JP2010052416A - 積層体、磁気記録媒体用支持体および磁気記録媒体 - Google Patents

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Abstract

【課題】 磁性層との密着性が高く、搬送時に表面にキズがつきにくい磁気記録媒体用支持体であって磁気記録媒体とした際に環境変化による寸法変化が少なく、高湿度下でも保存が可能で、耐久性の優れた磁気記録媒体とすることができる支持体を提供することにある。
【解決手段】 ポリエステルフィルムの少なくとも片面に金属または金属系酸化物を含む層(M層)が設けられ、さらにその少なくとも片面にコーティング層(C層)が設けられた積層体とする。
【選択図】図2

Description

本発明は、磁気テープなどの磁気記録媒体に用いられる支持体と、該支持体上に磁性層を設けた磁気記録媒体とに関する。
二軸延伸ポリエステルフィルムはその優れた熱特性、寸法安定性、機械特性および表面形態の制御のし易さから各種用途に使用されており、特に磁気記録媒体などの支持体としての有用性がよく知られている。近年、磁気テープなどの磁気記録媒体は、機材の軽量化、小型化、大容量化のため高密度記録化が要求されている。高密度記録化のためには、記録波長を短くし、記録トラックを小さくすることが有用である。しかしながら、記録トラックを小さくすると、テープ走行時における熱やテープ保管時の温湿度変化による変形により、記録トラックのずれが起こりやすくなるという問題がある。したがって、テープの使用環境および保管環境での寸法安定性といった特性の改善に対する要求がますます強まっている。
この観点から、支持体には、強度、寸法安定性の点で二軸延伸ポリエステルフィルムよりも優れた、剛性の高い芳香族ポリアミドが用いられることがある。しかしながら芳香族ポリアミドは高価格でコストがかかり、汎用記録媒体の支持体としては現実的ではない。
一方、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートなどを用いたポリエステルフィルムにおいても、延伸技術を用いて高強度化した磁気記録媒体用支持体が開発されている。しかしながら、温度や湿度に対する寸法安定性などの厳しい要求を満足することはいまだ困難である。
温度や湿度に対する寸法安定性を向上するために、ポリエステルフィルムの片面または両面に金属などの補強層を設ける方法(特許文献1〜4)が開示されている。しかしながら、補強層はポリエステルフィルム表面とは表面状態が変わるため、磁性層を設ける時に密着性が確保できないなどの問題がある。また、補強層は硬いがもろいため搬送時に脱落やキズが発生する場合がある。さらに、補強層は湿度により酸化や水酸化が起こり、ボロボロに劣化する問題がある。
そこで、鋭意検討した結果、寸法安定性を向上させるために補強層を設け、磁性層との密着性を向上させるためにコーティング層を設けることで課題を解決することができることを見出した。さらに補強層と磁性層のいずれに対しても密着性のあるコーティング層を補強層上に設けることで、補強層の表面保護、耐湿性などが向上し上記多くの課題を解決できることを見出した。
特開平7−272247号公報 特開2006−120213号公報 特開2006−277920号公報 特開2000−195035号公報
本発明の目的は、上記の問題を解決し、優れた磁気記録媒体用支持体を提供することにある。詳しくは、磁性層との密着性が高い磁気記録媒体用支持体であって、磁気記録媒体とした際に環境変化による寸法変化が少なく、高湿度下でも保存が可能で、耐久性の優れた磁気記録媒体とすることができる支持体を提供することにある。
上記課題を解決するための本発明は、次の(1)〜(7)を特徴とするものである。
(1)ポリエステルフィルムの少なくとも片面に金属または金属系酸化物を含む層(M層)が設けられ、さらにその少なくとも片面にコーティング層(C層)が設けられた積層体。
(2)金属または金属系酸化物を含む層(M層)の上にコーティング層(C層)が設けられた、上記(1)に記載の積層体。
(3)ポリエステルフィルムの両面に金属または金属系酸化物を含む層(M層)が設けられた、上記(1)または(2)に記載の積層体。
(4)金属または金属系酸化物を含む層(M層)が酸化アルミニウムを含んでいる、上記(1)〜(3)のいずれかに記載の積層体。
(5)コーティング層(C層)がポリオキシアルキレングリコール成分を含有する水溶性共重合ポリエステルを含む、上記(1)〜(4)のいずれかに記載の積層体。
(6)上記(1)〜(5)のいずれかに記載の積層体を用いた磁気記録媒体用支持体。
(7)上記(6)に記載の磁気記録媒体用支持体に磁性層を設けた磁気記録媒体。
本発明は、磁性層との密着性が高い磁気記録媒体用支持体であって磁気記録媒体とした際に環境変化による寸法変化が少なく、高湿度下でも保存が可能で、耐久性の優れた磁気記録媒体とすることができる支持体を得ることができる。
幅寸法を測定する際に用いるシート幅測定装置の模式図である。 本発明の支持体を製造する際に用いられる真空蒸着装置の模式図である。
本発明の積層体は、ポリエステルフィルムの少なくとも片面に金属または金属系酸化物を含む層(M層)が設けられ、さらにその少なくとも片面にコーティング層(C層)が設けられている。
本発明において、ポリエステルフィルムとは、例えば、芳香族ジカルボン酸、脂環族ジカルボン酸または脂肪族ジカルボン酸などの酸成分やジオール成分を構成単位(重合単位)とするポリマーで構成されたものである。
芳香族ジカルボン酸成分としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、6,6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルスルホンジカルボン酸等を用いることができ、なかでも好ましくは、テレフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、を用いることができる。6,6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸成分としては、炭素数2〜10のアレキレンが好ましく、6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸、6,6’−(トリメチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸および6,6’−(ブチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸などが挙げられる。脂環族ジカルボン酸成分としては、例えば、シクロヘキサンジカルボン酸等を用いることができる。脂肪族ジカルボン酸成分としては、例えば、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸等を用いることができる。これらの酸成分は一種のみを用いてもよく、二種以上を併用してもよい。6,6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸成分は主成分として用いることもできるが、他の芳香族ポリエステル成分と共重合させることが好ましい。6,6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸成分の好ましい共重合量は、5〜50モル%であり、より好ましくは10〜40モル%、さらに好ましくは15〜30モル%である。6,6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸成分を共重合させたポリエステルの融点は220〜260℃であることが好ましい。より好ましくは230〜250℃である。さらに好ましくは235〜245℃である。6,6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸成分を共重合させたポリエステルのガラス転移温度は100〜140℃が好ましい。より好ましくは110〜130℃である。さらに好ましくは115〜125℃である。また、6,6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸成分を共重合させたポリエステルの溶融結晶化ピーク温度は140〜180℃であることが好ましい、より好ましくは150〜170℃である。さらに好ましくは155〜165℃である。
ジオール成分としては、例えば、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリアルキレングリコール、2,2’−ビス(4’−β−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン等を用いることができ、なかでも、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコール等を好ましく用いることができ、特に好ましくは、エチレングリコール等を用いることができる。これらのジオール成分は一種のみを用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
ポリエステルには、ラウリルアルコール、イソシアン酸フェニル等の単官能化合物が共重合されていてもよいし、トリメリット酸、ピロメリット酸、グリセロール、ペンタエリスリトール、2,4−ジオキシ安息香酸、等の3官能化合物などが、過度に分枝や架橋をせずポリマーが実質的に線状である範囲内で共重合されていてもよい。さらに酸成分、ジオール成分以外に、p−ヒドロキシ安息香酸、m−ヒドロキシ安息香酸、2,6−ヒドロキシナフトエ酸などの芳香族ヒドロキシカルボン酸およびp−アミノフェノール、p−アミノ安息香酸などを本発明の効果が損なわれない程度の少量であればさらに共重合せしめることができる。
ポリマーの共重合割合はNMR法(核磁気共鳴法)や顕微FT−IR法(フーリエ変換顕微赤外分光法)を用いて調べることができる。
ポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートが好ましい。また、これらの共重合体、および変性体でもよく、他の熱可塑性樹脂とのポリマーアロイでもよい。ここでいうポリマーアロイとは高分子多成分系のことであり、共重合によるブロックコポリマーであってもよいし、混合などによるポリマーブレンドでもよい。
ポリマーアロイ樹脂としてはポリオレフィン系樹脂やポリイミド系樹脂が好ましい。特に、上記ポリエステル樹脂とポリイミド系樹脂のポリマーアロイは混合割合によって耐熱性(ガラス転移温度)を制御できるため、使用条件に合わせたポリマー設計ができるため好ましい。ポリマーの混合割合はNMR法(核磁気共鳴法)や顕微FT−IR法(フーリエ変換顕微赤外分光法)を用いて調べることができる。
ポリオレフィン系樹脂としては、ポリ−3−メチルブテン−1、ポリ−4−メチルペンテン−1、ポリビニル−t−ブタン、1,4−トランス−ポリ−2,3−ジメチルブタジエン、ポリビニルシクロヘキサン、ポリスチレン、ポリメチルスチレン、ポリジメチルスチレン、ポリブチルスチレンなどが挙げられる。これらの中でも、耐熱性および吸湿性の点から、シンジオタクチック構造を有するスチレン系樹脂(以下、シンジオタクチックスチレン系樹脂と称することがある。)が好ましい。本発明におけるシンジオタクチックスチレン系樹脂は、立体化学構造がシンジオタクチック構造を有するポリスチレンであり、核磁気共鳴法(13C−NMR法)により測定されるタクティシティーが、ダイアッド(構成単位が2個)で75%以上、好ましくは85%以上、ペンタッド(構成単位が5個)で30%以上、好ましくは50%以上である。
