕微鏡の倍率は、1000〜8000倍の間の値を選択す
る。なお、場合によっては、高精度光干渉式3次元表面
解析装置(WYKO社製TOPO−3D、対物レンズ:
40〜200 倍、高解像カメラ使用が有効)を用いて得られ
る高さ情報を上記SEMの値に読み替えて用いてもよ
い。
【0067】(6)表層粒子濃度比 2次イオンマススペクトル(SIMS)を用いて、フィ
ルム中の粒子に起因する元素の内のもっとも高濃度の元
素と熱可塑性樹脂の炭素元素の濃度比を粒子濃度とし、
厚さ方向の分析を行う。SIMSによって測定される最
表層粒子濃度(深さ0の点)における粒子濃度Aとさら
に深さ方向の分析を続けて得られる最高濃度Bの比、A
/Bを表層粒子濃度比と定義した。測定装置、条件は
(2)と同様である。
【0068】(7)単一粒子指数 フィルムの断面を透過型電子顕微鏡(TEM)で写真観
察し、粒子を検知する。観察倍率を100000倍程度にすれ
ば、それ以上分けることができない1個の粒子が観察で
きる。粒子の占める全面積をA、その内2個以上の粒子
が凝集している凝集体の占める面積をBとした時、(A
−B)/Aをもって、単一粒子とする。TEM条件は下
記の通りであり1視野面積:2μm2 の測定を場所を変
えて、500 視野測定する。
【0069】・装置:日本電子製JEM−1200EX ・観察倍率:100000倍 ・切片厚さ:約1000オングストロ−ム (8)粒径比 上記(1)の測定において個々の粒子の長径の平均値/
短径の平均値の比である。すなわち、下式で求められ
る。
【0070】長径=ΣD1i/N 短径=ΣD2i/N D1i、D2iはそれぞれ個々の粒子の長径(最大
径)、短径(最短径)、Nは総個数である。
【0071】(9)耐スクラッチ性 フィルムを幅1/2インチのテ−プ状にスリットしたも
のをテ−プ走行試験機を使用して、ガイドピン(表面粗
度:Raで100nm)上を走行させる。(走行速度10
00m/分、走行回数10パス、巻き付け角:60°、走行張
力:70g)。このとき、フィルムに入った傷を顕微鏡で
観察し、幅2.5 μm以上の傷がテ−プ幅あたり2本未満
は優、2本以上10本未満は良、10本以上は不良と判定し
た。優が望ましいが、良でも実用的には使用可能であ
る。
【0072】(10)耐削れ性 積層ポエリエステルフィルムを30cm長さ、幅1/2
インチのテ−プ状にスリットしたものにレザ−刃を垂直
に押し当て、さらに0.5 mm押し込んだ状態で、荷重50
0 g/0.5 インチ、速度2m/分で走行させた時に、レ
ザ−刃に付着した削れ粉の深さ方向の幅を顕微鏡写真撮
影(×160倍)して求めた。削れ粉の深さ方向の幅が
2μm未満を(◎)、2μm以上5μm未満を(○)、
5μm以上を(×)とした。当然のことながら削れ粉の
付着深さが小さいほど、耐削れ性に優れていることは言
うまでもない。
【0073】 (11)共重合ポリエステルの極限粘度:[η] o−クロロフェノ−ル溶媒を用い、25℃で測定した。
【0074】 (12)易滑性(静摩擦係数μs 、動摩擦係数μd ) フィルム同士の摩擦係数は、ASTM−D−1894−
63に準じ、静摩擦係数μs を測定した。判定基準は、
μs が2.0以上は(×)、1.6以上2.0未満は
(△)、1.2以上1.6以下は(○)、1.2以下は
(◎)とした。
【0075】フィルムと金属ポストとの動摩擦係数μK
の測定は、動摩擦係数器(TBT−300,横浜システ
