JP5423464B2 - 二軸配向積層フィルム - Google Patents

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本発明は二軸配向フィルムに関し、詳しくは、優れた耐加水分解性、好ましくオリゴマー析出抑止性を有し、かつ耐熱性、耐候性および加工性が向上した二軸配向積層フィルムに関する。
ポリエステルフィルムは優れた機械特性、熱特性、電気特性、表面特性、耐熱性、耐候性などの性質を利用して、磁気記録媒体用、電気絶縁用、コンデンサー用、包装用、各種工業材料用など種々の用途に用いられている。これら用途の高品質化の中で、特に高温環境下での寸法安定性や耐熱性、耐加水分解性の向上などが要求されている。しかしポリエチレンテレフタレート(以下PETという)単体からなるポリエステルフィルムは、高温環境下での寸法安定性や耐熱性、耐加水分解性が十分でない。またフィルムから析出するオリゴマーがフィルム加工工程の汚れ起因になったり、モーター絶縁用では冷媒によって抽出されることで冷媒圧縮部の信頼性低下を引き起こすなど、その適用が限定されているのが現状であり、オリゴマーの析出を抑制すること(オリゴマー析出抑止性)が求められている。こうしたポリエステルフィルムの問題点の改良は強く望まれている。
近年、ポリエステルフィルムの耐熱性を高めるために、ポリエステルに他の熱可塑性樹脂ブレンドするなどの方法が検討されている。例えば、特許文献1では、ポリエステルとポリイミド系樹脂のブレンド物については、ポリイミド系樹脂分率の増加に伴って耐熱性の指標となるガラス転移温度が上昇することが文献に開示されている。しかしながら、ポリエステルとポリイミドとからなる組成物は、ポリエステル単体の場合に比べるとガラス転移温度付近(100〜120℃)での熱寸法安定性、150〜200℃付近の高温での機械的長期耐熱性には優れているものの(例えば、特許文献2参照)、高温多湿環境下での耐加水分解性については不十分であった。耐加水分解性が不十分な場合、例えば、近年、開発が行われている冷媒などを使用する給湯器モーター用電気絶縁材料や、ハイブリッド車などに使用されるカーエアコン用モーターや駆動モーター用などの電気絶縁材料などでは、高温環境下での連続使用中にフィルムが劣化してしまい、絶縁性を損失するなどの問題が発生する。また近年、地球温暖化の原因となる石油エネルギーに代わるエネルギー手段として、太陽電池が注目を浴びており、太陽電池の効率を向上させるための要求も高まっており、自然環境に対する耐久性(耐加水分解性)向上も要求されていることからその適用が困難であった。
一方、優れた耐熱性、耐加水分解性、バリア性、耐薬品性、電気絶縁性などを有するポリフェニレンスルフィド(以下PPSと略す)はエンジニアリングプラスチックとしては好適な性質を有しており、各種電気・電子部品、機械部品および自動車部品などに使用されているが、靱性が不足しており加工時に曲げなどを必要とする給湯器モーター用電気絶縁材料や、ハイブリッド車などに使用されるカーエアコン用モーターや駆動モーター用などの電気絶縁材料用途などでは加工時に割れが生じ易く、また太陽電池のように屋外に暴露される環境下で使用する用途には耐候性が不十分なため、フィルムが劣化するなどその適用が困難であった。
上記のように給湯器モーター用電気絶縁材料や、ハイブリッド車などに使用されるカーエアコン用モーターや駆動モーター用などの電気絶縁材料や太陽電池バックシート用などにポリエステルフィルム単体やポリフェニレンスルフィドフィルム単体で使用する場合にはそれぞれ課題を有していた。
このような課題を解決するために、ポリエステルを基層部とし表層部にポリフェニレンスルフィドを積層することで両者の特性を活かし、かつ、両者の欠点を補うことが提案されている。例えば、特許文献3ではPETフィルムの耐熱性および耐加水分解性を向上させる目的でPETを基層部とし表層部にPPSを積層させる積層フィルムが提案されているが、近年、耐久温度が高温化傾向にあるモーター用電気絶縁材料や太陽電池バックシート用などに用いた場合に耐熱性および耐加水分解性の向上が不十分でありその適用が困難であった。また特許文献4では基層部ポリエステルの耐熱性および耐加水分解性を向上させるためにポリエステルとポリイミドとからなる組成物を使用し、表層部にPPSを積層させることでフィルム全体の耐熱性、耐加水分解性をさらに向上させた積層フィルムが提案されている。しかしながら特許文献4のフィルムは耐熱性および耐加水分解性に加え熱寸法安定性向上させ、コンデンサー用に適したフィルムを得る目的からフィルムの固有粘度が低く、製膜時の延伸倍率を低くし、延伸後の熱処理温度を高く設定している故に、近年、耐久温度が高温化傾向にあるモーター用電気絶縁材料や太陽電池バックシート用などに用いた場合に耐熱性および耐加水分解性の向上が不十分であった。また太陽電池用に求められる耐候性においても同様に不十分であり、さらなる改良が求められている。
米国特許第4141927号明細書 特開平14−245857号公報 特開平9−183202号公報 特開2003−136658号公報
本発明の課題とするところは、優れた耐加水分解性、好ましくオリゴマー析出抑止性を有し、かつ耐熱性、耐候性および加工性を向上させた二軸配向積層フィルムを提供するところにある。
上記課題を達成するための本発明は、ポリエステル(a)とポリイミド(b)とを含む熱可塑性樹脂からなる基層部(B層)の少なくとも片側にポリアリーレンスルフィドを含む熱可塑性樹脂からなる表層部(A層)を積層してなる二軸配向積層フィルムであって、該基層部(B層)を構成する樹脂の固有粘度が0.65dl/g以上、かつ、フィルムを125℃、100%RHの条件下で湿熱処理したときのフィルムの破断伸度の半減時間が72時間以上、フィルムの長手方向および幅方向の破断伸度が70%以上であることを特徴とする二軸配向積層フィルムを骨子とする。
本発明によれば、優れた耐加水分解性、好ましくオリゴマー析出抑止性を有し、かつ耐熱性、耐候性および加工性を向上させた二軸配向積層フィルムとできるので、電気絶縁用、太陽電池用、包装用、インクリボン用、回路基板用、コンデンサー用などの各種工業材料用フィルム、詳しくは、給湯器モーター用電気絶縁材料や、ハイブリッド車などに使用されるカーエアコン用モーターや駆動モーター用などの電気絶縁材料、太陽電池バックシート用フィルムとして好適に使用できる。
以下、本発明の二軸配向積層フィルムについて説明する。
本発明のフィルムは優れた耐加水分解性、好ましくオリゴマー析出抑止性を有し、かつ耐熱性、耐候性および加工性を向上させたフィルムを得る観点から、ポリエステル(a)とポリイミド(b)とを含む熱可塑性樹脂からなる基層部(B層)の少なくとも片側にポリアリーレンスルフィドを含む熱可塑性樹脂からなる表層部(A層)を積層してなることが必須である。ポリエステル(a)とポリイミド(b)とを含む熱可塑性樹脂からなる単膜フィルムの場合、耐加水分解性が不十分なため、例えば、モーター絶縁用や太陽電池用など高温多湿環境下の条件ではフィルムが劣化することがある。また冷媒を使用するモーター絶縁用途においては該冷媒によって抽出される成分(例えば、フィルム中のオリゴマー等)によって冷媒圧縮部の信頼性を低下させることがある。他方、ポリアリーレンスルフィドを含む熱可塑性樹脂からなる単膜フィルムの場合、オリゴマー析出などの懸念はない一方で、破断伸度が不足し、例えば、モーター絶縁用のスロットライナーやウェッジとして用いる際にフィルムを加工する工程で靭性が不足して破損したり、実用上使用に耐えないことがあり、太陽電池用とした場合は耐候性が不足するため屋外暴露中にフィルムが劣化し太陽電池の効率低下を招き実用上使用に耐えられないことがある。
ここで、基層部(B層)に表層部(A層)を積層する方法としては、生産工程の簡略化、低コスト化および本発明の効果を得る観点から少なくとも2台以上の押出機を用いて共押出しによる積層方法が好ましい。共押出しによる積層において、表層部(A層)を形成するポリアリーレンスルフィドを含む熱可塑性樹脂と基層部(B層)を形成するポリエステル(a)とポリイミド(b)とを含む熱可塑性樹脂は、溶融押出装置と口金の間のポリマー流路内で合流し積層されるが、口金出口より上流側(例えば、合流ブロックや口金内のマニホールド)で合流積層されるのが好ましい。すなわち、別々の溶融押出し装置に供給され、個々の組成物の融点以上に加熱、溶融されたポリエステル(a)とポリイミド(b)とを含む熱可塑性樹脂とポリアリーレンスルフィドを含む熱可塑性樹脂は、押出装置と口金の間に設けられた合流装置で溶融状態で2層以上に積層され、スリット状の口金出口より押し出される。かかる溶融積層物を回転冷却ドラム上でポリエステル組成物のガラス転移温度(Tg)以下に冷却し、実質的に非晶状態の積層シートを得る。溶融押出装置は既知の装置が適用可能であるが、エクストルーダが簡便であり、好ましい。合流装置は、積層フィルムの構成によりA/Bの2層積層、A/B/Aの3層積層などが挙げられる。優れた耐加水分解性、オリゴマー析出抑止性を有し、かつ耐熱性、耐候性および加工性を向上させたフィルムを得る観点からA/B/Aの3層積層とすることが好ましい。本発明は、表層部(A層)と基層部(B層)を別々に製膜し貼り合わせて作製することもできるが接着法によっては積層界面の接着強度が十分で無いこともある。また、A/B/Aの3層構成やA/B/A/B/Aの5層構成のようにポリエステル(a)とポリイミド(b)とを含む熱可塑性樹脂からなる基層部(B層)の外側(フィルム表面側)にポリアリーレンスルフィドを含む熱可塑性樹脂からなる表層部(A層)を設けることによって、オリゴマー析出抑止性を発現させることができる。
