JP2006169512A - 二軸配向フィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】 熱寸法安定性、耐熱性、耐湿熱性を有し、かつ加工性に優れた二軸配向フィルムを提供すること。
【解決手段】 ポリエステル(a)、ポリアリーレンスルフィド(b)およびポリイミド(c)を含み、前記ポリイミド(c)の含有量がフィルムの全重量に対し5〜50重量%である二軸配向フィルムとする。
【選択図】 なし

Description

本発明は二軸配向フィルムの改良に関し、詳しくは、優れた熱寸法安定性、耐熱性、耐湿熱性を有し、かつ加工性に優れた二軸配向フィルムに関する。特に、本フィルムは電気絶縁用、コンデンサ用、包装用、インクリボン用、回路基板用などの各種工業材料用フィルムとして好適に使用可能な二軸配向フィルムに関する。
ポリエステルフィルムは優れた機械特性、熱特性、電気特性、表面特性、また耐熱性などの性質を利用して、磁気記録媒体用、電気絶縁用、コンデンサー用、包装用、各種工業材料用など種々の用途に用いられている。これら用途の高品質化の中で、特に高温環境下での寸法安定性や耐熱性、耐湿熱性の向上などが要求されている。しかしエチレンテレフタレート(以下PETという)単体からなるポリエステルフィルムは、高温環境下での寸法安定性や耐熱性、耐湿熱性が十分でなく、その適用が限定されているのが現状であり、これら問題点の改良が強く望まれている。
近年、ポリエステルフィルムの耐熱性を高めるために、ポリエステルに他の熱可塑性樹脂ブレンドするなどの方法が検討されている。
例えば、特許文献1では、ポリエステルとポリイミド系樹脂のブレンド物については、ポリイミド系樹脂分率の増加に伴って耐熱性の指標となるガラス転移温度が上昇することが文献に開示されている。
しかしながら、ポリエステルとポリイミドとからなる組成物は、ポリエステル単体の場合に比べるとガラス転移温度付近(100〜120℃)での熱寸法安定性、150〜200℃付近の高温での機械的長期耐熱性には優れているものの(例えば、特許文献2参照)、140℃80%RHにおける耐湿熱性については不十分であった。耐湿熱性が不十分な場合、例えば、近年、開発が行われている冷媒などを使用する電動カーエアコンのモーター絶縁用フィルムなどでは、高温環境下での連続使用中にフィルムが劣化してしまい、絶縁性を損失するなどの問題が発生する。
一方、ポリフェニレンスルフィド(以下PPSと略す)は優れた耐熱性、バリア性、耐薬品性、電気絶縁性、耐湿熱性などエンジニアリングプラスチックとしては好適な性質を有しており、各種電気・電子部品、機械部品および自動車部品などに使用されている。しかし、PPSフィルムはPETフィルムなどと比較すると高価であるため、それを許容できる用途は多いとはいえない。さらにナイロンやポリエステルなどの他のフィルムに比べ靭性が低く、曲げなどの加工工程を必要とする用途ではその適用が限定されているのが現状である。このような現状からPPS樹脂に他の熱可塑性樹脂を配合し、ポリマーアロイ化することにより靱性を付与し、加工性を向上させる方法が検討されている。
例えば、特許文献3ではPPS樹脂とポリエチレンテレフタレートを主たるポリエステル樹脂を含んでなるフィルムにおいて、PPSフィルムの有する耐熱性などを付加しながら、靱性に優れるフィルムが提案されている。しかしながら同文献のフィルムは機械特性が不十分であり、靱性の観点ではさらなる改良が求められている。
米国特許第4141927号明細書 特開平14−245857号公報 特開2004−231909号公報
本発明は優れた寸法安定性、耐熱性、耐湿熱性を有しながら、かつ加工性に優れる二軸配向フィルムを得ることを目的とする。
上記課題を解決するための本発明は、ポリエステル(a)、ポリアリーレンスルフィド(b)およびポリイミド(c)を含み、前記ポリイミド(c)の含有量がフィルムの全重量に対し5〜50重量%である二軸配向フィルムを特徴としている。
また、本発明の二軸配向フィルムは、
(1)ポリイミド(c)がポリエーテルイミドであること、
(2)ポリアリーレンスルフィド(b)がポリフェニレンスルフィドであり、このポリフェニレンスルフィドの含有量がフィルム全重量に対し0.1〜30重量%であること、
(3)ポリエステル(a)がポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレートおよびこれらの共重合体からなる群から選ばれる少なくとも1種のポリエステルであること、
(4)破断伸度が長手方向、幅方向ともに70%以上であること、
(5)加熱条件を150℃、30分間としたときの長手方向の熱収縮率が3%未満であること、
を、それぞれ好ましい態様として含んでいる。
本発明によれば、優れた寸法安定性、耐熱性、耐湿熱性を有し、かつ加工性に優れた二軸配向フィルムを提供することができ、その工業的価値は極めて高い。
以下、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
本発明の二軸配向フィルムにおけるポリイミド(c)の含有量は、二軸配向フィルムの全重量に対して5〜50重量%であることが本発明の効果を満たすために重要である。ポリイミド(c)の含有量が5重量%未満であると、寸法安定性、耐熱性および耐湿熱性が劣る場合があり、また、50重量%を超えると、フィルムの製膜性やコストで問題となることがある。ポリイミド(c)の含有量はより好ましくは7〜40重量%、さらに好ましくは10〜30重量%である。
なお、本発明の二軸配向フィルムにおけるポリエステル(a)、ポリアリーレンスルフィド(b)およびポリイミド(c)の含有量は、例えば下記のように測定することができるが、これに限定されるものではない。
まず、フィルムを秤量後、ヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)に溶解する。ポリアリーレンスルフィドが含有される場合は不溶であるので、この不溶成分を遠心分離で分取した後、重量を測定し、元素分析、FT−IR、NMR法によりポリアリーレンスルフィドの構造と重量分率が測定できる。上澄み成分についても同様に分析すれば、ポリエステル成分およびポリイミド成分の重量分率と構造が特定できる。詳しくは、この上澄み成分についてH核のNMRスペクトルを測定する。得られたスペクトルで、ポリエステルとポリイミドに特有の吸収(例えば、ポリエステルがポリエチレンテレフタレートであればテレフタル酸の芳香族プロトン、ポリイミドがポリエーテルイミドであればビスフェノールAの芳香族のプロトン)のピーク面積強度を求め、その比率とプロトン数よりブレンドのモル比を算出する。さらにポリマーの単位ユニットに相当する式量より重量比を算出する。このようにしてポリエステル成分およびポリイミド成分の重量分率と構造が特定できる。
本発明でいうポリイミド(c)とは、環状イミド基を含有する溶融成形性のポリマーであり、本発明の目的に適合できるものであればよく、特に限定されないが、脂肪族、脂環族または芳香族系のエーテル単位と環状イミド基を繰り返し単位として含有するポリエーテルイミドが好ましい。
このようなポリエーテルイミドとしては、例えば、米国特許第4141927号明細書、日本特許第2622678号公報、同特許第2606912号公報、同特許第2606914号公報、同特許第2596565号公報、同特許第2596566号公報、同特許第2598478号公報などに記載のポリエーテルイミド、日本特許第2598536号公報、同特許第2599171号公報、同特開平9−48852号公報、同特許第2565556号公報、同特許第2564636号公報、同特許第2564637号公報、同特許第2563548号公報、同特許第2563547号公報、同特許第2558341号公報、同特許第2558339号公報および同特許第2834580号公報に記載のポリマー等が挙げられる。
