JP2008210498A - 強磁性金属薄膜型磁気記録媒体用支持体および強磁性金属薄膜型磁気記録媒体 - Google Patents

強磁性金属薄膜型磁気記録媒体用支持体および強磁性金属薄膜型磁気記録媒体 Download PDF

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Abstract

【課題】 寸法安定性、耐クラック性に優れた支持体であって、特に強磁性金属薄膜型磁気記録媒体とした際に環境変化による寸法変化が小さく、エラーレート少ない高密度強磁性金属薄膜型磁気記録媒体とすることができる支持体を提供すること。
【解決手段】 ポリエステルフィルムの片面に金属系酸化物を含む層(M層)が設けられ、このM層の厚みがそれぞれ50〜200nmである強磁性金属薄膜型磁気記録媒体用支持体であって、該強磁性金属薄膜型磁気記録媒体用支持体の全光線透過率が0〜75%であり、M層表面の表面抵抗率が1×10〜1×1013Ωである強磁性金属薄膜型磁気記録媒体用支持体とする。
【選択図】図2

Description

本発明は、磁気テープなどの強磁性金属薄膜型磁気記録媒体に用いられる支持体と、該支持体上に磁性層を設けた強磁性金属薄膜型磁気記録媒体とに関する。
二軸延伸ポリエステルフィルムはその優れた熱特性、寸法安定性、機械特性および表面形態の制御のし易さから各種用途に使用されており、特に強磁性金属薄膜型磁気記録媒体などの支持体としての有用性がよく知られている。近年、磁気テープなどの強磁性金属薄膜型磁気記録媒体は、機材の軽量化、小型化、大容量化のため高密度記録化が要求されている。高密度記録化のためには、記録波長を短くし、記録トラックを小さくすることが有用である。しかしながら、記録トラックを小さくすると、テープ走行時における熱やテープ保管時の温湿度変化による変形により、記録トラックのずれが起こりやすくなるという問題がある。したがって、テープの使用環境および保管環境での寸法安定性といった特性の改善に対する要求がますます強まっている。
この観点から、支持体には、強度、寸法安定性の点で二軸延伸ポリエステルフィルムよりも優れた剛性の高い芳香族ポリアミドが用いられることがある。しかしながら芳香族ポリアミドは高価格でコストがかかり、汎用記録媒体の支持体としては現実的ではない。
一方、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートなどを用いたポリエステルフィルムにおいても、延伸技術を用いて高強度化した強磁性金属薄膜型磁気記録媒体用支持体が開発されている。しかしながら、温度や湿度に対する寸法安定性などの厳しい要求を満足することはいまだ困難である。
また、温度や湿度に対する寸法安定性を向上するために、ポリエステルフィルムの片面または両面に金属などの補強層を設ける方法(特許文献1)が開示されている。しかしながら、補強層が金属の場合、金属結合のため導電性が高く、光を反射する性質を持つ。そのため、磁性層を塗布する際の膜厚管理に透過光を用いているものの、金属の補強膜の影響で光が透過しないという問題がある。そのため膜厚管理が困難となり、磁性層の膜厚にバラツキが生じ、エラーレートの多い磁気テープとなり易い。また、導電性が高いため静電気や漏れ電流によって磁気テープに電流が流れてしまい、その電流のために磁気ヘッドがショートしたり、故障することがあり、また、強磁性金属薄膜との接触電位差により「電食」が発生する問題がある。さらに、金属は酸化物と比較して、強度が弱く、ポリエステルフィルムの膨張・収縮を抑制する効果が小さいという問題もある。一方、補強層が酸化物やその他の化合物の場合、イオン結合のため、硬いがもろく延性がない性質を持つ。そのため、張力によって割れを生じたり、湾曲による割れが生じたりする。また、酸化物は吸湿性をもつため、湿度に対する寸法安定性向上効果が小さく、補強層自体の吸湿膨張により寸法安定性を悪化させる場合もある。
そこで、鋭意検討した結果、金属を完全に酸化させるのではなく、補強層の酸化度を制御することで寸法安定性が飛躍的に向上し、上記の多くの課題を解決できることを見出した。
なお、酸化度を制御した酸化金属層を蒸着する技術はガスバリア性フィルムの分野においては開示されている(特許文献2)。しかし、この文献に記載のフィルムはガスバリアが目的の包装材料用フィルムであり、透明性が問われるため、蒸着膜厚が40nm以下と薄く、ポリエステルフィルムの膨張・収縮を抑制する効果が小さい。また、酸化度を制御して50nm以上の酸化金属層を蒸着するには、アルミニウムの蒸発量を増加する必要があり、それに合わせて酸素導入量も増やす必要がある。しかしながら、この文献に記載の方法では図3に示すような真空蒸着装置を用いるので厚膜化が困難である。すなわち、この真空蒸着装置111においては、真空チャンバ112の内部をポリエステルフィルムが巻出しロール部113から冷却ドラム116を経て巻取りロール部118へと走行する。このときに、るつぼ123内の金属材料119を電子銃120から照射した電子ビーム121で加熱蒸発させるとともに、酸素供給ノズル124から酸素ガスを導入し、蒸発した金属を酸化反応させながら冷却ドラム116上のポリエステルフィルムに蒸着する。しかしながら、酸素供給ノズル124が冷却ドラム116に近いため、酸素導入量を増やすとその酸素ガスの吹出流によって金属蒸気が飛ばされ、酸化度を制御することが難しい。また、金属と酸素が反応する空間が小さいこともあり、50nm以上といった金属酸化物の蒸着膜を形成することが難しく、形成された蒸着膜は不安定なものとなりやすい。そして不安定な蒸着膜は構造欠陥を多く生成させ寸法安定性の悪化を招く。さらに、これらのガスバリア性フィルムは包装材料用途であるため、ベースフィルムの厚みが10μm以上と厚く、また表面が平滑ではないため、容易に蒸着ができるのに対し、強磁性金属薄膜型磁気記録媒体用支持体に用いられるポリエステルフィルムは一般的に厚みが薄く、平滑であるために、これらの方法のように工夫無く蒸着すると熱による変形などにより、蒸着中にフィルム破れが多発する。
特開平7−272247号公報 特開昭62−220330号公報
本発明の目的は、上記の問題を解決し、寸法安定性に優れ、クラックしにくい強磁性金属薄膜型磁気記録媒体用支持体を提供することにある。詳しくは、強磁性金属薄膜型磁気記録媒体とした際に環境変化による寸法変化が少なく、クラック発生やエラーレートも少ない、走行耐久性に優れた高密度強磁性金属薄膜型磁気記録媒体とすることができる支持体を提供することにある。
上記課題を解決するための本発明は、次の(1)〜(4)を特徴とするものである。
(1)ポリエステルフィルムの片面に金属系酸化物を含む層(M層)が設けられ、このM層の厚みが50〜200nmである強磁性金属薄膜型磁気記録媒体用支持体であって、該強磁性金属薄膜型磁気記録媒体用支持体の全光線透過率が0〜75%であり、M層表面の表面抵抗率が1×10〜1×1013Ωである強磁性金属薄膜型磁気記録媒体用支持体。
(2)M層の金属元素濃度について、厚み方向における最大値と最小値との差が0〜2at.%である、上記(1)に記載の強磁性金属薄膜型磁気記録媒体用支持体。
(3)M層の金属元素がアルミニウムであり、金属元素濃度が30〜40at.%である、上記(1)または(2)に記載の強磁性金属薄膜型磁気記録媒体用支持体。
(4)上記(1)〜(3)のいずれかに記載の強磁性金属薄膜型磁気記録媒体用支持体の表面に強磁性金属薄膜からなる磁性層を設けた強磁性金属薄膜型磁気記録媒体。
本発明の強磁性金属薄膜型磁気記録媒体用支持体は、寸法安定性に優れクラックも発生しにくい支持体であって、特に強磁性金属薄膜型磁気記録媒体とした際に環境変化による寸法変化が小さく、クラック発生、エラーレートが少ない高密度強磁性金属薄膜型磁気記録媒体とすることができる支持体を得ることができる。
本発明の強磁性金属薄膜型磁気記録媒体用支持体は、ポリエステルフィルムの片面に金属系酸化物を含む層(M層)が形成されてなる。金属系酸化物とは、例えば、Cu、Zn、Al、Si、Fe、Ag、Ti、Mg、Sn、Zr、In、Cr、Mn、V、Ni、Mo、Ce、Ga、Hf、Nb、Ta、Y、Wなどの金属成分を酸化させたものであって、組成分析を行った場合の平均組成における酸素原子含有量が10at.%以上となっているものをいう。なお、at.%とは、atomic%の略であり、atomic%とは原子数100個当たりの該原子数の個数を示したものである。
上記の金属系酸化物は、全光線透過率や表面抵抗率が後述するような範囲内であれば複数種の金属成分を混合して含んでいても構わないが、より好ましくは同一種の金属成分が好ましい。中でも、金属系酸化物は、酸化度の制御性、寸法安定性、生産性、環境性の観点から、アルミニウム、銅、亜鉛、銀、珪素元素の少なくとも一種を含んでいることが好ましく、より好ましくはアルミニウム元素が主成分となっていることが好ましい。アルミニウムの金属元素濃度は30〜40at.%であることが好ましい。金属元素濃度が30at.%より少ないと、金属原子に対して酸素原子が多すぎるため、不完全な構造(金属原子や酸素原子が未結合で存在する)を取りやすく、補強する効果が小さくなり寸法安定性が低下してしまう。40at.%より多い場合、強度が低く寸法安定性が低いなどの問題がある。より好ましくは31〜39at.%であり、さらに好ましくは32〜38at.%である。金属元素濃度は金属蒸発量と酸素ガス導入量から制御することができる。金属元素濃度を小さくするには、金属蒸発量を少なくし、酸素ガス導入量を多くすればよく、金属元素濃度を大きくするにはその逆にすればよい。
