JPH115855A - ポリエステルフィルムおよびその製造方法 - Google Patents

ポリエステルフィルムおよびその製造方法

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JPH115855A
JPH115855A JP9349154A JP34915497A JPH115855A JP H115855 A JPH115855 A JP H115855A JP 9349154 A JP9349154 A JP 9349154A JP 34915497 A JP34915497 A JP 34915497A JP H115855 A JPH115855 A JP H115855A
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polymer
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polyester film
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哲也 恒川
Masaaki Kotoura
正晃 琴浦
Kenji Tsunashima
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Abstract

(57)【要約】 【課題】機械特性、表面易滑性、耐磨耗性、透明性、電
気特性に優れ、かつ、表面欠点・オリゴマーが少ない高
品質のポリエステルフィルムおよびその製造方法を提供
する。 【解決手段】非液晶性ポリエステル(A)と該非液晶性
ポリエステル(A)中で相分離構造を形成するポリマー
(B)からなるポリエステルフィルムにおいて、少なく
とも一方のフィルム表層部におけるポリマー(B)の分
散ドメインの平均長径Lと平均短径Dのアスペクト比L
/Dがフィルム中央層部における分散ドメインのL/D
よりも小さくする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、従来のポリエステ
ルフィルムの物性・品質を大幅に向上させたポリエステ
ルフィルム、具体的には、剛性、強靱性、易滑性、耐磨
耗性、透明性、電気特性などに優れ、かつ、オリゴマー
含有量、熱分解ゲル化物含有量が少ないポリエステルフ
ィルムおよびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ポリエステルフィルムの品質、物性を高
める方法として、ポリマーブレンドの手法について近年
頻繁に検討されている。特に、液晶性ポリエステルと非
液晶性ポリエステルとのブレンドに関する検討が世界的
に活発であり、特公平3ー45104号公報、国際公開
WO87ー05919号再公表公報、特公平7ー375
77号公報、特開昭57ー25354号公報などで代表
される、多くの発明がなされている。液晶性ポリエステ
ルは、一般にヤング率が高いため、ポリエステルフィル
ム中に微分散させることにより、ポリエステルフィルム
の補強強化が可能である。また、別の活用法として、液
晶性ポリエステルの高流動性を利用したものがある。液
晶性ポリエステルは、ポリマーの流動性を向上させて押
出工程で発生する剪断発熱を抑制する効果を持つので、
ポリエステルフィルム中の熱分解ゲル化物やオリゴマー
を低減してポリエステルフィルムの品質向上を図る上で
有効である。
【0003】液晶性ポリエステルの形態が繊維状の形で
存在すれば、ヤング率が顕著に向上することが特公平7
ー37577号公報などで報告されている。しかしなが
ら、この様に液晶性ポリエステルがフィルム中で繊維形
態を有する場合、該繊維の配向方向のヤング率は向上す
るが、表面易滑性、耐磨耗性などの表面特性が悪化して
しまうという問題があった。また、従来の液晶性ポリエ
ステルを非液晶性ポリエステルに添加・ブレンドして製
膜すると、ポリエステルフィルム中での液晶性ポリエス
テルの分散径が可視光線の波長(400〜900nm)
並みまたはそれ以上に大きいため、フィルムの透明性が
悪化するという問題があった。特に、液晶性ポリエステ
ルの平均分散径が大きく、1μm以上の場合には、液晶
性ポリマーの個々の分散ドメインの形が球型、偏球型、
繊維型、層型、小判型等のいずれの場合であっても、フ
ィルムの表面特性、透明性の低下が顕著であった。
【0004】以上述べた表面特性および透明性の悪化の
問題は、ヤング率その他の品質を高めるなどの目的で、
ポリエステルフィルム中の液晶性ポリエステルの含有率
を多くするとさらに顕著になることは無論であり、ヤン
グ率と表面特性を同時に満足するポリエステルフィルム
が得られなかった。磁気テープ用ベースフィルム用途
等、表面特性が問題となる用途への展開に際しては、液
晶性ポリエステルを含有するポリエステルフィルムに優
れた表面特性を有したポリマー層を積層しなければなら
なかった。
【0005】尚、上記説明では、非液晶性ポリエステル
とブレンドするポリマーとして、液晶性ポリエステルを
用いた場合の例を述べたが、ポリオレフィン系、ポリス
チレン系やポリカーボネイト系など、該非液晶性ポリエ
ステルと相分離構造を形成する他のポリマーをブレンド
した場合においても、分散ドメインの形状に起因する要
求特性の変化といった観点では、同様の問題があると思
われる。ポリマーブレンドの手法により高品質のポリエ
ステルフィルムを得るには、さらなる改良技術が求めら
れているのが現状である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、上記
従来技術の問題点を解決し、機械特性、表面易滑性、耐
磨耗性、透明性、電気特性に優れ、かつ、表面欠点・オ
リゴマーが少ない高品質のポリエステルフィルムおよび
その製造方法を得ることである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、非液晶性
ポリエステル(A)と該非液晶性ポリエステル(A)中
で相分離構造を形成するポリマー(B)からなるポリエ
ステルフィルムにおいて、フィルムの厚み方向に分布す
る該ポリマー(B)のドメイン形状を制御し、該ポリエ
ステルフィルムの物性、品質を高める方法について鋭意
検討した。その結果、非液晶性ポリエステル(A)中
で、ポリマー(B)のフィルム表層部の分散ドメインの
平均長径Lと平均短径Dのアスペクト比L/D(=Q
s)をフィルム中央層部のL/D(=Qc)よりも小さ
くすることにより、高いヤング率を有し、かつ表面易滑
性、耐磨耗性に優れたフィルムが得られることを見出し
た。
【0008】また、そのフイルムの製造方法として、ポ
リマー(B)の分散ドメインのQsをQcよりも小さく
するには、非液晶性ポリエステル(A)とポリマー
(B)からなる樹脂組成物を、該非液晶性ポリエステル
(A)の降温時の結晶化開始温度以上、融点以下の温度
条件で溶融押出成形した後、長手方向に3〜10倍、幅
方向に3〜10倍の倍率で延伸し、しかる後に150℃
以上、該非液晶性ポリエステル(A)の融点未満の温度
で熱固定する方法が有効であることを見出し、本発明を
完成させるに至った。すなわち、本発明は、「非液晶性
