JP5271124B2 - 二軸配向多層積層ポリエステルフィルム - Google Patents
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Description
(式1) tX>1.5×tX’
(式2) tY>1.5×tY’
のいずれか少なくともひとつを満たすこと、2軸配向積層ポリエステルフィルムの表面粗さの大きい最表層が、平均粒経0.01−1.0μmの不活性粒子を0.001−5重量%含む第3の層(C層)からなり、積層構造を形成するフィルム層AおよびBは、不活性粒子を含有しないか、該表面粗さの大きい最表層を形成するフィルム層よりも平均粒経の小さな粒子を含有するか、同じ平均粒経の不活性粒子をより少ない含有量で含有すること、2軸配向積層ポリエステルフィルムの少なくとも片面の最表層が不活性粒子を有する塗膜層(第4の層、D層)であること、フィルム層Aおよびフィルム層Bが不活性粒子を含有しないこと、フィルムの厚みが1−10μmの範囲にあること、ならびに二軸配向多層積層ポリエステルフィルムが、磁気記録媒体のベースフィルムに用いられることの少なくともいずれか一つを具備する二軸配向多層積層ポリエステルフィルムも提供される。
本発明の特徴の一つは、フィルム層(B)を構成する芳香族ポリエステル(B)として、芳香族ジカルボン酸成分の5モル%以上80モル%未満が、上記式(I)で示される6,6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸成分を共重合成分として用いていることである。6,6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸成分の割合が下限未満では湿度膨張係数の低減効果が発現されがたい。なお、上限は、成形性などの観点から、80モル%未満である。また、驚くべきことに、6,6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸成分による湿度膨張係数の低減効果は、少量で非常に効率的に発現され、50モル%未満でほぼ飽和状態に近く、50モル%未満であることが好ましい。そのような観点から好ましい6,6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸成分の共重合量の上限は、45モル%以下、さらに40モル%以下、よりさらに35モル%以下、特に30モル%以下であり、他方下限は、5モル%以上、さらに7モル%以上、よりさらに10モル%以上、特に15モル%以上である。
もちろん、本発明における芳香族ポリエステル(B)は、本発明の効果を阻害しない範囲で、それ自体公知の他の共重合成分や、他のポリマー成分を含有しても良い。
本発明における芳香族ポリエステル(A)は、前述の芳香族ポリエステル(B)からなるフィルム層(B)の高温での加工時に生じる伸びを抑制するためのフィルム層(A)を構成するものであり、フィルム層(B)と積層して二軸配向積層フィルムとしたときに、製膜方向における粘弾性測定でのtanδが115℃以上、さらに135℃以上となるものが好ましい。
したがって、6,6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸成分の共重合量は、全酸成分のモル量を基準として、5モル%以下であることが必要である。
本発明の二軸配向多層積層ポリエステルフィルムは、前述のとおり、フィルム層(A)とフィルム層(B)とを交互に11層以上積層した積層構造を有するものである。好ましい積層数は、フィルム層(A)とフィルム層(B)の合計層数で下限が15以上、さらに21以上、特に31以上、最も好ましくは51以上で、他方上限は10001以下、さらに1001以下の範囲にあることが層構成の均一性と効果の発現性の点から好ましい。積層数が下限未満であると、カールの発生を抑制しがたくなったり、フィルムの延伸特性が悪化して分子鎖が配向しにくくなり、所望の湿度膨張係数を持ったフィルムを製造しがたくなる場合がある。なお、積層数の上限は特に制限されないが、積層構造を維持しやすい点から、10001以下であることが好ましい。
(式1) tX>1.5×tX’
(式2) tY>1.5×tY’
