JPH10157039A - 積層フイルム - Google Patents

積層フイルム

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Publication number
JPH10157039A
JPH10157039A JP31969296A JP31969296A JPH10157039A JP H10157039 A JPH10157039 A JP H10157039A JP 31969296 A JP31969296 A JP 31969296A JP 31969296 A JP31969296 A JP 31969296A JP H10157039 A JPH10157039 A JP H10157039A
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JP
Japan
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particles
layer
film
coating layer
resin
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Application number
JP31969296A
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English (en)
Inventor
Mitsumine Toujiyou
光峰 東條
Toshifumi Osawa
利文 大澤
Makoto Iida
真 飯田
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Teijin Ltd
Original Assignee
Teijin Ltd
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Publication date
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Publication of JPH10157039A publication Critical patent/JPH10157039A/ja
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 製膜、加工工程で耐削れ性、ハンドリング性
に優れ、しかも電磁変換特性、ドロップアウト特性、走
行耐久性に優れた磁気記録媒体のベースとなる材料の開
発。 【解決手段】 平均粒径40〜400nmの粒子Aを含
む熱可塑性樹脂層Aの片面に、平均粒径dB が5〜10
0nmの不活性粒子Bを水溶性樹脂と共に塗布して皮膜
層Bを形成せしめた複合フイルム。更にA層の他の表面
に不活性粒子Cを含む層Cを形成して3層とした態様を
も含む。複層フイルムは80℃から20℃に変化させた
際の縦横方向の寸法変位の差が8×10-4%以下であ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は磁気記録媒体用積層
フイルムに関する。更に詳しくは、巻取性、易滑性、ハ
ンドリング性等に優れ、電磁変換特性、ドロップアウト
特性、磁性層の走行性及び耐久性に優れた高密度磁気記
録媒体用として用いるのに適した熱可塑性樹脂積層フイ
ルムに関する。
【0002】
【従来の技術】近年、磁気記録の高密度化の進歩はめざ
ましく、例えば強磁性金属薄膜を真空蒸着やスパッタリ
ング等の物理沈着法又はメッキ法により非磁性支持体上
に形成せしめた強磁性金属薄膜磁気記録媒体、またメタ
ル粉や酸化鉄粉等の針状磁性粉体を2μm以下に塗布し
た薄層塗布型磁気記録媒体の開発実用化が進んでいる。
【0003】前者の例としては、例えば、Coの蒸着テ
ープ(特開昭54―147010号公報)、Co―Cr
合金からなる垂直磁気記録媒体(特開昭52―1347
06号公報)が開示されている。また後者の例として
は、例えば極薄層塗布型媒体による高密度磁気記録(電
子通信学会技術報告MR94―78(1995―0
2))等が開示されている。
【0004】従来の塗布型磁気記録媒体(磁性粉末を有
機高分子バインダーに混入させて非磁性支持体上に塗布
してなる磁気記録媒体)は、記録密度が低く、記録波長
も長い為に、磁性層の厚みが2μm程度以上と厚いのに
対して、真空蒸着、スパッタリング又はイオンプレーテ
ィング等の薄膜形成手段によって形成される金属薄膜
は、厚みが0.2μm以下と薄い。なお、極薄層塗布型
媒体の場合も、非磁性下地層も提案されているものの、
0.13μmの厚みと塗布型磁性体層が提案されており
非常に薄くなっている。
【0005】この為、上記の高密度磁気記録媒体におい
ては、非磁性支持体の表面状態が磁気記録層の表面性に
大きな影響を及ぼし、特に金属薄膜型の磁気記録媒体の
場合には、非磁性支持体の表面状態がそのまま磁気記録
層表面の凹凸として発現し、それが再生信号の雑音の原
因となる。従って支持体の表面は出来るだけ平滑である
ことが望ましい。
【0006】一方、ベースフイルムの製膜、加工工程で
の搬送・傷付、巻取、巻出といったハンドリングの観点
からは、フイルム表面が平滑過ぎると、フイルム―フイ
ルム相互の滑り性が悪化し、ブロッキング現象が発生
し、ロールに巻いた時の形状(ロールフォーメーショ
ン)が悪化し、製品歩留の低下、ひいては製品の製造コ
ストの上昇をもたらす。従って製造コストの点では支持
体の表面はある程度粗いことが望ましい。
【0007】この様に電磁変換特性という観点からは非
磁性支持体の表面は平滑であることが要求され、ハンド
リング性、フイルムコストの観点からは粗いことが要求
される。
【0008】更に、蒸着金属薄膜型磁気記録媒体の場合
には、実際に使用される時の問題点として金属薄膜面の
走行性がある。磁性体粉末を有機高分子バンダー中に混
入させてベースフイルムに塗布してなる塗布型磁気記録
媒体の場合には、該バインダー中に潤滑剤を分散させて
磁性面の走行性を向上させることが出来るが、蒸着金属
薄膜型磁気記録媒体の場合にはこの様な対策がとれず、
走行性を安定して保つのは非常に難しく、特に高温高湿
条件下の走行性が劣るなどの欠点を有している。
【0009】そこで、優れた品質の高密度記録媒体用ベ
ースフイルムを安価に供給する為には上記の相反する性
質を同時に満足することが必要とされる。
