JP2010264683A - 支持体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】二軸配向積層フィルム(F層)の少なくとも片面に金属類または金属系無機化合物からなる層(M層)が設けられた支持体であって、F層は、ポリエステル(A)からなるフィルム層(A)と熱可塑性樹脂(B)からなるフィルム層(B)とを積層して延伸したものであり、芳香族ポリエステル(A)は、主たる繰り返し単位がエチレンテレフタレートまたはエチレン−2,6−ナフタレートであること、熱可塑性樹脂(B)は、ポリエステル(A)よりも吸水率が0.03%以上低いこと、M層の厚みが、15〜90nmの範囲であること、および縦方向のヤング率(GPa)と厚み(μm)の積が30(Gpa・μm)以上であることを具備する支持体。
【選択図】なし
Description
F層は、ポリエステル(A)からなるフィルム層(A)と熱可塑性樹脂(B)からなるフィルム層(B)とを積層して延伸したものであり、
ポリエステル(A)は、主たる繰り返し単位がエチレンテレフタレートまたはエチレン−2,6−ナフタレートであること、
熱可塑性樹脂(B)は、ポリエステル(A)よりも吸水率が0.03%以上低いこと、
M層の厚みが、15〜90nmの範囲であること、そして
支持体の縦方向のヤング率(GPa)と支持体の厚み(μm)の積が30(Gpa・μm)以上であることを具備する支持体が提供される。
F層として、主たる繰り返し単位がエチレンテレフタレートまたはエチレン−2,6−ナフタレートであるポリエステル(A)からなるフィルム層(A)とポリエステル(A)よりも吸水率が0.03%以上低い熱可塑性樹脂(B)からなるフィルム層(B)とを積層して延伸することで、フィルム層(B)による湿度膨張係数の低減効果を単にブレンドしたものに比べ効率的に発現できる。また、フィルム層(A)が塗布適性をある程度維持できることから、クラックなどの不具合が発生するような厚いM層を形成しなくても、非常に塗布適性などに優れた支持体とすることもできる。しかも、本発明の支持体は、F層自体が極めて環境変化に対する寸法安定性を有することから、単純に前述の特許文献4や5のフィルムにM層を形成したものに比べ、同じヤング率や同じ温度膨張係数なら、より湿度膨張係数が小さく、加工時の伸びも抑制された支持体を得ることができ、特に非常に薄い支持体としたときに、優れた塗布適性と寸法安定性を発現することができる。
ポリエステル(A)は、フィルム層(A)を構成するもので、塗布適性を向上させる観点から、エチレンテレフタレートまたはエチレン−2,6−ナフタレートを主たる繰り返し単位とするものである。そのような観点から、フィルム層(A)を構成するポリエステル(A)は、エチレンテレフタレートまたはエチレン−2,6−ナフタレート以外の共重合成分の割合は、ポリエステル(A)の全酸成分のモル量を基準として、10モル%以下、さらに5モル%以下であることが好ましい。
本発明における熱可塑性樹脂(B)はフィルム層(B)を構成するものであり、前述のポリエステル(A)に対して、吸水率が0.05%以上低いもので、フィルム層(A)と積層して製膜できるものであれば特に制限されず、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリイミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルエーテルケトンなどいずれであっても良く、これらの中でも前記式(I)、(II)の繰り返し単位からなるポリエステル、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンナフタレート、液晶性ポリエステル、ポリフェニレンスルフィド、ポリオレフィンが好ましい。
本発明におけるF層は、フィルム層(A)とフィルム層(B)とを積層したものであり、フィルム層(A)または(B)の片面または両面にフィルム層(B)または(A)を積層したF層(1)と、フィルム層(A)とフィルム層(B)を交互に4層以上となるように積層したF層(2)を包含する。なお、本発明において、幅方向とは、F層の製膜方向(長手方向、縦方向と称することもある。)に直交する方向であり、横方向と称することもある。
