JP2002059520A - フィルムロール - Google Patents

フィルムロール

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JP2002059520A
JP2002059520A JP2000246722A JP2000246722A JP2002059520A JP 2002059520 A JP2002059520 A JP 2002059520A JP 2000246722 A JP2000246722 A JP 2000246722A JP 2000246722 A JP2000246722 A JP 2000246722A JP 2002059520 A JP2002059520 A JP 2002059520A
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thermoplastic resin
particles
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Takeshi Ishida
剛 石田
Hirobumi Murooka
博文 室岡
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Teijin Ltd
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Teijin Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 金属蒸着薄膜型磁気記録媒体のベースフィル
ムとして用いたときに、電磁変換特性、走行耐久性に優
れ、かつ極めてドロップアウトの少ない積層熱可塑性樹
脂フィルムのフィルムロールを提供する。 【解決手段】 熱可塑性樹脂層Aおよび該層Aの一方の
表面上に積層された不活性粒子Bを含有する塗膜層Bか
らなる積層熱可塑性樹脂フィルムをロール状に巻き上げ
たフィルムロールであって、該層Bの表面に不活性粒子
Bに起因する突起が1〜60個/μm2の密度で存在
し、該層B表面の中心面粗さWRaが0.1〜4nmで
あり、かつ該層B側の表面に付着した高さ150nm以
上の粗大異物の数が10個/cm2以下であることを特
徴とするフィルムロール。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は積層熱可塑性樹脂フ
ィルムのフィルムロールに関する。さらに詳しくは、電
磁変換特性、走行耐久性に優れ、かつドロップアウトの
極めて少ない磁気記録媒体のベースフィルムとして有用
な、積層熱可塑性樹脂フィルムのフィルムロールに関す
る。
【0002】
【従来の技術】近年、磁気記録媒体の高密度化の進歩は
めざましく、特に強磁性金属薄膜を真空蒸着やスパッタ
リングなどの物理沈着法またはメッキ法により非磁性支
持体上に形成させた強磁性金属薄膜型磁気記録媒体の開
発、実用化が進められている。例えば、Co蒸着の磁気
テープ(特開昭54―147010号公報)、磁性層が
Co―Cr合金からなる垂直磁気記録媒体(特開昭52
―134706号公報)が知られている。
【0003】従来の塗布型磁気記録媒体(磁性粉末を有
機高分子バインダーに混入させて非磁性支持体上に塗布
してなる磁気記録媒体)は、記録密度が低く、記録波長
も長いために、磁性層の厚みが2μm程度以上と厚い。
これに対し、真空蒸着、スパッタリングまたはイオンプ
レーティングなどの薄膜形成手段によって形成される強
磁性金属薄膜は、厚みが0.2μm以下と非常に簿くな
っている。
【0004】このため、上記の高密度磁気記録媒体にお
いては、非磁性支持体(ベースフィルム)の表面状態が
磁気記録層の表面性に大きな影響を及ぼしている。すな
わち、非磁性支持体の表面状態が、そのまま磁気記録層
表面の凹凸として発現し、それが記録・再生信号の雑音
の原因となる。従って、非磁性支持体の表面は、できる
だけ平滑であることが望ましい。
【0005】一方、上記の高密度磁気記録媒体が使用さ
れる時には、磁気記録層の表面が平滑すぎると、磁気ヘ
ッドとの間の摩擦が高くなり、走行耐久性が低下すると
いう問題が有り、非磁性支持体の表面は適度に粗いこと
が必要となる。
【0006】このように、優れた品質の高密度磁気記録
媒体を製造するには、非磁性支持体の表面は、電磁変換
特性の観点からは平滑であること、走行耐久性の観点か
らは適度に粗いことという、相反する性質を同時に満た
す必要がある。
【0007】このような要求を満たす手段として、平滑
なフィルム表面に不活性粒子を含む塗膜層を積層させる
方法が知られているが、このようなフィルムは塗膜層が
生産工程中で削れ易く、ロール状の製品とした際にこれ
らの削れ物を含む異物がフィルム層間に数多く巻き込ま
れ、磁気記録媒体のベースフィルムとして使用するとき
に磁気記録層側の表面に付着した状態で巻き出されてい
ったものが、ドロップアウトの原因になるという問題が
有った。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、この
ような従来技術の欠点を解消し、金属蒸着薄膜型磁気記
録媒体としたときに電磁変換特性、走行耐久性に優れ、
かつ極めてドロップアウトの少ない積層熱可塑性樹脂フ
ィルムのフィルムロールを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の目的は、本発明
によれば、熱可塑性樹脂層Aおよび該層Aの一方の表面
上に積層された不活性粒子Bを含有する塗膜層Bからな
る積層熱可塑性樹脂フィルムをロール状に巻き上げたフ
ィルムロールであって、該層Bの表面に不活性粒子Bに
起因する突起が1〜60個/μm2の密度で存在し、該
層B表面の中心面平均粗さWRaが0.1〜4nmであ
り、かつ該層B側の表面に付着した、高さ150nm以
上の粗大異物の数が10個/cm2以下であることを特
徴とするフィルムロールによって達成される。
【0010】本発明は、好ましい態様として、積層熱可
塑性樹脂フィルムの塗膜層Bが平均粒径10〜50nm
