JP4557017B2 - 磁気記録媒体用支持体 - Google Patents

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Description

本発明は、磁気テープなどの磁気記録媒体に用いられる支持体と、該支持体を用いてなる磁性層を有する磁気記録媒体に関する。
二軸延伸ポリエステルフィルムはその優れた熱特性、寸法安定性、機械特性および表面形態の制御のし易さから各種用途に使用されており、特に磁気記録媒体などの支持体としての有用性がよく知られている。近年、磁気テープなどの磁気記録媒体は、機材の軽量化、小型化、大容量化のためさらなる高密度化が要求されている。高密度記録化のためには、記録波長を短くし、記録トラックを小さくすることや、磁気テープの薄膜化などが有用である。しかしながら、記録トラックの狭小化や、磁気テープの薄膜化に伴って、テープ走行時における熱やテープ保管時の温湿度変化による変形により、記録トラックのずれが起こりやすくなるという問題がある。したがって、テープの使用環境および保管環境での寸法安定性といった特性の改善に対する要求がますます強まっている。
この観点から、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートなどを用いたポリエステルフィルムにおいて、延伸技術を用いて高強度化した磁気記録媒体用支持体が開発されている。さらには、延伸技術以外にも、以下の各文献に開示されるような金属系材料からなる補強層をポリエステルフィルム上に設ける試みがなされている。
たとえば、支持体フィルムの薄膜化と剛性を両立するために、ポリエステルフィルムの片面または両面に非磁性金属または金属酸化物層などの補強層を設け、ベースフィルムの薄膜化に伴う剛性低減を抑止した磁気記録媒体(特許文献1)が開示されている。
また、非磁性支持体上に特定の最大表面粗さを有する酸化金属層を蒸着してなる下地層を設けさらに、その上に磁性層が設けられた金属薄膜型磁気記録媒体(特許文献2)では、高耐久性と電磁変換特性の良好な磁気記録媒体が提案されている。
しかし、これらの文献に開示されている金属酸化物からなる下地層では、下地層自身の膜質を表す表面パラメータである特定の突起高さを有する突起個数について全く着目していないため、剛性は向上するものの補強層の成膜時による支持体の熱ダメージによって寸法安定性が不十分となったり、また、磁性層と下地層の接着性を良好なものにすることが困難になる。さらに、磁性層を塗布する際において膜厚管理に透過光を用いているが、下地層が設けられた非磁性支持体の透過率に斑があると磁性層の膜厚にバラツキが生じ、エラーレートの多い磁気テープとなり易いという問題もある。
また、非磁性支持体上に特定の最外表面の粒子の平均粒径を有する強化層を設けさらに、その上に磁性層が設けられた金属薄膜型磁気記録媒体(特許文献3)では、蒸着時の酸素供給量を増減することによって、最外表面の粒子の平均粒径を調節することが同文献中の図2の蒸着装置を用いて説明されている。しかし、同図の蒸着装置においては、酸素ガス導入管の個数および位置が不適切であるため、最外表面の粒子の平均粒径のバラツキによって、磁性層との密着性が悪化したり、強化層の酸化度がばらつきやすくなることによって非磁性支持体の透過率の斑が生じ易くなり、その結果、磁性層の膜厚にバラツキが生じ、エラーレートの多い磁気テープとなり易いという問題もある。
また、磁気記録媒体の走行耐久性や電磁変換特性を向上させる目的で高精細に表面形態を制御した二軸配向ポリエステルフィルム(参考文献4)も提案されている。しかしながら、高密度に微細突起が形成された表面を有するポリエステルフィルムに蒸着を施して補強層を設けても、補強層の成膜条件を適切にコントロールしなければ本願で規定するような突起密度を有する補強層が形成できないため磁性層との密着性や支持体の熱ダメージによる寸法安定性を改善することは困難である。
そこで、鋭意検討した結果、特定の表面特性を有する酸化金属層を形成することで補強層の成膜時における支持体への熱ダメージ抑制効果が高まり、磁性層との密着性と透過率の斑が飛躍的に向上し、上記の多くの課題を解決することを見出した。
特開平7−272247号公報 特開2003−346327号公報 特開2002−367150号公報 特開2001−253958号公報
本発明の目的は、上記の問題を解決し、成膜時の熱ダメージや磁性層の厚み斑が少なく、さらに、金属蒸着層と磁性層との密着性に優れた支持体であって、特に磁気記録媒体とした際に、環境変化による寸法変化やエラーレートの少ない高密度磁気記録媒体用支持体を提供することにある。
本発明者らは上記課題について鋭意検討した結果、ポリエステルフィルムの両表面に特定の高さの表面突起を特定個数有する金属類又は金属系無機化合物を含む層を設けることで、補強層成膜時の熱ダメージ低減効果に優れ、さらには磁性層の厚み斑が少なく、かつ、該金属蒸着層と磁性層との密着性に優れた、特に高密度磁気記録テープ用ベースフィルムとして好適な磁気記録媒体用支持体となることを見いだし、本発明を完成するに至った。
すなわち、上記課題を達成するための本発明は、ポリエステルフィルムの一方の表面A上に金属類または金属系無機化合物を含む層(Ma層)が設けられ、他方の表面B上に金属類または金属系無機化合物を含む層(Mb層)が設けられ、かつ、高さ1nm以上10nm以下の微細突起数をX、高さが5nm以上10nm以下の微細突起数をYとしたとき、磁性層が塗布される表面の突起比率(Y/X)が20以下である磁気記録媒体用支持体を特徴とする。

本発明の磁気記録媒体用支持体は、補強層成膜時の熱ダメージ低減効果に優れ、磁性層の厚み斑が少なく、かつ、金属蒸着層と磁性層との密着性に優れた支持体であって、特に磁気記録媒体とした際に環境変化による寸法変化やエラーレートの少ない高密度磁気記録媒体を得ることができる。
本発明の磁気記録媒体用支持体はポリエステルフィルムの両方の表面A、B上に金属類または金属系無機化合物を含む層(それぞれMa層、Mb層)が形成されている。片面のみに金属類または金属系無機化合物を含む層が形成されている場合は、幅方向の寸法安定性を満足せしめることができない。ここで、金属類とは、いわゆる単体金属、半金属、合金、金属間化合物を表し、具体的には、例えば単体金属ではMg、Ca、Al、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Zr、Nb、Mo、Pd、Ag、Sn、Ta、W、Pt、Au、Pb、半金属ではC、Si、Ge、Sb、Teなどが挙げられ、これらの金属の数種を混ぜ合わせて合金や金属間化合物としてもよい。また、金属系無機化合物としては、例えば、上記金属類の酸化物や窒化物、炭化物、ホウ化物、硫化物、塩化物などを用いることができる。具体的には、例えば、CuO、ZnO、Al、SiO、Fe、Fe、AgO、TiO、MgO、SnO、ZrO、InO、MoOなどの酸化物、TiN、ZrN、GaN、TaN、AlNなどの窒化物、TiC、WC、SiC、NbC、ZrC、FeCなどの炭化物などが挙げられる。また、上記の金属系無機化合物はそれぞれ単独で用いてもよく、もちろん複数種を混合して用いても構わない。M層(Ma層、Mb層の総称)を構成する金属材料は磁気記録媒体とした際に読み取りや書き込みに影響を与えるため磁性金属を含まないことが好ましい。ここでいう磁性金属はFe、Co、Niを表す。強度、生産性、環境性の観点からアルミニウム元素を含んでいることが好ましく、特にアルミニウム元素が60重量%以上含有されていることが好ましい。また、さらに好ましくはアルミニウムの単体金属かアルミナを用いることが好ましい。
M層の形成方法としては物理蒸着法や化学蒸着法を用いることができる。ベースフィルムの物理蒸着法には真空蒸着法、スパッタリング法があり、真空蒸着法が一般的である。特にM層の膜厚を正確に制御するために電子ビーム蒸着が好ましい。また、蒸着順は蒸着膜の内部応力が小さくなるようにMa層から先にするのが本発明の効果を大きくするために重要である。
Ma層とMb層の厚みをそれぞれMa、Mbとしたとき、その厚み比(Ma/Mb)は0.5〜2であることが好ましく、より好ましくは0.8〜1.5である。
M層の厚みは、Ma層、Mb層それぞれ20〜200nmであることが好ましい。好ましくは、それぞれ30〜150nmである。さらに好ましくはそれぞれ30〜120nmである。M層厚みが20nmより小さい場合、特定の平均突起高さを有する微細な突起を本発明の範囲内にすることが困難となるため磁性層の厚み斑が悪化したり磁性層との密着性が不良になる場合がある。また、200nmより大きい場合は、突起比率(Y/X)、あるいはM層表面の表面粗さRaと最大突起高さRtを本発明の範囲内にすることが困難となり、磁性層との密着性が低下しやすい。
本発明の磁気記録媒体用支持体は、少なくとも片面の金属類または金属系無機化合物を含む層の表面粗さRaが0.3nm〜5nmであることが好ましい。好ましくはRaが0.5nm〜3nmである。Raが0.3nmより小さい場合は、フィルム製造、加工工程などで、搬送ロールなどとの摩擦係数が大きくなり、工程トラブルを起こすことがあり、磁気テープとして用いる場合に、磁気ヘッドとの摩擦が大きくなり、磁気テープ特性が低下しやすくなる。さらに、蒸着フィルムを加湿下で巻き返し金属類または金属系無機化合物を含む層のエージング処理工程において、エージング斑を引き起こし、フィルムの透過率に斑を生じる場合がある。Raが5nmより大きくなると、高密度記録の磁気テープとして用いる場合に、磁性面側が粗くなり、電磁変換特性が低下することがある。