さらに本発明の二軸配向積層フィルムについて、前述のF層(1)および(2)に分けて、詳述する。
F層(1)は、フィルム層(B)の片面にフィルム層(A)を積層した2層フィルムを包含する。またF層(1)は、フィルム層(A)の両面にフィルム層(B)を積層した3層フィルムも包含する。またF層(1)は、フィルム層(A)の両面にフィルム層(B)を積層した3層フィルムを包含する。本発明におけるF層(1)には、本発明の効果を損なわない範囲で、他のフィルム層を積層したり、塗膜層を設けたりしても良い。
なお、F層自体のカールを抑制する観点からは、F層は前述の3層の積層構成が好ましい。ただ、カールは後述のM層を、カールが解消されるように、片面だけにつけたり、厚みの異なるM層を両面につけることで調整でき、むしろ表面粗さの差を調整しやすく、より平坦性と走行性とを高度に具備させやすいことから、フィルム層(A)の片面にフィルム層(B)を積層した2層フィルムが好ましい。
本発明におけるF層(2)は、フィルム層(A)とフィルム層(B)とを交互に4層以上積層したものである。好ましい積層数は、フィルム層(A)とフィルム層(B)の合計層数で11〜10001の範囲、さらに31〜1001の範囲にあることが層構成の均一性とカールなどを抑えつつ、フィルム層(A)とフィルム層(B)の延伸性を上げやすいことから好ましい。積層数の上限は特に制限されないが、積層構造を維持しやすい点から、10,001以下であることが好ましい。また、フィルム層(A)および(B)の1層あたり厚みは、0.1〜1,000nmの範囲、さらに1〜100nmの範囲にあることが層構成の均一性と効果の発現性の点から好ましい。
tXをtY対比、1.5倍以上にすることで、内側のフィルム層に内在する不活性粒子による影響を抑え、表面粗さの小さい第1表層をより平坦に調整することができる。
(式1) tX>1.5×tX’
(式2) tY>1.5×tY’
本発明におけるF層(2)は、フィルム層(A)とフィルム層(B)とを交互に4層以上積層し、第1表層、内層および第2表層を形成していれば良いが、第1表層および第2表層とは別の第3表層を有していても良い。特にフィルム層の厚みを薄くする必要があるときに、フィルム層(A)とフィルム層(B)との積層構造をのみでは滑り性と表面平坦性を両立する表層の形成が困難となる場合がある。このような場合、第2表層の上またはその代わりに、それ自体公知の塗膜層や不活性粒子を含有する共押出で形成される第3表層を設けることで、滑り性と表面平坦性を両立させることもできる。 本発明におけるF層(2)の交互積層された多層部分の厚みは、上記のように表層とそれ以外で厚みを変えることが好ましいが、その厚みの変化は、表層のみ厚くすることも可能であるし、また、交互積層部分の厚みを厚み方向に連続的に変化させることも可能である。
本発明の磁気記録媒体用支持体は、前述のF層の片方の表面もしくは両方の表面上に金属類または金属系無機化合物からなる層(M層)が形成されている。金属類としては、例えば、Cu、Zn、Al、Si、Fe、Ag、Ti、Mg、Sn、Zr、In、Cr、Mn、V、Ni、Mo、Ce、Ga、Hf、Nb、Ta、Y、Wなどが挙げられ、金属系無機化合物としてはこれらの金属類を酸化させたものが挙げられる。
まず、前述のポリエステル(A)および熱可塑性樹脂(B)はそれ自体公知の方法で製造できる。さらに不活性粒子を含有させる場合は、フィルム層(A)、(B)および第3の層への添加方法は、特に制限されず、それぞれの層を構成する樹脂の重合段階で添加したり、重合後に二軸混練押出機などで練り込んだりすればよい。好ましくは、フィルム層中での粒子の分散性をより向上させやすいことから、重合段階で最終のフィルムでの使用よりも多量に不活性粒子を含有させたマスターポリマーを作成し、それを不活性粒子を含有しないポリマーで所望の粒子濃度になるように希釈する方法が好ましい。その際、フィルターなどのろ過によって、粗大粒子などを取り除くことが好ましい。
