JP3617215B2 - 透明性ポリエステルフィルムおよびその製造法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、従来のポリエステルフィルムの品質・物性を大幅に向上させた透明性ポリエステルフィルム、具体的には、オリゴマー含有量、熱分解ゲル化物含有量が少なく、剛性、強靱性、電気特性などに優れた透明性ポリエステルフィルムとその製造法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ポリエステルフィルムの品質、物性を高める方法としては、例えば特公平3−45104号公報、国際公開WO87−05919号再公表公報、特公平7−37577号公報、および特開昭57−25354号公報などに代表されるように、液晶性ポリエステルを非液晶性ポリエステルにブレンドして製膜する方法が近年頻繁に検討されている。つまり、液晶性ポリエステルは、一般にヤング率が高いため、ポリエステルフィルム中に微分散させることにより、ポリエステルフィルムの補強強化が可能である。
【0003】
また、別の活用法として、液晶性ポリエステルの高流動性を利用したものがある。すなわち、液晶性ポリエステルは、ポリマーの流動性を向上させて押出工程で発生する剪断発熱を抑制する効果を持つため、ポリエステルフィルム中の熱分解ゲル化物やオリゴマーを低減して、ポリエステルフィルムの品質向上を図る上で有効である。
【0004】
しかしながら、液晶性ポリエステルを非液晶性ポリエステルに添加・ブレンドして製膜すると、ポリエステルフィルム中での液晶性ポリエステルの分散径が可視光線の波長(400〜900nm)並みまたはそれ以上に大きいことから、フィルムの透明性が悪化するという問題があった。そして、この透明性悪化の問題は、ヤング率その他の品質を高めることなどを目的として、ポリエステルフィルム中の液晶性ポリエステルの含有率を多くした場合にはさらに顕著になる。
【0005】
また、延伸工程で過度に分子配向させると、非液晶性ポリエステルと液晶性ポリエステルの界面での接着性が不充分である場合には、延伸時に数多くのボイドが発生して、透明性が悪くなることも良く知られている。
【0006】
一方、液晶性ポリエステルの形態が繊維状であれば、ヤング率の向上が顕著であることが、特公平7−37577号公報などで報告されているが、液晶性ポリエステルを針状に微分散させた場合に、従来技術による液晶性ポリエステルの分散径では、繊維長が可視光線の波長よりも長くなるため、本発明が目的とする透明性のポリエステルフィルムを得ることはできなかった。
【0007】
さらに、特開平4−288503号公報には、熱可塑性ポリエステルと液晶ポリマーからなる透明または半透明の偏光性のシート状成形体に関する報告がなされているが、同公報には、ポリエステルフィルムに透明性を付与する場合のキーポイントである液晶性ポリエステルの超微分散化・モルフォロジー制御については全く言及されていない。
【0008】
したがって、上述した従来技術においては、液晶性ポリエステルに代表される主鎖にメソゲン基を含有する共重合ポリエステルと非液晶性ポリエステルとの樹脂組成物から、高品質でかつ透明性の優れたポリエステルフィルムを得ることはできなかった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上述した従来技術における問題点の解決を課題として検討した結果達成されたものである。
【0010】
したがって、本発明の目的は、表面欠点・オリゴマー量が少なく、ヤング率などの機械特性に優れた、高品質の透明性ポリエステルフィルムを提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の課題を解決するために、非液晶性ポリエステル(A)中で液晶性ポリエステルを可視光線の波長以下の大きさに超微分散化させて、ポリエステルフィルムを透明化する方法について鋭意検討した結果、主鎖にメソゲン基を有する特定の構造を有する共重合ポリエステル(B)を特定量使用すると、▲1▼.非液晶性ポリエステル(A)中での共重合ポリエステル(B)の平均分散径が、可視光線の波長以下に小さくなるため、または共重合ポリエステル(B)が非液晶性ポリエステル(A)と完全相溶化するため、ポリエステルフィルムに透明性を付与できること、および▲2▼.溶融押出工程においてポリマの剪断発熱が抑制されて、表面欠点・オリゴマー量の少ない高品質のポリエステルフィルムが得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0012】
すなわち、本発明の透明性ポリエステルフィルムは、非液晶性ポリエステル(A)と、主鎖に5〜55モル%の共重合量でメソゲン基を有する共重合ポリエステル(B)との組成物からなり、フィルム中における共重合ポリエステル(B)の含有量が0.1〜1重量%であり、かつ、ヘイズ値が0.1〜10%であることを特徴とする。
【0013】