の不活性粒子Bを、塗膜層Bに対し、0.5〜30重量
%含有すること、熱可塑性樹脂層Aの塗膜層Bを設けな
い面(他の面)に薄膜層Cが積層されており、薄膜層C
がバインダー樹脂及び不活性粒子Cを含む塗膜層である
か、不活性粒子Cを含む熱可塑性樹脂層であること、熱
可塑性樹脂層Aが実質的に粒子を含有しないか、平均粒
径30〜400nmの不活性粒子Aを、熱可塑性樹脂層
Aに対し、0.001〜0.2重量%含有すること、及
び/または熱可塑性樹脂層Aがポリエチレンテレフタレ
ートからなるか、ポリエチレン−2、6−ナフタレート
からなることを包含する。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明において、層Aを形成する
熱可塑性樹脂Aとしては、ポリエステル系樹脂、ポリア
ミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリエーテル系樹脂、
ポリカーボネート系樹脂、ポリビニル系樹脂、ポリオレ
フィン系樹脂などを例示することができる。これらのう
ち、ポリエステル系樹脂、特に芳香族ポリエステルが好
ましい。
【0012】上記芳香族ポリエステルとしては、ポリエ
チレンテレフタレート、ポリエチレンイソフタレート、
ポリテトラメチレンテレフタレート、ポリ−1,4−シ
クロヘキシレンジメチレンテレフタレート、ポリエチレ
ン−2,6−ナフタレート(ポリエチレン−2,6−ナ
フタレンジカルボキシレート)などを好ましく例示する
ことができる。これらのうち、ポリエチレンテレフタレ
ート、ポリエチレン−2,6−ナフタレートが特に好ま
しい。
【0013】これらポリエステルは、ホモポリエステル
であっても、コポリエステルであっても良い。コポリエ
ステルの場合、例えば、ポリエチレンテレフタレートま
たはポリエチレン−2,6−ナフタレートの共重合成分
としては、例えばジエチレングリコール、プロピレング
リコール、テトラメチレングリコール、ヘキサメチレン
グリコール、ネオペンチルグリコール、ポリエチレング
リコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、p−
キシリレングリコールなどの他のジオール成分、アジピ
ン酸、セバシン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタ
ル酸(ただし、ポリエチレン−2,6−ナフタレートの
場合)、2,6−ナフタレンジカルボン酸(ただし、ポ
リエチレンテレフタレートの場合)、5−ナトリウムス
ルホイソフタル酸などの他のジカルボン酸成分、p−オ
キシエトキシ安息香酸などのオキシカルボン酸成分など
が挙げられる。これら共重合成分の量は、20モル%以
下、さらには10モル%以下であることが好ましい。
【0014】さらにトリメリット酸、ピロメリット酸な
どの3官能以上の多官能化合物を、共重合させることも
出来る。この場合、ポリマーが実質的に線状である量、
例えば2モル%以下で共重合させるのが良い。
【0015】ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレ
ン−2,6−ナフタレート以外の他のポリエステルの場
合の共重合成分についても、上記と同様に考えてよい。
【0016】上記ポリエステルは、それ自体公知であ
り、かつそれ自体公知の方法で製造することができる。
【0017】本発明における熱可塑性樹脂層Aは、実質
的に粒子を含有しないものでもよく、不活性粒子Aを含
有するものでもよい。
【0018】上記熱可塑性樹脂層Aが実質的に粒子を含
有しない場合、磁気記録媒体としたときの電磁変換特性
に優れるので好ましい。一方、走行耐久性向上の観点か
らは、熱可塑性樹脂層Aに電磁変換特性に悪影響を与え
ない範囲の粒子(不活性粒子A)を含有させるのが好ま
しい。具体的には、平均粒径30〜400nmの不活性
粒子Aを、熱可塑性樹脂層Aに対して0.001〜0.
2重量%含有させることが好ましい。
【0019】かかる不活性粒子Aとしては、例えば
(1)耐熱性ポリマー粒子(例えば、架橋シリコーン樹
脂、架橋ポリスチレン、架橋アクリル樹脂、メラミン−
ホルムアルデヒド樹脂、芳香族ポリアミド樹脂、ポリイ
ミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、架橋ポリエステルな
どのポリマーからなる粒子)や、(2)金属酸化物(例
えば、三二酸化アルミニウム、二酸化チタン、二酸化ケ
イ素(シリカ)、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化ジ
ルコニウムなど)、(3)金属の炭酸塩(例えば、炭酸
マグネシウム、炭酸カルシウムなど)、(4)金属の硫
酸塩(例えば、硫酸カルシウム、硫酸バリウムなど)、
(5)炭素(例えば、カーボンブラック、グラファイ
ト、ダイアモンドなど)、および(6)粘土鉱物(例え
ば、カオリン、クレー、ベントナイトなど)などのよう
な無機化合物からなる微粒子が好ましく挙げられる。こ
れらのうち、架橋シリコーン樹脂、架橋ポリスチレン樹
脂、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂、ポリアミドイミ
ド樹脂、三二酸化アルミニウム(アルミナ)、二酸化チ
タン、二酸化ケイ素、酸化ジルコニウム、合成炭酸カル
シウム、硫酸バリウム、ダイアモンド、およびカオリン
からなる微粒子が好ましい。さらに好ましくは、架橋シ
リコーン樹脂粒子、架橋ポリスチレン樹脂粒子、その他
三二酸化アルミニウム(アルミナ)、二酸化チタン、二
酸化ケイ素、および炭酸カルシウムからなる微粒子であ
る。
【0020】上記不活性粒子Aの平均粒径は30〜40
0nm、さらに40〜200nm、特に50〜100n
mであることが好ましい。この平均粒径が30nm未満
であると、フィルムの滑り性が不良となることがあり、
一方400nmを超えると、磁気記録媒体の電磁変換特
性が不良となることがあるため好ましくない。
【0021】上記不活性粒子Aを熱可塑性樹脂層Aに配
合する場合の含有量は、層Aに対して0.001〜0.
