JP2009064511A - 強磁性金属薄膜型磁気記録媒体用支持体および強磁性金属薄膜型磁気記録媒体 - Google Patents

強磁性金属薄膜型磁気記録媒体用支持体および強磁性金属薄膜型磁気記録媒体 Download PDF

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Abstract

【課題】寸法安定性や電磁変換特性、走行耐久性に優れた強磁性金属薄膜型磁気記録媒体用支持体であって、特に強磁性金属薄膜型磁気記録媒体とした際に温度や湿度の環境変化による寸法変化が小さい記録媒体を提供する。
【解決手段】ポリエステルフィルムの少なくとも片面に金属または合金からなる層(M層)が設けられており、表面粗さRaが0.5〜5nmのA面と5〜20nmのB面からなる強磁性金属薄膜型磁気記録媒体用支持体であって、M層がB面側のみ、あるいは、M層が両面に設けられてA面側のM層の厚さTaとB面側のM層の厚さTbがTa/Tb<1の関係を満たしており、さらに、長手方向と幅方向のヤング率の和が13〜22GPaで、長手方向のヤング率Emが6.5〜11GPaであり、かつ、長手方向のヤング率Emと幅方向のヤング率Etの比Em/Etが0.5〜1.0である強磁性金属薄膜型磁気記録媒体用支持体とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、磁気テープなどの強磁性金属薄膜型磁気記録媒体に用いられる支持体と、該支持体上に磁性層を設けた強磁性金属薄膜型磁気記録媒体に関するものであり、例えば、寸法安定性や電磁変換特性、走行耐久性に優れた強磁性金属薄膜型磁気記録媒体用支持体であって、特に強磁性金属薄膜型磁気記録媒体とした際に温度や湿度の環境変化による寸法変化が小さい強磁性金属薄膜型磁気記録媒体とすることができる支持体およびそれからなる強磁性金属薄膜型磁気記録媒体に関するものである。
二軸延伸ポリエステルフィルムはその優れた熱特性、寸法安定性、機械特性および表面形態の制御のし易さから各種用途に使用されており、特に強磁性金属薄膜型磁気記録媒体などの支持体としての有用性がよく知られている。近年、磁気テープなどの強磁性金属薄膜型磁気記録媒体は、機材の軽量化、小型化、大容量化のため、ベースフィルムの薄膜化や高密度記録化が要求されている。高密度記録化のためには、記録波長を短くし、記録トラックを小さくすることが有用である。しかしながら、記録トラックを小さくすると、テープ走行時における熱やテープ保管時の温湿度変化による変形により、記録トラックのずれが起こりやすくなるという問題がある。したがって、テープの使用環境および保管環境での寸法安定性といった特性の改善に対する要求がますます強まっている。また一方で、磁気テープとしたときの走行耐久性の改善要求がますます強くなっている。しかしながら、薄膜化すると機械的強度が不十分となってフィルムの腰の強さが弱くなったり、長手方向に伸びやすく、幅方向に縮みやすくなるため、トラックずれを起こしたり、ヘッドタッチが悪化し電磁変換特性が低下したり、ヘッドやテープが削れたりするといったような問題点がある。
この観点から、支持体には、強度、寸法安定性の点で二軸延伸ポリエステルフィルムよりも優れた剛性の高い芳香族ポリアミドが用いられることがある。しかしながら芳香族ポリアミドは、剛性が高くすぎてヘッド削れを引き起こしたりすることがある。さらに高価格でコストがかかり、汎用記録媒体の支持体としては現実的ではない。
一方、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートなどを用いたポリエステルフィルムにおいても、延伸技術を用いて高強度化した強磁性金属薄膜型磁気記録媒体用支持体が開発されている。しかしながら、温度や湿度に対する寸法安定性などの厳しい要求を満足することはいまだ困難である。
ポリエステルフィルムの片面または両面に金属などの補強層を設ける方法(特許文献1または2など)が開示されている。しかしながら、特許文献1では、長手方向のヤング率に不足しているため、特に、長手方向に張力のかかりやすいLTO(リニアテープオープン)などのリニア記録方式のデータストレージテープとして使用すると、寸法安定性や電磁変換特性、走行耐久性が不十分であることがある。また、特許文献2では、磁性面側に補強層を設けるため、カッピングの制御が困難となり、特に、リニア記録方式のデータストレージテープでは電磁変換特性が不十分であることがある。
また、カッピング制御や剛性のために補強層を設けた強磁性金属薄膜型磁気記録媒体(特許文献3または4など)が開示されている。しかしながら、特許文献3や4では、ベースフィルムのヤング率などのバランスや補強層の厚みを制御することでリニア記録型データストレージテープに適した寸法安定性を得る方法などが開示されておらず、その示唆も記載されていない。
特開平11−48434号公報 特開2002−319123号公報 特開2005−302184号公報 特開2001−344736号公報
本発明の目的は、上記の問題を解決し、寸法安定性や電磁変換特性、走行耐久性に優れた強磁性金属薄膜型磁気記録媒体用支持体であって、特に強磁性金属薄膜型磁気記録媒体とした際に温度や湿度の環境変化による寸法変化が小さい強磁性金属薄膜型磁気記録媒体とすることができる支持体およびそれからなる強磁性金属薄膜型磁気記録媒体を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明は、次の(1)〜(7)を特徴とするものである。
(1)ポリエステルフィルムの少なくとも片面に金属または合金からなる層(M層)が設けられており、表面粗さRaが0.5〜5nmのA面と5〜20nmのB面からなる強磁性金属薄膜型磁気記録媒体用支持体であって、M層がB面側のみに設けられているか、または、M層が両面に設けられてA面側のM層の厚さTaとB面側のM層の厚さTbがTa/Tb<1の関係を満たしており、さらに、長手方向と幅方向のヤング率の和が13〜22GPaであり、長手方向のヤング率Emが6.5〜11GPaであり、長手方向のヤング率Emと幅方向のヤング率Etの比Em/Etが0.5〜1.0である強磁性金属薄膜型磁気記録媒体用支持体。
(2)M層の厚みの総和が30〜300nmである上記(1)に記載の強磁性金属薄膜型磁気記録媒体用支持体。
(3)厚みが3〜6μmである上記(1)または(2)に記載の強磁性金属薄膜型磁気記録媒体用支持体。
(4)幅方向の湿度膨張係数が1〜6ppm/%RHである上記(1)〜(3)のいずれかに記載の強磁性金属薄膜型磁気記録媒体用支持体。
(5)幅方向の温度膨張係数が−5〜10ppm/℃である上記(1)〜(4)のいずれかに記載の強磁性金属薄膜型磁気記録媒体用支持体。
(6)M層が銅を含んでいる、上記(1)〜(5)のいずれかに記載の強磁性金属薄膜型磁気記録媒体用支持体。
(7)上記(1)〜(6)のいずれかに記載の強磁性金属薄膜型磁気記録媒体用支持体の表面に強磁性金属薄膜からなる磁性層を設けた強磁性金属薄膜型磁気記録媒体。
(8)記録方式がリニア記録方式である上記(7)に記載の強磁性金属薄膜型磁気記録媒体。
本発明によれば、磁気テープなどの強磁性金属薄膜型磁気記録媒体に用いられる支持体と、該支持体を用いた磁性層を有する磁気記録媒体に関するものであり、例えば、寸法安定性や電磁変換特性、走行耐久性に優れた強磁性金属薄膜型磁気記録媒体用支持体であって、特に磁気記録媒体とした際に温度や湿度の環境変化による寸法変化が小さい磁気記録媒体とすることができる強磁性金属薄膜型磁気記録媒体用支持体およびそれからなる強磁性金属薄膜型磁気記録媒体を得ることができる。
本発明の強磁性金属薄膜型磁気記録媒体用支持体は、ポリエステルフィルムの少なくとも片表面上に金属または合金からなる層(M層)が設けられてなる。M層を形成する金属または合金には、例えば、Al、Cu、Zn、Sn、Ni、Ag、Co、Fe、Mnなどの金属、これらの金属の合金としては、Fe−Co、Fe−Ni、Co−Ni、Fe−Co−Ni、Fe−Cu、Co−Cu、Co−Au、Co−Y、Co−La、Co−Pr、Co−Gd、Co−Sm、Co−Pt、Ni−Cu、Mn−Bi、Mn−Sb、Mn−Al、Fe−Cr、Co−Cr、Ni−Cr、Fe−Co−Cr、Ni−Co−Cr等が挙げられる。本発明の強磁性金属薄膜型磁気記録媒体用支持体として、M層は非磁性金属であることが好ましく、例えば、Al、Cu、Zn、Sn、Ag、Mnなどの金属、およびこれらの金属を含む合金が挙げられる。特に、銅(Cu)を用いることが寸法安定性に必要な補強効果を高める上で好ましい。
上記のM層は片面でも両面でもよく、両表面に設ける場合、両表面で異なる金属成分を含んでいてもよく、また、複数種の金属成分を混合して含んでいても構わないが、より好ましくは両表面で同一種の金属成分を含む方が良い。