ポリエステル(A)中で相分離構造を形成するポリマー
(B)の分散ドメインのアスペクト比L/Dが、フィル
ム中央層部よりも表層部で小さいことを特徴とするポリ
エステルフィルムとその製造法」を骨子とするものであ
る。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明で使用する非液晶性ポリエ
ステル(A)の代表的なものとしては、ポリエチレンテ
レフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリヘキ
サメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレー
ト、ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレート、お
よびそれらの共重合体等が挙げられる。勿論、主鎖にエ
ーテル成分を有したポリエステル、例えば、ジエチレン
グリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレング
リコール、ポリテトラメチレングリコールなどを共重合
したものでもよい。本発明の場合、固有粘度が0.6以
上、好ましくは0.8以上、さらに好ましくは1.0以
上のポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタ
レートが好ましい。非液晶性ポリエステル(A)の固有
粘度が大きいと、(1) 該液晶性ポリエステル中で相分離
構造を形成するポリマー(B)が可視光の波長(400
〜900nm)以下のサイズに微分散化し易く、易滑性
かつ耐磨耗性に優れた表面が得られ易い、(2) ポリマー
(B)の分散ドメインのL/Dが表層よりも中央層で大
きくなり易く、ポリエステルフィルムのヤング率、靭性
が向上し易い、ので好ましい。かかる固有粘度の高い非
液晶性ポリエステルを得る手段としては、固相重合法が
最も好ましく用いられる。また、非液晶性ポリエステル
(A)の融点については、ポリマー(B)と同等または
それ以上であると非液晶性ポリエステル(A)中でポリ
マー(B)の分散ドメインのL/Dが表層よりも中央層
で大きくなり易いため好ましい。
【0010】一般にポリマーとは分子量が非常に大きい
分子であり、通常取り扱われるポリマーの分子量は1万
から数百万であるが、本発明では、この分子量の範囲に
限定されることはない。分子量が1万以下の低分子も本
発明のポリマー(B)の範囲に含まれる。また、本発明
では溶融成形性のポリマーを扱うので、非液晶性ポリエ
ステル中で相分離している分散ドメインがポリマーか否
かは、フィルムとフィルムを再溶融して得られるキャス
トフィルムの状態でドメイン形状が変化すればポリマー
であると判断することができる。本発明で使用するポリ
マー(B)は、溶融成形性で、上記非液晶性ポリエステ
ル(A)中で相分離構造を形成するものであれば、単独
ポリマーでも共重合ポリマーでも良い。共重合ポリマー
は交互、ブロック、ランダム共重合体およびこれらの混
合物のいずれのポリマーでもよい。ポリエステル系のポ
リマーブレンドで一般に使用されている、ポリエステル
系、ポリイミド系、ポリエステルイミド系、ポリエステ
ルアミド系、ポリアリレート系、ポリカーボネイト系、
ポリスチレン系、ポリオレフィン系、ポリビニル系の各
種ポリマー等が好適に使用できる。
【0011】本発明では、非液晶性ポリエステル(A)
の融点よりも少なくとも20℃低いビカット軟化温度
(TB)を有するポリマーが好ましい。このようなポリ
マーは、フィルム表層と中央層における分散ドメインの
アスペクト比の比率Qc/Qsが大きくなり易く、本発
明で開示するポリエステルフィルムを得る上で好適であ
る。より好ましいポリマー(B)のTBの範囲は、非液
晶性ポリエステル(A)の融点−30℃以下、融点−2
00℃以上であり、特に好ましくは非液晶性ポリエステ
ル(A)の融点−40℃以下、融点−120℃以上であ
る。非液晶性ポリエステル(A)の融点−200℃未満
のTBを有するポリマーは、分散ドメインのL/Dがフ
ィルム表層においても大きくなり、フィルムの表面特性
の低下を招いたり、押出ホッパー等での粘着等、ハンド
リングの問題があるため好ましくない。
【0012】本発明のポリマー(B)としては、主鎖に
剛直部位を含むポリマーが好ましく、例えば主鎖にメソ
ゲン基(液晶性の構造単位)を含有する共重合ポリエス
テル、共重合ポリエステルアミド、ポリエステルイミド
等のイミド環を主鎖に含むポリマーが好ましい。尚、メ
ソゲン基を含有する共重合ポリエステル、共重合ポリエ
ステルアミドは、液晶性であっても非液晶性であっても
よい。また、本発明では、ポリマー内部に密度むらによ
るドメイン構造を有するポリマー、例えばAB交互層の
ように、ミクロ相分離構造を有する共重合ポリマーがポ
リマー(B)として特に好ましい。このようなミクロ相
分離構造を有したポリマー(B)は、非液晶性ポリエス
テル中で微分散化し易く、該分散ドメインのアスペクト
比の比率Qc/Qsが大きくなり易いため好ましい。共
重合ポリエステルおよびポリエステルアミドの具体例と
しては、特開平3ー47861号公報などがある。ま
た、イミド環を主鎖に有するポリマーまたはオリゴマー
の具体例としては、特開平8ー157642号公報、特
開平8ー157596号公報、特開平8ー225741
号公報、特許第2558339号公報などがある。最も
好ましいポリマー(B)は、芳香族オキシカルボニル単
位、芳香族ジオキシ単位、芳香族ジカルボニル単位、ア
ルキレンジオキシ単位などから選ばれた構造単位からな
る共重合ポリエステルであり、その具体例としては、下
記(I)、(II)、(III )および(IV)の構造単位か
らなる共重合ポリエステル、(I)、(III )および
(IV)の構造単位からなる共重合ポリエステル、
(I)、(II)および(IV)の構造単位からなる共重合
ポリエステルから選ばれた一種以上であるものが挙げら
れる。
【0013】
【化4】 (但し式中のR1は、
【化5】 を示し、R2は
【化6】 から選ばれた一種以上の基を示し、R3は、
【化7】 から選ばれた一種以上の基を示す。また、式中Xは水素
原子または塩素原子を示し、構造単位[((II)+(II
I )]と構造単位(IV)は実質的に等モルである。) 上記構造単位(I)はpーヒドロキシ安息香酸および/
または6ーヒドロキシー2ーナフトエ酸から生成したポ
リエステルの構造単位を、構造単位(II)は、4、4´
ージヒドロキシビフェニル、3、3´、5、5´ーテト
ラメチルー4、4´ージヒドロキシビフェニル、ハイド
ロキノン、tーブチルハイドロキノン、フェニルハイド
ロキノン、2、6ージヒドキシナフタレン、2、7ージ
ヒドキシナフタレン、2、2´ービス(4ーヒドロキシ
フェニル)プロパンおよび4、4´ージヒドロキシジフ
ェニルエーテルから選ばれた芳香族ジヒドロキシ化合物
から生成した構造単位を、構造単位(III )はエチレン
グリコールから生成した構造単位を、構造単位(IV)
は、テレフタル酸、イソフタル酸、4、4´ージフェニ
ルジカルボン酸、2、6ーナフタレンジカルボン酸、
1、2ービス(フェノキシ)エタンー4、4´ージカル