M層の金属元素濃度は、厚み方向における最大値と最小値との差が0〜2at.%であることが好ましい。これは金属元素濃度の均質さを表す指標として用いる。最大値と最小値の差が2at.%より大きいと厚み方向で金属元素濃度の異なる部分があるということになり、物性のバラツキの原因となる。特に金属元素濃度は膜の内部応力に大きな影響を与えるため、濃度差が大きいと、湾曲やクラックの原因となる。厚み方向の濃度のバラツキは酸素導入量によって制御できる。酸素導入量が大きいと反応が安定して行われず濃度にバラツキがでる。より好ましくは0〜1.5at.%であり、さらに好ましくは0〜1at.%である。
また、M層を形成する時にポリエステルフィルムが吸湿していると、形成時の熱負荷などによりポリエステルフィルムから水分が放出され、M層の中に水分を取り込むこととなり、水和物を形成してしまうことがある。それによりポリエステルフィルムとの界面付近で金属元素濃度が低下してしまい寸法安定性の低下など物性に悪影響を及ぼす。M層を形成する前にポリエステルフィルム内の水分量を減らしておくことが好ましい。水分量はポリエステルフィルムの保管状態で制御することができ、相対湿度が低い環境下で保管するほど水分量を小さくできる。具体的には、例えば温度15〜30℃、湿度0〜40%RHの環境下で48時間以上保管することが好ましい。15℃より低い温度では結露の可能性があり、30℃より高い温度では温度膨張によるシワが発生することがある。湿度は低いほど好ましい。また、保管時間が48時間より短い場合は、ポリエステルフィルム中の水分が十分に抜けず、低湿保管する効果が十分に現れないことがある。
M層の厚みは、50〜200nmであることが好ましい。M層の厚みが50nmより小さい場合、補強効果が小さく、寸法安定性が改善されにくい。M層の厚みの下限は、好ましくは60nm、より好ましくは70nmである。一方、M層の厚みが200nmより大きい場合は、クラックを生じやすく寸法安定性が悪化しやすい。また走行を繰り返すことで剥離や脱落が発生し易く、結果として寸法安定性が悪化する傾向にある。また、全光線透過率や表面抵抗率を本発明の範囲内にするには酸素の導入量を増やす必要があるが、真空製膜装置を使って200nm以上の厚みのM層を形成しようとすると、減圧度が低下してしまい金属蒸気が蒸発しにくく不安定になる。その結果、M層が不完全な構造になり、寸法安定性、走行耐久性の悪い強磁性金属薄膜型磁気記録媒体となってしまう。また、スパッタ法では酸素導入量が多いとターゲットの表面を酸化させてしまい、スパッタによる金属原子の飛び出しが不安定となる。その結果、真空蒸着法と同様、不完全な構造になってしまい、寸法安定性、走行耐久性の悪い強磁性金属薄膜型磁気記録媒体となってしまう。M層の厚みの上限は、好ましくは180nm、より好ましくは150nmである。好ましい範囲としては、60〜180nm、より好ましい範囲としては、70〜150nmである。
本発明の強磁性金属薄膜型磁気記録媒体用支持体は、全光線透過率が0〜75%である。75%より高い場合、酸化が進みすぎているため、M層が硬く脆くなり、張力や湾曲によってクラックを生じやすく、また、酸化物の吸湿膨張が起こり易く寸法安定性が劣る傾向にある。全光線透過の下限は、より好ましくは1%であり、さらに好ましくは5%である。一方、上限は70%が好ましく、さらに好ましくは65%である。なお、本発明の支持体としては全光線透過率が0%のものも包含される。これは、支持体が、上記したような金属成分を少しだけ酸化させた金属系酸化物を含む層を有する場合、表面抵抗率が後述するような範囲になるものの、全光線透過率が0%、すなわち、検出限界以下という場合があるからである。より好ましい範囲としては、1〜70%、より好ましい範囲としては、5〜65%である。
本発明の強磁性金属薄膜型磁気記録媒体用支持体は、M層表面の表面抵抗率が1×10〜1×1013Ωである。表面抵抗率とは、表面比抵抗(Ω/□)とも表記される特性値であり、純粋な表面抵抗(面積によって変わる抵抗値)や線抵抗(導線などの抵抗)とは異なるものである。表面抵抗率が1.0×10Ωより低い場合、導電性が高すぎるため、静電気や漏れ電流によって磁気テープに電流が流れてしまい、その電流のために磁気ヘッドがショートし故障する危険性がある。表面抵抗率の下限は、好ましくは1.0×10Ωであり、より好ましくは1.0×10Ωである。一方、表面抵抗率が1×1013Ωより高い場合、透過率が高い場合と同様に酸化が進みすぎているために、クラックの発生や寸法安定性の悪化の傾向がある。表面抵抗率の上限は、好ましくは1×1011Ω、より好ましくは1×1010Ωである。好ましい範囲としては、1.0×10〜1×1011Ω、より好ましい範囲としては、1.0×10〜1×1010Ωである。
そして、本発明の強磁性金属薄膜型磁気記録媒体用支持体において、磁性層を設ける側の表面(A)の中心線平均粗さRaが0.5nm〜10nmであることが好ましい。磁性層を設ける側の表面(A)のRaが0.5nmより小さい場合は、フィルム製造、加工工程などで、搬送ロールなどとの摩擦係数が大きくなり、工程トラブルを起こすことがあり、磁気テープとして用いる場合に、磁気ヘッドとの摩擦が大きくなり、磁気テープ特性が低下しやすい。また、Raが10nmより大きい場合は、高密度記録の磁気テープとして用いる場合に、電磁変換特性が低下することがある。磁性層を設ける側の表面(A)のRaの下限は、より好ましくは2nm、さらに好ましくは3nmであり、上限は9nm、さらに好ましくは8nmである。より好ましい範囲としては、2〜9nm、さらに好ましい範囲としては、3〜8nmである。
一方、バックコート層側の表面(B)の中心線平均粗さRaは3〜30nmであることが好ましい。バックコート層側の表面(B)のRaが3nmより小さい場合は、フィルム製造、加工工程などで、搬送ロールなどとの摩擦係数が大きくなり、工程トラブルを起こすことがあり、磁気テープとして用いる場合に、ガイドロールとの摩擦が大きくなり、テープ走行性が低下することがある。また、Raが30nmより大きい場合は、フィルムロールやパンケーキとして保管する際に、表面突起が反対側の表面に転写し、電磁変換特性が低下する傾向がある。バックコート層側の表面(B)のRaの下限は、より好ましくは5nm、さらに好ましくは7nmであり、上限は20nm、さらに好ましくは15nmである。より好ましい範囲としては、5〜20nm、さらに好ましい範囲としては7〜15nmである。
本発明の強磁性金属薄膜型磁気記録媒体用支持体は、幅方向の湿度膨張係数が−3〜10ppm/%RHであることが好ましい。湿度膨張係数が上記範囲内であることは、強磁性金属薄膜型磁気記録媒体への加工工程や強磁性金属薄膜型磁気記録媒体の記録再生時の高湿条件での寸法安定性の観点から好ましい。幅方向の湿度膨張係数の上限は、より好ましくは8ppm/%RH、さらに好ましくは7ppm/%RHである。幅方向の湿度膨張係数の下限はより好ましくは−1ppm/%RH、さらに好ましくは0ppm/%RHである。より好ましい範囲としては、−1〜8ppm/%RH、さらに好ましい範囲としては0〜7ppm/%RHである。
本発明の強磁性金属薄膜型磁気記録媒体用支持体は、長手方向のヤング率が5〜13GPaであることが好ましい。長手方向のヤング率が5GPaより小さい場合、テープドライブ内での長手方向への張力によって長手方向に伸び、この伸び変形により幅方向に収縮し、記録トラックずれという問題が発生しやすい。長手方向のヤング率の下限は、より好ましくは6GPa、さらに好ましくは7GPaである。一方、長手方向のヤング率が13GPaより大きい場合、幅方向のヤング率を好ましい範囲に制御することが難しくなり、幅方向のヤング率が不足し、エッジダメージの原因となる。長手方向のヤング率の上限は、より好ましくは12GPa、さらに好ましくは11GPaである。より好ましい範囲としては、6〜12GPa、さらに好ましい範囲としては7〜11GPaである。
本発明の強磁性金属薄膜型磁気記録媒体用支持体は、幅方向のヤング率が5〜13GPaの範囲であることが好ましい。幅方向のヤング率が5GPaより小さい場合、エッジダメージの原因となったりすることがある。幅方向のヤング率の下限は、より好ましくは6GPa、さらに好ましくは7GPaである。一方、幅方向のヤング率が13GPaより大きい場合、長手方向のヤング率を好ましい範囲に制御することが難しくなり長手方向の張力により変形しやすくなったり、スリット性が悪化したりすることがある。幅方向のヤング率の上限は、より好ましくは12GPa、さらに好ましくは11GPaである。より好ましい範囲としては、6〜12GPa、さらに好ましい範囲としては7〜11GPaである。
なお、本発明において、支持体の長手方向とは、一般的にMD方向といわれる方向であって、ポリエステルフィルム製造工程時の長手方向と同じ方向を指し、支持体の幅方向とは、一般的にTD方向といわれる方向であって、ポリエステルフィルム製造工程時の幅方向と同じ方向を指す。
本発明において、ポリエステルフィルムとは、例えば、芳香族ジカルボン酸、脂環族ジカルボン酸または脂肪族ジカルボン酸などの酸成分やジオール成分を構成単位(重合単位)とするポリマーで構成されたものである。