M層の厚みの総和は、30〜300nmであることが好ましい。M層の厚みの総和が30nmより小さい場合、補強効果が小さく、温度・湿度による環境変化や荷重が付加された場合の寸法変化が大きくなりやすい。M層の厚みの総和の下限は、好ましくは60nm、より好ましくは100nmである。一方、M層の厚みの総和が300nmより大きい場合は、曲げ剛性が大きくなりやすく、磁気ヘッドあたりにおいてエッジ部で浮き上がり現象が発生することで読み取り不良や電磁変換特性の低下が起こることがある。M層の厚みの上限は、好ましくは230nm、より好ましくは180nmである。好ましい範囲としては、60〜230nm、より好ましい範囲としては、100〜180nmである。M層の厚みの総和が上記の範囲であれば、磁性層を設けない側の表面、すなわちバックコート層側の表面(B面)側の片面だけもよいし、両表面に設けられてもよい。両表面に設ける場合、磁性層を設ける側の表面(A面)側に強磁性金属薄膜からなる磁性層が設けられるので、A面側のM層の厚さTaとB面側のM層の厚さTbがTa/Tb<1の関係を満たすように制御すると、該支持体を用いて作製された強磁性金属薄膜型磁気記録媒体がフラットな形状になり好ましい。また、カッピングを起こすことがあるが、磁気記録媒体に使用するために、必要に応じて、カッピングを有すると、磁気ヘッドあたりが良好であることがある。その場合、磁性層を設ける側の表面(A)と磁性層を設けない側の表面、すなわちバックコート層側の表面(B)とでは、磁性層を設ける側の表面(A)が凸面になるカッピング形状であることが好ましい。また、Ta/Tbの好ましい範囲は、0.75未満であり、さらに好ましい範囲は0.5未満である。
また、本発明の強磁性金属薄膜型磁気記録媒体用支持体においては、磁性層を設ける側の表面(A)の中心線平均粗さRaが0.5nm〜5nmである。磁性層を設ける側の表面(A)のRaが0.5nmより小さい場合は、フィルム製造、加工工程などで、搬送ロールなどとの摩擦係数が大きくなり、工程トラブルを起こすことがあり、磁気テープとして用いる場合に、磁気ヘッドとの摩擦が大きくなり、磁気テープ特性が低下しやすい。また、Raが5nmより大きい場合は、高密度記録の強磁性金属薄膜型磁気テープとして用いる場合に、電磁変換特性が低下することがある。磁性層を設ける側の表面(A)のRaの好ましい下限は、1nmであり、好ましい上限は4nmである。好ましい範囲としては、1〜4nmである。
一方、バックコート層側の表面(B)の中心線平均粗さRaは5〜20nmである。バックコート層側の表面(B)のRaが5nmより小さい場合は、フィルム製造、加工工程などで、搬送ロールなどとの摩擦係数が大きくなり、工程トラブルを起こすことがあり、磁気テープとして用いる場合に、ガイドロールとの摩擦が大きくなり、テープ走行性が低下することがある。また、Raが20nmより大きい場合は、フィルムロールやパンケーキとして保管する際に、表面突起が反対側の表面に転写し、電磁変換特性が低下する傾向がある。バックコート層側の表面(B)のRaの好ましい下限は7nmであり、好ましい上限は15nmである。より好ましい範囲としては、7〜15nmである。
本発明の強磁性金属薄膜型磁気記録媒体用支持体に用いられるポリエステルフィルムは、マット面とフィラー面とを有することが好ましい。ここで、マット面とは、粒子と有機化合物を含有する被膜が形成された面を言い、通常、該被膜上には微細突起が形成されている。また、フィラー面とは、フィルムに内在する粒子により表面突起が形成される面を言う。中でも、マット面を磁性層を設ける側の表面(A)として、フィラー面を磁性層を設けない側の表面、すなわちバックコート層側の表面(B)とすることが上記の表面粗さに制御しやすい。
マット面の被膜に用いられる粒子の平均粒子径はフィラー面の粒子の平均粒子径の1/2 以下であり、好ましくは5〜50nm、より好ましくは8〜30nmであり、シリカ、炭酸カルシウム、アルミナ、ポリアクリル酸球、ポリスチレン球等が用いられるが、これらに限定されない。被膜中には該粒子は好ましくは0.01〜12.0質量%、より好ましくは0.02〜10.0質量%含まれる。また、有機化合物としては、有機高分子が好ましく、例えばポリビニルアルコール、トラガントゴム、カゼイン、ゼラチン、セルロース誘導体、水溶性ポリエステル、ポリウレタン等の有機高分子又はこれらのブレンド体が使用できる。
磁気記録媒体の磁性層の耐久性を更に増すために、必要に応じて、マット面を形成する被膜下のポリエステルフィルム層内には平均粒子径が30〜150nm、好ましくは40〜100nmの粒子を0.01〜1.0質量%、好ましくは0.02〜0.8質量%含ませマット面上に更に表面突起を持たせてもよい。ここで使用される粒子は炭酸カルシウム、シリカ、アルミナ、ポリスチレン等が例示されるがこれらに限定されない。
一方、フィラー面に用いられる粒子は炭酸カルシウム、シリカ、アルミナ、ポリスチレン等が例示される。この粒子の平均粒子径は好ましくは100〜1,000nmであり、より好ましくは150〜900nmのものが用いられる。粒子の添加量は、好ましくは、フィラー面を構成するポリエステル層の0.05〜1.0質量%であり、より好ましくは0.08〜0.8質量%である。
上記平均粒子径は下記の方法により測定されたものである。即ち、電顕試験台上に粒子粉体を、この粒子ができるだけ重ならないように散在せしめ、電子顕微鏡(好ましくは透過型電子顕微鏡)により倍率100万倍程度で観測し、少なくとも100個の粒子の面積円相当径を求め、この数平均値をもって平均粒子径とする。
なお、この平均粒子径をフィルムから求める場合下記の手法等により求められる。
a)フィルムマット面に金スパッター装置により金薄膜蒸着層を20〜30nm(Anm)設け、電子顕微鏡(好ましくは走査型電子顕微鏡)により倍率10万倍程度で観測し、少なくとも100個の粒子の面積円相当径を求め、この数平均値より2Anm減じた値をもって平均粒子径とする。
b)フィルムフィラー面をイオンエッチングしフィラー面の微粒子をフィルム表面から暴露し電子顕微鏡(好ましくは走査型電子顕微鏡)により倍率1万倍程度で観測し、少なくとも100個の粒子の面積円相当径を求め、この数平均値をもって平均粒子径とする。
本発明の強磁性金属薄膜型磁気記録媒体用支持体は、長手方向のヤング率と幅方向のヤング率の和が13〜22GPaである。ヤング率の和の好ましい範囲は、14〜20GPaである。ヤング率の和が13GPaより小さい場合、後述するように、長手方向や幅方向のヤング率が不足するために、伸び変形により幅方向に収縮し、記録トラックずれという問題が発生したり、エッジダメージが発生したりしやすくなる。また、ヤング率の和が22GPaより大きい場合、二軸配向ポリエステルフィルムに対してM層の厚みを厚くして設ける必要があり、走行を繰り返すことで剥離や脱落が発生し易く、磁気ヘッドや磁気テープの削れが発生しやすく、十分な走行耐久性が得られないことがある。
長手方向のヤング率と幅方向のヤング率の和を上述の範囲内とするためには、磁気記録媒体用支持体の長手方向のヤング率を6.5〜11GPaとする。長手方向のヤング率が6.5GPaより小さい場合、テープドライブ内での長手方向への張力によって長手方向に伸び、この伸び変形により幅方向に収縮し、記録トラックずれという問題が発生しやすい。長手方向のヤング率の下限は、より好ましくは7GPaである。一方、長手方向のヤング率が11GPaより大きい場合、幅方向のヤング率を好ましい範囲に制御することが難しくなり、幅方向のヤング率が不足し、エッジダメージの原因となったり、幅方向の寸法安定性として本発明の効果が得られにくかったりすることがある。長手方向のヤング率の上限は、より好ましくは10GPaである。より好ましい範囲としては、7〜10GPaである。
また、幅方向のヤング率は6.5〜13GPaの範囲とすることが好ましい。幅方向のヤング率が6.5GPaより小さい場合、エッジダメージの原因となったり、幅方向の寸法安定性として本発明の効果が得られにくかったりすることがある。幅方向のヤング率の下限は、より好ましくは7GPa、さらに好ましくは8GPaである。一方、幅方向のヤング率が13GPaより大きい場合、長手方向のヤング率を好ましい範囲に制御することが難しくなり長手方向の張力により変形しやすくなったり、スリット性が悪化したりすることがある。幅方向のヤング率の上限は、より好ましくは12GPa、さらに好ましくは11GPaである。より好ましい範囲としては、7〜12GPa、さらに好ましい範囲としては8〜11GPaである。
また、本発明の磁気記録媒体用支持体は、長手方向のヤング率Emと幅方向のヤング率Etの比Em/Etが0.5〜1.0の範囲内である。Em/Etは、0.6〜1.0の範囲内であることがより好ましく、0.6〜0.8の範囲内であることがさらに好ましい。特に、長手方向のヤング率より幅方向のヤング率が大きいほうが、幅方向の寸法安定性として本発明の効果を得やすい。
なお、本発明において、支持体の長手方向とは、一般的にMD方向といわれる方向であって、ポリエステルフィルム製造工程時の長手方向と同じ方向を指し、支持体の幅方向とは、一般的にTD方向といわれる方向であって、ポリエステルフィルム製造工程時の幅方向と同じ方向を指す。
そして、最近の磁気材料用途においては、長時間記録化のためのベースフィルムのいっそうの薄膜化と高密度記録化が要求されている。本発明では、その要求を満たすための最も重要な特性として、磁気テープへの加工工程や、テープ使用環境の温度、湿度、張力等の条件下でのテープの長手方向の伸び変形、および幅方向の寸法安定性を最適な範囲に制御することに着目した。その寸法安定性の指標として、金属系酸化物を含む層(M層)を二軸配向ポリエステルフィルムに設けて、湿度膨張係数や温度膨張係数を本発明の範囲にすることによって、テープ使用環境の温度、湿度、張力に対する長手方向および幅方向の変形が少ない、寸法安定性に優れた二軸配向ポリエステルフィルムが得られることを見出した。
