JP3812178B2 - ポリエステルフィルム - Google Patents

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  • Shaping By String And By Release Of Stress In Plastics And The Like (AREA)
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、フィルムの品質および生産性が改善されたポリエステルフィルムに関するものであり、さらに詳しくは、フィルムの耐引裂性、剛性に優れ、磁気テープ用途、写真用途、電気絶縁用途等のフィルムとして有用なポリエステルフィルムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ポリエチレンテレフタレートフィルムは磁気テープ用のベースフィルムを始め、電気絶縁用フィルム、プリンターリボン、感熱孔版等、さまざまな分野で広く用いられている。しかし、近年では、磁気テープ用途での小型化、高音質・高画質化のためにますます高密度化が要求されており、またコンピュータのデータ保存用テープに代表されるようにテープの薄肉化が要求されているため、さらなるフィルムの高剛性化が期待されており、ポリエチレン−2,6−ナフタレートフィルムが注目を集めている。
【0003】
ポリエチレン−2,6−ナフタレートフィルムは、剛性、耐熱性、耐薬品性、ガスバリア性等の諸特性がポリエチレンテレフタレートフィルムよりも優れており、また熱収縮率、オリゴマー量等の品質面においても、ポリエチレンテレフタレートよりも優れているが、フィルムの耐引裂性に問題がある。耐引裂性の不良は、延伸やスリット工程でのフィルム破れを誘発し管理収率低下の原因になるばかりでなく、フィルムの後処理・加工工程での破れ、さらには磁気テープの端面の傷などによるテープ切断など、多くのトラブル発生の主要因となるからである。フィルムを薄くし、剛性を高めるなどの目的で、延伸倍率を高くすると、耐引裂性の悪化は、さらに顕著となりフィルム破れが多発する。
【0004】
ポリエチレン−2,6−ナフタレートフィルムの耐引裂性を改良するための検討はこれまでにもなされている。例えば、特許第2585494号掲載公報では、耐引裂性を改良したポリエチレン−2,6−ナフタレートフィルムが開示されている。該特許掲載公報には、フィルムを高温かつ低倍率で延伸すれば、耐引裂性に優れたフィルムが得られることが示されているが、本発明で所期の目的とするような高いヤング率と優れた耐引裂性を合わせ持つフィルムは得られていない。
【0005】
また、耐引裂性を高める別の方法として、ポリマーの固有粘度を大きくするといった方法が一般に知られている。しかし、ポリエチレン−2,6−ナフタレートはポリエチレンテレフタレートと比較して、溶融粘度が高く、押出時の剪断発熱が大きくなるため、熱分解が促進されて固有粘度が低下し易いので、高い固有粘度の有するフィルムを得るのが容易でない。また、この場合、オリゴマー・熱分解ゲル化物が増加するため、フィルムの品質が大幅に低下する。
【0006】
以上述べたように、ポリエチレン−2,6−ナフタレートフィルムは、ポリエチレンテレフタレートフィルムと比較して、各種特性面で優れているが、耐引裂性不良といった欠点を有しており、高剛性かつ耐引裂性にも優れたフィルムを得るのが容易でなく、ポリエチレン−2,6−ナフタレートフィルムの耐引裂性改良について新規な手法が求められているのが現状である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、上記ポリエチレン−2,6−ナフタレートフィルムの欠点である耐引裂性を改良し、生産性、加工性に優れた、高剛性かつ高品質のポリエチレン−2,6−ナフタレートを主成分とするポリエステルフィルムを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するために、少なくともポリエチレン−2,6−ナフタレート単位を主成分とするポリエステル(A)に、熱可塑性ポリマー(B)を添加し、フィルムの耐引裂性、機械強度と添加する熱可塑性ポリマー(B)の組成、添加量との関係について鋭意検討した。