まず、真空蒸着装置においては、真空チャンバの内部をF層が巻出しロール部から冷却ドラムを経て巻取りロール部へと走行する。そのときに、るつぼ内に金属材料を入れ、そこに電子銃から照射した電子ビームを当てるなどして加熱蒸発させ、冷却ドラム上のF層に蒸着する。このとき、酸素供給ノズルから酸素ガスを導入すれば、蒸発した金属を酸化反応させながら蒸着することができる。また、片方の表面(1面目)に蒸着した後巻取りロール部から片面蒸着したものを取り外し、それを巻出しロール部にセットし同じように反対側の表面(2面目)に蒸着することで両面に形成できる。
このようにして得られた磁気記録媒体は、例えば、データ記録用途、具体的にはコンピュータデータのバックアップ用途(例えばリニアテープ式の記録媒体(LTO4やLTO5など))や映像などのデジタル画像の記録用途などに好適に用いることができる。
得られた樹脂の固有粘度はP−クロロフェノール/1,1,2,2−テトラクロロエタン(40/60重量比)の混合溶媒を用いてポリマーを溶解して35℃で測定して求めた。
ガラス転移点および融点は、それぞれの層に用いる樹脂を用意し、DSC(TAインスツルメンツ株式会社製、商品名:Thermal Analyst2920)により、昇温速度20℃/minで測定した。
得られたF層および支持体を試料巾10mm、長さ15cmで切り取り、チャック間100mm、引張速度10mm/分、チャート速度500mm/分の条件で万能引張試験装置(東洋ボールドウィン製、商品名:テンシロン)にて引っ張る。得られた荷重―伸び曲線の立ち上がり部の接線よりヤング率を計算した。
得られたF層、支持体および磁気テープを、フィルムの幅方向が測定方向となるように長さ15mm、幅5mmに切り出し、真空理工製TMA3000にセットし、30℃の窒素雰囲気下で、湿度30%RHと湿度70%RHにおけるそれぞれのサンプルの長さを測定し、次式にて湿度膨張係数を算出する。5回測定し、その平均値をαhとした。
αh=(L70−L30)/(L30×△H)
ここで、上記式中のL30は30%RHのときのサンプル長(mm)、L70は70%RHのときのサンプル長(mm)、△H:40(=70−30)%RHである。
なお、磁気ヘッドの湿度膨張係数は0ppm/%RHであることから、磁気テープにした状態で、幅方向の湿度膨張係数が0に近いほど優れているといえる。
積層フィルムを層間の空気を排除しながら10枚重ね、JIS規格のC2151に準拠し、(株)ミツトヨ製ダイヤルゲージMDC−25Sを用いて、10枚重ね法にて厚みを測定し、1枚当りのフィルム厚みを計算する。この測定を10回繰り返して、その平均値を1枚あたりの積層フィルムの全体の厚みとした。
一方、フィルム層(A)およびフィルム層(B)の厚みは、フィルムの小片をエポキシ樹脂にて固定成形し、ミクロトームにて約60nmの厚みの超薄切片(フィルムの製膜方向および厚み方向に平行に切断する)を作成する。この超薄切片の試料を透過型電子顕微鏡(日立製作所製H−800型)にて観察しその境界をからフィルム層(A)とBの厚みを求めた。
各層に用いる樹脂を厚み100μmの未延伸フィルムを作成し、JIS K7209A法に準拠して測定した。
得られたF層および支持体を、フィルムの幅方向が測定方向となるようにそれぞれ長さ15mm、幅5mmに切り出し、真空理工製TMA3000にセットし、窒素雰囲気下(0%RH)、60℃で30分前処理し、その後室温まで降温させる。その後25℃から70℃まで2℃/minで昇温して、各温度でのサンプル長を測定し、次式より温度膨張係数(αt)を算出する。なお、5回測定し、その平均値を用いた。
αt={(L60−L40)}/(L40×△T)}+0.5
ここで、上記式中のL40は40℃のときのサンプル長(mm)、L60は60℃のときのサンプル長(mm)、△Tは20(=60−40)℃、0.5は石英ガラスの温度膨張係数(ppm/℃)である。なお、磁気ヘッドの温度膨張係数は通常7ppm/℃であることから、磁気テープにした状態で、幅方向の温度膨張係数が7ppm/℃に近いほど優れているといえる。
Zygo社製 非接触三次元表面構造解析顕微鏡(NewView5022)を用いて測定倍率25倍、測定面積283μm×213μm(=0.0603mm2)の条件にて測定し、該粗さ計に内蔵された表面解析ソフトにより中心面平均粗さRaを以下の式より求めた。
下記条件にて断面観察を行い、得られた合計9点の厚み(nm)の平均値を算出し、M層の厚み(nm)とする。
