JPH10204266A - ポリエステルフィルム - Google Patents

ポリエステルフィルム

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JPH10204266A
JPH10204266A JP1378497A JP1378497A JPH10204266A JP H10204266 A JPH10204266 A JP H10204266A JP 1378497 A JP1378497 A JP 1378497A JP 1378497 A JP1378497 A JP 1378497A JP H10204266 A JPH10204266 A JP H10204266A
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JP
Japan
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polyester
film
copolymerized
liquid crystalline
polyester film
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JP1378497A
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English (en)
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Masaaki Kotoura
正晃 琴浦
Kenji Tsunashima
研二 綱島
Tetsuya Tsunekawa
哲也 恒川
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Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【解決手段】非液晶性ポリエステル(A)と主鎖にメソ
ゲン基を含有する共重合ポリエステル(B)からなるフ
ィルムであって、カール回復性が15%以上であること
を特徴とするポリエステルフィルム。 【効果】カール回復性と機械強度、寸法安定性に優れた
ポリエステルフィルムを得ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリエステルフィ
ルムに関するものである。特に詳しくは、ロール状写真
フィルム用、X線用、製版用、写真感光材料等の写真材
料や、印画紙として好適なポリエステルフィルムに関す
る。
【0002】
【従来の技術】一般に写真感光材料としては、X線用フ
ィルム、製版用フィルム、カットフィルムのようなシー
ト状の形態のものと、35mm幅またはそれ以下の幅で
パトローネ内に収められ、一般のカメラに装填され撮影
に用いられるロール状の形態のものとがある。写真感光
材料はプラスチックフィルム支持体上に少なくとも1層
の写真感光層を塗布することによって製造される。この
プラスチックフィルムとしては一般的にトリアセチルセ
ルロース(以下「TAC」という)に代表される繊維系
ポリマーとポリエチレンテレフタレートに代表されるポ
リエステル系のポリマーが使用されている(繊維と工
業,41(9),324−329)。
【0003】ポリエチレンテレフタレートフィルムは優
れた機械強度ならびに寸法安定性を有しているが、ロー
ル状写真感光材料支持体としては、巻癖カールが強く残
留し、現像後の写真印画紙への画像形成させる焼き付け
工程等でのスリ傷の発生、焦点ボケ、搬送時のジャミン
グ等の問題が生じてしまうため、ロール状写真感光材料
支持体としては用いられず、カール回復性に優れている
TACフィルムが主に用いられてきた。TACフィルム
のこの優れたカール回復性はその分子構造からくるもの
である。即ち、TACフィルムはプラスチックフィルム
としては、比較的吸水性が高いため、現像工程における
吸水で分子鎖を流動させることができる。このため、ロ
ールフィルムとして巻かれた状態で経時保存された結果
生じた巻癖カールを、固定化された分子鎖に再配列を生
じさせることにより、回復することができるのである。
【0004】しかし、TACフィルムはその剛直な分子
構造のため、製膜後のフィルムの膜質が脆弱であり、こ
のため、これらの用途の使用に対しては充分な機械強
度、寸法安定性が得られていないのが現状である。
【0005】このカール回復性と機械強度、寸法安定性
を両立させる手段としては、特開平4−93937号公
報や特開平4−220329号公報等に提案されてい
る。しかし、特開平4−93937号公報では、含水率
の異なるポリエステル樹脂を積層したフィルムにより解
決を図っているが、同実施例−1に示される引き裂き強
度は160(g/100μm)であり、同比較例−2に
示されているPETフィルムの引き裂き強度である21
0(g/100μm)の約4分の3にしか満たない。一
方、特開平4−220329号公報では、金属スルホネ
ート基を有する芳香族ジカルボン酸及び/又はその誘導
体と特定のポリエーテルジカルボン酸及び/又はその誘
導体とを含むことを特徴とするポリエステルフィルムに
より解決を図っており、TACフィルムとほぼ同等のカ
ール回復性およびポリエチレンテレフタレートフィルム
とほぼ同等の熱収縮率、引裂伝播抵抗を示すものの、弾
性率がポリエチレンテレフタレートに比較し低い値を示
している。このように、ポリエステル系フィルムにおい
ては、カール回復性と機械特性を両立させることは困難
であった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、上述
した従来技術の現状と問題点を打破するために、カール
回復性および、機械強度、寸法安定性に優れたポリエス
テルフィルムを得ることである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するため、非液晶性ポリエステル(A)に、主鎖
にメソゲン基を含有する共重合ポリエステル(B)を添
加し、フィルムのカール回復性、機械強度、寸法安定性
等と添加する共重合ポリエステル(B)の組成、添加量
との関係について鋭意検討した。その結果、特定の共重
合ポリエステル(B)を添加すると、非液晶性ポリエス
テル中で分散化し、カール回復性が良好で、かつ優れた
機械強度、寸法安定性を有することを見出し、本発明を
完成させるに至った。すなわち、本発明のポリエステル
フィルムは、非液晶性ポリエステル(A)と主鎖にメソ
ゲン基を含有する共重合ポリエステル(B)からなるフ
ィルムであって、カール回復性が15%以上であること
を骨子とするものである。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明のポリエステルフィルムを
構成する非液晶性ポリエステル(A)の代表的なものと
しては、芳香族ジカルボン酸、脂環族ジカルボン酸また
は脂肪族ジカルボン酸とジオールを主たる構成成分とす