ボン酸、1、2ービス(2ークロルフェノキシ)エタン
ー4、4´ージカルボン酸および4、4´ージフェニル
エーテルジカルボン酸から選ばれた芳香族ジカルボン酸
から生成した構造単位を各々示す。
【0014】また、上記構造単位(I)、(II)および
(IV)からなる共重合ポリエステルの場合は、R1が
【化8】 であり、R2が
【化9】 から選ばれた一種以上であり、R3が
【化10】 から選ばれた一種以上であるものが好ましい。
【0015】また、上記構造単位(I)、(III )およ
び(IV)からなる共重合ポリエステルの場合は、R1が
【化11】 であり、R3が
【化12】 であるものが特に好ましい。
【0016】また、上記構造単位(I)、(II)、(II
I )および(IV)からなる共重合ポリエステルの場合
は、R1が
【化13】 であり、R2が
【化14】 であり、R3が
【化15】 であるものが特に好ましい。
【0017】本発明では、共重合量を、ポリマーを形成
し得る繰返し構造単位のモル比から計算し、モル%で表
す。上記好ましい共重合ポリエステルの場合には、構造
単位(I)、構造単位(II)+(IV)、構造単位(III
)+(IV)がポリマーを形成し得る繰返し構造単位で
あり、これらの共重合モル比から共重合量が計算でき
る。
【0018】構造単位(I)、(II)+(IV)、(III
)+(IV)の共重合モル比は任意であるが、非液晶性
ポリエステル中での微分散性、分散ドメインの制御、ヤ
ング率の向上の点から、メソゲン基の共重合量は、5〜
95モル%であり、好ましくは20〜80モル%であ
る。メソゲン基である構造単位(I)、(II)+(IV)
の共重合量が5モル%よりも低くなると、ヤング率の向
上効果、押出工程での剪断発熱抑制効果が得られにく
く、また95モル%よりも高くなると分散性が低下し、
ポリエステルフィルム表面の荒れが激しくなるので好ま
しくない。
【0019】上記構造単位(I)、(II)、(III )お
よび(IV)からなる共重合ポリエステルの場合は、上記
構造単位[(I)+(II)+(III )]に対する
[(I)+(II)]のモル分率は5〜95モル%であ
り、20〜80%がより好ましく、40〜75モル%が
最も好ましい。また、構造単位[(I)+(II)+(II
I )]に対する(III )のモル分率は95〜5モル%で
あり、80〜20モル%がより好ましく、60〜25モ
ル%が最も好ましい。また、構造単位(I)/(II)の
モル比は流動性の点から、好ましくは75/25〜95
/5であり、より好ましくは78/22〜93/7であ
る。また、構造単位(IV)のモル数は構造単位[(II)
+(III )]のトータルモル数と実質的に等しい。
【0020】また、上記構造単位(I)、(III )およ
び(IV)からなる共重合ポリエステルの場合は、上記構
造単位(I)は[(I)+(III )]の5〜95モル%
が好ましく、20〜80モル%がより好ましく、40〜
75モル%が最も好ましい。構造単位(IV)は構造単位
(III )と実質的に等モルである。
【0021】さらに上記構造単位(I)、(II)および
(IV)からなる共重合ポリエステルの場合は、単独では
なく、構造単位(I)、(II)、(III )および(IV)
からなる共重合ポリエステルまたは/および構造単位
(I)、(III )および(IV)からなる共重合ポリエス
テルのブレンドポリマーとして用いることが好ましい。
このブレンドポリマーの場合においても、前記同様に、
構造単位[(I)+(II)+(III )]に対する
[(I)+(II)]のモル分率は5〜95モル%が好ま
しく、20〜80%がより好ましく、40〜75モル%
が最も好ましい。
【0022】以上述べた説明中の「実質的に」とは、必
要に応じてポリエステルの末端基をカルボキシル基末端
あるいはヒドロキシル末端基のいずれかを多くすること
ができることを意味し、このような場合には構造単位
(IV)のモル数は構造単位[(II)+(III )]のトー
タルモル数と完全には等しくない。
【0023】上記好ましい共重合ポリエステルを重縮合
する際には、上記構造単位(I)〜(IV)を構成する成
分以外に、3、3´ージフェニルジカルボン酸、2、2
´ージフェニルジカルボン酸などの芳香族ジカルボン
酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン
ジオン酸などの脂肪族ジカルボン酸、ヘキサヒドロテレ
フタル酸などの脂環式ジカルボン酸、クロルハイドロキ
ノン、メチルハイドロキノン、4、4´ージヒドロキシ
ジフェニルスルフォン、4、4´ージヒドロキシジフェ
ニルスルフィド、4、4´ージヒドロキシベンゾフェノ
ンなどの芳香族ジオール、1、4ーブタンジオール、
1、6ーヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、
1、4ーシクロヘキサンジオール、1、4ーシクロヘキ
サンジメタノール等の脂肪族、脂環式ジオールおよびm
ーヒドロキシ安息香酸、2、6ーヒドロキシナフトエ酸
などの芳香族ヒドロキシカルボン酸およびpーアミノフ
ェノール、pーアミノ安息香酸などを本発明の目的を損
なわない程度の少割合の範囲でさらに共重合せしめるこ
とができる。
【0024】本発明における共重合ポリエステルの製造
方法は、特に制限がなく、公知のポリエステルの重縮合
法に準じて製造できる。
【0025】例えば、上記の好ましく用いられる共重合
ポリエステルの製造法において、上記構造単位(III )
を含まない場合は下記(1)および(2)、構造単位
(III)を含む場合は下記(3)の製造方法が好まし
い。
【0026】(1)pーアセトキシ安息香酸および4、
4´ージアセトキシビフェニル、4、4´ージアセトキ
シベンゼンなどの芳香族ジヒドロキシ化合物のジアシル
化物とテレフタル酸などの芳香族ジカルボン酸から脱酢
酸重縮合反応によって製造する方法。
【0027】(2)pーヒドロキシ安息香酸および4、
4´ージヒドロキシビフェニル、ハイドロキノンなどの
芳香族ジヒドロキシ化合物、テレフタル酸などの芳香族
ジカルボン酸に無水酢酸を反応させて、フェノール性水
酸基をアシル化した後、脱酢酸重縮合反応によって製造
する方法。
【0028】(3)ポリエチレンテレフタレートなどの
ポリエステルのポリマ、オリゴマまたはビス(βーヒド
ロキシエチル)テレフタレートなどの芳香族ジカルボン
酸のビス(βーヒドロキシエチル)エステルの存在下で
(1)または(2)の方法により製造する方法。
【0029】これらの重縮合反応は無触媒でも進行する
が、酢酸第一錫、テトラブチルチタネート、酢酸カリウ
ムおよび酢酸ナトリウム、三酸化アンチモン、金属マグ
ネシウムなどの金属化合物を添加した方が好ましい場合
もある。
【0030】本発明では、低粘度のポリマー(B)、す
なわち、溶融粘度比(非液晶性ポリエステル(A)の溶
融粘度(ηA )/非液晶性ポリエステル(A)とブレ
ンドした時に相分離構造を形成するポリマー(B)の溶
融粘度(ηB ))を大きくするポリマー(B)が好ま
しい。本発明の目的は、非液晶性ポリエステルに低粘度
のポリマーを添加した場合ほど効果的に達成できるから
である。この溶融粘度比は、少なくとも5以上であるこ