本発明の強磁性金属薄膜型磁気記録媒体用支持体は、幅方向の湿度膨張係数が1〜6ppm/%RHであることが好ましい。湿度膨張係数が上記範囲内であることは、磁気記録媒体の記録再生時の湿度変化による寸法安定性や高湿条件での保存後の寸法安定性の観点から好ましい。幅方向の湿度膨張係数の上限は、好ましくは5.5ppm/%RH、さらに好ましくは5ppm/%RHである。幅方向の湿度膨張係数の下限を1ppm/%RHより小さくするためには、幅方向の配向をかなり高める必要があり、実質的に二軸配向ポリエステルフィルムを得ることが困難である場合がある。より好ましい範囲としては、1〜5.5ppm/%RH、さらに好ましい範囲としては1〜5ppm/%RHである。
本発明の強磁性金属薄膜型磁気記録媒体用支持体は、幅方向の温度膨張係数が−5〜10ppm/℃であることが好ましい。温度膨張係数が上記範囲内であることは、磁気記録媒体の記録再生時の温度変化による寸法安定性や高温条件での保存後の寸法安定性の観点から好ましい。幅方向の温度膨張係数の上限は、好ましくは8ppm/℃、さらに好ましくは7ppm/℃である。幅方向の温度膨張係数の下限は、好ましくは−3ppm/℃、さらに好ましくは0ppm/℃である。より好ましい範囲としては、−3〜8ppm/%RH、さらに好ましい範囲としては0〜7ppm/%RHである。磁気ヘッドの材質として、Al−TiCが用いられることが多く、それを用いた磁気ヘッドの温度膨張係数は7ppm/℃であるため、強磁性金属薄膜型磁気記録媒体の温度膨張を7ppm/℃近傍に制御すると、見かけ上の温度膨張を低減させることができる。支持体として、上記範囲の温度膨張係数に制御すると、その支持体を用いて作製された強磁性金属薄膜型磁気記録媒体の温度膨張を制御しやすい。
本発明において、ポリエステルフィルムとは、例えば、芳香族ジカルボン酸、脂環族ジカルボン酸または脂肪族ジカルボン酸などの酸成分やジオール成分を構成単位(重合単位)とするポリマーで構成されたものである。
芳香族ジカルボン酸成分としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルスルホンジカルボン酸等を用いることができ、なかでも好ましくは、テレフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸を用いることができる。脂環族ジカルボン酸成分としては、例えば、シクロヘキサンジカルボン酸等を用いることができる。脂肪族ジカルボン酸成分としては、例えば、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸等を用いることができる。これらの酸成分は一種のみを用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
ジオール成分としては、例えば、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリアルキレングリコール、2,2’−ビス(4’−β−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン等を用いることができ、なかでも、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコール等を好ましく用いることができ、特に好ましくは、エチレングリコール等を用いることができる。これらのジオール成分は一種のみを用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
ポリエステルには、ラウリルアルコール、イソシアン酸フェニル等の単官能化合物が共重合されていてもよいし、トリメリット酸、ピロメリット酸、グリセロール、ペンタエリスリトール、2,4−ジオキシ安息香酸、等の3官能化合物などが、過度に分枝や架橋をせずポリマーが実質的に線状である範囲内で共重合されていてもよい。さらに酸成分、ジオール成分以外に、p−ヒドロキシ安息香酸、m−ヒドロキシ安息香酸、2,6−ヒドロキシナフトエ酸などの芳香族ヒドロキシカルボン酸およびp−アミノフェノール、p−アミノ安息香酸などを本発明の効果が損なわれない程度の少量であればさらに共重合せしめることができる。
ポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートが好ましい。また、これらの共重合体、および変性体でもよく、他の熱可塑性樹脂とのポリマーアロイでもよい。ここでいうポリマーアロイとは高分子多成分系のことであり、共重合によるブロックコポリマーであってもよいし、混合などによるポリマーブレンドでもよい。
特に、上記ポリエステル樹脂とポリイミド系樹脂のポリマーアロイは混合割合によってガラス転移温度を制御できるため、使用条件に合わせたポリマー設計ができるため好ましい。ポリマーの混合割合はNMR法(核磁気共鳴法)や顕微FT−IR法(フーリエ変換顕微赤外分光法)を用いて調べることができる。
ポリイミド系樹脂としては、例えば、下記一般式で示されるような構造単位を含有するものが好ましい。
Figure 2009064511
ただし、式中のRは、
Figure 2009064511
Figure 2009064511
などの脂肪族炭化水素基、脂環族炭化水素基、芳香族炭化水素基から選ばれた一種もしくは二種以上の基を表している。また、式中のRは、
Figure 2009064511
などの脂肪族炭化水素基、脂環族炭化水素基、芳香族炭化水素基から選ばれた一種もしくは二種以上の基を表している。
溶融成形性やポリエステルとの親和性などの点から、下記一般式で示されるような、ポリイミド構成成分にエーテル結合を含有するポリエーテルイミドが特に好ましい。
Figure 2009064511
(ただし、上記式中Rは、6〜30個の炭素原子を有する2価の芳香族または脂肪族残基、Rは6〜30個の炭素原子を有する2価の芳香族残基、2〜20個の炭素原子を有するアルキレン基、2〜20個の炭素原子を有するシクロアルキレン基、および2〜8個の炭素原子を有するアルキレン基で連鎖停止されたポリジオルガノシロキサン基からなる群より選択された2価の有機基である。)
上記R、Rとしては、例えば、下記式群に示される芳香族残基を挙げることができる。
Figure 2009064511
本発明では、ポリエステルとの親和性、コスト、溶融成形性等の観点から、2,2−ビス[4−(2,3−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン二無水物とm−フェニレンジアミン、またはp−フェニレンジアミンとの縮合物である、下記式で示される繰り返し単位を有するポリマーが好ましい
Figure 2009064511
または
Figure 2009064511
(nは2以上の整数、好ましくは20〜50の整数)
このポリエーテルイミドは、“ウルテム”(登録商標)の商品名で、ジーイープラスチックス社より入手可能である。
本発明において、例えば、ポリエステル樹脂とポリイミド樹脂とを混合する方法としては、溶融押出前に、ポリエステル樹脂とポリイミド樹脂の混合物を予備溶融混練(ペレタイズ)してマスターチップ化する方法や、溶融押出時に混合して溶融混練させる方法などがある。中でも、二軸押出機などのせん断応力のかかる高せん断混合機を用いて予備混練してマスターチップ化する方法などが好ましく例示される。その場合、通常の一軸押出機に該混合されたマスターチップ原料を投入して溶融製膜してもよいし、高せん断を付加した状態でマスターチップ化せずに直接にシーティングしてもよい。二軸押出機で混合する場合、分散不良物を低減させる観点から、3条二軸タイプまたは2条二軸タイプのスクリューを装備したものが好ましい。また、ポリエステル樹脂とポリイミド樹脂を混合する場合、溶融粘度の差があるため、ポリイミド樹脂を高濃度に混合したマスターチップを作製することが好ましく、特に、ポリエステル樹脂/ポリイミド樹脂の混合質量比率を10/90〜70/30とするのが好ましく、より好ましい範囲は30/70〜60/40の範囲である。
混練部の温度範囲を好ましい範囲にすることは、せん断応力を高めやすく、分散不良物を低減しやすくなる。そのときの滞留時間は1〜5分の範囲が好ましい。また、スクリュー回転数を100〜500回転/分とすることが好ましく、さらに好ましくは200〜400回転/分の範囲である。スクリュー回転数を好ましい範囲に設定することでも、高いせん断応力が付加され易く、分散不良物を低減しやすくなる。また、二軸押出機の(スクリュー軸長さ/スクリュー軸径)の比率は20〜60の範囲であることが好ましく、さらに好ましくは30〜50の範囲である。
さらに、二軸スクリューにおいて、混練力を高めるためにニーディングパドルなどによる混練部を設けることは好ましく、その混練部を好ましくは2箇所以上、さらに好ましくは3箇所以上設けたスクリュー形状にする。この際、原料の混合順序には特に制限はなく、全ての原材料を配合後上記の方法により溶融混練する方法、一部の原材料を配合後上記の方法により溶融混練し更に残りの原材料を配合し溶融混練する方法、あるいは一部の原材料を配合後単軸あるいは2軸の押出機により溶融混練中にサイドフィーダーを用いて残りの原材料を混合する方法など、いずれの方法を用いてもよい。また、プラスチック成形加工学会誌「成形加工」第15巻第6号、382〜385頁(2003年)に記載された超臨界流体を利用する方法なども好ましく例示することができる。
本発明において、ポリエステルフィルムは2層以上の積層構成であることが好ましい。特に、本発明の支持体は、磁気記録媒体に用いるため、一方の表面には、優れた電磁変換特性を得るための平滑さが求められ、他方の表面には、製膜・加工工程での搬送や、磁気テープの走行性や走行耐久性を付与するための粗さが求められる。そのため、ポリエステルフィルムを2層以上の積層構成にすることが好ましい。
