JP6441147B2 - 延伸多層積層反射ポリエステルフィルムおよびそれからなる液晶ディスプレイ装置 - Google Patents
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Description
また、単独で液晶セルと貼り合わせて用いられる反射型偏光板として、例えば特許文献3(特開2012−013919号公報)において、特定の共重合成分を有する共重合ポリエステルを高屈折率層に用いた1軸延伸多層積層フィルムが提案されており、偏光性能の向上と斜め方向の入射角による透過偏光の色相ズレ解消が提案されている。
該第1層と該第2層の延伸方向の屈折率差が0.10〜0.45である延伸多層積層反射フィルムによって達成される(項1)。
(項2) 該第1層を構成するポリエステルがさらにナフタレンジカルボン酸成分を含む、前記項1に記載の延伸多層積層反射フィルム。
(項3) 該第2層を構成するポリエステルがさらにナフタレンジカルボン酸成分を含む、前記項1または2に記載の延伸多層積層反射フィルム。
(項4) 該第2層を構成するポリエステルがさらに脂環族ジオール成分および脂環族ジカルボン酸成分からなる群から選ばれる少なくとも1種を含む、前記項1〜3のいずれかに記載の延伸多層積層反射フィルム。
(項5) 該脂環族ジオール成分が、スピログリコール、イソソルビドおよびシクロへキサンジメタノールからなる群から選ばれる少なくとも1種であり、該脂環族ジカルボン酸成分がシクロヘキサンジカルボン酸である、前記項4に記載の延伸多層積層反射フィルム。
(項6) 該第2層を構成するポリエステルのガラス転移温度が90℃以上120℃未満である、前記項1〜5のいずれかに記載の延伸多層積層反射フィルム。
(項7) 1軸延伸された前記項1〜6のいずれかに記載の延伸多層積層反射フィルム。
(項8) 液晶ディスプレイの輝度向上フィルムまたは偏光板として用いられる前記項1〜7のいずれかに記載の延伸多層積層反射フィルム。
本発明にはさらに前記項1〜8のいずれかに記載の延伸多層積層反射フィルムを含む液晶ディスプレイ装置も包含される。
[延伸多層積層反射フィルム]
本発明の延伸多層積層反射フィルムは、ポリエステルを含有する第1層と第2層とが交互に50層以上積層された構造を含む延伸フィルムであって、各層における全酸成分に対する下記式(A)で表されるジカルボン酸成分の割合が、該第1層は10モル%以上50モル%未満、該第2層は3モル%以上10モル%未満であり、
該第1層と該第2層の延伸方向の屈折率差が0.10〜0.45である。
該第1層は延伸により配向性、好ましくは1軸配向性を有し、該第2層は無配向性を有することが好ましい。
また、本発明における該第1層と該第2層の延伸方向の屈折率差は0.10〜0.45である。
かかる構成により、光学干渉による構造的な発色・反射特性が優れた延伸多層積層反射フィルムを提供することができる。
積層構造部分の第1層の厚みと第2層の厚みは、それぞれの層の厚みがいずれも0.05〜0.3μmであることが好ましい。各層の厚みが下限に満たないかまたは上限を超えると、光学干渉による構造的な発色や反射特性が十分でないことがある。各層の厚みがこの範囲内であれば、厚みが一定でも、厚みが徐々に変化するものであってもよい。厚みが一定であれば特定波長の反射率を高くすることができ、一方厚みを徐々に変化するものであれば反射波長帯域を広げることができる。
各層における全酸成分に対する下記式(A)で表されるジカルボン酸成分の割合は、該第1層は10モル%以上50モル%未満、該第2層は3モル%以上10モル%未満である。
本発明の延伸多層積層反射フィルムは延伸された多層積層反射フィルムであり、1軸延伸、2軸延伸のいずれでもよいが、1軸延伸された延伸多層積層反射フィルムであることがより好ましい。1軸延伸多層積層反射フィルムの場合、第1層は1軸延伸により1軸配向性を有し、延伸方向における第2層との屈折率差をより高くすることができ、延伸方向に平行な偏光成分についてより高い反射特性が発現する。またフィルム面内において延伸方向と直交する方向について第2層との屈折率差をより小さくすることができ、かかる方向に平行な偏光成分についてより高い透過特性が発現する。
本発明における第1層は、下記式(A)で表されるジカルボン酸成分(以下、ジカルボン酸成分(A)と称することがある)を含むポリエステルを含有する。
発明において、第1層は第2層より屈折率の高い層を表す。