2重量%、さらに0.01〜0.1重量%、特に0.0
2〜0.06重量%であることが好ましい。この含有量
が0.001重量%未満であると、フィルムの滑り性が
不良となることがあり、一方0.2重量%を超えると、
磁気記録媒体の電磁変換特性が不良となることがあるた
め好ましくない。
【0022】本発明における積層熱可塑性樹脂フィルム
は、磁気テープとした場合の諸特性向上のため、熱可塑
性樹脂層Aの磁気記録層(磁性層)を設ける側の面に、
不活性粒子Bを含有する塗膜層Bを設ける。
【0023】上記塗膜層Bを形成するバインダー樹脂と
しては、例えば水性ポリエステル樹脂、水性アクリル樹
脂、水性ポリウレタン樹脂などが好ましく挙げられ、特
に水性ポリエステル樹脂が好ましい。
【0024】この水性ポリエステル樹脂としては、酸成
分が、例えばイソフタル酸、フタル酸、1,4−シクロ
ヘキサンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン
酸、4,4′−ジフェニルジカルボン酸、アジピン酸、
セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、コハク酸、5−ス
ルホイソフタル酸ナトリウム、2−スルホテレフタル酸
カリウム、トリメリット酸、トリメシン酸、トリメリッ
ト酸モノカリウム塩、p−ヒドロキシ安息香酸などの多
価カルボン酸の1種以上より主としてなり、グリコール
成分が、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコ
ール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオー
ル、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサ
ンジメタノール、p−キシリレングリコール、ジメチロ
ールプロパン、ビスフェノールAのエチレンオキサイド
付加物などの多価ヒドロキシ化合物の1種以上より主と
してなる共重合ポリエステル樹脂が好ましく用いられ
る。また、ポリエステル鎖にアクリル重合体鎖を結合さ
せたグラフトポリマーまたはブロックコポリマー、ある
いは2種のポリマーがミクロな粒子内で特定の物理的構
成(IPN(相互侵入高分子網目)型、コア・シェル型
など)を形成したアクリル変性ポリエステル樹脂であっ
てもよい。この水性ポリエステル樹脂としては、水に溶
解、乳化、微分散するタイプを自由に用いることができ
るが、特に水に乳化、微分散するタイプのものが好まし
い。また、これらは親水性を付与するため、分子内に例
えばスルホン酸塩基、カルボン酸塩基、ポリエーテル単
位などが導入されていてもよい。
【0025】上記塗膜層Bに含有される不活性粒子Bと
しては、特に限定されないが、塗液中で沈降しにくい、
比較的低比重のものが好ましい。例えば、シリコーン樹
脂、アクリル樹脂、架橋ポリスチレン、メラミン−ホル
ムアルデヒド樹脂、芳香族ポリアミド樹脂、ポリアミド
イミド樹脂、架橋ポリエステル、全芳香族ポリエステル
などからなる有機粒子、二酸化ケイ素(シリカ)、炭酸
カルシウムなどからなる粒子が好ましく挙げられる。な
かでも、塗膜削れを防止し、付着異物を減少させるとい
う観点から、架橋シリコーン樹脂粒子、アクリル樹脂粒
子、コア・シェル型有機粒子(コア:架橋ポリスチレ
ン、シェル:ポリメチルメタクリレートの粒子など)な
どが特に好ましく挙げられる。
【0026】上記不活性粒子Bの平均粒径は10〜50
nm、さらに12〜45nm、特に15〜40nmであ
ることが好ましい。この平均粒径が10nm未満では、
フィルムの滑り性が不良となることがあり、一方50n
mを超えると、磁気記録媒体の電磁変換特性が不良とな
ることがあるため好ましくない。
【0027】上記不活性粒子Bの含有量は、塗膜層Bの
固形分に対して0.5〜30重量%、さらに1〜20重
量%、特に2〜10重量%であることが好ましい。この
含有量が0.5重量%未満であると、フィルムの滑り性
が不良となることがあり、一方30重量%を超えると、
磁気記録媒体の電磁変換特性が不良となることがあるた
め好ましくない。
【0028】上記塗膜層Bの表面の中心面平均粗さWR
aは0.1〜4nm、好ましくは0.2〜3.5nm、
さらに好ましくは0.3〜3.0nm、特に好ましくは
0.4〜2.5nmである。このWRaが0.1nm未
満であると、滑り性が悪く、フィルムの製造が極めて困
難であり、また磁気テープにしたときに走行耐久性が悪
くなる。一方、WRaが4nmを超えると、電磁変換特
性が悪化する。
【0029】この中心面平均粗さ(WRa)は、塗膜層
Bに含有させる不活性粒子Bの粒径と量、および/また
は、熱可塑性樹脂層Aに含有させる不活性粒子Aの粒径
と量によって調整することができる。
【0030】本発明におけるフィルムロールは、積層熱
可塑性樹脂フィルムの塗膜層B表面に付着した、高さ1
50nm以上の粗大異物の個数が10個/cm2以下、
好ましくは5個/cm2以下、さらに好ましくは2個/
cm2以下、特に好ましくは1個/cm2以下であること
を要する。この付着粗大異物の数が10個/cm2より
多いと、磁気記録媒体としたときにドロップアウトが多
く、またヘッドの偏摩耗を引起し易くなり、好ましくな
い。
【0031】上記付着粗大異物の測定方法は、以下の様
にして行う。
【0032】すなわち、フィルムロールから、2枚以上
の積層熱可塑性樹脂フィルムが重なった状態のまま(す
なわち、ロールでのフィルムの重なりを保った状態で)
切り出し、得られた積層フィルム(切り出しフィルム)
を異物の混入のないように剥離し、剥離した2枚のフィ
ルムをあらためてB層同士が接触するように重ね直して
サンプルを作成する。次に、このサンプルのフィルム2
枚の間の空気を十分に抜いて密着させる。このサンプル
をNaランプの単色光(波長590nm)を照射した状
態で顕微鏡で観察し、層間に存在する突起物による空隙
によって生じる光の干渉に基づく点状ないし縞の模様
(0.5リング(高さ150nm)以上の模様)を全て
カウントする。カウントした突起物をさらに顕微鏡で観
察して、原因物がフィルム内部に存在するものを除き、
フィルム表面に存在するものの数を求め、その数の1/
2をもって付着粗大異物の数(個/cm2)とする。
【0033】本発明における積層熱可塑性樹脂フィルム
は、ハンドリング性向上の点から、熱可塑性樹脂層Aの
塗膜層Bと反対側の面(他の面)に薄膜層Cを積層させ
ることが好ましい。
【0034】上記薄膜層Cは塗膜層であっても良く、熱
可塑性樹脂層であっても良い。
【0035】該薄膜層Cが塗膜層である場合、塗膜層C
はバインダー樹脂および不活性粒子Cからなることが好
ましい。
【0036】このバインダー樹脂、不活性粒子Cとして
は、塗膜層Bに用いるバインダー樹脂、不活性粒子Bと
して説明したのと同じ説明をすることができ、また同じ
ように使用することができる。ただし、該不活性粒子C
としては、平均粒径が10〜100nm、さらには20
〜80nm、特に20〜60nmのものを用いるのが好
ましい。また、該不活性粒子Cの塗膜層C中の含有量
は、0.5〜30重量%、さらに1〜20重量%、特に
2〜10重量%であることが好ましい。
【0037】上記薄膜層Cが熱可塑性樹脂層である場
合、この樹脂としては層Aの熱可塑性樹脂と同じ説明を
することができ、また同じ樹脂を用いることが好まし
い。
【0038】上記熱可塑性樹脂層Cは不活性粒子Cを含
有することが好ましく、該不活性粒子Cとしては、層A
に含有される不活性粒子Aと同じ説明をすることがで
き、また同じものを用いることができる。ただし、該不
活性粒子Cの平均粒径は、50〜1000nm、さらに
100〜800nm、特に200〜600nmであるこ
とが好ましい。また、C層中の不活性粒子Cの含有量
は、層Cに対し、0.0001〜1重量%、さらに0.