ポリエステルフィルムには、その表面に易滑性や耐摩耗性、耐スクラッチ性などを付与するため、無機粒子、有機粒子、例えば、クレー、マイカ、酸化チタン、炭酸カルシウム、カリオン、タルク、湿式シリカ、乾式シリカ、コロイド状シリカ、リン酸カルシウム、硫酸バリウム、アルミナ、ジルコニア等の無機粒子、アクリル酸類、スチレン系樹脂、熱硬化樹脂、シリコーン、イミド系化合物等を構成成分とする有機粒子、ポリエステル重合反応時に添加する触媒等によって析出する粒子(いわゆる内部粒子)などが添加されていてもよい。粒子の粒径はTEMなどによって調べることができ、粒子の添加量はX線マイクロアナライザーや熱分解ガスクロマト質量分析などによって調べることができる。
本発明の強磁性金属薄膜型磁気記録媒体用支持体としての厚みは、3〜6μmが好ましい。この厚みが3μmより小さい場合、曲げ剛性が小さくなりすぎて、磁気テープにした際にヘッドあたりが不足して電磁変換特性が低下することがある。一方、この厚みが6μmより大きい場合は、曲げ剛性が高くなりすぎて、ヘッドのエッジ近傍でテープ浮き上がりによる電磁変換特性の不良があったり、カートリッジで保存した後に巻きじまりによる転写が起こったりして電磁変換特性の低下を引き起こすことがある。したがって、強磁性金属薄膜型磁気記録媒体用途の場合、厚みの下限は、好ましくは4μmであり、上限は、好ましくは5.5μmである。より好ましい範囲としては4〜5.5μmである。
また、本発明の強磁性金属薄膜型磁気記録媒体用支持体を構成するポリエステルフィルムの厚みは、3〜6μmであることが好ましい。この厚みが3μmより小さい場合は、曲げ剛性が小さくなりすぎて、磁気テープにした際にヘッドあたりが不足して電磁変換特性が低下することがある。ポリエステルフィルムの厚みの下限は、より好ましくは4μmである。一方、ポリエステルフィルムの厚みが6μmより大きい場合は、曲げ剛性が大きくなりすぎて、ヘッドのエッジ近傍でテープ浮き上がりによる電磁変換特性の不良があったり、カートリッジで保存した後に巻きじまりによる転写が起こったりして電磁変換特性の低下を引き起こすことがある。ポリエステルフィルムの厚みの上限は、より好ましくは5.5μmである。より好ましい範囲としては4〜5.5μmである。
上記したような本発明の強磁性金属薄膜型磁気記録媒体用支持体は、たとえば次のように製造される。
まず、支持体を構成するポリエステルフィルムを製造する。ポリエステルフィルムを製造するには、たとえばポリエステルのペレットを、押出機を用いて溶融し、口金から吐出した後、冷却固化してシート状に成形する。このとき、繊維焼結ステンレス金属フィルターによりポリマーを濾過することが、ポリマー中の未溶融物を除去するために好ましい。また、ポリエステルフィルムの表面に易滑性や耐摩耗性、耐スクラッチ性などを付与するため、無機粒子、有機粒子、例えば、クレー、マイカ、酸化チタン、炭酸カルシウム、カリオン、タルク、湿式シリカ、乾式シリカ、コロイド状シリカ、リン酸カルシウム、硫酸バリウム、アルミナ、ジルコニア等の無機粒子、アクリル酸類、スチレン系樹脂、熱硬化樹脂、シリコーン、イミド系化合物等を構成成分とする有機粒子、ポリエステル重合反応時に添加する触媒等によって析出する粒子(いわゆる内部粒子)などを添加することも好ましい。さらに、本発明を阻害しない範囲内であれば、各種添加剤、例えば、相溶化剤、可塑剤、耐候剤、酸化防止剤、熱安定剤、滑剤、帯電防止剤、増白剤、着色剤、導電剤、結晶核剤、紫外線吸収剤、難燃剤、難燃助剤、顔料、染料、などが添加されてもよい。
続いて、上記シートを長手方向と幅方向の二軸に延伸した後、熱処理する。延伸工程は、特に限定されないが、各方向において2段階以上に分けることが好ましい。すなわち再縦、再横延伸を行う方法が高密度記録の磁気テープとして最適な高強度のフィルムが得られ易いために好ましい。
そして、支持体の長手方向のヤング率は、ポリエステルフィルムの長手方向のヤング率でほとんど決まる。一方、支持体の幅方向のヤング率も、ポリエステルフィルムの幅方向のヤング率でほとんど決まる。したがって、ポリエステルフィルムの長手方向、幅方向のヤング率を、延伸倍率や延伸温度によって制御することが好ましい。基本的には、後述する総面積延伸倍率を高くしたり、延伸温度を低くしたりすれば、製造したポリエステルフィルムのヤング率を高くすることができる。
延伸形式としては、長手方向に延伸した後に幅方向に延伸を行うなどの逐次二軸延伸法や、同時二軸テンター等を用いて長手方向と幅方向を同時に延伸する同時二軸延伸法、さらに、逐次二軸延伸法と同時二軸延伸法を組み合わせた方法などが包含される。中でも、逐次二軸延伸法を用いて、縦延伸後に片側表面A面にマット面を形成させるための水溶液を塗付してから横延伸を施すことが好ましく例示される。
熱処理温度はポリエステルの融点を目安にして決定することができる。熱処理温度は、150℃〜[ポリエステルの融点(Tm)−15]℃が好ましく、熱処理時間は0.5〜10秒の範囲で行うのが好ましい。特に、1段目の熱処理温度を好ましくは(Tm−65)〜(Tm−15)℃、さらに好ましくは(Tm−55)〜(Tm−25)℃に設定して、2段目の熱処理温度を1段目より低温に設定する。さらに、2段目の熱処理工程のみを幅方向に1〜5%の弛緩率で弛緩処理するとさらに好ましい。上述の多段階の熱処理工程によると、ヤング率や温度・湿度変化に対する寸法安定性を高めつつ、分子鎖緩和が効果的に進行するので、本発明の効果である荷重が負荷された状態で保存したときの寸法変化を表す保存安定性を高めやすくなる
そして、このようにして製造されたポリエステルフィルムはロールに巻き取られる。
次に、上記のようにして熱処理が行われたポリエステルフィルムの両面に金属または合金からなる層(M層)を設ける。
M層の形成方法としては物理蒸着法や化学蒸着法を用いることができる。ポリエステルフィルムへの物理蒸着法には真空蒸着法、スパッタリング法があり、特に生産性の観点から真空蒸着法が好ましく、さらに金属蒸気の高エネルギー化が可能な電子ビーム蒸着法が好ましい。
そして、支持体の湿度膨張係数は、蒸着前のポリエステルフィルムのヤング率などに反映されるフィルムの配向状態や、M層の金属成分や厚みを制御することで本発明の範囲内とすることが可能である。
また、支持体のヤング率は、M層を構成する金属成分の種類やM層の厚みによっても制御できる。M層自体の強度を高く、膜厚を厚くすることで支持体のヤング率を高めることができる。
なお、本発明においては、ポリエステルフィルムやそのポリエステルフィルムを用いて得られた支持体に、必要に応じて、熱処理、マイクロ波加熱、成形、表面処理、ラミネート、コーティング、印刷、エンボス加工、エッチング、などの任意の加工を行ってもよい。
以下、本発明の支持体の製造方法について、ポリエチレンテレフタレート(PET)をポリエステルとして用いた例を代表例として説明する。もちろん、本願はPETフィルムを用いた支持体に限定されるものではなく、他のポリマーを用いたものものでもよい。例えば、ガラス転移温度や融点の高いポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートなどを用いてポリエステルフィルムを構成する場合は、以下に示す温度よりも高温で押出や延伸を行えばよい。
まず、ポリエチレンテレフタレートを準備する。ポリエチレンテレフタレートは、次のいずれかのプロセスで製造される。すなわち、(1)テレフタル酸とエチレングリコールを原料とし、直接エステル化反応によって低分子量のポリエチレンテレフタレートまたはオリゴマーを得、さらにその後の三酸化アンチモンやチタン化合物を触媒に用いた重縮合反応によってポリマーを得るプロセス、(2)ジメチルテレフタレートとエチレングリコールを原料とし、エステル交換反応によって低分子量体を得、さらにその後の三酸化アンチモンやチタン化合物を触媒に用いた重縮合反応によってポリマーを得るプロセスである。ここで、エステル化は無触媒でも反応は進行するが、エステル交換反応においては、通常、マンガン、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、リチウム、チタン等の化合物を触媒に用いて進行させ、またエステル交換反応が実質的に完結した後に、該反応に用いた触媒を不活性化する目的で、リン化合物を添加する場合もある。
フィルムを構成するポリエステルに不活性粒子を含有させる場合には、エチレングリコールに不活性粒子を所定割合にてスラリーの形で分散させ、このエチレングリコールを重合時に添加する方法が好ましい。不活性粒子を添加する際には、例えば、不活性粒子の合成時に得られる水ゾルやアルコールゾル状態の粒子を一旦乾燥させることなく添加すると粒子の分散性がよい。また、不活性粒子の水スラリーを直接PETペレットと混合し、ベント式二軸混練押出機を用いて、PETに練り込む方法も有効である。不活性粒子の含有量を調節する方法としては、上記方法で高濃度の不活性粒子のマスターペレットを作っておき、それを製膜時に不活性粒子を実質的に含有しないPETで希釈して不活性粒子の含有量を調節する方法が有効である。