本発明の二軸配向積層フィルムにおいて、溶融共押出積層の際には、表層部(A層)を構成するポリアリーレンスルフィドを含む熱可塑性樹脂と基層部(B層)を構成するポリエステル(a)とポリイミド(b)とを含む熱可塑性樹脂の押出し量を調整するなどして、二軸配向積層フィルムとした時の表層部(A層)の合計厚みが積層フィルムの全厚みに対して10〜60%となるようにすることが好ましい。より好ましくは14〜50%、さらに好ましくは20〜40%である。二軸配向積層フィルムとした時の表層部(A層)の厚さの合計が、積層フィルム全厚みの10%未満である場合、表層部(A層)の積層厚みが薄すぎるため用途によっては耐加水分解性や耐熱性の面での効果が十分に得られ難かったり、オリゴマーの抑制効果が得られ難い場合がある。他方、表層部(A層)の厚さの合計が、積層フィルム全厚みの60%を超える場合、破断伸度が低下し、例えばモーター絶縁用として用いた場合に加工性が悪化したり、また太陽電池用として用いた場合は耐候性が不十分となる場合があるため屋外暴露中にフィルムが劣化し、太陽電池の効率低下を招き実用上使用に耐えられないことがある。
なお、本発明の二軸配向積層フィルムの表層部(A層)、基層部(B層)の厚みは、例えば超薄切片法などでフィルム断面を作成し、光学顕微鏡、走査型電子顕微鏡、透過型電子顕微鏡などを用いて、求めことができる。
本発明の二軸配向積層フィルムのポリエステル(a)とは、ジオールとジカルボン酸あるいはそのエステル形成性誘導体の縮重合により得られるポリマーを少なくとも80重量%含有するポリマーである。ジカルボン酸とは、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルスルフォンジカルボン酸、ベンゾフェノンジカルボン酸、4、4’−ジフェニルジカルボン酸、3、3’−ジフェニルジカルボン酸、などの芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、コハク酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸などの脂肪族ジカルボン酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、1、3−アダマンタンジカルボン酸などの脂環族ジカルボン酸あるいはそのエステル形成性誘導体などで代表されるものであり、また、エステル形成性誘導体とは、テレフタル酸ジメチル、イソフタル酸ジメチル、フタル酸ジメチルなどである。一方、ジオールとは、エチレングリコール、1、3−プロパンジオール、1、4−ブタンジオール、1、6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1、4−シクロヘキサンジメタノールなど、1、4−ブタンジオール、1、6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコールなどの脂肪族、脂環式ジオールクロルハイドロキノン、メチルハイドロキノン、4、4’−ジヒドロキシビフェニル、4、4’−ジヒドロキシジフェニルスルフォン、4、4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4、4’−ジヒドロキシベンゾフェノン、p−キシレングリコールなどの芳香族ジオールなどをあげることができる。また、上記の酸成分、グリコール成分以外に、p−ヒドロキシ安息香酸、m−ヒドロキシ安息香酸、2、6−ヒドロキシナフトエ酸などの芳香族ヒドロキシカルボン酸およびp−アミノフェノール、p−アミノ安息香酸などを本発明の目的を損なわない程度で用いることができる。ポリエステルの具体的としては、例えば、ポリメチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリエチレンイソフタレート、ポリテトラメチレンテレフタレート、ポリエチレン−p−オキシベンゾエート、ポリ−1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレートを挙げることができる。勿論、これらのポリエステルは、ホモポリマーであってもコポリマーであってもよく、コポリマーの場合、共重合成分として、例えば、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ポリアルキレングリコールなどのジオール成分、アジピン酸、セバチン酸、フタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸などのジカルボン酸成分、ヒドロキシ安息香酸、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸などのヒドロキシカルボン酸成分を含有していても良い。
本発明の場合、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート、これらの共重合体が好ましく、中でもエチレンテレフタレート単位を少なくとも70モル%以上含有するポリマーが本発明の効果発現の観点から特に好ましい。
本発明の二軸配向積層フィルムの基層部(B層)を構成する樹脂の固有粘度は0.65dl/g以上である。基層部(B層)を構成する樹脂の固有粘度が0.65dl/g未満であると耐熱性、耐加水分解性、オリゴマー析出抑止性および耐候性が劣ったフィルムとなる。より好ましくは0.70dl/g以上、さらに好ましくは0.72dl/g以上である。基層部(B層)を構成する樹脂の固有粘度の上限は特に限定されないが、上限としては溶融押出時における粘度が高くなって押出機への負荷がかかり、製膜性が悪化する場合があるため1.8dl/g以下程度が適切である。なお、基層部(B層)を構成する樹脂の固有粘度は二軸配向積層フィルムをオルソクロロフェノールに溶解させ、オルソクロロフェノールに溶解しないポリアリーレンスルフィド(A層部分)を遠心分離した溶液を用いることで測定できる。二軸配向積層フィルムの基層部(B層)を構成する樹脂の固有粘度を本発明の範囲内とするためにはポリエステル(a)の固有粘度は0.70〜2.0dl/gが好ましく、より好ましくは0.8〜1.5dl/gである。ポリエステル(a)の固有粘度が2.0dl/gを越える場合、溶融押出時における粘度が高いため押出機への負荷がかかり溶融押出が困難となる場合がある。
本発明の二軸配向積層フィルムのポリイミド(b)とは、環状イミド基を含有する溶融成形性のポリマーであり、特に限定されないが、脂肪族、脂環族または芳香族系のエーテル単位と環状イミド基を繰り返し単位として含有するポリエーテルイミドが好ましい。
このようなポリエーテルイミドとしては、例えば、米国特許第4141927号明細書、日本特許第2622678号公報、同特許第2606912号公報、同特許第2606914号公報、同特許第2596565号公報、同特許第2596566号公報、同特許第2598478号公報などに記載のポリエーテルイミド、日本特許第2598536号公報、同特許第2599171号公報、同特開平9−48852号公報、同特許第2565556号公報、同特許第2564636号公報、同特許第2564637号公報、同特許第2563548号公報、同特許第2563547号公報、同特許第2558341号公報、同特許第2558339号公報および同特許第2834580号公報に記載のポリマー等が挙げられる。
また、本発明の効果が阻害されない範囲であれば、ポリイミドの主鎖に環状イミドとエーテル単位以外の構造単位、例えば、芳香族、脂肪族、脂環族エステル単位およびオキシカルボニル単位等が含有されていても良い。
また、本発明の効果が阻害されない範囲であれば、ポリエーテルイミドの主鎖に環状イミドとエーテル単位以外の構造単位、例えば、芳香族、脂肪族、脂環族エステル単位およびオキシカルボニル単位等が含有されていても良い。
本発明で好ましく使用できるポリエーテルイミドの具体例としては、下記一般式で示されるポリマーを例示することができる。
Figure 0005423464
ただし、上記式中、Rは、6〜30個の炭素原子を有する2価の芳香族または脂肪族残基であり、Rは、6〜30個の炭素原子を有する2価の芳香族残基、2〜20個の炭素原子を有するアルキレン基、2〜20個の炭素原子を有するシクロアルキレン基、及び2〜8個の炭素原子を有するアルキレン基で連鎖停止されたポリジオルガノシロキサン基からなる群より選択された2価の有機基である。また、上記R、Rとしては、例えば、下記式群に示される芳香族残基を挙げることができる。
Figure 0005423464
