JP2009223923A - 積層体、磁気記録媒体用支持体および強磁性金属薄膜型磁気記録媒体 - Google Patents

積層体、磁気記録媒体用支持体および強磁性金属薄膜型磁気記録媒体 Download PDF

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Abstract

【課題】 DLC工程が安定して行える強磁性金属薄膜型磁気記録媒体用支持体であって強磁性金属薄膜型磁気記録媒体とした際に環境変化による寸法変化が少なく、高湿度下でも保存が可能で、走行中にクラック発生のない耐久性の優れた高密度強磁性金属薄膜型磁気記録媒体とすることができる積層体を提供すること。
【解決手段】 ポリエステルフィルム層と金属層(M層)と金属系酸化物層(O層)を少なくともそれぞれ1層含む積層体とする。
【選択図】図2

Description

本発明は、磁気テープなどの強磁性金属薄膜型磁気記録媒体に用いられる支持体と、該支持体上に磁性層を設けた強磁性金属薄膜型磁気記録媒体とに関する。
二軸延伸ポリエステルフィルムはその優れた熱特性、寸法安定性、機械特性および表面形態の制御のし易さから各種用途に使用されており、特に強磁性金属薄膜型磁気記録媒体などの支持体としての有用性がよく知られている。近年、磁気テープなどの強磁性金属薄膜型磁気記録媒体は、機材の軽量化、小型化、大容量化のため高密度記録化が要求されている。高密度記録化のためには、記録波長を短くし、記録トラックを小さくすることが有用である。しかしながら、記録トラックを小さくすると、テープ走行時における熱やテープ保管時の温湿度変化による変形により、記録トラックのずれが起こりやすくなるという問題がある。したがって、テープの使用環境および保管環境での寸法安定性といった特性の改善に対する要求がますます強まっている。
この観点から、支持体には、強度、寸法安定性の点で二軸延伸ポリエステルフィルムよりも優れた剛性の高い芳香族ポリアミドが用いられることがある。しかしながら芳香族ポリアミドは高価格でコストがかかり、汎用記録媒体の支持体としては現実的ではない。
一方、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートなどを用いたポリエステルフィルムにおいても、延伸技術を用いて高強度化した強磁性金属薄膜型磁気記録媒体用支持体が開発されている。しかしながら、温度や湿度に対する寸法安定性などの厳しい要求を満足することはいまだ困難である。
温度や湿度に対する寸法安定性を向上するために、ポリエステルフィルムの片面または両面に金属などの補強層を設ける方法(特許文献1〜5)が開示されている。しかしながら、補強層が金属の場合、一般的に熱膨張係数が大きく、ポリエステルフィルムの温度に対する膨張・収縮を抑制する効果が小さく、むしろ悪化させる場合もある。また、ポリエステルフィルム上に金属層を設ける場合、特に高湿度下に置くとポリエステルフィルム側から水分が侵入し、酸化によりボロボロになる問題がある。一方、補強層が酸化物やその他の化合物の場合、イオン結合のため、硬いがもろく延性がない性質を持つ。そのため、張力によって割れを生じたり、湾曲による割れが生じたりする。また、酸化物は吸湿性をもつため、湿度に対する寸法安定性向上効果が小さく、補強層自体の吸湿膨張により寸法安定性を悪化させる場合もある。
また、磁気テープは表面を保護するためにダイヤモンドライクカーボン(DLC)コーティングを行っているが、その処理工程で基材に導電性が必要とされる。磁気テープの薄膜化の要求により、強磁性金属薄膜層も薄膜化が求められているが、薄膜化されると導電性が低下しDLC処理ができない問題がでている(特許文献6)。
特開平7−272247号公報 特開2006−120213号公報 特開2005−275124号公報 特開2006−277920号公報 特開2000−195035号公報 特開2005−149572号公報
そこで、鋭意検討した結果、展延性があり導電性の金属と、強度があり温度に対して寸法安定性向上効果のある金属系酸化物とをともに設けることで寸法安定性が飛躍的に向上し、上記の多くの課題を解決できることを見出した。
すなわち、本発明の目的は、上記の問題を解決し、優れた強磁性金属薄膜型磁気記録媒体用支持体を提供することにある。詳しくは、DLC工程が安定して行える強磁性金属薄膜型磁気記録媒体用支持体であって強磁性金属薄膜型磁気記録媒体とした際に環境変化による寸法変化が少なく、高湿度下でも保存が可能で、走行中にクラック発生のない耐久性の優れた高密度強磁性金属薄膜型磁気記録媒体とすることができる支持体を提供することにある。
上記課題を解決するための本発明は、次の(1)〜(8)を特徴とするものである。
(1)ポリエステルフィルム層と金属層(M層)と金属系酸化物層(O層)とを少なくともそれぞれ1層含むことを特徴とする積層体。
(2)M層が銅(Cu)を含んでいる、上記(1)に記載の積層体。
(3)O層がアルミニウム(Al)を含む酸化物を含んでいる、上記(1)または(2)に記載の積層体。
(4)ポリエステルフィルム層の両面にO層が設けられ、さらにそのどちらか一方のO層の外側の表面にM層が設けられてなる、上記(1)〜(3)のいずれかに記載の積層体。
(5)ポリエステルフィルム層の両面にO層が設けられ、このO層のさらに外側の表面のいずれにもM層が設けられてなる、上記(1)〜(3)のいずれかに記載の積層体。
(6)上記(1)〜(5)のいずれかに記載の積層体を用いた磁気記録媒体用支持体。
(7)上記(6)に記載の磁気記録媒体用支持体に強磁性金属薄膜層を設けた強磁性金属薄膜型磁気記録媒体。
(8)温度膨張係数が5〜9ppm/℃、湿度膨張係数が0〜5ppm/%RHである、上記(7)に記載の強磁性金属薄膜型磁気記録媒体。
本発明はDLC工程が安定して行える強磁性金属薄膜型磁気記録媒体用支持体であって強磁性金属薄膜型磁気記録媒体とした際に環境変化による寸法変化が少なく、高湿度下でも保存が可能で、走行中にクラック発生のない耐久性の優れた高密度強磁性金属薄膜型磁気記録媒体とすることができる支持体を得ることができる。
本発明の積層体は、ポリエステルフィルム層と金属層(M層)と金属系酸化物層(O層)とを少なくともそれぞれ1層含む。
本発明において、ポリエステルフィルムとは、例えば、芳香族ジカルボン酸、脂環族ジカルボン酸または脂肪族ジカルボン酸などの酸成分やジオール成分を構成単位(重合単位)とするポリマーで構成されたものである。
芳香族ジカルボン酸成分としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルスルホンジカルボン酸等を用いることができ、なかでも好ましくは、テレフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸を用いることができる。脂環族ジカルボン酸成分としては、例えば、シクロヘキサンジカルボン酸等を用いることができる。脂肪族ジカルボン酸成分としては、例えば、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸等を用いることができる。これらの酸成分は一種のみを用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
ジオール成分としては、例えば、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリアルキレングリコール、2,2’−ビス(4’−β−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン等を用いることができ、なかでも、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコール等を好ましく用いることができ、特に好ましくは、エチレングリコール等を用いることができる。これらのジオール成分は一種のみを用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
ポリエステルには、ラウリルアルコール、イソシアン酸フェニル等の単官能化合物が共重合されていてもよいし、トリメリット酸、ピロメリット酸、グリセロール、ペンタエリスリトール、2,4−ジオキシ安息香酸、等の3官能化合物などが、過度に分枝や架橋をせずポリマーが実質的に線状である範囲内で共重合されていてもよい。さらに酸成分、ジオール成分以外に、p−ヒドロキシ安息香酸、m−ヒドロキシ安息香酸、2,6−ヒドロキシナフトエ酸などの芳香族ヒドロキシカルボン酸およびp−アミノフェノール、p−アミノ安息香酸などを本発明の効果が損なわれない程度の少量であればさらに共重合せしめることができる。
ポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートが好ましい。また、これらの共重合体、および変性体でもよく、他の熱可塑性樹脂とのポリマーアロイでもよい。ここでいうポリマーアロイとは高分子多成分系のことであり、共重合によるブロックコポリマーであってもよいし、混合などによるポリマーブレンドでもよい。ポリマーアロイ樹脂としてはポリオレフィン系樹脂やポリイミド系樹脂が好ましい。特に、上記ポリエステル樹脂とポリイミド系樹脂のポリマーアロイは混合割合によって耐熱性(ガラス転移温度)を制御できるため、使用条件に合わせたポリマー設計ができるため好ましい。ポリマーの混合割合はNMR法(核磁気共鳴法)や顕微FT−IR法(フーリエ変換顕微赤外分光法)を用いて調べることができる。たとえば、ポリエステルとポリイミドの場合、ヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)70質量部/重クロロホルム30質量部の混合溶液に溶解しH核のNMRスペクトルを測定する。得られたスペクトルで、ポリエステルとポリイミドに特有の吸収(例えば、ポリエステルがポリエチレンテレフタレートであればテレフタル酸の芳香族プロトン、ポリイミドがポリエーテルイミドであればビスフェノールAの芳香族のプロトン)のピーク面積強度を求め、その比率とプロトン数よりブレンドのモル比を算出する。さらにポリマーの単位ユニットに相当する式量より質量比を算出する。このようにしてポリエステル成分およびポリイミド成分の混合割合が特定できる。