・測定装置:透過型電子顕微鏡(TEM) 日立製H−7100FA型
・測定条件:加速電圧 100kV
・測定倍率:20万倍
・試料調製:超薄膜切片法
・観察面 :TD−ZD断面
・測定回数:1視野につき3点、3視野を測定する。
ダイコーターで、30MPaの張力条件で、幅500mmにスリットされた長さ850mの支持体の平坦な側の表面に、下記組成の非磁性塗料、磁性塗料を同時に、乾燥後の非磁性層および磁性層の厚みが、それぞれ1.2μmおよび0.1μmとなるように膜厚を変えて塗布し、磁気配向させて120℃×30秒の条件で乾燥させる。さらに、小型テストカレンダ−装置(スチ−ルロール/ナイロンロール、5段)で、温度:70℃、線圧:200kg/cmでカレンダ−処理した後、70℃、48時間キュアリングする。次に、その磁性層の反対面に下記組成のバックコートを固形分の厚みが0.5μmとなるように塗布した後、小型テストカレンダー装置(スチール/ナイロンロール、5段)で、温度85℃、線圧200kg/cmでカレンダー処理し、巻き取る。上記テープ原反を1/2インチ幅にスリットし、それをLTO用のケースに組み込み、長さが850mのデータストレージカートリッジを作成した。
・非磁性無機質粉末(α−酸化鉄:平均長軸長:0.15μm,平均針状比:7,BET比表面積:52m2/g):100重量部
・エスレックA(積水化学製塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体:10重量部
・ニッポラン2304(日本ポリウレタン製ポリウレタンエラストマ):10重量部
・コロネートL(日本ポリウレタン製ポリイソシアネート) : 5重量部
・レシチン: 1重量部
・メチルエチルケトン:75重量部
・メチルイソブチルケトン:75重量部
・トルエン:75重量部
・カーボンブラック(平均粒子径:20nm): 2重量部
・ラウリン酸:1.5重量部
・磁性粉(戸田工業株式会社製、商品名:NF30x):100重量部
・エスレックA(積水化学製塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体):10重量部
・ニッポラン2304(日本ポリウレタン製ポリウレタンエラストマ):10重量部
・コロネートL(日本ポリウレタン製ポリイソシアネート) : 5重量部
・レシチン: 1重量部
・メチルエチルケトン:75重量部
・メチルイソブチルケトン:75重量部
・トルエン:75重量部
・カーボンブラック(平均粒子径:20nm): 2重量部
・ラウリン酸:1.5重量部
・カーボンブラック(平均粒径20nm) : 95重量部
・カーボンブラック(平均粒径280nm): 10重量部
・αアルミナ : 0.1重量部
・変成ポリウレタン : 20重量部
・変成塩化ビニル共重合体 : 30重量部
・シクロヘキサノン : 200重量部
・メチルエチルケトン : 300重量部
・トルエン : 100重量部
支持体の表面を光学顕微鏡により倍率500倍で100視野観察し、以下の評価基準で評価した。
○;クラックが観察されない
×;1視野以上でクラックが観察される
ダイコーターで、30MPaの張力条件で、幅500mmにスリットされた長さ500mのフィルムの一方の表面に、上記(10)の作成で用いた組成の非磁性塗料、磁性塗料を同時に、乾燥後の非磁性層および磁性層の厚みが、それぞれ1.2μmおよび0.1μmとなるように膜厚を変えて塗布し、磁気配向させて120℃×30秒の条件で乾燥させる。塗布直後および乾燥後のシワの状態を観察し以下の基準で評価した。
◎;塗布直後も乾燥後もシワなし
○;塗布直後はシワが見えるが、乾燥後はシワなし
△;塗布直後にシワが見え、乾燥後も残る。部分的にテープ化は何とか可能なレベル。
×;塗布直後にシワが見え、乾燥後も全面に残る。
2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチルとエチレングリコールとを、チタンテトラブトキシドの存在下でエステル化反応およびエステル交換反応を行い、さらに引き続いて重縮合反応を行い、固有粘度が0.63dl/gのポリエチレン−2,6−ナフタレート(PEN)を得た。
