JP3202585B2 - 離型フイルム - Google Patents

離型フイルム

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JP3202585B2 JP07445396A JP7445396A JP3202585B2 JP 3202585 B2 JP3202585 B2 JP 3202585B2 JP 07445396 A JP07445396 A JP 07445396A JP 7445396 A JP7445396 A JP 7445396A JP 3202585 B2 JP3202585 B2 JP 3202585B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は離型フイルムに関
し、更に詳しくは樹脂溶液を用いて成形される樹脂シー
トや樹脂被膜、セラミックスラリーを用いて成形される
セラミックシート等の成形用キャリヤーフイルムに有用
な、或いは粘着剤被膜の保護フイルムに有用な離型フイ
ルムに関する。
【0002】
【従来の技術】離型フイルムは、各種粘着剤被膜の保護
フイルムとして広範に使用されている。かかる粘着剤被
膜は、通常ベースフイルムの表面に粘着剤と溶剤とを含
む塗液を塗工した後、加熱して溶媒を除去する方法で成
形される。そして離型フイルムは、この粘着剤被膜の表
面に積層され保護フイルムとして用いられている。
【0003】また、離型フイルムは、樹脂シート、樹脂
被膜あるいはセラミックシート等を成形する際のキャリ
ヤーフイルムとして用いられる。
【0004】例えば、樹脂シートは、塩化ビニル樹脂等
の樹脂溶媒からなる樹脂溶液を離型フイルム(キャリヤ
ーフイルム)上に塗工(流延)した後、溶媒を加熱除去
することによりマーキングシート用の塩化ビニルシート
等として成形され、キャリヤーフイルムから剥離分離さ
れて各種の用途に供される。
【0005】また樹脂被膜は、キャリヤーフイルムの表
面に粘着剤等の樹脂と溶媒からなる塗液を塗布した後、
加熱して溶媒を除去することにより被膜成形される。
【0006】セラミックシートは、例えばセラミック粉
体とバインダー剤等とを溶媒に分散させたスラリーをキ
ャリヤーフイルム上に塗工した後、溶媒を加熱除去する
ことによりセラミック生シート(セラミックグリーンシ
ート)として成形される。
【0007】上記の溶媒には、従来から有機溶剤が用い
られているが、有機溶剤を用いた塗液を離型フイルムの
離型層表面に塗布する際に、表面エネルギーが小さい離
型層(例えば表面張力γS が19〜21dyne/cm 程度の
シリコーン系離型層)では、塗液が離型層面に均一に塗
れず液的状に散在する状態(いわゆるハジキ)となるこ
とが大きな問題となる。この問題を改良するには、塗液
を高粘度とする方法があるが、この方法では塗工の際の
レベリングが難しく塗膜厚みが均一になり難い欠点や、
塗膜を薄層化することが困難となる等の欠点がある。
【0008】一方、離型フイルムをキャリヤーフイルム
として用いてシートや被膜を生産する際の離型フイルム
の基材としてはポリエチレン、ポリプロピレン等のオレ
フィン系樹脂やポリエチレンテレフタレート等のポリエ
ステル系樹脂の延伸フイルムが使用されることが多い。
【0009】ところが、離型フイルムは樹脂溶液やスラ
リーが塗工された後溶媒除去のため加熱されるが、塗工
後の加熱温度はこれらのフイルムのガラス転移温度(T
g)付近か或いはそれ以上であることが多く、このため
荷重による寸法変化やシワ等の熱変形が生じて成形され
た樹脂被膜やセラミックシートの厚みムラや平面性等が
悪化し、その性能が低下するという問題が懸念される。
【0010】また、生産性を向上させるために生産ライ
ンの速度を上げることが一般的であるが、この場合溶媒
除去が不十分にならないようにするため加熱温度を従来
よりも更に高温度にすることが必要となる。この場合も
離型フイルムに荷重による寸法変化やシワ等の熱変形が
生じて上記と同様の問題が懸念され、その改良が望まれ
ている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、かか
る従来技術の欠点を解消し、塗液を塗工する際にハジキ
が生じることがなく(濡れ性が良い)、各種樹脂シー
ト、樹脂被膜、セラミックシート等に対し適度の力で剥
離が可能な(離型性が良い)離型層表面を有し、かつキ
ャリヤ−フイルムとして用いた際に、加熱下での荷重に
よる寸法変化が極めて小さい離型フイルムを提供するこ
とにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明の目的は、本発明
によれば、二軸配向ポリエチレン−2,6−ナフタレン