本発明において、第1層における全酸成分に対するジカルボン酸成分(A)の割合は10モル%以上50モル%未満である。ここで、ジカルボン酸成分(A)の割合は、第1層におけるジカルボン酸成分の全モル数を基準とする含有量である。第1層を構成するポリエステルは、以下に詳述するジカルボン酸成分とジオール成分との重縮合によって得られる。
上式(A)中、RAは炭素数2〜10のアルキレン基であり、エチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基、テトラメチレン基、ヘキサメチレン基、オクタメチレン基等が挙げられ、特にエチレン基が好ましい。
ジカルボン酸成分(A)の割合の下限は、好ましくは12モル%、より好ましくは15モル%、さらに好ましくは18モル%である。また、ジカルボン酸成分(A)の割合の上限は、好ましくは45モル%、より好ましくは40モル%、さらに好ましくは35モル%である。
ジカルボン酸成分(A)の割合は、好ましくは12モル%以上45モル%以下、より好ましくは15モル%以上40モル%以下、さらに好ましくは18モル%以上35モル%以下である。
また、第1層におけるジカルボン酸成分(A)の割合と、後述する第2層におけるジカルボン酸成分(A)の割合の差は1%以上であることが好ましく、より好ましくは3%以上、さらに好ましくは5%以上、特に好ましくは10%以上である。
本発明において第1層のポリエステルを構成するジオール成分として、エチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール等が好ましく挙げられ、特に好ましくはエチレングリコールである。ジオール成分の含有量は、好ましくは95モル%以上100モル%以下、より好ましくは98モル%以上100モル%以下である。下限値に満たない場合、1軸延伸された延伸多層積層反射フィルムにおいて前述の1軸配向性が損なわれることがある。
本発明における第1層のポリエステルは、P−クロロフェノール/1,1,2,2−テトラクロロエタン(重量比40/60)の混合溶媒を用いて35℃で測定した固有粘度が0.4〜3dl/gであることが好ましく、さらに好ましくは0.4〜1.5dl/g、特に好ましくは0.5〜1.2dl/gである。
該ポリエステルの融点は、好ましくは200〜260℃の範囲、より好ましくは205〜255℃の範囲、さらに好ましくは210〜250℃の範囲である。融点はDSCで測定して求めることができる。
該ポリエステルの融点が上限を越えると、溶融押出して成形する際に流動性が劣り、吐出などが不均一化しやすくなることがある。一方、該ポリエステルの融点が下限値に満たないと、製膜性は優れるものの、ポリエステルの持つ機械的特性などが損なわれやすくなり、また本発明の屈折率特性が発現し難い。
該ポリエステルのガラス転移温度(以下、Tgと称することがある。)は、好ましくは80〜120℃、より好ましくは82〜118℃、さらに好ましくは85〜118℃の範囲にある。Tgがこの範囲にあると、耐熱性および寸法安定性に優れたフィルムが得られる。かかる融点やガラス転移温度は、共重合成分の種類と共重合量、そして副生物であるジアルキレングリコールの制御などによって調整できる。
かかるポリエステルの製造方法は、例えば国際公開第2008/153188号パンフレットの第9頁に記載されている方法に準じて製造することができる。
本発明における第1層は、かかる特定の共重合成分を含むポリエステルを用いることにより、延伸によって延伸方向の屈折率が未延伸時の屈折率よりも高くなり、好ましくは1.80以上の屈折率である。
さらに1軸延伸を施すことによって、X方向の屈折率nXが1.80〜1.90の高屈折率特性を有する。第1層におけるX方向の屈折率がかかる範囲にあることにより、第2層との屈折率差が大きくなり、十分な反射偏光性能を発揮することができる。
また、1軸延伸を施す場合、Y方向の1軸延伸後の屈折率nYとZ方向の1軸延伸後の屈折率nZとの差は、具体的には0.05以下であることが好ましく、さらに好ましくは0.03以下、特に好ましくは0.01以下である。これら2方向の屈折率差が非常に小さいことにより、偏光が斜め方向の入射角で入射しても色相ずれが生じない効果を奏する。
本発明において、第2層における全酸成分に対するジカルボン酸成分(A)の割合は3モル%以上10モル%未満である。ここで、ジカルボン酸成分(A)の割合は、第2層におけるジカルボン酸成分の全モル数を基準とする含有量である。第2層を構成するポリエステルは、以下に詳述するジカルボン酸成分とジオール成分との重縮合によって得られる。
