JP5265902B2 - ポリエステル組成物 - Google Patents

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Description

本発明は6,6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸を共重合したポリエステル組成物およびそれを用いたフィルムに関する。
ポリエチレンテレフタレートやポリエチレン−2,6−ナフタレートに代表されるポリエステルは優れた機械的特性、寸法安定性および耐熱性を有することから、フィルムなどに幅広く使用されている。特にポリエチレン−2,6−ナフタレートは、ポリエチレンテレフタレートよりも優れた機械的特性、寸法安定性および耐熱性を有することから、それらの要求の厳しい用途、例えば高密度磁気記録媒体などのベースフィルムなどに使用されている。しかしながら、近年の高密度磁気記録媒体などでの寸法安定性の要求、特に温度や湿度変化に対する寸法安定性の要求が高くなってきており、さらなる特性の向上が求められている。
ところで、温度や湿度の変化に対する寸法変化を小さくするには温度膨張係数や湿度膨張係数を小さくすることが必要で、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレン−2,6−ナフタレートの場合、湿度膨張係数と温度膨張係数はともにヤング率と非常に密接な関係にあり、ヤング率が高いほど一般的に低くなる。ヤング率を高める方法としては、延伸倍率を高めるなどして分子配向を高める方法や充填剤などを含有させる方法(特許文献1〜4)がある。しかしながら、前者の方法は、延伸倍率を高めていくにつれて苛酷な条件となり根本的な解決とはならず、また、後者の方法では、ヤング率は確かに高められるものの温度膨張係数や湿度膨張係数に対しては効果がなかった。
一方、特許文献5〜7には6,6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸のエステル化合物であるジエチル−6,6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエートから得られるポリアルキレン−6,6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエートが提案されている。該公報によると、結晶性で、融点が294℃のポリエチレン−6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエートが具体的に提示されている。
しかしながら、これら特許文献で提示されたポリアルキレン−6,6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエートは、融点が非常に高く、また結晶性も非常に高いことからフィルムなどに製膜しようとすると、溶融状態での流動性に乏しくて押出しが不均一化したり、押出した後延伸しようとしても結晶化が進んで高倍率で延伸すると破断したりするなどの問題があった。また、湿度膨張係数は非常に小さいものの、温度膨張係数が非常に高いという問題もあった。ちなみに、特許文献4の実施例1に開示されたフィルムを見ると、ヤング率は製膜方向が485kg/mm、幅方向が1110kg/mmもあるものの、温度膨張係数は16.5〜19ppm/℃と、ヤング率に関係なく非常に高い値を示していた。
特開平6−128466号公報 特開平1−144452号公報 特開2003−82202号公報 特開2002−225198号公報 特開昭60−135428号公報 特開昭60−221420号公報 特開昭61−145724号公報
本発明の目的は、フィルムなどの成形体にしたときにより高度のヤング率とより低い湿度膨張係数とを発現させることができる新規なポリエステル組成物を提供することにある。
本発明者は、6,6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸成分を共重合成分として用いたとき、驚くべきことにポリアルキレン−6,6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエートとその共重合相手であるポリエステルの両方の優れた特性を兼備するフィルムが得られるとの知見を得た。そして、この6,6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸成分を共重合成分として用いたポリエステルに一次粒子の面積円相当平均径が100nm未満の粒子を含有させると、同じ延伸倍率でもヤング率の高いフィルムや繊維などの成形体が得られることを、見出し本発明に到達した。
かくして本発明によれば、酸成分が下記構造式(I)および(II)からなり、下記構造式(I)の割合が、全酸成分のモル数を基準として、5モル%以上45モル%以下の範囲にあること、およびグリコール成分が下記構造式(III)であることを具備するポリエステルと、一次粒子の面積円相当平均径が100nm未満の粒子とを含有し、該粒子の含有量が、組成物の重量を基準として、0.05〜10重量%であるポリエステル組成物が提供される。
Figure 0005265902
(上記構造式(I)中のRは炭素数1〜10のアルキレン基を、上記構造式(II)中のRはフェニレン基またはナフタレンジイル基、上記構造式(III)中のRは炭素数2〜4のアルキレン基を示す。)