芳香族ジカルボン酸成分としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルスルホンジカルボン酸等を用いることができ、なかでも好ましくは、テレフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸を用いることができる。脂環族ジカルボン酸成分としては、例えば、シクロヘキサンジカルボン酸等を用いることができる。脂肪族ジカルボン酸成分としては、例えば、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸等を用いることができる。これらの酸成分は一種のみを用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
ジオール成分としては、例えば、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリアルキレングリコール、2,2’−ビス(4’−β−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン等を用いることができ、なかでも、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコール等を好ましく用いることができ、特に好ましくは、エチレングリコール等を用いることができる。これらのジオール成分は一種のみを用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
ポリエステルには、ラウリルアルコール、イソシアン酸フェニル等の単官能化合物が共重合されていてもよいし、トリメリット酸、ピロメリット酸、グリセロール、ペンタエリスリトール、2,4−ジオキシ安息香酸、等の3官能化合物などが、過度に分枝や架橋をせずポリマーが実質的に線状である範囲内で共重合されていてもよい。さらに酸成分、ジオール成分以外に、p−ヒドロキシ安息香酸、m−ヒドロキシ安息香酸、2,6−ヒドロキシナフトエ酸などの芳香族ヒドロキシカルボン酸およびp−アミノフェノール、p−アミノ安息香酸などを本発明の効果が損なわれない程度の少量であればさらに共重合せしめることができる。
ポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートが好ましい。また、これらの共重合体、および変性体でもよく、他の熱可塑性樹脂とのポリマーアロイでもよい。ここでいうポリマーアロイとは高分子多成分系のことであり、共重合によるブロックコポリマーであってもよいし、混合などによるポリマーブレンドでもよい。特に、上記ポリエステル樹脂とポリイミド系樹脂のポリマーアロイは混合割合によって耐熱性(ガラス転移温度)を制御できるため、使用条件に合わせたポリマー設計ができるため好ましい。ポリマーの混合割合はNMR法(核磁気共鳴法)や顕微FT−IR法(フーリエ変換顕微赤外分光法)を用いて調べることができる。
ポリイミド系樹脂としては、例えば、下記一般式で示されるような構造単位を含有するものが好ましい。
Figure 2008210498
ただし、式中のRは、
Figure 2008210498
Figure 2008210498
などの脂肪族炭化水素基、脂環族炭化水素基、芳香族炭化水素基から選ばれた一種もしくは二種以上の基を表している。また、式中のRは、
Figure 2008210498
などの脂肪族炭化水素基、脂環族炭化水素基、芳香族炭化水素基から選ばれた一種もしくは二種以上の基を表している。
溶融成形性やポリエステルとの親和性などの点から、下記一般式で示されるような、ポリイミド構成成分にエーテル結合を含有するポリエーテルイミドが特に好ましい。
Figure 2008210498
(ただし、上記式中Rは、6〜30個の炭素原子を有する2価の芳香族または脂肪族残基、Rは6〜30個の炭素原子を有する2価の芳香族残基、2〜20個の炭素原子を有するアルキレン基、2〜20個の炭素原子を有するシクロアルキレン基、および2〜8個の炭素原子を有するアルキレン基で連鎖停止されたポリジオルガノシロキサン基からなる群より選択された2価の有機基である。)
上記R、Rとしては、例えば、下記式群に示される芳香族残基を挙げることができる。
Figure 2008210498
本発明では、ポリエステルとの親和性、コスト、溶融成形性等の観点から、2,2−ビス[4−(2,3−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン二無水物とm−フェニレンジアミン、またはp−フェニレンジアミンとの縮合物である、下記式で示される繰り返し単位を有するポリマーが好ましい
Figure 2008210498
または
Figure 2008210498
(nは2以上の整数、好ましくは20〜50の整数)
このポリエーテルイミドは、“ウルテム”(登録商標)の商品名で、ジーイープラスチックス社より入手可能である。
本発明において、ポリエステルフィルムは2層以上の積層構成であることが好ましい。特に、本発明の支持体は、強磁性金属薄膜型磁気記録媒体に用いるため、一方の表面には、優れた電磁変換特性を得るための平滑さが求められ、他方の表面には、製膜・加工工程での搬送や、磁気テープの走行性や走行耐久性を付与するための粗さが求められる。そのため、ポリエステルフィルムを2層以上の積層構成にすることが好ましい。
ポリエステルフィルムには、その表面に易滑性や耐摩耗性、耐スクラッチ性などを付与するため、無機粒子、有機粒子、例えば、クレー、マイカ、酸化チタン、炭酸カルシウム、カリオン、タルク、湿式シリカ、乾式シリカ、コロイド状シリカ、リン酸カルシウム、硫酸バリウム、アルミナ、ジルコニア等の無機粒子、アクリル酸類、スチレン系樹脂、熱硬化樹脂、シリコーン、イミド系化合物等を構成成分とする有機粒子、ポリエステル重合反応時に添加する触媒等によって析出する粒子(いわゆる内部粒子)などが添加されていてもよい。粒子の粒径はTEMなどによって調べることができ、粒子の添加量はX線マイクロアナライザーや熱分解ガスクロマト質量分析などによって調べることができる。
本発明において、支持体としての厚みは、用途に応じて適宜決定できるが、通常強磁性金属薄膜型磁気記録媒体用途では2〜7μmが好ましい。この厚みが2μmより小さい場合、磁気テープにした際に電磁変換特性が低下することがある。一方、この厚みが7μmより大きい場合は、テープ1巻あたりのテープ長さが短くなるため、磁気テープの小型化、高容量化が困難になる場合がある。したがって、高密度強磁性金属薄膜型磁気記録媒体用途の場合、厚みの下限は、好ましくは3μm、より好ましくは4μmであり、上限は、好ましくは6.5μm、より好ましくは6μmである。より好ましい範囲としては3〜6.5μm、より好ましい範囲としては4〜6μmである。
また、本発明の支持体を構成するポリエステルフィルムの厚みは、2〜6μmであることが好ましい。この厚みが2μmより小さい場合は、磁気テープにした際にテープに腰がなくなるため、電磁変換特性が低下することがある。ポリエステルフィルムの厚みの下限は、より好ましくは3μm、さらに好ましくは4μmである。一方、ポリエステルフィルムの厚みが6μmより大きい場合は、テープ1巻あたりのテープ長さが短くなるため、磁気テープの小型化、高容量化が困難になる場合がある。ポリエステルフィルムの厚みの上限は、より好ましくは5.8μm、さらに好ましくは5.6μmである。より好ましい範囲としては3〜5.8μm、さらに好ましい範囲としては4〜5.6μmである。
上記したような本発明の強磁性金属薄膜型磁気記録媒体用支持体は、たとえば次のように製造される。
まず、支持体を構成するポリエステルフィルムを製造する。ポリエステルフィルムを製造するには、たとえばポリエステルのペレットを、押出機を用いて溶融し、口金から吐出した後、冷却固化してシート状に成形する。このとき、繊維焼結ステンレス金属フィルターによりポリマーを濾過することが、ポリマー中の未溶融物を除去するために好ましい。また、ポリエステルフィルムの表面に易滑性や耐摩耗性、耐スクラッチ性などを付与するため、無機粒子、有機粒子、例えば、クレー、マイカ、酸化チタン、炭酸カルシウム、カリオン、タルク、湿式シリカ、乾式シリカ、コロイド状シリカ、リン酸カルシウム、硫酸バリウム、アルミナ、ジルコニア等の無機粒子、アクリル酸類、スチレン系樹脂、熱硬化樹脂、シリコーン、イミド系化合物等を構成成分とする有機粒子、ポリエステル重合反応時に添加する触媒等によって析出する粒子(いわゆる内部粒子)などを添加することも好ましい。さらに、本発明を阻害しない範囲内であれば、各種添加剤、例えば、相溶化剤、可塑剤、耐候剤、酸化防止剤、熱安定剤、滑剤、帯電防止剤、増白剤、着色剤、導電剤、結晶核剤、紫外線吸収剤、難燃剤、難燃助剤、顔料、染料、などが添加されてもよい。
続いて、上記シートを長手方向と幅方向の二軸に延伸した後、熱処理する。延伸工程は、特に限定されないが、各方向において2段階以上に分けることが好ましい。すなわち再縦、再横延伸を行う方法が高密度記録の磁気テープとして最適な高強度のフィルムが得られ易いために好ましい。
延伸形式としては、長手方向に延伸した後に幅方向に延伸を行うなどの逐次二軸延伸法や、同時二軸テンター等を用いて長手方向と幅方向を同時に延伸する同時二軸延伸法、さらに、逐次二軸延伸法と同時二軸延伸法を組み合わせた方法などが包含される。