また、本発明の効果が阻害されない範囲であれば、ポリイミドの主鎖に環状イミドとエーテル単位以外の構造単位、例えば、芳香族、脂肪族、脂環族エステル単位およびオキシカルボニル単位等が含有されていても良い。
また、本発明の効果が阻害されない範囲であれば、ポリエーテルイミドの主鎖に環状イミドとエーテル単位以外の構造単位、例えば、芳香族、脂肪族、脂環族エステル単位およびオキシカルボニル単位等が含有されていても良い。
本発明で好ましく使用できるポリエーテルイミドの具体例としては、下記一般式で示されるポリマーを例示することができる。
Figure 2006169512
ただし、上記式中、Rは、6〜30個の炭素原子を有する2価の芳香族または脂肪族残基であり、Rは、6〜30個の炭素原子を有する2価の芳香族残基、2〜20個の炭素原子を有するアルキレン基、2〜20個の炭素原子を有するシクロアルキレン基、及び2〜8個の炭素原子を有するアルキレン基で連鎖停止されたポリジオルガノシロキサン基からなる群より選択された2価の有機基である。また、上記R、Rとしては、例えば、下記式群に示される芳香族残基を挙げることができる。
Figure 2006169512
本発明では、熱可塑性樹脂との相溶性、コストおよび溶融成形性の観点から、ガラス転移温度が好ましくは350℃以下、より好ましくは250℃以下のポリエーテルイミドが好ましく、下記式で示される構造単位を有する、2,2−ビス[4−(2,3−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン二無水物とm−フェニレンジアミンまたはp−フェニレンジアミンとの縮合物およびこれらの共重合体ならびに変性体が、熱可塑性樹脂との相溶性、コストおよび溶融成形性等の観点から最も好ましい。このポリエーテルイミドは、ジーイープラスチックス社製で市販されており、「Ultem1000」、「Ultem5000」および「Ultem6000」シリーズの登録商標名で知られているものである。
Figure 2006169512
または
Figure 2006169512
本発明でいうポリエステル(a)とは、ジオールとジカルボン酸あるいはそのエステル形成性誘導体の縮重合により得られるポリマーを少なくとも80重量%含有するポリマーである。ここでジカルボン酸とは、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸、セバチン酸あるいはそのエステル形成性誘導体などで代表されるものであり、また、エステル形成性誘導体とは、テレフタル酸ジメチル、イソフタル酸ジメチル、フタル酸ジメチルなどである。一方、ジオールとは、エチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、シクロヘキサンジメタノールなどで代表されるものである。
具体的なポリマーとしては、例えば、ポリメチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリエチレンイソフタレート、ポリテトラメチレンテレフタレート、ポリエチレン−p−オキシベンゾエート、ポリ−1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレートなどを使用することができる。
勿論、これらのポリエステルは、ホモポリマーであっても、コポリマーであってもよく、コポリマーの場合、共重合成分として、例えば、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ポリアルキレングリコールなどのジオール成分、アジピン酸、セバチン酸、フタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸などのジカルボン酸成分、ヒドロキシ安息香酸、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸などのヒドロキシカルボン酸成分を含有していても良い。
本発明の場合、ポリエチレンテレフタレート(以下、PETという)、ポリエチレン−2,6−ナフタレート(以下PENという)およびこれらの共重合体および変成体の1種以上が好ましく使用される。
本発明の二軸配向フィルムにおけるポリエステル(a)の含有量はフィルムの全重量に対して20〜94重量%であることが好ましく、より好ましくは45〜92重量%、さらに好ましくは60〜90重量%である。ポリエステル(a)の含有量が20重量%未満の場合、本発明の本発明の効果である加工性を得られにくくなる傾向がある。一方、ポリエステル(a)の含有量が94重量%を超える場合、寸法安定性、耐熱性および耐湿熱性が劣る傾向がある。
本発明で用いられるポリエステル(a)の固有粘度は、ポリイミドおよびポリアリーレンスルフィドとの溶融混練性、製膜性、溶融熱安定性の観点から、好ましくは0.55〜2.0dl/g、より好ましくは0.6〜1.4dl/g、特に好ましくは0.65〜1.0dl/gである。
本発明の二軸配向フィルムにおけるポリアリーレンスルフィド(b)の含有量は、熱寸法安定性、耐熱性、耐湿熱性の観点から、二軸配向フィルムの全重量に対して0.1〜30重量%であることが好ましく、より好ましくは1〜20重量%、さらに好ましくは3〜15重量%である。ポリアリーレンスルフィド(b)の含有量が0.1重量%未満の場合、熱寸法安定性、耐熱性、耐湿熱性が劣る場合があり、一方、ポリアリーレンスルフィド(b)の含有量が30重量%を超える場合、本発明の効果である加工性を損なう傾向があり、また、コストの観点から不利である。
本発明でいうポリアリーレンスルフィド(b)とは、式−(Ar−S)−の繰り返し単位を主要構成単位とするホモポリマーまたはコポリマーである。Arとしては、下記式(A)から式(K)などで表される単位などが例示されるが、なかでも式(A)が特に好ましい。
Figure 2006169512
(ただし、式中のR1、R2は、水素、アルキル基、アルコキシ基およびハロゲン基から選ばれた置換基であり、R1とR2は同一であっても異なっていてもよい)
この繰り返し単位を主要構成単位とする限り、下記式(L)から式(N)などで表される少量の分岐単位または架橋単位を含むことができる。これら分岐単位または架橋単位の共重合量は、−(Ar−S)−単位に対して、0〜5モル%の範囲であることが好ましく、1モル%以下の範囲であることがより好ましい。
Figure 2006169512
また、本発明におけるポリアリーレンスルフィド樹脂は、上記繰り返し単位を含むランダム共重合体、ブロック共重合体およびそれらの混合物であっても良い。
これらポリアリーレンスルフィド樹脂の代表例としては、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンスルフィドスルホン、ポリフェニレンスルフィドケトン、これらのランダム共重合体、ブロック共重合体およびそれらの混合物などが挙げられ、これらの中でも、ポリフェニレンスルフィドが特に好ましい。