その結果、特定の熱可塑性ポリマー(B)を添加すると、少なくともポリエチレン−2,6−ナフタレート単位を主成分とするポリエステル(A)中で分散化し、フィルムの耐引裂性が向上して製膜時のフィルム破れが激減し、高いヤング率を有するポリエステルフィルムが得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明のポリエステルフィルムは、少なくともエチレン−2,6−ナフタレート単位を主成分とするポリエステル(A)と以下の群から選ばれる少なくとも一種である熱可塑性ポリマー(B)からなるフィルムであって、フィルムの長手方向と幅方向から選ばれる少なくとも一方向の引裂伝播抵抗が3〜20N/mmであり、フィルムの長手方向と幅方向から選ばれる少なくとも一方向のヤング率が6〜20GPaであることを特徴とするものである。
熱可塑性ポリマー(B):ポリブチレンテレフタレート/ポリエーテル共重合体、スチレン−エチレン・ブタジエン−スチレンブロック共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、アクリロニトリル−(エチレン・プロピレン・ジエン テレポリマー)−スチレンブロック共重合体、エチレンプロピレンゴム、エチレンブタジエンゴム、ポリカーボネート、ポリエーテルイミド、ポリスチレン、スチレン/アクリロニトリル共重合体、メタクリル酸メチル/スチレン共重合体、スチレン/アクリロニトリル/ブタジエン共重合体から選ばれる少なくとも一種。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明でいう、少なくともエチレン−2,6−ナフタレート単位を主成分とするポリエステル(A)は、ナフタレンジカルボン酸を酸成分として少なくとも70モル%以上含有するポリマーである。酸成分については、少量の他のジカルボン酸成分を共重合してもよく、また、エチレングリコールを主たるグリコール成分とするが、他のグリコール成分を共重合成分として加えてもよい。ナフタレンジカルボン酸以外のジカルボン酸としては、例えばテレフタル酸、イソフタル酸、ジフェニルスルフォンジカルボン酸、ベンゾフェノンジカルボン酸、4,4´−ジフェニルジカルボン酸、3,3´−ジフェニルジカルボン酸、などの芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、コハク酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸などの脂肪族ジカルボン酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、1,3−アダマンタンジカルボン酸などの脂環族ジカルボン酸を用いることができる。また、エチレングリコール以外のグリコール成分としては、例えば、クロルハイドロキノン、メチルハイドロキノン、4,4´−ジヒドロキシビフェニル、4,4´−ジヒドロキシジフェニルスルフォン、4,4´−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4´−ジヒドロキシベンゾフェノン、pーキシレングリコールなどの芳香族ジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノールなど、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコールなどの脂肪族、脂環式ジオールを用いることができる。また、さらに酸成分、グリコール成分以外に、p−ヒドロキシ安息香酸、m−ヒドロキシ安息香酸、2,6−ヒドロキシナフトエ酸などの芳香族ヒドロキシカルボン酸およびp−アミノフェノール、p−アミノ安息香酸などを本発明の効果が損なわれない程度の少量であればさらに共重合せしめることができる。
【0010】
本発明のポリエステルフィルムは、フィルムの長手方向と幅方向から選ばれる少なくとも一方向の引裂伝播抵抗が3〜20N/mmであることが必要である。引裂伝幡抵抗は4〜12N/mmが製膜工程安定のためより好ましく、5〜10N/mmが製膜を安定し、ヤング率を高めるために最も好ましい。引裂伝幡抵抗が3N/mm未満では製膜時にフィルム破れが発生し易く、またスリット性などフィルムの加工性の点でも問題となり易いので好ましくなく、逆に20N/mmを越えるフィルムではヤング率を高めにくいので好ましくない。
【0011】