特に同時二軸延伸法を用いることが好ましい。逐次二軸延伸法に比べて同時二軸延伸法は、製膜工程で長手方向、幅方向に結晶が均一に成長するため、安定して高倍率に延伸しやすい。なお、ここでいう同時二軸延伸とは、長手方向と幅方向の延伸が同時に行われる工程を含む延伸方式である。必ずしも、すべての区間で長手方向と幅方向が同時に延伸されている必要はなく、長手方向の延伸が先にはじまり、その途中から幅方向にも延伸を行い(同時延伸)、長手方向の延伸が先に終了し、残りを幅方向のみ延伸するような方式でもよい。延伸装置としては、例えば同時二軸延伸テンターなどが好ましく例示され、中でもリニアモータ駆動式の同時二軸テンターが破れなくフィルムを延伸する方法として特に好ましい。
次に、上記のようにして得られたポリエステルフィルムの片面に金属系酸化物を含む層(M層)を設ける。このとき、全光線透過率と表面抵抗率の値を上述のとおりとするために、金属系酸化物の酸化状態を制御する。
M層の形成方法としては物理蒸着法や化学蒸着法を用いることができる。ポリエステルフィルムへの物理蒸着法には真空蒸着法、スパッタリング法があり、特に酸化度の制御しやすさから真空蒸着法が好ましく、さらに金属蒸気の高エネルギー化が可能な電子ビーム蒸着法が好ましい。
M層を構成する金属系酸化物の酸化度を制御するには、基本的には金属蒸発量と酸素ガス導入量を制御すればよい。金属蒸発量が一定であれば、酸素ガス導入量を減らせば酸化度が低くなり、酸素ガス導入量を増やせば酸化度が高くなる。逆に酸素ガス導入量が一定であれば、金属蒸発量を減らせば酸化度が高くなり、金属蒸発量を増やせば酸化度が低くなる。
このとき、酸素ガスは、蒸着源の真横から金属蒸気の流れる方向と同じ方向に供給することが好ましい。金属蒸気の流れる方向と同じ方向に供給することで、酸素ガスによる金属蒸気の乱れが少なくなり、所望の厚みや酸化度に制御し易くなり、M層内の金属元素濃度を均質にできる。また、酸素ガスと金属蒸気の反応空間が大きくなるため、ポリエステルフィルム上に達するまでに酸化反応が完了し、安定した構造欠陥のない蒸着膜を製膜することが可能となり、寸法安定性が向上する。冷却ドラムに近い一般的な酸素供給ノズル位置(図3、124)ではガス流が金属蒸気と垂直に当たるため、所望の厚みに制御しづらく、特に厚膜化が困難となる。さらに、反応空間が小さくなるため金属原子が不完全な酸化反応でポリエステルフィルムに到着するため、不完全な構造になり、寸法安定性を悪化させる。それ以外にもポリエステルフィルムへの堆積始めと堆積終わりの部分に酸素供給ノズルがあるため、ポリエステルフィルムとの界面やM層の表面で酸素濃度が高くなる層構造になりやすい。M層中に異組成の層があると、構造が乱れやすく寸法安定性が低下する傾向がある。
逆に本願でおこなう酸素供給ノズルの位置は、必然的に冷却ドラムから離れる方向となるため、未反応の酸素ガスがチャンバ内に充満して減圧度を低下させやすく、また、るつぼ内の溶融金属の表面を酸化させるため通常は採用されない。特に、50nm以下の薄い膜形成では金属蒸気量が少ないため、問題が顕著となり、細かい酸化度制御は困難となる。しかし、本願では50nm以上の厚膜で酸化度制御を行うため、金属蒸気量が多く、酸素ガスとよく反応し減圧度を下げる未反応酸素ガスが発生しにくい。また、るつぼ表面で溶融、蒸発がすぐに行われるため表面酸化の問題を回避できる。
全光線透過率は、酸化度が高いほど高くなるため、蒸着時の酸素ガス導入量や酸素ガス供給ノズルの位置、金属成分の蒸発量、フィルム搬送速度を調整することで制御することができる。具体的には、酸化度を高くして全光線透過率を高める場合は、酸素ガス導入量を増やし反応できる酸素ガスを増やしたり、酸素ガス供給ノズルの位置を反応しやすい位置に設置し反応を進め易くしたり、金属成分の蒸発量を減らし酸素濃度を高めたり、フィルム搬送速度を遅くして反応時間を長くしたりすることで制御する。特に酸素ガス導入量の影響が大きい。
表面抵抗率も、酸化度が高いほど高くなるため、全光線透過率と同様に、蒸着時の酸素ガス導入量や酸素ガス供給ノズルの位置、金属成分の蒸発量、フィルム搬送速度を調整することで制御することができる。特に金属の蒸発量やフィルム搬送速度の影響が大きい。全光線透過率や表面抵抗率はM層内の金属元素濃度と相関があるが、M層内で金属元素濃度の異なる部分があると相関が小さくなる。
支持体の湿度膨張係数は、M層の金属成分の種類や厚み、酸化度、金属元素濃度、金属原子の結合状態などで制御することができる。
支持体の長手方向のヤング率は、ポリエステルフィルムの長手方向のヤング率でほとんど決まる。一方、支持体の幅方向のヤング率も、ポリエステルフィルムの幅方向のヤング率でほとんど決まる。したがって、ポリエステルフィルムの長手方向、幅方向のヤング率を制御すればよい。ポリエステルフィルムのヤング率は、延伸倍率や延伸温度によって制御できる。基本的には、総面積延伸倍率を高くしたり、延伸温度を低くしたりすれば、製造したポリエステルフィルムのヤング率は高くなる。
また、支持体のヤング率は、M層を構成する金属成分の種類やM層の厚み、酸化度によっても制御できる。M層自体の強度を高く、膜厚を厚くすることで支持体のヤング率を高めることができる。
強磁性金属薄膜型磁気記録媒体の寸法安定性は支持体の湿度膨張係数やヤング率が影響を与える。特に湿度膨張係数の影響が大きい。つまり、M層の組成制御が寸法安定性向上にきわめて重要である。
なお、本発明においては、ポリエステルフィルムやそのポリエステルフィルムを用いて得られた支持体に、必要に応じて、熱処理、マイクロ波加熱、成形、表面処理、ラミネート、コーティング、印刷、エンボス加工、エッチング、などの任意の加工を行ってもよい。
以下、本発明の支持体の製造方法について、ポリエチレンテレフタレート(PET)をポリエステルとして用いた例を代表例として説明する。もちろん、本願はPETフィルムを用いた支持体に限定されるものではなく、他のポリマーを用いたものものでもよい。例えば、ガラス転移温度や融点の高いポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートなどを用いてポリエステルフィルムを構成する場合は、以下に示す温度よりも高温で押出や延伸を行えばよい。
まず、ポリエチレンテレフタレートを準備する。ポリエチレンテレフタレートは、次のいずれかのプロセスで製造される。すなわち、(1)テレフタル酸とエチレングリコールを原料とし、直接エステル化反応によって低分子量のポリエチレンテレフタレートまたはオリゴマーを得、さらにその後の三酸化アンチモンやチタン化合物を触媒に用いた重縮合反応によってポリマーを得るプロセス、(2)ジメチルテレフタレートとエチレングリコールを原料とし、エステル交換反応によって低分子量体を得、さらにその後の三酸化アンチモンやチタン化合物を触媒に用いた重縮合反応によってポリマーを得るプロセスである。ここで、エステル化は無触媒でも反応は進行するが、エステル交換反応においては、通常、マンガン、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、リチウム、チタン等の化合物を触媒に用いて進行させ、またエステル交換反応が実質的に完結した後に、該反応に用いた触媒を不活性化する目的で、リン化合物を添加する場合もある。
フィルムを構成するポリエステルに不活性粒子を含有させる場合には、エチレングリコールに不活性粒子を所定割合にてスラリーの形で分散させ、このエチレングリコールを重合時に添加する方法が好ましい。不活性粒子を添加する際には、例えば、不活性粒子の合成時に得られる水ゾルやアルコールゾル状態の粒子を一旦乾燥させることなく添加すると粒子の分散性がよい。また、不活性粒子の水スラリーを直接PETペレットと混合し、ベント式二軸混練押出機を用いて、PETに練り込む方法も有効である。不活性粒子の含有量を調節する方法としては、上記方法で高濃度の不活性粒子のマスターペレットを作っておき、それを製膜時に不活性粒子を実質的に含有しないPETで希釈して不活性粒子の含有量を調節する方法が有効である。
次に、得られたPETのペレットを、180℃で3時間以上減圧乾燥した後、固有粘度が低下しないように窒素気流下あるいは減圧下で、270〜320℃に加熱された押出機に供給し、スリット状のダイから押出し、キャスティングロール上で冷却して未延伸フィルムを得る。この際、異物や変質ポリマーを除去するために各種のフィルター、例えば、焼結金属、多孔性セラミック、サンド、金網などの素材からなるフィルターを用いることが好ましい。また、必要に応じて、定量供給性を向上させるためにギアポンプを設けてもよい。フィルムを積層する場合には、2台以上の押出機およびマニホールドまたは合流ブロックを用いて、複数の異なるポリマーを溶融積層する。
次に、この未延伸フィルムを同時二軸延伸テンターに導いて、長手および幅方向に同時に二軸延伸を行う。延伸速度は長手、幅方向ともに100〜20,000%/分の範囲で行うのが好ましい。より好ましくは、500〜10,000%/分、さらに好ましくは2,000〜7,000%/分である。延伸速度が100%/分よりも小さい場合には、フィルムが熱にさらされる時間が長くなるため、特にエッジ部分が結晶化して延伸破れの原因となり製膜性が低下したり、十分に分子配向が進まず、製造したフィルムのヤング率が低下することがある。また、20,000%/分よりも大きい場合には、延伸時点で分子間の絡み合いが生成しやすくなり、延伸性が低下して、高倍率の延伸が困難となることがある。