本発明でいうポリフェニレンスルフィド(以下PPSという)とは、下記構造式で示されるフェニレンスルフィド単位を好ましくは80モル%以上、より好ましくは90モル%以上含む樹脂である。かかるフェニレンスルフィド成分が80モル%未満では、ポリマーの結晶性や熱転移温度などが低く、PPSの特徴である耐熱性、寸法安定性などを損なうことがある。
Figure 2006169512
上記PPS樹脂において、繰り返し単位の20モル%未満、好ましくは10モル%未満であれば、共重合可能な他のスルフィド結合を含有する単位が含まれていても差し支えない。繰り返し単位の20モル%未満、好ましくは10モル%未満の繰り返し単位としては、例えば、3官能単位、エーテル単位、スルホン単位、ケトン単位、メタ結合単位、アルキル基などの置換基を有するアリール単位、ビフェニル単位、ターフェニレン単位、ビニレン単位およびカーボネート単位などが例として挙げられ、具体例として、下記の構造単位を挙げることができる。これらのうち一つまたは二つ以上共存させて構成することができる。この場合、該構成単位は、ランダム型またはブロック型のいずれの共重合方法であってもよい。
Figure 2006169512
PPS樹脂およびPPS樹脂組成物の溶融粘度は、溶融混練が可能であれば特に限定されないが、温度315℃で剪断速度1,000(1/sec)のもとで、50〜5,000Pa・sの範囲であることが好ましく、さらに好ましくは100〜2,000Pa・sの範囲である。
本発明でいうPPSは種々の方法、たとえば、特公昭45−3368号公報に記載される比較的分子量の小さな重合体を得る方法、あるいは、特公昭52−12240号公報や特開昭61−7332号公報に記載される比較的分子量の大きい重合体を得る方法などによって製造することができる。
本発明において、得られたPPS樹脂を、空気中加熱による架橋/高分子量化、窒素などの不活性ガス雰囲気下あるいは減圧下での熱処理、有機溶媒、熱水および酸水溶液などによる洗浄、酸無水物、アミン、イソシアネートおよび官能基ジスルフィド化合物などの官能基含有化合物による活性化など、種々の処理を施した上で使用することも可能である。
次に、PPS樹脂の製造法を例示するが、本発明では特にこれに限定されない。例えば、硫化ナトリウムとp−ジクロロベンゼンをN−メチル−2−ピロリドン(NMP)などのアミド系極性溶媒中で、高温高圧下で反応させる。必要に応じて、トリハロベンゼンなどの共重合成分を含ませることも可能である。重合度調整剤として苛性カリやカルボン酸アルカリ金属塩などを添加し230〜280℃で重合反応させる。重合後にポリマーを冷却し、ポリマーを水スラリーとしてフィルターで濾過後、粒状ポリマーを得る。これを酢酸塩などの水溶液中で30〜100℃、10〜60分攪拌処理し、イオン交換水にて30〜80℃で数回洗浄、乾燥してPPS粉末を得る。この粉末ポリマーを酸素分圧10トール以下、好ましくは5トール以下でNMPにて洗浄後、30〜80℃のイオン交換水で数回洗浄し、5トール以下の減圧下で乾燥する。かくして得られたポリマーは、実質的に線状のPPSポリマーであり、しかも該PPS樹脂の溶融結晶化温度Tmcは160〜190℃の範囲にあるので、安定した延伸製膜が可能になる。もちろん必要に応じて、他の高分子化合物や酸化珪素、酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、酸化チタン、酸化アルミニウム、架橋ポリエステル、架橋ポリスチレン、マイカ、タルクおよびカオリンなどの無機や有機化合物や熱分解防止剤、熱安定剤および酸化防止剤などを添加してもよい。
PPS樹脂の加熱による架橋/高分子量化する場合の具体的方法としては、空気や酸素などの酸化性ガス雰囲気下あるいは前記酸化性ガスと窒素やアルゴンなどの不活性ガスとの混合ガス雰囲気下で、加熱容器中で所定の温度において希望する溶融粘度が得られるまで加熱を行う方法を例示することができる。加熱処理温度は、通常170〜280℃が選択され、より好ましくは200〜270℃であり、また、加熱処理時間は、通常0.5〜100時間が選択され、より好ましくは2〜50時間であるが、この両者を制御することにより目標とする粘度レベルを得ることができる。加熱処理の装置は、通常の熱風乾燥機でもまた回転式あるいは攪拌翼つきの加熱装置であってもよいが、効率よくしかも均一に処理するためには、回転式あるいは攪拌翼つきの加熱装置を用いることが好ましい。
PPS樹脂を窒素などの不活性ガス雰囲気下あるいは減圧下で熱処理する場合の具体的方法としては、窒素などの不活性ガス雰囲気下あるいは減圧下で、加熱処理温度150〜280℃、好ましくは200〜270℃、加熱時間は0.5〜100時間、好ましくは2〜50時間加熱処理する方法を例示することができる。加熱処理の装置は、通常の熱風乾燥機でもまた回転式あるいは攪拌翼つきの加熱装置でもよいが、効率よく、しかもより均一に処理するためには回転式あるいは攪拌翼つきの加熱装置を用いることが好ましい。
本発明で用いられるPPS樹脂は、脱イオン処理を施されたPPS樹脂であることが好ましい。脱イオン処理の具体的方法としては、酸水溶液洗浄処理、熱水洗浄処理、および有機溶剤洗浄処理などを例示することができ、これらの処理は2種以上の方法を組み合わせて用いてもよい。
PPS樹脂の有機溶剤洗浄処理の具体的方法としては、以下の方法を例示することができる。すなわち、有機溶剤としては、PPS樹脂を分解する作用などを有していないものであれば特に制限はなく、例えば、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどの含窒素極性溶媒、ジメチルスルホキシド、ジメチルスルホンなどのスルホキシド・スルホン系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、アセトフェノンなどのケトン系溶媒、ジメチルエーテル、ジプロピルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶媒、クロロホルム、塩化メチレン、トリクロロエチレン、2塩化エチレン、ジクロロエタン、テトラクロロエタン、クロロベンゼンなどのハロゲン系溶媒、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、フェノール、クレゾール、ポリエチレングリコールなどのアルコール・フェノール系溶媒、ベンゼン、トルエンおよびキシレンなどの芳香族炭化水素系溶媒などが挙げられる。これらの有機溶媒の中で、N−メチルピロリドン、アセトン、ジメチルホルムアミドおよびクロロホルムが特に好ましく用いられる。また、これらの有機溶媒は、1種類または2種類以上の混合で使用される。
有機溶媒による洗浄の方法としては、有機溶媒中にPPS樹脂を浸漬せしめるなどの方法があり、必要に応じて適宜攪拌または加熱することも可能である。有機溶媒でPPS樹脂を洗浄する際の洗浄温度について特に制限はなく、常温〜300℃の範囲の任意の温度を選択することができる。洗浄温度が高くなるほど、洗浄効率が高くなる傾向があるが、通常は常温〜150℃の温度で十分効果が得られる。また、有機溶媒洗浄を施されたPPS樹脂は残留している有機溶媒を除去するため、水または温水で数回洗浄することが好ましい。
PPS樹脂の熱水洗浄処理の具体的方法としては、以下の方法を例示することができる。すなわち、熱水洗浄によるPPS樹脂の好ましい化学変性の効果を発現するために、使用する水は蒸留水あるいは脱イオン水であることが好ましい。熱水処理の操作は、通常、所定量の水に所定量のPPS樹脂を投入し、常圧であるいは圧力容器内で加熱し攪拌することにより行われる。PPS樹脂と水との割合は、水の方が多い方が好ましいが、通常、水1リットルに対し、PPS樹脂200g以下の浴比が選択される。