金属類または金属系無機化合物を含む層の表面の突起個数やRaは金属材料の種類やM層の形成方法、膜厚を変更することで制御できる。例えば、特定の高さを有する微細突起を形成するには、酸素導入量や導入管の角度、冷却キャン温度などを後述するように適宜制御すればよく、また、突起個数を本発明の範囲内に制御するためには、導入量を1L/分〜10L/分に調節して蒸着することが好ましい。酸素導入量が1L/分よりも少ないと、突起個数Xが小さくなり、逆に突起個数Yが多くなり、それに伴ってRaも大きくなる傾向にある。またこの時、酸素導入管をルツボの前後に冷却キャンとの角度が45°〜90°未満となるように配置することが重要である。酸素導入管がルツボの前後いずれか一方向だけにしか設置されていないと、突起個数Xが小さくなったり、突起比率Y/XやRaが大きくなる傾向にある。さらに、酸素導入管と冷却キャンとの角度が45°未満であると突起個数Xが少なくなり過ぎ、突起比率Y/Xが大きくなる傾向にある。また、金属層の膜厚に斑が生じやすくなるので、Raを本発明の好ましい範囲内に制御することが困難となる場合がある。冷却キャン温度は−30〜20℃に設定することが好ましい。冷却キャン温度が高くなりすぎると突起個数Yが増加し表面粗さRaも大きくなる。
本発明の磁気記録媒体用支持体において、特に限定されてないが、上記表面のもう一方の表面の中心線平均粗さRaは3〜10nmであることが好ましい。Raが3nmより小さい場合は、フィルム製造、加工工程などで、搬送ロールなどとの摩擦係数が大きくなり、工程トラブルを起こすことがあり、磁気テープとして用いる場合に、ガイドロールとの摩擦が大きくなり、テープ走行性が低下することがある。また、Raが10nmより大きい場合は、フィルムロールやパンケーキとして保存する際に、表面突起が反対側の表面に転写し、電磁変換特性が低下する傾向がある。より好ましくは5〜10nmである。
本発明の磁気記録媒体用支持体は、少なくとも片面の金属類または金属系無機化合物を含む層の最大突起高さRtが5nm以上30nm以下である。好ましくは、8nm以上20nm以下である。
Rtが5nm以下であると、蒸着フィルムを加湿下で巻き返す工程において走行性が不安定になりフィルム表面に傷が付きやすくなったり、ブロッキングが生じ易くなる。さらに、Rtが30nmを超えると高密度記録の磁気テープとして用いる場合に、磁性面側が粗くなり、電磁変換特性が低下することがある。
本発明の磁気記録媒体用支持体は、少なくとも片面の金属類または金属系無機化合物を含む層の表面において、高さが1nm以上10nm以下の微細突起数Xが200個/μm〜1,500個/μmの密度で形成されていることが好ましい。好ましくは300個/μm〜1,300個/μmである。高さが1nm以上10nm以下の微細な突起が200個/μmより少ないと蒸着フィルムを加湿下で巻き返す金属類または金属系無機化合物を含む層のエージング処理工程において、エージング斑を引き起こし、フィルムの透過率に斑を生じる場合がある。また、逆に上記の微細な突起が1,500個/μmより多く形成されていると磁性層との密着性が低下する場合があったり、2面目の補強層の成膜工程において、1面目に成膜した補強層と冷却キャンとの密着性が低下することによって、冷却効率が著しく悪化し、支持体に与える成膜時の熱ダメージが大きくなり寸法安定性を向上することが困難となる場合がある。
また、金属類または金属系無機化合物を含む層の表面において、突起比率Y/Xが20%以下であることが磁性層との密着性や支持体の熱ダメージ抑止効果を向上させる上で好ましく、さらに好ましくは、15%以下である。
本発明の磁気記録媒体用支持体は、少なくとも片面に微細突起が形成されているが、その微細突起の平均突起高さは、0.5〜6nmであることが磁性層との密着性や支持体の熱ダメージ抑止効果を向上させる上で好ましく、さらに好ましくは0.7〜4nmである。
本発明の磁気記録媒体用支持体の全光線透過率の斑は、0〜10%であることが磁性層の厚みを制御する上で好ましい。全光線透過率の斑が0〜10%の範囲外となると、磁性層厚みを制御することが困難となり磁性層の厚み斑が発生し、エラーレートの多い磁気テープとなり易い。全光線透過率の斑を本願発明の範囲内とするには、蒸着機内の減圧度と酸素導入量および酸素導入管の位置と角度で制御できる。減圧度としては、1.00×10−6〜1.00×10―1Pa、好ましくは1.00×10−6〜1.00×10−3Paであり、酸素導入量は1L/分〜10L/分に調節して蒸着することが斑を規定の範囲内にすることができ好ましい。この時、酸素導入管をルツボの前後に冷却キャンとの角度が45°〜90°未満となるように配置することは、特に、全光線透過率の斑を規定の範囲内とするのに有効である。
本発明の磁気記録媒体用支持体の全光線透過率は、テープの使用環境および保管環境での寸法安定性の点から30〜80%であることが好ましく、さらに好ましくは50〜80%である。全光線透過率が30%未満では、磁性層形成時に厚み管理が不可能となりやすいため磁性層の膜厚にバラツキが発生しやすくなる。また、全光線透過率が80%を超えると、補強層の成膜時の酸化反応熱が大きくなり支持体の熱ダメージを低減することが困難となる場合がある。
本発明の磁気記録媒体用支持体は、Ma層、Mb層を除去した後のポリエステルフィルムの幅方向の湿度膨張係数が0〜10ppm/%RH以下であることが好ましい。湿度膨張係数が上記範囲内であることは、テープの使用環境および保管環境での寸法安定性の観点から特に好ましい。より好ましくは5〜7ppm/%RHである。
本発明の磁気記録媒体用支持体は、Ma層、Mb層を除去した後のポリエステルフィルムの結晶化度が26〜45%であることが好ましい。Ma層、Mb層を除去した後の結晶化度は、補強層の成膜時の熱ダメージによる劣化の有無を判定する上で効果的である。結晶化度が上記範囲内であるとテープの使用環境および保管環境での寸法安定性の観点から特に好ましい。より好ましくは29〜40%である。
本発明の磁気記録媒体用支持体は、幅方向の温度膨張係数が−10〜30ppm/℃であることが好ましい。温度膨張係数が上記範囲内であることは、磁気記録媒体への加工工程や磁気記録媒体の高温度条件での寸法安定性の観点から好ましい。より好ましくは0〜20ppm/℃、さらに好ましくは5〜10ppm/℃である。支持体の温度膨張係数はポリエステルフィルムの温度膨張係数でほとんど決まるが、M層の金属材料の種類や厚みによっても制御できる。フィルムの温度膨張係数の制御法について具体的に説明すると、例えば、ポリエステルフィルムの幅方向のヤング率を6GPa以上、好ましくは6.5GPa以上にすることが有効である。また、幅方向の熱収縮率(100℃、30分)が0.3%未満、好ましくは0.25%以下にすることも有効である。その他の制御方法であるM層の金属材料の種類としては、特にアルミニウム、銅、亜鉛、銀、珪素元素等の金属系酸化物が好ましい。さらに、M層の厚みとしては20〜200nmであることが好ましい。好ましくは、30〜150nmである。さらに好ましくは30〜120nmである。
本発明の磁気記録媒体用支持体は、幅方向の湿度膨張係数が−2〜8ppm/%RHであることが好ましい。湿度膨張係数が上記範囲内であることは、磁気記録媒体への加工工程や磁気記録媒体の記録再生時の高湿条件での寸法安定性の観点から特に好ましい。より好ましくは−1〜7ppm/%RH、さらに好ましくは0〜6ppm/%RHである。支持体の湿度膨張係数はM層の厚みや微細突起個数などで制御することができる。具体的には上記と同様に、M層の厚みとしては20〜200nmであることが好ましい。好ましくは、30〜150nmである。さらに好ましくは30〜120nmである。また、微細突起個数に関しては、突起高さが1〜10nmの微細突起数が200個/μm〜1,500個/μmの密度で形成されていることが好ましい。好ましくは突起高さが1〜5nmの微細突起数が300個/μm〜1,300個/μmである。
本発明の磁気記録媒体用支持体は、幅方向のヤング率が6〜12GPaであることが好ましい。さらに好ましくは7〜12GPaである。6GPaより小さい場合、テープドライブ内での長手方向への張力によって長手方向に伸び、この伸び変形により幅方向に収縮し、記録トラックずれという問題が発生しやすい。12GPaより大きい場合、テープ破断が起こり易く、また長手方向のヤング率が不足しがちである。
本発明の磁気記録媒体用支持体は、長手方向のヤング率が6〜12GPaであることが好ましい。さらに好ましくは6〜10GPaである。6GPaより小さい場合、テープドライブ内での長手方向にかかる張力によってテープが長手方向に伸び、この伸び変形によりテープが幅方向に収縮し、記録トラックずれという問題が発生しやすい。12GPaより大きい場合、テープ破断が起こり易く、また幅方向のヤング率が不足する傾向にある。