上式(A)中、RAは炭素数2〜10のアルキレン基であり、エチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基、テトラメチレン基、ヘキサメチレン基、オクタメチレン基等が挙げられ、特にエチレン基が好ましい。
好ましいジカルボン酸成分(A)として、第1層と同様、6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸、6,6’−(トリメチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸、もしくは6,6’−(ブチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸、またはこれらのいずれかから誘導される成分が好ましい。これらの中でも式(A)におけるRAの炭素数が偶数のものが好ましく、特に6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸、または6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸から誘導される成分が好ましい。
ナフタレンジカルボン酸成分の含有量は、好ましくは50モル%以上75モル%以下、より好ましくは55モル%以上70モル%以下、さらに好ましくは60モル%以上70モル%以下である。
第2層を構成するポリエステルのジカルボン酸成分として上述のジカルボン酸成分を含有することにより、第1層との層間剥離をより抑制することができ、特に第1層で用いられるジカルボン酸成分(A)以外のジカルボン酸成分と同じジカルボン酸成分を用いることが好ましい。
本発明において第2層のポリエステルを構成するジオール成分として、エチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール等が好ましく挙げられ、特に好ましくはエチレングリコールである。ジオール成分の含有量は、好ましくは20モル%以上90モル%以下、より好ましくは30モル%以上85モル%以下である。
本発明における第2層を構成するポリエステルは、さらに脂環族ジオール成分および脂環族ジカルボン酸成分からなる群から選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましい。脂環族ジオール成分や脂環族ジカルボン酸を含むことで、ジカルボン酸成分(A)との相溶性が良くなる傾向にあり、延伸による屈折率変化の小さい等方性効果を高めることができ、延伸方向における第1層と第2層との層間の屈折率差をより大きくすることができ、延伸多層積層反射フィルムの層間剥離をさらに改善することができる。
脂環族ジオール成分の含有量としては、好ましくは10モル%〜80モル%、さらに好ましくは15モル%〜70モル%が好ましい。
また、脂環族ジカルボン酸成分の含有量として、好ましくは20モル%〜47モル%、更に好ましくは25モル%〜35モル%が好ましい。
また、ナフタレンジカルボン酸成分を上述の脂環族ジカルボン酸成分または脂環族ジオール成分と併用することで、ジカルボン酸成分(A)との相溶性がより良くなる傾向にあり、透明性が上がり好ましい。
本発明における第2層を構成するポリエステルのガラス転移温度は90℃以上120℃未満であることが好ましい。第2層を構成するポリエステルのガラス転移温度が下限に満たないと、耐熱性が十分でない場合があり、熱処理した際に第2層の結晶化や脆化によってヘーズが上昇し、偏光度の低下を招くことがある。一方で第2層を構成するポリエステルのガラス転移温度が高すぎると延伸時に第2層のポリエステルも延伸による複屈折性が生じることがあり、延伸方向において第1層との屈折率差が小さくなり、反射性能が低下することがある。
また、第2層を構成するポリエステルは、上記成分以外の共重合成分として、10モル%以下の範囲内で、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸、トリメチレングリコール、ヘキサンジオール等の脂肪族ジオール等のグリコール成分を用いてもよい。
第2層を構成するポリエステルは、o−クロロフェノール溶液を用いて35℃で測定した固有粘度が0.55〜0.75dl/gであることが好ましく、さらに好ましくは0.60〜0.70dl/gである。
本発明における第1層の厚みと第2層の厚みは、それぞれの層の厚みがいずれも0.05〜0.3μmであることが好ましい。各層の厚みが下限に満たないかまたは上限を超えると、光学干渉による構造的な発色や反射特性が十分でないことがある。各層の厚みがこの範囲内であれば、厚みが一定でも、厚みが徐々に変化するものであってもよい。厚みが一定であれば特定波長の反射率を高くすることができ、一方厚みを徐々に変化するものであれば反射波長帯域を広げることができる。