PPS樹脂の酸水溶液洗浄処理の具体的方法としては、以下の方法を例示することができる。すなわち、酸または酸の水溶液にPPS樹脂を浸漬せしめるなどの方法があり、必要に応じて適宜攪拌または加熱することも可能である。用いられる酸は、PPS樹脂を分解する作用を有しないものであれば特に制限はなく、ギ酸、酢酸、プロピオン酸および酪酸などの脂肪族飽和モノカルボン酸、クロロ酢酸やジクロロ酢酸などのハロゲン置換脂肪族飽和カルボン酸、アクリル酸やクロトン酸などの脂肪族不飽和モノカルボン酸、安息香酸やサリチル酸などの芳香族カルボン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、フタル酸およびフマル酸などのジカルボンン酸、硫酸、リン酸、塩酸、炭酸および珪酸などの無機酸性化合物などが挙げられる。中でも酢酸と塩酸が好ましく用いられる。酸処理を施されたPPS樹脂は、残留している酸または塩などを除去するため、水または温水で数回洗浄することが好ましい。また、洗浄に用いられる水は、酸処理によりPPS樹脂の好ましい化学的変性の効果を損なわない意味で、蒸留水または脱イオン水であることが好ましい。酸水溶液洗浄処理を施すと、PPS樹脂の酸末端成分が増加して、ポリエステルやポリイミドなどと混合する場合に分散混合性が高まり、混成樹脂の熱寸法安定性、耐熱性、耐湿熱性などを向上させる効果が得られる。
また、本発明ではポリエステルとポリアリーレンスルフィドおよびポリイミドの混合において、必要に応じて、相溶化剤を配合することも上記3成分樹脂の相溶性の向上に有効である。この相溶化剤の例として、エポキシ基、アミノ基、イソシアネート基、水酸基、メルカプト基およびウレイド基の中から選ばれた少なくとも1種の官能基を有するアルコシキシランなどの有機シラン化合物、エチレンやプロピレンなどのα−オレフィンとアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸やクロレン酸などのα、β−不飽和カルボン酸、これらのエステル、無水物、ハロゲン化物、ナトリウム、カリウム、マグネシウムおよび亜鉛などとの塩などの誘導体から選ばれた少なくとも1種の化合物とのランダム、ブロックあるいはグラフト共重合体などの変性ポリオレフィン類、α−オレフィンおよびα、β−不飽和酸のグリシジルエステルを主構成成分とするオレフィン系共重合体などのエポキシ基含有オレフィン系共重合体および多官能エポキシ化合物などが挙げられ、これら2種以上同時に使用することもできる。特に好適な相溶化剤として、α−オレフィンおよびα、β−不飽和酸のグリシジルエステルを主構成成分とする変性オレフィンを挙げることができ、中でも、α−オレフィンの最も好ましい例は、エチレンである。また、α、β−不飽和酸のグリシジルエステルは下記一般式
Figure 2006169512
(式中Rは水素原子または炭素数1〜6のアルキル基を表す)で示される化合物であり、具体的には、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジルおよびエタクリル酸グリシジルなどが挙げられる。特に、メタクリル酸グリシジルが好ましく用いられる。α、β−不飽和酸のグリシジルエステルの共重合量は1〜50重量%が好ましく、さらに好ましくは3〜40重量%である。
相溶化剤である上記の変性ポリオレフィンには、その効果を損なわない範囲内で、共重合可能な他の不飽和モノマー、例えば、ビニルエーテル類、酢酸ビニルおよびプロピオン酸ビニルなどのビニルエステル類、メチル、エチルおよびプロピルなどのアクリル酸およびメタクリル酸のエステル類、アクリロニトリルおよびスチレンなどを共重合することもできる。かかる変性ポリオレフィン樹脂を用いるときに好適な配合量としては、本発明の二軸配向フィルムの全重量(100重量%)に対して、変性ポリオレフィン樹脂を0.01〜10重量%配合することが好ましく、さらに好ましくは0.05〜5重量%である。
本発明の二軸配向フィルムは、本発明の効果を阻害しない範囲内で、熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、難燃剤、顔料、染料、脂肪酸エステルおよびワックスなどの有機滑剤など他の成分が添加されてもよい。また、フィルム表面に易滑性や耐磨耗性や耐スクラッチ性等を付与するために無機粒子や有機粒子などを添加することもできる。
そのような添加物としては、例えば、クレー、マイカ、酸化チタン、炭酸カルシウム、カオリン、タルク、湿式または乾式シリカ、コロイド状シリカ、リン酸カルシウム、硫酸バリウム、アルミナおよびジルコニア等の無機粒子、アクリル酸類、スチレン等を構成成分とする有機粒子、ポリエステルやポリフェニレンスルフィドの重合反応時に添加する触媒等によって析出する、いわゆる内部粒子や、界面活性剤などが挙げられる。
本発明の二軸配向フィルムの破断伸度は加工性向上の観点から長手方向、幅方向ともに70%以上であることが好ましく、より好ましくは80%以上、さらに好ましくは90%以上である。上限は特に限定されないが150%程度である。破断伸度が150%を超える場合、耐熱性、耐湿熱性が悪化する傾向がある。一方、破断伸度が70%未満の場合、フィルムが脆くなり易く、靱性が不足し、曲げなどの加工を必要とする用途では割れなどが発生し、本発明の効果である加工性が得られ難くなる。ここで、フィルムの長手方向とは、一般に言われるMD(machine direction)方向を意味し、幅方向とはそれと直行するTD(transverse direction)方向を意味する。
破断伸度を本発明の好ましい範囲内とするには、例えば、含有量については、ポリイミド(c)の含有量を、二軸配向フィルムの全重量に対して5〜50重量%とすると好ましい。また、ポリアリーレンスルフィド(b)の含有量は二軸配向フィルムの全重量に対して0.1〜30重量%とすることが好ましい。製膜工程においてはフィルムを90〜170℃の延伸温度、2〜5倍の倍率、好ましくは2.5〜4.5倍の倍率で一段階もしくは二段階以上の多段階で長手方向(縦方向)に延伸し、更に該フィルムをクリップで把持してテンターに導き、90〜180℃の延伸温度、2〜6倍の倍率で、好ましくは2.5〜5.5倍の倍率で幅方向(横方向)に延伸するとよい。延伸後の熱処理温度は、ポリエステル(a)の融点以下の温度であり、好ましくは190〜245℃の温度で、1〜30秒間熱処理することが好ましい。また熱処理工程後に100〜160℃の中間冷却を施すことが好ましく、弛緩処理を行うことが好ましく、幅方向および/または長手方向に2〜10%の割合で弛緩処理することが好ましい。
本発明の二軸配向フィルムは寸法安定性の観点から、加熱条件を150℃、30分間としたときの長手方向の熱収縮率が3%未満であることが好ましく、より好ましくは2.5%未満、さらに好ましくは2%未満である。長手方向の熱収縮率が3%を超える場合、熱処理加工を必要とする用途では熱履歴による形態変化が顕著となり、本発明の効果である寸法安定性が得られ難くなる。
熱収縮率を本発明の好ましい範囲内とするには、例えば、含有量については、ポリイミド(c)の含有量を、二軸配向フィルムの全重量に対して5〜50重量%とすることが好ましい。また、ポリアリーレンスルフィド(b)の含有量は二軸配向フィルムの全重量に対して0.1〜30重量%とすることが好ましい。また製膜工程における延伸後の熱処理温度は、ポリエステル(a)の融点以下の温度であり、好ましくは190〜245℃の温度で、1〜30秒間熱処理することが好ましい。また熱処理工程後に100〜160℃の中間冷却を施すことが好ましく、弛緩処理を行うことが好ましく、幅方向および/または長手方向に2〜10%の割合で弛緩処理することが好ましい。