なお、本発明において、支持体の長手方向とはポリエステルフィルムの長手方向と同じ方向を指し(MD方向とも呼ばれる)、一般にフィルムの製膜方向のことをいう。また、支持体の幅方向とはポリエステルフィルムの幅方向と同じ方向を指し(TD方向とも呼ばれる)、上記長手方向と直角の方向をいう。
本発明の磁気記録媒体用支持体に用いるポリエステルフィルムを構成するポリエステルとしては、例えば、芳香族ジカルボン酸、脂環族ジカルボン酸または脂肪族ジカルボン酸などの酸成分やジオール成分を構成単位(重合単位)とするポリマーであることが好ましい。
芳香族ジカルボン酸成分としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルスルホンジカルボン酸等を用いることができ、なかでも好ましくは、テレフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸を用いることができる。脂環族ジカルボン酸成分としては、例えば、シクロヘキサンジカルボン酸等を用いることができる。脂肪族ジカルボン酸成分としては、例えば、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸等を用いることができる。これらの酸成分は一種のみを用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
また、ジオール成分としては、例えば、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリアルキレングリコール、2,2’−ビス(4’−β−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン等を用いることができ、なかでも好ましくは、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコール等を用いることができ、特に好ましくは、エチレングリコール等を用いることができる。これらのジオール成分は一種のみを用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
また、ポリエステルには、ラウリルアルコール、イソシアン酸フェニル等の単官能化合物が共重合されていてもよいし、トリメリット酸、ピロメリット酸、グリセロール、ペンタエリスリトール、2,4−ジオキシ安息香酸、等の3官能化合物などが、過度に分枝や架橋をせずポリマーが実質的に線状である範囲内で共重合されていてもよい。さらに酸成分、ジオール成分以外に、p−ヒドロキシ安息香酸、m−ヒドロキシ安息香酸、2,6−ヒドロキシナフトエ酸などの芳香族ヒドロキシカルボン酸およびp−アミノフェノール、p−アミノ安息香酸などを本発明の効果が損なわれない程度の少量であればさらに共重合せしめることができる。
本発明の支持体に用いるポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートが好ましい。またこれらの共重合体、および変性体でもよい。
本発明の支持体に用いるポリエステルとしては、強度、耐熱性、生産性の観点からポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートが好ましい。また、これらの共重合体、および変性体でもよく、他の熱可塑性樹脂とのポリマーアロイでもよい。特に、ポリエステル樹脂とポリイミド系樹脂のポリマーアロイは混合割合によって耐熱性(ガラス転移温度)を制御できるため、使用条件に合わせたポリマー設計ができるため好ましい。
本発明の支持体に用いるポリエステルフィルムは2層以上の積層構成であることが好ましい。特に、磁気記録媒体用途に用いるため、表裏の表面には、優れた電磁変換特性を得るための平滑な表面と、製膜・加工工程での搬送や、磁気テープの走行性や走行耐久性を付与するために比較的粗い表面粗さの表面形態が求められる。この意味でも、フィルムは2層以上の積層構成であることが好ましい。
本発明の支持体に用いるポリエステルフィルムはフィルム表面に易滑性や耐摩耗性、耐スクラッチ性などを付与するために特に限定されないが、無機粒子、有機粒子、いずれも用いることができる。もちろん、1種類の粒子でも、2種類以上の粒子を併用してもかまわない。具体的な種類としては、例えば、クレー、マイカ、酸化チタン、炭酸カルシウム、湿式シリカ、乾式シリカ、コロイド状シリカ、リン酸カルシウム、硫酸バリウム、アルミナ珪酸塩、カオリン、タルク、モンモリロナイト、アルミナ、ジルコニア等の無機粒子、アクリル酸類、スチレン系樹脂、シリコーン、イミド等を構成成分とする有機粒子などが添加されてもよい。
含有される上記不活性粒子の平均粒径としては、本発明の表面パラメータを阻害しない範囲内であれば特に限定されないが、磁気記録媒体として優れた電磁変換特性を得るためには、0.01〜0.8μm、特に、0.02〜0.3μmの粒径を有することが好ましい。なお、粒径の異なる2種類以上の不活性粒子を含有する場合は、それぞれの平均粒径(測定方法は後述)が全て上記範囲内であることが好ましい。
不活性粒子の含有量は、フィルム全体として5重量%以下、好ましくは0.05〜3重量%の範囲内であるのが本発明の表面特性を得る上で好ましい。
本発明の磁気記録媒体用支持体は、本発明を阻害しない範囲内で各種添加剤、例えば、相溶化剤、可塑剤、耐候剤、酸化防止剤、熱安定剤、滑剤、帯電防止剤、増白剤、着色剤、導電剤、結晶核剤、紫外線吸収剤、難燃剤、難燃助剤、顔料、染料、などが添加されてもよい。
本発明の支持体は必要に応じて、熱処理、マイクロ波加熱、成形、表面処理、ラミネート、コーティング、印刷、エンボス加工、エッチング、などの任意の加工を行ってもよい。
本発明の支持体の厚みは、用途に応じて適宜決定できるが、通常磁気記録媒体用途では3〜15μmが好ましい。中でも、高密度磁気記録媒体用途の場合、3〜9μmが好ましく、より好ましくは4〜7μmである。厚みが3μmより小さい場合は、テープに腰がなくなるため、電磁変換特性が低下することがあり、15μmより大きい場合は、テープ1巻あたりのテープ長さが短くなるため、磁気テープの小型化、高容量化が困難になる。
本発明の支持体に用いるポリエステルフィルムを製造するための方法においては、ポリエステルのペレットを押出機を用いた溶融押出により口金から吐出し、吐出されたポリマーを冷却固化させてシート状に成形することが好ましい。その際、繊維焼結ステンレス金属フィルターによりポリマーを濾過することが、ポリマー中の未溶融物を除去するために好ましい。
本発明の支持体に用いるポリエステルフィルムの延伸形式としては、長手方向に延伸した後に幅方向に延伸を行うなどの逐次二軸延伸法や、同時二軸テンター等を用いて長手方向と幅方向を同時に延伸する同時二軸延伸法、さらに、逐次二軸延伸法と同時二軸延伸法を組み合わせた方法などが包含される。
以下、本発明の支持体の製造方法について、ポリエチレンテレフタレート(PET)をポリエステルとして用いた例を代表例として説明する。もちろん、本願はPETに限定されるものではなく、他のポリマー、例えばガラス転移温度や融点の高いポリマーなどを用いる場合は、以下に示す温度よりも高温で押出や延伸を行うなど、適宜調整を行い支持体を製造することが可能である。
まず、ポリエチレンテレフタレートを例にしてポリエステルの製造方法を説明する。本発明で使用するポリエチレンテレフタレートは、次のいずれかのプロセスで製造される。すなわち、(1)テレフタル酸とエチレングリコールを原料とし、直接エステル化反応によって低分子量のポリエチレンテレフタレートまたはオリゴマーを得、さらにその後の三酸化アンチモンやチタン化合物を触媒に用いた重縮合反応によってポリマーを得るプロセス、(2)ジメチルテレフタレートとエチレングリコールを原料とし、エステル交換反応によって低分子量体を得、さらにその後の三酸化アンチモンやチタン化合物を触媒に用いた重縮合反応によってポリマーを得るプロセスである。ここで、エステル化は無触媒でも反応は進行するが、エステル交換反応においては、通常、マンガン、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、リチウム、チタン等の化合物を触媒に用いて進行させ、またエステル交換反応が実質的に完結した後に、該反応に用いた触媒を不活性化する目的で、リン化合物を添加する場合もある。
また、フィルムを構成するポリエステルに不活性粒子を含有させる場合には、エチレングリコールに不活性粒子を所定割合にてスラリーの形で分散させ、このエチレングリコールを重合時に添加する方法が好ましい。不活性粒子を添加する際には、例えば、不活性粒子の合成時に得られる水ゾルやアルコールゾル状態の粒子を一旦乾燥させることなく添加すると粒子の分散性がよい。また、不活性粒子の水スラリーを直接PETペレットと混合し、ベント式二軸混練押出機を用いて、PETに練り込む方法も有効である。不活性粒子の含有量を調節する方法としては、上記方法で高濃度の不活性粒子のマスターペレットを作っておき、それを製膜時に不活性粒子を実質的に含有しないPETで希釈して不活性粒子の含有量を調節する方法が有効である。
