JP3856630B2 - 積層熱可塑性樹脂フィルム - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は積層熱可塑性樹脂フィルムに関する。さらに詳しくは、耐ブロッキング性、巻取り性、加工適性にすぐれ、特に金属蒸着薄膜型磁気記録媒体としたときに電磁変換特性に優れた積層熱可塑性樹脂フィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、磁気記録媒体の高密度化の進歩はめざましく、例えば、強磁性金属薄膜を真空蒸着やスパッタリングなどの物理沈着法またはメッキ法により非磁性支持体上に形成させた強磁性金属薄膜型磁気記録媒体の開発実用化が、進められている。例えば、Coの蒸着テープ(特開昭54―147010号公報)、Co―Cr合金からなる垂直磁気記録媒体(特開昭52―134706号公報)が知られている。
【0003】
従来の塗布型磁気記録媒体(磁性粉末を有機高分子バインダーに混入させて非磁性支持体上に塗布してなる磁気記録媒体)は、記録密度が低く、記録波長も長いために、磁性層の厚みが2μm程度以上と厚い。これに対し、真空蒸着、スパッタリングまたはイオンプレーティングなどの薄膜形成手段によって形成される金属薄膜は、厚みが0.2μm以下と非常に薄くなっている。
【0004】
このため、高密度磁気記録媒体においては、非磁性支持体(ベースフィルム)の表面状態が磁気記録層の表面性に大きな影響を及ぼしている。すなわち、非磁性支持体の表面状態が、そのまま磁気記録層表面の凹凸として発現し、それが記録・再生信号の雑音の原因となる。従って、非磁性支持体の表面は、できるだけ平滑であることが望ましい。
【0005】
一方、非磁性支持体の製膜、製膜工程での搬送、傷つき、巻き取り、巻出しといったハンドリングの観点からは、フィルム表面が平滑過ぎるとフィルム―フィルム相互の滑り性が悪化し、製品歩留りの低下、ひいては、製品の製造コストの上昇をきたす。従って、製造コストという観点では、非磁性支持体の表面は、できるだけ粗いことが好ましい。
【0006】
さらに、金属薄膜型磁気記録媒体の場合には、金属薄膜とベースフィルムとの密着性を良好にするため、金属薄膜成形前に、イオンボンバード処理と呼ばれる、ベースフィルム表面をイオンにより活性化する処理が施される。
【0007】
この金属薄膜成形時には、フィルム表面に高温の熱がかかり、ベースフィルムが融解してしまったり、あるいは機械特性などの物性の低下を招かぬように、背面冷却を施している。背面冷却の方法としては、ドラム状冷却体にベースフィルムを巻き付けて実施する場合が多く、その際、ドラム表面に金属薄膜が形成されないようにベースフィルム両端をマスキングしている。
【0008】
従って、上記蒸着工程を通過したサンプルロールの両端部には、イオンボンバード処理によって表面が活性化され、かつ金属薄膜が形成されない部分が、長手方向に連続的に存在している。この部分は、ロール状に巻き上げられた状態では、反対面側と高い圧力で接触することになり、ブロッキングを引き起しやすくなる。金属薄膜型磁気記録媒体を製造する際には、金属薄膜を蒸着した後に、バックコート層および必要に応じてトップコート層を設けるが、これらの加工工程において上記ブロッキングが発生していると、ベースフィルムの切断やしわが発生しやすくなり、収率が大幅に低下してしまうという問題がある。
【0009】
このようなブロッキングを防ぐためには、非磁性支持体の表面は粗い方が好ましい。
【0010】
このように、非磁性支持体の表面は、電磁変換特性という観点からは平滑であることが要求され、ハンドリング性、製造コスト、ブロッキング防止の観点からは、粗いことが要求される。
【0011】
上記のような相反する要求を満たすため、A、Bの2層からなり、A層表面よりもB層表面の方が粗い積層フィルムが提案されているが、このようなフィルムでは粗面側の高い突起が平坦面側に転写したり、粗面側に添加した大きな粒子による平坦面側への突き上げ効果により、磁気記録媒体としたときの電磁変換特性が悪化してしまうという問題があった。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、このような従来技術の欠点を解消し、耐ブロッキング性、巻き取り性、加工適性に優れ、金属蒸着薄膜型磁気記録媒体としたときに電磁変換特性に優れた積層熱可塑性樹脂フィルムを提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明の目的は、本発明によれば、熱可塑性樹脂層Aの片面に、ソルビタントリステアレートを含有する熱可塑性樹脂層Bを積層した積層フィルムであって、A層側の表面粗さ(WRaA)が0.1〜4nmであり、B層が平均粒径50〜1,000nmの不活性粒子BをB層に対して0.001〜1重量%含有し、ソルビタントリステアレートの含有量が0.001〜1重量%であり、かつB層側表面の十点平均粗さ(WRzB)が30〜300nmであることを特徴とする積層熱可塑性樹脂フィルムによって達成される。
【0014】