また、本発明の透明性ポリエステルフィルムの製造法は、非液晶性ポリエステル(A)と、主鎖にメソゲン基を5〜55モル%の共重合量で含有する共重合ポリエステル(B)とからなり、共重合ポリエステル(B)の含有量が0.1〜1重量%である樹脂組成物を、シート状に溶融押出成形した後、少なくとも一軸延伸し、しかる後に150〜260℃の温度で熱固定することを特徴とする。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の構成および効果について詳細に説明する。
【0015】
本発明で用いる主鎖にメソゲン基(液晶性の構造単位)を含有する共重合ポリエステル(B)とは、溶融成形性のポリマーであり、液晶性ポリエステルであっても非液晶性ポリエステルであってもよい。具体的には、芳香族オキシカルボニル単位、芳香族ジオキシ単位、芳香族ジカルボニル単位、アルキレンジオキシ単位などから選ばれた構造単位からなる共重合ポリエステルなどである。
【0016】
本発明で用いる好ましい共重合ポリエステル(B)の具体例としては、下記(I)、(III )および(IV)の構造単位からなる共重合ポリエステル、(I)、(II)および(IV)の構造単位からなる共重合ポリエステル、(I)、(II)、(III )および(IV)の構造単位からなる共重合ポリエステルから選ばれた少なくとも一種が挙げられる。
【0017】
【化4】
(但し式中のR1 は、
【化5】
を示し、R2 は
【化6】
から選ばれた一種以上の基を示し、R3 は、
【化7】
から選ばれた一種以上の基を示す。また、式中Xは水素原子または塩素原子を示し、構造単位[(II)+(III )]と構造単位(IV)は実質的に等モルである。)
上記構造単位(I)は、p−ヒドロキシ安息香酸および/または6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸から生成したポリエステルの構造単位を、構造単位(II)は、4、4´−ジヒドロキシビフェニル、3、3´、5、5´−テトラメチル−4、4´−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノン、t−ブチルハイドロキノン、フェニルハイドロキノン、2、6−ジヒドキシナフタレン、2、7−ジヒドキシナフタレン、2、2´−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンおよび4、4´−ジヒドロキシジフェニルエーテルから選ばれた芳香族ジヒドロキシ化合物から生成した構造単位を、構造単位(III )はエチレングリコールから生成した構造単位を、構造単位(IV)は、テレフタル酸、イソフタル酸、4、4´−ジフェニルジカルボン酸、2、6−ナフタレンジカルボン酸、1、2−ビス(フェノキシ)エタン−4、4´−ジカルボン酸、1、2−ビス(2−クロルフェノキシ)エタン−4、4´−ジカルボン酸および4、4´−ジフェニルエーテルジカルボン酸から選ばれた芳香族ジカルボン酸から生成した構造単位を各々示す。
【0018】
また、上記構造単位(I)、(II)および(IV)からなる共重合ポリエステルの場合は、R1 が
【化8】
であり、R2 が
【化9】
から選ばれた一種以上であり、R3 が
【化10】
から選ばれた一種以上であるものが好ましい。
【0019】
また、上記構造単位(I)、(III )および(IV)からなる共重合ポリエステルの場合は、R1 が
【化11】
であり、R3 が
【化12】
であるものが特に好ましい。
【0020】
また、上記構造単位(I)、(II)、(III )および(IV)からなる共重合ポリエステルの場合は、R1 が
【化13】
であり、R2 が
【化14】
であり、R3 が
【化15】
であるものが特に好ましい。
【0021】
本発明では、共重合ポリエステル(B)の共重合割合を、ポリマーを形成し得る繰返し構造単位のモル比から計算し、モル%で表す。上記好ましい共重合ポリエステルの場合には、構造単位(I)、構造単位(II)+(IV)、構造単位(III )+(IV)がポリマーを形成し得る繰返し構造単位であり、これらの共重合モル比から共重合量が計算できる。
【0022】
構造単位(I)、(II)+(IV)、(III)+(IV)の共重合モル比は任意であるが、非液晶性ポリエステル中での微分散性、流動性改良効果の点から、メソゲン基の共重合量は、5〜55モル%であることが好ましい。メソゲン基である構造単位(I)、(II)+(IV)の共重合量が低くなり過ぎると、ポリマーの流動性改良による押出工程での剪断発熱抑制効果が得られにくく、また、高くなり過ぎると微分散性が低下し、本発明の透明性フィルムを得ることが難しくなるため好ましくない。
【0023】
メソゲン基の共重合量が低くなると、異方性溶融相の形成能すなわち液晶性は弱まるが、非液晶性ポリエステル(A)との相溶性が高まるため、共重合ポリエステル(B)の微分散性が高まり、フィルムの透明性が向上する。特にメソゲン基の共重合量が15モル%よりも低くなると、非液晶ポリエステル(A)と本発明の共重合ポリエステル(B)が相互に溶解、つまり完全相溶化し、相分離構造が消失し易い。