また、1段目の延伸温度は、用いるポリマーの種類によって異なるが、未延伸フィルムのガラス転移温度Tgを目安として決めることができる。長手方向および幅方向それぞれの1段目の延伸工程における温度は、Tg〜Tg+30℃の範囲であることが好ましく、より好ましくはTg+5℃〜Tg+20℃である。上記範囲より延伸温度が低い場合には、フィルム破れが多発して生産性が低下したり、再延伸性が低下して、高倍率に安定して延伸することが困難となることがある。また、上記範囲よりも延伸温度が高い場合には、特にエッジ部分が結晶化して延伸破れの原因となり製膜性が低下したり、十分に分子配向が進まず、製造したフィルムのヤング率が低下することがある。
延伸倍率は、用いるポリマーの種類や延伸温度によって異なり、また多段延伸の場合も異なるが、総面積延伸倍率(総縦延伸倍率×総横延伸倍率)が、20〜40倍の範囲になるようにすることが好ましい。より好ましくは25〜35倍である。長手方向、幅方向の一方向の総延伸倍率としては、2.5〜8倍が好ましく、より好ましくは、3〜7倍である。延伸倍率が上記範囲より小さい場合には、延伸ムラなどが発生しフィルムの加工適性が低下することがある。また、延伸倍率が上記範囲より大きい場合には、延伸破れが多発して、生産性が低下する場合がある。なお、各方向に関して延伸を多段で行う場合、1段目の長手、幅方向それぞれにおける延伸倍率は、2.5〜5倍が好ましく、より好ましくは3〜4倍である。また、1段目における好ましい面積延伸倍率は8〜16倍であり、より好ましくは、9〜14倍である。これらの延伸倍率の値は、特に同時二軸延伸法を採用する場合に好適な値であるが、逐次二軸延伸法でも適用できる。
本発明のポリエステルフィルムの製造方法が多段延伸、すなわち再延伸工程を含む場合、2段目の延伸温度はTg+40℃〜Tg+120℃が好ましく、さらに好ましくはTg+60℃〜Tg+100℃である。(なお、3段の延伸を行う場合、2段目の延伸温度としては上記温度範囲の中でも比較的低い延伸温度とする方がよい)。延伸温度が上記範囲を外れる場合には、熱量不足や結晶化の進みすぎによって、フィルム破れが多発して生産性が低下したり、十分に配向を高めることができず、強度が低下する場合がある。さらに3段目の延伸を行う場合には、3段目の延伸温度は2段目の延伸温度よりも高く、後述する熱処理の温度よりも低いことが好ましい。なお、3段目の延伸を行うとはヤング率や熱的寸法安定性が向上し易い。
また、再延伸を行う場合の一方向における延伸倍率は、1.05〜2.5倍が好ましく、より好ましくは1.2〜1.8倍である。再延伸の面積延伸倍率としては、1.4〜4倍が好ましく、より好ましくは1.9〜3倍である。さらに3段目の延伸を行う場合には、3段目の延伸倍率(一方向)は、1.05〜1.2倍が好ましく、面積延伸倍率は1.1〜1.4が好ましい。
続いて、この延伸フィルムを緊張下または幅方向に弛緩しながら熱処理する。熱処理条件は、ポリマーの種類によっても異なるが、熱処理温度は、150℃〜230℃が好ましく、熱処理時間は0.5〜10秒の範囲で行うのが好ましい。さらに、蒸着適性を向上させるために、熱処理温度は160℃〜190℃の比較的低温で行うことが好ましく、熱処理時間も0.5〜2秒の比較的短時間で行うことが好ましい。こうすることでポリエステルフィルムの冷却ドラムへの密着性が向上し、熱によるシワや破れなどを回避することができる。また、作製されたポリエステルフィルムは水分を吸湿しないように、低湿度の環境下で保存することが好ましく、輸送時などもできるだけ吸湿を防ぐような梱包が好ましい。ポリエステルフィルムの吸湿はM層形成時に悪影響を及ぼすためである。保存(保管)条件としては、具体的には、例えば温度15〜30℃、湿度0〜40%RHの環境下で48時間以上保管することが好ましい。15℃より低い温度では結露の可能性があり、30℃より高い温度では温度膨張によるシワが発生することがある。湿度は低いほど好ましい。また、保管時間が48時間より短い場合は、ポリエステルフィルム中の水分が十分に抜けず、低湿保管する効果が十分に現れないことがある。
次に、上記のようにして得られたポリエステルフィルムの片面に金属系酸化物を含む層(M層)を設ける方法を説明する。
ポリエステルフィルム表面にM層を形成するには、たとえば図2に示すような真空蒸着装置を用いる。この真空蒸着装置11においては、真空チャンバ12の内部をポリエステルフィルムが巻出しロール部13から冷却ドラム16を経て巻取りロール部18へと走行する。そのときに、るつぼ23内の金属材料19を電子銃20から照射した電子ビーム21で加熱蒸発させるとともに、酸素供給ノズル24から酸素ガスを導入し、蒸発した金属を酸化反応させながら冷却ドラム16上のポリエステルフィルムに蒸着する。なお、この真空蒸着装置11は、酸化度を容易に制御できるように、酸素供給ノズル24を蒸着源であるるつぼ23の真横に設置し、かつ、金属蒸気と酸素ガスとが同じ方向に流れるようにしている。その結果、金属蒸気と酸素ガスとの反応空間も大きくなっている。
ここで、真空チャンバ12の内部は1.0×10−8〜1.0×10Paに減圧することが好ましい。さらに緻密で劣化部分の少ないM層を形成させるために好ましくは、1.0×10−6〜1.0×10−1Paに減圧することが好ましい。
冷却ドラム16は、その表面温度を−40〜60℃の範囲内にすることが好ましい。より好ましくは−35〜30℃、さらに好ましくは−30〜0℃である。
電子ビーム21は、その出力が2.0〜8.0kWの範囲内のもので行うのが好ましい。より好ましくは3.0〜7.0kW、さらに好ましくは4.0〜6.0kWの範囲内である。なお、直接ルツボを加熱することで金属材料19を加熱蒸発させてもよい。
酸素ガスは、ガス流量制御装置26を用いて0.5〜10L/minの流量で真空チャンバ12内部に導入する。より好ましくは1.5〜8L/min、さらに好ましくは2.0〜5L/minである。
真空チャンバ12の内部におけるポリエステルフィルムの搬送速度は20〜200m/minが好ましい。より好ましくは30〜100m/min、さらに好ましくは40〜80m/minである。搬送速度が20m/minより遅すぎる場合、上記のようなM層厚みに制御するためには金属の蒸発量をかなり小さくする必要がある。そのため、酸素ガス導入量も減らす必要がでてくるために、酸化度の制御が非常に難しくなる。搬送速度が200m/minより速くなると、冷却ドラムとの接触時間が短くなるため熱による破れやシワが発生し、生産性が損なわれる。また、金属蒸気と酸素ガスとが不充分な反応状態で成膜されやすく、酸化度の制御が難しくなる。真空チャンバ12の内部におけるポリエステルフィルムの搬送張力は50〜150N/mが好ましい。より好ましくは70〜120N/m、さらに好ましくは80〜100N/mである。蒸着後、M層を安定化させ、緻密性を高めるためには、真空蒸着装置内を常圧に戻して、巻取ったフィルムを巻き返すことが好ましい。特に、未結合原子を減らすために加湿巻き返しを行うことが水蒸気とM層が接触する機会が長くなるため好ましい。加湿巻き返しは20〜40℃で60〜80%RHで行うことが好ましい。さらに20〜50℃の温度で1〜3日間エージングすることが好ましく、さらに好ましくは湿度60%RH以上の結露しない程度の環境下でエージングすることが好ましい。
次に、強磁性金属薄膜型磁気記録媒体を製造する方法を説明する。上記のようにして得られた強磁性金属薄膜型磁気記録媒体用支持体の表面に、真空蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング等の方法により、鉄、コバルト、ニッケル、クロムまたはこれらを主成分とする合金もしくは酸化物よりなる強磁性金属薄膜層を形成し、必要により逆面に種々の方法でバックコート層を設けることにより磁気記録媒体とすることができる。強磁性金属薄膜層の厚みは20〜300nmであることが好ましい。強磁性金属薄膜層はM層のある面の逆面が好ましく、M層の上にバックコート層を設けることが好ましい。強磁性金属薄膜層とM層が同じ面にあるとカッピングの制御が難しく、ヘッド当たりが低下する傾向にある。
また、上記強磁性金属薄膜層の表面にさらに、目的、用途、必要に応じてダイアモンドライクカーボン(DLC)などの保護層、含フッ素カルボン酸系潤滑層を順次設け、環境変化による寸法変化が小さく、クラック発生、エラーレートが少ない高密度記録用蒸着型磁気記録媒体とすることができる。強磁性金属薄膜型磁気記録媒体は、例えば、データ記録用途、具体的にはコンピュータデータのバックアップ用途(LTO4やLTO5など)や映像などのデジタル画像の記録用途などに好適に用いることができる。
(物性の測定方法ならびに効果の評価方法)
本発明における特性値の測定方法並びに効果の評価方法は次の通りである。例えば、磁気テープから本願の支持体を取り出すためには、フッ酸を用いて磁性層を、メチルエチルケトンを用いてバックコート層を拭き剥がすことで評価が可能となる。
(1)M層の厚み
下記条件にて断面観察を行い、得られた合計9点の厚み[nm]の平均値を算出し、M層の厚み[nm]とする。
測定装置:透過型電子顕微鏡(TEM) 日立製H−7100FA型
測定条件:加速電圧 100kV
測定倍率:20万倍