ム研究所製)を用い、25℃、相対湿度50%の雰囲気
下で、コ−ティング面あるいは強磁性薄膜面を外形8m
mφのSUS420J2、表面粗度0.2Sのポストに
巻き付け角180°で接触させ、3.3cm/secの
速さで移動させた後、入り側張力T1が25gとなるよ
うに張力をコントロ−ルして出側張力T2の値(g)か
ら次式で動摩擦系数μK を算出する。
【0076】μK =(2/π)ln(T2/T1) =0.637ln(T2/T1) (13)易接着性 ベルジャ−型真空蒸着装置(日本真空技術(株))製E
BH−6型)を用いて約1×10-5Torrの真空度でアル
ミニウム蒸着面にニチバン(株)製セロファン粘着テ−
プを張り合わせ、ハンドロ−ラ−を用いて約5Kgの荷
重をかけ圧着後、180°方向に強制剥離した後のアル
ミニウム残存付着面で評価した。評価判定の基準は、ア
ルミニウム蒸着膜層残存付着面積が95%以上を非常に
良好(◎)、90%以上95%未満を良好(○)、75
%以上90%未満をやや劣る(△)、75%未満を不良
(×)とした。該残存付着面積が大きいほど接着性は優
れている。
【0077】(14)粒状突起の個数、形状 FE−SEM(電解放射型走差型電子顕微鏡、日立
(株)製S−800型)を使用して、加速電圧10K
v、試料傾斜角度30°で写真撮影して粒状突起の数を
カウントし面積換算によりmm2 当たりの個数を算出し
た。
【0078】また、(株)小坂研究所製の非接触三次元
微細形状測定器ET−30HK型を用いて突起高さ、平
均粗さ、平均深さ、最大粗さなどを測定した(いづれも
平均値として算出した)。
【0079】(15)突起の高さ、突起の径 原子間力顕微鏡(AFM)(Nanoscope II AFM De
gital Instruments 社製)を使用して、突起の高さ、突
起の径、二乗平均粗さ、最大最小粗さなどを算出した。
【0080】(16)磁性層の厚み 真空蒸着、スパツタリングなどによる磁性層の場合に
は、第二精工舎製の蛍光X線微小部膜厚計STF−15
6を用いて測定した。(nm) (17)走行耐久性 フィルムを幅1/2インチのテ−プ状にスリットしたも
のをテ−プ走行試験機STF−700型((株)横浜シ
ステム研究所製)を使用し、20℃、60%RH雰囲気
下で走行させ、初期の摩擦係数μK1と50回繰り返し
走行させた時の摩擦係数μK50を下記の式より求め
た。
【0081】μK=(2/π)ln(T2/T1) △μK=μK50−μK1 ここで、T1は入り側張力(50g)、T2は出側張力
である。ガイド系は6mmφであり、ガイド材質はSU
S27(表面粗度0.2S)、巻き付け角は90°、走
行速度は3.3cm/秒である。この測定によって得ら
れた△μKが0.03未満の場合は(◎)、0.03以
上0.04未満の場合は(○)、0.04以上0.06
未満の場合は(△)、0.06を越える場合は(×)と
判定した。
【0082】(18)電磁変換特性 試料磁気記録媒体を再生した時の出力信号を一画面分で
見た場合に、出力信号が強く、かつ信号波形がフラット
であるものを(良好)、出力信号が弱いか信号波形が変
形しているものを(不良)と判定した。
【0083】(19)フィルムの透明性(ヘイズ) JIS−K−6714により、日本精密光学(株)ヘイ
ズメ−タSEP−H−2で測定した。
【0084】(20)塗布層の厚み 日立製作所製透過型電子顕微鏡HU−12型を用い、積
