JP2007099971A - 二軸配向ポリエステルフィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】ポリエチレンナフタレンジカルボキシレートを主たる成分としてなる、耐加水分解性、耐熱変色性およびフィルム加工性に優れた二軸配向ポリエステルフィルムを提供する。
【解決手段】ポリエチレンナフタレンジカルボキシレートを主たる成分とする二軸配向ポリエステルフィルムであって、該フィルムのフィッシュアイが10個/50cm2以下であり、121℃、2気圧、100%RHの環境下で100時間経過後の破断強度保持率が75%以上であり、かつ下記式(I)
変色指数(%)=(300℃、30分熱処理後のフィルムのYID)/(300℃、1分熱処理後のフィルムのYID)×100 ・・・(I)
で表わされる300℃、30分加熱処理後のフィルムの変色指数が150以下である二軸配向ポリエステルフィルム。
【選択図】なし

Description

本発明は、ポリエチレンナフタレンジカルボキシレートを主たる成分とする二軸配向ポリエステルフィルムに関する。更に詳しくは、耐加水分解性、耐熱変色性、フィルム加工性に優れる二軸配向ポリエステルフィルムに関するものであり、回収されたフィルムを用いた再生フィルムにおいても着色が少ない、電気絶縁用に適した二軸配向ポリエステルフィルムに関するものである。
ポリエステルフィルム、特にポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートの二軸配向フィルムは、優れた機械的性質、耐熱性、耐薬品性を有するため、磁気テープ、写真フィルム、包装用フィルム、電子部品用フィルム、電気絶縁フィルム、金属ラミネート用フィルムおよび保護用フィルム等の素材として広く用いられている。電気絶縁材料、コンデンサー材料、フレキシブルプリント配線基板材料としては、ポリエチレンテレフタレートフィルムが主に用いられてきたが、近年の性能向上に伴う電気機器の発熱量の増加や、使用温度域が広がってきたことにより、ポリエチレンテレフタレートフィルムの耐熱性では不充分な用途が出始めており、そのような用途ではポリエチレンナフタレートフィルムが使用されつつある。
更に近年、電気電子機器の小型化、軽量化、高性能化に加え、高温湿度環境下で使用される用途が増えつつある。例えば、自動車用駆動モータのスロットライナーやウエッジなどの用途では高温度・高湿度下で使用されるため、従来の電気絶縁特性だけでなく、高い耐加水分解性能を持つポリエステルフィルムが要求されるようになってきた。ポリエステルの耐加水分解性を向上させる方法としては、ポリエステルの末端基と反応性を有する種々の化合物、例えばエポキシ系、オキサゾリン系、カルボジイミド系の化合物などが検討されている。これらの反応性化合物の1つとしてエポキシ系化合物に着目すると、溶融加工中にポリエステルの末端基との反応が急激に進むことからゲル化物が発生しやすく、フィルムのように異物除去の要求が厳しく、また溶融滞留時間が長い加工法においては使用しにくい材料である。また、カルボジイミド化合物をポリエチレンナフタレートに練り込むことが、特開平11−5854号公報、特開2003−251695号公報および特開2003−335872号公報で提案されている。しかしながら、これらの方法によれば耐加水分解性は向上するものの、ポリエチレンナフタレートの溶融加工温度が高いため、溶融加工中にカルボジイミド系化合物が分解しやすく、添加量に応じた耐加水分解性が得られなかったり、フィルムに着色が生じたりすることが課題であった。特に、近年、樹脂材料のリサイクル化が促進される状況にあり、生産途中で発生する屑フィルムや使用済みフィルムを回収し、再利用する必要があるが、再生フィルムの着色が問題となっている。
特開平11−5854号公報 特開2003−251695号公報 特開2003−335872号公報
本発明の目的は、かかる従来技術の課題を解消し、ポリエチレンナフタレンジカルボキシレートを主たる成分としてなる、耐加水分解性、耐熱変色性、フィルム加工性に優れる二軸配向ポリエステルフィルムを提供することにある。
本発明の他の目的は、回収されたフィルムを再利用した再生フィルムにおいても着色が少なく、回収性に優れた二軸配向ポリエステルフィルムを提供することにある。
更に本発明の他の目的は、それらの二軸配向ポリエステルフィルムからなる電気絶縁用フィルム、コンデンサー用ベースフィルムおよびフレキシブルプリント配線基板用ベースフィルムを提供することにある。
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意検討した結果、ポリエチレンナフタレンジカルボキシレートを主たる成分としてなるポリエステルに、ポリエチレンナフタレンジカルボキシレートの末端カルボキシル基と反応性を有する特定の化合物、および酸化防止剤を特定量添加すると、溶融加工時にゲル状異物が殆ど発生することなく、フィルム加工性に優れ、しかも耐加水分解性、耐熱変色性にも優れることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明によれば、本発明の目的は、ポリエチレンナフタレンジカルボキシレートを主たる成分とする二軸配向ポリエステルフィルムであって、該フィルムのフィッシュアイが10個/mm2以下であり、121℃、2気圧、100%RHの環境下で100時間経過後の破断強度保持率が75%以上であり、かつ下記式(I)