さらに本発明によれば、本発明のポリエステル組成物の好ましい態様として、一次粒子の面積円相当平均径が100nm未満の粒子の含有量が、組成物の重量を基準として、0.05〜重量%であること、粒子がベーマイト、アルミナ、シリカからなる群より選ばれる少なくとも一種の粒子であることの少なくともいずれか一つを具備するポリエステル組成物も提供される。
本発明によれば、ポリアルキレン−6,6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエートの優れた湿度膨張係数が小さいという特性を維持しつつ、製膜性を高度に高めることができ、その結果驚くべきことに従来の技術から予測できない優れた温度膨張係数が低いという寸法安定性をも同時に具備するポリエステル組成物が得られ、しかも該ポリエステル組成物に、一次粒子の面積円相当平均径が100nm未満の微細な粒子を含有させることで、同じ延伸条件ならより高いヤング率を有するフィルムや繊維などの成形体に形成することができる。
したがって、本発明によれば、湿度と温度による影響も加味した高度の寸法安定性と高ヤング率とが求められる用途、特に高密度磁気記録媒体のベースフィルムに適したフィルム用のポリエステル組成物が提供される。
<ポリエステル組成物>
本発明のポリエステル組成物を形成するポリエステルは、酸成分が前述の構造式(I)と構造式(II)からなり、グリコール成分が前述の構造式(III)からなる。
前述の構造式(I)で示される具体的な酸成分としては、Rの部分が炭素数1〜10のアルキレン基であるものであり、好ましくは6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸成分、6,6’−(トリメチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸成分および6,6’−(ブチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸成分などが挙げられ、これらの中でも本発明の効果の点からは、上記一般式(I)におけるRの炭素数が偶数のものが好ましく、特にRの炭素数が2である6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸成分が好ましい。
前述の構造式(II)で示される酸成分としては、テレフタル酸成分、イソフタル酸成分、2,6−ナフタレンジカルボン酸成分、2,7−ナフタレンジカルボン酸成分などが挙げられる。これらの中でも、機械的特性などの点からテレフタル酸成分、2、6−ナフタレンジカルボン酸成分が好ましく、特に2、6−ナフタレンジカルボン酸成分が好ましい。
また、前述の構造式(III)で示される具体的なグリコール成分としては、エチレングリコール成分、トリメチレングリコール成分、テトラメチレングリコール成分などが挙げられ、機械的特性などの点からグリコール酸成分の90モル%以上はエチレングリコール成分であることが好ましく、さらに95〜100モル%がエチレングリコール成分であることが好ましい。
ところで、本発明の特徴の一つは、ポリエステルの酸成分の内、全酸成分のモル数を基準として、5〜80モル%の範囲で上記構造式(I)で示される6,6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸成分が共重合されていることである。6,6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸成分の割合が下限未満では、湿度膨張係数の低減効果などが発現されがたい。一方、上限は成形性などの観点から80モル%以下が好ましく、さらに50モル%未満であることが好ましい。また、驚くべきことに、6,6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸成分による湿度膨張係数の低減効果は、少量で非常に効率的に発現され、50モル%未満の部分ですでに特許文献3の実施例に記載されたフィルムと同等もしくはそれ以下の湿度膨張係数が達成されており、上限以上添加しても湿度膨張係数の観点からの効果は飽和状態になるともいえる。そのような観点から、好ましい6,6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸成分の共重合量の上限は、45モル%以下、さらに40モル%以下、よりさらに35モル%以下、特に30モル%以下であり、他方下限は、5モル%以上、さらに7モル%以上、よりさらに10モル%以上、特に15モル%以上である。
このような特定量の6,6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸成分を共重合したポリエステルを用いることで、温度膨張係数と湿度膨張係数も小さい成形品、例えばフィルムなどを製造することができる。
本発明におけるポリエステルは、本発明の効果を阻害しない範囲で、それ自体公知の他の共重合成分を共重合しても良いし、また、ポリエーテルイミドや液晶性樹脂などをブレンドしてもよい。
つぎに、本発明におけるポリエステルは、DSCで測定した融点が、200〜260℃の範囲、さらに210〜255℃の範囲、特に220〜253℃の範囲にあることが製膜性の点から好ましい。融点が上記上限を越えると、溶融押し出しして成形する際に、流動性を高めるにはより高温にすることが必要となって熱劣化しやすくなり、他方溶融温度を低くすると流動性が劣り、吐出などが不均一化しやすくなる。一方、上記下限未満になると、製膜性は優れるものの、ポリエステルの持つ機械的特性などが損なわれやすくなる。なお、通常他の酸成分を共重合して融点を下げれば、同時に機械的特性などが低下するが、製膜性が向上するためか、機械的特性なども優れたものとすることができる。
