JP3626587B2 - 磁気記録媒体用ポリエステルフイルム - Google Patents

磁気記録媒体用ポリエステルフイルム Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は磁気記録媒体用ポリエステルフイルムに関し、更に詳しくは製膜工程でのハンドリング性、巻取り性、耐ブロッキング性に優れ、しかも電磁変換特性、走行耐久性、スチル特性に優れた磁気記録媒体のベースとして有用なポリエステルフイルムに関する。
【0002】
【従来の技術】
高密度磁気記録媒体として、非磁性支持体上に強磁性金属薄膜を真空蒸着やスパッタリングの如き物理沈着法やメッキ法によって形成した強磁性金属薄膜磁気記録媒体が知られている。例えば、Coを蒸着した磁気テープ(特開昭54―147010号)、Co―Cr合金を用いた垂直磁気記録媒体(特開昭52―134706号)等が知られている。このような蒸着、スパッタ又はイオンプレーティング等の薄膜形成手段によって形成される金属薄膜は、厚みが1.5μm以下と非常に薄く、それにも拘らず磁気記録層の厚みが3μm以上である塗布型磁気記録媒体(磁性体粉末を有機高分子バインダーに混入させて非磁性支持体上に塗布してなる磁気記録媒体)と同等以上の性能が得られるという利点がある。
【0003】
ところで、磁気記録媒体の静的特性である保磁力Hcまたはヒステリシスループの角形比のような磁気特性は、用いられる非磁性支持体の表面状態にあまり依存しないという考えがある。このような考えによったものの例として、米国特許第3787327号明細書には真空蒸着によるCo―Crの多層構造体が開示されている。
【0004】
しかしながら、金属薄膜型の磁気記録媒体においては、非磁性支持体表面に形成される金属薄膜厚さが薄く、非磁性支持体の表面状態(表面凹凸)がそのまま磁気記録層表面の凹凸として発現し、それが雑音の原因となることが欠点とされている。
【0005】
雑音の観点からは、非磁性支持体の表面状態ができるだけ平滑であることが好ましい。一方ベースフイルムの巻取り、巻出しといったハンドリングの観点からは、フイルム表面が平滑であると、フイルム―フイルム相互の滑り性が悪く、ブロッキング現象が発生し、製品にはなり得ず、このためベースフイルム表面が粗であることが要求される。このように、電磁変換特性という観点からは非磁性支持体の表面が平滑であることが要求され、一方ハンドリング性の観点からは粗であることが要求される。そこで、これら両者の二律背反する性質を同時に満足することが必要となる。
【0006】
更に、金属薄膜磁気記録媒体には、実際に使用される時の重大な問題点として、金属薄膜面の走行性がある。従来の磁性体粉末を有機高分子バインダーに混入させてベースフイルムに塗布してなる塗布型磁気記録媒体の場合には、該バインダー中に滑剤を分散させて磁性層面の走行性を向上させることができるが、金属薄膜磁気記録媒体の場合には、このような対策をとることができず、走行性を安定して保つのは非常に困難であり、特に高温高湿時の走行性が劣るなどの欠点を有していた。
【0007】
この欠点の改良を目的として、特公昭62―30105号公報には微細粒子と水溶性樹脂およびシランカップリング剤を用いて微小突起をフイルム表面に形成することが提案されている。また特公昭62―30106号公報、特開昭59―229316号公報には微細粒子と水溶性樹脂を用いて微小突起をフイルム表面に形成することが提案されている。しかし、これらはいずれも水溶性樹脂の台形状突起中に微細粒子を存在させたものであり、微細粒子をフイルム表面上に均一に存在させたものではない。また特公平1―34456号公報には水溶性高分子の不連続皮膜と、これより高い突起を形成する微細粒子とを夫々独立してフイルム表面に密着させることが提案されている。しかし、これは突起が不連続皮膜であり、また均一に分散していない微粒子によることからフイルム表面上の均一性に劣る。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、従来技術の欠点を解消し、製膜工程でのハンドリング性、巻取り性、耐ブロッキング性に優れ、しかも電磁変換特性、走行耐久性、スチル特性に優れた磁気記録媒体のベースとして有用なポリエステルフイルムを提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、かかる目的を達成するために、次の構成からなる。
ポリエステルフイルムの少なくとも片面に不活性粒子及び樹脂から形成される連続薄膜よりなる皮膜層Aが形成されており、該皮膜層Aが形成された表面は、平均粒径10〜50nmの不活性粒子Aaを核とする平均突起高さが15〜50nmの突起Aaを1×10〜1×10個/mmの頻度で有し、該皮膜層Aを形成する樹脂のみによる平均突起高さ2〜15nmの微小突起Abを1×10〜3×10個/mmの頻度で有し、かつ平均粒径50〜400nmの粒子を核とする平均突起高さが50〜300nmの大突起Acを5×10〜5×10個/mmの頻度で有し、そして該皮膜層Aを形成する樹脂による連続薄膜部の微小表面粗さRaが0.4〜2.0nmであり、かつ該皮膜層Aを形成した面の表面粗さRaが0.7〜3nmであることを特徴とする磁気記録媒体用ポリエステルフイルム。