本発明では、熱可塑性樹脂との相溶性および溶融成形性の観点から、ガラス転移温度が好ましくは350℃以下、より好ましくは250℃以下のポリエーテルイミドが好ましく、下記式で示される構造単位を有する、2,2−ビス[4−(2,3−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン二無水物とm−フェニレンジアミンまたはp−フェニレンジアミンとの縮合物およびこれらの共重合体ならびに変性体が、熱可塑性樹脂との相溶性、コストおよび溶融成形性等の観点から最も好ましい。このポリエーテルイミドは、ジーイープラスチックス社製で市販されており、「Ultem1000」、「Ultem5000」および「Ultem6000」シリーズの登録商標名で知られているものである。
Figure 0005423464
または
Figure 0005423464
本発明の二軸配向積層フィルムの基層部(B層)におけるポリエーテルイミドの含有量は、基層部(B層)全体に対して1〜50重量%であることが好ましく、耐熱性および耐候性を向上させる観点から、より好ましくは5〜35重量%、さらに好ましくは10〜30重量%である。ポリエーテルイミドの含有量が1重量%未満であると、耐熱性および耐候性の向上効果が劣る場合があり、他方、50重量%を超えると製膜時に破れが生じやすくなるため好ましくない。
本発明において、ポリイミド(b)をポリエステル(a)に添加する時期は、特に限定されないが、ポリエステルの重合前、例えば、エステル化反応前に添加してもよいし、重合後に溶融押出前に添加してもよい。また、溶融押出前に、ポリエステルとポリイミドをペレタイズしてもよい。
本発明の二軸配向積層フィルムに用いるポリアリ−レンスルフィドとは、−(Ar−S)−の繰り返し単位を有するホモポリマ−あるいはコポリマ−である。Arとしては下記の式(A)〜式(K)などで表される構成単位などが挙げられる。
Figure 0005423464
(R1,R2は、水素、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン基から選ばれた置換基であり、R1とR2は同一でも異なっていてもよい。)
本発明に用いるポリアリ−レンスルフィドの繰り返し単位としては、上記の式(A)で表される構造式が好ましく、これらの代表的なものとして、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンスルフィドスルホン、ポリフェニレンスルフィドケトン、これらのランダム共重合体、ブロック共重合体及びそれらの混合物などが挙げられる。特に好ましいポリアリ−レンスルフィドとしては、フィルム物性と経済性の観点から、ポリフェニレンスルフィド(PPS)が好ましく例示され、ポリマーの主要構成単位として下記構造式で示されるp−フェニレンスルフィド単位を好ましくは80モル%以上、より好ましくは90モル%以上、更に好ましくは95モル%以上含む樹脂である。かかるp−フェニレンスルフィド成分が80モル%未満では、ポリマーの結晶性や熱転移温度などが低く、PPSの特徴である耐熱性、寸法安定性、機械特性および誘電特性などを損なうことがある。
Figure 0005423464
上記PPS樹脂において、繰り返し単位の20モル%未満、好ましくは10モル%未満であれば、共重合可能な他のスルフィド結合を含有する単位が含まれていても差し支えない。繰り返し単位の20モル%未満、好ましくは10モル%未満の繰り返し単位としては、例えば、3官能単位、エ−テル単位、スルホン単位、ケトン単位、メタ結合単位、アルキル基などの置換基を有するアリ−ル単位、ビフェニル単位、タ−フェニレン単位、ビニレン単位およびカーボネート単位などが例として挙げられ、具体例として、下記の構造単位を挙げることができる。これらのうち一つまたは二つ以上共存させて構成することができる。この場合、該構成単位は、ランダム型またはブロック型のいずれの共重合方法であってもよい。
Figure 0005423464
実質的にp−フェニレンスルフィドのみからなるPPS、もしくは3官能成分が1モル%以下添加され99モル%以上がp−フェニレンスルフィドからなるPPSがフィルム原料としてコスト、製膜性、特に高温でのフィルム性能などの観点から最も好ましい。なお、この場合、得られるPPS樹脂の融点は280〜290℃、ガラス転移温度は90〜95℃に観察される。
PPS樹脂およびPPS樹脂組成物の溶融粘度は、溶融混練が可能であれば特に限定されないが、温度310℃で剪断速度1,000(1/sec)のもとで、100〜2000Pa・sの範囲であることが好ましく、さらに好ましくは200〜1,000Pa・sの範囲である。
本発明でいうPPSは種々の方法、例えば、特公昭45−3368号公報に記載される比較的分子量の小さな重合体を得る方法、あるいは、特公昭52−12240号公報や特開昭61−7332号公報に記載される比較的分子量の大きい重合体を得る方法などによって製造することができる。
本発明において、得られたPPS樹脂を、空気中加熱による架橋/高分子量化、窒素などの不活性ガス雰囲気下あるいは減圧下での熱処理、有機溶媒、熱水および酸水溶液などによる洗浄、酸無水物、アミン、イソシアネ−トおよび官能基ジスルフィド化合物などの官能基含有化合物による活性化など、種々の処理を施した上で使用することも可能である。
次に、PPS樹脂の製造法を例示するが、本発明では特にこれに限定されない。例えば、硫化ナトリウムとp−ジクロロベンゼンをN−メチル−2−ピロリドン(NMP)などのアミド系極性溶媒中で、高温高圧下で反応させる。必要に応じて、トリハロベンゼンなどの共重合成分を含ませることも可能である。重合度調整剤として苛性カリやカルボン酸アルカリ金属塩などを添加し230〜280℃で重合反応させる。重合後にポリマを冷却し、ポリマを水スラリーとしてフィルターで濾過後、粒状ポリマを得る。これを酢酸もしくは酢酸塩などの水溶液中で30〜100℃、10〜60分攪拌処理し、イオン交換水にて30〜80℃で数回洗浄、乾燥してPPS粉末を得る。この粉末ポリマを酸素分圧10ト−ル以下、好ましくは5ト−ル以下でNMPにて洗浄後、30〜80℃のイオン交換水で数回洗浄し、5ト−ル以下の減圧下で乾燥する。かくして得られたポリマ−は、実質的に線状のPPSポリマ−であるので、安定した延伸製膜が可能になる。もちろん必要に応じて、他の高分子化合物や酸化珪素、酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、酸化チタン、酸化アルミニウム、架橋ポリエステル、架橋ポリスチレン、マイカ、タルクおよびカオリンなどの無機や有機化合物や熱分解防止剤、熱安定剤および酸化防止剤などを添加してもよい。
本発明の二軸配向積層フィルムはモーター絶縁用や太陽電池用など高温多湿環境下で好適に用いられる観点から、125℃、100%RHの条件下で湿熱処理したときのフィルムの破断伸度の半減時間が72時間以上であることが必須である。ここでフィルムの破断伸度の半減時間とは湿熱処理前の破断伸度に対し、湿熱処理後の破断伸度の保持率が50%以下となる時間を意味する。例えば、近年、開発が行われている冷媒などを使用する給湯器モーター用電気絶縁材料や、ハイブリッド車などに使用されるカーエアコン用モーターや駆動モーター用などの電気絶縁材料などでは、モーターおよびその周辺の温度が現状設計より高温かつ多湿傾向になるため使用するフィルムの耐湿熱性向上が要求されている。また近年、地球温暖化の原因となる石油エネルギーに代わるエネルギー手段として、太陽電池が注目を浴びており、太陽電池の効率を向上させるための要求も高まっており、屋外暴露中の自然環境に対する耐久性(耐加水分解性)向上も要求されている。そのため125℃、100%RHの条件下で湿熱処理したときのフィルムの破断伸度の半減時間が72時間に満たないフィルムは高温環境下での連続使用中にフィルムが劣化してしまい、例えば、給湯器モーター用電気絶縁材料や、ハイブリッド車などに使用されるカーエアコン用モーターや駆動モーター用などに使用した場合は絶縁性を損失するなど信頼性低下の問題が発生し、太陽電池用に使用した場合は太陽電池の効率が低下するなどの問題が発生する場合がある。
係る破断伸度の半減時間72時間以上とする好ましい方法としては、例えば、二軸配向積層フィルムの基層部(B層)を構成する樹脂の固有粘度を0.65以上として、製膜工程において面積倍率が12倍以上18倍以下になるよう長手方向および幅方向に延伸し、延伸後の熱固定温度を160℃以上230℃以下とする方法が挙げられる。ここで面積延伸倍率が12倍未満の場合、分子鎖の配向性が弱く湿熱処理中に分子鎖緩和の進行速度が早くなるため耐加水分解性が不十分なフィルムとなる場合がある。他方、面積延伸倍率が18倍を超える場合、製膜時の延伸倍率を極めて高倍率にする必要を生じる場合があって、延伸工程でフィルムが破断するおそれがある。また延伸後の熱固定温度が160℃未満の場合、フィルムの結晶構造が不十分なため湿熱処理中に劣化しやすく、他方、延伸後の熱固定温度が230℃を超える場合、延伸工程で形成した分子鎖配向が熱処理工程において緩和するため、耐加水分解性が不十分なフィルムとなる場合がある。