シンジオタクチックスチレン系樹脂としては、ポリスチレン、ポリ(アルキルスチレン)として、ポリ(メチルスチレン)、ポリ(エチルスチレン)、ポリ(プロピルスチレン)、ポリ(ブチルスチレン)、ポリ(フェニルスチレン)が挙げられ、これらのうち、ポリスチレン、ポリ(p−メチルスチレン)、ポリ(m−メチルスチレン)、ポリ(p−ターシャリーブチルスチレン)が好ましい。本発明におけるシンジオタクチックスチレン系樹脂は、単独であっても、2種以上併用であってもよい。
また、本発明におけるシンジオタクチックスチレン系樹脂は、重合平均分子量が10,000以上、さらに50,000以上であることが好ましい。重合平均分子量が10,000より小さい場合、耐熱性や機械特性が不十分である。一方、重合平均分子量の上限は500,000以下であることが好ましい。500,000を超える場合、製膜性が低下する傾向にある。
本発明において好適に使用できるポリオレフィン系樹脂の融点は、230℃〜280℃であることが好ましく、更には240〜275℃であることが好ましい。融点が230℃より低いと得られる二軸配向ポリエステルフィルムの耐熱性が不十分な場合がある。また融点が280℃を超える場合はポリエステルとの混合が難しくなることがある。
ポリイミド系樹脂としては、例えば、下記一般式で示されるような構造単位を含有するものが好ましい。
Figure 2010052416
ただし、式中のRは、
Figure 2010052416
Figure 2010052416
などの脂肪族炭化水素基、脂環族炭化水素基、芳香族炭化水素基から選ばれた一種もしくは二種以上の基を表している。また、式中のRは、
Figure 2010052416
などの脂肪族炭化水素基、脂環族炭化水素基、芳香族炭化水素基から選ばれた一種もしくは二種以上の基を表している。
溶融成形性やポリエステルとの親和性などの点から、下記一般式で示されるような、ポリイミド構成成分にエーテル結合を含有するポリエーテルイミドが特に好ましい。
Figure 2010052416
(ただし、上記式中Rは、6〜30個の炭素原子を有する2価の芳香族または脂肪族残基、Rは6〜30個の炭素原子を有する2価の芳香族残基、2〜20個の炭素原子を有するアルキレン基、2〜20個の炭素原子を有するシクロアルキレン基、および2〜8個の炭素原子を有するアルキレン基で連鎖停止されたポリジオルガノシロキサン基からなる群より選択された2価の有機基である。)
上記R、Rとしては、例えば、下記式群に示される芳香族残基を挙げることができる。
Figure 2010052416
本発明では、ポリエステルとの親和性、コスト、溶融成形性等の観点から、2,2−ビス[4−(2,3−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン二無水物とm−フェニレンジアミン、またはp−フェニレンジアミンとの縮合物である、下記式で示される繰り返し単位を有するポリマーが好ましい
Figure 2010052416
または
Figure 2010052416
(nは2以上の整数、好ましくは20〜50の整数)
このポリエーテルイミドは、“ウルテム”(登録商標)の商品名で、SABICイノベーティブプラスチックスより入手可能である。
上記したような好ましいポリエステルを用いて本発明の積層体を構成するポリエステルフィルムを製造する。本発明において、ポリエステルフィルムは2層以上の積層構成であることが好ましい。特に、本発明の積層体は、磁気記録媒体に用いる場合、一方の表面には、優れた電磁変換特性を得るための平滑さが求められ、他方の表面には、製膜・加工工程での搬送や、磁気テープの走行性や走行耐久性を付与するための粗さが求められる。そのため、ポリエステルフィルムを2層以上の積層構成にすることが好ましい。
ポリエステルフィルムには、その表面に易滑性や耐摩耗性、耐スクラッチ性などを付与するため、無機粒子、有機粒子、例えば、クレー、マイカ、酸化チタン、炭酸カルシウム、カオリン、タルク、湿式シリカ、乾式シリカ、コロイド状シリカ、リン酸カルシウム、硫酸バリウム、アルミナ、ジルコニア等の無機粒子、アクリル酸類、スチレン系樹脂、熱硬化樹脂、シリコーン、イミド系化合物等を構成成分とする有機粒子、ポリエステル重合反応時に添加する触媒等によって析出する粒子(いわゆる内部粒子)などが添加されていてもよい。粒子の粒径はTEMなどによって調べることができ、粒子の添加量はX線マイクロアナライザーや熱分解ガスクロマト質量分析などによって調べることができる。
本発明の積層体を構成するポリエステルフィルムは、磁性層を設ける側の表面(A)の中心線平均粗さRaが0.5nm〜10nmであることが好ましい。より好ましい範囲としては、1〜9nm、さらに好ましい範囲としては、2〜8nmである。
一方、上記表面(A)とは反対側のバックコート層側の表面(B)の中心線平均粗さRaは3〜30nmであることが好ましい。より好ましい範囲としては、5〜20nm、さらに好ましい範囲としては7〜15nmである。
本発明の積層体を構成するポリエステルフィルムは、長手方向のヤング率が3〜15GPaであることが好ましい。長手方向のヤング率が3GPaより小さい場合、M層を形成するときに長手方向への張力によって長手方向に伸び、M層の形成時に問題が発生しやすい。一方、長手方向のヤング率が15GPaより大きい場合、M層形成時に張力を高める必要があり、巻締まりが起こりやすく問題が発生しやすい。より好ましい範囲としては、4〜13GPa、さらに好ましい範囲としては5〜11GPaである。6,6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸成分を共重合させたポリエステルからなるポリエステルフィルムの長手方向のヤング率は3〜8GPaであることが好ましい。より好ましくは4〜7GPa、さらに好ましくは4.5〜6GPaである。
本発明の積層体を構成するポリエステルフィルムは、幅方向のヤング率が4〜15GPaの範囲であることが好ましい。幅方向のヤング率が4GPaより小さい場合、M層を形成しても寸法安定性の向上が小さい。一方、幅方向のヤング率が15GPaより大きい場合、M層を形成するときに幅縮みが大きくシワが発生しやすい。より好ましい範囲としては、5〜13GPa、さらに好ましい範囲としては6〜10GPaである。6,6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸成分を共重合させたポリエステルからなるポリエステルフィルムの長手方向のヤング率は6〜10GPaであることが好ましい。より好ましくは7〜9.5GPa、さらに好ましくは8〜9GPaである。
本発明の積層体を構成するポリエステルフィルムは、幅方向の温度膨張係数が−10〜7ppm/℃であることが好ましい。より好ましい範囲としては、−6〜6ppm/℃、さらに好ましい範囲としては−3〜5ppm/℃である。6,6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸成分を共重合させたポリエステルからなるポリエステルフィルムの幅方向の温度膨張係数が−7〜3ppm/℃であることが好ましい。より好ましくは−6〜2ppm/℃、さらに好ましくは−5〜1ppm/℃である。
本発明の積層体を構成するポリエステルフィルムは、幅方向の湿度膨張係数が−3〜10ppm/%RHであることが好ましい。より好ましい範囲としては、−1〜8ppm/%RH、さらに好ましい範囲としては0〜5ppm/%RHである。6,6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸成分を共重合させたポリエステルからなるポリエステルフィルムの幅方向の湿度膨張係数が−3〜6ppm/%RHであることが好ましい。より好ましくは−1〜5ppm/%RH、さらに好ましくは1〜4ppm/%RHである。
本発明の積層体を構成するポリエステルフィルムは、動的粘弾性測定での損失正接tanδの最大値温度が110〜170℃であることが好ましい。より好ましくは115〜165℃であり、さらに好ましくは120〜160℃である。6,6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸成分を共重合させたポリエステルからなるポリエステルフィルムの動的粘弾性測定での損失正接tanδの最大値温度は120〜150℃であることが好ましい。より好ましくは125〜145℃であり、さらに好ましくは130〜140℃である。
本発明の積層体はポリエステルフィルムの少なくとも片面に金属および金属系酸化物を含む層(M層)が設けられている。金属とは、例えば、Li、Be、Na、Mg、Al、K、Ca、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、Ge、Y、Zr、Nb、Mo、Pd、Ag、Cd、In、Sn、Hf、Ta、W、Pt、Au、Biなどを示す。金属系酸化物とは、上記金属の酸化物を示す。複数種の金属成分を混合して含んでいても構わないが、より好ましくは同一種の金属成分が好ましい。M層には強度、寸法安定性、生産性、環境性の観点から、Al、Ti、Cu、Zn、Sn、Mg、Agの酸化物が好ましく、より好ましくは濡れ性の観点からAlの酸化物が好ましい。
金属系酸化物とは組成分析を行った場合の平均組成における酸素濃度が10at.%より大きくなっている場合をいう。なお、at.%とは、atomic%の略であり、atomic%とは原子数100個当たりの該原子数の個数を示したものである。
M層の表面抵抗率は1.0×10〜1.0×1013Ωであることが好ましい。表面抵抗率とは、表面比抵抗(Ω/□)とも表記される特性値であり、純粋な表面抵抗(面積によって変わる抵抗値)や線抵抗(導線などの抵抗)とは異なるものである。表面抵抗率が1.0×10Ωより低い場合、酸化が不十分であり、高湿度下で酸化や水酸化が起こりやすい。表面抵抗率の下限は、好ましくは1.0×10Ωであり、より好ましくは1.0×10Ωである。一方、表面抵抗率が1.0×1013Ωより高い場合、酸化が進みすぎているために、クラックの発生や脱落の問題が生じやすい。表面抵抗率の上限は、好ましくは1.0×1011Ω、より好ましくは1.0×1010Ωである。好ましい範囲としては、1.0×10〜1.0×1011Ω、より好ましい範囲としては、1.0×10〜1.0×1010Ωである。
C層を含む積層体が、ポリエステル層/M層/C層の層構成を含んでいる場合のC層 の表面抵抗率は1.0×10〜1.0×1016Ωであることが好ましい。1.0×10Ωより低い場合、導電性が高すぎるため、静電気や漏れ電流によって磁気テープに電流が流れてしまい、その電流のために磁気ヘッドがショートし故障する危険性がある。表面抵抗率の下限は、好ましくは1.0×10Ωであり、より好ましくは1.0×10Ωである。一方、表面抵抗率が1.0×1016Ωより高い場合、帯電しやすくホコリなどの付着でエラーレートが増えるなどの問題が生じる傾向にある。表面抵抗率の上限は、好ましくは1.0×1015Ω、より好ましくは1.0×1014Ωである。好ましい範囲としては、1.0×10〜1.0×1015Ω、より好ましい範囲としては、1.0×10〜1.0×1014Ωである。
M層の厚みは、5〜500nmであることが好ましい。M層の厚みが5nmより小さい場合、補強効果が小さく、寸法安定性が改善されにくい。M層の厚みの下限は、好ましくは10nm、より好ましくは30nmである。一方、M層の厚みが500nmより大きい場合は、クラックを生じやすく寸法安定性が悪化しやすい。また走行を繰り返すことで剥離や脱落が発生し易く、結果として寸法安定性が悪化する傾向にある。また、真空製膜装置を使って500nm以上の厚みのM層を形成しようとすると、金属蒸気量を増加させる必要があるため熱負荷も大きく、蒸発そのものも不安定になる。M層の厚みの上限は、好ましくは300nm、より好ましくは200nmである。好ましい範囲としては、10〜300nm、より好ましい範囲としては、30〜200nmである。
本発明の積層体には少なくとも1層コーティング層(C層)が設けられている。好ましくはM層上にC層が設けられることが好ましい。C層はポリオキシアルキレングリコール成分を含有する水溶性共重合ポリエステルを含むことが好ましい。