また、本発明におけるポリエステルは、DSCで測定したガラス転移温度(以下、Tgと称することがある。)が、90〜119℃の範囲、さらに95〜118℃の範囲、特に100〜117℃の範囲にあることが、耐熱性や寸法安定性の点から好ましい。なお、このような融点やガラス転移温度は、共重合成分の種類と共重合量、そして副生物であるジアルキレングリコールの制御などによって調整できる。
ところで、本発明のポリエステル組成物は、成形体としたときにより高いヤング率を発現させる点から、一次粒子の面積円相当平均径の上限が100nm未満である粒子を含有することが必要であり、好ましくは一次粒子の面積円相当平均径の上限が50nm未満である粒子を含有することが好ましい。このような微細な粒子がポリエステル組成物中に分散されていることで、分子鎖の動きが拘束されるためか、ヤング率などの機械的物性を向上させることができる。一方、含有する粒子の一次粒子の面積円相当径の下限は、通常0.5nm以上であり、一次粒子の凝集を抑えてより高度にヤング率の向上効果を発現させやすいことから1.0nm以上、さらに5nm以上であることが好ましい。なお、本発明における一次粒子とは、後述の透過型電子顕微鏡観察により、それ以上分離できない最小単位の粒子として観察されるものであり、一次粒子の面積円相当平均径は後述のとおりそれぞれ直交する3方向から観察した一次粒子の面積円相当径を平均化したものである。
また、本発明のポリエステル組成物は、得られる成形品のヤング率を向上させる観点から、前述のの粒子を、ポリエステル組成物の重量を基準として、0.05重量%以上、好ましくは0.07重量%以上、さらに好ましくは0.1重量%以上含有していることが好ましい。含有量が下限未満では、粒子の数が少なく、ヤング率の向上効果も十分に発現されがたい。なお、含有量の上限は、通常、高密度磁気記録媒体のベースフィルムとして用いる場合は、フィルム表面の平坦性をより高度に維持しやすいことから、ポリエステル組成物の重量を基準として、10重量%以下、さらに5重量%以下であることが好ましい。なお、一次粒子の面積円相当径が100nm以上もしくは50nm以上の粒子が混在する場合、一次粒子の面積円相当平均径が上限以下の粒子の含有量は以下のように算出する。まず、横軸を一次粒子の面積円相当径、縦軸を一次粒子の頻度とした粒度分布のチャートを作成し、ピークと隣接するピークの半分以下でかつもっとも頻度の低くなる谷部とを抽出し、隣接する谷部の間に含まれる一次粒子を一つの粒子の群として判断する。そして、前述の一次粒子の面積円相当平均径を満足する粒子群の含有量を、一次粒子の面積円相当平均径が上限以下の粒子の含有量とした。
本発明における前述の粒子は、一次粒子の面積円相当平均径が本発明の範囲を満たすものであれば、特に限定されるものではないが、耐熱性や分散性の観点から、ベーマイト、アルミナおよびシリカからなる群より選ばれる少なくとも一種の粒子であることが好ましい。
ベーマイト粒子としては、前記の特性を満足するものであれば特に制限されないが、一次粒子の形状が板状もしくは針状のものが好ましく、特に針状のものが本発明の効果の点から好ましい。アルミナ粒子としては、前記の特性を満足するものであれば特に制限されないが、より本発明の効果が得られやすいことから、主たる結晶形態がγ、δ、θから選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。シリカ粒子としては、前記の特性を満足するものであれば特に制限されず、水ガラス法やアルコキシド法などによって製造することができる。
ところで、本発明のポリエステル組成物およびフィルムは、上述のような一次粒子の面積円相当平均径を満足する粒子を含有していればよく、単成分系に限られず粒径や組成の異なる他の粒子を併用しても良い。また、ヤング率の向上とは別に、一次粒子の面積円相当平均径が前述の上限を越えるような粒子を、得られるフィルムなどの成形体に優れた取扱い性などを具備させるために、含有させても良く、具体的な粒子としては、それ自体公知の有機粒子や無機粒子などが挙げられる。
<成形品>
本発明のポリエステル組成物は、溶融製膜して、シート状に押出すことでフィルムとすることができる。磁気テープなどのベースフィルムとして用いる場合、ベースフィルムがフィルムにかかる応力などによって伸びないようにフィルム面方向における少なくとも一方向は、ヤング率が6.0GPa以上という高いヤング率を有することが好ましい。また、このように高いヤング率を得られるフィルムに具備させることで、湿度膨張係数や温度膨張係数の低減を図ることができる。好ましいヤング率は、フィルムの長手方向が5.1〜11GPa、さらに5.2〜10GPa、特に5.5〜9GPaの範囲であり、フィルムの幅方向が5.0〜11GPa、さらに6〜10GPa、特に7〜10GPaの範囲である。
<ポリエステル組成物の製造方法>
つぎに、本発明におけるポリエステル組成物の製造方法について、詳述する。
まず、6,6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸もしくはそのエステル形成性誘導体と例えば2,6−ナフタレンジカルボン酸やテレフタル酸もしくはそのエステル形成性誘導体と、例えばエチレングリコールとをエステル化反応もしくはエステル交換反応させ、ポリエステル前駆体を製造する。そして、このようにして得られたポリエステル前駆体を重合触媒の存在下で重合し、必要に応じて固相重合などを施しても良い。このようにして得られるポリエステルのP−クロロフェノール/1,1,2,2−テトラクロロエタン(重量比40/60)の混合溶媒を用いて35℃で測定した固有粘度は、0.4〜1.5dl/g、さらに0.5〜1.3dl/gの範囲にあることが取扱い性や機械的特性などの点から好ましい。なお、前述の構造式(I)と(II)の割合が異なる2種類のポリマーを作り、前述の構造式(I)と(II)の割合が目的となるようにそれらを溶融混練してもよい。