001〜0.5重量%、特に0.005〜0.2重量%
であることが好ましい。
【0039】上記不活性粒子Cは1種または2種以上の
ものを混合して使用してもよい。不活性粒子Cが2種以
上の粒子からなる場合、上記不活性粒子Cの平均粒径よ
りも小さい平均粒径の第2、第3の粒子(微細粒子)と
して、上記不活性粒子Cとして説明した粒子種のうち、
平均粒径の小さい微細粒子や、コロイダルシリカ、α、
γ、δ、θなどの結晶形態を有するアルミナなどの微粒
子を好ましく用いることができる。
【0040】この微細粒子の平均粒径は、好ましくは5
〜400nm、さらに好ましくは10〜300nm、特
に好ましくは30〜250nmである。また、第2、第
3の粒子(微細粒子)の含有量は、層Cに対し、0.0
05〜1重量%、さらに0.01〜0.7重量%、特に
0.05〜0.5重量%であることが好ましい。
【0041】本発明における積層熱可塑性樹脂フィルム
の全厚みは、通常2.5〜20μm、好ましくは3.0
〜10μm、さらに好ましくは4.0〜10μmであ
る。熱可塑性樹脂層Aの片面に薄膜層C(熱可塑性樹脂
層C)が積層されている場合の厚み構成は、好ましくは
C層の厚みが積層熱可塑性樹脂フィルムの全厚みの1/
2以下、さらに好ましくは1/3以下、特に好ましくは
1/4以下である。この下限は1/50であることが好
ましい。塗膜層Bの厚みは、通常1〜100nm、好ま
しくは2〜50nm、さらに好ましくは3〜10nm、
特に好ましくは3〜8nmである。また、塗膜層Cの厚
みは1〜200nm、さらに2〜100nm、特に5〜
50nmであることが好ましい。
【0042】本発明における積層熱可塑性樹脂フィルム
は、従来から知られている、または当業界に蓄積されて
いる方法に準じて製造することができる。
【0043】例えば、ポリエステルフィルムで説明する
と、芳香族ポリエステルを融点(Tm)〜(Tm+7
0)℃の温度で溶融し、高精度ろ過した後、口金からフ
ィルム状に押し出し、40〜90℃の冷却ロールで急冷
固化して未延伸フィルムを得る。その後、該未延伸フィ
ルムを常法に従い、一軸方向(縦方向または横方向)に
(Tg−10)〜(Tg+70)℃の温度(ただし、T
g:芳香族ポリエステルのガラス転移温度)で2.5〜
8.0倍の倍率で、好ましくは3.0〜7.5倍の倍率
で延伸し、次いで上記延伸方向とは直角方向(一段目延
伸が縦方向の場合には、二段目延伸は横方向となる)に
(Tg)〜(Tg+70)℃の温度で2.5〜8.0倍
の倍率で、好ましくは3.0〜7.5倍の倍率で延伸す
る。さらに、必要に応じて、縦方向および/または横方
向に再度延伸してもよい。すなわち、2段、3段、4段
あるいは多段の延伸を行ってもよい。全延伸倍率として
は、面積倍率で、通常9倍以上、好ましくは10〜35
倍、さらに好ましくは12〜30倍である。
【0044】さらに、上記二軸配向フィルムは、(Tg
+70)〜(Tm−10)℃の温度で、例えばポリエチ
レンテレフタレートフィルムの場合180〜250℃
で、熱固定結晶化することによって、優れた寸法安定性
が付与される。また、熱固定時間は1〜60秒が好まし
い。また、熱固定は一度だけでなく、一旦冷却後再度熱
固定しても良い。熱固定を繰り返すことは、寸法安定性
をより高めるだけでなく、耐削れ性を向上して付着物の
発生を減少させるという観点からも好ましい。これは、
塗膜層の強度が熱固定を繰り返すことで向上するためと
考えられる。熱固定を2回以上実施する場合には、上記
の温度範囲で、後の熱固定ほど温度が高くなるように設
定するのが好ましい。
【0045】また、上記薄膜層Cとして熱可塑性樹脂層
Cを積層させる場合には、共押し出し法によるのが好ま
しい。すなわち、上記の製造方法において、押出し口金
内または口金以前(一般に前者はマルチマニホールド方
式、後者はフィードブロック方式と呼ぶ)で、熱可塑性
樹脂Aと熱可塑性樹脂Cとを、それぞれ高精度ろ過した
のち、溶融状態にて積層複合し、口金からフィルム状に
押出した後、上記方法と同様にしてフィルムに製膜す
る。
【0046】上記のようにして製膜したフィルムを、ロ
ール状に巻き取り、また一旦巻き取ったロールを必要に
応じて、巻返しながら所望の幅にスリットし、熱可塑性
樹脂フィルムロールとするが、この時付着物を減少させ
るために、除塵工程を設けるのが好ましい。除塵の方法
は圧空により異物を除去する方式、圧空と超音波を組み
合わせた方式、粘着ロールを接触させる方式等を用いる
ことができる。
【0047】なお、積層熱可塑性樹脂フィルムの製造に
際し、熱可塑性樹脂A、Cに所望により上記不活性粒子
以外の添加剤、例えば安定剤、着色剤、溶融ポリマーの
固有抵抗調整剤などを添加含有させることができる。
【0048】本発明における熱可塑性樹脂層Aへの塗膜
層B、Cの積層は、水性塗液を塗布する方法で行うのが
好ましい。
【0049】塗布は、最終延伸処理を施す以前の熱可塑
性樹脂層Aの表面に行い、塗布後にはフィルムを少なく
とも一軸方向に延伸するのが好ましい。この延伸の前な
いし途中で塗膜は乾燥される。その中で、塗布は、未延
伸(積層)フィルムまたは縦(一軸)延伸(積層)フィ
ルム、特に縦(一軸)延伸(積層)フィルムに行うのが
好ましい。塗布方法としては特に限定されないが、例え
ば、ロールコート法、ダイコート法などが好ましく挙げ
られる。
【0050】上記塗液、特に水性塗液の固形分濃度は
0.2〜8重量%、さらに0.3〜6重量%、特に0.