本発明の二軸配向多層積層ポリエステルフィルムは、磁気テープなどのベースフィルムとして用いたとき、ベースフィルムが伸びないようにフィルム面方向における少なくとも一方向は、ヤング率が6.0GPa以上という高いヤング率を有することが好ましい。しかも、このようにヤング率を高くすることで、より湿度膨張係数を小さくすることができる。ヤング率の上限は制限されないが、通常18GPaである。好ましいヤング率は、フィルムの長手方向が4〜11GPa、さらに5〜10GPa、特に5.5〜9GPaの範囲であり、フィルムの幅方向が5〜18GPa、さらに6〜15GPa、さらに7〜12GPa、特に8〜10GPaの範囲である。
本発明の二軸配向多層積層ポリエステルフィルムの好ましい全厚みは1−10μm、さらには2−8μm、特に好ましくは3−7μmである。
つぎに、本発明における6,6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸成分を共重合している芳香族ポリエステルの製造方法について、詳述する。なお、6,6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸成分を共重合していない芳香族ポリエステルは、それ自体公知の方法の製造されたものを好適に用いることができる。
本発明における前述の不活性粒子の、フィルム層(A)、(B)および第3の層への添加方法は、特に制限されず、それぞれの層を構成する樹脂の重合段階で添加したり、重合後に二軸懇練押出機などで練り込んだりすればよい。好ましくは、フィルム層中での粒子の分散性をより向上させやすいことから、重合段階で最終のフィルムでの使用よりも多量に不活性粒子を含有させたマスターポリマーを作成し、それを不活性粒子を含有しないポリマーで所望の粒子濃度になるように希釈する方法が好ましい。その際、フィルターなどのろ過によって、粗大粒子などを取り除くことが好ましい。
本発明の二軸配向多層積層ポリエステルフィルムは、製膜方向と幅方向に延伸してそれぞれの方向の分子配向を高めたものであり、例えば以下のような方法で製造することが、製膜性を維持しつつ、ヤング率を向上させやすいことから好ましい。
ここでは、逐次二軸延伸で、縦延伸、横延伸および熱処理をこの順で行う製造方法を一例として挙げて説明する。まず、最初の縦延伸は芳香族ポリエステル(A)もしくは(B)のどちらか高いほうのガラス転移温度(Tg:℃)ないし(Tg+40)℃の温度で、3〜10倍に延伸し、次いで横方向に先の縦延伸よりも高温で(Tg+10)〜(Tg+50)℃の温度で3〜10倍に延伸し、さらに熱処理としてポリマーの融点以下の温度でかつ(Tg+50)〜(Tg+150)℃の温度で1〜20秒、さらに1〜15秒熱固定処理するのが好ましい。特に、熱固定処理の温度は180〜220℃、さらに好ましくは190〜210℃の範囲で行うことが好ましい。
得られたポリエステルの固有粘度はP−クロロフェノール/1,1,2,2−テトラクロロエタン(40/60重量比)の混合溶媒を用いてポリマーを溶解して35℃で測定して求めた。
ガラス転移点および融点は、それぞれの層に用いる芳香族ポリエステル(A)と(B)とを用意し、DSC(TAインスツルメンツ株式会社製、商品名:Thermal lyst2920)により、昇温速度20℃/minで測定した。
グリコール成分については、それぞれの層に用いる芳香族ポリエステル(A)と(B)とを用意し、試料10mgをp−クロロフェノール:1,1,2,2−テトラクロロエタン=3:1(容積比)混合溶液0.5mlに80℃で溶解した。イソプロピルアミンを加えて、十分に混合した後に600MHzの1H−NMR(日本電子製 JEOL A600)にて80℃で測定し、それぞれのグリコール成分量を測定した。
また、芳香族ジカルボン酸成分については、それぞれの層に用いる芳香族ポリエステル(A)と(B)とを用意し、試料50mgをp−クロロフェノール:1,1,2,2−テトラクロロエタン=3:1混合溶液0.5mlに140℃で溶解し、100MHz 13C−NMR(日本電子製 JEOL A600)にて140℃で測定し、それぞれの酸成分量を測定した。
得られたフィルムを試料巾10mm、長さ15cmで切り取り、チャック間100mm、引張速度10mm/分、チャート速度500mm/分の条件で万能引張試験装置(東洋ボールドウィン製、商品名:テンシロン)にて引っ張る。得られた荷重―伸び曲線の立ち上がり部の接線よりヤング率を計算した。