【0010】この為の具体的方法として、フイルム表
面に特定の塗剤を塗布して不連続皮膜を形成させる方法
(特公平3―80410号、特開昭60―180839
号、特開昭60―180838号、特開昭60―180
837号、特開昭56―16937号、特開昭58―6
8223号等)、連続皮膜を形成する方法(特開平5
―194772号、特開平5―210833号)、共
押出等の技術により表裏を異面化する方法(特開平2―
214657号、特公平7―80282号)及びとし
ての+又は+の組み合わせによる方法(特開平
3―73409号)が提案されている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、不連続
皮膜や連続皮膜を形成する従来の方法においては、フイ
ルム―フイルム間の滑り、ブロッキングといった課題は
解決できているものの、皮膜中に微細な不活性粒子を均
一分散させることが難しく凝集粒子による粗大突起を生
じやすい。この原因から電磁変換特性が悪化するなど磁
気テープとしての品質が安定しないという問題があっ
た。また凝集粒子は単分散粒子と比較して製膜工程で用
いられる種々のガイドロールとの接触によって削り取ら
れやすく、ベースフイルム上に付着堆積して突起とな
り、磁気テープとしたときにドロップアウトの原因とな
る問題もある。
【0012】一方無機粒子は硬度が高く、変形しにくい
ため磁気ヘッドのクリーニング性に優れており、また種
々のサイズの微粒子の製造が容易であるものの、ポリマ
ーとの親和性に乏しく粒子の脱落を生じやすい傾向が見
られる。他方、有機粒子はポリマーとの親和性は優れる
ものの、硬度が無機粒子に比べ低く、粒子全体に熱や機
械的摩擦による変形等が加わるため、テープの電磁変換
特性がテープの走行を繰り返すことにより劣化していく
という問題があった。
【0013】更に、使用する機器(ハードウエア)の小
型化による高密度実装化に伴いテープに対する熱的負荷
はますます高まりつつある。特に高密度磁気記録媒体で
は磁気記録トラックのピッチが10μm前後と非常に狭
いため、熱履歴によるベースフイルムの寸法変化はトラ
ックのずれにつながり、電磁変換特性の低下を惹き起こ
すという問題がある。
【0014】本発明の目的は、上述の従来技術の欠点を
解消し、製膜工程での削れ性、巻取性に優れ、蒸着金属
薄膜型磁気記録媒体として用いられた場合には電磁変換
特性、ドロップアウト特性、出力低下、走行耐久性に優
れた積層フイルムを提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明の目的は、平均粒
径40〜400nm、体積形状係数が0.1〜π/6の
粒子Aを表面の突起頻度が5000〜5万個/mm2
なる様に含有した熱可塑性樹脂層Aの少なくとも片面
に、平均粒径dB が5〜100nmである不活性粒子B
を含む水溶性樹脂からなる皮膜層Bを設けた積層フイル
ムであって、環境温度を80℃から20℃に変化させた
際のフイルム長手方向の寸法変位LM (%)及び幅方向
の寸法変位LT (%)が下記式(1)を満たすことを特
徴とする積層フイルム。 │LT −LM │≦8.0×10-4 ……(1)
【0016】本発明における熱可塑性樹脂には、ポリエ
ステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、
ポリエーテル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリビ
ニル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂等を例示することが
できる。これらのうちポリステル系樹脂、殊に芳香族ポ
リエステルが好ましい。
【0017】この芳香族ポリエステルとしては、ポリエ
チレンテレフタレート、ポリエチレンイソフタレート、
ポリテトラメチレンテレフタレート、ポリ―1,4―シ
クロヘキシレンジメチレンテレフタレート、ポリエチレ
ン―2,6―ナフタレンジカルボキシレート等を好まし
くは例示することができる。これらのうち、ポリエチレ
ンテレフタレート、ポリエチレン―2,6―ナフタレン
ジカルボキシレートが特に好ましい。
【0018】上記ポリエステルはホモポリエステルであ
ってもコポリエステルであってもよい。コポリエステル
の場合、ポリエチレンテレフタレート及びポリエチレン
―2,6―ナフタレンジカルボキシレートの共重合成分
としては、例えばジエチレングリコール、プロピレング
リコール、ネオペンチルグリコール、ポリオキシエチレ
ングリコール、p―キシレングリコール、1,4―シク
ロヘキサンジメタノール等のジオール成分、アジピン
酸、セバシン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル
酸(但しポリエチレン―2,6―ナフタレンジカルボキ
シレートの場合)、2,6―ナフタレンジカルボン酸
(但しポリエチレンテレフタレートの場合)、5―ナト
リウムスルホイソフタル酸等の他のジカルボン酸成分、
p―オキシエトキシ安息香酸等のオキシカルボン酸成分
等があげられる。尚、共重合成分の量は20モル%以
下、更には10モル%以下とするのが好ましい。
【0019】更に、トリメリット酸、ピロメリット酸等
の3官能以上の多官能化合物を共重合させることもでき
る。この場合ポリマーが実質的に線状である量、例えば
2モル%以下共重合させるとよい。
【0020】本発明において、熱可塑性樹脂層Aは平均
粒径が40〜400nm、好ましくは50〜200n
m、更に好ましくは60〜120nmである。また堆積
形状係数0.1〜π/6である粒子Aを、表面の突起頻
度が5000〜5万個/mm2、好ましくは7500〜
4万個/mm2 、更に好ましくは1万〜3万個/mm
となる様に含有する必要がある。一方粒子Aの平均粒径
が40nm未満では磁性層の対VTRヘッド摩擦が高
く、磁性層の繰り返し走行耐久性が悪く、しかもフイル
ム製膜工程での捲取り性も悪い。他方、平均粒径が40
0nmより大きいと高密度磁気記録媒体としての電磁変
換特性に支障を来す。粒子Aの頻度は5000個/mm
未満ではやはりVTRのヘッド摩擦が高く、磁性層
の繰り返し走行耐久性が悪く、又フイルム製膜工程での
巻取り性も悪い。一方、頻度が5万個/mm2 より多い
高密度磁気記録媒体としての電磁変換特性に支障をきた
す。