とが望ましく、さらには、好ましくは10以上、より好
ましくは50以上、特に好ましくは200以上である。
本発明者らの知見によれば、200以上、10万以下が
最も好ましい。従って、ポリマー(B)の溶融粘度は、
使用する非液晶性ポリエステルの溶融粘度にもよるが、
マトリックスを構成する非液晶性ポリエステルの融点+
15℃、剪断速度100秒ー1の条件下で、100Pa
・秒程度以下であることが望ましく、好ましくは10P
a・秒以下、さらに好ましくは1Pa・秒以下である。
このような低い溶融粘度を有し、本発明の目的を達成す
る上で特に好適に用いることのできる共重合ポリエステ
ルは、上記構造単位(I)、(II)、(III )および
(IV)からなる共重合ポリエステルである。この共重合
ポリエステルは、その分散ドメインのアスペクト比の比
率Qc/Qsが大きくなり易いため、ポリエステルフィ
ルムの品質を高める上で特に有効である。
【0031】該ポリマー(B)の添加量は、本発明の目
的を達成できる適量であれば特に限定されないが、全ポ
リマーの0.01〜40重量%、好ましくは0.05〜
20重量%、さらに好ましくは0.1〜5重量%の範囲
が良い。添加量が0.01重量%未満であったり、逆に
40重量%を超えると本発明の効果を得ることが難しく
なるので好ましくない。
【0032】本発明でいうフィルムの表層とは、図1に
示すように、厚みTのポリエステルフィルムにおいてフ
ィルム表面からT/8の深さの部分であり、フィルムの
中央層とは厚みがT/2の中央部分である。非液晶性ポ
リエステル(A)中において、ポリマー(B)の個々の
分散ドメインは、球型、偏球型、繊維型、小判型などの
形をとるが、フィルム全体の構造から判断される分散ド
メインの形状は、表層部では小判状、偏球状、または球
状、中央層では小判状、繊維状または層状であることが
好ましい。ポリマー(B)の分散ドメインの表層と中央
層におけるアスペクト比の比率Qc/Qsは2以上、3
00以下であることが好ましく、さらに好ましくは5以
上、150以下、最も好ましくは10以上、100以下
である。ポリマー(B)の分散ドメインのアスペクト比
の比率Qc/Qsが2未満であったり、 Qc/Qsが
300を越えると、高ヤング率と表面易滑性、耐磨耗性
を両立することが難しくなる。
【0033】ポリマー(B)の分散ドメインのL/D
は、フィルム全体の構造から判断されるものであり、フ
ィルム表層または中央層の各層に含まれているポリマー
(B)の分散ドメインの平均的な形状を示す幾何学的指
数である。尚、本発明でいう平均長径Lおよび平均短径
Dは下記(1)および(2)式から求めることができ
る。
【0034】 L=max[I、J、K] ・・・・(1) D=(I+J+K−L)/2 ・・・・(2) ここで、I、J、Kは、ポリマー(B)のドメインのフ
ィルムの長手方向、幅方向、および厚み方向の最大長さ
の平均値に対応する。max[I、J、K]はI、J、
Kの長さを比較して、最も大きな値を選択する関数であ
る。尚、I,J,Kは、後述するように透過型電子顕微
鏡を用いて測定し、100個の分散ドメインを用いて算
出する。また、本発明では、I,J,Kの平均値をポリ
マー(B)からなるドメインの平均分散径という。尚、
I,J,Kは、後述するように、透過型電子顕微鏡を用
いて測定し、表層と中央層で各々100個の分散ドメイ
ンを無作為に用いて算出する。
【0035】本発明でいう小判状とは、ポリマー(B)
からなる複数の分散ドメインから算出される上記形状指
数I,J,Kが下記(3)および(4)の関係を満足す
る形状である。
【0036】 0.02<(I/J)<50 ・・・・(3) K<(1/2)・S[I、J] ・・・・(4) ここで、SはIとJの長さを比較して、短い方の値を選
択する関数であり、I>Jの場合はS[I、J]はJで
あり、I<Jの場合はS[I、J]はIである。また、
I,J,Kが(3)、(4)式の範囲から外れる場合、
本発明では、フィルム中に存在している分散ドメインの
形状を下記のように表現する。
【0037】球状 :I=J=K 偏球状:I/Jが1/3以上、3未満であり、(4)式
を満足しない。
【0038】繊維状:I/Jが1/3未満または3以上
であり、(4)式を満足しない。
【0039】層状 :(3)式を満足しないが、(4)
式を満足する。
【0040】また、本発明では、個々の分散ドメインの
形についても、上記と同様に表現し、(5)、(6)式
を満足するドメインの形を小判型という。尚、本発明で
は、フィルム面と平行な切断面に現れる分散ドメインが
円、楕円またはこれらが一部変形した形の板型または薄
片型の分散ドメインも小判型ドメインに含まれる。ドメ
インの形が(5)、(6)式の範囲から外れる場合は、
上記ドメイン形状に関する判断基準と同様の基準をもと
に、本発明ではドメインの形を球型、偏球型、繊維型、
層型と表現する。
【0041】 0.02<(i/j)<50 ・・・・(5) k<(1/2)・S[i、j] ・・・・(6) ここで、i、j、kはポリマー(B)からなる個々の分
散ドメインのフィルムの長手方向、幅方向、および厚み
方向の最大長さである。
【0042】また、本発明では、ポリマー(B)の分散
ドメインのフィルム表層部におけるアスペクト比Qsは
1〜20であることが好ましく、さらに好ましくは1〜
10、最も好ましくは1〜3である。また、フィルム表
層部におけるポリマー(B)の分散ドメインの平均長径
Lは、0.01〜3μmであることが好ましく、さらに
好ましくは0.01〜1.0μm、最も好ましくは0.
02〜0.5μmである。フィルム表層部のアスペクト
比Qsが20を越えたり、分散ドメインの平均長径Lが
3μmを越えるとフィルムの表面特性が悪化するので好
ましくない。
【0043】本発明では、フィルムの長手方向(MD)
のヤング率(YMD)と幅方向(TD)のヤング率(Y
TD)幅方向の和、すなわちトータルヤング率は、ポリ
マー(B)の剛直性、添加量にもよるが、8〜30GP
aである。トータルヤング率のより好ましい範囲は10
〜25GPaであり、特に好ましい範囲は12〜20G
Paである。トータルヤング率が8GPa未満ではフィ
ルムとしての実用性に乏しく、また、30GPaを越え
ると、フィルムの表面特性が悪化し易いので好ましくな
い。
【0044】本発明のフィルムの表面粗さRaは0.5
〜100nmであり、動摩擦係数μkは0.30以下で
ある。表面粗さRaの好ましい範囲は0.5〜30nm
であり、より好ましくは1〜10nmであり、特に好ま
しい範囲は2〜7である。ポリマー(B)の添加量を
0.1〜5重量%とし、ポリマー(B)を平均分散径1
μm未満のサイズで前記(3)式を満足する形状に微分
散させると、磁気テープ用途、特にメタル・蒸着テープ
用ベースフィルムの必須要件とされている、表面粗さR
aが1〜10nmのフィルムを得ることが容易となるの
で好ましい。表面粗さRaが0.5nm未満であるとフ
ィルムの滑りが悪いため、フィルムの巻取工程でトラブ
ルが生じ易く、また、これとは逆に表面粗さRaが10
0nmを越えると各種フィルム用途に展開する際に問題
が生じることが多いので好ましくない。
【0045】本発明で開示するポリマー(B)の分散ド