層フィルムの超薄膜面切片を観察し、厚みを求めた。
【0085】(21)表面粗さ JIS−B−0601に従い、(株)小坂研究所製の触
針型表面粗さ計ET−10を用い、カットオフ0.02
5mm、測定長4mmで平均表面粗さRaを求めた。
【0086】(22)磁気テ−プにおけるドロップアウト
評価 作成した磁気テ−プにVTRを用い、TV試験信号発生
機(シバソク製TG−7/1型)からの信号を録画させ
た後、25℃、50%RHで100パス(120分×1
00パス)走行させた。このテ−プをドロップアウトカ
ウンタ−を用いて、ドロップアウトの幅が5μ秒以上
で、再生された信号の減衰がマイナス16dB以上のも
のをピックアップしてドロップアウトとした。測定は1
0巻について行い、1分間当たりに換算したドロップア
ウト個数が10個未満の場合はドロップアウト良好、1
0個以上の場合を不良とした。
【0087】(23)磁気記録媒体のS/N 磁気記録媒体をVTRカセットに組み込み8mmVTR
テ−プとした。このテ−プに家庭用VTRを用いてシバ
ソク製のTV試験波形発生器(TG7/U706)によ
り100%クロマ信号を記録し、その再生信号からシバ
ソク製カラ−ビデオノイズ測定機(925D/1)でク
ロマS/Nを測定した。このクロマS/Nを市販されて
いるHi8テ−プ(ハイバンド用8mmVTRテ−プ、
SONY製Hi8MP120)と比較して、S/Nが1
dB以上高い場合はS/N良好、1dB未満の場合はS
/N不良と判定した。
【0088】(24)磁性面の耐久性 上記テ−プをSONY製Hi8VTRを用いて40℃、
80%RHの条件で1000回再生、巻戻しを繰り返し
た後再度上記S/Nを測定し、S/Nの低下が走行前に
比べてさせ1dB未満の場合は耐久性良好、1dB以上
の場合は耐久性不良と判定した。
【0089】次に実施例に基づいて本発明を説明するが
必ずしもこれに限定されるものではない。
【0090】
【実施例】
実施例1 平均粒径の異なる架橋ポリスチレン粒子、コロイダルシ
リカに起因する球状シリカ粒子を含有するエチレングリ
コ−ルスラリ−を調製し、このエチレングリコ−ルスラ
リ−を190℃で1.5時間熱処理した後、テレフタル
酸ジメチルとエステル交換反応後、重縮合し、該粒子を
0.01〜55重量%含有するポリエチレンテレフタレ
−ト(以下PETと略記する)のペレットを作った。こ
のペレットを用いて熱可塑性樹脂Aを調製し、また、常
法によって、0.03μm径の球状シリカ粒子を0.3
重量%含有するPETを製造し、熱可塑性樹脂Bとし
た。これらのポリマをそれぞれ180℃で3時間減圧乾
燥(3Torr)した。熱可塑性樹脂Aを押出機1に供給し
285℃で溶融し、さらに、熱可塑性樹脂Bを押出機2
に供給、280℃で溶融し、これらのポリマを矩形積層
部を備えた合流ブロックで合流積層し、静電印加キャス
ト法を用いて表面温度30℃のキャスティング・ドラム
に巻き付けて冷却固化し、2層または両面に熱可塑性樹
脂A層を有する3層構造の未延伸フィルムを作った。こ
の時、それぞれの押出機の吐出量を調節し総厚さ、熱可
塑性樹脂A層の厚さを調節した(ただし比較例7はA層
単層、比較例8はB層単層)。この未延伸フィルムを温
度80℃にて長手方向に3.5倍延伸した。この延伸は
2組ずつのロ−ルの周速差で行なった。この一軸延伸フ
ィルムに、コア部が架橋性アクリルからなり、シェル部