熱可塑性ポリマー(B)はフィルム中で分散しており、その平均分散径が5μm以下、該熱可塑性ポリマーのドメイン形状を表すアスペクト比(長径/短径)が1〜100であることが好ましい。平均分散径は、3μm以下がより好ましく、1μm以下になるとフィルム破れがほとんど起こらなくなるため最も好ましい。平均分散径が5μmを超えると、製膜時にフィルム破れが発生しやすく、またフィルムの平滑性でも問題となり好ましくない。また、該熱可塑性ポリマーのドメイン形状を表すアスペクト比(長径/短径)は1〜100であることが好ましい。アスペクト比が100を超えると、その長径方向の耐引裂性が極端に悪化するので好ましくない。
【0012】
熱可塑性ポリマー(B)がポリエステル(A)と相溶している場合でも好ましい。ここでいう相溶とは、得られたポリエステルフィルムのガラス転移温度(Tg)が単一であることにより判断できる。また、得たられたポリエステルフィルムのTgとは、ポリエステル(A)のTgと熱可塑性ポリマー(B)のTg間に存在するものを指し、さらに、熱流束のギャップが、ポリエステル(A)の熱流束のギャップの1/10以下のものは含まない。
【0013】
本発明に用いる熱可塑性ポリマー(B)としては、ポリブチレンテレフタレート/ポリエーテル共重合体、ポリブチレンイソフタレート/ポリエーテル共重合体、スチレン/エチレン・ブタジエン/スチレンブロック共重合体、スチレン/ブタジエン/スチレンブロック共重合体、スチレン/イソプレン/スチレンブロック共重合体、アクリロニトリル/(エチレン・プロピレン・ジエン テレポリマー)/スチレンブロック共重合体、アクリロニトリルブタジエン共重合体、エチレン/プロピレン共重合体、エチレン/ブタジエン共重合体、エチレン/プロピレン/ジエン共重合体、エチレン/酢酸ビニル共重合体、スチレン/アクリロニトリル共重合体、メタクリル酸メチル/スチレン共重合体、メタクリル酸メチル/ブタジエン/スチレン共重合体、スチレン/アクリロニトリル/ブタジエン共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、ポリブタジエン、塩素化ブチルゴム、メタクリル酸メチル、ポリアミド、ポリフェニレンエーテル、ポリアリレート、ポリオキシメチレン、ポリアセタール、ポリフェニレンサルファイド、ポリカーボネート、ポリエーテルイミド、ポリスチレン、ポリスルホン等を用いるものである。中でも、ポリブチレンテレフタレート/ポリエーテル共重合体とポリエーテルイミドが好ましい。
【0014】
また、さらに相溶化剤として、ポリスチレン/ポリメタクリル酸メチル/スチレン−メタクリル酸ブロック共重合体、ポリスチレン−ポリエチレン、ポリエチレン−2,6−ナフタレート−ポリスチレンブロック共重合体、ポリエチレン−2,6−ナフタレート−ポリブチレンテレフタレートブロック共重合体、ポリエチレン−2,6−ナフタレート−ポリエーテルブロック共重合体等を添加してもよい。
【0015】
また、熱可塑性ポリマー(B)の配合量は、好ましくは0.1重量%から50重量%である。0.1重量%未満だと製膜時にフィルム破れが多発したり、50重量%を超えると、本発明のポリエステルフィルムの優れた剛性が失われることがあるため好ましくない。また、配合量が1重量%から30重量%である場合がさらに好ましく、5重量%から20重量%が最も好ましい。
【0016】
熱可塑性ポリマー(B)を2種以上用いる場合は、2種以上の熱可塑性ポリマーを溶融混練したマスターとすることが好ましい。
【0017】
本発明のフィルムの固有粘度は、特に限定されないが0.4〜1.4dl/gが好ましく、さらに好ましくは0.62〜1dl/gであり、最も好ましくは0.65〜0.8dl/gである。固有粘度が0.6dl/g未満ではフィルム破れが多発し、これとは逆に1.4を越えると押出工程での剪断発熱が大きくなり、その結果、フィルム中のオリゴマー量や熱分解ゲル化物が多くなりフィルムの品質が低下するばかりでなく、フィルムの熱収縮率も大幅に大きくなるので好ましくない。
【0018】
本発明のポリエステルフィルムは、その長手方向と幅方向から選ばれる少なくとも一方向のヤング率が6〜20GPaであることが重要である。ヤング率は、6.5〜15GPaがより好ましく、7〜13GPaが最も好ましい。ヤング率が6GPa未満では各種フィルム用途への展開上好ましくなく、20GPaを越えると、その方向の耐引裂性が極端に悪化するので好ましくない。
【0019】