得られたフィルムを、フィルムの製膜方向または幅方向が測定方向となるように長さ15mm、幅5mmに切り出し、真空理工製TMA3000にセットし、30℃の窒素雰囲気下で、湿度30%RHと湿度70%RHにおけるそれぞれのサンプルの長さを測定し、次式にて湿度膨張係数を算出する。なお、測定方向が切り出した試料の長手方向であり、5回測定し、その平均値をαhとした。
αh=(L70−L30)/(L30×△H)
ここで、上記式中のL30は30%RHのときのサンプル長(mm)、L70は70%RHのときのサンプル長(mm)、△H:40(=70−30)%RHである。
得られたフィルムを、フィルムの製膜方向または幅方向が測定方向となるようにそれぞれ長さ15mm、幅5mmに切り出し、真空理工製TMA3000にセットし、窒素雰囲気下(0%RH)、60℃で30分前処理し、その後室温まで降温させる。その後25℃から70℃まで2℃/minで昇温して、各温度でのサンプル長を測定し、次式より温度膨張係数(αt)を算出する。なお、測定方向が切り出した試料の長手方向であり、5回測定し、その平均値を用いた。
αt={(L60−L40)}/(L40×△T)}+0.5
ここで、上記式中のL40は40℃のときのサンプル長(mm)、L60は60℃のときのサンプル長(mm)、△Tは20(=60−40)℃、0.5は石英ガラスの温度膨張係数(ppm/℃)である。
積層フィルムを層間の空気を排除しながら10枚重ね、JIS規格のC2151に準拠し、(株)ミツトヨ製ダイヤルゲージMDC−25Sを用いて、10枚重ね法にて厚みを測定し、1枚当りのフィルム厚みを計算する。この測定を10回繰り返して、その平均値を1枚あたりの積層フィルムの全体の厚みとした。
一方、フィルム層(A)およびフィルム層(B)の厚みは、フィルムの小片をエポキシ樹脂にて固定成形し、ミクロトームにて約60nmの厚みの超薄切片(フィルムの製膜方向および厚み方向に平行に切断する)を作成する。この超薄切片の試料を透過型電子顕微鏡(日立製作所製H−800型)にて観察しその境界をからフィルム層(A)とBの厚みを求めた。
フィルムサンプルをフィルムの製膜方向(MD)に長さ35mm、幅方向(TD)に幅3mmとなるように切り、オリエンテック(株)製のバイブロン装置(DDV−01FP)を用い、荷重3g、周波数1Hzで室温から200℃まで5℃/分で昇温して、MD方向に測定する。得られたチャートよりtanδのピーク温度及びピーク強度を求める。
製膜の完了したフィルムロールを、幅1m長さ10000mに100本裁断し、以下の判定基準で○以上の本数を合格とし、100本中の良品の本数としてあらわした。
◎ 欠点なし。
○ わずかにシワまたはへこみがある。
△ 顕著なシワまたはへこみまたはブツがある。
× シワとへこみ、ブツの内2つ以上が存在する。
縦25cm横10cmにフィルムを切り出し、フィルムを荷重をかけない状態でオーブンに入れ、110℃で1分間加熱した後取り出す。このとき、カールが発生しているとフィルムの一方向における両端部が、巻かれた状態となる。そして、図1に示すように、水平な台の上に、カールしていない平坦な部分が接するように置き、フィルムの全長(L1)とを測定し、L1からL2を差し引いたカールしている部分の長さ(△L)を算出し、その△LをL1で割った値をカールとして、100分率で示した。このカールの値が小さいほど、カールが少なく、好適であることを意味する。
非接触式三次元表面粗さ計(ZYGO社製:New View5022)を用いて測定倍率25倍、測定面積283μm×213μm(=0.0603mm2)の条件にて測定し、該粗さ計に内蔵された表面解析ソフトMetro Proにより中心面平均粗さ(Ra)を求めた。なお、第3の層や第4の層がある場合は、その表面を測定した。
ダイコーターで、20MPaの張力条件で、幅500mmにスリットされた長さ500mのフィルムの一方の表面に、下記組成の非磁性塗料、磁性塗料を同時に、乾燥後の非磁性層および磁性層の厚みが、それぞれ1.2μmおよび0.1μmとなるように膜厚を変えて塗布し、磁気配向させて120℃×30秒の条件で乾燥させる。さらに、小型テストカレンダ−装置(スチ−ルロール/ナイロンロール、5段)で、温度:70℃、線圧:200kg/cmでカレンダ−処理した後、70℃、48時間キュアリングする。そして、得られた磁性層付フィルムについて、目視判定により、以下の基準で塗布斑を評価した。なお、目視判定は、フィルムの裏側に蛍光灯を設置し、磁性層の抜けによる光の漏れをカウントすることで行ない、この磁性層付フィルムを必要に応じてバックコート層などを設けた上で、幅12.65mmにスリットし、カセットに組み込みことで磁気記録テープにできる。