本発明は、好ましい態様として、上記熱可塑性樹脂層AのB層と接しない面に塗膜層Cが積層されていること、該塗膜層Cは平均粒径10〜50nm、体積形状係数0.1〜π/6の不活性粒子Cを塗膜層Cの固形分に対して0.5〜30重量%含有すること、上記熱可塑性樹脂層Aは実質的に粒子を含有しないか、体積形状係数0.1〜π/6、平均粒径30〜400nmの不活性粒子Aを0.001〜0.2重量%(A層に対し)含有すること等を包含する。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明において、熱可塑性樹脂層A、層Bを形成する熱可塑性樹脂A、Bとしては、ポリエステル系樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリビニル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂などを例示することができる。これらのうち、ポリエステル系樹脂、特に芳香族ポリエステルが好ましい。
【0016】
熱可塑性樹脂A、Bは異なる種類であっても良いが、同種類の方が好ましい。
【0017】
上記芳香族ポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンイソフタレート、ポリテトラメチレンテレフタレート、ポリ−1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート(ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート)などを例示することができる。これらのうち、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレートが好ましい。
【0018】
これらポリエステルは、ホモポリエステルであっても、コポリエステルであっても良い。コポリエステルの場合、例えば、ポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレン−2,6−ナフタレートの共重合成分としては、例えばジエチレングリコール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ポリエチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、p−キシリレングリコールなどの他のジオール成分、アジピン酸、セバシン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸(ただし、ポリエチレン−2,6−ナフタレートの場合)、2,6−ナフタレンジカルボン酸(ただし、ポリエチレンテレフタレートの場合)、5−ナトリウムスルホイソフタル酸などの他のジカルボン酸成分、p−オキシエトキシ安息香酸などのオキシカルボン酸成分などが挙げられる。これら共重合成分の量は、20モル%以下、さらには10モル%以下であることが好ましい。
【0019】
さらにトリメリット酸、ピロメリット酸などの3官能以上の多官能化合物を共重合させることも出来る。この場合、ポリマーが実質的に線状である量、例えば2モル%以下で、共重合させるのが良い。
【0020】
ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート以外の他のポリエステルの場合の共重合成分についても、上記と同様に考えてよい。
【0021】
上記ポリエステルは、それ自体公知であり、かつそれ自体公知の方法で製造することができる。
【0022】
本発明におかる熱可塑性樹脂層Bは不活性粒子Bを含有するが、該不活性粒子Bの平均粒径(dB)は50〜1,000nm、好ましくは100〜800nm、さらに好ましくは150〜700nm、特に好ましくは200〜600nmである。そして、該不活性粒子Bの含有量は、B層に対し、0.001〜1重量%、好ましくは0.005〜0.8重量%、さらに好ましくは0.01〜0.6重量%、特に好ましくは0.01〜0.2重量%である。
【0023】
上記不活性粒子Bの平均粒径が50nm未満、または含有量が0.001重量%未満であると、巻取り性、耐ブロッキング性が不良となる。一方、平均粒径が1,000nmを超えるか、または含有量が1重量%を超えると、反対面への突起の形状転写や、A層の下からの突起の突き上げによって電磁変換特性を悪化させる。
【0024】
上記不活性粒子Bとして好ましい粒子は、例えば、(1)耐熱性ポリマー粒子(例えば、架橋シリコーン樹脂、架橋ポリスチレン、架橋アクリル樹脂、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂、芳香族ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、架橋ポリエステルなどからなる粒子)、(2)金属酸化物(例えば、三二酸化アルミニウム、二酸化チタン、二酸化ケイ素(シリカ)、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化ジルコニウムなど)、(3)金属の炭酸塩(例えば、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウムなど)、(4)金属の硫酸塩(例えば、硫酸カルシウム、硫酸バリウムなど)、(5)炭素(例えば、カーボンブラック、グラファイト、ダイアモンドなど)、および(6)粘土鉱物(例えば、カオリン、クレー、ベントナイトなど)などのような無機化合物からなる微粒子が挙げられる。これらのうち、架橋シリコーン樹脂粒子、架橋ポリスチレン樹脂粒子、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂粒子、ポリアミドイミド樹脂粒子、その他三二酸化アルミニウム(アルミナ)、二酸化チタン、二酸化ケイ素、酸化ジルコニウム、合成炭酸カルシウム、硫酸バリウム、ダイアモンド、またはカオリンからなる微粒子が好ましい。さらに好ましくは、架橋シリコーン樹脂粒子、架橋ポリスチレン樹脂粒子、その他三二酸化アルミニウム(アルミナ)、二酸化チタン、二酸化ケイ素、または炭酸カルシウムからなる微粒子である。