得られたPETのペレットを、180℃で3時間以上減圧乾燥した後、固有粘度が低下しないように窒素気流下あるいは減圧下で、280〜320℃に加熱された押出機に供給し、スリット状のダイから押出し、キャスティングロール上で冷却して未延伸フィルムを得る。この際、異物や変質ポリマーを除去するために各種のフィルター、例えば、焼結金属、多孔性セラミック、サンド、金網などの素材からなるフィルターを用いることが好ましい。また、必要に応じて、定量供給性を向上させるためにギアポンプを設けてもよい。フィルムを積層する場合には、2台以上の押出機およびマニホールドまたは合流ブロックを用いて、複数の異なるポリマーを溶融積層する。
次に、この未延伸フィルムを二軸延伸し、二軸配向させる。以下に逐次二軸延伸を実施する場合の延伸条件を例示する。ここでは、最初に長手方向、次に幅方向の延伸を行う逐次二軸延伸法を用いる。 本発明の支持体に用いるポリエステルフィルムを製造する際の延伸条件は、まず、(ポリエステルのガラス転移温度Tg℃〜(Tg+50)℃の温度範囲で1.5〜2.5倍に長手方向に延伸する(MD1延伸)。長手方向の延伸速度は5,000〜10,000%/分の範囲で行うのが好ましい。次いで、そのフィルムの両端部をクリップで把持してテンターに導き、フィルムを予熱した後、(Tg+25)℃〜(Tg+50)℃の温度範囲で1.5〜2.5倍に幅方向に延伸し(TD1延伸)、引き続き、(Tg−15)℃〜(Tg+20)℃の温度範囲で3〜8倍に幅方向に延伸するのが好ましい(TD2延伸)。幅方向の延伸速度は1,000〜10,000%/分が好ましく例示される。次に、このフィルムを(Tg−15)℃〜(Tg+10)℃の温度と{(Tg+10)℃〜(ポリエステルの融解温度Tm−45)℃}の温度範囲に加熱された金属ロール群間で長手方向に3〜5倍に2段階以上の温度で再延伸する(MD2延伸)。長手方向の延伸速度は10,000〜200,000%/分の範囲で行うのが好ましい。この時、(Tg−15)℃〜(Tg+10)℃の温度での1段目の長手方向の再延伸倍率は、MD2延伸工程のトータル延伸倍率の70〜95%程度延伸するのが好ましい。また、必要に応じて、(Tg+10)℃〜(Tm−45)℃の温度範囲で、1.2〜3倍の倍率で、幅方向に延伸する(TD3延伸)とポリエステルフィルム表面の平面性が向上すると同時にポリエステルフィルムが幅方向に強力化され、金属類または金属系無機化合物を含む層を蒸着する工程において蒸着表面欠点が少なくなるため好ましい。
このようにして得られた二軸配向ポリエステルフィルムを長手方向に2MPa以下の張力を掛けながら熱処理する。熱処理温度は、180℃〜230℃、好ましくは190℃〜220℃であり、熱処理時間は0.5〜60秒の範囲で行うのが好ましい。このように熱処理を施したフィルムを室温まで徐冷しワインダーにて巻き取る。冷却方法は、2段階以上に分けて室温まで徐冷するのが本発明の表面特性を得る上で好ましい。この時、長手方向、幅方向に0.5〜8%程度のリラックス処理を行うことは、蒸着工程での蒸着表面欠点を低減できるため、表面粗さパラメータを本願の範囲内にするのに有効である。熱処理後、冷却ゾーンにフィルムを導き、2段階以上に分けて冷却すると金属類または金属系無機化合物を含む層を蒸着する工程において蒸着表面欠点が少なくなるため好ましい。冷却温度は第1段目が(熱処理温−20℃)〜60℃、好ましくは150℃〜80℃で1秒から30秒間冷却し、第2段目が(1段目の冷却温度−30℃)〜40℃、好ましくは120℃〜60℃の範囲内で2秒から30秒間実施することが好ましく例示されるがこれに限定されるものではない。
また、本発明の支持体に用いるポリエステルフィルムを同時二軸延伸する場合は、未延伸フィルムを、同時二軸延伸テンターに導いて、長手および幅方向に同時に二軸延伸を行う。延伸速度は長手、幅方向ともに100〜20,000%/分の範囲で行うのが好ましい。より好ましくは、500〜10,000%/分、さらに好ましくは2,000〜7,000%/分である。延伸速度が100%/分よりも小さい場合には、フィルムが熱にさらされる時間が長くなるため、特にエッジ部分が結晶化して延伸破れの原因となり製膜性が低下したり、十分に分子配向が進まず、製造したフィルムのヤング率が低下することがある。また、20,000%/分よりも大きい場合には、延伸時点で分子間の絡み合いが生成しやすくなり、延伸性が低下して、高倍率の延伸が困難となることがある。
延伸温度は、用いるポリマーの種類によって異なるが、未延伸フィルムのガラス転移温度Tgを目安として決めることができる。長手方向および幅方向それぞれの1段目の延伸工程における温度は、Tg〜Tg+30℃の範囲であることが好ましく、より好ましくはTg+5℃〜Tg+20℃である。上記範囲より延伸温度が低い場合には、フィルム破れが多発して生産性が低下したり、再延伸性が低下して、高倍率に安定して延伸することが困難となることがある。また、上記範囲よりも延伸温度が高い場合には、特にエッジ部分が結晶化して延伸破れの原因となり製膜性が低下したり、十分に分子配向が進まず、製造したフィルムのヤング率が低下することがある。
そして、ポリエステルフィルムの製造工程が多段延伸、すなわち再延伸工程を含む場合、1段目の延伸温度は上述のとおりであるが、2段目の延伸温度はTg+40℃〜Tg+120℃が好ましく、さらに好ましくはTg+60℃〜Tg+100℃である。延伸温度が上記範囲を外れる場合には、熱量不足や結晶化の進みすぎによって、フィルム破れが多発して生産性が低下したり、十分に配向を高めることができず、強度が低下する場合がある。
一方、延伸倍率は、用いるポリマーの種類や延伸温度によって異なり、また多段延伸の場合も異なるが、総面積延伸倍率(総縦延伸倍率×総横延伸倍率)が、20〜40倍の範囲になるようにすることが好ましい。より好ましくは25〜35倍である。長手方向、幅方向の一方向の総延伸倍率としては、2.5〜8倍が好ましく、より好ましくは、3〜7倍である。延伸倍率が上記範囲より小さい場合には、延伸ムラなどが発生しフィルムの加工適性が低下することがある。また、延伸倍率が上記範囲より大きい場合には、延伸破れが多発して、生産性が低下する場合がある。
各方向に関して延伸を多段で行う場合、1段目の長手、幅方向それぞれにおける延伸倍率は、2.5〜5倍が好ましく、より好ましくは3〜4倍である。また、1段目における好ましい面積延伸倍率は8〜16倍であり、より好ましくは、9〜14倍である。これらの延伸倍率の値は、特に同時二軸延伸法を採用する場合に好適な値であるが、逐次二軸延伸法でも適用できる。
また、再延伸を行う場合の一方向における延伸倍率は、1.05〜2.5倍が好ましく、より好ましくは1.2〜1.8倍である。再延伸の面積延伸倍率としては、1.4〜4倍が好ましく、より好ましくは1.9〜3倍である。
続いて、この延伸フィルムを緊張下または幅方向に弛緩しながら熱処理する。熱処理条件のうち、熱処理温度は、150℃〜230℃が好ましく、熱処理時間は0.5〜10秒の範囲で行うのが好ましい。また、熱処理工程を2段階以上の多段階で行うことも好ましく、特に、1段目の熱処理温度を好ましくは180〜230℃、さらに好ましくは190〜220℃に設定して、2段目の熱処理温度を1段目より低温にして、好ましくは150〜200℃、さらに好ましくは150〜180℃に設定する。さらに、2段目の熱処理工程のみを幅方向に1〜5%の弛緩率で弛緩処理するとさらに好ましい。上述の多段階の熱処理工程によると、ヤング率や温度・湿度変化に対する寸法安定性を高めつつ、分子鎖緩和が効果的に進行するので、本発明の効果である荷重が負荷された状態で保存したときの寸法変化を表す保存安定性を高めやすくなる。
その後、フィルムエッジを除去し、ロールに巻き取る。そして、フィルムをコアに巻いた状態(ロール状フィルム)で、熱風オーブンなどで加熱処理することが好ましい。このロール状フィルムの加熱処理は2段階以上の多段階で行うことが好ましい。加熱処理の雰囲気温度は、二軸延伸フィルムのガラス転移温度(Tg)を目安にして決定することができ、(Tg−80)〜(Tg−30)℃の範囲、より好ましくは(Tg−75)〜(Tg−35)℃の範囲、さらに好ましくは(Tg−70)〜(Tg−40)℃の範囲である。好ましい処理時間は、10〜360時間の範囲、より好ましくは24〜240時間の範囲、さらに好ましくは72〜168時間である。多段階で行うロール状フィルムの加熱処理の合計時間が上記範囲内となるようにすることが好ましい。
次に、上記のようにして得られたPETフィルムの両面に金属系酸化物を含む層(M層)を設ける方法を説明する。