各層の厚みは透過型電子顕微鏡を用いて撮影した写真をもとに求めることができる。
本発明の延伸多層積層反射フィルムは、液晶ディスプレイ装置の偏光板として用いる場合には、その反射波長帯は可視光域から近赤外線領域であることが好ましく、第1層および第2層の各層の厚みをかかる範囲とすることにより、かかる波長域の光を層間の光干渉によって選択的に反射することが可能となる。一方、層厚みが上限を超えると反射帯域が赤外線領域になる。他方、層厚みが下限に満たないと、ポリエステル成分が光を吸収し反射性能が得られなくなることがある。
本発明の延伸多層積層反射フィルムは、第1層および第2層におけるそれぞれの最大層厚みと最小層厚みの比率がいずれも2.0以上5.0以下であることが好ましく、より好ましくは2.0以上4.0以下、さらに好ましくは2.0以上3.5以下、特に好ましくは2.0以上3.0以下である。かかる層厚みの比率は、具体的には最小層厚みに対する最大層厚みの比率で表わされる。第1層、第2層におけるそれぞれの最大層厚みと最小層厚みは、透過型電子顕微鏡を用いて撮影した写真をもとに求めることができる。
一般に多層積層フィルムは、層間の屈折率差、層数、および層の厚みなどによって反射する波長が決まるが、積層された第1層および第2層のそれぞれが一定の厚みでは、特定の波長のみしか反射することができず、延伸方向(X方向)を含む入射面に対して平行な偏光成分の平均反射率特性について、波長400〜800nmの幅広い波長帯にわたって均一に平均反射率を高めることができないため、厚みの異なる層を用いることが好ましい。
第1層および第2層の層厚みは、段階的に変化してもよく、連続的に変化してもよい。このように積層された第1層および第2層のそれぞれが変化することで、より広い波長域の光を反射することができる。
本発明の延伸多層積層反射フィルムは、フィルムの巻取り性を向上させるために、少なくとも一方の最外層に平均粒径が0.01μm〜2μmの不活性粒子を、層の重量を基準として0.001重量%〜0.5重量%含有することが好ましい。不活性粒子の平均粒径が下限値よりも小さいか、含有量が下限値よりも少ないと、延伸多層積層反射フィルムの巻取り性を向上させる効果が不十分になりやすく、他方、不活性粒子の含有量が上限値を超えるか、平均粒径が上限値を超えると、延伸多層積層反射フィルムの光学特性の低下が生じることがある。好ましい不活性粒子の平均粒径は、0.02μm〜1μm、特に好ましくは0.1μm〜0.3μmの範囲である。また、好ましい不活性粒子の含有量は、0.02重量%〜0.2重量%の範囲である。
不活性粒子は、最外層のみならず、最外層と同じ樹脂で構成される層中に含まれていてもよく、例えば第1層または第2層の少なくとも一方の層中に含まれていてもよい。または、第1層、第2層と異なる別の層を最外層として設けてもよく、またヒートシール層を設ける場合は該ヒートシール層中に不活性粒子が含まれていてもよい。
本発明の延伸多層積層反射フィルムの延伸方向における第1層と第2層との屈折率差は上述した範囲であるが、1軸延伸多層積層反射フィルムの場合、第1層と第2層の延伸しない非延伸方向(Y方向)の屈折率差および第1層と第2層の厚み方向(Z方向)の屈折率差は、それぞれ0.05以下であることが好ましい。Y方向およびZ方向それぞれの層間の屈折率差がともに上述の範囲にあることにより、偏光が斜め方向の入射角で入射した際に色相ずれを抑制することができる。
本発明の延伸多層積層反射フィルムは、固有粘度が0.55dl/g以上0.75dl/g以下であることが好ましく、より好ましくは0.57dl/g以上0.70dl/g以下である。延伸多層積層反射フィルムの固有粘度が下限値に満たないと、延伸多層積層反射フィルムの製膜時または液晶ディスプレイの輝度向上フィルムや偏光板などの製造工程で破断を起こしやすくなる。一方、延伸多層積層反射フィルムの固有粘度が上限を超えると溶融粘度が上昇するため、単位時間に押出せる樹脂量が減ってしまい生産性を落とす他、押出しの際のせん断発熱が大きくなり、樹脂温度の上昇による分解が無視できなくなる。
本発明において、1軸延伸多層積層反射フィルムの場合、下記式(1)で表される偏光度(P%)が99.0以上であることが好ましく、さらに好ましくは99.2%以上、特に好ましくは99.5%以上である。
偏光度(P)={(Ts−Tp)/(Tp+Ts)}×100 ・・・(1)
(式(1)中、Tpは400〜800nmの波長範囲におけるP偏光の平均透過率、Tsは400〜800nmの波長範囲におけるS偏光の平均透過率をそれぞれ表す)