5〜4重量%であることが好ましい。そして、水性塗液
には、本発明の効果を妨げない範囲で、他の成分、例え
ば界面活性剤、安定剤、分散剤、紫外線吸収剤、増粘剤
などを添加することができる。
【0051】本発明における積層熱可塑性樹脂フィルム
の付着異物を減少させる手段は、特に限定されないが、
塗液に由来する異物を減少させる方法、フィルム削れ物
の発生を抑制させる方法が有効である。塗液由来の異物
を減少させるには、塗液を使用前、および塗布装置への
供給時に、高精度のフィルターを用いて濾過すること
が、好ましい。フィルターの濾過精度は、塗液中に使用
する不活性粒子の平均粒径の10倍の径の粒子、好まし
くは5倍の径の粒子を実質的に通過させない精度が好ま
しい。
【0052】削れ物減少のためには、例えば前述のごと
く、熱固定を複数回実施する方法を用いることができ
る。さらに製膜後、製品に巻き取る際に除塵を実施した
ほうが好ましいことも前述の通りである。
【0053】また、熱可塑性樹脂層A、Cの結晶化度
は、熱可塑性樹脂がポリエチレンテレフタレートの場合
は30〜50%、ポリエチレン−2,6−ナフタレート
の場合は28〜38%であることが望ましい。いずれも
下限を下回ると、熱収縮率が大きくなるし、一方上限を
上回るとフィルムの耐摩耗性が悪化し、付着異物を増加
させる要因となる。
【0054】本発明によれば、上記熱可塑性樹脂層Aの
片面に塗膜層Bが積層されてなる積層熱可塑性樹脂フィ
ルム、および熱可塑性樹脂層Aの塗膜層Bを積層しない
表面(他の表面)に薄膜層Cが積層されている積層熱可
塑性樹脂フィルムのそれぞれをベースフィルムとする磁
気記録媒体が、同様に提供される。
【0055】本発明の積層熱可塑性樹脂フィルムから磁
気記録媒体を製造する実施態様は、下記のとおりであ
る。
【0056】すなわち、本発明の積層熱可塑性樹脂フィ
ルムは、塗膜層Bの表面に、真空蒸着、スパッタリン
グ、イオンプレーティング等の方法により、鉄、コバル
ト、クロムまたはこれらを主成分とする合金もしくは酸
化物よりなる強磁性金属薄膜層を形成し、またその表面
に、目的、用途、必要に応じてダイアモンドライクカー
ボン(DLC)などの保護層、含フッ素カルボン酸系潤
滑層を順次設け、さらに必要により、熱可塑性樹脂層A
の塗膜層Bとは反対側の表面(非磁性層側面)に、公知
の方法でバックコート層を設けることにより、特に短波
長領域での出力、S/N、C/Nなどの電磁変換特性に
優れ、ドロップアウト、エラーレートの少ない高密度記
録用蒸着型磁気記録媒体とすることができる。この蒸着
型磁気記録媒体は、アナログ信号記録用Hi8、ディジ
タル信号記録用ディジタルビデオカセットレコーダー
(DVC)、データ8ミリ、DDSIV用磁気テープ媒
体として極めて有用である。
【0057】また、本発明の積層熱可塑性瀬樹脂フィル
ムは、塗膜層Bの表面に、鉄または鉄を主成分とする針
状微細磁性粉(メタル粉)をポリ塩化ビニル、塩化ビニ
ル・酢酸ビニル共重合体などのバインダーに均一に分散
し、磁性層厚みが1μm以下、好ましくは0.1〜1μ
mとなるように塗布し、さらに必要により、熱可塑性樹
脂層Aの塗膜層Bとは反対側の表面(非磁性層側面)
に、公知の方法でバックコート層を設けることにより、
特に短波長領域での出力、S/N、C/Nなどの電磁変
換特性に優れ、ドロップアウト、エラーレートの少ない
高密度記録用メタル塗布型磁気記録媒体とすることがで
きる。また、必要に応じて塗膜層Bの表面に、上記メタ
ル粉含有磁性層の下地層として微細な酸化チタン粒子な
どを含有する非磁性層を磁性層と同様の有機バインダー
中に分散し、塗設することもできる。このメタル塗布型
磁気記録媒体は、アナログ信号記録用8ミリビデオ、H
i8、βカムSP、W−VHS、ディジタル信号記録用
ディジタルビデオカセットレコーダー(DVC)、デー
タ8ミリ、DDSIV、ディジタルβカム、D2、D
3、SXなど用磁気テープ媒体として極めて有用であ
る。
【0058】さらに、本発明の積層熱可塑性樹脂フィル
ムは、塗膜層Bの表面に、酸化鉄または酸化クロムなど
の針状微細磁性粉、またはバリウムフェライトなどの板
状微細磁性粉をポリ塩化ビニル、塩化ビニル・酢酸ビニ
ル共重合体などのバインダーに均一に分散し、磁性層厚
みが1μm以下、好ましくは0.1〜1μmとなるよう
に塗布し、さらに必要により、熱可塑性樹脂層Aの塗膜
層Bとは反対側の表面(非磁性層側面)に、公知の方法
でバックコート層を設けることにより、特に短波長領域
での出力、S/N、C/N等の電磁変換特性に優れ、ド
ロップアウト、エラーレートの少ない高密度記録用酸化
物塗布型磁気記録媒体とすることができる。また、必要
に応じて、塗膜層Bの表面に、上記酸化物粉末含有磁性
層の下地層として微細な酸化チタン粒子などを含有する
非磁性層を磁性層と同様の有機バインダー中に分散し、
塗設することもできる。この酸化物塗布型磁気記録媒体
は、ディジタル信号記録用データストリーマー用QIC
などの高密度記録用酸化物塗布型磁気記録媒体として有
用である。
【0059】上述のW−VHSはアナログのHDTV信
号記録用VTRであり、またDVCはディジタルのHD
TV信号記録用として適用可能なものである。それゆ
え、本発明のフィルムロールは、これらHDTV対応V
TR用磁気記録媒体に極めて有用なベースフィルムロー
ルと言うことができる。
【0060】