試料調整:超薄膜切片法
観察面 :TD−ZD断面
測定回数:1視野につき3点、3視野を測定する。
(2)組成分析
下記条件にて、深さ方向の組成分析を行う。炭素濃度が50at.%を超える深さをM層とポリエステルフィルムとの界面とし、表層から界面までを等分に10分割し、それぞれの区間の中央点を測定点として組成分析を行う。
測定装置:X線光電子分光機 Quantera−SXM 米国PHI社製
励起X線:monochromatic AlKα1,2線(1486.6eV)
X線径 :100[μm]
光電子脱出角度:45°
ラスター領域:2×2[mm]
Arイオンエッチング: 2.0[kV] 1.5×10−7[Torr]
スパッタ速度:3.68nm/min(SiO換算値)
データ処理:9−point smoothing
ピークの結合エネルギー値から元素情報が得られ、各ピークの面積比を用いて組成を定量化(at.%)する。
(3)全光線透過率
JIS−K7105(1981)に準拠し、下記測定装置を用いて測定する。5回の測定結果の平均値を本発明における全光線透過率とする。
測定装置:直読ヘーズメーターHGM−2DP(C光源用) スガ試験機社製
光源 :ハロゲンランプ12V、50W
受光特性:395〜745nm
測定環境:温度23℃湿度65%RH
測定回数:5回測定する。
(4)表面抵抗率
表面抵抗率の範囲によって、測定可能な装置が異なるため、まずi)の方法で測定を行い、表面抵抗率が高すぎて測定不可能なサンプルをii)の方法で測定する。5回の測定結果の平均値を本発明における表面抵抗率とする。
i)低抵抗率測定
JIS−K7194(1994)に準拠し、下記測定装置を用いて測定する。
測定装置:ロレスターEP MCP−T360 三菱化学製
測定環境:温度23℃湿度65%RH
測定回数:5回測定する。
ii)高抵抗率測定 JIS−C2151(1990)に準拠し、下記測定装置を用いて測定する。
測定装置:デジタル超高抵抗/微小電流計R8340 アドバンテスト(株)製
印加電圧:100V
印加時間:10秒間
測定単位:Ω
測定環境:温度23℃湿度65%RH
測定回数:5回測定する。
(5)中心線平均粗さRa
触針式表面粗さ計を用いて下記条件にて中心線平均粗さRaを測定する。フィルム幅方向に20回走査して測定を行い、得られた結果の平均値を本発明における中心線平均粗さRaとする。
測定装置 :小坂研究所製高精度薄膜段差測定器ET−10
触針先端半径:0.5μm
触針荷重 :5mg
測定長 :1mm
カットオフ値:0.08mm
測定環境 :温度23℃湿度65%RH
(6)湿度膨張係数
下記条件にて測定を行い、3回の測定結果の平均値を本発明における湿度膨張係数とする。
測定装置:大倉インダストリー製テープ伸び試験機
試料サイズ:幅10mm×試長間200mm
荷重:10g
測定回数:3回
測定温度:30℃
測定湿度:40%RHで6時間保持し寸法を測定し、昇湿速度1[%RH/分]で80%RHまで昇湿し、80%RHで6時間保持したあと寸法変化量ΔL[mm]を測定した。次式から湿度膨張係数[ppm/%RH]を算出した。
湿度膨張係数[ppm/%RH]=10×{(ΔL/200)/(80−40)}
(7)ヤング率
ASTM−D882(1997)に準拠して測定する。なお、インストロンタイプの引張試験機を用い、条件は下記のとおりとする。5回の測定結果の平均値を本発明におけるヤング率とする。
測定装置:オリエンテック(株)製フィルム強伸度自動測定装置
“テンシロンAMF/RTA−100”
試料サイズ:幅10mm×試長間100mm
引張り速度:200mm/分
測定環境:温度23℃、湿度65%RH
測定回数:5回測定し、平均値から算出する。
(8)固有粘度
オルトクロロフェノール中、25℃で測定した溶液粘度から下式に基づいて計算する。
ηsp/C=[η]+K[η]・C
ここで、ηsp=(溶液粘度/溶媒粘度)−1、Cは溶媒100mlあたりの溶解ポリマー重量(g/100ml、通常1.2)、Kはハギンス定数(0.343とする)である。また、溶液粘度、溶媒粘度はオストワルド粘度計を用いて測定する。
(9)ガラス転移温度(Tg)
下記装置および条件で比熱測定を行い、JIS K7121(1987)に従って決定する。
装置 :TA Instrument社製温度変調DSC
測定条件:
加熱温度 :270〜570K(RCS冷却法)
温度校正 :高純度インジウムおよびスズの融点
温度変調振幅:±1K
温度変調周期:60秒
昇温ステップ:5K
試料重量 :5mg
試料容器 :アルミニウム製開放型容器(22mg)
参照容器 :アルミニウム製開放型容器(18mg)
なお、ガラス転移温度は下記式により算出する。
ガラス転移温度=(補外ガラス転移開始温度+補外ガラス転移終了温度)/2
(10)耐クラック性
引張試験機を使用し、ある特定の伸び量で引張った後、微分干渉顕微鏡にて表面状態を観察する。条件は下記のとおりとする。
引張試験機
測定装置:オリエンテック(株)製フィルム強伸度自動測定装置
“テンシロンAMF/RTA−100”
試料サイズ:幅10mm×試長間100mm、
引張り速度:10%/分
引張り伸度:0.5%〜10%(所定の伸度になった時点で引っ張り試験機を停止させる)
測定環境:温度23℃、湿度65%RH
微分干渉顕微鏡
測定装置:ライカDMLB HC ライカマイクロシステムズ(株)製
観察倍率:1,000倍
伸度0.9%のサンプルを作製し無作為に10視野を観察し、クラックが8カ所以上観察される場合をクラック有りとする。クラックがない場合は伸度を大きくし、クラック発生が観察できる伸度のサンプルまで観察し、次の基準で耐クラック性を評価する。×を不合格とする。
◎:伸び5%以上でクラックが発生した場合
○:伸び2%以上5%未満でクラックが発生した場合
△:伸び1%以上2%未満でクラックが発生した場合
×:伸び1%未満でクラックが発生した場合
(11)幅寸法測定
磁気記録媒体用支持体の一方の表面に以下の蒸着条件で強磁性金属薄膜層を形成する。
(蒸着条件)
・金属磁性材料:Co100wt%
・入射角 :45°〜10°
・導入ガス :酸素ガス
・酸素導入量 :3.3×10-6/sec
・蒸着時真空度:2.0×10-2Pa
・磁性層3膜厚:50nm
次に、強磁性金属薄膜層上に保護層として、プラズマCVD法によって、以下の条件により、ダイヤモンド状カーボン層を形成する。
(保護層成膜条件)
・反応ガス :トルエン
・反応ガス圧 :10Pa
・導入電力 :直流(DC)1.5kV
・保護層4膜厚:10nm
さらに、強磁性金属薄膜層を設けた面とは逆側の表面上(M層表面上)に走行安定性を付与する目的でカーボンを有機バインダーとともに混合し、厚み0.4μm塗布しバックコート層を形成する。
上記のように作製したテープ原反を1/2インチ(1.27cm)幅にスリットし、パンケーキを作成する。次いで、このパンケーキから長さ200m分をカセットに組み込んで、カセットテープとする。
カセットテープのカートリッジからテープを取り出し、下記恒温恒湿槽内へ図1のように作製したシート幅測定装置を入れ、幅寸法測定を行う。なお、図1に示すシート幅測定装置は、レーザーを使って幅方向の寸法を測定する装置で、磁気テープ9をフリーロール5〜8上にセットしつつ荷重検出器3に固定し、端部に荷重となる分銅4を吊す。この磁気テープ9にレーザー光10を発振すると、レーザー発振器1から幅方向に線状に発振されたレーザー光10が磁気テープ9の部分だけ遮られ、受光部2に入り、その遮られたレーザーの幅が磁気テープの幅として測定される。3回の測定結果の平均値を本発明における幅とする。
測定装置:(株)アヤハエンジニアリング社製シート幅測定装置
レーザー発振器1、受光部2:レーザー寸法測定機 キーエンス社製LS−5040
荷重検出器3:ロードセル NMB社製CBE1−10K
恒温恒湿槽:(株)カトー社製SE−25VL−A
荷重4:分銅(長手方向)
試料サイズ:幅1/2inch×長さ250mm
保持時間:5時間
測定回数:3回測定する。
(幅寸法変化率)
2つの条件でそれぞれ幅寸法(l、l)を測定し、次式にて寸法変化率を算出する。次の基準で寸法安定性を評価する。×を不合格とする。
A条件:10℃10%RH 張力1.0N
B条件:29℃80%RH 張力0.6N
幅寸法変化率[ppm]=10×((l−l)/l
◎:幅寸法変化率が0[ppm]以上500[ppm]未満
○:幅寸法変化率が500[ppm]以上800[ppm]未満
×:幅寸法変化率が800[ppm]以上
(12)エラーレート
上記(11)で作製したカセットテープを、市販のIBM社製LTOドライブ3580−L11を用いて23℃50%RHの環境で記録・再生(記録波長0.55μm)することで評価する。エラーレートはドライブから出力されるエラー情報(エラービット数)から次式にて算出する。次の基準で寸法安定性を評価する。×を不合格とする。
エラーレート=(エラービット数)/(書き込みビット数)
◎:エラーレートが1.0×10−6未満
○:エラーレートが1.0×10−6以上、1.0×10−5未満
△:エラーレートが1.0×10−5以上、1.0×10−4未満
×:エラーレートが1.0×10−4以上
(13)カッピング量
下記装置にてカッピングを測定した。図4のように中心間距離35mmの2つの支点PにA面が上になるようにサンプルをかけ、両端に0.3gの荷重をかけた。その時の2つのP間の中点における変形厚みをレーザー寸法測定器で測定した。A面が凸の場合を正の値で、A面が凹の場合を負の値とした。
