JPH115854A - ポリエチレン−2,6−ナフタレートフィルムとその製造法 - Google Patents

ポリエチレン−2,6−ナフタレートフィルムとその製造法

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JPH115854A
JPH115854A JP9159622A JP15962297A JPH115854A JP H115854 A JPH115854 A JP H115854A JP 9159622 A JP9159622 A JP 9159622A JP 15962297 A JP15962297 A JP 15962297A JP H115854 A JPH115854 A JP H115854A
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film
polyethylene
naphthalate
naphthalate film
carboxyl
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JP9159622A
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Tetsuya Tsunekawa
哲也 恒川
Masaaki Kotoura
正晃 琴浦
Kenichi Egashira
賢一 江頭
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Toray Industries Inc
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Abstract

(57)【要約】 【解決手段】フィルムの長手方向と幅方向から選ばれる
少なくとも一方向のヤング率が6〜20GPa、引裂伝
搬抵抗が0.3〜2kg/mmであることを特徴とする
ポリエチレン−2,6−ナフタレートフィルム。 【効果】ポリエチレン−2,6−ナフタレートに少量の
カルボキシル末端架橋剤を添加することにより、フィル
ムの耐引裂性を改良し、製膜時のフィルム破れを減らし
て生産性を高めると共に、フィルムの剛性、加工性、品
質の向上を図ったものであり、磁気記録用、写真用、電
気絶縁用など各種フィルム用途に広く活用が可能であ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、フィルムの品質お
よび生産性が大幅に改善されたポリエチレン−2,6−
ナフタレートに関するものであり、さらに詳しくは、フ
ィルムの耐引裂性、剛性に優れ、磁気テープ用途、写真
用途、電気絶縁用途等のフィルムとして極めて有用なポ
リエチレン−2,6−ナフタレートフィルムとその製造
法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ポリエチレンテレフタレートフィルムは
磁気テープ用のベースフィルムを始め、電気絶縁用フィ
ルム、プリンターリボン、感熱孔版等、様々な分野で広
く用いられている。しかし、近年では、磁気テープ用途
での小型化、高音質・高画質化のために益々高密度化が
要求されており、またコンピュータのデータ保存用テー
プに代表されるようにテープの薄肉化が要求されている
ため、さらなるフィルムの高剛性化が期待されており、
ポリエチレン−2,6−ナフタレートフィルムが注目を
集めている。
【0003】ポリエチレン−2,6−ナフタレートフィ
ルムは、剛性、耐熱性、耐薬品性、ガスバリア性等の諸
特性がポリエチレンテレフタレートフィルムよりも優れ
ており、また熱収縮率、オリゴマー量等の品質面におい
ても、ポリエチレンテレフタレートよりも優れている
が、フィルムの耐引裂性に問題がある。耐引裂性の不良
は、延伸やスリット工程でのフィルム破れを誘発し管理
収率低下の原因になるばかりでなく、フィルムの後処理
・加工工程での破れ、さらには磁気テープの端面の傷な
どによるテープ切断など、多くのトラブル発生の主要因
となるからである。フィルムを薄くし、剛性を高めるな
どの目的で、延伸倍率を高くすると、耐引裂性の悪化
は、さらに顕著となりフィルム破れが多発する。
【0004】ポリエチレン−2,6−ナフタレートフィ