ジカルボキシレートフイルムの少なくとも片面に、下記
式(I)で求まる最大表面張力(γL max )が50〜9
0 dyne/cmの離型層を設けた離型フイルムであって、か
つ該離型フイルムの120℃における150gf/mm
2 荷重下での寸法変化率の絶対値が縦方向及び横方向の
いずれも0.2%以下であることを特徴とする離型フイ
ルムにより達成される。
【0013】
【数2】γL max =1/b+γC /2 ……式(I) [式(I)で、bはZismanプロットの傾きより求
まる定数、γC は臨界表面張力を示す。] ここで、bは下記のZismanプロットより求まる定
数であり、γC は下記の方法で求まる臨界表面張力であ
る。即ち、表面張力が20〜40dyne/cm の範囲にある
数種の標準液を調整し、この標準液をフイルムの離型層
の上に滴下して標準液と離型層との接触角(θ)を測定
する。得られた接触角(θ)からcosθ値を算出し、
このcosθ値と標準液の表面張力の値とをプロット
(Zismanプロット)し、その直線の傾きの大きさ
をbとする。また、このZismanプロットの直線
と、cosθ=1で示される直線との交点における表面
張力の値をγC (臨界表面張力)とする。
【0014】尚、このγL max は下記式 (II) で示され
る付着の力(W)を最大にする液体の表面張力と規定さ
れる。
【0015】
【数3】W=γS +γL −γSL ……式(II) 式(II) で、γS は固体の表面張力、γL は液体の表面
張力、γSLは固体〜液体間の界面張力を示す。
【0016】また、離型フイルムの寸法変化率の絶対値
は、下記の方法で求まるものである。即ち、寸法変化率
の測定方向に長さ30mm以上、幅4mmに切り出した
短冊状のフイルムサンプルを用い、このサンプルをチャ
ック間が10mmになるよう治具に装着し、TMA(熱
応力歪測定装置)にて寸法変化率を測定する方向に15
0gf/mm2 の定荷重をサンプルに加え、室温から5
℃/分の昇温速度で加熱し、120℃に到達したときの
フイルムサンプルの寸法変化長を読み取る。寸法変化長
は、伸長方向を正(+)とし、収縮方向を負(−)とす
る。得られた結果より、120℃における150gf/
mm2 荷重下での寸法変化率の絶対値(%)を下記式
(III)にて求める。
【0017】
【数4】 寸法変化率の絶対値=|寸法変化長÷チャック間距離|×100……(III) 以下、本発明を詳細に説明する。
【0018】[ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカ
ルボキシレート]本発明においては、ベースフイルムと
して二軸配向ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカル
ボキシレートフイルムを用いる。このポリエチレン−
2,6−ナフタレンジカルボキシレートとは、エチレン
−2,6−ナフタレンジカルボキシレートを主たる繰り
返し単位とするポリエステル(以下『PEN』と略記す
ることがある)であり、ポリエチレン−2,6−ナフタ
レンジカルボキシレートのホモポリマーであってもよ
く、フイルムの耐熱変形性(高温下での荷重による寸法
変化に耐える特性)を損なわない範囲で共重合成分を少
量(例えば10モル%以下、特に5モル%以下)共重合
したコポリマーであってもよい。
【0019】上記の共重合成分としては、例えばテレフ
タル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレン−2,7
−ジカルボン酸、4−4´ジフェニルジカルボン酸、ジ
フェニルエーテルジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸
類;シュウ酸、アジピン酸等の脂肪族ジカルボン酸類;
p−オキシ安息香酸、p−オキシエトキシ安息香酸等の
オキシカルボン酸類;ジエチレングリコール、プロピレ
ングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレ
ングリコール、ヘキサメチレングリコール、ネオペンチ
ルグリコール等のグリコール類を好ましく挙げることが
できる。
【0020】また、PENは、耐加水分解性を向上させ
る等ために例えば安息香酸、メトキシポリアルキレング
リコール等の一官能性化合物によって末端の水酸基及び
/又はカルボキシル基の一部または全部を封鎖したもの
であってもよく、或いはグリセリン、ペンタエリスリト
ール、トリメリット酸、ピロメリット酸等のような3官
能以上の成分を極少量(実質的に線状のポリマーが得ら
れる範囲)共重合したものであってもよい。
【0021】本発明に用いるPENは、固有粘度が0.