○:塗布抜けが2個/250m2 未満
△:塗布抜けが2個/250m2 以上10個/250m2 未満
×:塗布抜けが10個/250m2 以上
・二酸化チタン微粒子:100重量部
・エスレックA(積水化学製塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体:10重量部
・ニッポラン2304(日本ポリウレタン製ポリウレタンエラストマ):10重量部
・コロネートL(日本ポリウレタン製ポリイソシアネート) : 5重量部
・レシチン: 1重量部
・メチルエチルケトン:75重量部
・メチルイソブチルケトン:75重量部
・トルエン:75重量部
・カーボンブラック: 2重量部
・ラウリン酸:1.5重量部
・鉄(長さ:0.3μm、針状比:10/1、1800エルステッド)
:100重量部
・エスレックA(積水化学製塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体:10重量部
・ニッポラン2304(日本ポリウレタン製ポリウレタンエラストマ):10重量部
・コロネートL(日本ポリウレタン製ポリイソシアネート) : 5重量部
・レシチン: 1重量部
・メチルエチルケトン:75重量部
・メチルイソブチルケトン:75重量部
・トルエン:75重量部
・カーボンブラック: 2重量部
・ラウリン酸:1.5重量部
上記(12)で作成した磁性層付フィルムを用意し、その磁性層の反対面に下記組成のバックコートを固形分の厚みが0.5μmとなるように塗布した後、小型テストカレンダー装置(スチール/ナイロンロール、5段)で、温度85℃、線圧200kg/cmでカレンダー処理し、巻き取る。上記テープ原反を1/2インチ幅にスリットし、それをLTO用のケースに組み込み、長さが850mで磁気記録容量が0.8TBのデータストレージカートリッジを作成した。
(バックコートの組成)
・カーボンブラック(平均粒径20nm) : 95重量部
・カーボンブラック(平均粒径280nm): 10重量部
・αアルミナ : 0.1重量部
・変成ポリウレタン : 20重量部
・変成塩化ビニル共重合体 : 30重量部
・シクロヘキサノン : 200重量部
・メチルエチルケトン : 300重量部
・トルエン : 100重量部
上記(13)の方法で作成した磁気テープを、市販のLTO−G3ドライブ(IBM社製、MR再生ヘッドを搭載)を用いて、BBSNR(平均信号強度と広帯域積分平均雑音との比)を測定した。なお、結果は、実施例2の結果を基準として評価した。
テレフタル酸ジメチルとエチレングリコールとを、チタンテトラブトキシドの存在下でエステル交換反応を行い、さらに引き続いて重縮合反応を行い、グリコール成分の1.5モル%がジエチレングリコール成分であるポリエチレン−テレフタレートのペレットを得た。得られたペレットにポリエーテルイミドを、組成物の重量を基準として、10重量%濃度となるように混合し、同回転2軸押出機により混練した後に再度ペレット化してフィルム層(A)用の芳香族ポリエステル(A−1)とした。
得られた二軸配向多層積層ポリエステルフィルムの特性を表1に示す。
2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチルとエチレングリコールとを、チタンテトラブトキシドの存在下でエステル交換反応を行い、さらに引き続いて重縮合反応を行い、グリコール成分の1.5モル%がジエチレングリコール成分であるポリエチレン−2,6−ナフタレートをフィルム層(A)用の芳香族ポリエステル(A−2)として得た。なお、芳香族ポリエステル(A−2)には、重縮合反応前に得られる樹脂組成物の重量を基準として、平均粒径0.1μmのシリカ粒子を0.1重量%含有させた。
得られた二軸配向多層積層ポリエステルフィルムの特性を表1に示す。