ルムの耐引裂性を改良するための検討はこれまでにもな
されている。例えば、特許第2585494号公報で
は、耐引裂性を改良したポリエチレン−2,6−ナフタ
レートフィルムが開示されている。本特許では、フィル
ムを高温かつ低倍率で延伸すれば、耐引裂性に優れたフ
ィルムが得られることが示されているが、本発明で開示
するような、高いヤング率と優れた耐引裂性を合わせ持
つフィルムは得られていない。
【0005】また耐引裂性を高める別の方法としてポリ
マーの固有粘度を大きくするといった方法が一般に知ら
れている。しかし、ポリエチレン−2,6−ナフタレー
トはポリエチレンテレフタレートと比較して、溶融粘度
が高く、押出時の剪断発熱が大きくなるため、熱分解が
促進されて固有粘度が低下し易いので、高い固有粘度の
有するフィルムを得るのが容易でない。また、この場
合、オリゴマー・熱分解ゲル化物が増加するため、フィ
ルムの品質が大幅に低下する。
【0006】本発明で使用するカルボキシル末端架橋剤
については、特開平8−27092号公報、特開平8−
81533号公報等に示されているように、これをポリ
エステルに添加して、ポリエステル樹脂の物性を向上さ
せる発明がなされている。しかし、これらの発明は、カ
ルボキシル末端の封鎖等により、ポリエステル樹脂の耐
熱性や耐加水分解性を向上させることを目的とするもの
であり、少なくとも2つのカルボキシル末端を架橋する
ことにより分子鎖を連結して、フィルムの引裂性を高め
ようとする本発明とは技術思想が異なる。
【0007】以上述べたように、ポリエチレン−2,6
−ナフタレートフィルムは、ポリエチレンテレフタレー
トフィルムと比較して、各種特性面で優れているが、耐
引裂性不良といった欠点を有しており、高剛性かつ耐引
裂性にも優れたフィルムを得るのが容易でなく、ポリエ
チレン−2,6−ナフタレートフィルムの耐引裂性改良
について新規な手法が求められているのが現状である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、上記
ポリエチレン−2,6−ナフタレートフィルムの欠点で
ある耐引裂性を改良し、生産性、加工性に優れた、高剛
性かつ高品質のポリエチレン−2,6−ナフタレートフ
ィルムを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するために、ポリエチレン−2,6−ナフタレー
トの耐引裂性を改良する方法と製膜条件について鋭意検
討した。その結果、ポリエチレン−2,6−ナフタレー
トのカルボキシル末端を連結する特定のカルボキシル末
端架橋剤を溶融押出工程で特定の量添加すると、驚くべ
きことにオリゴマーや熱分解ゲル化物が殆ど増加するこ
となく、フィルムの固有粘度が高まり、フィルムの耐引
裂性が向上して製膜時のフィルム破れが激減し、高いヤ
ング率を有するポリエチレン−2、6−ナフタレートフ
ィルムが得られることを見出し、本発明を完成するに至
った。すなわち、本発明は、「フィルムの長手方向と幅
方向から選ばれる少なくとも一方向のヤング率が6〜2
0GPa、引裂伝搬抵抗が0.3〜2kg/mmである
ことを特徴とするポリエチレン−2,6−ナフタレート
フィルムとその製造法」を骨子とするものである。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明でいう、ポリエチレン−
2,6−ナフタレートとは、ナフタレンジカルボン酸を
酸成分として少なくとも70モル%以上含有するポリマ
ーである。酸成分については、少量の他のジカルボン酸
成分を共重合してもよく、またエチレングリコールを主
たるグリコール成分とするが、他のグリコール成分を共
重合成分として加えてもよい。ナフタレンジカルボン酸
以外のジカルボン酸としては、例えばテレフタル酸、イ
ソフタル酸、ジフェニルスルフォンジカルボン酸、ベン
ゾフェノンジカルボン酸、4,4´−ジフェニルジカル
ボン酸、3,3´−ジフェニルジカルボン酸、などの芳
香族ジカルボン酸、アジピン酸、コハク酸、アゼライン
酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸などの脂肪族ジカル
ボン酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、1,3−アダマン