メインの形は溶融押出時に使用するスクリューによって
変化する。本発明では、スクリューはフルフライト、バ
リアフライト等、いかなる形状のスクリューを使用して
もよいが、ポリマー(B)の微分散化を促進し、フィル
ムの表面易滑性および耐磨耗性を向上させるためには、
スクリューの長さと直径の比が20以上の各種ミキシン
グ型スクリューを使用することが好ましい。ミキシング
型スクリューとは、スクリュー圧縮部、計量部またはこ
れらの中間の位置にミキシング部を有するスクリューで
あり、例えばフルーテッドバリア、ダルメージ、ユニメ
ルト、多条ピン等を有したスクリューが挙げられる。
【0046】本発明のポリエステルフィルム中における
非液晶性ポリエステル(A)の環状三量体の含有率は、
本発明のポリマー(B)を特定量添加することにより、
0.1〜1.0重量%に低減することができる。ポリエ
ステルフィルム中の非液晶性ポリエステル(A)の環状
三量体の含有率は、ポリエステルフィルムを製造する際
に用いる非液晶性ポリエステル(A)にもよるが、固相
重合を施した固有粘度の高い非液晶性ポリエステル
(A)に前記溶融粘度比(ηA/ηB)が5以上のポリ
マー(B)を適量添加すると、溶融押出時のオリゴマー
増量が激減し、その結果、環状三量体の含有率の低いポ
リエステルフィルムが得られる。このオリゴマー量の低
減では、上述した主鎖にメソゲン基を有する共重合ポリ
エステル、共重合ポリエステルアミド、共重合ポリエス
テルイミド、数平均分子量が1500〜10000の低
分子量の熱可塑性ポリイミドがポリマー(B)として特
に好ましい。環状三量体の含有率のより好ましい範囲
は、0.1〜0.6重量%であり、さらに好ましくは
0.1〜0.4重量%である。ポリエステルフィルム中
の環状三量体の含有率を0.1重量%未満にすること
は、非液晶性ポリエステル(A)の原料チップ中の環状
3量体が通常0.1重量%以上であるため、非常に難し
い。
【0047】また、環状三量体の含有率が1.0重量%
より大きいと、製膜時のオリゴマー汚れが顕著となり、
フィルム品質や工程管理上の問題となるので好ましくな
い。尚、本発明のポリエステルフィルム中には、非液晶
性ポリエステル(A)と共重合ポリエステル(B)以外
に本発明の効果を阻害しない範囲であれば、非液晶性ポ
リエステル(A)と共重合ポリエステル(B)の相溶化
剤、可塑剤、耐候剤、酸化防止剤、熱安定剤、滑剤、帯
電防止剤、増白剤、着色剤、導電剤などを添加してもか
まわない。相溶化剤については、平均屈折率が前記非液
晶性ポリエステル(A)とポリマー(B)の中間の値で
ある相溶化剤がポリエステルフィルムの機械特性および
表面特性の向上の点で好ましい。
【0048】また、本発明のポリエステルフィルムは単
膜でもよいが、片面に他のポリマー層、例えばポリエス
テル、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリ塩化ビニリデ
ン、アクリル系ポリマーなどを積層してもよい。また、
易接着性、帯電防止性を付与するために、少なくとも片
面にコーティング層を設けることも好ましく行うことが
できる。
【0049】本発明のポリエステルフィルムは、未延
伸、未配向フィルムでもよいが、公知の方法により一軸
あるいは二軸延伸、熱固定した配向フィルムとすること
が好ましい。フィルムのヤング率、表面易滑性、耐磨耗
性、透明性、電気特性などがより顕著に向上するからで
ある。尚、本発明で対象とするフィルムの厚みは0.5
〜300μmであるが、好ましくは1〜100μm、さ
らに好ましくは2〜30μmであり、特に磁気テープ用
途では2〜10μmが好ましい。
【0050】ポリマー(B)の分散ドメインのQsをQ
cよりも小さくするには、非液晶性ポリエステル(A)
とポリマー(B)からなる樹脂組成物を、下記(1) 、
(2) 、(3) を満足する条件で溶融押出成形した後、長手
方向に3〜10倍、幅方向に3〜10倍の倍率で延伸
し、かかる後に150℃以上、該非液晶性ポリエステル
(A)の融点未満の温度で熱固定することが好ましい。
本発明では、少なくとも(1)を満足する条件で押出成形
する必要があり、(2) 、(3) の条件を組み合わせると、
本発明で目的とするポリエステルフィルムがさらに得ら
れ易くなるので好ましい。
【0051】(1) 押出成形温度を、該非液晶性ポリエ
ステル(A)の降温時の結晶化開始温度以上、融点以下
に設定。
【0052】(2) キャスト時のドラフト比を3〜50
に設定する。
【0053】(3) ランド部の長さが10〜70mmの
口金を使用。
【0054】押出成形温度は、非液晶性ポリエステル
(A)の(降温時の結晶化開始温度+2℃)以上、(融
点−2℃)以下がより好ましく、(降温時の結晶化開始
温度+5℃)以上、(融点−5℃)以下がさらに好まし
い。溶融成形温度が非液晶性ポリエステル(A)の融点
を越えると、QsがQcよりも小さいフィルムが得られ
にく、また、溶融成形温度が非液晶性ポリエステル
(A)の降温時の結晶化開始温度未満ではポリマーの固
化によりトラブルが生じるので好ましくない。尚、本発
明でいう押出成形温度とは、Tダイ内部の中央部のポリ
マー温度である。
【0055】Tダイによりシート状に押出す時のドラフ
ト比は、5〜30がより好ましく、最も好ましくは7〜
20である。ドラフト比が3未満であると、共重合ポリ
エステルの分散ドメインが、表層と中央層で共に球状、
偏球状となり、フィルム表層部と中央層部のアスペクト
比が同等になるので好ましくない。一方、ドラフト比が
50を越えると、表層と中央層で共に繊維状または層状
になって、フィルム表層部と中央層部のアスペクト比の
比率Qc/Qsが小さくなるので好ましくない。Tダイ
の口金ランド部の長さは15〜50mmにすることがよ
り好ましく、20〜40mmがさらに好ましい。口金ラ
ンド部の長さが10mm未満では、本発明で目的とす
る、QsがQcよりも小さいフィルムが得られにくいの
で好ましくない。また、口金ランド部の長さが70mm
を越えると、厚み調整が困難になってフィルムの品質が
低下するばかりでなく、薄物のフィルムではフィルム破
れも多発し易いので好ましくない。尚、ポリマー(B)
からなる分散ドメインのQcおよびQsの大小関係は、
溶融ポリマーの冷却速度にも影響を受けるので、これら
を後述する好ましい条件に設定しておくことが重要であ
る。
【0056】次に、本発明のポリエステルフィルムを製
造する方法について説明するが、本発明がかかる例に限
定されないことは無論である。
【0057】ここでは非液晶性ポリエステル(A)とし
てポリエチレンテレフタレート、該非液晶性ポリエステ
ル(A)と相分離構造を形成するポリマー(B)として
pーヒドロキシ安息香酸60モル%とポリエチレンテレ
フタレート40モル%の共重合ポリエステルを用いた例
を示すが、使用するポリエステルにより製造条件は異な
る。常法に従って、テレフタル酸とエチレングリコール
からエステル化し、または、テレフタル酸ジメチルとエ
チレングリコールをエステル交換により、ビス−β−ヒ
ドロキシエチルテレフタレート(BHT)を得る。次に
このBHTを重合槽に移行しながら、真空下で280℃
に加熱して重合反応を進める。ここで、固有粘度が0.