【0025】
上記不活性粒子Bは1種または2種以上のものを混合して使用してもよい。不活性粒子Bが2種以上の粒子からなる場合、上記不活性粒子Bの平均粒径dBよりも小さい平均粒径の第2、第3の粒子(微細粒子)として、例えばコロイダルシリカ、α、γ、δ、θなどの結晶形態を有するアルミナなどの微粒子を好ましく用いることができる。また、平均粒径dBを有する不活性粒子Bとして例示した粒子種のうち、平均粒径の小さい微細粒子も、第2、第3の粒子(微細粒子)として用いることができる。
【0026】
この微細粒子の平均粒径は、好ましくは5〜450nm、さらに好ましくは10〜400nm、特に好ましくは30〜350nmである。また、第2、第3の粒子(微細粒子)の含有量は、B層に対し、好ましくは0.005〜1重量%、さらに好ましくは0.01〜0.7重量%、特に好ましくは0.02〜0.5重量%である。
【0027】
本発明における積層熱可塑性樹脂層Bは、エステルワックスを0.001〜1重量%含有する。
【0030】
かかるエステルワックスのアルコール成分は、水酸基を2個以上有する多価アルコールであり、耐熱性の観点から、水酸基を3個以上有する多価アルコールであることが好ましい。このアルコール成分として、モノアルコールを用いたのでは、生成したエステルワックスの耐熱性が不足する。
【0031】
上記水酸基を3個以上有する多価アルコールとしては、グリセリン、エリスリット、トレイット、ペンタエリスリット、アラビット、キシリット、タリット、ソルビット、マンニットなどが好ましい例として挙げられる。
【0032】
上記のエステルワックスとしては、多価アルコールの水酸基の数にもよるが、耐熱性の観点からトリエステルが用いられる。かかるエステルワックスとしては、ソルビタントリステアレートが用いられる
【0034】
上記ソルビタントリステアレートのB層への添加量は、0.001〜1重量%、好ましくは0.003〜0.5重量%、さらに好ましくは0.005〜0.5重量%、特に好ましくは0.01〜0.3重量%含有する。このソルビタントリステアレートの含有量が0.001重量%未満であると、巻取り性の向上が不十分であり、ブロッキング改良効果も得られない。一方、1重量%を超えると、フィルム製造工程で、ロール上に巻き上げたときに接する反対側の面に、ブリードアウトによってワックス成分が多量に転写され、そのため、例えば金属蒸着層とベースフィルムの接着性を妨げるなどの弊害を生じる。
【0035】
また、上記熱可塑性樹脂層Bの十点平均粗さWRzBは30〜300nm、好ましくは40〜250nm、特に好ましくは50〜200nmである。このWRzBが30nm以下では、ハンドリング性が悪く十分な生産性をあげることができず、また、ブロッキング改良効果も不十分となる。一方、300nmを超えると、反対側の磁気層を設ける側の面への突起の形状転写が大きくなり、電磁変換特性を損なうことがあり、好ましくない。
【0036】
本発明における積層熱可塑性樹脂フィルムは、磁気テープとした場合の諸特性向上のため、磁性層を設ける側の面、すなわち、熱可塑性樹脂層Aの、熱可塑性樹脂層Bと接していない表面に、塗膜層Cを設けることが好ましい。
【0037】
該塗膜層Cは、平均粒径10〜50nm、体積形状係数0.1〜π/6の不活性粒子Cを0.5〜30重量%含有していることが好ましい。
【0038】
上記塗膜層Cを形成する樹脂としては、例えば水性ポリエステル樹脂、水性アクリル樹脂、水性ポリウレタン樹脂などが好ましく挙げられ、特に水性ポリエステル樹脂が好ましい。
【0039】
この水性ポリエステル樹脂としては、酸成分が、例えばイソフタル酸、フタル酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4′−ジフェニルジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、コハク酸、5−スルホイソフタル酸ナトリウム、2−スルホテレフタル酸カリウム、トリメリット酸、トリメシン酸、トリメリット酸モノカリウム塩、p−ヒドロキシ安息香酸などの多価カルボン酸の1種以上よりなり、グリコール成分が、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、p−キシリレングリコール、ジメチロールプロパン、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物などの多価ヒドロキシ化合物の1種以上より主としてなるポリエステル樹脂が好ましく用いられる。また、ポリエステル鎖にアクリル重合体鎖を結合させたグラフトポリマーまたはブロックコポリマー、あるいは2種のポリマーがミクロな粒子内で特定の物理的構成(IPN(相互侵入高分子網目)型、コアシェル型など)を形成したアクリル変性ポリエステル樹脂であってもよい。この水性ポリエステル樹脂としては、水に溶解、乳化、微分散するタイプを自由に用いることができるが、水に乳化、微分散するタイプのものが好ましい。また、これらは親水性を付与するため、分子内に例えばスルホン酸塩基、カルボン酸塩基、ポリエーテル単位などが導入されていてもよい。