PETフィルム表面にM層を形成するには、たとえば図2に示すような真空蒸着装置を用いる。この真空蒸着装置11においては、真空チャンバ12の内部をポリエステルフィルムが巻出しロール部13から冷却ドラム16を経て巻取りロール部18へと走行する。そのときに、るつぼ23内の金属材料19を、電子銃20から照射した電子ビーム21で加熱蒸発させるとともに、酸素供給ノズル24から酸素ガスを導入し、さらに水蒸気供給ノズル25から水蒸気ガスを導入し、蒸発した金属を効率よく酸化反応させながら冷却ドラム16上のポリエステルフィルムに蒸着する。本発明は両面にM層が必要なため、片方の表面(1面目)に金属系酸化物を蒸着した後巻取りロール部18から片面蒸着ポリエステルフィルムを取り外し、それを巻出しロール部13にセットし同じように反対側の表面(2面目)に金属系酸化物を蒸着する。なお、この真空蒸着装置11は、微細突起の高さや個数を容易に制御できるように、酸素供給ノズル24を蒸着源であるるつぼ23の前後、すなわち巻出側と巻取側にそれぞれ配置し、さらに、酸素供給ノズルは、高さを適宜調節できる仕組みとなっている。また、酸素供給ノズルは、金属蒸気と酸素ガスとが同じ方向に流れるように吹き出し口が設定されている。この時、図3に示すように、吹き出し口から噴射される酸素ガスの直進方向と冷却キャンの下部頂点を接点とする接線との交点の角度が45°以上90°未満となるようにノズルの角度を調節すると、酸素ガスによる金属蒸気の飛散に乱れを生じることなく、表面に微細突起を効率よく形成せしめたM層を形成できる。酸素ガス供給ノズルの高さは、フィルムとの距離が近くなるほど、急激な酸化反応熱の影響でフィルムが熱ダメージを受ける場合があるため、酸素吹き出し口と冷却キャンの下部頂点とを結ぶ直線距離は、冷却キャンとその直下に配置しているルツボとの距離の1/5以下とならない位置にノズルの高さを調節する。
水蒸気供給ノズルは、特定の高さの微細な突起を特定個数形成させるために冷却キャン表面に水蒸気ガスを吹き付けポリエステルフィルムと冷却キャンの密着性を高度に高めることに寄与する。冷却キャンとフィルムの密着性を高めることにより、ポリエステルフィルムの熱ダメージの低減と支持体表面の温度斑の抑制が可能となり微細突起を多数形成させる上で有効となるほか、蒸着時の熱負けによる局所的な表面のうねりが抑制されるため好ましい。蒸着後、直ちに水蒸気ガスを蒸着面に吹き付け金属層を安定化させ真空蒸着装置内を常圧に戻して巻き取ることは、本発明の突起比率や表面粗さおよび透過率の斑を制御する上で好ましい。水蒸気ガス導入量は冷却キャン側が0.1〜2L/分、蒸着面側が0.3〜5L/分に調節すると効率よく所望の表面形態を得られるほか、結晶化度を所望の範囲内に制御することが容易になり、また、幅方向の寸法安定性が良好となるため好ましい。
ここで、真空チャンバ12の内部は1.0×10−8〜1.0×10Paに減圧することが好ましい。さらに緻密で劣化部分の少ないM層を形成させるためには、1.0×10−6〜1.0×10−1Paに減圧することが好ましい。
冷却ドラム16は、その表面温度を−40〜−15℃の範囲内にすることが好ましい。より好ましくは−30〜−20℃である。また、2面目のMa層の蒸着時においては、冷却ドラムの表面温度は−40〜−30℃とすることが熱ダメージ低減や寸法安定性の点から好ましい。
電子ビーム21は、その出力が2.0〜8.0kWの範囲内のもので行うのが好ましい。より好ましくは3.0〜7.0kW、さらに好ましくは4.0〜6.0kWの範囲内である。なお、直接ルツボを加熱することで金属材料19を加熱蒸発させてもよい。
酸素ガスは、ガス流量制御装置25を用いて0.5〜10L/minの流量で真空チャンバ12内部に導入するとよい。Ma層形成時では0.5〜4.5L/min、Mb層形成時では4.5〜10L/minであることが好ましい。また、巻出側の酸素導入量を巻取側の酸素導入量よりも大きくすると、フィルムとM層の界面近傍の酸素濃度が、M層の極表面よりも比較的濃くなり、効率よく酸化が促進され、所望の微細突起を得ることができる。
真空チャンバ12の内部におけるポリエステルフィルムの搬送速度は20〜200m/minが好ましい。より好ましくは30〜100m/min、さらに好ましくは40〜80m/minである。搬送速度が20m/minより遅い場合、上記のようなM層厚みに制御するためには金属の蒸発量をかなり小さくする必要がある。そのため、酸素ガス導入量も減らす必要がでてくるために、酸化度の制御が非常に難しくなる。搬送速度が200m/minより速くなると、冷却ドラムとの接触時間が短くなるため熱による破れやシワが発生し、生産性が低下する傾向がある。また、金属蒸気と酸素ガスとが不充分な反応状態で成膜されやすく、酸化度の制御が難しくなる場合がある。
真空チャンバ12の内部におけるポリエステルフィルムの搬送張力は50〜150N/mが好ましい。より好ましくは70〜120N/m、さらに好ましくは80〜100N/mである。ただし、2面目の蒸着時には搬送張力を1面目より弱めることが好ましい。2面目の搬送張力は1面目の搬送張力より5〜30N/m低いことが好ましく、より好ましくは7〜25N/m低く、さらに好ましくは10〜20N/m低いことである。これは、1面目の蒸着時にポリエステルフィルムが熱負荷を受け収縮しようとする力を失うため、2面目の蒸着時に1面目と同様の搬送張力で走行させると、熱による破れやシワが発生し、生産性が損なわれる傾向があるからである。さらに、ポリエステルフィルムの表面粗さが面によって異なる場合は、先に粗い方の面を蒸着することが好ましい。これは2面目蒸着時に冷却ドラムへの密着性を高めるためである。蒸着は片面ずつ行ってもよいし、両面を1工程で行ってもよい。
蒸着後、M層を安定化させ、緻密性を高めるためには、真空蒸着装置内を常圧に戻して、巻取ったフィルムを巻き返すことが好ましい。特に、加湿巻き返しを行うことが水蒸気とM層が接触する機会が長くなるため好ましい。30〜50℃の温度で1〜3日間エージングすることが好ましく、さらに好ましくは湿度60%以上の結露しない程度の環境下でエージングすることが好ましい。
磁気記録媒体の製法としては、例えば、次に説明する方法を用いることができる。まず、0.1〜3m幅にスリットした磁気記録媒体用支持体を、張力10〜30kg/mで搬送させ、支持体の磁性層面側に磁性塗料および非磁性塗料をエクストルージョンコーターにより重層塗布(上層は磁性塗料で、塗布厚0.1μm、非磁性下層の厚みは適宜変化させる)し、磁気配向させ、乾燥温度100℃で乾燥させる。次いで非磁性層面側にバックコートを塗布し、小型テストカレンダー装置(スチール/ナイロンロール、5段)で、温度70〜100℃、線圧100〜300kg/cmでカレンダー処理した後、巻き取る。上記テープ原反を1/2インチ幅にスリットし、パンケーキを作製し、次いで、このパンケーキから特定の長さ分をカセットに組み込んで、カセットテープ型磁気記録媒体とする。ここで、磁性塗料などの組成は例えば以下のような組成が挙げられるが、これに限定されるものではない。
(磁性塗料の組成)
・強磁性金属粉末 : 100重量部
・変成塩化ビニル共重合体 : 10重量部
・変成ポリウレタン : 10重量部
・ポリイソシアネート : 5重量部
・ステアリン酸 : 1.5重量部
・オレイン酸 : 1重量部
・カーボンブラック : 1重量部
・αアルミナ : 10重量部
・メチルエチルケトン : 75重量部
・シクロヘキサノン : 75重量部
・トルエン : 75重量部
(非磁性塗料の組成)
・変成ポリウレタン : 10重量部
・変成塩化ビニル共重合体 : 10重量部
・メチルエチルケトン : 75重量部
・シクロヘキサノン : 75重量部
・トルエン : 75重量部
・ポリイソシアネート : 5重量部
・ステアリン酸 : 1.5重量部
・オレイン酸 : 1重量部
(バックコートの組成)
・カーボンブラック(平均粒径20nm) : 95重量部
・カーボンブラック(平均粒径280nm): 10重量部
・αアルミナ : 0.1重量部
・変成ポリウレタン : 20重量部
・変成塩化ビニル共重合体 : 30重量部
・シクロヘキサノン : 200重量部
・メチルエチルケトン : 300重量部
・トルエン : 100重量部
また、磁気記録媒体の具体的な用途としては、例えば、データ記録用途、具体的にはコンピュータデータのバックアップ用途や映像などのデジタル画像の記録用途などに好適に用いることができる。
(物性の測定方法ならびに効果の評価方法)
本発明における特性値の測定方法並びに効果の評価方法は次の通りである。
(1)金属層(M層)の厚み
下記条件にて断面観察を場所を変えて10視野行い、得られた厚み[nm]の平均値を算出し、M層の厚み[nm]とする。
測定装置:透過型電子顕微鏡(TEM) 日立製H−7100FA型
測定条件:加速電圧 100kV
測定倍率:20万倍
試料調整:超薄膜切片法
観察面 :TD−ZD断面(TD:幅方向、ZD:厚み方向)
測定回数:1視野につき3点、10視野を測定する。
(2)金属層(M層)の組成分析
下記条件にて、深さ方向の組成分析を行う。炭素濃度が50at.%を超える深さをM層とポリエステルフィルムとの界面とし、表層から界面までを等分に5分割し、それぞれの区間の中央点を測定点として組成分析を行う。得られた各測定点の組成から平均値を算出し、本発明における平均組成とする。
測定装置:X線光電子分光機 Quantera−SXM 米国PHI社製
励起X線:monochromatic AlKα1,2線(1486.6eV)
X線径 :100[μm]
光電子脱出角度:45°
ラスター領域:2×2[mm]
Arイオンエッチング: 2.0[kV] 1.5×10−7[Torr]
スパッタ速度:3.68nm/min(SiO換算値)
データ処理:9−point smoothing
ピークの結合エネルギー値から元素情報が得られ、各ピークの面積比を用いて組成を定量化(at.%)する。
(3)表面粗さRa、最大突起高さRt、平均突起高さ、突起個数X,Y