るポリエステルである。芳香族ジカルボン酸成分として
は例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、
1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレン
ジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,
4’−ジフェニルジカルボン酸、4,4’−ジフェニル
エーテルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルスルホン
ジカルボン酸等を用いることができ、なかでも好ましく
は、テレフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカ
ルボン酸を用いることができる。脂環族ジカルボン酸成
分としては例えば、シクロヘキサンジカルボン酸等を用
いることができる。脂肪族ジカルボン酸成分としては例
えば、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカン
ジオン酸等を用いることができる。これらの酸成分は1
種のみ用いてもよく、2種以上併用してもよく、さらに
は、ヒドロキシエトキシ安息香酸等のオキシ酸等を一部
共重合してもよい。また、ジオール成分としては例え
ば、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、
1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、
1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、
1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオー
ル、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シ
クロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジ
メタノール、ジエチレングリコール、トリエチレングリ
コール、ポリアルキレングリコール、2,2’−ビス
(4’−β−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン等
を用いることができ、なかでも好ましくは、エチレング
リコール、1,4−ブタンジオール、1,4−シクロヘ
キサンジメタノール、ジエチレングリコール等を用いる
ことができ、特に好ましくは、エチレングリコール等を
用いることができる。これらのジオール成分は1種のみ
用いてもよく、2種以上併用してもよい。また、ポリエ
ステルにはトリメリット酸、ピロメリット酸、グリセロ
ール、ペンタエリスリトール、2,4−ジオキシ安息香
酸、ラウリルアルコール、イソシアン酸フェニル等の単
官能化合物等の他の化合物を、ポリマーが実質的に線状
である範囲内で共重合されていてもよい。
【0009】このうち、ポリアルキレングリコールやポ
リエーテルジカルボン酸の平均分子量としては、好まし
くは400〜40000であり、さらに好ましくは60
0〜20000、より好ましくは1000〜10000
である。もちろん、複数の芳香族二塩基酸と複数のグリ
コールからなる共重合体であってもよい。機械強度、寸
法安定性、耐熱性等の点から、特に限定されないが、エ
チレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートを主た
る繰り返し単位としたポリエステルが好ましい。
【0010】本発明に用いられる非液晶性ポリエステル
(A)には必要に応じて、難燃剤、熱安定剤、酸化防止
剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、顔料、染料、脂肪酸エ
ステル、ワックス等の有機滑剤、あるいはポリシロキサ
ン等の消泡剤を配合することができる。また、易滑性や
耐摩耗性、耐スクラッチ性を付与するためにクレー、マ
イカ、酸化チタン、炭酸カルシウム、カリオン、タル
ク、湿式または乾式シリカ、コロイド状シリカ、リン酸
カルシウム、硫酸バリウム、アルミナ、ジルコニア等の
無機粒子、アクリル酸類、スチレン等を構成成分とする
有機粒子等を配合したり、ポリエステル重合反応時に添
加する触媒等によって析出する、いわゆる内部粒子を含
有せしめたり、界面活性剤を配合したりすることができ
る。
【0011】これら易滑性付与手段は特に限定されない
が、写真用としては透明性が重要な要件となるため、ポ
リエステルと比較的近い屈折率をもつ炭酸カルシウム、
シリカ、架橋ポリスチレン系粒子あるいは内部粒子で粗
大粒子のないものが好ましい。粗大粒子とは、5μm以
上の径をもつものである。
【0012】本発明で用いる主鎖にメソゲン基(液晶性
の構造単位)を含有する共重合ポリエステル(B)は、
溶融成形性のポリマーであり、液晶性ポリエステルであ
っても非液晶性ポリエステルであってもよい。具体的に
は、芳香族オキシカルボニル単位、芳香族ジオキシ単
位、芳香族ジカルボニル単位、アルキレンジオキシ単位
などから選ばれた構造単位からなる共重合ポリエステル
などである。
【0013】本発明で用いる好ましい共重合ポリエステ
ル(B)の例としては、下記(I)、(II)、(III )
および(IV)の構造単位からなる共重合ポリエステル、
(I)、(III )および(IV)の構造単位からなる共重
合ポリエステル、(I)、(II)および(IV)の構造単
位からなる共重合ポリエステルから選ばれた一種以上で
あるものが挙げられる。
【0014】
【化4】 (但し式中のR1 は、
【化5】 を示し、R2
【化6】 から選ばれた一種以上の基を示し、R3 は、
【化7】 から選ばれた一種以上の基を示す。また、式中Xは水素
原子または塩素原子を示し、構造単位[(II)+(III
)]と構造単位(IV)は実質的に等モルである。上記
構造単位(I)はp−ヒドロキシ安息香酸および/また
は6−ヒドロキシ−−2−ナフトエ酸から生成したポリ
エステルの構造単位を、構造単位(II)は、4、4’−
ジヒドロキシビフェニル、3、3’、5、5’−テトラ
メチル−4、4’−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロ
キノン、t−ブチルハイドロキノン、フェニルハイドロ
キノン、2、6−ジヒドキシナフタレン、2、7−ジヒ
ドキシナフタレン、2、2’−ビス(4−ヒドロキシフ
ェニル)プロパンおよび4、4’−ジヒドロキシジフェ
ニルエーテルから選ばれた芳香族ジヒドロキシ化合物か
ら生成した構造単位を、構造単位(III )はエチレング
リコールから生成した構造単位を、構造単位(IV)は、
テレフタル酸、イソフタル酸、4、4’−ジフェニルジ
カルボン酸、2、6−ナフタレンジカルボン酸、1、2
−ビス(フェノキシ)エタン−4、4’−ジカルボン
酸、1、2−ビス(2−クロルフェノキシ)エタン−