実施例1における芳香族ポリエステル(A−1)の代わりに、芳香族ポリエステル(A−1)の製造過程で製造されたポリエーテルイミドを含有させる前の不活性粒子を含まないポリエチレンテレフタレートをフィルム層(A)用の芳香族ポリエステル(A−3)とした。また、実施例1における芳香族B層用のポリマー(B−1)において、酸成分の81モル%がテレフタル酸成分、29モル%が6,6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸成分となるように変更し、かつ不活性粒子である架橋ポリスチレン粒子を含有させなかったものをフィルム層(B)用の芳香族ポリエステル(B−3)とした。さらに、実施例1におけるB層用のポリマー(B−1)において、酸成分の88モル%がテレフタル酸成分、12モル%が6,6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸成分となるように変更した架橋ポリスチレン粒子を含有するものを第3の層(C層)用の芳香族ポリエステル(C−3)として準備した。これらを170℃で4時間乾燥後それぞれ3台の押出機に供給し、芳香族ポリエステル(A−3)と(B−3)はそれぞれ10層に分岐後交互積層し、その後に芳香族ポリエステル(C−3)からなるC層を最外層に位置するフィルム層(B)の表面に積層させた。すなわち、層構成については、フィルム層(A)/(B)・・・(A)/(B)/(C層)となっており、得られる二軸配向多層積層ポリエステルフィルムの状態で、最外層に位置するCの層の厚みは500nm、フィルム層(A)と(B)の層の厚みはそれぞれ220nmになるように分岐し、積層した。
そして、延伸倍率を長手方向3.2倍、幅方向5.5倍とした以外は実施例1と同様にして二軸配向多層積層ポリエステルフィルムを得た。
得られた二軸配向多層積層ポリエステルフィルムの特性を表1に示す。
実施例2の芳香族ポリエステル(B−2)において、酸成分の80モル%が2,6−ナフタレンジカルボン酸成分、20モル%が6,6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸成分となるように変更し、かつ不活性粒子である架橋ポリスチレン粒子を平均粒経0.3μmの真球状シリカに変更し、さらに真球状シリカ粒子の含有量を0.2重量%に変更したものをフィルム層(B)用の芳香族ポリエステル(B−4)とした。そして、実施例2における芳香族ポリエステル(A−2)をフィルム層(A)用に用い、それら芳香族ポリエステル(A−2)と芳香族ポリエステル(B−4)とを170℃で6時間乾燥後2台の押出機を用いて溶融させた。なお、交互積層の前に最外層用の芳香族ポリエステル(A−2)および(B−4)を一旦分岐し、さらにA−2樹脂を24層、B−4樹脂を24層に交互積層した後に、最外層用の芳香族ポリエステル(A−2)および芳香族ポリエステル(B−4)からなるフィルム層(A)と(B)を、先に交互積層したそれぞれフィルム層(B)とフィルム層(A)の表面に積層した。すなわち、層構成については、フィルム層(A)/(B)・・・(A)/(B)となっており、得られる二軸配向多層積層ポリエステルフィルムの状態で、最外層に位置するフィルム層(A)の層の厚みは500nm、最外層に位置するフィルム層(B)の層の厚みは2500nm、残りのフィルム層(A)と(B)の層の厚みはそれぞれ10nmになるように分岐し、積層した。その後縦延伸倍率を5.2倍とする以外は実施例2と同様にして、一軸延伸フィルムを得た。得られたフィルムに、下記の組成からなるコーティング液を、最外層に位置するフィルム層(A)の表面に表1に示す厚みとなるように塗布し、続いて連続的にテンターに導入して、幅方向に7.0倍延伸し、210℃で4秒間熱固定をすることにより、二軸配向多層積層ポリエステルフィルムを得た。
得られた二軸配向多層積層ポリエステルフィルムの特性を表1に示す。
(1)アクリル―ポリエステル樹脂:75重量%
・ポリエステル成分:テレフタル酸(70モル%)、イソフタル酸(18モル%)、5―ナトリウムスルホイソフタル酸(12モル%)/エチレングリコール(92モル%)、ジエチレングリコール(8モル%)
・アクリル樹脂成分:メチルメタクリレート(80モル%)、グルシジルメタクリレート(15モル%)、n―ブチルアクリレート(5モル%)
・ポリエステル成分/アクリル樹脂成分のモル比=3/7
(2)アクリル樹脂微粒子:5重量%
・平均粒径20nm
・体積形状係数0.50
(3)界面活性剤:20重量%
・日本油脂製 ノニオンNS―240