本発明のポリエステルフィルムは、未延伸、未配向フィルムでもよいが、一軸または二軸に配向されたフィルムであることによって高弾性、強靱性、耐熱性、電気特性などの効果がより顕著に発揮されるため好ましい。
【0020】
また、本発明のポリエステルフィルムは、特に限定されないが、フィルム厚みは100μm以下のものが本発明の効果が顕著に現れるため好ましく、さらに好ましくは75μm以下である。また、磁気記録用のベースフィルムとして、ハードの小型化および長時間記録用記録媒体の薄膜化の市場ニーズに対応する場合には、フィルムの厚さが25μm以下が好ましく、12μm以下の厚みがさらに好ましく、2〜12μmの厚みのフィルムが最も好ましい。
【0021】
なお、本発明のポリエステルフィルム中には、本発明の効果を阻害しない範囲であれば、主鎖にメソゲン基を有する共重合ポリエステル、可塑剤、耐候剤、酸化防止剤、熱安定剤、滑剤、帯電防止剤、増白剤、着色剤、導電剤などを添加してもかまわない。
【0022】
また、本発明のポリエチレン−2,6−ナフタレートを主成分とするポリエステルフィルムは単膜でもよいが、これに他のポリマー層、例えばポリエステル、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリ塩化ビニリデン、アクリル系ポリマーなどを積層してもよい。特にポリエステル層を表層に薄く積層する場合、積層部の厚み(M)は、該積層部に含有されている粒子の平均径(N)よりも薄くする(M<N)、特に限定されないが好ましくは、Mの1/1000〜1/2、さらに好ましくは、1/100〜1/10とすることにより、走行性、易滑性、平滑性に優れたフィルムとすることができ、特に表面特性を重視する磁気記録用のベースフィルムとしては好ましい。また、ポリエステルからなる3層以上の積層フィルムの場合、中央層に回収原料などを混合させておくことにより、生産性、品質向上を図ることもできる。このような粒子としては、酸化珪素、酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、酸化チタン、酸化アルミニウム、架橋ポリエステル、架橋ポリスチレン、マイカ、タルク、カオリン等を用いることができるが、これらに限定されるものではない。
【0023】
次に、本発明のポリエステルフィルムの製造方法の、熱可塑性ポリマー(B)として、熱可塑性ポリマーポリブチレンテレフタレート/ポリエーテル共重合体を用いた好ましい例を示し説明するが、必ずしも、これに限定されるものではない。
【0024】
まず、ポリエチレン−2,6−ナフタレートの原料チップに、熱可塑性ポリマーポリブチレンテレフタレート/ポリエーテル共重合体5重量%を含有するポリエチレン−2,6−ナフタレートのマスターチップを添加・混合した原料を、165℃で4時間予備乾燥した後、180℃で2時間以上真空乾燥する。次いで、固有粘度が低下しないように窒素気流下、あるいは真空下で280℃に加熱された単軸または二軸押出機に供給し製膜する。このとき、熱可塑性ポリマー(B)を直接押出機に投入してもよいが、本発明のように少量の熱可塑性ポリマー(B)をポリエチレン−2,6−ナフタレートに添加する場合には、マスターチップを予め作成しておくことが好ましい。また、原料チップの混合はドライブレンドでもよいが、計量供給式のサブホッパーを使用してもよい。
【0025】
次いで、押出機での可塑化を経てTダイにより、静電気を印加しながらシート状に押出し、密着・冷却・固化させて未延伸フィルムを得、続いて、該未延伸フィルムをフィルムの長手方向(縦方向)または幅方向(横方向)に110〜190℃の温度で所定の倍率に延伸し、20〜50℃の冷却ロール群で冷却する。その後、テンターに導いて、該フィルムの両端をクリップで把持しながら、熱風雰囲気中で120〜190℃の温度に加熱し、上記延伸方向と直角の方向に所定の倍率に延伸し、さらに180℃以上、融点未満の温度で熱処理を施して二軸延伸フィルムを得る。延伸温度、延伸倍率、熱処理温度条件等は、得ようとするフィルムの特性をもとに決定する。縦および横方向の延伸による面積倍率は12〜45倍が好ましく、さらに好ましくは14〜38倍である。熱固定温度は200℃以上融点未満がより好ましく、また熱処理時間は1〜30秒の範囲で行うのが好ましい。熱固定は緊張下で行ってもよく、また、熱寸法安定性をさらに向上させるために、縦または/および横方向に弛緩することも好ましく行なわれる。
【0026】