4、4’−ジカルボン酸および4、4’−ジフェニルエ
ーテルジカルボン酸から選ばれた芳香族ジカルボン酸か
ら生成した構造単位を各々示す。
【0015】また、上記構造単位(I)、(II)および
(IV)からなる共重合ポリエステルの場合は、R1
【化8】 であり、R2
【化9】 から選ばれた一種以上であり、R3
【化10】 から選ばれた一種以上であるものが好ましい。
【0016】また、上記構造単位(I)、(III )およ
び(IV)からなる共重合ポリエステルの場合は、R1
【化11】 であり、R3
【化12】 であるものが特に好ましい。
【0017】また、上記構造単位(I)、(II)、(II
I )および(IV)からなる共重合ポリエステルの場合
は、R1
【化13】 であり、R2
【化14】 であり、R3
【化15】 であるものが特に好ましい。
【0018】本発明では、共重合量を、ポリマーを形成
し得る繰返し構造単位のモル比から計算し、モル%で表
す。上記好ましい共重合ポリエステルの場合には、構造
単位(I)、構造単位(II)+(IV)、構造単位(III
)+(IV)がポリマーを形成し得る繰返し構造単位で
あり、これらの共重合モル比から共重合量が計算でき
る。構造単位(I)、(II)+(IV)、(III )+(I
V)の共重合モル比は任意であるが、メソゲン基の共重
合量は、5〜75モル%であると非液晶性ポリエステル
中で分散し、カール回復性が良好となる。メソゲン基で
ある構造単位(I)、(II)+(IV)の共重合量が5モ
ル%より低くなると、ポリマーの流動性改良による押出
工程での剪断発熱抑制効果が得られにくく、異物が多く
なり、表面粗さが大きくなる。また75モル%よりも高
くなると分散性が低下し、カール回復性、透明性が悪化
するため、写真用フィルムを得ることが難しくなる。メ
ソゲン基の共重合量が低くなると、異方性溶融相の形成
能すなわち液晶性は弱まるが、非液晶性ポリエステル
(A)との相溶性が高まるため、共重合ポリエステル
(B)の分散性が高まりフィルムのカール回復性、透明
性が向上する。特にメソゲン基の共重合量が15モル%
よりも低くなると、非液晶ポリエステル(A)と本発明
の共重合ポリエステル(B)が相互に溶解、すなわち完
全相溶化し、相分離構造が消失し易い。以上のことか
ら、本発明の共重合ポリエステル(B)は次の共重合量
であることが好ましい。
【0019】上記構造単位(I)、(II)、(III )お
よび(IV)からなる共重合ポリエステルの場合は、上記
構造単位[(I)+(II)+(III )]に対する
[(I)+(II)]のモル分率は5〜75モル%が好ま
しく、20〜60%がより好ましく、30〜55モル%
が最も好ましい。また、構造単位[(I)+(II)+
(III)]に対する(III )のモル分率は95〜25モ
ル%が好ましく、80〜40モル%がより好ましく、7
0〜45モル%が最も好ましい。また、構造単位(I)
/(II)のモル比は流動性の点から好ましくは75/2
5〜95/5であり、より好ましくは78/22〜93
/7である。また、構造単位(IV)のモル数は構造単位
[(II)+(III )]のトータルモル数と実質的に等し
い。
【0020】また、上記構造単位(I)、(III )およ
び(IV)からなる共重合ポリエステルの場合は、上記構
造単位(I)は[(I)+(III )]の5〜75モル%
が好ましく、20〜60モル%がより好ましく、30〜
55モル%が最も好ましい。構造単位(IV)は構造単位
(III )と実質的に等モルである。
【0021】さらに上記構造単位(I)、(II)および
(IV)からなる共重合ポリエステルの場合は、単独では
なく、構造単位(I)、(II)、(III )および(IV)
からなる共重合ポリエステルまたは/および構造単位
(I)、(III )および(IV)からなる共重合ポリエス
テルのブレンドポリマーとして用いることが好ましい。
このブレンドポリマーの場合においても、前記同様に、
構造単位[(I)+(II)+(III )]に対する
[(I)+(II)]のモル分率は5〜75モル%が好ま
しく、20〜60%がより好ましく、30〜55モル%
が最も好ましい。
【0022】以上述べた説明中の「実質的に」とは、必
要に応じてポリエステルの末端基をカルボンキシル基末
端あるいはヒドロキシル末端基のいずれかを多くするこ
とができ、このような場合には構造単位(IV)のモル数
は構造単位[(II)+(III)]のトータルモル数と完
全に等しくないからである。
【0023】上記好ましい共重合ポリエステルを重縮合
する際には、上記構造単位(I)〜(IV)を構成する成
分以外に、3、3’−ジフェニルジカルボン酸、2、
2’−ジフェニルジカルボン酸などの芳香族ジカルボン
酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン
ジオン酸などの脂肪族ジカルボン酸、ヘキサヒドロテレ
フタル酸などの脂環式ジカルボン酸、クロルハイドロキ
ノン、メチルハイドロキノン、4、4’−ジヒドロキシ
ジフェニルスルフォン、4、4’−ジヒドロキシジフェ
ニルスルフィド、4、4’−ジヒドロキシベンゾフェノ
ンなどの芳香族ジオール、1、4−ブタンジオール、
1、6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、
1、4−シクロヘキサンジオール、1、4−シクロヘキ
サンジメタノール等の脂肪族、脂環式ジオールおよびm
−ヒドロキシ安息香酸、2、6−ヒドロキシナフトエ酸
などの芳香族ヒドロキシカルボン酸およびp−アミノフ
ェノール、p−アミノ安息香酸などを本発明の目的を損
なわない程度の少割合の範囲でさらに共重合せしめるこ
とができる。
【0024】本発明における共重合ポリエステルの製造
方法は、特に制限がなく、ポリエステルの重縮合法に準
じて製造できる。
【0025】例えば、上記の好ましく用いられる共重合
ポリエステルの製造法において、上記構造単位(III )
を含まない場合は下記(1)および(2)、構造単位
(III)を含む場合は下記(3)の製造方法が好まし
い。
【0026】(1)p−アセトキシ安息香酸および4、
4’−ジアセトキシビフェニル、4、4’−ジアセトキ
シベンゼンなどの芳香族ジヒドロキシ化合物のジアシル
化物とテレフタル酸などの芳香族ジカルボン酸から脱酢
酸重縮合反応によって製造する方法。
【0027】(2)p−ヒドロキシ安息香酸および4、
4’−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノンなどの
芳香族ジヒドロキシ化合物、テレフタル酸などの芳香族
ジカルボン酸に無水酢酸を反応させて、フェノール性水
酸基をアシル化した後、脱酢酸重縮合反応によって製造
する方法。
【0028】(3)ポリエチレンテレフタレートなどの
ポリエステルのポリマー、オリゴマーまたはビス(β−
ヒドロキシエチル)テレフタレートなどの芳香族ジカル
ボン酸のビス(β−ヒドロキシエチル)エステルの存在