C層の厚みは好ましくは0.001〜3μmであり、より好ましくは0.01μm〜1μmであり、さらに好ましくは0.02〜0.2μmである。
層構成としては、(a)ポリエステルフィルム層の両面にM層が設けられ、さらにそのどちらか一方のM層の外側にC層が設けられている構成や、(b)ポリエステルフィルム層の両側にM層が設けられ、このM層のさらに外側の表面のいずれにもC層が設けられている構成などが好ましい。また、(c)ポリエステルフィルム層の一方の面にM層が設けられ、逆側の面にC層が設けられた構成なども採用し得る。
上記の各構成を、ポリエステルフィルム層をP層として表すと、例えば、以下のようになる。ただし、いずれも「層」を略記している。
(a)C/M/P/M
(b)C/M/P/M/C
(c)C/P/M
(a)の場合のようにM層が両面にあると、寸法安定性が大幅に向上し、またM層とポリエステルフィルムの寸法変化挙動の違いから起こるカールなどが起こりにくく好ましい。
さらに(b)の場合は、両面ともにC層でM層を保護しているため、高湿度下でのM層の劣化を抑制することができさらに好ましい。(c)の構成は寸法安定性、磁性層の密着性向上が期待でき、さらにC層をポリエステルフィルムを製造するときと同時に塗布することができるため、コストや生産性でメリットがある。
上記の水溶性共重合ポリエステルは、酸成分として芳香族ジカルボン酸を60モル%以上、さらには70モル%以上とすることが好ましく、特には80モル%以上とすることが帯電防止性、耐ブロッキング防止性、耐溶剤性に優れる点から好ましい。芳香族ジカルボン酸が60モル%未満であると帯電防止性、耐ブロッキング防止性および耐溶剤性に劣る傾向にある。芳香族ジカルボン酸としては、例えばテレフタル酸、イソフタル酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸等を挙げることができ、これらのなかで好ましい芳香族ジカルボン酸としてはテレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸である。
上記の水溶性共重合ポリエステルは、水溶性付与の点からエステル形成性スルホン酸アルカリ金属塩化合物を全酸成分に対して、5〜40モル%、好ましくは7〜30モル%、さらに好ましくは10〜20モル%、特に好ましくは11〜15モル%添加することが好ましい。エステル形成性スルホン酸アルカリ金属塩化合物が5モル%未満であると、十分な水溶性および接着性が得られにくい。一方、40モル%を超えると接着性は飽和に達し、逆に帯電防止性、耐ブロッキング防止性、耐溶剤性が低下し易い。エステル形成性スルホン酸アルカリ金属塩化合物としては、例えばスルホテレフタル酸、5−スルホイソフタル酸、2−スルホイソフタル酸、4−スルホイソフタル酸、4−スルホナフタレン−2,6−ジカルボン酸等のアルカリ金属塩を挙げることができ、なかでも5−スルホイソフタル酸、スルホテレフタル酸のリチウム、ナトリウム、カリウム塩がより好ましく用いられる。
上記の水溶性共重合ポリエステルの好ましいグリコール成分は、炭素数2〜8の脂肪族グリコールおよび/または炭素数6〜16の肪環族グリコール80〜99モル%、ジエチレングリコール1〜20モル%、好ましくは肪環族グリコール82〜95モル%、ジエチレングリコール5〜18モル%であり、さらに好ましくは肪環族グリコール84〜93モル%、ジエチレングリコール7〜16モル%である。炭素数2〜8の脂肪族グリコールおよび/または炭素数6〜16の肪環族グリコールが80モル%未満あるいはジエチレングリコールが20モル%を超えた場合は耐ブロッキング性、耐溶剤性が劣り易い。一方、炭素数2〜8の脂肪族グリコールおよび/または炭素数6〜16の肪環族グリコールが99モル%を超えるか、あるいはジエチレングリコールが1モル%未満の場合は耐ブロッキング性は良好であるものの、水溶性および接着性が劣り易い。
上記の炭素数2〜8の脂肪族グリコールおよび/または炭素数6〜16の肪環族グリコールとしては、例えばエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等のグリコールを挙げることができる。好ましい炭素数2〜8の脂肪族グリコールおよび/または炭素数6〜16の肪環族グリコールとしては、エチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノールである。これらのグリコールは1種のみ用いてもよく、また2種以上併用してもよい。なお、本発明におけるジエチレングリコールは、通常エチレングリコールをグリコール成分とするポリエステルの製造の際に副生するジエチレングリコールを含むものである。
上記の水溶性共重合ポリエステルには上述の酸成分およびグリコール成分以外に、本発明の効果を損なわない範囲で脂肪族ジカルボン酸、オキシ酸あるいは単官能化合物、三官能以上の多官能化合物等の他の成分を含んでいてもよい。
上記の水溶性共重合ポリエステルの製造は、例えば酸成分としてテレフタル酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸およびグリコール成分としてエチレングリコール、ジエチレングリコールからなる共重合ポリエステルについて説明すると、テレフタル酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸およびエチレングリコール、ジエチレングリコールとを直接エステル化反応させるか、テレフタル酸のアルキルエステル、5−ナトリウムスルホイソフタル酸のアルキルエステルおよびエチレングリコール、ジエチレングリコールとをエステル交換反応させる第1段階と、この第1段階の反応生成物を重縮合反応させる第2段階によって製造する方法等を挙げることができる。この際反応触媒として、従来公知のアルカリ金属、アルカリ土類金属、マンガン、コバルト、亜鉛、アンチモン、ゲルマニウム、チタン化合物等が用いられる、さらに着色防止剤としてリン化合物等を用いてもよい。
上記の水溶性共重合ポリエステルには、ポリオキシアルキレングリコール成分が、1質量%以上、30質量%未満、好ましくは4〜25質量%、特に好ましくは7〜20質量%含有されていることが好ましい。ポリオキシアルキレングリコール成分の含有量が1質量%未満であると帯電防止性、耐溶剤性に劣る。一方、ポリオキシアルキレングリコール成分の含有量が30質量%以上となると逆に帯電防止性、水溶性、耐ブロッキング性に劣る。ポリオキシアルキレングリコール成分の種類は、優れた水溶性、接着性、帯電防止性を兼備させる点からポリオキシアルキレングリコール成分の数平均分子量が400〜10,000が好ましく、さらには数平均分子量が500〜6,000が好ましく、特には数平均分子量が600〜4,000が好ましい。このようなポリオキシアルキレングリコール成分としては、例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等を挙げることができる。なかでも水溶性、帯電防止性の点からポリエレングリコールが好ましい。
上記のポリオキシアルキレングリコール成分を共重合ポリエステルに含有させる方法は、例えばポリオキシアルキレングリコール成分を共重合ポリエステルの製造工程の任意の段階で添加する方法、あるいは共重合ポリエステルとポリオキシアルキレングリコール成分とを押出機等を用いて溶融混練する方法等を挙げることができる。この際、ポリオキシアルキレングリコール成分は粉体、溶融あるいは溶液状態等任意の方法で添加することができる。
また、上記の水溶性共重合ポリエステルの固有粘度は、接着性の点で0.3dl/g以上が好ましく、さらには0.4dl/g以上が好ましい。
また、該水溶性共重合ポリエステルには必要に応じて、難燃剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、顔料、染料、脂肪酸エステル、ワックスなどの有機滑剤あるいはポリシロキサンなどの消泡剤を配合してもよく、さらには滑り性などを付与する目的でクレー、マイカ、酸化チタン、炭酸カルシウム、カオリン、湿式および乾式法シリカ、コロイド状シリカ、リン酸カルシウム、硫酸バリウム、アルミナなどの無機粒子、さらにはアクリル酸類、スチレンなどを構成成分とする有機粒子等を配合してもよい。
上記の水溶性共重合ポリエステルは、水に溶解せしめて、水溶液として使用することが好ましい。この水溶液とは物理的、化学的な意味で厳密性を有するものではなく、水に大部分が溶解し、一部が微分散しているようなものも含むものである。
本発明におけるC層にはアクリル系ワックスが含まれることが好ましい。アクリル系ワックスは、アクリル酸の高級脂肪酸エステルが帯電防止性、易滑性などの点から好ましい。また、高級脂肪酸の炭素数としては、10〜24の範囲が好ましい。高級脂肪酸の炭素数が10未満であると易滑性に劣る傾向にあり、反対に25以上では相溶性に劣る傾向にある。炭素数10〜24の高級脂肪酸としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、ベヘニン酸などが挙げられる。しかし、その中でも易滑性の点でステアリン酸が特に好ましく用いられる。
これらのアクリル酸の高級脂肪酸エステルは単独で用いてもよく、数種の混合体として用いてもよい。また、一部スチレン等、他の成分を共重合しても差し支えない。アクリル系ワックスの質量平均分子量は、その安定性、耐熱性などの特性から1万以上、好ましくは10万以上である。
また、形態については、安定性、均一性、ハンドリング性などの点から水分散体が好ましく用いられる。また、粘度はその取り扱い性から300cps以下、イオン性は他の塗剤との混合のし易さなどからアニオンあるいはノニオンが好ましく、希釈安定性が良好なものが好ましい。アクリル系ワックスエマルジョンの粒径も、安定性、均一性などの点から、1μm以下、好ましくは0.5μm以下である。水分散体のアクリル系ワックスの固形分としては通常70質量%以下がその安定性から好ましい。
かかる水系エマルジョンの製造法は、例えばアクリル酸ステアリルを例にとると、原料となるアクリル酸とステアリルアルコールをラジカル重合した後、界面活性剤を含む熱水中に高速攪拌添加して微分散させる方法、またアクリル酸ステアリル重合体の有機溶媒溶液を界面活性剤を含む水中に高速攪拌下添加して添加して微分散させ、必要なら脱溶媒させる方法等で製造されたものを用いることができる。あるいは乳化重合、エマルジョン重合等の方法も適用できる。これらの水性液中の固形分濃度は、塗布方法にもよるが、50質量%以下が好ましく、さらには30質量%以下が好ましい。
本発明におけるC層は、アクリル樹脂成分/ポリウレタン樹脂成分の質量比が3/7〜7/3からなるアクリル変性ポリウレタンでもよい。
アクリル変性ポリウレタンを製造する方法としては、たとえば、水性ポリウレタン中においてアクリル系化合物を分散した後、反応させることにより得られる。水性ポリウレタンとしては、ポリウレタン樹脂に水への親和性を高めるために、例えば、カルボン酸塩、スルホン酸塩などのようなアニオン性の官能基や、第4級アンモニウム塩のようなカチオン性の官能基を導入したものが用いられる。これらの官能基の中では、水中での分散性、合成時の反応制御の容易さからアニオン性の官能基が好ましく、その中でも、カルボン酸塩、スルホン酸塩が特に好ましい。
ポリウレタンにカルボン酸塩基を導入する方法としては、例えば、ポリウレタン合成時に、原料のポリヒドロキシ化合物としてカルボン酸基を含有する化合物を用いるか、ポリウレタン中の未反応イソシアネート基に、水酸基含有カルボン酸やアミノ基含有カルボン酸を反応させ、次いで反応生成物を高速で撹拌しながらアルカリ水溶液中に添加して中和する方法等によって得ることができる。
また、ポリウレタンにスルホン酸塩基を導入する方法としては、例えば、ポリヒドロキシ化合物、ポリイソシアネート及び鎖延長剤からポリウレタンプレポリマーを生成させ、これに末端イソシアネート基と反応しうるアミノ基、水酸基、スルホン酸塩基を含有する化合物などを添加して反応させることにより得ることができる。その際、合成反応は有機溶剤中で行い、次いで水を加えてから溶剤を除去することが好ましい。