P偏光とは1軸延伸多層積層フィルムにおいて、フィルム面を反射面とし、1軸延伸方向(X方向)を含む入射面に対して平行な偏光成分と定義する。S偏光とは1軸延伸多層積層フィルムにおいて、フィルム面を反射面とし、1軸延伸方向(X方向)を含む入射面に対して垂直な偏光成分と定義される。
また偏光度の測定は偏光度測定装置を用いて測定することができる。
上式(1)で特定される偏光度が高いほど、反射偏光成分の透過を抑制し、その直交方向の透過偏光成分の透過率が高いことを意味しており、偏光度が高いほど反射偏光成分のわずかな光漏れも低減できる。
多層構造のフィルムでありながらかかる偏光度特性を達成するためには、1軸延伸多層積層反射フィルムを構成する第1層および第2層として本発明の特定のポリエステルをそれぞれ用いることが挙げられ、さらに該1軸延伸多層積層フィルムが光干渉に影響しない一定厚さの中間層を有し、かかる中間層に一定量の可視光吸収剤を含有させてもよい。
本発明の延伸多層積層反射フィルムは、反射偏光特性を有することが好ましく、かかる光学特性を満足するために、1軸方向に延伸されることが好ましい。反射偏光特性が発現されるためには、第1層が1軸配向性を有し、該第2層は無配向性を有することが好ましく、1軸方向にのみ延伸したフィルムの他、2軸方向に延伸されたフィルムであって、一方向により延伸され、もう一方は1.05〜1.20倍程度の延伸倍率であるフィルムも含まれ、本発明において「1軸延伸される」とは、反射偏光特性を損なわない限り、前記の範囲の2軸方向に延伸されて第1層が1軸配向性を有するフィルムも包含される。
かかる交互積層体は、各層の厚みが段階的または連続的に2.0〜5.0倍の範囲で変化するように積層される。
このときの延伸倍率は2〜10倍であることが好ましく、さらに好ましくは2.5〜7倍、さらに好ましくは3〜6倍、特に好ましくは4.5〜5.5倍である。延伸倍率が大きいほど、第1層および第2層における個々の層の面方向のバラツキが延伸による薄層化により小さくなり、多層延伸フィルムの光干渉が面方向に均一化され、また第1層と第2層の延伸方向の屈折率差が大きくなるので好ましい。このときの延伸方法は、棒状ヒータによる加熱延伸、ロール加熱延伸、テンター延伸など公知の延伸方法を用いることができるが、ロールとの接触によるキズの低減や延伸速度などの観点から、テンター延伸が好ましい。
また、延伸後にさらに熱固定処理を施すことが好ましく、(Tg)〜(Tg+30)℃の温度で行いながら、5〜15%の範囲で延伸方向にトーアウト(再延伸)させることにより、得られた延伸多層積層反射フィルムの配向特性を高度に制御することができる。
本発明の延伸多層積層反射フィルムが1軸延伸多層積層反射フィルムの場合、多層構造の反射偏光フィルムでありながら、高偏光度と、透過されない偏光を反射させて再利用できる輝度向上フィルムとしての機能とを備えているため、吸収型偏光板を併用することなく、単独で液晶セルに隣接して用いられる液晶ディスプレイの偏光板として用いることができる。
従来は液晶セルの両側の偏光板として、吸収型偏光板を少なくとも有することにより、高い偏光性能が得られていたところ、本発明における1軸延伸多層積層反射フィルムを用いた偏光板であれば、従来の多層積層フィルムでは到達できなかった高偏光性能が得られるため、従来の吸収型偏光板に代えて液晶セルと隣接して用いられる偏光板として用いることができるものである。
第1の偏光板として本発明における1軸延伸多層積層反射フィルムを液晶セルの一方に用いる場合、単独で十分に高い偏光性能を有するため、わざわざ吸収型偏光板と積層して用いる必要はなく、前記偏光板を単独で用いることが好ましい。
液晶セルの種類は特に限定されず、VAモード、IPSモード、TNモード、STNモードやベンド配向(π型)など、任意のタイプのものを用いることができる。
本発明の液晶表示装置用光学部材は、第1の偏光板、液晶セル、および第2の偏光板がこの順で積層されることが好ましく、これらの各部材同士は直接積層されてもよく、また粘着層や接着層と称される層間の接着性を高める層(以下、粘着層と称することがある)、保護層などを介して積層されてもよい。
本発明には、光源と本発明における液晶ディスプレイ装置用光学部材とを備え、第1の偏光板が光源側に配置されてなる液晶ディスプレイ装置も発明の一態様として包含される。