【0010】
本発明を以下に詳しく述べる。
本発明のフイルムを構成するポリエステルは、芳香族二塩基酸又はそのエステル形成性誘導体とジオール又はそのエステル形成性誘導体とから合成される線状飽和ポリエステルである。かかるポリエステルの好ましい具体例としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンイソフタレート、ポリテトラメチレンテレフタレート、ポリ(1,4―シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート)、ポリエチレン―2,6―ナフタレンジカルボキシレート等が例示でき、これらの共重合体又はこれらと小割合の他樹脂とのブレンド物なども含まれる。
【0011】
かかるポリエステルは従来から知られている方法で製造することができる。例えば、ポリエチレンテレフタレートはテレフタル酸とエチレングリコールとをエステル化反応又はジメチルテレフタレートとエチレングリコールとをエステル交換反応せしめ、次いで反応生成物を重縮合せしめる方法で製造することができる。
【0012】
本発明において、皮膜層Aを形成する樹脂としては、アルキッド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、アミノ樹脂、ポリウレタン樹脂、酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル―酢酸ビニル共重合樹脂、アクリル樹脂、アクリル―ポリエステル樹脂等を例示することができる。これら樹脂は単一重合体でも共重合体でもよく、また混合体でもよい。
【0013】
前記アクリル樹脂は、例えばアクリル酸エステル(アルコール残基としては、メチル基、エチル基、n―プロピル基、イソプロピル基、n―ブチル基、イソブチル基、t―ブチル基、2―エチルヘキシル基、シクロヘキシル基、フェニル基、ベンジル基、フェニルエチル基等を例示できる);メタクリル酸エステル(アルコール残基は上記と同じ);2―ヒドロキシエチルアクリレート、2―ヒドロキシエチルメタクリレート、2―ヒドロキシプロピルアクリレート、2―ヒドロキシプロピルメタクリレート等の如きヒドロキシ含有モノマー;アクリルアミド、メタクリルアミド、N―メチルメタクリルアミド、N―メチルアクリルアミド、N―メチロールアクリルアミド、N―メチロールメタクリルアミド、N,N―ジメチロールアクリルアミド、N―メトキシメチルアクリルアミド、N―メトキシメチルメタクリルアミド、N―フェニルアクリルアミド等の如きアミド基含有モノマー;N,N―ジエチルアミノエチルアクリレート、N,N―ジエチルアミノエチルメタクリレート等の如きアミノ基含有モノマー;グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、アリルグリシジルエーテル等の如きエポキシ基含有モノマー;スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸、及びそれらの塩(例えばナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩等)等の如きスルホン酸基又はその塩を含有するモノマー;クロトン酸、イタコン酸、アクリル酸、マレイン酸、フマール酸、及びそれらの塩(例えばナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩等)等の如きカルボキシル基又はその塩を含有するモノマー;無水マレイン酸、無水イタコン酸等の無水物を含有するモノマー;その他ビニルイソシアネート、アリルイソシアネート、スチレン、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルトリスアルコキシシラン、アルキルマレイン酸モノエステル、アルキルフマール酸モノエステル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アルキルイタコン酸モノエステル、塩化ビニリデン、酢酸ビニル、塩化ビニル等の単量体の組合せからつくられたものであるが、アクリル酸誘導体、メタクリル酸誘導体の如き(メタ)アクリル単量体の成分が50モル%以上含まれているものが好ましく、特にメタクリル酸メチルの成分を含有しているものが好ましい。
【0014】
かかるアクリル樹脂は分子内の官能基で自己架橋することができるし、メラミン樹脂やエポキシ化合物等の架橋剤を用いて架橋することもできる。
【0015】