ポリウレタンの原料として用いられるポリヒドロキシ化合物としては、たとえばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレン・プロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、テトラメチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリカプロラクトン、ポリヘキサメチレンアジペート、ポリヘキサメチレンセバケート、ポリテトラメチレンアジペート、ポリテトラメチレンセバケート、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ペンタエリスリトール、グリセリン等を挙げることができる。
また、ポリウレタンの原料として用いられるポリイソシアネート化合物としては、たとえば、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、トリレンジイソシアネートとトリメチロールプロパンの付加物、ヘキサメチレンジイソシアネートとトリメチロールエタンの付加物等を挙げることができる。
本発明におけるアクリル変性ポリウレタンを構成するアクリル系成分としては、たとえば、アルキルアクリレート(アルキル基としてはメチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、イソブチル、t−ブチル、2−エチルヘキシル、シクロヘキシル等)、アルキルメタクリレートや、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート等のヒドロキシル基含有化合物、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N,N−ジメチロールアクリルアミド、N−メトキシメチルアクリルアミド、N−メトキシメチルメタクリルアミド、N−フェニルアクリルアミド等のアミド基含有化合物、N,N−ジエチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジエチルアミノエチルメタクリレート等のアミノ基含有化合物、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート等のエポキシ基含有化合物、およびそれらの塩(ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩)が挙げられる。また、上記のアクリル系成分は、単独で使用することもできるが、2種類以上の化合物を用いることもできる。
本発明におけるアクリル変性ポリウレタンの製造方法としては、たとえば水性ポリウレタンの水分散液中に少量の分散剤と重合開始剤を添加して一定温度に保ち、上記のアクリル系化合物を撹拌しながら徐々に添加し、その後必要に応じて温度を上昇させ、一定時間反応させることにより水分散体として得ることができる。
本発明の積層体において、磁性層を設ける側の表面(A)の中心線平均粗さRaが0.5nm〜10nmであることが好ましい。磁性層を設ける側の表面(A)のRaが0.5nmより小さい場合は、フィルム製造、加工工程などで、搬送ロールなどとの摩擦係数が大きくなり、工程トラブルを起こすことがあり、磁気テープとして用いる場合に、磁気ヘッドとの摩擦が大きくなり、磁気テープ特性が低下しやすい。また、Raが10nmより大きい場合は、高密度記録の磁気テープとして用いる場合に、電磁変換特性が低下することがある。磁性層を設ける側の表面(A)のRaの下限は、より好ましくは1nm、さらに好ましくは2nmであり、上限は9nm、さらに好ましくは8nmである。より好ましい範囲としては、1〜9nm、さらに好ましい範囲としては、2〜8nmである。
一方、上記表面(A)とは反対側のバックコート層側の表面(B)の中心線平均粗さRaは3〜30nmであることが好ましい。バックコート層側の表面(B)のRaが3nmより小さい場合は、フィルム製造、加工工程などで、搬送ロールなどとの摩擦係数が大きくなり、工程トラブルを起こすことがあり、磁気テープとして用いる場合に、ガイドロールとの摩擦が大きくなり、テープ走行性が低下することがある。また、Raが30nmより大きい場合は、フィルムロールやパンケーキとして保管する際に、表面突起が反対側の表面に転写し、電磁変換特性が低下する傾向がある。バックコート層側の表面(B)のRaの下限は、より好ましくは5nm、さらに好ましくは7nmであり、上限は20nm、さらに好ましくは15nmである。より好ましい範囲としては、5〜20nm、さらに好ましい範囲としては7〜15nmである。
本発明の積層体は、長手方向のヤング率が5〜20GPaであることが好ましい。長手方向のヤング率が5GPaより小さい場合、テープドライブ内での長手方向への張力によって長手方向に伸び、この伸び変形により幅方向に収縮し、記録トラックずれという問題が発生しやすい。長手方向のヤング率の下限は、より好ましくは6GPa、さらに好ましくは7GPaである。一方、長手方向のヤング率が20GPaより大きい場合、磁気ヘッドへの当たりが悪くエラーレートが増加する問題がある。長手方向のヤング率の上限は、より好ましくは15GPa、さらに好ましくは13GPaである。より好ましい範囲としては、6〜15GPa、さらに好ましい範囲としては7〜13GPaである。
本発明の積層体は、幅方向のヤング率が5〜20GPaの範囲であることが好ましい。幅方向のヤング率が5GPaより小さい場合、エッジダメージの原因となったりすることがある。幅方向のヤング率の下限は、より好ましくは6GPa、さらに好ましくは7GPaである。一方、幅方向のヤング率が20GPaより大きい場合、スリット性が悪化することがある。幅方向のヤング率の上限は、より好ましくは15GPa、さらに好ましくは13GPaである。より好ましい範囲としては、6〜15GPa、さらに好ましい範囲としては7〜13GPaである。
本発明の積層体は、幅方向の温度膨張係数が−3〜10ppm/℃であることが好ましい。温度膨張係数が上記範囲内であることは、磁気記録媒体への加工工程での寸法安定性の観点から好ましい。幅方向の温度膨張係数の上限は、より好ましくは9ppm/℃、さらに好ましくは8ppm/℃である。幅方向の温度膨張係数の下限はより好ましくは0ppm/℃、さらに好ましくは4ppm/℃である。より好ましい範囲としては、0〜9ppm/℃、さらに好ましい範囲としては4〜8ppm/℃である。
本発明の積層体は、幅方向の湿度膨張係数が−3〜10ppm/%RHであることが好ましい。湿度膨張係数が上記範囲内であることは、磁気記録媒体とした際に記録再生時の高湿条件での寸法安定性の観点から好ましい。幅方向の湿度膨張係数の上限は、より好ましくは8ppm/%RH、さらに好ましくは5ppm/%RHである。幅方向の湿度膨張係数の下限はより好ましくは−1ppm/%RH、さらに好ましくは0ppm/%RHである。より好ましい範囲としては、−1〜8ppm/%RH、さらに好ましい範囲としては0〜5ppm/%RHである。
なお、本発明において、支持体の長手方向とは、一般的にMD方向といわれる方向であって、ポリエステルフィルム製造工程時の長手方向と同じ方向を指し、支持体の幅方向とは、一般的にTD方向といわれる方向であって、ポリエステルフィルム製造工程時の幅方向と同じ方向を指す。
本発明において、積層体としての厚みは、用途に応じて適宜決定できるが、通常磁気記録媒体用途では1〜7μmが好ましい。この厚みが1μmより小さい場合、磁気テープにした際に電磁変換特性が低下することがある。一方、この厚みが7μmより大きい場合は、テープ1巻あたりのテープ長さが短くなるため、磁気テープの小型化、高容量化が困難になる場合がある。したがって、高密度磁気記録媒体用途の場合、厚みの下限は、好ましくは2μm、より好ましくは3μmであり、上限は、好ましくは6.5μm、より好ましくは6μmである。より好ましい範囲としては2〜6.5μm、より好ましい範囲としては3〜6μmである。
また、本発明の積層体を構成するポリエステルフィルム層の厚みは、1〜6μmであることが好ましい。この厚みが1μmより小さい場合は、磁気テープにした際にテープに腰がなくなるため、電磁変換特性が低下することがある。ポリエステルフィルムの厚みの下限は、より好ましくは2μm、さらに好ましくは3μmである。一方、ポリエステルフィルムの厚みが6μmより大きい場合は、テープ1巻あたりのテープ長さが短くなるため、磁気テープの小型化、高容量化が困難になる場合がある。ポリエステルフィルムの厚みの上限は、より好ましくは5.8μm、さらに好ましくは5.6μmである。より好ましい範囲としては2〜5.8μm、さらに好ましい範囲としては3〜5.6μmである。
上記したような本発明の積層体は、たとえば次のように製造される。
まず、積層体を構成するポリエステルフィルムを製造する。ポリエステルフィルムを製造するには、たとえばポリエステルのペレットを、押出機を用いて溶融し、口金から吐出した後、冷却固化してシート状に成形する。このとき、繊維焼結ステンレス金属フィルターによりポリマーを濾過することが、ポリマー中の未溶融物を除去するために好ましい。また、ポリエステルフィルムの表面に易滑性や耐摩耗性、耐スクラッチ性などを付与するため、無機粒子、有機粒子、例えば、クレー、マイカ、酸化チタン、炭酸カルシウム、カオリン、タルク、湿式シリカ、乾式シリカ、コロイド状シリカ、リン酸カルシウム、硫酸バリウム、アルミナ、ジルコニア等の無機粒子、アクリル酸類、スチレン系樹脂、熱硬化樹脂、シリコーン、イミド系化合物等を構成成分とする有機粒子、ポリエステル重合反応時に添加する触媒等によって析出する粒子(いわゆる内部粒子)などを添加することも好ましい。さらに、本発明を阻害しない範囲内であれば、各種添加剤、例えば、相溶化剤、可塑剤、耐候剤、酸化防止剤、熱安定剤、滑剤、帯電防止剤、増白剤、着色剤、導電剤、結晶核剤、紫外線吸収剤、難燃剤、難燃助剤、顔料、染料、などが添加されてもよい。
続いて、上記シートを長手方向と幅方向の二軸に延伸した後、熱処理する。延伸工程は、特に限定されないが、各方向において2段階以上に分けることが好ましい。すなわち再縦、再横延伸を行う方法が高密度記録の磁気テープとして最適な高強度のフィルムが得られ易いために好ましい。
延伸形式としては、長手方向に延伸した後に幅方向に延伸を行うなどの逐次二軸延伸法や、同時二軸テンター等を用いて長手方向と幅方向を同時に延伸する同時二軸延伸法、さらに、逐次二軸延伸法と同時二軸延伸法を組み合わせた方法などが包含される。
特に同時二軸延伸法を用いることが好ましい。逐次二軸延伸法に比べて同時二軸延伸法は、製膜工程で長手方向、幅方向に結晶が均一に成長するため、安定して高倍率に延伸しやすい。なお、ここでいう同時二軸延伸とは、長手方向と幅方向の延伸が同時に行われる工程を含む延伸方式である。必ずしも、すべての区間で長手方向と幅方向が同時に延伸されている必要はなく、長手方向の延伸が先にはじまり、その途中から幅方向にも延伸を行い(同時延伸)、長手方向の延伸が先に終了し、残りを幅方向のみ延伸するような方式でもよい。延伸装置としては、例えば同時二軸延伸テンターなどが好ましく例示され、中でもリニアモータ駆動式の同時二軸テンターが破れなくフィルムを延伸する方法として特に好ましい。
さらに、上記のようにして得られた積層体に金属または金属系酸化物を含む層(M層)を設ける。M層の形成方法としては物理蒸着法や化学蒸着法を用いることができる。ポリエステルフィルムへの物理蒸着法には真空蒸着法、スパッタリング法があり、特に熱負荷の観点から真空蒸着法が好ましく、さらに金属蒸気の高エネルギー化が可能な電子ビーム蒸着法が好ましい。また、C層との密着性の向上や剥離・脱落防止のため、M層形成後、蒸着機内でM層をプラズマ処理することが好ましい。特に窒素雰囲気中のプラズマ処理が好ましい。M層は形成後も経時変化するため、すぐに表面にC層を設けると経時変化が完了せず、高湿度下に置かれたときに急に吸湿して反応するなど不安定な状態となる。そこで、M層形成後、高湿度下でエージングすることが好ましい。