変色指数(%)=(300℃、30分熱処理後のフィルムのYID)/(300℃、1分熱処理後のフィルムのYID)×100 ・・・(I)
で表わされる300℃、30分加熱処理後のフィルムの変色指数が150以下である二軸配向ポリエステルフィルムによって達成される。
また、本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、その好ましい態様として、カルボジイミド化合物0.01〜5重量部および酸化防止剤0.01〜5重量部を含有すること、カルボジイミド化合物がポリカルボジイミド化合物であること、酸化防止剤がフェノール系酸化防止剤であること、の少なくともいずれか一つを具備するものも包含する。
また本発明は、本発明の二軸延伸ポリエステルフィルムからなる電気絶縁用フィルム、コンデンサー用ベースフィルム、フレキシブルプリント配線基板用ベースフィルムの少なくともいずれか一つを包含する。
本発明によれば、本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、溶融加工時にゲル状異物が殆ど発生することなく、フィルム加工性に優れ、しかも耐加水分解性、耐熱変色性にも優れ、また回収されたフィルムを再利用した再生フィルムにおいても着色が少ないことから回収性に優れており、例えばこれら特性が求められる電気絶縁用フィルム、コンデンサー用ベースフィルム、フレキシブルプリント配線基板用ベースフィルムとして有用である。
以下、本発明を詳しく説明する。
<ポリエチレンナフタレンジカルボキシレート>
本発明のフィルムを構成するポリエチレンナフタレンジカルボキシレート(以下PENと略記することがある)は、主たるジカルボン酸成分としてナフタレンジカルボン酸が用いられ、主たるグリコール成分としてエチレングリコールが用いられる。ナフタレンジカルボン酸としては、たとえば2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸を挙げることができ、これらの中で2,6−ナフタレンジカルボン酸が好ましい。ここで「主たる」とは、本発明のフィルムの成分であるポリマーの構成成分において全繰返し単位の80mol%以上、好ましくは90mol%以上、特に好ましくは95mol%以上を意味する。主たる成分がかかる範囲にあることにより、ポリエチレンナフタレンジカルボキシレートフィルム本来の特性を極端に失うことがなく、機械的特性、長期耐久性および熱寸法安定性を確保できる。
ポリエチレンナフタレンジカルボキシレートがコポリマーである場合、コポリマーを構成する共重合成分としては、分子内に2つのエステル形成性官能基を有する化合物を用いることができ、かかる化合物としては例えば、蓚酸、アジピン酸、フタル酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、イソフタル酸、テレフタル酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、フェニルインダンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、テトラリンジカルボン酸、デカリンジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸等の如きジカルボン酸、p−オキシ安息香酸、p−オキシエトキシ安息香酸の如きオキシカルボン酸、或いはプロピレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、シクロヘキサンメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ビスフェノールスルホンのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ジエチレングリコール、ポリエチレンオキシドグリコールの如き2価アルコールを好ましく用いることができる。これらの化合物は1種のみ用いてもよく、2種以上を用いることができる。またこれらの中で好ましくは酸成分としては、イソフタル酸、テレフタル酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、p−オキシ安息香酸であり、グリコール成分としてはトリメチレングリコール、ヘキサメチレングリコールネオペンチルグリコール、ビスフェノールスルホンのエチレンオキサイド付加物である。
ポリエチレンナフタレンジカルボキシレートに混合できるポリエステル或いはポリエステル以外の有機高分子としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンイソフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリエチレン4,4’−テトラメチレンジフェニルジカルボキシレート、ポリエチレン−2,7−ナフタレンジカルボキシレート、ポリトリメチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート、ポリネオペンチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート、ポリ(ビス(4−エチレンオキシフェニル)スルホン)−2,6−ナフタレンジカルボキシレート等のポリエステルを挙げることができ、これらの中でポリエチレンイソフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリトリメチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート、ポリ(ビス(4−エチレンオキシフェニル)スルホン)−2,6−ナフタレンジカルボキシレートが好ましい。これらのポリエステルまたはポリエステル以外の有機高分子は、1種であっても2種以上を併用してもよい。