また、前述のポリエステル前駆体を製造する工程でエチレングリコール成分などのグリコール成分は、全酸成分のモル数に対して、1.1〜6倍、さらに2〜5倍、特に3〜5倍用いることが生産性の点から好ましい。
また、ポリエステルの前駆体を製造する際の反応温度としてはエチレングリコールなどのグリコール成分の沸点以上で行うことが好ましく、特に190℃〜250℃の範囲で行なうことが好ましい。190℃よりも低いと反応が十分に進行しにくく、250℃よりも高いと副反応物であるジエチレングリコールなどのジアルキレングリコールが生成しやすい。また、反応を常圧下で行うこともできるが、さらに生産性を高めるために加圧下で反応を行ってもよい。より詳しくは反応圧力は絶対圧力で10kPa以上200kPa以下、反応温度は通常150℃以上250℃以下、好ましくは180℃以上230℃以下で、反応時間10分以上10時間以下、好ましくは30分以上7時間以下行われるのが好ましい。このエステル化反応やエステル交換反応によってポリエステル前駆体としての反応物が得られる。
ポリエステルの前駆体を製造する反応工程では、公知のエステル化もしくはエステル交換反応触媒を用いてもよい。例えばアルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物、チタン化合物などが上げられる。
つぎに、重縮合反応について説明する。まず、重縮合温度は得られるポリエステルの融点以上でかつ230〜280℃以下、より好ましくは融点より5℃以上高い温度から融点より30℃高い温度の範囲である。重縮合反応では通常50Pa以下の減圧下で行うのが好ましい。50Paより高いと重縮合反応に要する時間が長くなり且つ重合度の高い共重合ポリエステルを得ることが困難になる。
重縮合触媒としては、少なくとも一種の金属元素を含む金属化合物が挙げられる。なお、重縮合触媒はエステル化反応やエステル交換反応の触媒として併用してもよい。金属元素としては、チタン、ゲルマニウム、アンチモン、アルミニウム、ニッケル、亜鉛、スズ、コバルト、ロジウム、イリジウム、ジルコニウム、ハフニウム、リチウム、カルシウム、マグネシウムなどが挙げられる。より好ましい金属としては、チタン、ゲルマニウム、アンチモン、アルミニウム、スズなどであり、中でも、チタン化合物はエステル化反応やエステル交換反応と重縮合反応との双方の反応で、高い活性を発揮するので特に好ましい。
これらの触媒は単独でも、あるいは併用してもよい。かかる触媒量は、共重合ポリエステルの繰り返し単位のモル数に対して、0.001〜0.5モル%、さらには0.005〜0.2モル%が好ましい。
ところで、前述の粒子の添加方法としては、特に制限されず、それ自体公知の添加方法を採用できる。例えば、重合反応段階でグリコールスラリーの状態で粒子を添加する方法や、得られたポリマーに混練押出機で粒子を溶融混練する方法などが挙げられる。粒子の分散性の観点からは、重合反応段階でグリコールスラリーの状態で粒子を添加して高濃度で粒子を含有するポリエステル組成物の粒子マスターポリマーを作成し、該粒子マスターポリマーを、粒子を含有しないポリエステルで希釈するのが好ましい。
本発明のポリエステル組成物には、本発明の効果を阻害しない範囲で、他の熱可塑性ポリマー、紫外線吸収剤等の安定剤、酸化防止剤、可塑剤、滑剤、難燃剤、離型剤、顔料、核剤、充填剤あるいはガラス繊維、炭素繊維、層状ケイ酸塩などを必要に応じて配合しても良い。他種熱可塑性ポリマーとしては、脂肪族ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート、ABS樹脂、ポリメチルメタクリレート、ポリアミド系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリエーテルイミド、ポリイミドなどが挙げられる。
<フィルムの製造方法>
本発明のポリエステル組成物を原料とし、これを乾燥後、該ポリエステル組成物の融点(Tm:℃)ないし(Tm+50)℃の温度に加熱された押出機に供給して、例えばTダイなどのダイよりシート状に押出す。なお、使用する本発明のポリエステル組成物は、1種類に限られず、例えば前述の構造式(I)の割合が多いポリマーと、前述の構造式(II)の多いポリマーとを作り、前述の構造式(I)と(II)の割合が目的の範囲となるようにそれらを溶融混練して用いてもよく、そのような方法を採用することで、前述の構造式(I)と(II)の割合を任意に且つ簡便に変更することができる。この押出されたシート状物を回転している冷却ドラムなどで急冷固化して未延伸フィルムとし、さらに該未延伸フィルムを二軸延伸することで二軸配向フィルムとすることができる。
なお、後述の延伸を進行させやすくする観点から、冷却ドラムによる冷却は非常に速やかに行なうことが好ましく、特許文献3に記載されるような80℃といった高温ではなく、20〜60℃という低温で行なうことが好ましい。このような低温で行うことで、未延伸フィルムの状態での結晶化が抑制され、その後の延伸をよりスムーズに行える。
二軸延伸としては、逐次二軸延伸でも同時二軸延伸でもよい。