が熱可塑性アクリルからなるシェルコア構造粒子(固形
分濃度30重量%、平均粒子径65nm、シェル/コア
比=1/1( 重量比) 、シェルTg=0℃、コアTg=
75℃)をさらに純水で希釈し、固形分濃度0.15重
量%の塗剤を調製した。この塗剤を、前記一軸延伸フィ
ルムの片面にメタリングバ−コ−ト法で塗布した後、該
塗布層を乾燥しつつ100℃で横方向に3.6倍延伸
し、さらに200℃で横方向に5%再延伸した後、横方
向に2%弛緩しつつ225℃で5秒間熱処理して、熱処
理後の積層フィルムにおける塗布量0.005g/m2
が積層された厚さ10μmの積層ポリエステルフィルム
を得た。この積層ポリエステルフィルムの各特性を表1
及び表2に示した。次いで、該フィルムに電子ビ−ム蒸
着法にてCo−Ni合金(Ni20重量%)を1500
オングストロ−ム斜め蒸着した。該ジョウチャクフィル
ムの蒸着面にトリクロロトリフルオロエタンの分散した
パ−フルオロポリアルキルエ−テル金属塩を固形分で約
30mg/m2 塗布し、さらに該フィルムの裏面にアル
キルリン酸エステルを含むポリイソシアネ−ト、ポリウ
レタンおよびニトロセルロ−スからなる混合物を乾燥後
の厚さが0.8μmになるように塗布してバックコ−ト
層を形成した後、1/2インチ幅にスリットして磁気テ
−プを得た。この磁気テ−プ特性を評価した結果を表1
に示した。
【0091】実施例2 実施例1に基づいて、実施例1と同様の塗剤で熱処理後
の積層フィルムにおける塗布量0.003g/mm2
積層された、積層フィルムを得た。次に実施例1と同様
の方法にて斜め蒸着後して磁気テ−プを得た。積層ポリ
エステルフィルムおよび磁気テ−プの特性を表1及び表
2に示した。表1に見るごとく積層フィルムが本発明の
範囲内にある場合は、走行性、特に繰り返し走行の耐久
性や電磁変換特性の良好な磁気記録媒体が得られるが、
本発明の範囲外(比較例1〜9)では、各特性が共に優
れた磁気記録媒体を得ることができないことが判る。
【0092】実施例3 実施例1に基づいて、実施例1と同様の塗剤で熱処理後
の積層フィルムにおける塗布量0.001g/mm2
積層された積層フィルムおよび磁気テ−プを得た。これ
らの特性を表1に示した。
【0093】実施例4 実施例1に基づいて、実施例1の塗剤に替えて、コア部
のポリマがスチレン/ シ゛ヒ゛ニルヘ゛ンセ゛ン/ エチレンシ゛ヒ゛ニルヘ゛ンセ゛ン=45/
50/5重量%の高架橋ポリマからなり、シェル部のポリマ
がアクリルからなるシェルコア構造粒子(固形分濃度1
0重量%、平均粒子径26nm、シェル/コア比=1.
5/1.0( 直径比) 、シェルTg=20℃)を更に純
粋で希釈し、固形分濃度0.1重量%の塗剤を調製し
た。その他は実施例1と全く同様にして積層フィルムを
得た。熱処理後の積層フィルムにおける塗布量は0.0
026g/m2 であった。以下、実施例1と同様に磁気
テ−プを得た。積層フィルムおよび磁気テ−プの特性を
表1に示した。
【0094】実施例5 実施例4の塗剤濃度を0.05重量%とした他は実施例
4とまったく同様にして熱処理後の積層フィルムにおけ
る塗布量0.0013g/m2 の積層フィルムおよび磁
気テ−プを得た。それらの特性を表1に示した。
【0095】実施例6 実施例4のコア部のポリマはそのままにして、シェル部
ポリマをポリエステルとした他は実施例4とまったく同
様にして、熱処理後の積層フィルムにおける塗布量0.