次に、得られたPETのペレットを、180℃で3時間以上減圧乾燥した後、固有粘度が低下しないように窒素気流下あるいは減圧下で、270〜320℃に加熱された押出機に供給し、スリット状のダイから押出し、キャスティングロール上で冷却して未延伸フィルムを得る。この際、異物や変質ポリマーを除去するために各種のフィルター、例えば、焼結金属、多孔性セラミック、サンド、金網などの素材からなるフィルターを用いることが好ましい。また、必要に応じて、定量供給性を向上させるためにギアポンプを設けてもよい。フィルムを積層する場合には、2台以上の押出機およびマニホールドまたは合流ブロックを用いて、複数の異なるポリマーを溶融積層する。特に、マット面用のポリエステル原料(A)と、平均粒子径100〜1,000nmの粒子を0.05〜1.0質量%含有させたフィラー面用のポリエステル原料(B)を用いたA/B積層フィルムを押出しすることが好ましい。
未延伸ポリエステルフィルムを加熱ロール群で加熱し、長手方向に2〜5倍、好ましくは2.5〜4.5倍、さらに好ましくは3〜4倍に1段もしくは2段以上の多段で延伸する(MD延伸1)。延伸温度はTg(未延伸ポリエステルフィルムのガラス転移温度)〜(Tg+60)℃、好ましくは(Tg+10)〜(Tg+50)℃、さらに好ましくは(Tg+15)〜(Tg+40)℃の範囲である。その後20〜50℃の冷却ロール群で冷却する。MD延伸1の前に微延伸工程を設けてもよい。その場合の延伸温度は(Tg+10)〜(Tg+70)℃が好ましく、より好ましくは、(Tg+15)〜(Tg+60)℃で、延伸倍率は、1.05〜1.8倍が好ましく、より好ましくは1.1〜1.5倍、さらに好ましくは、1.15〜1.3倍である。この微延伸工程は、ポリマー鎖内およびポリマー鎖間に蓄積されたひずみを除去し、その後の延伸をしやすくするために有効である。MD延伸1に続いて、マット面を形成するために、A層表面に平均粒子径が5〜50nm、好ましくは8〜30nmの微細粒子を0.01〜12.0質量%、好ましくは0.02〜10.0質量%含む有機化合物からなる塗液を塗布する。その後、幅方向に延伸を実施するが、幅方向の延伸方法としては、例えば、テンターを用いる方法が一般的である。このフィルムの両端部をクリップで把持して、テンターに導き、幅方向の延伸を行う(TD延伸1)。延伸温度はTg〜(Tg+80)℃が好ましく、より好ましくは(Tg+10)〜(Tg+70)℃、さらに好ましくは(Tg+20)〜(Tg+60)℃の範囲である。特に、縦延伸温度より5〜20℃低温で延伸することが好ましく、10〜20℃低温で延伸することがさらに好ましい。延伸倍率は、2.0〜6.0倍が好ましく、より好ましくは3.0〜5.0倍、さらに好ましくは3.5〜4.5倍の範囲である。
さらに必要に応じて、再縦延伸および/または再横延伸を行う。その場合、フィルムを加熱ロール群で加熱し、長手方向に1.1〜2.5倍、好ましくは1.2〜2.4倍、さらに好ましくは1.3〜2.3倍に再縦延伸し(MD延伸2)、20〜50℃の冷却ロール群で冷却する。延伸温度はTg〜(Tg+100)℃の範囲が好ましく、より好ましくは(Tg+20)〜(Tg+80)℃の範囲、さらに好ましくは(Tg+40)〜(Tg+60)℃の範囲である。次に、ステンターを用いて再び幅方向の延伸を行う(TD延伸2)。延伸温度はTg〜250℃の範囲が好ましく、より好ましくは(Tg+20)〜240℃の範囲、さらに好ましくは(Tg+40)〜220℃の範囲である。延伸倍率は1.1〜2.5倍の範囲が好ましく、より好ましくは1.15〜2.2倍、さらに好ましくは1.2〜2.0倍である。
本発明では、長手方向のヤング率Emと幅方向のヤング率Etの比Em/Etが0.5〜1.0である二軸配向ポリエステルフィルムを得るために、幅方向の延伸倍率が長手方向の延伸倍率より大きいことが必要である。その場合、幅方向の総延伸倍率が長手方向の総延伸倍率の1.3〜1.5倍であることが好ましい。特に、1段目の延伸において、幅方向の延伸倍率が、長手方向の延伸倍率の1.1〜1.3倍として、さらに、2段目の延伸において、幅方向のみに熱処理と同時に延伸することが幅方向の分子鎖配向を高めるうえでより好ましい。
続いて、この延伸フィルムを緊張下または幅方向に弛緩しながら熱処理する。熱処理条件は、熱処理温度は、150℃〜230℃が好ましく、熱処理時間は0.5〜10秒の範囲で行うのが好ましい。熱処理工程を2段階以上の多段階で行うことが好ましく、特に、1段目の熱処理温度を好ましくは180〜230℃、さらに好ましくは190〜220℃に設定して、2段目の熱処理温度を1段目より低温にして、好ましくは150〜200℃、さらに好ましくは150〜180℃に設定する。さらに、2段目の熱処理工程のみを幅方向に1〜5%の弛緩率で弛緩処理するとさらに好ましい。上述の多段階の熱処理工程によると、ヤング率や温度・湿度変化に対する寸法安定性を高めつつ、分子鎖緩和が効果的に進行するので、本発明の効果である荷重が負荷された状態で保存したときの寸法変化を表す保存安定性を高めやすくなる。
その後、フィルムエッジを除去し、ロールに巻き取る。また、フィルムをコアに巻いた状態(ロール状フィルム)で、熱風オーブンなどで加熱処理してもよい。
このように作製されたポリエステルフィルムは、水分を吸湿しないように、低湿度の環境下で保存することが好ましく、搬送時などもできるだけ吸湿を防ぐような梱包が好ましい。ポリエステルフィルムの吸湿はM層形成時に悪影響を及ぼすためである。
本発明の強磁性金属薄膜型磁気記録媒体は、上記の本発明の支持体のマット面側に少なくとも一層の強磁性金属薄膜からなる磁性層を有する。磁性層は、本発明の支持体のM層自体からなるか該M層を含んで構成され、或いは該M層上に形成された少なくとも1層の強磁性金属薄膜から構成される。
本発明において、金属薄膜型の磁性層を形成する磁性材料としては、通常の金属薄膜型の磁気記録媒体の製造に用いられる強磁性金属材料が挙げられ、例えばCo、Ni、Fe等の強磁性金属、また、Fe−Co、Fe−Ni、Co−Ni、Fe−Co−Ni、Fe−Cu、Co−Cu、Co−Au、Co−Y、Co−La、Co−Pr、Co−Gd、Co−Sm、Co−Pt、Ni−Cu、Mn−Bi、Mn−Sb、Mn−Al、Fe−Cr、Co−Cr、Ni−Cr、Fe−Co−Cr、Ni−Co−Cr等の強磁性合金が挙げられる。また、これら金属もしくは金属合金の窒化物、炭化物、酸化物も好ましい。高密度記録のためには磁気記録媒体の磁性層は、斜め蒸着又はスパッタなどにより基材上に形成される。斜め蒸着やスパッタの方法は特に限定されず、従来公知の方法に準ずる。蒸着の際の減圧度は10−4〜10−7Torr程度である。
特に、支持体の強化膜がコバルト等の強磁性金属から形成されている場合は、当該M層を磁性層としてもよく、特に本発明では、減圧雰囲気下での斜め蒸着により、支持体の一面にコバルトを主体とする強磁性金属を付着させて形成したM層を磁性層とすることが好ましい。この場合、蒸着中に酸素ガスを導入してコバルトを主体とする強磁性金属の酸化物が含まれるようにすることが一層望ましい。
更に、支持体上にバックコート層を形成することができる。バックコート層は、カーボンブラックやバインダーを主成分とする厚さ0.2〜1.0μm程度の塗布型のバックコート層でもよいし、蒸着法、直流スパッタ法、交流スパッタ法、高周波スパッタ法、直流マグネトロンスパッタ法、高周波マグネトロンスパッタ法、イオンビームスパッタ法などの乾式メッキ手段により、減圧雰囲気下で金属又は半金属を支持体に付着させて形成された金属薄膜型のバックコート層でもよい。後者の場合、バックコート層として付着する金属としては、いろいろ考えられるが、Al、Cu、Zn、Sn、Ni、Ag、Coなど及びこれらの合金が用いられ、Al、CoやCu−Al合金が好適である。また、バックコート層を形成する半金属としては、Si、Ge、As、Sc、Sbなどが用いられ、Siが好適である。更に蒸着時に前記金属又は半金属に酸化反応、炭化反応等をさせた酸化膜、炭化膜などのようにセラミックス化したものも好適である。また、更に添加物をドープし、導電率を向上させることは好ましい。金属薄膜型のバックコート層の厚さは、0.05〜1.0μm程度である。バックコート層は金属薄膜型が好ましく、かかるバックコート層は、本発明の支持体のM層自体からなるか該M層を含んで構成され、或いは該M層上に形成された少なくとも1層の強磁性金属薄膜から構成されることが好ましい。特に支持体の強化膜をバックコート層とすることが好ましい。
また、本発明の強磁性金属薄膜型磁気記録媒体においては、磁性層上に厚さが1〜50nmの保護膜が設けられるのが好ましい。保護層を構成する材料として、Al等の金属の酸化物、窒化物、あるいは炭化物などの他、SiC等、及びそれを含む化合物などが考えられる。また、特に、炭素膜、中でもダイヤモンドライクカーボンが好ましい。ダイヤモンドライクカーボンよりなる保護層はフィジカルベーパーデポジション(PVD)法又はケミカルベーパーデポジション(CVD)法により形成される。特に、ECRプラズマCVD装置により形成される。即ち、真空槽内に配設された支持体上の磁性層に対してECRプラズマCVD装置を作動させ、磁性層に炭化水素系ガスのプラズマを吹き付ける。これにより、磁性層表面に保護層(ダイヤモンドライクカーボン層)が形成される。