【0021】粒子Aの下式 F=V/dA 3 (Vは粒子の体積を、dA は微粒子の平均粒径を表す)
で定義される体積形状係数Fは0.1〜π/6の範囲で
ある。更には0.3〜π/6が好ましく、0.4〜π/
6の実質的に球或いはラグビーボール状の楕円球が更に
好ましい。Fが0.1より小さい、例えば薄片状粒子で
は薄膜磁性層の磁気特性の劣化を来す。
【0022】粒子Aの材質としては、シリコーン樹脂、
ポリスチレン、架橋スチレン―ジビニルベンゼン共重合
体、ポリメチルメタクリレート、メチルメタクリレート
共重合体、メチルメタクリレート共重合架橋体、ポリテ
トラフルオロエチレン、ポリビニリデンフルオライド、
ポリアクリロニトリル、ベンゾグアナミン樹脂等の如き
有機高分子粒子、シリカ、アルミナ、二酸化チタン、カ
オリン、タルク、グラファイト、炭酸カルシウム、長
石、二硫化モリブデン、カーボンブラック、硫酸バリウ
ム等の如き無機質のいずれを用いてもよい。
【0023】本発明における積層フイルムは、環境温度
を80℃から20℃に変化させた際のフイルム長手方向
の寸法変位LM (%)及び幅方向の寸法変位LT (%)
の関係が下記式(1)を満たすことが必要である。 │LT −LM │≦8.0×10-4 ……(1) │LT −LM │≦8.0×10-4を超えると磁気テープ
としたときに高温下での磁気記録トラックのずれが生
じ、電磁変換特性の低下を惹起こす。
【0024】本発明における皮膜層Bを構成する水溶性
樹脂とは、水溶性有機樹脂及び水分散有機樹脂のことを
言い、水溶性のアルキッド樹脂、フェノール樹脂、エポ
キシ樹脂、アミノ樹脂、ポリウレタン樹脂、酢酸ビニル
樹脂、塩化ビニル―酢酸ビニル共重合体等を例示するこ
とができる。熱可塑性樹脂層Aに対する密着性、突起保
持性、易滑性などの点から、水溶性のアクリル樹脂、ポ
リエステル樹脂、アクリル―ポリエステル樹脂が好まし
い。これら水溶性樹脂は単一重合体でも共重合体でもよ
く、また混合物でもよい。
【0025】前記水溶性アクリル樹脂は、例えばアクリ
ル酸エステル(アルコール残基としては、メチル基、エ
チル基、n―プロピル基、イソプロピル基、n―ブチル
基、イソブチル基、t―ブチル基、2―エチルヘキシル
基、シクロヘキシル基、フェニル基、ベンジル基、フェ
ニルエチル基等を例示できる);メタクリル酸エステル
(アルコール残基は上記と同じ);2―ヒドロキシエチ
ルアクリレート、2―ヒドロキシエチルメタクリレー
ト、2―ヒドロキシプロピルアクリレート、2―ヒドロ
キシプロピルメタクリレート等の如きヒドロキシ含有モ
ノマー;アクリルアミド、メタクリルアミド、N―メチ
ルメタクリルアミド、N―メチルアクリルアミド、N―
メチロールアクリルアミド、N―メチロールメタクリル
アミド、N,N―ジメチロールアクリルアミド、N―メ
トキシメチルアクリルアミド、N―メトキシメチルメタ
クリルアミド、N―フェニルアクリルアミド等の如きア
ミド基含有モノマー;N,N―ジエチルアミノエチルア
クリレート、N,N―ジエチルアミノエチルメタクリレ
ート等の如きアミノ基含有モノマー;グリシジルアクリ
レート、グリシジルメタクリレート、アリルグリシジル
エーテル等の如きエポキシ基含有モノマー;スチレンス
ルホン酸、ビニルスルホン酸、及びこれらの塩(例えば
ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩等)等の如
きスルホン酸基又はその塩を含有するモノマー;クロト
ン酸、イタコン酸、アクリル酸、マレイン酸、フマール
酸、及びそれらの塩(例えばナトリウム塩、カリウム
塩、アンモニウム塩等)等の如きカルボキシル基又はそ
の塩を含有するモノマー;無水マレイン酸、無水イタコ
ン酸等の無水物を含有するモノマー;その他ビニルイソ
シアネート、アリルイソシアネート、スチレン、ビニル
メチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルトリス
アルコキシシラン、アルキルマレイン酸モノエステル、
アルキルフマール酸モノエステル、アクリロニトリル、
メタクリロニトリル、アルキルイタコン酸モノエステ
ル、塩化ビニリデン、酢酸ビニル、塩化ビニル等の単量
体の組合せからつくられたものであるが、アクリル酸誘
導体、メタクリル酸誘導体の如き(メタ)アクリル単量
体の成分が50モル%以上含まれているものが好まし
く、特にメタクリル酸メチルの成分を含有しているもの
が好ましい。
【0026】水溶性アクリル樹脂は分子内の官能基で自
己架橋することができるし、メラミン樹脂やエポキシ化
合物等の架橋剤を用いて架橋することもできる。
【0027】本発明に供する水溶性ポリエステル樹脂を
構成する酸成分としては、例えばテレフタル酸、イソフ
タル酸、フタル酸、1,4―シクロヘキサンジカルボン
酸、2,6―ナフタレンジカルボン酸、4,4′―ジフ
ェニルジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカ
ンジカルボン酸、コハク酸、5―ナトリウムスルホイソ
フタル酸、2―カリウムスルホテレフタル酸、トリメリ
ット酸、トリメシン酸、無水トリメリット酸、無水フタ
ル酸、p―ヒドロキシ安息香酸、トリメリット酸モノカ
リウム塩等の多価カルボン酸を例示することができる。
また、ヒドロキシ化合物成分としては、例えばエチレン
グリコール、プロピレングリコール、1,3―プロパン
ジオール、1,4―ブタンジオール、1,6―ヘキサン
ジオール、ネオペンチルグリコール、1,4―シクロヘ
キサンジメタノール、p―キシリレングリコール、ビス
フェノールAのエチレンオキシド付加物、ジエチレング
リコール、トリエチレングリコール、ポリエチレンオキ
シドグリコール、ポリテトラメチレンオキシドグリコー
ル、ジメチロールプロピオン酸、グリセリン、トリメチ
ロールプロパン、ジメチロールエチルスルホン酸ナトリ
ウム、ジメチロールプロパン酸カリウム等の多価ヒドロ
キシ化合物を例示することができる。これらの化合物か
ら常法によってポリエステル樹脂をつくることができ
る。水性塗料をつくる点からは、5―ナトリウムスルホ
イソフタル酸成分又はカルボン酸塩基を含有する水溶性
ポリエステル樹脂を用いるのが好ましい。かかるポエス
テル樹脂は分子内に官能基を有する自己架橋型とするこ
とができるし、メラミン樹脂、エポキシ樹脂のような硬
化剤を用いて架橋することもできる。
【0028】本発明では、前記水性アクリル―ポリエス