測定装置 :カッピング測定装置(図4)
レーザー寸法測定器:キーエンス社製LS−5040
張力 :両端分銅0.3g
試料サイズ :幅1/2inch×長さ150mm
−0.2〜1.0mmの範囲内であれば合格とした。より好ましくは0〜0.5mm、さらに好ましくは0〜0.3mmである。
次の実施例に基づき、本発明の実施形態を説明する。なお、ここでポリエチレンテレフタレートをPET、ポリ(エチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート)をPENと表記する。
(参考例1)
テレフタル酸ジメチル194重量部とエチレングリコール124重量部とをエステル交換反応装置に仕込み、内容物を140℃に加熱して溶解した。その後、内容物を撹拌しながら酢酸マグネシウム4水塩0.1重量部および三酸化アンチモン0.05重量部を加え、140〜230℃でメタノールを留出しつつエステル交換反応を行った。次いで、リン酸トリメチルの5重量%エチレングリコール溶液を1重量部(リン酸トリメチルとして0.05重量部)添加した。
トリメチルリン酸のエチレングリコール溶液を添加すると反応内容物の温度が低下する。そこで余剰のエチレングリコールを留出させながら反応内容物の温度が230℃に復帰するまで撹拌を継続した。このようにしてエステル交換反応装置内の反応内容物の温度が230℃に達したら、反応内容物を重合装置へ移行した。
移行後、反応系を230℃から290℃まで徐々に昇温するとともに、圧力を0.1kPaまで下げた。最終温度、最終圧力到達までの時間はともに60分とした。最終温度、最終圧力に到達した後、2時間(重合を始めて3時間)反応させたところ、重合装置の撹拌トルクが所定の値(重合装置の仕様によって具体的な値は異なるが、本重合装置にて固有粘度0.62のポリエチレンテレフタレートが示す値を所定の値とした)を示した。そこで反応系を窒素パージし常圧に戻して重縮合反応を停止し、冷水にストランド状に吐出、直ちにカッティングして固有粘度0.62のポリエチレンテレフタレートのPETペレットXを得た。
(参考例2)
280℃に加熱された同方向回転タイプのベント式2軸混練押出機に、参考例1にて作製したPETペレットXを98重量部と平均径0.3μmの球状架橋ポリスチレン粒子の10重量%水スラリーを20重量部(球状架橋ポリスチレンとして2重量部)供給し、ベント孔を1kPa以下の減圧度に保持し水分を除去し、平均径0.3μmの球状架橋ポリスチレン粒子を2重量%含有する固有粘度0.62のPETペレットYを得た。
(参考例3)
平均径0.3μmの球状架橋ポリスチレン粒子ではなく平均径0.8μmの球状架橋ポリスチレン粒子を用いたこと以外、参考例2と同様の方法にて、平均径0.8μmの球状架橋ポリスチレン粒子を2重量%含有する固有粘度0.62のPETペレットZを得た。
(参考例4)
2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチル100重量部とエチレングリコール60重量部の混合物に、酢酸マンガン・4水和物塩0.03重量部を添加し、150℃の温度から240℃の温度に徐々に昇温しながらエステル交換反応を行った。途中、反応温度が170℃に達した時点で三酸化アンチモン0.024重量部を添加した。また、反応温度が220℃に達した時点で3,5−ジカルボキシベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩0.042重量部(2mmol%に相当)を添加した。その後、引き続いてエステル交換反応を行い、トリメチルリン酸0.023重量部を添加した。次いで、反応生成物を重合装置に移し、290℃の温度まで昇温し、30Paの高減圧下にて重縮合反応を行い、重合装置の撹拌トルクが所定の値(重合装置の仕様によって具体的な値は異なるが、本重合装置にて固有粘度0.65のポリエチレン−2,6−ナフタレートが示す値を所定の値とした)を示した。そこで反応系を窒素パージし常圧に戻して重縮合反応を停止し、冷水にストランド状に吐出、直ちにカッティングして固有粘度0.65のポリエチレン−2,6−ナフタレートペレットX’を得た。
(参考例5)
280℃に加熱された同方向回転タイプのベント式2軸混練押出機に、参考例4にて作製したペレットX’を98重量部と平均径0.3μmの球状架橋ポリスチレン粒子の10重量%水スラリーを20重量部(球状架橋ポリスチレンとして2重量部)供給し、ベント孔を1kPa以下の減圧度に保持し水分を除去し、平均径0.3μmの球状架橋ポリスチレン粒子を2重量%含有する固有粘度0.65のPENペレットY’を得た。
(参考例6)
平均径0.3μmの球状架橋ポリスチレン粒子ではなく平均径0.8μmの球状架橋ポリスチレン粒子を用いたこと以外、参考例5と同様の方法にて、平均径0.8μmの球状架橋ポリスチレン粒子を2重量%含有する固有粘度0.65のPENペレットZ’を得た。
(実施例1)
押出機M、N2台を用い、280℃に加熱された押出機Mには、参考例1、2で得られたPETペレットX98重量部、PETペレットY2重量部を180℃で3時間減圧乾燥した後に供給し、同じく280℃に加熱された押出機Nには、参考例1〜3で得られたPETペレットX89.5重量部、PETペレットY10重量部、およびPETペレットZ0.5重量部を180℃で3時間減圧乾燥した後に供給した。これらを2層積層するべくTダイ中で合流させ(積層比M(A面側)/N(B面側)=7/1)、表面温度25℃のキャストドラムに静電荷を印加させながら密着冷却固化し、積層未延伸フィルムを作製した。
この積層未延伸フィルムを、リニアモータ式クリップを有する同時二軸テンターを用いて、二軸延伸した。長手方向および幅方向に同時に、温度90℃、延伸速度6,000%で3.5倍×3.5倍延伸し、70℃まで冷却した。続いて、温度165℃で長手方向および幅方向に同時に1.4×1.4倍に再延伸した。さらに幅方向に1.05倍の延伸を行いながら温度175℃で1秒間熱処理後、幅方向に2%の弛緩処理を行い、厚さ5μmの二軸配向ポリエステルフィルムを作製した。作製した二軸配向ポリエステルフィルムは25℃30%RHにて72時間保管した。
次に、図2に示す真空蒸着装置11の巻出しロール部13に得られたポリエステルフィルムをセットし、1.5×10−3Paの減圧度にした後に、−20℃の冷却ドラム16を介してポリエステルフィルムを搬送速度60m/min、搬送張力100Nで走行させた。このとき、99.99重量%のアルミニウムを電子ビーム(出力5.1kW)で加熱蒸発させ、さらに蒸発源であるるつぼ23の真横に設置した酸素供給ノズル24から酸素ガスを2.0L/minで金属蒸気と同じ方向に供給し、酸化アルミの蒸着薄膜層(厚み100nm)をフィルムのB面側の層の上に形成して巻取った。片面を蒸着した後、真空蒸着装置内を常圧に戻して、巻取ったフィルムを25℃80%RHで加湿巻き返し、40℃の環境で2日間エージングして、強磁性金属薄膜型磁気記録媒体用支持体を得た。
得られた強磁性金属薄膜型磁気記録媒体用支持体を評価したところ、表1、2に示すように、ポリエステルフィルムに酸化アルミ層を持ち、蒸着膜厚や光線透過率や表面抵抗率が本発明の範囲内であった。また、磁気テープとして使用した際に寸法変化率が小さく優れた特性を有していた。
(実施例2)
蒸着工程での搬送速度を60m/min、酸素ガス導入量を1.0L/min、電子ビーム出力を5.1kWと変更したこと以外は実施例1と同様の方法にて強磁性金属薄膜型磁気記録媒体用支持体を得た。得られた強磁性金属薄膜型磁気記録媒体用支持体は表1、2に示すように磁気テープとして使用した際に優れた特性を有していた。
(実施例3)
蒸着工程での搬送速度を60m/min、酸素ガス導入量を3.2L/min、電子ビーム出力を5.1kWと変更したこと以外は実施例1と同様の方法にて強磁性金属薄膜型磁気記録媒体用支持体を得た。得られた強磁性金属薄膜型磁気記録媒体用支持体は表1、2に示すように磁気テープとして使用した際に優れた特性を有していた。
(実施例4)
蒸着工程での搬送速度を120m/min、酸素ガス導入量を2.0L/min、電子ビーム出力を5.1kWと変更したこと以外は実施例1と同様の方法にて強磁性金属薄膜型磁気記録媒体用支持体を得た。得られた強磁性金属薄膜型磁気記録媒体用支持体は表1、2に示すように磁気テープとして使用した際に優れた特性を有していた。なお、本実施例は、実施例1に対して、搬送速度を速めたものであるが、搬送速度が速くなるとM層が薄くなり、その結果、全光線透過率や表面比抵抗が高くなっている。
(実施例5)
蒸着工程での搬送速度を30m/min、酸素ガス導入量を2.0L/min、電子ビーム出力を5.1kWと変更したこと以外は実施例1と同様の方法にて強磁性金属薄膜型磁気記録媒体用支持体を得た。得られた強磁性金属薄膜型磁気記録媒体用支持体は表1、2に示すように磁気テープとして使用した際に優れた特性を有していた。なお、本実施例は、実施例1に対して搬送速度を遅くしたものであるが、搬送速度が遅くなるとM層が厚くなり、その結果、全光線透過率や表面比抵抗が低くなっている。
(実施例6)