フィルム層A用として、実施例1における芳香族ポリエステル(A−1)の添加粒子を平均粒経0.06μmの架橋ポリスチレン粒子に変更した芳香族ポリエステル(A−5)を準備した。また、フィルム層(B)用として、実施例1における芳香族ポリエステル(B−1)を、酸成分の60モル%がテレフタル酸成分、40モル%が6,6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸成分となるように変更し、かつ架橋ポリスチレン粒子を添加する代わりに、平均粒経0.3μmの真球状シリカを0.2重量%含有させたものを芳香族ポリエステル(B−5)として準備した。
得られた二軸配向多層積層ポリエステルフィルムの特性を表1に示す。
フィルム層(B)用の芳香族ポリエステル(B−6)として、実施例2の芳香族ポリエステル(B−2)において、酸成分の76モル%が2,6−ナフタレンジカルボン酸成分、24モル%が6,6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸成分となるように変更し、かつ不活性粒子である架橋ポリスチレン粒子を平均粒経0.1μmの真球状シリカに変更し、さらに真球状シリカ粒子の含有量を0.1重量%に変更したものを準備した。また、フィルム層(A)用の芳香族ポリエステル(A−6)として、実施例2の芳香族ポリエステル(A−2)において、不活性粒子である真球状シリカを平均粒経0.25μmの架橋ポリスチレン粒子に変更し、さらに架橋ポリスチレン粒子の含有量を0.1重量%に変更したものを準備した。
そして、延伸倍率を長手方向5.5倍幅方向7.5倍とする以外は実施例2と同様にして、二軸配向多層積層ポリエステルフィルムを得た。
得られた二軸配向多層積層ポリエステルフィルムの特性を表1に示す。
フィルム層(B)用の芳香族ポリエステル(B−7)として、実施例5の芳香族ポリエステル(B−4)において、酸成分の86モル%が2,6−ナフタレンジカルボン酸成分、14モル%が6,6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸成分となるように変更したものを準備した。また、フィルム層(A)用の芳香族ポリエステル(A−7)として、実施例2の芳香族ポリエステル(A−2)において、酸成分の96モル%が2,6−ナフタレンジカルボン酸成分、4モル%が6,6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸成分となるように変更したものを準備した。
そして、得られた未延伸フィルムを実施例6と同様にして、二軸配向多層積層ポリエステルフィルムを得た。
得られた二軸配向多層積層ポリエステルフィルムの特性を表1に示す。
実施例5と同様にして、一軸延伸フィルムを得た。得られた一軸延伸フィルムに、下記の組成からなるコーティング液を、最外層に位置するフィルム層(B)の表面に表1に示す厚みとなるように塗布した以外は、実施例5と同様にして、二軸配向多層積層ポリエステルフィルムを得た。
得られた二軸配向多層積層ポリエステルフィルムの特性を表1に示す。
・共重合ポリエステル樹脂 60重量%
テレフタル酸97モル%/イソフタル酸1モル%/5−ナトリウムスルホイソフタル酸2モル%//エチレングリコール60モル%/ジエチレングリコール8モル%
・シリカ粒子(平均粒径60nm)10重量%
・ヒドロキシプロピルメチルセルロース 20重量%
・日本油脂製 ノニオンNS−208.5 10重量%
実施例1において、フィルム層(B)用の芳香族ポリエステル(B−1)の代わりに、6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸を共重合せず、ポリエーテルイミドを、樹脂組成物の重量を基準として、10重量%添加したものを使用し、延伸倍率を長手方向4.2倍、幅方向3.8倍とした以外は同様にして、二軸配向多層積層ポリエステルフィルムを得た。
得られた二軸配向多層積層ポリエステルフィルムの特性を表1に示す。
実施例2において、フィルム層(B)用の芳香族ポリエステル(B−1)の代わりに、添加する不活性粒子を架橋ポリスチレン粒子に変えて平均粒径0.1μmの球状シリカ粒子を0.1重量%含有するものに変更したほかは同様にして、二軸配向多層積層ポリエステルフィルムを得た。
得られた二軸配向多層積層ポリエステルフィルムの特性を表1に示す。
実施例4において、tX層となるフィルム層(A)の最終の厚みを10nmとなるように変更し、tY層となる最表層に位置するフィルム層(B)の最終の厚みを3000nmになるように変更した以外は同様にして、二軸配向多層積層ポリエステルフィルムを得た。