ポリエチレンナフタレンジカルボキシレートがコポリマーまたは混合体である場合、共重合成分またはブレンド成分は20mol%以下、好ましくは10mol%以下、特に好ましくは5mol%以下の範囲内で用いることが好ましい。
また、本発明のポリエチレンナフタレンジカルボキシレートは、例えば安息香酸、メトキシポリアルキレングリコールなどの一官能性化合物によって末端の水酸基および/またはカルボキシル基の一部または全部を封鎖したものであってよく、極く少量の例えばグリセリン、ペンタエリスリトール等の如き三官能以上のエステル形成性化合物で実質的に線状のポリマーが得られる範囲内で共重合したものであってもよい。
本発明のポリエチレンナフタレンジカルボキシレートは、従来公知の方法で、例えばジカルボン酸とグリコールの反応で直接低重合度ポリエステルを得る方法や、ジカルボン酸の低級アルキルエステルとグリコールとをエステル交換触媒を用いて反応させた後、重合触媒の存在下で重合反応を行う方法で得ることができる。
エステル交換反応に用いるエステル交換触媒としては、例えばナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、亜鉛、ストロンチウム、チタン、ジルコニウム、マンガン、コバルトを含む化合物の一種または二種以上を挙げることができる。また、重合触媒としては、三酸化アンチモン、五酸化アンチモンのようなアンチモン化合物、二酸化ゲルマニウムで代表されるようなゲルマニウム化合物、テトラエチルチタネート、テトラプロピルチタネート、テトラフェニルチタネートまたはこれらの部分加水分解物、蓚酸チタニルアンモニウム、蓚酸チタニルカリウム、チタントリスアセチルアセトネートのようなチタン化合物を挙げることができる。
エステル交換反応を経由して重合を行う場合は、重合反応前にエステル交換触媒を失活させる目的でトリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリ−n−ブチルホスフェート、正リン酸等のリン化合物を添加することができ、リン元素としてのポリエチレンナフタレンジカルボキシレート中の含有量は20ppm以上100ppm以下で用いることがポリエステルの熱安定性の点から好ましい。
なお、ポリエチレンナフタレンジカルボキシレートは溶融重合後これをチップ化し、加熱減圧下または窒素などの不活性気流中において固相重合することもできる。
本発明に用いるポリエチレンナフタレンジカルボキシレートの末端カルボキシル基濃度は50eq/ton以下であることが好ましく、より好ましい範囲は5eq/ton以上45eq/ton以下、特に好ましい範囲は10eq/ton以上25eq/ton以下である。末端カルボキシル基濃度が上限を超える場合、カルボジイミド化合物および酸化防止剤を用いても充分な耐加水分解性が得られないことがある。
本発明に用いるポリエチレンナフタレンジカルボキシレートの固有粘度は0.50dl/g以上0.90dl/g以下であることが好ましい。さらに好ましくは0.52dl/g以上0.85dl/g以下、特に好ましくは0.53dl/g以上0.80dl/g以下である。固有粘度が0.50dl/g未満であると溶融押出し後のフィルムが脆くなり、フィルムの製膜時の破断が発生し易くなる。また、フィルムの固有粘度が0.90dl/gを超えると、ポリマーの固有粘度をかなり高くする必要があり、通常の合成手法では重合に長時間を要し生産性が悪くなる。また二軸配向フィルムに製膜した後のポリエチレンナフタレンジカルボキシレートの固有粘度は0.45dl/g以上0.85dl/g以下であることが好ましく、0.47dl/g以上0.80g/dl以下であることがさらに好ましく、0.50dl/g以上0.75g/dl以下であることが特に好ましい。なお、固有粘度はo−クロロフェノールを溶媒として用いて、35℃で測定した値(単位:dl/g)である。
<フィッシュアイ>
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、偏光下で顕微鏡により観察されるフィッシュアイの個数が10個/50cm2以下である必要がある。かかるフィッシュアイは、さらに好ましくは5個/50cm2以下である。フィッシュアイの下限は特に限定されず、少なければ少ないほど好ましいが、通常は0個/mm2以上である。ここでフィッシュアイとは、偏光下でフィルムを顕微鏡観察し、偏光のかかる箇所に存在する異物を定義したものであり、溶融加工工程において、ポリエチレンナフタレンジカルボキシレートの末端カルボキシル基と反応性を有する化合物の反応速度が高い場合にゲル状異物が発生しやすく、これらゲル状異物が核となって発生するものである。フィッシュアイの発生量が上限を超える場合、溶融混練時にゲル状異物が多数発生していることから溶融粘度が著しく高くなり、フィルター詰まりが生じることがある。またゲル状異物が原因となってフィルム製膜時に製膜性が悪化することがあり、得られた二軸配向ポリエステルフィルムを例えば電気絶縁用途に用いた場合、電気絶縁性能の低下が生じる。