【0024】
以上のことから、本発明の共重合ポリエステル(B)は次の共重合量であることが好ましい。
【0025】
すなわち、上記構造単位(I)、(II)、(III )および(IV)からなる共重合ポリエステルの場合は、上記構造単位[(I)+(II)+(III )]に対する[(I)+(II)]のモル分率は、5〜55モル%が好ましく、20〜55モル%がより好ましく、30〜55モル%が最も好ましい。また、構造単位[(I)+(II)+(III )]に対する(III)のモル分率は、95〜45モル%が好ましく、80〜45モル%がより好ましく、70〜45モル%が最も好ましい。また、構造単位(I)/(II)のモル比は、流動性の点から好ましくは75/25〜95/5であり、より好ましくは78/22〜93/7である。また、構造単位(IV)のモル数は構造単位[(II)+(III )]のトータルモル数と実質的に等しい。
【0026】
また、上記構造単位(I)、(III )および(IV)からなる共重合ポリエステルの場合は、上記構造単位(I)は、[(I)+(III)]の5〜55モル%が好ましく、20〜55モル%がより好ましく、30〜55モル%が最も好ましい。構造単位(IV)は、構造単位(III )と実質的に等モルである。
【0027】
さらに、上記構造単位(I)、(II)および(IV)からなる共重合ポリエステルの場合は、単独ではなく、構造単位(I)、(II)、(III)および(IV)からなる共重合ポリエステルおよび/または構造単位(I)、(III)および(IV)からなる共重合ポリエステルとのブレンドポリマーとして用いることが好ましい。このブレンドポリマーの場合においても、上記と同様に、構造単位[(I)+(II)+(III)]に対する[(I)+(II)]のモル分率は、5〜55モル%が好ましく、20〜55モル%がより好ましく、30〜55モル%が最も好ましい。
【0028】
以上述べた説明中の「実質的に」とは、必要に応じてポリエステルの末端基をカルボンキシル基末端あるいはヒドロキシル末端基のいずれかを多くすることができ、このような場合には構造単位(IV)のモル数は構造単位[(II)+(III )]のトータルモル数と完全に等しくないからである。
【0029】
上記の好ましい共重合ポリエステル(B)を重縮合する際には、上記構造単位(I)〜(IV)を構成する成分以外に、3、3´−ジフェニルジカルボン酸、2、2´−ジフェニルジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸などの脂肪族ジカルボン酸、ヘキサヒドロテレフタル酸などの脂環式ジカルボン酸、クロルハイドロキノン、メチルハイドロキノン、4、4´−ジヒドロキシジフェニルスルフォン、4、4´−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4、4´−ジヒドロキシベンゾフェノンなどの芳香族ジオール、1、4−ブタンジオール、1、6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1、4−シクロヘキサンジオール、1、4−シクロヘキサンジメタノール等の脂肪族、脂環式ジオールおよびm−ヒドロキシ安息香酸、2、6−ヒドロキシナフトエ酸などの芳香族ヒドロキシカルボン酸およびp−アミノフェノール、p−アミノ安息香酸などを、本発明の目的を損なわない程度の少割合の範囲でさらに共重合せしめることができる。
【0030】
本発明における共重合ポリエステル(B)の製造方法は、特に制限がなく、公知のポリエステルの重縮合法に準じて製造できる。
【0031】
例えば、上記の好ましく用いられる共重合ポリエステル(B)の製造法において、上記構造単位(III )を含まない共重合ポリエステルの場合は下記(1)および(2)の製造方法が、また上記構造単位(III )を含む共重合ポリエステルの場合は下記(3)の製造方法が好ましい。
【0032】
(1)p−アセトキシ安息香酸および4、4´−ジアセトキシビフェニル、4、4´−ジアセトキシベンゼンなどの芳香族ジヒドロキシ化合物のジアシル化物と、テレフタル酸などの芳香族ジカルボン酸から脱酢酸重縮合反応によって製造する方法。
【0033】
(2)p−ヒドロキシ安息香酸および4、4´−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノンなどの芳香族ジヒドロキシ化合物、テレフタル酸などの芳香族ジカルボン酸に無水酢酸を反応させて、フェノール性水酸基をアシル化した後、脱酢酸重縮合反応によって製造する方法。
【0034】
(3)ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステルのポリマ、オリゴマまたはビス(β−ヒドロキシエチル)テレフタレートなどの芳香族ジカルボン酸のビス(β−ヒドロキシエチル)エステルの存在下で、(1)または(2)の方法により製造する方法。
【0035】