ポリイミド系樹脂としては、例えば、下記一般式で示されるような構造単位を含有するものが好ましい。
Figure 2009223923
ただし、式中のRは、
Figure 2009223923
Figure 2009223923
などの脂肪族炭化水素基、脂環族炭化水素基、芳香族炭化水素基から選ばれた一種もしくは二種以上の基を表している。また、式中のRは、
Figure 2009223923
などの脂肪族炭化水素基、脂環族炭化水素基、芳香族炭化水素基から選ばれた一種もしくは二種以上の基を表している。
溶融成形性やポリエステルとの親和性などの点から、下記一般式で示されるような、ポリイミド構成成分にエーテル結合を含有するポリエーテルイミドが特に好ましい。
Figure 2009223923
(ただし、上記式中Rは、6〜30個の炭素原子を有する2価の芳香族または脂肪族残基、Rは6〜30個の炭素原子を有する2価の芳香族残基、2〜20個の炭素原子を有するアルキレン基、2〜20個の炭素原子を有するシクロアルキレン基、および2〜8個の炭素原子を有するアルキレン基で連鎖停止されたポリジオルガノシロキサン基からなる群より選択された2価の有機基である。)
上記R、Rとしては、例えば、下記式群に示される芳香族残基を挙げることができる。
Figure 2009223923
本発明では、ポリエステルとの親和性、コスト、溶融成形性等の観点から、2,2−ビス[4−(2,3−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン二無水物とm−フェニレンジアミン、またはp−フェニレンジアミンとの縮合物である、下記式で示される繰り返し単位を有するポリマーが好ましい
Figure 2009223923
または
Figure 2009223923
(nは2以上の整数、好ましくは20〜50の整数)
このポリエーテルイミドは、“ウルテム”(登録商標)の商品名で、ジーイープラスチックス社より入手可能である。
本発明において、ポリエステルフィルムは2層以上の積層構成であることが好ましい。特に、本発明の支持体は、強磁性金属薄膜型磁気記録媒体に用いるため、一方の表面には、優れた電磁変換特性を得るための平滑さが求められ、他方の表面には、製膜・加工工程での搬送や、磁気テープの走行性や走行耐久性を付与するための粗さが求められる。そのため、ポリエステルフィルムを2層以上の積層構成にすることが好ましい。
ポリエステルフィルムには、その表面に易滑性や耐摩耗性、耐スクラッチ性などを付与するため、無機粒子、有機粒子、例えば、クレー、マイカ、酸化チタン、炭酸カルシウム、カリオン、タルク、湿式シリカ、乾式シリカ、コロイド状シリカ、リン酸カルシウム、硫酸バリウム、アルミナ、ジルコニア等の無機粒子、アクリル酸類、スチレン系樹脂、熱硬化樹脂、シリコーン、イミド系化合物等を構成成分とする有機粒子、ポリエステル重合反応時に添加する触媒等によって析出する粒子(いわゆる内部粒子)などが添加されていてもよい。粒子の粒径はTEMなどによって調べることができ、粒子の添加量はX線マイクロアナライザーや熱分解ガスクロマト質量分析などによって調べることができる。
本発明の積層体は少なくとも1層の金属層(M層)を含む。金属とは、例えば、Li、Be、Na、Mg、Al、K、Ca、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、Ge、Y、Zr、Nb、Mo、Pd、Ag、Cd、In、Sn、Hf、Ta、W、Pt、Au、Biなどを示す。M層には複数種の金属成分を混合して含んでいても構わないが、より好ましくは同一種の金属成分が好ましい。特に磁気記録媒体として使用する場合、磁気記録のノイズになるため強磁性金属であるFe、Co、Niは使用しにくい。M層には強度、寸法安定性、生産性、環境性の観点から、Al、Ti、Cu、Zn、Sn、Mg、Agが好ましく、より好ましくは磁性層との標準電位が近いCuを含んでいることが好ましい。より好ましくは、CuのみでM層が構成されていることである。
M層は、組成分析を行った場合の平均組成における金属濃度が90at.%以上となっている層をいう。なお、at.%とは、atomic%の略であり、atomic%とは原子数100個当たりの該原子数の個数を示したものである。
本発明の積層体は少なくとも1層の金属系酸化物層(O層)を含む。金属系酸化物とは、例えば、Li、Be、Na、Mg、Al、K、Ca、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、Ge、Y、Zr、Nb、Mo、Pd、Ag、Cd、In、Sn、Hf、Ta、W、Pt、Au、Biなどの酸化物を示す。O層には複数種の金属成分を混合して含んでいても構わないが、より好ましくは同一種の金属成分が好ましい。O層には強度、寸法安定性、生産性、環境性の観点から、Al、Ti、Cu、Zn、Sn、Mg、Agの酸化物を含んでいることが好ましく、より好ましくは温度膨張係数が小さいAlの酸化物を含んでいることが好ましい。
O層は、組成分析を行った場合の平均組成における酸素濃度が10at.%より大きくなっている層をいう。
本発明の積層体はポリエステルフィルム層の両面(両側の表面)にO層が設けられることが好ましい。M層はポリエステル層のすぐ表面にあると高湿度の環境にさらされた時にポリエステルフィルム側から水分が滲入し腐食されボロボロになりやすい。O層はすでに酸化しているためそのようなことが起こりにくい。M層はO層の表面にさらに設けられることが好ましい。O層は水分をバリアする効果があり、高湿度の環境でもフィルム側からの水分をバリアするためM層の腐食を抑えられる。M層はA面側(平滑面側:磁性層が設けられる側)に設けられることが好ましい。M層は導電性を持つため、A面側にあれば磁気記録媒体を作製する工程のDLC処理が安定して行える。さらに好ましくは両面側にM層が設けられることが好ましい。B面側(走行面側:バックコート層が設けられる側)は磁気記録媒体とした時に帯電を防ぐために導電性を持たせることが好ましい。そのため、バックコート層にカーボンブラックなどを添加することが好ましいが、M層がB面側にあればカーボンブラックなどの添加量を減らすことができ、塗布の安定性や走行中のカーボンブラックなどの脱落が防ぐことができる。
層構成としては、(a)ポリエステルフィルム層の両面にO層が設けられ、さらにそのどちらか一方のO層の外側にM層が設けられている構成や、(b)ポリエステルフィルム層の両側にO層が設けられ、このO層のさらに外側の表面のいずれにもM層が設けられている構成などが好ましい。また、(c)ポリエステルフィルム層の一方の面にO層が設けられ、さらに両側の層にM層が設けられた構成や、(d)ポリエステルフィルム層の少なくとも一方の面にO層が設けられ、その外側にM層とO層とが交互に設けられ、最外層をM層とする構成なども採用し得る。
上記の各構成を、ポリエステルフィルム層をP層として表すと、例えば、以下のようになる。ただし、いずれも「層」を略記している。
(a)M/O/P/O
(b)M/O/P/O/M
(c)M/O/P/M
(d)M/O/M/O/P/O/M
もちろん、M/O/PやM/P/Oのような構成であっても構わない。
なお、各M層やO層は、その金属成分や金属酸化物成分を同一としても、それぞれ異なるものとしてもよい。
上記いずれの場合であっても、最外層にM層が形成されてる側に磁性層を設けることが好ましい。
M層の厚みは、5〜500nmであることが好ましい。M層の厚みが5nmより小さい場合、補強効果が小さく、寸法安定性が改善されにくい。また、導電性が小さくなりDLC処理が安定して行えなくなることがある。M層の厚みの下限は、好ましくは10nm、より好ましくは30nmである。一方、M層の厚みが500nmより大きい場合は、クラックを生じやすく寸法安定性が悪化しやすい。また走行を繰り返すことで剥離や脱落が発生し易く、結果としてエラーレートの増加や寸法安定性が悪化する傾向にある。また、真空製膜装置を使って500nm以上の厚みのM層を形成しようとすると、金属蒸気量を増加させる必要があるため熱負荷も大きく、蒸発そのものも不安定になる。M層の厚みの上限は、好ましくは200nm、より好ましくは100nmである。好ましい範囲としては、10〜200nm、より好ましい範囲としては、30〜100nmである。M層が複数層ある場合、それぞれが上記範囲であることが好ましい。
O層の厚みは、5〜500nmであることが好ましい。O層の厚みが5nmより小さい場合、補強効果が小さく、寸法安定性が改善されにくい。O層の厚みの下限は、好ましくは10nm、より好ましくは30nmである。一方、O層の厚みが500nmより大きい場合は、クラックを生じやすく寸法安定性が悪化しやすい。また走行を繰り返すことで剥離や脱落が発生し易く、結果としてエラーレートの増加や寸法安定性が悪化する傾向にある。また、真空製膜装置を使って500nm以上の厚みのO層を形成しようとすると、熱負荷も大きく、さらに酸化させるために酸素ガス導入量増やす必要があり、減圧度が低下してしまい金属蒸気が蒸発しにくく不安定になる。M層の厚みの上限は、好ましくは200nm、より好ましくは100nmである。好ましい範囲としては、10〜200nm、より好ましい範囲としては、30〜100nmである。O層が複数層ある場合、それぞれが上記範囲であることが好ましい。
本発明の積層体は、A面側の表面の表面抵抗率が1.0×10−2〜9.9×10Ωであることが好ましい。表面抵抗率とは、表面比抵抗(Ω/□)とも表記される特性値であり、純粋な表面抵抗(面積によって変わる抵抗値)や線抵抗(導線などの抵抗)とは異なるものである。表面抵抗率が1.0×10−2Ωより低い場合、導電性が高すぎるため、静電気や漏れ電流によって磁気テープに電流が流れてしまい、その電流のために磁気ヘッドがショートし故障する危険性がある。表面抵抗率の下限は、好ましくは1.0×10−1Ωであり、より好ましくは1.0×10Ωである。一方、表面抵抗率が9.9×10Ωより高い場合、DLC処理が安定して行えなくなることがある。表面抵抗率の上限は、好ましくは5.0×10Ω、より好ましくは1.0×10Ωである。好ましい範囲としては、1.0×10−1〜5.0×10Ω、より好ましい範囲としては、1.0×10〜1.0×10Ωである。