テル樹脂はアクリル変性ポリエステル樹脂とポリエステ
ル変性アクリル樹脂とを包含する意味で用いており、ア
クリル樹脂成分とポリエステル樹脂成分とが互いに結合
したものであって、例えばグラフトタイプ、ブロックタ
イプ等を包含する。アクリル―ポリエステル樹脂は、例
えばポリエステル樹脂の両端にラジカル開始剤を付加し
てアクリル単量体の重合を行わせたり、ポリエステル樹
脂の側鎖にラジカル開始剤を付加してアクリル単量体の
重合を行わせたり、あるいはアクリル樹脂の側鎖に水酸
基を付け、末端にイソシアネート基やカルボキシル基を
有するポリエステルと反応させて櫛形ポリマーとする等
によって製造することができる。
【0029】本発明に供する内部より外部の方が軟質な
粒子(以下、シェルコア粒子と呼ぶ)Bとは、内外部の
それぞれが性質の異なる物質で構成される多層構造の粒
子をいう。この場合多層とは2層以上のことをいい、性
質が径方向に連続的に変化するものであってもよい。こ
の粒子の外部(以下、シェル部と呼ぶ)はフイルム上に
塗布後フイルム基部と反応し、または熱処理を行うこと
により反応、溶融、軟化もしくは変形してフイルム基部
に固着する機能を有し、内部(以下、コア部と呼ぶ)は
シェル部と共にフイルムに適度の滑り性及び磁気ヘッド
との最適なスペーシングを与える、いわゆる粒子として
の機能を担うと推測される。上記シェル部、コア部それ
ぞれの機能分担の観点から、シェル部にはフイルム基部
との親和性に優れ、かつ製膜熱処理温度での適切な物理
的、化学的、熱的特性を備えることが要求され、コア部
には機械的摩擦等によって変形せず、シェル部もしくは
基層フイルムに対し相対的に大なる硬度を有することが
求められる。
【0030】このシェルコア粒子Bのコア部の材質とし
ては、ポリスチレン、ポリスチレン―ジビニルベンゼ
ン、ポリメチルメタクリレート、メチルメタクリレート
共重合体、メチルメタクリレート共重合架橋体、ポリテ
トラフルオロエチレン、ポリビニリデンフルオライド、
ポリアクリロニトリル、ベンゾグアナミン樹脂等の如き
有機質、シリカ、アルミナ、二酸化チタン、カオリン、
タルク、グラファイト、炭酸カルシウム、長石、二硫化
モリブデン、カーボンブラック、硫酸バリウム等の如き
無機質のいずれを用いてもよい。
【0031】シェル部の材質については一般に熱可塑性
樹脂が好ましく、特にアクリル系樹脂、ポリエステル系
樹脂等が好ましく、さらにはフイルム基部との親和性を
高めるため、その分子中に任意の割合でフイルム基部と
の反応性もしくは親和性を有する官能基、具体的にはカ
ルボキシル基、水酸基、グリシジル基、アミド基、エポ
キシ基、イソシアネート基等を導入したものがよい。こ
れらの官能基は単独、場合によっては2種以上併用して
もよい。またシェル部のガラス転移温度(以下Tgとす
る)は好ましくは80℃以下、さらに好ましくは20℃
以下である。Tgが80℃を超えるとシェルコア粒子の
フイルム上からの脱落が目立つようになる。このような
組成のポリマーをシェル部に使用することにより優れた
耐削れ性を発現させることができる。
【0032】シェルコア粒子Bの平均粒径は5〜100
nm、好ましくは10〜50nmである。更に粒度分布
が均一であるものが好ましい。平均粒径が5nmを下ま
わると滑り性、耐削れ性が悪化し、ロール状に巻取った
場合はブロッキング現象が発生する。一方平均粒径が1
00nmを超えると、粒子の脱落が発生し、耐削れ性が
悪化する。また、磁気ヘッドとのスペーシングが大きく
なり高密度の磁気記録媒体として供することが困難とな
る。
【0033】シェルコア粒子Bの皮膜層B中での凝集率
[後述する実施例の測定項目(6)参照]は10%以下
が好ましく、より好ましくは5%以下である。この凝集
率が10%を超えると、粒子凝集体の異常突起としての
性質が顕著となり、また粒子の脱落も発生しやすくな
り、磁気テープとしての性能に悪影響を及ぼし易くな
る。
【0034】シェルコア粒子Bは、皮膜層Bの表面突起
頻度が1×106 〜1×108 個/mm2 となる量とな
るように該皮膜層B中に含有される。この表面突起頻度
が1×106 個/mm2 未満では磁気記録媒体としたと
きの走行耐久性が不足する。他方、1×108 個/mm
2 を超えると電磁変換特性に悪影響を及ぼす。より好ま
しい表面突起頻度は2×106 〜5×107 個/m
2 、更に好ましくは3.0×106 〜3.0×107
個/mm2 である。
【0035】皮膜層Bの層厚みtB (nm)とシェルコ
ア粒子Bのコア部の粒径dB の比(tB /dB )は、
0.05〜0.8、好ましくは0.08〜0.6、更に
好ましくは0.1〜0.5である。この比(tB
B )が0.8を超えると、シェルコア粒子Bの突起形
成作用が減少し、磁気記録媒体としたときの走行耐久性
が不足する。一方、0.05より小さくなると、製膜工
程における種々のガイドロールとの接触によって積層フ
イルム表面の粒子が削りとられて走行耐久性が不足した
り、削り取られた粒子がフイルム上に付着堆積してドロ
ップアウトの増加を惹起こしたりする。
【0036】シェルコア粒子Bは、例えばコア部の粒子
が存在する系で、シェル部の重合性単量体を乳化重合せ
しめ、コア部の粒子表面を被覆する方法で製造すること
ができるが、粒子の製造方法によって限定されるもので
はない。
【0037】本発明における皮膜層Bは熱可塑性樹脂層
Aの少なくとも片面に、前述したシェルコア粒子及び水
溶性樹脂を含む塗液、好ましくは水溶性塗液として塗
布、乾燥することで形成する。この塗液の固形分濃度は
0.2〜10重量%、さらには0.5〜5重量%、特に
0.7〜3重量%であることが好ましい。そしてこの塗
液、好ましくは水溶性塗液には本発明の効果を損わない
範囲であれば所望により他の成分、例えば界面活性剤、
安定剤、分散剤、UV吸収剤、増粘剤等を添加すること
ができる。
【0038】塗布は最終延伸を施す以前の熱可塑性樹脂
フイルムに施し、塗布後にフイルムを少なくとも一軸方
向に延伸することが好ましい。この延伸の前乃至途中で
塗膜は乾燥される。その中で塗布は未延伸熱可塑性樹脂
フイルム又は縦(一軸)延伸熱可塑性樹脂フイルムに行
うことが好ましい。塗布方法としては特に限定されない
が、例えばロールコート法、ダイコート法等が好ましく
例示できる。
【0039】皮膜層Bの表面の、原子間力顕微鏡(AF
M)による表面粗さARaB (nm)は、0.3〜5.