本発明の二軸配向積層フィルムはフィルムの長手方向および幅方向の破断伸度が70%以上であるより好ましくは80%以上であり、さらに好ましく100%以上である。フィルムの長手方向および幅方向の破断伸度が70%未満の場合は、例えば、モーター絶縁用として用いた場合、屈曲性を必要とする加工時において靱性が不足し割れや、クラックを生じるなど問題が発生しやすい。係る破断伸度の上限は特に限定されないが200%とする。引張破断伸度を200%以上とすることは、製膜時の延伸倍率を極めて低倍率にする必要を生じる場合があり、分子鎖の配向性が弱くなるため耐熱性、耐加水分解性および耐候性を著しく悪化させたり、延伸工程でフィルムの平面性が悪化するおそれがある。
本発明の二軸配向積層フィルムは耐熱性、耐候性および加工性を向上させる観点から、表層部(A層)にポリエーテルイミドを含み、該ポリエーテルイミドが表層部(A層)全体に対し1〜30重量%含むことが好ましく、より好ましくは3〜20重量%、さらに好ましくは5〜15重量%である。表層部(A層)のポリエーテルイミドの含有量が30重量%を超える場合、延伸性が悪く製膜性に劣る場合がある。ポリエーテルイミドの含有量が1重量%未満であると、耐熱性、耐候性および加工性の向上効果が得られ難い場合がある。
かかる特性を発現するため本発明の二軸配向積層フィルムの表層部(A層)にポリエーテルイミドを含む場合、表層部(A層)においてポリアリ−レンスルフィドが連続相(海相あるいはマトリックス)を形成し、ポリエーテルイミドが分散相(島相あるいはドメイン)を形成し、その分散相の平均分散径の平均値は50〜500nmであることが好ましい。平均分散径の平均値の好ましい範囲は60〜300nmであり、さらに好ましくは70〜200nmである。ポリアリ−レンスルフィドが連続相を形成することによりポリアリ−レンスルフィドの耐熱性、耐加水分解性、耐薬品性の優れた特性をフィルムに大きく反映され、平均分散径を上記の範囲にすることにより、耐熱性、耐候性および加工性を付与することが可能となる。
ここでいう分散相の平均分散径とは、(ア)長手方向に平行かつフィルム面に垂直な方向、(イ)幅方向に平行かつフィルム面に垂直な方向、(ウ)フィルム面に対して平行な方向に切断した面において、それぞれの面でサンプリングした粒子の径から計算される。ここで、(ア)の切断面に現れる分散相のフィルム厚み方向の最大長さ(la)と長手方向の最大長さ(lb)、(イ)の切断面に現れる分散相のフィルム厚さ方向の最大長さ(lc)と幅方向の最大長さ(ld)、(ウ)の切断面に現れる分散相のフィルム長手方向の最大長さ(le)と幅方向の最大長さ(lf)を求め、分散相の形状指数I=(lbの数平均値+leの数平均値)/2、形状指数J=(ldの数平均値+lfの数平均値)/2、形状指数K=(laの数平均値+lcの数平均値)/2とし、分散相の平均分散径は各形状指数の平均、すなわち、(I+J+K)/3として求まる。
測定は、サンプルを超薄切片法で作製し、透過型電子顕微鏡を用いて、加圧電圧100kVの条件下で観察し、2万倍で写真を撮影して、得られた写真をイメ−ジアナライザ−に画像として取り込み、必要に応じて、画像処理を行うことにより、上記(ア)(イ)(ウ)の各面毎に任意の100個の分散粒子をサンプリングしてその径(長さ)を測定する。
表層部(A層)に含まれるポリエーテルイミドの分散相の形状は、球状もしくは細長い島状、小判状、あるいは繊維状であることが好ましい。分散相のアスペクト比は、1〜20の範囲であることが好ましい。さらに好ましい分散相のアスペクト比の範囲は1〜10であり、より好ましい範囲は1〜5である。これら島成分のアスペクト比を上記範囲にすることにより、破断伸度の向上した二軸配向ポリアリ−レンスルフィドフィルムを得やすいので好ましい。ここで、アスペクト比は、分散相の平均長径/平均短径の比を意味するものである。該アスペクト比は、透過型電子顕微鏡や走査型電子顕微鏡などの手法を用いて測定することができる。例えば、サンプルを超薄切片法で作製し、透過型電子顕微鏡を用いて、加圧電圧100kVの条件下で観察し、2万倍で写真を撮影して、得られた写真をイメ−ジアナライザ−に画像として取り込み、画像処理を行うことにより、アスペクト比を計算することができる。
本発明の二軸配向積層フィルムの表層部(A層)にポリエーテルイミドを含む場合、ポリアリーレンスルフィドとポリエーテルイミドを混合する時期は、特に限定されないが、溶融押出前に、ポリアリーレンスルフィドとポリエーテルイミドの混合物を予備溶融混練(ペレタイズ)してマスターチップ化する方法や、溶融押出時に混合して溶融混練させる方法などがある。中でも、二軸押出機などのせん断応力のかかる高せん断混合機を用いて予備混練してマスターチップ化する方法などが好ましく例示される。その場合、通常の一軸押出機に該混合されたマスターチップ原料を投入して溶融製膜してもよいし、高せん断を付加した状態でマスターチップ化せずに直接にシーティングしてもよい。特に、溶融押出前に、それぞれの樹脂の混合物を予備溶融混練(ペレタイズ)してマスターチップ化する方法が好ましい。
本発明の二軸配向積層フィルムの表層部(A層)にポリエーテルイミドを含む場合、ポリエーテルイミドのドメインの分散径を制御するために、相溶化剤として、エポキシ基、アミノ基、イソシアネ−ト基から選択される一種以上の基を有する化合物を添加してもよい。かかる相溶化剤の具体例としては、ビスフェノ−ルA、レゾルシノ−ル、ハイドロキノン、ピロカテコ−ル、ビスフェノ−ルF、サリゲニン、1,3,5−トリヒドロキシベンゼン、ビスフェノ−ルS、トリヒドロキシ−ジフェニルジメチルメタン、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、1,5−ジヒドロキシナフタレン、カシューフェノール、2,2,5,5.−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサンなどのビスフェノ−ル類のグリシジルエ−テル、ビスフェノ−ルの替わりにハロゲン化ビスフェノ−ルを用いたもの、ブタンジオ−ルのジグリシジルエ−テルなどのグリシジルエ−テル系エポキシ化合物、フタル酸グリシジルエステル等のグリシジルエステル系化合物、N−グリシジルアニリン等のグリシジルアミン系化合物等々のグリシジルエポキシ樹脂、エポキシ化ポリオレフィン、エポキシ化大豆油等の線状エポキシ化合物、ビニルシクロヘキセンジオキサイド、ジシクロペンタジエンジオキサイド等の環状系の非グリシジルエポキシ樹脂などが挙げられる。
本発明の二軸配向積層フィルムは、フィルムに滑り性や耐摩耗性や耐スクラッチ性を付与したり、加工適性を向上するために、有機または無機の粒子を含有させることができる。粒子としては例えば酸化チタン、炭酸カルシウム、シリカ、アルミナやジルコニアなどの無機粒子やシリコーン粒子、架橋アクリル粒子や架橋ポリスチレン粒子などの有機粒子などの不活性粒子を例示でき、またポリマーの重合時に酢酸カルシウムや酢酸リチウムなどを使用し、ポリマーの重合過程で粒子を析出させることも可能である。
本発明の二軸配向積層フィルムの厚みは、目的に応じて適宜決定できるが、10μm以上、500μm以下であり、好ましくは、25μm以上、350μm以下である。フィルムの厚みが10μm未満では、フィルム全体の強度が不足しハンドリング性が悪化したり、例えば、モーター絶縁用として用いた場合は電気絶縁性が不足し、一方、500μmを越えると、フィルムが堅くなり加工が困難となるので注意すべきである。
また、本発明の目的を阻害しない範囲内において、熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、難燃剤、顔料、染料、脂肪酸エステルおよびワックスなどの有機滑剤などが添加されてもよい。
さらに、本発明の二軸配向積層フィルムは、本発明の目的を阻害しない範囲において、熱処理、成形、表面処理、ラミネート、コーティング、印刷、エンボス加工およびエッチングなどの任意の加工を行ってもよい。
次いで、本発明の二軸配向積層フィルムを製造する方法について、表層部(A層)のポリアリーレンスルフィドとしてポリフェニレンスルフィド(PPS)を用い、基層部(B層)のポリエステル(a)としてポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリイミド(b)としてポリエーテルイミド(PEI)「ウルテム」(ジーイープラスチックス社製 登録商標)を用いた二軸配向積層フィルムの製造を例に挙げて説明するが、本発明は、この説明によって限定されないことは無論である。
基層部(B層)に用いるポリエステル樹脂として、まず、常法に従いジメチルテレフタレートとエチレングリコールの混合物に、酢酸マグネシウムを添加して、常法により加熱昇温してエステル交換反応を行なう。次いで、該エステル交換反応生成物に、リン酸トリメチルを添加した後、酸化ゲルマニウムを添加し、重縮合反応層に移行する。次いで、加熱昇温しながら反応系を徐々に減圧して1mmHg以下の減圧下、290℃で常法により重合反応を進める。ここで、固有粘度が0.5程度のPET樹脂を得る。本発明では基層部(B層)のフィルムの固有粘度を0.65dl/g以上とすることで優れた耐加水分解性を有し、かつ耐熱性、耐候性および加工性を向上させる観点から、得られた固有粘度が0.5程度のPET樹脂をチップ状で、あらかじめ180℃以下の温度で予備結晶化させた後、190〜250℃で1torr程度の減圧下、10〜40時間固相重合させ、固有粘度が0.70dl/g〜2.0dl/gとしたPETチップを得ることが好ましい。また、重縮合反応における重合触媒としては、種々の化合物を適宜使用することができる。例えば、エステル交換反応触媒としては、酢酸リチウム、酢酸カルシウム、酢酸カルシウム、酢酸マグネシウムなどに代表されるアルカリ金属、アルカリ土類金属化合物、酢酸マンガン、酢酸コバルト、あるいはこれらの水和物があげられる。また、重合触媒としては、3酸化2アンチモン等のアンチモン系、2酸化ゲルマニウム等のゲルマニウム系、チタンアルコキシドなどの各種チタン系、アルミニウム系化合物、あるいはこれらの複合酸化物などが挙げられる。また、安定剤としては、種々のリン化合物を使用することができ、例えばリン酸、亜リン酸、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル、リン酸ジフェニルホスホネートなどがあげられる