タンジカルボン酸などの脂環族ジカルボン酸を用いるこ
とができる。また、エチレングリコール以外のグリコー
ル成分としては、例えば、クロルハイドロキノン、メチ
ルハイドロキノン、4,4´−ジヒドロキシビフェニ
ル、4,4´−ジヒドロキシジフェニルスルフォン、
4,4´−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4
´−ジヒドロキシベンゾフェノン、p−キシレングリコ
ールなどの芳香族ジオール、1,3−プロパンジオー
ル、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオー
ル、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサン
ジメタノールなど、1,4−ブタンジオール、1,6−
ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコールなどの脂肪
族、脂環式ジオールを用いることができる。また、さら
に酸成分、グリコール成分以外に、p−ヒドロキシ安息
香酸、m−ヒドロキシ安息香酸、2,6−ヒドロキシナ
フトエ酸などの芳香族ヒドロキシカルボン酸およびp−
アミノフェノール、p−アミノ安息香酸などを本発明の
目的を損なわない程度の少量であればさらに共重合せし
めることができる。
【0011】本発明のフィルムは、その長手方向と幅方
向から選ばれる少なくとも一方向のヤング率が6〜20
GPaで、引裂伝幡抵抗が0.3〜2kg/mmであ
る。ヤング率は、6.5〜15GPaがより好ましく、
7〜13GPaが最も好ましい。ヤング率が6GPa未
満では各種フィルム用途への展開上好ましくなく、20
GPaを超えると、その方向の耐引裂性が極端に悪化す
るので好ましくない。引裂伝幡抵抗は0.35〜1kg
/mmがより好ましく、0.4〜0.8kg/mmが最
も好ましい。引裂伝幡抵抗が0.3未満では製膜時にフ
ィルム破れが発生し易く、またスリット性などフィルム
の加工性の点でも問題となり易いので好ましくなく、こ
れとは逆に2kg/mmを超えるフィルムではヤング率
および品質を高めにくいので好ましくない。
【0012】本発明で得られるフィルムのカルボキシル
末端量は1〜50等量/トンであり、好ましくは1〜2
5等量/トン、さらに好ましくは1〜15等量/トンで
ある。ポリエチレン−2,6−ナフタレートは溶融押出
時に熱分解し易いため、カルボキシル末端量が1未満の
フィルムは極めて得られにくく、また実用上の必須要件
ではない。一方、カルボキシル末端量が50等量/トン
を超えると、フィルムの耐引裂性が低下し、高ヤング率
のフィルムの生産性が悪化するばかりでなく、オリゴマ
ー・熱分解ゲル化物が増加し、その結果、フィルムの品
質が低下するので好ましくない。
【0013】本発明でいうカルボキシル末端架橋剤と
は、ポリエチレン−2,6−ナフタレートのカルボキシ
ル末端と反応し得る官能基を少なくとも2つ有する有機
化合物であり、300℃、30分での重量減少率が30
%未満のものが好ましい。通常、多官能のカルボキシル
末端封鎖剤として使用されている各種の化合物、例え
ば、エポキシ系、オキサゾリン系、カルボジイミド系、
エステル系の化合物などである、また、特開平8−73
716号公報で示されているイヌシトールなども本発明
のカルボキシル末端架橋剤として使用できる。本発明の
カルボキシル末端架橋剤としては、重合カルボジイミド
が好ましい。該カルボジイミドは、単に高分子鎖を連結
するのみでなく、ポリエチレン−2,6−ナフタレート
フィルムの微細構造や配向性を変えるためか、その少量
添加により、フィルムの耐引裂性が大幅に向上するから
である。かかる重合カルボジイミドとしては、特公昭3
8−15220号公報、特開昭46−5389号公報、
特開平8−81533号公報に記載されている化合物な
どがあるが、ポリエチレン−2,6−ナフタレートとの
相溶性にも優れる特開平8−81533号公報、特開平
8−27092号公報に開示されているウレア変性タイ
プのものが好ましく、数平均分子量は500〜1500
0のものが好ましい。また、カルボキシル末端架橋剤の
添加量は0.01〜10重量%であり、好ましくは0.