これらの重縮合反応は無触媒でも進行するが、酢酸第一錫、テトラブチルチタネート、酢酸カリウムおよび酢酸ナトリウム、三酸化アンチモン、および金属マグネシウムなどの金属化合物を添加した方が好ましい場合もある。
【0036】
本発明では、低粘度の共重合ポリエステル(B)、すなわち溶融粘度比(非液晶性ポリエステルの溶融粘度(ηA )/共重合ポリエステルの溶融粘度(ηB ))を大きくする共重合ポリエステルの使用が好ましい。すなわち、本発明の目的、特に共重合ポリエステルの超微分散化によるフィルムの透明化および押出工程での剪断発熱の抑制は、非液晶性ポリエステルに低粘度の共重合ポリエステルを添加した場合ほど効果的に達成できるからである。
【0037】
この溶融粘度比(ηA )/(ηB )は、少なくとも50以上であることが望ましく、さらに好ましくは200以上である。本発明者らの知見によれば、200以上、10万以下が最も好ましい。
【0038】
したがって、共重合ポリエステル(B)の溶融粘度は、使用する非液晶性ポリエステルの溶融粘度にもよるが、マトリックスを構成する非液晶性ポリエステル(A)の融点+15℃、剪断速度100秒−1の条件下で、100Pa・秒程度以下であることが望ましく、好ましくは10Pa・秒以下、さらに好ましくは1Pa・秒以下である。このような低い溶融粘度を有し、本発明の目的を達成する上で特に好適に用いることのできる共重合ポリエステルは、上記構造単位(I)、(II)、(III )および(IV)からなる共重合ポリエステルである。この共重合ポリエステルは、非液晶性ポリエステル中で平均分散径が400nm以下になり易く、得られる透明性ポリエステルフィルムの品質・特性を高める上で特に有効である。
【0039】
本発明でいうヘイズ値とは、フィルム試験片をテトラリン中に浸漬して測定した25μm換算の内部ヘイズ値(%)である。本発明によれば、この25μm換算の内部ヘイズ値が0.1〜10%の範囲にある透明性に優れたポリエステルフィルムを得ることができる。
【0040】
本発明者らの知見によれば、ヘイズ値を0.1%未満にすることは、工業的に極めて難しく、ポリエステルフィルムの場合には実用上の必須要件ではない。より好ましいヘイズ値の範囲は、0.1〜3%、さらに好ましくは0.1〜1%である。
【0041】
本発明では、公知の液晶性ポリエステルなどと比較して、格段に超微分散化または完全相溶化し易い前記共重合ポリエステル(B)を、非液晶性ポリエステル(A)にブレンドすることにより、従来フィルムの水準を遥かに凌ぐ高い透明性を有したポリエステルフィルムを得ることに成功した。
【0042】
このフィルムの透明性は、溶融押出時に使用するスクリューによっても変化する。本発明では、スクリューはフルフライト、バリアフライトなどのいかなる形状のスクリューを使用してもよいが、上記共重合ポリエステル(B)の超微分散化を促進し、フィルムのヘイズ値を低下させるためには、スクリューの長さと直径の比が20以上の各種ミキシング型スクリューを使用することが好ましい。ここでいうミキシング型スクリューとは、スクリュー圧縮部、計量部またはこれらの中間の位置に、ミキシング部を有するスクリューであり、例えばフルーテッドバリア、ダルメージ、ユニメルト、および多条ピンなどを有したスクリューが挙げられる。
【0043】
共重合ポリエステル(B)のポリエステルフィルム中での分散形態は、共重合ポリエステル(B)の平均分散径が可視光線の波長以下であれば、スキン・コア型、海島型、多層型、および繊維型などの分散形態でもよく、特に限定されないが、共重合ポリエステル(B)がポリエステルフィルム中で、球状または偏球状に微分散している場合が、フィルムを透明化し易い点で特に好ましい。この場合、共重合ポリエステル(B)の平均分散径は、400nm以下、好ましくは200nm以下、さらに好ましくは100nm以下、特に好ましくは50nm以下である。また、共重合ポリエステル(B)のドメインが偏球状の場合には、偏球状ドメインの長軸と短軸のアスペクト比(L/D)は10以下、好ましくは5以下、より好ましくは3以下が好ましい。
【0044】
共重合ポリエステル(B)の添加量は、本発明の主たる目的であるフィルムの透明化、高品質化を達成できる適量であり、即ち、全ポリマ重量の0.1〜1重量%の範囲である。添加量が少な過ぎると、オリゴマー量の少ない高品質のフィルムを得ることが難しく、逆に多過ぎると、超微分散化が困難となるためフィルムの透明性が損なわれ、ポリエステルフィルムの表面も荒れることになる。
【0045】
本発明のポリエステルフィルム中における非液晶性ポリエステル(A)の環状三量体の含有率は、本発明の共重合ポリエステル(B)を特定量添加することにより、0.1〜1.0重量%に低減することができる。
【0046】
すなわち、ポリエステルフィルム中の非液晶性ポリエステル(A)の環状三量体の含有率は、ポリエステルフィルムを製造する際に用いる非液晶性ポリエステル(A)の原料チップの種類にもよるが、本発明の共重合ポリエステル(B)を適量添加すると、溶融押出時のオリゴマー増量が激減し、その結果として、環状三量体の含有率が極めて低いポリエステルフィルムが得られる。