更に、本発明の強磁性金属薄膜型磁気記録媒体においては、磁性層又は保護層上に適当な潤滑剤からなる潤滑剤層を形成することが好ましい。特にパーフルオロポリエーテル等のフッ素系の潤滑剤が好ましく、潤滑剤層の厚さは0.5〜10nm程度である。潤滑剤としては、例えば−[C(R)F-CF-O]p−(但し、RはF、CF、CHなどの基) 、特にHOOC-CF(OCF)p(OCF)q-OCFCOOH、F-(CFCFCFO)n-CFCFCOOH 等のカルボキシル基変性パーフルオロポリエーテル、HOCH-CF(OCF)p(OCF)q-OCF-CHOH、 HO-(CHO)m-CH-(OCF)p(OCF)q-OCH-(OCHCH)n-OH、F-(CFCFCFO)n-CFCFCHOH等のアルコール変性パーフルオロポリエーテルが挙げられる。分子量は500〜50,000のものが好ましい。具体的には、モンテカチーニ社の商品名「FOMBLIN Z DIAC」や「FOMBLIN Z DOL」、ダイキン工業社の商品名「デムナムSA」等がある。特に耐久性の面ではフッ素系アルキル基とアルキル基の両方を持つ潤滑剤の使用が好ましい。また、これらの潤滑剤を混合して使用することも好ましい。なお、本発明においては、バックコート層上にも上記のような潤滑剤層を形成することが走行性の面から好ましい。
本発明において、各磁性層の厚さは、2層の場合、下層の磁性層の厚さが10〜200nm、上層の磁性層の厚さが5〜100nmが好ましく、3層の場合、下層の磁性層の厚さが10〜200nm、中間の磁性層の厚さが10〜100nm、上層の磁性層の厚さが5〜100nmが好ましい。また磁性層の数は高周波記録媒体程多い方が良いが、実用的な範囲としては2〜5層、特に2〜3層が適当と考えられる。多層の磁性層は、一層ずつ形成しても、二以上の装置を用いて連続的に成膜してもよい。
また、本発明の磁気記録媒体の保磁力は、磁性層全体の保磁力として1,200(Oe)(95KA/m)以上であるのが好ましく、特に1,300(Oe)(103KA/m)以上が好ましい。
本発明の強磁性金属薄膜型磁気記録媒体は、例えば、データ記録用途、具体的にはコンピュータデータのバックアップ用途(例えばリニアテープ式の記録媒体(LTO4やLTO5など))や映像などのデジタル画像の記録用途などに好適に用いることができる。
(物性の測定方法ならびに効果の評価方法)
本発明における特性値の測定方法並びに効果の評価方法は次の通りである。例えば、磁気テープから本願の支持体を取り出すためには、フッ化水素酸や塩酸を用いて磁性層やM層を除去して、メチルエチルケトンを用いてバックコート層を拭き剥がすことで評価が可能となる。
(1)ヤング率
ASTM−D882(1997年)に準拠して支持体のヤング率を測定する。なお、インストロンタイプの引張試験機を用い、条件は下記のとおりとする。5回の測定結果の平均値を本発明におけるヤング率とする。
・測定装置:インストロン社製超精密材料試験機MODEL5848
・試料サイズ:
支持体幅方向のヤング率測定の場合
支持体長手方向2mm×支持体幅方向12.6mm
(つかみ間隔は支持体幅方向に8mm)
支持体長手方向のヤング率測定の場合
支持体幅方向2mm×支持体長手方向12.6mm
(つかみ間隔は支持体長手方向に8mm)
・引張り速度:1mm/分
・測定環境:温度23℃、湿度65%RH
・測定回数:5回測定し、平均値から算出する。
(2)M層の厚み
下記条件にて断面観察を行い、得られた合計9点の厚み(nm)の平均値を算出し、M層の厚み(nm)とする。
・測定装置:透過型電子顕微鏡(TEM) 日立製H−7100FA型
・測定条件:加速電圧 100kV
・測定倍率:20万倍
・試料調整:超薄膜切片法
・観察面 :TD−ZD断面
・測定回数:1視野につき3点、3視野を測定する。
(3)中心線平均粗さRa
触針式表面粗さ計を用いて下記条件にて支持体の中心線平均粗さRaを測定する。フィルム幅方向に20回走査して測定を行い、得られた結果の平均値を本発明における中心線平均粗さRaとする。
・測定装置 :小坂研究所製高精度薄膜段差測定器ET−10
・触針先端半径:0.5μm
・触針荷重 :5mg
・測定長 :1mm
・カットオフ値:0.08mm
・測定環境 :温度23℃湿度65%RH
(4)湿度膨張係数
支持体の幅方向に対して、下記条件にて測定を行い、3回の測定結果の平均値を本発明における湿度膨張係数とする。
・測定装置:島津製作所製熱機械分析装置TMA−50(湿度発生器:アルバック理工製湿度雰囲気調節装置HC−1)
・試料サイズ:支持体長手方向10mm×支持体幅方向12.6mm
・荷重:0.5g
・測定回数:3回
・測定温度:30℃
・測定湿度:40%RHで6時間保持し寸法を測定し時間40分で80%RHまで昇湿し、80%RHで6時間保持したあと支持体幅方向の寸法変化量ΔL(mm)を測定する。次式から湿度膨張係数(ppm/%RH)を算出する。
湿度膨張係数(ppm/%RH)=10×{(ΔL/12.6)/(80−40)}
(5)温度膨張係数
熱機械測定装置TMA/SS6100(セイコーインスツルメンツ社製)を用い、試料幅4mm、試料長さ(チャック間距離)20mmのサンプルに対し、荷重3gを負荷した。室温から50℃まで昇温速度10℃/分で昇温させ、10分間保持した。その後、25℃まで10℃/分で降温させ、20分間保持した。このときの降温部分40℃から30℃までの寸法変化量から、下記式により熱膨張係数を求めた。
温度膨張係数(ppm/℃)={(L40−L30)/L0}/△T
L0:23℃におけるフィルム長さ
L40:降温時の40℃におけるフィルム長さ
L30:降温時の30℃におけるフィルム長さ
△T:温度変化量(40−30=10)。
(6)ガラス転移温度(Tg)
下記装置および条件で比熱測定を行い、JIS K7121(1987年)に従って決定する。
・装置 :TA Instrument社製温度変調DSC
・測定条件:
・加熱温度 :270〜570K(RCS冷却法)
・温度校正 :高純度インジウムおよびスズの融点
・温度変調振幅:±1K
・温度変調周期:60秒
・昇温ステップ:5K
・試料重量 :5mg
・試料容器 :アルミニウム製開放型容器(22mg)
・参照容器 :アルミニウム製開放型容器(18mg)
なお、ガラス転移温度は下記式により算出する。
ガラス転移温度=(補外ガラス転移開始温度+補外ガラス転移終了温度)/2
(7)融点(Tm)
示差走査熱量計としてセイコーインスツルメンツ社製DSC(RDC220)、データ解析装置として同社製ディスクステーション(SSC/5200)を用いて、サンプル約5mgをアルミニウム製受皿上300℃で5分間溶融保持し、急冷固化した後、室温から昇温速度20℃/分で昇温する。そのとき、観測される融解の吸熱ピークのピーク温度を融点(Tm)とする。
(8)幅寸法測定
1m幅にスリットした支持体を、張力200Nで搬送させ、支持体の一方の表面(A)にに、厚さ60nmのコバルト磁性層を形成した。この時の蒸着条件は、フィルム走行速度1.3m/分、電子銃パワー15kW、ノズル14cからの酸素ガス流量50SCCMであった。次いで、該コバルト磁性層上にCVD法によりダイヤモンドライクカーボンからなる厚さ10nmの保護層を形成した。更に該保護層上とA面とは反対側のB面上に、フッ素系潤滑剤〔商品名:AM2001(ダイキン工業社製)〕をそれぞれ厚さが2nmとなるように付着して潤滑剤層を形成した。上記により得られた、コバルト磁性層、ダイヤモンドライクカーボン保護層及びフッ素系潤滑層が形成されたテープ原反を1/2インチ(12.65mm)幅にスリットし、パンケーキを作成する。次いで、このパンケーキから長さ200m分をカセットに組み込んで、カセットテープとする。
カセットテープのカートリッジからテープを取り出し、下記恒温恒湿槽内へ図1のように作製したシート幅測定装置を入れ、幅寸法測定を行う。なお、図1に示すシート幅測定装置は、レーザーを使って幅方向の寸法を測定する装置で、磁気テープ9をフリーロール5〜8上にセットしつつ荷重検出器3に固定し、端部に荷重となる分銅4を吊す。この磁気テープ9にレーザー光10を照射すると、レーザー発振器1から幅方向に線状に発振されたレーザー光10が磁気テープ9の部分だけ遮られ、受光部2に入り、その遮られたレーザーの幅が磁気テープの幅として測定される。3回の測定結果の平均値を本発明における幅とする。
・測定装置:(株)アヤハエンジニアリング社製シート幅測定装置
・レーザー発振器1、受光部2:レーザー寸法測定機 キーエンス社製LS−5040
・荷重検出器3:ロードセル NMB社製CBE1−10K
・恒温恒湿槽:(株)カトー社製SE−25VL−A
・荷重4:分銅(長手方向)
・試料サイズ:幅1/2inch×長さ250mm
・保持時間:5時間
・測定回数:3回測定する。
(幅寸法変化率)
2つの条件でそれぞれ幅寸法(l,l)を測定し、次式にて寸法変化率を算出する。次の基準で寸法安定性を評価する。A条件で24時間経過後lを測定して、その後B条件で24時間経過後にlを測定する。×を不合格とする。
A条件:10℃10%RH 張力1.0N
B条件:29℃80%RH 張力0.6N
幅寸法変化率(ppm)=10×((l−l)/l
○:幅寸法変化率が500(ppm)未満
△:幅寸法変化率が500(ppm)以上600(ppm)未満
×:幅寸法変化率が600(ppm)以上
(9)電磁変換特性(C/N)
上記(8)と同様にカセットテープ作製し、C/Nの測定にはリールtoリールテスタを用い、市販のMRヘッドを搭載して下記の条件で実施した。
相対速度:2m/sec、記録トラック幅:18μm、再生トラック幅:10μm
シールド間距離:0.27μm
記録用信号発生器:HP社製 8118A
再生信号処理:スペクトラムアナライザ
このC/Nを市販のLTO4テープ(富士フィルム社製)と比較して、−1dB以上は○、−2以上−1dB未満は△、−2dB未満は×と判定した。○が望ましいが、△でも実用的には使用可能である。
