JPH11315153A - ポリエステルフィルムおよびその製造方法 - Google Patents

ポリエステルフィルムおよびその製造方法

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JPH11315153A
JPH11315153A JP11031593A JP3159399A JPH11315153A JP H11315153 A JPH11315153 A JP H11315153A JP 11031593 A JP11031593 A JP 11031593A JP 3159399 A JP3159399 A JP 3159399A JP H11315153 A JPH11315153 A JP H11315153A
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JP
Japan
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polyester
film
polyester film
polymer
styrene
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JP11031593A
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English (en)
Inventor
Masaaki Kotoura
正晃 琴浦
Tetsuya Yamagata
哲也 山形
Tetsuya Tsunekawa
哲也 恒川
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Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】溶融押出し時の固有粘度の低下が小さく、低オ
リゴマーで表面粗大突起が少なく、しかも高弾性の特性
を有するポリエステルフィルムを提供すること、および
溶融押出し時に固有粘度の高いポリエステル原料の溶融
粘度を大幅に低減させることにより、従来の製膜装置を
改造せずに、濾圧、剪断発熱、押出トルクを大幅に低下
させることのできるポリエステルフィルムの製造方法を
提供すること。 【解決手段】ポリエステル(A)とスチレン系ポリマー
(B)とからなるポリエステルフィルムであって、スチ
レン系ポリマー(B)の平均分子量が1,000から2
0,000の範囲内で含有されている。このフィルム
は、押出機にてポリマーを溶融押出しした後、ポリエス
テル(A)をフィルターで濾過する前までににスチレン
系ポリマー(B)を0.05から10重量%の範囲内で
添加して製膜することにより得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、従来のポリエステ
ルフィルムの物性と品質を大幅に向上させたフィルム、
具体的には、弾性率が高く、表面欠点とオリゴマー含有
量が少ない、ポリエステルフィルムとその製造方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】従来より、弾性率を高める一つの方法と
して、延伸などの改良で分子配向度を上げる方法が一般
によく行われている。しかしながら、フィルムの固有粘
度が低いと、弾性率を高めるために、過度に分子配向さ
せようとすると、延伸時のフィルム破れが避けられず、
弾性率の向上には限界があった。
【0003】固有粘度の高いポリエステルを押出して、
製膜し、機械特性に優れたフィルムを得ようとする場合
には、フィルター通過時の濾圧上昇が大きくなって押出
が困難になる。この点を回避するためにフィルター部の
温度を高温化すると、ポリマーが熱分解し重合度が低下
して固有粘度が低下し、その結果、機械強度が低く、低
品質のポリエステルフィルムしか得られないという問題
があった。
【0004】特に、ポリエステルフィルムが磁気記録媒
体用の場合、ポリマー中の異物をできるだけ取り除き、
フィルム表面を平滑にする必要があることから、非常に
細かいフィルターを用いるため濾圧上昇が他の用途の場
合に比べて大きくなってしまい、その結果、表面が平滑
で、かつ機械強度の高いフィルムを得ることが困難であ
った。
【0005】また、弾性率を高める別の方法として、国
際公開WO87−05919号公報、特開昭57−25
354号公報などで代表されるように、液晶性ポリエス
テルのように剛性率の高い化合物をポリエステル中に微
分散させて、補強強化する方法がある。しかし、この方
法では、液晶性ポリエステルの形態を繊維状に制御でき
た場合にその効果が顕著になるものであり、フィルムの
製膜プロセスでは液晶性ポリエステル繊維の形状緩和が
生じるため、必ずしも有効でないという問題があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
問題点を解決し、溶融押出し時の固有粘度の低下が小さ
く、低オリゴマーで表面粗大突起が少なく、しかも、高
弾性の特性を有するポリエステルフィルムを提供するこ
と、および溶融押出し時に固有粘度の高いポリエステル
原料の溶融粘度を大幅に低減させることにより、従来の
製膜装置をなんら改造せずに、濾圧、剪断発熱、押出ト
ルクを大幅に低下させることのできるポリエステルフィ
ルムの製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するために鋭意検討した結果、特定のスチレン系
ポリマー(B)を特定量だけ添加することによりポリエ
ステルの溶融粘度が低下することを見出し本発明を完成
するに至った。
【0008】すなわち、本発明のポリエステルフィルム
は、ポリエステル(A)と、スチレン系ポリマー(B)
とからなるポリエステルフィルムであって、スチレン系
ポリマー(B)の平均分子量が1,000から20,0
00の範囲内で含有されていることを特徴とする。
【0009】また、本発明のポリエステルフィルムの製
造方法は、押出機にてポリマーを溶融押出しした後、フ
ィルターで濾過し、口金からシート状に押し出して製膜
するポリエステルフィルムの製造方法において、該ポリ
マーとして、ポリエステル(A)を押出機にて溶融押し
出しするとともに、該ポリエステル(A)をフィルター
で濾過する前までに、該ポリエステル(A)にスチレン
系ポリマー(B)を0.05から10重量%の範囲内で
添加して製膜することを特徴とする。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好ましい実施形態
を説明する。
【0011】本発明のポリエステルフィルムを構成する
ポリエステル(A)の代表的なものとしては、芳香族ジ
カルボン酸、脂環族ジカルボン酸または脂肪族ジカルボ
ン酸とジオールを主たる構成成分とするポリエステルで
ある。
【0012】芳香族ジカルボン酸成分としては、例え
ば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、1,4−
ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボ
ン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ジ
フェニルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルエ−テル
ジカルボン酸、4,4’−ジフェニルスルホンジカルボ
ン酸等を用いることができ、なかでも好ましくは、テレ
フタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸
を用いることができる。脂環族ジカルボン酸成分として
は、例えば、シクロヘキサンジカルボン酸等を用いるこ
とができる。脂肪族ジカルボン酸成分としては、例え
ば、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカンジ
オン酸等を用いることができる。
【0013】これらの酸成分は1種のみ用いてもよく、
2種以上併用してもよく、さらには、ヒドロキシエトキ
シ安息香酸等のオキシ酸等を一部共重合してもよい。ま
た、ジオール成分としては、例えば、エチレングリコー
ル、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオ
ール、ネオペンチルグリコール、1,3−ブタンジオー
ル、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオー
ル、1,6−ヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサ
ンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノー
ル、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジエチレン
グリコール、トリエチレングリコール、ポリアルキレン
グリコール、2,2’−ビス(4’−β−ヒドロキシエ
トキシフェニル)プロパン等を用いることができ、なか
でも好ましくは、エチレングリコール、1,4−ブタン
ジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジエ
チレングリコール等を用いることができ、特に好ましく
は、エチレングリコール等を用いることができる。これ
らのジオール成分は1種のみ用いてもよく、2種以上併
用してもよい。
【0014】また、ポリエステルにはトリメリット酸、
ピロメリット酸、グリセロール、ペンタエリスリトー
ル、2,4−ジオキシ安息香酸、ラウリルアルコール、
イソシアン酸フェニル等の単官能化合物等の他の化合物
を、ポリマーが実質的に線状である範囲内で共重合され
ていてもよい。
【0015】このうち、ポリアルキレングリコールやポ
リエーテルジカルボン酸の平均分子量としては、好まし
くは400〜40,000であり、さらに好ましくは6
00〜20,000、より好ましくは1,000〜1
0,000である。もちろん、複数の芳香族二塩基酸と
複数のグリコールからなる共重合体であってもよい。
【0016】本発明のポリエステル(A)は、特に限定
されないが、機械強度の点から、ポリエチレンテレフタ
レート、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキ
シレートおよびそれらの変性体よりなる群から選ばれた
少なくとも一種であることが好ましい。
【0017】本発明のポリエステルフィルムを構成する
スチレン系ポリマー(B)は、主にスチレン骨格からな
り、少なくともスチレンユニットを70モル%以上含有
していることが好ましく、ポリスチレン、アクリロニト
リル・スチレン共重合体、アクリル酸エステル・スチレ
ン共重合体、メタクリル酸メチル・スチレン共重合体等
が挙げられる。これらポリマーは2種以上併用してもよ
い。
【0018】ここで用いるスチレン系ポリマー(B)の
平均分子量は、1,000から20,000の範囲内で
ある。平均分子量が1,000より小さいと、押出時に
ブリードアウトしやすくなり、異物の少ない、フィルム
を得ることが難しくなる場合がある。一方、分子量が2
0,000より大きくなると、フィルター濾圧を低減す
る効果が小さくなり、また、スチレン系ポリマー(B)
の分散性が悪くなり、透明なフィルムを得ることが難し
くなる。なお、平均分子量は2,000から10,00
0の範囲内が高ヤング率の観点から、より好ましい。ま
た、スチレン系ポリマー(B)の含有量としては、0.