02〜3重量%、より好ましくは0.03〜1重量%で
ある。カルボキシル末端架橋剤が0.01重量%未満で
は本発明で目的とする効果が得られにくく、または10
重量%を超えるとカルボキシル末端の架橋が進み過ぎ
て、フィルムの品質が悪化するので好ましくない。
【0014】前記カルボキシル末端架橋剤を押出工程で
添加する場合の押出温度は270℃以上であり、滞留時
間は5分以上であることが必要である。本発明でいう、
押出温度とは押出機計量部の設定温度であり、滞留時間
とは原料チップを押出機に投入した後、口金から溶融ポ
リマーがブリードするまでの時間である。押出温度が2
70℃未満で滞留時間が5分未満の場合は、カルボキシ
ル末端の架橋が十分に進行しないため、本発明の効果が
得られにくいので好ましくない。押出温度は280〜3
20℃の範囲が好ましく、滞留時間は7〜40分が好ま
しい。押出温度が320℃を超えたり、滞留時間が40
分を超えると架橋したポリマーの熱分解が顕著になり、
本発明のフィルムが得られにくくなるので好ましくな
い。
【0015】本発明のフィルムの固有粘度は0.6〜
1.2であり、好ましくは0.62〜1であり、さらに
好ましくは0.65〜0.8である。固有粘度が0.6
未満ではフィルム破れが多発し、これとは逆に1.2を
超えると押出工程での剪断発熱が大きくなり、その結
果、フィルム中のオリゴマー量や熱分解ゲル化物が多く
なりフィルムの品質が低下するばかりでなく、フィルム
の熱収縮率も大幅に大きくなるので好ましくない。
【0016】本発明のポリエチレン−2,6−ナフタレ
ートフィルムは、未延伸、未配向フィルムでもよいが、
各種の方法により一軸あるいは二軸延伸、熱固定した配
向フィルムとすることによって高弾性、強靱性、耐熱
性、電気特性などの効果がより顕著に発揮される。
【0017】また本発明のポリエチレン−2,6−ナフ
タレートフィルムは、その厚さに特に制限はないが、1
00μm以下のものが本発明の効果が顕著に現れるため
好ましく、さらに好ましくは75μm以下である。また
磁気記録用のベースフィルムとして、ハードの小型化お
よび長時間記録用記録媒体の薄膜化の市場ニーズに対応
する場合には、フィルムの厚さが25μm以下が好まし
く、12μm以下の厚みがさらに好ましく、2〜12μ
mの厚みのフィルムが最も好ましい。
【0018】尚、本発明のポリエチレン−2,6−ナフ
タレートフィルム中には、本発明の効果を阻害しない範
囲であれば、主鎖にメソゲン基を有する共重合ポリエス
テル、可塑剤、耐候剤、酸化防止剤、熱安定剤、滑剤、
帯電防止剤、増白剤、着色剤、導電剤などを添加しても
かまわない。
【0019】また、本発明のポリポリエチレン−2,6
−ナフタレートフィルムは単膜でもよいが、これに他の
ポリマー層、例えばポリエステル、ポリオレフィン、ポ
リアミド、ポリ塩化ビニリデン、アクリル系ポリマーな
どを積層してもよい。特にポリエステル層を表層に薄く
積層する場合、積層部の厚み(M)は、該積層部に含有
されている粒子の平均径(N)よりも薄くする(M<
N)、好ましくは、Mの1/1000〜1/2、さらに
好ましくは、1/100〜1/10とすることにより、
走行性、易滑性、平滑性に優れたフィルムとすることが
でき、特に表面特性を重視する磁気記録用のベースフィ
ルムとしては好ましい。また、ポリエステルからなる3
層以上の積層フィルムの場合、中央層に回収原料などを
混合させておくことにより、生産性、品質向上を図るこ