【0047】
この環状三量体の含有率は、0.1〜0.5重量%がより好ましく、さらに好ましくは0.1〜0.4重量%である。ポリエステルフィルム中の環状三量体の含有率を0.1重量%未満にすることは、非液晶性ポリエステル(A)の原料チップ中の環状3量体が通常0.1重量%以上であるため、非常に難しい。また、環状三量体の含有率が1.0重量%より大きいと、製膜時のオリゴマー汚れが激しくなり、高品質の透明性ポリエステルフィルムを得ることが難しくなるため好ましくない。
【0048】
本発明で使用する非液晶性ポリエステル(A)の代表的なものとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリヘキサメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレート、およびそれらの共重合体などがあげられる。もちろん、主鎖にエーテル成分を有したポリエステル、例えば、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、およびポリテトラメチレングリコールなどを共重合したものでもよい。
【0049】
本発明においては、非液晶性ポリエステル(A)として、特に固有粘度が0.6以上、好ましくは0.8以上、さらに好ましくは1.0以上のポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレンナフタレートの使用が好ましい。
【0050】
非液晶性ポリエステル(A)の固有粘度が大きいと、前記溶融粘度比(ηA /ηB )が大きくなり、この場合、共重合ポリエステル(B)が超微分散化し易く、また同時に、押出工程での剪断発熱の抑制による低オリゴマー化も効果的に実現することができる。また、非液晶性ポリエステル(A)の固有粘度が高いと、得られるポリエステルフィルムの靭性、ヤング率が向上するため、この点でも好ましい。
【0051】
かかる固有粘度の高い非液晶性ポリエステル(A)を得る手段としては、固相重合法が最も好ましく用いられる。
【0052】
また、非液晶性ポリエステル(A)の融点については、共重合ポリエステル(B)と同等またはそれ以上であることが、非液晶性ポリエステル(A)中で共重合ポリエステル(B)が超微分散化し易いため好ましい。
【0053】
なお、本発明のポリエステルフィルム中には、非液晶性ポリエステル(A)と共重合ポリエステル(B)以外に、本発明の効果を阻害しない範囲であれば、非液晶性ポリエステル(A)と共重合ポリエステル(B)の相溶化剤、可塑剤、耐候剤、酸化防止剤、熱安定剤、滑剤、帯電防止剤、増白剤、着色剤、および導電剤などを添加してもかまわない。相溶化剤については、平均屈折率が上記非液晶性ポリエステル(A)と共重合ポリエステル(B)の中間の値であるものが、ポリエステルフィルムの透明性向上のために特に好ましい。
【0054】
また、本発明のポリエステルフィルムは単膜でもよいが、これに他のポリマー層、例えばポリエステル、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリ塩化ビニリデン、およびアクリル系ポリマーなどの層を積層してもよい。特にポリエステル層を表層に薄く積層する場合の積層部の厚み(M)は、この積層部に含有されている粒子の平均径(N)よりも薄くすること(M<N)、好ましくはMの1/1000〜1/2、さらに好ましくは1/100〜1/10とすることにより、走行性、易滑性、平滑性に優れたフィルムとすることができ、特に表面特性を重視する磁気記録用のベースフィルムとして好ましい結果が得られる。
【0055】
また、ポリエステルからなる3層以上の積層フィルムの場合、中央層に回収原料などを混合させておくことにより、生産性、品質向上を図ることもできる。このような粒子としては、酸化珪素、酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、酸化チタン、酸化アルミニウム、架橋ポリエステル、架橋ポリスチレン、マイカ、タルク、およびカオリンなどが挙げられるが、これらに限定されることはない。
【0056】
本発明のポリエステルフィルムは、未延伸、未配向フィルムでもよいが、公知の方法により一軸あるいは二軸延伸、熱固定した配向フィルムとすることが、得られるフィルムの透明性、高弾性、強靱性、および電気特性などがより顕著に向上することから好ましい。
【0057】
次に、本発明の透明性ポリエステルフィルムを製造する方法の一例について説明するが、本発明はかかる例に限定されるものではない。
【0058】
なお、ここでは、非液晶性ポリエステル(A)としてポリエチレンテレフタレートを用いた例を示すが、使用するポリエステルにより製造条件は異なる。
【0059】