原子間力顕微鏡を用いて、場所を変えて20視野測定を行った。得られた画像について、三次元面粗さをOff-Line機能のRoughness Analysisにて算出し、中心線平均粗さRa、最大突起高さRt、突起個数(ピーク数)、平均突起高さを測定した。条件は下記のとおりであり、突起高さのしきい値を、1nm,5nm,10nmに設定して各しきい値以上の高さを有する突起の個数をOff-Line機能のGrain Size Analysisにて求め、高さ1nm以上10nm以下の突起個数および高さ5nm以上10nm以下の突起個数を計測した。
測定装置 :NanoScope III AFM(Digital Instruments社製)
カンチレバー:シリコン単結晶
走査モード :タッピングモード
走査範囲 :1μm□
走査速度 :0.5Hz
Flatten Auto :オーダー3
Peak Thresh ref(しきい値の基準): ZERO
Height Threshold(高さのしきい値):1nm、5nm、10nm
(4)全光線透過率およびその斑
JIS−K7105(1981年)に準拠し、下記測定装置を用いて測定する。支持体中央部について長手方向に5箇所透過率を測定し測定結果の平均値を本発明における全光線透過率とする。
測定装置:直読ヘーズメーターHGM−2DP(C光源用) スガ試験機社製
光源 :ハロゲンランプ12V、50W
受光特性:395〜745nm
測定環境:温度23℃湿度65%RH
測定回数:5回測定する。
全光線透過率の斑については、支持体の中央部および中央部から幅方向に左右それぞれ等間隔に2箇所の計5箇所について上記透過率を測定し、中央部の透過率を基準として残りの4箇所との差を個々に求めて最も大きい値を全光線透過率の斑とした。この測定を長手方向に場所を変えて5回行い、最も大きい値を本願における全光線透過率の斑とした。
(5)温度膨張係数
測定装置:真空理工(株)製TMA TM−3000、加熱制御部TA−1500
試料サイズ:幅4mm×試長間15mm
荷重:0.5g
試料前処理温度:23℃→50℃→23℃
昇温速度 :1℃/分
測定温度 :23℃→50℃
前処理後、再度23℃から50℃まで、上記昇温レートにて昇温し、その時の30℃から40℃でのフィルムの変化量ΔL[μm]を測定し、次式から温度膨張係数[ppm/℃]を算出した。
温度膨張係数[ppm/%RH]=10×{(ΔL/(15×10))/(40−30)}
(6)湿度膨張係数
下記条件にて測定を行い、3回の測定結果の平均値を本発明における湿度膨張係数とする。
測定装置:大倉インダストリー製テープ伸び試験機
試料サイズ:幅10mm×試長間200mm
荷重:10g
測定回数:3回
測定温度:30℃
測定湿度:40%RHで6時間保持し寸法を測定し、昇湿速度1[%RH/分]で80%RHまで昇湿し、80%RHで6時間保持したあと寸法変化量ΔL[mm]を測定した。次式から湿度膨張係数[ppm/%RH]を算出した。
湿度膨張係数[ppm/%RH]=10×{(ΔL/200)/(80−40)}
なお、Ma層、Mb層を除去する方法は、1Nの塩酸に30分浸積させて両面の補強層を除去し、その後、上記の方法で湿度膨張係数を行なう。
(7)ヤング率
ASTM−D882(1997年)に規定された方法に従って、インストロンタイプの引張試験機を用いて測定した。測定は下記の条件とした。
測定装置:オリエンテック(株)製フィルム強伸度自動測定装置
“テンシロンAMF/RTA−100”
試料サイズ:幅10mm×試長間100mm、
引張り速度:200mm/分
測定環境:温度23℃、湿度65%RH
(8)粒子の平均粒径(分散径)
フィルム断面を透過型電子顕微鏡(TEM)を用い、1万倍で観察する。この時、写真上で1cm以下の粒子が確認できた場合はTEM観察倍率をさらに高倍率、5〜10万倍の倍率で観察する。TEMの切片厚さは約100nmとし、場所を変えて100視野以上測定する。測定した等価円相当径の平均を不活性粒子の平均粒径とした。
フィルム中に粒径の異なる2種類以上の粒子が存在する場合、上記の等価円相当径の個数分布が2個以上のピークを有する分布となる。この場合は、それぞれのピーク値をそれぞれの粒子の平均粒径とする。
(9)粒子の含有量
ポリマー1gを1N−KOHメタノール溶液200mlに投入して加熱還流し、ポリマーを溶解した。溶解が終了した該溶液に200mlの水を加え、ついで該液体を遠心分離器にかけて粒子を沈降させ、上澄み液を取り除いた。粒子にはさらに水を加えて洗浄、遠心分離を2回繰り返した。このようにして得られた粒子を乾燥させ、その重量を量ることで粒子の含有量を算出した。

装置 :ブルカー社製BRUKER DRX-500
溶媒 :HFIP/重クロロホルム
観測周波数 :499.8MHz
基準 :TMS(テトラメチルシラン)(0ppm)
測定温度 :30℃
観測幅 :10KHz
データ点 :64K
acquisition time :4.952秒
pulse delay time:3.048秒
積算回数 :256回
(10)固有粘度
オルトクロロフェノール中、25℃で測定した溶液粘度から下式から計算する。
ηsp/C=[η]+K[η]・C
ここで、ηsp=(溶液粘度/溶媒粘度)−1、Cは溶媒100mlあたりの溶解ポリマー重量(g/100ml、通常1.2)、Kはハギンス定数(0.343とする)である。また、溶液粘度、溶媒粘度はオストワルド粘度計を用いて測定した。
(11)ガラス転移温度(Tg)
下記装置および条件で比熱測定を行い、JIS K7121(1987年)に従って決定した。
装置 :TA Instrument社製温度変調DSC
測定条件:
加熱温度 :270〜570K(RCS冷却法)
温度校正 :高純度インジウムおよびスズの融点
温度変調振幅:±1K
温度変調周期:60秒
昇温ステップ:5K
試料重量 :5mg
試料容器 :アルミニウム製開放型容器(22mg)
参照容器 :アルミニウム製開放型容器(18mg)
なお、ガラス転移温度は下記式により算出した。
ガラス転移温度=(補外ガラス転移開始温度+補外ガラス転移終了温度)/2
(12)ポリエステルの融解温度(Tm)、融解熱(ΔHm)、結晶化度
示差走査熱量計としてセイコーインスツルメンツ社製DSC(RDC220)、データ解析装置として同社製ディスクステーション(SSC/5200)を用いて、サンプル約5mgをアルミニウム製受皿上300℃で5分間溶融保持し、急冷固化した後、室温から昇温速度20℃/分で昇温する。そのとき、観測される結晶融解ピーク面積から、ポリエステル100%結晶化度の理論値を除算して、結晶化度(%)を求めた。ポリエステル100%結晶化度の結晶融解熱量は、ポリエチレンテレフタレートの場合、140.1(J/g)であり、ポリエチレン−2,6−ナフタレートの場合、170.0(J/g)である。
但し、ポリエステルフィルムが他の熱可塑性樹脂とのポリマーアロイである場合は、上記ポリエステル100%結晶化度の結晶融解熱量にポリエステル成分の割合を乗算した値を文献値とする。
結晶化度は下記式により求めた。
結晶化度(%)=
実測の融解熱量(J/g)/完全結晶時の結晶融解熱量(文献値・J/g)×100
(12)磁性層の接着性
磁性層表面にポリエステルテープ(日東電工(株)製NO.31B)を圧着し、ASTM−D882(1997年)に規定された方法に従って、インストロンタイプの引張試験機を用いて測定した。測定は下記の条件とした。
測定装置:オリエンテック(株)製フィルム強伸度自動測定装置
“テンシロンAMF/RTA−100”
試料サイズ:幅10mm×試長間100mm、
引張り速度:200mm/分、500mm/分、1,000mm/分
測定環境:温度23℃、湿度65%RH
なお、密着性の判定は、引張り速度1,000mm/分で測定しても、ポリエステルテープ表面に磁性層が剥離しないものを密着性優、1,000mm/分では剥離するが、500mm/分では剥離しないものを良、500mm/分で磁性層が剥離するが、200mm/分では剥離しないものを可、200mm/分で磁性層が剥離するものを不可とした。
(13)幅寸法測定
1m幅にスリットした支持体を、張力20kg/mで搬送させ、支持体の一方の表面(A)に下記組成の磁性塗料および非磁性塗料をエクストルージョンコーターにより重層塗布し(上層が磁性塗料で、塗布厚0.2μm、下層が非磁性塗料で塗布厚0.9μm)、磁気配向させ、乾燥温度100℃で乾燥させる。次いで反対側の表面(B)に下記組成のバックコートを塗布した後、小型テストカレンダー装置(スチール/ナイロンロール、5段)で、温度85℃、線圧200kg/cmでカレンダー処理した後、巻き取る。上記テープ原反を1/2インチ(1.27cm)幅にスリットし、パンケーキを作成する。次いで、このパンケーキから長さ200m分をカセットに組み込んで、カセットテープとする。
(磁性塗料の組成)
・強磁性金属粉末 : 100重量部
〔Fe:Co:Ni:Al:Y:Ca=70:24:1:2:2:1(重量比)〕
〔長軸長:0.09μm、軸比:6、保磁力:153kA/m(1,922Oe)、飽和磁化:146Am /kg(146emu/g)、BET比表面積:53m /g、X線粒径:15nm〕
・変成塩化ビニル共重合体(結合剤) : 10重量部