さらに、上記したM層を設けた後に、その少なくとも一方の面にコーティング層(C層)を設ける。C層の塗布の方法は、例えばリバースコート法、グラビアコート法、ロッドコート法、ダイコート法、ワイアーバー法などを用いることができる。上記C層中には本発明の効果を阻害しない範囲内で公知の添加剤、例えば耐熱安定剤、耐酸化安定剤、耐候安定剤、紫外線吸収剤、有機の易滑剤、顔料、染料、有機または無機の微粒子、充填剤、帯電防止剤、核剤などを配合してもよい。
以下、本発明の積層体の製造方法について、ポリエチレンテレフタレート(PET)をポリエステルとして用いた例を代表例として説明する。もちろん、本願はPETフィルムを用いた支持体に限定されるものではなく、他のポリマーを用いたものものでもよい。例えば、ガラス転移温度や融点の高いポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートなどを用いてポリエステルフィルムを構成する場合は、以下に示す温度よりも高温で押出や延伸を行えばよい。
まず、ポリエチレンテレフタレートを準備する。ポリエチレンテレフタレートは、次のいずれかのプロセスで製造される。すなわち、(1)テレフタル酸とエチレングリコールを原料とし、直接エステル化反応によって低分子量のポリエチレンテレフタレートまたはオリゴマーを得、さらにその後の三酸化アンチモンやチタン化合物を触媒に用いた重縮合反応によってポリマーを得るプロセス、(2)ジメチルテレフタレートとエチレングリコールを原料とし、エステル交換反応によって低分子量体を得、さらにその後の三酸化アンチモンやチタン化合物を触媒に用いた重縮合反応によってポリマーを得るプロセスである。ここで、エステル化は無触媒でも反応は進行するが、エステル交換反応においては、通常、マンガン、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、リチウム、チタン等の化合物を触媒に用いて進行させ、またエステル交換反応が実質的に完結した後に、該反応に用いた触媒を不活性化する目的で、リン化合物を添加する場合もある。
フィルムを構成するポリエステルに不活性粒子を含有させる場合には、エチレングリコールに不活性粒子を所定割合にてスラリーの形で分散させ、このエチレングリコールを重合時に添加する方法が好ましい。不活性粒子を添加する際には、例えば、不活性粒子の合成時に得られる水ゾルやアルコールゾル状態の粒子を一旦乾燥させることなく添加すると粒子の分散性がよい。また、不活性粒子の水スラリーを直接PETペレットと混合し、ベント式二軸混練押出機を用いて、PETに練り込む方法も有効である。不活性粒子の含有量を調節する方法としては、上記方法で高濃度の不活性粒子のマスターペレットを作っておき、それを製膜時に不活性粒子を実質的に含有しないPETで希釈して不活性粒子の含有量を調節する方法が有効である。
次に、得られたPETのペレットを、180℃で3時間以上減圧乾燥した後、固有粘度が低下しないように窒素気流下あるいは減圧下で、270〜320℃に加熱された押出機に供給し、スリット状のダイから押出し、キャスティングロール上で冷却して未延伸フィルムを得る。この際、異物や変質ポリマーを除去するために各種のフィルター、例えば、焼結金属、多孔性セラミック、サンド、金網などの素材からなるフィルターを用いることが好ましい。また、必要に応じて、定量供給性を向上させるためにギアポンプを設けてもよい。フィルムを積層する場合には、2台以上の押出機およびマニホールドまたは合流ブロックを用いて、複数の異なるポリマーを溶融積層する。
次に、この未延伸フィルムを同時二軸延伸テンターに導いて、長手および幅方向に同時に二軸延伸を行う。延伸速度は長手、幅方向ともに100〜20,000%/分の範囲で行うのが好ましい。より好ましくは、500〜10,000%/分、さらに好ましくは2,000〜7,000%/分である。延伸速度が100%/分よりも小さい場合には、フィルムが熱にさらされる時間が長くなるため、特にエッジ部分が結晶化して延伸破れの原因となり製膜性が低下したり、十分に分子配向が進まず、製造したフィルムのヤング率が低下したりすることがある。また、20,000%/分よりも大きい場合には、延伸時点で分子間の絡み合いが生成しやすくなり、延伸性が低下して、高倍率の延伸が困難となることがある。
また、1段目の延伸温度は、用いるポリマーの種類によって異なるが、未延伸フィルムのガラス転移温度Tgを目安として決めることができる。長手方向および幅方向それぞれの1段目の延伸工程における温度は、Tg〜Tg+30℃の範囲であることが好ましく、より好ましくはTg+5℃〜Tg+20℃である。上記範囲より延伸温度が低い場合には、フィルム破れが多発して生産性が低下したり、再延伸性が低下したりして、高倍率に安定して延伸することが困難となることがある。また、上記範囲よりも延伸温度が高い場合には、特にエッジ部分が結晶化して延伸破れの原因となり製膜性が低下したり、十分に分子配向が進まず、製造したフィルムのヤング率が低下したりすることがある。
延伸倍率は、用いるポリマーの種類や延伸温度によって異なり、また多段延伸の場合も異なるが、総面積延伸倍率(総縦延伸倍率×総横延伸倍率)が、20〜40倍の範囲になるようにすることが好ましい。より好ましくは25〜35倍である。長手方向、幅方向の一方向の総延伸倍率としては、2.5〜8倍が好ましく、より好ましくは、3〜7倍である。延伸倍率が上記範囲より小さい場合には、延伸ムラなどが発生しフィルムの加工適性が低下することがある。また、延伸倍率が上記範囲より大きい場合には、延伸破れが多発して、生産性が低下する場合がある。なお、各方向に関して延伸を多段で行う場合、1段目の長手、幅方向それぞれにおける延伸倍率は、2.5〜5倍が好ましく、より好ましくは3〜4倍である。また、1段目における好ましい面積延伸倍率は8〜16倍であり、より好ましくは、9〜14倍である。これらの延伸倍率の値は、特に同時二軸延伸法を採用する場合に好適な値であるが、逐次二軸延伸法でも適用できる。
本発明のポリエステルフィルムの製造方法が多段延伸、すなわち再延伸工程を含む場合、2段目の延伸温度はTg+40℃〜Tg+120℃が好ましく、さらに好ましくはTg+60℃〜Tg+100℃である。(なお、3段の延伸を行う場合、2段目の延伸温度としては上記温度範囲の中でも比較的低い延伸温度とする方がよい)。延伸温度が上記範囲を外れる場合には、熱量不足や結晶化の進みすぎによって、フィルム破れが多発して生産性が低下したり、十分に配向を高めることができず、強度が低下する場合がある。さらに3段目の延伸を行う場合には、3段目の延伸温度は2段目の延伸温度よりも高く、後述する熱処理の温度よりも低いことが好ましい。なお、3段目の延伸を行うとはヤング率や熱的寸法安定性が向上し易い。
また、再延伸を行う場合の一方向における延伸倍率は、1.05〜2.5倍が好ましく、より好ましくは1.2〜1.8倍である。再延伸の面積延伸倍率としては、1.4〜4倍が好ましく、より好ましくは1.9〜3倍である。さらに3段目の延伸を行う場合には、3段目の延伸倍率(一方向)は、1.05〜1.2倍が好ましく、面積延伸倍率は1.1〜1.4が好ましい。
続いて、この延伸フィルムを緊張下または幅方向に弛緩しながら熱処理する。熱処理条件は、ポリマーの種類によっても異なるが、熱処理温度は、150℃〜230℃が好ましく、熱処理時間は0.5〜10秒の範囲で行うのが好ましい
次に、上記のようにして得られたポリエステルフィルムに金属または金属系酸化物を含む層(M層)を設ける方法を説明する。
ポリエステルフィルム表面にM層を形成するには、たとえば図2に示すような真空蒸着装置を用いる。この真空蒸着装置11においては、真空チャンバ12の内部をポリエステルフィルムが巻出しロール部13から冷却ドラム16を経て巻取りロール部18へと走行する。そのときに、るつぼ23内の金属材料19を電子銃20から照射した電子ビーム21で加熱蒸発させるとともに、酸素供給ノズル24から酸素ガスを導入し、蒸発した金属を酸化反応させながら冷却ドラム16上のポリエステルフィルムに蒸着する。なお、この真空蒸着装置11は、酸化度を容易に制御できるように、酸素供給ノズル24を蒸着源であるるつぼ23の真横に設置し、かつ、金属蒸気と酸素ガスとが同じ方向に流れるようにしている。その結果、金属蒸気と酸素ガスとの反応空間も大きくなっている。
ここで、真空チャンバ12の内部は1.0×10−8〜1.0×10Paに減圧することが好ましい。さらに緻密で劣化部分の少ないM層を形成させるために好ましくは、1.0×10−6〜1.0×10−1Paに減圧することが好ましい。
冷却ドラム16は、その表面温度を−40〜60℃の範囲内にすることが好ましい。より好ましくは−35〜30℃、さらに好ましくは−30〜0℃である。
電子ビーム21は、その出力が2.0〜8.0kWの範囲内のもので行うのが好ましい。より好ましくは3.0〜7.0kW、さらに好ましくは4.0〜6.0kWの範囲内である。なお、直接ルツボを加熱することで金属材料19を加熱蒸発させてもよい。
酸素ガスは、ガス流量制御装置26を用いて0.5〜20L/minの流量で真空チャンバ12内部に導入する。より好ましくは1.5〜15L/min、さらに好ましくは2.0〜10L/minである。
真空チャンバ12の内部におけるポリエステルフィルムの搬送速度は20〜400m/minが好ましい。より好ましくは40〜300m/min、さらに好ましくは60〜200m/minである。真空チャンバ12の内部におけるポリエステルフィルムの搬送張力は50〜150N/mが好ましい。より好ましくは70〜120N/m、さらに好ましくは80〜100N/mである。
上記成膜条件の範囲外であると熱による破れやシワが発生し、生産性が損なわれる。また、金属蒸気と酸素ガスとが不充分な反応状態で成膜されやすく、不完全な構造のM層となってしまう。
M層形成後、巻取前に蒸着機内でM層をプラズマ処理することが好ましい。プラズマ処理強度は10〜500Wが好ましい。より好ましくは50〜300W、さらに好ましくは100〜200Wである。プラズマ処理は特に窒素雰囲気中で行うのが好ましい。M層が酸化物の場合、未反応の酸素ガスや未反応の金属が残っているが窒素プラズマを行うことで反応が促進され安定化する。また、表面の一部が窒化され、C層との密着性が向上する。酸素プラズマの場合、反応は促進するが未反応酸素ガス量はむしろ増加し、経時変化を抑えることができない。
蒸着後、C層をすぐにコーティングするとM層が不安定なまま保持される。そこでM層を安定化させめるために、真空蒸着装置内を常圧に戻して、巻取ったフィルムをエージングすることが好ましい。エージング条件としては、温度は20〜40℃、より好ましくは25〜35℃、湿度は40〜70%RH、より好ましくは45〜65%RHである。エージング時間は2日以上が好ましく、さらに好ましくは3日以上である。エージングは長時間行う方が好ましいが生産性の観点から14日以下が好ましい。
次にコーティング層(C層)を設ける。水溶性共重合ポリエステル1〜5gを水50〜500g中に入れ、60〜100℃、1〜3時間攪拌溶解して冷却後、1〜5μmフィルターで瀘過し、水溶性共重合ポリエステル水溶液を作製する。水溶液は透明性であることが好ましく、フィルター瀘上物がないことが好ましい。次に水溶性共重合ポリエステルにワックスを混合するアクリル酸ステアリルの水分散体ワツクスを水で希釈し、アクリル酸ステアリル水分散体として、水溶性共重合ポリエステル水溶液に対して添加後、良く混合攪拌し塗剤とする。グラビアコ−ト方式で塗剤を乾燥後の塗布層厚みが0.001〜3μmになるように塗布する。塗布したフィルムをオーブン内に導き70〜120℃の予熱工程で水分を乾燥させた後、100〜140℃に加熱し本乾燥を行いC層を設ける。