5程度のポリエステルを得る。得られたポリエステルを
ペレット状で減圧下において固相重合する。固相重合す
る場合は、あらかじめ180℃以下の温度で予備結晶化
させた後、190〜250℃で1mmHg程度の減圧
下、10〜50時間固相重合し、使用する共重合ポリエ
ステルの溶融粘度の5倍以上になるように重合度を上昇
させる。
【0058】次に、該高粘度のポリエチレンテレフタレ
ートと共重合ポリエステルをドライブレンドした原料
や、これらを一旦溶融・混練し共重合ポリエステルを微
分散化させたマスター原料、さらには本発明のフィルム
の回収原料を単独、または適度に上記2〜3種類の原料
を混合した原料を、180℃で3時間以上真空乾燥した
のち、固有粘度が低下しないように窒素気流下、あるい
は真空下で280℃に加熱された単軸または二軸押出機
に供給し、各種の方法により製膜する。この時、押出機
のスクリュー剪断速度(=πDN/h、D:スクリュー
直径、N:スクリュー回転数、h:スクリュー計量部の
溝深さ)は20秒ー1以上とする。スクリュー剪断速度
は、50秒ー1以上がより好ましいが、300秒ー1以
上に大きくすると、剪断発熱によってポリマーが熱分解
ゲル化したり、オリゴマー量が増加するので好ましくな
い。口金内部のポリマー温度、ドラフト比、口金のラン
ド長は、前記(1) 〜(3) で示した条件に設定すると、共
重合ポリエステルの分散ドメインのL/Dが、中央層部
よりも表層部で小さくなり易いので好ましい。ここで、
キャスト時のポリマーの冷却速度は、150℃/秒以上
の冷却速度が好ましく、エアーや水でフィルムを直接冷
却し、フィルムの冷却速度をコントロールすることも好
適に行うことができる。フィルム中央層よりもフィルム
表層を早く冷却すると、共重合ポリエステルの分散ドメ
インのQc/Qsが大きくなるので好ましい。
【0059】また、溶融押出では異物を除去するため
に、各種のフィルター、例えば焼結金属、多孔性セラミ
ックス、サンド、金網などを用いることが好ましい。こ
の時、フィルター通過時の剪断速度は10秒ー1以下の
低いものであり、固有粘度の高い非液晶性ポリエステル
(A)のみでは濾過通過時の圧力が高くなるが、本発明
で開示する共重合ポリエステルを添加することにより、
濾過時の圧力を実用範囲まで低下させ易くなる。共重合
ポリエステルの添加のみでは濾過時の圧力が充分に低下
しない場合は、公知の低圧損タイプのフィルターを用い
ることが好ましい。
【0060】その後、シート状のキャストフィルムを8
0〜180℃の加熱ロール群で加熱し、縦方向に3〜1
0倍に1段もしくは2段以上の多段で延伸し、20〜5
0℃の冷却ロール群で冷却する。続いて、公知のテンタ
ーに導いて、該フィルムの両端をクリップで把持しなが
ら、80〜180℃に加熱された熱風雰囲気中で加熱
し、横方向に3〜10倍に1段もしくは2段以上の多段
で延伸する。続いて、該フィルムに150℃以上、ポリ
エチレンテレフタレートの融点未満の温度で熱固定を施
す。熱固定は緊張下または1.05〜1.5の微延伸下
で行ってもよく、また熱寸法安定性をさらに向上させる
ために、縦または/および幅方向に弛緩することも好ま
しく行なわれる。また、必要に応じ、熱固定を行う前
に、再縦延伸および/または再横延伸を行うこともでき
る。
【0061】
【物性の測定方法ならびに効果の評価方法】
(1)固有粘度 25℃で、オルトクロロフェノール中0.1g/ml濃
度で測定した値である。単位は[dl/g]で示す。
【0062】(2)溶融粘度 高下式フローテスターを用いて、280℃、剪断速度1
00秒−1の時の値を測定した。単位は[Pa・秒]で
表す。
【0063】(3)融点、降温結晶化開始温度 パーキンエルマー社製のDSC(示差走査熱量計)II
型を用いて測定した。試料10mgをDSC装置にセッ
トし、300℃の温度で5分間溶融した後、液体窒素中
で急冷する。この試料を10℃/分で昇温し、ガラス転
移点、冷結晶化温度を検知した後、さらに昇温を続け、
結晶融解に基づく吸熱ピーク温度を融点Tmとした。ま
た、300℃の溶融状態から10℃/分で降温し、結晶
化が始まり発熱が生じる温度を降温結晶化開始温度Tm
cs、結晶化発熱ピーク温度を降温結晶化温度Tmcと
した。
【0064】(4)ビカット軟化温度 JIS−K7206記載の方法に従って、ビカット軟化
温度を測定した。
【0065】(5)ヤング率 テンシロン型引張試験(オリエンテック社製)に幅10
mm、チャック間長さ100mmになるようにサンプル
をセットし、23℃、65%RHの雰囲気下で引張速度
200mm/分で引張試験を行い求めた。
【0066】(6)表面粗さRa 小坂研究所製の高精度薄膜段差測定器ET−10を用い
て、表面粗さRaを測定した。条件は下記のとおりであ
り、フィルム幅方向に走査して20回測定した時の平均
値をもって値とした。
【0067】 ・触針先端半径:0.5μm ・触針荷重 :5mg ・測定長 :1mm ・カットオフ値:0.08mm 尚、Raの定義は、例えば、奈良治郎著「表面粗さの測
定・評価法」(総合技術センター、1983)に示され
ているものである。
【0068】(7)耐磨耗性、動摩擦係数 フィルムを幅1/2インチのテープ状にスリットしたも
のをテープ走行試験機を用いてステンレス製ガイドピン
(表面粗度:Raで100nm)上を走行させる(走行
速度250m/分、巻き付け角60゜、出側張力90
g、走行回数1回)。この時、フィルムに入った傷を顕
微鏡で観察し、幅2.5μm以上の傷がテープ幅あたり
2本未満は優、2本以上10本未満は良、10本以上は
不良と判定した。この耐磨耗性は優が望ましいが、良で
も実用的には使用可能である。
【0069】また、この時、初期のμkを下記の式によ
り求めた。
【0070】μk=2.20log(90/T) ここで、Tは入側の張力である。このμkが0.30以
下だと滑り性良好、0.30を越えると滑り性不良と判
断した。このμk値0.30は、印刷工程など加工工程
で滑り性不良によるトラブルが発生するか否かの臨界点
である。
【0071】(8)ポリマー(B)の分散ドメインの形
状指数I,J,K、平均長径L、平均短径D、アスペク
ト比Qs、Qc ポリエステルフィルムを(1) 長手方向に平行かつフィル
ム面に垂直な方向、(2) 幅方向に平行かつフィルム面に
垂直な方向、(3) フィルム面に対して平行な方向に切断
し、その切断面を透過型電子顕微鏡(TEM)で観察す
る。(1) の切断面に現れるポリマー(B)のドメインの
フィルムの厚み方向の最大長さ(la)と長手方向の最
大長さ(lb)、(2) の切断面に現れるポリマー(B)
のドメインのフィルムの厚み方向の最大長さ(lc)と
幅方向の最大長さ(ld)、および(3) の切断面に現れ
るポリマー(B)のドメインの長手方向の最大長さ(l
e)と幅方向の最大長さ(lf)を、直接観察または顕
微鏡写真により、フィルムの表層と中央層に対して各々
求める。尚、これらla、lb、lc、ld、le、l
fは、各切断面の表層および中央層の各層に分布する分
散ドメインを無作為に用い、100個のドメインに対し
て求めた(図1、2)。相分離構造を形成するドメイン
と非液晶性ポリエステルの境界は、TEM画像の濃淡に
より判断し、境界部分が幅を有すると認められる場合に
は非液晶性ポリエステルまたはポリマー(B)と判断で
きる2点の中心の位置を境界とした(図2)。また、ポ
リマー(B)のドメイン内部にも、ミクロ相分離構造な
どにより濃淡が認められる場合には、非液晶性ポリエス
テルに対するポリマー(B)の全体の輪郭部を境界部と
して境界を決めた。
【0072】次いで、ポリマー(B)の分散ドメインの
形状指数I,J,Kを求める。Iは(lbの平均値+l
eの平均値)/2、Jは(ldの平均値+lfの平均
値)/2、Kは(laの平均値+lcの平均値)/2と