05から10重量%であるのが好ましい。さらに好まし
くは、0.2から7重量%、特に好ましくは、0.5か
ら5重量%である。その理由は濾圧低下の観点からスチ
レン系ポリマー(B)の含有量が0.05重量%以上、
機械強度や表面特性の観点からスチレン系ポリマー
(B)の含有量は10重量%以下であることが好ましい
からである。
【0019】また、本発明のポリエステルフィルムにお
いては、スチレン系ポリマー(B)の他に、さらに主鎖
にメソゲン基を有する共重合ポリエステル(C)をポリ
エステル(A)に加えることも、濾圧低減、品質向上の
点から有効である。スチレン系ポリマー(B)と主鎖に
メソゲン基を有する共重合ポリエステル(C)を併用す
ると、共重合ポリエステル(C)が繊維状、小判状、薄
片状の形態をとり、機械特性が向上する傾向が見られ
る。本発明で用いる主鎖にメソゲン基を有する共重合ポ
リエステル(C)は、主鎖にメソゲン基を有する溶融成
形性があるポリエステルである。例えば、芳香族オキシ
カルボニル単位、芳香族ジオキシ単位、芳香族ジカルボ
ニル単位、アルキレンジオキシ単位などから選ばれた構
造単位からなる異方性溶融相を形成するポリエステルな
どである。
【0020】本発明で用いる好ましい主鎖にメソゲン基
を有する共重合ポリエステルの例としては、下記
(I)、(II)、(III )および(IV)の構造単位から
なる主鎖にメソゲン基を有する共重合ポリエステル、
(I)、(III )および(IV)の構造単位からなる主鎖
にメソゲン基を有する共重合ポリエステル、(I)、
(II)および(IV)の構造単位からなる主鎖にメソゲン
基を有する共重合ポリエステルから選ばれた一種以上で
あるものが挙げられる。
【0021】
【化1】
【0022】(但し式中のR1は、
【0023】
【化2】
【0024】を示し、R2は
【0025】
【化3】
【0026】から選ばれた一種以上の基を示し、R3
は、
【0027】
【化4】
【0028】から選ばれた一種以上の基を示す。また、
式中Xは水素原子または塩素原子を示し、構造単位
[((II)+(III )]と構造単位(IV)は、実質的に
等モルである。) 上記構造単位(I)はp−ヒドロキ
シ安息香酸および/または6−ヒドロキシ−2−ナフト
エ酸から生成したポリエステルの構造単位を、構造単位
(II)は、4、4´−ジヒドロキシビフェニル、3、3
´、5、5´−テトラメチル−4、4´−ジヒドロキシ
ビフェニル、ハイドロキノン、t−ブチルハイドロキノ
ン、フェニルハイドロキノン、2、6−ジヒドキシナフ
タレン、2、7−ジヒドキシナフタレン、2、2´−ビ
ス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンおよび4、4´
−ジヒドロキシジフェニルエーテルから選ばれた芳香族
ジヒドロキシ化合物から生成した構造単位を、構造単位
(III )は、エチレングリコールから生成した構造単位
を、構造単位(IV)は、テレフタル酸、イソフタル酸、
4、4´−ジフェニルジカルボン酸、2、6−ナフタレ
ンジカルボン酸、1、2−ビス(フェノキシ)エタン−
4、4´−ジカルボン酸、1、2−ビス(2−クロルフ
ェノキシ)エタン−4、4´−ジカルボン酸および4、
4´−ジフェニルエーテルジカルボン酸から選ばれた芳
香族ジカルボン酸から生成した構造単位を各々示す。
【0029】また、上記構造単位(I)、(II)および
(IV)からなる液晶ポリエステルの場合は、R1が
【0030】
【化5】
【0031】であり、R2が
【0032】
【化6】
【0033】から選ばれた一種以上であり、R3が
【0034】
【化7】
【0035】から選ばれた一種以上であるものが好まし
い。
【0036】また、上記構造単位(I)、(III )およ
び(IV)からなる主鎖にメソゲン基を有する共重合ポリ
エステルの場合は、R1が
【0037】
【化8】
【0038】であり、R3が
【0039】
【化9】
【0040】であるものが特に好ましい。
【0041】また、上記構造単位(I)、(II)、(II
I )および(IV)からなる主鎖にメソゲン基を有する共
重合ポリエステルの場合は、R1が
【0042】
【化10】
【0043】であり、R2が
【0044】
【化11】
【0045】であり、R3が
【0046】
【化12】
【0047】であるものが特に好ましい。
【0048】上記構造単位(I)、(II)、(III )お
よび(IV)の共重合量は任意であるが、流動性、ポリエ
ステルとの相溶性の点から次の共重合量であることが好
ましい。
【0049】上記構造単位(I)、(II)および(IV)
からなる主鎖にメソゲン基を有する共重合ポリエステル
の場合は、上記構造単位(I)は、[(I)+(II)]
の15〜90モル%が好ましく、40〜80モル%がよ
り好ましい。構造単位(IV)は構造単位(II)と実質的
に等モルである。
【0050】また、上記構造単位(I)、(III )およ
び(IV)からなる主鎖にメソゲン基を有する共重合ポリ
エステルの場合は、上記構造単位(I)は、[(I)+
(III )]の15〜90モル%が好ましく、40〜80
モル%がより好ましい。構造単位(IV)は構造単位(II
I )と実質的に等モルである。
【0051】さらに、上記構造単位(I)、(II)、
(III )および(IV)からなる主鎖にメソゲン基を有す
る共重合ポリエステルの場合は、上記構造単位[(I)
+(II)+(III )]に対する[(I)+(II)]のモ
ル分率は15〜90モル%が好ましく、40〜80%が
より好ましい。
【0052】また、構造単位[(I)+(II)+(III
)]に対する(III )のモル分率は85〜10モル%
が好ましく、60〜20モル%がより好ましい。また、
構造単位(I)/(II)のモル比は流動性の点から好ま
しくは75/25〜95/5であり、より好ましくは7
8/22〜93/7である。また、構造単位(IV)のモ
ル数は構造単位[(II)+(III )]のトータルモル数
と実質的に等しい。
【0053】以上述べた説明中の「実質的に」とは、必
要に応じてポリエステルの末端基をカルボキシル基末端
あるいはヒドロキシル末端基のいずれかを多くすること
ができ、このような場合には構造単位(IV)のモル数は
構造単位[(II)+(III )]のトータルモル数と完全
に等しくないからである。
【0054】上記好ましい主鎖にメソゲン基を有する共
重合ポリエステルを重縮合する際には、上記構造単位