【0040】
上記塗膜層Cに含有される不活性粒子Cとしては、特に限定されないが、塗液中で沈降しにくい、比較的低比重のものが好ましい。例えば、架橋シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ポリスチレン、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂、芳香族ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、架橋ポリエステル、全芳香族ポリエステルなどの有機粒子、二酸化ケイ素(シリカ)、炭酸カルシウムなどからなる粒子が好ましく挙げられる。なかでも、架橋シリコーン樹脂粒子、アクリル樹脂粒子、シリカ粒子、コアシェル型有機粒子(コア:架橋ポリスチレン、シェル:ポリメチルメタクリレートの粒子など)が特に好ましく挙げられる。
【0041】
上記不活性粒子Cの平均粒径dCは10〜50nm、好ましくは12〜45nm、さらに好ましくは15〜40nmである。この平均粒径が10nm未満であると、フィルムの滑り性が不良となることがあり、一方、50nmを超えると、磁気記録媒体の電磁変換特性が不良となることがあるため好ましくない。
【0042】
上記不活性粒子Cの形状は、下式(I)で表わされる体積形状係数(f)が0.1〜π/6、好ましくは0.2〜π/6、さらに好ましくは0.4〜π/6であるものである。
【0043】
【数1】
f=V/R3 ・・・・・(I)
〔ここで、fは体積形状係数、Vは粒子の体積(μm3)、Rは粒子の平均粒径(μm)である。〕
【0044】
なお、体積形状係数(f)がπ/6である粒子の形状は、球(真球)である。すなわち、体積形状係数(f)が0.4〜π/6のものは、実質的に球ないしは真球、ラグビーボールのような楕円球を含むものであり、不活性粒子Cとして好ましい。体積形状係数(f)が0.1未満の粒子、例えば薄片状の粒子では、走行耐久性が低下してしまうので好ましくない。
【0045】
上記不活性粒子Cの含有量は、塗膜層C(塗液の固形分)に対し、0.5〜30重量%、好ましくは2〜20重量%、さらに好ましくは3〜10重量%である。この含有量が0.5重量%未満であると、フィルムの滑り性が不良となることがあり、一方、30重量%を超えると、磁気記録媒体の電磁変換特性が不良となることがあるため好ましくない。
【0046】
本発明における積層熱可塑性樹脂フィルムは、熱可塑性樹脂層Aの熱可塑性樹脂層Bと接しない側の表面(塗膜層Cを設ける場合は塗膜層Cの表面)の表面粗さ(WRaA)が0.1〜4nm、好ましくは0.2〜3.5nm、さらに好ましくは0.3〜3.0nm、特に好ましくは0.4〜2.5nmである。このWRaAが0.1nm未満であると、滑り性が悪くフィルムの製造が極めて困難であり、一方WRaAが4nmを超えると、電磁変換特性が悪化するので好ましくない。
【0047】
この表面粗さ(WRaA)は、塗膜層Cに含有させる不活性粒子Cの粒径と量、および/または熱可塑性樹脂層Aに含有させる不活性粒子Aの粒径と量によって調整することができる。
【0048】
本発明における熱可塑性樹脂層Aは、実質的に粒子を含有しないものでもよく、不活性粒子Aを含有するものでもよい。熱可塑性樹脂層Aが実質的に粒子を含有しない場合、磁気記録媒体としたとき優れた電磁変換特性が得られるが、電磁変換特性に悪影響を与えない範囲の粒子を含有させると、走行耐久性の向上を図ることができる。具体的には、体積形状係数0.1〜π/6、平均粒径30〜400nmの不活性粒子Aを、A層に対し、0.001〜0.2重量%含有させることが好ましい。
【0049】
好ましい不活性粒子Aの種類としては、上記不活性粒子Bと同様のものが挙げられる。
【0050】
上記不活性粒子Aの形状は、体積形状係数(f)が0.1〜π/6、さらには0.2〜π/6、特に0.4〜π/6であることが好ましい。また、上記不活性粒子Aの平均粒径dAは30〜400nm、さらには40〜200nm、特に50〜100nmであることが好ましい。この平均粒径dAが30nm未満であると、フィルムの滑り性が不良となることがあり、一方400nmを超えると、磁気記録媒体の電磁変換特性が不良となることがあるため好ましくない。
【0051】
上記不活性粒子Aは1種または2種以上のものを混合して使用してもよい。
【0052】
上記不活性粒子Aを熱可塑性樹脂層Aに含有させる場合の含有量は、A層に対し、好ましくは0.001〜0.2重量%、さらに好ましくは0.01〜0.1重量%、特に好ましくは0.02〜0.06重量%である。この量が0.001重量%未満であると、フィルムの滑り性が不良となることがあり、一方0.2重量%を超えると、磁気記録媒体の電磁変換特性が不良となることがあるため好ましくない。
【0053】
本発明における積層熱可塑性樹脂フィルムの全厚みは、通常2.5〜20μm、好ましくは3.0〜10μm、さらに好ましくは4.0〜10μmである。熱可塑性樹脂層Aと熱可塑性樹脂層Bの厚み構成は、好ましくはB層の厚みが積層フィルムの全厚みの1/2以下、さらに好ましくは1/3以下、特に好ましくは1/4以下である。塗膜層Cの厚みは、通常1〜100nm、好ましくは2〜50nm、さらに好ましくは3〜10nm、特に好ましくは3〜8nmである。