また本発明の二軸配向フィルムは、単層であっても良いし、少なくとも2層以上の積層構造であっても良い。積層構造をとる場合、本発明のフィルム層を基層部として用いられても良いし、積層部として用いられてもよいが、少なくとも一方の表層は本発明のフィルム層からなることが好ましい。
本発明の二軸配向フィルムの厚さは、用途などにより異なるが、一般に500μm以下が好ましく、薄膜用途や作業性などの観点からは、より好ましくは、5〜300μm、さらに好ましくは10〜200μmの範囲である。
さらに本発明の二軸配向フィルムは、必要に応じて、熱処理、成形、表面処理、ラミネート、コーティング、印刷、エンボス加工およびエッチングなどの任意の加工を行ってもよい。
本発明の二軸配向フィルムの用途は、特に限定されないが、工程・離型材料用や電気絶縁材料、回路基板材料、コンデンサー用、包装用、印刷材料用および成形材料用などの各種工業材料用などに用いられる。
次に、ポリエステル(a)としてポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリアリーレンスルフィド(b)としてポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリイミド(c)としてポリエーテルイミド(PEI)「ウルテム」(ジーイープラスチックス社製 登録商標)を使用した場合を例示して、本発明の二軸配向フィルムの好ましい製造法について説明するが、本発明は、下記の製造法に限定されないことはもちろんである。
まず、常法に従いジメチルテレフタレートとエチレングリコールの混合物に、酢酸マグネシウムを添加して、常法により加熱昇温してエステル交換反応を行なう。次いで、該エステル交換反応生成物に、リン酸トリメチルを添加した後、酸化ゲルマニウムを添加し、重縮合反応層に移行する。次いで、加熱昇温しながら反応系を徐々に減圧して1mmHg以下の減圧下、290℃で常法により重合反応を進める。ここで、固有粘度が0.6程度のポリエステルを得る。また、フィルムを構成するポリエステルに粒子を含有させる方法としては、エチレングリコールに粒子を所定割合にてスラリーの形で分散させ、このエチレングリコールスラリーとポリエステルに混合、あるいはポリエステル製造工程中に添加する方法が好ましい。
粒子を添加する際には、例えば、粒子を合成時に得られる水ゾルやアルコールゾルをいったん乾燥させることなく添加すると粒子の分散性がよい。また、粒子の水スラリーを直接所定のポリエステルペレットと混合し、ベント式2軸混練押出機を用いて、ポリエステルに練り込む方法も有効である。粒子の含有量、個数を調節する方法としては、上記方法で高濃度の粒子のマスターを作っておき、それを製膜時に粒子を実質的に含有しないポリエステルで希釈して粒子の含有量を調節する方法が有効である。
ポリエステル樹脂とポリイミド樹脂とポリアリーレンスルフィド樹脂を混合する場合、溶融押出前に、ポリエステル樹脂とポリイミド樹脂、ポリエステル樹脂とポリアリーレンスルフィド樹脂、それぞれの樹脂の混合物を予備溶融混練(ペレタイズ)してマスターペレット化する方法が好ましく例示される。
本発明では、まず、前記ポリエチレンテレフタレートのペレットとポリエーテルイミドのペレットを、重量比率が20/80〜80/20で混合して、270〜320℃に加熱されたベント式の2軸混練押出機に供給して、溶融押出する。このときの剪断速度は50〜300sec−1が好ましく、より好ましくは100〜200sec−1、滞留時間は0.5〜10分が好ましく、より好ましくは1〜5分の条件である。さらに、上記条件にて相溶しない場合は、得られたチップを再び二軸押出機に投入し相溶するまで押出を繰り返してもよい。
一方、前記ポリエチレンテレフタレートのペレットとポリフェニレンスルフィドのペレットを、重量比率が20/80〜80/20で混合して、300〜330℃に加熱されたベント式の2軸混練押出機に供給して、溶融押出する。このときの剪断速度は50〜300sec−1が好ましく、より好ましくは100〜200sec−1、滞留時間は0.5〜10分が好ましく、より好ましくは1〜5分の条件であることが十分な分散状態を得る上で好ましい。ここでいう十分な分散状態とは、分散平均粒径が5μm以下である。より好ましくは3μm以下、さらに好ましくは1μm以下である。分散状態を確認する手段としては、例えば、分散平均粒径を透過型電子顕微鏡にて観測することができる。得られたマスターペレットの分散平均粒径が5μmより大きい場合は、このマスターペレットを再び二軸押出機に投入し分散平均粒径が5μm以下となるまで押出を繰り返してもよい。ポリエチレンテレフタレートのペレットとポリフェニレンスルフィドのペレットを混合する上で、ポリエチレンテレフタレートのペレットとポリフェニレンスルフィドの混合組成物あるいは相溶化剤が添加されると、分散不良物が低減できて分散状態が良好となることがある。
次に、得られたポリエーテルイミド含有のポリエステルのペレットとポリフェニレンスルフィド含有のポリエステルのペレットと粒子マスターペレットおよび希釈用ポリエチレンテレフタレートペレットを、180℃で3時間以上減圧乾燥した後、固有粘度が低下しないように窒素気流下あるいは減圧下で270〜320℃に加熱された押出機に供給し、従来から行われている方法により製膜する。また、異物や変質ポリマーを除去するために各種のフィルター、例えば、焼結金属、多孔性セラミック、サンド、金網などの素材からなるフィルターを用いることが好ましい。また、必要に応じて、定量供給性を向上させるためにギアポンプを設けてもよい。押出機を用いて、溶融状態のポリエステルとポリエーテルイミドとポリフェニレンスルフィドの混合物のシートをスリット状のダイから押出し、キャスティングロール上で冷却して未延伸フィルムを作る。
次いで、得られたシート状物を、長手方向(縦方向)に延伸した後、幅方向(横方向)に延伸、もしくは幅方向(横方向)に延伸した後、長手方向(縦方向)に延伸する逐次二軸延伸法、もしくは同時二軸延伸法によって、フィルムに二軸配向性を付与する。以下に、最も一般的に用いられる逐次二軸延伸法による具体例を示すが、本発明が以下の説明に限定されないことは無論である。
まず、複数のロール群によって加熱したフィルムを90〜170℃の延伸温度、2〜5倍の倍率、好ましくは2.5〜4.5倍の倍率で一段階もしくは二段階以上の多段階で長手方向(縦方向)に延伸し、更に該フィルムをクリップで把持してテンターに導き、90〜180℃の延伸温度、2〜6倍の倍率で、好ましくは2.5〜5.5倍の倍率で幅方向(横方向)に延伸する。この際、必要に応じて更に長手方向及び/または幅方向に110〜180℃の温度で1.01〜2.5倍の延伸を施してもよい。本発明では、延伸後の熱処理温度は、寸法安定性耐熱性、耐湿熱性の観点から、好ましくはポリエステル(a)の融点以下の温度であり、より好ましくは190〜245℃の温度、さらに好ましくは200〜230℃の温度であり、1〜30秒間熱処理することが好ましい。また本発明の二軸配向フィルムは、靱性を得られ易くする観点から熱処理工程後に100〜160℃の中間冷却を施すことが好ましく、弛緩処理を行うことが好ましく、幅方向および/または長手方向に2〜10%の割合で弛緩処理することが好ましく、より好ましくは4〜9%である。