ここでは、逐次二軸延伸で、縦延伸、横延伸および熱処理をこの順で行う製造方法を一例として挙げて説明する。まず、最初の縦延伸はポリエステルのガラス転移温度(Tg:℃)ないし(Tg+40)℃の温度で、3〜8倍に延伸し、次いで横方向に先の縦延伸よりも高温で(Tg+10)〜(Tg+50)℃の温度で3〜8倍に延伸し、さらに熱処理としてポリマーの融点以下の温度でかつ(Tg+50)〜(Tg+150)℃の温度で1〜20秒熱固定処理するのが好ましい。なお、熱固定の時間はさらに1〜15秒が好ましい。
なお、通常であれば、延伸倍率を上げると製膜安定性が損なわれるが、本発明にかかるポリエステル組成物は延伸性が非常に高いので、そのような問題は無く、特に延伸倍率をより高くできることから、厚みが10μm以下、さらに8μm以下の薄いフィルムで特に有用である。なお、フィルムの厚みの下限は特に制限されないが、通常1μm程度、好ましくは3μmである。
前述の説明は逐次二軸延伸について説明したが、縦延伸と横延伸とを同時に行う同時二軸延伸でも製造でき、例えば先で説明した延伸倍率や延伸温度などを参考にすればよい。
また、二軸配向ポリエステルフィルムが積層フィルムの場合、2種以上の溶融ポリエステル組成物をダイ内で積層してからフィルム状に押出し、好ましくはそれぞれのポリエステル組成物の融点(Tm:℃)ないし(Tm+70)℃の温度で押出すか、2種以上の溶融ポリエステル組成物をダイから押出した後に積層し、急冷固化して積層未延伸フィルムとし、ついで前述の単層フィルムの場合と同様な方法で二軸延伸および熱処理を行うとよい。このとき、全てのフィルム層が本発明のポリエステル組成物である必要はなく、少なくとも一つのフィルム層が本発明のポリエステル組成物からなるものであれば良い。また、二軸配向フィルムの表面に塗布層を設けてもよく、その場合、前記した未延伸フィルムまたは一軸延伸フィルムの片面または両面に所望の塗布液を塗布し、後は前述の単層フィルムの場合と同様な方法で二軸延伸および熱処理を行うことが好ましい。
本発明によれば、本発明のポリエステル組成物からなる二軸配向ポリエステルフィルムをベースフィルムとし、その一方の面に非磁性層および磁性層をこの順で形成し、他方の面にバックコート層を形成することで磁気記録テープとすることもできる。
以下に実施例及び比較例を挙げ、本発明をより具体的に説明する。なお、本発明では、以下の方法により、その特性を測定および評価した。
(1)固有粘度
得られたポリエステルの固有粘度はP−クロロフェノール/1,1,2,2−テトラクロロエタン(40/60重量比)の混合溶媒を用いてポリマーを溶解して35℃で測定して求めた。
(2)共重合量
グリコール成分については、試料10mgをp−クロロフェノール:1,1,2,2−テトラクロロエタン=3:1(容積比)混合溶液0.5mlに80℃で溶解し、イソプロピルアミンを加えて、十分に混合した後に600MのH−NMR(日立電子製 JEOL A600)にて80℃で測定し、それぞれのグリコール成分量を測定した。
また、芳香族ジカルボン酸成分については、試料50mgをp−クロロフェノール:1,1,2,2−テトラクロロエタン=3:1混合溶液0.5mlに140℃で溶解し、400M 13C−NMR(日立電子 JEOL A600)にて140℃で測定し、それぞれの酸成分量を測定した。
(3)ヤング率
得られたフィルムを試料巾10mm、長さ15cmで切り取り、チャック間100mm、引張速度10mm/分、チャート速度500mm/分の条件で万能引張試験装置(東洋ボールドウィン製、商品名:テンシロン)にて引っ張る。得られた荷重―伸び曲線の立ち上がり部の接線よりヤング率を計算する。
(4)温度膨張係数(αt)
得られたフィルムを、フィルムの幅方向が測定方向となるように長さ15mm、幅5mmに切り出し、真空理工製TMA3000にセットし、窒素雰囲気下(0%RH)、60℃で30分前処理し、その後室温まで降温させる。その後25℃から70℃まで2℃/minで昇温して、各温度でのサンプル長を測定し、次式より温度膨張係数(αt)を算出する。なお、測定方向が切り出した試料の長手方向であり、5回測定し、その平均値を用いた。
αt={(L60−L40)}/(L40×△T)}+0.5
ここで、上記式中のL40は40℃のときのサンプル長(mm)、L60は60℃のときのサンプル長(mm)、△Tは20(=60−40)℃、0.5は石英ガラスの温度膨張係数(×10−6/℃)である。
(5)湿度膨張係数(αh)
得られたフィルムを、フィルムの幅方向が測定方向となるように長さ15mm、幅5mmに切り出し、真空理工製TMA3000にセットし、30℃の窒素雰囲気下で、湿度30%RHと湿度70%RHにおけるそれぞれのサンプルの長さを測定し、次式にて湿度膨張係数を算出する。なお、測定方向が切り出した試料の長手方向であり、5回測定し、その平均値をαhとした。
αh=(L70−L30)/(L30×△H)
ここで、上記式中のL30は30%RHのときのサンプル長(mm)、L70は70%RHのときのサンプル長(mm)、△H:40(=70−30)%RHである。
(6)一次粒子の面積円相当径(nm)
粒子を含有するポリエステル組成物をチップ状に成形し、チップの長軸方向に直交する方向にウルトラミクロトームでスライスする。スライスした超薄切片の厚みは200nmとする。そして、それぞれの方向にスライスした超薄切片の断面を透過型電子顕微鏡で20万倍に拡大して、分離できない最小単位の粒子を一次粒子とし、各断面方向について一次粒子300個の個々の面積円相当径を求め、3つの断面方向の個々の面積円相当径、すなわち900個の面積円相当径の平均値を一次粒子の面積円相当平均径とした。