本発明の積層体において、磁性層を設ける側(A面側)の表面(A)の中心線平均粗さRaが0.5nm〜10nmであることが好ましい。磁性層を設ける側の表面(A)のRaが0.5nmより小さい場合は、フィルム製造、加工工程などで、搬送ロールなどとの摩擦係数が大きくなり、工程トラブルを起こすことがあり、磁気テープとして用いる場合に、磁気ヘッドとの摩擦が大きくなり、磁気テープ特性が低下しやすい。また、表面(A)のRaが10nmより大きい場合は、高密度記録の磁気テープとして用いる場合に、エラーレートの増加や電磁変換特性が低下することがある。磁性層を設ける側の表面(A)のRaの下限は、より好ましくは1nm、さらに好ましくは2nmであり、上限は9nm、さらに好ましくは8nmである。より好ましい範囲としては、1〜9nm、さらに好ましい範囲としては、2〜8nmである。
一方、バックコート層側(B面側)の表面(B)の中心線平均粗さRaは3〜30nmであることが好ましい。バックコート層側の表面(B)のRaが3nmより小さい場合は、フィルム製造、加工工程などで、搬送ロールなどとの摩擦係数が大きくなり、工程トラブルを起こすことがあり、磁気テープとして用いる場合に、ガイドロールとの摩擦が大きくなり、テープ走行性が低下することがある。また、Raが30nmより大きい場合は、フィルムロールやパンケーキとして保管する際に、表面突起が反対側の表面に転写し、エラーレートの増加や電磁変換特性が低下する傾向がある。バックコート層側の表面(B)のRaの下限は、より好ましくは5nm、さらに好ましくは7nmであり、上限は20nm、さらに好ましくは15nmである。より好ましい範囲としては、5〜20nm、さらに好ましい範囲としては7〜15nmである。
本発明の積層体は、長手方向のヤング率が5〜20GPaであることが好ましい。長手方向のヤング率が5GPaより小さい場合、テープドライブ内での長手方向への張力によって長手方向に伸び、この伸び変形により幅方向に収縮し、記録トラックずれという問題が発生しやすい。長手方向のヤング率の下限は、より好ましくは6GPa、さらに好ましくは7GPaである。一方、長手方向のヤング率が20GPaより大きい場合、磁気ヘッドへの当たりが悪くエラーレートが増加しやすいという問題がある。長手方向のヤング率の上限は、より好ましくは15GPa、さらに好ましくは13GPaである。より好ましい範囲としては、6〜15GPa、さらに好ましい範囲としては7〜13GPaである。
本発明の積層体は、幅方向のヤング率が5〜20GPaの範囲であることが好ましい。幅方向のヤング率が5GPaより小さい場合、エッジダメージの原因となったりすることがある。幅方向のヤング率の下限は、より好ましくは6GPa、さらに好ましくは7GPaである。一方、幅方向のヤング率が20GPaより大きい場合、スリット性が悪化することがある。幅方向のヤング率の上限は、より好ましくは15GPa、さらに好ましくは13GPaである。より好ましい範囲としては、6〜15GPa、さらに好ましい範囲としては7〜13GPaである。
本発明の積層体は、幅方向の温度膨張係数が−3〜10ppm/℃であることが好ましい。温度膨張係数が上記範囲内であることは、強磁性金属薄膜型磁気記録媒体への加工工程での寸法安定性の観点から好ましい。幅方向の温度膨張係数の上限は、より好ましくは9ppm/℃、さらに好ましくは8ppm/℃である。幅方向の温度膨張係数の下限はより好ましくは0ppm/℃、さらに好ましくは4ppm/℃である。より好ましい範囲としては、0〜9ppm/℃、さらに好ましい範囲としては4〜8ppm/℃である。
本発明の積層体は、幅方向の湿度膨張係数が−3〜10ppm/%RHであることが好ましい。湿度膨張係数が上記範囲内であることは、強磁性金属薄膜型磁気記録媒体とした際に記録再生時の高湿条件での寸法安定性の観点から好ましい。幅方向の湿度膨張係数の上限は、より好ましくは8ppm/%RH、さらに好ましくは5ppm/%RHである。幅方向の湿度膨張係数の下限はより好ましくは−1ppm/%RH、さらに好ましくは0ppm/%RHである。より好ましい範囲としては、−1〜8ppm/%RH、さらに好ましい範囲としては0〜5ppm/%RHである。
本発明の積層体を用いた強磁性金属薄膜型磁気記録媒体は強磁性金属薄膜層の影響で積層体の温度膨張係数より若干温度膨張係数が大きくなり、湿度膨張係数は小さくなる。強磁性金属薄膜型磁気記録媒体の温度膨張係数は好ましくは5〜7ppm/℃であり、さらに好ましくは磁気ヘッド(通常、磁気ヘッドは7ppm/℃)と同等である。強磁性金属薄膜型磁気記録媒体の湿度膨張係数は好ましくは0〜5ppm/%RHであり、さらに好ましくは0〜3ppm/%RHである。温度膨張係数・湿度膨張係数が上記範囲内にあると環境変化によるトラックずれが起こらず、エラーレートが少なく好ましい。
なお、本発明において、長手方向とは、一般的にMD方向といわれる方向であって、ポリエステルフィルム製造工程時の長手方向と同じ方向を指し、幅方向とは、一般的にTD方向といわれる方向であって、ポリエステルフィルム製造工程時の幅方向と同じ方向を指す。
本発明において、積層体としての厚みは、用途に応じて適宜決定できるが、通常強磁性金属薄膜型磁気記録媒体用途では1〜7μmが好ましい。この厚みが1μmより小さい場合、磁気テープにした際に電磁変換特性が低下することがある。一方、この厚みが7μmより大きい場合は、テープ1巻あたりのテープ長さが短くなるため、磁気テープの小型化、高容量化が困難になる場合がある。したがって、高密度強磁性金属薄膜型磁気記録媒体用途の場合、厚みの下限は、好ましくは2μm、より好ましくは3μmであり、上限は、好ましくは6.5μm、より好ましくは6μmである。より好ましい範囲としては2〜6.5μm、より好ましい範囲としては3〜6μmである。
また、本発明の積層体を構成するポリエステルフィルム層の厚みは、1〜6μmであることが好ましい。この厚みが1μmより小さい場合は、磁気テープにした際にテープに腰がなくなるため、電磁変換特性が低下することがある。ポリエステルフィルムの厚みの下限は、より好ましくは2μm、さらに好ましくは3μmである。一方、ポリエステルフィルムの厚みが6μmより大きい場合は、テープ1巻あたりのテープ長さが短くなるため、磁気テープの小型化、高容量化が困難になる場合がある。ポリエステルフィルムの厚みの上限は、より好ましくは5.8μm、さらに好ましくは5.6μmである。より好ましい範囲としては2〜5.8μm、さらに好ましい範囲としては3〜5.6μmである。
上記した本発明の積層体は、たとえば次のように製造される。
まず、積層体を構成するポリエステルフィルムを製造する。ポリエステルフィルムを製造するには、たとえばポリエステルのペレットを、押出機を用いて溶融し、口金から吐出した後、冷却固化してシート状に成形する。このとき、繊維焼結ステンレス金属フィルターによりポリマーを濾過することが、ポリマー中の未溶融物を除去するために好ましい。また、ポリエステルフィルムの表面に易滑性や耐摩耗性、耐スクラッチ性などを付与するため、無機粒子、有機粒子、例えば、クレー、マイカ、酸化チタン、炭酸カルシウム、カリオン、タルク、湿式シリカ、乾式シリカ、コロイド状シリカ、リン酸カルシウム、硫酸バリウム、アルミナ、ジルコニア等の無機粒子、アクリル酸類、スチレン系樹脂、熱硬化樹脂、シリコーン、イミド系化合物等を構成成分とする有機粒子、ポリエステル重合反応時に添加する触媒等によって析出する粒子(いわゆる内部粒子)などを添加することも好ましい。さらに、本発明を阻害しない範囲内であれば、各種添加剤、例えば、相溶化剤、可塑剤、耐候剤、酸化防止剤、熱安定剤、滑剤、帯電防止剤、増白剤、着色剤、導電剤、結晶核剤、紫外線吸収剤、難燃剤、難燃助剤、顔料、染料、などが添加されてもよい。
続いて、上記シートを長手方向と幅方向の二軸に延伸した後、熱処理する。延伸工程は、特に限定されないが、各方向において2段階以上に分けることが好ましい。すなわち再縦、再横延伸を行う方法が高密度記録の磁気テープとして最適な高強度のフィルムが得られ易いために好ましい。
延伸形式としては、長手方向に延伸した後に幅方向に延伸を行うなどの逐次二軸延伸法や、同時二軸テンター等を用いて長手方向と幅方向を同時に延伸する同時二軸延伸法、さらに、逐次二軸延伸法と同時二軸延伸法を組み合わせた方法などが包含される。
特に同時二軸延伸法を用いることが好ましい。逐次二軸延伸法に比べて同時二軸延伸法は、製膜工程で長手方向、幅方向に結晶が均一に成長するため、安定して高倍率に延伸しやすい。なお、ここでいう同時二軸延伸とは、長手方向と幅方向の延伸が同時に行われる工程を含む延伸方式である。必ずしも、すべての区間で長手方向と幅方向が同時に延伸されている必要はなく、長手方向の延伸が先にはじまり、その途中から幅方向にも延伸を行い(同時延伸)、長手方向の延伸が先に終了し、残りを幅方向のみ延伸するような方式でもよい。延伸装置としては、例えば同時二軸延伸テンターなどが好ましく例示され、中でもリニアモータ駆動式の同時二軸テンターが破れなくフィルムを延伸する方法として特に好ましい。
次に、上記のようにして得られたポリエステルフィルムに金属系酸化物層(O層)を設ける。O層の形成方法としては物理蒸着法や化学蒸着法を用いることができる。ポリエステルフィルムへの物理蒸着法には真空蒸着法、スパッタリング法があり、特に熱負荷の観点から真空蒸着法が好ましく、さらに金属蒸気の高エネルギー化が可能な電子ビーム蒸着法が好ましい。
このとき、酸素ガスは、蒸着源の真横から金属蒸気の流れる方向と同じ方向に供給することが好ましい。金属蒸気の流れる方向と同じ方向に供給することで、酸素ガスによる金属蒸気の乱れが少なくなり、所望の厚みに制御し易くなり、O層内の酸素濃度を均質にできる。また、酸素ガスと金属蒸気の反応空間が大きくなるため、ポリエステルフィルム上に達するまでに酸化反応が完了し、安定した構造欠陥のない蒸着膜を製膜することが可能となり、寸法安定性が向上する。また、O層は金属系酸化物を直接蒸着してもよい。しかし、金属系酸化物は融点や沸点が高いためるつぼからの輻射熱で真空蒸着機内が高温化し、ポリエステルフィルムが熱ダメージをうける可能性がある。