また前記ポリエステル樹脂を構成する酸成分としては、例えばテレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、1,4―シクロヘキサンジカルボン酸、2,6―ナフタレンジカルボン酸、4,4′―ジフェニルジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、コハク酸、5―ナトリウムスルホイソフタル酸、2―カリウムスルホテレフタル酸、トリメリット酸、トリメシン酸、無水トリメリット酸、無水フタル酸、p―ヒドロキシ安息香酸、トリメリット酸モノカリウム塩等の多価カルボン酸を例示しうる。また、ヒドロキシ化合物成分としては、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3―プロパンジオール、1,4―ブタンジオール、1,6―ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4―シクロヘキサンジメタノール、p―キシリレングリコール、ビスフェノールAのエチレンオキシド付加物、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレンオキシドグリコール、ポリテトラメチレンオキシドグリコール、ジメチロールプロピオン酸、グリセリン、トリメチロールプロパン、ジメチロールエチルスルホン酸ナトリウム、ジメチロールプロピオン酸カリウム等の多価ヒドロキシ化合物を例示しうる。これらの化合物から常法によってポリエステル樹脂をつくることができる。水性塗液をつくる場合には、5―ナトリウムスルホイソフタル酸成分又はカルボン酸塩基を含有するポリエステル樹脂を用いるのが好ましい。かかるポリエステル樹脂は分子内に官能基を有する自己架橋型とすることができるし、メラミン樹脂、エポキシ樹脂のような硬化剤を用いて架橋することもできる。
【0016】
更にまた、前記アクリル―ポリエステル樹脂はアクリル変性ポリエステル樹脂とポリエステル変性アクリル樹脂とを包含する意味で用いており、アクリル樹脂成分とポリエステル樹脂成分とが互いに結合したものであって、例えばグラフトタイプ、ブロックタイプ等を包含する。アクリル―ポリエステル樹脂は、例えばポリエステル樹脂の両端にラジカル開始剤を付加してアクリル単量体の重合を行わせたり、ポリエステル樹脂の側鎖にラジカル開始剤を付けてアクリル単量体の重合を行わせたり、あるいはアクリル樹脂の側鎖に水酸基を付け、末端にイソシアネート基やカルボキシル基を有するポリエステルと反応させてくし形ポリマーとする等によって製造することができる。
【0017】
本発明において皮膜層Aに配合される突起Aaを形成する不活性粒子Aaの材質としては、ポリスチレン、ポリスチレン―ジビニルベンゼン、ポリメチルメタクリレート、メチルメタクリレート共重合体、メチルメタクリレート共重合架橋体、ポリテトラフルオロエチレン、ポリビニリデンフルオライド、ポリアクリロニトリル、ベンゾグアナミン樹脂等の如き有機質、シリカ、アルミナ、二酸化チタン、カオリン、タルク、グラファイト、炭酸カルシウム、長石、二硫化モリブデン、カーボンブラック、硫酸バリウム等の如き無機質のいずれを用いてもよい。
【0018】
また内外部のそれぞれの性質が異なる物質で構成される多層構造のコア―シェル型粒子を用いてもよい。
【0019】
不活性粒子Aaの平均粒径は10〜50nm、好ましくは10〜40nmである。更に粒度分布が均一であるものが好ましい。また不活性粒子Aaを核とし、樹脂を結合剤とする突起Aaの平均突起高さは15〜50nm、好ましくは20〜40nmである。この平均粒径が10nmより小さくなったり、あるいは平均突起高さが15μmより低くなると、フイルムの滑り性が悪化し、また磁気テープとした場合の走行耐久性が不足する。一方、平均粒径が50nmより大きくなったり、あるいは平均突起高さが50nmより高いと、粒子の脱落が発生し、耐削れ性が悪化する。また削り取られた粒子がフイルム上に付着堆積して磁気テープとした場合にドロップアウトの増加を引き起こす。また、磁気ヘッドとのスペーシングが大きくなり、高密度の磁気記録媒体として供することが困難となる。
【0020】
さらに、皮膜層Aにおける突起Aaの表面突起頻度は1×10〜1×10個/mmである。この表面突起頻度が1×10個/mm未満では磁気記録媒体としたときの走行耐久性が不足する。他方、1×10個/mmを超えると電磁変換特性に悪影響を及ぼす。好ましい表面突起頻度は2×10〜5×10個/mm、更に好ましくは3.0×10〜3.0×10個/mmである。
【0021】
また、皮膜層Aは前記の樹脂のみによる微小突起Abを有し、その平均突起高さ2〜15nm、好ましくは2〜10nmで、その頻度は1×10〜3×10個/mm、好ましくは5×10〜1×10個/mmである。また皮膜層Aの該樹脂による連続薄膜部の微小表面粗さRaは0.4〜2.0nm、好ましくは0.5〜1.5nmである。微小突起Abの平均突起高さが2nmより低くなったり、あるいはその頻度が1×10個/mmを下まわる場合、あるいは微小表面粗さRaが0.4mmより小さい場合には、フイルムをロール状に巻取ったときにブロッキング現象が発生する。また微小突起Abの平均突起高さが15nmより大きくなったり、あるいはその頻度が3×10個/mmを超える場合、あるいは微小表面粗さRaが2.0nmより大きい場合には、磁気記録媒体としたときの電磁変換特性に悪影響を及ぼす。