0nm、さらに好ましくは0.5〜4.0nm、特に好
ましくは0.7〜2.5nmである。また10点平均粗
さARzB (nm)は、10〜100nmであり、さら
に15〜70nm、特に好ましくは20〜40nmであ
る。一方、ARzB が5.0nmを超える場合、あるい
はARzB が100nmを超える場合には、特に金属薄
膜型磁気記録媒体としたときに電磁変換特性が悪化す
る。これに対しARzB が0.3nm未満の場合、ある
いはARzB が10nm未満の場合には、滑り性が極度
に悪化して走行耐久性が不足したり、磁気ヘッドに貼り
付いてテープ鳴きを生じたりして実用に供することがで
きなくなり易い。
【0040】本発明ではフイルムの巻取り性を付与する
ために、熱可塑性樹脂層Aの、皮膜層Bとは接しない面
に不活性粒子Cを含有する皮膜層Cを設けることが好ま
しい。
【0041】皮膜層Cは塗布層として形成してもよく、
また後述する共押出法により形成してもよい。皮膜層C
が塗布層である場合は、含有する不活性粒子Cは単独粒
子又は大きさの異なる2種以上の粒子からなる。2種以
上の粒子の場合の最も大きい粒子の平均粒径は、20〜
200nm、好ましくは30〜100nmである。皮膜
層C中の不活性粒子Cの含有量は3〜50重量%、好ま
しくは5〜30重量%である。粒子Cの平均粒径が20
nm未満、あるいは含有量が3重量%未満であると、フ
イルムの巻取り性、製膜工程での搬送性等の点で満足で
きず、またブロッキングを起こし易くなる。一方、平均
粒径が200nmを超える場合には粒子が塗膜から脱落
しやすくなる。また皮膜層C中の不活性粒子Cの含有量
が50重量%を超える場合には皮膜層C自体の強度が低
下して削れ易くなる。
【0042】皮膜層Cに含有する不活性粒子Cとして
は、ポリスチレン、ポリスチレン―ジビニルベンゼン、
ポリメチルメタクリレート、メチルメタクリレート共重
合体、メチルメタクリレート共重合架橋体、ポリテトラ
フルオロエチレン、ポリビニリデンフルオライド、ポリ
アクリロニトリル、ベンゾグアナミン樹脂等の如き有機
質からなる粒子、シリカ、アルミナ、二酸化チタン、カ
オリン、タルク、グラファイト、炭酸カルシウム、長
石、二硫化モリブデン、カーボンブラック、硫酸バリウ
ム等の如き無機質からなる粒子のいずれを用いてもよ
い。また皮膜層Bに用いるシェルコアの粒子であっても
よい。
【0043】前記粒子Cを含有して、塗布層を形成する
樹脂としては、皮膜層Bの形成に用いた水溶性樹脂と同
じ樹脂を例示することができる。またこれらに更にセル
ロース系樹脂を含有させてもよい。
【0044】皮膜層Cが共押出法により形成される場合
は、含有する不活性粒子Cが単独粒子又は大きさの異な
る2種以上の粒子からなる。単独粒子及び2種以上の粒
子の最も大きい粒子の平均粒径は100〜1000n
m、好ましくは100〜500nmである。皮膜層C中
の不活性粒子Cの含有量は0.001〜5.0重量%、
好ましくは0.005〜1.0重量%である。平均粒径
が100nm未満、あるいは含有量が0.001重量%
未満であると、フイルムの巻取り性、製膜工程での搬送
性等が満足できず、またブロッキングを起こし易くな
る。平均粒径が1000nmを超える場合、あるいは含
有量が5重量%を超える場合には皮膜層B側の面への突
き上げ効果が著しくなり、電磁変換特性の悪化が起こ
る。
【0045】不活性粒子Cの種類としては皮膜層Cを塗
布層とした場合に用いた粒子と同じ粒子を例示できる。
【0046】本発明の積層フイルムは、従来から知られ
ている方法で製造することができる。例えば、二軸配向
ポリエステルフイルムで説明すると、塗布法の場合ま
ず、前記熱可塑性樹脂Aを口金より融点Tm℃〜(Tm
+70)℃の温度でフイルム状に押出した後、40〜9
0℃で急冷固化し未延伸フイルムを得る。しかる後に、
該未延伸フイルムを常法に従って一軸方向(縦方向又は
横方向)に(Tg−10)〜(Tg+70)℃の温度
(但し、Tg:ポリエステルのガラス転移温度)におい
て2.5〜8.0倍の倍率、好ましくは3.0〜7.5
倍の倍率、で延伸し、次いで、皮膜層B、Cを形成する
塗液をフイルム両面にそれぞれ塗布し、その後に前記方
向とは直角方向にTg〜(Tg+70)℃の温度におい
て2.5〜8.0倍の倍率、好ましくは3.0〜7.5
倍の倍率、で延伸する。更に必要に応じて縦方向及び/
又は横方向に再度延伸してもよい。即ち、2段、3段、
4段、或いは多段の延伸を行うとよい。全延伸倍率は、
面積延伸倍率として通常9倍以上、好ましくは12〜3
5倍、更に好ましくは15〜32倍である。更に引き続
いて、二軸配向フイルムを(Tg+70)〜(Tm−1
0)℃の温度、例えば180〜250℃で熱固定結晶化
することによって優れた寸法安定性が付与される。な
お、熱固定時間は1〜60秒間が好ましい。
【0047】共押出法の場合、層A、層C用の2種の熱
可塑性樹脂を押出口金内又は口金以前(一般に前者はマ
ルチマニホールド方式、後者はフィードブロック方式と
呼ぶ)で溶融状態にて積層複合し、好適な厚み比となし
て共押出をして2層積層の未延伸フイルムとし、更に一
軸延伸後に皮膜層Bを形成する塗液を塗布する以外は前
記塗布法と同様に行う。この方法により層間密着性に優
れた二軸配向積層ポリエステルフイルムが得られる。
【0048】なお、積層フイルムの製造に際し、熱可塑
性樹脂に、所望により添加剤例えば安定剤、着色剤、溶
融ポリマーの固有抵抗調整剤(制電剤)等を添加含有さ
せることができる。
【0049】本発明の積層フイルムは、皮膜層Bの表面
に、真空蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング
等の方法により、鉄、コバルト、クロム又はこれらを主
成分とする合金もしくは酸化物より成る強磁性金属薄膜
層を形成し、またその表面に、目的、用途、必要に応じ
てダイアモンドライクカーボン(DLC)等の保護層、
含フッ素カルボン酸系潤滑層を順次設け、更に熱可塑性
樹脂層A又は皮膜層Cの表面に公知のバックコート層を
設けることにより、特に短波長領域の出力、S/N,C
/N等の電磁変換特性に優れ、ドロップアウト、エラー
レートの少ない高密度記録用蒸着型磁気記録媒体とする
ことが出来る。この蒸着型電磁記録媒体は、アナログ信
号記録用Hi8、ディジタル信号記録用ディジタルビデ
オカセットレコーダー(DVC)、データ8ミリ、DD
SIV用テープ媒体として極めて有用である。