次の実施例に基づき、本発明の実施形態を説明する。なお、ここでポリエチレンテレフタレートをPET、ポリ(エチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート)をPENと表記する。
(実施例1)
テレフタル酸ジメチル194質量部とエチレングリコール124質量部とをエステル交換反応装置に仕込み、内容物を140℃に加熱して溶解した。その後、内容物を撹拌しながら酢酸マグネシウム4水塩0.1質量部および三酸化アンチモン0.05質量部を加え、140〜230℃でメタノールを留出しつつエステル交換反応を行った。次いで、リン酸トリメチルの5質量%エチレングリコール溶液を1質量部(リン酸トリメチルとして0.05質量部)添加した。
トリメチルリン酸のエチレングリコール溶液を添加すると反応内容物の温度が低下する。そこで余剰のエチレングリコールを留出させながら反応内容物の温度が230℃に復帰するまで撹拌を継続した。このようにしてエステル交換反応装置内の反応内容物の温度が230℃に達したら、反応内容物を重合装置へ移行した。
移行後、反応系を230℃から290℃まで徐々に昇温するとともに、圧力を0.1kPaまで下げた。最終温度、最終圧力到達までの時間はともに60分とした。最終温度、最終圧力に到達した後、2時間(重合を始めて3時間)反応させたところ、重合装置の撹拌トルクが所定の値(重合装置の仕様によって具体的な値は異なるが、本重合装置にて固有粘度0.62のポリエチレンテレフタレートが示す値を所定の値とした)を示した。そこで反応系を窒素パージし常圧に戻して重縮合反応を停止し、冷水にストランド状に吐出、直ちにカッティングして固有粘度0.62のポリエチレンテレフタレートのPETペレットXを得た。
また、280℃に加熱された同方向回転タイプのベント式2軸混練押出機に、PETペレットXを98質量部と平均径60nmのシリカ粒子の10質量%水スラリーを20質量部(シリカとして2質量部)供給し、ベント孔を1kPa以下の減圧度に保持し水分を除去し、平均径60nmのシリカ粒子を2質量%含有する固有粘度0.62のPETペレットYを得た。
さらに、平均径60nmのシリカ粒子ではなく、平均径0.3μmの炭酸カルシウム粒子を用いたこと以外、PETペレットYを作製する方法と同様の方法にて、平均径0.3μmの炭酸カルシウム粒子を2質量%含有する固有粘度0.62のPETペレットZを得た。
押出機E1,E2の2台を用い、280℃に加熱された押出機E1には、得られたPETペレットX98.5質量部、PETペレットY1.5質量部を180℃で3時間減圧乾燥した後に供給し、同じく280℃に加熱された押出機E2には、得られたPETペレットX90質量部、PETペレットZ10質量部を180℃で3時間減圧乾燥した後に供給した。これらを2層積層するべくTダイ中で合流させ(積層比E1(A面側)/E2(B面側)=5/1)、表面温度25℃のキャストドラムに静電荷を印加させながら密着冷却固化し、積層未延伸フィルムを作製した。なお、未延伸フィルムのガラス転移温度(Tg)は80℃であった。
この積層未延伸フィルムを、ロール式延伸機にて長手方向に、温度115℃で3.0倍延伸した。縦延伸の後の工程で、片側表面Aの外側に下記水溶液を塗布した。
A面外側:メチルセルロース 0.10質量%
水溶性ポリエステル 0.30質量%(テレフタル酸70モル%、5−ナトリウムスルホイソフタル酸30モル%の酸成分とエチレングリコールとの1:1の共重合体)
アミノエチルシランカップリング剤 0.01質量%
平均粒子径18nmのシリカ 0.02質量%(固形分濃度20mg/m
続いて温度100℃で3.6倍延伸し、さらに、テンターを用いて、幅方向に温度215℃で1.2倍横方向に再延伸しながら、10秒間熱処理後、幅方向に1%の弛緩処理を施し、厚さ5μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。その二軸配向ポリエステルフィルムを25℃30%RHにて保管した。なお、二軸延伸フィルムのガラス転移温度(Tg)は105℃であり、融点(Tm)は255℃であった。その後は、このPETフィルムのA面側に厚さ30nmの銅補強膜を成膜し、反対側のB面側に厚さ90nmの補強膜が形成されたM層の総厚みが120nmとなる強磁性金属薄膜型磁気記録媒体用支持体を製造した。この時の蒸着条件は、最大入射角60°、フィルム走行速度1.5m/分、電子銃パワー16kWであった。
得られた強磁性金属薄膜型磁気記録媒体用支持体を評価したところ、表1〜3に示すように、磁気テープとして使用した際に寸法変化率が小さく、電磁変換特性に優れた特性を有していた。
(実施例2〜7)
実施例1と同様にして得た二軸配向ポリエステルフィルムに対して、表1に示すようにM層の厚みを変更した。得られた強磁性金属薄膜型磁気記録媒体用支持体は、磁気テープとして使用した際に寸法安定性や電磁変換特性は、表3に示すような結果であった。
(実施例8)
実施例1で得られた積層未延伸フィルムを、ロール式延伸機にて長手方向に、温度115℃で3.3倍延伸した。縦延伸の後の工程で、片側表面Aの外側に下記水溶液を塗布した。
A面外側:メチルセルロース 0.10質量%
水溶性ポリエステル 0.30質量%(テレフタル酸70モル%、5−ナトリウムスルホイソフタル酸30モル%の酸成分とエチレングリコールとの1:1の共重合体)
アミノエチルシランカップリング剤 0.01質量%
平均粒子径18nmのシリカ 0.02質量%(固形分濃度20mg/m
続いて温度100℃で3.6倍延伸し、さらに、テンターを用いて、幅方向に温度215℃で1.1倍横方向に再延伸しながら、10秒間熱処理後、幅方向に1%の弛緩処理を施し、厚さ5μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。以降、実施例1と同様にして、M層を設けて強磁性金属薄膜型磁気記録媒体用支持体を得た。磁気テープとして使用した際に寸法安定性や電磁変換特性は、表3に示すような結果であった。
(実施例9)
300℃に加熱されたニーディングパドル混練部を3箇所設けた同方向回転タイプのベント式2軸混練押出機(日本製鋼所製、スクリュー直径30mm、スクリュー長さ/スクリュー直径=45.5)に、実施例1で得られたPETペレットX50質量%とGE Plastics社製のポリエーテルイミド“Ultem1010”のペレット50質量%を供給し、スクリュー回転数300回転/分で溶融押出してストランド状に吐出し、温度25℃の水で冷却した後、直ちにカッティングしてブレンドチップ(I)を作製した。
押出機E1,E2の2台を用い、295℃に加熱された押出機E1には、実施例1で得られたPETペレットX88.5質量部、PETペレットY1.5質量部、ブレンドチップ(I)10質量部を180℃で3時間減圧乾燥した後に供給し、同じく295℃に加熱された押出機E2には、実施例1で得られたPETペレットX80質量部、PETペレットZ10質量部、およびブレンドチップ(I)10質量部を180℃で3時間減圧乾燥した後に供給した。これらを2層積層するべくTダイ中で合流させ(積層比E1(A面側)/E2(B面側)=5/1)、表面温度25℃のキャストドラムに静電荷を印加させながら密着冷却固化し、積層未延伸フィルムを作製した。なお、未延伸フィルムのガラス転移温度(Tg)は90℃であった。
この積層未延伸フィルムを、ロール式延伸機にて長手方向に、温度125℃で3.0倍延伸した。縦延伸の後の工程で、片側表面Aの外側に下記水溶液を塗布した。
A面外側:メチルセルロース 0.10質量%
水溶性ポリエステル 0.30質量%(テレフタル酸70モル%、5−ナトリウムスルホイソフタル酸30モル%の酸成分とエチレングリコールとの1:1の共重合体)
アミノエチルシランカップリング剤 0.01質量%
平均粒子径18nmのシリカ 0.02質量%(固形分濃度20mg/m
続いて温度110℃で3.6倍延伸し、さらに、テンターを用いて、幅方向に温度215℃で1.2倍横方向に再延伸しながら、10秒間熱処理後、幅方向に1%の弛緩処理を施し、厚さ5μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。その二軸配向ポリエステルフィルムを25℃30%RHにて保管した。なお、二軸延伸フィルムのガラス転移温度(Tg)は115℃であり、融点(Tm)は255℃であった。以降、実施例1と同様にして、M層を設けて強磁性金属薄膜型磁気記録媒体用支持体を得た。磁気テープとして使用した際に寸法安定性や電磁変換特性は、表3に示すような結果であった。
(実施例10)
2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチル100質量部とエチレングリコール60質量部の混合物に、酢酸マンガン・4水和物塩0.03質量部を添加し、150℃の温度から240℃の温度に徐々に昇温しながらエステル交換反応を行った。途中、反応温度が170℃に達した時点で三酸化アンチモン0.024質量部を添加した。また、反応温度が220℃に達した時点で3,5−ジカルボキシベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩0.042質量部(2mmol%に相当)を添加した。その後、引き続いてエステル交換反応を行い、トリメチルリン酸0.023質量部を添加した。次いで、反応生成物を重合装置に移し、290℃の温度まで昇温し、30Paの高減圧下にて重縮合反応を行い、重合装置の撹拌トルクが所定の値(重合装置の仕様によって具体的な値は異なるが、本重合装置にて固有粘度0.65のポリエチレン−2,6−ナフタレートが示す値を所定の値とした)を示した。そこで反応系を窒素パージし常圧に戻して重縮合反応を停止し、冷水にストランド状に吐出、直ちにカッティングして固有粘度0.65のPEN(ポリエチレン−2,6−ナフタレート)ペレットPを得た。