次に、磁気記録媒体を製造する方法を説明する。上記のようにして得られた積層体の表面に、真空蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング等の方法により、鉄、コバルト、ニッケル、クロムまたはこれらを主成分とする合金もしくは酸化物よりなる強磁性金属薄膜層を形成し、必要により逆面に種々の方法でバックコート層を設けることにより磁気記録媒体とすることができる。強磁性金属薄膜層の厚みは20〜300nmであることが好ましい。強磁性金属薄膜層はA面側にあることが好ましい。
また、上記強磁性金属薄膜層の表面にさらに、目的、用途、必要に応じてダイヤモンドライクカーボン(DLC)などの保護層を設ける。M層がある面へ保護層を設ける場合、M層に導電性があるため安定してDLC層が設けられる。さらに含フッ素カルボン酸系潤滑層を順次設け、環境変化による寸法変化が少なく、高湿度下でも保存が可能で、走行中にクラック発生のない耐久性の優れた高密度記録用蒸着型磁気記録媒体とすることができる。
また、本発明の積層体は塗布型磁気記録媒体用支持体としても使用できる。塗布型磁気記録媒体の製造方法は上記のようにして得られた積層体を、たとえば0.1〜3m幅にスリットし、速度20〜300m/min、張力50〜300N/mで搬送しながら、一方の面に磁性塗料および非磁性塗料をエクストルージョンコーターにより重層塗布する。なお、上層に磁性塗料を厚み0.1〜0.3μmで塗布し、下層に非磁性塗料を厚み0.5〜1.5μmで塗布する。その後、磁性塗料および非磁性塗料が塗布された支持体を磁気配向させ、温度80〜130℃で乾燥させる。次いで、反対側の面にバックコートを厚み0.3〜0.8μmで塗布し、カレンダー処理した後、巻き取る。なお、カレンダー処理は、小型テストカレンダー装置(スチール/ナイロンロール、5段)を用い、温度70〜120℃、線圧0.5〜5kN/cmで行う。その後、60〜80℃にて24〜72時間エージング処理し、1/2インチ(1.27cm)幅にスリットし、パンケーキを作製する。次いで、このパンケーキから特定の長さ分をカセットに組み込んで、カセットテープ型磁気記録媒体とする。
ここで、磁性塗料などの組成は例えば以下のような組成が挙げられる。
(磁性塗料の組成)
・強磁性金属粉末 : 100質量部
・変成塩化ビニル共重合体 : 10質量部
・変成ポリウレタン : 10質量部
・ポリイソシアネート : 5質量部
・2−エチルヘキシルオレート : 1.5質量部
・パルミチン酸 : 1質量部
・カーボンブラック : 1質量部
・アルミナ : 10質量部
・メチルエチルケトン : 75質量部
・シクロヘキサノン : 75質量部
・トルエン : 75質量部
(バックコートの組成)
・カーボンブラック(平均粒径20nm) : 95質量部
・カーボンブラック(平均粒径280nm): 10質量部
・アルミナ : 0.1質量部
・変成ポリウレタン : 20質量部
・変成塩化ビニル共重合体 : 30質量部
・シクロヘキサノン : 200質量部
・メチルエチルケトン : 300質量部
・トルエン : 100質量部
磁気記録媒体は、例えば、データ記録用途、具体的にはコンピュータデータのバックアップ用途(LTO5やLTO6など)や映像などのデジタル画像の記録用途などに好適に用いることができる。
(物性の測定方法ならびに効果の評価方法)
本発明における特性値の測定方法並びに効果の評価方法は次の通りである。例えば、磁気テープから本願の支持体を取り出すためには、メチルエチルケトンを用いて磁性層・バックコート層を拭き剥がすことで評価が可能となる。また、塩酸を用いて金属または金属系酸化物を含む層を溶解し剥がすことでポリエステルフィルムの評価が可能となる。
(1)M層の厚み
下記条件にて断面観察を行い、得られた合計9点の厚み[nm]の平均値を算出し、M層の厚み[nm]とする。
測定装置:透過型電子顕微鏡(TEM) 日立製H−7100FA型
測定条件:加速電圧 100kV
測定倍率:20万倍
試料調整:超薄膜切片法
観察面 :TD−ZD断面
測定回数:1視野につき3点、3視野を測定する。
(2)組成分析
下記条件にて、深さ方向の組成分析を行う。
測定装置:X線光電子分光機 Quantera−SXM 米国PHI社製
励起X線:monochromatic AlKα1,2線(1486.6eV)
X線径 :100[μm]
光電子脱出角度:45°
ラスター領域:2×2[mm]
Arイオンエッチング: 2.0[kV] 1.5×10−7[Torr]
スパッタ速度:3.68nm/min(SiO換算値)
データ処理:9−point smoothing
ピークの結合エネルギー値から元素情報が得られ、各ピークの面積比を用いて組成を定量化(at.%)する。
(3)表面抵抗率
表面抵抗率の範囲によって、測定可能な装置が異なるため、まずi)の方法で測定を行い、表面抵抗率が高すぎて測定不可能なサンプルをii)の方法で測定する。5回の測定結果の平均値を本発明における表面抵抗率とする。
i)低抵抗率測定
JIS−K7194(1994)に準拠し、下記測定装置を用いて測定する。
測定装置:ロレスターEP MCP−T360 三菱化学製
測定環境:温度23℃湿度65%RH
測定回数:5回測定する。
ii)高抵抗率測定 JIS−C2151(1990)に準拠し、下記測定装置を用いて測定する。
測定装置:デジタル超高抵抗/微小電流計R8340 アドバンテスト(株)製
印加電圧:100V
印加時間:10秒間
測定単位:Ω
測定環境:温度23℃湿度65%RH
測定回数:5回測定する。
(4)中心線平均粗さRa
触針式表面粗さ計を用いて下記条件にて中心線平均粗さRaを測定する。フィルム幅方向に20回走査して測定を行い、得られた結果の平均値を本発明における中心線平均粗さRaとする。
測定装置 :小坂研究所製高精度薄膜段差測定器ET−10
触針先端半径:0.5μm
触針荷重 :5mg
測定長 :1mm
カットオフ値:0.08mm
測定環境 :温度23℃湿度65%RH
(5)温度膨張係数
下記条件にて測定を行い、3回の測定結果の平均値を本発明における温度膨張係数とする。
・測定装置:島津製作所製熱機械分析装置TMA−50
・試料サイズ:幅10mm×長さ12.6mm
・荷重:0.5g
・測定回数:3回
・測定温度:窒素をフローした状態で温度25℃から昇温速度2℃/分で温度50℃まで昇温して、5分間保持した後、温度25℃まで降温速度2℃/分で降温し、温度40〜30℃のフィルム幅方向の寸法変化量ΔL(mm)を測定する。次式から温度膨張係数(ppm/℃)を算出する。
温度膨張係数[ppm/%RH]=10×{(ΔL/(12.6×10))/(40−30)}
(6)湿度膨張係数
下記条件にて測定を行い、3回の測定結果の平均値を本発明における湿度膨張係数とする。
・測定装置:島津製作所製熱機械分析装置TMA−50(湿度発生器:アルバック理工製湿度雰囲気調節装置HC−1)
・試料サイズ:幅10mm×長さ12.6mm
・荷重:0.5g
・測定回数:3回
・測定温度:30℃
・測定湿度:40%RHで6時間保持し寸法を測定し時間40分で80%RHまで昇湿し、80%RHで6時間保持したあと支持体幅方向の寸法変化量ΔL(mm)を測定する。次式から湿度膨張係数(ppm/%RH)を算出する。
湿度膨張係数[ppm/%RH]=10×{(ΔL/12.6)/(80−40)}
(7)ヤング率
ASTM−D882(1997年)に準拠してヤング率を測定する。なお、インストロンタイプの引張試験機を用い、条件は下記のとおりとする。5回の測定結果の平均値を本発明におけるヤング率とする。
・測定装置:インストロン社製超精密材料試験機MODEL5848
・試料サイズ:幅2mm×測定方向12.6mm(つかみ間隔は8mm)
・引張り速度:1mm/分
・測定環境:温度23℃、湿度65%RH
・測定回数:5回測定し、平均値から算出する。
(8)固有粘度
オルトクロロフェノール中、25℃で測定した溶液粘度から下式に基づいて計算する。
ηsp/C=[η]+K[η]・C
ここで、ηsp=(溶液粘度/溶媒粘度)−1、Cは溶媒100mlあたりの溶解ポリマー重量(g/100ml、通常1.2)、Kはハギンス定数(0.343とする)である。また、溶液粘度、溶媒粘度はオストワルド粘度計を用いて測定する。
(9)ガラス転移温度(Tg)、融点、溶融結晶化ピーク温度
下記装置および条件で比熱測定を行い、JIS K7121(1987)に従って決定する。
装置 :TA Instrument社製温度変調DSC
測定条件:
加熱温度 :270〜570K(RCS冷却法)
温度校正 :高純度インジウムおよびスズの融点
温度変調振幅:±1K
温度変調周期:60秒
昇温ステップ:5K
試料重量 :5mg
試料容器 :アルミニウム製開放型容器(22mg)
参照容器 :アルミニウム製開放型容器(18mg)
なお、ガラス転移温度は下記式により算出する。
ガラス転移温度=(補外ガラス転移開始温度+補外ガラス転移終了温度)/2
(11)幅寸法測定
1m幅にスリットした支持体を、張力20kg/mで搬送させ、支持体の一方の表面(A)に下記組成の磁性塗料および非磁性塗料をエクストルージョンコーターにより重層塗布し(上層が磁性塗料で、塗布厚0.2μm、下層が非磁性塗料で塗布厚0.9μm)、磁気配向させ、乾燥温度100℃で乾燥させる。次いで反対側の表面(B)に下記組成のバックコートを塗布した後、小型テストカレンダー装置(スチール/ナイロンロール、5段)で、温度85℃、線圧200kg/cmでカレンダー処理した後、巻き取る。上記テープ原反を1/2インチ(1.27cm)幅にスリットし、パンケーキを作成する。次いで、このパンケーキから長さ200m分をカセットに組み込んで、カセットテープとする。
(磁性塗料の組成)
・強磁性金属粉末 : 100質量部
〔Fe:Co:Ni:Al:Y:Ca=70:24:1:2:2:1(質量比)〕
〔長軸長:0.09μm、軸比:6、保磁力:153kA/m(1,922Oe)、飽和磁化:146Am/kg(146emu/g)、BET比表面積:53m/g、X線粒径:15nm〕
・変成塩化ビニル共重合体(結合剤) : 10質量部
(平均重合度:280、エポキシ基含有量:3.1質量%、スルホン酸基含有量:8×10−5当量/g)
・変成ポリウレタン(結合剤) : 10質量部
(数平均分子量:25,000、スルホン酸基含有量:1.2×10−4当量/g、ガラス転移点:45℃)
・ポリイソシアネート(硬化剤) : 5質量部
(日本ポリウレタン工業(株)製コロネートL(商品名)
・2−エチルヘキシルオレート(潤滑剤) : 1.5質量部
・パルミチン酸(潤滑剤) : 1質量部
・カーボンブラック(帯電防止剤) : 1質量部
(平均一次粒子径:0.018μm)
・アルミナ(研磨剤) : 10質量部
(αアルミナ、平均粒子径:0.18μm)
・メチルエチルケトン : 75質量部
・シクロヘキサノン : 75質量部
・トルエン : 75質量部
(非磁性塗料の組成)
・変成ポリウレタン : 10質量部
(数平均分子量:25,000、スルホン酸基含有量:1.2×10−4当量/g、ガラス転移点:45℃)
・変成塩化ビニル共重合体 : 10質量部
(平均重合度:280、エポキシ基含有量:3.1質量%、スルホン酸基含有量:8×10−5当量/g)
・メチルエチルケトン : 75質量部
・シクロヘキサノン : 75質量部
・トルエン : 75質量部
・ポリイソシアネート : 5質量部
(日本ポリウレタン工業(株)製コロネートL(商品名))
・2−エチルヘキシルオレート(潤滑剤) : 1.5質量部
・パルミチン酸(潤滑剤) : 1質量部
(バックコートの組成)
・カーボンブラック : 95質量部
(帯電防止剤、平均一次粒子径0.018μm)
・カーボンブラック : 10質量部
(帯電防止剤、平均一次粒子径0.3μm)
・アルミナ : 0.1質量部
(αアルミナ、平均粒子径:0.18μm)
・変成ポリウレタン : 20質量部