下で(1)または(2)の方法により製造する方法。
【0029】これらの重縮合反応は無触媒でも進行する
が、酢酸第一錫、テトラブチルチタネート、酢酸カリウ
ムおよび酢酸ナトリウム、三酸化アンチモン、金属マグ
ネシウムなどの金属化合物を添加した方が好ましい場合
もある。
【0030】本発明のポリエステルフィルムは、カール
回復性が15%以上であることが必要である。好ましく
は25%以上、さらに好ましくは30%以上である。カ
ール回復性が15%未満であると、現像後の写真印画紙
への画像形成させる焼き付け工程等でのスリ傷の発生、
焦点ボケ等の問題が発生する。かかるカール回復性が1
5%以上を本発明のポリエステルフィルムが示すことは
驚くべきことであり、すなわち、従来の同種品のものが
後述する比較例のように、高々10%程度のものであっ
たことを考えれば画期的なものである。
【0031】本発明では、低粘度の共重合ポリエステル
(B)、すなわち溶融粘度比(非液晶性ポリエステルの
溶融粘度(ηA)/共重合ポリエステルの溶融粘度(η
B))を大きくする共重合ポリエステルが好ましい。非
液晶性ポリエステルに低粘度の共重合ポリエステルを添
加した場合ほど共重合ポリエステルがよく分散し、良好
なカール回復性を効果的に達成できるからである。この
溶融粘度比は、少なくとも5以上であることが好まし
く、さらに、好ましくは10以上、より好ましくは50
以上、特に好ましくは200以上である。本発明者らの
知見によれば、200以上、10万以下が最も好まし
い。従って、共重合ポリエステル(B)の溶融粘度は、
使用する非液晶性ポリエステルの溶融粘度にもよるが、
マトリックスを構成する非液晶性ポリエステルの融点+
15℃、剪断速度1000秒−1 の条件下で、100P
a・秒程度以下であることが望ましく、好ましくは10
Pa・秒以下、さらに好ましくは1Pa・秒以下であ
る。このような低い溶融粘度を有し、本発明の目的を達
成する上で特に好適に用いることのできる共重合ポリエ
ステルは、上記構造単位(I)、(II)、(III )およ
び(IV)からなる共重合ポリエステルである。この共重
合ポリエステルは、非液晶性ポリエステル中での分散状
態が良好であり、本発明のカール回復性を達成するのに
特に有効である。
【0032】本発明のポリエステルフィルムにおける共
重合ポリエステル(B)の添加量は、特に限定されない
が、0.1〜10重量%、好ましくは0.3〜5重量
%、さらに好ましくは0.5〜3重量%の範囲がよい。
添加量が0.1重量%未満であるとカール回復性が良好
なフィルムを得ることが難しく、逆に10重量%を超え
るとポリエステルフィルムの表面が非常に荒れ、表面粗
さが大きくなり、写真用フィルムとして好ましくない。
【0033】本発明でいうヘイズ値とは、フィルムの試
験片をテトラリンに浸漬して測定した25μm換算の内
部ヘイズの値(%)である。本発明によれば、この25
μm換算の内部ヘイズ値が、特に限定されないが、0.
1〜5%であることが好ましい。より好ましいヘイズ値
の範囲は、0.1〜5%、さらに好ましくは0.1〜2
%である。ヘイズ値が5%を超えるとフィルムを写真感
光材料として用いた場合、画像がぼやけてしまい不鮮明
になってくる。本発明では、液晶性ポリエステル等と比
較して格段に分散化または完全相溶化し易い前記共重合
ポリエステル(B)を非液晶性ポリエステル(A)にブ
レンドすることにより、カール回復性、透明性に優れた
ポリエステルフィルムを得ることに成功した。このフィ
ルム中の共重合ポリエステル(B)の分散性は溶融押出
時に使用するスクリューによっても変化する。本発明で
は、スクリューはフルフライト、バリアフライト等、い
かなる形状のスクリューを使用してもよいが、前記共重
合ポリエステルの分散化を促進し、フィルムのカール回
復性を良好にし、ヘイズ値を低下させるためには、スク
リューの長さと直径の比が20以上の各種ミキシング型
スクリューを使用することが好ましい。ミキシング型ス
クリューとは、スクリュー圧縮部、計量部またはこれら
の中間の位置にミキシング部を有するスクリューであ
り、例えばフルーテッドバリア、ダルメージ、ユニメル
ト、多条ピン等を有したスクリューが用いられる。
【0034】共重合ポリエステル(B)のポリエステル
フィルム中での分散形態は、共重合ポリエステル(B)
の平均分散径が可視光線の波長以下であれば、特に限定
されないが、スキン・コア型、海島型、多層型、繊維
型、球状、偏球状等の分散形態がよい。共重合ポリエス
テルの平均分散径は、400nm以下、好ましくは20
0nm以下、さらに好ましくは100nm以下、特に好
ましくは50nm以下である。平均分散径が、400n
mより大きくなるとヘイズが大きくなり、写真用フィル
ムとして好ましくない。また、共重合ポリエステルのド
メインが偏球状の場合には、偏球状ドメインの長軸と単
軸のアスペクト比(L/D)は20以下、好ましくは1
0以下、より好ましくは5以下が好ましい。
【0035】本発明のポリエステルフィルムには、特に
限定されないが、非液晶性ポリエステル(A)と共重合
ポリエステル(B)の他に、液晶性ポリエステルと共重
合ポリエステルの相溶化剤として、ポリエチレンテレフ
タレート(以下「PET」という)とp−ヒドロキシ安
息香酸(以下「PHB」という)の共重合体、ポリエチ
レン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート(以下
「PEN」という)とPHBの共重合体、エポキシ系や
オキサドリン系などの化合物等が、含有されていてもよ
い。相溶化剤を添加すると共重合ポリエステル(B)の
分散性が向上し、カール回復性が良好となる。PET/
PHB共重合体、PEN/PHB共重合体のPETおよ
びPENの比率としては、特に限定されないが、相溶性
の観点から、50モル%以上であることが好ましい。ポ
リエステルフィルム中の相溶化剤の含有量としては、特
に限定されないが、共重合ポリエステル(B)の含有量
の1〜50%が好ましい。
【0036】本発明のポリエステルフィルムには、さら
に、本発明の目的を阻害しない範囲内で他種ポリマをブ
レンドしてもよい。PENフィルムの場合、高屈折率で
あり、ライトパイピング現象を起こしやすい傾向があ
る。ライトパイピング現象を回避する方法として染料を
添加する方法が知られている。フィルム染色に使用する
染料については特に限定されないが、色調は感光材料の
一般的な性質上グレー染色が好ましく、また染料は二軸
配向ポリエステルフィルムの製膜領域での耐熱性に優
れ、かつポリエステルとの相溶性に優れたものが好まし
い。染色濃度に関しては、マクベス社製の色濃度計にて
可視領域での色濃度を測定し、少なくとも0.01以上
であることが好ましく、0.03以上がさらに好まし
い。
【0037】本発明のポリエステルフィルムは、特に限
定されないが、固有粘度[η]が0.6(dl/g)以
上、好ましくは0.8(dl/g)以上、さらに好まし
くは1(dl/g)以上がよい。固有粘度[η]が0.