粒子を添加する際には、例えば、粒子を合成時に得られる水ゾルやアルコールゾルをいったん乾燥させることなく添加すると粒子の分散性がよい。また、粒子の水スラリーを直接所定のPETチップと混合し、ベント式2軸混練押出機を用いて、PETに練り込む方法も有効である。粒子の含有量、個数を調節する方法としては、上記方法で高濃度の粒子のマスターを作っておき、それを製膜時に粒子を実質的に含有しないPETで希釈して粒子の含有量を調節する方法が有効である。
次いで、PET樹脂とPEI樹脂を混合する場合、溶融押出前に、前記の固相重合させた固有粘度が0.70dl/g〜2.0dl/gとしたPETチップとPEIチップの混合物を予備溶融混練(ペレタイズ)してPEI含有のポリエステルをマスターチップ化する方法が好ましく例示される。
本発明では、まず、前記PETチップとPEIチップを、重量比率が50/50で混合して、270〜300℃に加熱されたベント式の2軸混練押出機に供給して、溶融押出する。このときの剪断速度は50〜300sec−1が好ましく、より好ましくは100〜200sec−1、滞留時間は0.5〜10分が好ましく、より好ましくは1〜5分の条件である。さらに、上記条件にて相溶しない場合は、得られたチップを再び二軸押出機に投入し相溶するまで押出を繰り返してもよい。このとき固有粘度が0.70dl/g〜2.0dl/gとしたPETチップとPEIチップのマスターチップを得ることが好ましい。
このようにして得られたPEI含有のポリエステルマスターチップと希釈用PETチップを一定の割合で混合させ、180℃で3時間以上真空乾燥し、基層部(B層)に用いるPET/PEI原料とする。ここでPEIの含有量は、基層部(B層)を形成するフィルム全重量に対して1〜50重量%であることが耐熱性および耐候性向上の効果を得る観点から好ましい。
一方、表層部(A層)に用いるPPS樹脂は、例えば、硫化ナトリウムとp−ジクロロベンゼンをN-メチル-2ーピロリドン(NMP)などのアミド系極性溶媒中で、高温高圧下で反応させて得ることができる。必要に応じて、トリハロベンゼンなどの共重合成分を含ませることも可能である。重合度調整剤として苛性カリやカルボン酸アルカリ金属塩などを添加することもでき、230〜280℃で反応を行う。重合後にポリマを冷却し、ポリマを水スラリーとしてフィルターで濾過後、粒状ポリマを得る。これを酢酸塩などの水溶液中で30〜100℃、10〜60分攪拌処理し、イオン交換水にて30〜80℃で数回洗浄、乾燥してPPS粉末を得る。この粉末ポリマを酸素分圧10トール以下、好ましくは5トール以下でNMPにて洗浄後、30〜80℃のイオン交換水で数回洗浄し、5トール以下の減圧下で乾燥する。かくして得られたポリマは、実質的に線状のPPSポリマであるので、安定した製膜や延伸が可能になる。また、必要に応じて、他の高分子化合物や酸化珪素、酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、酸化チタン、酸化アルミニウム、架橋ポリエステル、架橋ポリスチレン、マイカ、タルクおよびカオリンなどの無機や有機化合物や熱分解防止剤、熱安定剤および酸化防止剤などを添加してもよい。
かくして得られたPPSのチップおよび必要に応じて適宜粒子を混合したチップを180℃で3時間以上真空乾燥し、表層部(A層)に用いるPPS原料とする。
次いで本発明のフィルムは優れた耐加水分解性、耐熱性、耐候性および加工性を向上させ、また好ましくオリゴマー析出抑止性を具備せしめる観点から、積層フィルムを作製するための2台の押出機(押出機1、押出機2)、マニホールドまたは合流ブロックを用いて、積層シートを作製する。上記により得られた、PPSのチップを300〜350℃の温度、好ましくは310〜330℃に加熱された押出機1(A層)に投入する。一方、PET/PEI原料を260〜300℃の温度、好ましくは270〜290℃に加熱された押出機2(B層)に投入する。その後、押出機1、2を経た溶融ポリマーをフィルターに通過させた後、合流ブロック用いて合流させて3層積層(A/B/A積層)し、その溶融積層ポリマーをTダイの口金を用いてシート状に吐出する。このシート状物を表面温度20〜70℃の冷却ドラム上に密着させて冷却固化し、実質的に無配向状態の未延伸積層フィルムを得る。本発明のフィルムは優れた耐加水分解性を有し、かつ耐熱性、耐候性および加工性を向上させる観点から、表層部(A層)の合計厚みが基層部(B層)の合計厚みに対して10〜60%であることが好ましい。
次に、この未延伸積層フィルムを二軸延伸し、二軸配向させる。延伸方法としては、逐次二軸延伸法(長手方向に延伸した後に幅方向に延伸を行う方法などの一方向ずつの延伸を組み合わせた延伸法)、同時二軸延伸法(長手方向と幅方向を同時に延伸する方法)、又はそれらを組み合わせた方法を用いることができる。
以下具体例として逐次二軸延伸法を挙げて説明すると、逐次二軸延伸は、未延伸積層フィルムを加熱ロール群で加熱し、延伸倍率は耐熱性、耐候性、耐加水分解性および加工性の良好なフィルムを得る観点から長手方向(MD方向)に3.0〜4.3倍、好ましくは3.1〜4.1倍、さらに好ましくは、3.2〜4.0倍に1段もしくは2段以上の多段で延伸する(MD延伸)。延伸温度は、Tg(PETのガラス転移温度)〜(Tg+50)℃、好ましくは(Tg+2)〜(Tg+40)℃の範囲である。本発明の積層フィルムの場合、延伸温度は、85℃〜135℃であり、より好ましくは、87℃〜125℃である。その後20〜50℃の冷却ロール群で冷却する。
MD方向の延伸に続く幅方向(TD方向)の延伸は、例えば、テンターを用いる方法が一般的である。このフィルムの両端部をクリップで把持して、テンターに導き、幅方向の延伸を行う(TD延伸)。延伸温度はTg(PETのガラス転移温度)〜(Tg+50)℃が好ましく、より好ましくは(Tg+2)〜(Tg+40)℃の範囲である。本発明の積層フィルムの場合、延伸温度は、85℃〜135℃であり、より好ましくは、87℃〜125℃である。延伸倍率は耐熱性、耐候性、耐加水分解性の良好なフィルムを得る観点から3.0〜4.3倍、好ましくは3.1〜4.1倍、さらに好ましくは、3.2〜4.0倍の範囲である。また、面積倍率(MD方向の倍率とTD方向の倍率の積)12倍以上、18倍以下が好ましく、13倍以上、16倍以下がより好ましい。面積延伸倍率が12倍未満の場合、分子鎖の配向性が弱く湿熱処理中に分子鎖緩和の進行速度が早くなるため125℃、100%RHの条件下で湿熱処理したときのフィルムの破断伸度の半減時間が72時間に満たないフィルムとなり、さらに本発明の効果である耐熱性および耐候性の向上効果が不十分なフィルムとなる場合がある。他方、面積延伸倍率が18倍を超える場合、製膜時の延伸倍率を極めて高倍率にする必要を生じる場合があって、フィルムの破断伸度が低下するため加工性向上の効果が得られ難く、また延伸工程でフィルムが破断するおそれがある。
次に、この延伸フィルムを緊張下で熱固定する。本発明では耐熱性、耐候性、耐加水分解性の良好なフィルムを得る観点から好ましい熱固定温度は160〜230℃であり、より好ましくは170℃〜220℃であり、さらに好ましくは180℃〜210℃である。延伸後の熱固定温度が160℃未満の場合、フィルムの結晶構造が不十分なため125℃、100%RHの条件下で湿熱処理したときのフィルムの破断伸度の半減時間が72時間に満たないフィルムとなり、さらに本発明の効果である耐熱性および耐候性の向上効果が不十分なフィルムとなる場合がある。他方、延伸後の熱固定温度が230℃を超える場合、延伸工程で形成した分子鎖配向が熱処理工程において緩和するため、125℃、100%RHの条件下で湿熱処理したときのフィルムの破断伸度の半減時間が72時間に満たないフィルムとなり、また、結晶構造の肥大化が進行しやすいためにフィルムが脆化しやすく、破断伸度の低下を招く場合があり、本発明の効果である成形加工性が不十分なフィルムとなる場合がある。さらにこのフィルムを40〜230℃、より好ましくは延伸温度以上熱固定温度以下の温度ゾーンで幅方向に弛緩処理する。弛緩率は、1〜10%であることが好ましく、より好ましくは2〜9%、さらに好ましくは4〜8%の範囲である。
さらに、フィルムを室温まで、必要ならば、長手および幅方向に弛緩処理を施しながら、フィルムを冷やして巻き取り、目的とする二軸配向積層フィルムを得る。
本発明の特性値の測定方法ならびに効果の評価方法は次の通りである。
(1)基層部(B層)を構成する樹脂の固有粘度[η]