(I)〜(IV)を構成する成分以外に、3、3´−ジフ
ェニルジカルボン酸、2、2´−ジフェニルジカルボン
酸などの芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、アゼライン
酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸などの脂肪族ジカル
ボン酸、ヘキサヒドロテレフタル酸などの脂環式ジカル
ボン酸、クロルハイドロキノン、メチルハイドロキノ
ン、4、4´−ジヒドロキシジフェニルスルフォン、
4、4´−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4、4
´−ジヒドロキシベンゾフェノンなどの芳香族ジオー
ル、1、4−ブタンジオール、1、6−ヘキサンジオー
ル、ネオペンチルグリコール、1、4−シクロヘキサン
ジオール、1、4−シクロヘキサンジメタノール等の脂
肪族、脂環式ジオールおよびm−ヒドロキシ安息香酸、
2、6−ヒドロキシナフトエ酸などの芳香族ヒドロキシ
カルボン酸およびp−アミノフェノール、p−アミノ安
息香酸などを本発明の効果を損なわない程度の少割合の
範囲で、さらに共重合せしめることができる。
【0055】本発明における主鎖にメソゲン基を有する
共重合ポリエステルの製造方法は、特に制限がなく、従
来から行われているポリエステルの重縮合法に準じて製
造できる。
【0056】例えば、上記の好ましく用いられる主鎖に
メソゲン基を有する共重合ポリエステルの製造法におい
て、上記構造単位(III )を含まない場合は下記(1)
および(2)、構造単位(III )を含む場合は下記
(3)の製造方法が好ましい。 (1)p−アセトキシ安息香酸および4、4´−ジアセ
トキシビフェニル、4、4´−ジアセトキシベンゼンな
どの芳香族ジヒドロキシ化合物のジアシル化物とテレフ
タル酸などの芳香族ジカルボン酸から脱酢酸重縮合反応
によって製造する方法。 (2)p−ヒドロキシ安息香酸および4、4´−ジヒド
ロキシビフェニル、ハイドロキノンなどの芳香族ジヒド
ロキシ化合物、テレフタル酸などの芳香族ジカルボン酸
に無水酢酸を反応させて、フェノール性水酸基をアシル
化した後、脱酢酸重縮合反応によって製造する方法。 (3)ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル
のポリマ、オリゴマまたはビス(β−ヒドロキシエチ
ル)テレフタレートなどの芳香族ジカルボン酸のビス
(β−ヒドロキシエチル)エステルの存在下で(1)ま
たは(2)の方法により製造する方法。
【0057】これらの重縮合反応は、無触媒でも進行す
るが、酢酸第一錫、テトラブチルチタネート、酢酸カリ
ウムおよび酢酸ナトリウム、三酸化アンチモン、金属マ
グネシウムなどの金属化合物を添加した方が好ましい場
合もある。
【0058】本発明に用いられるポリエステル(A)、
スチレン系ポリマー(B)、主鎖にメソゲン基を有する
共重合ポリエステル(C)には必要に応じて、難燃剤、
熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、顔
料、染料、脂肪酸エステル、ワックス等の有機滑剤、あ
るいは消泡剤を配合することができる。また、易滑性や
耐摩耗性、耐スクラッチ性を付与するためにクレー、マ
イカ、酸化チタン、炭酸カルシウム、カリオン、タル
ク、湿式または乾式シリカ、コロイド状シリカ、リン酸
カルシウム、硫酸バリウム、アルミナ、ジルコニア等の
無機粒子、アクリル酸類、スチレン等を構成成分とする
有機粒子等を配合したり、ポリエステル重合反応時に添
加する触媒等によって析出する、いわゆる内部粒子を含
有せしめたり、界面活性剤を配合したりすることができ
る。
【0059】本発明のポリエステルフィルムは、特に限
定されないが、固有粘度が0.6dl/g以上、好まし
くは0.8dl/g以上、さらに好ましくは1dl/g
以上、最も好ましくは固有粘度1.2dl/g以上のポ
リエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナ
フタレンジカルボキシレートが好ましい。かかる固有粘
度の高いポリエステルを得る手段としては、ポリエステ
ルチップを固相重合する方法が最も好ましく用いられ
る。機械強度の観点から、ポリエステルフィルムの固有
粘度は0.6dl/g以上が好ましい。
【0060】また、上述した共重合ポリエステル(C)
の添加量は、特に限定されないが、全ポリマー重量の
0.01〜10重量%、より好ましくは0.2〜8重量
%、特に好ましくは0.5〜5重量%である。濾圧低減
効果の観点から、共重合ポリエステル(C)の添加量は
0.01重量%以上が好ましく、また共重合ポリエステ
ル(C)の分散径、表面特性、機械特性の観点からは、
添加量が10重量%以下が好ましい。
【0061】また、本発明のポリエステルフィルムは、
特に限定されないが、縦方向、横方向の少なくとも一方
向の引張弾性率が8GPa以上であることが好ましく、
より好ましくは9GPa以上、さらに好ましくは、10
GPa以上である。引張弾性率は、例えば、長時間記録
用磁気テープに使用した場合において、走行時に磁気ヘ
ッドやガイドピンから受ける張力のために発生する磁気
テープの伸びの抑制や、電磁変換特性の観点から、8G
Pa以上であることが好ましい。
【0062】特に、ポリエステル(A)が主にポリエチ
レン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートであるポ
リエステルフィルムの場合は、特に限定されないが、縦
方向、横方向の少なくとも一方向の引張弾性率が11G
Pa以上であることが好ましく、より好ましくは13G
Pa以上、さらに好ましくは、15GPa以上である。
引張弾性率は、データ保存用テープに使用する観点から
は、11GPa以上であることが好ましい。
【0063】また、本発明のポリエステルフィルムは、
特に限定されないが、表面粗大突起数(H3)が10個
/100cm2 以下、好ましくは7個/100cm2
下、特に好ましくは4個/100cm2 以下である。磁
気記録用フィルムの用途の特性の観点から、表面粗大突
起数(H3)が10個/100cm2 以下であることが
好ましい。さらに異物の精度の高い評価法として最大突
起高さの目安として2枚のフィルムを密着させ、異物に
よるフィルム間隔を測定するBASFが開発したニュー