【0022】
皮膜層Aを形成した面のRaは0.7〜3nmであり、好ましくは1.0〜2nmである。このRaが0.7nmより小さい場合にはフイルムの滑り性が悪化し、磁気テープとしたときの走行耐久性が不足する。一方、3nmより大きい場合には電磁変換特性が悪化する。
【0023】
本発明において皮膜層A表面における大突起Acは、前記突起Aaの形成法と同様に、平均粒径50〜400nmの粒子Acを皮膜層A中に含有させることでも形成することができるが、好ましくは該平均粒径の粒子をポリエステルフイルム中に含有させる方法で形成させる。
【0024】
大突起Acを形成する粒子Acとしては、ポリスチレン、ポリスチレン―ジビニルベンゼン、ポリメチルメタクリレート、メチルメタクリレート共重合体、メチルメタクリレート共重合架橋体、ポリテトラフルオロエチレン、ポリビニリデンフルオライド、ポリアクリルニトリル、ベンゾクアナミン樹脂等の如き有機質からなる粒子、シリカ、アルミナ、二酸化チタン、カオリン、タルク、グラファイト、炭酸カルシウム、長石、二硫化モリブデン、カーボンブラック、硫酸バリウム等の如き無機質からなる粒子のいずれを用いてもよい。
【0025】
また内外部のそれぞれの性質が異なる物質で構成される多層構造のコアシェル型粒子を用いてもよい。
【0026】
突起Acの平均突起高さは50〜30nm、好ましくは50〜200cmであり、突起Acを形成する粒子Acの平均粒径は50〜400nm、好ましくは50〜300nmである。また突起Acの頻度は5×10〜5×10個/mm、好ましくは1×10〜2×10個/mmである。この平均突起高さが50nmより低く、あるいは粒子の平均粒径が50nmより小さく、あるいは突起の頻度が5×10個/mmを下まわる場合、摩擦係数が高くなり、製膜工程でのハンドリング不良が発生したり、磁気記録媒体としたときのスチル特性が悪化する。一方、平均突起高さが300nmより高く、あるいは粒子の平均粒径が400nmより大きく、あるいは突起の頻度が5×10個/mmを超える場合、磁気記録媒体としたときの電磁変換特性が悪化する。
【0027】
皮膜層Aをポリエステルフイルム表面上に形成させる方法としては、不活性粒子Aaと薄膜形成樹脂を、場合によっては更に不活性粒子Acを、均一に分散させた樹脂塗液、好ましくは水性エマルジョンないし懸濁塗液をポリエステルフイルムの製造工程中にフイルム表面に塗布・乾燥固化する方法(インライン法)、または二軸配向したポリエステルフイルムに前記の塗液を塗布・乾燥固化する方法(オフライン法)等を採用することかできるが、前者のインライン法が好ましい。これらの塗液中に塗布を容易にさせるための界面活性剤を含有させることは一向に差しつかえない。
【0028】
上記の方法において、不活性粒子Aaを核とする微小突起Aa、更には不活性粒子Acによる大突起Acの形成と同時に薄膜形成樹脂のみによる微小突起も形成する。フイルム表面に塗液を塗布した後の乾燥固化は、該樹脂が連続薄膜を形成しかつ該樹脂の一部が微小突起を形成する条件で行われる。その際、樹脂の熱特性にもよるが、塗液中でのエマルジョンないし懸濁樹脂の大きさや、乾燥の温度、時間等を適宜選択するのが望ましい。これらは後述する実施例から容易に理解できよう。さらに述べると、例えば塗液中での樹脂微粒子の大きさは、光散乱法による粒径測定で25〜100nmの平均粒径を有することが好ましい。かかる平均粒径の樹脂微粒子は通常のエマルジョンないし懸濁液の調製法で得ることができ、また市場から入手することもできる。
【0029】
本発明においては、皮膜A形成面と反対側のポリエステルフイルムの表面に、フイルムの巻取り性を付与するため、連続薄膜よりなる皮膜層Bを設けることが好ましい。
【0030】
この皮膜層Bは不活性粒子Bを含有するが、この不活性粒子Bとしては、ポリスチレン、ポリスチレン―ジビニルベンゼン、ポリメチルメタクリレート、メチルメタクリレート共重合体、メチルメタクリレート共重合架橋体、ポリテトラフルオロエチレン、ポリビニリデンフルオライド、ポリアクリルニトリル、ベンゾグアナミン樹脂等の如き有機質からなる粒子、シリカ、アルミナ、二酸化チタン、カオリン、タルク、グラファイト、炭酸カルシウム、長石、二硫化モリブデン、カーボンブラック、硫酸バリウム等の如き無機質からなる粒子のいずれを用いてもよい。またコアシェルの粒子であってもよい。
【0031】
皮膜層B中に含有させる不活性粒子Bの平均粒径は、10〜200nm、好ましくは20〜100nmである。皮膜Bの中の不活性粒子B含有量は3〜50重量%、好ましくは5〜30重量%である。粒子Bの平均粒径が10nm未満、あるいは含有量が3重量%未満であると、フイルムの巻取り性、製膜工程での搬送性等の点で満足できず、またブロッキングを起し易くなる。一方、平均粒径が200nmを超える場合には粒子が塗膜から脱落しやすくなる。また皮膜層B中の不活性粒子Bの含有量が50重量%を超える場合には皮膜層B自体の強度が低下して削れ易くなる。
【0032】