【0054】
本発明における積層熱可塑性樹脂フィルムは、従来から知られている、または当業界に蓄積されている方法に準じて製造することができる。そのうち、熱可塑性樹脂層Aと熱可塑性樹脂層Bとの積層構造は、共押出し法により製造するのが好ましく、塗膜層Cの積層は塗布法により行うのが好ましい。
【0055】
例えば、二軸配向ポリエステルフィルムで説明すると、押出し口金内または口金以前(一般に、前者はマルチマニホールド方式、後者はフィードブロック方式と呼ぶ)で上記(部分ケン化)エステルワックス、ならびに不活性粒子Bを微分散、含有させた熱可塑性樹脂Bと、必要に応じて不活性粒子Aを含有する熱可塑性樹脂Aとを、それぞれさらに高精度ろ過したのち、溶融状態にて積層複合し、上記好適な厚み比の積層構造となし、次いで口金より融点(Tm)〜(Tm+70)℃の温度でフィルム状に共押出ししたのち、40〜90℃の冷却ロールで急冷固化し、未延伸積層フィルムを得る。その後、上記未延伸積層フィルムを常法に従い、一軸方向(縦方向または横方向)に(Tg−10)〜(Tg+70)℃の温度(ただし、Tg:ポリエステルのガラス転移温度)で2.5〜8.0倍の倍率で、好ましくは3.0〜7.5倍の倍率で延伸し、次いで上記延伸方向とは直角方向(一段目延伸が縦方向の場合には、二段目延伸は横方向となる)に(Tg)〜(Tg+70)℃の温度で2.5〜8.0倍の倍率で、好ましくは3.0〜7.5倍の倍率で延伸する。さらに、必要に応じて、縦方向および/または横方向に再度延伸してもよい。すなわち、2段、3段、4段あるいは多段の延伸を行うとよい。全延伸倍率としては、通常9倍以上、好ましくは10〜35倍、さらに好ましくは12〜30倍である。
【0056】
さらに、上記二軸配向フィルムは(Tg+70)〜(Tm−10)℃の温度、例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルムの場合、180〜250℃で熱固定結晶化することによって、優れた寸法安定性が付与される。その際、熱固定時間は1〜60秒が好ましい。
【0057】
なお、積層熱可塑性樹脂フィルムの製造に際し、熱可塑性樹脂A、Bに所望により上記不活性粒子以外の添加剤、例えば安定剤、着色剤、溶融ポリマーの固有抵抗調整剤などを添加含有させることができる。
【0058】
本発明における熱可塑性樹脂層Aへの塗膜層Cの積層は、水性塗液を塗布する方法で行うのが好ましい。
【0059】
塗布は最終延伸処理を施す以前の熱可塑性樹脂層Aの表面に行い、塗布後にはフィルムを少なくとも一軸方向に延伸するのが好ましい。この延伸の前ないし途中で塗膜は乾燥される。その中で、塗布は、未延伸積層フィルムまたは縦(一軸)延伸積層フィルム、特に縦(一軸)延伸積層フィルムに行うのが好ましい。塗布方法としては特に限定されないが、例えば、ロールコート法、ダイコート法などが挙げられる。
【0060】
上記塗液、特に水性塗液の固形分濃度は、0.2〜8重量%、さらに0.3〜6重量%、特に0.5〜4重量%であることが好ましい。そして、水性塗液には、本発明の効果を妨げない範囲で、他の成分、例えば他の界面活性剤、安定剤、分散剤、紫外線吸収剤、増粘剤などを添加することができる。
【0061】
本発明においては、磁気記録媒体としてのヘッドタッチ、走行耐久性をはじめとする各種性能を向上させ、同時に薄膜化を達成するには、積層フィルムのヤング率を、縦方向および横方向でそれぞれ、通常4500N/mm2以上および6000N/mm2以上、好ましくは4800N/mm2以上および6800N/mm2以上、さらに好ましくは5500N/mm2以上および8000N/mm2以上、特に好ましくは5500N/mm2以上および10,000N/mm2以上とする。
【0062】
また、熱可塑性樹脂A、Bの結晶化度は、熱可塑性樹脂がポリエチレンテレフタレートの場合は30〜50%、ポリエチレン−2,6−ナフタレートの場合は28〜38%であることが望ましい。いずれも下限を下回ると、熱収縮率が大きくなるし、一方上限を上回るとフィルムの耐摩耗性が悪化し、ロールやガイドピン表面と摺動した場合に白粉が生じやすくなる。
【0063】
本発明によれば、上記熱可塑性樹脂層Aの片面に上記熱可塑性樹脂層Bが積層されてなる積層熱可塑性樹脂フィルム、および、熱可塑性樹脂層Aの熱可塑性樹脂層Bと接していない表面に塗膜層Cが積層されている積層熱可塑性樹脂フィルムのそれぞれをベースフィルムとする磁気記録媒体が同様に提供される。
【0064】
本発明の積層熱可塑性樹脂フィルムから磁気記録媒体を製造する実施態様は、下記のとおりである。
【0065】
すなわち、本発明の積層フィルムは、熱可塑性樹脂層A、好ましくは塗膜層Cの表面に、真空蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング等の方法により、鉄、コバルト、クロムまたはこれらを主成分とする合金もしくは酸化物よりなる強磁性金属薄膜層を形成し、またその表面に、目的、用途、必要に応じてダイアモンドライクカーボン(DLC)などの保護層、含フッ素カルボン酸系潤滑層を順次設け、さらに必要により、熱可塑性樹脂層Bの磁性層とは反対側の表面に、公知の方法でバックコート層を設けることにより、特に短波長領域での出力、S/N、C/Nなどの電磁変換特性に優れ、ドロップアウト、エラーレートの少ない高密度記録用蒸着型磁気記録媒体とすることができる。この蒸着型磁気記録媒体は、アナログ信号記録用Hi8、ディジタル信号記録用ディジタルビデオカセットレコーダー(DVC)、データ8ミリ、DDSIV用磁気テープ媒体として極めて有用である。