した。平均長径Lと平均短径Dは、上記I,J,Kと前
記(1)式および(2)式により決定し、その比率L/
Dをアスペクト比とした。また、フィルム表層部のアス
ペクト比Qsと中央層でのアスペクト比Qcの比率Qc
/Qsは、フィルムの表裏で2つある表層部のQsを比
較して、小さい方のL/DをQsとして採用し求めた。
【0073】尚、分散ドメインがポリマーであるか否か
は、フィルムと本フィルムを再度、溶融押出して得られ
るキャストフィルムの分散ドメインの形状指数の比較に
より行う。本発明では、上記形状指数の少なくとも一つ
が10%以上変化する時に、分散ドメインがポリマーで
あると判断する。
【0074】
【実施例】本発明を実施例、比較例に基づいて説明す
る。
【0075】実施例1(表1〜3) 非晶性ポリエステル(A)として、固有粘度0.63
(dl/g)の無粒子系のポリエチレンテレフタレート
原料(融点258℃、降温結晶化開始温度230℃)を
用いた。ポリマー(B)としては、下記原料から重縮合
した共重合ポリエステルA(融点250℃、ビカット軟
化点165℃、液晶開始温度215℃、溶融粘度10P
a・秒)を用いた。
【0076】 [共重合ポリエステルAの原料] 共重合モル比 ヒドロキシ安息香酸 72.5 4、4´ージヒドロキシビフェニル 7.5 エチレングリコール 20.0 テレフタル酸 27.5 該ポリエチレンテレフタレート80重量%、共重合ポリ
エステルA20.0重量%を乾燥した後、二軸混練機で
溶融混練し、共重合ポリエステルAを約1μmのサイズ
に微分散させたマスターチップを作成した。次いで該ポ
リエチレンテレフタレート50.0重量%、上記共重合
ポリエステルAの20%マスターチップ50.0重量%
を乾燥し、該混合体を長さと直径の比が28のバリアフ
ライトスクリューを備えた150mm単軸押出機に供給
し、285℃にて、スクリュー剪断速度100秒ー1で
溶融混合計量させた後、繊維焼結ステンレス金属フィル
ター(5μmカット)内を剪断速度10秒ー1で通過さ
せた後、Tダイ内部のポリマー温度を240℃に設定し
て、口金ランド長が30mmのTダイを用いて、ドラフ
ト比10でシート状に押出成形し、25℃に保たれた冷
却ドラムに静電荷を印加させながら密着冷却固化した。
尚、この時のポリマーの冷却速度はエアーチャンバーを
使用して300℃/秒にコントロールした。続いて、該
キャストフィルムを長手方向にロール式延伸機にて95
℃で4倍延伸した後、テンターに導入し、95℃で4倍
延伸後、一旦60℃に冷却した後、230℃で熱固定し
て、厚さ25μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得
た。かくして得られたフィル中での共重合ポリエステル
Aのモルフォロジーを表2に、フィルム特性を表3に示
す。共重合ポリエステルの個々の分散ドメインは、表層
部で球型または小判型、中央層部で繊維または小判型で
あり、分散ドメイン全体の形状は、表層で偏球状、中央
層で小判状であった。フィルムのQc/Qsは10であ
り、高ヤング率を有し、かつ表面易滑性、耐磨耗性に優
れた高品質のポリエステルフィルムが得られた。
【0077】
【表1】
【表2】
【表3】 実施例2〜7、比較例1〜3(表1〜3) PETの固有粘度、共重合ポリエステルAの添加量、溶
融粘度およびキャスト条件(口金内部のポリマー温度、
ドラフト比)を変更し、実施例1と同様に製膜し、ポリ
エステルフィルムを得た。本実施例および比較例では、
長手方向の延伸温度、倍率を115℃、4.5倍、幅方
向の延伸温度・倍率を130℃、5.0倍とした。
【0078】PETの固有粘度を高くすると、中央層で
のドメイン配向が高まってQc/Qsの値が大きくな
り、実施例1よりも高ヤング率のポリエステルフィルム
が得られた(実施例2、3)。また、添加量、共重合ポ
リエステルAの溶融粘度、溶融押出温度を変更した場合
においても、PETの融点以下、降温結晶化開始温度以
上で溶融押出を行うと、共重合ポリエステルAのQc/
Qsの値が大きくなり、高ヤング率かつ表面特性に優れ
たポリエステルフィルムが得られた(実施例4〜7)。
【0079】これに対して、PETの溶融押出を290
℃、すなわち通常の押出温度であるPETの融点以上の
温度で行うと、Qc/Qsが1になり、所望のポリエス
テルフィルムが得られなかった。キャスト時のドラフト
比が小さいと、フィルム表層と中央層共に、共重合ポリ
エステルAの分散ドメインが偏球状となり、低いヤング
率のフィルムしか得られなかった(比較例1)。また、
PETの融点以上のポリマー温度でドラフト比を大きく
してキャストすると、共重合ポリエステルAは、フィル
ム表層と中央層で共に繊維状の分散ドメインを形成し、
フィルムの表面特性が悪化した(比較例2、3)。
【0080】実施例8(表1〜3) 非晶性ポリエステル(A)として、固有粘度0.63
(dl/g)の無粒子系のポリエチレンテレフタレート
原料を用いた。ポリマー(B)としては、下記原料から
重縮合した共重合ポリエステルB(融点210℃、ビカ
ット軟化点140℃、液晶開始温度185℃、溶融粘度
3Pa・秒)を用いた。
【0081】 [共重合ポリエステルBの原料] 共重合モル比 ヒドロキシ安息香酸 42.5 4、4´ージヒドロキシビフェニル 7.5 エチレングリコール 50.0 テレフタル酸 57.5 該ポリエチレンテレフタレート98.0重量%、共重合
ポリエステルB2.0重量%を乾燥し、該混合体を長さ
と直径の比が28、スクリュー先端にミキシング部を有
するバリアフライトスクリューを備えた150mm単軸
押出機に供給し、285℃にて、スクリュー剪断速度1
00秒ー1で溶融混合計量させた後、繊維焼結ステンレ
ス金属フィルター(1μmカット)内を剪断速度10秒
ー1で通過させた後、ランド長30mmのTダイを用い
て、ポリマー温度240℃、ドラフト比10でシート状
に押出成形し、25℃に保たれた冷却ドラムに静電荷を
印加させながら密着冷却固化した。尚、この時のポリマ
ーの冷却速度はエアーチャンバーを使用して300℃/
秒にコントロールした。その後、実施例1同様に、逐次
二軸延伸および熱処理を施して、二軸配向ポリエステル
フィルムを得た。共重合ポリエステルBは前記実施例で
使用した共重合ポリエステルAよりも微分散性が良好で
あり、かくして得られたフィルムは、高ヤング率でかつ
表面易滑性と耐磨耗性を有した高品質のポリエステルフ
ィルムであった。
【0082】実施例9〜11、比較例4、5(表1、
3) PETの固有粘度、共重合ポリエステルBの添加量、押
出キャスト条件(ポリマー温度、ドラフト比)を変更
し、実施例8と同様に製膜して、ポリエステルフィルム
を得た。本実施例および比較例では、長手方向の延伸温
度、倍率を115℃、4.5倍、幅方向の延伸温度・倍
率を130℃、5.0倍とした。実施例1〜3で見られ
た高分子量化による傾向は、共重合ポリエステルBを用
いた場合においても同様であった。固有粘度が1.0お
よび1.4という、より高い固有粘度のPETを使用す
ると、共重合ポリエステルBの分散ドメインはより小さ
くなり、ポリエステルフィルムのヤング率が向上した
(実施例9、10)。また、共重合ポリエステルBの添
加量を0.5重量%に少なくすると、フィルムのヤング
率は幾分小さくなったが、この場合においても、表面特
性に優れた高品質のポリエステルフィルムが得られた
(実施例11)。
【0083】一方、溶融押出時のポリマー温度をPET
の融点以上に設定すると、共重合ポリエステルBのアス
ペクト比の比率Qc/Qsが1となり、本発明のフィル
ムが得られなかった。分散性良好な共重合ポリエステル
Bを使用しているため、表面粗さの小さいフィルムが得
られたが、ヤング率が小さく、表面特性も不良であった
(比較例4、5)。
【0084】実施例12、13 非液晶性ポリエステル(A)として、固有粘度0.62