前記不活性粒子Bを含有して皮膜層Bを形成する樹脂としては、皮膜Aで例示した樹脂と同じ樹脂を例示することができる。また、これらに更にセルロース系樹脂を含有させてもよい。
【0033】
皮膜層Bには、本発明の効果を損われない範囲であれば、所望により他の成分、例えば界面活性剤、安定剤、分散剤、UV吸収剤、増粘剤等を添加することができる。
【0034】
また、皮膜層Bを形成した面のRaは1〜30nm、好ましくは2〜20nmである。Raが1nm未満の場合にはフイルムの巻取り性、製膜工程での搬送性が不足したり、ブロッキングを起こし易くなる。一方Raが30nmを超える場合には皮膜層Bが削れ易くなる問題がある。
【0035】
本発明におけるポリエステルフイルムは、従来から知られている方法で製造することができる。
【0036】
例えば、二軸配向ポリエステルフイルムで説明すると、ポリエステル層が単層の場合、まずポリエステルを口金より融点Tm℃〜(Tm+70)℃の温度でフイルム状に押出した後、40〜90℃で急冷固化し未延伸フイルムを得る。しかる後に、該未延伸フイルムを常法に従って一軸方向(縦方向又は横方向)に(Tg−10)〜(Tg+70)℃の温度(但し、Tg:ポリエステルのガラス転移温度)において2.5〜8.0倍の倍率、好ましくは3.0〜7.5倍の倍率、で延伸し、次いで皮膜層A、Bを形成する塗液をフイルム両面にそれぞれ塗布し、その後に前記方向とは直角方向にTg〜(Tg+70)℃の温度において2.5〜8.0倍の倍率、好ましくは3.0〜7.5倍の倍率、で延伸する。更に必要に応じて縦方向及び/又は横方向に再度延伸してもよい。即ち、2段、3段、4段、或いは更に多段の延伸を行うとよい。全延伸倍率は、面積延伸倍率として通常9倍以上、好ましくは12〜35倍、更に好ましくは15〜32倍である。更に引き続いて、二軸配向フイルムを(Tg+70)〜(Tm−10)℃の温度、例えば180〜250℃で熱固定結晶化することによって優れた寸法安定性が付与される。なお、熱固定時間は1〜60秒間が好ましい。
【0037】
共押出法の場合、2種のポリエステルを押出口金内又は口金以前(一般に前者はマルチマニホールド方式、後者はフィードブロック方式と呼ぶ)で溶融状態にて積層複合し、好適な厚み比となして共押出をして2層積層の未延伸フイルムとし、その後は前記単層法と同様に行う。
【0038】
なお、前記フイルムの製造に際し、そのポリエステルに所望により添加剤、例えば安定剤、着色剤、溶融ポリマーの固有抵抗調整剤(制電剤)等を添加含有させることができる。
【0039】
本発明の磁気記録媒体用ポリエステルフイルムは、皮膜層Aの表面に、真空蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング等の方法により、鉄、コバルト、クロム又はこれらを主成分とする合金もしくは酸化物より成る強磁性金属薄膜層を形成し、またその表面に、目的、用途、必要に応じてダイアモンドライクカーボン(DLC)等の保護層、含フッ素カルボン酸系潤滑層を順次設け、更に皮膜層Bの表面に公知のバックコート層を設けることにより、特に短波長領域の出力、S/N,C/N等の電磁変換特性に優れ、ドロップアウト、エラーレートの少ない高密度記録用蒸着型磁気記録媒体とすることが出来る。この蒸着型電磁記録媒体は、アナログ信号記録用Hi8、ディジタル信号記録用ディジタルビデオカセットレコーダー(DVC)、データ8ミリ、DDSIV用テープ媒体として用いることができ、極めて有用である。
【0040】
本発明の磁気記録媒体用ポリエステルフイルムは、また、皮膜層Aの表面に、鉄又は鉄を主成分とする針状微細磁性粉をポリ塩化ビニール、塩化ビニール・酢酸ビニール共重合体等のバインダーに均一分散し、磁性層厚みが1μm以下、好ましくは0.1〜1μmとなるように塗布し、更に皮膜層Bの表面に公知の方法でバックコート層を設けることにより、特に短波長領域での出力、S/N,C/N等の電磁変換特性に優れ、ドロップアウト、エラーレートの少ない高密度記録用メタル塗布型磁気記録媒体とすることが出来る。また、必要に応じて皮膜層Aの上に、メタル粉含有磁性層の下地層として微細な酸化チタン粒子等を含有する非磁性層を磁性層と同様の有機バインダー中に分散、塗設することもできる。このメタル塗布型磁気記録媒体は、アナログ信号記録用8ミリビデオ、Hi8、βカムSP、W―VHS、ディジタル信号記録用ディジタルビデオカセットコーダー(DVC)、データ8ミリ、DDSIV、ディジタルβカム、D2、D3、SX等用テープ媒体として極めて有用である。
【0041】
本発明の磁気記録媒体用ポリエステルフイルムは、また、皮膜層Aの表面に、酸化鉄又は酸化クロム等の針状微細磁性粉、又はバリウムフェライト等の板状微細磁性粉をポリ塩化ビニール、塩化ビニール・酢酸ビニール共重合体等のバインダーに均一分散せしめ、磁性層厚みが1μm以下、好ましくは0.1〜1μmとなるように塗布せしめ、更に皮膜層Bの上に公知の方法でバックコート層を設けることにより、特に短波長領域での出力、S/N,C/N等の電磁変換特性に優れ、ドロップアウト、エラーレートの少ない高密度記録用塗布型磁気記録媒体とすることが出来る。また、必要に応じて皮膜層Aの上に、該メタル粉含有磁性層の下地層として微細な酸化チタン粒子等を含有する非磁性層を磁性層と同様の有機バインダー中に分散、塗設することも出来る。この酸化物塗布型磁気記録媒体は、ディジタル信号記録用データストリーマー用QIC等の高密度酸化物塗布型磁気記録媒体として有用である。