トンリング光干渉を利用したBPM(BASFProt
rusionMethod)を用いて0.54μmのn
次の高さの個数を検出する。5次以上、好ましくは3次
以上の干渉がないことが好ましい。
【0064】また、本発明のポリエステルフィルム中の
オリゴマー量は、特に限定されないが、0.5重量%以
下、好ましくは0.4重量%以下、さらに好ましくは
0.3重量%以下であることが好ましい。オリゴマー量
は、例えば、電絶用フィルムとして用いた場合、長期間
使用しているうちに、モーター部にオリゴマーが蓄積し
て、使用不可となるなどの問題発生を抑制する観点か
ら、0.5重量%以下であることが好ましい。
【0065】また、本発明のポリエステルフィルムの長
期耐熱性は、特に限定されないが、長手方向、幅方向と
もに、80時間以上が好ましく、さらに好ましくは10
0時間以上である。電気絶縁用の観点からは、長期耐熱
性は80時間以上が好ましい。
【0066】また、本発明のポリエステルフィルムは単
膜でもよいが、これに他のポリマー層、例えば、ポリエ
ステル、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリ塩化ビニリ
デン、アクリル系ポリマーなどを積層してもよい。
【0067】特に、ポリエステル層を表層に薄く積層す
る場合、積層部の厚み(M)は、該積層部に含有されて
いる粒子の平均径(N)よりも薄くする(M<N)、好
ましくは、Nの1/1000〜1/2、さらに好ましく
は、1/100〜1/10とすることにより、走行性、
易滑性、平滑性に優れたフィルムとすることができ、特
に表面特性を重視する磁気記録用のベースフィルムとし
ては好ましい。
【0068】特に、ポリエステルからなる3層以上の積
層フィルムは、2つの表層部の表面の平滑性を個別に制
御できるので、磁材用フィルムとして品質向上を図る上
で有効である。また、3層以上の積層フィルムにおいて
中央層に回収原料などを混合させておくと、生産性向上
を図ることもできる。このような粒子としては、酸化珪
素、酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、酸化チタン、
酸化アルミニウム、架橋ポリエステル、架橋ポリスチレ
ン、マイカ、タルク、カオリン等が挙げられるが、これ
らに限定されることはない。
【0069】本発明のポリエステルフィルムは、特に限
定されないが、一軸または二軸に配向されたフィルムで
あることが、機械強度、電気特性に対する効果の点か
ら、好ましい。このようなポリエステルフィルムは、特
に限定されないが、通常、厚さが1000μm以下の膜
状物であり、好ましくは、3〜500μm、さらに好ま
しくは4〜200μmの範囲である。
【0070】以上に述べた本発明のポリエステルフィル
ムにおいて、特に有効なのは、磁気記録媒体用、電気絶
縁用であるが、その他にも、コンデンサ用、包装用、製
図用、リボン用等に用いることもできる。
【0071】次に、本発明のポリエステルフィルムの製
造方法の好ましい実施の形態について、以下に工程毎に
説明するが、必ずしもこれに限定されるものではない。
【0072】ここではポリエステル(A)としてポリエ
チレンテレフタレートを用いた例を示すが、使用するポ
リエステルにより製造条件はもちろん異なる。 (1)(重合工程) 常法に従って、テレフタル酸とエチレングリコールから
エステル化し、または、テレフタル酸ジメチルとエチレ
ングリコールをエステル交換により、ビス−β−ヒドロ
キシエチルテレフタレート(BHT)を得る。
【0073】次に、このBHTを重合槽に移行しなが
ら、真空下で280℃に加熱して重合反応を進める。こ
こで、固有粘度が0.5程度のポリエステルを得る。こ
のとき、所定量のスチレン系ポリマー(B)を添加して
おいてもよい。得られたポリエステルをペレット状で減
圧下において固相重合する。固相重合する場合は、あら
かじめ180℃以下の温度で予備結晶化させた後、19
0〜250℃で1mmHg程度の減圧下、10〜50時
間固相重合させる。 (2)(調合工程) 次に、該高固有粘度のポリエチレンテレフタレート
(A)とスチレン系ポリマー(B)を混合する。混合比
は上述したように、ポリエチレンテレフタレート/スチ
レン系ポリマー=99.5/0.5〜90/10重量%
である。
【0074】スチレン系ポリマー(B)をポリエチレン
テレフタレートに添加する時期は、先に述べたように、
ポリエチレンテレフタレートの重合前、例えば、エステ
ル化反応前に添加してもよいし、重合後で押出機による
溶融押出前に添加してもよい。また、溶融押出し前に、
ポリエチレンテレフタレートとスチレン系ポリマー
(B)をペレタイズしてもよい。すなわち、少なくとも
ポリエチレンテレフタレートをフィルターで濾過する前
までに添加すればよい。 (3)(押出工程) 次に、該高固有粘度のポリエチレンテレフタレートとス
チレン系ポリマー(B)をブレンドした原料や、これら
をいったん溶融させて均一混合させた原料を、180℃
で3時間以上真空乾燥した後、固有粘度が低下しないよ
うに窒素気流下、あるいは真空下で280℃に加熱され
た押出機に供給する。
【0075】ここで、本発明のポリエチレンテレフタレ
ートの製造方法は、押出機にてポリマーを溶融押出した
後、フィルター濾過して製膜するポリエチレンテレフタ
レートの製造方法において、溶融押出前にポリエチレン
テレフタレートにスチレン系ポリマー(B)を0.05
から10重量%の範囲内で添加することにより製膜する
ことを特徴とするものである。
【0076】さらに詳しくは、押出機にてポリマーを溶
融押出した後、フィルター濾過して製膜するポリエチレ
ンテレフタレートフィルムの製造方法において、特に限
定されないが、溶融押出前にポリエチレンテレフタレー
トにスチレン系ポリマー(B)を添加することにより、
ポリエチレンテレフタレート単独でフィルター濾過する
場合と比較して、フィルター濾圧が5%以上低下する。
フィルター濾圧が、好ましくは10%以上、さらには、
20%以上低下することが好ましい。溶融押出時の固有
粘度低下抑制、オリゴマー抑制、表面特性の観点から、
フィルター濾圧の低下が5%以上であることが好まし
い。
【0077】あるいは、押出機にてポリマーを溶融押出
しした後、フィルター濾過して製膜するポリエチレンテ
レフタレートフィルムの製造方法において、特に限定さ
れないが、溶融押出前にポリエチレンテレフタレートに