得られた二軸配向積層ポリエステルフィルムの特性を表1に示す。
実施例2において、多層積層とせず、1層のA層と1層のB層の2層積層フィルムと変更し、かつ芳香族ポリステル(B−2)の代わりに、酸成分の71モル%が2,6−ナフタレンジカルボン酸成分、29モル%が6,6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸成分となるように変更したものを準備した以外は、同様な操作を繰り返して、二軸配向積層ポリエステルフィルムを得た。
得られた二軸配向積層ポリエステルフィルムの特性を表1に示す。
B 台
C カールしていない部分
Claims (9)
- 芳香族ポリエステル(A)からなるフィルム層(A)と芳香族ポリエステル(B)からなるフィルム層(B)とを交互に11層以上積層した積層構造を有する二軸配向多層積層フィルムであって、
下記式(I)で表される6,6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸成分の全酸成分に占める割合が、芳香族ポリエステル(A)は5モル%未満で、芳香族ポリエステル(B)は5モル%以上80モル%未満であり、一方の表面粗さ(RaX)が0.5−5nmの範囲で、他方の表面粗さ(RaY)がRaXよりも1nm以上大きく、かつ10nm以下であることを特徴とする二軸配向多層積層ポリエステルフィルム。
- フィルム層AまたはBのいずれか一方のフィルム層が2つの最表層の両方を形成し、最表層を形成しない側のフィルム層は平均粒経0.01−1.0μmの不活性粒子を0.001−5重量%含み、最表層を形成する側のフィルム層は不活性粒子を含有しないか、前記最表層を形成しない側のフィルム層よりも平均粒経の小さな粒子を含有するか、同じ平均粒経の不活性粒子をより少ない含有量で含有し、さらに表面粗さの小さな最表層を形成するフィルム層の厚み(tX)が、表面粗さの大きな最表層を形成するフィルム層の厚み(tY)の厚みに対して、1.5倍以上である請求項1記載の二軸配向多層積層ポリエステルフィルム。
- フィルム層AまたはBのいずれか一方のフィルム層が表面粗さの大きな最表層を形成し、かつ平均粒経0.01−1.0μmの不活性粒子を0.001−5重量%含み、表面粗さの大きな最表層を形成しない側のフィルム層が、表面粗さの小さな最表層を形成し、かつ不活性粒子を含有しないか、表面粗さの大きな最表層を形成する側のフィルム層よりも平均粒経の小さな粒子を含有するか、同じ平均粒経の不活性粒子をBより少ない含有量で含有する請求項1記載の二軸配向多層積層ポリエステルフィルム。
- 表面粗さの小さな最表層の厚み(tX(nm))、表面粗さの大きな最表層の厚み(tY(nm))、表面粗さの小さな最表層に隣接するフィルム層の厚み(tX’(nm))と表面粗さの大きな最表層に隣接するフィルム層の厚み(tY’(nm))が次の関係式のいずれか少なくともひとつを満たす請求項3記載の二軸配向多層積層ポリエステルフィルム。
(式1) tX>1.5×tX’
(式2) tY>1.5×tY’ - 2軸配向積層ポリエステルフィルムの表面粗さの大きい最表層が、平均粒経0.01−1.0μmの不活性粒子を0.001−5重量%含む第3の層(C層)からなり、積層構造を形成するフィルム層AおよびBは、不活性粒子を含有しないか、該表面粗さの大きい最表層を形成するフィルム層よりも平均粒経の小さな粒子を含有するか、同じ平均粒経の不活性粒子をより少ない含有量で含有する、請求項1〜4のいずれかに記載の二軸配向多層積層ポリエステルフィルム。
- 2軸配向積層ポリエステルフィルムの少なくとも片面の最表層が不活性粒子を有する塗膜層(第4の層、D層)である、請求項1〜5のいずれかに記載の二軸配向多層積層ポリエステルフィルム。
- フィルム層Aおよびフィルム層Bが不活性粒子を含有しない請求項5または6のいずれかに記載の二軸配向多層積層ポリエステルフィルム。
- フィルムの厚みが1−10μmの範囲にある請求項1〜7のいずれかに記載の二軸配向積層ポリエステルフィルム。
- 二軸配向多層積層ポリエステルフィルムが、磁気記録媒体のベースフィルムに用いられる請求項1〜8のいずれかに記載の二軸配向多層積層ポリエステルフィルム。
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