オルトクロロフェノール中、25℃で測定した溶液粘度から、下式で計算した値を用いた。なお表層部(A層)のポリアリーレンスルフィドはオルトクロロフェノールには溶解しないため、遠心分離により該ポリマを除去後測定した。
ηsp/C=[η]+K[η]・C
ここで、ηsp=(溶液粘度/溶媒粘度)−1であり、Cは、溶媒100mlあたりの溶解ポリマ重量(g/100ml、通常1.2となるよう調整する)、Kはハギンス定数(0.343とする)である。また、溶液粘度、溶媒粘度はオストワルド粘度計を用いて測定した。単位は[dl/g]で示す。
(2)フィルム全厚みおよび各層の厚みおよび積層厚み比率
走査型電子顕微鏡(SEM)により、積層フィルムの断面写真を撮影し、測定倍率から逆算して求めた。
(3)破断伸度
フィルム長手方向および幅方向について、それぞれ長さ200mm、幅10mmの短冊状のサンプルを切り出して測定に供した。ASTM−D882−97に規定された方法に従って、引っ張り試験器を用いて25℃、65%RHにて破断伸度を測定した。初期引っ張りチャック間距離は100mmとし、引っ張り速度は300m/分とした。測定はサンプルを変更して20回行い、その破断伸度の平均値(X)を求めた。
(4)耐加水分解性(125℃、100%RH 湿熱処理における破断伸度の半減時間)
フィルム長手方向に、長さ200mm、幅10mmの短冊状のサンプルを切り出して用いた。ASTM−D882−97に規定された方法に従って、引っ張り試験器を用いて25℃、65%RHにて破断伸度を測定した。初期引っ張りチャック間距離は100mmとし、引っ張り速度は300m/分とした。測定はサンプルを変更して20回行い、その破断伸度の平均値(X)を求めた。また、フィルム長手方向に、長さ200mm、幅10mmの短冊状のサンプルを、高度加速寿命試験器(タバイエスペック(株)製プレッシャークッカーTPC−211型)を用いて125℃、100%RHの雰囲気下で放置した後、自然冷却し、このサンプルについて前記と同条件での引っ張り試験を20回行い、その破断伸度の平均値(Y)を求めた。得られた破断伸度の平均値(X)、(Y)から伸度保持率を次式で求めた。伸度保持率が50%以下となるまでの処理時間を破断伸度の半減時間とした。
伸度保持率(%)=(Y/X)×100
伸度保持率が50%以下となるまでの高度加速寿命試験器による処理時間を破断伸度の半減時間とした。
(5)耐熱性
フィルム長手方向に、長さ200mm、幅10mmの短冊状のサンプルを切り出して用いた。ASTM−D882−97に規定された方法に従って、引っ張り試験器を用いて25℃、65%RHにて破断伸度を測定した。初期引っ張りチャック間距離は100mmとし、引っ張り速度は300m/分とした。測定はサンプルを変更して20回行いその破断伸度の平均値(X)を求めた。また、フィルム長手方向に、長さ200mm、幅10mmの短冊状のサンプルを、ギアオーブンにいれ、200℃の雰囲気下で放置した後、自然冷却し、このサンプルについて前記と同条件での引っ張り試験を20回行い、その破断伸度の平均値(Y)を求めた。得られた破断伸度の平均値(X)、(Y)から伸度保持率を次式で求めた。
伸度保持率(%)=(Y/X)×100
伸度保持率が50%以下となるまでのギアオーブン中での処理時間を破断伸度の半減時間とした。耐熱性は下記の基準に従って評価した。◎と○が合格である。
◎:伸度半減時間が120時間以上である。
○:伸度半減時間が80時間以上120時間未満である。
×:伸度半減時間が80時間未満である。
(6)耐候性
フィルム長手方向に、長さ200mm、幅10mmの短冊状のサンプルを切り出して用いた。ASTM−D882−97に規定された方法に従って、引っ張り試験器を用いて25℃、65%RHにて破断伸度を測定した。初期引っ張りチャック間距離は100mmとし、引っ張り速度は300m/分とした。測定はサンプルを変更して20回行いその破断伸度の平均値(X)を求めた。また、フィルム長手方向に、長さ200mm、幅10mmの短冊状のサンプルを、紫外線劣化促進試験機アイスーパーUVテスターSUV−W131(岩崎電気(株)製)を用い、60℃、50%RHの雰囲気下で照度が100mW/cmの条件で処理した後、自然冷却し、このサンプルについて前記と同条件での引っ張り試験を20回行い、その破断伸度の平均値(Y)を求めた。得られた破断伸度の平均値(X)、(Y)から伸度保持率を次式で求めた。
伸度保持率(%)=(Y/X)×100
伸度保持率が50%以下となるまでの紫外線劣化促進試験機での処理時間を破断伸度の半減時間とした。耐耐候性は下記の基準に従って評価した。◎と○が合格である。
◎:伸度半減時間が24時間以上である。
○:伸度半減時間が12時間以上24時間未満である。
×:伸度半減時間が12時間未満である。
(7)成形加工性
モーター加工機(小田原エンジニアリング社製)を用いて、フィルムを12×80mmのサイズ(フィルムの長手方向を80mmとした)に打ち抜き、さらに折り目をつける加工をトータルの加工速度2個/秒の速度で1,000個のサンプルを作成し、割れや亀裂の発生数を数えて、以下のように判断した。◎、○が合格である。
◎:割れや亀裂の発生数が50個未満
○:割れや亀裂の発生数が50個以上200個未満
×:割れや亀裂の発生数が200個以上
以下に、本発明の具体的な実施例を比較例と比較しながら説明する。
(8)オリゴマー析出抑止性
フィルムを200℃で48時間加熱処理した後、表面にアルミニウムを真空蒸着し、微分干渉顕微鏡を用いて、倍率400倍で観察した。析出オリゴマによる突起個数をカウントし、1mmあたりに換算し、以下のように判断した。○が合格である。
○:10個未満
△:10個以上20個未満
×:20個以上
(参考例1)ポリ−p−フェニレンスルフィド(PPS)の製造
撹拌機付きの70リットルオートクレーブに、47.5%水硫化ナトリウム8267.37g(70.00モル)、96%水酸化ナトリウム2957.21g(70.97モル)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)11434.50g(115.50モル)、酢酸ナトリウム2583.00g(31.50モル)、及びイオン交換水10500gを仕込み、常圧で窒素を通じながら245℃まで約3時間かけて徐々に加熱し、水14780.1gおよびNMP280gを留出した後、反応容器を160℃に冷却した。仕込みアルカリ金属硫化物1モル当たりの系内残存水分量は、NMPの加水分解に消費された水分を含めて1.06モルであった。また、硫化水素の飛散量は、仕込みアルカリ金属硫化物1モル当たり0.02モルであった。
次に、p−ジクロロベンゼン10235.46g(69.63モル)、NMP9009.00g(91.00モル)を加え、反応容器を窒素ガス下に密封し、240rpmで撹拌しながら、0.6℃/分の速度で238℃まで昇温した。238℃で95分反応を行った後、0.8℃/分の速度で270℃まで昇温した。270℃で100分反応を行った後、1,260g(70モル)の水を15分かけて圧入しながら250℃まで1.3℃/分の速度で冷却した。その後200℃まで1.0℃/分の速度で冷却してから、室温近傍まで急冷した。
内容物を取り出し、26300gのNMPで希釈後、溶剤と固形物をふるい(80mesh)で濾別し、得られた粒子を31900gのNMPで洗浄、濾別した。これを、56000gのイオン交換水で数回洗浄、濾別した後、0.05重量%酢酸カルシウム水溶液70000gで洗浄、濾別した。70000gのイオン交換水で洗浄、濾別した後、得られた含水PPS粒子を80℃で熱風乾燥し、120℃で減圧乾燥した。得られたPPS樹脂は、溶融粘度が2000ポイズ(310℃、剪断速度1000/s)であり、ガラス転移温度が90℃、融点が280℃であった。
(参考例2)共重合ポリフェニレンスルフィド(m−PPS)の製造
オートクレーブに100モルの硫化ナトリウム9水塩、45モルの水酸化ナトリウムおよび25リットルのN−メチル−2−ピロリドン(以下、NMPという)を仕込み、攪拌しながら徐々に220℃まで昇温し、含有されている水分を蒸留により除去した。脱水の終了した系内へ主成分モノマーとして86モル%のp−ジクロロベンゼン、副成分モノマーとして15モル%のm−ジクロロベンゼン、および0.2モル%の1,2,4−トリクロロベンゼンを5リットルのNMPとともに添加し、170℃で窒素を3kg/cm加圧封入後、昇温し、260℃にて4時間重合した。重合終了後、冷却し、蒸留水中にポリマーを沈殿させ、150メッシュ目開きを有する金網によって、小塊状ポリマーを採取した。このポリマーを90℃の蒸留水により5階洗浄した後、減圧下120℃にて乾燥して白色粒子状の共重合ポリフェニレンスルフィド(m−PPS)ポリマーを得た。得られたm−PPS樹脂は、溶融粘度が2000ポイズ(310℃、剪断速度1000/s)であり、ガラス転移温度が86℃、融点が260℃であった。
(参考例3)PPS粒子マスターチップの作成
参考例1で得たPPS樹脂92重量%と平均粒径1.2μmの炭酸カルシウム粉末8重量%をベント付き同方向回転式二軸混練押出機(日本製鋼所製、スクリュー直径30mm、スクリュー長さ/スクリュー直径=45.5)に投入し、滞留時間30秒、スクリュー回転数300回転/分、330℃で溶融押出してストランド状に吐出し、温度25℃の水で冷却した後、直ちにカッティングして粒子マスターチップ(粒子8重量%含有)を作製した。