【0066】
また、本発明の積層フィルムは、熱可塑性樹脂層A、好ましくは塗膜層Cの表面に、鉄または鉄を主成分とする針状微細磁性粉(メタル粉)をポリ塩化ビニル、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体などのバインダーに均一に分散し、磁性層厚みが1μm以下、好ましくは0.1〜1μmとなるように塗布し、さらに必要により、熱可塑性樹脂層Bの磁性層とは反対側の表面に、公知の方法でバックコート層を設けることにより、特に短波長領域での出力、S/N、C/Nなどの電磁変換特性に優れ、ドロップアウト、エラーレートの少ない高密度記録用メタル塗布型磁気記録媒体とすることができる。また、必要に応じて熱可塑性樹脂層Aまたは塗膜層Cの表面に、上記メタル粉含有磁性層の下地層として微細な酸化チタン粒子などを含有する非磁性層を磁性層と同様の有機バインダー中に分散し、塗設することもできる。このメタル塗布型磁気記録媒体は、アナログ信号記録用8ミリビデオ、Hi8、βカムSP、W−VHS、ディジタル信号記録用ディジタルビデオカセットレコーダー(DVC)、データ8ミリ、DDSIV、ディジタルβカム、D2、D3、SXなど用磁気テープ媒体として極めて有用である。
【0067】
さらに、本発明の積層フィルムは、熱可塑性樹脂層A、好ましくは塗膜層Cの表面に、酸化鉄または酸化クロムなどの針状微細磁性粉、またはバリウムフェライトなどの板状微細磁性粉をポリ塩化ビニル、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体などのバインダーに均一に分散し、磁性層厚みが1μm以下、好ましくは0.1〜1μmとなるように塗布し、さらに必要により、熱可塑性樹脂層Bの磁性層とは反対側の表面に、公知の方法でバックコート層を設けることにより、特に短波長領域での出力、S/N、C/N等の電磁変換特性に優れ、ドロップアウト、エラーレートの少ない高密度記録用酸化物塗布型磁気記録媒体とすることができる。また、必要に応じて、熱可塑性樹脂層Aまたは塗膜層Cの表面に、上記酸化物粉末含有磁性層の下地層として微細な酸化チタン粒子などを含有する非磁性層を磁性層と同様の有機バインダー中に分散し、塗設することもできる。この酸化物塗布型磁気記録媒体は、ディジタル信号記録用データストリーマー用QICなどの高密度記録用酸化物塗布型磁気記録媒体として有用である。
【0068】
上述のW−VHSはアナログのHDTV信号記録用VTRであり、またDVCはディジタルのHDTV信号記録用として適用可能なものである。それゆえ、本発明のフィルムは、これらHDTV対応VTR用磁気記録媒体に極めて有用なベースフィルムと言うことができる。
【0069】
【実施例】
以下、実施例を挙げ、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例により限定されるものではない。なお、実施例および比較例における「部」および「%」は、特に断らない限り重量部および重量%である。また、本発明における物性値および特性は、それぞれ下記の方法で測定し、かつ定義されるものである。
【0070】
(1)固有粘度
オルソクロロフェノール溶媒中35℃で測定した値から求める。
【0071】
(2)粒子の平均粒径(I)(平均粒径:60nm以上)
株式会社島津製作所製「CP−50型セントリヒューグル パーティクル サイズ アナライザー(Centrifugal Particle Size Analyzer)」を用いて測定した。得られる遠心沈降曲線を基に算出した各粒径の粒子とその存在量との積算曲線から、50マスパーセントに相当する粒径「等価球直径」を読み取り、この値を上記平均粒径(nm)とする(「粒度測定技術」日刊工業新聞社発行、1975年、頁242〜247)。
【0072】
(3)粒子の平均粒径(II)(平均粒径:60nm未満)
小突起を形成する平均粒径60nm未満の粒子は、光散乱法を用いて測定した。すなわち、ニコンプインストゥルメント株式会社(Nicomp Instruments Inc.)製の商品名「NICOMP MODEL 270 SUBMICRON PARTICLE SIZER」により求められる全粒子の50%の点にある粒子の「等価球直径」をもって、平均粒径(nm)とする。
【0073】
(4)体積形状係数(f)
走査型電子顕微鏡により、用いたサイズに応じた倍率にて各粒子の写真を撮影し、画像解析処理装置ルーゼックス500(日本レギュレーター社製)を用い、投影面最大径(D)(μm)および粒子の体積(V)(μm3)を算出し、下式(II)により計算する。
【0074】
【数2】
f=V/D3 ・・・・・(II)
【0075】
(5)熱可塑性樹脂層A、Bの厚み、およびフィルム全体の厚み