かかる逐次延伸法の他に、同時二軸延伸法を使用することもできる。また、逐次二軸延伸法において縦方向、横方向の延伸回数は必ずしも1段で行うことに限られるものではなく、縦および横方向の延伸を数段以上に分割して行うことも好ましく行うことができる。また、熱固定を行う前に、再縦延伸および/または再横延伸を行うことは、高いヤング率を有したフィルムを得る上で好ましく、また、(ガラス転移温度+20)℃程度の低温から高温側に徐々に温度を上げながら多段に延伸することも好ましく行われる。
【0027】
【物性の測定方法ならびに効果の評価方法】
(1)引裂伝播抵抗:
東洋精機製軽荷重式引裂試験機を用いて、ASTM−D−1922に従って測定した。サンプルサイズは51×64mmで13mmの切れ込みを入れ、引き裂いたときの指示値を読み取った。実施例では、MD方向(長手方向)、TD方向(幅方向)について求めた。
【0028】
(2)平均分散径、アスペクト比:
フィルムを液体窒素に浸透させ、十分に冷却した後、空気中でフィルムを長手方向に割り、その断面を走査型電子顕微鏡(SEM)にて観察し、場所を変えて10視野以上測定した。観察された視野中にある熱可塑性ポリマーの長径/短径のうち短径を分散径とし、その平均を平均分散径とした。単位はμmで表す。熱可塑性ポリマーの長径/短径の比をアスペクト比とした。
【0029】
(3)ヤング率:
テンシロン型引張試験(オリエンテック社製)に幅10mm、チャック間長さ100mmになるようにサンプルをセットし、23℃、65%RHの雰囲気下で引張速度200mm/分で引張試験を行い求めた。
【0030】
(4)フィッシュアイ(FE):
直交ニコル偏光下に10cm2 のフィルムをおき、全体像の中で周りの色の異なるキラキラした部分のうち、長軸が10μm以上の大きさのものをカウントした。単位は個/cm2 で示す。
【0031】
(5)固有粘度:
オルトクロロフェノール中、0.1g/ml濃度で、25℃で測定した。単位はdl/gで表す。
【0032】
(6)ガラス転移温度(Tg)
JIS K7121に従って、測定した。
【0033】
装置:セイコー電子工業(株)製“ロボットDSC−RDC220”
データ解析−“ディスクセッションSSC/5200”
サンプル質量:5mg
昇温速度:20℃/分
【0034】
【実施例】
本発明を実施例、比較例に基づいて説明する。
【0035】
実施例1
固有粘度0.65(dl/g)のポリエチレン−2,6−ナフタレートに、熱可塑性ポリマー(B)として、ポリブチレンテレフタレート/ポリエーテル共重合体(“ハイトレル5557”(東レ・デュポン(株)登録商標))を10重量%含有させたポリエチレン−2,6−ナフタレートのマスターチップ(固有粘度0.64(dl/g))を作成した。このマスターチップとPENチップを用いて、上記ポリブチレンテレフタレート/ポリエーテル共重合体の分量が5重量%になるように計量混合し、165℃で2時間予備乾燥した後、180℃で2時間乾燥した。次いで、乾燥した原料チップを150mm単軸押出機に供給して溶融混合計量させた後、繊維焼結ステンレス金属フィルター(5μmカット)内を通過させ、Tダイ口金からシート状に押出成形し、25℃に保たれた冷却ドラムに静電荷を印加させながら密着冷却固化した(フィルム固有粘度0.63dl/g)。このとき、押出機温度は供給部を290℃、圧縮部・計量部を310℃に設定し、滞留時間は7分とした。次いで、該キャストフィルムを長手方向にロール式延伸機にて135℃で4.5倍に延伸した後、テンターに導入し、140℃で5.3倍に横延伸後、いったん50℃に冷却した後、200℃で熱固定して、厚さ6μmの二軸配向ポリエチレン−2,6−ナフタレートフィルムを得た。かくして得られた特性を表1に示す。本発明のフィルムは、ヤング率が高く、耐引裂性に優れ、フィッシュアイの少ない高品質のフィルムであった。また、上記強力化フィルムの製膜は極めて安定しており、製膜中にフィルム破れ等、トラブルが発生しなかった。
【0036】
実施例2、3
熱可塑性ポリマー(B)の添加量を変更する以外は、実施例1と同様に製膜し、二軸配向フィルムを得た。添加量を0.3%にすると熱可塑性ポリマー(B)の効果はさらに顕著に現れた。これは、熱可塑性ポリマー(B)の分散径を1μm以下、アスペクト比を100以下に制御したためである。実施例3に示すように、熱可塑性ポリマーの添加量が18%であっても、耐引裂性は良好であった。
【0037】
実施例4