5以上であること、また実質的にエチレン―2,6―ナ
フタレンジカルボキシレートのみを繰り返し単位とする
ホモポリマーであることが、高ヤング率である等の機械
的特性に優れ、耐熱変形性が良い等の熱的特性等に優れ
たベースフイルムが得られるため好ましい。
【0022】かかるPENは公知の方法で製造すること
ができる。例えば、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸
またはそのエステル形成性誘導体とエチレングリコール
またはそのエステル形成性誘導体とを、触媒の存在下で
縮重合させることによって製造することができる。ま
た、コポリマーは、共重合成分を加えて縮重合させるこ
とによって製造することができるが、共重合成分を含む
ポリエステルとPENとを溶融状態で混合しエステル交
換反応を行わせることによって製造することもできる。
【0023】尚、PENには、フイルムの滑り性を良好
なものとするため、平均粒径が0.01〜20μm程度
の有機や無機の微粒子を、例えば0.005〜2重量%
の配合割合で含有させることが好ましい。かかる微粒子
の具体例として、シリカ、アルミナ、カオリン、炭酸カ
ルシウム、酸化チタン、硫酸バリウム、カーボンブラッ
ク、架橋アクリル樹脂粒子、架橋ポリスチレン樹脂粒
子、メラミン樹脂粒子、架橋シリコーン樹脂粒子等を好
ましく挙げることができる。
【0024】前記微粒子以外にも、安定剤、紫外線吸収
剤、難燃剤、帯電防止剤等の添加剤を配合することがで
きる。また他の熱可塑性樹脂を少量(例えば20重量%
以下、特に10重量%以下)ブレンドすることができ
る。
【0025】[ベースフイルム]本発明においては、ベ
ースフイルムとして用いる二軸配向PENフイルムは、
従来から知られている方法、例えば逐次二軸延伸法或い
は同時二軸延伸法で製造することができる。例えば逐次
二軸延伸法では、PENを十分に乾燥してから溶融押出
法にて未延伸フイルムとし、続いて該未延伸フイルムを
延伸温度130〜150℃で縦方向に2〜6倍の範囲で
延伸し、次いで120〜150℃の温度で横方向に2〜
6倍の範囲で延伸を行ない、更に220〜255℃で5
秒〜1分間熱固定するとよい。尚、この熱固定は制限収
縮下に行なってもよい。また溶融押出し時に静電密着法
を採用するのが好ましい。
【0026】上記の縦方向および横方向の延伸倍率を略
同じとすることによりフイルムの等方性を良好なものと
することができる。また、熱固定(結晶化)温度を上記
の範囲とすることにより離型フイルムの耐熱変形性を良
好なものとすることができる。離型フイルムの110℃
近辺での耐熱変形性を更に改善するには、二軸延伸後熱
固定したフイルムを120〜150℃の温度で弛緩状態
で熱処理するのが好ましい。
【0027】本発明に用いる二軸配向PENフイルムの
厚みは特に限定されないが、25〜100μmであるこ
とが特に好ましい。
【0028】[離型層]本発明においては、二軸配向P
ENフイルムの少なくとも片面に前記式(I)で求まる
最大表面張力(γL max )が50〜90 dyne/cmの離型
層を設ける。このγL max は50〜90dyne/cm である
が、好ましくは60〜80dyne/cm である。このγL ma
x が50dyne/cm よりも小さいと樹脂溶液やスラリーを
塗工した際にハジキが大きくなり塗膜が不均一になった
り欠落する欠陥が生じる。また、γL max が90dyne/c
m を超えると粘着剤やシートと離型層との密着性が大き
くなり過ぎ、それらを離型フィルムから剥離することが
困難となる。
【0029】本発明において、離型層の構成成分はγL
max が50〜90dyne/cm である離型層となるものであ
れば特に規定されるものではないが、例えば付加型及び
/又は重縮合型剥離紙用ポリジメチルシロキサンに下記
の成分を配合したもの、或いは下記の変性ポリジメチル