【0050】本発明の積層フイルムは、また、皮膜層B
の表面に、鉄又は鉄を主成分とする針状微細磁性粉をポ
リ塩化ビニール、塩化ビニール・酢酸ビニール共重合体
等のバインダーに均一分散し、磁性層厚みが1μm以
下、好ましくは0.1〜1μmとなるように塗布し、更
に熱可塑性樹脂層A又は皮膜層Cの表面に公知の方法で
バックコート層を設けることにより、特に短波長領域で
の出力、S/N,C/N等の電磁変換特性に優れ、ドロ
ップアウト、エラーレートの少ない高密度記録用メタル
塗布型磁気記録媒体とすることが出来る。また、必要に
応じて皮膜層Bの上に、メタル粉含有磁性層の下地層と
して微細な酸化チタン粒子等を含有する非磁性層を磁性
層と同様の有機バインダー中に分散、塗設することもで
きる。このメタル塗布型磁気記録媒体は、アナログ信号
記録用8ミリビデオ、Hi8、βカムSP、W―VH
S、ディジタル信号記録用ディジタルビデオカセットコ
ーダー(DVC)、データ8ミリ、DDSIV、ディジタ
ルβカム、D2、D3、SX等用テープ媒体として極め
て有用である。
【0051】本発明の積層フイルムは、また、皮膜層B
の表面に、酸化鉄又は酸化クロム等の針状微細磁性粉、
又はバリウムフェライト等の板状微細磁性粉をポリ塩化
ビニール、塩化ビニール・酢酸ビニール共重合体等のバ
インダーに均一分散し、磁性層厚みが1μm以下、好ま
しくは0.1〜1μmとなるように塗布し、更に熱可塑
性樹脂層A又は皮膜層Cの上に公知の方法でバックコー
ト層を設けることにより、特に短波長領域での出力、S
/N,C/N等の電磁変換特性に優れ、ドロップアウ
ト、エラーレートの少ない高密度記録用塗布型磁気記録
媒体とすることが出来る。また、必要に応じて皮膜層B
の上に、該メタル粉含有磁性層の下地層として微細な酸
化チタン粒子等を含有する非磁性層を磁性層と同様の有
機バインダー中に分散、塗設することも出来る。この酸
化物塗布型磁気記録媒体は、ディジタル信号記録用デー
タストリーマー用QIC等の高密度酸化物塗布型磁気記
録媒体として有用である。
【0052】
【実施例】以下、本発明を実施例により更に具体的に説
明する。尚、本発明において用いた測定法は次の通りで
ある。
【0053】(1)粒子の平均粒径(平均粒径:0.0
6μm以上) 島津製作所製CP―50型セントリフューグル パーテ
ィクル サイズ アナライザー(Centrifugal Particle
Size Analyzer)を用いて測定する。得られる遠心沈降
曲線を基に算出した各粒径の粒子とその存在量との積算
曲線から、50マスパーセントに相当する粒径「等価球
直径」を読み取り、この値を上記平均粒径とする(Book
「粒度測定技術」日刊工業新聞発行、1975年、頁2
42〜247参照)。
【0054】(2)超微細粒子の平均粒径(平均粒径:
0.06μm未満) 小突起を形成する平均粒径0.06μm未満の粒子は、
光散乱法を用いて測定する。即ち、ニコム・インスツル
メンツ・インコーポレイテッド(NicompInst
ruments Inc.)社製のNICOMP MO
DEL 270 SUBMICRON PARTICL
E SIZER により求められる全粒子の50重量%
の点にある粒子の「等価球直径」をもって表示する。
【0055】(3)体積形状係数F 走査型電子顕微鏡により用いたサイズに応じた倍率にて
各粒子の写真を撮影し、画像解析処理装置ルーゼックス
500(日本レギュレーター製)を用い、投影面最大径
及び粒子の体積を算出し、次式により算出する。 F=V/d3 式中、Fは体積形状係数、Vは粒子の体積(μm3 )、
dは投影面の最大径(μm)を表す。
【0056】(4)層厚 フイルムの全厚はマイクロメーターにてランダムに10
点測定し、その平均値を用いる。層厚は、薄い側の層厚
を以下に述べる方法にて測定し、また厚い側の層厚は全
厚より薄い側の層厚に引き算して求める。即ち、二次イ
オン質量分析装置(SIMS)を用いて、表層から深さ
5000nmの範囲のフイルム中の粒子の内最も高濃度
の粒子に起因する元素とポリエステルの炭素元素の濃度
比(M+/C+ )を粒子濃度とし、表面から深さ500
0nmまで厚さ方向の分析を行う。表層では粒子濃度は
低く、表面から遠ざかるにつれて粒子濃度は高くなる。
本発明の場合、粒子濃度は一旦安定値1になった後、上
昇或いは減少して安定値2になる場合と、単調に減少す
る場合とがある。この分布曲線をもとに、前者の場合は
(安定値1+安定値2)/2の粒子濃度を与える深さを
もって、また後者の場合は粒子濃度が安定値1の1/2
になる深さ(この深さは安定値1を与える深さよりも深
い)をもって、当該層の層厚とする。
【0057】測定装置に二次イオン質量分析装置(S
IMS):PERKIN ELMER社製 6300を
使用し、測定条件は下記の通りである。 一次イオン種 :O2+ 一次イオン加速電圧:12KV 一次イオン電流:200mA ラスター領域 :400μm□ 分析領域 :ゲート30% 測定真空度 :6.0×10-9Torr E―GUNN :0.5KV―3.0A
【0058】尚、表層から5000nmの範囲に最も多
く含有する粒子がシリコーン樹脂以外の有機高分子粒子
の場合はSIMSでは測定が難しいので、表面からエッ
チングしながらFT―IR(フーリエトランスフォーム
赤外分光法)、粒子によってはXPS(X線高電子分光
法)等で上記同様の濃度分布曲線を測定し、層厚を求め
る。
【0059】以上は共押出層の場合に有効な測定法であ
って、塗布層の場合はフイルムの小片をエポキシ樹脂に
て固定成形し、ミクロトームにて約60nmの厚みの超
薄切片(フイルムの流れ方向に平行に切断する)を作成
し、この試料を透過型電子顕微鏡(日立製作所製H―8
00型)にて観察し、層の境界面より層厚みを求める。
【0060】(5)AFM表面粗さARa及びARz Digital Instruments社製の原子間
力顕微鏡Nano ScopeIII AFMのJスキャナ
ーを使用し、以下の条件で算出されるARa(2乗平均
粗さ)及びARz(10点平均粗さ)を下記の条件で測
定する。 探針;単結合シリコンセンサー 走査モード:タッピングモード 走査範囲:2μm×2μm 画素数:256×256データポイント スキャン速度:2.0Hz 測定環境:室温、大気中
【0061】(6)粒子突起の個数及び凝集率 SEM(走査電子顕微鏡、日本電子製T―300型)を
使用して、積層フイルムの表面を倍率3万倍、角度0°