(平均重合度:280、エポキシ基含有量:3.1重量%、スルホン酸基含有量:8×10−5当量/g)
・変成ポリウレタン(結合剤) : 10重量部
(数平均分子量:25,000,スルホン酸基含有量:1.2×10−4当量/g、ガラス転移点:45℃)
・ポリイソシアネート(硬化剤) : 5重量部
(日本ポリウレタン工業(株)製コロネートL(商品名))
・2−エチルヘキシルオレート(潤滑剤) : 1.5重量部
・パルミチン酸(潤滑剤) : 1重量部
・カーボンブラック(帯電防止剤) : 1重量部
(平均一次粒子径:0.018μm)
・アルミナ(研磨剤) : 10重量部
(αアルミナ、平均粒子径:0.18μm)
・メチルエチルケトン : 75重量部
・シクロヘキサノン : 75重量部
・トルエン : 75重量部
(非磁性塗料の組成)
・変成ポリウレタン : 10重量部
(数平均分子量:25,000,スルホン酸基含有量:1.2×10−4当量/g、ガラス転移点:45℃)
・変成塩化ビニル共重合体 : 10重量部
(平均重合度:280、エポキシ基含有量:3.1重量%、スルホン酸基含有量:8×10−5当量/g)
・メチルエチルケトン : 75重量部
・シクロヘキサノン : 75重量部
・トルエン : 75重量部
・ポリイソシアネート : 5重量部
(日本ポリウレタン工業(株)製コロネートL(商品名))
・2−エチルヘキシルオレート(潤滑剤) : 1.5重量部
・パルミチン酸(潤滑剤) : 1重量部
(バックコートの組成)
・カーボンブラック : 95重量部
(帯電防止剤、平均一次粒子径0.018μm)
・カーボンブラック : 10重量部
(帯電防止剤、平均一次粒子径0.3μm)
・アルミナ : 0.1重量部
(αアルミナ、平均粒子径:0.18μm)
・変成ポリウレタン : 20重量部
(数平均分子量:25,000,スルホン酸基含有量:1.2×10−4当量/g、ガラス転移点:45℃)
・変成塩化ビニル共重合体 : 30重量部
(平均重合度:280、エポキシ基含有量:3.1重量%、スルホン酸基含有量:8×10−5当量/g)
・シクロヘキサノン : 200重量部
・メチルエチルケトン : 300重量部
・トルエン : 100重量部
カセットテープのカートリッジからテープを取り出し、下記恒温恒湿槽内へ図1のように作製したシート幅測定装置を入れ、幅寸法測定を行う。なお、図1に示すシート幅測定装置は、レーザーを使って幅方向の寸法を測定する装置で、磁気テープ9をフリーロール5〜8上にセットしつつ荷重検出器3に固定し、端部に荷重となる分銅4を吊す。この磁気テープ9にレーザー光10を発振すると、レーザー発振器1から幅方向に線状に発振されたレーザー光10が磁気テープ9の部分だけ遮られ、受光部2に入り、その遮られたレーザーの幅が磁気テープの幅として測定される。3回の測定結果の平均値を本発明における幅とする。
測定装置:(株)アヤハエンジニアリング社製シート幅測定装置
レーザー発振器1、受光部2:レーザー寸法測定機 キーエンス社製LS−5040
荷重検出器3:ロードセル NMB社製CBE1−10K
恒温恒湿槽:(株)カトー社製SE−25VL−A
荷重4:分銅(長手方向)
試料サイズ:幅1/2inch×長さ250mm
保持時間:5時間
測定回数:3回測定する。
(幅寸法変化率)
2つの条件でそれぞれ幅寸法(l,l)を測定し、次式にて寸法変化率を算出する。次の基準で寸法安定性を評価する。×を不合格とする。
A条件:10℃10%RH 張力1.0N
B条件:29℃80%RH 張力0.6N
幅寸法変化率[ppm]=10×((l−l)/l
優:幅寸法変化率が0[ppm]以上500[ppm]未満
良:幅寸法変化率が500[ppm]以上800[ppm]未満
不良:幅寸法変化率が800[ppm]以上
(14)エラーレート
上記(13)で作製したカセットテープを、市販のIBM社製LTOドライブ3580−L11を用いて23℃50%RHの環境で記録・再生(記録波長0.55μm)することで評価する。エラーレートはドライブから出力されるエラー情報(エラービット数)から次式にて算出する。次の基準で寸法安定性を評価する。
エラーレート=(エラービット数)/(書き込みビット数)
優:エラーレートが1.0×10−6未満
良:エラーレートが1.0×10−6以上、1.0×10−4未満
不良:エラーレートが1.0×10−4以上
次の実施例に基づき、本発明の実施形態を説明する。なお、ここでポリエチレンテレフタレートをPET、ポリ(エチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート)をPEN、ポリエーテルイミドをPEIと表記する。
(実施例1)
テレフタル酸ジメチル194重量部と不活性粒子(球状シリカ)を加えたエチレングリコール124重量部に、酢酸マグネシウム4水塩0.1重量部を加え、140〜230℃でメタノールを留出しつつエステル交換反応を行った。次いで、リン酸トリメチル0.05重量部のエチレングリコール溶液、および三酸化アンチモン0.05重量部を加えて5分間撹拌した後、低重合体を30rpmで攪拌しながら、反応系を230℃から290℃まで徐々に昇温するとともに、圧力を0.1kPaまで下げた。最終温度、最終圧力到達までの時間はともに60分とした。3時間重合反応させ所定の攪拌トルクとなった時点で反応系を窒素パージし常圧に戻して重縮合反応を停止し、冷水にストランド状に吐出、直ちにカッティングして固有粘度0.62のポリエチレンテレフタレートのペレット(A面:磁性面側)を得た。
同様にして、不活性粒子(球状架橋ポリスチレン)の濃度を変更して、固有粘度0.62のポリエチレンテレフタレートのペレット(B面:走行面側)を得た。
押出機A、B2台を用い、280℃に加熱された押出機Aには、得られたPET(固有粘度0.62、平均粒径0.06μmの球形シリカ粒子0.2重量%配合)のペレット(A面側)を180℃で3時間減圧乾燥した後に供給し、同じく280℃に加熱された押出機Bには、常法により得られたPET(固有粘度0.62、平均径0.3μmの球状架橋ポリスチレン粒子0.15重量%と平均径0.8μmの球状架橋ポリスチレン粒子0.01重量%)のペレット(B面側)を180℃で3時間減圧乾燥した後に供給した。2層積層するべくTダイ中で合流させ(積層比A/B=7/1)、表面温度25℃のキャストドラムに静電荷を印加させながら密着冷却固化し、積層未延伸フィルムを作製した。この未延伸フィルムをロール式延伸機にて長手方向に、速度5,000%/分、温度100℃で1.5倍延伸(MD1延伸)し、さらに、テンターを用いて、幅方向に速度2,000%/分、温度103℃で1.5倍延伸(TD1延伸)し、再度95℃で3.5倍延伸(TD2延伸)した。続いて、ロール式延伸機で長手方向に、温度90℃で3.2倍に再延伸(MD2延伸)した。続いて、テンターを用いて幅方向に温度170℃で1.2倍再延伸(TD3延伸)した。長手方向に1MPaの定長下で温度210℃で5秒間熱処理した後、150℃で1秒、続いて100℃で2秒幅方向に5%の弛緩処理を行いながら徐冷し、厚み約5μmの二軸配向ポリエステルフィルムを作製した。
次に、真空蒸着装置内に設置されたフィルム走行装置に、得られたポリエステルフィルムをセットし、1.50×10−3Paの減圧度にした後に、−30℃の冷却金属ドラムを介して50m/minで走行させた。このとき、図1のような配置で酸素ガス管と冷却キャンとの角度を80°とし、酸素ガス導入量3L/分、水蒸気導入量をキャン側および蒸着面側0.5L/分にそれぞれ調節し、Alを電子ビーム(出力4.5kV)で加熱蒸発させ、Alの蒸着薄膜層(厚み100nm)をフィルムのA面に形成して巻取った。次にB面を蒸着速度50m/minにしたこと以外同様に蒸着し巻取った。
蒸着後、真空蒸着装置内を常圧に戻して、巻取ったフィルムを30℃80%RHの雰囲気中で巻き返し、その後30℃80%RHの雰囲気中で12日間エージングして、記録媒体用支持体を得た。この記録媒体用支持体の縦および幅方向のヤング率は7.0GPaと9.6GPaであった。その他の特性については、表1で示したようにポリエステルフィルムの両面に金属層を持ち、その表面突起パラメータが本発明の範囲内であったため、磁性層との密着性が良好であり、磁気テープとして使用した際に優れた特性を有していた。
(実施例2)
蒸着機内のフィルム走行速度を制御しMa層、Mb層の厚みを変更し、金属層厚み比(Ma/Mb)を0.8にした以外は実施例1と同様の方法にて記録媒体用支持体を得た。得られた記録媒体用支持体は磁気テープとして使用した際に優れた特性を有していた。
(実施例3)
蒸着機内の酸素ガスおよび水蒸気ガス導入量、冷却キャン温度、蒸着速度を変更して金属層を設けたこと以外は実施例1と同様の方法にて記録媒体用支持体を得た。磁気テープとして使用した際に優れた特性を有していた。
(実施例4)
実施例1で作成したフィルムを用いて、蒸着機内の真空度、酸素ガス導入量管の角度および冷却キャン温度を変更して厚み60nmの金属層を両面に設けた。また、この時、水蒸気ガスは供給しなかった。
(実施例5〜7)
表1の通り蒸着機内の冷却キャン温度、酸素ガスおよび水蒸気ガス供給量を変更した以外は実施例1と同様の方法にて記録媒体用支持体を得た。
(実施例8)