0026g/m2 の積層フィルムおよび磁気テ−プを得
た。それらの特性を表1に示した。
【0096】実施例7 実施例4に基づいて、実施例4で使用した塗剤の濃度を
0.015重量%(固形分)とし、さらに界面活性剤と
してト゛テ゛シルヘ゛ンセ゛ンスルホン酸ソ - タ゛を0.15重量%(固形
分)加えた他は実施例4と全く同様にして積層フィルムを得
た。熱処理後の積層フィルムにおける塗布量0.000
38g/m2 の積層フィルムおよび磁気テ−プを得た。
それらの特性を表1に示した。
【0097】実施例8 実施例1に基づいて、実施例1で用いたシェルコア構造
粒子を純粋で希釈し固形分濃度0.15重量%の塗剤を
調製した。さらに、テレフタル酸87.5モル%、5−
ナトリウムスルホイソフタル酸12.5モル%、グリコ
−ル成分としてエチレングリコ−ル94モル%、ジエチ
レングリコ−ル6モル%からなる水溶性共重合ポリエス
テルを水に溶解して固形分濃度0.5重量%の塗剤を調
製した。固形分濃度0.15重量%のシェルコア構造粒
子と固形分濃度0.5重量%の水溶性共重合ポリエステ
ルを1:1の重量比に採取し、良く混合して本発明の塗
剤とした。
【0098】この塗剤を前記一軸延伸フィルムの片面に
メタリングバ−コ−ト法で塗布した後、該塗布層を乾燥
しつつ90℃で横方向に3.5倍延伸し、さらに200
℃で横方向に5%再延伸した後、横方向に2%弛緩しつ
つ225℃で5秒間熱処理して、熱処理後の積層フィル
ムにおける塗布量0.017g/m2 が積層された厚さ
10μmの積層フィルムを得た。この積層フィルムの各
特性を表1および表2に示した。次いで、該フィルムに
電子ビ−ム蒸着法にてCo−Ni合金(Ni20重量
%)を1500オングストロ−ム斜め蒸着した。該ジョ
ウチャクフィルムの蒸着面にトリクロロトリフルオロエ
タンの分散したパ−フルオロポリアルキルエ−テル金属
塩を固形分で約30mg/m2 塗布し、さらに該フィル
ムの裏面にアルキルリン酸エステルを含むポリイソシア
ネ−ト、ポリウレタンおよびニトロセルロ−スからなる
混合物を乾燥後の厚さが0.8μmになるように塗布し
てバックコ−ト層を形成した後、1/2インチ幅にスリ
ットして磁気テ−プを得た。この磁気テ−プ特性を評価
した結果を表1に示した。
【0099】実施例9 実施例1に基づいて、実施例1の塗剤に替えてコア部の
ポリマがスチレン/ シ゛ヒ゛ニルヘ゛ンセ゛ン/ エチレンシ゛ヒ゛ニルヘ゛ンセ゛ン=45/50
/5重量%の高架橋ポリマからなり、シェル部のポリマが
アクリルからなるシェルコア構造粒子(固形分濃度10
重量%、平均粒子径26nm、シェル/コア比=1.5
/1.0( 直径比) 、シェルTg=20℃)を更に純粋
で希釈し、固形分濃度0.1重量%の塗剤を調製した。
【0100】さらに、テレフタル酸87.5モル%、5
−ナトリウムスルホイソフタル酸12.5モル%、グリ
コ−ル成分としてエチレングリコ−ル94モル%、ジエ
チレングリコ−ル6モル%からなる水溶性共重合ポリエ
ステルを水に溶解して固形分濃度0.7重量%の塗剤を
調製した。固形分濃度0.1重量%のシェルコア構造粒
子と固形分濃度0.7重量%の水溶性共重合ポリエステ
ルを1:1の重量比に採取し、良く混合して本発明の塗
剤とした。その他は実施例1と全く同様にして熱処理後
の塗布量が0.02g/m2 の積層フィルムおよび磁気
テ−プを得た。積層フィルムおよび磁気テ−プの特性を
表1に示した。
【0101】比較例1 塗剤として、直径が0.1μmのスチレン/ シ゛ヒ゛ニルヘ゛ンセ゛ン/
エチレンシ゛ヒ゛ニルヘ゛ンセ゛ン=45/50/5重量%の有機粒子水分散体を
熱可塑性アクリル樹脂の固形分100重量部に対して固
形分で0.3重量部添加した他は実施例1とまったく同
様にして、熱処理後の積層フィルムにおける塗布量が
0.003g/m2 の積層フィルムおよび磁気テ−プを
得た。各特性は表1に示す通りであり、本発明外の粒子
を使用したため形成した突起の脱落が多く、平滑性に劣
るフィルムであった。磁気テ−プ特性も良好なものでは
なかった。
【0102】比較例2 比較例1で使用した熱可塑性アクリル樹脂単独の塗剤を
用い、熱処理後の積層フィルムにおける塗布量を0.0
6g/m2 とした他は実施例1と同様にして積層フィル
ムおよび磁気テ−プを得た。各特性は表1に示した通り
であり、磁気テ−プ特性も劣るものであつた。