で20枚写真撮影して、粒状突起の数をカウントし、そ
の平均値を面積換算により個/mm2 当たりの突起個数
として算出する。また凝集率は同じSEM写真を用いて
下記式にて算出する。 凝集率(%)=[(2個以上の粒子が凝集した凝集塊の
総数)/(1個以上の粒子塊の総数)]×100
【0062】(7)フイルムの長手方向と幅方向の寸法
変位差 フイルム長手方向の寸法変位LT (%) 真空理工社(株)製熱機械試験機TA―1500を用い
て、15cm長のフイルム200g/mm2 の荷重をか
け、2℃/分の速度でフイルム環境温度を20℃→80
℃→20℃の順で変化させ、80℃→20℃の際の寸法
変位LT (%)を測定する。 フイルム幅方向の寸法変位LM (%) 荷重を60g/mm2 とする以外は上記と同じ方法で
寸法変位LM (%)を測定する。 下記式より寸法変位差(%)を計算する。 │LT −LM
【0063】(8)耐削れ性 フイルムを25〜30cm長さ、幅1/2インチにサン
プリングし、レザー刃を皮膜層Bの面に対し90°の角
度、深さ0.5mmの条件であてがい、荷重500g/
0.5インチ、速度6.7cm/secで走行させたと
きに、レザー刃に付着した削れ粉の深さ方向の幅を顕微
鏡写真撮影(×160倍)して求めた。削れ粉の深さ方
向の幅が3μm以下を(◎)、3〜5μmを(○)、5
μm以上を(×)とする。削れ粉の深さ方向の幅が小さ
いほど削れ性に優れている。
【0064】(9)巻取り性 スリット時の巻取り条件を最適化後、幅560mm×長
さ9000mのサイズで、10ロールのスリットを行
い、1週間放置後の、フイルムシワの発生のないロール
本を良品として、以下の基準にて巻取り性の評価をす
る。 良品ロール本数 判定基準 8本以上 ◎ 5〜7本 ○ 3〜4本 × 2本以下 ××
【0065】(10)磁気テープの製造及び特性評価 積層フイルムの皮膜層Bの表面に、真空蒸着法により、
コバルト100%の強磁性薄膜を0.02μmの厚みに
なるように2層(各層厚約0.1μm)形成し、その表
面にダイアモンドライクカーボン(DLC)膜、更に含
フッ素カルボン酸系潤滑層を順次設け、更に熱可塑性樹
脂A又は皮膜層Cの表面に公知方法でバックコート層を
設ける。その後、8mm幅にスリットし、市販の8mm
ビデオカセットにローディングする。次いで、以下の市
販の機器を用いてテープの特性を測定する。 使用機器: 8mmビデオテープレコーダー:ソニー(株)製EDV
―6000 C/N測定:シバソク(株)製ノイズメーター
【0066】C/N測定 記録波長0.5μm(周波数約7.4MHz)の信号を
記録し、その再生信号の6.4MHzと7.4MHzの
値の比をそのテープのC/Nとし、市販8mmビデオ用
蒸着テープのC/NをOdBとし、相対値で表す。 ◎ :+2dB以上 ○ :−1〜+2dB × :−4〜−2dB ××:−4dB以下
【0067】ドロップアウト(D/O)測定 ドロップアウトカウンターを用いて、15μs/18d
Bにて1分間当たりの個数を測定する。 ◎ :0〜10個/分 ○ :10〜20個/分 × :20〜50個/分 ××:50個/分以上
【0068】走行耐久性 40℃、80%RHで、テープ、走行速度85cm/分
で記録再生を500回繰り返した後のC/Nを測定し、
初期値からのずれを次の基準で判定する。 ◎ :初期値に対して+0.0dB以上 ○ :初期値に対して−1.0dB〜+0.0dB × :初期値に対して−1.0dB未満
【0069】[実施例1]ジメチルテレフタレートとエ
チレングリコールとを、エステル交換触媒として酢酸マ
ンガンを、重合触媒として三酸化アンチモンを、安定剤
として亜燐酸を、更に滑剤として表1に示す不活性粒子
を添加して常法により重合し、実質的に不活性粒子を含
有しないポリエチレンテフタレート(PET)を得た。
【0070】このポリエチレンテレフタレートを170
℃で3時間乾燥後、押出機に供給し、溶融温度280〜
300℃にて溶融して、ダイよりシート状に押出し、急
冷して厚さ82μmの未延伸フイルムを得た。
【0071】得られた未延伸フイルムを予熱し、更に低
速・高速のロール間でフイルム温度95℃にて縦方向に
3.2倍に延伸し、急冷し、次いで縦延伸フイルムの一
方の面に表1、2の皮膜層Bの水溶性樹脂および粒子B
を含む水溶性塗液を、他の面に皮膜層Cの樹脂および粒
子Cを含む水溶性塗液を各々0.009μm、0.03
5μm(延伸乾燥後)の厚みになるよう塗布し、続いて
ステンターに供給し、110℃にて横方向に4.1倍に
延伸した。得られた二軸延伸フイルムを220℃の熱風
で4秒間熱固定し、厚み6.4μmの積層二軸配向ポリ
エステルフイルムを得た。
【0072】[比較例1及び8]皮膜層Bと皮膜層Cの
樹脂及び粒子、熱可塑性樹脂層Aの厚み及び粒子を表
1、2のように変更する以外は実施例1と同様の方法で
積層二軸配向ポリエステルフイルムを得た。尚、比較例
10では縦×横の延伸倍率を3.6×3.8とした。
【0073】
【表1】
【0074】
【表2】
【0075】[実施例3、比較例5及び6]表1、2に
示す熱可塑性樹脂層A、皮膜層C用のポリエチレンテレ
フタレートをそれぞれ2台の押出機に供給して、マルチ
マニホールド型共押し出しダイを用いて積層し、表1の
皮膜層Bの樹脂及び粒子を含む水性塗液を皮膜層C側の
面と反対の面に塗布する以外は実施例1と同様の方法で
積層二軸配向ポリエステルフイルムを得た。尚、実施例
3、比較例6では縦×横の延伸倍率を3.6×3.8と
した。
【0076】[実施例2及び5、比較例2、3及び7]
表1、2に示す粒子を用い、かつジメチルテレフタレー
トの代わりに2,6―ナフタレンジカルボン酸ジメチル
を同モル量使用した以外は実施例1と同様の方法でポリ
エチレン―2,6―ナフタレート(PEN)を得た。
【0077】このポリエチレン―2,6―ナフタレート
を170℃で6時間乾燥後、実施例1と同様にして、各
実施例、比較例を満たす未延伸フイルムを得た。
【0078】得られた未延伸フイルムを予熱し、更に低
速・高速のロール間でフイルム温度135℃にて縦方向
に延伸し、急冷し、次いで表1、2に示す皮膜層B及び
皮膜層Cの水性塗液を実施例1と同様に塗布し、続いて
ステンターに供給し、155℃にて横方向に延伸した。
得られた二軸延伸フイルムを200℃の熱風で4秒間熱
固定し、積層二軸配向ポリエステルフイルムを得た。
尚、各例の縦×横の延伸倍率は、実施例5、比較例3は
4.0×5.1、実施例2、比較例7は3.5×5.