このようにして得られた液晶ディスプレイ装置は、例えば、パソコンモニター,ノートパソコン,コピー機等のOA機器、携帯電話,スマートフォン,時計,デジタルカメラ,携帯情報端末(PDA),携帯ゲーム機等の携帯機器、ビデオカメラ,テレビ,電子レンジ等の家庭用電気機器、バックモニター,カーナビゲーションシステム用モニター,カーオーディオ等の車載用機器、商業店舗用インフォメーション用モニター等の展示機器、監視用モニター等の警備機器、介護用モニター,医療用モニター等の介護・医療機器等、種々の用途に用いることができる。
多層積層フィルムの各層について、1H−NMR測定よりポリエステルの共重合成分も含めた各成分および各成分量を特定した。
各層を構成する個々の樹脂について、それぞれ溶融させてダイより押出し、キャスティングドラム上にキャストしたフィルムをそれぞれ用意した。また、得られたフィルムを120℃にて一軸方向に5倍延伸した延伸フィルムを用意した。得られたキャストフィルムと延伸フィルムについて、それぞれ延伸方向(X方向)とその直交方向(Y方向)、厚み方向(Z方向)それぞれの屈折率(それぞれnX、nY、nZとする)を、メトリコン製プリズムカプラを用いて波長633nmで測定した。
延伸後の各方向の屈折率および延伸後の各方向の屈折率を平均した平均屈折率を表1に記載した。
フィルムサンプルをスピンドル検出器(安立電電気(株)製K107C)にはさみ、デジタル差動電子マイクロメーター(安立電気(株)製K351)にて、異なる位置で厚みを10点測定し、平均値を求めフィルム厚みとした。
JIS K5600に従って試験を行った。フィルム上に2mm間隔で25マスの格子状パターンを切り込んだ。また、約100mmの長さに切った31Bテープ(ニチバン製)を切り込みの入った格子上部分に接着し、テープを60°に近い角度から0.5〜1.0秒の時間で引き剥がした。層間剥離性に関して、下記の基準で評価した。
◎:フィルムの層間で剥離が認められなかった
○:一部剥離が認められた
×:テープの箇所が全て剥離された
第2層サンプルを10mgサンプリングし、DSC(TAインスツルメンツ社製、商品名:DSC2920)を用い、20℃/minの昇温速度で、融点およびガラス転移点を測定した。
第1層用のポリエステルについては重量比が6:4のP−クロロフェノール/1,1,2,2−テトラクロロエタンに溶解後、35[℃]の温度にて測定した溶液粘度から、下式で計算した値を用いた。
第2層用のポリエステルとフィルムについては、o−クロロフェノール溶液に溶解後、35[℃]の温度にて測定した溶液粘度から、下式で計算した値を用いた。なお、o−クロロフェノール溶液で未溶融物が確認される場合は、これらのサンプルについても重量比が6:4のP−クロロフェノール/1,1,2,2−テトラクロロエタンに溶解させて測定した。
ηsp/C=[η]+K[η]2
ここで、ηsp=(溶液粘度/溶媒粘度)−1であり、Cは、溶媒100[ml]あたりの溶解ポリマー重量[g/100ml]、Kはハギンス定数である。また、溶液粘度、溶媒粘度はオストワルド粘度計を用いて測定した。単位は[dl/g]で示す。
JIS K7136に準じ、日本電色工業社製のヘーズ測定器(NDH−2000)を使用して、下式(2)より延伸多層積層反射フィルムの90℃×1000hr熱処理前後のヘーズの差、ΔHzを測定し、以下の基準に基づいて評価した。
ΔHz=(90℃×1000hr熱処理後のヘーズ)−(90℃×1000hr熱処理前のヘーズ) ・・・(2)
◎:ΔHzが1.0%以下
○:ΔHzが1.0%より大きく5.0%以下
×:ΔHzが5.0%より大きい
得られた延伸多層積層反射フィルムについて、偏光度測定装置(日本分光株式会社製「VAP7070S」)を用いてP偏光の透過率、S偏光の透過率、および偏光度を測定した。
偏光フィルタの透過軸をフィルムの延伸方向(X方向)と合わせるように配置した場合の測定値をP偏光とし、偏光フィルタの透過軸をフィルムの延伸方向と直交するように配置した場合の測定値をS偏光としたときの偏光度(P%、単位%)は以下の式で表される。
偏光度(P)={(Ts−Tp)/(Tp+Ts)}×100 ・・・(1)
(式(1)中、Tpは400〜800nmの波長範囲におけるP偏光の平均透過率、Tsは400〜800nmの波長範囲におけるS偏光の平均透過率をそれぞれ表す)
なお、測定光の入射角は0度に設定して測定を行った。
パソコンの表示ディスプレイとして得られた液晶ディスプレイ装置を用い、パソコンにより白色表示したときの液晶ディスプレイ装置の画面の正面輝度をオプトデザイン社製FPD視野角測定評価装置(ErgoScope88)で測定し、参考例1に対する輝度の上昇率を算出し、輝度向上効果を下記の基準で評価した。
◎: 輝度向上効果が160%以上