6(dl/g)未満になると、カール回復性が悪化した
り、機械強度が低下したりする。
【0038】本発明のポリエステルフィルムは、上記組
成物を二軸配向せしめたフィルムである。一軸あるいは
無配向フィルムでは、カール回復性、機械強度、寸法安
定性が不良となるので好ましくない。
【0039】本発明のポリエステルフィルムの引裂伝播
抵抗は、好ましくは600g/mm以上、さらに好まし
くは700g/mm以上、特に好ましくは800g/m
m以上である。引裂伝播抵抗が低くなりすぎると、手で
引き裂けたり、また、パーフォレーションの打ち抜き時
の引き裂けの原因ともなり好ましくない。
【0040】さらに、弾性率は、好ましくは5GPa以
上、さらに好ましくは5.5GPa以上、特に好ましく
は6GPa以上である。弾性率が5GPa未満である
と、フィルム厚みを薄くした際、カールしたり、時には
フィルムがねじれたりする問題が発生しやすくなる。
【0041】また38℃の蒸留水中に30分間浸漬した
時の弾性率は、好ましくは4.5GPa以上、特に好ま
しくは、5GPa以上である。弾性率が4.5GPa以
上であれば、現像後のフィルム乾燥時に、感光層の収縮
に伴うカールやねじれ等の問題が生じ難くなる。
【0042】本発明のポリエステルフィルムの150
℃、30分における熱収縮率は2%以下が好ましく、さ
らに好ましくは1.5%以下、特に好ましくは1.2%
以下である。また80℃、8時間における熱収縮率は
0.7%以下が好ましく、さらに好ましくは0.5%以
下、特に好ましくは0.3%以下である。150℃、3
0分の熱収縮率が2%を超えたり、80℃、8時間の熱
収縮率が0.7%を超えると巻癖カール、カール回復性
が悪化する。
【0043】本発明のポリエステルフィルムは、特に限
定されないが、通常厚さが1000μm以下の膜状物で
あり、好ましくは3〜500μm、さらに好ましくは4
〜200μmの範囲である。
【0044】本発明のポリエステルフィルムは単膜でも
よいが、これに他のポリマー層、例えばポリエステル、
ポリオレフィン、ポリアミド、ポリ塩化ビニリデン、ア
クリル系ポリマー等を積層してもよい。
【0045】本発明のポリエステルフィルムは、後で設
ける感光層や保護層などとの接着性を向上させるためコ
ロナ放電処理、薬液処理、火炎処理、紫外線処理、プラ
ズマ処理などの各種表面処理を必要に応じて施すことが
できる。
【0046】本発明のポリエステルフィルムが特に有効
なのは、写真用途であるが、その他にも、磁気記録媒体
用、コンデンサ用、電絶用、包装用、製図用、リボン用
等に用いることもできる。
【0047】次に本発明のポリエステルフィルムの製造
方法の好ましい例を示し説明するが、必ずしも、これに
限定されるものではない。
【0048】まず、非液晶性ポリエステルの製造方法
は、いずれの方法をも採用することができる。例えば、
2,6−ナフタレンジカルボン酸および少量の他のジカ
ルボン酸成分とエチレングリコールおよび少量の他のグ
リコール成分とを直接エステル化反応するか、または、
ジカルボン酸成分のジアルキルエステルを用いる場合は
グリコール成分とでエステル交換反応し、これを減圧下
の加熱して余剰のグリコール成分を除去することによ
り、非液晶性ポリエステルを得ることができる。この際
必要に応じてエステル交換反応触媒あるいは重合反応触
媒を用い、あるいは安定剤を添加することが好ましい。
重合触媒としては、アンチモン化合物を用い、安定剤と
してはリン化合物をもちいることが好ましい。アンチモ
ン化合物としては、三酸化アンチモンなどが用いられ
る。また、リン化合物としては、ジメチルフェニルホス
ホネートなどのホスホン酸塩が用いられる。また重合温
度は、溶融状態を維持できれば、できるだけ低温で行う
ことが好ましい。もちろん、着色防止剤、酸化防止剤、
結晶核剤、滑剤、安定剤、ブロッキング防止剤、紫外線
吸収剤、消泡剤、帯電防止剤などを添加してもよい。
【0049】所定量の割合で非液晶性ポリエステルチッ
プと共重合ポリエステルチップを真空乾燥機に投入し、
加水分解を抑制するために、減圧下で180℃、10時
間十分に乾燥したのち、溶融押出機に供給し、ポリエス
テルの分解を抑制するために脱気しながら押出を行い、
ドラフト比5から100でスリット状ダイからシート状
に押出し、キャスティングロール上で冷却固化せしめて
未延伸フィルムを作る。
【0050】真空乾燥機に投入前に、共重合ポリエステ
ル(B)を非液晶性ポリエステル原料中に分散させてお
いてもよい。共重合ポリエステルを非液晶性ポリエステ
ル原料中に分散させる方法としては、まず、非液晶性ポ
リエステルチップと共重合ポリエステルチップを混合
し、窒素シールを行いながらベント式2軸混練押出機等
を用いて溶融押出し、非液晶性ポリエステルに共重合ポ
リエステルを練り込む方法が好ましく行われ、この混練
は複数回行うことが有効である。このとき用いられるス
クリュウとしては、BMタイプのものが練り混みの強さ
の点から好ましい。
【0051】また、共重合ポリエステルチップを非液晶
性ポリエステルチップに混合する前に粉砕し、分散径を
小さくすることも好ましい。例えば、粉砕機中に、共重
合ポリエステルチップとドライアイスを等量投入して、
高速に回転させ粉砕を行い、分級して、分散径の小さな
液晶性ポリエステルを集め、ポリエステルチップと混合
し溶融押出を行いフィルムを製膜することも有効であ
る。
【0052】次に、この未延伸フィルムを二軸延伸し、
二軸配向させる。延伸方法としては、逐次二軸延伸法ま
たは同時二軸延伸法を用いることができる。また、これ
らの延伸を行った後、再縦延伸、再横延伸を行ってもよ
い。ただし、最初に長手方向、次に幅方向の延伸を行う
逐次二軸延伸方法を用い、長手方向の延伸を3段階以上
に分けて、総縦延伸倍率を3〜7倍で行う方法は延伸破
れがなく望ましい。長手方向延伸速度は5000〜30