まず、常法にしたがって、テレフタル酸とエチレングリコールからエステル化し、または、テレフタル酸ジメチルとエチレングリコールをエステル交換することにより、ビス−β−ヒドロキシエチルテレフタレート(BHT)を得る。次にこのBHTを重合槽に移行しながら、真空下で280℃に加熱して重合反応を進め、ここでは、例えば固有粘度が0.5程度のポリエステルを得る。得られたポリエステルをペレット状で減圧下において固相重合を行う。この固相重合を行う場合には、あらかじめ180℃以下の温度で予備結晶化させた後、190〜250℃の温度で1mmHg程度の減圧下、10〜50時間固相重合し、使用する共重合ポリエステル(B)の溶融粘度の5倍以上になるように重合度を上昇させる。
【0060】
次に、上記高粘度のポリエチレンテレフタレートと、所定量のメソゲン基を含有する共重合ポリエステル(B)を所定割合でブレンドした原料や、これらを一旦溶融させて均一混合させた原料、さらには本発明のフィルムの回収原料の単独、または適度に上記2〜3種類の原料を混合した原料を、180℃で3時間以上真空乾燥したのち、固有粘度が低下しないように、窒素気流下あるいは真空下で、280℃に加熱された単軸または二軸押出機に供給し、公知の方法により製膜する。
【0061】
この時の押出機のスクリュー剪断速度(=πDN/h、D:スクリュー直径、N:スクリュー回転数、h:スクリュー計量部の溝深さ)を、20秒−1以上、好ましくは50秒−1以上と高くすることが、共重合ポリエステル(B)を超微分散化させ易くし、本発明の目的が達成され易くする点で好ましいが、スクリュー剪断速度を300秒−1以上に大きくすると、剪断発熱によってポリマーが熱分解ゲル化したり、オリゴマー量が増加する傾向となるため好ましくない。
【0062】
また、異物を除去するために、公知のフィルター、例えば焼結金属、多孔性セラミックス、サンド、および金網などを用いることが好ましい。この時に、フィルター通過時の剪断速度は10秒−1以下の低いものであり、固有粘度の高い非液晶ポリエステル(A)のみでは濾過通過時の圧力が高くなるが、本発明の共重合ポリエステル(B)を添加することにより、濾過時の圧力を実用範囲まで低下させることが可能になる。
【0063】
Tダイによりシート状に押出す時のドラフト比は、好ましくは1〜10、より好ましくは1〜5とすることにより、共重合ポリエステル(B)の分散形状を球状に制御し易くなる。
【0064】
その後、シート状のキャストフィルムを、80〜150℃の加熱ロール群で加熱し、縦方向に2〜7倍に1段もしくは2段以上の多段で延伸し、20〜50℃の冷却ロール群で冷却する。
【0065】
続いて、公知のテンターに導いて、このフィルムの両端をクリップで把持しながら、80〜150℃に加熱された熱風雰囲気中で加熱し、横方向に2〜6倍延伸する。
【0066】
さらに、このフィルムに150〜260℃の温度で熱固定を施す。熱固定は緊張下または1.05〜1.5の微延伸条件下で行ってもよく、また熱寸法安定性をさらに向上させるために、縦および/または幅方向に弛緩することも好ましく行なわれる。また、必要に応じ、熱固定を行う前に、再縦延伸および/または再横延伸を行うこともできる。
【0067】
かくして得られる本発明の透明ポリエステルフィルムは、熱分解ゲル化物含有量およびオリゴマー含有量が少なく、つまり表面欠点・オリゴマー量が少なく、透明性、剛性、強靱性、電気特性などに優れた高品質なものであり、磁気記録用、電気絶縁用、感熱転写リボン用、感熱孔版印刷用、および包装用など各種フィルム用途に広く活用が可能である。
【0068】
【実施例】
以下に、本発明を実施例、比較例に基づいてさらに説明する。
【0069】
なお、以下の実施例および比較例中における物性の測定方法ならびに効果の評価方法は、次の方法により行った。
【0070】
[固有粘度]
25℃で、オルトクロロフェノール中0.1g/ml濃度で測定した値である。単位は[dl/g]で示す。
【0071】
[溶融粘度]
高下式フローテスターを用いて、280℃、剪断速度100秒−1の時の値を測定した。単位は[Pa・秒]で表す。
【0072】
[ヘイズ値]
ポリエステルフィルムの内部ヘイズ(%)を、ASTM−D1003−61記載の方法により測定し、25μm換算の内部ヘイズ値(%)を下式から算出した。
【0073】
ヘイズ値=フィルム内部ヘイズ(%)×(25(μm)/フィルムの厚み(μm))
[フィッシュアイ(FE)]
直交ニコル偏光下に10cm2のフィルムを置き、全体像の中で周りの色の異なるキラキラした部分のうち、長軸が10μm以上の大きさのものをカウントした。単位は[個/10cm2 ]で示す。
【0074】
[オリゴマー量]
ポリマー100mgをo−クロルフェノール1mlに溶解し、液体クロマトグラフィー(モデル8500VARIAN社製)で測定した。ポリマーに対する環状3量体の重量%で表した。
【0075】
[ヤング率]
テンシロン型引張試験(オリエンテック社製)に、幅10mm、チャック間長さ100mmになるようにサンプルをセットし、23℃、65%RHの雰囲気下で、引張速度200mm/分で引張試験を行うことにより求めた。
【0076】