【0042】
【実施例】
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明する。尚、例中の「部」は重量部である。また本発明において用いた測定法は次の通りである。
【0043】
(1)粒子の平均粒径(平均粒径:0.06μm以上)
島津製作所製CP―50型セントリフューグル パーティクル サイズ アナライザー(Centrifugal Particle Size Analyzer)を用いて測定する。得られる遠心沈降曲線を基に算出した各粒径の粒子とその存在量との積算曲線から、50マスパーセントに相当する粒径「等価球直径」を読み取り、この値を上記平均粒径とする(「粒度測定技術」日刊工業新聞発行、1975年、242頁〜247頁参照)。
【0044】
(2)超微細粒子の平均粒径(平均粒径:0.06μm未満)
小突起を形成する平均粒径0.06μm未満の粒子は、光散乱法を用いて測定する。即ち、ニコム・インスツルメンツ・インコーポレイテッド(NicompInstruments Inc.)社製のNICOMP MODEL 270 SUBMICRON PARTICLE SIZER により求められる全粒子の50重量%の点にある粒子の「等価球直径」をもって表示する。
【0045】
(3)層厚
フイルムの全厚はマイクロメーターにてランダムに10点測定し、その平均値を用いる。層厚は、薄い側の層厚を以下に述べる方法にて測定し、また厚い側の層厚は全厚より薄い側の層厚に引き算して求める。即ち、二次イオン質量分析装置(SIMS)を用いて、表層から深さ5000nmの範囲のフイルム中の粒子の内最も高濃度の粒子に起因する元素とポリエステルの炭素元素の濃度比(M/C)を粒子濃度とし、表面から深さ5000nmまで厚さ方向の分析を行う。表層では当然粒子濃度は低く、表面から遠ざかるにつれて粒子濃度は高くなる。本発明の場合、粒子濃度は一旦安定値1になった後、上昇或いは減少して安定値2になる場合と、単調に減少する場合とがある。この分布曲線をもとに、前者の場合は(安定値1+安定値2)/2の粒子濃度を与える深さをもって、また後者の場合は粒子濃度が安定値1の1/2になる深さ(この深さは安定値1を与える深さよりも深い)をもって、当該層の層厚とする。
【0046】
二次イオン質量分析装置(SIMS):PERKIN ELMER社製 6300の測定条件は下記の通りである。
一次イオン種 :O2+
一次イオン加速電圧:12KV
一次イオン電流:200mA
ラスター領域 :400μm□
分析領域 :ゲート30%
測定真空度 :6.0×10−9Torr
E―GUNN :0.5KV―3.0A
【0047】
尚、表層から5000nmの範囲に最も多く含有する粒子がシリコーン樹脂以外の有機高分子粒子の場合はSIMSでは測定が難しいので、表面からエッチングしながらFT―IR(フーリエトランスフォーム赤外分光法)、粒子によってはXPS(X線高電子分光法)等で上記同様の濃度分布曲線を測定し、層厚を求める。
【0048】
以上は共押出層の場合に有効な測定法であって、塗布層の場合はフイルムの小片をエポキシ樹脂にて固定成形し、ミクロトームにて約60nmの厚みの超薄切片(フイルムの流れ方向に平行に切断する)を作成し、この試料を透過型電子顕微鏡(日立製作所製H―800型)にて観察し、層の境界面より層厚みを求める。
【0049】
(4)フイルムの表面粗さ(中心線平均粗さ:Ra)
中心線平均粗さ(Ra)はJIS―B601に準じて測定する。本発明では(株)小坂研究所の触針式表面粗さ計(SURFCORDER SE,30C )を用い、次の条件で測定して求める。
(a)触針先端半径:2μm
(b)測定圧力 :30mg
(c)カットオフ :0.08mm
(d)測定長 :8.0mm
(e)データーのまとめ方:同一試料について6回繰返し測定し、最も大きい値を1つ除き、残り5つのデータを用いて平均値として中心線平均粗さ(Ra)を求める。
【0050】
(5)突起Aa、Abの頻度
Digital Instruments 社製の原子間力顕微鏡 Nano ScopeIII、AFMのJスキャナーを使用し、以下の条件で突起Aa、Abの場合は2μm×2μmの範囲を突起Acの場合は30μm×30μmの範囲を、各々10ケ所測定し、AFM像より各々の突起の数をカウントし、その平均値を面積換算により個/mm当たりの突起個数として算出する。
走査モード;タッピングモード
面素数;256×256 データポイント
スキャン速度;2.0Hz
測定環境;室温、大気中
【0051】
(6)突起Aa、Ab、Acの平均高さ
前述のAFM像から各々の突起をランダムに100個選定し、突起1個ずつの高さを測定し、その平均値をもって突起の平均高さとする。