さらに、上記のようにして得られた積層体に金属層(M層)を設ける。M層の形成方法としては物理蒸着法や化学蒸着法を用いることができる。ポリエステルフィルムへの物理蒸着法には真空蒸着法、スパッタリング法があり、特に熱負荷の観点から真空蒸着法が好ましく、さらに金属蒸気の高エネルギー化が可能な電子ビーム蒸着法が好ましい。さらに、O層上にM層を成膜する場合、O層を成膜後2日以上、特定の環境下でエージングしてから成膜することが好ましい。O層成膜後のエージング条件としては、温度は20〜40℃、より好ましくは25〜35℃、湿度は40〜70%RH、より好ましくは45〜65%RHである。エージング時間は2日以上が好ましく、さらに好ましくは3日以上である。エージングは長時間行う方が好ましいが生産性の観点から14日以下が好ましい。エージングを行うと酸素と金属の反応が安定し、M層を成膜する際にO層からの酸素の脱離やその酸素によるM層の酸化などの問題が回避できる。
積層体のヤング率は、O層やM層を構成する金属成分の種類や層厚みによって制御できる。特にO層自体の強度高いほど影響が大きく、膜厚を厚くすることで積層体のヤング率を高めることができる。
積層体の温度膨張係数はO層やM層を構成する金属成分の種類や層厚みによって制御できる。特にO層は温度膨張係数を低下させ、M層は増加させる。
積層体の湿度膨張係数はO層やM層を構成する金属成分の種類や層厚みによって制御できる。特にM層の厚みによって大幅に低下する。
なお、本発明においては、ポリエステルフィルムやそのポリエステルフィルムを用いて得られた積層体に、必要に応じて、熱処理、マイクロ波加熱、成形、表面処理(コロナ処理・プラズマ処理)、ラミネート、コーティング、印刷、エンボス加工、エッチング、などの任意の加工を行ってもよい。
以下、本発明の支持体の製造方法について、ポリエチレンテレフタレート(PET)をポリエステルとして用いた例を代表例として説明する。もちろん、本願はPETフィルムを用いた支持体に限定されるものではなく、他のポリマーを用いたものものでもよい。例えば、ガラス転移温度や融点の高いポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートなどを用いてポリエステルフィルムを構成する場合は、以下に示す温度よりも高温で押出や延伸を行えばよい。
まず、ポリエチレンテレフタレートを準備する。ポリエチレンテレフタレートは、次のいずれかのプロセスで製造される。すなわち、(1)テレフタル酸とエチレングリコールを原料とし、直接エステル化反応によって低分子量のポリエチレンテレフタレートまたはオリゴマーを得、さらにその後の三酸化アンチモンやチタン化合物を触媒に用いた重縮合反応によってポリマーを得るプロセス、(2)ジメチルテレフタレートとエチレングリコールを原料とし、エステル交換反応によって低分子量体を得、さらにその後の三酸化アンチモンやチタン化合物を触媒に用いた重縮合反応によってポリマーを得るプロセスである。ここで、エステル化は無触媒でも反応は進行するが、エステル交換反応においては、通常、マンガン、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、リチウム、チタン等の化合物を触媒に用いて進行させ、またエステル交換反応が実質的に完結した後に、該反応に用いた触媒を不活性化する目的で、リン化合物を添加する場合もある。
フィルムを構成するポリエステルに不活性粒子を含有させる場合には、エチレングリコールに不活性粒子を所定割合にてスラリーの形で分散させ、このエチレングリコールを重合時に添加する方法が好ましい。不活性粒子を添加する際には、例えば、不活性粒子の合成時に得られる水ゾルやアルコールゾル状態の粒子を一旦乾燥させることなく添加すると粒子の分散性がよい。また、不活性粒子の水スラリーを直接PETペレットと混合し、ベント式二軸混練押出機を用いて、PETに練り込む方法も有効である。不活性粒子の含有量を調節する方法としては、上記方法で高濃度の不活性粒子のマスターペレットを作っておき、それを製膜時に不活性粒子を実質的に含有しないPETで希釈して不活性粒子の含有量を調節する方法が有効である。
次に、得られたPETのペレットを、180℃で3時間以上減圧乾燥した後、固有粘度が低下しないように窒素気流下あるいは減圧下で、270〜320℃に加熱された押出機に供給し、スリット状のダイから押出し、キャスティングロール上で冷却して未延伸フィルムを得る。この際、異物や変質ポリマーを除去するために各種のフィルター、例えば、焼結金属、多孔性セラミック、サンド、金網などの素材からなるフィルターを用いることが好ましい。また、必要に応じて、定量供給性を向上させるためにギアポンプを設けてもよい。フィルムを積層する場合には、2台以上の押出機およびマニホールドまたは合流ブロックを用いて、複数の異なるポリマーを溶融積層する。
次に、この未延伸フィルムを同時二軸延伸テンターに導いて、長手および幅方向に同時に二軸延伸を行う。延伸速度は長手、幅方向ともに100〜20,000%/分の範囲で行うのが好ましい。より好ましくは、500〜10,000%/分、さらに好ましくは2,000〜7,000%/分である。延伸速度が100%/分よりも小さい場合には、フィルムが熱にさらされる時間が長くなるため、特にエッジ部分が結晶化して延伸破れの原因となり製膜性が低下したり、十分に分子配向が進まず、製造したフィルムのヤング率が低下したりすることがある。また、20,000%/分よりも大きい場合には、延伸時点で分子間の絡み合いが生成しやすくなり、延伸性が低下して、高倍率の延伸が困難となることがある。
また、1段目の延伸温度は、用いるポリマーの種類によって異なるが、未延伸フィルムのガラス転移温度Tgを目安として決めることができる。長手方向および幅方向それぞれの1段目の延伸工程における温度は、Tg〜Tg+30℃の範囲であることが好ましく、より好ましくはTg+5℃〜Tg+20℃である。上記範囲より延伸温度が低い場合には、フィルム破れが多発して生産性が低下したり、再延伸性が低下したりして、高倍率に安定して延伸することが困難となることがある。また、上記範囲よりも延伸温度が高い場合には、特にエッジ部分が結晶化して延伸破れの原因となり製膜性が低下したり、十分に分子配向が進まず、製造したフィルムのヤング率が低下したりすることがある。
延伸倍率は、用いるポリマーの種類や延伸温度によって異なり、また多段延伸の場合も異なるが、総面積延伸倍率(総縦延伸倍率×総横延伸倍率)が、20〜40倍の範囲になるようにすることが好ましい。より好ましくは25〜35倍である。長手方向、幅方向の一方向の総延伸倍率としては、2.5〜8倍が好ましく、より好ましくは、3〜7倍である。延伸倍率が上記範囲より小さい場合には、延伸ムラなどが発生しフィルムの加工適性が低下することがある。また、延伸倍率が上記範囲より大きい場合には、延伸破れが多発して、生産性が低下する場合がある。なお、各方向に関して延伸を多段で行う場合、1段目の長手、幅方向それぞれにおける延伸倍率は、2.5〜5倍が好ましく、より好ましくは3〜4倍である。また、1段目における好ましい面積延伸倍率は8〜16倍であり、より好ましくは、9〜14倍である。これらの延伸倍率の値は、特に同時二軸延伸法を採用する場合に好適な値であるが、逐次二軸延伸法でも適用できる。
本発明のポリエステルフィルムの製造方法が多段延伸、すなわち再延伸工程を含む場合、2段目の延伸温度はTg+40℃〜Tg+120℃が好ましく、さらに好ましくはTg+60℃〜Tg+100℃である。(なお、3段の延伸を行う場合、2段目の延伸温度としては上記温度範囲の中でも比較的低い延伸温度とする方がよい)。延伸温度が上記範囲を外れる場合には、熱量不足や結晶化の進みすぎによって、フィルム破れが多発して生産性が低下したり、十分に配向を高めることができず、強度が低下する場合がある。さらに3段目の延伸を行う場合には、3段目の延伸温度は2段目の延伸温度よりも高く、後述する熱処理の温度よりも低いことが好ましい。なお、3段目の延伸を行うとはヤング率や熱的寸法安定性が向上し易い。
また、再延伸を行う場合の一方向における延伸倍率は、1.05〜2.5倍が好ましく、より好ましくは1.2〜1.8倍である。再延伸の面積延伸倍率としては、1.4〜4倍が好ましく、より好ましくは1.9〜3倍である。さらに3段目の延伸を行う場合には、3段目の延伸倍率(一方向)は、1.05〜1.2倍が好ましく、面積延伸倍率は1.1〜1.4が好ましい。
続いて、この延伸フィルムを緊張下または幅方向に弛緩しながら熱処理する。熱処理条件は、ポリマーの種類によっても異なるが、熱処理温度は、150℃〜230℃が好ましく、熱処理時間は0.5〜10秒の範囲で行うのが好ましい。さらに、蒸着適性を向上させるために、熱処理温度は160℃〜190℃の比較的低温で行うことが好ましく、熱処理時間も0.5〜2秒の比較的短時間で行うことが好ましい。こうすることでポリエステルフィルムの冷却ドラムへの密着性が向上し、熱によるシワや破れなどを回避することができる。
次に、上記のようにして得られたポリエステルフィルムに金属系酸化物層(O層)と金属層(M層)を設ける方法を説明する。
ポリエステルフィルム表面にO層を形成するには、たとえば図2に示すような真空蒸着装置を用いる。この真空蒸着装置11においては、真空チャンバ12の内部をポリエステルフィルムが巻出しロール部13から冷却ドラム16を経て巻取りロール部18へと走行する。そのときに、るつぼ23内の金属材料19を電子銃20から照射した電子ビーム21で加熱蒸発させるとともに、酸素供給ノズル24から酸素ガスを導入し、蒸発した金属を酸化反応させながら冷却ドラム16上のポリエステルフィルムに蒸着する。なお、この真空蒸着装置11は、酸化度を容易に制御できるように、酸素供給ノズル24を蒸着源であるるつぼ23の真横に設置し、かつ、金属蒸気と酸素ガスとが同じ方向に流れるようにしている。その結果、金属蒸気と酸素ガスとの反応空間も大きくなっている。