○: 輝度向上効果が150%以上160%未満
△: 輝度向上効果が140%以上150%未満
×: 輝度向上効果が140%未満
2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチル、6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸、そしてエチレングリコールを、チタンテトラブトキシドの存在下でエステル化反応およびエステル交換反応を行い、さらに引き続いて重縮合反応を行って、固有粘度0.63dl/gで、酸成分の79mol%が2,6−ナフタレンジカルボン酸成分、酸成分の21mol%が6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸成分(表1中、ENAと記載)、ジオール成分がエチレングリコールである芳香族ポリエステル(表1中、ENA21PENと記載)を第1層用ポリエステルとし、第2層用ポリエステルとして以下の成分で構成されるポリエステルA(固有粘度0.70dl/g)を準備した。
ジカルボン酸成分:6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸(表2中、ENAと記載)8mol%、2,6−ナフタレンジカルボン酸(表2中、NDCと記載)67mol%、シクロヘキサンジカルボン酸(表2中、CHDCと記載)25mol%
ジオール成分:エチレングリコール(表2中、EGと記載)80mol%、スピログリコール(表2中、SPGと記載)20mol%
この多層未延伸フィルムを120℃の温度で幅方向に5.2倍に延伸し、さらに120℃で同方向に15%延伸しながら120℃で3秒間熱固定処理を行った。得られた1軸延伸多層積層反射フィルムの厚みは105μmであった。
後述する参考例1において、光源側の第1の偏光板として偏光板Xに代えて、得られた1軸延伸多層積層反射フィルムを用いた以外は参考例1と同様にして、液晶セルの光源側主面に得られた1軸延伸多層積層反射フィルム(第1の偏光板)、視認側主面に偏光板X(第2の偏光板)が配置された液晶パネルを得た。
上記の液晶パネルを参考例1で説明する液晶ディスプレイに組込み、液晶ディスプレイ装置の光源を点灯させ、パソコンにて白画面および黒画面の輝度を評価した。
このようにして得られた1軸延伸多層積層反射フィルムの各層の樹脂構成、各層の特徴、得られた1軸延伸多層積層反射フィルムの特性および液晶ディスプレイ装置の特性を表1に示す。
表1および表2に示すとおり、各層の樹脂組成を変更した以外は実施例1と同様にして1軸延伸多層積層反射フィルムを得、得られた1軸延伸多層積層反射フィルムをさらに実施例1と同様にして液晶パネルおよび液晶ディスプレイ装置に組み込み、実施例1と同様の評価を行った。
表1中、ENA35PENとは実施例1のENA21PENの2,6−ナフタレンジカルボン酸成分量を65mol%、6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸成分量を35mol%に変更したポリエステルであり、またENA15PENとは実施例1のENA21PENの2,6−ナフタレンジカルボン酸成分量を85mol%、6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸成分量を15mol%に変更したポリエステルを表している。また表1中、PENとは2,6−ナフタレンジカルボン酸成分量を100mol%、6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸成分量を0mol%に変更したホモポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートを表している。
なお、比較例4の第2層のポリエステルについて、6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸成分量を21mol%とする共重合ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートと、イーストマンケミカル製PCTA AN004(ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレート−イソフタレート共重合体(表2中、PCTと記載)とを重量比率で2:1になるように混合したものである。
(偏光子の作成)