作製した二軸配向ポリエステルフィルムを25℃60%RHで72時間保管したことと、蒸着工程での搬送速度を100m/min、酸素ガス導入量を5.2L/min、電子ビーム出力を7.1kWと変更したこと以外は実施例1と同様の方法にて強磁性金属薄膜型磁気記録媒体用支持体を得た。得られた強磁性金属薄膜型磁気記録媒体用支持体は表1、2に示すようにM層の厚み方向で濃度のバラツキがあったが磁気テープとして使用した際に優れた特性を有していた。
(実施例7)
押出機M、N2台を用い、280℃に加熱された押出機Mには、参考例4、5で得られたPENペレットX’98重量部、PENペレットY’2重量部を180℃で3時間減圧乾燥した後に供給し、同じく280℃に加熱された押出機Nには、参考例4〜6で得られたPENペレットX’89.5重量部、PENペレットY’10重量部、およびPENペレットZ’0.5重量部を180℃で3時間減圧乾燥した後に供給した。これらを2層積層するべくTダイ中で合流させ(積層比M(A面側)/N(B面側)=7/1)、表面温度25℃のキャストドラムに静電荷を印加させながら密着冷却固化し、積層未延伸フィルムを作製した。
また、得られた未延伸フィルムをリニアモータ式クリップを有する同時二軸テンターを用いて、二軸延伸した。長手方向および幅方向に同時に、温度135℃、延伸速度6,000%で4.0倍×4.0倍延伸し、70℃まで冷却した。続いて、温度180℃で長手方向および幅方向に同時に1.2×1.2倍に再延伸した。さらに幅方向に1.05倍の延伸を行いながら温度195℃で1秒間熱処理後、幅方向に2%の弛緩処理を行い、厚さ5μmの二軸配向ポリエステルフィルムを作製した。
上記したこと以外は実施例1と同様の方法にて強磁性金属薄膜型磁気記録媒体用支持体を得た。得られた強磁性金属薄膜型磁気記録媒体用支持体は表1、2に示すように磁気テープとして使用した際に優れた特性を有していた。
(実施例8)
290℃に加熱された同方向回転タイプのベント式2軸混練押出機に、参考例1で得られたPETペレットX50重量%とGE Plastics社製のポリエーテルイミド“Ultem1010”(固有粘度0.68)のペレット50重量%を供給し、ブレンドチップ(I)を作製した。
押出機M、N2台を用い、295℃に加熱された押出機Mには、参考例1、2で得られたPETペレットX88重量%、PETペレットY2重量%と、ブレンドチップ(I)10重量%を180℃で3時間減圧乾燥した後に供給し、同じく295℃に加熱された押出機Nには、参考例1〜3で得られたPETペレットX79.5重量%、PETペレットY10重量%、PETペレットZ0.5重量%と、ブレンドチップ(I)10重量%を180℃で3時間減圧乾燥した後に供給した。2層積層するべくTダイ中で合流させ(積層比M(A面側)/N(B面側)=5/1)、表面温度25℃のキャストドラムに静電荷を印加させながら密着冷却固化し、積層未延伸フィルムを作製した。この未延伸フィルムを、リニアモータ式クリップを有する同時二軸テンターを用いて、二軸延伸した。長手方向および幅方向に同時に、温度95℃、延伸速度6,000%で3.5倍×3.5倍延伸し、70℃まで冷却した。続いて、温度170℃で長手方向および幅方向に同時に1.4×1.4倍に再延伸した。さらに幅方向に1.05倍の延伸を行いながら温度175℃で1秒間熱処理後、幅方向に2%の弛緩処理を行い、厚さ5μmの二軸配向ポリエステルフィルムを作製した。
上記したこと以外は実施例1と同様の方法にて強磁性金属薄膜型磁気記録媒体用支持体を得た。得られた強磁性金属薄膜型磁気記録媒体用支持体は表1、2に示すように磁気テープとして使用した際に優れた特性を有していた。
(実施例9)
蒸着工程での金属材料を99.99重量%銅へ変更し、搬送速度を60m/min、酸素ガス導入量を3.0L/min、電子ビーム出力を6.5kWとしたこと以外は実施例1と同様の方法にて強磁性金属薄膜型磁気記録媒体用支持体を得た。得られた強磁性金属薄膜型磁気記録媒体用支持体は表1、2に示すように磁気テープとして使用した際に優れた特性を有していた。
(実施例10)
蒸着工程での金属材料を99.99重量%亜鉛へ変更し、搬送速度を60m/min、酸素ガス導入量を3.0L/min、電子ビーム出力を6.5kWとしたこと以外は実施例1と同様の方法にて強磁性金属薄膜型磁気記録媒体用支持体を得た。得られた強磁性金属薄膜型磁気記録媒体用支持体は表1、2に示すように磁気テープとして使用した際に優れた特性を有していた。
(比較例1)
M層を形成しないこと以外は実施例1と同様の方法にて強磁性金属薄膜型磁気記録媒体用支持体を得た。得られた強磁性金属薄膜型磁気記録媒体用支持体は酸化アルミ層を持たず、また、表1、2に示すように磁気テープとして使用した際に劣る特性であった。
(比較例2)
蒸着工程での搬送速度を180m/min、酸素ガス導入量を5.0L/min、電子ビーム出力を1.3kWと変更したこと以外は実施例1と同様の方法にて強磁性金属薄膜型磁気記録媒体用支持体を得た。得られた強磁性金属薄膜型磁気記録媒体用支持体は、表1、2に示すように、蒸着厚みが40nmであり、また磁気テープとして使用した際に劣る特性であった。
(比較例3)
蒸着工程での搬送速度を10m/min、酸素ガス導入量を4.0L/min、電子ビーム出力を3.3kWと変更したこと以外は実施例1と同様の方法にて強磁性金属薄膜型磁気記録媒体用支持体を得た。得られた強磁性金属薄膜型磁気記録媒体用支持体は、表1、2に示すように、蒸着厚みが210nmであり、また磁気テープとして使用した際に劣る特性であった。
(比較例4)
蒸着工程での搬送速度を10m/min、酸素ガス導入量を12.0L/min、電子ビーム出力を3.2kWと変更したこと以外は実施例1と同様の方法にて強磁性金属薄膜型磁気記録媒体用支持体を得た。得られた強磁性金属薄膜型磁気記録媒体用支持体は、表1、2に示すように、光線透過率が80%であり、また磁気テープとして使用した際に劣る特性であった。
(比較例5)
蒸着工程での搬送速度を220m/min、酸素ガス導入量を1.0L/min、電子ビーム出力を5.3kWと変更したこと以外は実施例1と同様の方法にて強磁性金属薄膜型磁気記録媒体用支持体を得た。得られた強磁性金属薄膜型磁気記録媒体用支持体は、表1、2に示すように、表面抵抗率が10Ωであり、また磁気テープとして使用した際に劣る特性であった。
(比較例6)
蒸着工程での搬送速度を40m/min、酸素ガス導入量を10.0L/min、電子ビーム出力を8.9kWと変更したこと以外は実施例1と同様の方法にて強磁性金属薄膜型磁気記録媒体用支持体を得た。得られた強磁性金属薄膜型磁気記録媒体用支持体は、表1、2に示すように、表面抵抗率が1013Ωであり、また磁気テープとして使用した際に劣る特性であった。
(実施例11)
M層をA面側に形成すること以外は実施例1と同様の方法にて強磁性金属薄膜型磁気記録媒体用支持体を得た。得られた強磁性金属薄膜型磁気記録媒体用支持体は表1、2に示すようにカッピング量がマイナス0.2mmであったが磁気テープとして使用した際に優れた特性を有していた。
Figure 2008210498
Figure 2008210498
幅寸法を測定する際に用いるシート幅測定装置の模式図である。 本発明の支持体を製造する際に用いられる真空蒸着装置の模式図である。 従来の支持体を製造する際に用いられる真空蒸着装置の模式図である。 カッピングを測定するための測定装置を示す模式図である。
符号の説明
1:レーザー発振器
2:受光部
3:荷重検出器
4:荷重
5:フリーロール
6:フリーロール
7:フリーロール
8:フリーロール
9:磁気テープ
10:レーザー光
11:真空蒸着装置
12:真空チャンバ
13:巻出しロール部
14:ポリエステルフィルム
15:ガイドロール
16:冷却ドラム
17:蒸着チャンバ
18:巻取りロール部
19:金属材料
20:電子銃
21:電子ビーム
22:酸素ガスボンベ
23:るつぼ
24:酸素供給ノズル
25:マスク
26:ガス流量制御装置
27:支点P
28:サンプル
29:分銅
111:真空蒸着装置
112:真空チャンバ
113:巻出しロール部
114:ポリエステルフィルム
115:ガイドロール
116:冷却ドラム
117:蒸着チャンバ
118:巻取りロール部
119:金属材料
120:電子銃
121:電子ビーム
122:酸素ガスボンベ
123:るつぼ
124:酸素供給ノズル
125:マスク
126:ガス流量制御装置

Claims (4)

  1. ポリエステルフィルムの片面に金属系酸化物を含む層(M層)が設けられ、このM層の厚みが50〜200nmである強磁性金属薄膜型磁気記録媒体用支持体であって、該強磁性金属薄膜型磁気記録媒体用支持体の全光線透過率が0〜75%であり、M層表面の表面抵抗率が1×10〜1×1013Ωである強磁性金属薄膜型磁気記録媒体用支持体。
  2. M層の金属元素濃度について、厚み方向における最大値と最小値との差が0〜2at.%である、請求項1に記載の強磁性金属薄膜型磁気記録媒体用支持体。
  3. M層の金属元素がアルミニウムであり、金属元素濃度が30〜40at.%である、請求項1または2に記載の強磁性金属薄膜型磁気記録媒体用支持体。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の強磁性金属薄膜型磁気記録媒体用支持体の表面に強磁性金属薄膜からなる磁性層を設けた強磁性金属薄膜型磁気記録媒体。
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