シロキサンを用いることによりγL max が50〜90dy
ne/cm の離型層を得ることができる。
【0030】(1)ポリジメチルシロキサンポリマー中
に下記のD単位、T単位及び/又はQ単位の構造を有す
るシリコーンレジンを配合して離形層中のメチル基の濃
度を調整し表面張力を増加させたもの。尚、このシリコ
ーンレジンの配合割合は固形分濃度で20〜60重量%
であることが好ましい。配合割合が20重量%よりも少
ないと離形層のぬれ性が不良となることがあり、又、6
0重量%を超えると離形層が硬くなりすぎて耐削れ性が
不良となることがあるため好ましくない。
【0031】
【化1】
【0032】但し、D単位及びT単位においてRはメチ
ル基等のアルキル基又はフェニル基等の芳香族炭化水素
基を示す。
【0033】(2)ポリジメチルシロキサンポリマー中
にシリカフィラーを配合することにより、離形層中の−
Si−OH基の濃度が高くなるよう調整して表面張力を
増加させたもの。尚、このシリカフィラーは平均粒径が
1μm以下のものが好ましい。平均粒径が1μmを超え
るとフィルムの曇り度(ヘイズ)が大きくなり、透明性
を要求される用途に用いる際に支障となることがあった
り、加工工程でフィルムを走行させる際に離形層の削れ
が発生することがあるため好ましくない。また、シリカ
フィラーの配合割合は固形分濃度で0.1〜1重量%で
あることが好ましい。配合割合が0.1重量%よりも少
ないと所望のぬれ性が得られないことがあり、1重量%
を超えるとシリカフィラーが離形層から削れて脱落する
ことがあるため好ましくない。
【0034】(3)ポリジメチルシロキサンポリマー中
もメチル基の一部を嵩高いフェニル基で置換した変性ポ
リジメチルシロキサン。フェニル基の立体障害により、
例えばポリマー中の−Si−O−Si−結合の回りの回
転運動が抑制され、その結果離形層表面のメチル基の濃
度が減少するため表面張力を増加させることができる。
尚、このフェニル基の置換割合は特に特定はしないが、
3〜40モル%であることが好ましい。この置換割合
が、少なすぎると所望のぬれ性が得られないことがあ
り、多すぎると、離型層と各種粘着剤や各種シートとの
離型性が不良となることがあるため好ましくない。
【0035】[その他の配合剤]本発明における離型層
には、本発明の目的を妨げない範囲で公知の各種添加剤
を配合することができる。この添加剤としては、例えば
紫外線吸収剤、顔料、消泡、滑剤(タルク、クレー、ア
ルミナ等)を挙げることができる。
【0036】[離形層の塗設方法]本発明においては、
二軸配向PENフイルムの少なくとも片面に離型層を設
けるが、離型層の塗設は離型層の成分を含む塗液をフイ
ルムに塗布し、加熱乾燥および硬化させて塗膜を形成さ
せることにより行うことができる。このときの加熱は、
離型フイルム自体の耐熱性に多少なりとも影響を与える
ものであり、加熱条件として例えば80〜160℃で1
0〜120秒間、特に120〜150℃で20〜60秒
間で行なうことが離型フイルムの耐熱変形性を更に良好
なものとなるため好ましい。塗液の塗工方法としては、
公知の任意の塗工法が適用でき、例えばロールコーター
法、ブレードコーター法等を挙げることができるが、こ
れらの方法に限定されるものではない。
【0037】[接着層]本発明においては、二軸配向P
ENフイルムと離型層との密着性を高めるために、二軸
配向PENフイルムの少なくとも片面に接着層を設け、
該接着層の上に更に離型層を積層することができる。こ
の接着層には例えばシランカップリング剤を用いること
ができる。このシランカップリング剤としては、一般式
Y−Si−X3 で示されるものを挙げることができる。
ここで、Yは、例えばアミノ基、エポキシ基、ビニル
基、メタクリル基、メルカプト基等で代表される官能
基、Xはアルコキシ基で代表される加水分解性の官能基