(数平均分子量:25,000、スルホン酸基含有量:1.2×10−4当量/g、ガラス転移点:45℃)
・変成塩化ビニル共重合体 : 30質量部
(平均重合度:280、エポキシ基含有量:3.1質量%、スルホン酸基含有量:8×10−5当量/g)
・シクロヘキサノン : 200質量部
・メチルエチルケトン : 300質量部
・トルエン : 100質量部
カセットテープのカートリッジからテープを取り出し、下記恒温恒湿槽内へ図1のように作製したシート幅測定装置を入れ、幅寸法測定を行う。なお、図1に示すシート幅測定装置は、レーザーを使って幅方向の寸法を測定する装置で、磁気テープ9をフリーロール5〜8上にセットしつつ荷重検出器3に固定し、端部に荷重となる分銅4を吊す。この磁気テープ9にレーザー光10を発振すると、レーザー発振器1から幅方向に線状に発振されたレーザー光10が磁気テープ9の部分だけ遮られ、受光部2に入り、その遮られたレーザーの幅が磁気テープの幅として測定される。3回の測定結果の平均値を本発明における幅とする。
測定装置:(株)アヤハエンジニアリング社製シート幅測定装置
レーザー発振器1、受光部2:レーザー寸法測定機 キーエンス社製LS−5040
荷重検出器3:ロードセル NMB社製CBE1−10K
恒温恒湿槽:(株)カトー社製SE−25VL−A
荷重4:分銅(長手方向)
試料サイズ:幅1/2inch×長さ250mm
保持時間:24時間
測定回数:3回測定する。
(幅寸法変化率)
2つの条件でそれぞれ幅寸法(l,l)を測定し、次式にて寸法変化率を算出する。次の基準で寸法安定性を評価する。×を不合格とする。
A条件:10℃10%RH 張力0.8N
B条件:29℃80%RH 張力0.6N
幅寸法変化率[ppm]=10×((l−l)/l
◎:幅寸法変化率が0[ppm]以上600[ppm]未満
○:幅寸法変化率が600[ppm]以上700[ppm]未満
△:幅寸法変化率が700[ppm]以上800[ppm]未満
×:幅寸法変化率が800[ppm]以上
(12)高湿保存性
上記(11)で作製したカセットテープを下記条件にて高湿度保管を行った。保管後、テープを観察し、さらに市販のIBM社製LTOドライブ3580−L11を用いて23℃50%RHの環境で記録・再生を行い、次の基準で評価した。
高湿度保管条件:40℃80%RH3日間
○:テープの外観に変化がなく、問題なく使用できる。
△:テープの一部が腐食で脆くなるが、使用はできる。
×:テープの全体が腐食で脆くなり、磁性層などがボロボロになり使用できない。
(13)磁性層の密着性
上記(11)で作製したカセットテープの磁性層面にセロハン粘着テ−プ(ニチバン(株)製)を貼り、線圧50/kg/cmのニップロールを通過させた後、180度方向に急速に剥離する。その時のセロハン粘着テープに付着した被覆面の面積を求めて接着性を判定した。
○:セロハン粘着テープに付着した被覆面の面積が5%未満であり、接着性に優れている。
△:セロハン粘着テープに付着した被覆面の面積が5%〜10%未満であり、接着性にやや優れている。
×:セロハン粘着テープに付着した被覆面の面積が10%以上であり、接着性に劣る。
(14)コーティング層の密着性
上記(11)で作製したカセットテープの磁性層をメチルエチルケトンで除去し、露出したコーティング層面にセロハン粘着テープ(ニチバン(株)製)を貼り、線圧50/kg/cmのニップロールを通過させた後、180度方向に急速に剥離する。その時のセロハン粘着テープに付着した被覆面の面積を求めて接着性を判定した。
○:セロハン粘着テープに付着した被覆面の面積が5%未満であり、接着性に優れている。
△:セロハン粘着テープに付着した被覆面の面積が5%〜10%未満であり、接着性にやや優れている。
×:セロハン粘着テープに付着した被覆面の面積が10%以上であり、接着性に劣る。
(15) 損失正接tanδ
動的粘弾性(DMA)測定装置として、DMS6100(セイコーインスツルメンツ社製)を用いて、試料幅5mm、試料長さ(チャック間距離)20mmのサンプルを測定した。詳細な測定条件を下記に示す。
測定温度域 : −150℃〜200℃
振動周波数 : 1Hz
振動変位(歪み) : 5μm、 初荷重:50mN
昇温速度 : 2℃/分、 ゲイン:1.5
力振幅初期値 : 100mN。
次の実施例に基づき、本発明の実施形態を説明する。なお、ここでポリエチレンテレフタレートをPET、ポリ(エチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート)をPENと表記する。
(参考例1)
テレフタル酸ジメチル194質量部とエチレングリコール124質量部とをエステル交換反応装置に仕込み、内容物を140℃に加熱して溶解した。その後、内容物を撹拌しながら酢酸マグネシウム4水塩0.1質量部および三酸化アンチモン0.05質量部を加え、140〜230℃でメタノールを留出しつつエステル交換反応を行った。次いで、リン酸トリメチルの5質量%エチレングリコール溶液を1質量部(リン酸トリメチルとして0.05質量部)添加した。
トリメチルリン酸のエチレングリコール溶液を添加すると反応内容物の温度が低下する。そこで余剰のエチレングリコールを留出させながら反応内容物の温度が230℃に復帰するまで撹拌を継続した。このようにしてエステル交換反応装置内の反応内容物の温度が230℃に達したら、反応内容物を重合装置へ移行した。
移行後、反応系を230℃から290℃まで徐々に昇温するとともに、圧力を0.1kPaまで下げた。最終温度、最終圧力到達までの時間はともに60分とした。最終温度、最終圧力に到達した後、2時間(重合を始めて3時間)反応させたところ、重合装置の撹拌トルクが所定の値(重合装置の仕様によって具体的な値は異なるが、本重合装置にて固有粘度0.62のポリエチレンテレフタレートが示す値を所定の値とした)を示した。そこで反応系を窒素パージし常圧に戻して重縮合反応を停止し、冷水にストランド状に吐出、直ちにカッティングして固有粘度0.62のポリエチレンテレフタレートのPETペレットXを得た。
(参考例2)
280℃に加熱された同方向回転タイプのベント式2軸混練押出機に、参考例1にて作製したPETペレットXを98質量部と平均径0.3μmの球状架橋ポリスチレン粒子の10質量%水スラリーを20質量部(球状架橋ポリスチレンとして2質量部)供給し、ベント孔を1kPa以下の減圧度に保持し水分を除去し、平均径0.3μmの球状架橋ポリスチレン粒子を2質量%含有する固有粘度0.62のPETペレットYを得た。
(参考例3)
平均径0.3μmの球状架橋ポリスチレン粒子ではなく平均径0.8μmの球状架橋ポリスチレン粒子を用いたこと以外、参考例2と同様の方法にて、平均径0.8μmの球状架橋ポリスチレン粒子を2質量%含有する固有粘度0.62のPETペレットZを得た。
(参考例4)
2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチル100質量部とエチレングリコール60質量部の混合物に、酢酸マンガン・4水和物塩0.03質量部を添加し、150℃の温度から240℃の温度に徐々に昇温しながらエステル交換反応を行った。途中、反応温度が170℃に達した時点で三酸化アンチモン0.024質量部を添加した。また、反応温度が220℃に達した時点で3,5−ジカルボキシベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩0.042質量部(2mmol%に相当)を添加した。その後、引き続いてエステル交換反応を行い、トリメチルリン酸0.023質量部を添加した。次いで、反応生成物を重合装置に移し、290℃の温度まで昇温し、30Paの高減圧下にて重縮合反応を行い、重合装置の撹拌トルクが所定の値(重合装置の仕様によって具体的な値は異なるが、本重合装置にて固有粘度0.65のポリエチレン−2,6−ナフタレートが示す値を所定の値とした)を示した。そこで反応系を窒素パージし常圧に戻して重縮合反応を停止し、冷水にストランド状に吐出、直ちにカッティングして固有粘度0.65のポリエチレン−2,6−ナフタレートペレットX’を得た。
(参考例5)
280℃に加熱された同方向回転タイプのベント式2軸混練押出機に、参考例4にて作製したペレットX’を98質量部と平均径0.3μmの球状架橋ポリスチレン粒子の10質量%水スラリーを20質量部(球状架橋ポリスチレンとして2質量部)供給し、ベント孔を1kPa以下の減圧度に保持し水分を除去し、平均径0.3μmの球状架橋ポリスチレン粒子を2質量%含有する固有粘度0.65のPENペレットY’を得た。
(参考例6)
平均径0.3μmの球状架橋ポリスチレン粒子ではなく平均径0.8μmの球状架橋ポリスチレン粒子を用いたこと以外、参考例5と同様の方法にて、平均径0.8μmの球状架橋ポリスチレン粒子を2質量%含有する固有粘度0.65のPENペレットZ’を得た。
(参考例7)
テレフタル酸ジメチル71.2質量部、5−ナトリウムスルホイソフタル酸ジメチル14.8質量部、エチレングリコ−ル50.0質量部、ジエチレングリコ−ル4.0質量部、数平均分子量600のポリエチレングリコ−ル13.0質量部および酢酸カルシウム0.1質量部、酢酸リチウム0.3質量部、三酸化アンチモン0.03質量部を加え、エステル交換反応せしめたのち、リン酸トリメチル0.05質量部を添加した。次いで徐々に昇温、減圧にし、最終的に280℃、1mmHg以下で重縮合反応を行ない、水溶性共重合ポリエステルを得た。得られた水溶性共重合ポリエステルの組成をNMR(13C−NMRスペクトル)により測定した結果、酸成分はテレフタル酸88モル%、5−ナトリウムスルホイソフタル酸12モル%、グリコ−ル成分はエチレングリコ−ル89モル%、ジエチレングリコ−ル11モル%であり、また、ポリエチレングリコ−ル含有量は12質量%で、固有粘度は0.60dl/gであった。
得られた水溶性共重合ポリエステル2gを水100g中に入れ、80℃、2時間攪拌溶解して冷却後、2μmフィルターで瀘過し、濃度2質量%の水溶性共重合ポリエステル水溶液を得た。水溶性共重合ポリエステルの水溶液はほぼ透明性であり、フィルター瀘上物も認められなかった。
一方、水溶性共重合ポリエステルに混合するワックスとしては、固形分濃度40質量%、質量平均分子量約50万のアクリル酸ステアリルの水分散体ワックスを水で希釈し、固形分濃度2質量%のアクリル酸ステアリル水分散体として、水溶性共重合ポリエステル水溶液に対して10質量添加後、良く混合攪拌し本発明の塗剤Aとした。
[塗剤A]
1)水溶性共重合ポリエステル 90質量部
2)ワックスアクリル酸ステアリル 10質量部
(実施例1)
押出機E、F2台を用い、280℃に加熱された押出機Eには、参考例1、2で得られたPETペレットX98質量部、PETペレットY2質量部を180℃で3時間減圧乾燥した後に供給し、同じく280℃に加熱された押出機Fには、参考例1〜3で得られたPETペレットX89.5質量部、PETペレットY10質量部、およびPETペレットZ0.5質量部を180℃で3時間減圧乾燥した後に供給した。これらを2層積層するべくTダイ中で合流させ(積層比E(A面側)/F(B面側)=7/1)、表面温度25℃のキャストドラムに静電荷を印加させながら密着冷却固化し、積層未延伸フィルムを作製した。
この積層未延伸フィルムを、リニアモータ式クリップを有する同時二軸テンターを用いて、二軸延伸した。長手方向および幅方向に同時に、温度90℃、延伸速度6,000%で3.5倍×3.5倍延伸し、70℃まで冷却した。続いて、温度165℃で長手方向および幅方向に同時に1.4×1.4倍に再延伸した。さらに幅方向に1.05倍の延伸を行いながら温度200℃で1秒間熱処理後、幅方向に2%の弛緩処理を行い、厚さ5μmの二軸配向ポリエステルフィルムを作製した。作製した二軸配向ポリエステルフィルムは25℃45%RHにて保管した。