2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチル、6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸そしてエチレングリコールとを、チタンテトラブトキシドの存在下でエステル化反応およびエステル交換反応を行い、さらに引き続いて重縮合反応を行い、酸成分の30モル%が2,6−ナフタレンジカルボン酸成分、酸成分の70モル%が6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸成分で、固有粘度が0.63dl/gである共重合ポリエチレン−2,6−ナフタレート(PEN−ANA70)を得た。
テレフタル酸ジメチルとエチレングリコールとを、チタンテトラブトキシドの存在下でエステル交換反応を行い、さらに引き続いて重縮合反応を行い、固有粘度が0.65dl/gであるポリエチレンテレフタレート(PET)のペレットを得た。
テレフタル酸ジメチル、6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸そしてエチレングリコールとを、チタンテトラブトキシドの存在下でエステル化反応およびエステル交換反応を行い、さらに引き続いて重縮合反応を行い、酸成分の40モル%がテレフタル酸成分、酸成分の60モル%が6,6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸成分で、固有粘度が0.65dl/gである共重合ポリエチレンテレフタレート(PET−ANA60)を得た。
ポリエ−テルイミド(PEI)として、General Electric社製“Ultem”(登録商標))を用意した。
フィルム層(A)用のポリマーとして、表1に示すように不活性粒子を含有させた参考例3のPETを用意し、他方フィルム層(B)用のポリマーとして、表1に示すように不活性粒子を含有させた参考例3のPETと参考例4のPET−ANA60を重量比52:48でブレンドしたものを用意した。
そして、これらのポリマーを170℃で4時間乾燥後、押出し機に供給し、295℃まで加熱して溶融状態とし、フィルム層(A)用のポリマーを25層、フィルム層(B)用のポリマーを25層に分岐させた後、それぞれの層が交互に積層するような多層フィードブロック装置を使用して、その積層状態を保持したままダイへと導き、溶融状態で回転中の温度50℃の冷却ドラム上にシート状に押し出し、総数50層の未延伸多層積層フィルムを作成した。なお、フィルム層(A)については、表1に示すように、表面に位置するフィルム層(A)を平坦層表面として厚くし、他のフィルム層(A)は同じ厚みになるように調整した。そして、製膜方向に沿って回転速度の異なる二組のローラー間で、上方よりIRヒーターにてフィルム表面温度が100℃になるように加熱して縦方向(製膜方向)の延伸を、延伸倍率3.6倍で行い、一軸延伸フィルムを得た。そして、この一軸延伸フィルムをステンターに導き、120℃で横方向(幅方向)に延伸倍率4.7倍で延伸し、その後220℃で2秒間熱固定処理を行い、厚さ4.4μmの二軸配向多層積層フィルムを得た。
上記の方法で作成した二軸配向多層積層フィルムの両面に、以下の方法で、M層を設けた。まず、真空蒸着装置内に設置されたフィルム走行装置に、得られた二軸配向多層積層フィルムをセットし、1.00×10−3Paの高真空にした後に、20℃の冷却金属ドラムを介して走行させた。このとき、アルミのターゲットを電子ビームで加熱蒸発させ、酸素を導入して、アルミと酸素のモル比が42:58の部分酸化アルミのM層(厚み:60nm)を形成し、さらに連続で、反対側の面に同様にしてM層を形成し、支持体を作成した。得られた支持体の特性を表1に示す。なお、M層の元素分析は、X線光電子分光器などを用いて測定することができる。
フィルム層(A)用のポリマーとして、表1に示すように不活性粒子を含有させた参考例3のPETと参考例4のPEIとを重量比85:15でブレンドしたものを用意し、他方フィルム層(B)用のポリマーとして、表1に示すように不活性粒子を含有させた参考例3のPETと参考例4のPET−ANA60を重量比63:37でブレンドしたものを用意した。