290℃に加熱された同方向回転タイプのベント式2軸混練押出機に、常法により得られたPET(固有粘度0.85)のペレット50重量%とGE Plastics社製のポリエーテルイミド“Ultem1010”(固有粘度0.68)のペレット50重量%を供給し、ブレンドチップ(I)を作製した。
押出機A、B2台を用い、295℃に加熱された押出機Aには、常法により得られたPET(固有粘度0.62、平均径0.06μmの球状シリカ粒子0.05重量%配合)のペレット90重量%とブレンドチップ(I)10重量%(A面側)を180℃で3時間減圧乾燥した後に供給し、同じく295℃に加熱された押出機Bには、常法により得られたPET(固有粘度0.62、平均径0.3μmのアルミナ珪酸塩粒子0.5重量%)のペレット90重量%とブレンドチップ(I)10重量%(B面側)を180℃で3時間減圧乾燥した後に供給した。2層積層するべくTダイ中で合流させ(積層比A/B=5/1)、表面温度25℃のキャストドラムに静電荷を印加させながら密着冷却固化し、積層未延伸フィルムを作製した。この未延伸フィルムをロール式延伸機にて長手方向に速度20,000%/分、温度105℃で1.3倍延伸し、さらに、テンターを用いて、幅方向に速度2,000%/分、温度100℃で1.3倍延伸した。さらに、幅方向に93℃にて3.3続いて、ロール式延伸機で長手方向に、温度95℃で3.7倍に再延伸した。続いて、テンターを用いて幅方向に温度200℃で1.8倍再延伸した。長手方向に1MPaの定長下で温度205℃で5秒間熱処理した後、150℃の冷却ゾーンで幅方向に5%の弛緩処理を行い、さらに100℃のゾーンで幅方向に1%の弛緩処理を行い厚み約6μmの二軸配向ポリエステルフィルムを作製したこと以外は実施例1と同様の方法にて記録媒体用支持体を得た。この記録媒体用支持体の縦および幅方向のヤング率は7.0GPaと9.9GPaであった。その他の特性については、表1で示したようにポリエステルフィルムの両面に金属層を持ち、その表面突起パラメータが本発明の範囲内であったため、磁性層との密着性が良好であり、磁気テープとして使用した際に優れた特性を有していた。
(実施例9)
金属材料にアルミナ(Al)を用いて、冷却キャン温度を40℃に、酸素ガス導入量を0.8L/分に、また、冷却キャン側の水蒸気ガスの供給を行わないこと以外は実施例8と同様の方法にて記録媒体用支持体を得た。
(実施例10)
蒸着機内のフィルム走行速度を制御しMa、Mb層の厚みを80nmに変更した。金属材料に酸化チタン(TiO)を用いて、酸素ガス導入量を1L/分に、蒸着面側の蒸気ガスの供給を行わないこと以外は実施例8と同様の方法にて記録媒体用支持体を得た。
(実施例11)
蒸着機内のフィルム走行速度を制御しMa、Mb層の厚みを80nmに変更した。金属材料にCuを用いて、冷却キャン温度を0℃に、酸素ガス導入量を変更した以外は実施例8と同様の方法にて記録媒体用支持体を得た。
(実施例12)
蒸着機内のフィルム走行速度を制御しMa、Mb層の厚みを変更し、金属層厚み比(Ma/Mb)を2.0にした以外は実施例8と同様の方法にて記録媒体用支持体を得た。
(実施例13)
蒸着機内のフィルム走行速度を制御しMa、Mb層の厚みを変更し、金属層厚み比(Ma/Mb)を0.5にした。さらに、酸素ガス導入管角度を40°に変更した以外は実施例8と同様の方法にて記録媒体用支持体を得た。
(実施例14)
蒸着機内のフィルム走行速度を制御しMa,Mb層の厚みを変更し、金属層厚み比(Ma/Mb)を1.1に、冷却キャン温度を30℃にした以外は実施例8と同様の方法にて記録媒体用支持体を得た。
(実施例15)
蒸着機内の真空度、冷却キャン温度、酸素ガスおよび水蒸気ガス導入量を変更し、また、酸素ガス導入管と冷却キャンとの角度を45°に変更して金属層を設けること以外は実施例8と同様の方法にて記録媒体用支持体を得た。
(比較例1)
金属層を設けないこと以外は実施例1と同様の方法にて記録媒体用支持体を得た。得られた記録媒体用支持体は金属層を持たず、縦および幅方向のヤング率は5.0GPaと7.6GPaであった。
幅寸法安定性が本発明の範囲外であったため磁気テープとして使用した際に寸法変化率が大きくまたエラーレートが多い結果であった。
(比較例2)
実施例8で用いたブレンドチップ(I)のA面側含有量を70重量%に変更したこと以外は実施例8と同様の方法にてフィルムを作成した。このフィルムを用いて蒸着機内の酸素ガスおよび水蒸気ガス導入量、冷却キャン温度、蒸着速度を変更して金属層を設けたこと以外は実施例8と同様の方法にて記録媒体用支持体を得た。得られた記録媒体用支持体の表面突起特性は本発明の範囲外であったため磁気テープとして使用した際に磁性層との密着性に劣る結果であった。
(比較例3)
蒸着機内の冷却キャン温度、酸素ガス導入量を変更した。さらに水蒸気ガスの供給を行わないこと以外は実施例1と同様の方法にて記録媒体用支持体を得た。冷却キャンの温度および水蒸気ガスが供給されていなかったため得られた記録媒体用支持体の表面突起パラメータは本発明の範囲外であったため磁性層との密着性に劣る結果であった。
(比較例4)
蒸着機内のフィルム走行速度を制御しMa層、Mb層の厚みを変更し、金属層厚み比(Ma/Mb)を1.2にした。さらに、酸素ガス導入管と冷却キャンとの角度を変更した以外は実施例1と同様の方法にて記録媒体用支持体を得た。酸素ガス導入管の角度およびMa層の厚みが適切でないため、得られた記録媒体用支持体の表面突起パラメータは本発明の範囲外であり、磁性層との密着性に劣る結果であった。
(比較例5)
蒸着機内のフィルム走行速度を制御しMa層の厚みを変更し、磁性面側にのみ金属層を設けた。また、酸素ガス導入管の角度を変更した以外は比較例4と同様の方法にて記録媒体用支持体を得た。金属層が片面のみであったため、幅寸法安定性が悪い結果であった。
(比較例6)
蒸着機内の冷却キャン温度を40℃に変更し、フィルム走行速度を制御してMa層、Mb層の厚みを変更した。また、酸素ガスの供給は行わずに蒸着を開始した以外は実施例1と同様の方法にて記録媒体用支持体を得た。冷却キャンの温度が適切でないため、得られた記録媒体用支持体の表面突起パラメータは本発明の範囲外であり、磁性層との密着性に劣る結果であった。
Figure 0004557017
Figure 0004557017
Figure 0004557017
本発明の支持体を製造する際に用いられるシート幅測定装置の模式図である。 本発明の支持体を製造する際に用いられる真空蒸着装置の模式図である。 図2に示す真空蒸着装置の冷却キャン付近を示す概略断面図である。
符号の説明
1:レーザー発振器
2:受光部
3:荷重検出器
4:荷重
5:フリーロール
6:フリーロール
7:フリーロール
8:フリーロール
9:磁気テープ
10:レーザー光
11:真空蒸着装置
12:真空チャンバ
13:巻出しロール部
14:ポリエステルフィルム
15:ガイドロール
16:冷却ドラム
17:蒸着チャンバ
18:巻取りロール部
19:金属材料
20:電子銃
21:電子ビーム
22:酸素ガスボンベ
23:るつぼ
24:酸素供給ノズル
25:水蒸気供給ノズル
26:ガス流量制御装置
27:水蒸気ガスボンベ
28:マスク
29:酸素供給ノズル吹き出し口から導入された酸素ガスの直進方向
30:冷却キャンの下部頂点を接点とする接線
31:ノズルの吹き出し口と冷却キャンの下部頂点Aとを結ぶ直線距離
32:ルツボ−冷却キャン距離

Claims (9)

  1. ポリエステルフィルムの一方の表面A上に金属類または金属系無機化合物を含む層(Ma層)が設けられ、他方の表面B上に金属類または金属系無機化合物を含む層(Mb層)が設けられ、かつ、高さ1nm以上10nm以下の微細突起数をX、高さが5nm以上10nm以下の微細突起数をYとしたとき、磁性層が塗布される表面の突起比率(Y/X)が20%以下である磁気記録媒体用支持体。
  2. Ma層、Mb層の厚みをそれぞれMa、Mbとしたとき、厚みの比(Ma/Mb)の値が0.5〜2である、請求項1に記載の磁気記録媒体用支持体。
  3. Ma層、Mb層の厚みがそれぞれ20〜200nmである、請求項1または2に記載の磁気記録媒体用支持体。
  4. Ma層、Mb層がともに磁性金属を含まない、請求項1〜3のいずれかに記載の記録媒体用支持体。
  5. 磁性層が塗布される表面の金属類または金属系無機化合物を含む層の表面粗さRaが0.3nm以上5nm以下である、請求項1〜4のいずれかに記載の記録媒体用支持体。
  6. 磁性層が塗布される表面の金属類または金属系無機化合物を含む層の最大突起高さRtが5nm以上30nm以下である、請求項1〜5のいずれかに記載の記録媒体用支持体。
  7. 磁性層が塗布される表面の金属類または金属系無機化合物を含む層の表面における高さが1nm以上10nm以下の微細突起数Xが200個/μm2〜1,500個/μm2である、請求項1〜6のいずれかに記載の記録媒体用支持体。
  8. 全光線透過率の斑が0〜10%である、請求項1〜7のいずれかに記載の磁気記録媒体用支持体。
  9. 全光線透過率が50〜80%である請求項1〜8のいずれかに記載の磁気記録媒体用支持体。
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