スチレン系ポリマー(B)と主鎖にメソゲン基を有する
共重合ポリエステル(C)を添加することにより、ポリ
エチレンテレフタレート単独でフィルター濾過する場合
と比較して、フィルター濾圧を5%以上低下させること
ができる。このような方法により、場合によってはフィ
ルター濾圧を、好ましくは10%以上、さらには、20
%以上低下させることができる。
【0078】もちろん、このとき、押出機での剪断速度
は20秒-1以上、好ましくは50秒 -1以上と高い方がス
チレン系ポリマー(B)が押出機内でよく分散し、本発
明の効果が大きくなり好ましいが、剪断速度を300秒
-1以上に大きくすると、剪断発熱によってポリマーが熱
分解するので好ましくない。また、異物を除去するため
にフィルター、例えば焼結金属、多孔性セラミックス、
サンド、金網などを用いることが好ましい。 (4)(キャスト工程) Tダイによりシート状に押出時のドラフト比は好ましく
は10〜200、より好ましくは15〜100である。 (5)(延伸・熱処理工程) その後、シート状のキャストフィルムを80〜150℃
の加熱ロール群で加熱し、縦方向に2〜7倍に1段もし
くは2段以上の多段で延伸し、20〜50℃の冷却ロー
ル群で冷却する。
【0079】続いて、テンターに導いて、該フィルムの
両端をクリップで把持しながら、80〜150℃に加熱
された熱風雰囲気中で加熱し、横方向に2〜6倍延伸す
る。続いて、該フィルムに150〜250℃の温度で熱
固定を施す。熱固定は緊張下で行ってもよく、また熱寸
法安定性をさらに向上させるために、幅方向に弛緩する
ことも好ましく行われる。また、必要に応じ、熱固定を
行う前に、再縦延伸および/または再横延伸を行うこと
もできる。
【0080】
【実施例】本発明を実施例、比較例に基づいて説明す
る。
【0081】ここで、物性の測定方法と効果の評価方法
については、以下に述べる方法を用いた。また、以下に
述べる実施例、比較例で述べる種々のポリエステル
(A)については、表1、表4に記載のポリエステル
(A)を用いた。
【0082】
【物性の測定方法および効果の評価方法】(1)固有粘
度 25℃で、オルトクロロフェノール中、0.1g/ml
濃度で、25℃で測定した値である。単位はdl/gで
表す。 (2)溶融粘度 融点(Tm)+15℃の条件で、ずり速度1000(1
/秒)の条件下でノズル径0.5mmφ、ノズル長さ1
0mmのノズルを用い、高下式フローテスターによって
測定した値である。単位はPa・秒で表す。
【0083】また、融点(Tm)とは、示差走査熱量測
定において、重合を完了したポリマーを室温から40℃
/分の昇温条件で測定した際に観測される吸熱ピーク温
度(Tm1)観測後、Tm1+20℃の温度で5分間保
持した後、20℃/分の降温条件で室温までいったん冷
却した後、再度20℃/分の昇温条件で測定した際に観
測される吸熱ピーク温度(Tm2)のピークを指す。 (3)弾性率 テンシロン型引張試験(オリエンテック社製)に幅10
mm、チャック間長さ100mmになるようにサンプル
をセットし、23℃、65%RHの雰囲気下で引張速度
200mm/分で引張試験を行い求めた。 (4)表面粗大突起数(H3) 測定面(100cm2 )同士を2枚重ね合わせて静電気
力(印加電圧5.4kV)で密着させた後、2枚のフィ
ルム間で粗大突起部分の光の干渉によって生じるニュー
トン環から粗大突起の高さを判定し、3重環以上の粗大
突起数H3とした。なお、光源はハロゲンランプに56
4nmのバンドパスフィルターをかけて用いた。 (5)オリゴマー量(環状3量体) ポリマー100mgをo−クロロフェノール1mlに溶
解し、液体クロマトグラフィー(モデル8500VAR
IAN社製)で測定した。ポリマーに対する重量%で表
した。 (6)フィルター濾圧およびフィルター濾圧の低減度 この評価目的のために使用した実験装置を図1に示す。
【0084】図に示すとおり実験装置は、押出機1の下
流にギアポンプ3、フィルター4、押出口金8がこの順
に短管5で接続されて構成されている。また、フイルタ
ー4の前後には、圧力検知端6、7が装着され、それぞ
れの位置の濾圧を測定できるようになっている。
【0085】また、9は、押出口金8からの溶融シート
を製膜するキャスティングドラムである。
【0086】このような実験装置において、本実施例で
はギアポンプ3として川崎重工製、1.6cc/回転の
ものを、フィルター4として日本精線(株)製のリーフ
ディスクフィルター(NF−14D:65mm径)、8
0μmカット焼結フィルター1枚)および圧力計を備え
たものを用いるとともに、押出機1として東芝製30m
m小型押出機(L/D=22)を用い、下記条件でフィ
ルター前後の圧力(PA)および圧力(PB)を測定し
た。
【0087】 [押出条件] スクリュー回転速度 :52rpm スクリュー計量部剪断速度:109(1/秒) ポリマーの吐出量 :3.6kg/時間 押出機設定温度 :供給部 265℃ 圧縮部 280℃ 計量部 280℃ ギアポンプ部 280℃ フィルター部 280℃ ギアポンプ吐出量 :1.6kg/時間 フィルター濾圧の低減度Rについては、下式で算出し
た。
【0088】R=[(P0 −P1 )/P0 ]×100 P0 :スチレン系ポリマー(B)、主鎖にメソゲン基を
有する共重合ポリエステル(C)を添加しない場合の濾
圧(フィルター上流部圧力−フィルター下流部の圧力) P1 :スチレン系ポリマー(B)、主鎖にメソゲン基を
有する共重合ポリエステル(C)を添加しない場合の濾
圧(フィルター上流部圧力−フィルター下流部の圧力) (7)ポリスチレンの分子量 カラムとしてポリスチレンゲル、溶媒としてテトロヒド
ロフランを用い、ゲルパークロマトグラフィー(GP
C)により測定した。なお、分子量の校正は市販の単分
散のポリスチレンを用いて行った。 (8)長期耐熱性(破断伸度の半減時間) 長期耐熱性測定前のフィルムを長手方向あるいは幅方向
に切り出し、テンシロン型引張試験機にて破断伸度を求
める。該フィルムを加熱オーブンにて、190℃の雰囲
気下で熱処理し、破断伸度が初期破断伸度の1/2に減
少するのに要する時間を求める。
【0089】実施例1(表1、2) ポリスチレン(平均分子量 3,000)を2重量%含
有した固有粘度1.4(dl/g)のポリエチレンテレ
フタレート(以下「PET」とする)チップ(チップオ
リゴマー量 0.3重量%)を、180℃で10時間減
圧乾燥(3Torr)した後、押出機1に供給し、脱気