そして、これらのポリマーを170℃で4時間乾燥後、押出し機に供給し、295℃まで加熱して溶融状態とし、フィルム層(A)用のポリマーの片面に、フィルム層(B)用のポリマーをフィードブロック中で積層し、その積層状態を保持したままダイへと導き、溶融状態で回転中の温度50℃の冷却ドラム上にシート状に押し出し、総数2層の未延伸積層フィルムを作成した。なお、フィルム層(A)とフィルム層(B)の厚みはそれぞれ表1に示すようになるように供給量を調整した。そして、製膜方向に沿って回転速度の異なる二組のローラー間で、上方よりIRヒーターにてフィルム表面温度が105℃になるように加熱して縦方向(製膜方向)の延伸を、延伸倍率3.6倍で行い、一軸延伸フィルムを得た。そして、この一軸延伸フィルムをステンターに導き、130℃で横方向(幅方向)に延伸倍率4.7倍で延伸し、その後220℃で2秒間熱固定処理を行い、厚さ4.4μmの二軸配向積層フィルムを得た。
そして、このようにして得られた二軸配向積層フィルムの両面に、膜厚をそれぞれ70nmとなるように変更した以外は実施例1と同様にして、M層を形成し、支持体を作成した。得られた支持体の特性を表1に示す。
フィルム層(A)用のポリマーを、表1に示すように不活性粒子を含有させた参考例3のPETと参考例4のPEIとを重量比85:15でブレンドしたものに変更し、表1に示すようにそれぞれのフィルム層の厚みを変更し、縦延伸を延伸温度95℃で延伸倍率3.8倍に、横延伸を延伸温度125℃で延伸倍率4.5倍に、そして、熱固定温度を210℃で3秒に変更したほかは実施例1と同様にして二軸配向多層積層フィルムを作成した。
上記の方法で作成した二軸配向多層積層フィルムの両面に、実施例1と同様にして、M層を形成し、支持体を作成した。得られた支持体の特性を表1に示す。
表1に示すようにそれぞれのフィルム層の厚みを変更したほかは実施例3と同様にして二軸配向多層積層フィルムを作成した。
上記の方法で作成した二軸配向多層積層フィルムの両面に、アルミの代わりにシリカ(SiO)を用い、珪素と酸素のモル比が37:63の部分酸化ケイ素とし、かつその厚みをそれぞれ80nmとなるように変更した以外は、実施例1と同様にして、M層を形成し、支持体を作成した。得られた支持体の特性を表1に示す。
実施例2において、フィルム層(B)用のポリマーを表1に示すように不活性粒子を含有させた参考例1のPENと参考例2のPEN−ANA70を重量比70:30でブレンドしたものに変更した。そして、表1に示すようにそれぞれのフィルム層の厚みを変更し、縦延伸を延伸温度130℃で延伸倍率4.5倍に、横延伸を延伸温度140℃で延伸倍率5.5倍に、そして、熱固定を温度220℃で3秒に変更したほかは実施例2と同様にして二軸配向積層フィルムを作成した。
そして、このようにして得られた二軸配向積層フィルムの両面に、膜厚をそれぞれ40nmとなるように変更した以外は実施例1と同様にして、M層を形成し、支持体を作成した。得られた支持体の特性を表1に示す。
実施例5において、二軸配向積層フィルムの両面に設けるM層を、アルミの代わりにシリカ(SiO)を用い、珪素と酸素のモル比が37:63の部分酸化ケイ素とし、かつ厚みをそれぞれ70nmとなるように変更して形成した以外は、同様な操作を繰り返した。得られた支持体の特性を表1に示す。
フィルム層(A)用のポリマーとして、表1に示すように不活性粒子を含有させた参考例3のPETと参考例5のPEIとを重量比85:15でブレンドしたものを用意し、他方フィルム層(B)用のポリマーとして、表1に示すように不活性粒子を含有させた参考例1のPETと参考例2のPEN−ANA70を重量比60:40でブレンドしたものを用意した。
そして、これらのポリマーを170℃で6時間乾燥後、押出し機に供給し、295℃まで加熱して溶融状態とし、フィルム層(A)用のポリマーを101層、フィルム層(B)用のポリマーを101層に分岐させた後、それぞれの層が交互に積層するような多層フィードブロック装置を使用して、その積層状態を保持したままダイへと導き、溶融状態で回転中の温度50℃の冷却ドラム上にシート状に押し出し、総数202層の未延伸多層積層フィルムを作成した。なお、フィルム層(A)については、表1に示すように、表面に位置するフィルム層(A)を平坦層表面として厚くし、他のフィルム層(A)は同じ厚みになるように調整した。そして、製膜方向に沿って回転速度の異なる二組のローラー間で、上方よりIRヒーターにてフィルム表面温度が130℃になるように加熱して縦方向(製膜方向)の延伸を、延伸倍率4.7倍で行い、一軸延伸フィルムを得た。そして、この一軸延伸フィルムをステンターに導き、145℃で横方向(幅方向)に延伸倍率5.3倍で延伸し、その後210℃で2秒間熱固定処理を行い、厚さ3.9μmの二軸配向多層積層フィルムを得た。