熱可塑性ポリマー(B)としてポリカーボネート(”ユーピロンS−2000”(三菱ガス化学(株)登録商標))を使用すること以外は実施例1と同様に製膜し、二軸延伸フィルムを得た。熱可塑性ポリマー(B)としてポリカーボネートを使用しても、実施例1の“ハイトレル5557”を添加した場合と同様に耐引裂性に優れた高強度のフィルムが得られた。
【0038】
実施例5
熱可塑性ポリマー(B)としてポリエーテルイミド(”ウルテム1010”(GEプラスチック(株)登録商標))を使用すること以外は実施例1と同様に製膜し、二軸延伸フィルムを得た。ポリエステル(A)中でポリエーテルイミドは相溶し、分散径は観察されなかった。熱可塑性ポリマー(B)としてポリエーテルイミドを使用すると、耐引裂性に優れた高強度のフィルムが得られた。
【0039】
比較例1
熱可塑性ポリマー(B)を添加しないこと以外については、実施例1と同様に製膜した。表1に示すように熱可塑性ポリマー(B)を添加しないと、フィルムの耐引裂性は不良であった。
【0040】
比較例2、3
熱可塑性ポリマー(B)の添加量を変更すること以外は、実施例1と同様に製膜した。表1に示すように熱可塑性ポリマー(B)を0.05wt%しか添加しないと、フィルムの耐引裂性が不良であった(比較例2)。熱可塑性ポリマー(B)の添加量が25%で多くなると、引裂伝播抵抗が20N/mmを越え、ヤング率は5GPaより低いフィルムしか得られなかった。また、フィッシュアイも増加し、フィルム品質が低下する傾向が見られた(比較例3)。
【0041】
【表1】
Figure 0003812178
【0042】
【発明の効果】
本発明は、少なくともエチレン−2,6−ナフタレート単位を主成分とするポリエステルに少量の熱可塑性ポリマーを添加することにより、高いヤング率と優れた耐引裂性を合わせ持つフィルムを得ることができる。従って、製膜時のフィルム破れを減らして生産性を高めると共に、フィルムの剛性、加工性、品質の向上を図ることが可能となり、磁気記録用、写真用、電気絶縁用など各種フィルム用途に広く活用が可能である。

Claims (7)

  1. 少なくともエチレン−2,6−ナフタレート単位を主成分とするポリエステル(A)と以下の群から選ばれる少なくとも一種である熱可塑性ポリマー(B)からなるフィルムであって、フィルムの長手方向と幅方向から選ばれる少なくとも一方向の引裂伝播抵抗が3〜20N/mmであり、フィルムの長手方向と幅方向から選ばれる少なくとも一方向のヤング率が6〜20GPaであることを特徴とするポリエステルフィルム。
    熱可塑性ポリマー(B):ポリブチレンテレフタレート/ポリエーテル共重合体、スチレン−エチレン・ブタジエン−スチレンブロック共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、アクリロニトリル−(エチレン・プロピレン・ジエン テレポリマー)−スチレンブロック共重合体、エチレンプロピレンゴム、エチレンブタジエンゴム、ポリカーボネート、ポリエーテルイミド、ポリスチレン、スチレン/アクリロニトリル共重合体、メタクリル酸メチル/スチレン共重合体、スチレン/アクリロニトリル/ブタジエン共重合体から選ばれる少なくとも一種。
  2. 熱可塑性ポリマー(B)がフィルム中で分散しており、その平均分散径が5μm以下、該熱可塑性ポリマー(B)のドメイン形状を表すアスペクト比が1〜100であることを特徴とする請求項1に記載のポリエステルフィルム。
  3. 熱可塑性ポリマー(B)の平均分散径が1μm以下、該熱可塑性ポリマー(B)のアスペクト比が1〜100であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のポリエステルフィルム。
  4. 熱可塑性ポリマー(B)がポリエステル(A)と相溶していることを特徴とする請求項1に記載のポリエステルフィルム。
  5. 熱可塑性ポリマー(B)をポリエステル(A)中に0.1重量%から50重量%含有することを特徴とする請求項1〜請求項のいずれかに記載のポリエステルフィルム。
  6. ポリエステルフィルムが一軸または二軸に配向されたフィルムであることを特徴とする請求項1〜請求項のいずれかに記載のポリエステルフィルム。
  7. 請求項1〜請求項6のいずれかに記載のポリエステルフィルムを用いた磁気記録媒体。
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