【実施例】以下、実施例を挙げ、本発明をさらに具体的
に説明するが、本発明はこれら実施例により限定される
ものではない。なお、実施例および比較例における
「部」および「%」は、特に断らない限り重量部および
重量%である。また、本発明における物性値および特性
は、それぞれ下記の方法で測定し、かつ、定義されるも
のである。
【0061】(1)固有粘度 オルソクロロフェノール溶媒中35℃で測定した値から
求める。
【0062】(2)粒子の平均粒径(I)(平均粒径:
60nm以上) 株式会社島津製作所製「CP−50型セントリヒューグ
ル パーティクル サイズ アナライザー(Centr
ifugal Particle SizeAnaly
zer)」を用いて測定する。得られる遠心沈降曲線を
基に算出した各粒径の粒子とその存在量との積算曲線か
ら、50マスパーセントに相当する粒径「等価球直径」
を読み取り、この値を上記平均粒径(nm)とする
(「粒度測定技術」日刊工業新聞社発行、1975年、
頁242〜247)。
【0063】(3)粒子の平均粒径(II)(平均粒
径:60nm未満) 小突起を形成する平均粒径60nm未満の粒子は、光散
乱法を用いて測定する。すなわち、ニコンプインストゥ
ルメント株式会社(Nicomp Instrumen
ts Inc.)製の商品名「NICOMP MODE
L 270 SUBMICRON PARTICLE
SIZER」により求められる全粒子の50%の点にあ
る粒子の「等価球直径」をもって、平均粒径(nm)と
する。
【0064】(4)熱可塑性樹脂層A、Cの厚み、およ
び、フィルム全体の厚み フィルム全体の厚みはマイクロメーターにてランダムに
10点測定し、その平均値を用いる。熱可塑性樹脂層
A、Cの層厚については、薄い熱可塑性樹脂層の層厚み
を下記に述べる方法にて測定し、厚い熱可塑性樹脂層の
層厚みは、全厚みより塗膜層および薄い熱可塑性樹脂層
の層厚を引き算して求める。すなわち、二次イオン質量
分析装置(SIMS)を用いて、被覆層を除いた表層か
ら深さ5,000nmの範囲のフィルム中の粒子の内最
も高濃度の粒子に起因する金属元素(M+)と熱可塑性
樹脂(ポリエステル)の炭化水素(C+)の濃度比(M+
/C+)を粒子濃度とし、表面から深さ5,000nm
まで厚さ方向の分析を行う。表層では表面という界面の
ために粒子濃度は低く、表面から遠ざかるにつれて粒子
濃度は高くなる。本発明の場合、粒子濃度は一旦安定値
1になったのち、上昇して安定値2になる場合と、単調
に減少する場合とがある。この分布曲線をもとに、前者
の場合は、(安定値1+安定値2)/2の粒子濃度を与
える深さをもって、また後者の場合は粒子濃度が安定値
1の1/2になる深さ(この深さは安定値1を与える深
さよりも深い)をもって、薄い熱可塑性樹脂層の厚み
(μm)とする。
【0065】測定条件は、以下のとおりである。 (a)測定装置 二次イオン質量分析装置(SIMS);パーキン・エル
マー株式会社(PERKIN ELMER INC.)
製、「6300」 (b)測定条件 一次イオン種:O2+ 一次イオン加速電圧:12KV 一次イオン電流:200nA ラスター領域:400μm□ 分析領域:ゲート30% 測定真空度:6.0×10-9Torr E−GUNN:0.5KV−3.0A
【0066】なお、表層から5,000nmの範囲に最
も多く存在する粒子がシリコーン樹脂以外の有機高分子
粒子の場合はSIMSでは測定が難しいので、表面から
エッチングしながらFT−IR(フーリエトランスフォ
ーム赤外分光法)、粒子によってはXPS(X線光電分
光法)などで上記同様の濃度分布曲線を測定し、層厚
(μm)を求める。
【0067】(5)塗膜層B、Cの厚み フィルムの小片をエポキシ樹脂にて固定成形し、ミクロ
トームにて約600オングストロームの厚みの超薄切片
(フィルムの流れ方向に平行に切断する)を作成する。
この試料を透過型電子顕微鏡(株式会社日立製作所製:
H−800型)にて観察し、塗膜層B、Cの境界面を探
して塗膜層の厚み(nm)を求める。
【0068】(6)中心面平均粗さ(表面粗さ)(WR
a) WYKO株式会社製の非接触三次元粗さ計、商品名「T
OPO−3D」を用いて、測定倍率40倍、測定面積2
42μm×239μm(0.058mm2)の条件にて
測定を行い、表面粗さのプロフィル(オリジナルデー
タ)を得る。上記粗さ計内蔵ソフトによる表面解析によ
り、下式(III)によって定義される中心線平均粗さ
(WRa)を得る。
【0069】
【数1】
【0070】また、Zjkは、測定方向(242μm)、
それと直行する方向(239μm)を、それぞれM分
割、N分割したときの各方向のj番目、k番目の位置に
おける三次元粗さチャート上の高さである。
【0071】(7)磁気テープの製造および特性評価 本発明の積層熱可塑性樹脂フィルムの塗膜層Bの表面
に、真空蒸着法により、コバルト100%の強磁性薄膜
を0.2μmの厚みになるように2層(各層厚約0.1
μm)形成した。形成した強磁性薄膜の表面にダイヤモ
ンドライクカーボン(DLC)膜、さらに含フッ素カル
ボン酸系潤滑層を順次設け、さらに熱可塑性樹脂層A
(又は薄膜層C)の表面に、公知の方法でバックコート
層を設けた。その後、8mm幅にスリットし、市販の8
mmビデオカセットにローディングした。次いで、下記
の市販の機器を用いてテープの特性を測定する。