上記の方法で作成した二軸配向多層積層フィルムの両面に、それぞれのM層の厚みを30nmに変更した以外は、実施例1と同様にして、M層を形成し、支持体を作成した。得られた支持体の特性を表1に示す。
実施例7において、縦および横方向の延伸倍率をそれぞれ4.5倍と5.0倍に変更して二軸配向多層積層フィルムを作成し、その両面に形成するM層を、アルミの代わりにシリカ(SiO)を用い、珪素と酸素のモル比が37:63の部分酸化ケイ素とし、かつ厚みをそれぞれ70nmとなるように変更して形成した以外は、同様な操作を繰り返した。得られた支持体の特性を表1に示す。
フィルム層(A)用のポリマーとして、表1に示すように不活性粒子を含有させた参考例1のPENを用意し、他方フィルム層(B)用のポリマーとして、表1に示すように不活性粒子を含有させた参考例1のPENと参考例2のPEN−ANA70を重量比60:40でブレンドしたものを用意し、表1に示すようにそれぞれのフィルム層の厚みを変更し、縦延伸を延伸温度125℃で延伸倍率4.7倍に、横延伸を延伸温度145℃で延伸倍率5.8倍に、そして、熱固定処理を温210℃で2秒に変更したほかは実施例2と同様にして二軸配向積層フィルムを作成した。
そして、このようにして得られた二軸配向積層フィルムの両面に、膜厚をそれぞれ40nmとなるように変更した以外は実施例1と同様にして、M層を形成し、支持体を作成した。得られた支持体の特性を表1に示す。
実施例9において、表1に示すようにF層の厚みを変更し、二軸配向積層フィルムの両面に形成するM層を、アルミの代わりにシリカ(SiO)を用い、珪素と酸素のモル比が37:63の部分酸化ケイ素とし、かつ厚みをそれぞれ80nmとなるように変更して形成した以外は、同様な操作を繰り返した。得られた支持体の特性を表1に示す。
フィルム層(A)用のポリマーとして、参考例1のPENを用意し、他方フィルム層(B)用のポリマーとして、表1に示すように不活性粒子を含有させた参考例1のPENと参考例2のPEN−ANA70を重量比60:40でブレンドしたものを用意した。
そして、これらのポリマーを170℃で6時間乾燥後、押出し機に供給し、295℃まで加熱して溶融状態とし、フィルム層(A)用のポリマーを51層、フィルム層(B)用のポリマーを51層に分岐させた後、それぞれの層が交互に積層するような多層フィードブロック装置を使用して、その積層状態を保持したままダイへと導き、溶融状態で回転中の温度50℃の冷却ドラム上にシート状に押し出し、総数102層の未延伸多層積層フィルムを作成した。なお、フィルム層(A)については、表1に示すように、表面に位置するフィルム層(A)を平坦層表面として厚くし、他のフィルム層(A)は同じ厚みになるように調整した。そして、製膜方向に沿って回転速度の異なる二組のローラー間で、上方よりIRヒーターにてフィルム表面温度が125℃になるように加熱して縦方向(製膜方向)の延伸を、延伸倍率5.0倍で行い、一軸延伸フィルムを得た。そして、この一軸延伸フィルムをステンターに導き、145℃で横方向(幅方向)に延伸倍率6.0倍で延伸し、その後210℃で2秒間熱固定処理を行い、厚さ3.9μmの二軸配向多層積層フィルムを得た。
上記の方法で作成した二軸配向多層積層フィルムの両面に、厚みを40nmに変更する以外は実施例1と同様な操作を繰り返してM層を形成し、支持体を作成した。得られた支持体の特性を表1に示す。
実施例11において、フィルム層(B)用のポリマーにおける参考例1のPENと参考例2のPEN−ANA70の重量比を40:60に変更し、表1に示すようにそれぞれのフィルム層の厚みを変更し、縦延伸の延伸倍率を5.2倍に変更したほかは同様にして二軸配向多層積層フィルムを作成した。