しながら280℃で溶融した。ポリマー等の詳細は、表
1のとおりである。
【0090】このポリマーを30μm以上の異物等を9
5%の確率で除去する濾過精度を有する高精度フィルタ
ー4を用いて濾過した後、ドラフト比10で、Tダイ口
金8から溶融シートを押出し、静電印加キャスト法を用
いて表面温度25℃のキャスティングドラム9に巻き付
けて冷却固化し、未延伸フィルム(固有粘度 1.21
dl/g)を作った。このとき、フィルター濾圧の低減
度は28%であった。押出機の吐出量を調節し、総厚さ
を調節した。
【0091】この未延伸フィルムを温度110℃にて、
長手方向に4.2倍延伸した。この延伸は2組ずつのロ
ールの周速差で、4段階で行った。この一軸延伸フィル
ムをテンターを用いて115℃で幅方向に4倍延伸し
た。このフィルムを定長下で210℃にて7秒間熱処理
し、厚さ12μmの二軸配向PETフィルムをワインダ
ーにて巻き取った。
【0092】この二軸配向PETフィルムの特性は、表
2に示したとおり、高弾性率で、表面粗大突起数が少な
く、低オリゴマーのため、磁気記録媒体用などの各種用
途のフィルムとして優れた特性を有していた。
【0093】実施例2(表1、2) ポリエステル(A)として、固有粘度1.0(dl/
g)のPETを、180℃で10時間減圧乾燥(3To
rr)した後のチップ(チップオリゴマー量 0.29
重量%)と、減圧乾燥したスチレン系ポリマー(B)
(平均分子量15,000)を押出機1に供給し、脱気
しながら285℃で溶融した。ポリマー等の詳細は、表
1のとおりである。
【0094】このポリマーを30μm以上の異物等を9
5%の確率で除去する濾過精度を有する高精度フィルタ
ー4を用いて濾過した後、ドラフト比10で、Tダイ口
金8から溶融シートを押出し、静電印加キャスト法を用
いて表面温度25℃のキャスティング・ドラム9に巻き
付けて冷却固化し、スチレン系ポリマー(B)を0.5
重量%含有した未延伸フィルム(固有粘度 0.9dl
/g)を作った。このとき、フィルター濾圧の低減度は
21%であった。押出機の吐出量を調節し、総厚さを調
節した。
【0095】後は、実施例1と同様にして、厚さ12μ
mの二軸配向PETフィルムを得た。
【0096】この二軸配向PETフィルムの特性は、表
2に示したとおり、高弾性率で、表面粗大突起数が少な
く、低オリゴマーのため、磁気記録媒体用などの各種用
途のフィルムとして優れた特性を有していた。 実施例3(表1、2) スチレン系ポリマー(B)(平均分子量 3,000)
を8重量%含有した、固有粘度0.9(dl/g)のP
ETチップ(チップオリゴマー量0.3重量%)を用い
こと以外は、実施例1と同様にして、厚さ12μmの二
軸配向PETフィルムを得た。ポリマー等の詳細は、表
1のとおりである。
【0097】この二軸配向PETフィルムの特性は、表
2に示したとおり、高弾性率で、表面粗大突起数が少な
く、低オリゴマーのため、磁気記録媒体用などの各種用
途のフィルムとして優れた特性を有していた。
【0098】実施例4(表1、2) スチレン系ポリマー(B)(平均分子量 15,00
0)を5重量%含有した、固有粘度1.2(dl/g)
のポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレー
ト(以下「PEN」と称する)チップ(チップオリゴマ
ー量 0.24重量%)を、180℃で10時間減圧乾
燥(3Torr)した後、押出機1に供給し、脱気しな
がら300℃で溶融した。ポリマー等の詳細は、表1の
とおりである。
【0099】このポリマーを30μm以上の異物等を9
5%の確率で除去する濾過精度を有する高精度フィルタ
ー4を用いて濾過した後、ドラフト比10で、Tダイ口
金8から溶融シートを押出、静電印加キャスト法を用い
て表面温度25℃のキャスティング・ドラム9に巻き付
けて冷却固化し、未延伸フィルム(固有粘度 1.08
dl/g)を作った。このとき、フィルター濾圧の低減
度は30%であった。押出機の吐出量を調節し、総厚さ
を調節した。
【0100】この未延伸フィルムを温度142℃にて、
長手方向に4.6倍延伸した。この延伸は2組ずつのロ
ールの周速差で、4段階で行った。この一軸延伸フィル
ムをテンターを用いて148℃で幅方向に5倍延伸し
た。このフィルムを定長下で220℃にて5秒間熱処理
し、厚さ10μmの二軸配向PENフィルムをワインダ
ーにて巻き取った。
【0101】この二軸配向PENフィルムの特性は、表
2に示したとおり、高弾性率で、表面粗大突起数が少な
く、低オリゴマーのため、磁気記録媒体用などの各種用
途のフィルムとして優れた特性を有していた。
【0102】実施例5(表1、2) 実施例2と同様の方法にて、固有粘度0.9dl/gの
PENチップ(チップオリゴマー量0.28重量%)を
用いて、スチレン系ポリマー(B)を1重量%含有した
未延伸フィルム(固有粘度 0.82dl/g)を作っ
た。このとき、フィルター濾圧の低減度は28%であっ
た。ポリマー等の詳細は、表1のとおりである。
【0103】この未延伸フィルムを実施例4と同様の方
法にて延伸し、厚さ15μmの二軸配向PENフィルム
を得た。
【0104】この二軸配向PENフィルムの特性は、表
2に示したとおり、高弾性率で、表面粗大突起数が少な
く、低オリゴマーのため、磁気記録媒体用などの各種用
途のフィルムとして優れた特性を有していた。
【0105】実施例6(表1、2) 実施例1のPETチップとスチレン系ポリマー(B)
に、さらに、下記の主鎖にメソゲン基を有する共重合ポ
リエステルを2重量%添加すること以外は、実施例1と
同様にして製膜し、厚さ12μmの二軸配向PETフィ
ルムを得た。ポリマー等の詳細は、表1のとおりであ
る。
【0106】主鎖にメソゲン基を有する共重合ポリエス
テル(C)としては、下記原料から重縮合した共重合ポ
リエステル(融点265℃、液晶開始温度240℃、溶
融粘度5Pa・秒)を用いた。 [主鎖にメソゲン基を有する共重合ポリエステル原料1] 共重合モル比 ヒドロキシ安息香酸 72.5 4、4´−ジヒドロキシビフェニル 7.5 エチレングリコール 20.0 テレフタル酸 27.5 この二軸配向PETフィルムの特性は、表2に示したと
おり、高弾性率で、表面粗大突起数が少なく、低オリゴ
マーのため、磁気記録媒体用などの各種用途のフィルム
として優れた特性を有していた。
【0107】実施例7(表1、2) 実施例4のPENチップとスチレン系ポリマー(B)