【0103】比較例3 実施例1に基づいて、実施例1と同様の塗剤で熱処理後
の積層フィルムにおける塗布量を0.06g/m2 とし
た他は実施例1と同様の方法で積層ポリエステルフィル
ムを得た。積層フィルムおよび磁気テ−プの特性を表1
に示したが、突起が形成されないため滑り性が悪く、各
特性が共に優れた磁気記録媒体を得ることができなかっ
た。
【0104】比較例4 実施例1に基づいて、実施例1と同様の塗剤で熱処理後
の積層フィルムにおける塗布量を0.00005g/m
2 とした他は実施例1と同様の方法で積層ポリエステル
フィルムを得た。積層フィルムおよび磁気テ−プの特性
を表1に示したが、突起が形成されないため滑り性が悪
く、各特性が共に優れた磁気記録媒体を得ることができ
なかった。
【0105】比較例5、6 表1に示すように、各々の構成の基体フィルムに実施例
4で使用したものと全く同様の塗剤を塗布した。それぞ
れの結果を表に示すが、いづれかの特性に劣っていた。
【0106】比較例7 表1に示すような構成のフィルム単独(C層なし)を使
用して磁気記録媒体とした。結果を表に示すが、いづれ
かの特性に劣っていた。
【0107】
【表1】
【0108】
【発明の効果】特定の粒子を含有した積層フィルムの少
くとも片面にシェルコア構造の粒子からなる突起を有す
ることにより易滑性、平滑性、易接着性、透明性、耐削
れ性、走行性、耐久性等に優れ、磁気記録材料、各種写
真材料、電気絶縁材料、一般工業材料に好適な積層フィ
ルムが得られる。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱可塑性樹脂Aと粒子とを主成分とする
    フィルムAを熱可塑性樹脂Bを主成分とするフィルムB
    の少なくとも片面に積層し、該フィルムAの厚さが0.
    005〜5μm、該フィルムA中に含有される前記粒子
    の平均粒径がフィルムAの厚さの0.1〜10倍、該粒
    子のフィルムA中の含有量が0.05〜50重量%であ
    る二軸配向熱可塑性樹脂積層フィルムであって、該積層
    フィルムの少なくとも片面に内部より外部が軟質なシェ
    ルコア構造の粒子からなる突起を有することを特徴とす
    る積層フィルム。
  2. 【請求項2】 該突起が内部より外部が軟質なシェル
    コア構造の粒子と水溶性及び/または水分散性の共重合
    ポリエステルからなる突起を有することを特徴とする請
    求項1に記載の積層フィルム。
  3. 【請求項3】 該突起を1×106 個/mm2 以上有
    することを特徴とする請求項1または2に記載の積層フ
    ィルム。
  4. 【請求項4】 上記シェルコア構造の粒子のコア部が高
    架橋および/または架橋性ポリマ、シェル部が熱可塑性
    ポリマからなることを特徴とする請求項1〜3に記載の
    積層フィルム。
  5. 【請求項5】 上記コア部ポリマがスチレン/ジビニル
    ベンゼン共重合体および/またはアクリル共重合体から
    なり、シェル部が熱可塑性アクリルポリマおよび/また
    はポリエステルからなることを特徴とする請求項1〜4
    に記載の積層フィルム。
  6. 【請求項6】 上記シェルコア構造粒子と上記水溶性ま
    たは水分散性共重合ポリエステルの固形分比率が95/
    5〜5/95の範囲であることを特徴とする請求項1〜
    5に記載の積層フィルム。
  7. 【請求項7】 二軸配向熱可塑性樹脂積層フィルムが、
    エチレンテレフタレ−トまたはエチレン−2,6−ナフ
    タレ−トを主要構成成分とするポリマからなることを特
    徴とする請求項1〜6に記載の積層フィルム。
JP31514594A 1994-12-19 1994-12-19 積層フィルム Pending JPH08169090A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP31514594A JPH08169090A (ja) 1994-12-19 1994-12-19 積層フィルム

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP31514594A JPH08169090A (ja) 1994-12-19 1994-12-19 積層フィルム