[共重合ポリエステルの平均分散径およびアスペクト比]
ポリエステルフィルムを縦方向、横方向および厚さ方向に切断し、その切断面を透過型電子顕微鏡で観察する。共重合ポリエステルのドメインが球状の場合には、これらの切断面に現れた共重合ポリエステルのドメイン100個の平均値から平均分散径(D)を求め、アスペクト比(L/D)は1とした。共重合ポリエステルのドメインが偏球状、繊維状など、異方性を持つ形状を有している場合には、まず100個のドメイン各々に対して、最も長い方向の長さ(la)とそれに直交する最も長い部分の長さ(lb)を求め、Dはlbの平均値、L/Dは、(laの平均値)/(lbの平均値)とした。
【0077】
[実施例1]
非晶性ポリエステル(A)として、固有粘度0.82(dl/g)、溶融粘度500Pa・秒、のポリエチレンテレフタレート(PET)原料(環状3量体の含有量は0.3重量%)を用いた。
【0078】
共重合ポリエステル(B)としては、下記原料から重縮合した共重合ポリエステル(融点210℃、液晶開始温度190℃、溶融粘度1Pa・秒)を用いた。
この共重合ポリエステルのメソゲン基含有量(本分中に示した構造単位[(I)+(II)+(III )]に対する構造単位[(I)+(II)]のモル分率)は、表1に示したとおり50モル%であった。
【0079】
上記ポリエチレンテレフタレート99.5重量%、および共重合ポリエステル0.5重量%を乾燥し、この混合体を長さと直径の比が28のバリアフライトスクリューを備えた150mm単軸押出機に供給し、285℃にて、スクリュー剪断速度100秒−1で溶融混合計量させた後、繊維焼結ステンレス金属フィルター(10μmカット)内を剪断速度10秒−1で通過させ、Tダイ口金からドラフト比3でシート状に押出成形し、25℃に保たれた冷却ドラムに静電荷を印加させながら密着冷却固化した。
【0080】
このキャストフィルムを、長手方向にロール式延伸機にて100℃で4倍延伸し、複屈折を0.12と高くした後、テンターに導入し、95℃で4倍延伸した後、一旦60℃に冷却し、さらに230℃で熱固定することにより、厚さ25μmの二軸配向フィルムを得た。
【0081】
かくして得られたフィルムの特性評価結果を表2に示す。
【0082】
表1および表2の結果から明らかなように、本実施例で得られたフィルムは、共重合ポリエステルが球状に超微分散化しているため、ヘイズ値が低く、オリゴマーやフィッシュアイの少ない高品質の透明性ポリエステルフィルムであった。
[実施例2、3、比較例1]
共重合ポリエステル中のメソゲン基の共重合量を、表1に示したように変更した以外は、実施例1と同様に製膜し、厚さ25μmのポリエステルフィルムを得た。
【0083】
すなわち、共重合ポリエステル中の4、4´ージヒドロキシビフェニルの共重合量は、実施例2では5モル%、その他の実施例では実施例1同様に7.5モル%とした。
【0084】
結果は表2に示したとおりであり、メソゲン基の共重合量が5〜55モル%の場合には、ヘイズ値が0.1〜10%で、オリゴマー、フィッシュアイが少ない高品質の透明性ポリエステルフィルムが得られた。
【0085】
また、メソゲン基の共重合量が80%の場合には、ヘイズ値が高くなり、本発明で目的とする透明性ポリエステルフィルムが得られなかった(比較例1)。
【0086】
また、メソゲン基の共重合量が10%の場合(実施例2)には、PETと共重合ポリエステルが完全相溶化し、相分離構造が消失してフィルムの透明性が向上した。
【0087】
[実施例6〜8、比較例2、3]
共重合ポリエステルの溶融粘度、含有量を表1に示したように変更した以外は、実施例1同様の製膜条件で、厚さ25μmのポリエステルフィルムを作成した。
【0088】
結果は表2に示したとおりであり、溶融粘度を低くして、溶融粘度比(非液晶性ポリエステルの溶融粘度(ηA )/共重合ポリエステルの溶融粘度(ηB ))を大きくすると、フィルム中の共重合ポリエステルの平均分散径が小さくなり、フィルムの透明性がさらに向上した。
【0089】
また、溶融粘度を高くした場合には、フィルム中の共重合ポリエステルの平均分散径が大きくなり透明性が低下し、溶融粘度比が5以下の場合には、本発明が目的とする透明性のポリエステルフィルムは得られなかった(比較例2)。
【0090】
さらに、使用する共重合ポリエステルが同じであっても、共重合ポリエステルの含有量が多くなると、その平均分散径が大きくなり透明性が低下した。すなわち、共重合ポリエステルの含有量が12重量%の場合には、フィルム中での共重合ポリエステルドメインサイズが大幅に大きくなり、本発明が目的とする透明性ポリエステルフィルムは得られなかった(比較例3)。
【0091】
[実施例10〜12]
ポリエチレンテレフタレートの固有粘度を、表1に示したように変更した以外は実施例1と同様に製膜して厚さ25μmのポリエステルフィルムを得た。
【0092】
なお、PETの固有粘度0.65の場合には溶融粘度は200Pa・秒、固有粘度1.00の場合には溶融粘度は800Pa・秒、固有粘度1.40の場合には溶融粘度は1200Pa・秒であった。