を示す。上記の接着層の好ましい厚みは0.01〜5μ
m程度であり、特に0.02〜2μm程度である。接着
層の厚みが上記の範囲であると二軸配向PENフイルム
と離型層の密着性が良好となり、また接着層を設けた二
軸配向PENフイルムがブロッキングし難いため、取り
扱う際に支障が生じにくい。
【0038】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を更に説明す
る。尚、フイルムの各特性値は下記の方法で測定した。
【0039】1.γL max 酢酸イソプロピルに対し安息香酸メチルを適宜割合で配
合し、表面張力が20〜40dyne/cm の範囲にある数種
の標準液を調整する。この表面張力はデュヌイの輪環引
上げ法により測定する。次いで、この標準液をフィルム
の離形層上に滴下して標準液と離形層との接触角(θ)
を測定する。得られた接触角(θ)からcosθ値を算
出し、このcosθ値と上記の方法により測定された表
面張力とのプロット(Zismanプロット)を作成
し、その直線の傾きの大きさをbとする。また、このZ
ismanプロットの直線とcosθ=1で示される直
線との交点における表面張力の値をγC (臨界表面張
力)とする。かくして得られたb、γC を用い下記式
(I)からγL max を求めた。
【0040】
【数5】γL max =1/b+γC /2 ……式(I) 式(I)で、bはZismanプロットの傾きより求ま
る定数、γC は上記の方法で求まる臨界表面張力を示
す。
【0041】2.溶剤系塗料の濡れ性 下記組成のセラミック粉体分散スラリーを調整する。 (a)セラミック粉体(チタン酸バリウム):20重量
部 (b)ポリビニルブチラール:4〜10重量部 (c)ジブチルフタレート :1〜3重量部 (d)トルエン/エタノール:20〜30重量部 セラミック粉体分散スラリーの調整はボールミルにて、
へッグマングラインドゲージで7以上の分散状態となる
ようにして行なう。次いで、このセラミック粉体分散ス
ラリーを1milの間隙を有するストレートエッジアプ
リケーターを用い、離型フィルムの離型層面に塗工し、
110℃にて2分間乾燥後、塗工エッジのハジキの程度
を観察し下記の基準にて溶剤系塗料の濡れ性を評価し
た。 A:ハジキが観察されない ……濡れ性良好 B:ハジキが若干観察される……濡れ性やや良好 C:ハジキが観察される ……濡れ性不良
【0042】3.剥離強度 フイルムサンプルの離型層面にポリエステル粘着テープ
(ニットー31B)を貼り合わせ、5kgの圧着ローラ
ーで圧着し70℃にて20時間放置後、離型層と粘着テ
ープとの剥離力を引張り試験機にて測定した。
【0043】尚、剥離強度の好ましい範囲は5〜100
g/inである。剥離強度が5g/inであると、離形
フィルムに樹脂シート等を積層した積層シートを巻き取
る際等に樹脂シート等が離形フィルムから剥離してしま
うことがあるため好ましくない。又、剥離強度が100
g/in以上であると、積層シートから樹脂シート等を
剥離分離して使用する際に剥離が困難となることがある
ため好ましくない。
【0044】4.残留接着率 ポリエステル粘着テープ(ニットー31B)をJIS・
G4305に規定する冷間圧延ステンレス板(SUS3
04)に貼り付けた後の剥離力を測定し、基礎接着力
(f0 )とする。また、前記ポリエステル粘着テープを
フイルムサンプルの離型層塗設面に5kgの圧着ローラ
ーで圧着し、30秒間放置した後粘着テープを剥がす。
そして剥がした粘着テープを上記のステンレス板に貼
り、該貼り合わせ部の剥離力を測定し、残留接着力
(f)とする。得られた基礎接着力(f0)と残留接着
力(f)より下記式(IV) を用いて残留接着率を求め
る。
【0045】
【数6】 残留接着率(%)=(f/f0 )×100 ……(IV) 尚、残留接着率の好ましい範囲は85%以上である。残