フィッシュアイを上述の範囲にするためには、ポリエチレンナフタレンジカルボキシレートの末端カルボキシル基と反応性を有する化合物として、エポキシ化合物よりも反応性の低い化合物を用いることによって達成されるものであり、例えばカルボジイミド化合物を用いることが好ましい。
<耐加水分解性>
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、121℃、2気圧、100%RHの環境下で100時間経過後の破断強度保持率が75%以上であり、より好ましくは80%以上である。破断強度保持率の上限はとくに限定されず、高ければ高いほど好ましいが、通常は100%未満である。ここで破断強度保持率とは、121℃・2気圧・100%RHの環境下で100時間経過させた試験片の縦方向の破断強度を、放置前の破断強度の測定値で割った値(%)で表わされ、高ければ高いほど、耐加水分解性が良好であることを示すものである。破断強度保持率が下限に満たない場合、高温高湿度環境下で使用される用途に用いた場合に耐加水分解性が充分でない。また例えば電気絶縁用途やコンデンサー用途に用いた場合に電気絶縁特性が低下することがある。FPC用途として用いた場合には、PENフィルム基材の加水分解劣化による断線が発生し、充分なFPCとしての性能が発揮できない場合がある。
破断強度保持率を上述の範囲にするためには、フィルム中にポリエチレンナフタレンジカルボキシレートの末端カルボキシル基と反応性を有する化合物、および酸化防止剤を含有することによって達成されるものであり、反応性化合物として、特にカルボジイミド化合物を用いることが好ましい。
<フィルム色相>
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、下記式(I)
変色指数(%)=(300℃、30分熱処理後のフィルムのYID)/(300℃、1分熱処理後のフィルムのYID)×100 ・・・(I)
で表わされる300℃、30分加熱処理後のフィルムの変色指数が150以下であることが好ましい。
上記の変色指数は、高温での溶融加工時間が長い場合の変色の度合いを表しており、変色指数が小さければ小さいほど、溶融加工後のフィルムの着色が小さいこと、例えば回収されたフィルムを再利用した再生フィルムにおいても着色が少ないことを示している。変色指数が上限を超える場合、フィルムは黄色味が強くなってしまい、ポリエステルフィルムが本来有する色相と異なる色相との認識を与えてしまう。さらに、例えばFPC用途の加工工程においてフィルムの透明性を生かした加工位置の決定ができない。
本発明においては、ポリエステルとしてポリエチレンナフタレンジカルボキシレートを使用することから加工温度が高く、末端カルボキシル基と反応性を有する化合物、特にカルボジイミドを用いた場合にカルボジイミドが分解して着色しやすいことが変色の大きな要因であり、変色指数を上述の範囲にするためには、フィルム中にポリエチレンナフタレンジカルボキシレートの末端カルボキシル基と反応性を有する化合物とともに、酸化防止剤を必須成分として含有することによって達成されるものである。
<カルボジイミド化合物>
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、ポリエチレンナフタレンジカルボキシレートの末端カルボキシル基と反応性を有する化合物として、カルボジイミド化合物を含有することが好ましい。カルボジイミド化合物は、分子中に1個以上のカルボジイミド結合を有する化合物であり、ポリカルボジイミド化合物を含む。カルボジイミド化合物をポリエチレンナフタレンジカルボキシレートに添加することで、加水分解により発生するポリエステルの末端カルボキシル基とカルボジイミドとが反応して末端カルボキシル基を封鎖するため、生成したカルボキシル基が加水分解触媒として作用することなく、ポリエチレンナフタレンジカルボキシレートの耐加水分解性が向上する。
本発明のカルボジイミド化合物は、既存の合成方法により得られたものを使用することができる。例えば、触媒として有機リン系化合物又は有機金属化合物を用い、各種イソシアネート化合物を約70度以上の温度で、無溶媒又は不活性溶媒中で、脱炭酸縮合反応に付することより合成することができる。1官能性カルボジイミド化合物の具体例として、ジメチルカルボジイミド、ジイソプロピルカルボジイミド、ジイソブチルカルボジイミド、ジ−t−ブチルカルボジイミド、ジオクチルカルボジイミド、t−ブチルイソプロピルカルボジイミド、ジシクロヘキシルカルボジイミド、ジフェニルカルボジイミド、ジ−β−ナフチルカルボジイミド等が挙げられる。