【0052】
(7)微小表面粗さRa
前述の2μm×2μmのAFM像から不活性粒子を核とする突起Aaのない部分を選定してフイルム表面粗さ曲線からその中心線の方向に測定長さLの部分を抜き取り、この抜き取り部分の中心線をX軸、縦倍率の方向をY軸として、粗さ曲線をY=f(x)で表わしたとき、次の式で与えられた値をnm単位で表わす。
【0053】
【数1】
Figure 0003626587
【0054】
実際には、この測定は1枚のAFM像につき、0.4〜1.2μmの長さについて5ケ所の測定を実施し、10枚のAFM像の合計50ケ所の平均値をもって微小表面粗さRaとする。
【0055】
(8)摩擦係数(フイルムスリッパリー)
ASTM D1894―63に準じ、東洋テスター社製のスリッパリー測定器を使用し、皮膜層A形成面の静摩擦係数(μs)を測定する。但し、スレッド板はガラス板とし、荷重は1kgとする。
フイルムスリッパリーは次の基準で判定する:
○:良好なもの(μs 0.6未満)
△:やや不良なもの(μs 0.6〜0.8)
×:不良なもの(μs 0.8超)
【0056】
(9)ブロッキング
2枚のフイルムの皮膜層A形成面と皮膜層B形成面を重ね合わせ、これに150kg/cmの圧力を60℃において80%RHの雰囲気下65時間かけた後剥離し、その剥離力で評価する(5cm当たりのg数)。
なお、評価は剥離力から下記の基準で行う。
○:0〜10g/cm未満
△:10g/cm以下〜15g/cm未満
×:15g/cm以上〜破れ
【0057】
(10)巻取り性
スリット時の巻取り条件を最適化後、幅560mm×長さ9000mのサイズで、10ロールのスリットを行い、1週間放置後の、フイルムシワの発生のないロール本を良品として、以下の基準にて巻取り性の評価をする。
良品ロール本数 判定基準
8本以上 ○
3〜7本 △
2本以下 ×
【0058】
(11)磁気テープの製造及び特性評価
積層フイルムの皮膜層Aの表面に、真空蒸着法により、コバルト100%の強磁性薄膜を0.02μmの厚みになるように2層(各層厚約0.1μm)形成し、その表面にダイアモンドライクカーボン(DLC)膜、更に含フッ素カルボン酸系潤滑層を順次設け、更にポリエステル層又は皮膜層Bの表面に公知方法でバックコート層を設ける。その後、8mm幅にスリットし、市販の8mmビデオカセットにローディングする。次いで、以下の市販の機器を用いてテープの特性を測定する。
【0059】
▲1▼C/N測定
記録波長0.5μm(周波数約7.4MHz)の信号を記録し、その再生信号の6.4MHzと7.4MHzの値の比をそのテープのC/Nとし、市販8mmビデオ用蒸着テープのC/NをOdBとし、相対値で表す。
使用機器:
8mmビデオテープレコーダー:ソニー(株)製EDV―6000
C/N測定:シバソク(株)製ノイズメーター
○:+2dB超
×:−2dB〜+2dB
×:−2dB未満
【0060】
▲2▼走行耐久性
40℃、80%RHで、テープ、走行速度85cm/分で記録再生を500回繰り返した後のC/Nを測定し、初期値からのずれを次の基準で判定する。
○:初期値に対して+0.0dB超
△:初期値に対して−1.0dB〜+0.0dB
×:初期値に対して−1.0dB未満
【0061】
▲3▼スチル特性
テープに4.2MHzの映像信号を記録し、スチルモードでこの再生出力が50%に減衰するまでの時間を測定する。この時間により以下の基準で判定する。
○:50%に減衰時間が100分以上
△:50%に減衰時間が50〜100分
×:50%に減衰時間が50分未満
【0062】
[実施例1]
ジメチルテレフタレート100部、エチレングリコール70部、酢酸マンガン・4水塩0.019部及び酢酸ナトリウム・3水塩0.013部を反応器に仕込み、内温を145℃から徐々に上げながらエステル交換反応を行った。エステル交換反応率が95%となった時点で、安定剤としてあらかじめトリメチルホスフェート25部とエチレングリコール75部を反応させたリン化合物のグリコール溶液を0.044部添加し、更に平均粒径0.10μmの二酸化ケイ素のエチレングリコールスラリー(二酸化ケイ素の10wt%/エチレングリコールスラリー)0.19部を添加した。十分攪拌した後、重合触媒としてエチレングリコール2.5部中で無水トリメリット酸0.8部とテトラブチルチタネート0.65部を反応せしめた液(チタン含有率は11重量%)0.011部を添加した。次いで反応生成物を重合反応器に移し、高温真空下(最終内温290℃)にて重縮合反応を行い、固有粘度0.60のポリエチレンテレフタレートを得た。
【0063】
このポリエチレンテレフタレートを170℃で3時間乾燥後、押出機に供給し、溶融温度280〜300℃にて溶融して、ダイよりシート状に押出し、急冷して厚さ82μmの未延伸フイルムを得た。
【0064】