(7)粒子の含有量
ポリエステルは溶解し粒子は溶解させない溶媒を選択し、ポリエステル組成物を溶解処理した後、粒子をポリエステルから遠心分離し、ポリエステル組成物の全体重量に対する粒子重量の比率(重量%)をもって粒子の含有量とする。なお、複数種の粒子が併用されている場合は、前記一次粒子の面積円相当平均径の測定から粒度分布を作成してそれぞれの粒子の存在量の比を求める。そして、前述の遠心分離によって求められる粒子の含有量と前述の粒子存在量の比とから、それぞれの粒子の含有量を求めればよい。
[実施例1]
2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチル、6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸そしてエチレングリコールとを、チタンテトラブトキシドの存在下でエステル化反応およびエステル交換反応を行い、さらに引き続いて重縮合反応を行って、固有粘度0.66dl/gで、酸成分の73モル%が2,6−ナフタレンジカルボン酸成分、酸成分の27モル%が6,6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸成分、グリコール成分の98モル%がエチレングリコール成分、2モル%がジエチレングリコール成分であるポリエステルを得た。なお、該ポリエステルには、重縮合反応の前に表1に示すように針状ベーマイト粒子を含有させた。このポリエステルの融点は240℃、ガラス転移温度は117℃であった。
このようにして得られたポリエステルを、押し出し機に供給して290℃でダイから溶融状態で回転中の温度50℃の冷却ドラム上にシート状に押し出し未延伸フィルムとした。そして、製膜方向に沿って回転速度の異なる二組のローラー間で、上方よりIRヒーターにてフィルム表面温度が135℃になるように加熱して縦方向(製膜方向)の延伸を、延伸倍率6.2倍で行い、一軸延伸フィルムを得た。そして、この一軸延伸フィルムをステンターに導き、140℃で横方向(幅方向)に延伸倍率6.3倍で延伸し、その後200℃で10秒間熱固定処理を行い、厚さ6μmの二軸延伸フィルムを得た。
得られたポリエステル組成物および二軸配向ポリエステルフィルムの特性を表1に示す。
[実施例2および3]
実施例1において、含有させる粒子を表1に示すように変更した以外は同様な操作を繰り返した。
得られたポリエステル組成物および二軸配向ポリエステルフィルムの特性を表1に示す。
[比較例1]
実施例1において、粒子を含有させないように変更した以外は、実施例1と同様な操作を繰り返した。
得られたポリエステル組成物および二軸配向ポリエステルフィルムの特性を表1に示す。
[比較例2]
実施例1において、含有させる粒子を表1に示すように変更した以外は同様な操作を繰り返した。
得られた二軸配向ポリエステルフィルムの特性を表1に示す。
[実施例4]
2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチル、6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸そしてエチレングリコールとを、チタンテトラブトキシドの存在下でエステル化反応およびエステル交換反応を行い、さらに引き続いて重縮合反応を行って、固有粘度0.72dl/gで、酸成分の94モル%が2,6−ナフタレンジカルボン酸成分、酸成分の6モル%が6,6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸成分、グリコール成分の99モル%がエチレングリコール成分、1モル%がジエチレングリコール成分であるポリエステルを得た。なお、該ポリエステルには、重縮合反応の前に表1に示すように針状ベーマイト粒子を含有させた。このポリエステルの融点は255℃、ガラス転移温度は119℃であった。
このようにして得られたポリエステルを、押し出し機に供給して290℃でダイから溶融状態で回転中の温度50℃の冷却ドラム上にシート状に押し出し未延伸フィルムとした。そして、製膜方向に沿って回転速度の異なる二組のローラー間で、上方よりIRヒーターにてフィルム表面温度が140℃になるように加熱して縦方向(製膜方向)の延伸を、延伸倍率5.3倍で行い、一軸延伸フィルムを得た。そして、この一軸延伸フィルムをステンターに導き、140℃で横方向(幅方向)に延伸倍率4.0倍で延伸し、その後200℃で10秒間熱固定処理を行い、厚さ8μmの二軸延伸フィルムを得た。
得られたポリエステル組成物および二軸配向ポリエステルフィルムの特性を表1に示す。
[実施例5]
2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチル、6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸そしてエチレングリコールとを、チタンテトラブトキシドの存在下でエステル化反応およびエステル交換反応を行い、さらに引き続いて重縮合反応を行って、固有粘度0.77dl/gで、酸成分の80モル%が2,6−ナフタレンジカルボン酸成分、酸成分の20モル%が6,6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸成分、グリコール成分の99モル%がエチレングリコール成分、1モル%がジエチレングリコール成分であるポリエステルを得た。なお、該ポリエステルには、重縮合反応の前に表1に示すように針状ベーマイト粒子を含有させた。このポリエステルの融点は252℃、ガラス転移温度は116℃であった。