(参考例4)ポリエチレンテレフタレート(PET)の製造
ジメチルテレフタレートとエチレングリコールの混合物に、ジメチルテレフタレートに対して、酢酸カルシウム0.09重量%と三酸化アンチモン0.03重量%とを添加して、常法により加熱昇温してエステル交換反応を行った。次いで、得られたエステル交換反応生成物に、原料であるジメチルテレフタレートに対して、酢酸リチウム0.15重量%とリン酸トリメチル0.21重量%とを添加した後、重合反応槽に移行し、次いで加熱昇温しながら反応系を徐々に減圧して1mmHgの減圧下、290℃で常法により重合し、固有粘度0.54dl/gのポリエチレンテレフタレート(PET)を得た。得られたPETポリマーを回転型真空重合装置を用いて、1mmHg以下の減圧下、225℃の温度で35時間加熱処理し、固有粘度0.85dl/gのPETポリマを得た。
(参考例5)ポリエチレン−2,6−ナフタレート(PEN)の製造
ジメチル−2、6−ナフタレート100重量%、エチレングリコール60重量%および酢酸マグネシウム4水和物0.09重量%を反応器にとり、約4時間をかけて230℃まで徐々に加熱昇温した。この時生成してくるメタノールを留去させ、エステル交換反応を終了した。この反応物にリン酸トリメチル0.04重量%、三酸化アンチモン0.03重量%およびエチレングリコール10重量部に分散させた平均粒子径0.3μmの酸化チタン0.3重量%を添加し、常法に従って重合し、固有粘度0.48のポリエチレン−2,6−ナフタレート(PEN)チップを得た。このチップを200℃で30時間固相重合し、固有粘度0.78のPENチップを得た。
(実施例1)
参考例4で得た固有粘度0.85のPETチップ50重量%とGeneral Electric社製のポリエーテルイミド(PEI)チップ”ウルテム”1010(ガラス転移温度217℃、固有粘度0.68)を50重量%、150℃で5時間除湿乾燥した後、320〜290℃に加熱された(スクリューゾーン、押出ヘッド部で温度勾配を設定)二軸3段タイプのスクリュー(PETとPEIの混練可塑化ゾーン/ダルメージ混練ゾーン/逆ネジダルメージによる微分散相溶化ゾーン)を具備したベント式二軸押出機(L/D=40、ベント孔の減圧度は200Paとした)に供給して、滞留時間3分にて溶融押出し、ウルテムを50重量%含有したPET/PEIブレンドチップを得た。
次いで、得られたPET/PEIブレンドチップ30重量%と前記の固有粘度0.85のPETチップ70重量%とを混合させ、(PETとPEIの混合比率、PET;85重量%、PEI;15重量%)、180℃で3時間減圧乾燥した後、溶融部が280℃に加熱されたフルフライトの単軸押出機2(B層)に供給した。また、一方、参考例1で作成したPPSチップ100重量%に対し、参考例3で作成したPPS粒子マスター(平均粒径1.2μmの炭酸カルシウム粉末を8重量%含有)4重量%、ステアリン酸カルシウム0.05重量%添加し均一に分散配合させた原料を180℃で3時間減圧乾燥した後、溶融部が320℃に加熱されたフルフライトの単軸押出機2(A層)に供給した。
次いでこれらの2台の押出機で溶融したポリマーを繊維焼結ステンレス金属フィルター(14μmカット)を通過させた後、温度290℃に設定した3層用の合流ブロック用いて合流させて3層積層(A/B/A)とした。合流ブロックを通過させるポリマー流量は、二軸延伸・熱処理後の最終フィルムの全厚みに対する表層部(A層)の合計積層厚み比率が20%となるように、各層の厚さをそれぞれのラインに設置されたギアポンプの回転数を調節し、押出量を制御することによって合わせた。このように溶融ポリマーを3層積層状態にし、温度290℃に設定したTダイの口金から溶融押出した後、表面温度25℃のキャストドラムに静電荷を印加させながら密着冷却固化し、未延伸積層フィルムを作製した。
この未延伸積層フィルムを、加熱された複数のロール群からなる縦延伸機を用い、ロールの周速差を利用して、110℃の温度でフィルムの長手方向に3.8倍の倍率で延伸した。その後、このフィルムの両端部をクリップで把持して、テンターに導き、延伸温度115℃、延伸倍率4.0倍でフィルムの幅方向に延伸を行い、引き続いて温度210℃で8秒間の熱処理を行った後、150℃にコントロールされた冷却ゾーンで横方向に4%弛緩処理を行い室温まで冷却した後、フィルムエッジを除去し、厚さ125μmの二軸配向積層フィルムを得た。本フィルムの基層部(B層)のフィルム固有粘度は0.76dl/gであった。本実施例で得られた二軸配向積層フィルムの構成および特性は表1に示したとおりであり、十分な耐加水分解性、オリゴマー析出抑止性を有し、耐熱性に優れ、耐候性および成形加工性が極めて良好なものであった。
(実施例2、実施例3)
製膜時の長手方向および幅方向の延伸倍率を表1に示した条件に変更した以外は、実施例1と同様にして二軸配向積層フィルムを得た。本実施例で得られた二軸配向積層フィルムの構成および特性は表1に示したとおりであり、実施例2の二軸配向積層フィルムは面積延伸倍率が実施例1より低いため耐加水分解性が若干劣るが満足なレベルであった。オリゴマー析出抑止性、耐候性および耐熱性についても十分な特性を有しており、成形加工性が極めて良好なものであった。実施例3の二軸配向積層フィルムは面積延伸倍率が実施例1より高く耐加水分解性、オリゴマー析出抑止性、耐熱性および耐候性が向上していた。その一方で破断伸度が低下しているため成型加工性は若干劣るが満足なレベルであった。
(比較例1)
二軸配向積層フィルムを表層部(A層)PPS原料のみの全フィルム厚み125μm単膜構成とし、製膜時の長手方向および幅方向の延伸温度を表2に示した条件に変更した以外は実施例1と同様にして二軸配向積層フィルムを得た。本比較例で得られた二軸配向積層フィルムの構成および特性は表2に示したとおりであり、オリゴマー析出抑止性、耐加水分解性および耐熱性について極めて優れた特性を有しているが、耐候性については不十分であり、また破断伸度が低いため成形加工性についても不十分なフィルムであった。
(比較例2)
二軸配向積層フィルムを基層部(B層)PET/PEIブレンド原料のみの全フィルム厚み125μm単膜構成とし、製膜時の長手方向および幅方向の延伸温度を表2に示した条件に変更した以外は実施例1と同様にして二軸配向積層フィルムを得た。本比較例で得られた二軸配向積層フィルムの構成および特性は表2に示したとおりであり、耐候性に極めて優れており、かつ、破断伸度が高いため成形加工性についても極めて優れた特性を有している一方で、オリゴマー析出抑止性、耐加水分解性および耐熱性については不十分なフィルムであった。
(比較例3)
ポリエステル(a)として固有粘度0.65dl/gのPETを用い、製膜時の長手方向および幅方向の延伸温度および熱固定温度を表2に示した条件に変更した以外は実施例8と同様にして二軸配向積層フィルムを得た。本比較例で得られた二軸配向積層フィルムの構成および特性は表2に示したとおりである。基層部(B層)のフィルム固有粘度が0.62dl/gであり、面積延伸倍率が11.7倍と低い本比較例のフィルムは、破断伸度が高く成形加工性に優れていたが、オリゴマー析出抑止性、耐加水分解性、耐熱性および耐候性が不十分なフィルムであった。
(比較例4)
製膜時の長手方向および幅方向の延伸倍率を表2に示した条件に変更した以外は、実施例1と同様にして二軸配向積層フィルムを得た。本比較例で得られた二軸配向積層フィルムの構成および特性は表2に示したとおりであり、オリゴマー析出抑止性を有し、面積延伸倍率が低いため、破断伸度が高く成形加工性に優れていたが、耐加水分解性、耐熱性および耐候性が不十分なフィルムであった。
(比較例5)
基層部(B層)を参考例4で製造したPETのみとし、製膜時の長手方向および幅方向の延伸温度を表2に示した条件に変更した以外は実施例9と同様にして二軸配向積層フィルムを得た。本比較例で得られた二軸配向積層フィルムの構成および特性は表2に示したとおりであり、オリゴマー析出抑止性を有し、破断伸度が高く成形加工性に優れていたが、耐加水分解性、耐熱性および耐候性が不十分なフィルムであった。
(実施例4、5、6、7および比較例6)
フィルムの全厚みに対する表層部(A層)の合計積層厚み比率を表1および表2に示した条件に変更した以外は、実施例1と同様にして二軸配向積層フィルムを得た。本実施例で得られた二軸配向積層フィルムの構成および特性は表1、本比較例で得られた二軸配向積層フィルムの構成および特性は表2に示したとおりである。表層部(A層)のPPSフィルム層厚みが10%と実施例1に比べ薄く積層している実施例4の二軸配向積層フィルムは、実施例1より耐加水分解性が若干劣るが満足なレベルであった。オリゴマー析出抑止性、耐熱性について十分な特性を有しており、耐候性および成形加工性が極めて良好なものであった。
表層部(A層)のPPSフィルム層厚みが40%と実施例1に比べ厚く積層している実施例5の二軸配向積層フィルムは耐加水分解性が向上し、オリゴマー析出抑止性、耐候性および耐熱性についても十分な特性を有しており、成形加工性が極めて良好なものであった。