フィルム全体の厚みはマイクロメーターにてランダムに10点測定し、その平均値を用いた。熱可塑性樹脂層A、Bの層厚については、薄い熱可塑性樹脂層の層厚みを下記に述べる方法にて測定し、厚い熱可塑性樹脂層の層厚みは、全厚みより塗膜層および薄い熱可塑性樹脂層の層厚を引き算して求める。すなわち、二次イオン質量分析装置(SIMS)を用いて、被覆層を除いた表層から深さ5,000nmの範囲のフィルム中の粒子の内最も高濃度の粒子に起因する金属元素(M+)と熱可塑性樹脂(ポリエステル)の炭化水素(C+)の濃度比(M+/C+)を粒子濃度とし、表面から深さ5,000nmまで厚さ方向の分析を行う。表層では表面という界面のために粒子濃度は低く、表面から遠ざかるにつれて粒子濃度は高くなる。本発明の場合、粒子濃度は一旦安定値1になったのち、上昇して安定値2になる場合と、単調に減少する場合とがある。この分布曲線をもとに、前者の場合は、(安定値1+安定値2)/2の粒子濃度を与える深さをもって、また後者の場合は粒子濃度が安定値1の1/2になる深さ(この深さは安定値1を与える深さよりも深い)をもって、薄い熱可塑性樹脂層の厚み(μm)とする。
【0076】
測定条件は、以下のとおりである。
Figure 0003856630
なお、表層から5,000nmの範囲に最も多く存在する粒子がシリコーン樹脂以外の有機高分子粒子の場合はSIMSでは測定が難しいので、表面からエッチングしながらFT−IR(フーリエトランスフォーム赤外分光法)、粒子によってはXPS(X線光電分光法)などで上記同様の濃度分布曲線を測定し、層厚(μm)を求める。
【0077】
(6)塗膜層Cの厚み
フィルムの小片をエポキシ樹脂にて固定成形し、ミクロトームにて約600オングストロームの厚みの超薄切片(フィルムの流れ方向に平行に切断する)を作成した。この試料を透過型電子顕微鏡(株式会社日立製作所製:H−800型)にて観察し、塗膜層Cの境界面を探して塗膜層の厚み(nm)を求める。
【0078】
(7)表面粗さ
▲1▼ WRa
WYKO株式会社製の非接触三次元粗さ計、商品名「TOPO−3D」を用いて、測定倍率40倍、測定面積242μm×239μm(0.058mm2)の条件にて測定を行い、表面粗さのプロフィル(オリジナルデータ)を得た。上記粗さ計内蔵ソフトによる表面解析により、下式によって定義される中心面平均粗さ(WRa)を得る。
【0079】
【数3】
Figure 0003856630
【0080】
また、Zjkは、測定方向(242μm)、それと直行する方向(239μm)を、それぞれM分割、N分割したときの各方向のj番目、k番目の位置における三次元粗さチャート上の高さである。
【0081】
▲2▼ 十点平均粗さWRz
▲1▼と同じ測定器を用い、同じ条件で測定して得られたデーターから、同粗さ計内臓のソフトによる表面解析により、ピーク(Hp)の高い方から5点と谷(Hv)の低い方から5点をとった平均値を求めWRzとする。
【0082】
【数4】
Figure 0003856630
【0083】
(8)ヤング率
東洋ボールドウィン株式会社製の引っ張り試験機、商品名「テンシロン」を用いて、温度20℃、湿度50%に調節された室内において、長さ300nm、幅12.7mmの試料フィルムを10%/分のひずみ速度で引っ張り、引っ張り応力−ひずみ曲線の初めの直線部分を用いて下式(V)によって計算する。
【0084】
【数5】
E=Δσ/Δε ・・・・・(V)
ここで、Eはヤング率、Δσは直線上の2点間の元の平均断面積による応力差、Δεは同じ2点間のひずみ差である。
【0085】
(9)巻き取り性
スリット時の巻き取り条件を最適化したのち、幅600mm×12,000mのサイズで、30ロールを速度100m/分でスリットし、スリット後のフィルム表面に、ブツ状、突起やシワのないロールを良品として、以下の基準にて巻き取り性を評価する。
◎:良品ロールの本数28本以上
○:良品ロールの本数25〜27本
×:良品ロールの本数24本以下
【0086】
(10)磁気テープの製造および特性(電磁変換特性)評価
積層熱可塑性樹脂フィルムの塗膜層Cの表面に、真空蒸着法により、コバルト100%の強磁性薄膜を0.2μmの厚みになるように2層(各層厚約0.1μm)形成する。形成した強磁性薄膜の表面にダイヤモンドライクカーボン(DLC)膜、さらに含フッ素カルボン酸系潤滑層を順次設け、さらに熱可塑性樹脂層Aの表面に、公知の方法でバックコート層を設ける。その後、8mm幅にスリットし、市販の8mmビデオカセットにローディングした。次いで、下記の市販の機器を用いてテープの特性(C/N)を測定する。
【0087】
(a)使用機器
8mmビデオテープレコーダー、ソニー株式会社製、商品名「EDV−6000」株式会社シバソク製、ノイズメーター
(b)測定方法
記録波長0.5μm(周波数約7.4MHz)の信号を記録し、その再生信号の6.4MHzと7.4MHzの値の比をそのテープのC/Nとし、市販8mmビデオ用蒸着テープのC/Nを0dBとし、相対値で評価する。
【0088】
(11)エステルワックス
エステルワックスとして下記のものを使用する。
(a);ソルビタントリステアレート(融点55℃)
【0089】
[実施例1]
ジメチルテレフタレートとエチレングリコールとを、エステル交換触媒として酢酸マンガン、重合触媒としてトリメリット酸チタン、安定剤として亜リン酸を、さらに滑剤(不活性粒子A)として平均粒径60nmの球状シリカ(体積形状係数0.5)を0.03%(ポリマーに対し)添加して、常法により重合し、固有粘度0.60の熱可塑性樹脂層A用のポリエチレンテレフタレート(樹脂A1)を得た。
【0090】