ここで、真空チャンバ12の内部は1.0×10−8〜1.0×10Paに減圧することが好ましい。さらに緻密で劣化部分の少ないO層を形成させるために好ましくは、1.0×10−6〜1.0×10−1Paに減圧することが好ましい。
冷却ドラム16は、その表面温度を−40〜60℃の範囲内にすることが好ましい。より好ましくは−35〜30℃、さらに好ましくは−30〜0℃である。
電子ビーム21は、その出力が2.0〜8.0kWの範囲内のもので行うのが好ましい。より好ましくは3.0〜7.0kW、さらに好ましくは4.0〜6.0kWの範囲内である。なお、直接ルツボを加熱することで金属材料19を加熱蒸発させてもよい。
酸素ガスは、ガス流量制御装置26を用いて0.5〜20L/minの流量で真空チャンバ12内部に導入する。より好ましくは1.5〜15L/min、さらに好ましくは2.0〜10L/minである。
真空チャンバ12の内部におけるポリエステルフィルムの搬送速度は20〜200m/minが好ましい。より好ましくは30〜100m/min、さらに好ましくは40〜80m/minである。真空チャンバ12の内部におけるポリエステルフィルムの搬送張力は50〜150N/mが好ましい。より好ましくは70〜120N/m、さらに好ましくは80〜100N/mである。
上記成膜条件の範囲外であると熱による破れやシワが発生し、生産性が損なわれる。また、金属蒸気と酸素ガスとが不充分な反応状態で成膜されやすく、不完全な構造のO層となってしまう。
蒸着後、O層を安定化させ、緻密性を高めるためには、真空蒸着装置内を常圧に戻して、巻取ったフィルムをエージングすることが好ましい。エージング条件としては、温度は20〜40℃、より好ましくは25〜35℃、湿度は40〜70%RH、より好ましくは45〜65%RHである。エージング時間は2日以上が好ましく、さらに好ましくは3日以上である。エージングは長時間行う方が好ましいが生産性の観点から14日以下が好ましい。エージングを行うと酸素と金属の反応が安定し、M層を成膜する際にO層からの酸素の脱離やその酸素によるM層の酸化などの問題が回避できる。
次に、M層を形成する。たとえばO層と同様の図2に示すような真空蒸着装置を用いる。M層を成膜するときは、O層の成膜条件よりも張力を高めに設定するのが好ましい。O層が設けられることによって強度が上がるため、冷却ドラムに密着させるために張力を上げる必要がある。搬送張力は70〜200N/mが好ましい。より好ましくは90〜150N/m、さらに好ましくは100〜130N/mである。その他の好ましい成膜条件はO層の成膜条件と同様である。
次に、強磁性金属薄膜型磁気記録媒体を製造する方法を説明する。上記のようにして得られた積層体の表面に、真空蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング等の方法により、鉄、コバルト、ニッケル、クロムまたはこれらを主成分とする合金もしくは酸化物よりなる強磁性金属薄膜層を形成し、必要により逆面に種々の方法でバックコート層を設けることにより磁気記録媒体とすることができる。強磁性金属薄膜層の厚みは20〜300nmであることが好ましい。強磁性金属薄膜層はA面側にあることが好ましい。
また、上記強磁性金属薄膜層の表面にさらに、目的、用途、必要に応じてダイヤモンドライクカーボン(DLC)などの保護層を設ける。M層がある面へ保護層を設ける場合、M層に導電性があるため安定してDLC層が設けられる。さらに含フッ素カルボン酸系潤滑層を順次設けることにより、環境変化による寸法変化が少なく、高湿度下でも保存が可能で、走行中にクラック発生のない耐久性の優れた高密度記録用蒸着型磁気記録媒体とすることができる。
また、本発明の積層体は塗布型磁気記録媒体用支持体としても使用できる。塗布型磁気記録媒体の製造方法は上記のようにして得られた積層体を、たとえば0.1〜3m幅にスリットし、速度20〜300m/min、張力50〜300N/mで搬送しながら、一方の面に磁性塗料および非磁性塗料をエクストルージョンコーターにより重層塗布する。なお、上層に磁性塗料を厚み0.1〜0.3μmで塗布し、下層に非磁性塗料を厚み0.5〜1.5μmで塗布する。その後、磁性塗料および非磁性塗料が塗布された支持体を磁気配向させ、温度80〜130℃で乾燥させる。次いで、反対側の面にバックコートを厚み0.3〜0.8μmで塗布し、カレンダー処理した後、巻き取る。なお、カレンダー処理は、小型テストカレンダー装置(スチール/ナイロンロール、5段)を用い、温度70〜120℃、線圧0.5〜5kN/cmで行う。その後、60〜80℃にて24〜72時間エージング処理し、1/2インチ(1.27cm)幅にスリットし、パンケーキを作製する。次いで、このパンケーキから特定の長さ分をカセットに組み込んで、カセットテープ型磁気記録媒体とする。
ここで、磁性塗料などの組成は例えば以下のような組成が挙げられる。
(磁性塗料の組成)
・強磁性金属粉末 : 100質量部
・変成塩化ビニル共重合体 : 10質量部
・変成ポリウレタン : 10質量部
・ポリイソシアネート : 5質量部
・2−エチルヘキシルオレート : 1.5質量部
・パルミチン酸 : 1質量部
・カーボンブラック : 1質量部
・アルミナ : 10質量部
・メチルエチルケトン : 75質量部
・シクロヘキサノン : 75質量部
・トルエン : 75質量部
(バックコートの組成)
・カーボンブラック(平均粒径20nm) : 95質量部
・カーボンブラック(平均粒径280nm): 10質量部
・アルミナ : 0.1質量部
・変成ポリウレタン : 20質量部
・変成塩化ビニル共重合体 : 30質量部
・シクロヘキサノン : 200質量部
・メチルエチルケトン : 300質量部
・トルエン : 100質量部
強磁性金属薄膜型磁気記録媒体は、例えば、データ記録用途、具体的にはコンピュータデータのバックアップ用途(LTO5やLTO6など)や映像などのデジタル画像の記録用途などに好適に用いることができる。
(物性の測定方法ならびに効果の評価方法)
本発明における特性値の測定方法並びに効果の評価方法は次の通りである。例えば、磁気テープから本願の支持体を取り出すためには、メチルエチルケトンを用いて磁性層、バックコート層を拭き剥がすことで評価が可能となる。メチルエチルケトンで磁性層が剥がれない場合は塩酸で磁性層を除去する。
(1)M層,O層の厚み
下記条件にて断面観察を行い、得られた合計9点の厚み[nm]の平均値を算出し、M層の厚み[nm]とする。
測定装置:透過型電子顕微鏡(TEM) 日立製H−7100FA型
測定条件:加速電圧 100kV
測定倍率:20万倍
試料調整:超薄膜切片法
観察面 :TD−ZD断面
測定回数:1視野につき3点、3視野を測定する。
(2)組成分析
下記条件にて、深さ方向の組成分析を行う。金属元素濃度が90at%以上の部分をM層とし、酸素濃度が10at%より大きい部分で金属元素濃度が検出される場合をO層とする。
測定装置:X線光電子分光機 Quantera−SXM 米国PHI社製
励起X線:monochromatic AlKα1,2線(1486.6eV)
X線径 :100[μm]
光電子脱出角度:45°
ラスター領域:2×2[mm]
Arイオンエッチング: 2.0[kV] 1.5×10−7[Torr]
スパッタ速度:3.68nm/min(SiO換算値)
データ処理:9−point smoothing
ピークの結合エネルギー値から元素情報が得られ、各ピークの面積比を用いて組成を定量化(at.%)する。
(3)表面抵抗率
表面抵抗率の範囲によって、測定可能な装置が異なるため、まずi)の方法で測定を行い、表面抵抗率が高すぎて測定不可能なサンプルをii)の方法で測定する。5回の測定結果の平均値を本発明における表面抵抗率とする。
i)低抵抗率測定
JIS−K7194(1994)に準拠し、下記測定装置を用いて測定する。
測定装置:ロレスターEP MCP−T360 三菱化学製
測定環境:温度23℃湿度65%RH
測定回数:5回測定する。
ii)高抵抗率測定 JIS−C2151(1990)に準拠し、下記測定装置を用いて測定する。
測定装置:デジタル超高抵抗/微小電流計R8340 アドバンテスト(株)製
印加電圧:100V
印加時間:10秒間
測定単位:Ω
測定環境:温度23℃湿度65%RH
測定回数:5回測定する。
(4)中心線平均粗さRa
触針式表面粗さ計を用いて下記条件にて中心線平均粗さRaを測定する。フィルム幅方向に20回走査して測定を行い、得られた結果の平均値を本発明における中心線平均粗さRaとする。
測定装置 :小坂研究所製高精度薄膜段差測定器ET−10
触針先端半径:0.5μm
触針荷重 :5mg
測定長 :1mm
カットオフ値:0.08mm
測定環境 :温度23℃湿度65%RH
(5)温度膨張係数
フィルムの幅方向に対して、下記条件にて測定を行い、3回の測定結果の平均値を本発明における温度膨張係数とする。
・測定装置:島津製作所製熱機械分析装置TMA−50
・試料サイズ:フィルム長手方向10mm×フィルム幅方向12.6mm
・荷重:0.5g
・測定回数:3回
・測定温度:窒素をフローした状態で温度25℃から昇温速度2℃/分で温度50℃まで昇温して、5分間保持した後、温度25℃まで降温速度2℃/分で降温し、温度40〜30℃のフィルム幅方向の寸法変化量ΔL(mm)を測定する。次式から温度膨張係数(ppm/℃)を算出する。
・温度膨張係数(ppm/℃)=10×{(ΔL/12.6)/(40−30)}
(6)湿度膨張係数
フィルムの幅方向に対して、下記条件にて測定を行い、3回の測定結果の平均値を本発明における湿度膨張係数とする。
・測定装置:島津製作所製熱機械分析装置TMA−50(湿度発生器:アルバック理工製湿度雰囲気調節装置HC−1)
・試料サイズ:フィルム長手方向10mm×フィルム幅方向12.6mm
・荷重:0.5g
・測定回数:3回
・測定温度:30℃
・測定湿度:40%RHで6時間保持し寸法を測定し時間40分で80%RHまで昇湿し、80%RHで6時間保持したあと支持体幅方向の寸法変化量ΔL(mm)を測定する。次式から湿度膨張係数(ppm/%RH)を算出する。