ともできる。この様な粒子としては、酸化珪素、酸化マ
グネシウム、炭酸カルシウム、酸化チタン、酸化アルミ
ニウム、架橋ポリエステル、架橋ポリスチレン、マイ
カ、タルク、カオリン等が挙げられるが、これらに限定
されることはない。
【0020】次に、カルボキシル末端架橋剤として重合
カルボジイミドを添加してポリエチレン−2,6−ナフ
タレートフィルムを製造する方法について説明するが、
かかる例に限定されるものではない。
【0021】まずポリエチレン−2,6−ナフタレート
の原料チップに、重合カルボジイミド10重量%を含有
するポリエチレン−2,6−ナフタレートのマスターチ
ップを添加・混合した原料を、150℃で2時間予備乾
燥した後、180℃で2時間以上真空乾燥する。次い
で、固有粘度が低下しないように窒素気流下、あるいは
真空下で280℃に加熱された単軸または二軸押出機に
供給し、各種の方法により製膜する。この時、重合カル
ボジイミドを直接押出機に投入してもよいが、本発明の
ように少量のカルボキシル末端架橋剤をポリエチレン−
2、6−ナフタレートに添加する場合には、マスターチ
ップを予め作成しておくことが好ましい。また原料チッ
プの混合はドライブレンドでも良いが、各種の計量供給
式のサブホッパーを使用してもよい。カルボキシル末端
架橋剤が常温で液体の場合には、ベント孔を有する押出
機を用いて、ベント孔からカルボキシル末端架橋剤を添
加してもよい。
【0022】次いで押出機での可塑化を経てTダイによ
り、静電気を印加しながらシート状に押出し、密着・冷
却・固化させて未延伸フィルムを得、続いて、該未延伸
フィルムをフィルムの長手方向(縦方向)または幅方向
(横方向)に110〜190℃の温度で所定の倍率に延
伸し、20〜50℃の冷却ロール群で冷却する。その
後、各種のテンターに導いて、該フィルムの両端をクリ
ップで把持しながら、熱風雰囲気中で120〜190℃
の温度に加熱し、上記延伸方向と直角の方向に所定の倍
率に延伸し、さらに180℃以上、融点未満の温度で熱
処理を施して二軸延伸フィルムを得る。延伸温度、延伸
倍率、熱処理温度条件等は、得ようとするフィルムの特
性をもとに決定する。縦および横方向の延伸による面積
倍率は12〜45倍が好ましく、さらに好ましくは14
〜38倍である。熱固定温度は200℃以上融点未満が
より好ましく、また熱処理時間は1〜30秒の範囲で行
うのが好ましい。熱固定は緊張下で行ってもよく、また
熱寸法安定性をさらに向上させるために、縦または/お
よび横方向に弛緩することも好ましく行なわれる。
【0023】かかる逐次延伸法の他に、同時二軸延伸法
を使用することもできる。また逐次二軸延伸法において
縦方向、横方向の延伸回数は必ずしも1段で行うことに
限られるものではなく、縦および横方向の延伸を数段以
上に分割して行うことも好ましく行うことができる。ま
た、熱固定を行う前に、再縦延伸および/または再横延
伸を行うことは、高いヤング率を有したフィルムを得る
上で好ましく、また、(ガラス転移温度+20)℃程度
の低温から高温側に徐々に温度を上げながら多段に延伸
することも好ましく行われる。
【0024】
【物性の測定方法ならびに効果の評価方法】
(1)固有粘度 25℃で、オルトクロロフェノール中0.1g/ml濃
度で測定した値である。
【0025】(2)カルボキシル末端基量 原料チップまたはフィルムサンプルをオルトクレゾール
/クロロホルム(重量比7/3)に160℃にて溶解
し、アルカリで電位差測定して求めた。単位は当量/ト