さらに、上記と同様の方法で、滑剤(不活性粒子B)として、平均粒径300nmのシリコーン粒子および平均粒径100nmのθ型アルミナを、樹脂中にそれぞれ0.05%および0.2%添加して、常法により重合し、固有粘度0.60のポリエチレンテレフタレートを得た。
【0091】
得られたポリエチレンテレフタレート99.7%に、ソルビタントリステアレート(a−1)の粉末0.15%をまぶし、ベント付き二軸ルーダーにて練り込み、固有粘度0.59の熱可塑性樹脂層B用のポリエチレンテレフタレート(樹脂B1)を得た。
【0092】
得られた樹脂A1、樹脂B1を、それぞれ170℃で3時間乾燥後、2台の押し出し機に供給し、溶融温度280〜300℃にて溶融し、平均目開き11μmの鋼線フィルターで高精度ろ過したのち、マルチマニホールド型共押出しダイを用いて、樹脂層Aの片面に樹脂層Bを積層させ、急冷して厚さ89μmの未延伸積層熱可塑性樹脂フィルムを得た。
【0093】
得られた未延伸フィルムを予熱し、さらに低速・高速のロール間でフィルム温度100℃にて3.3倍に延伸し、急冷して縦延伸フィルムを得た。次いで縦延伸フィルムのA層側に下記に示す組成(固形分換算)の水性塗液(全固形分濃度1.0%)をキスコート法により塗布した。
【0094】
Figure 0003856630
【0095】
続いてステンターに供給し、110℃にて横方向に4.2倍に延伸した。得られた二軸延伸フィルムを、220℃の熱風で4秒間熱固定し、全厚み6.4μmで、熱可塑性樹脂層Bの厚み1.0μmの積層二軸配向ポリエステルフィルムを得た。このフィルムの熱可塑性樹脂層A、Bの厚みについては、2台の押し出し機の吐出量により調整した。このフィルムの塗膜層C側の表面から測定した表面粗さWRaは、1.7nm、このフィルムのヤング率は縦方向5000N/mm2、横方向7000N/mm2であった。この積層フィルムのその他の特性、およびこのフィルムを用いた強磁性薄膜蒸着型磁気テープの特性を表1に示す。
【0096】
[実施例2]
熱可塑性樹脂層Aに粒子を含有させないようにし、熱可塑性樹脂層Bに含有させる不活性粒子Bの種類、平均粒径、添加量、およびソルビタントリステアレートの添加量、塗膜層Cに添加する不活性粒子Cの粒径を表1に示すとおり変更した以外は、実施例1と同様にして積層熱可塑性樹脂フィルムを得た。得られたフィルムの特性、およびそのフィルムを用いた強磁性薄膜蒸着型磁気テープの特性を表1に示す。
【0101】
[比較例1]
熱可塑性樹脂層Bにソルビタントリステアレートを含有させない以外は、実施例1と同様にして積層熱可塑性樹脂フィルムを得た。得られたフィルムは、ハンドリング性が悪く、十分な巻き取り性を得ることができなかった。また、ブロッキング剥離力を測定すると、フィルムが密着しており、むりやり剥がそうとすると破れてしまった。その他の特性、およびこのフィルムを用いた強磁性薄膜蒸着型磁気テープの特性を表1に示す。
【0102】
[比較例2]
熱可塑性樹脂層Bに含有させる不活性粒子Bの種類、平均粒径、添加量を表1に示すようにした以外は、実施例2と同様にして積層熱可塑性樹脂フィルムを得た。得られたフィルムは、ハンドリング性は良好であったが、B層側の突起の反対面への形状転写の程度が強く、磁気テープにした際、十分な電磁変換特性を得ることができなかった。その他の特性、およびこのフィルムを用いた強磁性薄膜蒸着型磁気テープの特性を表1に示す。
【0103】
【表1】
Figure 0003856630
【0104】
表1から明らかなように、本発明による積層熱可塑性樹脂フィルムは、片面が非常に平坦で、反対面からの突起の形状転写も少なく、優れた電磁変換特性を示すとともに、ワックス成分を添加した効果により、巻き取り性が極めて良好である。一方、本発明の要件を満たさないものは、これらの特性を同時に満足できない。
【0105】
【発明の効果】
本発明によれば、巻き取り性、加工適性に優れ、特に金属蒸着薄膜型磁気記録媒体としたときに電磁変換特性に優れた積層熱可塑性樹脂フィルムを得ることができる。

Claims (6)

  1. 熱可塑性樹脂層Aの片面に、ソルビタントリステアレートを含有する熱可塑性樹脂層Bを積層した積層フィルムであって、下記(1)〜(4)を満足することを特徴とする積層熱可塑性樹脂フィルム。
    (1)A層表面の表面粗さ(WRaA):0.1〜4nm
    (2)B層中の平均粒径50〜1,000nmの不活性粒子Bの含有量:0.001〜1重量%
    (3)ソルビタントリステアレートの含有量:0.001〜1重量%
    (4)B層表面の十点平均粗さ(WRzB):30nm〜300nm
  2. 熱可塑性樹脂層AのB層と接しない面に塗膜層Cが積層されている請求項1に記載の積層熱可塑性樹脂フィルム。
  3. 塗膜層Cが、平均粒径10〜50nm、体積形状係数0.1〜π/6の不活性粒子Cを0.5〜30重量%含有する請求項2に記載の積層熱可塑性樹脂フィルム。
  4. 熱可塑性樹脂層Aが実質的に粒子を含有しない請求項1または2に記載の積層熱可塑性樹脂フィルム。
  5. 熱可塑性樹脂層Aが体積形状係数0.1〜π/6、平均粒径30〜400nmの不活性粒子Aを0.001〜0.2重量%含有する請求項1または2に記載の積層熱可塑性樹脂フィルム。
  6. 熱可塑性樹脂がポリエチレンテレフタレートからなる請求項1〜5のいずれかに記載の積層熱可塑性樹脂フィルム。
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