湿度膨張係数[ppm/%RH]=10×{(ΔL/200)/(80−40)}
(7)ヤング率
ASTM−D882(1997年)に準拠して支持体のヤング率を測定する。なお、インストロンタイプの引張試験機を用い、条件は下記のとおりとする。5回の測定結果の平均値を本発明におけるヤング率とする。
・測定装置:インストロン社製超精密材料試験機MODEL5848
・試料サイズ:
支持体幅方向のヤング率測定の場合
支持体長手方向2mm×支持体幅方向12.6mm
(つかみ間隔は支持体幅方向に8mm)
支持体長手方向のヤング率測定の場合
支持体幅方向2mm×支持体長手方向12.6mm
(つかみ間隔は支持体長手方向に8mm)
・引張り速度:1mm/分
・測定環境:温度23℃、湿度65%RH
・測定回数:5回測定し、平均値から算出する。
(8)固有粘度
オルトクロロフェノール中、25℃で測定した溶液粘度から下式に基づいて計算する。
ηsp/C=[η]+K[η]・C
ここで、ηsp=(溶液粘度/溶媒粘度)−1、Cは溶媒100mlあたりの溶解ポリマー重量(g/100ml、通常1.2)、Kはハギンス定数(0.343とする)である。また、溶液粘度、溶媒粘度はオストワルド粘度計を用いて測定する。
(9)ガラス転移温度(Tg)
下記装置および条件で比熱測定を行い、JIS K7121(1987)に従って決定する。
装置 :TA Instrument社製温度変調DSC
測定条件:
加熱温度 :270〜570K(RCS冷却法)
温度校正 :高純度インジウムおよびスズの融点
温度変調振幅:±1K
温度変調周期:60秒
昇温ステップ:5K
試料重量 :5mg
試料容器 :アルミニウム製開放型容器(22mg)
参照容器 :アルミニウム製開放型容器(18mg)
なお、ガラス転移温度は下記式により算出する。
ガラス転移温度=(補外ガラス転移開始温度+補外ガラス転移終了温度)/2
(10)幅寸法測定
磁気記録媒体用支持体の一方の表面に以下の蒸着条件で強磁性金属薄膜層を形成する。
(蒸着条件)
・金属磁性材料:Co100wt%
・入射角 :45°〜10°
・導入ガス :酸素ガス
・酸素導入量 :3.3×10-63 /sec
・蒸着時真空度:2.0×10-2Pa
・磁性層膜厚:60nm
次に、強磁性金属薄膜層上に保護層として、プラズマCVD法によって、以下の条件により、ダイヤモンドライクカーボン層を形成する。
(保護層成膜条件)
・反応ガス :トルエン
・反応ガス圧 :10Pa
・導入電力 :直流(DC)1.5kV
・保護層膜厚:10nm
さらに、強磁性金属薄膜層を設けた面とは逆側の表面上に走行安定性を付与する目的で下記の組成のバックコート層を厚み0.4μm塗布する。
(バックコートの組成)
・カーボンブラック(平均粒径20nm) : 95質量部
・カーボンブラック(平均粒径280nm): 10質量部
・アルミナ : 0.1質量部
・変成ポリウレタン : 20質量部
・変成塩化ビニル共重合体 : 30質量部
・シクロヘキサノン : 200質量部
・メチルエチルケトン : 300質量部
・トルエン : 100質量部
上記のように作製したテープ原反を1/2インチ(12.65mm)幅にスリットし、パンケーキを作成する。次いで、このパンケーキから長さ200m分をカセットに組み込んで、カセットテープとする。
カセットテープのカートリッジからテープを取り出し、下記恒温恒湿槽内へ図1のように作製したシート幅測定装置を入れ、幅寸法測定を行う。なお、図1に示すシート幅測定装置は、レーザーを使って幅方向の寸法を測定する装置で、磁気テープ9をフリーロール5〜8上にセットしつつ荷重検出器3に固定し、端部に荷重となる分銅4を吊す。この磁気テープ9にレーザー光10を発振すると、レーザー発振器1から幅方向に線状に発振されたレーザー光10が磁気テープ9の部分だけ遮られ、受光部2に入り、その遮られたレーザーの幅が磁気テープの幅として測定される。3回の測定結果の平均値を本発明における幅とする。
測定装置:(株)アヤハエンジニアリング社製シート幅測定装置
レーザー発振器1、受光部2:レーザー寸法測定機 キーエンス社製LS−5040
荷重検出器3:ロードセル NMB社製CBE1−10K
恒温恒湿槽:(株)カトー社製SE−25VL−A
荷重4:分銅(長手方向)
試料サイズ:幅12.65mm×長さ250mm
保持時間:12時間
測定回数:3回測定する。
(幅寸法変化率)
2つの条件でそれぞれ幅寸法(l、l、l、l、l、l)を測定し、次式にて寸法変化率を算出する。次の基準で寸法安定性を評価する。×を不合格とする。
A条件:10℃10%RH 張力0.7N
B条件:40℃10%RH 張力0.7N
C条件:29℃10%RH 張力0.7N
D条件:29℃80%RH 張力0.7N
E条件:10℃10%RH 張力0.6N
F条件:10℃10%RH 張力0.9N
・温度寸法変化率CTE[ppm]=|10×((l−l)/l)−210|
(−210は磁気ヘッドが温度膨張する量の換算値)
・湿度寸法変化率CHE[ppm]=|10×((l−l)/l)|
・張力寸法変化率T[ppm]=|10×((l−l)/l)|
・幅寸法変化率[ppm]=CTE+CHE+T
◎:幅寸法変化率が0[ppm]以上300[ppm]未満
○:幅寸法変化率が300[ppm]以上500[ppm]未満
△:幅寸法変化率が500[ppm]以上700[ppm]未満
×:幅寸法変化率が700[ppm]以上
(11)高湿保存性
上記(10)で作製したカセットテープを下記条件にて高湿度保管を行った。保管後、テープを観察し、さらに市販のIBM社製LTOドライブ3580−L11を用いて23℃50%RHの環境で記録・再生を行い、次の基準で評価した。
高湿度保管条件:40℃80%RH3日間
○:テープの外観に変化がなく、問題なく使用できる。
△:テープの一部が腐食で脆くなるが、使用はできる。
×:テープの全体が腐食で脆くなり、磁性層などがボロボロになり使用できない。
(12)DLC工程適性
上記(10)で強磁性金属薄膜型磁気記録媒体を作製する際のDLC工程で保護膜層を10nm形成するための積層体の搬送速度からDLC工程適性を評価した。
○:50m/min以上
△:30m/min以上50m/min未満
×:30m/min未満またはDLCが安定して付着しない
(13)走行耐久性
上記(10)で作製したカセットテープを、市販のIBM社製LTOドライブ3580−L11を用いて、100時間走行させ、次の基準でテープの走行耐久性を評価した。
○:テープ端面の伸び、折れ曲がりがなく、削れ跡が見られない。
△:テープ端面の伸び、折れ曲がりはないが、一部削れ跡が見られる。
×:テープ端面の一部が伸び、ワカメ状の変形が見られ、削れ跡が見られる。
(14)エラーレート
上記(10)で作製したカセットテープを、市販のIBM社製LTOドライブ3580−L11を用いて23℃50%RHの環境で記録・再生(記録波長0.55μm)することで評価する。エラーレートはドライブから出力されるエラー情報(エラービット数)から次式にて算出する。次の基準で寸法安定性を評価する。×を不合格とする。
エラーレート=(エラービット数)/(書き込みビット数)
◎:エラーレートが1.0×10−6未満
○:エラーレートが1.0×10−6以上、1.0×10−5未満
△:エラーレートが1.0×10−5以上、1.0×10−4未満
×:エラーレートが1.0×10−4以上
次の実施例に基づき、本発明の実施形態を説明する。なお、ここでポリエチレンテレフタレートをPET、ポリ(エチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート)をPENと表記する。また、M層、O層はポリエステルフィルムのA面側にある層をM1層、O1層と表記し、B面側にある層をM2層、O2層と表記する。
(参考例1)
テレフタル酸ジメチル194質量部とエチレングリコール124質量部とをエステル交換反応装置に仕込み、内容物を140℃に加熱して溶解した。その後、内容物を撹拌しながら酢酸マグネシウム4水塩0.1質量部および三酸化アンチモン0.05質量部を加え、140〜230℃でメタノールを留出しつつエステル交換反応を行った。次いで、リン酸トリメチルの5質量%エチレングリコール溶液を1質量部(リン酸トリメチルとして0.05質量部)添加した。
トリメチルリン酸のエチレングリコール溶液を添加すると反応内容物の温度が低下する。そこで余剰のエチレングリコールを留出させながら反応内容物の温度が230℃に復帰するまで撹拌を継続した。このようにしてエステル交換反応装置内の反応内容物の温度が230℃に達したら、反応内容物を重合装置へ移行した。
移行後、反応系を230℃から290℃まで徐々に昇温するとともに、圧力を0.1kPaまで下げた。最終温度、最終圧力到達までの時間はともに60分とした。最終温度、最終圧力に到達した後、2時間(重合を始めて3時間)反応させたところ、重合装置の撹拌トルクが所定の値(重合装置の仕様によって具体的な値は異なるが、本重合装置にて固有粘度0.62のポリエチレンテレフタレートが示す値を所定の値とした)を示した。そこで反応系を窒素パージし常圧に戻して重縮合反応を停止し、冷水にストランド状に吐出、直ちにカッティングして固有粘度0.62のポリエチレンテレフタレートのPETペレットXを得た。
(参考例2)
280℃に加熱された同方向回転タイプのベント式2軸混練押出機に、参考例1にて作製したPETペレットXを98質量部と平均径0.3μmの球状架橋ポリスチレン粒子の10質量%水スラリーを20質量部(球状架橋ポリスチレンとして2質量部)供給し、ベント孔を1kPa以下の減圧度に保持し水分を除去し、平均径0.3μmの球状架橋ポリスチレン粒子を2質量%含有する固有粘度0.62のPETペレットYを得た。
(参考例3)
平均径0.3μmの球状架橋ポリスチレン粒子ではなく平均径0.8μmの球状架橋ポリスチレン粒子を用いたこと以外、参考例2と同様の方法にて、平均径0.8μmの球状架橋ポリスチレン粒子を2質量%含有する固有粘度0.62のPETペレットZを得た。
(参考例4)