本発明のカルボジイミドは、溶融加工温度における耐熱性の観点から、ポリカルボジイミド化合物が好ましい。ポリカルボジイミド化合物は、カルボジイミド結合を分子内に少なくとも2個有する化合物である。かかるポリカルボジイミド化合物として、芳香族ジイソシアネート化合物、脂肪族ジイソシアネート化合物または脂環族ジイソシアネート化合物を反応して得られるポリカルボジイミドが好ましく、例えば1,5−ナフタレンカルボジイミド、4,4’−ジフェニルメタンカルボジイミド、4,4’−ジフェニルジメチルメタンカルボジイミド、1,3−フェニレンカルボジイミド、1,4−フェニレンカルボジイミド、2,4−トリレンカルボジイミド、2,6−トリレンカルボジイミド、2,4−トリレンカルボジイミドと2,6−トリレンカルボジイミドの混合物、ヘキサメチレンカルボジイミド、シクロヘキサン−1,4−カルボジイミド、キシリレンカルボジイミド、イソホロンカルボジイミド、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−カルボジイミド、メチルシクロヘキサンカルボジイミド、テトラメチルキシリレンカルボジイミド、2,6−ジイソプロピルフェニルカルボジイミド、1,3,5−トリイソプロピルベンゼン−2,4−カルボジイミドなどを例示することができる。
また、上記ポリカルボジイミド化合物の場合は、モノイソシアネート等の、ポリカルボジイミド化合物の末端イソシアネートと反応する化合物を用いて、適当な重合度に制御することもできる。このようなポリカルボジイミド化合物の末端を封止してその重合度を制御するためのモノイソシアネートとしては、例えば、フェニルイソシアネート、トリルイソシアネート、ジメチルフェニルイソシアネート、シクロヘキシルイソシアネート、ブチルイソシアネート、ナフチルイソシアネート等を例示することができる。また、ポリカルボジイミド化合物の末端を封止してその重合度を制御する末端封止剤としては、上記モノイソシアネートに限定されることはなく、イソシアネートと反応し得る活性水素化合物、例えば、(i)脂肪族、芳香族又は脂環族化合物であって−OH基を有する、メタノール、エタノール、フェノール、シクロヘキサノール、N−メチルエタノールアミン、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、ポリプロピレングリコールモノメチルエーテル;(ii)=NH基を有するジエチルアミン、ジシクロヘキシルアミン;(iii)−NH2基を有するブチルアミン、シクロヘキシルアミン;(iv)−COOH基を有するコハク酸、安息香酸、シクロヘキサン酸;(v)−SH基を持つエチルメルカプタン、アリルメルカプタン、チオフェノール;(vi)エポキシ基を有する化合物等を例示することができる。
これらのポリカボジイミド化合物の中でも、4,4’−ジシクロヘキシルメタンカルボジイミド、テトラメチルキシリレンカルボジイミド、N,N−ジメチルフェニルカルボジイミド(重合度=2〜20)、N,N’−ジ−2,6−ジイソプロピルフェニルカルボジイミド等が挙げられ、平均重合度としては2〜30であることが好ましい。モノカルボジイミドの場合は、本発明において求められる耐加水分解特性が十分でないことがある。一方、平均重合度が上限を超える場合、カルボジイミドの合成において反応物の固化やゲル化が生じたり、またポリエチレンナフタタレンジカルボキシレート組成物中の分散性が低下して十分な耐加水分解性が得られないことがある。
本発明におけるカルボジイミド化合物の配合量はポリエチレンナフタレンジカルボキシレート100重量部に対し0.01〜5重量部が好ましく、更には0.1〜3重量部が好ましい。配合量が下限に満たない場合、耐加水分解性の向上が十分でないことがある。一方、配合量が上限を超えると耐加水分解性能及び耐熱変色性の悪化につながり、また破断強度・伸度の低下が起こる可能性がある。更に製膜が不安定となり、製膜中のフィルム破れ等の問題が発生する恐れがある。
カルボジイミド化合物を添加する手段は特に限定されない。例えば、ポリエチレンナフタレンジカルボキシレートの重縮合工程で配合する方法、二軸配向フィルムの製膜工程で配合する方法などがあり、その配合形態としては、カルボジイミド化合物をポリエチレンナフタレンジカルボキシレートに直接配合して溶融混練を行う方法、高濃度のカルボジイミド化合物を含むマスターバッチを予め作製しておき、そのマスターバッチを配合する方法などがある。
<酸化防止剤>
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、酸化防止剤を含有することが好ましい。酸化防止剤は、上記のカルボジイミド化合物と併用して使用されることで効果をなす。そのメカニズムは明確にされてはいないが、酸化防止剤がカルボジイミド化合物の熱劣化を抑制することで、耐加水分解性や耐熱変色性が改善されるものと考えられる。本発明の酸化防止剤としては、カルボジイミド化合物の分解抑制効果が高いことから、好ましくはフェノール系の酸化防止剤が使用される。フェノール系の酸化防止剤の具体例として、2,6‐ジ‐tert‐ブチル‐4‐メチル‐フェノール、4,4‐メチレンビス(2,6‐ジ‐tert‐ブチルフェノール)、テトラキス[メチレン3‐(3′,5′‐ジ‐tert‐ブチル‐4′‐ヒドロキシフェニル)プロピオネート]‐メタン、ステアリル‐3‐(3′,5′‐ジ‐tert‐ブチル‐4′‐ヒドロキシ‐フェニル)プロピオネート等が挙げられるが、本発明においてこれらに限定されるものではない。