0000%/分の範囲が好適である。
【0053】次に、幅方向の延伸を行う。幅方向の延伸
方法としては例えばステンタを用いる方法が好ましく、
幅方向延伸倍率は3倍〜7倍、延伸速度は1000〜2
0000%/分の範囲で行う。さらに必要に応じて、再
縦延伸、再横延伸を行う。その場合の延伸条件としては
長手方向の延伸は90〜180℃、延伸倍率1.1〜2
倍、幅方向は、延伸温度90〜180℃、幅方向延伸倍
率は1.1〜2倍で行う。
【0054】次に、この二軸配向フィルムを熱処理しワ
インダーにロール状に巻き取る。この場合の熱処理条件
としては、定長下、弛緩状態、微延伸状態のいずれでも
よく、熱処理温度は170〜250℃で、時間は0.5
〜60秒の範囲で行うのが好適である。また、さらにリ
ラックス処理を施すことも可能である。
【0055】
【物性の測定方法ならびに効果の評価方法】
(1)固有粘度[η] オルトクロロフェノール中、0.1g/ml濃度で、2
5℃で測定した。単位はdl/gで表す。なお、共重合
ポリエステルはオルトクロロフェノールには溶解しない
ため、遠心分離により該ポリマーを除去後測定した。
【0056】(2)共重合ポリエステルの平均分散径お
よびアスペクト比 ポリエステルフィルムを縦方向、横方向および厚み方向
に切断し、その切断面を透過型電子顕微鏡で観察する。
共重合ポリエステルのドメインが球状の場合には、これ
らの切断面に現れた共重合ポリエステルのドメイン10
0個の平均値から平均分散径(D)を求め、アスペクト
比(L/D)は1とした。共重合ポリエステルのドメイ
ンが偏球状、繊維状など、異方性を持つ形状を有してい
る場合には、まず100個のドメイン各々に対して、最
も長い方向の長さ(la)とそれに直交する最も長い部
分の長さ(lb)を求め、Dはlbの平均値、L/D
は、(laの平均値)/(lbの平均値)とした。
【0057】(3)溶融粘度 融点(Tm)+15℃の条件で、ずり速度1000(1
/秒)の条件下でノズル径0.5mmφ、ノズル長さ1
0mmのノズルを用い、高下式フローテスターによって
測定した値である。単位はPa・秒で表す。また、融点
(Tm)とは、示差走査熱量測定において、重合を完了
したポリマーを室温から40℃/分の昇温条件で測定し
た際に観測される吸熱ピーク温度(Tm1)観測後、T
m1+20℃の温度で5分間保持した後、20℃/分の
降温条件で室温まで一旦冷却した後、再度20℃/分の
昇温条件で測定した際に観測される吸熱ピーク温度(T
m2)のピークを指す。
【0058】(4)フィルムヘイズ ポリエステルフィルムの内部ヘイズ(%)を、ASTM
−D1003−61記載の方法により測定し、25μm
換算の内部ヘイズ(%)を下式から算出した。 ヘイズ=フィルムの内部ヘイズ(%)×[25(μm)
/フィルムの厚み(μm)]
【0059】(5)カール回復性 ポリエステルフィルムから、幅35mm、長手方向13
5mmの試料を作り、直径10mmの巻芯に密着して巻
き付け、30%RH下、ポリエステルフィルムのガラス
転移温度で72時間の加熱処理を行った。サンプルをカ
ールしている面が上になるように、平面上に置いて、サ
ンプル長(mm)Lを測定し、元のサンプル長135m
mに対する割合(%)によりカール回復性を評価した。
処理後のサンプルが円筒状の場合は最外周の円筒の直径
をサンプル長とし、円弧状の場合は、円弧の先端を直線
で結んだ距離をサンプル長とした。n数は10とし、平
均を取った。なおポリエステルフィルムのガラス転移温
度は、示差走査熱量計(セイコー電子工業(株)製RD
SC−220型)を用いて、JIS−K−7121−1
987に準じて、昇温速度20℃/分で求めた。
【0060】 カール回復性(%)=(L/135)×100
【0061】(6)拡大評価 ベースフィルムにジアゾ層を塗布し、ジアゾマイクロフ
ィルム解像チャートを得、これをプロジェクターにより
200倍に拡大し、写し出された画質を次の3段階に評
価した。
【0062】Aランク:線画や白黒の地肌色合いのコン
トラストが鮮明で、微小黒班点状の影が見られず、画像
も極めて明るく、特に印刷製版、マイクロフィルムとし
て最適のフィルム Bランク:微小黒班点状の影が若干見られるが、線画や
白黒の地肌色合いのコントラストが鮮明で画像も明る
く、実用上問題のないフィルム Cランク:微小黒班点状の影が多く認められ、線画や白
黒の地肌色合いのコントラストが不鮮明で、実用上問題
となるフィルム
【0063】(7)引裂伝播抵抗 軽荷重式引裂試験機(東洋精機(株)製)を用いて、A
STM−D−1922に従って測定した。サンプルサイ
ズは51×64mmで13mmの切れ込みを入れ、残り
51mmを引き裂いた時の指示値を読みとった。
【0064】(8)弾性率 JIS−Z−1702−1976に準じて、サンプルサ
イズは幅10mm、長さ100mmの短冊片で、引張速
度は20mm/分で測定した。
【0065】(9)熱収縮率(寸法安定性) 幅10mm、長さ250〜300mmのフィルムサンプ
ルを200mm間隔にマーキングし、サンプル支持板に
一定張力下で固定し、万能投影機(日本光学(株)製V
16A)を用いてマーキング間隔の原長を測定した。測
定したサンプルに3gのクリップを用いて荷重をかけ、
80℃に設定した熱風オーブン中で8時間回転させなが
ら処理した。処理したサンプルは、原長を測定した雰囲
気下に2時間放置後、原長測定法と同様にマーキング間
隔を測定して収縮率を求めた。
【0066】
【実施例】次に実施例に基づき、本発明の実施態様を説
明する。
【0067】実施例1 非液晶性ポリエステル(A)として、固有粘度0.8
(dl/g)のポリエチレン−2,6−ナフタレンジカ
ルボキシレート(PEN)原料を用いた。共重合ポリエ
ステル(B)としては、下記原料から重縮合した共重合
ポリエステル(融点208℃、液晶開始温度190℃、