2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチル100質量部とエチレングリコール60質量部の混合物に、酢酸マンガン・4水和物塩0.03質量部を添加し、150℃の温度から240℃の温度に徐々に昇温しながらエステル交換反応を行った。途中、反応温度が170℃に達した時点で三酸化アンチモン0.024質量部を添加した。また、反応温度が220℃に達した時点で3,5−ジカルボキシベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩0.042質量部(2mmol%に相当)を添加した。その後、引き続いてエステル交換反応を行い、トリメチルリン酸0.023質量部を添加した。次いで、反応生成物を重合装置に移し、290℃の温度まで昇温し、30Paの高減圧下にて重縮合反応を行い、重合装置の撹拌トルクが所定の値(重合装置の仕様によって具体的な値は異なるが、本重合装置にて固有粘度0.65のポリエチレン−2,6−ナフタレートが示す値を所定の値とした)を示した。そこで反応系を窒素パージし常圧に戻して重縮合反応を停止し、冷水にストランド状に吐出、直ちにカッティングして固有粘度0.65のポリエチレン−2,6−ナフタレートペレットX’を得た。
(参考例5)
280℃に加熱された同方向回転タイプのベント式2軸混練押出機に、参考例4にて作製したペレットX’を98質量部と平均径0.3μmの球状架橋ポリスチレン粒子の10質量%水スラリーを20質量部(球状架橋ポリスチレンとして2質量部)供給し、ベント孔を1kPa以下の減圧度に保持し水分を除去し、平均径0.3μmの球状架橋ポリスチレン粒子を2質量%含有する固有粘度0.65のPENペレットY’を得た。
(参考例6)
平均径0.3μmの球状架橋ポリスチレン粒子ではなく平均径0.8μmの球状架橋ポリスチレン粒子を用いたこと以外、参考例5と同様の方法にて、平均径0.8μmの球状架橋ポリスチレン粒子を2質量%含有する固有粘度0.65のPENペレットZ’を得た。
(実施例1)
押出機M、N2台を用い、280℃に加熱された押出機Mには、参考例1、2で得られたPETペレットX98.5質量部、PETペレットY1.5質量部を180℃で3時間減圧乾燥した後に供給し、同じく280℃に加熱された押出機Nには、参考例1〜3で得られたPETペレットX90.5質量部、PETペレットY9質量部、およびPETペレットZ0.5質量部を180℃で3時間減圧乾燥した後に供給した。これらを2層積層するべくTダイ中で合流させ(積層比M(A面側)/N(B面側)=7/1)、表面温度25℃のキャストドラムに静電荷を印加させながら密着冷却固化し、積層未延伸フィルムを作製した。
この積層未延伸フィルムを、リニアモータ式クリップを有する同時二軸テンターを用いて、二軸延伸した。長手方向および幅方向に同時に、温度90℃、延伸速度6,000%で3.5倍×3.5倍延伸し、70℃まで冷却した。続いて、温度165℃で長手方向および幅方向に同時に1.4×1.4倍に再延伸した。さらに幅方向に1.05倍の延伸を行いながら温度175℃で1秒間熱処理後、幅方向に2%の弛緩処理を行い、厚さ5μmの二軸配向ポリエステルフィルムを作製した。
次に、図2に示す真空蒸着装置11の巻出しロール部13に得られたポリエステルフィルムをセットし、1.5×10−3Paの減圧度にした後に、−20℃の冷却ドラム16を介してポリエステルフィルムを搬送速度60m/min、搬送張力100Nで走行させた。このとき、99.99質量%のアルミニウムを電子ビーム(出力3.1kW)で加熱蒸発させ、さらに蒸発源であるるつぼ23の真横に設置した酸素供給ノズル24から酸素ガスを2.0L/minで金属蒸気と同じ方向に供給し、酸化アルミニウムの蒸着薄膜層(O2層;厚み60nm)をフィルムのB面側に形成して巻取った。片面を蒸着した後、同様の方法にてA面側に酸化アルミニウムの蒸着薄膜層(O1層;厚み60nm)をA面側に形成し巻き取った。真空蒸着装置内を常圧に戻して、巻取ったフィルムを30℃60%RHの環境で7日間エージングした。
さらに、図2に示す真空蒸着装置11の巻出しロール部13に得られたポリエステルフィルムをセットし、1.5×10−3Paの減圧度にした後に、−20℃の冷却ドラム16を介してO層が形成されたフィルムを搬送速度60m/min、搬送張力120Nで走行させた。このとき、99.99質量%の銅を電子ビーム(出力4.1kW)で加熱蒸発させ、銅の蒸着薄膜層(M2層;厚み60nm)をフィルムのB面側に形成して巻取った。片面を蒸着した後、同様の方法にてA面側に銅の蒸着薄膜層(M1層;厚み60nm)をA面側に形成し巻き取った。
得られた積層体を評価したところ、表1〜3に示すように、ポリエステルフィルム層と金属層(M層)と金属系酸化物層(O層)を少なくともそれぞれ1層含んでいるため本発明の範囲内であったため磁気テープとして使用した際に優れた特性を有していた。
(実施例2)
M2層を設けないこと以外は実施例1と同様の方法にて積層体を得た。得られた積層体は表1〜3に示すように磁気テープとして使用した際に優れた特性を有していた。
(実施例3)
O1層、M2層を設けないこと以外は実施例1と同様の方法にて積層体を得た。得られた積層体は表1〜3に示すように磁気テープとして使用した際に優れた特性を有していた。
(実施例4)
O2層、M2層を設けないこと以外は実施例1と同様の方法にて積層体を得た。得られた積層体は表1〜3に示すように磁気テープとして使用した際に優れた特性を有していた。
(実施例5)
M1層を設けないこと以外は実施例1と同様の方法にて積層体を得た。得られた積層体は表1〜3に示すように磁気テープとして使用した際に優れた特性を有していた。
(実施例6)
O2層、M1層を設けないこと以外は実施例1と同様の方法にて積層体を得た。得られた積層体は表1〜3に示すように磁気テープとして使用した際に優れた特性を有していた。
(実施例7)
O1層、M1層を設けないこと以外は実施例1と同様の方法にて積層体を得た。得られた積層体は表1〜3に示すように磁気テープとして使用した際に優れた特性を有していた。
(実施例8)
押出条件を制御してポリエステルフィルムの厚みを6.5μmにしたこと以外は実施例1と同様の方法にて積層体を得た。得られた積層体は表1〜3に示すように磁気テープとして使用した際に優れた特性を有していた。
(実施例9)
押出条件を制御してポリエステルフィルムの厚みを2.5μmにしたこと以外は実施例1と同様の方法にて積層体を得た。得られた積層体は表1〜3に示すように磁気テープとして使用した際に優れた特性を有していた。
(実施例10)
押出機を2台使わずに、280℃に加熱された押出機Mに、参考例1、2で得られたPETペレットX98.5質量部、PETペレットY1.5質量部を180℃で3時間減圧乾燥した後に供給し、単層で二軸配向ポリエステルフィルムを作製したこと以外は実施例1と同様の方法にて磁気記録媒体用支持体を得た。得られた磁気記録媒体用支持体は表1〜3に示すように磁気テープとして使用した際に優れた特性を有していた。
(実施例11)
押出機を2台使わずに、280℃に加熱された押出機Mに、参考例1〜3で得られたPETペレットX89.5質量部、PETペレットY10質量部およびPETペレットZ0.5質量部を180℃で3時間減圧乾燥した後に供給し、単層で二軸配向ポリエステルフィルムを作製したこと以外は実施例1と同様の方法にて磁気記録媒体用支持体を得た。得られた磁気記録媒体用支持体は表1〜3に示すように磁気テープとして使用した際に優れた特性を有していた。
(実施例12)
290℃に加熱された同方向回転タイプのベント式2軸混練押出機に、参考例1で得られたPETペレットX50質量部とGE Plastics社製のポリエーテルイミド“Ultem1010”(固有粘度0.68)のペレット50質量部を供給し、ブレンドチップ(I)を作製した。
押出機M、N2台を用い、295℃に加熱された押出機Mには、参考例1、2で得られたPETペレットX88質量部、PETペレットY2質量部と、ブレンドチップ(I)10質量部を180℃で3時間減圧乾燥した後に供給し、同じく295℃に加熱された押出機Nには、参考例1〜3で得られたPETペレットX79.5質量部、PETペレットY10質量部、PETペレットZ0.5質量部と、ブレンドチップ(I)10質量部を180℃で3時間減圧乾燥した後に供給した。2層積層するべくTダイ中で合流させ(積層比M(A面側)/N(B面側)=5/1)、表面温度25℃のキャストドラムに静電荷を印加させながら密着冷却固化し、積層未延伸フィルムを作製した。この未延伸フィルムを、リニアモータ式クリップを有する同時二軸テンターを用いて、二軸延伸した。長手方向および幅方向に同時に、温度95℃、延伸速度6,000%で3.5倍×3.5倍延伸し、70℃まで冷却した。続いて、温度170℃で長手方向および幅方向に同時に1.4×1.4倍に再延伸した。さらに幅方向に1.05倍の延伸を行いながら温度175℃で1秒間熱処理後、幅方向に2%の弛緩処理を行い、厚さ5μmの二軸配向ポリエステルフィルムを作製した。
上記したこと以外は実施例1と同様の方法にて積層体を得た。得られた積層体は表1〜3に示すように磁気テープとして使用した際に優れた特性を有していた。
(実施例13)
押出機M、N2台を用い、280℃に加熱された押出機Mには、参考例4、5で得られたPENペレットX’98質量部、PENペレットY’2質量部を180℃で3時間減圧乾燥した後に供給し、同じく280℃に加熱された押出機Nには、参考例4〜6で得られたPENペレットX’89.5質量部、PENペレットY’10質量部、およびPENペレットZ’0.5質量部を180℃で3時間減圧乾燥した後に供給した。これらを2層積層するべくTダイ中で合流させ(積層比M(A面側)/N(B面側)=7/1)、表面温度25℃のキャストドラムに静電荷を印加させながら密着冷却固化し、積層未延伸フィルムを作製した。
また、得られた未延伸フィルムをリニアモータ式クリップを有する同時二軸テンターを用いて、二軸延伸した。長手方向および幅方向に同時に、温度135℃、延伸速度6,000%で4.0倍×4.0倍延伸し、70℃まで冷却した。続いて、温度180℃で長手方向および幅方向に同時に1.2×1.2倍に再延伸した。さらに幅方向に1.05倍の延伸を行いながら温度195℃で1秒間熱処理後、幅方向に2%の弛緩処理を行い、厚さ5μmの二軸配向ポリエステルフィルムを作製した。