また、フェノール系以外の酸化防止剤で使用できる酸化防止剤としては、イオウ系およびリン系の酸化防止剤があり、具体的にはジラウリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジミリスチル−3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリル−3,3’−チオジプロピオネート、ペンタエリスリチル-テトラキス(3-ラウリルチオプロピオネート)等のイオウ含有化合物、サイクリックネオペンタンテトライルビス(オクタデシルホスファイト)、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト等のリン含有化合物、等が例示できる。これらの酸化防止剤は1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよいが、フェノール系酸化防止剤を少なくとも1種含むことが好ましい。イオウ系およびリン系酸化防止剤は主として二次酸化防止剤として使用され、一次酸化防止剤として働くフェノール系酸化防止剤と併用することにより相乗効果が得られ、さらに耐加水分解性や変色を抑制する効果が高まる。これらの中でも、フェノール系酸化防止剤であるテトラキス[メチレン3‐(3′,5′‐ジ‐tert‐ブチル‐4′‐ヒドロキシフェニル)プロピオネート]‐メタンが好ましく、例えばイルガノックス(Irganox)1010(登録商標、チバガイギー(Ciba-Geigy)社製)が使用される。
本発明における酸化防止剤の配合量はポリエチレンナフタレンジカルボキシレート100重量部に対し0.01〜5重量部が好ましく、更には0.1〜3重量部が好ましく、特には0.1〜1重量部が好ましい。配合量が下限に満たない場合、耐加水分解向上や変色抑制効果が充分でないことがある。一方、配合量が上限を超えると、耐加水分解や変色抑制効果はそれ以上向上しないだけでなく、フィルムの製膜工程で酸化防止剤の飛散が生じ、フィルム形成装置を汚すおそれがあり、また経済的にも不利となることがある。
かかる酸化防止剤のポリエステル組成物への添加方法は、カルボジイミド化合物の添加手段と同様に、特に限定されない。例えば、ポリエチレンナフタレンジカルボキシレートの重縮合工程で配合する方法、二軸配向フィルムの製膜工程で配合する方法などがあり、その配合形態としては、上記酸化防止剤をポリエチレンナフタレンジカルボキシレートに直接配合して溶融混練を行う方法、高濃度の酸化防止剤を含むマスターバッチを予め作製しておき、そのマスターバッチを配合する方法などがある。また、カルボジイミド化合物と酸化防止剤の配合の順序については、同時に添加してもよく、酸化防止剤を添加した後でカルボジイミド化合物を添加してもよい。
<他添加剤>
本発明の二軸配向ポリステルフィルムは、フィルムの取り扱い性を向上させるため、発明の効果を損なわない範囲で不活性粒子などが添加されていても良い。不活性粒子として、例えば、周期律表第IIA、第IIB、第IVA、第IVBの元素を含有する無機粒子(例えば、カオリン、アルミナ、酸化チタン、炭酸カルシウム、二酸化ケイ素など)、架橋シリコーン樹脂、架橋ポリスチレン、架橋アクリル樹脂粒子等のごとき耐熱性の高いポリマーよりなる微粒子などを含有させることができる。不活性粒子を含有させる場合、不活性粒子の平均粒径は、0.001〜5μmの範囲が好ましく、フィルム全重量に対して0.01〜10重量%の範囲で含有されることが好ましい。
また本発明の二軸配向フィルムは、必要に応じて少量の紫外線吸収剤、酸化防止剤、帯電防止剤、光安定剤、熱安定剤を含んでいてもよい。
<密度>
本発明における二軸配向ポリエステルフィルムは、電気絶縁用に用いる場合、フィルム密度が1.3582g/cm以上であることが好ましい。かかる密度が1.3582g/cm未満であると、層間の結合力が小さく、成型加工性に問題が発生する恐れがある。
<製膜方法>
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、二軸延伸されるのであれば、公知の製膜方法を用いて製造することができ、例えば十分に乾燥させたポリエチレンナフタレンジカルボキシレートを融点〜(融点+70)℃の温度で溶融押出し、キャスティンクドラム上で急冷して未延伸フィルムとし、次いで該未延伸フィルムを逐次または同時二軸延伸し、熱固定する方法で製造することができる。逐次二軸延伸により製膜する場合、未延伸フィルムを縦方向に130〜170℃で2.5〜5.0倍延伸し、次いでステンターにて横方向に130〜150℃で2.5〜5.5倍延伸する。熱固定は、220〜260℃の温度で緊張下又は制限収縮下で熱固定するのが好ましく、熱固定時間は1〜1000秒が好ましい。また同時二軸延伸の場合、上記の延伸温度、延伸倍率、熱固定温度等を適用することができる。また、熱固定後に弛緩処理を行ってもよい。
このようにして得られた二軸配向ポリエステルフィルムは、フィルム厚みが0.5〜400μmの範囲にあることが好ましく、さらに好ましくは25〜380μm、特に好ましい範囲は150〜350μmである。本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、通常、単層で用いられるが、発明の効果を損なわない範囲において、積層体であってもよい。
本発明によれば、本発明の上記二軸配向ポリエステルフィルムは電気絶縁用フィルム、コンデンサー用ベースフィルム、フレキシブルプリント配線基板用ベースフィルムなどに好適に使用され、屋外や高湿の条件下においても加水分解が進みにくく、振動による割れや破損が生じにくいため、長期にわたって使用が可能になる。