溶融粘度5Pa・秒)を用いた。
【0068】 [共重合ポリエステル原料] p−ヒドロキシ安息香酸 共重合モル比 42.5 4,4’−ジヒドロキシビフェニル 7.5 エチレングリコール 50.0 テレフタル酸 57.5
【0069】該PEN99.5重量%、共重合ポリエス
テル0.5重量%混合した後、180℃で8時間減圧乾
燥(3Torr)した後、押出機に供給し、脱気しなが
ら300℃で溶融した。このポリマーを30μm以上の
異物等を95%の確率で除去する濾過精度を有する高精
度フィルターを用いて瀘過した後、ドラフト比10で、
Tダイ口金から溶融シートを押出し、静電印加キャスト
法を用いて表面温度25℃のキャスティング・ドラムに
巻きつけて冷却固化し、共重合ポリエステル(B)0.
5重量%含有した未延伸フィルム([η]=0.76)
を作った。押出機の吐出量を調節し、総厚さを調節し
た。
【0070】この未延伸フィルムを温度135℃にて長
手方向に4.1倍延伸した。この延伸は2組ずつのロー
ルの周速差で、4段階で行った。この一軸延伸フィルム
をテンターを用いて145℃で幅方向に4.2倍延伸し
た。このフィルムを定長下で225℃にて7秒間熱処理
し、厚さ120μmの二軸配向PENフィルムをワイン
ダーにて巻取った。このフィルム中の共重合ポリエステ
ルの平均分散径は200nmであった。
【0071】このポリエステルフィルムの特性は表1に
示したとおりであり、カール回復性、および機械強度、
寸法安定性に優れていた。
【0072】実施例2 実施例1と同様の方法にて、PENチップ([η]=
0.9)と共重合ポリエステルチップを用いて、共重合
ポリエステルを5重量%含有した未延伸フィルム
([η]=0.84)を作った。
【0073】この未延伸フィルムを温度140℃にて長
手方向に4.5倍延伸した。この延伸は2組ずつのロー
ルの周速差で、4段階で行った。この一軸延伸フィルム
をテンターを用いて155℃で幅方向に4.8倍延伸し
た。このフィルムを定長下で230℃にて5秒間熱処理
し、厚さ90μmの二軸配向PENフィルムを得た。こ
のフィルム中の共重合ポリエステルの平均分散径は30
0nmであった。
【0074】このポリエステルフィルムの特性は表1に
示したとおりであり、カール回復性、および機械強度、
寸法安定性に優れていた。
【0075】実施例3 実施例1と同様の方法にて、PETチップ([η]=
0.97)と共重合ポリエステルチップを用いて、共重
合ポリエステルを1重量%含有した未延伸フィルム
([η]=0.9)を作った。
【0076】この未延伸フィルムを温度100℃にて長
手方向に3.9倍延伸した。この延伸は2組ずつのロー
ルの周速差で、4段階で行った。この一軸延伸フィルム
をテンターを用いて105℃で幅方向に4.2倍延伸し
た。このフィルムを定長下で230℃にて5秒間熱処理
し、厚さ120μmの二軸配向PETフィルムを得た。
このフィルム中の共重合ポリエステルの平均分散径は2
00nmであった。
【0077】このポリエステルフィルムの特性は表1に
示したとおりであり、カール回復性、および機械強度、
寸法安定性に優れていた。
【0078】実施例4 共重合ポリエステル(B)としては、下記原料から重縮
合した共重合ポリエステル(融点200℃、液晶開始温
度180℃、溶融粘度5Pa・秒)を用いた。 [共重合ポリエステル原料] p−ヒドロキシ安息香酸 共重合モル比 32.5 4,4’−ジヒドロキシビフェニル 7.5 エチレングリコール 60.0 テレフタル酸 67.5
【0079】実施例1と同様の方法にて、PENチップ
と上記共重合ポリエステルチップチップを用いて共重合
ポリエステルを5重量%含有した未延伸フィルム
([η]=0.76)を作った。
【0080】この未延伸フィルムを温度140℃にて長
手方向に4.2倍延伸した。この延伸は2組ずつのロー
ルの周速差で、4段階で行なった。この一軸延伸フィル
ムをテンターを用いて145℃で幅方向に4.5倍延伸
した。このフィルムを定長下で230℃にて5秒間熱処
理し、厚さ90μmの二軸配向PENフィルムを得た。
このフィルム中の共重合ポリエステルの平均分散径は1
50nmであった。
【0081】このポリエステルフィルムの特性は表1に
示したとおりであり、カール回復性、および機械強度、
寸法安定性に優れていた。
【0082】実施例5 実施例3で用いた共重合ポリエステルを使用すること以
外は、実施例3と同様にして二軸配向PETフィルムを
得た。このフィルム中の共重合ポリエステルの平均分散
径は180nmであった。
【0083】このポリエステルフィルムの特性は表1に
示したとおりであり、カール回復性、および機械強度、
寸法安定性に優れていた。
【0084】比較例1 共重合ポリエステルを用いないこと以外は、実施例1と
同様にして製膜を行い、厚さ120μmの二軸配向PE
Nフィルムを得た。
【0085】このポリエステルフィルムの特性は表2に
示したとおりであり、実施例1のようなカール回復性、
機械強度を有していなかった。
【0086】比較例2 共重合ポリエステルを用いないこと以外は、実施例3と
同様にして製膜を行い、厚さ120μmの二軸配向PE
Tフィルムを得た。
【0087】このポリエステルフィルムの特性は表2に
示したとおりであり、実施例3のようなカール回復性、
機械強度を有していなかった。
【0088】比較例3 共重合ポリエステル(B)としては、下記原料から重縮
合した共重合ポリエステル(融点280℃、液晶開始温
度2450℃、溶融粘度5Pa・秒)を用いた。
【0089】 [共重合ポリエステル原料] p−ヒドロキシ安息香酸 共重合モル比 72.5 4,4’−ジヒドロキシビフェニル 7.5 エチレングリコール 20.0 テレフタル酸 27.5
【0090】上記共重合ポリエステルを1重量%含有さ