ンで表す。
【0026】(3)フィッシュアイ(FE) 直交ニコル偏光下に10cm2 のフィルムをおき、全体
像の中で周りの色の異なるキラキラした部分のうち、長
軸が10μm以上の大きさのものをカウントした。単位
は個/cm2 で示す。
【0027】(4)オリゴマー量 ポリマー100mgをo−クロルフェノール1mlに溶
解し、液体クロマトグラフィー(モデル8500VAR
IAN社製)で測定した。ポリマーに対する重量%で表
した。
【0028】(5)ヤング率 “テンシロン”型引張試験機(オリエンテック社製)に
幅10mm、チャック間長さ100mmになるようにサ
ンプルをセットし、23℃、65%RHの雰囲気下で引
張速度200mm/分で引張試験を行い求めた。
【0029】(6)引裂伝幡抵抗 東洋精機(株)製軽荷重式引裂試験機を用いて、AST
M−D−1922に従って測定した。サンプルサイズは
51×54mmで13mmの切れ込みを入れ、引き裂い
た時の指示値を読み取った。
【0030】
【実施例】本発明を実施例、比較例に基づいて説明す
る。
【0031】実施例1(表1、2) 固有粘度0.64(dl/g)、カルボキシル末端量3
3当量/トンのポリエチレン−2,6−ナフタレートお
よびバイエル製の重合カルボジイミド“Stabaxo
l”P100(ポリ(1,3,5−トリイソプロピル−
2,4−カルボジイミド、数平均分子量10000))
を10重量%含有するポリエチレン−2,6−ナフタレ
ートのマスターチップ(固有粘度0.65(dl/
g)、カルボキシル末端量25当量/トン)を、上記重
合カルボジイミドの分量が0.5重量%になるように計
量混合し、150℃で2時間予備乾燥した後、180℃
で2時間乾燥した。次いで、乾燥した原料チップを15
0mm単軸押出機に供給して溶融混合計量させた後、繊
維焼結ステンレス金属フィルター(5μmカット)内を
通過させ、Tダイ口金からシート状に押出成形し、25
℃に保たれた冷却ドラムに静電荷を印加させながら密着
冷却固化した。この時、押出機温度は供給部を290
℃、圧縮部・計量部を310℃に設定し、滞留時間は7
分とした。次いで、該キャストフィルムを長手方向にロ
ール式延伸機にて135℃で4.5倍に延伸したのち、
テンターに導入し、140℃で5.3倍に横延伸後、一
旦50℃に冷却した後、200℃で熱固定して、厚さ6
μmの二軸配向ポリエチレン−2,6−ナフタレートフ
ィルムを得た。かくして得られた特性を表1に示す。本
発明のフィルムは、ヤング率が高く、耐引裂性に優れ、
フィッシュアイやオリゴマー量の少ない高品質のフィル
ムであった。また、上記強力化フィルムの製膜は極めて
安定しており、製膜中にフィルム破れ等、トラブルが全
く発生しなかった。
【0032】実施例2、3(表1、2) 重合カルボジイミドの添加量を変更する以外は、実施例
1と同様に製膜し、二軸配向フィルムを得た。添加量が
0.1%で微量であっても重合カルボジイミドの効果は
顕著に現れた。実施例2に示すように、重合カルボジイ
ミドの添加量が5%で多くなると、フィッシュアイが増
加し、フィルム品質が低下する傾向が見られた。
【0033】実施例4(表1、2) キャストフィルムの延伸方法・条件を変更する以外は実
施例1と同様に製膜し、二軸延伸フィルムを得た。延伸
は、フィルムの長手方向に135℃にて4.0倍延伸し
た後、フィルムの幅方向に140℃にて4.6倍に延伸
し、続いて縦方向に1.2倍延伸した後、横方向に1.