留接着率が85%未満であると、例えば離形フィルムを
ロール状に巻いて保管する際に、離形層を構成する成分
が隣接するフィルムの表面に転写(いわゆる背面転写)
し、離形層の特性が不良となったり、隣接フィルム表面
の接着性等の特性が不良となることがあるため好ましく
ない。
【0046】5.耐熱変形性 フイルムサンプルを測定方向に長さ30mm以上、幅4
mmで短冊状に切り出す。このサンプルをチャック間が
10mmになるように治具に装着し、TMA(熱応力歪
測定装置)にセットする。TMAはセイコー電子工業株
式会社製・TMA/SS120C型機を使用した。次い
で、150gf/mm2 の定荷重を加え、室温より5℃
/分の昇温速度で加熱し、120℃に到達したときのフ
イルムサンプルの寸法変化長を読み取る。寸法変化長
は、伸長方向を正(+)とし、収縮方向を負(−)とし
た。得られた結果より、120℃における150gf/
mm2 荷重下での寸法変化率の絶対値(%)を下記式
(III)にて求めた。
【0047】
【数7】 寸法変化率の絶対値=|寸法変化長÷チャック間距離|×100……(III)
【0048】[実施例1]固有粘度が0.62dl/gのポ
リエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートを
押出機にて溶融し、フイルム状の溶融ポリマーをダイス
から約40℃に維持してある回転冷却ドラム上に押出
し、静電密着法を用いて該フイルム状の溶融ポリマーを
冷却ドラムに密着させながら急冷して未延伸フイルムと
した。次いで、該未延伸フイルムを縦方向に3.7倍延
伸し、引き続き横方向に3.8倍延伸し、更に240℃
にて熱固定を行なって厚さ50μmの二軸配向フイルム
を得た。
【0049】この二軸配向フイルムの片面に、下記に示
す塗液を6g/m2 (wet)の塗布量で塗布し、加熱
温度140℃、加熱時間1分で乾燥および硬化させて離
型層の厚さが0.15μmの離型フイルムを作成した。
この離型フイルムの特性を表1に示す。
【0050】ビニル基を有するポリジメチルシロキサン
とジメチルハイドロジェンシランからなる付加反応タイ
プの硬化型シリコーンをメチルエチルケトン、メチルイ
ソブチルケトン及びトルエンの混合溶剤中に溶解させ、
更に前記式のT単位及びQ単位からなるシリコーンレジ
ンを上記硬化型シリコーンに対し、固形分比で10重量
%となるよう配合し、全体の固形分濃度が2%の溶液を
作成した。この溶液に白金触媒を添加し塗液を作製し
た。
【0051】[実施例2]二軸配向フイルムに塗布する
塗液として下記を用いる以外は実施例1と同様にして離
型フイルムを作成した。この離型フイルムの特性を表1
に示す。
【0052】ビニル基を有するポリジメチルシロキサン
とジメチルハイドロジェンシランからなる付加反応タイ
プの硬化型シリコーンをメチルエチルケトン、メチルイ
ソブチルケトン及びトルエンの混合溶剤中に溶解させ、
更に平均粒径0.3μmのシリカフィラーを上記硬化型
シリコーンに対し対し、固形分比で0.5重量%となる
よう配合し、全体の固形分濃度が2%の溶液を作成し
た。この溶液に白金触媒を添加し塗液を作製した。
【0053】[実施例3]二軸配向フイルムに塗布する
塗液のポリジメチルシロキサン成分として、側鎖の一部
にフェニル基を15モル%導入したポリジメチルシロキ
サンを用いる以外は実施例1と同様にして離型フイルム
を作成した。この離型フイルムの特性を表1に示す。
【0054】[比較例1]固有粘度が0.62dl/gのポ
リエチレンテレフタレートを押出機にて溶融し、フイル
ム状の溶融ポリマーをダイスから約40℃に維持してあ
る回転冷却ドラム上に押出し、静電密着法を用いて該フ
イルム状の溶融ポリマーを冷却ドラムに密着させながら
急冷して未延伸フイルムとした。次いで、該未延伸フイ
ルムを縦方向に3.6倍延伸し、引き続き横方向に3.