せ、実施例1と同様にして、二軸配向PENフィルムを
得た。このフィルム中の共重合ポリエステルの平均分散
径は2000nmであった。
【0091】このポリエステルフィルムの特性は表2に
示したとおりであり、優れたカール回復性、機械強度を
有していなかった。
【0092】比較例4 比較例3で用いた共重合ポリエステルを1重量%含有さ
せ、実施例3と同様にして、二軸配向PETフィルムを
得た。このフィルム中の共重合ポリエステルの平均分散
径は1800nmであった。
【0093】このポリエステルフィルムの特性は表2に
示したとおりであり、優れたカール回復性、機械強度を
有していなかった。
【0094】比較例5 非液晶性ポリエステル(A)として、固有粘度0.55
(dl/g)のポリエチレンテレフタレート(PET)
原料を用い、縦延伸倍率を3.5倍、横延伸倍率を3.
6倍とすること以外は、実施例3と同様にして、二軸配
向PETフィルムを得た。
【0095】このポリエステルフィルムの特性は表2に
示したとおりであり、優れたカール回復性、機械強度を
有していなかった。
【0096】比較例6 共重合ポリエステルの添加量を0.05重量%にするこ
と以外は、実施例1と同様にして、二軸配向PENフィ
ルムを得た。
【0097】このポリエステルフィルムの特性は表2に
示したとおりであり、優れたカール回復性、機械強度を
有していなかった。
【0098】
【表1】
【表2】
【0099】
【発明の効果】上記、非液晶性ポリエステル(A)と特
定の共重合ポリエステル(B)からなる、ポリエステル
フィルムは次のような優れた効果を生じる。
【0100】(1)カール回復性、および機械強度、寸
法安定性に優れていることから、一般用ロール状写真フ
ィルムとして、好適である。
【0101】(2)また、X線写真用、印刷製版用、マ
イクロフィルム用、電子写真、ジアゾ写真等の複写用な
どの写真用として使用するこすることができる。
【0102】(3)また、白色化すれば、印画紙などに
も使用することができる。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI G03C 1/795 G03C 1/795 // B29K 67:00 B29L 7:00

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 非液晶性ポリエステル(A)と主鎖にメ
    ソゲン基を含有する共重合ポリエステル(B)からなる
    フィルムであって、カール回復性が15%以上であるこ
    とを特徴とするポリエステルフィルム。
  2. 【請求項2】 共重合ポリエステル(B)中のメソゲン
    基の共重合量が5モル%から75モル%であることを特
    徴とする請求項1に記載のポリエステルフィルム。
  3. 【請求項3】 フィルムのヘイズ値が0.1%から5%
    であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載
    のポリエステルフィルム。
  4. 【請求項4】 共重合ポリエステル(B)をポリエステ
    ルフィルム中に0.1重量%から10重量%含有するこ
    とを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の
    ポリエステルフィルム。
  5. 【請求項5】 共重合ポリエステル(B)がフィルム中
    で分散しており、その平均分散径が400nm以下、該
    共重合ポリエステル(B)のドメイン形状を表すL/D
    が20以下であることを特徴とする請求項1〜請求項4
    のいずれかに記載のポリエステルフィルム。
  6. 【請求項6】 非液晶性ポリエステル(A)と共重合ポ
    リエステル(B)の溶融粘度比(ηA/ηB)が5以上
    であることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか
    に記載のポリエステルフィルム。
  7. 【請求項7】 共重合ポリエステル(B)が下記
    (I)、(III )および(IV)の構造単位からなる共重
    合ポリエステル、(I)、(II)および(IV)の構造単
    位からなる共重合ポリエステル、(I)、(II)、(II
    I )および(IV)の構造単位からなる共重合ポリエステ
    ルから選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする
    請求項1〜請求項6のいずれかに記載のポリエステルフ
    ィルム。 【化1】 (ただし、式中のR1 は、 【化2】 から選ばれた一種以上の基を示し、R2 は、 【化3】 から選ばれた一種以上の基を示す。また、式中Xは、水
    素原子または塩素原子を示し、構造単位[(II)+(II
    I )]と構造単位(IV)は実質的に等モルである。)
  8. 【請求項8】 非液晶性ポリエステル(A)の固有粘度
    [η]が0.6dl/g以上であることを特徴とする請
    求項1〜請求項7のいずれかに記載のポリエステルフィ
    ルム。
  9. 【請求項9】 非液晶性ポリエステル(A)が、ポリエ
    チレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートあるい
    はポリエチレンテレフタレートおよびそれらの変性体よ
    りなる群から選ばれた少なくとも一種であることを特徴
    とする請求項1〜請求項8のいずれかに記載のポリエス
    テルフィルム。
  10. 【請求項10】 請求項1〜請求項9のいずれかに記載
    のポリエステルフィルムからなる写真材料。
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