【0093】
結果は表2に示したとおりであり、固有粘度が0.65のPETチップ(チップ中のPET環状3量体の含有率は0.8重量%)を用いて製膜すると、共重合ポリエステル(B)の平均分散径が実施例1の場合と比較して若干大きくなるが、環状3量体の含有率が原料チップと殆ど変わらない、透明性に優れたポリエステルフィルムが得られた(実施例10)。
【0094】
また、固有粘度が1.0および1.4のPETチップ(チップ中のPET環状3量体の含有率は共に0.3重量%)を用いて製膜すると、実施例1の場合と比較して共重合ポリエステルの分散径がさらに小さくなり、低オリゴマーで高ヤング率の透明性ポリエステルフィルムが得られた(実施例11および12)。
【0095】
[実施例13]
ポリエチレンテレフタレートと共重合ポリエステルの相溶化剤として、p−ヒドロキシ安息香酸(30モル%)/エチレンテレフタレート(70モル%)共重合体を0.2重量%添加した以外は、実施例1同様に製膜して厚さ25μmのポリエステルフィルムを得た。
【0096】
結果は表2に示したとおりであり、ポリエチレンテレフタレートと共重合ポリエステルの中間の平均屈折率を有する上記相溶化剤を添加すると、得られるポリエステルフィルムの透明性はさらに向上した。
【0099】
【表1】
【表2】
【0100】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の透明ポリエステルフィルムは、非液晶性ポリエステルと主鎖にメソゲン基を含有する特定の共重合ポリエステルとからなる組成物をフィルム原料とし、フィルム中のフィッシュアイやオリゴマーを低減させて品質向上を図ると共に、フィルム中で共重合ポリエステルを超微分散化または完全相溶化させたため、熱分解ゲル化物含有量およびオリゴマー含有量が少なく、つまり表面欠点・オリゴマー量が少なく、透明性、剛性、強靱性、電気特性などに優れた高品質なものであり、磁気記録用、電気絶縁用、感熱転写リボン用、感熱孔版印刷用、および包装用など各種フィルム用途に広く活用が可能である。
Claims (11)
- 非液晶性ポリエステル(A)と、主鎖にメソゲン基を5〜55モル%の共重合量で含有する共重合ポリエステル(B)との組成物からなり、フィルム中における共重合ポリエステル(B)の含有量が0.1〜1重量%であり、かつ、ヘイズ値が0.1〜10%であることを特徴とする透明性ポリエステルフィルム。
- 共重合ポリエステル(B)中のメソゲン基の共重合量が30〜55モル%であることを特徴とする請求項1に記載の透明性ポリエステルフィルム。
- 共重合ポリエステル(B)がフィルム中で球状または偏球状に微分散しており、その平均分散径が400nm以下、ドメイン形状を表すL/Dが10以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の透明性ポリエステルフィルム。
- 共重合ポリエステル(B)が、フィルム中で非液晶性ポリエステル(A)と完全相溶化していることを特徴とする請求項1又は2に記載の透明性ポリエステルフィルム。
- ポリエステルフィルム中の非液晶性ポリエステル(A)の環状三量体の含有量が、0.1〜1.0重量%であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の透明性ポリエステルフィルム。
- 非液晶性ポリエステル(A)と前記共重合ポリエステル(B)の溶融粘度比(ηA/ηB)が、50以上であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の透明性ポリエステルフィルム。
- 非液晶性ポリエステル(A)の固有粘度が、0.6以上であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の透明性ポリエステルフィルム。
- 非液晶性ポリエステル(A)が、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートおよびそれらの変性体よりなる群から選ばれた少なくとも一種であることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の透明性ポリエステルフィルム。
- ポリエステルフィルムが、一軸または二軸に配向されたフィルムであることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の透明性ポリエステルフィルム。
- 非液晶性ポリエステル(A)と、主鎖にメソゲン基を5〜55モル%の共重合量で含有する共重合ポリエステル(B)とからなり、共重合ポリエステル(B)の含有量が0.1〜1重量%である樹脂組成物を、シート状に溶融押出成形した後、少なくとも一軸延伸し、しかる後に150〜260℃の温度で熱固定することを特徴とする透明性ポリエステルフィルムの製造法。
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