表層部(A層)のPPSフィルム層厚みが60%と実施例1に比べより厚く積層している実施例6の二軸配向積層フィルムは耐加水分解性が向上し、耐熱性が極めて良好であった。一方で耐候性は若干劣り、破断伸度が低下していることから成形加工性も若干劣るが、オリゴマー析出抑止性、耐候性および成形加工性ともに十分な特性を有していた。
他方、表層部(A層)のPPSフィルム層厚みが5%と実施例1に比べ薄く積層している比較例6の二軸配向積層フィルムは、耐候性と成形加工性に優れていたが、オリゴマー析出抑止性、耐加水分解性および耐熱性が不十分であった。
(実施例7、8、9および比較例7)
基層部(B層)に含まれるポリエーテルイミド(PEI)の含有量、製膜時の長手方向および幅方向の延伸温度を表1に示した条件に変更した以外は、実施例1と同様にして二軸配向積層フィルムを得た。本実施例で得られた二軸配向積層フィルムの構成および特性は表1に示したとおりである。基層部(B層)に含まれるPEIの含有量が10重量%と実施例1に比べ低減させた実施例7の二軸配向積層フィルムは、実施例1と同等に十分なオリゴマー析出抑止性、耐加水分解性、耐熱性および耐候性を有しており、さらに破断伸度が向上していることから成形加工性が極めて良好であった。
基層部(B層)に含まれるPEIの含有量が5重量%と実施例1に比べより低減させた実施例8の二軸配向積層フィルムは、耐加水分解性が若干劣るが満足なレベルであった。オリゴマー析出抑止性、耐候性および耐熱性についても十分な特性を有しており、成形加工性が極めて良好なものであった。
基層部(B層)に含まれるPEIの含有量が45重量%と実施例1に比べ大幅に増量させた実施例9の二軸配向積層フィルムは、オリゴマー析出抑止性に優れ、耐加水分解性、耐熱性および耐候性が極めて優れていた。その一方で、破断伸度が低いため成形加工性は若干劣るが満足なレベルであった。
基層部(B層)に含まれるPEIの含有量が55重量%と実施例1に比べ大幅に増量させた比較例7の二軸配向積層フィルムは、製膜時の延伸工程において破れが頻発し、製膜性が不安定なためフィルムを採取することが困難であった。
(実施例10)
表層部(A層)のポリアリーレンスルフィドとして参考例2で製造した共重合ポリフェニレンスルフィド(m−PPS)を用いる以外は実施例9と同様にして二軸配向積層フィルムを得た。本実施例で得られた二軸配向積層フィルムの構成および特性は表1に示したとおりであり、十分なオリゴマー析出抑止性、耐加水分解性、耐熱性および耐候性を有しており、さらに破断伸度が向上していることから成形加工性が極めて良好であった。
(実施例11)
基層部(B層)に含まれるポリエステル(a)として参考例5で製造したポリエチレン−2,6−ナフタレート(PEN)を用い、製膜時の長手方向および幅方向の延伸温度を表1に示した条件に変更した以外は実施例1と同様にして二軸配向積層フィルムを得た。本実施例で得られた二軸配向積層フィルムの構成および特性は表1に示したとおりであり、オリゴマー析出抑止性に優れ、耐加水分解性、耐熱性、耐候性については極めて優れていた。その一方で、破断伸度が低く成形加工性は若干劣るが満足なレベルであった。
(実施例12)
参考例1で作成したPPS樹脂を180℃で3時間1mmHgの減圧下で乾燥し、ポリエーテルイミド(ジーイープラスチックス社製 “ウルテム1010”)(PEI)を120℃で3時間1mmHgの減圧下で別々に乾燥した。上記PPS樹脂70重量%とPEI30重量%の各チップを乾燥空気下で均一配合後、ニーディングパドル混練部を3箇所設けた真空ベント付き同方向回転式二軸混練押出機(日本製鋼所製、スクリュー直径30mm、スクリュー長さ/スクリュー直径=45.5)に投入し、滞留時間90秒、スクリュー回転数300回転/分、330℃で溶融押出してストランド状に吐出し、温度25℃の水で冷却した後、直ちにカッティングしてブレンドチップを作製した。
得られたPPS/PEI(70/30重量%)のブレンドチップ原料16.7重量%、参考例1で作成したPPS樹脂79.3重量%および参考例3で作成したPPS粒子マスターチップ4重量%をドライブレンドし、更にブレンドした樹脂100重量%当たり0.3重量%の水を添加したものを、上記二軸混練押出機に投入し、滞留時間90秒、スクリュー回転数300回転/分、330℃で溶融押出してストランド状に吐出し、温度25℃の水で冷却した後、直ちにカッティングしてPPS/PEIブレンドチップ(PPS/PEI=95重量%/5重量%)を作製した。
表層部(A層)に用いる原料として、ここで得られたPPS/PEIブレンドチップを180℃で3時間減圧乾燥した後、溶融部が320℃に加熱されたフルフライトの単軸押出機2(A層)に供給した以外は実施例1と同様にして二軸配向積層フィルムを得た。本実施例で得られた二軸配向積層フィルムの構成および特性は表1に示したとおりであり、オリゴマー析出抑止性に優れ、極めて優れた耐加水分解性、耐熱性および耐候性を有し、さらに破断伸度が向上していることから成形加工性においても極めて良好であった。
(実施例13)
表層部(A層)のPEIの含有量および製膜時の長手方向および幅方向の延伸温度を表1に示した条件に変更した以外は実施例13と同様にして二軸配向積層フィルムを得た。本実施例で得られた二軸配向積層フィルムの構成および特性は表1に示したとおりであり、表層部(A層)に含まれるPEIの含有量が20%である本実施例の二軸配向積層フィルムは、オリゴマー析出抑止性に優れ、耐加水分解性、耐熱性、耐候性については極めて優れていた。その一方で、破断伸度が低く成形加工性は若干劣るが満足なレベルであった。
(実施例14、15および比較例8、9)
製膜時の熱固定温度を表1および表2に示した条件に変更した以外は、実施例1と同様にして二軸配向積層フィルムを得た。本実施例で得られた二軸配向積層フィルムの構成および特性は表1、本比較例で得られた二軸配向積層フィルムの構成および特性は表2に示したとおりである。熱固定温度を230℃に変更した実施例14の二軸配向積層フィルムは十分なオリゴマー析出抑止性、耐加水分解性、耐熱性、耐候性および成形加工性を有したものであった。さらに熱固定温度を180℃に変更した実施例15の二軸配向積層フィルムは十分なオリゴマー析出抑止性、耐加水分解性、耐熱性および耐候性を有しており、破断伸度が向上していることから成形加工性において極めて良好であった。
他方、熱固定温度を240℃に変更した比較例8の二軸配向積層フィルムはオリゴマー析出抑止性に優れるが、熱固定温度が高いため耐加水分解性、耐熱性および耐候性が不十分であり、また破断伸度が低いため成形加工性も不十分なものであった。さらに熱固定温度を150℃に変更した比較例9の二軸配向積層フィルムはオリゴマー析出抑止性に優れるが、熱処理温度が低いため、破断伸度が高く成形加工性に極めて優れるが、耐加水分解性、耐熱性および耐候性が不十分なものであった。
Figure 0005423464
Figure 0005423464
電気絶縁用、太陽電池用、包装用、インクリボン用、回路基板用、コンデンサー用などの各種工業材料用フィルム、詳しくは、給湯器モーター用電気絶縁材料や、ハイブリッド車などに使用されるカーエアコン用モーターや駆動モーター用などの電気絶縁材料、太陽電池バックシート用フィルムとして好適に使用できる。

Claims (6)

  1. ポリエステル(a)とポリイミド(b)とを含む熱可塑性樹脂からなる基層部(B層)の少なくとも片側にポリアリーレンスルフィドを含む熱可塑性樹脂からなる表層部(A層)を積層してなる二軸配向積層フィルムであって、該基層部(B層)を構成する樹脂の固有粘度が0.65dl/g以上、かつ、フィルムを125℃、100%RHの条件下で湿熱処理したときのフィルムの破断伸度の半減時間が72時間以上、フィルムの長手方向および幅方向の破断伸度が70%以上であることを特徴とする二軸配向積層フィルム。
  2. ポリエステル(a)がポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレートおよびこれらの共重合体からなる群から選ばれる少なくとも1種のポリエステルであることを特徴とする請求項1に記載の二軸配向積層フィルム。
  3. ポリイミド(b)がポリエーテルイミドであり、ポリエーテルイミドが基層部(B層)全体に対して1〜50重量%含まれることを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の二軸配向積層フィルム。
  4. 表層部(A層)のポリアリーレンスルフィドがポリフェニレンスルフィドである請求項1〜3のいずれかに記載の二軸配向積層フィルム。
  5. 表層部(A層)にポリエーテルイミドを含み、該ポリエーテルイミドが表層部(A層)全体に対し1〜30重量%含まれることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の二軸配向積層フィルム。
  6. 表層部(A層)の合計厚みが積層フィルムの全厚みに対して10〜60%であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の二軸配向積層フィルム。
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