のポリエチレンー2、6ーナフタレート(PEN:融点
262℃)を使用して、実施例1または8と同様の方法
で製膜し二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。本実施
例では、長手方向の延伸温度、倍率を135℃、5.0
倍、幅方向の延伸温度・倍率を140℃、5.0倍とし
た。かくして得られたフィルムでは、共重合ポリエステ
ルAまたはBの分散ドメインが実施例1、8のPETフ
ィルムよりも小さくなった。また、フィルム表層と中央
層における分散ドメインのアスペクト比の比率Qc/Q
sが大きくなり、高ヤング率でかつ優れた表面特性を有
するポリエステルフィルムが得られた。
【0085】
【発明の効果】本発明は、非液晶性ポリエステル(A)
と該非液晶性ポリエステル(A)と相分離構造を形成す
るポリマー(B)からなるポリエステルフィルムにおい
て、フィルム表層と中央層における該ポリマー(B)の
分散ドメインの形状を制御し、フィルムの剛性、表面易
滑性、耐磨耗性を改良して品質向上を図るものであり、
磁気記録用、電気絶縁用、感熱転写リボン用、感熱孔版
印刷用、包装用など各種フィルム用途に広く活用が可能
である。
【図面の簡単な説明】
【図1】フィルム断面のTEM写真の模式図であり、ポ
リマー(B)の各ドメインに濃淡があり、個々の分散ド
メインの形にもむらがある場合を例示した。非液晶性ポ
リエステル(A)は図中の白色部、ポリマー(B)は相
分離している分散ドメインに対応する。
【図2】フィルム面に平行な切断面に現れるポリマー
(B)の分散ドメインの模式図であり、非液晶性ポリエ
ステル(A)との境界が幅を有すると認められる場合を
例示した。
【符号の説明】
Ls‥‥境界の幅の半分の長さ le‥‥分散ドメインのフィルムの長手方向の最大長さ lf‥‥分散ドメインのフィルムの幅方向の最大長さ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI B29K 67:00 B29L 7:00 9:00

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】非液晶性ポリエステル(A)と該非液晶性
    ポリエステル(A)中で相分離構造を形成するポリマー
    (B)からなり、少なくとも一方のフィルム表層部にお
    けるポリマー(B)の分散ドメインの平均長径Lと平均
    短径Dのアスペクト比L/Dがフィルム中央層部におけ
    る分散ドメインのL/Dよりも小さいことを特徴とする
    ポリエステルフィルム。
  2. 【請求項2】ポリマー(B)の分散ドメインのフィルム
    表層部のL/D(=Qs)とフィルム中央層部のL/D
    (=Qc)の比率Qc/Qsが2以上、300以下であ
    ることを特徴とする請求項1記載のポリエステルフィル
    ム。
  3. 【請求項3】フィルム表層部におけるポリマー(B)の
    分散ドメインのQsが1〜20であり、平均長径Lが
    0.01〜3μmであることを特徴とする請求項1また
    は2記載のポリエステルフィルム。
  4. 【請求項4】ポリマー(B)が非液晶性ポリエステル
    (A)の融点よりも少なくとも20℃低いビカット軟化
    温度を有するポリマーであることを特徴とする請求項1
    〜3のいずれかに記載のポリエステルフィルム。
  5. 【請求項5】ポリマー(B)が主鎖にメソゲン基を含有
    する共重合ポリエステルであることを特徴とする請求項
    1〜4のいずれかに記載のポリエステルフィルム。
  6. 【請求項6】主鎖中のメソゲン基の共重合量が5〜95
    モル%であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか
    に記載のポリエステルフィルム。
  7. 【請求項7】ポリマー(B)をポリエステルフィルム中
    に0.01〜40重量%含有することを特徴とする請求
    項1〜6のいずれかに記載のポリエステルフィルム。
  8. 【請求項8】非液晶性ポリエステル(A)とポリマー
    (B)の溶融粘度比(ηA/ηB)が5以上であること
    を特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のポリエス
    テルフィルム。
  9. 【請求項9】ポリマー(B)が下記(I)、(III )お
    よび(IV)の構造単位からなる共重合ポリエステル、
    (I)、(II)および(IV)の構造単位からなる共重合
    ポリエステル、(I)、(II)、(III )および(IV)
    の構造単位からなる共重合ポリエステルから選ばれた少
    なくとも一種であることを特徴とする請求項1〜8のい
    ずれかに記載のポリエステルフィルム。 【化1】 (但し、式中のR1は、 【化2】 から選ばれた一種以上の基を示し、R2は、 【化3】 から選ばれた一種以上の基を示す。また、式中Xは水素
    原子または塩素原子を示し、構造単位[((II)+(II
    I )]と構造単位(IV)は実質的に等モルである。)
  10. 【請求項10】前記非液晶性ポリエステル(A)の固有
    粘度が0.6以上であることを特徴とする請求項1〜9
    のいずれかに記載のポリエステルフィルム。
  11. 【請求項11】前記非液晶性ポリエステル(A)が、ポ
    リエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート
    およびそれらの変性体よりなる群から選ばれた少なくと
    も一種であることを特徴とする請求項1〜10のいずれ
    かに記載のポリエステルフィルム。
  12. 【請求項12】該ポリエステルフィルムの長手方向と幅
    方向のヤング率の和が8〜30GPaであることを特徴
    とする請求項1〜11のいずれかに記載のポリエステル
    フィルム。
  13. 【請求項13】フィルムの表面粗さRaが0.5〜10
    0、動摩擦係数μkが0.3以下であることを特徴とす
    る請求項1〜12のいずれかに記載のポリエステルフィ
    ルム。
  14. 【請求項14】ポリエステルフィルムが一軸または二軸
    に配向されたフィルムであることを特徴とする請求項1
    〜13のいずれかに記載のポリエステルフィルム。
  15. 【請求項15】非液晶性ポリエステル(A)と、該非液
    晶性ポリエステル(A)とブレンドした場合に相分離構
    造を形成するポリマー(B)からなる樹脂組成物を、該
    非液晶性ポリエステル(A)の降温結晶化開始温度以
    上、融点以下の温度条件で溶融押出成形した後、長手方
    向に3〜10倍、幅方向に3〜10倍の倍率で延伸し、
    しかる後に150℃以上、該非液晶性ポリエステル
    (A)の融点未満の温度で熱固定することを特徴とする
    ポリエステルフィルムの製造方法。
  16. 【請求項16】ランド部の長さが10〜70mmの口金
    を使用し、キャスト時のドラフト比を3〜50とするこ
    とを特徴とする請求項15記載のポリエステルフィルム
    の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2010018789A (ja) * 2008-06-09 2010-01-28 Toray Ind Inc ポリエステルフィルム
JP2015199889A (ja) * 2014-04-10 2015-11-12 旭化成ケミカルズ株式会社 成形体

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