6、比較例2は5.5×3.0である。
【0079】[実施例4、比較例4]ポリエチレンテレ
フタレートの代りに、表1、2に示すようにポリエチレ
ン―2,6―ナフタレートを用いる以外は実施例3と同
様の方法で積層二軸配向ポリエステルフイルムを得た。
尚、縦×横の延伸倍率は、4.5×4.6である。
【0080】表2から明らかなように、本発明による積
層フイルムは製膜工程での削れ性、巻取り性に優れ、磁
気記録媒体として用いられる場合に電磁変換特性、ドロ
ップアウト特性、走行耐久性に極めて優れる。これに対
し、本発明の要件を満たさないものはこれらの特性を同
時に満足することはできない。
【0081】[発明の利用性]本発明の積層フイルムは
全厚みが2.5〜20μm程度であり、磁気記録媒体の
ベースに好適に用いられる。そして磁気記録媒体として
は金属薄膜型のものに有用である。また本発明の積層フ
イルム基材は磁性層の厚みが1μm以下の塗布型磁気記
録媒体にも供し得る他に、デジタル信号記録型磁気記録
媒体にも使うことができる。
【0082】
【発明の効果】本発明によれば、製膜工程での耐削れ
性、巻取り性に優れ、しかも電磁変換特性、ドロップア
ウト特性、走行耐久性に優れた磁気記録媒体のベースフ
イルムとして有用な積層フイルムを提供することができ
る。

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 平均粒径40〜400nm、体積形状係
    数が0.1〜π/6の粒子Aを表面の突起頻度が500
    0〜5万個/mm2 となる様に含有した熱可塑性樹脂層
    Aの少なくとも片面に、平均粒径dB が5〜100nm
    である不活性粒子Bを含む水溶性樹脂からなる皮膜層B
    を設けた積層フイルムであって、環境温度を80℃から
    20℃に変化させた際のフイルム長手方向の寸法変位L
    M (%)及び幅方向の寸法変位LT (%)が下記式
    (1)を満たすことを特徴とする積層フイルム。 │LT −LM │≦8.0×10-4 ……(1)
  2. 【請求項2】 不活性粒子Bの平均粒径dB (nm)、
    皮膜層Bの層厚tB(nm)が下記式(2)を満足し、
    該粒子からなる表面突起の頻度が1×106〜1×10
    8 個/mm2 であることを特徴とする積層フイルム。 0.05≦tB /dB ≦0.8 ……(2)
  3. 【請求項3】 不活性粒子Bが該粒子の内部より外部が
    柔軟なコアシェル型構造を備えてなる請求項2に記載の
    積層フイルム。
  4. 【請求項4】 水溶性樹脂がアクリル樹脂、ポリエステ
    ル樹脂及びアクリル―ポリエステル樹脂の群から選ばれ
    る少くとも1種の樹脂である請求項1に記載された積層
    フイルム。
  5. 【請求項5】 原子間力顕微鏡(AFM)にて測定した
    皮膜層Bの表面突起の表面粗さARaB (nm)及び1
    0点平均粗さARzB (nm)が下記式(3)及び
    (4)を同時に満たすことを特徴とする請求項1に記載
    の積層フイルム。 0.3≦ARaB ≦5.0 ……(3) 10≦ARzB ≦100 ……(4)
  6. 【請求項6】 熱可塑性樹脂層Aの皮膜層Bとは接しな
    い面に、不活性粒子を含有する皮膜層Cを積層してなる
    請求項1に記載の積層フイルム。
  7. 【請求項7】 皮膜層Cが塗布層であり、該皮膜層C中
    の不活性粒子が単独粒子又は大きさの異なる2種類以上
    の粒子からなり、単独粒子の平均粒径又は2種類以上の
    粒子のうち最も大きい粒子の平均粒径が20〜200n
    mであり、しかも皮膜層Cに占める不活性粒子の含有量
    が1〜50重量%である請求項6に記載の積層フイル
    ム。
  8. 【請求項8】 皮膜層Cが共押出層で構成され、該皮膜
    層C中の不活性粒子が単独粒子又は大きさの異なる2種
    類以上の粒子からなり、単独粒子の平均粒径又は2種類
    以上の粒子のうち最も大きい粒子の平均粒径が0.1〜
    1μmであり、しかも皮膜層Cに占める不活性粒子の含
    有量が0.001〜5.0重量%である請求項6に記載
    の積層フイルム。
  9. 【請求項9】 磁気記録媒体のベースフイルムとして用
    い得る請求項1に記載の積層フイルム。
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Cited By (3)

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