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH08169090A true JPH08169090A (ja) 1996-07-02

Family

ID=18061960

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP31514594A Pending JPH08169090A (ja) 1994-12-19 1994-12-19 積層フィルム

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH08169090A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001341268A (ja) * 2000-03-27 2001-12-11 Fuji Photo Film Co Ltd 積層ポリエステルフィルム
WO2017026421A1 (ja) * 2015-08-07 2017-02-16 株式会社アイセロ 物品搬送用のフィルム
JP2017035884A (ja) * 2015-08-06 2017-02-16 東レ株式会社 二軸配向ポリプロピレンフィルム

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001341268A (ja) * 2000-03-27 2001-12-11 Fuji Photo Film Co Ltd 積層ポリエステルフィルム
JP4669619B2 (ja) * 2000-03-27 2011-04-13 富士フイルム株式会社 積層ポリエステルフィルム
JP2017035884A (ja) * 2015-08-06 2017-02-16 東レ株式会社 二軸配向ポリプロピレンフィルム
WO2017026421A1 (ja) * 2015-08-07 2017-02-16 株式会社アイセロ 物品搬送用のフィルム
US10301094B2 (en) 2015-08-07 2019-05-28 Aicello Corporation Product conveyance film

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US6379774B1 (en) Composite polyester film and magnetic recording medium
JP3746791B2 (ja) 低帯電性複合ポリエステルフィルム
US5912063A (en) Biaxially oriented laminate films and magnetic recording media
US6461726B1 (en) Laminate film with organic particulate for a magnetic recording medium
US5965233A (en) Laminate film and magnetic recording medium using the same
JP3248333B2 (ja) 積層ポリエステルフィルム
JPH08169090A (ja) 積層フィルム
JP3206012B2 (ja) 積層ポリエステルフィルム
JP3139527B2 (ja) 積層フィルム
JP3709937B2 (ja) 昇華型感熱転写材用積層フィルム
JP3310165B2 (ja) 積層フイルム
JP3288940B2 (ja) 磁気記録媒体用積層フイルム
JPH0390329A (ja) 二軸配向熱可塑性樹脂フイルム
JP3598016B2 (ja) 磁気記録媒体用複合ポリエステルフィルムおよび磁気記録媒体
JP2567964B2 (ja) 二軸配向熱可塑性樹脂フイルム
JPH0872213A (ja) 積層フィルム
JP3092743B2 (ja) 二軸配向熱可塑性樹脂フィルム
JP3144580B2 (ja) 金属薄膜型磁気記録媒体用高分子基材および金属薄膜型磁気記録媒体
JPH10157039A (ja) 積層フイルム
JP2860061B2 (ja) 二軸配向熱可塑性樹脂フイルム
JP3288926B2 (ja) 積層フイルム
JPH06210723A (ja) 二軸配向熱可塑性樹脂フィルム
JP2003288717A (ja) 高密度磁気記録媒体用積層フィルムおよび高密度磁気記録媒体