得られた未延伸フイルムを予熱し、更に低速・高速のロール間でフイルム温度95℃にて縦方向に3.2倍に延伸し、急冷し、次いで縦延伸フイルムの一方の面に表1、2の皮膜層Aの樹脂および粒子Aを含む水性エマルジョン塗液を、他の面に皮膜層Bの樹脂および粒子Bを含む水溶性塗液を各々0.008μm、0.025μm(延伸乾燥後)の厚みになるよう塗布し、続いてステンターに供給し、110℃にて横方向に4.1倍に延伸した。得られた二軸延伸フイルムを220℃の熱風で4秒間熱固定し、厚み6.3μmの磁気記録媒体用ポリエステルフイルムを得た。
【0065】
[比較例2]
皮膜層Aと皮膜層Bの樹脂及び粒子を表1、2のように変更する以外は実施例1と同様の方法で磁気記録媒体用ポリエステルフイルムを得た。
【0066】
[比較例3]
表1、2に示す芯層ポリエステル層の第一層、第二層用のポリエチレンテレフタレートをそれぞれ2台の押し出し機に供給して、マルチマニホールド型共押し出しダイを用いて積層し、皮膜層Aと皮膜層Bの樹脂及び粒子を表1、2のように変更する以外は実施例1と同様の方法で磁気記録媒体用ポリエステルフイルムを得た。
【0067】
[実施例2、4、比較例1、5]
表1、2に示す粒子を用い、かつジメチルテレフタレートの代わりに2,6―ナフタレンジカルボン酸ジメチルを同モル量使用した以外は実施例1と同様の方法でポリエチレン―2,6―ナフタレート(PEN)を得た。
【0068】
このポリエチレン―2,6―ナフタレートを170℃で6時間乾燥後、実施例1と同様にして、各実施例、比較例を満たす未延伸フイルムを得た。
【0069】
得られた未延伸フイルムを予熱し、更に低速・高速のロール間でフイルム温度135℃にて縦方向に3.5倍延伸し、急冷し、次いで表1、2に示す皮膜層A及び皮膜層Bの水性塗液を実施例1と同様に塗布し、続いてステンターに供給し、155℃にて横方向に5.6倍に延伸した。得られた二軸延伸フイルムを200℃の熱風で4秒間熱固定し、磁気記録媒体用ポリエステルフイルムを得た。
【0070】
[実施例3、比較例4]
表1、2に示す芯層ポリエステル層の第一層、第二層用のポリエチレン―2,6―ナフタレートをそれぞれ2台の押し出し機に供給して、マルチマニホールド型共押し出しダイを用いて積層し、皮膜層Aと皮膜層Bの樹脂及び粒子を表1、2のように変更する以外は実施例2と同様の方法で磁気記録媒体用ポリエステルフイルムを得た。
【0071】
【表1】
Figure 0003626587
【0072】
【表2】
Figure 0003626587
【0073】
表2から明らかなように、本発明による磁気記録媒体用ポリエステルフイルムは製膜工程での耐削れ性、巻取り性、耐ブロッキング性に優れ、磁気記録媒体として用いられる場合に電磁変換特性、走行耐久性、スチル特性に極めて優れる。これに対し、本発明の要件を満たさないものはこれらの特性を同時に満足することはできない。
【0074】
[発明の利用性]
本発明の磁気記録媒体用ポリエステルフイルムは全厚みが2.5〜20μm程度であり、磁気記録媒体のベースに好適に用いられる。そして磁気記録媒体としては金属薄膜型のものに有用である。また本発明のポリエステルフイルム基材は磁性層の厚みが1μm以下の塗布型磁気記録媒体にも供し得る他に、デジタル信号記録型磁気記録媒体にも使うことができる。
【0075】
【発明の効果】
本発明によれば、製膜工程でのハンドリング性、巻取り性、耐ブロッキング性に優れ、しかも電磁変換特性、走行耐久性、スチル特性に優れた磁気記録媒体のベースとして有用なポリエステルフイルムを提供することができる。

Claims (4)

  1. ポリエステルフイルムの少なくとも片面に不活性粒子及び樹脂から形成される連続薄膜よりなる皮膜層Aが形成されており、該皮膜層Aが形成された表面は、平均粒径10〜50nmの不活性粒子を核とする平均突起高さが15〜50nmの突起Aaを1×10〜1×10個/mmの頻度で有し、該皮膜層Aを形成する樹脂のみによる平均突起高さ2〜15nmの微小突起Abを1×10〜3×10個/mmの頻度で有し、かつ平均粒径50〜400nmの粒子を核とする平均突起高さが50〜300nmの大突起Acを5×10〜5×10個/mmの頻度で有し、そして該皮膜層Aを形成する樹脂による連続薄膜部の微小表面粗さRaが0.4〜2.0nmであり、かつ該皮膜層Aを形成した面の表面粗さRaが0.7〜3nmであることを特徴とする磁気記録媒体用ポリエステルフイルム。
  2. 皮膜層Aを形成する樹脂がアクリル樹脂、ポリエステル樹脂及びアクリル―ポリエステル樹脂からなる群より選ばれる少なくとも一種の樹脂である請求項1に記載の磁気記録媒体用ポリエステルフイルム。
  3. ポリエステルフイルムの他の表面に連続薄膜よりなる皮膜層Bが形成されていて、該皮膜層Bは平均粒径10〜200nmの不活性粒子を3〜50重量%含有し、表面の表面粗さRaが1〜30nmである請求項1又は2に記載の磁気記録媒体用ポリエステルフイルム。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリエステルフイルムの皮膜層Aの上に磁気記録層を設けてなる磁気記録媒体。
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