3倍延伸することにより行った。かくして得られたフィ
ルムは極めて高強度であるにもかかわらず、耐引裂性に
優れたフィルムであった。
【0034】実施例5(表1、2) 重合カルボジイミドとして日清紡績(株)製“カルボジ
ライト”HMV−10Bを使用すること以外は実施例1
と同様に製膜し、二軸延伸フィルムを得た。重合カルボ
ジイミドとしてカルボジライトを使用すると、実施例1
の“Stabaxol”P100を添加した場合よりも
さらに耐引裂性に優れた高強度のフィルムが得られた。
【0035】比較例1、2(表1、2) 重合カルボジイミドを添加しないこと以外については、
実施例1および4と同様に製膜した。表2に示すように
重合カルボジイミドを添加しないと、固有粘度が低下
し、またフィルムの耐引裂性が不良であった(比較例
1、2)。実施例4同様に、フィルムの幅方向に強力化
した比較例2の場合には、耐引裂性が大幅に悪化するの
みでなく、製膜中に延伸ならびにスリット工程でフィル
ム破れが多発した(比較例2)。
【0036】比較例3(表1、2) 固有粘度を0.85(g/dl)の高分子量のポリエチ
レン−2,6−ナフタレートを使用する以外は実施例1
と同様に製膜し、二軸延伸フィルムを得た。フィルムの
分子量を大きくすると、耐引裂性が向上したが、固有粘
度が同程度の実施例1の場合よりは耐引裂性がかなり不
良であった。重合カルボジイミドの添加は、フィルムの
微細な構造にも影響を与えていることがわかった。
【0037】
【表1】
【表2】
【0038】
【発明の効果】本発明は、ポリエチレン−2,6−ナフ
タレートに少量のカルボキシル末端架橋剤を添加するこ
とにより、フィルムの耐引裂性を改良し、製膜時のフィ
ルム破れを減らして生産性を高めると共に、フィルムの
剛性、加工性、品質の向上を図ったものであり、磁気記
録用、写真用、電気絶縁用など各種フィルム用途に広く
活用が可能である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C08K 5/3442 C08K 5/3442 C08L 67/04 C08L 67/04 B29K 67:00 B29L 7:00

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 フィルムの長手方向と幅方向から選ばれ
    る少なくとも一方向のヤング率が6〜20GPa、引裂
    伝搬抵抗が0.3〜2kg/mmであることを特徴とす
    るポリエチレン−2,6−ナフタレートフィルム。
  2. 【請求項2】 カルボキシル末端量が1〜50等量/ト
    ンであることを特徴とする請求項1に記載のポリエチレ
    ン−2,6−ナフタレートフィルム。
  3. 【請求項3】 カルボキシル末端架橋剤を0.01〜1
    0重量%含有することを特徴とする請求項1または2に
    記載のポリエチレン−2,6−ナフタレートフィルム。
  4. 【請求項4】 カルボキシル末端架橋剤が重合カルボジ
    イミドであることを特徴とする請求項1〜3に記載のポ
    リエチレン−2,6−ナフタレートフィルム。
  5. 【請求項5】 フィルムの固有粘度が0.6〜1.5で
    あることを特徴とする請求項1〜4に記載のポリエチレ
    ン−2,6−ナフタレートフィルム。
  6. 【請求項6】 ポリエチレン−2,6−ナフタレートフ
    ィルムが一軸または二軸に配向されたフィルムであるこ
    とを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のポリエ
    チレン−2,6−ナフタレートフィルム。
  7. 【請求項7】 フィルム中にカルボキシル末端架橋剤
    0.01〜10重量%を添加して溶融押出を行うことを
    特徴とするポリエチレン−2,6−ナフタレートフィル
    ムの製造法。
  8. 【請求項8】 押出温度が270℃以上、滞留時間が5
    分以上であることを特徴とする請求項7に記載のポリエ
    チレン−2,6−ナフタレートフィルムの製造法。
  9. 【請求項9】 カルボキシル末端架橋剤が重合カルボジ
    イミドであることを特徴とする請求項8に記載のポリエ
    チレン−2,6−ナフタレートフィルムの製造法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007099971A (ja) * 2005-10-06 2007-04-19 Teijin Dupont Films Japan Ltd 二軸配向ポリエステルフィルム
JP2008194908A (ja) * 2007-02-12 2008-08-28 Mitsubishi Plastics Ind Ltd 感熱孔版印刷原紙用ポリエステルフィルム

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