以下、実施例により本発明を詳述するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、各特性値は以下の方法で測定した。また、実施例中の部および%は、特に断らない限り、それぞれ重量部および重量%を意味する。
(1)フィッシュアイ
偏光下でフィルムを顕微鏡観察し、偏光のかかる箇所に異物の粒子が存在するものをフィッシュアイとして次のような判定をする。
◎:フィッシュアイが5個/50cm2 未満
○:フィッシュアイが6〜10個/50cm2
△:フィッシュアイが10〜20個/50cm2以上
なお、○以上が実用に供される。
(2)耐加水分解性
フィルムの縦方向に100mm長、横方向に10mm幅に切り出した短冊状の試料片を、121℃・2atm・濡れ飽和モード・100%RHに設定した環境試験機内に一定時間(100時間)放置する。その後試料片を取り出し、その縦方向の破断強度を5回測定し、平均値を求めた。その平均値を放置前の破断強度の測定値で割った値を破断強度保持率[%]とし、下記基準にて耐加水分解性を評価した。なお、耐加水分解性は破断強度保持率の高いものが良好と判断される。
破断強度保持率(%)=(処理時間100時間後の破断強度)/(処理前の破断強度)×100
◎: 破断強度保持率 75%以上
○: 破断強度保持率 60%以上75%未満
△: 破断強度保持率 40%以上60%未満
×: 破断強度保持率 40%未満
(3)耐熱変色性
80mm×80mm四方に空間を設けた300μm厚のスペーサーを、加熱プレス機(井元製作所製、型式IMC−16CE)の加熱盤上に載せ、加熱盤を300℃に設定した。フレーク状に細かく切り裂いた二軸配向フィルムを、スペーサーの空間部に入れ、0.5MPaの圧力にて2分間加圧し、その後、圧力を2.0MPaに上げて1分間加圧した。サンプルを取り出し、水中で急冷させ、300μm厚のシートを得た。同じ二軸配向フィルムを使って、2.0MPaでの加圧時間を30分に変更する以外は同様の作業を実施した。色差計(日本電色工業社製、Σ―90)を使用して、二枚のシートのイエローインデックス(YID)を下記式(II)により求めた。ここで、X、Y、Zは国際CIE規格に定められる光の3刺激値である。
YID=100/Y*(1.28*X−1.06*Z) ・・・(II)
2.0MPaでの加圧時間30分におけるYIDを、2.0MPaでの加圧時間1分におけるYID値で割り、変色指数[%]とし、下記基準にて耐変色性を評価した。なお、回収性能は、変色指数の低いものが変色しにくく、良好と判断される。
変色指数(%)=(300℃、30分熱処理後のフィルムのYID)/(300℃、1分熱処理後のフィルムのYID)×100 ・・・(I)
○: 変色指数 150以下
△: 変色指数 150より大きく、180未満
×: 変色指数 180以上
(4)モーターの信頼性評価
フィルムサンプルをスロットライナーとして実装したハーメチックモーターを20個作成し、121℃、2atm、濡れ飽和モード・100%RHに設定した環境試験機内に静置し、100時間経過後、環境試験機から取り出して、23℃、50%RHの環境下で48時間放置した。その後、モーターの作動性について、下記の基準で評価した。
○:20個とも正常に運転し、信頼性は良好。
△:20個中1〜5個のモーターが作動せず、信頼性として不十分。
×:20個中5個を越えるモーターが作動せず、信頼性なし。
[実施例1]
2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチル100部、エチレングリコール60部をエステル交換触媒として酢酸マンガン四水塩0.03部を使用し、滑剤として平均粒径0.5μmの炭酸カルシウム粒子をポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート樹脂組成物の重量を基準として0.25重量%、平均粒径0.2μmの球状シリカ粒子を0.06重量%、および平均粒径0.1μmの球状シリカ粒子を0.1重量%含有するように添加して、常法に従ってエステル交換反応をさせた後、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート100重量部に対してトリエチルホスホノアセテート0.042部、カルボジイミド化合物として日清紡績(株)製の“カルボジライト”HMV−8CA(分子量6000)を1.0部、酸化防止剤としてテトラキス[メチレン3‐(3′,5′‐ジ‐tert‐ブチル‐4′‐ヒドロキシフェニル)プロピオネート]‐メタン(イルガノックス(Irganox)1010(登録商標、チバガイギー(Ciba-Geigy)社製))を0.5部添加し、実質的にエステル交換反応を終了させた。
ついで、三酸化アンチモン0.024部を添加し、引き続き高温、高真空化で常法にて重合反応を行い、固有粘度0.60dl/gのポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート(PEN Tg=121℃)を得た。このPENポリマーを175℃で5時間乾燥させた後、押出機に供給し、溶融温度300℃で溶融し、ダイスリットより押出し後、表面温度55℃に設定したキャスティングドラム上で冷却固化させて未延伸フィルムを作成した。
この未延伸フィルムを140℃で連続製膜方向に3.0倍延伸する。その後、140℃で幅方向に2.8倍に逐次に二軸延伸し、さらに245℃で10秒間熱固定処理し、厚み250μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得てロールに巻き取った。