に、さらに、下記の主鎖にメソゲン基を有する共重合ポ
リエステル(C)を1重量%添加すること以外は、実施
例4と同様にして製膜し、厚さ10μmの二軸配向PE
Nフィルムを得た。ポリマー等の詳細は、表1のとおり
である。
【0108】主鎖にメソゲン基を有する共重合ポリエス
テル(C)としては、下記原料から重縮合した共重合ポ
リエステル(融点205℃、液晶開始温度180℃、溶
融粘度10Pa・秒)を用いた(表1)。 [主鎖にメソゲン基を有する共重合ポリエステル原料1] 共重合モル比 ヒドロキシ安息香酸 42.5 4、4´−ジヒドロキシビフェニル 7.5 エチレングリコール 50.0 テレフタル酸 57.5 この二軸配向PENフィルムの特性は、表2に示したと
おり、高弾性率で、表面粗大突起数が少なく、低オリゴ
マーのため、磁気記録媒体用などの各種用途のフィルム
として優れた特性を有していた。
【0109】
【表1】
【0110】
【表2】
【0111】実施例8(表1、3) ポリスチレン(平均分子量 3,000)を1.5重量
%含有した、固有粘度0.8(dl/g)のPETチッ
プ(チップオリゴマー量 0.32重量%)を、180
℃で10時間減圧乾燥(3Torr)した後、押出機1
に供給し、脱気しながら280℃で溶融した。ポリマー
等の詳細は、表1のとおりである。
【0112】このポリマーを60μm以上の異物等を9
5%の確率で除去する濾過精度を有する高精度フィルタ
ー4を用いて濾過した後、ドラフト比10で、Tダイ口
金8から溶融シートを押出、静電印加キャスト法を用い
て表面温度25℃のキャスティング・ドラム9に巻き付
けて冷却固化し、未延伸フィルム(固有粘度0.72d
l/g)を作った。このとき、フィルター濾圧の低減度
は22%であった。押出機の吐出量を調節し、総厚さを
調節した。
【0113】この未延伸フィルムを温度95℃にて、長
手方向に3.4倍延伸した。この延伸は2組ずつのロー
ルの周速差で、4段階で行った。この一軸延伸フィルム
をテンターを用いて155℃で幅方向に3.4倍延伸し
た。このフィルムを定長下で210℃にて7秒間熱処理
し、厚さ250μmの二軸配向PETフィルムをワイン
ダーにて巻き取った。
【0114】この二軸配向PETフィルムの特性は、表
3に示したとおり、長期耐熱性に優れ、表面粗大突起数
が少なく、低オリゴマーのため、電気絶縁用などの各種
用途のフィルムとして優れた特性を有していた。
【0115】実施例9(表1、3) ポリエステル(A)として、固有粘度1.0(dl/
g)のPETを、180℃で10時間減圧乾燥(3To
rr)した後のチップ(チップオリゴマー量 0.29
重量%)と、減圧乾燥したスチレン系ポリマー(B)
(平均分子量15,000)を押出機1に供給し、脱気
しながら285℃で溶融した。ポリマー等の詳細は、表
1のとおりである。
【0116】このポリマーを60μm以上の異物等を9
5%の確率で除去する濾過精度を有する高精度フィルタ
ー4を用いて濾過した後、ドラフト比10で、Tダイ口
金8から溶融シートを押出、静電印加キャスト法を用い
て表面温度25℃のキャスティング・ドラム9に巻き付
けて冷却固化し、スチレン系ポリマー(B)を0.5重
量%含有した未延伸フィルム(固有粘度 0.9dl/
g)を作った。このとき、フィルター濾圧の低減度は2
1%であった。押出機の吐出量を調節し、総厚さを調節
した。
【0117】この未延伸フィルムを温度95℃にて、長
手方向に3.4倍延伸した。この延伸は2組ずつのロー
ルの周速差で、4段階で行った。この一軸延伸フィルム
をテンターを用いて135℃で幅方向に3.6倍延伸し
た。このフィルムを定長下で215℃にて8秒間熱処理
し、厚さ125μmの二軸配向PETフィルムをワイン
ダーにて巻き取った。
【0118】この二軸配向PETフィルムの特性は、表
3に示したとおり、長期耐熱性に優れ、表面粗大突起数
が少なく、低オリゴマーのため、電気絶縁用などの各種
用途のフィルムとして優れた特性を有していた。
【0119】
【表3】
【0120】比較例1(表4、5) 実施例1において、スチレン系ポリマー(B)を含有し
ていないこと以外は、実施例1と同様にして、二軸配向
PETフィルムを得た。ポリマー等の詳細は、表4のと
おりである。
【0121】このフィルムは、表5に示したとおり、弾
性率が低く、表面粗大突起数が多く、オリゴマー量も多
いため、磁気記録媒体用などの各種フィルムとして使用
するには不適切である。
【0122】比較例2(表4、5) 実施例4において、スチレン系ポリマー(B)を含有し
ていないこと以外は、実施例4と同様にして、二軸配向
PENフィルムを得た。ポリマー等の詳細は、表4のと
おりである。
【0123】このフィルムは、表5に示したとおり、弾
性率が低く、表面粗大突起数が多く、オリゴマー量も多
いため、磁気記録媒体用などの各種フィルムとして使用
するには不適切である。
【0124】比較例3(表4、5) 実施例3において、平均分子量が500のスチレン系ポ
リマー(B)を用いること以外は、実施例3と同様にし
て、二軸配向PETフィルムを得た。ポリマー等の詳細
は、表4のとおりである。
【0125】このフィルムは、表5に示したとおり、弾
性率が低く、表面粗大突起数が多く、オリゴマー量も多
いため、磁気記録媒体用などの各種フィルムとして使用
するには不適切である。
【0126】比較例4(表4、5) 実施例3において、平均分子量150,000のスチレ
ン系ポリマー(B)を用いること以外は、実施例3と同
様にして、二軸配向PETフィルムを得た。ポリマー等
の詳細は、表4のとおりである。
【0127】このフィルムは、表5に示したとおり、弾
性率が低く、表面粗大突起数が多く、オリゴマー量も多
いため、磁気記録媒体用などの各種フィルムとして使用
するには不適切である。
【0128】比較例5(表4、5) 実施例5において、平均分子量が500のスチレン系ポ
リマー(B)を用いること以外は、実施例5と同様に
て、二軸配向PENフィルムを得た。フィルム製膜時、
スチレン系ポリマー(B)のブリードアウトが激しかっ
た。ポリマー等の詳細は、表4のとおりである。
【0129】このフィルムは、表5に示したとおり、弾
性率が低く、表面粗大突起数が多く、オリゴマー量も多
いため、磁気記録媒体用などの各種フィルムとして使用
するには不適切である。
【0130】比較例6(表4、5) 実施例5において、平均分子量が200,000のスチ