9倍延伸し、更に220℃にて熱固定を行なって厚さ5
0μmの二軸配向ポリエチレンテレフタレートフイルム
を得た。
【0055】この二軸配向ポリエチレンテレフタレート
フイルムの片面に、下記に示す塗液を6g/m2 (we
t)の塗布量で塗布し、加熱温度140℃、加熱時間1
分で乾燥および硬化させて離型層の厚さが0.15μm
の離型フイルムを作成した。この離型フイルムの特性を
表1に示す。
【0056】ビニル基を有するポリジメチルシロキサン
とジメチルハイドロジェンシランからなる付加反応タイ
プの硬化型シリコーンをメチルエチルケトン、メチルイ
ソブチルケトン及びトルエンの混合溶剤中に溶解させ固
形分濃度が2%の溶液を作成した。この溶液に白金触媒
を添加し塗液を作製した。
【0057】[比較例2]二軸配向フイルムに塗布する
塗液として下記を用いる以外は実施例1と同様にして離
型フイルムを作成した。この離型フイルムの特性を表1
に示す。
【0058】ビニル基を有するポリジメチルシロキサン
とジメチルハイドロジェンシランからなる付加反応タイ
プの硬化型シリコーンをメチルエチルケトン、メチルイ
ソブチルケトン及びトルエンの混合溶剤中に溶解させ、
固形分濃度が2%の溶液を作成した。この溶液に白金触
媒を添加し塗液を作製した。
【0059】
【表1】
【0060】表1より明らかなように、実施例1〜3に
示した本発明の離型フイルムは耐熱性(120℃におけ
る150gf/mm2 荷重下での寸法安定性)に優れる
ものであり、また離型層表面の溶剤系塗料に対する濡れ
性や剥離強度及び残留接着率に優れるものであった。
【0061】
【発明の効果】本発明の離型フイルムは、ベースフイル
ムとして耐熱寸法安定性に優れたポリエチレン−2,6
−ナフタレンジカルボキシレートフイルムを用いている
ため、離型フイルムをキャリヤーフイルムとして用いて
樹脂シート、樹脂被膜、セラミックシート等成形する際
の溶媒加熱除去を高温度、高荷重の状態で行なっても離
型フイルムの寸法変化や変形が少ない。このため、寸法
精度の良好な樹脂シート、樹脂被膜、セラミックシート
等を高速度で生産することができる。
【0062】また、離型層表面が特定の最大表面張力
(γLmax)を有しているため、各種被膜やシート成形用
に有機溶剤系塗液を用いた際に濡れ性に優れ、各種樹脂
シートやセラミックシート等に対する剥離性に優れるた
め、樹脂やセラミックのシート等の成形用キャリヤーフ
イルム、或いは粘着剤被膜の保護フイルムに有用であ
る。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 二軸配向ポリエチレン−2,6−ナフタ
    レンジカルボキシレートフイルムの少なくとも片面に、
    下記式(I)で求まる最大表面張力(γL max )が50
    〜90 dyne/cmの離型層を設けた離型フイルムであっ
    て、かつ該離型フイルムの120℃における150gf
    /mm2 荷重下での寸法変化率の絶対値が縦方向及び横
    方向のいずれも0.2%以下であることを特徴とする離
    型フイルム。 【数1】γL max =1/b+γC /2 ……式(I) [式(I)で、bはZismanプロットの傾きより求
    まる定数、γC は臨界表面張力を示す。]
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