このようにして得られたポリエステルを、押し出し機に供給して290℃でダイから溶融状態で回転中の温度50℃の冷却ドラム上にシート状に押し出し未延伸フィルムとした。そして、製膜方向に沿って回転速度の異なる二組のローラー間で、上方よりIRヒーターにてフィルム表面温度が135℃になるように加熱して縦方向(製膜方向)の延伸を、延伸倍率5.5倍で行い、一軸延伸フィルムを得た。そして、この一軸延伸フィルムをステンターに導き、140℃で横方向(幅方向)に延伸倍率4.3倍で延伸し、その後210℃で10秒間熱固定処理を行い、厚さ6μmの二軸延伸フィルムを得た。
得られたポリエステル組成物および二軸配向ポリエステルフィルムの特性を表1に示す。
[実施例6]
2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチル、6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸そしてエチレングリコールとを、チタンテトラブトキシドの存在下でエステル化反応およびエステル交換反応を行い、さらに引き続いて重縮合反応を行って、固有粘度0.75dl/gで、酸成分の65モル%が2,6−ナフタレンジカルボン酸成分、酸成分の35モル%が6,6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸成分、グリコール成分の98モル%がエチレングリコール成分、2モル%がジエチレングリコール成分であるポリエステルを得た。なお、該ポリエステルには、重縮合反応の前に表1に示すように針状ベーマイト粒子を含有させた。このポリエステルの融点は247℃、ガラス転移温度は116℃であった。
このようにして得られたポリエステルを、押し出し機に供給して290℃でダイから溶融状態で回転中の温度50℃の冷却ドラム上にシート状に押し出し未延伸フィルムとした。そして、製膜方向に沿って回転速度の異なる二組のローラー間で、上方よりIRヒーターにてフィルム表面温度が140℃になるように加熱して縦方向(製膜方向)の延伸を、延伸倍率5.5倍で行い、一軸延伸フィルムを得た。そして、この一軸延伸フィルムをステンターに導き、140℃で横方向(幅方向)に延伸倍率6.0倍で延伸し、その後210℃で10秒間熱固定処理を行い、厚さ7μmの二軸延伸フィルムを得た。
得られたポリエステル組成物および二軸配向ポリエステルフィルムの特性を表1に示す。
参考例2
2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチル、6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸そしてエチレングリコールとを、チタンテトラブトキシドの存在下でエステル化反応およびエステル交換反応を行い、さらに引き続いて重縮合反応を行って、固有粘度0.70dl/gで、酸成分の30モル%が2,6−ナフタレンジカルボン酸成分、酸成分の70モル%が6,6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸成分、グリコール成分の98モル%がエチレングリコール成分、2モル%がジエチレングリコール成分であるポリエステルを得た。なお、該ポリエステルには、重縮合反応の前に表1に示すように針状ベーマイト粒子を含有させた。このポリエステルの融点は268℃、ガラス転移温度は101℃であった。
このようにして得られたポリエステルを、押し出し機に供給して300℃でダイから溶融状態で回転中の温度50℃の冷却ドラム上にシート状に押し出し未延伸フィルムとした。そして、製膜方向に沿って回転速度の異なる二組のローラー間で、上方よりIRヒーターにてフィルム表面温度が135℃になるように加熱して縦方向(製膜方向)の延伸を、延伸倍率4.0倍で行い、一軸延伸フィルムを得た。そして、この一軸延伸フィルムをステンターに導き、140℃で横方向(幅方向)に延伸倍率3.8倍で延伸し、その後200℃で10秒間熱固定処理を行い、厚さ10μmの二軸延伸フィルムを得た。
得られたポリエステル組成物および二軸配向ポリエステルフィルムの特性を表1に示す。
[実施例8および9]
実施例1において、針状ベーマイト粒子の含有量を表1に示すように変更した以外は同様な操作を繰り返した。
得られたポリエステル組成物および二軸配向ポリエステルフィルムの特性を表1に示す。
[実施例10]
テレフタル酸ジメチル、6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸そしてエチレングリコールとを、チタンテトラブトキシドの存在下でエステル化反応およびエステル交換反応を行い、さらに引き続いて重縮合反応を行って、固有粘度0.68dl/gで、酸成分の80モル%がテレフタル酸成分、酸成分の20モル%が6,6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸成分、グリコール成分の98モル%がエチレングリコール成分、2モル%がジエチレングリコール成分であるポリエステルを得た。なお、該ポリエステルには、重縮合反応の前に表1に示すように針状ベーマイト粒子を含有させた。このポリエステルの融点は230℃、ガラス転移温度は85℃であった。