【0072】使用機器:8mmビデオテープレコーダ
ー、ソニー株式会社製、商品名「EDV−6000」 C/N測定:株式会社シバソク製、ノイズメーター ドロップアウト測定:株式会社シバソク製、ドロップア
ウトカウンター C/N測定 記録波長0.5μm(周波数約7.4MHz)の信号を
記録し、その再生信号の6.4MHzと7.4MHzの
値の比をそのテープのC/Nとし、市販8mmビデオ用
蒸着テープのC/Nを0dBとし、下記の基準で判定す
る。 ◎:市販8mmテープ対比+5dB以上 ○:市販8mmテープ対比+1dB以上+5dB未満 ×:市販8mmテープ対比+1dB未満
【0073】ドロップアウト 株式会社シバソク製のドロップアウトカウンターを使用
して、3μsec/10dB以上のドロップアウトを1
0分間測定し、1分当たりの個数に換算して、下記の基
準で判定する。 ○:ドロップアウト 6ケ/分未満 ×:ドロップアウト 6ケ/分以上
【0074】走行耐久性 前記した蒸着テープに4.2MHzの映像信号を記録
し、温度25℃、湿度50%RHの条件下でテープ走行
速度41m/分、巻戻し速度41m/分の走行を1回と
し、合計200回繰り返した後の出力変動を調べ、下記
の基準で判定する。 ◎:200回繰り返し後の出力変動が0dB〜−0.3
dB ○:200回繰り返し後の出力変動が−0.3dB〜−
0.6dB ×:200回繰り返し後の出力変動が−0.6dB以下
【0075】[実施例1]ジメチルテレフタレートとエ
チレングリコールとを、エステル交換触媒として酢酸マ
ンガン、重合触媒としてトリメリット酸チタン、安定剤
として亜リン酸を、さらに滑剤(不活性粒子A)として
平均粒径60nmの球状シリカを、樹脂中に0.03%
添加して、常法により重合し、固有粘度0.60の熱可
塑性樹脂層A用のポリエチレンテレフタレート(樹脂A
1)を得た。
【0076】さらに、上記と同様の方法で、滑剤(不活
性粒子C)として、平均粒径500nmの球状シリカお
よび平均粒径100nmのθ型アルミナを、樹脂中にそ
れぞれ0.1%および0.2%添加して、常法により重
合し、固有粘度0.60のポリエチレンテレフタレート
(樹脂C1)を得た。
【0077】得られた樹脂A1、樹脂C1を、それぞれ
170℃で3時間乾燥後、2台の押し出し機に供給し、
溶融温度280〜300℃にて溶融し、平均目開き11
μmの鋼線フィルターで高精度ろ過したのち、マルチマ
ニホールド型共押し出しダイを用いて、樹脂層A(樹脂
A1の層)の片面に樹脂層C(樹脂C1の層)を積層さ
せ、急冷して厚さ89μmの未延伸積層熱可塑性樹脂フ
ィルムを得た。
【0078】得られた未延伸フィルムを予熱し、さらに
低速・高速のロール間でフィルム温度100℃にて3.
3倍に延伸し、急冷して縦延伸フィルムを得た。次いで
縦延伸フィルムの層A側に下記に示す組成(固形分換
算)の水性塗液(全固形分濃度1.0%)をキスコート
法により塗布した。 水性塗液の組成(固形分換算): (1)バインダー樹脂:アクリル変性ポリエステル樹脂(高松油脂株式会社製 、IN−170−6) 68% (2)不活性粒子B:アクリル樹脂フィラー(平均粒径30nm)(日本触媒 株式会社製、エポスター) 5% (3)界面活性剤X:(日本油脂株式会社製、ノニオンNS−208.5) 1% (4)界面活性剤Y:(日本油脂株式会社製、ノニオンNS−230) 26% B層厚み(乾燥後):5nm 上記の水性塗液は、公称濾過精度0.1μのフィルター
を用いて濾過した後、塗布装置に供給した。
【0079】続いてステンターに供給し、110℃にて
横方向に4.2倍に延伸した。得られた二軸延伸フィル
ムを、200℃の熱風で4秒間熱固定し、一旦室温まで
冷却した後、別のステンターに供給し、220℃の熱風
でさらに4秒間熱固定して、全厚み6.4μmで、熱可
塑性樹脂層Cの厚み1.0μmの積層二軸配向ポリエス
テルフィルムを得た。このフィルムの熱可塑性樹脂層
A、Cの厚みについては、2台の押し出し機の吐出量に
より調整した。さらにこのフィルムを表面に付着した異
物を吸引して除去しながらスリットし、ロール状の製品
とした。得られたフィルムロールのその他の特性、およ
びこのフィルムを用いた強磁性薄膜蒸着型磁気テープの
特性を表1に示す。
【0080】[実施例2]実施例1において、熱可塑性
樹脂層Aに不活性粒子を含有させなくし、塗膜層Bに含
有する不活性粒子Bを平均粒径15nmのアクリル樹脂
粒子にし、塗膜層Bの固形成分中の不活性粒子Bの組成
を2%とし、さらに熱可塑性樹脂層Cに含有させる不活
性粒子Cを表1に示すように変更した。得られたフィル
ムロールの特性、およびそのフィルムを用いた強磁性薄
膜蒸着型磁気テープの特性を表1に示す。
【0081】[実施例3]ジメチルテレフタレートの代
わりに2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチルを同モ
ル量使用し、不活性粒子Aを添加しない以外は、実施例
1と同様にして熱可塑性樹脂層A、C用のポリエチレン
−2,6−ナフタレート(PEN)(樹脂A3、C3)
を得た。
【0082】この樹脂A3、C3を、170℃で6時間
乾燥後、実施例1と同様にして、厚さ89μmの未延伸
積層熱可塑性樹脂フィルムを得た。
【0083】得られた未延伸フィルムを予熱し、さらに
低速・高速のロール間でフィルム温度135℃にて3.