ポリビニルアルコールを主成分とする高分子フィルム[クラレ製 商品名「9P75R(厚み:75μm、平均重合度:2,400、ケン化度99.9モル%)」]を周速の異なるロール間で染色しながら延伸搬送した。まず、30℃の水浴中に1分間浸漬させてポリビニルアルコールフィルムを膨潤させつつ搬送方向に1.2倍に延伸した後、30℃のヨウ化カリウム濃度0.03重量%、ヨウ素濃度0.3重量%の水溶液中で1分間浸漬することで、染色しながら搬送方向に、全く延伸していないフィルム(原長)を基準として3倍に延伸した。次に60℃のホウ酸濃度4重量%、ヨウ化カリウム濃度5重量%の水溶液中に30秒間浸漬しながら、搬送方向に原長基準で6倍に延伸した。次に、得られた延伸フィルムを70℃で2分間乾燥することで偏光子を得た。なお、偏光子の厚みは30μm、水分率は14.3重量%であった。
アセトアセチル基を有するポリビニルアルコール系樹脂(平均重合度1200、ケン化度98.5%モル%、アセトアセチル化度5モル%)100重量部に対して、メチロールメラミン50重量部を30℃の温度条件下で純水に溶解し、固形分濃度3.7重量%の水溶液を調製した。この水溶液100重量部に対して、正電荷を有するアルミナコロイド(平均粒子径15nm)を固形分濃度10重量%で含有する水溶液18重量部を加えて接着剤水溶液を調製した。接着剤溶液の粘度は9.6mPa・sであり、pHは4〜4.5の範囲であり、アルミナコロイドの配合量は、ポリビニルアルコール系樹脂100重量部に対して74重量部であった。
厚み80μm、正面レターデーション0.1nm、厚み方向レターデーション1.0nmの光学等方性素子(富士フィルム製商品名「フジタック ZRF80S」の片面に、上記のアルミナコロイド含有接着剤を、乾燥後の厚みが80nmとなるように塗布し、これを上記の偏光子の片面に両者の搬送方向が平行となるようにロール・トゥー・ロールで積層した。続いて、偏光子の反対側の面にも同様にして光学等方性素子(富士フィルム製商品名「フジタック ZRF80S」)の片面に上記のアルミナコロイド含有接着剤を乾燥後の厚みが80nmとなるように塗布したものを、これらの搬送方向が平行となるようにロール・トゥー・ロールで積層した。その後55℃で6分間乾燥させて偏光板を得た。この偏光板を「偏光板X」とする。
VAモードの液晶セルを備え、直下型のバックライトを採用した液晶テレビ(シャープ製AQUOS LC−20E90 2011年製)から液晶パネルを取り出し、液晶セルの上下に配置されていた偏光板および光学補償フィルムを取り除いて、該液晶セルのガラス面(表裏)を洗浄した。続いて、上記液晶セルの光源側の表面に、元の液晶パネルに配置されていた光源側偏光板の吸収軸方向と同様の方向となるように、アクリル系粘着剤を介して上記の偏光板Xを液晶セルに配置した。
次いで、液晶セルの視認側の表面に、元の液晶パネルに配置されていた視認側偏光板の吸収軸方向と同様の方向となるように、アクリル系粘着剤を介して上記の偏光板Xを液晶セルに配置した。このようにして、液晶セルの一方主面に偏光板X、他方主面に偏光板Xが配置された液晶パネルを得た。
上記の液晶パネルを、元の液晶ディスプレイ装置に組込み、液晶ディスプレイ装置の光源を点灯させ、パソコンにて白画面および黒画面を表示して、液晶ディスプレイ装置の輝度を評価した。
Claims (9)
- 該第1層を構成するポリエステルがさらにナフタレンジカルボン酸成分を含む、請求項1に記載の延伸多層積層反射フィルム。
- 該第2層を構成するポリエステルがさらにナフタレンジカルボン酸成分を含む、請求項1または2に記載の延伸多層積層反射フィルム。
- 該第2層を構成するポリエステルがさらに脂環族ジオール成分および脂環族ジカルボン酸成分からなる群から選ばれる少なくとも1種を含む、請求項1〜3のいずれかに記載の延伸多層積層反射フィルム。
- 該脂環族ジオール成分が、スピログリコール、イソソルビドおよびシクロへキサンジメタノールからなる群から選ばれる少なくとも1種であり、該脂環族ジカルボン酸成分がシクロヘキサンジカルボン酸である、請求項4に記載の延伸多層積層反射フィルム。
- 該第2層を構成するポリエステルのガラス転移温度が90℃以上120℃未満である、請求項1〜5のいずれかに記載の延伸多層積層反射フィルム。
- 1軸延伸された請求項1〜6のいずれかに記載の延伸多層積層反射フィルム。
- 液晶ディスプレイの輝度向上フィルムまたは偏光板として用いられる請求項1〜7のいずれかに記載の延伸多層積層反射フィルム。
- 請求項1〜8のいずれかに記載の延伸多層積層反射フィルムを含む液晶ディスプレイ装置。
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