このようにして、寸法安定性、耐熱性、耐湿熱性を有し、かつ加工性に優れた二軸配向フィルムを得ることができる。
[物性の測定方法ならびに効果の評価方法]
(1)破断伸度
フィルム長手方向に、長さ200mm、幅10mmの短冊状のサンプルを切り出して用いた。JIS K−7127に規定された方法に従って、引っ張り試験器を用いて25℃、65%RHにて破断伸度を測定した。初期引っ張りチャック間距離は100mmとし、引っ張り速度は300m/分とした。測定はサンプルを変更して20回行いその破断伸度の平均値を求めた。
(2)熱寸法安定性(熱収縮率)
JIS C−2318に規定された方法にしたがって測定した。試料幅10mm、試料長200mmのサンプルをギアオーブンにより150℃、30分間の条件下で熱処理し、試料長の変化から、下記式により熱収縮率を算出した。
熱収縮率(%)=[(熱処理前の長さ−熱処理後の長さ)/熱処理前の長さ]×100
熱寸法安定性は下記の基準に従って評価した。◎と○が合格である。
◎:熱収縮率が2%以下である。
○:熱収縮率が2%を超え3%以下である。
×:熱収縮率が3%より大きい。
(3)耐熱性(破断伸度の半減時間)
フィルム長手方向に、長さ200mm、幅10mmの短冊状のサンプルを切り出して用いた。JIS K−7127に規定された方法に従って、引っ張り試験器を用いて25℃、65%RHにて破断伸度を測定した。初期引っ張りチャック間距離は100mmとし、引っ張り速度は300m/分とした。測定はサンプルを変更して20回行いその破断伸度の平均値(X)を求めた。また、フィルム長手方向に、長さ200mm、幅10mmの短冊状のサンプルを、ギアオーブンにいれ、180℃の雰囲気下で放置した後、自然冷却し、このサンプルについて前記と同条件での引っ張り試験を20回行い、その破断伸度の平均値(Y)を求めた。得られた破断伸度の平均値(X)、(Y)から伸度保持率を次式で求めた。
伸度保持率(%)=(Y/X)×100
伸度保持率が50%以下となるまでの熱処理時間を破断伸度の半減時間とした。耐熱性は下記の基準に従って評価した。◎と○が合格である。
◎:伸度半減期が400時間以上である。
○:伸度半減期が300時間以上400時間未満である。
×:伸度半減期が300時間未満である。
(4)耐湿熱性(破断伸度の半減時間)
フィルム長手方向に、長さ200mm、幅10mmの短冊状のサンプルを切り出して用いた。JIS K−7127に規定された方法に従って、引っ張り試験器を用いて25℃、65%RHにて破断伸度を測定した。初期引っ張りチャック間距離は100mmとし、引っ張り速度は300m/分とした。測定はサンプルを変更して20回行い、その破断伸度の平均値(X)を求めた。また、フィルム長手方向に、長さ200mm、幅10mmの短冊状のサンプルを、高度加速寿命試験器(タバイエスペック(株)製プレッシャークッカーTPC−211型)を用いて2kg/cmの加圧下、140℃、80%RHの雰囲気下で放置した後、自然冷却し、このサンプルについて前記と同条件での引っ張り試験を20回行い、その破断伸度の平均値(Y)を求めた。得られた破断伸度の平均値(X)、(Y)から伸度保持率を次式で求めた。伸度保持率が50%以下となるまでの処理時間を破断伸度の半減時間とした。
伸度保持率(%)=(Y/X)×100
伸度保持率が50%以下となるまでの熱処理時間を破断伸度の半減時間とした。耐湿熱性は下記の基準に従って評価した。◎と○が合格である。
◎:伸度半減期が50時間以上である。
○:伸度半減期が40時間以上50時間未満である。
×:伸度半減期が40時間未満である。
(5)フィルム厚み
アンリツ(株)製電子マイクロメータ(K−312A型)を用いて、針圧30gにてフィルム厚みを測定した。
(6)固有粘度
オルトクロロフェノール中、25℃で測定した溶液粘度から下式により計算される値を用いた。
ηsp/C=[η]+K[η]・C
ここで、ηsp=(溶液粘度/溶媒粘度)−1、Cは溶媒100mlあたりの溶解ポリマ重量(g/100ml、通常1.2)、Kはハギンス定数(0.343とする)である。また、溶液粘度と溶媒粘度は、オストワルド粘度計を用いて測定した。
(7)加工性
フィルム長手方向に40mm、幅方向に20mmとなるようにフィルムを切り出し、ついで幅方向に平行に両端部を各5mmずつ折り返してモーター挿入用サンプルを作成した。このサンプルをモーター回転子部分に挿入し、エナメル線を巻き込んだ。その後エナメル線部分をプレスしてエナメル線部分の成型を行ない、この時にフィルムサンプルの割れの発生を評価した。10個のフィルムサンプルについて測定し、以下の基準で判断した。◎と○が合格である。
◎:全く割れが発生しない
○:1個または2個のサンプルが割れる。
×:3個以上のサンプルが割れる。
(8)フィルム厚み
23℃65%RHの雰囲気下でアンリツ(株)製電子マイクロメータ(K−312A型)を用いて、針圧30gにてフィルム厚みを測定した。
(9)分散相の平均分散径
フィルムを(ア)長手方向に平行かつフィルム面に垂直な方向、(イ)幅方向に平行かつフィルム面に垂直な方向、(ウ)フィルム面に対して平行な方向に切断し、サンプルを超薄切片法で作成した。分散相のコントラストを明確にするために、オスミウム酸やルテニウム酸、リンタングステン酸などで染色してもよい。熱可塑性樹脂Aがポリアミドの場合では、リンタングステン酸による染色が好適に使用される。切断面を透過型電子顕微鏡(日立製H−7100FA型)を用いて、加圧電圧100kVの条件下で観察し、2万倍で写真を撮影した。得られた写真をイメージアナライザーに画像として取り込み、任意の100個の分散相を選択し、必要に応じて画像処理を行うことにより、次に示すようにして分散相の大きさを求めた。(ア)の切断面に現れる分散相のフィルム厚み方向の最大長さ(la)と長手方向の最大長さ(lb)、(イ)の切断面に現れる分散相のフィルム厚さ方向の最大長さ(lc)と幅方向の最大長さ(ld)、(ウ)の切断面に現れる分散相のフィルム長手方向の最大長さ(le)と幅方向の最大長さ(lf)を求めた。次いで、分散相の形状指数I=(lbの平均値+leの平均値)/2、形状指数J=(ldの平均値+lfの平均値)/2、形状指数K=(laの平均値+lcの平均値)/2とした場合、分散相の平均分散径を(I+J+K)/3とした。
以下に、本発明の具体的な実施例を比較例と比較しながら説明する。
(参考例1)
ポリエチレンテレフタレート(PET)ポリマーチップの製造:
ジメチルテレフタレート100重量%、エチレングリコール60重量%の混合物に、ジメチルテレフタレート量に対して酢酸マグネシウム0.04重量%を添加して、常法により加熱昇温してエステル交換反応を行なった。次いで、該エステル交換反応生成物に、ジメチルテレフタレート量に対して、リン酸トリメチル0.020重量%を添加した後、酸化ゲルマニウムを0.02重量%添加した後、重縮合反応層に移行した。次いで、加熱昇温しながら反応系を徐々に減圧して1mmHg以下の減圧下、290℃で常法により重合し、固有粘度[η]=0.65のポリエチレンテレフタレートのチップを得た。
(参考例2)
ポリエチレン−2,6−ナフタレート(PEN)ポリマーチップの製造:
2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチル100重量部とエチレングリコール60重量部の混合物に、酢酸マンガン・4水和物塩0.03重量部を添加し、150℃の温度から240℃の温度に徐々に昇温しながらエステル交換反応を行った。途中、反応温度が170℃に達した時点で三酸化アンチモン0.024重量部を添加した。また、反応温度が220℃に達した時点で3,5−ジカルボキシベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩0.042重量部(2mmol%に相当)を添加した。その後、引き続いてエステル交換反応を行い、エステル交換反応終了後、リン酸トリメチル0.023重量部を添加した。次いで、反応生成物を重合反応器に移し、290℃の温度まで昇温し、0.2mmHg以下の高減圧下にて重縮合反応を行い、固有粘度0.65dl/gのポリエチレン−2,6−ナフタレートチップを得た。
(参考例3)
ポリイミド(c−1、c−2)ポリマーチップの製造:
<ポリイミド(c−1)>
イソホロンジイソシアネート200gを窒素雰囲気下でN−メチル−2−ピロリドン(NMP)3,000ml中に添加し攪拌した。次いで、この溶液に無水ピロメリット酸196gを室温で添加した後、徐々に昇温した。その後、180℃で6時間加熱すると、二酸化炭素の発生が終了したので加熱を止めた。このポリマー溶液を水中に展開して洗浄した後、ここで得られたポリマーを乾燥しポリイミド(c−1)を得た。
<ポリイミド(c−2)>
窒素気流下にて、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物147g(0.5mol)をN−メチル−2−ピロリドン300gに投入した。この溶液に、トランス−1,4−ジアミノシクロヘキサン57g(0.5mol)をNMP17.6gに溶解したものを滴下し、室温で2時間、さらに50℃で4時間攪拌しポリアミド酸溶液を得た。この溶液を冷却後、水500mlに投入し、ポリマーを析出させた。析出したポリマーを濾取し、窒素中、250℃で2時間熱処理し、目的のポリイミド(c−2)を得た。
(実施例1)
前記の固有粘度0.65のポリエチレンテレフタレート(PET)50重量部とGeneral Electric社製のポリエーテルイミド(PEI)”ウルテム”1010を50重量部、150℃で5時間除湿乾燥した後、320〜290℃に加熱された(スクリューゾーン、押出ヘッド部で温度勾配を設定)二軸3段タイプのスクリュー(PETとPEIの混練可塑化ゾーン/ダルメージ混練ゾーン/逆ネジダルメージによる微分散相溶化ゾーン)を具備したベント式二軸押出機(L/D=40、ベント孔の減圧度は200Paとした)に供給して、滞留時間3分にて溶融押出し、PEIを50重量%含有したPET/PEIブレンドチップを得た。
さらに、東レ(株)製の線状PPS樹脂(“トレリナ”(登録商標)M2088、ガラス転移温度92℃、融点283℃)を50重量部と、参考例1で得られた固有粘度0.65のPET50重量部を180℃で3時間減圧乾燥した後、320〜290℃に加熱された(スクリューゾーン、押出ヘッド部で温度勾配を設定)二軸3段タイプのスクリュー(PETとPPSの混練可塑化ゾーン/ダルメージ混練ゾーン/逆ネジダルメージによる微分散相溶化ゾーン)を具備したベント式二軸押出機(L/D=40、ベント孔の減圧度は200Paとした)に供給して、滞留時間3分にて溶融押出し、PPS樹脂を50重量%含有したPET/PPSブレンドチップを得た。
次いで、得られたPET/PEIブレンドチップとPET/PPSブレンドチップおよび前記の固有粘度0.65のPETチップを表1に示した含有量(重量%)となるように混合し、180℃で3時間減圧乾燥した後、押出機に投入し、300℃にて溶融押出し、繊維焼結ステンレス金属フィルター(14μmカット)を通過させた後、Tダイからシート状に吐出し、該シートを表面温度25℃の冷却ドラム上に静電印加法により密着固化させ冷却し、未延伸フィルムを得た。
続いて、この未延伸フィルムを、加熱された複数のロール群からなる縦延伸機を用い、ロールの周速差を利用して、95℃の温度でフィルムの縦方向に3.4倍の倍率で延伸した。その後、このフィルムの両端部をクリップで把持して、テンターに導き、幅方向に100℃の温度で3.8倍延伸し、引き続いて210℃の温度で3秒間熱処理を行なった(幅方向に2%弛緩処理)後、150℃の温度ゾーンでさらに幅方向に2%弛緩処理を行なった後、室温に徐冷し、厚さ100μmの二軸配向フィルムを得た。得られた二軸配向フィルムの特性を表2に示す。本実施例で得られた二軸配向フィルムは、加工性、寸法安定性、耐熱性、耐熱性に優れたものであった。
(実施例2〜6)
フィルムを構成するポリマーの含有量および製膜条件を表1に示した条件に変更する以外は実施例1と同様にして、二軸配向フィルムを作成した。得られた二軸配向フィルムの特性を表2に示す。ポリイミド(c)の含有量が本発明の好ましい範囲内である本実施例2〜6で得られた二軸配向フィルムは、加工性、寸法安定性、耐熱性および耐湿熱性に優れたものであった。
(実施例7)
前記の固有粘度0.65のポリエチレン−2,6−ナフタレート(PEN)50重量部とGeneral Electric社製のポリエーテルイミド(PEI)”ウルテム”1010を50重量部、150℃で5時間除湿乾燥した後、320〜290℃に加熱された(スクリューゾーン、押出ヘッド部で温度勾配を設定)二軸3段タイプのスクリュー(PETとPEIの混練可塑化ゾーン/ダルメージ混練ゾーン/逆ネジダルメージによる微分散相溶化ゾーン)を具備したベント式二軸押出機(L/D=40、ベント孔の減圧度は200Paとした)に供給して、滞留時間3分にて溶融押出し、ウルテムを50重量%含有したPET/PEIブレンドチップを得た。
さらに、東レ(株)製の線状PPS樹脂(“トレリナ”(登録商標)M2088、ガラス転移温度92℃、融点283℃)を50重量部と得られた固有粘度0.65のPEN50重量部を180℃で3時間減圧乾燥した後、320〜290℃に加熱された(スクリューゾーン、押出ヘッド部で温度勾配を設定)二軸3段タイプのスクリュー(PENとPPSの混練可塑化ゾーン/ダルメージ混練ゾーン/逆ネジダルメージによる微分散相溶化ゾーン)を具備したベント式二軸押出機(L/D=40、ベント孔の減圧度は200Paとした)に供給して、滞留時間3分にて溶融押出し、PPS樹脂を50重量%含有したPEN/PPSブレンドチップを得た。
次いで、得られたPEN/PEIブレンドチップとPEN/PPSブレンドチップおよび前記の固有粘度0.65のPENチップを表1に示した含有量(重量%)となるように混合し、180℃で3時間減圧乾燥した後、押出機に投入し、320℃にて溶融押出し、繊維焼結ステンレス金属フィルター(14μmカット)を通過させた後、Tダイからシート状に吐出し、該シートを表面温度25℃の冷却ドラム上に静電印加法により密着固化させ冷却し、未延伸フィルムを得た。
続いて、この未延伸フィルムを、加熱された複数のロール群からなる縦延伸機を用い、ロールの周速差を利用して、140℃の温度でフィルムの縦方向に3.4倍の倍率で延伸した。その後、このフィルムの両端部をクリップで把持して、テンターに導き、幅方向に145℃の温度で3.8倍延伸し、引き続いて210℃の温度で3秒間熱処理を行なった(幅方向に2%弛緩処理)後、150℃の温度ゾーンでさらに幅方向に2%弛緩処理を行なった後、室温に徐冷し、厚さ100μmの二軸配向フィルムを得た。得られた二軸配向フィルムの特性を表2に示す。本実施例で得られた二軸配向フィルムは、加工性、寸法安定性、耐熱性、耐熱性に優れたものであった。
(実施例8、9)