上記したこと以外は実施例1と同様の方法にて積層体を得た。得られた積層体は表1〜3に示すように磁気テープとして使用した際に優れた特性を有していた。
(実施例14)
二軸延伸する際の延伸倍率を、1段目3.5倍×3.5倍、2段目1.6倍×1.2倍、3段目幅方向に1.05倍と変更したこと以外は実施例1と同様の方法にて積層体を得た。得られた積層体は表1〜3に示すように磁気テープとして使用した際に優れた特性を有していた。
(実施例15)
二軸延伸する際の延伸倍率を、1段目3.5倍×3.5倍、2段目1.2倍×1.6倍、3段目幅方向に1.05倍と変更したこと以外は実施例1と同様の方法にて積層体を得た。得られた積層体は表1〜3に示すように磁気テープとして使用した際に優れた特性を有していた。
(実施例16)
M1層の蒸着工程での搬送速度を200m/min、電子ビーム出力を2.0kWと変更しM1層の蒸着厚みを5nmにしたこと以外は実施例4と同様の方法にて積層体を得た。得られた積層体は表1〜3に示すように磁気テープとして使用した際に優れた特性を有していた。
(実施例17)
M1層の蒸着工程での搬送速度を20m/min、電子ビーム出力を8.0kWと変更しM1層の蒸着厚みを500nmにしたこと以外は実施例4と同様の方法にて積層体を得た。得られた積層体は表1〜3に示すように磁気テープとして使用した際に優れた特性を有していた。
(実施例18)
M1層の蒸着工程での搬送速度を210m/min、電子ビーム出力を1.9kWと変更しM1層の蒸着厚みを4nmにしたこと以外は実施例4と同様の方法にて積層体を得た。得られた積層体は表1〜3に示すように磁気テープとして使用した際に優れた特性を有していた。
(実施例19)
M1層の蒸着工程での搬送速度を19m/min、電子ビーム出力を8.1kWと変更しM1層の蒸着厚みを510nmにしたこと以外は実施例4と同様の方法にて積層体を得た。得られた積層体は表1〜3に示すように磁気テープとして使用した際に優れた特性を有していた。
(実施例20)
O1層の蒸着工程での搬送速度を200m/min、酸素ガス導入量を0.5L/min、電子ビーム出力を2.0kWと変更しO1層の蒸着厚みを5nmにしたこと以外は実施例4と同様の方法にて積層体を得た。得られた積層体は表1〜3に示すように磁気テープとして使用した際に優れた特性を有していた。
(実施例21)
O1層の蒸着工程での搬送速度を20m/min、酸素ガス導入量を20L/min、電子ビーム出力を8.0kWと変更しO1層の蒸着厚みを500nmにしたこと以外は実施例4と同様の方法にて積層体を得た。得られた積層体は表1〜3に示すように磁気テープとして使用した際に優れた特性を有していた。
(実施例22)
O1層の蒸着工程での搬送速度を210m/min、酸素ガス導入量を0.4L/min、電子ビーム出力を1.9kWと変更しO1層の蒸着厚みを4nmにしたこと以外は実施例4と同様の方法にて積層体を得た。得られた積層体は表1〜3に示すように磁気テープとして使用した際に優れた特性を有していた。
(実施例23)
O1層の蒸着工程での搬送速度を19m/min、酸素ガス導入量を21L/min、電子ビーム出力を8.1kWと変更しO1層の蒸着厚みを510nmにしたこと以外は実施例4と同様の方法にて積層体を得た。得られた積層体は表1〜3に示すように磁気テープとして使用した際に優れた特性を有していた。
(実施例24)
M1層の蒸着工程での金属材料を99.999質量%チタンへ変更し、搬送速度を60m/min、電子ビーム出力を5.0kWとしたこと以外は実施例4と同様の方法にて積層体を得た。得られた積層体は表1〜3に示すように磁気テープとして使用した際に優れた特性を有していた。
(実施例25)
M1層の蒸着工程での金属材料を99.99質量%亜鉛へ変更し、搬送速度を60m/min、電子ビーム出力を1.8kWとしたこと以外は実施例4と同様の方法にて積層体を得た。得られた積層体は表1〜3に示すように磁気テープとして使用した際に優れた特性を有していた。
(実施例26)
O1層の蒸着工程での金属材料を99.99質量%スズへ変更し、搬送速度を60m/min、酸素ガス導入量を2L/min、電子ビーム出力を2.6kWとしたこと以外は実施例4と同様の方法にて積層体を得た。得られた積層体は表1〜3に示すように磁気テープとして使用した際に優れた特性を有していた。
(実施例27)
O1層の蒸着工程での金属材料を99.99質量%亜鉛へ変更し、搬送速度を60m/min、酸素ガス導入量を1.5L/min、電子ビーム出力を2.0kWとしたこと以外は実施例4と同様の方法にて積層体を得た。得られた積層体は表1〜3に示すように磁気テープとして使用した際に優れた特性を有していた。
(実施例28)
O1層の蒸着工程での金属材料を99.9質量%酸化マグネシウムへ変更し、搬送速度を60m/min、電子ビーム出力を6.0kWとしたこと以外は実施例4と同様の方法にて積層体を得た。得られた積層体は表1、2、3に示すように磁気テープとして使用した際に優れた特性を有していた。
(実施例29)
O2層の蒸着工程での金属材料を99.99質量%亜鉛へ変更し、搬送速度を60m/min、酸素ガス導入量を1.5L/min、電子ビーム出力を2.0kWとしたこと以外は実施例2と同様の方法にて積層体を得た。得られた積層体は表1〜3に示すように磁気テープとして使用した際に優れた特性を有していた。
(実施例30)
O1層の蒸着工程での酸素ガス導入量を1.0L/minを変更しO1層の表面抵抗率が1×10Ωになるように酸化状態を制御にしたこと以外は実施例4と同様の方法にて積層体を得た。得られた積層体は表1〜3に示すように磁気テープとして使用した際に優れた特性を有していた。
(実施例31)
O1層、O2層の蒸着工程での酸素ガス導入量を1.0L/minを変更しO1層、O2層の表面抵抗率が1×10Ωになるように酸化状態を制御にしたこと以外は実施例2と同様の方法にて積層体を得た。得られた積層体は表1〜3に示すように磁気テープとして使用した際に優れた特性を有していた。
(実施例32)
O1層、O2層の蒸着工程での酸素ガス導入量を1.0L/minを変更しO1層、O2層の表面抵抗率が1×10Ωになるように酸化状態を制御にしたこと以外は実施例1と同様の方法にて積層体を得た。得られた積層体は表1〜3に示すように磁気テープとして使用した際に優れた特性を有していた。
(比較例1)
M1、2層とO1、2層を形成しないこと以外は実施例1と同様の方法にて積層体を得た。得られた積層体は金属層、金属系酸化物層を持たず、また、表1〜3に示すように磁気テープとして使用した際に劣る特性であった。
(比較例2)
M2層とO1、2層を形成しないこと以外は実施例1と同様の方法にて積層体を得た。得られた積層体は金属系酸化物層を持たず、また、表1〜3に示すように磁気テープとして使用した際に劣る特性であった。
(比較例3)
M1、2層とO2層を形成しないこと以外は実施例1と同様の方法にて積層体を得た。得られた積層体は金属層を持たず、また、表1〜3に示すように磁気テープとして使用した際に劣る特性であった。
(比較例4)
M1層とO1、2層を形成しないこと以外は実施例1と同様の方法にて積層体を得た。得られた積層体は金属系酸化物層を持たず、また、表1〜3に示すように磁気テープとして使用した際に劣る特性であった。
(比較例5)
M1、2層とO1層を形成しないこと以外は実施例1と同様の方法にて積層体を得た。得られた積層体は金属層を持たず、また、表1〜3に示すように磁気テープとして使用した際に劣る特性であった。
(比較例6)
O1、2層を形成しないこと以外は実施例1と同様の方法にて積層体を得た。得られた積層体は金属系酸化物層を持たず、また、表1〜3に示すように磁気テープとして使用した際に劣る特性であった。
(比較例7)
M1、2層を形成しないこと以外は実施例1と同様の方法にて積層体を得た。得られた積層体は金属系酸化物層を持たず、また、表1〜3に示すように磁気テープとして使用した際に劣る特性であった。
Figure 2009223923
Figure 2009223923
Figure 2009223923
幅寸法を測定する際に用いるシート幅測定装置の模式図である。 本発明の支持体を製造する際に用いられる真空蒸着装置の模式図である。
符号の説明
1:レーザー発振器
2:受光部
3:荷重検出器
4:荷重
5:フリーロール
6:フリーロール
7:フリーロール
8:フリーロール
9:磁気テープ
10:レーザー光
11:真空蒸着装置
12:真空チャンバ
13:巻出しロール部
14:ポリエステルフィルム
15:ガイドロール
16:冷却ドラム
17:蒸着チャンバ
18:巻取りロール部
19:金属材料
20:電子銃
21:電子ビーム
22:酸素ガスボンベ
23:るつぼ
24:酸素供給ノズル
25:マスク
26:ガス流量制御装置

Claims (8)

  1. ポリエステルフィルム層と金属層(M層)と金属系酸化物層(O層)とを少なくともそれぞれ1層含むことを特徴とする積層体。
  2. M層が銅(Cu)を含んでいる、請求項1に記載の積層体。
  3. O層がアルミニウム(Al)を含む酸化物を含んでいる、請求項1または請求項2に記載の積層体。
  4. ポリエステルフィルム層の両面にO層が設けられ、さらにそのどちらか一方のO層の外側の表面にM層が設けられてなる、請求項1〜3のいずれかに記載の積層体。
  5. ポリエステルフィルム層の両面にO層が設けられ、このO層のさらに外側の表面のいずれにもM層が設けられてなる、請求項1〜3のいずれかに記載の積層体。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の積層体を用いた磁気記録媒体用支持体。
  7. 請求項6に記載の磁気記録媒体用支持体に強磁性金属薄膜層を設けた強磁性金属薄膜型磁気記録媒体。
  8. 温度膨張係数が5〜9ppm/℃、湿度膨張係数が0〜5ppm/%RHである、請求項7に記載の強磁性金属薄膜型磁気記録媒体。
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