レン系ポリマー(B)を用いること以外は、実施例5と
同様にして、二軸配向PENフィルムを得た。ポリマー
等の詳細は、表4のとおりである。
【0131】このフィルムは、表5に示したとおり、濾
圧低減効果が小さく、弾性率が低く、表面粗大突起数が
多く、オリゴマー量も多いため、磁気記録媒体用フィル
ムなどの各種フィルムとして使用するには不適切であ
る。
【0132】
【表4】
【0133】
【表5】
【0134】比較例7(表4、6) 実施例8において、スチレン系ポリマー(B)を含有し
ていないこと以外は、実施例8と同様にして、二軸配向
PETフィルムを得た。ポリマー等の詳細は、表4のと
おりである。
【0135】このフィルムは、表6に示したとおり、オ
リゴマー量が多く、長期耐熱性が悪化し、電気絶縁用フ
ィルムとして使用するには不適切である。
【0136】比較例8(表4、6) 実施例9において、スチレン系ポリマー(B)を含有し
ていないこと以外は、実施例9と同様にして、二軸配向
PETフィルムを得た。ポリマー等の詳細は、表4のと
おりである。
【0137】このフィルムは、表6に示したとおり、オ
リゴマー量が多く、長期耐熱性が悪化し、電気絶縁用フ
ィルムとして使用するには不適切である。
【0138】
【表6】
【0139】
【発明の効果】本発明のポリエステルフィルムは、ポリ
エステル(A)とスチレン系ポリマー(B)からなり、
スチレン系ポリマー(B)の平均分子量が1,000か
ら20,000の範囲内で含有されているので、該ポリ
エステルフィルムの弾性率が高まると共に、フィルムの
表面欠点やオリゴマー量も低いという優れた効果を有す
る。
【0140】また、本発明のポリエステルフィルムの製
造方法は、押出機にてポリマーを溶融押出した後、フィ
ルターで濾過し、口金からシート状に押し出して製膜す
るポリエステルフィルムの製造方法において、ポリエス
テル(A)をフィルターで濾過する前までに、スチレン
系ポリマー(B)を0.05から10重量%の範囲内で
添加して製膜するので、溶融押出し時のポリマーの溶融
粘度が低下し、何ら既存の装置を改造することなく、濾
圧、剪断発熱、押出トルク等を大幅に低下できる製造方
法が得られる。すなわち、この製造方法により上記高品
質のポリエステルフィルムが容易に製造できるので、本
発明は磁気記録用、電気絶縁用など各種フィルム用途に
広く活用が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のフィルター濾圧およびフィルター濾圧
の低減度評価のために用いた押出実験装置の一例を示し
た概略図である。
【符号の説明】
1:押出機 2:短管 3:ギアポンプ 4:フィルター 5:ブリード口 6:フィルター上流部圧力計 7:フィルター下流部圧力計 8:押出口金 9:キャスティングドラム
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI G11B 5/84 G11B 5/84 Z //(C08L 67/02 25:04) B29K 67:00 B29L 7:00

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ポリエステル(A)と、スチレン系ポリマ
    ー(B)とからなるポリエステルフィルムであって、ス
    チレン系ポリマー(B)の平均分子量が1,000から
    20,000の範囲内で含有されていることを特徴とす
    るポリエステルフィルム。
  2. 【請求項2】スチレン系ポリマー(B)が、0.05か
    ら10重量%の範囲内で含有されていることを特徴とす
    る請求項1に記載のポリエステルフィルム。
  3. 【請求項3】主鎖にメソゲン基を有する共重合ポリエス
    テル(C)をポリエステルフィルム中に0.1〜20重
    量%の範囲内で含有することを特徴とする請求項1また
    は請求項2に記載のポリエステルフィルム。
  4. 【請求項4】ポリエステルフィルムの固有粘度が0.6
    dl/g以上であることを特徴とする請求項1から請求
    項3のいずれかに記載のポリエステルフィルム。
  5. 【請求項5】前記ポリエステル(A)が、ポリエチレン
    テレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジ
    カルボキシレートおよびそれらの変性体よりなる群から
    選ばれた少なくとも一種であることを特徴とする請求項
    1から請求項4のいずれかに記載のポリエステルフィル
    ム。
  6. 【請求項6】ポリエステルフィルム中に含まれるオリゴ
    マー量が、0.5重量%以下であることを特徴とする請
    求項1から請求項5のいずれかに記載のポリエステルフ
    ィルム。
  7. 【請求項7】ポリエステルフィルム表面の粗大突起数
    が、10個/100cm2 以下であることを特徴とする
    請求項1から請求項6のいずれかに記載のポリエステル
    フィルム。
  8. 【請求項8】ポリエステルフィルムが一軸または二軸に
    配向されたフィルムであることを特徴とする請求項1か
    ら請求項7のいずれかに記載のポリエステルフィルム。
  9. 【請求項9】磁気記録用途または電気絶縁用途に用いら
    れる請求項1から請求項8のいずれかに記載のポリエス
    テルフィルム。
  10. 【請求項10】押出機にてポリマーを溶融押出しした
    後、フィルターで濾過し、口金からシート状に押し出し
    て製膜するポリエステルフィルムの製造方法において、
    該ポリマーとして、ポリエステル(A)を押出機にて溶
    融押し出しするとともに、該ポリエステル(A)をフィ
    ルターで濾過する前までに、該ポリエステル(A)にス
    チレン系ポリマー(B)を0.05から10重量%の範
    囲内で添加して製膜することを特徴とするポリエステル
    フィルムの製造方法。
  11. 【請求項11】請求項10のポリエステルフィルムの製
    造方法において、スチレン系ポリマー(B)を添加せず
    にポリエステル(A)単独でフィルター濾過して製膜す
    る場合と比較して、フィルター濾圧を5%以上低下させ
    て製膜することを特徴とするポリエステルフィルムの製
    造方法。
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