上記のようにして得られた二軸配向積層フィルムの両面に形成するM層を、アルミの代わりにシリカ(SiO)を用い、珪素と酸素のモル比が37:63の部分酸化ケイ素とし、かつ厚みをそれぞれ50nmとなるように変更して形成した以外は、実施例11と同様な操作を繰り返して支持体を作成した。得られた支持体の特性を表1に示す。
実施例2において、フィルム層(B)用のポリマーを、表1に示すように不活性粒子をそれぞれ含有させた参考例3のPETと参考例4のPEIとを重量比85:15でブレンドしたものに変更し、表1に示すようにそれぞれのフィルム層の厚みを変更し、縦延伸を延伸温度105℃で延伸倍率3.6倍に、横延伸を延伸温度130℃で延伸倍率4.7倍に、そして、熱固定処理を220℃で2秒に変更したほかは同様にして二軸配向積層フィルムを作成した。
上記のようにして得られた二軸配向積層フィルムの両面に形成するM層の厚みをそれぞれ50nmとなるように変更して形成した以外は、実施例2と同様な操作を繰り返して支持体を作成した。得られた支持体の特性を表1に示す。
実施例2において、フィルム層(A)およびB用のポリマーを、表1に示すように不活性粒子をそれぞれ含有させた参考例1のPENに変更し、表1に示すようにそれぞれのフィルム層の厚みを変更し、縦延伸を延伸温度125℃で延伸倍率5.0倍に、横延伸を延伸温度140℃で延伸倍率6.0倍に、そして、熱固定処理を215℃で2秒に変更したほかは同様にして二軸配向積層フィルムを作成した。
上記のようにして得られた二軸配向積層フィルムの両面に形成するM層の厚みをそれぞれ120nmとなるように変更して形成した以外は、実施例2と同様な操作を繰り返して支持体を作成した。得られた支持体の特性を表1に示す。
比較例2において、表1に示すようにそれぞれのフィルム層の厚みを変更し、M層の厚みをそれぞれ10nmとなるように変更した以外は、同様な操作を繰り返して支持体を作成した。得られた支持体の特性を表1に示す。
実施例11において、M層を形成しなかった以外は同様な操作を繰り返した。得られた支持体の特性を表1に示す。
実施例11において、フィルム層(A)用のポリマーを用いずに厚さ3.9μmの単層フィルムとし、縦延伸を延伸温度133℃で延伸倍率4.7倍に、横延伸を延伸温度135℃で延伸倍率8.3倍に、そして、熱固定処理を202℃で10秒に変更したほかは同様にして二軸配向フィルムを作成した。
上記の方法で作成した二軸配向フィルムの両面に、厚みを50nmに変更する以外は実施例11と同様な操作を繰り返してM層を形成し、支持体を作成した。得られた支持体の特性を表1に示す。
Claims (8)
- 二軸配向積層フィルム(F層)の少なくとも片面に金属類または金属系無機化合物からなる層(M層)が設けられた支持体であって、
F層は、ポリエステル(A)からなるフィルム層(A)と熱可塑性樹脂(B)からなるフィルム層(B)とを積層して延伸したものであり、
芳香族ポリエステル(A)は、主たる繰り返し単位がエチレンテレフタレートまたはエチレン−2,6−ナフタレートであること、
熱可塑性樹脂(B)は、ポリエステル(A)よりも吸水率が0.03%以上低いこと、
M層の厚みが、15〜90nmの範囲であること、そして
支持体の縦方向のヤング率(GPa)と支持体の厚み(μm)の積が30(Gpa・μm)以上であること
を特徴とする支持体。 - 支持体の厚みが1〜10μmである、請求項1に記載の支持体。
- 支持体が、その片面に磁性層を設けて、磁気記録媒体のベースフィルムに用いられる請求項1または2のいずれかに記載の支持体。
- 支持体の長手方向と幅方向のヤング率の和が10〜22GPaであり、かつ、長手方向のヤング率Emと幅方向のヤング率Etの比Em/Etが0.5〜1.0の範囲にある請求項1〜3のいずれかに記載の支持体。
- フィルム層(A)または(B)の片面または両面にフィルム層(B)または(A)を積層した請求項1〜4のいずれかに記載の支持体。
- フィルム層(A)とフィルム層(B)とを交互に4層以上積層した請求項1〜5のいずれかに記載の支持体。
- 支持体の幅方向の湿度膨張係数が0〜5ppm/%RHである請求項1〜7のいずれかに記載の支持体。
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