このようにして得られたポリエステルを、押し出し機に供給して290℃でダイから溶融状態で回転中の温度50℃の冷却ドラム上にシート状に押し出し未延伸フィルムとした。そして、製膜方向に沿って回転速度の異なる二組のローラー間で、上方よりIRヒーターにてフィルム表面温度が105℃になるように加熱して縦方向(製膜方向)の延伸を、延伸倍率5.0倍で行い、一軸延伸フィルムを得た。そして、この一軸延伸フィルムをステンターに導き、115℃で横方向(幅方向)に延伸倍率5.0倍で延伸し、その後210℃で3秒間熱固定処理を行い、厚さ10μmの二軸延伸フィルムを得た。
得られたポリエステル組成物および二軸配向ポリエステルフィルムの特性を表1に示す。
[比較例3]
実施例4において、粒子を含有させないように変更した以外は、実施例4と同様な操作を繰り返した。
得られたポリエステル組成物および二軸配向ポリエステルフィルムの特性を表1に示す。
[比較例4]
実施例5において、粒子を含有させないように変更した以外は、実施例5と同様な操作を繰り返した。
得られたポリエステル組成物および二軸配向ポリエステルフィルムの特性を表1に示す。
[比較例5]
実施例6において、粒子を含有させないように変更した以外は、実施例6と同様な操作を繰り返した。
得られたポリエステル組成物および二軸配向ポリエステルフィルムの特性を表1に示す。
[比較例6]
実施例7において、粒子を含有させないように変更した以外は、実施例7と同様な操作を繰り返した。
得られたポリエステル組成物および二軸配向ポリエステルフィルムの特性を表1に示す。
[比較例7]
実施例10において、粒子を含有させないように変更した以外は、実施例10と同様な操作を繰り返した。
得られたポリエステル組成物および二軸配向ポリエステルフィルムの特性を表1に示す。
[比較例8]
2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチルとエチレングリコールとを、チタンテトラブトキシドの存在下でエステル化反応およびエステル交換反応を行い、さらに引き続いて重縮合反応を行って、固有粘度0.62dl/gで、グリコール成分の1.5モル%がジエチレングリコール成分であるポリエチレン−2,6−ナフタレートを得た。なお、該ポリエチレン−2,6−ナフタレートには、重縮合反応の前に平均粒径0.5μmのシリカ粒子を、得られる樹脂組成物の重量を基準として、0.2重量%となるように含有させた。このポリエチレン−2,6−ナフタレートの融点は270℃、ガラス転移温度は120℃であった。
このようにして得られたポリエチレン−2,6−ナフタレートを、押し出し機に供給して300℃でダイから溶融状態で回転中の温度60℃の冷却ドラム上にシート状に押し出し未延伸フィルムとした。そして、製膜方向に沿って回転速度の異なる二組のローラー間で、上方よりIRヒーターにてフィルム表面温度が140℃になるように加熱して縦方向(製膜方向)の延伸を、延伸倍率3.0倍で行い、一軸延伸フィルムを得た。そして、この一軸延伸フィルムをステンターに導き、140℃で横方向(幅方向)に延伸倍率4.3倍で延伸し、その後200℃で10秒間熱固定処理を行い、厚さ10μmの二軸延伸フィルムを得た。
得られた二軸配向ポリエステルフィルムの特性を表1に示す。
[比較例9]
比較例8において、製膜方向の延伸温度を140℃に、製膜方向の延伸倍率を4.0倍に、幅方向の延伸温度を140℃に、幅方向の延伸倍率を4.0倍に、熱固定処理温度を200℃に変更するほかは同様な操作を繰り返して二軸延伸フィルムを得た。
得られた二軸配向ポリエステルフィルムの特性を表1に示す。
[比較例10]
比較例8において、製膜方向の延伸温度を140℃に、製膜方向の延伸倍率を4.5倍に、幅方向の延伸温度を140℃に、幅方向の延伸倍率を3.4倍に、熱固定処理温度を200℃に変更するほかは同様な操作を繰り返して二軸延伸フィルムを得た。
得られた二軸配向ポリエステルフィルムの特性を表1に示す。
Figure 0005265902
表1中のNAは2,6−ナフタレンジカルボン酸成分、TAはテレフタル酸成分、ENAは6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸成分、EGはエチレングリコール成分、DEGはジエチレングリコール成分、fは体積球状係数、MDはフィルムの製膜方向、TDはフィルムの幅方向、αhは湿度膨張係数、αtが温度膨張係数を示す。
本発明のポリエステル組成物は、フィルム、ボトルまたは繊維などの材料として用いることができる。特に二軸配向ポリエステルフィルムとした場合、高いヤング率と優れた寸法安定性を有することから、特に高密度磁気記録媒体のベースフィルムとして、好適に使用することができる。

Claims (3)

  1. 酸成分が下記構造式(I)および(II)からなり、下記構造式(I)の割合が、全酸成分のモル数を基準として、5モル%以上45モル%以下の範囲にあること、およびグリコール成分が下記構造式(III)であることを具備するポリエステルと、一次粒子の面積円相当平均径が100nm未満の粒子とを含有し、該粒子の含有量が、組成物の重量を基準として、0.05〜10重量%であることを特徴とするポリエステル組成物。
    Figure 0005265902
    (上記構造式(I)中のRは炭素数1〜10のアルキレン基を、上記構造式(II)中のRはフェニレン基またはナフタレンジイル基、上記構造式(III)中のRは炭素数2〜4のアルキレン基を示す。)
  2. 粒子の含有量が、組成物の重量を基準として、0.05〜重量%である請求項1記載のポリエステル組成物。
  3. 粒子がベーマイト、アルミナ、シリカからなる群より選ばれる少なくとも一種の粒子である請求項1記載のポリエステル組成物。
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