ポリイミド(c)として参考例3に示したポリイミド(c−1、c−2)を用いたこと以外は、実施例1と同様に製膜し、厚み100μmの二軸配向フィルムを得た。得られたフィルムの特性を表2に示す。本実施例8および9で得られた二軸配向フィルムは、加工性、寸法安定性、耐熱性、耐熱性に優れたものであった。
(実施例10)
ポリアリーレンスルフィド(b)として東レ(株)製の線状PPS樹脂(“トレリナ”(登録商標)M3910、ガラス転移温度90℃、融点283℃(b−1))を用いたこと以外は、実施例1と同様に製膜し、厚み100μmの二軸配向フィルムを得た。得られたフィルムの特性を表2に示す。本実施例で得られた二軸配向フィルムは、加工性、寸法安定性、耐熱性、耐熱性に優れたものであった。
(比較例1)
前記の固有粘度0.65のポリエチレンテレフタレート(PET)50重量部とGeneral Electric社製のポリエーテルイミド(PEI)”ウルテム”1010を50重量部を、150℃で5時間除湿乾燥した後、320〜290℃に加熱された(スクリューゾーン、押出ヘッド部で温度勾配を設定)二軸3段タイプのスクリュー(PETとPEIの混練可塑化ゾーン/ダルメージ混練ゾーン/逆ネジダルメージによる微分散相溶化ゾーン)を具備したベント式二軸押出機(L/D=40、ベント孔の減圧度は200Paとした)に供給して、滞留時間3分にて溶融押出し、ウルテムを50重量%含有したPET/PEIブレンドチップを得た。
次いで、得られたPET/PEIブレンドチップと前記の固有粘度0.65のPETチップを表1に示した含有量(重量%)となるように混合し、180℃で3時間減圧乾燥した後、押出機に投入し、285℃にて溶融押出し、繊維焼結ステンレス金属フィルター(14μmカット)を通過させた後、Tダイからシート状に吐出し、該シートを表面温度25℃の冷却ドラム上に静電印加法により密着固化させ冷却し、未延伸フィルムを得た。
続いて、この未延伸フィルムを、加熱された複数のロール群からなる縦延伸機を用い、ロールの周速差を利用して、105℃の温度でフィルムの縦方向に3.4倍の倍率で延伸した。その後、このフィルムの両端部をクリップで把持して、テンターに導き、幅方向に110℃の温度で3.7倍延伸し、引き続いて210℃の温度で3秒間熱処理を行なった後、170℃の温度ゾーンでさらに幅方向に3%弛緩処理を行なった後、室温に徐冷し、厚さ100μmの二軸配向フィルムを得た。得られた二軸配向フィルムの特性を表2に示す。ポリアリーレンスルフィド(b)を含有していない本比較例で得られた二軸配向フィルムは加工性、寸法安定性、耐熱性に優れていたが、耐湿熱性の劣ったものであった。
(比較例2)
PET/PPSブレンドチップと前記の固有粘度0.65のPETチップを表1に示した含有量(重量%)となるように混合し、180℃で3時間減圧乾燥した後、押出機に投入し、300℃にて溶融押出し、繊維焼結ステンレス金属フィルター(14μmカット)を通過させた後、Tダイからシート状に吐出し、該シートを表面温度25℃の冷却ドラム上に静電印加法により密着固化させ冷却し、未延伸フィルムを得た。
続いて、この未延伸フィルムを、加熱された複数のロール群からなる縦延伸機を用い、ロールの周速差を利用して、90℃の温度でフィルムの縦方向に4.0倍の倍率で延伸した。その後、このフィルムの両端部をクリップで把持して、テンターに導き、幅方向に90℃の温度で4.0倍延伸し、引き続いて180℃の温度で3秒間熱処理を行なった後、室温に徐冷し、厚さ100μmの二軸配向フィルムを得た。得られた二軸配向フィルムの特性を表2に示す。ポリイミド(c)を含有していない本比較例で得られた二軸配向フィルムは、耐熱性、耐湿熱性に優れていたが、加工性および寸法安定性の劣ったものであった。
(比較例3)
フィルムを構成するポリマーの含有量および製膜条件を表1に示した条件に変更する以外は実施例1と同様にして、二軸配向フィルムを作成した。ポリイミド(c)の含有量が本発明の好ましい範囲外である本比較例で得られた二軸配向フィルムは、製膜時に破れが頻繁に発生し安定製膜が不可能であった。
(比較例4)
フィルムを構成するポリマーを、前記の固有粘度0.65のポリエチレンテレフタレート(PET)100重量部を、180℃で3時間減圧乾燥した後、押出機に投入し、280℃にて溶融押出し、繊維焼結ステンレス金属フィルター(14μmカット)を通過させた後、Tダイからシート状に吐出し、該シートを表面温度25℃の冷却ドラム上に静電印加法により密着固化させ冷却し、未延伸フィルムを得た。
続いて、この未延伸フィルムを、加熱された複数のロール群からなる縦延伸機を用い、ロールの周速差を利用して、90℃の温度でフィルムの縦方向に3.4倍の倍率で延伸した。その後、このフィルムの両端部をクリップで把持して、テンターに導き、幅方向に95℃の温度で3.8倍延伸し、引き続いて210℃の温度で3秒間熱処理を行なった(幅方向に2%弛緩処理)後、150℃の温度ゾーンでさらに幅方向に2%弛緩処理を行なった後、室温に徐冷し、厚さ100μmの二軸配向フィルムを得た。得られた二軸配向フィルムの特性を表2に示す。本実施例で得られた二軸配向フィルムは、ポリアリーレンスルフィド(b)およびポリイミド(c)を含有していないため、寸法安定性、耐熱性、耐熱性が劣ったものであった。
Figure 2006169512
ここで、表中の略号を以下に示す。
PET:ポリエチレンテレフタレート
PEN:ポリエチレン−2,6−ナフタレート
PPS:ポリフェニレンスルフィド
PEI:ポリエーテルイミド
Figure 2006169512
本発明の二軸配向フィルムは、優れた熱寸法安定性、耐熱性、耐湿熱性を有し、かつ加工性に優れ、電気絶縁用、コンデンサ用、包装用、インクリボン用、回路基板用などの各種工業材料用フィルムとして広く活用が可能であり、その工業的価値は極めて高い。

Claims (6)

  1. ポリエステル(a)、ポリアリーレンスルフィド(b)およびポリイミド(c)を含み、前記ポリイミド(c)の含有量がフィルムの全重量に対し5〜50重量%である二軸配向フィルム。
  2. ポリイミド(c)がポリエーテルイミドである、請求項1に記載の二軸配向フィルム。
  3. ポリアリーレンスルフィド(b)がポリフェニレンスルフィドであり、このポリフェニレンスルフィドの含有量がフィルム全重量に対し0.1〜30重量%である、請求項1または2に記載の二軸配向フィルム。
  4. ポリエステル(a)がポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレートおよびこれらの共重合体からなる群から選ばれる少なくとも1種のポリエステルである、請求項1〜3のいずれかに記載の二軸配向フィルム。
  5. 破断伸度が長手方向、幅方向ともに70%以上である、請求項1〜4のいずれかに記載の二軸配向フィルム。
  6. 加熱条件を150℃、30分間としたときの長手方向の熱収縮率が3%未満である、請求項1〜5のいずれかに記載の二軸配向フィルム。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2010234804A (ja) * 2009-03-12 2010-10-21 Toray Ind Inc 二軸配向積層フィルム
CN104497503A (zh) * 2014-12-25 2015-04-08 长园集团股份有限公司 一种电工用无卤阻燃f级耐高温聚酯热收缩管及其制备方法

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