次に、図2に示す真空蒸着装置11の巻出しロール部13に得られたポリエステルフィルムをセットし、1.5×10−3Paの減圧度にした後に、−20℃の冷却ドラム16を介してポリエステルフィルムを搬送速度100m/min、搬送張力100Nで走行させた。このとき、99.99質量%のアルミニウムを電子ビーム(出力5.1kW)で加熱蒸発させ、さらに蒸発源であるるつぼ23の真横に設置した酸素供給ノズル24から酸素ガスを5.0L/minで金属蒸気と同じ方向に供給し、酸化アルミの蒸着薄膜層(厚み100nm)をフィルムのA面側の層の上に形成した。M層形成後、蒸着機内で窒素プラズマ処理(処理強度150W)を行い巻取った。
M層を蒸着した後、真空蒸着装置内を常圧に戻して、巻取ったフィルムを30℃60%RHの環境で2日間エージングした。
参考例7で得られた塗剤Aを良く混合攪拌し、グラビアコート方式で塗剤Aを乾燥後の塗布層厚みが0.01μmになるようにA面側に塗布する。塗布したフィルムをオーブン内に導き70℃の予熱工程で水分を予備乾燥させた後、120℃に加熱し本乾燥を行いC層を設けた。得られた積層体を評価したところ、表1〜3に示すように、ポリエステルフィルムに金属系酸化物を含む層とコーティング層を持ち、本発明の範囲内であった。また、磁気テープとして使用した際に寸法変化率が小さく各層の密着性も高く優れた特性を有していた。
(実施例2)
B面側にM層を設けること以外は実施例1と同様の方法にて積層体を得た。得られた積層体を評価したところ、表1〜3に示すように、ポリエステルフィルムに金属系酸化物を含む層とコーティング層を持ち、本発明の範囲内であった。また、磁気テープとして使用した際に寸法変化率が小さく各層の密着性も高く優れた特性を有していた。
(実施例3)
B面にもM層を設けること以外は実施例1と同様の方法にて積層体を得た。得られた積層体を評価したところ、表1〜3に示すように、ポリエステルフィルムに金属系酸化物を含む層とコーティング層を持ち、本発明の範囲内であった。また、磁気テープとして使用した際に寸法変化率が小さく各層の密着性も高く優れた特性を有していた。
(実施例4)
B面にもM層を設け、さらにその上にC層を設けること以外は実施例1と同様の方法にて積層体を得た。得られた積層体を評価したところ、表1〜3に示すように、ポリエステルフィルムに金属系酸化物を含む層とコーティング層を持ち、本発明の範囲内であった。また、磁気テープとして使用した際に寸法変化率が小さく各層の密着性も高く優れた特性を有していた。
(実施例5)
酸素供給ノズル24から酸素ガスを2.5L/minで供給したこと以外は実施例1と同様の方法にて積層体を得た。得られた積層体を評価したところ、表1〜3に示すように、ポリエステルフィルムに金属系酸化物を含む層とコーティング層を持ち、本発明の範囲内であった。また、磁気テープとして使用した際に寸法変化率が小さく各層の密着性も高く優れた特性を有していた。
(実施例6)
M層形成後、蒸着機内で窒素プラズマ処理を行わなかったこと以外は実施例1と同様の方法にて積層体を得た。得られた積層体を評価したところ、表1〜3に示すように、ポリエステルフィルムに金属系酸化物を含む層とコーティング層を持ち、本発明の範囲内であった。また、磁気テープとして使用した際に寸法変化率が小さく各層の密着性も高く優れた特性を有していた。
(実施例7)
M層を蒸着した後、真空蒸着装置内を常圧に戻して、巻取ったフィルムを30℃60%RHの環境でエージングしなかったこと以外は実施例1と同様の方法にて積層体を得た。得られた積層体を評価したところ、表1〜3に示すように、ポリエステルフィルムに金属系酸化物を含む層とコーティング層を持ち、本発明の範囲内であった。また、磁気テープとして使用した際に寸法変化率が小さく各層の密着性も高く優れた特性を有していた。
(実施例8)
290℃に加熱された同方向回転タイプのベント式2軸混練押出機に、参考例1で得られたPETペレットX50質量%とSABICイノベーティブプラスチックス社製のポリエーテルイミド“Ultem1010”(固有粘度0.68)のペレット50質量%を供給し、ブレンドチップ(I)を作製した。
押出機E、F2台を用い、295℃に加熱された押出機Eには、参考例1、2で得られたPETペレットX88質量%、PETペレットY2質量%と、ブレンドチップ(I)10質量%を180℃で3時間減圧乾燥した後に供給し、同じく295℃に加熱された押出機Fには、参考例1〜3で得られたPETペレットX79.5質量%、PETペレットY10質量%、PETペレットZ0.5質量%と、ブレンドチップ(I)10質量%を180℃で3時間減圧乾燥した後に供給した。2層積層するべくTダイ中で合流させ(積層比E(A面側)/F(B面側)=7/1)、表面温度25℃のキャストドラムに静電荷を印加させながら密着冷却固化し、積層未延伸フィルムを作製した。
この未延伸フィルムを、リニアモータ式クリップを有する同時二軸テンターを用いて、二軸延伸した。長手方向および幅方向に同時に、温度95℃、延伸速度6,000%で3.5倍×3.5倍延伸し、70℃まで冷却した。続いて、温度170℃で長手方向および幅方向に同時に1.4×1.4倍に再延伸した。さらに幅方向に1.05倍の延伸を行いながら温度200℃で1秒間熱処理後、幅方向に2%の弛緩処理を行い、厚さ5μmの二軸配向ポリエステルフィルムを作製した。作製した二軸配向ポリエステルフィルムは25℃45%RHにて保管した。
上記のように、二軸配向ポリエステルフィルムを作製したこと以外は実施例1と同様の方法にて積層体を得た。得られた積層体を評価したところ、表1〜3に示すように、ポリエステルフィルムに金属系酸化物を含む層とコーティング層を持ち、本発明の範囲内であった。また、磁気テープとして使用した際に寸法変化率が小さく各層の密着性も高く優れた特性を有していた。
(実施例9)
押出機E、F2台を用い、280℃に加熱された押出機Eには、参考例4、5で得られたPENペレットX’98質量部、PENペレットY’2質量部を180℃で3時間減圧乾燥した後に供給し、同じく280℃に加熱された押出機Fには、参考例4〜6で得られたPENペレットX’89.5質量部、PENペレットY’10質量部、およびPENペレットZ’0.5質量部を180℃で3時間減圧乾燥した後に供給した。これらを2層積層するべくTダイ中で合流させ(積層比E(A面側)/F(B面側)=7/1)、表面温度25℃のキャストドラムに静電荷を印加させながら密着冷却固化し、積層未延伸フィルムを作製した。
この積層未延伸フィルムを、リニアモータ式クリップを有する同時二軸テンターを用いて、二軸延伸した。長手方向および幅方向に同時に、温度135℃、延伸速度6,000%で4.0倍×4.0倍延伸し、70℃まで冷却した。続いて、温度180℃で長手方向および幅方向に同時に1.2×1.2倍に再延伸した。さらに幅方向に1.05倍の延伸を行いながら温度210℃で1秒間熱処理後、幅方向に2%の弛緩処理を行い、厚さ5μmの二軸配向ポリエステルフィルムを作製した。作製した二軸配向ポリエステルフィルムは25℃45%RHにて保管した。
上記のように、二軸配向ポリエステルフィルムを作製したこと以外は実施例1と同様の方法にて積層体を得た。得られた積層体を評価したところ、表1〜3に示すように、ポリエステルフィルムに金属系酸化物を含む層とコーティング層を持ち、本発明の範囲内であった。また、磁気テープとして使用した際に寸法変化率が小さく各層の密着性も高く優れた特性を有していた。
(実施例10)
酸素供給ノズル24から酸素ガスを供給しないこと以外は実施例1と同様の方法にて積層体を得た。得られた積層体を評価したところ、表1〜3に示すように、ポリエステルフィルムに金属系酸化物を含む層とコーティング層を持ち、本発明の範囲内であった。また、磁気テープとして使用した際に寸法変化率が小さく各層の密着性も高く優れた特性を有していた。
(実施例11)
99.99質量%のアルミニウムではなく99.99質量%の銅を電子ビーム(出力6.1kW)で加熱蒸発させること以外は実施例11と同様の方法にて積層体を得た。得られた積層体を評価したところ、表1〜3に示すように、ポリエステルフィルムに金属系酸化物を含む層とコーティング層を持ち、本発明の範囲内であった。また、磁気テープとして使用した際に寸法変化率が小さく各層の密着性も高く優れた特性を有していた。
(実施例12)
99.99質量%のアルミニウムではなく99.99質量%の銅を電子ビーム(出力6.1kW)で加熱蒸発させること以外は実施例1と同様の方法にて積層体を得た。得られた積層体を評価したところ、表1〜3に示すように、ポリエステルフィルムに金属系酸化物を含む層とコーティング層を持ち、本発明の範囲内であった。また、磁気テープとして使用した際に寸法変化率が小さく各層の密着性も高く優れた特性を有していた。
(比較例1)
M層、C層をともに設けないこと以外は実施例1と同様の方法にて積層体を得た。得られた積層体を評価したところ、表1〜3に示すように、ポリエステルフィルムに金属系酸化物を含む層とコーティング層を持たず、本発明の範囲外であったため、磁気テープとして使用した際に寸法変化率が大きく劣った特性を有していた。
(比較例2)
C層を設けないこと以外は実施例1と同様の方法にて積層体を得た。得られた積層体を評価したところ、表1〜3に示すように、ポリエステルフィルムにコーティング層を持たず、本発明の範囲外であったため、磁気テープとして使用した際に密着性が悪く劣った特性を有していた。
(比較例3)
M層を設けないこと以外は実施例1と同様の方法にて積層体を得た。得られた積層体を評価したところ、表1〜3に示すように、ポリエステルフィルムに金属系酸化物を含む層を持たず、本発明の範囲外であったため、磁気テープとして使用した際に寸法変化率が大きく劣った特性を有していた。
(比較例4)
C層を設けないこと以外は実施例5と同様の方法にて積層体を得た。得られた積層体を評価したところ、表1〜3に示すように、ポリエステルフィルムにコーティング層を持たず、本発明の範囲外であったため、磁気テープとして使用した際に密着性が悪く劣った特性を有していた。
(比較例5)
M層を設けないこと以外は実施例5と同様の方法にて積層体を得た。得られた積層体を評価したところ、表1〜3に示すように、ポリエステルフィルムに金属系酸化物を含む層を持たず、本発明の範囲外であったため、磁気テープとして使用した際に寸法変化率が大きく劣った特性を有していた。
Figure 2010052416
Figure 2010052416
Figure 2010052416
1:レーザー発振器
2:受光部
3:荷重検出器
4:荷重
5:フリーロール
6:フリーロール
7:フリーロール
8:フリーロール
9:磁気テープ
10:レーザー光
11:真空蒸着装置
12:真空チャンバ
13:巻出しロール部
14:ポリエステルフィルム
15:ガイドロール
16:冷却ドラム
17:蒸着チャンバ
18:巻取りロール部
19:金属材料
20:電子銃
21:電子ビーム
22:酸素ガスボンベ
23:るつぼ
24:酸素供給ノズル
25:マスク
26:ガス流量制御装置

Claims (7)

  1. ポリエステルフィルムの少なくとも片面に金属または金属系酸化物を含む層(M層)が設けられ、さらにその少なくとも片面にコーティング層(C層)が設けられた積層体。
  2. 金属または金属系酸化物を含む層(M層)の上にコーティング層(C層)が設けられた、請求項1に記載の積層体。
  3. ポリエステルフィルムの両面に金属または金属系酸化物を含む層(M層)が設けられた、請求項1または2に記載の積層体。
  4. 金属または金属系酸化物を含む層(M層)が酸化アルミニウムを含んでいる、請求項1〜3のいずれかに記載の積層体。
  5. コーティング層(C層)がポリオキシアルキレングリコール成分を含有する水溶性共重合ポリエステルを含む、請求項1〜4のいずれかに記載の積層体。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の積層体を用いた磁気記録媒体用支持体。
  7. 請求項6に記載の磁気記録媒体用支持体に磁性層を設けた磁気記録媒体。
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