得られた二軸配向ポリエステルフィルムの物性および評価結果を表1に示す。本フィルムは耐加水分解性、耐熱変色性ともに優れており、また本フィルムの製膜状況も極めて安定しており、製膜中にフィルムの破れ等のトラブルは発生しなかった。
[実施例2、3]
カルボジイミド化合物と酸化防止剤の添加量を変えた以外は、実施例1と同様に製膜を行い、二軸配向ポリエステルフィルムを得た。表1に示す通り、耐加水分解性、耐熱変色性ともに優れており、製膜状況も安定であった。
[実施例4]
酸化防止剤の添加量を変えた以外は実施例1と同様に製膜を行い、二軸配向ポリエステルフィルムを得た。表1に示す通り、耐加水分解性、耐熱変色性は優れるもののフィルム製膜中に酸化防止剤の飛散が発生し、フィルム製膜装置が非常に汚れてしまった。
[比較例1]
カルボジイミド化合物の添加量を変えた以外は実施例1と同様に製膜を行い、二軸配向ポリエステルフィルムを得た。表1に示す通り、耐加水分解性はある程度向上するものの、多少の耐熱変色があった。また製膜中にフィルムの破れが多発し、製膜状況が不安定であった。
[比較例2]
酸化防止剤を用いなかった以外は実施例1と同様に製膜を行い、二軸配向ポリエステルフィルムを得た。表1に示す通り、耐加水分解性はある程度向上するものの、耐熱変色が大きかった。
[比較例3]
カルボジイミド化合物を用いなかった以外は実施例1と同様に製膜を行い、二軸配向ポリエステルフィルムを得た。表1に示す通り、十分な耐加水分解性が得られなかった。
[比較例4]
カルボジイミド化合物と酸化防止剤の用いなかった以外は実施例1と同様に製膜を行い、二軸配向ポリエステルフィルムを得た。表1に示す通り、十分な耐加水分解性が得られなかった。製膜状況は安定しており、製膜中にフィルムの破れ等のトラブルは全く発生しなかった。
[比較例5]
カルボジイミド化合物にかえてエポキシ系化合物(住友化学(株)製、ボンドファースト2C)を用いた以外は実施例1と同様に製膜を行い、二軸配向ポリエステルフィルムを得た。表1に示す通り、耐加水分解性は良好であるものの、押出工程においてゲル状異物が多数発生し、フィルターづまりが生じるなど製膜性の点で満足のいくものではなかった。またフィッシュアイも多く見られた。
[比較例6]
25℃のo−クロロフェノール中で測定した固有粘度0.61dl/gのポリエチレンテレフタレート(PET)に平均粒径0.3μmの球状シリカ0.1%、カルボジイミド化合物として日清紡績(株)製の“カルボジライト”HMV−8CAを1.0部、酸化防止剤としてテトラキス[メチレン3‐(3′,5′‐ジ‐tert‐ブチル‐4′‐ヒドロキシフェニル)プロピオネート]‐メタン(イルガノックス(Irganox)1010(登録商標、チバガイギー(Ciba-Geigy)社製))を0.5部添加した。このPETポリマーを170℃で3時間乾燥させた後、押出し機に供給し、溶融温度280℃で溶融し、ダイスリットより押出し後、表面温度20℃に設定したキャスティングドラム上で冷却固化させて未延伸フィルムを作成した。この未延伸フィルムを110℃にて縦方向(長手方向)に3.0倍延伸し、一軸延伸フィルムを得た。その後、120℃で横方向(幅方向)に2.8倍に逐次二軸延伸し、さらに220℃にて熱固定処理し、250μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。このフィルムの特性を表1に示す。このフィルムは耐加水分解性、耐熱変色性ともに満足のいくものではなかった。
Figure 2007099971
本発明における二軸配向ポリエステルフィルムは、耐加水分解性、耐熱変色性に優れ、またフィルム加工性に優れることから、例えば電気絶縁用フィルム、コンデンサー用ベースフィルム、フレキシブルプリント配線基板用ベースフィルムとして好適に用いられる。

Claims (5)

  1. ポリエチレンナフタレンジカルボキシレートを主たる成分とする二軸配向ポリエステルフィルムであって、該フィルムのフィッシュアイが10個/50cm2以下であり、121℃、2気圧、100%RHの環境下で100時間経過後の破断強度保持率が75%以上であり、かつ下記式(I)
    変色指数(%)=(300℃、30分熱処理後のフィルムのYID)/(300℃、1分熱処理後のフィルムのYID)×100 ・・・(I)
    で表わされる300℃、30分加熱処理後のフィルムの変色指数が150以下であることを特徴とする二軸配向ポリエステルフィルム。
  2. カルボジイミド化合物0.01〜5重量部および酸化防止剤0.01〜5重量部を含有する請求項1に記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
  3. カルボジイミド化合物がポリカルボジイミド化合物である請求項2に記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
  4. 酸化防止剤がフェノール系酸化防止剤である請求項2に記載の二軸配向フィルム。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の二軸配向ポリエステルフィルムからなる電気絶縁用フィルム。
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