6倍に延伸し、急冷して縦延伸フィルムを得た。次いで
縦延伸フィルムのA層側に、不活性粒子Bを平均粒径2
5nmのコア・シェルフィラー(コア:架橋ポリスチレ
ン、シェル:ポリメチルメタクリレート、JSR株式会
社製、SX8721)とした以外は実施例1と同じ水性
塗液(全固形分濃度1.0%)を実施例1と同様に塗布
した。
【0084】続いてステンターに供給し、155℃にて
横方向に5.7倍に延伸した。得られた二軸延伸フィル
ムを、200℃の熱風で4秒間熱固定し、全厚み4.4
μm、熱可塑性樹脂層Cの厚み0.6μmの積層二軸配
向ポリエステルフィルムを得た。このフィルムの熱可塑
性樹脂層A、Cの厚みについては、2台の押し出し機の
吐出量により調整した。得られたフィルムは、実施例1
と同様に付着異物を除去しながらスリットし、ロール状
の製品を得た。このフィルムロールのその他の特性、お
よびこのフィルムを用いた強磁性薄膜蒸着型磁気テープ
の特性を表1に示す。
【0085】[比較例1]塗膜層Bに含有させる不活性
粒子Bを平均粒径60nmの球状シリカとし、含有量を
20%として、さらに塗膜層Bを塗布する時、塗液供給
時に用いるフィルターの濾過精度を0.6μとし、スリ
ット時に除塵を行わなかった以外は、実施例1と同様に
して熱可塑性樹脂フィルムロールを得た。得られたロー
ルの特性、およびそのフィルムを用いた強磁性薄膜蒸着
型磁気テープの特性を表1に示す。
【0086】[比較例2]塗膜層Bを積層させず、不活
性粒子Cを実施例2と同様にした以外は実施例1と同様
にして、熱可塑性樹脂フィルムロールを得た。得られた
ロールの特性、およびそのフィルムを用いた強磁性薄膜
蒸着型磁気テープの特性を表1に示す。
【0087】[比較例3]熱可塑性樹脂層Aに添加する
不活性粒子Aを平均粒径100nmの球状シリカとし、
塗膜層Bに含有させる不活性粒子Bの含有量を35%と
する以外は、実施例1と同様にして熱可塑性樹脂フィル
ムロールを得た。得られたロールの特性、およびそのフ
ィルムを用いた強磁性薄膜蒸着型磁気テープの特性を表
1に示す。
【0088】
【表1】
【0089】表1から明らかなように、本発明によるフ
ィルムロールは、強磁性薄膜蒸着型磁気テープのベース
フィルムとして用いたとき、優れた電磁変換特性を示す
とともに、走行耐久性が良好であり、かつドロップアウ
トが極めて少ない。一方、本発明の要件を満たさないも
のは、これらの特性を同時に満足できない。
【0090】
【発明の効果】本発明によれば、磁気記録媒体のベース
フィルムとして用いたときに、電磁変換特性、走行耐久
性に優れ、ドロップアウトの極めて少ない積層熱可塑性
樹脂フィルムのフィルムロールを提供することができ
る。
フロントページの続き Fターム(参考) 4F100 AA19 AA20 AH10 AK01A AK01B AK01C AK42A AS00C BA02 BA03 BA07 BA10B BA10C CA06 CA19B CA23B CC00B DD07B DE01A DE01B DE01C DE04 EJ37 GB41 JB16A JK14 JM02C YY00A YY00B 5D006 CB05 CB06 CB07 CB08 FA02 FA05 FA09

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱可塑性樹脂層Aおよび該層Aの一方の
    表面上に積層された不活性粒子Bを含有する塗膜層Bか
    らなる積層熱可塑性樹脂フィルムをロール状に巻き上げ
    たフィルムロールであって、該層Bの表面に不活性粒子
    Bに起因する突起が1〜60個/μm2の密度で存在
    し、該層B表面の中心面平均粗さWRaが0.1〜4n
    mであり、かつ該層B側の表面に付着した、高さ150
    nm以上の粗大異物の数が10個/cm2以下であるこ
    とを特徴とするフィルムロール。
  2. 【請求項2】 塗膜層Bが、平均粒径10〜50nmの
    不活性粒子Bを0.5〜30重量%(層Bに対し)含有
    する請求項1に記載のフィルムロール。
  3. 【請求項3】 熱可塑性樹脂層Aの塗膜層Bを積層しな
    い面に薄膜層Cが積層されている請求項1又は2に記載
    のフィルムロール。
  4. 【請求項4】 薄膜層Cがバインダー樹脂及び不活性粒
    子Cを含む塗膜層である請求項3に記載のフィルムロー
    ル。
  5. 【請求項5】 薄膜層Cが不活性粒子Cを含む熱可塑性
    樹脂層である請求項3に記載のフィルムロール。
  6. 【請求項6】 熱可塑性樹脂層Aが実質的に粒子を含有
    しない請求項1〜5のいずれかに記載のフィルムロー
    ル。
  7. 【請求項7】 熱可塑性樹脂層Aが平均粒径30〜40
    0nmの不活性粒子Aを0.001〜0.2重量%(層
    Aに対し)含有する請求項1〜5のいずれかに記載のフ
    ィルムロール。
  8. 【請求項8】 熱可塑性樹脂層Aがポリエチレンテレフ
    タレートからなる請求項1〜7のいずれかに記載のフィ
    ルムロール。
  9. 【請求項9】 熱可塑性樹脂層Aがポリエチレン−2,
    6−ナフタレートからなる請求項1〜7のいずれかに記
    載のフィルムロール。
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