280℃に加熱された同方向回転タイプのベント式2軸混練押出機に、ペレットPを98質量部と平均径60nmのシリカ粒子の10質量%水スラリーを20質量部(シリカとして2質量部)供給し、ベント孔を1kPa以下の減圧度に保持し水分を除去し、平均径60nmのシリカ粒子を2質量%含有する固有粘度0.65のPENペレットQを得た。
平均径60nmのシリカ粒子ではなく平均径0.3μmの炭酸カルシウム粒子を用いたこと以外、PENペレットQを作製する方法と同様の方法にて、平均径0.3μmの炭酸カルシウム粒子を2質量%含有する固有粘度0.65のPENペレットRを得た。
押出機E1,E2の2台を用い、280℃に加熱された押出機E1には、得られたPENペレットP98.5質量部、PENペレットQ1.5質量部を180℃で3時間減圧乾燥した後に供給し、同じく280℃に加熱された押出機E2には、得られたPENペレットP90質量部、PENペレットR10質量部を180℃で3時間減圧乾燥した後に供給した。これらを2層積層するべくTダイ中で合流させ(積層比E1(A面側)/E2(B面側)=5/1)、表面温度25℃のキャストドラムに静電荷を印加させながら密着冷却固化し、積層未延伸フィルムを作製した。なお、未延伸フィルムのガラス転移温度(Tg)は120℃であった。
この積層未延伸フィルムを、ロール式延伸機にて長手方向に、温度140℃で3.0倍延伸した。縦延伸の後の工程で、片側表面Aの外側に下記水溶液を塗布した。
A面外側:メチルセルロース 0.10質量%
水溶性ポリエステル 0.30質量%(テレフタル酸70モル%、5−ナトリウムスルホイソフタル酸30モル%の酸成分とエチレングリコールとの1:1の共重合体)
アミノエチルシランカップリング剤 0.01質量%
平均粒子径18nmのシリカ 0.02質量%(固形分濃度20mg/m
続いて温度180℃で3.6倍延伸し、さらに、テンターを用いて、幅方向に温度215℃で1.2倍横方向に再延伸しながら、10秒間熱処理後、幅方向に1%の弛緩処理を施し、厚さ5μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。その二軸配向ポリエステルフィルムを25℃30%RHにて保管した。なお、二軸延伸フィルムのガラス転移温度(Tg)は135℃であり、融点(Tm)は265℃であった。以降、実施例1と同様にして、M層を設けて強磁性金属薄膜型磁気記録媒体用支持体を得た。磁気テープとして使用した際に寸法変化率や電磁変換特性は、表3に示すような結果であった。
(実施例11)
蒸着工程での金属材料をアルミに変更した以外は実施例1と同様の方法にて強磁性金属薄膜型磁気記録媒体用支持体を得た。得られた強磁性金属薄膜型磁気記録媒体用支持体は表3に示すように磁気テープとして使用した際の特性を有していた。
(実施例12)
押出機E1,E2の2台を用い、280℃に加熱された押出機E1には、実施例1で得られたPETペレットX90質量部、PETペレットY10質量部を180℃で3時間減圧乾燥した後に供給し、同じく280℃に加熱された押出機E2には、実施例1で得られたPETペレットX90質量部、PETペレットZ10質量部を180℃で3時間減圧乾燥した後に供給した。これらを2層積層するべくTダイ中で合流させ(積層比E1(A面側)/E2(B面側)=5/1)、表面温度25℃のキャストドラムに静電荷を印加させながら密着冷却固化し、積層未延伸フィルムを作製した。なお、未延伸フィルムのガラス転移温度(Tg)は80℃であった。
この積層未延伸フィルムを、ロール式延伸機にて長手方向に、温度115℃で3.0倍延伸した。続いて温度100℃で3.6倍延伸し、さらに、テンターを用いて、幅方向に温度215℃で1.2倍横方向に再延伸しながら、10秒間熱処理後、幅方向に1%の弛緩処理を施し、厚さ5μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。その二軸配向ポリエステルフィルムを25℃30%RHにて保管した。以降、実施例1と同様にして、M層を設けて強磁性金属薄膜型磁気記録媒体用支持体を得た。磁気テープとして使用した際に寸法安定性や電磁変換特性は、表3に示すような結果であった。
(比較例1)
実施例1で得られた厚さ5μmの二軸配向ポリエステルフィルムに対して、蒸着薄膜層を設けない以外は実施例1と同様の方法にて強磁性金属薄膜型磁気記録媒体用支持体を得た。得られた支持体は、酸化金属層(M層)を有しておらず、表1〜3に示すような特性となった。
(比較例2)
実施例1と同様にして得た二軸配向ポリエステルフィルムに対して、表1に示すようにM層の厚みを変更した。得られた強磁性金属薄膜型磁気記録媒体用支持体は、磁気テープとして使用した際に寸法安定性や電磁変換特性は、表3に示すような結果であった。
(比較例3)
実施例1で得られた積層未延伸フィルムを、ロール式延伸機にて長手方向に、温度115℃で3.6倍延伸した。縦延伸の後の工程で、片側表面Aの外側に下記水溶液を塗布した。
A面外側:メチルセルロース 0.10質量%
水溶性ポリエステル 0.30質量%(テレフタル酸70モル%、5−ナトリウムスルホイソフタル酸30モル%の酸成分とエチレングリコールとの1:1の共重合体)
アミノエチルシランカップリング剤 0.01質量%
平均粒子径18nmのシリカ 0.02質量%(固形分濃度20mg/m
続いて温度100℃で3.1倍延伸し、さらに、テンターを用いて、幅方向に温度215℃で1.2倍横方向に再延伸しながら、10秒間熱処理後、幅方向に1%の弛緩処理を施し、厚さ5μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。その二軸配向ポリエステルフィルムを25℃30%RHにて保管した。以降、実施例1と同様にして、M層を設けて強磁性金属薄膜型磁気記録媒体用支持体を得た。磁気テープとして使用した際に寸法安定性や電磁変換特性は、表3に示すような結果であった。
(比較例4)
実施例1で得られた積層未延伸フィルムを、ロール式延伸機にて長手方向に、温度115℃で3.0倍延伸した。縦延伸の後の工程で、片側表面Aの外側に下記水溶液を塗布した。
A面外側:メチルセルロース 0.10質量%
水溶性ポリエステル 0.30質量%(テレフタル酸70モル%、5−ナトリウムスルホイソフタル酸30モル%の酸成分とエチレングリコールとの1:1の共重合体)
アミノエチルシランカップリング剤 0.01質量%
平均粒子径18nmのシリカ 0.02質量%(固形分濃度20mg/m
続いて温度100℃で3.7倍延伸し、さらに、テンターを用いて、幅方向に温度215℃で1.3倍横方向に再延伸しながら、10秒間熱処理後、幅方向に1%の弛緩処理を施し、厚さ5μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。その二軸配向ポリエステルフィルムを25℃30%RHにて保管した。以降、実施例1と同様にして、M層を設けて強磁性金属薄膜型磁気記録媒体用支持体を得た。磁気テープとして使用した際に寸法安定性や電磁変換特性は、表3に示すような結果であった。
Figure 2009064511
Figure 2009064511
Figure 2009064511
幅寸法を測定する際に用いるシート幅測定装置の模式図である。
符号の説明
1:レーザー発振器
2:受光部
3:荷重検出器
4:荷重
5:フリーロール
6:フリーロール
7:フリーロール
8:フリーロール
9:磁気テープ
10:レーザー光

Claims (8)

  1. ポリエステルフィルムの少なくとも片面に金属または合金からなる層(M層)が設けられており、表面粗さRaが0.5〜5nmのA面と5〜20nmのB面からなる強磁性金属薄膜型磁気記録媒体用支持体であって、M層がB面側のみに設けられているか、または、M層が両面に設けられかつA面側のM層の厚さTaとB面側のM層の厚さTbがTa/Tb<1の関係を満たしており、さらに、長手方向と幅方向のヤング率の和が13〜22GPaであり、長手方向のヤング率Emが6.5〜11GPaであり、長手方向のヤング率Emと幅方向のヤング率Etの比Em/Etが0.5〜1.0である強磁性金属薄膜型磁気記録媒体用支持体。
  2. M層の厚みの総和が30〜300nmである、請求項1に記載の強磁性金属薄膜型磁気記録媒体用支持体。
  3. 厚みが3〜6μmである、請求項1または2に記載の強磁性金属薄膜型磁気記録媒体用支持体。
  4. 幅方向の湿度膨張係数が1〜6ppm/%RHである、請求項1〜3のいずれかに記載の強磁性金属薄膜型磁気記録媒体用支持体。
  5. 幅方向の温度膨張係数が−5〜10ppm/℃である、請求項1〜4のいずれかに記載の強磁性金属薄膜型磁気記録媒体用支持体。
  6. M層が銅を含んでいる、請求項1〜5のいずれかに記載の強磁性金属薄膜型磁気記録媒体用支持体。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の強磁性金属薄膜型磁気記録媒体用支持体の表面に強磁性金属薄膜からなる磁性層を設けた強磁性金属薄膜型磁気記録媒体。
  8. 記録方式がリニア記録方式である、請求項7に記載の強磁性金属薄膜型磁気記録媒体。
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